明 細 書
ポリマー修飾ナノ粒子
技術分野
[0001] 本発明はポリマー修飾ナノ粒子に関する。より詳しくは、粒子径 lOOnm以下の金属 酸ィ匕物ナノ粒子または金属硫ィ匕物ナノ粒子を、可逆的付加脱離連鎖移動重合により 得られたポリマーで表面修飾したナノ粒子に関する。また本発明は、該ポリマー修飾 ナノ粒子を含有する透明コロイド溶液に関する。
背景技術
[0002] 金属酸ィ匕物ナノ粒子または金属硫ィ匕物ナノ粒子は、その量子効果によりサイズに 応じた蛍光を発するなどバルタでは見られな 、特性を示すことから、エレクトロニクス 、ォプテイクス、オプトエレクトロニクス、ノィォサイエンス、医療分野など広い領域に おいて実用化検討が行われている。具体的には太陽電池、発光ダイオード、波長変 換素子、レーザー、光メモリ、紫外線遮蔽剤、光触媒、量子トランジスタ、診断、微量 分析、平面ディスプレイ、エレクト口ルミネッセンス素子、電磁波遮蔽材料、磁気記録 材料、光波長カットフィルター、非線形光学材料などである。
[0003] ところがこれらナノ粒子は表面活性が高いため非常に不安定であり、合成後しばら くすると凝集してしまい、使用時にはナノサイズに依存する量子効果が失われてしま うという問題があった。また合成時に進行する凝集のために粒子径が不均一となり、 得られる物性が均一とならない問題があった。さらに凝集した粒子は光を散乱するた めに透明性が失われると!ヽぅ問題があった。例えば非特許文献 1には酸化亜鉛粒子 の透過型電子顕微鏡 (TEM)写真が掲載されて!、るが、粒子同士が凝集して!/、る様 子が見て取れる。非特許文献 2には、酸ィ匕亜鉛のコロイド溶液を濃縮した際に粒子 同士が凝集する現象にっ 、て記載されて!、る。
[0004] このような金属酸ィ匕物ナノ粒子の凝集を防止する目的で種々の技術が提案されて いる。例えばトリオクチルホスフィン、トリオクチルホスフィンオキサイド、アルキルアミン 、へキサメタリン酸などの低分子化合物で表面修飾された金属酸ィヒ物ナノ粒子の合 成が、特許文献 1や非特許文献 3に記載されている。しかしこれらの低分子化合物に
よる表面修飾の場合、安定性に問題があり数日から数週間程度でナノ粒子が凝集し てしまうという問題があった。また低分子化合物で表面修飾した金属酸ィ匕物ナノ粒子 は、榭脂中に分散させることが困難であった。一方、高分子化合物で金属酸化物ナ ノ粒子の表面を修飾する技術が、非特許文献 4や特許文献 2などに記載されて ヽる。 しかし非特許文献 4に記載されて ヽるポリビュルピロリドンによる修飾は、ナノ粒子と の結合が強固でな!ヽため安定性に問題があった。特許文献 2に記載されて ヽる末端 に SH基を有するポリエチレングリコールは、 SH基の作用により金属酸ィ匕物ナノ粒子 表面を強固に修飾することができるが、このようなポリマーの合成は煩雑であり、経済 的でなかった。
[0005] 末端に SH基を有するポリマーの合成法として最も簡便と考えられる技術が、可逆 的付加脱離連鎖移動重合法であり、特許文献 3や特許文献 4に記載されている。特 に特許文献 4では可逆的付加脱離連鎖移動重合により得られたポリマーを用いて金 属ナノ粒子の表面修飾を行って 、る。しかし該方法では適用できるナノ粒子が還元 法により合成されるものに限られるため、金属酸ィ匕物ナノ粒子の表面修飾を実施する ことができな力 た。
[0006] 一方金属硫化物ナノ粒子を安定化させる従来技術として、特許文献 5にジメチルァ ミンやエチレンジァミンなどの低分子アミンィ匕合物の存在下に硫ィ匕カドミウム(CdS) ナノ粒子を合成する方法が記載されて ヽる。しかし低分子アミン化合物による安定ィ匕 は不十分であり、 CdSナノ粒子を長期間安定に保存することは不可能であった。特 許文献 6には、セレンィ匕亜鉛 (ZnSe)ナノ粒子合成後にトリオクチルホスフィンォキシ ド (TOPO)などのホスフィンォキシド類を添加する方法力 また特許文献 7には TOP Oなどのホスフィンォキシド類存在下に CdSナノ粒子を製造する方法がそれぞれ記 載されている。し力しこれらの方法では 290°C以上の高温が必要であり、経済性や安 全性に問題があった。特許文献 8には 3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを用い てシリカ被覆した金属カルコゲナイドナノ粒子にっ 、て記載されて 、るが、製造方法 が煩雑である上表面物性を調整できないため実用的ではな力つた。特許文献 9には チオール存在下に金属カルコゲンィ匕物ナノ粒子を合成し、次 ヽでァミン処理する方 法が記載されて 、るが、操作が煩雑である上ナノ粒子物性の再現性が悪 、と 、う問
題があった。非特許文献 5にはジ -n-へキサデシルジチォホスフェートで修飾した硫 化亜鉛 (ZnS)ナノ粒子が記載されて ヽるが、透過型電子顕微鏡 (TEM)観察にお!ヽ て粒子同士が凝集している様子がわかる。
ポリマーを用いたナノ粒子の修飾技術については、特許文献 10にエチレングリコ ール系ブロック共重合体による修飾例、特許文献 11にメタクリル基含有配位子で修 飾したナノ粒子をラジカル重合性モノマーと共重合させる例、特許文献 12に ω -メル カプト脂肪酸ポリアルキレングリコールエステルで修飾した半導体ナノ粒子の例、特 許文献 13にチオシァヌル酸デンドロンで修飾した半導体ナノ粒子の例、特許文献 1 4にァミノ脂肪酸ポリアルキレングリコールエステルで修飾した半導体ナノ粒子の例、 特許文献 15にホスホノアルキルポリアルキレングリコールエーテル類で修飾した半導 体ナノ粒子の例、非特許文献 6にセチル -ρ-ビュルべンジルジメチルアンモ-ゥムク 口ライドでナノ粒子を修飾後重合させる例、非特許文献 7にポリアクリルアミド系ィオノ マーでナノ粒子を修飾する例、非特許文献 8と非特許文献 9にポリビニルピロリドンで 金属硫化物ナノ粒子を修飾する例がそれぞれ記載されて ヽる。しかしこれらの技術 はいずれも、ポリマーの合成が煩雑であったり、ポリマーで修飾する際の操作が煩雑 であったり、ポリマーが高価であったりするために実用的でないという問題があった。 またこれらポリマーを用いても金属硫ィ匕物ナノ粒子表面への配位力が不十分である ため、長期保存が困難であった。さらにこれら従来技術においては使用可能なポリマ 一の構造が限られるため、多種類の榭脂中へ分散させることができず汎用性に問題 かあつた。
特許文献 1 :特開 2003-226521
特許文献 2: WO02/018080
特許文献 3 :特開 2002- 265508
特許文献 4:US2003Z0199653 A1
特許文献 5 :特許 3263102号公報
特許文献 6 :特開 2001 -262138号公報
特許文献 7:特開 2001 - 354954号公報
特許文献 8:特表 2001 - 520937号広報
特許文献 9 :特開 2003-89522号公報
特許文献 10:特開 2002-80903号公報
特許文献 11 :特開 2002- 105325号公報
特許文献 12 :特開 2002- 121549号公報
特許文献 13 :特開 2002- 129156号公報
特許文献 14:特開 2003-64282号公報
特許文献 15 :特開 2003-286292号公報
非特許文献 1 : D. W. Bahnemann et al. , J. Phys. Chem. 1987, 91, 378 9
非特許文献 2 :L. Spanhel et al. , J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 2826 非特許文献 3 : M. Shim et al. , J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 11651 非特許文献 4: L. Guo et al. , Chem. Mater. 2000, 12, 2268
非特許文献 5 : S. Chenら、 Langmuir 1999, 15, 8100
非特許文献 6 :T. Hiraiら、 Phys. Chem. B 2000, 104, 8962
非特許文献 7 : 1. Potapovaら、 Am. Chem. Soc. 2003, 125, 320 非特許文献 8 : R. Heら、 Colloids and Surfaces A: Physicochem. Eng. As pects 2003, 220, 151
非特許文献 9 :K. Manzoorら、 Solid State Communications 2004, 129, 4 69
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] 本発明が解決しょうとする課題は、長期にわたって凝集せず安定に存在し、溶液中 ゃ榭脂中に容易に分散可能なポリマー修飾ナノ粒子を経済的に提供することである 。本発明が解決しょうとする別の課題は、長期にわたって凝集せず安定に存在し、か つ透明度の高 ヽ、ポリマー修飾ナノ粒子のコロイド溶液を提供することである。
課題を解決するための手段
[0009] 上記課題を解決するための手段として、本発明者は以下のポリマー修飾ナノ粒子 を提案する。
