JP4131769B2 - 超電導限流ヒューズおよびこれを用いた過電流制御システム - Google Patents

超電導限流ヒューズおよびこれを用いた過電流制御システム Download PDF

Info

Publication number
JP4131769B2
JP4131769B2 JP06928299A JP6928299A JP4131769B2 JP 4131769 B2 JP4131769 B2 JP 4131769B2 JP 06928299 A JP06928299 A JP 06928299A JP 6928299 A JP6928299 A JP 6928299A JP 4131769 B2 JP4131769 B2 JP 4131769B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
superconducting
current
power supply
fuse
overcurrent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP06928299A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000268700A (ja
Inventor
宏 久保田
藤 由 紀 工
崎 六 月 山
野 久 士 芳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP06928299A priority Critical patent/JP4131769B2/ja
Publication of JP2000268700A publication Critical patent/JP2000268700A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4131769B2 publication Critical patent/JP4131769B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Emergency Protection Circuit Devices (AREA)
  • Fuses (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電流供給路に流れる短絡電流等の過大な電流から電力需要側の機器等を保護するために電流を限流する超電導ヒューズおよびこの超電導限流ヒューズを用いた超電導制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電流供給路(電路)で短絡事故や地絡事故等が発生し場合、電力ケーブルやこの電流供給路に接続されている電力機器を保護するために、事故電流を高速で限流または遮断する必要がある。このような電力機器等の保護を目的として、過大な電流が流れた場合に素子の一部が溶断して回路を開くヒューズが用いられることが多い。しかしながら通常のヒューズは溶断部分に常電導体を用いているために、通常の通電時においても常に発熱している。したがって、通常の通電電流値はヒューズの溶断電流値よりもかなり小さく、例えば10分の1程度にしておかなければ、通常通電時にヒューズの温度が上昇してしまうことになる。
【0003】
換言すると、溶断電流の大きさは通常の通電電流値よりもかなり大きく設定しなければならず、この結果、事故電流は抑制されるものの、一部は非常に大きな事故電流が流れてしまう。そこで、通常通電時は溶断部分に電流を流さず、過電流が流れた場合のみ電流を溶断部分に転流させることにより、通常通電電流値の数倍程度でも電流供給路を遮断する方法も提案されている(特公平7−73024号公報参照)。
【0004】
しかしながら、この方法によれば過電流が流れたことを検出する検出手段が必要となり、また電流を転流させるための手段も必要となるなど装置構成が複雑になるという問題点があった。そのため、ヒューズの溶断部分を超電導体により構成して過電流が流れた場合に超電導体がクエンチする現象を利用したヒューズが幾つか提案されている(特開平8−236822号公報、特開平8−87948号公報)。この明細書において、「クエンチ」とは超電導体が部分的に常電動状態に転移することをいう。
【0005】
上記の先行技術文献に記載されている超電導体を用いたヒューズによれば、通常通電時の発熱は殆ど無視することができ、さらに超電導体の臨界電流値を超える電流が流れると、超電導体は速やかに常電導状態へと転移(クエンチ)するため多量のジュール熱が発生し始め、超電導体は断線し回路は開極されることになる。つまり、超電導体を用いたヒューズにおいては、通常通電電流と超電導体の臨界電流値を同程度の値に設定することにより、通常通電電流の数倍の過電流が流れると、超電導体が断線し、回路が開極するようなヒューズを非常に簡単な構成により得ることが可能となる。
【0006】
このように、従来の超電導ヒューズは超電導体を電路に直列に接続することにより構成されているので、電路に過電流が流れた場合に超電導体が溶断・破壊されて電路が遮断される。したがって、通常の通電時には超電導体のいわゆる交流損失以外の損失が発生せず温度も殆ど上昇しない。また、通常の通電電流値と超電導体の臨界電流値が近い場合には通常の通電電流より大きい過電流が流れると超電導体には速やかに発熱が生じ、過度の温度上昇や熱衝撃などにより超電導体が溶断または破壊されて回路は開極される。
【0007】
このような超電導限流ヒューズを用いる電力配電系統においては、短絡事故などにより過電流が流れるのを交流の半波(1/4サイクル)程度の時間内で阻止することが強く望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の超電導限流ヒューズを用いた過電流制御システムにおいては、短絡事故などにより過電流が流れた場合に、交流の半波(1/4サイクル)程度の時間内で阻止することが強く望まれているにも拘わらず、この程度の時間内でシステムを開くことができなかったできなかった。このような短絡事故によりヒューズが即時に切断されるようにするためには、通常のヒューズによれば定格容量に対してぎりぎりの容量にしておく必要があり、この場合には通常通電時にかなりの発熱を伴うことになる。この通常通電時の発熱を防止するために断面積の大きなヒューズを用いると、定格電流よりも遙かに大きな電流が流れなければヒューズは切断されないばかりでなく、半波程度の時間内では到底切断されないという問題がある。
【0009】
このため、電力配電系統の電路に用いられる限流ヒューズを超電導体により構成すると、通常の通電電流値が超電導体の臨界電流値以下であれば発熱はなく、それ以上の電流が電力配電系統に流れると急激に大きな抵抗が発生するため短時間で切断される。ただし、限流ヒューズに用いられる超電導体が焼結体である場合には、この超電導体の臨界電流密度は小さくなっており、この超電導体に大電流を流すために体積を大きくして構成すると、半波程度の時間内で限流ヒューズが溶断されることはなく、上記問題は解決されないことになる。したがって、半波時間内でヒューズが溶断される程度には臨界電流密度の大きい超電導体により限流ヒューズを構成する必要がある。
【0010】
本発明は上述した種々の問題を解決するためになされたものであり、電力配電系統おいて用いられた場合でも充分な臨界電流密度により半波程度の極めて短い時間内に確実に電路を開放することのできる超電導限流ヒューズおよびこれを用いた過電流制御システムを提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る超電導限流ヒューズは、電力需要側に電力供給源から必要な電力を供給する電力供給線に介挿され、前記電力供給源、電力供給線および電力需要側を含む電力系統に所定値以上の過電流が流れたときに切断される超電導部材と、この超電導部材が切断されたときに超電導部材の切断箇所を迂回して電流を供給するように前記電力供給線または超電導部材に接続された転流用の導電性部材と、を備え、前記超電導部材は、電気的絶縁性を有する絶縁基板上に積層された酸化物超電導膜により形成されており、前記酸化物超伝導膜に対してのみ液体窒素を接触させ、前記酸化物超伝導膜に臨界電流以上の電流が流れたとき前記酸化物超伝導膜は常電導に転移して発熱し、前記発熱した熱の熱衝撃及び前記熱により沸騰して気化した前記液体窒素の圧力で前記超電導部材が割れて切断されることを特徴としている。
