JPWO2006006349A1 - ポリマー修飾ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

ポリマー修飾ナノ粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

あらゆる種類のナノ粒子を経済的に、かつ簡便に単離・精製することができ、さらにポリマーと強固に結合した形態で得られるため容易に塗膜やフィルムとして成膜することができるポリマー修飾ナノ粒子の製造方法を提供すること。金属、金属酸化物、および化合物半導体からなる群より選ばれる粒径100nm以下のナノ粒子と、末端にSH基を有するビニル系ポリマーとを液中混合することにより、ナノ粒子の表面をビニル系ポリマーで修飾し、次いでビニル系ポリマーで修飾されたナノ粒子を溶液から単離する方法により達成できる。

Description

本発明は、粒径100nm以下のナノ粒子をビニル系ポリマーで修飾したポリマー修飾ナノ粒子の製造方法に関する。
近年粒径100nm以下のナノ粒子は、その表面積の大きさや量子特性を利用して、触媒、紫外線遮蔽剤、蛍光材料、発光材料、塗料、磁性材料など多くの用途への展開が開始されている。ところがこのようなナノ粒子は表面積が大きいため凝集しやすく、安定した分散形態で単離することが困難であった。従来このようなナノ粒子の凝集を防止し、安定に単離するために、保護剤を用いてナノ粒子を修飾する方法が提案されている。このような保護剤としては、例えば、ドデカンチオールやメルカプト酢酸などの低分子チオール、オレイン酸やステアリン酸などの長鎖カルボン酸、オレイルアミンやドデシルアミンなどの長鎖アミン、トリオクチルホスフィンオキシドやトリブチルホスフィンオキシドなどの長鎖ホスフィンオキシド、ポリビニルピロリドンやポリビニルピリジンなどの配位性ポリマーなどを挙げることができる。しかしドデカンチオールを始めとする低分子化合物はナノ粒子安定化の効果が不十分であり、ナノ粒子分散液を室温で1週間程度保存すると凝集してしまうという問題があった。また配位性ポリマーを用いた場合も、金属ナノ粒子への付着力が弱いため長期安定性に問題があった。
上記問題を解決する手段として、ナノ粒子をポリマーで修飾する方法が提案されている。例えば非特許文献1ではSH基を有するポリエチレングリコールを用いて金ナノ粒子の修飾を行っている。しかしこの方法ではSH基を有するポリエチレングリコールの存在下に金ナノ粒子の合成を実施しており、ナノ粒子を別途合成して修飾したものではないため、適用できるナノ粒子や溶媒に制限がある。例えば合成に200℃以上の高温を要する鉄含有合金ナノ粒子、銅含有合金ナノ粒子、半導体ナノ粒子などへ適用することができない。同様の検討がSH基を有するポリスチレンを用いて実施されている(非特許文献2)が、ここでもSH基を有するポリスチレンの存在下に金ナノ粒子を合成しているため、上記と同じ問題がある。またこれらポリエチレングリコールやポリスチレンにSH基を導入する方法として、ポリマー末端と低分子SH化合物との反応が採用されているが、このような反応は煩雑であり工業化には向いておらず、生産性が低いという問題があった。
末端にSH基を有するポリマーの合成法として最適と考えられるのが、可逆的付加脱離連鎖移動(RAFT)重合法である。RAFT重合は例えば特許文献1や非特許文献3に記載されているように、ジチオエステル結合を有する化合物を連鎖移動剤として実施されるラジカル重合である。RAFT重合で得られたポリマーを用いて金属ナノ粒子を修飾する方法が、特許文献2、非特許文献4、非特許文献5、および非特許文献6に記載されている。ところが特許文献2、非特許文献4、非特許文献5のいずれもが、上記ポリエチレングリコールやポリスチレンの例と同様に、ポリマー存在下で金属ナノ粒子を還元により合成しているため、適用できるナノ粒子や溶媒、反応条件に制限がある。また非特許文献6では、金ナノ粒子を官能基含有低分子保護剤で修飾した後、該官能基の反応性を利用してジチオエステル化合物を結合させ、そこからRAFT重合を実施しており、反応が煩雑であるだけでなく収率も低く、経済的でないため工業化には向かない。
また上記SH基含有ポリマーによる修飾は貴金属ナノ粒子への適用しか知られておらず、遷移金属ナノ粒子、磁性ナノ粒子、半導体ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子への適用は例がない。
特表2000−515181 US2003/0199653 A1 W.P.Wuelfing et al., J.Am.Chem.Soc. 1998, 120, 12696. M.K.Corbierre et al., J.Am.Chem.Soc. 2001, 123, 10411. J.Chiefari et al., Macromolecules 1998, 31, 5559. A.B.Lowe et al., J.Am.Chem.Soc. 2002, 124, 11562. J.Shan et al., Macromolecules 2003, 36, 4526. J.Raula et al., Langmuir 2003, 19, 3499.