[0010] すなわち本発明のポリマー修飾ナノ粒子は、数平均粒子径 lOOnm以下の金属酸 化物ナノ粒子または金属硫ィ匕物ナノ粒子を、チォカルボ二ルチオィ匕合物を連鎖移動 剤とする可逆的付加脱離連鎖移動重合により得られたポリマーを用いて表面修飾す ることにより得られるものである。
[0011] 本発明の好適な実施態様としては、上記表面修飾に用いるポリマー力 チォカル ボニルチオ化合物を連鎖移動剤とする可逆的付加脱離連鎖移動重合の後、処理剤 により末端 SH化されたものである。
[0012] 本発明の好適な実施態様としては、上記処理剤が水素-窒素結合含有化合物、塩 基性化合物、還元剤カゝらなる群より選ばれるものである。
[0013] 本発明の好適な実施態様としては、上記表面修飾に用いるポリマー力 (メタ)ァク リル酸エステル、 (メタ)アクリルアミド類、 (メタ)アクリル酸、 (メタ)アクリル酸のアルカリ 金属塩、スチレン、 P-スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩、 (ビュルベンジル)トリメ チルアンモ -ゥムクロライド、アクリロニトリル、ビュルピロリドン、ビュルピリジン、酢酸 ビュル、塩化ビュル、無水マレイン酸、マレイミドカ なる群より選ばれる 1種以上のモ ノマーを重合させて得られる構造を有するものである。
[0014] 本発明の好適な実施態様としては、上記表面修飾に用いるポリマーの分子量分布 が 1. 5以下である。
[0015] 本発明の好適な実施態様としては、上記金属酸ィ匕物ナノ粒子または金属硫ィ匕物ナ ノ粒子の数平均粒子径が 1 Onm以下である。
[0016] 金属酸ィ匕物ナノ粒子に関して本発明の好適な実施態様としては、上記金属酸ィ匕物 ナノ粒子が、有機金属化合物と OH基含有塩基性化合物とを溶媒中で反応させるこ とにより得られたものである。
[0017] 本発明の好適な実施態様としては、上記 OH基含有塩基性化合物が、 LiOH、 Na
OH、 KOHからなる群より選ばれる化合物である。
[0018] 本発明の好適な実施態様としては、金属酸ィ匕物ナノ粒子を合成する際の上記有機 金属化合物が、酢酸亜鉛、酢酸亜鉛二水和物、ァセチルァセトナト亜鉛水和物、安 息香酸亜鉛、クェン酸亜鉛、ジブチルジチォカルバミン酸亜鉛、ジェチルジチォカル ノミン酸亜鉛、ギ酸亜鉛、ギ酸亜鉛二水和物、ラウリン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛三水
和物からなる群より選ばれる化合物である。
[0019] 本発明の好適な実施態様としては、上記金属酸化物ナノ粒子が、 Zn、 Ti、 Zr、 Cr 、 Mo、 W、 Mn、 Fe、 Ru、 Co、 Rh、 Ir、 Ni、 Pd、 Cu、 Ag、 Cd、 Al、 Ga、 In、 Si、 Ge 、 Sn、 Pb、ランタノイド、ァクチノイドからなる群より選ばれる元素によりドーピングされ ているものである。
[0020] また金属硫ィ匕物ナノ粒子に関して本発明の好適な実施態様としては、上記金属硫 化物ナノ粒子中の金属が、 Zn、 Ti、 Zr、 Cr、 Mo、 W、 Mn、 Fe、 Ru、 Co、 Rh、 Ir、 N i、 Pd、 Cu、 Ag、 Cd、 Al、 Ga、 In、 Si、 Ge、 Sn、 Pb、ランタノイド、ァクチノイド力らな る群より選ばれる 1種以上の元素で構成されるものである。
[0021] 本発明の好適な実施態様は、上記金属硫化物ナノ粒子中の金属の 90モル%以上 が Znである。
[0022] 本発明の好適な実施態様は、上記金属硫ィ匕物ナノ粒子が有機金属化合物と硫黄 化合物とを溶媒中で反応させることにより得られたものである。
[0023] 本発明の好適な実施態様は、金属硫化物ナノ粒子を合成する際の上記有機金属 化合物が、カルボン酸亜鉛ィ匕合物、ジチォ力ルバミン酸亜鉛ィ匕合物、キサントゲン酸 亜鉛化合物、ァセチルァセトナト亜鉛化合物、カルボン酸マンガン化合物、ァセチル ァセトナトマンガンィ匕合物、カルボン酸銅化合物、ジチォ力ルバミン酸銅化合物から なる群より選ばれる 1種以上の化合物である。
[0024] 本発明の好適な実施態様は、上記硫黄化合物が、アルカリ金属の硫ィ匕物、アル力 リ土類金属の硫化物、アルカリ金属の水硫化物、硫化水素、チォ尿素からなる群より 選ばれる 1種以上の化合物である。
[0025] また本発明は、上記ポリマー修飾ナノ粒子を含有する透明コロイド溶液を包含する 発明の効果
[0026] 本発明のポリマー修飾ナノ粒子は、単離状態 ·コロイド溶液状態 ·榭脂中分散状態 のいずれにおいても安定であり、長期間にわたって凝集することなく存在する。した がって電気的特性'光学的特性'化学的特性が失われることなく持続する。すなわち ディスプレイや発光ダイオードなどの発光デバイスとして用いた場合には寿命が長く
、劣化が少ない。波長変換素子、量子ドットとしても性能保持したまま長期間使用可 能である。触媒として用いる場合にはターンオーバーが高く性能劣化が少ない。また 修飾するポリマーの組成 ·構造を任意に選択できるため、親水性 '親油性'両親媒性 などナノ粒子表面の物性を自在に調整可能であり、種々の溶媒ゃ榭脂に分散相溶 ィ匕させることが容易である。さらに簡便にかつ安価に製造可能であるため、経済的で ある。
発明を実施するための最良の形態
[0027] 本発明のポリマー修飾ナノ粒子は、金属酸ィ匕物ナノ粒子または金属硫ィ匕物ナノ粒 子を、チォカルボ二ルチオィ匕合物を連鎖移動剤とする可逆的付加脱離連鎖移動重 合により得られたポリマーを用いて表面修飾することにより得られる。
[0028] 上記チォカルボ二ルチオ化合物を連鎖移動剤とする可逆的付加脱離連鎖移動重 合に関しては特に限定はなぐ例えば" HANDBOOK OF RADICAL POLY MERIZATION", K. Matyjaszewski and T. P. Davis Ed. , Wiley, 2002, 661ページに記載の方法、あるいは同書記載の参考文献記載の方法を適用可能で ある。ただし反応性の点で 70°C以上の温度で反応させることが好ましぐ 80°C以上 力 り好ましい。重合の形式は塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合など限定 されな 、が、重合後の後処理が容易である点で塊状重合または溶液重合が好ま 、
[0029] 本発明にお 、て使用するチォカルボ二ルチオィ匕合物としては特に限定されな!ヽが
、入手性、反応性の点で以下の化合物が好ましい;
[0030] [化 1]
2 hcscH h
S S Me
[0031] (式中、 Meはメチル基、 Etはェチル基、 Phはフエ-ル基、 Acはァセチル基を表し、 r は 1以上の整数である)。これらのチォカルボ-ルチオ化合物のうちより好ましいもの としてはトリチォカーボネート構造を有する化合物、あるいは 1分子中に複数のチォ カルボ二ルチオ構造を有する化合物を挙げることができる。トリチォカーボネート構造 を有する化合物は一般に可逆的付加脱離連鎖移動重合の反応性が高い。 1分子中 に複数のチォカルボ二ルチオ構造を有する化合物は、ナノ粒子表面に複数点で結 合するため強固に表面修飾することができ、またナノ粒子同士を架橋するように修飾 することも可能であるため、ナノ粒子間の距離を制御しながら緻密に配列させることが 可能となる。
[0032] 上記可逆的付加脱離連鎖移動重合により得られたポリマーを用いてナノ粒子の表 面を修飾する際、ポリマーをそのまま用いても良いが、表面修飾の効率が高い点で 処理剤を用いて末端 SH化しておくことが好ましい。処理剤としては特に限定されな いが、 SH基に変換する効率が高い点で、水素-窒素結合含有化合物、塩基性化合 物、還元剤力もなる群より選ばれる化合物が好ま 、。
[0033] 上記処理剤のうち、水素-窒素結合含有ィ匕合物としては特に限定されないが、アン モユア、ヒドラジン、 1級ァミン、 2級ァミン、アミドィ匕合物、ァミン塩酸塩、水素-窒素結 合含有高分子、ヒンダードアミン系光安定剤 (HALS)などを挙げることができる。上 記 1級ァミンの例としては、メチルァミン、ェチルァミン、イソプロピルァミン、 n-プロピ ルァミン、 n-ブチルァミン、 t-ブチルァミン、 2-ェチルへキシルァミン、 2-アミノエタノ ール、エチレンジァミン、ジエチレントリァミン、 1, 2-ジァミノプロパン、 1, 4-ジァミノ ブタン、シクロへキシルァミン、ァ-リン、フエネチルァミンなどを挙げることができる。 上記 2級ァミンの例としては、ジメチルァミン、ジェチルァミン、ジイソブチルァミン、ジ -2-ェチルへキシルァミン、イミノジ酢酸、ビス(ヒドロキシェチル)ァミン、ジ -η-ブチル ァミン、ジ- -ブチルァミン、ジフエ-ルァミン、 N-メチルァ-リン、イミダゾール、ピペリ ジンなどを挙げることができる。上記アミド化合物の例としては、アジピン酸ヒドラジド、 N-イソプロピルアクリルアミド、ォレイン酸アミド、チオアセトアミド、ホルムアミド、ァセ トァ-リド、フタルイミド、コハク酸イミドなどを挙げることができる。上記アミン塩酸塩の 例としては、ァセトアミジン塩酸塩、モノメチルァミン塩酸塩、ジメチルァミン塩酸塩、