【0020】
また、請求項に係る過電流制御システムは、電力供給源と、電力需要側と、これら電力供給源および電力需要側の間に設けられる電力供給線と、前記電力供給源、電力供給線および電力供給側を含む電力系統に所定値以上の過電流が流れたときに前記電力供給線を遮断するように設けられた限流ヒューズとを備えるものであって、前記限流ヒューズは、前記電力供給線および電力需要側を含む電力系統に所定値以上の過電流が流れたときに切断される超電導部材と、この超電導部材が切断されたときに超電導部材の切断箇所を迂回して電流を供給するように前記電力供給線または超電導部材に接続された転流用の導電性部材と、を備え、前記超電導部材は、電気的絶縁性を有する絶縁基板上に積層された酸化物超電導膜により形成されており、前記酸化物超伝導膜に対してのみ液体窒素を接触させ、前記酸化物超伝導膜に臨界電流以上の電流が流れたとき前記酸化物超伝導膜は常電導に転移して発熱し、前記発熱した熱の熱衝撃及び前記熱により沸騰して気化した前記液体窒素の圧力で前記超電導部材が割れて切断される超電導限流ヒューズであることを特徴としている。
【0022】
また、請求項1又は請求項の構成によれば、超電導部材が切断されたときに超電導材料の切断箇所を迂回して電流を供給するように前記電力供給線または超電導部材に接続された転流用の導電性部材を備えているため、電力供給線(電路)に過大電流が一時的に流れて超電導部材が切断された場合であっても、事故電流は超電導部材を迂回して例えば並列に接続されている転流用の導電性部材に流れるので、超電導限流ヒューズが設けられた配電系統を流れる電力は時間的な遅れを経ずに直ちに転流されることになる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る超電導限流ヒューズの実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。個別的な実施例を説明する前に、本発明の基本的な構成を示す第1実施形態の超電導限流ヒューズについて図1を用いて説明する。図1は第1実施形態に係る超電導限流ヒューズの構成を示す断面図である。
【0024】
図1において、超電導限流ヒューズ30は、絶縁性支持基材31上に電極32,32を設け、この電極32間に絶縁基板33と超電導薄膜34とを積層させて載置し、超電導薄膜34の縁部分に銀箔層35を介してインジウム片36をあてがった後、このインジウム片36の外端側を締め付け部材37のクランプにより固定して構成されている。
【0025】
図1においては、厚さが5mm以下、好ましくは2mm以下のSrTiO3 ,LaAlO3 ,YSZ(Y stabilized Zilconia),Al23 などの単結晶あるいは多結晶基板33上に直接あるいは基板と超電導体薄膜34との反応を防ぐバッファ層を介して成膜する。超電導薄膜34の幅および厚さは電流容量によって決まる。例えば、通常通電容量が100Aの時は臨界電流密度Jcが1×106 A/cm2 であれば1cm、厚さ1μmで良い。また、Jcが低いと厚さを増やす必要があるが通常2μm程度を超えて厚くしても臨界電流Icはふえない。したがって、膜の幅を広くするlptpが必要になるが、基板が効果になる上に動作時に破壊されにくくなり好ましくない。、よって、臨界電流密度Jcは1×105A/cm2 以上であることが望ましいことになる。幅1cm長さ10cmの基板に1μmのYBCOを成膜した後、両端1cmずつの箇所に銀箔(Ag)などの超電導体と接触抵抗が低い金属を100nmから500nm成膜し1気圧酸素中、400℃から500℃で1時間アニールした。これにより更に接触抵抗を低くすることができる。
【0026】
上記超電導部材は、図1に示すように、電気絶縁性支持基材31上に乗せてインジウム(In)などの導電性が高く展性に富んだ材料からなるワイヤー、箔あるいは板などを用いて電極32に接続する。このようにした部材に臨界電流以上の電流が流れると常伝導に転移し発熱する。その熱衝撃および周囲の液体窒素が沸騰するときの体膨張により本発明の部材は基板が薄いため割れる。
【0027】
次に、図2に示す第2実施形態に係る超電導限流ヒューズを説明する。第1実施形態と同様にして作成した超電導部材を図2に示すようにYBCOを成膜した基板33および薄膜34の両端だけを電極32により支持し、液体窒素中に浸漬する。このように基板33および薄膜34の中間を支えずに使用した場合、薄膜に臨界電流以上の電流が流れ常電動に転移して発生した熱により沸騰して気化した液体窒素の圧力で基板が割れる。以上説明したように基板ごと部材の一部がなくなるため電圧のかかっている間に十分な距離ができることおよび液体窒素中であるためアーク放電が生じにくくなり、半波時間程度の短時間でのヒューズの溶断が可能となる。
【0028】
図3に示す第3実施形態は、YBCO膜34上に設けた銀箔(Ag)35に直接あるいはInの箔などを介してボルト38を接触させて電流を流す。この場合は基板33の両端を上下でしっかり固定しているため動作時に、より破壊しやすい。なお、ボルト38は電極ブロックよりも熱膨張率の小さい材料を用いると冷却時の熱収縮により、さらに強く接触することになるので、より好ましい効果が得られる。
【0029】
その他の使用方法を以下に示す。なお、以下の実施形態においては図1と同一符号を付すことにより同一構成要素を示すものとして、重複説明を省略する。図4に示す第4実施形態においては、部材を第3実施形態とは裏表逆に取り付けることで電極ブロック32と超電導薄膜34との接触面積を大きくすることができる。
【0030】
また、図5に示す第5実施形態においては、セラミクス、硬質プラスチックなど剛性の高い絶縁体31を、基板33および超電導薄膜34よりなる部材の下面に一定の距離をおいて対向させる。離間させる距離は0.1mm以上50mm以下であり、1mm以上20mm以下であればさらに好ましい。この構成によれば気化した窒素の圧力をより効果的に使うことができ破壊力はより高くなる。
【0031】
図6に示す第6実施形態においては、一部に凹部39を設けた絶縁性支持材31上に凹部39をふさぐようにYBCO薄膜34の膜面を下にして基板33よりなる部材を取り付ける。YBCO薄膜34の発熱により凹部39内のの液体窒素が気化して導電性部材33を破壊する。
【0032】
次に、本発明に係る超電導限流ヒューズのより実用的な実施形態として第7実施形態について説明する。超電導ヒューズは、現在のところ常温では超電導状態を維持することが難しいため、何らかの冷却機構を設ける必要がある。したがって、図7に示される第7実施形態においては、図1に示す第1実施形態に係る超電導ヒューズ30を気密可能な真空容器40内に封入し、絶縁基板31上に載置する。
【0033】
真空容器40内では、コールドヘッド41を介して容器の外部より冷凍機42により冷却する。このような構成とすることにより、液体窒素を補給する必要がなくなる。コールドヘッド41がクライオポンプの役割を果たすので10−6Torr以上の真空が保たれるためYBCO薄膜の劣化がなく、また動作時に放電しにくくなり、その結果、高速動作が可能になるというこの第7実施形態に特有の効果を奏する。
【0034】
図8に示す第8実施形態に係る超電導限流ヒューズにおいては、真空容器40を図示省略して、コールドヘッド41および超電導ヒューズ30のみを示している。すなわち、コールドヘッド41上にAlN,BNなどの熱伝導率が大きな絶縁体31を介して2つの電極ブロック32を2mm以上100mm以下の距離だけ離間させて対向配置している。このような所望の距離だけ離間させて電極ブロック32を対向させることにより、超電導薄膜の冷却を充分に行なうことができると共に、アークの発生を防止することもできる。
