JPWO2006001226A1 - 超電導限流素子及びその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い分担電界を有する超電導限流素子を低コストで製作すること。【解決手段】絶縁体基板上に形成された超電導薄膜3と、超電導薄膜3上に形成された、純金属の室温抵抗率より2倍以上高い室温抵抗率を有する合金薄膜層4とから構成され、過電流により超電導薄膜3が常電導転移した時に、超電導薄膜3を流れていた過電流を合金薄膜層4のみに転流するようにしたことを特徴とする超電導限流素子である。

Description

本発明は、電路に流れる短絡電流等の過大な電流を限流する超電導限流素子及びその作製方法に関する。
超電導体は、超電導状態においては電気抵抗ゼロで大きな電流を流すことができるが、ある決まった電流値(臨界電流)より大きな電流を流すと電気抵抗が発生する。さらに電流を大きくして行くと、発生する熱のため超電導体の温度が上昇し、常電導状態になって、より大きな電気抵抗を生じる。このような超電導体の特徴を生かして、通常時は抵抗ゼロで、電力系統の短絡事故時には大きな抵抗を発生して事故電流の増大を抑制する超電導限流器が用いられている。
電力自由化を推進して行く上で大きな課題となっているのが、分散電源連系に伴う短絡事故電流の増大である。その対策として最も有望視されているのが、通常時は低インピーダンス、系統事故時は高インピーダンスとなって事故電流を抑制する限流器の導入である。限流器の導入には、分散電源の事故電流仕様の低減というメリットも有り、分散電源の低コスト化、設備保安向上にも寄与する。電力の自由化を推進する立場から、低コストかつ高信頼性の限流器の実現に対する社会的要請は非常に高い。また、配電系統に導入することを想定すると、大面積超電導薄膜を用いた超電導薄膜限流器が、コンパクトで、過電流に対して瞬時に応答し、常時発生する交流損失が小さい等、多くの点で優れており、信頼性・性能・体格・大容量化への拡張性の観点から最も優れていると考えられている。
超電導薄膜限流器は、液体窒素温度(66〜77.3 K)で動作する薄膜限流素子を電力系統に直列接続し、短絡事故時の電流の増大とともに薄膜を超電導状態(S)から常電導状態(N)に転移させ、その常電導抵抗によって系統電流を抑制するものであり、SN転移抵抗型限流器とも呼ばれている。従来、サファイア基板(アルミナ単結晶基板)等の絶縁体基板上に
YBa2Cu3O7(以下YBCOと言う。)等の高温超電導酸化物の薄膜を作製した大面積超電導薄膜が用いられているが、超電導薄膜は高価であるため、限流素子に用いる超電導薄膜の面積を出来るだけ低減して低コスト化することが課題となっていた。
超電導薄膜限流素子は、事故時に抵抗性の電圧Vを発生することによって限流するわけであるが、薄膜限流素子の単位長さ当りに発生(印加)できる電圧(分担電界)が高ければ、それだけ素子長を短くすることができるので、超電導薄膜の必要面積を低減することができる。しかし、限流時の薄膜限流素子の発熱量は P = V2/Rと表せるため、分担電界の向上は発熱量の増大をもたらす。薄膜限流素子は、通常、規定の限流時間(例えば 0.1 秒)内に超電導薄膜の温度が室温以上にならないように設計するため、分担電界の向上を図るためには、それに伴う限流時の超電導薄膜の発熱量の増大を抑制するか、超電導薄膜の熱容量を大きくして温度上昇を抑制する必要がある。しかし、後者は、高価な絶縁体基板の体積を増大させるため、コストアップ要因となる。従って、分担電界を向上させるためには、超電導線路の常電導転移時の抵抗Rを高くして、発熱量の増大を抑制することが望ましい。
超電導線路の抵抗を高くするためには、超電導薄膜だけを直列及び並列に接続すれば良い。限流素子に用いる大面積の超電導薄膜が非常に均一であり、全面積にわたってほぼ同時に常電導転移するならば、このような構成も可能であり、臨界電流密度の低い薄膜を用いた研究室レベルの実験での報告がある(非特許文献1参照)。しかし、実用化を想定した場合には、臨界電流密度の高い薄膜を用いるため、次節で説明するようなホットスポットの問題があり、この問題を回避するためには、図5に示すように、超電導薄膜と並列に分流抵抗を接続する必要がある。