モノェチルァミン塩酸塩、ジェチルァミン塩酸塩、塩酸グァ-ジンなどを挙げることが できる。上記水素-窒素結合含有高分子の例としては、ポリエチレンィミン、ポリアリル ァミン、ポリビュルァミンなどを挙げることができる。上記 HALSの例としては、アデ力 スタブ LA- 77 (旭電化工業 (株)製)、チヌビン 144 (チバ 'スペシャルティ ·ケミカルズ 社製)、アデカスタブ LA- 67 (旭電化工業 (株)製)などを挙げることができる。
[0034] 上記処理剤のうち塩基性ィ匕合物の例としては特に限定されないが、水酸化ナトリウ ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、 ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、マグネシウムメトキシド、炭酸ナトリウム、炭 酸カリウムなどを挙げることができる。
[0035] 上記処理剤のうち還元剤の例としては特に限定されないが、水素化ナトリウム、水 素ィ匕リチウム、水素化カルシウム、 LiAlH、 NaBH、 LiBEt H (スーパーハイドライド
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)、水素などを挙げることができる。
[0036] 上記処理剤は単独で用いてもよぐ組み合わせて用いてもよ!、。反応性の点で水 素-窒素結合含有化合物、および還元剤が好ましい。水素-窒素結合含有化合物の 場合は、精製が簡便となる点で沸点 20°C〜200°Cの化合物がより好ましい。上記処 理剤の使用量は特に限定されないが、反応性と経済性の点で、ポリマー 100重量部 に対して 0. 01〜: LOO重量部が好ましぐ 0. 1〜50重量部がより好ましい。温度や溶 媒の有無、混合条件などの反応条件は特に限定されな 、。
[0037] 本発明にお 、てナノ粒子の表面を修飾するポリマーの組成にっ 、ては特に限定さ れないが、入手性、各種溶媒ゃ榭脂への相容性、耐熱性、安定性、人体や環境へ の安全性の点で、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸 、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、スチレン、 P-スチレンスルホン酸のアルカリ金属 塩、(ビュルベンジル)トリメチルアンモ -ゥムクロライド、アクリロニトリル、ビュルピロリ ドン、ビュルピリジン、酢酸ビュル、塩化ビュル、無水マレイン酸、マレイミドからなる 群より選ばれる 1種以上のモノマーを重合させて得られる構造を有するポリマーが好 ましい。複数のモノマーを重合させる場合、主鎖構造は特に限定されず、ランダム共 重合体、ブロック共重合体、傾斜共重合体、あるいはこれらの組み合わせなど任意で ある。また (メタ)アクリル酸や酢酸ビニルなど特定のモノマーを重合後にケンィ匕ゃェ
ステルイ匕などにより変性してもよ 、。
[0038] 上記モノマーのうち(メタ)アクリル酸エステルとしては特に限定されな 、が、(メタ)ァ クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ェチル、(メタ)アクリル酸 n-ブチル、(メタ)アクリル酸 t-ブチル、(メタ)アクリル酸 2-ェチルへキシル、(メタ)アクリル酸 2-ヒドロキシェチル、 (メタ)アクリル酸 2-メトキシェチル、(メタ)アクリル酸ァリル、(メタ)アクリル酸フ -ル などを挙げることができる。(メタ)アクリルアミド類としては特に限定されないが、(メタ) アクリルアミド、 N-イソプロピル (メタ)アクリルアミド、 N, N-ジメチル (メタ)アクリルアミ ドなどを挙げることができる。(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩および p—スチレンス ルホン酸のアルカリ金属塩におけるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、力リウ ムを挙げることができる。
[0039] 本発明にお 、て金属酸化物ナノ粒子の表面を修飾するポリマーの分子量や分子 量分布については特に限定されないが、可逆的付加脱離連鎖移動重合による制御 が容易である点で、数平均分子量は 2000〜50000の範囲にあることが好ましい。ま た得られるポリマー修飾ナノ粒子の物性が均一となる点で、分子量分布は 1. 5以下 であることが好ましぐ 1. 2以下であることがより好ましい。ここで数平均分子量 (Mn) と重量平均分子量 (Mw)はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分析される値で あり、分子量分布は MwZMnとして計算される値である。
[0040] 本発明にお 、て使用する金属酸ィ匕物ナノ粒子または金属硫ィ匕物ナノ粒子につ!、 ては特に限定されず、数平均粒子径 lOOnm以下のものであればよい。数平均粒子 径につ ヽては、動的光散乱 (DLS)分析あるいは透過型電子顕微鏡 (TEM)観察よ り求めることができる。量子効果が顕著に現れる点で、上記ナノ粒子の数平均粒子径 が 20nm以下であることが好ましぐ lOnm以下であることがより好ましい。なお本発明 においては、ナノ粒子が柱状や棒状である場合には、短い方の径を数平均粒子径と して表すこととする。
[0041] 以下に金属酸ィ匕物ナノ粒子、金属硫ィ匕物ナノ粒子それぞれについて説明する。
[0042] 本発明において使用する金属酸ィ匕物ナノ粒子の合成方法としては特に限定されず 、リソグラフィ一法、機械的粉砕法、レーザー光線による分解などのトップダウン法;ィ匕 学合成法、レーザートラップ法、ガス蒸着法 (CVD)、 2-フオトン'コンフォーカル法な
どのボトムアップ法などが適用可能である。これらのうち粒子径ゃ粒子形状を制御で きる点でボトムアップ法が好ましぐ装置が安価である点でィ匕学合成法がより好ま 、
。化学合成法としては共沈殿法、逆ミセル法、ゾルゲル法など挙げられるが、操作が 簡便である点で共沈殿法、ゾルゲル法が特に好ましい。なかでも原料の入手性'経 済性および製造の容易さから、有機金属化合物と OH基含有塩基性化合物とを溶媒 中で反応させる方法が最も好まし 、。
上記有機金属化合物としては特に限定されな!、が、例えば酢酸亜鉛、酢酸亜鉛二 水和物、塩化亜鉛、ァセチルァセトナト亜鉛水和物、安息香酸亜鉛、クェン酸亜鉛、 ジブチルジチォカルバミン酸亜鉛、ジェチルジチォカルバミン酸亜鉛、ギ酸亜鉛、ギ 酸亜鉛二水和物、ラウリン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛三水和物などの亜鉛ィ匕合物;塩 化チタン(III)、塩化チタン(IV)、クレシル酸チタン(IV)、酸化チタン(Π)ァセチルァ セトナート、チタン (IV)エトキシド、チタン (IV)イソブトキシド、チタン(IV)メトキシド、 チタン (IV) n-プロポキシド、チタン (IV)テトラブトキシド、チタンテトライソプロボキシド などのチタン化合物;酢酸コバルト(Π)四水和物、ァセチルァセトナトコバルト(Π)、 安息香酸コバルト(Π)、塩化コバルト(Π)、クェン酸コバルト(Π)二水和物、シユウ酸 コバルト(Π)二水和物、ステアリン酸コバルト(Π)、水酸化コバルトなどのコバルト化合 物;酢酸ニッケル(Π)四水和物、ァセチルァセトナトニッケル(Π)二水和物、ビス(ジ ブチルジチォ力ルバミン酸)ニッケル (II)、塩化ニッケル (II)、ギ酸ニッケル (II)二水 和物、乳酸ニッケル(Π)四水和物、ステアリン酸ニッケル(Π)、水酸化ニッケル(Π)な どのニッケル化合物;酢酸銅 (II)一水和物、臭化銅 (II)、塩化銅 (II)、クェン酸銅 (II
) 2. 5水和物、ギ酸銅 (II)四水和物、ダルコン酸銅 (II)、ォレイン酸銅 (II)、フタル酸 銅 (Π)、硫酸銅 (II)、銅 (Π)イソプロポキシド、銅 (Π)メトキサイドなどの銅化合物;酢 酸カドミウム二水和物、臭化カドミウム四水和物、炭酸カドミウム、塩ィ匕カドミウム、ギ 酸カドミウム二水和物、ステアリン酸カドミウム、水酸ィ匕カドミウムなどのカドミウム化合 物などを挙げることができる。これらのうち、得られる金属酸ィ匕物ナノ粒子のバンドギ ヤップが大きぐ安全性が高い点で亜鉛ィヒ合物が好ましぐ酢酸亜鉛、酢酸亜鉛二水 和物、ァセチルァセトナト亜鉛水和物、安息香酸亜鉛、クェン酸亜鉛、ジブチルジチ ォカルバミン酸亜鉛、ジェチルジチォカルバミン酸亜鉛、ギ酸亜鉛、ギ酸亜鉛二水和
物、ラウリン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛三水和物がより好ましい。これらは単独で用いて もよぐ複数を組み合わせて用いてもよい。
[0044] 上記 OH基含有塩基性化合物としては特に限定されな ヽが、例えば LiOH、 NaO H、 KOHなどのアルカリ金属水酸化物; Mg (OH)、Ca (OH) 、 Ba (OH)などのァ
2 2 2 ノレカリ土類金属水酸化物; NH OH、N (Me) OH、N (Et) OHなどのアンモ-ゥムヒ
4 4 4
ドロキシドなどを挙げることができる。これらのうち入手性および反応性の点で、アル カリ金属水酸化物が好ましぐ LiOH、 NaOH、 KOHがより好ましい。これらは単独で 用いてもよぐ複数を組み合わせて用いてもよい。