【0035】
なお、上記第8実施形態においては、電極ブロック32の離間距離を2mm以上100mm以下として説明したが、この数値には特に限定されず、超電導薄膜34を積層した絶縁基板3の長さの0.5倍以下としても良い。この場合、例えば絶縁基板33の長さ好ましくは絶縁基板33の長さが300mm以上であるときには電極ブロック32の離間距離は150mm以下となる。さらに好ましくは、絶縁基板33の長さの0.2倍以下の距離をおいて載置するようにしても良い。電極ブロック32の離間距離がこれらの範囲から外れた場合には、上述したように、狭いときはアークが飛ぶことになり、また、広いときには超電導薄膜34の冷却が不充分になる。
【0036】
図8に示すように構成することにより、超電導薄膜33の中間部分の温度が僅かに高くなるが、過電流が流れた場合は必ずその温度の高い箇所が破壊されるという特有の効果がある。また、図8に図示のものの絶縁基板33の両面に超電導薄膜34を成膜することにより、電流容量を2倍にすることができる。
【0037】
次に、図9に示す第9実施形態に係る超電導限流ヒューズは、真空容器40およびコールドヘッド41共に図示省略されているが、電極32のブロックと2つの導電性部材33,33とそれぞれの外側の面に積層された超電導薄膜34とによりヒューズの本体を構成し、このままの状態で図示されないコールドヘッド上に載置した場合を平面図により表している。勿論コールドヘッドとヒューズ本体との間には絶縁体が介挿されている。このような図9に示す第9実施形態に係る超電導限流ヒューズを適用することによっても電流容量を2倍にすることが可能となる。
【0038】
図10に示す第10実施形態においては、超電導薄膜34の膜面同士を向き合わせるように、2つの導電性部材33のそれぞれ内側に設けるようにしている。その他の構成は図9に示す第9実施形態と同様である。このような構成の第10実施形態に係る超電導ヒューズによっても、超電導薄膜34と電極ブロック32との接触面積が増え、動作的に超電導薄膜が蒸発しても基板33間に挟まれているため大きなアークが飛ばないという特有の効果を奏する。
【0039】
また、図11に示す第11実施形態に係る超電導ヒューズは、図9および図10にそれぞれ示された第9および第10実施形態の超電導ヒューズを組み合わせた構成を有しており、導電性の基板33の両面にそれぞれ超電導薄膜34を成膜することにより電流容量は、図10に示される超電導ヒューズの2倍にすることができる。超電導限流ヒューズを大容量化するためには、このようなユニットを複数コールドヘッド上に乗せ、並列に接続すれば良い。
【0040】
次に、図12ないし図14を用いて、本発明の第12実施形態に係る超電導限流ヒューズについて説明する。この第12実施形態は、後述する過電流制御システムに用いられることに鑑みて、超電導ヒューズの構成をより実用化し易い構成として具体的な構成を提案するものであり、第1例ないし第3例を例示した。
【0041】
図12に示した第12実施形態の第1例は、超電導部材34を介してビスマス(Bi)系の銀シース超電導線61が接続されている。液体窒素等の超電導線61の冷媒62を部材34の冷却に使用でき、これにより短絡事故による過電流でケーブル全体がクエンチすることがなくなった。
【0042】
図13に示す第12実施形態の第2例は第1例のものに対して仕切り63を設け、冷媒62をしきり63の両側で別々に対流させるようにしたものである。シースに包まれたビスマス系の超電導体61の中心側の中空により供給された冷媒62は超電導体61の外周側へと循環している。このような構成によっても、超電導部材34とビスマス系超電導体61との冷却を1つの冷却機構により行なうことができる。
【0043】
図14に示す第12実施形態の第3例は、超電導ヒューズを幾つかの部材64に分割してこれをクランプ部材65によりクランプして長尺な電力供給路を一体的に形成している。図中斜線を付した絶縁部材66により所定の箇所が絶縁されており、矢印に示されるような経路により冷媒が循環されている。符号67は銀シースを有する超電導線である。
【0044】
以上のような構成により第12実施形態に係る第1例ないし第3例の超電導ヒューズにより超電導部材34の冷却とビスマス系超電導線との冷却を液体窒素により行なうことができる。このような構成により超電導ヒューズおよびこれを用いた過電流制御システムの実施化を一層容易にすることができ、上述した実施形態に適用することによって一層効果的なものとなる。
【0045】
なお、本発明に係る超電導限流ヒューズにおいては、短絡事故により過電流が流れて超電導部材が溶断・破壊されて電路が遮断された後、事故が回復したか否かを瞬時に確認し、再閉路することが必要であるが、このような課題を達成するためには、本出願人は以下のような構成を有する過電流制御システムにより電力の供給を行なうことを提案する。
【0046】
すなわち、このような過電流制御システムは、電力供給源と電力需要側との間に介挿されて定格電流以上の過電流が流れるのを阻止するものにおいて、前記定格電流以上の過電流が流れるのを阻止する超電導限流ヒューズが複数セット設けられると共に、電力需要側の機器における短絡の有無を検知する検知機構からの信号に基づいて、前記複数セットの超電導限流ヒューズが切替可能に設けられていることを特徴としている。
【0047】
このような基本的な構成を有する過電流制御システムの具体的な実施形態について、以下に説明する。まず、図15は第13実施形態に係る過電流制御システムの回路構成を示す回路図である。図15において、過電流制御システム50は電源51と負荷58の間に開閉器52,53を介して2組の超電導ヒューズ54および55が接続されている。また、負荷58と並列に開閉器56を介して電源51よりも電圧の低い小型の電源57が接続されている。
【0048】
通常は、開閉器52のみがONとなっており、負荷58が短絡すると過電流が流れようとする。この過電流が流れると、1/4サイクル以内の時間で超電導部ヒューズ54は切断される。その後、開閉器52はOFFになるが、この開閉器52をOFFとした信号に基づいて、開閉器56が負荷58の回路を閉路する。このとき、図示されない電流計などの測定装置を用いて負荷のインピーダンスを測定し、負荷58の短絡が回復している場合には開閉器56をOFFにして開閉器53をONにする。
【0049】
このようにして、回路全体としては再閉路して、その間に切断された超電導ヒューズ54を交換することができる。以上のように構成することにより、この第17実施形態に係る過電流制御システムによれば、回路を高速で再閉路することが可能になり、停電時間を短くすることができる。
【0050】
次に、図16を参照しながら第14実施形態に係る過電流制御システムについて説明する。図16において、第14実施形態に係る過電流制御システム50の超電導ヒューズ54,55のそれぞれには、抵抗値R1およびR2をそれぞれ有する抵抗59および60がそれぞれ並列に接続されている。通常は、開閉器52が閉路しているので超電導部材54にだけ電流が流れており、過電流が流れると抵抗59(R1)に電流が分流する前に超電導ヒューズ54の超電導部材が切断される。その後、直ちに開閉器52がOFFになるが、再度ONし抵抗に流れる電流を図示しない電流計で測定し定格以内である場合には、開閉器52をOFFし開閉器53をONにする。この場合、抵抗59(R1)と外部負荷58との間には以下のような関係が成り立つことが望ましい。
【0051】
0.5R≦R1≦5R
これより、抵抗値が小さいと開閉器の容量内に収まらない可能性が生じ、これよりも抵抗値が大きいと短絡が回復したか否かの判断がしにくくなるので好ましくない。
【0052】
次に、図17に示す第15実施形態に係る過電流制御システムについて説明する。図17において、通常は開閉器52がONとなり、開閉器53がOFFとなっている。負荷(図17には図示せず)側の事故により超電導ヒューズ54の超電導部材が切断された後、開閉器52は一旦OFFになるが、再度ONとなって抵抗59(R1)を介して電流を流す。このとき、電流値が定格以内であればONになるが、定格以上の場合にはその電流による電磁力の反発でONにならないような開閉器53を接続しておくと良い。これにより事故が復帰していれば超電導ヒューズ55を介して電流を供給することができ、その間に超電導ヒューズ54を交換することができる。超電導ヒューズ54が交換された後に、外部信号により開閉器53をOFFにする。