本発明が解決しようとする課題は、あらゆるナノ粒子に適用可能な、経済性に優れる、簡便なポリマー修飾ナノ粒子の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段として、本発明者は以下の方法を提案する。
本発明のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法は、金属、金属酸化物、および化合物半導体からなる群より選ばれる粒径100nm以下のナノ粒子と、末端にSH基を有するビニル系ポリマーとを液中混合することにより、ナノ粒子の表面をビニル系ポリマーで修飾し、次いでビニル系ポリマーで修飾されたナノ粒子を溶液から単離することを特徴とする。
好ましい実施態様としては、ナノ粒子と末端にSH基を有するビニル系ポリマーとを液中混合する際、超音波を照射する。
好ましい実施態様としては、ナノ粒子と末端にSH基を有するビニル系ポリマーとを、それぞれ互いに混ざり合わない溶媒に分散または溶解させ、両者を混合し、ナノ粒子をポリマー溶液相に移動させ、該ポリマー溶液相をもう一方の相から分離する工程を含む。
好ましい実施態様としては、上記ビニル系ポリマーで修飾されたナノ粒子を含有する溶液から溶媒を留去する工程を含む。
好ましい実施態様としては、上記ビニル系ポリマーで修飾されたナノ粒子の溶液を、該ビニル系ポリマーが溶解しない溶媒と混合して析出させることにより、ビニル系ポリマーで修飾されたナノ粒子を単離する工程を含む。
好ましい実施態様としては、ナノ粒子の粒径が20nm以下である。
好ましい実施態様としては、ナノ粒子が磁性、蛍光性、発光性、またはプラズモン吸収性のいずれかの特性を有する。
好ましい実施態様としては、ナノ粒子が酸化亜鉛ナノ粒子である。
好ましい実施態様としては、末端にSH基を有するビニル系ポリマーが1分子中の複数の末端にSH基を有するものである。
好ましい実施態様としては、末端にSH基を有するビニル系ポリマーの数平均分子量が2000以上100000以下である。
好ましい実施態様としては、末端にSH基を有するビニル系ポリマーの、重量平均分子量と数平均分子量の比で表される分子量分布が、1.5以下である。
好ましい実施態様としては、末端にSH基を有するビニル系ポリマーが、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、N‐イソプロピルアクリルアミド、N‐イソプロピルメタクリルアミド、N,N‐ジメチルアクリルアミド、N,N‐ジメチルメタクリルアミド、N‐ビニルピロリドン、2‐ビニルピリジン、4‐ビニルピリジン、無水マレイン酸、およびマレイミドからなる群より選ばれる1種以上のモノマーをラジカル重合して得られるものである。
好ましい実施態様としては、末端にSH基を有するビニル系ポリマーが、可逆的付加脱離連鎖移動重合により合成されるポリマーを処理剤で処理したものである。
好ましい実施態様としては、上記処理剤が水素‐窒素結合含有化合物、塩基、および還元剤からなる群より選ばれるものである。
また本発明は、上記方法により得られるポリマー修飾ナノ粒子を含有する溶液からキャスト法により成膜されるフィルムに関する。
好ましい実施態様として、上記フィルムをキャスト法により成膜する際に、末端にSH基を有するビニル系ポリマーとは別のポリマーを共存させるフィルムに関する。
本発明の方法により、あらゆる種類のナノ粒子を経済的に、かつ簡便に単離・精製することができ、さらにポリマーと強固に結合した形態で得られるため容易に塗膜やフィルムとして成膜することが可能となる。したがって本発明の方法を適用することにより、各種ナノ粒子を含有する塗料、コーティング剤、接着剤、粘着剤、シーリング剤、導電性ペースト、電磁波遮蔽膜・フィルム、紫外線遮蔽膜・フィルム、磁気記録材料、発光素子、ディスプレイ、量子デバイス、センサー、DNAチップ、光メモリなどへの応用が可能である。
末端にSH基を有するPMMAを用いて単離・精製されたFePtナノ粒子のTEM写真である。 FePtナノ粒子の単離・精製の様子を示した図であり、左から、本発明の方法によりFePtナノ粒子を単離した後の上澄み液、本発明の方法により単離・精製されたFePtナノ粒子、市販ポリマーを用いて実施した比較例の液相(ナノ粒子単離できず)、分離した市販ポリマー(ナノ粒子含まず)である。 末端にSH基を有するポリスチレンを用いて単離・精製されたFePtナノ粒子のTEM写真である。 ドデカンチオールを用いて単離・精製されたFePtナノ粒子のTEM写真である。 末端にSH基を有するPMMAを用いて単離・精製されたCdSeナノ粒子のTEM写真(倍率は図6と同一)である。 トリオクチルホスフィンオキシドを用いて単離・精製されたCdSeナノ粒子のTEM写真である。 末端にSH基を有するPASを用いて単離・精製された金ナノ粒子のTEM写真である。 ドデカンチオールを用いて単離・精製された金ナノ粒子のTEM写真である。 末端にSH基を有するPMMAを用いて単離・精製されたZnOナノ粒子のTEM写真である。
本発明において使用するナノ粒子は、粒径100nm以下のものである。一般的に粒子サイズが100nmを超えると、ナノ粒子特有の性質が薄れてバルクの性質に近いものとなってしまうため、たとえ凝集したとしても特性変化が認められなくなり、表面修飾による安定化の意義がなくなってしまう。また本発明のナノ粒子の組成は、金属、金属酸化物、および化合物半導体からなる群より選ばれるものである。
本発明で使用するナノ粒子の組成として、金属としては特に限定されないが、例えばAu、Ag、Pt、Pdなどの貴金属類; Cu、Ni、Co、Feなどの遷移金属類; FePt、FeMo、CoPt、FePtAg、FeCoPt、FeCo、FePd、FeAu、FeCu、NiPt、NiPtRu、Ni2B、FeCuBなどの磁性金属などを挙げることができる。金属酸化物としては特に限定されないが、ZnO、CuO、Cu2O、TiO2、SiO2、SnO、InO、InSnO、Fe34、γ‐Fe23、CoO、Co34、NiO、MnO、BaFe1219、CoFe23、CoCrFeO4、MnFe23、NiFe23、ZnFe23などを挙げることができる。化合物半導体としては特に限定されないが、例えばCdSe、CdS、CdTe、ZnSe、ZnS、ZnTe、GaN、GaAs、鉄カーバイド、PbSe、InPなどを挙げることができる。また上記各種ナノ粒子を他の元素でドープしたナノ粒子を用いることもできる。これらのナノ粒子のうち、産業的付加価値が高い点で磁性、蛍光性、発光性、プラズモン吸収性のいずれかの特性を有するものが好ましい。磁性ナノ粒子に関しては高密度磁気記録材料への適用が可能である点でFePt、NiPt、CoPt、FeCoがより好ましく; 蛍光性および発光性ナノ粒子としては発光強度が強くスペクトルがシャープである点でZnO、ZnSe、ZnS、CdSe、CdSがより好ましく、毒性が低い点でZnO、ZnSが特に好ましく; プラズモン吸収を有するナノ粒子としては発色が美しい点でAu、Agがより好ましい。