超電導薄膜は、局所的な臨界電流密度のばらつきがあるため、事故直後の限流初期時に臨界電流密度の小さい部分がまず常電導転移し、全体が常電導転移しないため、大きな電流が流れ続ける。常電導転移した部分で発生する熱の拡散が遅い場合には、局所的に温度が急上昇して薄膜が焼損してしまう。このようなホットスポット現象を防止するためには、金や銀等の常電導金属を超電導薄膜の上に蒸着して常電導転移時の分流層(焼損防止のための保護層)として用いるのが一般的な解決策である(非特許文献2参照)。しかし、このような金属分流層を付加すると超電導線路の電気抵抗を大きく低下させ、限流時の発熱を増大させるため、分担電界を下げざるを得ない。その結果、要求される限流容量を達成するために素子長が増大し、高価な超電導薄膜を大量に使用しなければならず、これは実用化を阻む大きな障害となっている。
使用する超電導薄膜の面積をできるだけ低減するために、超電導薄膜には金属分流層は蒸着せず、別の熱伝導率の高いセラミックス基板上に金属薄膜分流層を設けて、超電導薄膜とインジウム板で接続する方式がある(特許文献1、非特許文献3、および非特許文献4参照)。この方法は、限流時の発熱を超電導薄膜とは別のセラミックス基板に吸収させるため、その熱容量を大きくすることによって素子の温度上昇を抑制し、結果として素子の分担電界を高くすることができる。例えば、 6.6 kV/2 kA 級限流素子に必要なサファイア基板上に形成される超電導薄膜の面積をそれまでの素子と比較して約30分の1に低減することができ、大きくコスト低減できると想定されている。しかし、この方式では窒化アルミニウム等の高熱伝導性セラミックス基板やインジウム板を大量に用いる必要が有り、これらは高価であるため、低コスト化に限界があった。
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従来型の超電導薄膜限流素子では、限流初期時のホットスポット現象を防止するために、金や銀等の純金属を超電導薄膜の上に蒸着して常電導転移時の分流保護層として用いている。しかし、純金属の抵抗率は超電導酸化物の抵抗率よりも約2桁低いため超電導線路の抵抗を大きく低下させ、限流時に発熱量が増大するため超電導薄膜限流素子の分担電界を大きく低下させ、結果として、高価な超電導薄膜の必要量が大きくなり、コスト面で大変不利であった。純金属を非常に薄く(ナノメーターオーダーの膜厚で)、かつ均一に、超電導薄膜の上に蒸着することができれば、電気抵抗の低下の問題を解決することができるが、そのような蒸着技術が実現可能かどうかは不明であり、仮にそれが可能であったとしても、それがホットスポットの問題の解決につながるかどうかは明らかでない。
本発明の目的は、純金属よりもはるかに高い抵抗率を有する合金層を超電導薄膜に蒸着することにより、超電導線路の抵抗を大きく低下することなく超電導薄膜のホットスポット問題を解決するとともに、合金層が形成された超電導薄膜と並列に純金属又は合金線で作製した外付けの無誘導巻分流抵抗を接続することにより、超電導線路の抵抗をより高くして、より高い分担電界を達成することを可能にした超電導限流素子及びその製作方法を提供することにある。
本発明は上記の課題を解決するために、次のような手段を採用した。
第1の手段は、絶縁体基板上に形成された超電導薄膜と、該超電導薄膜上に形成された、純金属の室温抵抗率より2倍以上高い室温抵抗率を有する合金層とから構成され、過電流により上記超電導薄膜が常電導転移した時に、前記超電導薄膜を流れていた過電流を前記合金層のみに転流するようにしたことを特徴とする超電導限流素子である。
第2の手段は、第1の手段において、前記合金層は、金と銀の2元合金層又は金と銀に他の元素を加えた多元合金層で構成されたことを特徴とする超電導限流素子である。
第3の手段は、絶縁体基板上に形成された超電導薄膜と、該超電導薄膜上に形成された、純金属の室温抵抗率より2倍以上高い室温抵抗率を有する合金層とから構成され、前記超電導薄膜と並列に純金属又は合金からなる線材で作製された分流抵抗を接続したことを特徴とする超電導限流素子である。
第4の手段は、第3の手段において、前記分流抵抗は、インダクタンスが小さくなるように無誘導巻きで構成されることを特徴とする超電導限流素子である。
第5の手段は、第1の手段又は第3の手段に記載の超電導限流素子の作製方法であって、前記絶縁体基板上に形成された超電導薄膜上に、スパッタリング法によって前記合金層を蒸着したことを特徴とする超電導限流素子の作製方法である。
請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、高い分担電界を有する超電導限流素子を低コストで製作することが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、合金層の抵抗をより高くすることができ、結果として、より高い分担電界を有する超電導限流素子を実現できる。