【0053】
最後に、本発明に係る超電導限流ヒューズを用いた過電流制御装置の第16ないし第21実施形態を図18ないし図23を用いて説明する。これら第16ないし第21実施形態に係る過電流制御システムは、何れも電力供給源としての発電装置71と、超電導限流ヒューズ72と、負荷73と、を少なくとも有する構成となっている。
【0054】
本発明に係る超電導限流ヒューズ72は、自己発電装置71からなる配電システムに用いると連結機器の事故で過電流が流れようとした場合に、自己発電装置71を守ることができる。すなわち、通常では定格を大きく上まわる過電流が急激に流れた場合、発電装置71の負荷73が急激に変動することにより発電装置71が破壊されてしまうことがあるからである。図18に示す第16実施形態のように、発電装置71から本発明に係る超電導ヒューズ72を介して複数の配電系統(負荷)73に分岐している場合には、定格を大きく上まわる電流が流れることは無い。
【0055】
また、図19に示す第17実施形態のように、各配電系統(負荷)73に各々本発明による超電導ヒューズ72を挿入しておくと、事故が発生した特定の負荷73の系統だけを遮断することができ、システム全体を停止させることがなくなって、より好ましい結果が得られる。また各超電導ヒューズ72の通電容量はそれぞれ小さくて済むことになる。
【0056】
さらに、システムでの使用電力に時間的変動があり、それに伴う過不足を系統の商用電力74と接続し受電あるいは売電することで対応している場合、図20に示す第18実施形態のように、発電装置71と系統の商用電力74を本発明による超電導ヒューズ72を介して接続しておくと、商用電力74側で事故が起こった場合にも自己発電装置71を守ることができるので好ましい。
【0057】
また、図21に示す第19実施形態のように、システム内の負荷73と商用電力74の間にも超電導ヒューズ75を挿入しておくと、負荷73側で事故が起こった場合に商用電力74側に影響を及ばさなくて済み、事故発電装置71にたいしても商用電力74に対しても好ましい効果がある。。
【0058】
また、図22および図23にそれぞれ示す第20および第21実施形態のような接続方法でも同様の効果が期待できる。図22に示す第20実施形態に係る過電流制御システムは、商用電力74と発電装置71との間には超電導ヒューズ75が介挿されており、商用電力74と負荷73とのそれぞれの間には超電導ヒューズ72がそれぞれ設けられている。また、図23に示す第21実施形態に係る過電流制御システムは、図19に示す第17実施形態のシステムに対して超電導ユー図75を介して商用電力74が接続されたような構成を有している。
【0059】
特に、図23に示す第21実施形態のように接続した場合には、各超電導ヒューズ72および75の容量も小さくて済み、負荷73側、商用電力74側の何れにおいて事故が発生しても、他負荷73や発装置71,商用電力74等に与える影響が少なくなる。なお、図23に示す第21実施形態を例にとると、通電容量には以下の関係が成り立つことが望ましい。
【0060】
負荷1:I1
負荷2:I2
負荷3:I3
負荷n:In
システム−商用電力間:I
最大負荷:Imaxとすると、
Imax≦I≦I1+I2+13+…+In
となる。
【0061】
なお、上述した第1ないし第21実施形態の超電導限流ヒューズおよびこれを用いた過電流制御システムにおいては、超電導体が過電流により発熱を始めてから破壊されるまでの時間は、一般に極めて小さくこのプロセスにより電路は瞬時に開極される。このため、超電導体の断線部分には回路電圧のみならず大きなサージ電圧が重畳されることになる。また、一般に過電流により超電導体の断線は局所的に発生するために断線部分の電界強度は著しく大きな値となり、超電導体断線に伴いこの部分に大規模なアークが発生することになる。ひとたび大規模なアークが発生すると、この部分での電圧降下はほとんど期待されず、電流が零となる迄大きな事故電流が流れ続けてしまうことになる。
【0062】
つまり、上述の実施形態に係る超電導限流ヒューズは、従来構成の超電導限流ヒューズと同様に、ヒューズの動作開始電流値を小さく設定することができるとはいえ、1度は大きな事故電流が流れてしまう虞がある。したがって、超電導体を用いたヒューズが高速で電流を限流または遮断し、過大な事故電流を1度でも流さないようにするためには、超電導体が破壊された場合でも過大な電圧が発生せず、大規模なアーク放電を防ぐための機能が付与されていることが望ましい。以下に説明する実施形態は、このようなアーク放電を防止する機能を付加した超電導限流ヒューズに関するものである。
【0063】
図24において、超電導限流ヒューズ1は、図示されない電力供給線に接続されている端子2と、これら端子2の対向する部分に並列に接続された超電導部材3および転流用導電性部材4と、超電導部材3および導電性部材4の対向する側面を接続する橋絡用の導電性部材5と、を備え、橋絡用の導電性部材5は、複数の電気的絶縁線6により各々がブリッジと呼ばれる複数部分、図24および図25では5つのブリッジ5aないし5eに電気的に分離されている。超電導部材3および導電性部材4,5は、図24の平面図に示されるように第22実施形態においては薄膜状に形成されており、通常の通電電流7は図24の点線により示される経路を流れている。
【0064】
超電導体の一部分が破壊された場合に大きなサージ電圧を発生させないためには事故電流を急激には零としないことが必要であり、このため、第22実施形態に係る超電導限流ヒューズにおいては、図24に示されるように、超電導部材1と導電性部材2により構成され、これらが導電性のブリッジ5aないし5eにより並列に接続されていることが必要である。このように構成されたヒューズが超電導体の転移温度以下に冷却されており、端子2より電流を流した場合、通常の通電電流7は図24の点線により示したように超電導体3を通して流れるためにほとんど発熱しない。
【0065】
一方、過大な電流が電路を流れることにより超電導部材3の一部の領域8が局所的に常伝導状態に転移(クエンチ)すると、ジュール熱が発生し始めて、これによりこの領域8の超電導体が溶断または破壊されたときには、過大電流は直ちに導電性部材4および5側に転流するようにヒューズを構成する。具体的には、図25に示すように、超電導部材3の溶断部分である領域8を迂回するブリッジ5bと5dとを介して迂回電流路9が図25の点線で示すように形成されることになる。
【0066】
ただし、事故電流が導電性材料に転流したことにより急激に抑制されるように導電性材料の抵抗を設定するとやはり過大な電圧が発生する。したがって、転流により電流を抑制しても、抑制の度合いを大きくし過ぎないように設定しなければならない。このとき発生する電圧の許容範囲は電源電圧が一つの目安となる。電力機器内部や機器のアースに対する耐電圧などは一般にこの機器に電力を供給する電源の電圧を大きく超えるものではないために、仮にヒューズ内部でアークが発生しなくてもそれ以外の場所で機器の耐電圧を超えてしまう可能性があるからである。
【0067】
一方、超電導体と導線性材料がそれぞれの両端のみで接続されている場合には超電導体が一個所でも断線すると転流電流は導電性材料の端から端まで流れることになる。したがって上に記した条件を科すと導電性材料の全抵抗は過電流が流れたときでも電源電圧程度の電圧しか発生させることができない。これは逆に言えばこのヒューズでは過電流を抑制できないことを意味する。以上のことより分かるように超電導体と導電性材料は少なくとも3ケ所以上で接続されるかまたは超電導体の表面が後述する実施形態のように面接触により導電性材料と電気的に接続されている必要がある。
【0068】