本発明で使用するナノ粒子は、ナノ粒子としてサイズが小さくなることにより発現される特性が顕著である点で、粒径が50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。このようなナノ粒子の合成法については特に限定されず、例えば“Nanoparticles, Building Blocks for Nanotechnology” Edited by Vincent Rotello, Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York, 2004、およびそこに記載されている文献記載の方法を適用することができる。
本発明の方法では、ナノ粒子と、末端にSH基を有するビニル系ポリマーとを液中で混合する。このとき、ナノ粒子は溶解していてもよく、コロイド液、懸濁液、分散液の状態であってもよい。末端にSH基を有するビニル系ポリマーは、ナノ粒子との反応が効率よく進行する点で、溶解している状態が好ましい。両者を混合する際、ナノ粒子含有液とポリマー含有液とを別々に調製しておいて液同士を混合してもよく、ポリマー溶液にナノ粒子を直接添加してもよく、ナノ粒子含有液にポリマーを添加してもよい。一般的にナノ粒子は液中から取り出すと凝集しやすいため、コロイド液、懸濁液、分散液などの形態のまま使用するほうが好ましく、また末端にSH基を有するビニル系ポリマーも含有液のまま使用したほうが、例えば溶液重合の後反応溶液をそのまま使用できるため、ポリマー単離工程が省略でき好ましい。したがって、ナノ粒子含有液とポリマー含有液とを別々に調製しておき、両者を混合する方法が好ましい。このとき、ナノ粒子含有液とポリマー含有液のそれぞれの溶媒を、互いに混ざり合わない組み合わせとすると、両者を混合後、再度容易に両相を分離することができる。したがって両者を混合する工程において、ナノ粒子を末端にSH基を有するビニル系ポリマーに結合させることにより、ナノ粒子含有液相からポリマー含有液相に移動させ、次に該ポリマー溶液相をもう一方の相から分離することにより、ナノ粒子含有液中に存在する不純物を容易に除去することができる。このような不純物としては、還元剤由来の塩やイオン、ナノ粒子前駆体由来の塩やイオン、あるいはナノ粒子合成時に共存させた保護剤など、ナノ粒子合成時に使用した化合物由来の残渣が挙げられる。互いに混ざり合わない溶媒の組み合わせとしては特に限定されないが、例えば水/トルエン、水/クロロホルム、水/キシレン、水/ヘキサン、水/四塩化炭素、水/1,2‐ジクロロエタン、メタノール/ヘキサン、エチレングリコール/クロロホルム、エチレングリコール/トルエン、プロピレングリコール/トルエン、1,3−プロパンジオール/トルエン、1,4−ブタンジオール/トルエンなどを挙げることができる。
ナノ粒子と末端にSH基を有するビニル系ポリマーとを液中混合する方法としては特に限定されず、例えば磁気的・機械的に攪拌する方法、振り混ぜる方法、超音波を照射する方法、霧状に噴霧する方法、送液ポンプなどで液流を作って混合する方法などが挙げられ、複数の方法を併用してもよい。これらのうち、混合効率が良好である点で、磁気的・機械的に攪拌する方法、および超音波を照射する方法が好ましく、両者を併用する方法がより好ましい。混合する際の温度は特に限定されないが、経済性やポリマーの耐熱性の点で、−50℃〜250℃の範囲が好ましく、0℃から200℃の範囲がより好ましい。
ポリマーで修飾されたナノ粒子を溶液から単離する方法としては特に限定されないが、例えば(1)該溶液から溶媒を留去する方法、(2)該溶液をキャストすることにより成膜する方法、あるいは(3)該溶液をポリマーが溶解しない溶媒と混合することによりポリマーを析出させる方法、が挙げられる。
上記(1)の方法において、溶媒を留去する方法としては特に限定されず、ロータリーエバポレーターを用いたり、薄膜蒸発機を用いたり、オーブンを用いたり、あるいはただ単に自然乾燥させてもよい。減圧してもよく常圧でもよいが、効率の点で減圧した方がよい。上記(2)の方法において、キャストする方法としては特に限定されず、例えばバーコーターやスピンコーターなどの各種コーターを用いたり、スプレーを用いたり、あるいは刷毛などで塗布してもよい。これらのうち、均一な膜が短時間に得られる点で、バーコーターやスピンコーターなどのコーターを用いる方法が好ましい。この際も、減圧してもよく常圧でもよい。上記(3)の方法において、使用する溶媒の組み合わせは限定されず、使用するポリマーの溶解性に応じて最適なものを選択すればよい。例えばポリメタクリル酸メチルの場合、良溶媒の例としてキシレン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトンなどを挙げることができ、貧溶媒の例としてヘキサン、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、ホルムアミドなどを挙げることができる。ただしこれら溶媒の組み合わせにおいて、ポリマーをうまく析出させるためには互いに混ざり合う溶媒を用いることが好ましい。ポリマーを析出させた後はろ過やデカンテーションにより単離し、必要に応じて残存する溶媒を乾燥させればよい。
本発明で使用する末端にSH基を有するビニル系ポリマーの組成としては特に限定されない。ここでビニル系ポリマーとは、ラジカル重合可能なビニル系単量体を重合して得られるポリマーを意味する。このようなラジカル重合可能なビニル系単量体としては特に限定されないが、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n‐ブチル、メタクリル酸t‐ブチル、メタクリル酸2‐エチルヘキシル、メタクリル酸2‐ヒドロキシエチル、メタクリル酸2‐メトキシエチルなどのメタクリル酸エステル;アクリル酸エチル、アクリル酸n‐ブチル、アクリル酸t‐ブチルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸、アクリル酸、メタクリルアミド、N‐イソプロピルメタクリルアミド、N,N‐ジメチルメタクリルアミド、アクリルアミド、N‐イソプロピルアクリルアミド、N,N‐ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α‐メチルスチレン、ジビニルベンゼン、インデン、2‐ビニルピリジン、4‐ビニルピリジン、塩化ビニル、クロロプレン、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、N‐ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、アクロレイン、メタクロレイン、無水マレイン酸、マレイミド、マレイン酸エステルなどを挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、組み合わせて共重合体としてもよい。これらのうちポリマーの耐熱性、耐候性、溶媒への溶解性に優れる点で、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、N‐イソプロピルアクリルアミド、N‐イソプロピルメタクリルアミド、N,N‐ジメチルアクリルアミド、N,N‐ジメチルメタクリルアミド、N‐ビニルピロリドン、2‐ビニルピリジン、4‐ビニルピリジン、無水マレイン酸、マレイミドが好ましく、後述する可逆的付加脱離連鎖移動重合が良好に行える点でメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸、スチレン、N‐イソプロピルアクリルアミド、N‐イソプロピルメタクリルアミド、N,N‐ジメチルアクリルアミド、N,N‐ジメチルメタクリルアミド、N‐ビニルピロリドンがより好ましい。
