JP2008118121A - 超電導素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】超電導線路の抵抗の大きさを十分な大きさにするとともに、少ない材料で製造可能な超電導素子であり、また、交流応用に適した超電導素子を提供する。
【解決手段】超電導素子10は、絶縁体または金属からなる基板11と、大面積の超電導薄膜12、超電導薄膜12上に蒸着によって所定の膜厚に形成された常電導金属層13を有し、常電導金属層13には露出部14が設けられ、超電導薄膜12が露出している。基板11はサファイア等からなる絶縁体基板または、ニッケル、銀系の配向金属、または、ニッケルを主成分とし、モリブデンやクロム、鉄などの成分を含んだニッケル系合金等の無配向金属が好ましく、特にサファイア等からなる絶縁体基板が適している。また、超電導薄膜12は、YBCO等の高温超電導薄膜が好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、線路に流れる短絡電流等の過大な電流を限流する超電導素子に関するものである。
超電導体を用いた超電導素子としては、携帯電話の受信用フィルタや超電導限流器がある。ここで、超電導限流器は、液体窒素温度(66〜77.3 K)で動作する超電導薄膜を電力系統に直列接続し、短絡事故時の電流の増大とともに前記超電導薄膜を超電導状態(S)から常電導状態(N)に転移させ、その常電導抵抗によって系統電流を抑制するものであり、SN転移抵抗型限流器とも呼ばれている。
一般に、超電導薄膜は、局所的な臨界電流密度のばらつきがあるため、事故直後の限流初期時に臨界電流密度の小さい部分はまず常電導転移するものの、全体は常電導転移しないため、結果として超電導薄膜には大きな電流が流れ続ける。しかしながら、常電導転移した部分で発生する熱の拡散が遅い場合には、超電導薄膜は局所的に温度が上昇してその部分の超電導薄膜が焼損してしまう。このような現象をホットスポット現象と呼ぶ。ホットスポットを防止するためには、金や銀等の純金属を超電導薄膜の上に蒸着して常電導転移時の分流層(焼損防止のための保護層)として用いる方法がある。しかしながら、純金属の抵抗率は酸化物の超電導薄膜の常電導時の抵抗率よりも約2桁低いため限流素子を有する超電導線路の抵抗を大きく低下させるだけでなく、限流時に発熱量が増大するため超電導薄膜の分担電界を大きく低下させてしまう。その結果として、高価な超電導薄膜の必要量が大きくなり、コスト面で大変不利であった。純金属を非常に薄く、かつ均一に、超電導薄膜の上に蒸着することができれば、抵抗の低下の問題を解決することができるが、そのような蒸着技術が実現可能かどうかは不明であり、仮にそれが可能であったとしても、それがホットスポットの問題の解決につながるかどうかは明らかではない。
更に、純金属よりもはるかに高い抵抗率を有する合金層を超電導薄膜に蒸着することにより、超電導線路の抵抗を大きく低下することなく超電導薄膜のホットスポット問題を解決する超電導素子の開発も進められている。特許文献1には、金と銀の2元合金層又は金と銀に他の元素を加えた多元合金層を超電導薄膜上に形成した超電導限流素子が開示されている。また、特許文献2には、焼損防止のための保護層の形状を変化させることにより、保護層の抵抗に分布を持たせて、保護層の溶断を抑制する方法が開示されている。
国際公開番号WO2006/001226号公報 特開平8−321638号公報
しかしながら、特許文献1に開示された保護層に合金層を用いた超電導素子においても、合金層を超電導薄膜上全体に形成しているために、純金属よりも高い抵抗ではあるが、超電導線路の抵抗を十分な大きさにしていない。また、保護層の形状を変化させている超電導素子では、保護層を超電導薄膜上全体に形成する際に連続的に保護層の厚さを変化させている。しかし、この方法での保護層の膜厚制御は困難であり、実現させるためには高度な技術を要する。また、限流素子などでは交流損失が生じないことが理想とされている。しかし、交流応用時に超電導薄膜を用いた場合にも交流損失は存在し、従来から交流損失の低減が求められている。