請求項4に記載の発明によれば、外付けの分流抵抗のインダクタンスを小さくできるので、過電流の分流抵抗への転流を容易にすることができる。
請求項5に記載の発明によれば、ターゲットとほぼ同一の組成の合金層を容易に形成することが可能となり、後熱処理を行わなくても超電導薄膜との密着性がよいため、合金層と超電導薄膜との接触抵抗を低くすることが可能となる。
本実施形態の発明に係る超電導薄膜限流素子の構成を示す図である。 本実施形態の発明に係る超電導酸化物薄膜と並列に純金属又は合金線で作製した外付けの無誘導巻分流抵抗を接続した超電導薄膜限流素子の構成を示す図である。 本実施形態の発明に係る超電導薄膜限流素子の限流試験結果を示す図である。 本実施形態の発明に係る外付けの無誘導巻分流抵抗を接続した超電導薄膜限流素子の限流試験結果を示す図である。 従来技術に係る超電導薄膜と並列に分流抵抗を接続した超電導限流素子の構成を示す図である。
符号の説明
1 絶縁体基板
2 バッファ層
3 超電導酸化物薄膜
4 合金層
5 金電極
6 無誘導巻分流抵抗
本発明の一実施形態を図1乃至図4を用いて説明する。
図1は超電導薄膜限流素子の構成を示す図である。
同図において、1はサファイア等からなる絶縁体基板、2はセリア等からなるバッファ層、3は大面積の超電導酸化物薄膜、4は超電導酸化物薄膜3上に蒸着によって所定の膜厚に形成された合金層である。
合金層4は、空気中で安定であり、かつ、超電導酸化物薄膜3と反応しない金と銀からなる2元合金を用いる。合金層4として、金に7〜82 wt%の銀を混ぜた組成を用いると、室温の抵抗率が純金と比較して2倍以上になるため、超電導薄膜限流素子の構成上好ましい。特に、金に23wt%の銀を混ぜた組成の合金は、室温の抵抗率が純金と比較して約5倍と最大となり、最適と考えられる。なお、100K付近では純金の抵抗率は室温の約1/3に低下するが、合金の抵抗率はほとんど低下しないため、約15倍の違いが有る。
超電導酸化物薄膜3に合金層4を蒸着する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法等色々な方法が考えられるが、本発明ではスパッタリング法を採用した。最も一般的な真空蒸着法は、融点の異なる金属から構成される合金を希望の組成で蒸着するために、構成金属の精密な蒸着のコントロールが必要である、蒸着された合金膜と超電導薄膜との密着性が悪いため後熱処理を必要とする等の欠点がある。それに対して、スパッタリング法は、ターゲットとほぼ同一の組成の合金膜を容易に形成することができ、後熱処理を行わなくても、超電導酸化物薄膜との密着性がよいため、接触抵抗を低くすることができ、そのまま限流素子として使用することができる。
なお、上記実施形態においては、合金層4として金と銀とからなる2元合金を用いる場合について説明したが、これに限定されることなく、例えば、市販の18金(金75、銀12.5、銅12.5 wt%)のように金と銀に他の元素を加えた多元合金を用いた場合も同様の効果が得られる。
図2は、より一層高い分担電界を達成するため、常電導転移後の超電導酸化物薄膜3と合金層4との合成抵抗よりも充分小さい抵抗値を有する、純金属または合金線で作製された外付けの無誘導巻分流抵抗6を、超電導酸化物薄膜3と並列に接続した超電導薄膜限流素子の構成を示す図である。
同図において、5は超電導酸化物薄膜3の両端上に蒸着された金電極であり、その他の符号は図1に示した同符号の構成に対応する。
無誘導巻分流抵抗6の役割は、常電導転移時(限流初期)の過電流の転流を合金層4のみに負わせるのでなく、無誘導巻分流抵抗6にも転流させることにより、超電導酸化物薄膜3のホットスポット問題をさらに緩和させることであり、これにより、超電導薄膜限流素子の抵抗をより高くすることにある。過電流の転流を容易にするためには、外付けの無誘導巻分流抵抗6のインダクタンスを出来るだけ小さくすることが望ましいので、低コストの合金線を用いて無誘導巻とした。
また、通常、超電導薄膜限流素子の分担電界は、限流時に素子が室温以上にならないように決める必要があり、小さい抵抗値を有する外付けの無誘導巻分流抵抗6を設けることにより、この部分で大きな発熱が生じるが、無誘導巻分流抵抗6の熱容量を充分大きくすることにより温度上昇を抑制することが出来るため、無誘導巻分流抵抗6における発熱が超電導薄膜限流素子本体の分担電界を低下させることは無い。
次に、本実施形態の発明に係る超電導薄膜限流素子の限流試験の結果を示す。