本発明で使用する末端にSH基を有するビニル系ポリマーの構造は特に限定されないが、ナノ粒子を修飾する場合の修飾度合いがナノ粒子間で均一となる点、および成膜した場合のナノ粒子間の距離が一定に保たれる点で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)で表される分子量分布が1.5以下であることがより好ましく、1.3以下であることが特に好ましい。またポリマーの数平均分子量(Mn)は2000以上100000以下であることが好ましく、3000以上50000以下であることがより好ましい。ポリマーのMnが2000未満であると、低分子化合物で修飾した場合と同様に安定性が不十分であり、また単離・精製する際の分離性が悪くなる場合がある。ポリマーのMnが100000を越えると、溶液の粘度が高くなり取り扱いにくくなったり、SH基の相対含有量が減少するためナノ粒子の修飾が十分に達成できなくなる場合がある。
また末端にSH基を有するビニル系ポリマーとして、1分子中の複数の末端にSH基を有するものを使用することにより、ナノ粒子を架橋点として強固な架橋構造をとることができ、フィルムや塗膜とした場合に高い耐久性が得られるため好ましい。このとき1分子中の複数の末端にSH基を有するビニル系ポリマーの分子量分布が1.5以下であると、ナノ粒子間の距離が一定となるためナノ粒子を均一に配列することが可能となるためより好ましく、分子量分布が1.3以下であるとさらに好ましい。
末端にSH基を有するビニル系ポリマーを合成する方法としては特に限定されないが、SH基を確実に導入でき、分子量および分子量分布を制御できる点で、可逆的付加脱離連鎖移動(RAFT)重合法が好ましい。RAFT重合は上記特許文献1や非特許文献3などに記されているように、ジチオエステル構造を有する化合物を連鎖移動剤として、ビニル系モノマーをラジカル重合する方法であり、制御ラジカル重合法の一種である。該方法により得られるポリマーは、分子末端あるいは分子鎖中にジチオエステル構造あるいはトリチオカーボネート構造を有する。好ましい実施態様として本発明で使用するポリマーは、このRAFT重合により得られるジチオエステル構造あるいはトリチオカーボネート構造を有するポリマーを処理剤により処理し、ジチオエステル構造あるいはトリチオカーボネート構造の部分を変性してSH基に変換することにより得られる。
上記RAFT重合に使用するジチオエステル構造を有する連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば上記特許文献1に記載されているものを挙げることができるが、入手性、反応性の点で以下の化合物が好ましい;
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基、Acはアセチル基を示し、rは1以上の整数である)。これらのうち、反応性の点ではトリチオカーボネート構造を有する化合物がより好ましく、また1分子中の複数の末端にSH基を有するポリマー(多官能SHポリマー)を得られる点では多官能ジチオエステル化合物がより好ましい。多官能SHポリマーでナノ粒子を修飾した場合、ナノ粒子を架橋点としてポリマーが架橋する構造をとるため粒子間の距離を一定に保ちながら強固な塗膜やフィルムを作成することが可能となる。RAFT重合の場合、分子量を一定に制御した多官能SHポリマーを容易に得ることができるため、ナノ粒子間の距離を制御することが可能となり好都合である。
上記RAFT重合の反応条件としては特に限定されず、上記特許文献1を始めとする従来公知の条件を適用可能である。ただし反応性の点で70℃以上の温度で反応させることが好ましく、80℃以上がより好ましい。重合の形式は塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合など限定されないが、重合後のSH基に変換する反応を容易に実施できる点で、塊状重合または溶液重合が好ましい。
RAFT重合で得られたポリマーをSH基を有するポリマーに変換する際に使用する上記処理剤としては特に限定されないが、SH基に変換する効率が高い点で、水素‐窒素結合含有化合物、塩基、および還元剤からなる群より選ばれる化合物が好ましい。
上記処理剤のうち、水素‐窒素結合含有化合物としては特に限定されないが、アンモニア、ヒドラジン、1級アミン、2級アミン、アミド化合物、アミン塩酸塩、水素‐窒素結合含有高分子、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)などを挙げることができる。上記1級アミンの例としては、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、n‐プロピルアミン、n‐ブチルアミン、t‐ブチルアミン、2‐エチルヘキシルアミン、2‐アミノエタノール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,2‐ジアミノプロパン、1,4‐ジアミノブタン、シクロヘキシルアミン、アニリン、フェネチルアミンなどを挙げることができる。上記2級アミンの例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ‐2‐エチルヘキシルアミン、イミノジ酢酸、ビス(ヒドロキシエチル)アミン、ジ‐n‐ブチルアミン、ジ‐t‐ブチルアミン、ジフェニルアミン、N‐メチルアニリン、イミダゾール、ピペリジンなどを挙げることができる。上記アミド化合物の例としては、アジピン酸ヒドラジド、N‐イソプロピルアクリルアミド、オレイン酸アミド、チオアセトアミド、ホルムアミド、アセトアニリド、フタルイミド、コハク酸イミドなどを挙げることができる。上記アミン塩酸塩の例としては、アセトアミジン塩酸塩、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、モノエチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、塩酸グアニジンなどを挙げることができる。上記水素‐窒素結合含有高分子の例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンなどを挙げることができる。上記HALSの例としては、アデカスタブLA‐77(旭電化工業(株)製)、チヌビン144(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、アデカスタブLA‐67(旭電化工業(株)製)などを挙げることができる。
上記処理剤のうち塩基の例としては特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、マグネシウムメトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを挙げることができる。