[0045] 有機金属化合物と OH基含有化合物とを溶媒中で反応させる際、溶媒は特に限定 されず、有機金属化合物と OH基含有化合物を溶解または分散させることのできるも のを任意に使用可能である。このような溶媒としては例えば、水;メタノール、エタノー ル、イソプロパノール、 n-プロパノールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルェ チルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド;ジメチ ルホルムアミド;クロ口ホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒;ジェチルエーテ ル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒 ;ペンタン、へキサン、オクタン、 2-ェチルへキサン、シクロへキサンなどの炭化水素 系溶媒などを挙げることができる。これらのうち生成する金属酸ィ匕物の分散性が良好 である点で、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒が好ましい。また上記ポリマーで金 属酸ィ匕物を修飾する段階では、ポリマーが溶解する溶媒を使用することが好まし 、。 これら溶媒は単独で用いてもよぐ複数を組み合わせて用いてもよい。複数を組み合 わせる場合には互いに混ざり合う溶媒でもよぐ混ざり合わない溶媒でもよいが、効率 の点で互いに混ざり合う溶媒が好ま 、。
[0046] 有機金属化合物と OH基含有化合物とを反応させる際の反応条件は特に限定され ず、任意の温度 ·時間'添加タイミングなどを採用可能である。反応制御の点で温度 は— 20°C〜100°Cの範囲が好ましぐ 0°C〜80°Cの範囲がより好ましい。反応の方 法としては、制御ダブルジェット沈殿法、ゾルゲル法、化学沈殿法、コロイド合成法な どが挙げられ、特に限定されないが、粒径の揃ったナノ粒子が得られる点で J. Am. Chem. Coc. 1991, 113, 2826、 Chem. Mater. 2000, 12, 2268、および J. P
hys. Chem. 1992, 96, 11086など【こ記載されて!ヽる ノレゲノレ法や、 Phys. Ch em. 1987, 91, 3789および J. Phys. Chem. B 1998, 102, 7770などに記載さ れて 、るコロイド合成法が好まし 、。
[0047] 本発明の金属酸ィ匕物ナノ粒子は、単一の金属酸ィ匕物でもよぐ 1種以上の金属によ りドーピングされていてもよい。ドーピング元素としては特に限定されないが、電気的 および光学的量子効果が顕著な点で、 Zn、 Ti、 Zr、 Cr、 Mo、 W、 Mn、 Fe、 Ru、 Co 、 Rh、 Ir、 Ni、 Pd、 Cu、 Ag、 Cd、 Al、 Ga、 In、 Si、 Ge、 Sn、 Pb、ランタノイド、ァクチ ノイドからなる群より選ばれる元素が好ましい。これらは単独で用いてもよぐ複数を組 み合わせて用いてもよい。ドーピングするための方法としては特に限定されないが、 簡便性の点で J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 15192、 Am. Chem. Soc. 2 003, 125, 13205、および J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 9387などに記載さ れて 、る合成法が好ま 、。
[0048] 本発明において使用する金属硫ィ匕物ナノ粒子の合成方法としては特に限定されず 、リソグラフィ一法、機械的粉砕法、レーザー光線による分解などのトップダウン法;ィ匕 学合成法、レーザートラップ法、ガス蒸着法 (CVD)、 2-フオトン'コンフォーカル法な どのボトムアップ法などが適用可能である。これらのうち粒子径ゃ粒子形状を制御で きる点でボトムアップ法が好ましぐ装置が安価である点でィ匕学合成法がより好ま 、 。化学合成法としては共沈殿法、逆ミセル法など挙げられるが、操作が簡便である点 で共沈殿法が特に好ましい。なかでも原料の入手性'経済性および製造の容易さか ら、有機金属化合物と硫黄化合物とを溶媒中で反応させる方法が最も好ましい。
[0049] 金属硫ィ匕物ナノ粒子中の金属としては特に限定されないが、発光特性や波長変換 特性などの量子的特性に優れる点で、 Zn、 Ti、 Zr、 Cr、 Mo、 W、 Mn、 Fe、 Ru、 Co 、 Rh、 Ir、 Ni、 Pd、 Cu、 Ag、 Cd、 Al、 Ga、 In、 Si、 Ge、 Sn、 Pb、ランタノイド、ァクチ ノイドからなる群より選ばれる元素が好ましぐ Zn、 Ti、 Mn、 Co、 Cu、 Cd、 Ga、 In、 S i、 Ge、 Sn、 Pb、 La、 Eu、 Tbからなる群より選ばれる元素がより好ましい。これらは単 独で用いてもよぐ複数を組み合わせて用いてもよい。複数を組み合わせて用いる場 合には、それぞれの成分比については特に限定されないが、量子的特性に優れる 点で、 1種類の金属を主成分として 90モル%以上含有するものが好ましぐ 95モル
%以上含有するものが好ましい。主成分としての金属元素は特に限定されないが、 量子的特性に優れる点で Zn、 Ti、 Cdが好ましぐ入手性と安全性の点で Znが特に 好ましい。主成分以外の金属元素は、いわゆるドーピング元素と呼ばれるものであり 、特に限定されないが、上記記載の群より選ばれる元素が好ましぐ量子的特性の点 で Mn、 Cu、ランタノイド、ァクチノイドがより好ましい。
[0050] 上記有機金属化合物としては特に限定されないが、例えば上記記載の金属のハロ ゲン化物、有機酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、ァセチルァセトナートなどを挙げること ができる。これらは結晶水を含んでいてもよい。
[0051] 本発明にお ヽて好適に使用し得る有機金属化合物の例としては特に限定されな!ヽ 力 カルボン酸亜鉛ィ匕合物、ジチォ力ルバミン酸亜鉛ィ匕合物、キサントゲン酸亜鉛ィ匕 合物、ァセチルァセトナト亜鉛ィ匕合物などの亜鉛ィ匕合物;塩ィ匕チタン (III)、塩ィ匕チタ ン(IV)、クレシル酸チタン(IV)、酸化チタン(Π)ァセチルァセトナート、チタン(IV)ェ トキシド、チタン(IV)イソブトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV) n-プロポキシド 、チタン (IV)テトラブトキシド、チタンテトライソプロボキシドなどのチタンィ匕合物;酢酸 コノ レト(Π)四水和物、ァセチルァセトナトコバルト(Π)、安息香酸コバルト(Π)、塩化 コバルト(Π)、クェン酸コバルト(Π)二水和物、シユウ酸コバルト(Π)二水和物、ステア リン酸コバルト(Π)、水酸化コバルトなどのコバルト化合物;酢酸ニッケル(Π)四水和 物、ァセチルァセトナトニッケル(Π)二水和物、ビス(ジブチルジチォカルノ ミン酸)二 ッケル (II)、塩化ニッケル (II)、ギ酸ニッケル (II)二水和物、乳酸ニッケル (II)四水和 物、ステアリン酸ニッケル (II)、水酸化ニッケル (II)などのニッケル化合物;酢酸銅 (II )一水和物、硫酸銅 (II)、臭化銅 (II)、塩化銅 (II)、カルボン酸銅化合物、ジチォ力 ルバミン酸銅化合物、銅 (Π)イソプロポキシド、銅 (Π)メトキサイドなどの銅化合物;酢 酸カドミウム二水和物、臭化カドミウム四水和物、炭酸カドミウム、塩ィ匕カドミウム、ギ 酸カドミウム二水和物、ステアリン酸カドミウム、水酸ィ匕カドミウムなどのカドミウム化合 物;カルボン酸マンガン化合物、ァセチルァセトナトマンガン化合物などを挙げること ができる。これらのうち入手性、反応性、安全性、量子的特性の点で、カルボン酸亜 鉛化合物、ジチォ力ルバミン酸亜鉛ィ匕合物、キサントゲン酸亜鉛ィ匕合物、ァセチルァ セトナト亜鉛化合物、カルボン酸マンガン化合物、ァセチルァセトナトマンガン化合物
、カルボン酸銅化合物、ジチォ力ルバミン酸銅化合物がより好ましぐカルボン酸亜 鉛化合物として酢酸亜鉛、酢酸亜鉛二水和物、安息香酸亜鉛、クェン酸亜鉛、ギ酸 亜鉛、ギ酸亜鉛二水和物、ラウリン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛三水和物;ジチォ力ルバ ミン酸亜鉛ィ匕合物としてジメチルジチォカルバミン酸亜鉛、ジェチルジチォカルバミ ン酸亜鉛、ジブチルジチォカルバミン酸亜鉛、 N-ェチル -N-フエ-ルジチォカルバミ ン酸亜鉛、 N-ペンタメチレンジチォ力ルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチォカルバミン 酸亜鉛;キサントゲン酸亜鉛ィ匕合物としてブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキ サントゲン酸亜鉛;ァセチルァセトナト亜鉛ィ匕合物としてァセチルァセトナト亜鉛水和 物;カルボン酸マンガン化合物として酢酸マンガン(Π)四水和物、ギ酸マンガン(II) 二水和物;ァセチルァセトナトマンガン化合物としてマンガン (ΠΙ)ァセチルァセトナ ート;カルボン酸銅化合物として酢酸銅(Π)—水和物、クェン酸銅(11) 2. 5水和物、 ギ酸銅 (II)四水和物、ダルコン酸銅 (II)、ォレイン酸銅 (II)、フタル酸銅 (II);ジチォ 力ルバミン酸銅化合物としてジメチルジチォカルバミン酸銅がさらに好まし ヽ。これら は単独で用いてもよぐ複数を組み合わせて用いてもょ ヽ。