そこで、本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、従来よりも、超電導線路の抵抗の大きさを十分な大きさにするとともに、少ない材料で製造可能な超電導素子であり、また、交流応用に適した超電導素子を提供することを目的とする。
第1の発明である超電導素子の第1の態様は、基板上に形成された超電導薄膜と、前記超電導薄膜上に形成された常電導金属層とを有し、前記超電導薄膜が部分的あるいは全面的に常電導転位したときに、前記超電導薄膜を流れていた電流が前記常電導金属層に転流するようにした超電導素子であって、前記常電導金属層において前記超電導薄膜が露出した状態の露出部を有していることを特徴とする。前記露出部は、前記常電導金属層を部分的に絶縁状態とするものであればよく、空気でも樹脂によるものでも良い。また露出部の形状はどのような形であっても良い。
第1の発明である超電導素子の第2の態様は、前記常電導金属層が、金、銀、銅、ニッケルからなる群の少なくとも1種の純金属または少なくとも1種を含む合金からなることを特徴とする。
第1の発明である超電導素子の第3の態様は、前記常電導金属層上に絶縁膜を有したことを特徴とする。この絶縁膜は、樹脂により形成することができる。
第1の発明である超電導素子の第1の態様によれば、常電導金属層に露出部を設けることにより、十分に超電導線路の抵抗を高くすることができる。また、露出部によって用いる常電導金属を最低限に抑えることで、常電導金属層の材料コストも抑えることができる。また、露出部の形状を様々変化させると、常電導金属層の抵抗値をその膜厚さを変化させることなく用途に適した値にすることができる。更に、常電導金属層の面積が分割されることにより常電導金属層において環状に流れる誘導電流がループする面積が小さくなり、交流応用時の交流損失が従来の常電導金属層を用いた場合よりも小さくすることができる。
第1の発明である超電導素子の第2の態様によれば、常電導金属層が金、銀、銅、ニッケルからなる群の少なくとも1種の純金属または少なくとも1種を含む合金からなることにより超電導層、たとえばYBCO膜の超電導特性を劣化させることなくある程度高抵抗の常伝導層を構成することができる。さらに、合金を用いることで、超電導線路の抵抗をより好ましい高抵抗にすることができる。
第1の発明である超電導素子の第3の態様によれば、常電導金属層上に絶縁膜を設けることで、超電導素子の機械的強度を向上させることができる。
以上のことから、本発明によれば、従来よりも、超電導線路の抵抗を十分な大きさにするとともに、少ない材料で製造可能な超電導素子であり、機械的強度の十分な交流応用に適した超電導素子を提供することができる。
図面を参照して本発明の好ましい実施の形態における超電導素子について詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る超電導素子の構成を示す断面図である。同図において、本実施形態の超電導素子10は、絶縁体または金属からなる基板11と、大面積の超電導薄膜12、超電導薄膜12上に蒸着によって所定の膜厚に形成された常電導金属層13を有し、常電導金属層13には露出部14が設けられ、超電導薄膜12が露出している。
本発明の実施の形態として、基板11はサファイア等からなる絶縁体基板または、ニッケル、銀系の配向金属、または、ニッケルを主成分とし、モリブデンやクロム、鉄などの成分を含んだニッケル系合金等の無配向金属が好ましく、特にサファイア等からなる絶縁体基板が適している。また、超電導薄膜12は、YBCO等の高温超電導薄膜が好ましい。常電導金属層13は、空気中で安定であり、かつ、超電導薄膜12と反応しない金、銀、銅、ニッケル等が好ましい。金、銀、銅、ニッケル等から少なくとも1種を含んだ合金を用いる場合には、金に7〜82wt%の銀を混ぜた組成を用いると、室温の抵抗率が純金と比較して2倍以上となるため、超電導素子の構成上好ましい。特に、金に23wt%の銀を混ぜた組成の合金は、室温の抵抗率が純金と比較して約5倍と最大となり、最適と考えられる。合金の場合、2元合金に限定されることなく、金と銀に他の元素を加えた多元合金を用いた場合も同様の効果が得られる。
超電導薄膜12に常電導金属層13を蒸着する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法等、様々な方法を用いることが出来る。