上記処理剤のうち還元剤の例としては特に限定されないが、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カルシウム、LiAlH4、NaBH4、LiBEt3H(スーパーハイドライド)、水素などを挙げることができる。
上記処理剤は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。反応性の点で沸点20℃〜200℃の水素‐窒素結合含有化合物、および還元剤が好ましい。上記処理剤の使用量は特に限定されないが、反応性と経済性の点で、ポリマー100重量部に対して0.01〜100重量部が好ましく、0.1〜50重量部がより好ましい。温度や溶媒の有無、混合条件などの反応条件は特に限定されない。
本発明の方法により得られるポリマー修飾ナノ粒子は、溶液からキャスト法により成膜してフィルムとすることができる。キャストする方法としては特に限定されない(上述)。ここでフィルムとは、単体のフィルムのみならず、基質上に塗布された塗膜やコーティング膜も含む。本発明のナノ粒子はポリマーで修飾されているため、修飾されていないナノ粒子や低分子化合物で被覆されているナノ粒子と比較して、フィルム中での分散性に優れ凝集塊がほとんど認められない。したがって蛍光性、発光性、プラズモン吸収性などナノ粒子の量子サイズ効果に起因する特性が顕著に発現する。また凝集がないために透明なフィルムを得ることができる。
上記キャスト法で得られるフィルムにおいて、末端にSH基を有するビニル系ポリマーとは別のポリマーを共存させてもよい。一般的にこのようなポリマーは、SH基を有するポリマーで修飾されたナノ粒子に対するマトリックスとして作用する。このようなポリマーとしては特に限定されないが、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸2‐ヒドロキシエチル、ポリメタクリル酸2‐メトキシエチル、ポリアクリル酸n‐ブチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸2‐ヒドロキシエチル、ポリアクリル酸2‐メトキシエチル、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ブチルゴム、天然ゴム、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドなどを挙げることができる。これらは単独重合体であってもよく、上記ポリマーを構成するモノマー成分を2種以上含む共重合体であってもよい。上記ポリマーは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明の方法で単離精製されたナノ粒子を均一に分散させる場合には、上記ポリマーは本発明で使用する末端にSH基を有するビニル系ポリマーと相容するものが好ましく、ナノ粒子を相分離構造の特定部分に局在化させる場合には、上記ポリマーは末端にSH基を有するビニル系ポリマーと相分離するものが好ましい。このようなポリマーの相分離構造を利用することにより、ナノ粒子を特定構造に自己組織化させたフィルムや塗膜を形成することができる。例えば海島構造の海あるいは島部分にナノ粒子を集積させたり、ラメラ構造や層状構造、共連続層などの特定部分にナノ粒子を局在させたりすることができる。
本発明の実施の典型例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。親水性溶媒中で還元法により合成された粒径30nm以下のナノ粒子を含有する親水性コロイド溶液(a)と、疎水性溶媒中でRAFT重合し、次いでアミンあるいは還元剤で変性されたSH基を末端に有するポリマーを含有する疎水性溶液(b)とを、同一容器に入れて機械的に攪拌しながら超音波を照射し、100℃以下の温度で混合する。静置してナノ粒子が疎水性溶液(b)相に移ったことを確認し、分液して該(b)相を取り出す。この(b)相はポリマーで修飾されたナノ粒子が溶解しているが、必要に応じて遠心分離やろ過により不溶物を取り除き、得られた溶液をスピンコーターなどを用いて溶媒除去しながら成膜する。粘着性の膜を得たい場合にはポリアクリル酸n‐ブチルなどのガラス転移温度(Tg)が低いポリマーを使用し、硬い膜を得たい場合にはポリメタクリル酸メチルやスチレンなどのTgが高いポリマーを使用する。また1分子中の複数の末端にSH基を有するポリマーを使用することにより、強固に架橋した材料を得ることができる。
以下に本発明の実施の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
本発明においてポリマーの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により求めた。疎水性ポリマーはWaters社製システムを使用し、カラムはShodex K−806とK−805(昭和電工(株)製)を用い、クロロホルムを溶出液とし、ポリスチレン標準で解析した。親水性ポリマーに対してはShodex LF−804(昭和電工(株)製)カラムを使用し、LiBrを10mM含有するジメチルホルムアミドを溶出液とし、ポリエチレングリコール標準で解析した。ポリマーを重合する際、モノマーの反応率はガスクロマトグラフィー(GC)分析により決定した。GC分析は、サンプリング液を酢酸エチルやエタノールなどの適当な溶媒に溶解し、キャピラリーカラムDB‐17(J&W SCIENTIFIC INC.製)を使用し、ガスクロマトグラフGC‐14B((株)島津製作所製)で実施した。ナノ粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)JEM‐1200EX(日本電子(株)製)を使用し、加速電圧80kVで観察した。ナノ粒子分散液試料の場合はコロジオン膜を貼り付けたメッシュ上に固定して観察した。フィルム試料の場合はウルトラミクロトーム(ライカ製ウルトラカットUCT)を用いて超薄片を作製して観察した。独立して存在するナノ粒子の数は、TEM写真において100μm2以上の範囲でカウントした。ナノ粒子の数平均粒子径は、TEM写真において100個以上のナノ粒子をノギスを用いて計測した。発光スペクトルは、蛍光光度計LS55(パーキンエルマー社製)を用いて299nmの励起光を使用し、400〜700nmの範囲でフォトルミネッセンススペクトルを測定、あるいは分光蛍光光度計FP−6500DS(日本分光(株)製)を用いて290〜370nmの励起光を使用し、350〜700nmの範囲でフォトルミネッセンススペクトルを測定した。UV‐Vis吸収スペクトルは、UV可視分光光度計UV‐3150((株)島津製作所製)を用いて測定した。フィルムのヘイズは、JIS K7105−1981の6.4記載の方法により、濁度計NDH−300A(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
(製造例1)
FePtナノ粒子の製造
窒素導入管付き還流冷却管、メカニカルスターラー、温度測定用熱電対を装着した4口フラスコ(200mL)を窒素置換し、1,2‐ヘキサンジオール(520mg)、Pt(acac)2(197mg)、FeCl2・4H2O(139mg)、およびジフェニルエーテル(25mL)を入れ、窒素雰囲気で攪拌しながら100℃で10分間加熱した。オレイン酸(0.16mL)とオレイルアミン(0.17mL)を加え、200℃で20分間加熱した。LiBEt3H(1M THF溶液)(2.5mL)を2分間かけて滴下した。さらに攪拌しながら200℃で5分間、263℃で20分間加熱し、放冷した。