はじめに、本限流試験の超電導薄膜限流素子に用いた超電導酸化物薄膜は、5 mm × 60 mm × 1 mm のサファイア基板上に膜厚 300 nm、臨界電流密度 3MA/cm2 の YBCO 薄膜(直流臨界電流 45 A)を形成し、両端の 10 mm ずつに金を蒸着して電極とし、中央部の 40 mm の部分に金に23wt% の銀を混ぜた組成の合金のターゲットを用いて、約 100 nm の膜厚で金銀合金層をスパッタ蒸着した。金銀合金層を蒸着することにより、超電導薄膜限流素子の室温の抵抗値が、YBCO 層のみの場合(約 60 オーム)と比較して、約1/7に低下した。
図3は、上記の超電導限流素子を用いた場合の限流試験結果を示す図である。
同図に示すように、電力系統の短絡事故を模擬するため、合金層4を蒸着した超電導薄膜限流素子に約40 Apeak の電流が流れている状態から、瞬時に高電圧を印加した。瞬間的に超電導薄膜限流素子に約80 Apeak の過電流が流れたが、超電導酸化物薄膜3は焼損することなく常電導状態に転移し、超電導酸化物薄膜3に流れていた過電流は合金層4に転流して、過電流は瞬時に限流された。このように、限流初期に、YBCO 薄膜の半分程度の抵抗値を有する金銀合金からなる分流保護層を付加することによって、超電導酸化物薄膜3のホットスポットの問題が解決できることが明らかになった。本超電導薄膜限流素子に約100 Vpeakの電圧が印加された状態で、超電導酸化物薄膜3が焼損することなく5サイクル(0.1 秒)の通電が可能であり、25 Vpeak/cm 以上の高い分担電界を有する超電導薄膜限流素子を製作できることが実証された。
次に、本限流試験の超電導薄膜限流素子に用いたYBCO薄膜と同様の超電導酸化物薄膜3に約 50 nm の膜厚の金銀合金層をスパッタ蒸着して、より高い室温抵抗(約 15 オーム)を有する、合金分流層付き超電導薄膜を作製し、さらにその両端にマンガニン(銅とマンガンの合金)線の無誘導巻で作製した外付けの無誘導巻分流抵抗6(約 2.8 オーム)を接続した。
図4は、上記の超電導限流素子を用いた場合の限流試験結果に示す図である。
同図に示すように、交流通電電流を約 30 Apeak から約 80 Apeak に瞬時に増加させると、超電導酸化物薄膜3は焼損することなく常電導状態に転移し、超電導酸化物薄膜3に流れていた過電流は合金層4と無誘導巻分流抵抗6に転流した。限流動作中は超電導薄膜限流素子の両端に約 176 Vpeak の交流電圧が印加されているが、薄膜が焼損することなく5サイクル(0.1 秒)の通電が可能であった。この結果から、44 Vpeak/cm 以上の高い分担電界を有する超電導限流素子を製作できることが実証された。
比較のため、合金層のような分流保護層のない YBCO 薄膜を用いた超電導限流素子を製作し、外付けの分流抵抗を並列接続して同様の限流試験を行ったが、交流通電電流を約 30 Apeak から約 60 Apeak に瞬時に増加させたとき、1サイクルの通電中に薄膜の一部が焼損し、絶縁状態になった。このような高臨界電流密度の薄膜では、ホットスポット対策無しに限流動作をさせることが不可能であることが確認された。

Claims (5)

  1. 絶縁体基板上に形成された超電導薄膜と、該超電導薄膜上に形成された、純金属の室温抵抗率より2倍以上高い室温抵抗率を有する合金層とから構成され、過電流により上記超電導薄膜が常電導転移した時に、前記超電導薄膜を流れていた過電流を前記合金層のみに転流するようにしたことを特徴とする超電導限流素子。
  2. 前記合金層は、金と銀の2元合金層又は金と銀に他の元素を加えた多元合金層で構成されたことを特徴とする請求項1に記載した超電導限流素子。
  3. 絶縁体基板上に形成された超電導薄膜と、該超電導薄膜上に形成された、純金属の室温抵抗率より2倍以上高い室温抵抗率を有する合金層とから構成され、前記超電導薄膜と並列に純金属又は合金からなる線材で作製された分流抵抗を接続したことを特徴とする超電導限流素子。
  4. 前記分流抵抗は、インダクタンスが小さくなるように無誘導巻の線材で構成されたことを特徴とする請求項3に記載した超電導限流素子。
  5. 請求項1又は請求項3に記載の超電導限流素子の作製方法であって、前記絶縁体基板上に形成された超電導薄膜上に、スパッタリング法によって前記合金層を蒸着したことを特徴とする超電導限流素子の作製方法。

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