[0052] 本発明において使用する上記硫黄ィ匕合物としては特に限定されず、硫黄原子を含 有する化合物を用いることができる。なかでも反応性と入手性の点で、アルカリ金属 の硫化物、アルカリ土類金属の硫ィ匕物、アルカリ金属の水硫ィ匕物、硫化水素、チォ 尿素が好ましぐ硫ィ匕ナトリウム、水硫ィ匕ナトリウム、硫化リチウム、硫ィ匕カリウム、硫ィ匕 水素、チォ尿素がより好ましぐ硫ィ匕ナトリウムが特に好ましい。
[0053] 有機金属化合物と硫黄化合物とを溶媒中で反応させる際、溶媒は特に限定されず 、有機金属化合物と硫黄ィ匕合物を溶解または分散させることのできるものを任意に使 用可能である。このような溶媒としては例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパ ノール、 n-プロパノールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルェチルケトン、メチ ルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミド; クロ口ホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒;ジェチルエーテル、テトラヒドロフ ランなどのエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒;ペンタン、へキ サン、オクタン、 2-ェチルへキサン、シクロへキサンなどの炭化水素系溶媒などを挙 げることができる。これらのうち生成する金属硫ィ匕物の分散性が良好である点で、水、
アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、ジメチルホルムアミドが好ましい。また上記ポリマ 一で金属酸ィ匕物を修飾する段階では、ポリマーが溶解する溶媒を使用することが好 ましい。これら溶媒は単独で用いてもよぐ複数を組み合わせて用いてもよい。複数を 組み合わせる場合には互いに混ざり合う溶媒でもよぐ混ざり合わな 、溶媒でもよ 、 力 効率の点で互いに混ざり合う溶媒が好まし 、。
[0054] 有機金属化合物と硫黄化合物とを反応させる際の反応条件は特に限定されず、任 意の温度 ·時間 ·添加タイミングなどを採用可能である。反応制御の点で温度は― 20 °C〜100°Cの範囲が好ましぐ 0°C〜80°Cの範囲がより好ましい。
[0055] 上記金属酸化物ナノ粒子または金属硫化物ナノ粒子を、チォカルボ-ルチオィ匕合 物を連鎖移動剤とする可逆的付加脱離連鎖移動重合により得られたポリマーを用い て表面修飾する際、その方法は特に限定されない。例えばナノ粒子を溶媒中で合成 し、その溶液中に上記ポリマーを添加する方法;ナノ粒子を単離し、上記ポリマーの 溶液中に添加する方法;ナノ粒子を単離し、押出機、プラストミル、バンバリ一ミキサ 一などを用いて溶融状態のポリマーと混合する方法;ナノ粒子の溶液とポリマー溶液 とを混合する方法;ナノ粒子を合成する際に上記ポリマーを共存させる方法;ポリマー を重合する際にナノ粒子を共存させる方法などを挙げることができる。これらのうち反 応が簡便で修飾効率が高い点で、反応の前後に関わらず溶液中でナノ粒子とポリマ 一を混合する方法が好ましい。この際、超音波照射を行うとさらに修飾効率が高くな るので好ましい。また、ナノ粒子をー且低分子化合物や他のポリマーで仮修飾し、次 いで本発明のポリマーで置換して修飾してもよい。このような仮修飾用の化合物とし ては、ドデシルァミン、トリデシルァミン、ラウリルァミンなどの低分子アミンィ匕合物;デ カンチオール、ドデカンチオールなどの低分子チオール化合物;トリオクチルホスフィ ンォキシドなどのリン酸エステル系化合物;ポリビュルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸 、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアミンなどの SH基を有しないポリマーなどを挙げることができる力 これらに限定されない。
[0056] 本発明の透明コロイド溶液は、上記記載のポリマー修飾ナノ粒子を溶媒中に均一 分散して得られるものである。ここで溶媒としては特に限定されないが、ナノ粒子の分 散性が良好である点で、表面修飾に用いたポリマーに対する良溶媒を用いることが
好ましい。ポリマーに対する良溶媒としては、例えば Polymer Handbook, 4th E dition Qohn Wiley & Sons Inc. , 1999)などに記載されているものを使用可 能である。本発明の透明コロイド溶液を調製する方法としては特に限定されず、上記 ポリマー修飾ナノ粒子を単離後に溶媒中へ分散させてもよぐ最初力 溶媒中でポリ マー修飾ナノ粒子を製造してそのままコロイド溶液としてもょ ヽ。透明コロイド溶液を 調整する際、超音波照射、マイクロ波照射などを実施してもよい。
実施例
[0057] 以下に本発明の実施例を示すが、これらに限定されるものではない。
[0058] 本発明にお!/、てポリマーの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、ゲル パーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)分析により求めた。疎水性ポリマーは Wat ers社製システムを使用し、カラムは Shodex K— 806と K— 805 (昭和電工 (株)製) を連結して用い、クロ口ホルムを溶出液とし、ポリスチレン標準で解析した。親水性ポ リマーに対しては Shodex LF— 804 (昭和電工 (株)製)カラムを使用し、 LiBrを 10 mM含有するジメチルホルムアミドを溶出液とし、ポリエチレングリコール標準で解析 した。ポリマーを重合する際、モノマーの反応率はガスクロマトグラフィー(GC)分析 により決定した。 GC分析は、サンプリング液を酢酸ェチルやエタノールなどの適当な 溶媒に溶解し、キヤビラリ一力ラム DB- 17 F&W SCIENTIFIC INC.製)を使用 し、ガスクロマトグラフ GC- 14B ( (株)島津製作所製)で実施した。ナノ粒子の粒径は 、透過型電子顕微鏡 (TEM)JEM - 1200EX (日本電子 (株)製)を使用し、加速電圧 80kVで観察した。コロイド溶液試料の場合はコロジオン膜を貼り付けたメッシュ上に 乾燥固定して観察した。ナノ粒子の数平均粒子径は、 TEM写真において 100個以 上のナノ粒子をノギスを用いて計測して計算した。発光スペクトルは、蛍光光度計 LS 55 (パーキンエルマ一社製)または分光蛍光光度計 FP— 6500DS (日本分光 (株) 製)を用いて溶液またはフィルム試料に対して 290または 299nmの励起光を使用し 、 350〜700nmの範囲でフォトルミネッセンススペクトルを測定した。超音波照射は 超音波ホモジナイザー UH- 600 ( (株)ェムエステ一製)を使用して実施した。連鎖移 動剤として使用したチォカルボ-ルチオ化合物は、特表 2000 - 515181あるいは M acromolecules 2002, 35, 4123【こ記載の方法【こ従って合成した。
[0059] (製造例 1)
末端に SH基を有するポリ(アクリル酸 ZN, N-ジメチルアクリルアミド)の合成 窒素導入管付き還流冷却管、磁気攪拌子、温度測定用熱電対を装着した 4ロフラ スコ(lOOmL)に、 N, N-ジメチルホルムアミド(50mL)、ァゾビスイソブチ口-トリル( 5. 3mg)、 1 -フエ-ルェチルジチォベンゾエート(42mg)、アクリル酸(20mL)を入 れ、反応器内を脱気 ·窒素置換した。反応溶液を攪拌しながら 60°Cで 4時間攪拌 (転 化率 21%)後、室温まで冷却し、ジメチルァミン(10mL)を添加して 8時間攪拌した。 反応溶液を濃縮後トルエン(200mL)に注いでポリマーを析出させた。得られたポリ マーの GPCおよび NMR分析より、 Mwl7200、 Mnl4300、 Mw/Mnl. 20の、 末端に SH基を有するポリ(アクリル酸 ZN, N-ジメチルアクリルアミド)であることを確 認した。アクリル酸力もアクリルアミドへの変換収率は 15%であった。
[0060] (製造例 2)
末端に SH基を有するポリ(N, N-ジメチルアクリルアミド)(PDMA)の合成 窒素導入管付き還流冷却管、磁気攪拌子、温度測定用熱電対を装着した 4ロフラ スコ(lOOmL)に、 N, N-ジメチル -S-チォベンゾィルチオプロピオンアミド(232mg) 、 DMA (30. Og)、 N, N-ジメチルホルムアミド(lOg)、水(20g)、 4, 4, -ァゾビス(4 -シァノ吉草酸)(69mg)を入れ、反応器内を脱気 ·窒素置換した。 80°Cで 3時間攪 拌し、室温まで冷却した。モノマー反応率は 44%であり、 GPC分析の結果 Mwl680 0、 Mnl4200、 Mw/Mnl. 18であった。