(製造例2)
片末端にSH基を有するポリメタクリル酸メチル(PMMA)の製造
窒素導入管付き還流冷却管、磁気攪拌子、温度測定用熱電対を装着した4口フラスコ(300mL)に、2‐(2‐フェニルプロピル)ジチオベンゾエート(0.170g)、MMA(50.0g)、トルエン(100g)、2,2’‐アゾビス(イソブチロニトリル)(0.021g)を入れ、窒素置換し、90℃で2時間加熱した。モノマー反応率は30%であった。70℃まで冷却し、n‐ブチルアミン(0.0935g)を添加し、70℃で10時間攪拌した。反応溶液をメタノール(400mL)に注いで片末端にSH基を有するPMMA(7.4g)を得た。GPC分析の結果、Mw31600、Mn26200、Mw/Mn1.20であった。
(実施例1)
製造例2で得られたPMMA(0.63g)を100mLナスフラスコに入れ、窒素置換し、テトラヒドロフラン(THF)(50mL)を加えて磁気攪拌して溶解させた。ここに製造例1で得られたFePt分散液(4mL)を添加し、室温で1時間攪拌した。反応液をn‐ヘキサン(100mL)に注ぎ、得られた沈殿をデカンテーションにより回収した。乾燥後の重量は0.72gであった。TEM写真を図1に示す。数平均粒子径4nmの均一な粒子が互いに凝集することなく得られている。得られた沈殿にトルエン(5mL)を加えて溶解させ、室温で3ヶ月間以上静置したが沈殿は認められず、安定に溶解していることを確認した。
(比較例1)
製造例1で得られたFePt分散液を室温で1時間静置したところ、肉眼で観察できる沈殿が多量に観察された。実施例1と比較して溶液中での安定性に劣ることが確認された。
(比較例2)
製造例1で得られたFePt分散液(10mL)にエタノール(20mL)を添加し、生成した沈殿を遠心分離(6000rpm/10分)で回収した。得られた沈殿にn‐ヘキサン(10mL)、オレイン酸(0.025mL)、オレイルアミン(0.01mL)を加えて溶解させた。残存する不溶物を遠心分離(6000rpm/10分)で除去した。上澄みにエタノール(10mL)を加え、生成した沈殿を遠心分離(6000rpm/10分)で回収した。この沈殿にn‐ヘキサン(10mL)、オレイン酸(0.025mL)、オレイルアミン(0.01mL)を加え、残存する沈殿を遠心分離(6000rpm/10分)で除去した。上澄み液にエタノール(10mL)を加え、生成した沈殿を遠心分離(6000rpm/10分)で回収し、さらにこの沈殿にn‐ヘキサン(10mL)、オレイン酸(0.025mL)、オレイルアミン(0.01mL)を加えてFePt分散液とした。
実施例1と比較して煩雑な遠心分離を繰り返す必要があり、また安定剤としてオレイン酸とオレイルアミンを都度必要とするため、生産性と経済性に劣る。また得られたFePt分散液を室温で1週間静置すると肉眼で観察可能な沈殿が容器底部に観察され、実施例1と比較して安定性にも劣る。
(比較例3)
実施例1において用いたPMMAの代わりに、市販のPMMA スミペックスLG‐21(住友化学(株)製;Mn44000、Mw/Mn1.89)(0.63g)を使用し、同様の実験を行った。しかし得られた沈殿は透明なPMMAのみであり、ナノ粒子はポリマー中に取り込まれることなく液中に分散したままであった。本発明の方法においてはポリマーがSH基を有することが必須であることが確認できた。図2に、(左から)実施例1の上澄みと沈殿、比較例3の上澄みと沈殿の写真を示す。
(製造例3)
FePtナノ粒子の製造
窒素導入管付き還流冷却管、メカニカルスターラー、温度測定用熱電対を装着した4口フラスコ(300mL)に、Fe(acac)3(369mg)、0.5N NaOHエチレングリコール溶液(33mL)、エチレングリコール(200mL)、Me2N(CH2CH2O)3H(1.0g)を入れ、窒素置換し、激しく攪拌しながら160℃で30分間加熱した。窒素導入管付き還流冷却管、メカニカルスターラー、温度測定用熱電対を装着した別の4口フラスコ(200mL)にPt(acac)2(238mg)、0.5N NaOHエチレングリコール溶液(17mL)、エチレングリコール(100mL)、Me2N(CH2CH2O)3H(0.5g)を入れ、窒素置換し、激しく攪拌しながら120℃で35分間加熱した。窒素導入管付き還流冷却管、メカニカルスターラー、温度測定用熱電対を装着した別の4口フラスコ(500mL)を窒素置換して約200℃に加熱しておき、上記2種類の溶液をキャヌラーを用いて同時に移した。この混合溶液を198℃で2時間激しく攪拌した後、放冷した。
(製造例4)
片末端にSH基を有するポリスチレンの製造
窒素導入管付き還流冷却管、磁気攪拌子、温度測定用熱電対を装着した4口フラスコ(500mL)に、2‐(2‐フェニルプロピル)ジチオベンゾエート(3.22g)、スチレン(100.3g)、トルエン(98.1g)、2,2’‐アゾビス(イソブチロニトリル)(0.61g)を入れ、窒素置換し、70℃で14時間攪拌した。モノマー反応率は42%であった。反応溶液を50℃に保ち、ジエチルアミン(25g)を加えて8時間攪拌した。室温まで冷却後、反応溶液をメタノール(500mL)に注いでポリマーを析出させた。得られたポリスチレンはMw4300、Mn3700、Mw/Mn1.16であり、1H‐NMR分析より片末端がSH基に変換されていることを確認した。
(実施例2)
製造例3で得られたFePtナノ粒子のエチレングリコール分散液(5mL)と、製造例4で得られたポリスチレン(100mg)をクロロホルム(10mL)に溶解させた溶液とを混合し、20℃の恒温槽中で攪拌しながら80W38kHzの超音波を24時間照射した。混合液を静置し、エチレングリコール層とクロロホルム層とを分液し、クロロホルム層を純水(10mL×3回)で洗浄した。熱重量分析(TGA)によりエチレングリコール層とクロロホルム層に含まれるFePtナノ粒子の割合を測定したところ、97%がクロロホルム層に移動していることを確認した。
得られたクロロホルム溶液(2mL)と、市販ポリスチレンG9305(エー・アンド・エム・スチレン(株)製)(Mw180000)の20重量%クロロホルム溶液(2mL)とを混合し、蓋付きの容器中にキャストし1日かけて室温で乾燥させた。得られたFePtナノ粒子含有ポリスチレンフィルムは均一透明な茶色であり、平均厚みは60μmであった。TEM写真を図3に示す。ナノ粒子は90%以上が独立に分散しており、凝集した巨大粒子は観察されなかった。
(比較例4)
実施例2において、製造例4で得られたポリスチレン(100mg)の代わりにドデカンチオール(100mg)を用いて同様の実験を行い、エチレングリコール層とクロロホルム層とを得た。TGAによりそれぞれの層に含まれるFePtナノ粒子の割合を測定したところ、クロロホルム層には71%しか移動していないことが判明した。実施例2におけるポリスチレンと比較して分子数(モル数)が大きいにもかかわらずナノ粒子の単離・精製に関して低分子チオールは効果が低いことがわかった。
