JPWO2005121006A1 - エレベーター用の非常ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また特開平5−193860号公報には、駆動ロープ車の軸に取り付けられたスポークの間に制動ボルトを挿入する非常ブレーキ装置が開示されている。
また特開平6−199483号公報には、綱車やそらせ車と押圧体との間に楔状の制動部材を押し込んでそらせ車を停止させるブレーキ装置が開示されている。
さらに特開2002−241064号公報には、かごのガイドレールの両側に楔状のクランプをそれぞれ挿入してガイドレールを両側から挟み込むようにして制動をかける非常止め装置が開示されている。
しかしながら上記のような従来の非常ブレーキ装置においては、いずれもブレーキ装置を設ける専用スペースが必要であったり、また構造が複雑であった。またスポークの間に制動ボルトを挿入する非常ブレーキ装置では、制動ボルトがスポークに係合して制動力が発生するまでにタイムラグがあり、その間にかごが増速してしまうという課題があった。また、楔状の制動部材やクランプを挿入する装置では、挿入された制動部材やクランプの機械的系合を解除して再起動可能な状態にする機構がなかった。また、メインロープを直に掴むロープブレーキを設けた装置や、ガイドレールを両側から挟み込む装置ではロープやガイドレールを傷つけてしまうという課題があった。
この発明は、専用の設置スペースを必要とせず、構造も簡素であり、制動力のリリースも容易で、さらにエレベーターのロープやガイドレールに損傷を与えることないエレベーター用の非常ブレーキ装置を提供することを目的とする。
図2はこの発明による綱車内に設けられた非常ブレーキの一例を示す非常ブレーキの非動作時の一部断面で示した透視図、
図3は図2の非常ブレーキの動作時の一部断面で示した透視図、
図4は図2の非常ブレーキの非動作時の側面からの一部断面で示した透視図、
図5にはこの発明による非常ブレーキ装置を含むエレベーター制御システムの概略構成を示す図である。
実施の形態1.
図1はこの発明によるエレベーター用の非常ブレーキ装置を備えたトラクション方式のエレベーター装置の構成を示す図である。トラクション方式のエレベーター装置は、昇降路内においてそれぞれのガイドレール3a、4aに沿って昇降するかご3及び釣合おもり4をワイヤーロープ2で連結し、つるべ式に巻上機綱車1及びそらせ車6に掛け、ワイヤーロープ2と巻上機綱車1との間の摩擦力を利用してかご3を駆動させる。この発明による非常ブレーキ5は例えば綱車1の内側に設けられる。
図2〜図4は綱車1内に設けられた非常ブレーキ5の一例を示す一部断面で示した透視図であり、図2及び図3は基本的に図4のB−B線に沿った非常ブレーキ5のそれぞれ非動作時、動作時の図、図4は基本的に図2のA−A線に沿った非常ブレーキ5の非動作時の図である。なお図3、図4には全体的な構成が分かり易いように代表的な部分の符号のみを記載した。各図において、非常ブレーキ5は、1対のバネ機構51,52を設けたブレーキシュー部50と、このブレーキシュー部50を綱車1の外周枠の内壁から離間した位置と外周枠の内壁に当接する位置に移動(昇降)させる駆動部53からなる。
ブレーキシュー部50は、本体50a内部に、綱車1の外周枠の内壁(外周面の内側)に当接するブレーキシュー5aの部分を下側にした状態におけるこの本体50aの縦方向の中心線の、綱車1の回転面内における両側に上方に開くようにV字型に1対のバネ機構51,52を備えている。バネ機構51,52は同様な構造を有し、それぞれボルト5g1,5g2を軸として圧縮コイルスプリング5e1,5e2が設けられ、コイルスプリング5e1,5e2の両側には下側に可動鍔部5i1,5i2、上側に調整鍔部5h1,5h2が設けられている。
可動鍔部5i1,5i2は本体50aに固定されており、図3に示すように非常ブレーキ5の動作時に本体50aが綱車1の回転を止めるために傾くと(実際には横方向への微小なズレも含む)、これに従ってコイルスプリング5e1,5e2の応力に抗して相対的にボルト5g1に沿って上方に移動する。従ってボルト5g1,5g2が可動鍔部5i1,5i2から抜けるのを防止するためにボルト5g1,5g2g下端に設けられた固定ナット5j1,5j2が可動鍔部5i1,5i2に対して下方に移動可能なように隙間5p1,5p2が形成されている。調整鍔部5h1,5h2はコイルスプリング5e1,5e2の応力調整のために調整ナット5c1,5cbにより位置を上下に調整される。通常状態ではコイルスプリング5e1,5e2は調整鍔部5h1,5h2及び調整ナット5c1,5cbにより初期圧縮された状態にあり、初期押付け力を有している。
そしてバネ機構51,52の上端には、綱車1の回転軸1aの軸受け1b(図4の左側の軸受け参照)に固定されて設けられたキングピン5f1,5f2と嵌合する可動支持穴5k1,5k2が設けられている。
また内部構造を説明するために図2、3において断面として示されている駆動部53は、キングピン5f1,5f2と同様に綱車1の回転軸1aの軸受け1b(図4の左側の軸受け参照)に固定されて設けられている。駆動部53はソレノイドコイル5bとこのソレノイドコイル5bへの電流のオン・オフにより駆動されるプランジャ5dを備え、このプランジャ5dの下端にはブレーキシュー部50と結合するためのピン5mが設けられている。そしてこのピン5mがブレーキシュー部50の本体50aに形成された可動支持穴5nに嵌合してブレーキシュー部50と連結され、ブレーキシュー部50を駆動する。すなわちブレーキシュー部50はプランジャ5d下端のピン5mに吊り下げられた状態で、図2に示す綱車1の内壁から離間した位置と図3に示す綱車1の内壁に当接した位置の間で移動させられる。そして後述する可動支持穴5k1,5k2と可動支持穴5nの穴の形状に従って、回転軸1aを通る鉛直方向の中心線に対して両側に所定の角度、傾くことができる。
バネ機構51,52の上端の(第1の)可動支持穴5k1,5k2とブレーキシュー部50の(第2の)可動支持穴5nは、ブレーキシュー部50が図2に示す非常ブレーキ5の非動作時の位置と、図3に示すような動作時の位置の間で移動可能なように細長い円形状の穴となっている。図3は綱車1が矢印Rで示す時計回り回転の場合の状態を示しているが、綱車1は図3と反対の反時計回りに回転している場合も考慮して可動支持穴5k1,5k2と可動支持穴5nの穴の形状が決まる。
図5にはこの発明による非常ブレーキ装置を含むエレベーター制御システムの概略構成を示す。通常、乗場に設置された呼び釦やかご内に設置された行き先釦103を乗客が操作することでエレベーター制御装置101は常用ブレーキ113を解放し、巻上機105を駆動して綱車1を回転させ、かご3を昇降させて乗客を運ぶ。この時、巻上機105に設けられた速度検出器107が昇降速度を帰還制御する。そしてかご3が目的階に到着すると、巻上機105の回転を停止させた後、常用ブレーキ113を動作させて巻上機105の回転をロックする。
そして速度異常検出手段109は、かご3への制御指令状態をエレベーター制御装置101から得て、その時の実際のかごの動き(速度、向き)を巻上機105の回転状態を速度検出器107の検出信号から得てチェックすることで、速度異常(方向も含めて)が起きていないか監視する。そして例えばかご3が上方向に定格速度以上で上昇している時や、制御指令が停止状態にあるのにかご3が上方又は下方に動き出した時等の速度異常が判明すると、速度異常検出手段109は非常ブレーキ駆動手段111に非常ブレーキ5の駆動を指示する。
非常ブレーキ駆動手段111では常時、供給していた非常ブレーキ5の駆動部53のソレノイドコイル5bへの電流供給を遮断する。これにより図2に示すように駆動部53によりプルアップされていたブレーキシュー部50は、図3に示すように下部のブレーキシュー5aが綱車1の外周枠の内壁に当接する位置まで下がる。これにより例えば図3に示すように綱車1が矢印Rに示すように時計回りに回転しているとすれば、ブレーキシュー5aの綱車1の内壁との当接部とキングピン5f1との間にバネ機構51が挟まれた状態になり、コイルスプリング5e1のバネ力でブレーキシュー5aが綱車1の内壁に押し付けられて、綱車1の回転を停止あるいは阻止する。
なお、速度異常検出手段109、非常ブレーキ駆動手段111はコンピュータ等からなるエレベーター制御装置101内に他の制御機能と一緒に組み込むようにしてもよい。
すなわち、例えばエレベーターのかご3が、例えば上方向に定格速度以上で上昇した時に、速度異常検出手段109が異常速度を感知し、非常ブレーキ駆動手段111がソレノイドコイル5bへの電流を遮断することで、重力によりブレーキシュー部50が降下してこれの下部のブレーキシュー5aが綱車1に押し付けられ、綱車1の回転に伴いくさび効果でブレーキシュー部50、特にそのバネ機構51側の部分が綱車1とキングピン5f1の間に巻き込まれ、コイルスプリング5e1のバネ力とブレーキシュー5aが発生する制動力が均衡するまで移動する。このようにコイルスプリング5e1が通常状態から、さらに所定量圧縮され、一定の押圧力を発生し、それによりブレーキシュー5aと綱車1との間で、制動力を発生する。従って、上昇していたかご3を、速度に関係なく一定の制動力で減速および停止させる。
なお、かご3が上昇する場合につき説明したが、この非常ブレーキ5は中心線の左右で対称構造を有しているため、かご3が下降する場合についても同様の動作、効果を発揮することができる。また上記説明ではかご3の上方向の異状速度を感知し、かごを停止させているが、非常ブレーキ5は、かご3が停止している時に、ブレーキシュー5aを綱車1内壁に当接することで、異常速度の時だけでなく、かごが停止した状態で、乗客が乗り降りする時のかご3の異常上昇、異常下降も阻止することができる。
さらに非常ブレーキ5を巻上機綱車1の代わりにそらせ車6内に取付けても同様な効果を奏する。
産業上の利用の可能性
この発明による非常ブレーキはエレベーターのみならず各種回転機器の非常ブレーキとして適用可能であり、同様な安全性の向上が図れる。
Claims (6)
- エレベーターの綱車内又はそらせ車内に設けられ、下端に制動時に上記綱車又はそらせ車の外周枠の内壁に当接することで摩擦による制動力を発生するブレーキシューを有すると共に、上記綱車又はそらせ車の回転軸を通る中心線に対して上記綱車又はそらせ車の回転方向にずらして設けられた上記回転軸の軸受け側に固定されたキングピンと上記ブレーキシューとの間に設けられ、上記制動力により上記ブレーキシューとキングピンとの間に生じる力を吸収する一端が上記キングピンに連結されたバネ機構を内蔵したブレーキシュー部を備えたことを特徴とするエレベーター用の非常ブレーキ装置。
- 上記中心線に対して左右対称にずらして設けられた1対の上記キングピンと上記ブレーキシューとの間にそれぞれに上記バネ機構を設け、上記綱車又はそらせ車の両方向の回転の制動を行うことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のエレベーター用の非常ブレーキ装置。
- 上記各バネ機構の上記キングピン側が、上記キングピンと嵌合する可動支持穴により連結され、上記ブレーキシュー部が上記中心線に対して両側に所定の角度傾くことができるように上記可動支持穴が細長い円形の穴となっていることを特徴とする請求の範囲第2項に記載のエレベーター用の非常ブレーキ装置。
- 上記回転軸の軸受け側に固定され、上記ブレーキシュー部をこれの下端の上記ブレーキシューが上記綱車又はそらせ車の外周枠の内壁に当接する位置と離間した位置の間で昇降させる駆動部をさらに備えたことを特徴とする請求の範囲第1ないし3項のいずれか1項に記載のエレベーター用の非常ブレーキ装置。
- 上記駆動部が電気式のものであり、
エレベーター制御装置からのかごへの制御指令状態と、実際のかごの動きから異常を検出する速度異常検出手段と、
異常を検出した時に上記ブレーキシュー部を上記綱車又はそらせ車の外周枠の内壁に当接させるように上記駆動部に信号を与える非常ブレーキ駆動手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求の範囲第4項に記載のエレベーター用の非常ブレーキ装置。 - 上記速度異常検出手段において、かごが定格速度以上で上昇している場合、及びかごへの制御指令状態が停止でありながらかごが上昇又は下降した場合、の少なくとも一方の条件が検出された時に異常と判定することを特徴とする請求の範囲第5項に記載のエレベーター用の非常ブレーキ装置。
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