[0061] この溶液に 2-エタノールァミン(5g)を添カロして 70°Cで 3時間攪拌し、末端に SH基 を有する PDMAの水溶液を得た。
[0062] (製造例 3)
末端に SH基を有するポリメタクリル酸メチル (PMMA)の合成
窒素導入管付き還流冷却管、磁気攪拌子、温度測定用熱電対を装着した 4ロフラ スコ(300mL)に、 2- (2-フエ-ルプロピル)ジチォベンゾエート(0. 170g)、 MMA( 50. Og)、トルエン(lOOg)、ァゾビスイソブチ口-トリル(0. 021g)を入れ、窒素置換 し、 90°Cで 2時間加熱した。モノマー反応率は 30%であった。 70°Cまで冷却し、 n- プチルァミン (0. 0935g)を添加し、 70°Cで 10時間攪拌した。反応溶液をメタノール
(400mL)に注いで片末端に SH基を有する PMMA(7. 4g)を析出させた。 GPC分 祈の結果、 Mw31600、 Mn26200、 Mw/Mnl. 20であった。
[0063] (製造例 4)
末端に SH基を有するポリスチレン (PSt)の合成
窒素導入管付き還流冷却管、磁気攪拌子、温度測定用熱電対を装着した 4ロフラ スコ(500mL)に、 2- (2-フエ-ルプロピル)ジチォベンゾエート(3. 22g)、スチレン( 100. 3g)、トルエン(98. lg)、ァゾビスイソブチ口-トリル(0. 61g)を入れ、窒素置 換し、 70°Cで 14時間攪拌した。モノマー反応率は 42%であった。反応溶液を 50°C に保ち、ジェチルァミン(25g)を加えて 8時間攪拌した。室温まで冷却後、反応溶液 をメタノール(500mL)に注いでポリマーを析出させた。得られたポリスチレンは Mw4 300、 Mn3700、 Mw/Mnl. 16であり、 ^-NMR分析より片末端が SH基に変換 されていることを確認した。
[0064] (製造例 5)
末端に SH基を有するポリアクリル酸 n-ブチル (PBA)の合成
窒素ガス導入管付き還流冷却管、攪拌機、温度計を備えた 200mL反応器に、ジ ベンジルトリチォカーボネート(4. 46g)、アクリル酸 n-ブチル(49. 7g)、トルエン(5 Og)、ァゾビスイソプチ口-トリル (0. 415g)を入れ、反応器内を脱気'窒素置換した 。 90°Cで 3時間攪拌し、サンプリングして GPC分析と NMR分析によりトリチォカーボ ネート構造を有する PBA(Mw4200、 Mn3700、 Mw/Mnl. 15)の生成を確認し た。
[0065] この溶液に n-プチルァミン(20g)を添加し、室温で 1時間攪拌した後、へキサン(5 OOmL)に注いで遠心分離することによりポリマーを沈殿として得た。 GPC分析と NM R分析【こより、末端【こ SH基を有する PBA(Mw3000、 Mn2700、 Mw/Mnl. 11) であることを確認した。
[0066] (製造例 6)
ZnOナノ粒子の合成
J. Phys. Chem. B 1998, 102, 7770の方法を参考に、以下の通り ZnOナノ粒 子を合成した。
[0067] 酢酸亜鉛二水和物(220mg)を 2-プロパノール(80mL)に溶解し、 50°Cで 30分間 攪拌した後 2-プロパノールをカ卩えて全量を 920mLとし、 0°Cに冷却した。ここに 0. 0 2M NaOHZ2-プロパノール溶液(80mL)を一度に加え、 65°Cで 2時間攪拌した 。 TEM分析より、数平均粒子径 5. Inmの ZnOナノ粒子が生成していることを確認し た。
[0068] (製造例 7)
ZnOナノ粒子の合成
J. Phys. Chem. 1992, 96, 11086の方法を参考に、以下の通り ZnOナノ粒子を 合成した。
[0069] 酢酸亜鉛二水和物(11. Og)を無水エタノール(500mL)に溶解し、窒素雰囲気で 80°Cに加熱しながらエタノールをゆっくり留去した。留分が約 300mLに達した時点 で反応器内に無水エタノール(300mL)を追加し、 LiOH'H 0 (2. 9g)を添加した。
2
室温で超音波照射を 2時間実施し、 0. 1 mのグラスフィルターでろ過して不溶物を 除去した。 TEM分析より、数平均粒子径 8. 5nmの ZnOナノ粒子が生成していること を確認した。
[0070] (製造例 8)
Mnドープ ZnOナノ粒子の合成
J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 9387の方法を参考に、以下の通り Mnドープ ZnOナノ粒子を合成した。
[0071] 酢酸亜鉛二水和物(2. 15g)と酢酸マンガン四水和物(0. 05g)を DMSO (100m L)に溶解し、ここにテトラメチルアンモ-ゥムヒドロキシド五水和物(30. 8g)をエタノ ール (310mL)に溶解させた溶液を、室温で攪拌しながら滴下した。滴下終了後反 応溶液を 60°Cで 4時間攪拌し、酢酸ェチル(500mL)に注いで粒子を沈殿させた。 得られた粒子をエタノール(300mL)に分散させ、ヘプタン(500mL)に注いで沈殿 させた。得られた粒子をエタノール(200mL)に分散させ、ドデシルァミン(5g)をカロえ て超音波照射しながら室温で 2時間攪拌し、ロータリーエバポレーターで濃縮した後 トルエン(lOOmL)に溶解させた。 TEM分析より数平均粒子径 6. 7nmの Mnドープ ZnOナノ粒子が生成していることを確認した。 Mnドープされていることは、 530nm付
近の発光スペクトルが著しく弱くなつていることから確認した。
[0072] (実施例 1)
製造例 1で得られた末端に SH基を有するポリ(アクリル酸 ZN, N-ジメチルアクリル アミド) (0. 5g)を、製造例 6で得られた ZnOナノ粒子の 2-プロパノール溶液(5mL) に溶解させ、室温で超音波照射を 1時間行った後、溶液を濃縮してへキサン(10mL )をカ卩えてポリマー修飾 ZnOナノ粒子を沈殿させた。得られたポリマー修飾 ZnOナノ 粒子をメタノール(lmL)に溶解させ、へキサン(lOmL)に注いで再沈殿させることに より精製した。得られたポリマー修飾 ZnOナノ粒子はメタノール中 510nmに発光スぺ タトルを示し、また TEM観察力も ZnOナノ粒子を含有することを確認した。 TEM観 察において ZnOナノ粒子の凝集は観察されな力つた。
[0073] (実施例 2)
製造例 1で得られた末端に SH基を有するポリ(アクリル酸 ZN, N-ジメチルアクリル アミド)(2g)を、製造例 7で得られた ZnOナノ粒子のエタノール溶液(5mL)に溶解さ せ、室温で超音波照射を 1時間実施した。得られたポリマー修飾 ZnOナノ粒子のコロ イド溶液は室温で 6ヶ月以上放置しても透明のままであり、 TEM観察の結果 ZnOナ ノ粒子が凝集せずに存在して 、ることを確認した。
[0074] (比較例 1)
市販のポリアクリル酸(Mw2000、アルドリッチ)(2g)を、製造例 7で得られた ZnO ナノ粒子のエタノール溶液(5mL)に溶解させ、室温で超音波照射を 1時間実施した 。得られたコロイド溶液のうち 2mLをとり、へキサン(10mL)に注いでポリマーを沈殿 させた。得られたポリマーは発光スペクトルを示さず、 TEM観察からも ZnOナノ粒子 の存在を確認できなカゝつた。ポリマーを取り除いた上澄みには ZnOナノ粒子が存在 することを TEM観察により確認したが、凝集していた。残りのコロイド溶液(3mL)は 室温で 1週間保存すると濁りが生じ、 TEM観察の結果 ZnOナノ粒子が凝集している ことを確認した。
[0075] (実施例 3)
製造例 2で得られた末端に SH基を有する PDMA水溶液(1. 5mL)を、製造例 6で 得られた ZnOナノ粒子の 2-プロパノール溶液(10mL)に添加し、 30°Cで超音波照
射を 2時間実施した。得られたポリマー修飾 ZnOナノ粒子のコロイド溶液を濃縮後、 キャストすることによりポリマー修飾 ZnOナノ粒子の透明フィルムを得た。このフィルム を 80°Cの温水で洗浄し、 TEM観察を行ったところ ZnOナノ粒子が凝集せずに分散 していることを確認できた。
[0076] (実施例 4)
製造例 2で得られた末端に SH基を有する PDMA水溶液 (2mL)をメタノール (5m L)に溶解させ、製造例 7で得られた ZnOナノ粒子のエタノール溶液(5mL)と混合し た。 50°Cで 4時間攪拌後、得られたポリマー修飾 ZnOナノ粒子のコロイド溶液を濃縮 し、キャストすることによりポリマー修飾 ZnOナノ粒子の透明フィルムを得た。このフィ ルムを 80°Cの温水で洗浄し、 TEM観察を行ったところ ZnOナノ粒子が凝集せずに 分散して ヽることを確認できた。
[0077] (実施例 5)
製造例 3で得られた末端に SH基を有する PMMA(lg)を、製造例 8で得られた M nドープ ZnOナノ粒子のトルエン溶液(5mL)に添カ卩し、 60°Cで 2時間超音波照射し た。得られたポリマー修飾 ZnOナノ粒子のコロイド溶液をメタノール(50mL)に注ぎ、 ポリマー修飾 ZnOナノ粒子を沈殿させた。上澄み液の GC分析よりドデシルァミンが 存在することを確認した。これは ZnOナノ粒子の表面を保護して ヽたドデシルァミン 力 末端に SH基を有する PMMAと置換されたためである。また TEM分析および発 光スぺクトル分析より上澄みには Mnドープ ZnOナノ粒子がほとんど含まれな ヽことを 確認した。ポリマー修飾 ZnOナノ粒子をメタノールで洗浄後、トルエン(5mL)を用い てキャストしてフィルムを作製した。 TEM観察により Mnドープ ZnOナノ粒子が凝集 せずに分散して存在することを確認した。