本発明の第1の実施の形態に係る超電導素子の構成を図2に上面図で示す。この実施の形態では、長手方向に断続的に形成された少なくとも1列の露出部14により、常電導金属層13が格子状に形成され、常電導金属層13が幅方向にも導通している。このとき、超電導薄膜12は露出し、常電導金属層13と超電導薄膜12は部分的に絶縁状態である。
本発明の第2の実施の形態に係る超電導素子の構成を図3に上面図で示す。この実施の形態では、常電導金属層13は、電流が流れる長手方向に導通し、露出部14が電流の流れる長手方向に形成され、かつ少なくとも1本の露出部14が常電導金属層13を少なくとも2つ以上に分離させることにより、常電導金属層13がストライプ状に形成されている。このとき、超電導薄膜12は露出し、常電導金属層13と超電導薄膜12は部分的に絶縁状態である。
本発明の第3の実施の形態に係る超電導素子の構成を図4に上面図で示す。この実施の形態では、露出部14が電流の流れる長手方向に形成され、かつ少なくとも1本の露出部14が常電導金属層13を少なくとも2つ以上に分離させる。このときの露出部14の幅方向長さが長手方向で変化している。このとき、超電導薄膜12は露出し、常電導金属層13と超電導薄膜12は部分的に絶縁状態である。図4のように常電導金属層13の幅を狭く形成することで、図3のストライプ状に直線で構成されたものより抵抗を高くすることができる。
本発明の第4の実施の形態に係る超電導素子の構成を図5に上面図で示す。この実施の形態では、常電導金属層13が幅に対して斜め方向および長手方向に導通するように、所定の箇所に露出部14が形成されている。このとき、超電導薄膜12が露出することにより、常電導金属層13と超電導薄膜12は部分的に絶縁状態である。なお、このときの露出部14は、円形や四角形、三角形など様々な形状を用いることが可能であり、露出部14の配置に規則性は求めない。
本発明の第1乃至第4の実施の形態に係る露出部14は、超電導薄膜12上に常電導金属層13を形成し、その後エッチングを行うか、超電導薄膜12上に常電導金属層13を蒸着する際にマスク等を用いて形成することが可能であるが、本発明の実施の形態では超電導薄膜12上に常電導金属層13を蒸着する際にマスクを用いて形成することが好ましい。
なお、蒸着法で図2のような格子状パターンを作製する場合、直交したスリットを2個用意して、各1回蒸着を行い、結果的に計2回の蒸着が必要となる。しかし、図4のように常電導金属層13を格子状に近い形状にすることで、蒸着を1回で済ませることができる。
図6は本発明の第5の実施の形態に係る超電導素子の構成を示す断面図である。同図において、本実施形態の超電導素子10は、図1に示した第1の実施の形態のうち金属基板について更に、常電導金属層13上に樹脂からなる絶縁膜15を形成したものである。このとき、絶縁膜は液体窒素温度(66〜77.3 K)でも割れないエポキシ樹脂やフッ素樹脂であることが好ましい。
図7は従来の実施形態の超電導素子の構成を示す断面図である。同図においては、常電導金属層23が超電導薄膜22の面積と同じ面積を有し、更に常電導金属層23の厚さはどの位置においても一定である。そのため、超電導薄膜22において、特に常電導転移の起こりやすい部分で最も分流電流が大きい部分に対応した抵抗値を有した常電導金属部分の厚さに、常電導金属層23全体の厚さを合わせなければならず、常電導金属層23に合金を用いた場合でも、十分な高さの抵抗値に達していなかった。
しかしながら、本発明の第1乃至5の実施の形態を用いることによって、本発明の常電導金属層13と従来の常電導金属層23が同じ材料であった場合には、本発明の常電導金属層13の抵抗値は露出部14を設けることによって、十分に超電導線路の抵抗を高くすることができ、また、常電導金属層13の材料コストも抑えることができる。更に、常電導金属層13の抵抗値を金属膜の厚さを変化させずに用途に適した値にすることができる。また、常電導金属層13の面積が分割および減少されたために、常電導金属層13において環状に流れる電流がループする面積が小さくなり、交流応用時の交流損失が従来の常電導金属層23を用いた場合よりも小さくすることができる。