得られたクロロホルム溶液を用いて実施例2と同様にキャストしてフィルム(平均厚み60μm)を得た。TEM写真を図4に示す。ナノ粒子同士が凝集した塊が多数存在し、独立に分散しているナノ粒子は約12%しかなかった。実施例2と比較して、本発明の方法はナノ粒子が均一に分散したフィルムを作成するために最適な単離・精製方法であることを確認できた。
(製造例5)
CdSeナノ粒子の製造
グローブボックス内アルゴン雰囲気中で、セレン粉末(0.1g)とジメチルカドミウム(純度97%)(0.216g)とを遮光ガラス瓶中、トリブチルホスフィン(6.014g)に溶解させた。アルゴンガス導入管付き還流冷却管、磁気攪拌子、温度測定用熱電対を装着した3口フラスコ(30mL)にトリオクチルホスフィンオキシド(4.0g)を入れてアルゴン置換し、360℃で攪拌した。ここに上記トリブチルホスフィン溶液(2.0mL)を添加し、20分間加熱した。50℃まで冷却後、精製したトルエン(2mL)を加え、さらに無水メタノール(10mL)を加えた。不溶物を遠心分離(6000rpm/30分)して回収し、室温で1日減圧乾燥することにより粉末状のCdSeナノ粒子を得た。
(製造例6)
片末端にSH基を有するPMMAの製造
窒素導入管付き還流冷却管、磁気攪拌子、温度測定用熱電対を装着した4口フラスコ(200mL)に2‐(2‐フェニルプロピル)ジチオベンゾエート(0.272g)、2,2’‐アゾビス(イソブチロニトリル)(0.033g)、MMA(49.9g)、トルエン(50.0g)を秤取し、窒素置換した。90℃で5時間攪拌したところ、モノマー反応率が35%となった。室温まで冷却後、n‐ブチルアミン(2.5g)を加えて5時間攪拌した。反応液をメタノール(500mL)に注いでポリマーを析出させ、メタノールで洗浄後乾燥することにより、片末端にSH基を有するPMMA(12.1g)を得た(Mw21600、Mn18700、Mw/Mn1.16)。硫黄含有量を元素分析により求めたところ、アミン処理前が0.25重量%であったのに対し、処理後は0.14重量%であり、末端がSH基に変換されたことを確認した。
(実施例3)
製造例5で得られたCdSeナノ粒子(2mg)、製造例6で得られたPMMA(500mg)、市販PMMA(Sigma‐Aldrich Co.製)(Mw120000)(50mg)をクロロホルム(9mL)に溶解し、23℃の恒温槽中で攪拌しながら80W38kHzの超音波を12時間照射した。無水メタノール(20mL)を注ぎ、不溶物を遠心分離(6000rpm/30分)により回収した。無水メタノールで洗浄後室温で乾燥し、クロロホルム(5mL)に溶解させた。この溶液を蓋付きの容器中にキャストし1日かけて室温で乾燥させた。得られたCdSeナノ粒子分散フィルム(平均厚さ60μm)を299nmの波長で励起した時の発光極大波長は515nmであり、半値幅は55nmであった。TEM写真を図5に示す。CdSeナノ粒子は凝集せず、安定に単離・精製が可能であった。
(比較例5)
製造例5で得られたCdSeナノ粒子(2mg)、トリオクチルホスフィンオキシド(8mg)、市販PMMA(Sigma‐Aldrich Co.製)(Mw120000)(92mg)をクロロホルム(9mL)に溶解し、実施例3と同様にしてキャストフィルム(平均厚さ60μm)を得た。299nmの波長で励起したときの発光極大波長は532nmであり、半値幅は70nmであった。CdSeナノ粒子はその粒径に応じて発光ピーク波長が変化し、粒径が大きいほど発行波長が長波長側へシフトする。また粒径分布が広くなるほど発光スペクトルの半値幅が広くなる。したがって実施例3と比較例5の比較により、本発明方法では粒径の小さいCdSeナノ粒子を安定に単離・生成して分離することが可能であることを確認できた。図6に示すTEM写真においても比較例5の場合、凝集による巨大粒子が認められ、上記事実が裏付けられた。
(製造例7)
片末端にSH基を有するポリ(アクリロニトリル/スチレン)(PAS)の製造
窒素導入管付き還流冷却管、磁気攪拌子、温度測定用熱電対を装着した4口フラスコ(1L)に、2‐(2‐フェニルプロピル)ジチオベンゾエート(1.35g)、アクリロニトリル(100.3g)、スチレン(100.4g)、トルエン(200.1g)、2,2’‐アゾビス(イソブチロニトリル)(0.30g)を入れ、窒素置換した。70℃で10時間攪拌した後室温まで冷却し、反応液をメタノール(2.5L)に注いでポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後乾燥させ、片末端にチオカルボニルチオ基を有するPAS(91.6g)(Mw31300、Mn25800、Mw/Mn1.21;アクリロニトリル/スチレンモル比=50/50)を得た。
このポリマーをアセトン(220mL)に溶解し、ジエチルアミン(45.1g)を加えて室温で30時間攪拌し、次いでメタノール(2.5L)に注いでポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後乾燥させ、片末端にSH基を有するPAS(88.3g)を得た。硫黄含有量を元素分析したところ、アミン処理前0.28重量%に対して処理後は0.14重量%であり、チオカルボニルチオ基がSH基に変換されたことを確認した。
(実施例4)
塩化金酸をタンニン酸で還元して合成された金ナノ粒子コロイド水溶液(3mmol/L)((株)ナノラボ製)(5mL)と、製造例7で得られたPAS(40mg)をクロロホルム(10mL)に溶解させた溶液とを混合し、20℃の恒温水槽中で攪拌しながら80W38kHzの超音波を24時間照射することにより、金ナノ粒子を水層からクロロホルム層に移動させた。静置して水層とクロロホルム層を分液し、金ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。この溶液は半年以上室温で静置しても沈殿を生じることなく安定であった。別途調製した、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂(Polyscience Inc.製;アクリロニトリル/スチレンモル比=25:75)の20重量%クロロホルム溶液と、上記金ナノ粒子のクロロホルム溶液とを、1:1で混合して均一溶液とした。この溶液を蓋付きの容器中にキャストし1日かけて室温で乾燥させた。得られたフィルムは均一透明で紫色を帯びており、平均厚さは60μmであった。TEM写真を図7に示す。数平均粒子径は3nmであり、独立分散している粒子の割合は99%であった。またこのフィルムのUV‐Vis吸収極大波長は541nmであった。
(比較例6)
実施例4において、PASの代わりにドデカンチオール(40mg)を用いて同様にキャストフィルム(平均厚さ60μm)を作成した。得られたフィルムは肉眼で凝集粒子が観察され、不均一な青色を呈していた。TEM写真を図8に示す。独立分散している粒子の割合は5%であり、UV‐Vis吸収極大波長は571nmであった。実施例4と比較例6の比較より、本発明の方法が金ナノ粒子を分散させて安定に単離・精製できることを確認できた。
(比較例7)
塩化金酸をタンニン酸で還元して合成された金ナノ粒子コロイド水溶液(3mmol/L)((株)ナノラボ製)(5mL)を、そのまま室温で静置したところ、1週間で沈殿が生成した。実施例4との比較より、本発明の方法により精製することがナノ粒子安定化に対して有効であることを確認できた。