[0078] (比較例 2)
市販の PMMA (Mwl 5000、アルドリッチ)(lg)を、製造例 8で得られた Mnドープ ZnOナノ粒子のトルエン溶液(5mL)に添カ卩し、 60°Cで 2時間超音波照射した。得ら れた溶液をメタノール(50mL)に注いでポリマーを沈殿させた。上澄み液の GC分析 にお ヽてはドデシルァミンは観測されな力つた力 TEM分析の結果多くの凝集した Mnドープ ZnOナノ粒子が確認された。ポリマーをメタノールで洗浄後、トルエン(5m
L)を用いてキャストしてフィルムを作製した。 TEM観察によりポリマー中に含まれる Mnドープ ZnOナノ粒子の数が極端に少ないことを確認した。さらにポリマー中の Mn ドープ ZnOナノ粒子は凝集して ヽた。
[0079] (実施例 6)
製造例 4で得られた末端に SH基を有する PSt (lg)を、製造例 8で得られた Mnド ープ ZnOナノ粒子のトルエン溶液(5mL)に添カ卩し、 60°Cで 2時間超音波照射した。 得られた溶液をメタノール(50mL)に注いでポリマーを沈殿させた。上澄み液の GC 分析よりドデシルァミンが存在することを確認した。これは ZnOナノ粒子の表面を保 護していたドデシルァミン力 末端に SH基を有する PStと置換されたためである。ま た TEM分析および発光スペクトル分析より上澄みには Mnドープ ZnOナノ粒子がほ とんど含まれな 、ことを確認した。ポリマー修飾 ZnOナノ粒子をメタノールで洗浄後、 トルエン(5mL)を用いてキャストしてフィルムを作製した。 TEM観察により Mnドープ ZnOナノ粒子が凝集せずに分散して存在することを確認した。
[0080] (比較例 3)
市販の PSt (Mw4000、アルドリッチ)(lg)を、製造例 8で得られた Mnドープ ZnO ナノ粒子のトルエン溶液(5mL)に添加し、 60°Cで 2時間超音波照射した。得られた 溶液をメタノール(50mL)に注いでポリマーを沈殿させた。上澄み液の GC分析にお Vヽてはドデシルァミンは観測されな力つた力 TEM分析の結果多くの凝集した Mnド ープ ZnOナノ粒子が確認された。ポリマーをメタノールで洗浄後、トルエン(5mL)を 用いてキャストしてフィルムを作製した。 TEM観察によりポリマー中に含まれる Mnド ープ ZnOナノ粒子の数が極端に少ないことを確認した。さらにポリマー中の Mnドー プ ZnOナノ粒子は凝集して ヽた。
[0081] (実施例 7)
製造例 5で得られた末端に SH基を有する PBA(lg)をアセトン (5mL)に溶解させ 、製造例 7で得られた ZnOナノ粒子のエタノール溶液(5mL)に添加した。得られた 溶液を室温で 2時間超音波照射し、濃縮 ·減圧乾燥して PBAで修飾した ZnOナノ粒 子を得た。このポリマー修飾ナノ粒子を 0. lgずつ、トルエン、アセトン、テトラヒドロフ ラン、クロ口ホルム、エタノール、各 3mLにそれぞれ溶解させて透明コロイド溶液を調
整した。これら透明コロイド溶液は室温で 6ヶ月以上保存しても安定であり、 ZnOナノ 粒子の凝集は認められなかった。
[0082] (比較例 4)
製造例 6で得られた ZnOナノ粒子の 2-プロパノール溶液 (3mL)を室温で保存した ところ、 5日間で濁りが生じ、 TEM観察の結果 ZnOナノ粒子が凝集していることが確 f*i¾ れ 。
[0083] (比較例 5)
製造例 7で得られた MnOナノ粒子のエタノール溶液 (3mL)を室温で保存したとこ ろ、 1週間で濁りが生じ、 TEM観察の結果 ZnOナノ粒子が凝集していることが確認さ れた。
[0084] (比較例 6)
製造例 8で得られた Mnドープ ZnOナノ粒子のトルエン溶液(3mL)を室温で保存 したところ、 15日間で濁りが生じ、 TEM観察の結果 Mnドープ ZnOナノ粒子が凝集 していることが確認された。
[0085] (実施例 8)
Chem. Mater. 2000, 12, 2268の方法を参考【こ、末端【こ SH基を有する PDM Aで表面修飾された ZnOナノ粒子を合成した。
[0086] 酢酸亜鉛二水和物(l lOmg)を 2-プロパノール(80mL)に添カ卩し、激しく攪拌しな 力 Sら 50°Cで 1時間攪拌した。 2-プロパノールを追加して溶液の全量を 920mLとし、 0 °Cに冷却した。この溶液をストック溶液として 4つに等分した。
[0087] ストック溶液の一つに製造例 2で得られた末端に SH基を有する PDMA(1. 8g)を 添加し、室温で超音波照射しながら NaOHのメタノール溶液 (0. 02mol/L) (50m L)を 2時間かけて滴下した。さらに室温で超音波照射と攪拌を 2時間続けた。 TEM 観察の結果、数平均粒子径 2. 5nmの ZnOナノ粒子が凝集せずに存在していること を確認した。こうして得られた PDMAで表面修飾された ZnOナノ粒子の透明コロイド 溶液は、室温で 6ヶ月以上保存しても安定であり、凝集は認められな力つた。
[0088] (比較例 7)
実施例 8のストック溶液の一つに、巿販ポリビュルピロリドン(PVP) (Mwl0000、ァ
ルドリッチ)(1. 3g)を添カ卩し、室温で超音波照射しながら NaOHのメタノール溶液 (0 . 02mol/L) (50mL)を 2時間かけて滴下した。さらに室温で超音波照射と攪拌を 2 時間続けた。 TEM観察の結果、数平均粒子径 3. lnmの ZnOナノ粒子が凝集せず に存在して 、ることを確認した。しかしこうして得られた PVPで表面保護された ZnO ナノ粒子の透明コロイド溶液は、安定性が低ぐ室温で 3週間程度保存すると濁りが 生じ、 ZnOナノ粒子が凝集して ヽることが確認された。
[0089] (製造例 9)
末端に SH基を有するポリ(アクリル酸ナトリウム) (PAANa)の合成
窒素導入管付き還流冷却管、磁気攪拌子、温度測定用熱電対を装着した 4ロフラ スコ(lOOmL)に、ジメチルホルムアミド(50mL)、ァゾビスイソブチ口-トリル(5. 3m g)、 1 -フエ-ルェチルジチォベンゾエート(42mg)、アクリル酸(20mL)を入れ、反 応器内を脱気 ·窒素置換した。反応溶液を攪拌しながら 60°Cで 4時間攪拌 (転化率 2 1%)後、室温まで冷却し、 NaOH (lOg)を添加して 60°Cで 8時間攪拌した。反応溶 液を濃縮後トルエン(200mL)に注いでポリマーを析出させた。得られたポリマーの GPCおよび NMR分析より、 Mwl7200、 Mnl4300、 Mw/Mnl. 20の、末端に S H基を有する PAANaであることを確認した。滴定により求めたアクリル酸のケンィ匕度 は 94%であった。
[0090] (製造例 10)
メルカプト酢酸で修飾した ZnSナノ粒子の合成
J. Luminescence 2003, 102- 103, 768を参考に、 ZnSナノ粒子を合成した。
[0091] ジメチルホルムアミド(200mL)に酢酸亜鉛二水和物(2. 5g; 11. 4mmol)とメルカ ブト酢酸(21g ; 22. 8mmol)を溶解させ、 3口フラスコに入れて反応系内を窒素置換 した。 2M水酸ィ匕ナトリウム水溶液を加えて溶液の pHを 8に調節し、室温で攪拌しな 力 滴下漏斗力も硫ィ匕ナトリウム九水和物(2. 7g ; l l. 2mmol)の水溶液(50mL)を 30分かけて滴下した。室温で 10時間攪拌後、反応液をアセトン (600mL)に注いで 沈殿を析出させ、遠心分離により単離した。得られた ZnSナノ粒子の数平均粒子径 が 4. Onmであることを TEM観察により確認した。この ZnSナノ粒子のメタノール分散 液は 410nmに発光スペクトルを示した。
[0092] (製造例 11)
Mnドープ ZnS (ZnS: Mn)ナノ粒子の合成
Nano Lett. 2001, 1, 429を参考に、 ZnS : Mnナノ粒子を合成した。
[0093] ポリリン酸(10. 2g)を純水(60mL)に溶解させ、室温で攪拌しながら酢酸亜鉛二 水和物の 1M水溶液(10mL)と酢酸マンガン四水和物の 0. 1M水溶液(10mL)を 添カ卩した。次に硫ィ匕ナトリウム九水和物の 0. 85M水溶液(20mL)を加えた。生成し た沈殿を遠心分離により単離し、純水とエタノールで洗浄することにより、 ZnS : Mnナ ノ粒子を得た。得られた ZnS : Mnナノ粒子の数平均粒子径が 5. Onmであることを T EM観察により確認した。この ZnS : Mnナノ粒子の水分散液は 590nmに発光スぺク トルを示した。
[0094] (実施例 9)
製造例 9で得られた末端に SH基を有する PAANa (0. 5g)を、ジメチルホルムアミ ド(5mL)に溶解させ、製造例 10で得られた ZnSナノ粒子(5mg)をカ卩え、室温で 5分 間攪拌した。溶液を 2mLまで濃縮してへキサン(10mL)に注ぐことにより、ポリマー 修飾 ZnSナノ粒子を得た。このポリマー修飾 ZnSナノ粒子はメタノール中 425nmに 発光スペクトルを示した。また減圧乾燥させて力 大気中で 3ヶ月間放置後、メタノー ルに溶解させたところ同じ発光スペクトルを示し、 TEM観察からも凝集が認められな かった。