このような構成においては超電導体のどこか一個所が断線した場合、図25に示すように、過電流が導電性材料の一部の領域8を迂回して流れるように転流する。上述のように、この領域8だけでは抵抗を発生しないが、さらに過電流が流れ続けることにより、他の領域でも超電導体が断線しはじめる。これらの領域の導電性材料の抵抗分を足し上げることにより最終的には過電流を限流するのに充分な抵抗が発生するのである。以上のように超電導体のクエンチ現象を利用した限流ヒューズの場合、複数個所で超電導体が断線することが重要であるが超電導体として薄膜超電導体を用いた場合には基板との熱膨張係数の違いなどのためにバルク材を用いた場合に比べて比較的短時間で複数個所を断線させることが容易であり、ヒューズに用いる超電導体としてはより優れているといえる。
【0069】
また、超電導体表面に例えばシース等の固体絶縁を施しておくことにより、超電導体が伝導冷却されていたり冷媒の中に直接浸けられていたりして超電導体の表面が真空中または気体中に晒されている場合と比べて、よりアークの発生を防ぐことができる。
【0070】
次に、上述した第22実施形態に係る超電導限流ヒューズのより詳細な構成を有する第23実施形態に係る超電導限流ヒューズについて図26ないし図30を参照しながら説明する。図26は第23実施形態に係る超電導限流ヒューズを示す平面図、図27および図28は図26におけるI−I線、II−II線でそれぞれ切断した断面図である。図29および図30は第2実施形態に係る超電導ヒューズの作用・効果を説明するための特性図である。
【0071】
図26ないし図28において、超電導ヒューズ10は、多結晶YSZ基板(Y Stabilized Zilconia) により形成さえた基板11と、この基板11上に形成されたニッケル等の薄膜12と、ラジウム・酸化アルミニウム(LaAlO3 )等の単結晶基板13と、この単結晶基板13上に積層形成された超電導部材としての超電導薄膜14と、これら全体の表面に形成された転流用の導電性部材としてのインジウム(In)線15と、ヒューズ10の両端に設けられた端子16と、を備えている。
【0072】
この超電導ヒューズとしては、幅10mm、長さ120mmのLaAlO3 単結晶基板13上にレーザー蒸着法等により形成した超電導(YBCO)薄膜14は、厚さが約1μmであり液体窒素中での臨界電流値は150Aであった。また過電流分流用の導電性部材としては、長さ120mm、幅50mmの多結晶YSZ基板11上にスパッタ法により形成した厚さ100mmのNi薄膜12を使用した。この膜厚は後述するように、長さ2cmあたりの抵抗が1Ωとなるように決定された値である。次に、Ni薄膜12およびYBCO薄膜14が形成された面を上にして、LaAlO3 基板11を置き、約2cm間隔でIn線15を押し付けることによりYBCO薄膜14とNi薄膜12とを電気的に接続した。また両端の1cm程の領域は電流端子16として用いている。
【0073】
図26ないし図28より分かるように、この構造の超電導ヒューズ10はYBCO薄膜14が過電流により局所的に断線した場合、YBCO薄膜14を挟むように設けられているIn線15を通って長さ約2cmの領域のNi薄膜12に過電流が流れる。一方、ここで使用しているYBCO薄膜14と同じ方法で作成し、同じ臨界電流値を持つYBCO薄膜は約400Aの過電流が流れると局所的にクエンチして断線した。したがって、この長さ2cmのNi薄膜12への転流により回路電圧程度の電圧しか発生させないためには最大回路電圧をVとしたときに長さ2cmのNi薄膜12の抵抗は最大でもV/400Ω程度にしなければならない。
【0074】
この第23実施形態に係る超電導ヒューズ10の場合、最大電圧1000Vの交流電源と1Ωの回路抵抗を用いることにより50Hzの電圧を半サイクル印加する実験をおこなった。したがって第2実施形態において作成したNi薄膜12の抵抗は2cm当たり約1Ωとなるように設定している。このようにして構成した超電導ヒューズを液体窒素中で冷却し50Hz、150Aピークの連続通電を1時間行なったが、超電導ヒューズ10の温度上昇は観測されなかった。一方、過電流を通電した場合の電流波形を図29に示す。超電導体は電流が約400Aで局所的に断線し始め、その後アーク放電を発生することなしに電流を限流することに成功している。
【0075】
実験終了後にヒューズを観測したところ、YBCO薄膜14はIn線15により挟まれた領域すべてで断線していた。一方、同様の超電導特性を持つYBCO薄膜を用い、Ni薄膜12と電気的に接続する構成以外は同じ方法で作成したヒューズを用いて過電流を通電した場合の電流波形を図30に示す。これより分かるように過電流が400A程度になると一度電流は抑制されるがすぐに電流は増大し、ヒューズを用いない場合とほぼ同程度の電流が流れ続けた。ヒューズが動作した際に大きなアーク放電が発生しており過電流はこのアークを介して流れ続けたものと考えられる。
【0076】
以上の第23実施形態に係る超電導ヒューズ10においては、YBCO薄膜14と導電性材料としてのニッケル薄膜12とは、In線15を用いて電気的に接続された構成となっていたが、迂回させるための導電線の橋絡部分の構成はこのインジウム線15に限定されない。例えば、図31および図32に示す第24実施形態に係る超電導ヒューズ10Aにおいては、YBCO薄膜14の下側の表面に銀ペースト17を塗布し、この面をNi薄膜12に密着させ熱処理することにより電気的に接続させている。ただし、この第24実施形態の場合、超電導(YBCO)薄膜14を作成した面をNi薄膜12側にしているので、電流端子16を作成するためには、図31の平面図に示すように、Ni薄膜12を作成するためのYSZ基板11が10cmとなり、YBCO薄膜14よりも短くしている。図32は、図31に示された超電導限流ヒューズをIII−III線で切断した断面図である。電流端子16はNi薄膜12よりはみ出したYBCO薄膜14の両端とNi薄膜12の両端1cmの領域に銀を厚さ20μmでペースト状に蒸着して形成した。このようにして作成した第3実施形態に係る超電導ヒューズ10Aも、第2実施形態と同じ電源を用いて試験をした結果、図29および図30に示された第23実施形態のヒューズ10の特性とほぼ類似の電流波形を示し、またアークも発生しなかった。
【0077】
次に、図33を用いて、本発明の第25実施形態に係る超電導限流ヒューズについて説明する。第25実施形態の超電導限流ヒューズの構成は、図26ないし図28に示す第23実施形態に係る超電導限流ヒューズの構成と略同一である。第23実施形態の場合、導電性薄膜としてのニッケル薄膜12の抵抗を2cmあたり1000/400Ωすなわち2.5Ωに高めても過電流分流の際のサージ電圧はあまり大きくないと推定される。
【0078】
そこで、第23実施形態の超電導限流ヒューズと導電性薄膜の抵抗が2cmあたり2.5Ωであること以外には同じ構造をしたヒューズを作成して実験を行なったところ、YBCO薄膜14の表面にアーク放電が発生した。その際の電流は、図30に示す電流波形と同様の波形を示した。これは過電流が流れた際に超電導体が破壊され始める領域が狭く、サージ電圧が発生しなくても系統の電圧程度の電圧印加でも電界集中が大きくなり、アークが発生したためと考えられる。
【0079】
すなわち、過電流を転流することにより過大なサージ電圧の発生を防ぐことにより限流ヒューズの特性は大幅に向上するがその表面の絶縁特性を向上することによりさらに特性の改善が図れることが分かる。一方、酸化物超電導体の冷却には一般に液体窒素が用いられているが、この実験の場合も同様であるが、電界集中が発生した場合には固体絶縁の方が耐電圧が高いことが知られている。したがって、導電性材料によりサージ電圧を防止すると共に、超電導体表面を絶縁性の固体によりコーティングすることにより、さらにアークの発生を抑制することができる。
【0080】