(製造例8)
ZnOナノ粒子の製造
窒素導入管付き還流冷却管、磁気攪拌子、温度測定用熱電対を装着した4口フラスコ(3L)に、イソプロパノール(1.8L)、酢酸亜鉛二水和物(20g)、水酸化カリウム(10.2g)を入れ、50℃に加熱して3時間攪拌した。室温まで冷却し、UV−Vis吸収スペクトルと発光スペクトル(314nmで励起)を測定したところ、320nmに吸収スペクトルの極大を示し、510nmに発光スペクトルを示した。
(製造例9)
片末端にSH基を有するPMMAの製造
製造例6と同様に片末端にSH基を有するPMMAを製造した。ただしフラスコは1Lの容量のものを使用し、2‐(2‐フェニルプロピル)ジチオベンゾエート(8.01g)、2,2’‐アゾビス(イソブチロニトリル)(1.11g)、MMA(500.8g)、トルエン(260.1g)を使用した。モノマー反応率は44%であった。n−ブチルアミン(30g)で末端をSH基に変換した。GPC分析の結果、Mw16100、Mn13100、Mw/Mn1.23であった。
(実施例5)
製造例9の片末端にSH基を有するPMMA(0.9g)をジメチルホルムアミド(18mL)に溶解し、製造例8で得られたZnO/イソプロパノール溶液(18mL)と混合し、1時間攪拌した後メタノール(600mL)に注いでPMMAを沈殿させた。このPMMAを市販PMMA(スミペックスMH;住友化学(株)製)(2.1g)と共にジクロロメタン(12g)に溶解させ、キャスト法によりフィルムを作製した。得られたフィルムは厚さ78μmで、ヘイズは0.15%と高い透明性を有していた。灰分は1.01%であり、計算値(1%)に等しいZnOが含有されていることを確認した。このフィルム(10mg)をクロロホルム(3.5mL)に溶解し、314nmの励起光で発光スペクトルを測定したところ、541nmに強度395の極大を有するスペクトルを示した。これらの結果を表1に示す。また上記フィルムのTEM写真を図9に示す。数平均粒子径4nmのZnOナノ粒子が凝集することなく分散していることがわかる。
(実施例6)
実施例5において、片末端にSH基を有するPMMAの使用量を1.5gとし、市販PMMAの使用量を1.5gとした以外は全く同様にフィルムを作製した。結果を表1に示す。
(比較例8)
実施例6において、片末端にSH基を有するPMMAの代わりに市販PMMA(スミペックスMH;住友化学(株)製)を使用した以外は全く同様にフィルムを作製した。結果を表1に示す。
表1より、本発明の方法により得られるポリマー修飾ナノ粒子は、凝集することなく樹脂中に分散させることができ、透明度と発光強度が大きいことがわかる。

Claims (16)

  1. 金属、金属酸化物、および化合物半導体からなる群より選ばれる粒径100nm以下のナノ粒子と、末端にSH基を有するビニル系ポリマーとを液中混合することにより、ナノ粒子の表面をビニル系ポリマーで修飾し、次いでビニル系ポリマーで修飾されたナノ粒子を溶液から単離することを特徴とする、ポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  2. ナノ粒子と末端にSH基を有するビニル系ポリマーとを液中混合する際、超音波を照射することを特徴とする、請求項1に記載のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  3. ナノ粒子と末端にSH基を有するビニル系ポリマーとを、それぞれ互いに混ざり合わない溶媒に分散または溶解させ、両者を混合し、ナノ粒子をポリマー溶液相に移動させ、該ポリマー溶液相をもう一方の相から分離する工程を含むことを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  4. ビニル系ポリマーで修飾されたナノ粒子を含有する溶液から溶媒を留去する工程を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  5. ビニル系ポリマーで修飾されたナノ粒子の溶液を、該ビニル系ポリマーが溶解しない溶媒と混合して析出させることにより、ビニル系ポリマーで修飾されたナノ粒子を単離する工程を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  6. ナノ粒子の粒径が20nm以下であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  7. ナノ粒子が磁性、蛍光性、発光性、またはプラズモン吸収性のいずれかの特性を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  8. ナノ粒子が酸化亜鉛ナノ粒子であることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  9. 末端にSH基を有するビニル系ポリマーが1分子中の複数の末端にSH基を有するものであることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  10. 末端にSH基を有するビニル系ポリマーの数平均分子量が2000以上100000以下であることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  11. 末端にSH基を有するビニル系ポリマーの、重量平均分子量と数平均分子量の比で表される分子量分布が、1.5以下であることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  12. 末端にSH基を有するビニル系ポリマーが、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、N‐イソプロピルアクリルアミド、N‐イソプロピルメタクリルアミド、N,N‐ジメチルアクリルアミド、N,N‐ジメチルメタクリルアミド、N‐ビニルピロリドン、2‐ビニルピリジン、4‐ビニルピリジン、無水マレイン酸、およびマレイミドからなる群より選ばれる1種以上のモノマーをラジカル重合して得られるものであることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  13. 末端にSH基を有するビニル系ポリマーが、可逆的付加脱離連鎖移動重合により合成されるポリマーを処理剤で処理したものであることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  14. 処理剤が、水素‐窒素結合含有化合物、塩基、および還元剤からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項13に記載のポリマー修飾ナノ粒子の製造方法。
  15. 請求項1から14に記載の方法により得られるポリマー修飾ナノ粒子を含有する溶液から、キャスト法により成膜されるフィルム。
  16. キャスト法により成膜する際に末端にSH基を有するビニル系ポリマーとは別のポリマーを共存させることを特徴とする、請求項15に記載のフィルム。
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