[0095] (比較例 8)
OT( PAANa (Mw ¾5100,アルドリッチ製、製品番号 44, 701 -3) (0. 5g)をジ メチルホルムアミド(5mL)に溶解させ、製造例 10で得られた ZnSナノ粒子(5mg)を 加え、室温で 5分間攪拌した。溶液を 2mLまで濃縮してへキサン(10mL)に注ぐこと により、ポリマーを析出させた。このポリマーはメタノール中で発光スペクトルを示さず 、 TEM観察の結果 ZnSナノ粒子が凝集して 、ることを確認した。
[0096] (実施例 10)
製造例 9で得られた末端に SH基を有する PAANa (0. 5g)をメタノール(5mL)に 溶解させ、製造例 11で得られた ZnS : Mnナノ粒子(5mg)をカ卩えた。ただちに透明 溶液となった。このコロイド溶液を室温で 6ヶ月以上放置しても透明性は失われず、 T
EM観察の結果 ZnS: Mnナノ粒子が凝集せずに存在して 、ることを確認した。
[0097] (比較例 9)
OT( PAANa (Mw ¾5100,アルドリッチ製、製品番号 44, 701 -3) (0. 5g)をメ タノール(5mL)に溶解させ、製造例 11で得られた ZnS : Mnナノ粒子 (5mg)をカ卩えた 。室温 5分間攪拌すると透明溶液となったが、室温で 1ヶ月後には濁りが生じ、 TEM 観察の結果 ZnS: Mnナノ粒子が凝集して 、ることを確認した。
[0098] (実施例 11)
製造例 2で得られた末端に SH基を有する PDMA水溶液(lmL)に、製造例 10で 得られた ZnSナノ粒子(5mg)を加え、室温で超音波照射を 5分間行った。得られた 溶液をキャストして透明フィルムを得た。このフィルムを 80°Cの温水で洗浄し、 TEM 観察を行ったところ ZnSナノ粒子が凝集せずに分散して 、ることを確認できた。この フィルムは 413nmに発光スペクトルを示すことを確認した。
[0099] (実施例 12)
製造例 2で得られた末端に SH基を有する PDMA水溶液(lmL)に、製造例 11で 得られた ZnS: Mnナノ粒子(5mg)を加えた。室温で超音波照射を 5分間行うと透明 溶液となった。この溶液をキャストして透明フィルムを得た。このフィルムを 80°Cの温 水で洗浄し、 TEM観察を行ったところ ZnS: Mnナノ粒子が凝集せずに分散して 、る ことを確認できた。このフィルムは 598nmに発光スペクトルを示すことを確認した。
[0100] (実施例 13)
製造例 3で得られた末端に SH基を有する PMMA (0. 5g)をクロ口ホルム(2mL) に溶解させ、製造例 10で得られた ZnSナノ粒子(8mg)の水溶液 (2mL)と混合した 。 UVランプを照射すると最初は水層側のみに発光が見られたが、 10分間激しく振と うしたところ水層の発光が消失し、クロ口ホルム層のみが発光するようになった。 PM MA末端の SH基が ZnSナノ粒子に結合することにより、 ZnSナノ粒子が水層からクロ 口ホルム層に抽出されたものと考えられる。クロ口ホルム層を分離してキャスト法により フィルムを作製し、発光スペクトルを測定したところ 415nmに極大を示した。 TEM観 察により ZnSナノ粒子が凝集せずに PMMA中に分散して 、ることを確認した。
[0101] (比較例 10)
市販の PMMA(Mw約 15000、アルドリッチ製、製品番号 20, 033-6) (0. 5g)を クロ口ホルム (2mL)に溶解させ、製造例 10で得られた ZnSナノ粒子(8mg)の水溶液 (2mL)と混合した。 1時間激しく振とうしても ZnSナノ粒子はクロ口ホルム層に抽出さ れず、クロ口ホルム層は発光スペクトルを示さなかった。念のためにクロ口ホルム層を 分離してキャスト法によりフィルムを作製した力 発光スペクトルは得られな力つた。
[0102] (実施例 14)
製造例 3で得られた末端に SH基を有する PMMA (0. 5g)をクロ口ホルム(2mL) に溶解させ、製造例 11で得られた ZnS : Mnナノ粒子(5mg)を添加した。超音波照 射を 5分間行うことにより ZnS : Mnナノ粒子は溶解し、透明溶液を与えた。この溶液を 室温で 6ヶ月保存した後でも 600nmに発光スペクトルを示し、 TEM観察によりナノ粒 子が凝集せずに分散して 、ることを確認した。
(比較例 11)
市販の PMMA(Mw約 15000、アルドリッチ製、製品番号 20, 033-6) (0. 5g)を クロ口ホルム (2mL)に溶解させ、製造例 11で得られた ZnS: Mnナノ粒子(5mg)を 添加した。超音波照射を 30分間行った力 ¾nS : Mnナノ粒子は分散せず、発光スぺ タトルは測定できな力つた。
[0103] (実施例 15)
製造例 5で得られた末端に SH基を有する PBA (0. 5g)をジメチルホルムアミド(2 mL)に溶解し、製造例 10で得られた ZnSナノ粒子(5mg)を添加して室温で 5分間 攪拌した。溶媒を留去して減圧乾燥し、得られたポリマーにトルエン(2mL)を加えて 溶解させた。この溶液は 415nmに発光スペクトルを示し、 TEM観察により ZnSナノ 粒子が凝集せずに分散して ヽることを確認した。
[0104] (比較例 12)
市販の PBA(Mn約 20000、アルドリッチ製、製品番号 18, 141 -2) (0. 5g)をジメ チルホルムアミド(2mL)に溶解し、製造例 10で得られた ZnSナノ粒子(5mg)を添カロ して室温で 5分間攪拌した。溶媒を留去して減圧乾燥し、得られたポリマーにトルェ ン(2mL)をカ卩えて溶解させた。この溶液は発光スペクトルを示さなかった。 ZnSナノ 粒子が分散できて 、な 、と考えられる。
[0105] (実施例 16)
製造例 5で得られた末端に SH基を有する PBA (0. 5g)をジメチルホルムアミド(2 mL)に溶解し、製造例 11で得られた ZnS: Mnナノ粒子(5mg)を添カ卩して室温で 10 分間攪拌した。得られた溶液を室温で 6ヶ月放置したが発光スペクトル(595nm)に 変ィ匕はなぐ透明のままであった。
[0106] (比較例 13)
市販の PBA(Mn約 20000、アルドリッチ製、製品番号 18, 141 -2) (0. 5g)をジメチ ルホルムアミド(2mL)に溶解し、製造例 11で得られた ZnS: Mnナノ粒子(5mg)を添 カロして室温で 10分間攪拌した。得られた溶液は 5日後には濁りが生じた。遠心分離 により沈殿を除去し、上澄み液の発光スペクトルを測定したが発光は認められなかつ た。ナノ粒子が凝集して沈殿してしまったためと考えられる。
[0107] (比較例 14)
製造例 10で得られた ZnSナノ粒子(5mg)をジメチルホルムアミド(2mL)に溶解さ せた。この溶液を室温で 3日間放置したところ、発光スペクトルを示さなくなった。ナノ 粒子が凝集してしまったためと考えられる。
[0108] (実施例 17)
製造例 2で得られた末端に SH基を有する PDMA (5g)をジメチルホルムアミド(20 mL)に溶解させ、酢酸亜鉛二水和物(0. 25g)を加えた。得られた溶液を 3ロフラス コに入れて反応系内を窒素置換した。 2M水酸ィ匕ナトリウム水溶液をカ卩えて溶液の p Hを 8に調節し、室温で攪拌しながら滴下漏斗力も硫ィ匕ナトリウム九水和物 (0. 27g) の水溶液(5mL)を 15分間かけて滴下した。室温で 10時間攪拌後、反応液を 5mL まで濃縮し、へキサン(25mL)に注いでポリマーを析出させた。デカンテーシヨンによ りポリマーを分離し、 UVランプを照射したところポリマーは発光したが上澄み液は発 光しなかった。得られたポリマーをジメチルホルムアミドに溶解させて発光スペクトル を測定したところ、 418nmに極大を示した。この発光スペクトルは室温で 6ヶ月間保 存しても変化が認められなカゝつた。 TEM観察の結果、 ZnSナノ粒子の数平均粒子 径は 4. lnmであった。
[0109] (比較例 15)
実施例 17にお 、て、製造例 2で得られた PDMAの代わりに市販のポリビュルピロリ ドン(PVP) (Mw約 10000、アルドリッチ製、製品番号 85, 645-2)を用いて同様の 実験を実施した。分離したポリマーは UVランプ照射により発光したが、上澄み液も同 様に発光しており、ポリマーがナノ粒子を修飾する強さは実施例 17の場合よりも弱か つた。また得られたポリマーをジメチルホルムアミドに溶解させ、室温で 1ヶ月間保存 すると発光スペクトルを示さなくなった。 ZnSナノ粒子が凝集してしまったと考えられる 産業上の利用可能性
本発明のポリマー修飾ナノ粒子は、凝集することなく安定的に量子効果を発現する 材料として、ディスプレイ用蛍光体、光電変換素子、発光ダイオード、波長変換材料 、紫外線遮蔽材料、色素増感太陽電池、蛍光塗料、蛍光フィルム、発光塗料、発光 フィルム、診断薬、微量成分検出試薬、分析用試薬、ドラッグデリバリーシステム、量 子トランジスタ、量子ドットレーザー、ディスプレイ用発光体、ノ《リスター、触媒などとし て有用である。