そこで、第25実施形態においては、図示説明は控えるが、導電性薄膜の抵抗が2cmあたり2.5Ωであること以外は、第23実施形態のヒューズと同様の構造の超電導限流ヒューズを作成し、さらにYBCO薄膜表面を絶縁ワニスによりコーティングしたヒューズを作成した。さらに、この上にグリースを厚さ5mm程度塗布した。このグリースは、液体窒素温度では固化している。このようにして作成したヒューズを第23実施形態の場合と同じ電源により実験を行った際の特性を図33に示す。図33より理解できるように、動作時にアークは発生せず過電流は充分に限流されることを確認した。この特性は限流開始電流値は第2実施形態の超電導ヒューズと同じであるが、動作後の通過電流はほぼ半分となっており電流抑制効果が大きく改善されていることが分かる。
【0081】
次に、第26実施形態に係る超電導限流ヒューズについて、図34ないし図36を参照しながら詳細に説明する。この第26実施形態に係る超電導ヒューズ20は全体の形状としては図36に示すように円筒形状を有しており、芯となる超電導円柱23の外周に所定の距離ずつ離隔させて銀線24を巻回させ、円柱23の外周側を導電性部材としての半円筒21を2つ合わせて包囲する構成となっている。半円筒21の前記銀線24に対応する箇所には層状にニッケル薄膜22が介挿されている。
【0082】
この第26実施形態においては、図35に示すように、液体窒素中の臨界電流値が500A(アンペア)の実効値を有し、かつ、直径0.3cm、長さ15cmの円筒形状を有するビスマス系のバルク材より構成された超電導体23を用いている。また、図34に示すように、転流用導電性部材としては、図35に示された円筒状の超電導体23を中に入れることのできる寸法である外径5cm、内径直径0.4cm、長さ13cmのセラミック材料よりなる円筒体を縦に2分し、内側に転流用の金属線が入る溝が形成された導電性半円筒部材21を用い、その表面にスパッタ法により介挿されたNi薄膜22が挟み込まれている。
【0083】
本第26実施形態のヒューズ20は、Ni薄膜を作成した部材を2つ用いて超電導体を包み込むように構成した。この際セラミック材利用の表面にあるNi薄膜と中心にある超電導体とを電気的に接続するために、まず、図35に示すように約2cm間隔で銀線24を超電導体の周りに設け、さらに熱処理によって接触抵抗を低減したものを半円筒状のセラミック性の部材2つで挟み込みさらに余った銀線をNi薄膜を作製したセラミック性材料の表面に巻き付け、再度熱処理により電気的に接続した。このヒューズの外観は図36に示すようになっている。ただし、実際に作成されたヒューズ20は、その両端2cmの領域にも銀により電流端子25が形成されている。
【0084】
転流用Ni薄膜22の直径が超電導体と比べて非常に大きいのは転流時の温度上昇で金属薄膜自身が損傷しないように面積当たりの熱負荷を低減する目的で全体の面積を増加させたためである。この第26実施形態に係る超電導限流ヒューズ20を最大電圧1000V、回路抵抗が0.2Ωの回路に装着して試験を行なったところ、過電流が1.5kとなったときに超電導体は断線したがその後アークを発生することもなく電流を抑制することに成功した。
【0085】
なお、この超電導体23と同様の超電導体は約1.5kAで断線することが分かっているので、長さ2cmあたりのNi薄膜22の抵抗は1000/1500Ωより小さくしておくことが重要であり、実際に作成したヒューズの場合には約0.5Ωとしている。このように設定しておくことにより、超電導体23が多くの箇所で破損した場合には3Ω程度の抵抗が発生することが期待されるのに対して、実際の実験において発生した抵抗は2.8Ωであり、ほぼ予想どおりの抵抗が発生した。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の超電導限流ヒューズによれば電力系統に過電流が流れても絶縁基板に設けられた超電導薄膜が瞬時に溶断され、絶縁基板も同時に破壊されるので、過電流により超電導体が断線した際に交流の半波(1/4サイクル)時間程度の時間で電路を直ちに遮断することができる。また、瞬間的に電路が開かれるために大きなサージ電圧や局所的な電界集中が発生せず、その結果アークを生じさせることなく過電流を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の超電導限流ヒューズを示す断面図。
【図2】本発明の第2実施形態の超電導限流ヒューズを示す断面図。
【図3】本発明の第3実施形態の超電導限流ヒューズを示す断面図。
【図4】本発明の第4実施形態の超電導限流ヒューズを示す断面図。
【図5】本発明の第5実施形態の超電導限流ヒューズを示す断面図。
【図6】本発明の第6実施形態の超電導限流ヒューズを示す斜視図。
【図7】本発明の第7実施形態の超電導限流ヒューズを示す断面図。
【図8】本発明の第8実施形態の超電導限流ヒューズを示す断面図。
【図9】本発明の第9実施形態の超電導限流ヒューズを示す断面図。
【図10】本発明の第10実施形態の超電導限流ヒューズを示す断面図。
【図11】本発明の第11実施形態の超電導限流ヒューズを示す断面図。
【図12】本発明の第12実施形態の超電導限流ヒューズの第1例を示す断面図。
【図13】本発明の第12実施形態の超電導限流ヒューズの第2例を示す断面図。
【図14】本発明の第12実施形態の超電導限流ヒューズの第3例を示す断面図。
【図15】本発明の第13実施形態の過電流制御システムを示す回路図。
【図16】本発明の第14実施形態の過電流制御システムを示す回路図。
【図17】本発明の第15実施形態の過電流制御システムを示す回路図。
【図18】本発明の第16実施形態の過電流制御システムを示すブロック図。
【図19】本発明の第17実施形態の過電流制御システムを示すブロック図。
【図20】本発明の第18実施形態の過電流制御システムを示すブロック図。
【図21】本発明の第19実施形態の過電流制御システムを示すブロック図。
【図22】本発明の第20実施形態の過電流制御システムを示すブロック図。
【図23】本発明の第21実施形態の過電流制御システムを示すブロック図。
【図24】本発明の第22実施形態に係る超電導限流ヒューズを示す平面図。
【図25】図24に示す第22実施形態において過電流が流れた際の転流を示す平面図。
【図26】本発明の第23実施形態に係る超電導限流ヒューズを示す平面図。
【図27】図26に示された超電導ヒューズをI−I線により切断した断面図。
【図28】図26に示された超電導ヒューズをII−II線により切断した断面図。
【図29】本発明の第23実施形態の超電導限流ヒューズの電流特性を示す波形図。
【図30】第23実施形態との比較のために作成した転流部分を有しないヒューズの電流特性を示す波形図。
【図31】本発明の第24実施形態の超電導限流ヒューズを示す平面図。
【図32】図31に示された超電導ヒューズをIII−III線により切断した断面図。
【図33】本発明の第25実施形態の限流ヒューズの特性を示す電流特性を示す波形図。
【図34】第26実施形態に係る超電導ヒューズのセラミック基板を示す斜視図。
【図35】第26実施形態に用いられる超電導体を示す斜視図。
【図36】第26実施形態の超電導限流ヒューズを組立てた状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1 超電導限流ヒューズ
3 超電導部材(超電導薄膜)
4 導電性部材
5 転流用導電性部材(ブリッジ)
7 通常通電路
8 溶断領域
9 溶断時通電路
10 超電導限流ヒューズ
11 多結晶化合物基板
12 導電性部材(ニッケル薄膜)
13 単結晶基板
14 超電導部材(薄膜)
15 転流用導電性部材(インジウム線)
16 端子
17 銀ペースト
20 超電導限流ヒューズ
21 半円筒導電性部材
22 ニッケル薄膜
23 超電導部材(円柱)
24 銀線
25 銀電流端子
30 超電導限流ヒューズ
32 電極
33 絶縁基板
34 超電導薄膜
35 銀ペースト
36 インジウム線
40 真空容器
41 コールドヘッド
42 冷却装置
50 過電流制御システム
51 電直供給源
52,53 開閉器
54,55超電導限流ヒューズ
58 電力需要側(負荷)
61 超電導線
71 電力供給源(発電装置)
72 超電導限流ヒューズ
73 電力需要側(負荷)
74 電力供給源(商用電力)
75 超電導限流ヒューズ