また、本発明の第1乃至5の実施の形態による超電導素子10と並列に純金属または合金からなる線材で作成された分流抵抗を接続することにより、常電導金属層13の抵抗をより高くすることができた超電導限流素子は、従来の超電導素子20を用いた超電導限流素子よりも高い電圧下で限流動作を行うことが可能となった。
次に、本発明の好適な実施例を説明する。
本実施例では、図2に示すような長手方向に断続的に形成された少なくとも1列の露出部14により、常電導金属層13が格子状に形成された超電導素子10を以下のように作製した。
図2のA−A断面図である図1のように、厚さ2mm×幅(W)30mm×長さ170mmの基板11上に、厚さ40nmの中間層16が形成され、この中間層16上に厚さ200nmの超電導薄膜12及び厚さ200nmの常電導金属層13が形成されている、超電導素子10を用いた。このとき、露出部14は、それぞれw、w、w、w・・・の幅で形成されるが、本実施例においては、露出部14は全てw=5mm、l=5mmからなる正方形形状に形成されている。
本実施例での超電導素子10は、以下のようにして製造される。サファイアからなる絶縁体基板11の表面に、エレクトロンビーム蒸着装置を用いて、蒸着部位の配向基板温度を約800℃に加熱してCeO2を、約40nmの厚さに成膜し、中間層16を形成した。
次に、YBCO超電導体からなる超電導薄膜12を、MOD法によって、約200nmの厚さに形成した。
そして、超電導薄膜12の上面の長さ(l1)方向における両端の10mmずつにAgを蒸着して電極とした。また、中央部の150mmにw=5mm、l=5mmからなる正方形形状の露出部14と常電導金属層13を図2のように形成した。このとき、図2の露出部14の形態と同様に所定位置に孔が形成されたマスクを用い、Auを高周波スパッター装置を用いて約50nmの厚さに蒸着し、露出部14と常電導金属層13を形成した。このときの露出部14の形成数を調整して、常電導金属層13の幅の全長(W−Σw;n=1,2,・・・)、つまり超電導薄膜12の幅Wから露出部14の幅wを除いた長さが超電導薄膜12の幅長さに対して30〜90%となるように形成した。このようにして得た超電導素子10は、液体窒素(77K)に浸漬した状態で通電して、1μV/cm定義での臨界電流を計測したところ、200Aであった。
比較例として図7のような超電導薄膜22の全面に常電導金属層23を形成した超電導素子20を、常電導金属層の形状以外は本実施例と同じ構成で作製した。超電導素子20は、液体窒素(77K)に浸漬した状態で通電して、1μV/cm定義での臨界電流を計測したところ、200Aであった。
本実施例では、超電導薄膜12の上面に、常電導金属層13の幅の全長(W−Σw;n=1,2,・・・)の超電導薄膜12の幅Wに対する割合(W−Σw)/Wを50%の長さに形成することで、超電導素子10の77Kでの抵抗値が、比較例の超電導素子20の抵抗値(約2オーム)と比較して、約2倍となった。なお、常電導金属層13の幅の全長(Σw;n=1,2,・・・)を超電導薄膜12の幅の全長Wの1/nとすると、比較例の超電導素子20の抵抗値と比較して本実施例の抵抗値はn倍となる。
このように構成される超電導素子10について、常電導金属層13の幅の全長(W−Σw;n=1,2,・・・)の超電導薄膜12の幅Wに対する割合(W−Σw)/Wを表1のように変化させた場合に、以下のような限流試験を行なった。図8はこの試験で用いた測定回路を示す図である。図8のように、作製した超電導素子10に、5オームの負荷抵抗31を直列に接続し、それを短絡させるためのスイッチ32を並列に接続した。この回路に、交流電源33より300Vの交流電圧を印加し、負荷短絡前のピーク電流値を電流計34により測定した。結果を表1にまとめる。
Figure 2008118121
限流試験は、電力系統の短絡事故を模擬するため、超電導素子10にピーク値が約40Aの交流電流が流れている状態から、瞬時に高電圧を印加した。瞬間的に超電導素子10にピーク値が約80Aの交流の過電流が流れ、超電導薄膜12は常電導状態に転移し、超電導薄膜12に流れていた過電流は常電導金属層13に転流して、過電流は瞬時に限流された。
表1より明らかなように、常電導金属層13の幅の全長を超電導薄膜12の幅の全長に対して削減することで、抵抗値を十分に高くすることができた。しかし、常電導金属層13の幅の全長が超電導薄膜12の幅の全長に対して40%以下の場合には、超電導素子が焼損してしまう。よって、超電導素子の焼損を防ぐことから、常電導金属層13の幅の全長を超電導薄膜12の幅の全長に対する割合は、好ましくは40%より高いものである必要がある。また、抵抗値がより十分に高くなる70%以下がより好ましい。なお、本実験では、純金属として銀を使用したが、それ以外にも金、銀、銅、ニッケルの純金属を用いることでも、同様の効果を得ることができる。
本実施例では、実施例1と同様の厚さ2mm×幅30mm×長さ170mmの基板11上に、厚さ40nmの中間層16が形成され、この中間層16上に厚さ200nmの超電導薄膜12及び厚さ200nmの常電導金属層13が形成されている、超電導素子10であって、図2のように露出部14と常電導金属層13を実施例1と同様に形成した。
Au−23wt%Ag合金を高周波スパッター装置を用いて約200nmの厚さに蒸着し、露出部14と常電導金属層13を形成した。このときの常電導金属層13の超電導薄膜12に対する幅長さの割合は50%とした。このようにして得た超電導素子10は、液体窒素(77K)に浸漬した状態で通電して、1μV/cm定義での臨界電流を計測したところ、200Aであった。
このように構成される超電導素子10について、実施例1と同様の限流実験を行なった。結果を表2にまとめる。ここでの実施例1は実施例2と同様に、常電導金属層13の超電導薄膜12に対する幅長さの割合は50%とした。
Figure 2008118121
表2より明らかなように、本実施例の超電導素子10は実施例の超電導素子20と同様に、電流を抑制することができる。更に、常電導金属層材料が純金属であった実施例1に比べても、本実施例では、約5倍の抵抗値となり、短絡後の電流をより抑制することができる。なお、本実施例においては、Au−23wt%Ag合金を用いたが、Agの割合は、室温の抵抗率が純金と比較して2倍以上となる、7〜82wt%の範囲内であればよい。本実施例においては、Au−Ag合金を用いたが、これ以外にも金、銀、銅、ニッケルをベースとした合金を用いても同様の効果を得ることができる。例えば、市販の18金(金75、銀12.5、銅12.5wt%)のように金と銀に他の元素を加えた多元合金を用いた場合も同様の効果が得られる。
本実施例では、厚さ2mm×幅30mm×長さ170mmのNi−5at%W金属基板11上に、実施例2と同様に、厚さ40nmの中間層16が形成され、この中間層16上に厚さ200nmの超電導薄膜12及び厚さ200nmの常電導金属層13が形成された超電導素子10に、更に常導電導金属層13上に厚さ100μmのエポキシ樹脂からなる絶縁膜15を形成した超電導素子20を作製した。この絶縁膜15は、塗布によって形成した。
このように構成される超電導素子10について、機械特性評価として、引張り歪み試験を実施した。当該引っ張り試験は室温で行いその後液体窒素に浸漬して臨界電流値を測定した。引っ張り強度は無負荷の状態の臨界電流値の95%以上維持できる強度と定義している。このときの結果を表3に示す。なお、限流実験では、実施例1と同等の結果を得ることができた。
Figure 2008118121
表3から明らかなように、絶縁膜15を露出部14および常電導金属層13の上に形成することで、引張り強さが、増大した。従って、絶縁膜15を露出部14および常電導金属層13の上に形成することにより、超電導素子10の機械的強度を向上させることが可能となった。なお、本実施例では、エポキシ樹脂を使用したが、例えばテフロン(登録商標)などのフッ素樹脂を用いても同様の効果を得ることができる。また、絶縁膜15の厚さは、50〜100μmで形成することが好ましく、50μm未満の場合には、超電導素子10自体が薄いものであるため、十分な強度が得られず曲げの際に特性が劣化してしまうという問題が生じ、100μmより厚くなる場合には、超電導素子10が厚くなってしまい、冷媒による冷却の観点から問題が生じてしまう。
以上より、本発明の常電導金属層13と従来の常電導金属層23が同じ材料であった場合には、本発明の常電導金属層13の抵抗値は露出部14を設けることによって、十分に超電導線路の抵抗を高くすることができ、また、常電導金属層13の材料コストも抑えることができる。更に、常電導金属層13の抵抗値を金属膜の厚さを変化させずに用途に適した値にすることができる。また、常電導金属層13の面積が分割および減少されたために、常電導金属層13において環状に流れる電流がループする面積が小さくなり、交流応用時の交流損失が従来の常電導金属層23を用いた場合よりも小さくすることができる。また、常電導金属層13を合金化することで、超電導線路の抵抗をより好ましい高抵抗にすることができる。更に、絶縁膜15を露出部14および常電導金属層13の上に形成することにより、超電導素子10の機械的強度を向上させることができる。
更に、図9に示すように、常電導転移後の超電導薄膜12と常電導金属層13の合成抵抗よりも十分小さい抵抗値を有する、マンガニン(銅とマンガンの合金)からなる線材で作成された外付けの分流抵抗17(約1オーム)を、本実施例の超電導素子10の超電導薄膜12と並列に接続することにより超電導限流素子(A)を形成した。また、比較例の超電導素子20を用いて同様に超電導限流素子(B)を形成した。この超電導限流素子(A)および(B)について、限流試験を行ったところ、分流抵抗17によって、超電導素子10が負担していた電流を軽減することができ、超電導素子10の発熱を抑えることができた。また、このような構成の場合にも、本実施例の超電導素子10を用いた超電導限流素子(A)の方が、比較例の超電導素子20を用いた超電導限流素子(B)よりも高い通電電流における限流動作を行うことが可能となった。
以上のことから、本発明によれば、従来よりも、超電導線路の抵抗を十分な大きさにするとともに、少ない材料で製造可能な超電導素子であり、機械的強度の十分な交流応用に適した超電導素子を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る超電導素子の構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る超電導素子の構成を示す上面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る超電導素子の構成を示す上面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る超電導素子の構成を示す上面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る超電導素子の構成を示す上面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る超電導素子の構成を示す断面図である。 従来の実施の形態に係る超電導素子の構成を示す断面図である。 本発明の実施例において作製された超電導素子の限流試験を行うための回路である。 本発明の実施例において作製された超電導素子に外付けの分流抵抗を接続させた場合の限流試験を行うための回路である。
符号の説明
10 超電導素子
11 基板
12 超電導薄膜
13 常電導金属層
14 露出部
15 絶縁膜
16 中間層
17 分流抵抗
20 超電導素子
21 基板
22 超電導薄膜
23 常電導金属層
30 限流試験回路
31 負荷抵抗
32 スイッチ
33 交流電源
34 電流計

Claims (3)

  1. 基板上に形成された超電導薄膜と、
    前記超電導薄膜上に形成され長手方向に導通している常電導金属層を有し、
    前記超電導薄膜が部分的あるいは全面的に常電導転移したときに、前記超電導薄膜を流れていた電流が前記常電導金属層に転流するようにした超電導素子であって、
    前記常電導金属層は前記超電導薄膜が露出した状態の露出部を有していることを特徴とする超電導素子。
  2. 前記常電導金属層は、金、銀、銅、ニッケルからなる群の少なくとも1種の純金属または少なくとも1種を含む合金からなることを特徴とする請求項1に記載の超電導素子。
  3. 前記常電導金属層上に絶縁膜を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の超電導素子。
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