Claims (4)

  1. 電力需要側に電力供給源から必要な電力を供給する電力供給線に介挿され、前記電力供給源、電力供給線および電力需要側を含む電力系統に所定値以上の過電流が流れたときに切断される超電導部材と、この超電導部材が切断されたときに超電導部材の切断箇所を迂回して電流を供給するように前記電力供給線または超電導部材に接続された転流用の導電性部材と、を備え、前記超電導部材は、電気的絶縁性を有する絶縁基板上に積層された酸化物超電導膜により形成されており、前記酸化物超伝導膜に対してのみ液体窒素を接触させ、前記酸化物超伝導膜に臨界電流以上の電流が流れたとき前記酸化物超伝導膜は常電導に転移して発熱し、前記発熱した熱の熱衝撃及び前記熱により沸騰して気化した前記液体窒素の圧力で前記超電導部材が割れて切断されることを特徴とする超電導限流ヒューズ。
  2. 前記酸化物超伝導膜は、前記絶縁基板の前記液体窒素と接触する一表面の前面に積層されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導限流ヒューズ。
  3. 電力供給源と、電力需要側と、これら電力供給源および電力需要側の間に設けられる電力供給線と、前記電力供給源、電力供給線および電力供給側を含む電力系統に所定値以上の過電流が流れたときに前記電力供給線を遮断するように設けられた限流ヒューズと、を備える過電流制御システムであって、前記限流ヒューズは、前記電力供給線および電力需要側を含む電力系統に所定値以上の過電流が流れたときに切断される超電導部材と、この超電導部材が切断されたときに超電導部材の切断箇所を迂回して電流を供給するように前記電力供給線または超電導部材に接続された転流用の導電性部材と、を備え、前記超電導部材は、電気的絶縁性を有する絶縁基板上に積層された酸化物超電導膜により形成されており、前記酸化物超伝導膜に対してのみ液体窒素を接触させ、前記酸化物超伝導膜に臨界電流以上の電流が流れたとき前記酸化物超伝導膜は常電導に転移して発熱し、前記発熱した熱の熱衝撃及び前記熱により沸騰して気化した前記液体窒素の圧力で前記超電導部材が割れて切断される超電導限流ヒューズであることを特徴とする超電導限流ヒューズを用いた過電流制御システム。
  4. 前記酸化物超伝導膜は、前記絶縁基板の前記液体窒素と接触する一表面の前面に積層されていることを特徴とする請求項3に記載の超電導限流ヒューズを用いた過電流制御システム。
JP06928299A 1999-03-15 1999-03-15 超電導限流ヒューズおよびこれを用いた過電流制御システム Expired - Fee Related JP4131769B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06928299A JP4131769B2 (ja) 1999-03-15 1999-03-15 超電導限流ヒューズおよびこれを用いた過電流制御システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06928299A JP4131769B2 (ja) 1999-03-15 1999-03-15 超電導限流ヒューズおよびこれを用いた過電流制御システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000268700A JP2000268700A (ja) 2000-09-29
JP4131769B2 true JP4131769B2 (ja) 2008-08-13

Family

ID=13398126

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06928299A Expired - Fee Related JP4131769B2 (ja) 1999-03-15 1999-03-15 超電導限流ヒューズおよびこれを用いた過電流制御システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4131769B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015102311A1 (ko) * 2013-12-31 2015-07-09 주식회사 효성 고전압 dc 차단기

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030076770A (ko) * 2002-03-21 2003-09-29 한국전력공사 초전도체를 이용한 한류퓨즈의 제조방법
JP5202528B2 (ja) * 2006-09-06 2013-06-05 シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト 電力変換器
RU206406U1 (ru) * 2021-06-04 2021-09-09 Общество с ограниченной ответственностью "Энергетическая безопасность" (ООО "Энергетическая безопасность") Высоковольтный предохранитель с высокотемпературной сверхпроводящей вставкой
EP4343810A1 (en) * 2022-09-21 2024-03-27 Airbus SAS Improved power fuse and aircraft comprising such a power fuse
CN119069320B (zh) * 2024-05-09 2025-09-05 西安交通大学 一种带狭颈的超导限流熔断开关

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015102311A1 (ko) * 2013-12-31 2015-07-09 주식회사 효성 고전압 dc 차단기
US10176939B2 (en) 2013-12-31 2019-01-08 Hyosung Heavy Industries Corporation High-voltage DC circuit breaker for blocking current flowing through DC lines

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000268700A (ja) 2000-09-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5828291A (en) Multiple compound conductor current-limiting device
EP0315976B1 (en) Superconducting current limiting apparatus
CN101681981B (zh) 故障电流限制高温超导电缆及其配置方法
JP3073993B2 (ja) 障害電流制限器
JPH04359626A (ja) 限流装置
JP2007158292A (ja) 抵抗型超電導限流器
Kraemer et al. Test of a 1 kA superconducting fault current limiter for DC applications
JP4131769B2 (ja) 超電導限流ヒューズおよびこれを用いた過電流制御システム
JP2000032654A (ja) 酸化物超電導体を用いた限流素子および限流装置
JP3977884B2 (ja) 酸化物超電導体を用いた限流素子、限流器およびその製造方法
JP4644779B2 (ja) 超電導限流素子
Tixador et al. Operation of an SCFCL at 65 K
JP3569997B2 (ja) 超電導装置用電流リード
JP2009049257A (ja) 超電導限流素子
RU2770419C1 (ru) Высоковольтный предохранитель с высокотемпературной сверхпроводящей вставкой и токоограничитель c таким предохранителем
Peroz et al. Current limitation properties of YBa2Cu3O7− δ/Au thin films: application to transformer connection
KR100819346B1 (ko) 전력공급 안정화 장치
EP1747593B1 (en) Fault current limiter
CN222320147U (zh) 一种断路器动触头的连接结构
CN1218300A (zh) 限流器
JPS6439230A (en) Protective device for superconducting circuit
JP5472682B2 (ja) 超電導限流素子
JPH01286733A (ja) 限流ユニット
CA2177169C (en) Current-limiting device
JPH01303020A (ja) 限流器及び限流装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040723

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040730

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040924

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050520

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050714

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060314

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060512

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20060517

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20060707

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080528

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110606

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110606

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120606

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees