JPWO2005103695A1 - 遺伝子検出方法及び遺伝子検出装置 - Google Patents
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Abstract
検体試料中の特定の配列を有する遺伝子を高感度に検出する遺伝子検出方法及びその装置を提供する。検体試料中の特定の配列を有する検出すべき遺伝子を一本鎖に変性して遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製工程と、該遺伝子サンプルの配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを電極に固定化する固定化工程と、前記核酸プローブを固定化してなる電極に、前記遺伝子サンプルを添加して、電極上に前記核酸プローブと前記遺伝子サンプルとがハイブリダイズした二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成工程と、電気化学的に活性であり、かつ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を添加する挿入剤添加工程と、光照射を行うことで前記二本鎖核酸と前記挿入剤を共有結合させる光照射工程と、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を洗浄する洗浄工程と、前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する測定工程を含む。
Description
本発明は、試料中に存在する特定の遺伝子配列を有する目的遺伝子を、挿入剤の電気化学的な発光を読み取ることで検出する遺伝子検出方法及びその装置に関する。
従来の、電気化学的に特定の遺伝子配列を検出する方法は、検出すべき目的遺伝子に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを電極表面に固定化し、該核酸プローブと、一本鎖に変性された目的遺伝子サンプルとをハイブリダイズさせた後、該核酸プローブと目的遺伝子サンプルとの二本鎖核酸に特異的に結合し、且つ電気化学的に活性な挿入剤を、該核酸プローブと遺伝子サンプルとの反応系に添加する。そして、前記挿入剤が添加された反応系中に電圧を印加して電気化学的な測定を行い、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤を検出することにより、前記目的遺伝子サンプルとハイブリダイズした前記核酸プローブを検出し、目的とする遺伝子の存在を確認する(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
ここで、前記挿入剤とは、前記二本鎖の核酸を認識して、該二本鎖核酸と特異的に結合する物質を指す。前記挿入剤は、何れも分子中にフェニル基等の平板状挿入基を有し、該挿入基が二本鎖核酸の塩基対と塩基対との間に介入することによって、二本鎖核酸と結合する。この挿入剤と二本鎖核酸との結合は、静電気的相互作用あるいは疎水的相互作用での結合であって、前記挿入剤の前記二本鎖核酸の塩基対間への挿入、及びその塩基対間からの離脱が一定の速度で繰り返される平衡反応による結合である。
前記挿入剤の中には、電気的に可逆な酸化還元反応を起こす物質がある。このような電気化学的に可逆である酸化還元反応を起こす挿入剤を用いることにより、電気化学的変化の測定によって、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤の存在を検出することができる。なお、この電気化学的変化は、酸化還元時に発生する電流や発光等で検出することができる。
つまり、従来の遺伝子検出方法においては、前記挿入剤が二本鎖核酸にのみ特異的に結合すること、また、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤の量を正確に検出することが重要であった。
しかし、従来の遺伝子検出に用いられる挿入剤は、一本鎖の核酸プローブや、該核酸プローブが固定される電極表面にも、非特異的に吸着してしまう。そして、この非特異的に吸着した挿入剤は、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤の量の検出時に、バックグランドノイズとなり、検出感度を低下させる原因となる。
これを解消するため、従来方法においては、前記核酸プローブと遺伝子サンプルとの反応系に前記挿入剤を添加した後に、前述したバックグラウンドノイズとなる、一本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去する洗浄処理が必要となっている(例えば、特許文献2参照)。
特許第2573443号公報 特許第3233851号公報
ここで、前記挿入剤とは、前記二本鎖の核酸を認識して、該二本鎖核酸と特異的に結合する物質を指す。前記挿入剤は、何れも分子中にフェニル基等の平板状挿入基を有し、該挿入基が二本鎖核酸の塩基対と塩基対との間に介入することによって、二本鎖核酸と結合する。この挿入剤と二本鎖核酸との結合は、静電気的相互作用あるいは疎水的相互作用での結合であって、前記挿入剤の前記二本鎖核酸の塩基対間への挿入、及びその塩基対間からの離脱が一定の速度で繰り返される平衡反応による結合である。
前記挿入剤の中には、電気的に可逆な酸化還元反応を起こす物質がある。このような電気化学的に可逆である酸化還元反応を起こす挿入剤を用いることにより、電気化学的変化の測定によって、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤の存在を検出することができる。なお、この電気化学的変化は、酸化還元時に発生する電流や発光等で検出することができる。
つまり、従来の遺伝子検出方法においては、前記挿入剤が二本鎖核酸にのみ特異的に結合すること、また、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤の量を正確に検出することが重要であった。
しかし、従来の遺伝子検出に用いられる挿入剤は、一本鎖の核酸プローブや、該核酸プローブが固定される電極表面にも、非特異的に吸着してしまう。そして、この非特異的に吸着した挿入剤は、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤の量の検出時に、バックグランドノイズとなり、検出感度を低下させる原因となる。
これを解消するため、従来方法においては、前記核酸プローブと遺伝子サンプルとの反応系に前記挿入剤を添加した後に、前述したバックグラウンドノイズとなる、一本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去する洗浄処理が必要となっている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、前述したように、挿入剤と二本鎖核酸とは、静電気的相互作用あるいは疎水的相互作用によって結合されているものであるため、その結合力は弱く、前述の洗浄処理の際に、二本鎖核酸に結合させた挿入剤も解離してしまい、逆に検出感度を低下させてしまう、という課題がある。
一方、前記洗浄処理において、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤が解離しないように考慮した場合は、前記一本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤の除去が不十分となるため、バックグランドノイズを十分に除去できず、検出感度が低下してしまう問題が生じる。
さらに、前記挿入剤と二本鎖核酸間の結合反応が平衡反応であることから、該挿入剤が二本鎖核酸の塩基対間へ挿入される割合が低いため、たとえ前述したバックグラウンドノイズが生じなかったとしても、検出感度が低いという問題があった。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、検体試料中の遺伝子を高感度に検出可能な遺伝子検出方法及びその装置を提供することを目的とする。
一方、前記洗浄処理において、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤が解離しないように考慮した場合は、前記一本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤の除去が不十分となるため、バックグランドノイズを十分に除去できず、検出感度が低下してしまう問題が生じる。
さらに、前記挿入剤と二本鎖核酸間の結合反応が平衡反応であることから、該挿入剤が二本鎖核酸の塩基対間へ挿入される割合が低いため、たとえ前述したバックグラウンドノイズが生じなかったとしても、検出感度が低いという問題があった。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、検体試料中の遺伝子を高感度に検出可能な遺伝子検出方法及びその装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するため、本発明の遺伝子検出方法は、検体試料中の特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出方法であって、前記検体試料中の検出すべき遺伝子を一本鎖に変性して遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製工程と、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを電極に固定化させる固定化工程と、前記一本鎖の遺伝子サンプルを、前記一本鎖の核酸プローブが固定化された電極に添加し、前記核酸プローブと前記遺伝子サンプルとがハイブリダイズした二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成工程と、前記二本鎖核酸が形成された電極に、電気化学的に活性であり、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を添加する挿入剤添加工程と、光照射を行うことにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させる光照射工程と、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程後の、前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する検出工程、とを含むものである。
これにより、前記遺伝子サンプルと核酸プローブとをハイブリダイズさせた二本鎖核酸と、前記挿入剤とを、不可逆的、且つ強固に結合させることができ、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。また、前記洗浄工程において、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤は解離することがないが、一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができるため、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記電気化学的な測定が、前記電極に対して電圧を印加し、前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤による電気化学発光量を測定するものである。
これにより、電極に固定された二本鎖核酸を高感度に検出することができ、この結果、核酸プローブとハイブリゼーション反応させた遺伝子サンプルを、高感度に検出することができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記挿入剤が、前記二本鎖核酸に特異的に挿入し、かつ光照射により該二本鎖核酸と共有結合を形成する二本鎖核酸結合部位と、電気化学活性を有する電気化学活性部位と、前記二本鎖核酸結合部位と前記電気化学活性部位とを連結する連結部位と、を有する化合物からなるものである。
これにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを、不可逆的、且つ強固に結合させることができ、この結果、前記二本鎖核酸に挿入される挿入剤の割合が増え、検出すべき遺伝子サンプルを高感度に検出することができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記二本鎖核酸結合部位が、感光性を持つ挿入剤であるものである。
これにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを、光照射することによって、不可逆的、且つ強固に結合させることができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記感光性を持つ挿入剤が、フロクマリン誘導体であるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記フロクマリン誘導体が、ソラレン誘導体であるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記酸化還元性を有する化合物が、電気化学発光を示す化合物であるものである。
これにより、前記電極に電圧を印加すると、該電極に固定化された二酸化核酸に結合した挿入剤が酸化還元反応すると共に発光し、該電気化学発光量を測定することで、検出すべき遺伝子サンプルを検出することができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記電気化学発光を示す化合物が、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンであるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体が、配位子にピリジン部位を有する金属錯体であるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記配位子にピリジン部位を有する金属錯体が、金属ビピリジン錯体、金属フェナントロリン錯体であるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体の中心金属が、ルテニウム、オスニウムであるものである。
これにより、前記電極に電圧を印加した際、より良好な電気化学発光量を得ることができ、前記遺伝子サンプルをより高感度に検出することができる。
また、本発明の遺伝子検出装置は、検体試料中の特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出装置であって、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを固定化してなる電極と、前記電極に固定化した核酸プローブと、前記検体試料中の前記検出すべき遺伝子を一本鎖に変性した遺伝子サンプルとをハイブリダイズさせて二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成槽と、電気化学的に活性であり、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を、前記電極に添加して光照射し、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させる挿入剤添加槽と、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を洗浄液により除去する洗浄槽と、前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する検出槽と、前記電極を、前記二本鎖核酸形成槽、前記挿入剤添加槽、前記洗浄槽、及び前記検出槽の各槽内に、順に移動させる電極移動部と、を備えるものである。
これにより、前記遺伝子サンプルと核酸プローブとをハイブリダイズさせた二本鎖核酸と、不可逆的、且つ強固に結合させた挿入剤を、電気化学的な測定により検出することで、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出できる遺伝子検出装置を提供できる。さらに、前記洗浄槽において、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤を解離させることなく、前記一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができるため、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
また、本発明の遺伝子検出装置は、検体試料中の特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出装置であって、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを固定化してなる電極と、前記検出すべき遺伝子を一本鎖に変性して遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製部と、電気化学的に活性であり、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を保持する挿入剤タンクと、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を除去する洗浄液を保持する洗浄液タンクと、前記二本鎖核酸を共有結合した挿入剤を検出するための電解液を保持する電解液タンクと、前記遺伝子サンプル作製部、挿入剤タンク、洗浄液タンク、及び電解液タンクと接続され、前記電極に固定化した核酸プローブと前記遺伝子サンプルとにより二本鎖核酸を形成させ、該二本鎖核酸と前記挿入剤を光照射により共有結合させ、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を前記洗浄液で洗浄し、前記二本鎖核酸に共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する処理槽と、を備えるものである。
これにより、前記遺伝子サンプルと核酸プローブとをハイブリダイズさせた二本鎖核酸と、不可逆的、且つ強固に結合させた挿入剤を、電気化学的な測定により検出することで、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出できる遺伝子検出装置を提供でき、また処理槽を一つとしたので、遺伝子検出装置を小型化できる。さらに、前記処理層において、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を前記洗浄液で洗浄する際、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤を解離させることなく、前記一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができ、これにより、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することのできる小型の遺伝子検出装置を提供できる。
これにより、前記遺伝子サンプルと核酸プローブとをハイブリダイズさせた二本鎖核酸と、前記挿入剤とを、不可逆的、且つ強固に結合させることができ、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。また、前記洗浄工程において、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤は解離することがないが、一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができるため、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記電気化学的な測定が、前記電極に対して電圧を印加し、前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤による電気化学発光量を測定するものである。
これにより、電極に固定された二本鎖核酸を高感度に検出することができ、この結果、核酸プローブとハイブリゼーション反応させた遺伝子サンプルを、高感度に検出することができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記挿入剤が、前記二本鎖核酸に特異的に挿入し、かつ光照射により該二本鎖核酸と共有結合を形成する二本鎖核酸結合部位と、電気化学活性を有する電気化学活性部位と、前記二本鎖核酸結合部位と前記電気化学活性部位とを連結する連結部位と、を有する化合物からなるものである。
これにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを、不可逆的、且つ強固に結合させることができ、この結果、前記二本鎖核酸に挿入される挿入剤の割合が増え、検出すべき遺伝子サンプルを高感度に検出することができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記二本鎖核酸結合部位が、感光性を持つ挿入剤であるものである。
これにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを、光照射することによって、不可逆的、且つ強固に結合させることができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記感光性を持つ挿入剤が、フロクマリン誘導体であるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記フロクマリン誘導体が、ソラレン誘導体であるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記酸化還元性を有する化合物が、電気化学発光を示す化合物であるものである。
これにより、前記電極に電圧を印加すると、該電極に固定化された二酸化核酸に結合した挿入剤が酸化還元反応すると共に発光し、該電気化学発光量を測定することで、検出すべき遺伝子サンプルを検出することができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記電気化学発光を示す化合物が、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンであるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体が、配位子にピリジン部位を有する金属錯体であるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記配位子にピリジン部位を有する金属錯体が、金属ビピリジン錯体、金属フェナントロリン錯体であるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体の中心金属が、ルテニウム、オスニウムであるものである。
これにより、前記電極に電圧を印加した際、より良好な電気化学発光量を得ることができ、前記遺伝子サンプルをより高感度に検出することができる。
また、本発明の遺伝子検出装置は、検体試料中の特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出装置であって、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを固定化してなる電極と、前記電極に固定化した核酸プローブと、前記検体試料中の前記検出すべき遺伝子を一本鎖に変性した遺伝子サンプルとをハイブリダイズさせて二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成槽と、電気化学的に活性であり、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を、前記電極に添加して光照射し、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させる挿入剤添加槽と、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を洗浄液により除去する洗浄槽と、前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する検出槽と、前記電極を、前記二本鎖核酸形成槽、前記挿入剤添加槽、前記洗浄槽、及び前記検出槽の各槽内に、順に移動させる電極移動部と、を備えるものである。
これにより、前記遺伝子サンプルと核酸プローブとをハイブリダイズさせた二本鎖核酸と、不可逆的、且つ強固に結合させた挿入剤を、電気化学的な測定により検出することで、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出できる遺伝子検出装置を提供できる。さらに、前記洗浄槽において、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤を解離させることなく、前記一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができるため、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
また、本発明の遺伝子検出装置は、検体試料中の特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出装置であって、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを固定化してなる電極と、前記検出すべき遺伝子を一本鎖に変性して遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製部と、電気化学的に活性であり、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を保持する挿入剤タンクと、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を除去する洗浄液を保持する洗浄液タンクと、前記二本鎖核酸を共有結合した挿入剤を検出するための電解液を保持する電解液タンクと、前記遺伝子サンプル作製部、挿入剤タンク、洗浄液タンク、及び電解液タンクと接続され、前記電極に固定化した核酸プローブと前記遺伝子サンプルとにより二本鎖核酸を形成させ、該二本鎖核酸と前記挿入剤を光照射により共有結合させ、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を前記洗浄液で洗浄し、前記二本鎖核酸に共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する処理槽と、を備えるものである。
これにより、前記遺伝子サンプルと核酸プローブとをハイブリダイズさせた二本鎖核酸と、不可逆的、且つ強固に結合させた挿入剤を、電気化学的な測定により検出することで、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出できる遺伝子検出装置を提供でき、また処理槽を一つとしたので、遺伝子検出装置を小型化できる。さらに、前記処理層において、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を前記洗浄液で洗浄する際、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤を解離させることなく、前記一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができ、これにより、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することのできる小型の遺伝子検出装置を提供できる。
本発明の遺伝子検出方法及び装置によれば、特定の配列を有する遺伝子を検出する際に、電気化学的に活性で、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を用いるようにしたので、光照射により、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させて、該二本鎖核酸と挿入剤とを、不可逆的に、且つ強固に結合させることができ、この結果、前記遺伝子サンプルを高感度に検出することができる。
また、本発明の遺伝子検出方法及び装置によれば、前記光照射により、前記二本鎖核酸と挿入剤とを共有結合させた後、前記一本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去するために洗浄処理を行うようにしたので、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤は洗浄液により解離することがないが、前記一本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができ、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
また、本発明の遺伝子検出方法及び装置によれば、前記光照射により、前記二本鎖核酸と挿入剤とを共有結合させた後、前記一本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去するために洗浄処理を行うようにしたので、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤は洗浄液により解離することがないが、前記一本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができ、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
図1は本発明の実施の形態1にかかる遺伝子検出装置の構成を示す図である。
図2は本発明の実施の形態2にかかる遺伝子検出装置の別の構成を示す図である。
図3は本発明の実施例1の工程により得られた、二本鎖核酸が形成された金電極x、及び二本鎖核酸が形成されていない電極yそれぞれにおいて検出された最大電気化学発光量を示すものである。
図2は本発明の実施の形態2にかかる遺伝子検出装置の別の構成を示す図である。
図3は本発明の実施例1の工程により得られた、二本鎖核酸が形成された金電極x、及び二本鎖核酸が形成されていない電極yそれぞれにおいて検出された最大電気化学発光量を示すものである。
1 遺伝子サンプル作製部
2 電極
3 二本鎖核酸形成槽
4,10 温度コントローラ
5,25 電極移動部
5a 電極保持アーム
5b アーム駆動部
6 遺伝子サンプル洗浄液タンク
7 遺伝子サンプル洗浄槽
8 挿入剤タンク
9 挿入剤反応槽
11 UVランプ
12 挿入剤洗浄液タンク
13 挿入剤洗浄槽
14 電解液タンク
15 検出槽
16 フォトマル
17 ポテンショスタット
18 制御部
23 処理槽
27 廃液タンク
100,200 遺伝子検出装置
2 電極
3 二本鎖核酸形成槽
4,10 温度コントローラ
5,25 電極移動部
5a 電極保持アーム
5b アーム駆動部
6 遺伝子サンプル洗浄液タンク
7 遺伝子サンプル洗浄槽
8 挿入剤タンク
9 挿入剤反応槽
11 UVランプ
12 挿入剤洗浄液タンク
13 挿入剤洗浄槽
14 電解液タンク
15 検出槽
16 フォトマル
17 ポテンショスタット
18 制御部
23 処理槽
27 廃液タンク
100,200 遺伝子検出装置
以下に、本発明の遺伝子検出方法について詳細に説明する。
なお、以下の実施の形態における遺伝子サンプルとは、例えば、血液、白血球、血清、尿、糞便、精液、唾液、培養細胞、各種臓器細胞のような組織細胞、その他遺伝子を含有する任意の試料から、該試料中の細胞を破壊して二本鎖核酸を遊離させ、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖の核酸に解離させたものである。また、本実施の形態における遺伝子サンプルは、制限酵素で切断して電気泳動による分離等で精製した核酸断片でもよい。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1における遺伝子検出方法について説明する。
まず、検査対象となる遺伝子サンプルを作成する。この遺伝子サンプルは、前述したように、任意の試料中の細胞を破壊して二本鎖核酸を遊離させ、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖に変性させる。
このとき、前記試料中の細胞の破壊は、常法により行うことができ、例えば、振とう、超音波等の物理的作用を外部から加えて行うことができる。また、核酸抽出溶液(例えば、SDS、Triton−X、Tween−20等の界面活性剤、又はサポニン、EDTA、プロテアーゼ等を含む溶液等)を用いて、細胞から核酸を遊離させることもできる。
次に、検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを生成する。
この核酸プローブは、生物試料から抽出した核酸を制限酵素で切断し、電気泳動による分離等で精製した核酸あるいは化学合成で得られた一本鎖の核酸を用いることができる。生物試料から抽出した核酸の場合には、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖の核酸に解離させておくことが好ましい。
そしてこの後、前述のようにして得られた核酸プローブを電極に固定する。
本発明で用いる電極は、電極として使用可能であればどのようなものであってもよく、例えば、金、白金、白金黒、パラジウム、ロジウムのような貴金属電極や、グラファイト、グラシーカーボン、パイロリティックグラファイト、カーボンペースト、カーボンファイバーのような炭素電極や、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガン、酸化鉛のような酸化物電極や、Si、Ge、ZnO、CdS、TiO、GaAsのような半導体電極等が挙げられる。これらの電極には、導電性高分子によって被覆しても良く、このように被覆すれば、より安定なプローブ固定化電極を調製することができる。
なお、前記核酸プローブを前記電極に固定化する方法としては、公知の方法が用いられる。一例をあげると、例えば前記電極が金である場合、固定する核酸プローブの5’−もしくは3’−末端(好ましくは、5’−末端)にチオール基を導入し、金とイオウとの共有結合を介して、前記核酸プローブが該金電極に固定される。この核酸プローブにチオール基を導入する方法は、文献(M.Maeda et al.,Chem.Lett.,1805〜1808(1994)及びB.A.Connolly,Nucleic Acids Res.,13,4484(1985))に記載されているものが挙げられる。
即ち、前記方法によって得られたチオール基を有する核酸プローブを、金電極に滴下し、低温下で数時間放置することにより、該核酸プローブが電極に固定され、核酸プローブが作製される。
また別の例をあげると、例えば前記電極がグラシーカーボンである場合、まずグラシーカーボンを過マンガン酸カリウムで酸化することによって、電極表面にカルボン酸基を導入し、これにより、核酸プローブが、アミド結合によりグラシーカーボン電極表面に固定される。このグラシーカーボン電極に核酸プローブを固定する、実際の固定化方法については、文献(K.M.Millan et al.,Analytical Chemistry,65,2317〜2323(1993))に詳細が記載されている。
次に、前述の核酸プローブが固定された電極を、前記遺伝子サンプルを含む溶液に接触させる。これにより、前記固定された核酸プローブと相補的な配列を有する遺伝子サンプルがハイブリダイズし、電極に二本鎖核酸が形成される。この核酸プローブと遺伝子サンプルとをハイブリダイズさせる方法は周知であるため、ここでは説明を省略する。
このようにして電極に二本鎖核酸を形成した後、該二本鎖核酸が形成された電極に挿入剤を添加し、挿入剤を前記二本鎖核酸に挿入反応させる。なお、この挿入剤の添加は、二本鎖核酸を形成する前、つまりハイブリダイゼーション反応前に、前記検体試料中に添加するものであってもよい。
そしてこの後、挿入剤が添加された二本鎖核酸に対して光照射を行い、二本鎖核酸と挿入剤との間で共有結合を形成させる。
以下、本実施の形態1の挿入剤について説明する。
本発明では、挿入剤として、前記二本鎖核酸に特異的に挿入し、且つ光照射により二本鎖核酸と共有結合する特徴をもつ物質を用いる。
これにより、前記挿入剤は、二本鎖核酸と、強固且つ不可逆的に結合するため、この後の洗浄工程により、二本鎖核酸と結合した挿入剤が、該二本鎖核酸から解離することがなく、洗浄工程では未反応の挿入剤のみを除去できる。
さらに、本発明では、挿入剤として、電気化学的に活性である特徴を持つ物質を用いる。
これにより、前記二本鎖核酸に特異的に結合した挿入剤由来の電気化学的な信号により、該二本鎖核酸の存在を高感度に検出できる。
このような2つの特性を満たす挿入剤は、前記二本鎖核酸に特異的に挿入し、且つ光照射により二本鎖核酸と共有結合する二本鎖核酸結合部位(I)と、電気化学活性を有する電気化学活性部位(F)と、前記二本鎖核酸結合部位(I)と前記電気化学活性部位(F)とを連結する連結部位(L)と、を有する化合物である。
例えば、本発明の挿入剤は、下記一般式(1)で表すことができる。
一般式; F − L − I ・・・(1)
(式中Fは電気化学活性基、Lは連結基、Iは光照射により二本鎖核酸と架橋する部位を有する二本鎖核酸挿入基を表わす。)
ここで、前記一般式(1)に示す、二本鎖核酸挿入基Iとして用いることができる物質としては、二本鎖核酸に特異的に挿入し、且つ光照射により二本鎖核酸と共有結合する物質である、感光性を持つ挿入剤を挙げることができる。
そして、このような感光性を持つ挿入剤としては、例えば、フロクマリン誘導体が挙げられ、特に、ソラレン誘導体が好ましい。このソラレン誘導体は、二本鎖核酸に挿入すると、二本鎖核酸と非共有的相互作用を起こし、さらにこれに長波長紫外線(300〜400nm)を照射すると、二本鎖核酸に挿入したソラレン誘導体部分が、強固に且つ不可逆的に二本鎖核酸と共有結合するようになり、安定な共有結合を形成する。
従って、後述する洗浄工程において、二本鎖核酸を形成しなかった電極表面に固定された一本鎖の核酸プローブや、該電極表面に非特異吸着した挿入剤を洗浄等した際に、二本鎖核酸に結合させた挿入剤が抜け落ちることがなくなり、該洗浄工程において強い洗浄を行って、前記未反応の一本鎖の核酸プローブや、非特異吸着した挿入剤を確実に除去することができる。
このようなソラレン誘導体の具体的な例としては、ソラレン、メトキシソラレン、トリメチルソラレン等が挙げられる。
次に、前記一般式(1)に示す、電気化学活性基Fとして用いることができる物質は、電気化学的に検出可能な物質であればどのようなものでもよく、例えば、可逆な酸化還元反応時に生じる酸化還元電流を測定することで物質の検出が可能な、酸化還元性を有する化合物を挙げることができる。
そして、このような酸化還元性を有する化合物としては、例えば、フェロセン、カテコールアミン、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンもしくはビオローゲン等がある。
さらに、前述酸化還元性を有する化合物の例として挙げた、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンには、酸化還元反応時に電気化学発光を生じるものもあり、その発光を測定することで物質の検出を行うこともできる。
そして、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体としては、酸素や窒素等を含む複素環系化合物、例えば、ピリジン部位、ピラン部位等を配位子に有する金属錯体があり、特に、ピリジン部位を配位子に有する金属錯体が好ましく、そして該ピリジン部位を配位子に有する金属錯体としては、例えば、金属ビピリジン錯体、金属フェナントロリン錯体等がある。
さらに、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体の中心金属としては、例えば、ルテニウム、オスニウム、亜鉛、コバルト、白金、クロム、モリブデン、タングステン、テクネチウム、レニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、銅、インジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム等を挙げることができ、そして特に、該中心金属が、ルテニウム、オスニウムである錯体は、良好な電気化学発光特性を有し、該良好な電気化学発光特性を有する物質としては、例えば、ルテニウムビピリジン錯体、ルテニウムフェナントロリン錯体、オスニウムビピリジン錯体、オスニウムフェナントロリン錯体等を挙げることができる。
そして、前記一般式(1)において、連結基Lとして用いることができる基としては、前記電気化学活性基Fと前記二本鎖核酸挿入基Iとを連結するものであれば、そのリンカー配列は特に制限されるものではなく、例えば、アルキル基、−O−基、−CO−基、−NH−基、リン酸基、又はこれらの組み合わせから成る基などを挙げることができる。
このような挿入剤を、前記遺伝子サンプルと前記核酸プローブをハイブリダイズさせる前か後に添加し、光照射により、前記核酸プローブと遺伝子サンプルがハイブリダイズした二本鎖核酸と、前記挿入剤とを共有結合させたのち、電極の洗浄処理を行う。
そしてこの洗浄処理により、電極表面に固定された未反応の一本鎖の核酸プローブや、該電極表面に非特異的に吸着した挿入剤を除去する。
この結果、前記ハイブリダイズした二本鎖核酸には、特異的に共有結合した挿入剤のみが残るようになり、この挿入剤由来の電気化学的な信号を測定することにより、二本鎖核酸の存在を高感度に検出することができる。
前記挿入剤由来の電気化学的な信号は、添加する挿入剤の種類により異なるが、酸化還元電流を生じる挿入剤を用いた場合には、ポテンショスタット、ファンクションジェネレータ等からなる計測系で測定できる。一方、電気化学発光を生じる挿入剤を用いた場合には、フォトマルチプライヤー等を用いて計測が可能である。
以下、本発明にかかる遺伝子検出装置について、図1を用いて説明する。図1は本実施の形態1にかかる遺伝子検出装置の構成を示す図である。図1において、遺伝子検出装置100は、二本鎖核酸形成槽3、遺伝子サンプル洗浄槽7、挿入剤反応槽9、挿入剤洗浄槽13、検出槽15の5種類の槽を有している。1は試料中の細胞より検査対象となる遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製部であり、2は該検出対象の遺伝子サンプルと相補的配列を有する1本鎖の核酸プローブが固定された電極である。5は前記電極2を保持する電極保持アーム5aと、該電極保持アーム5aを駆動するアーム駆動部5bとからなり、前述した5つの槽3,7,9,13,15の内部に、前記電極2を順に移動させる電極移動部であり、例えば、搬送アームや、ベルトコンベアのようなローダーが例に挙げられる。
6は電極2表面の未反応の遺伝子サンプルを洗浄する洗浄液を保持する遺伝子サンプル洗浄液タンクであり、8は挿入剤を保持する挿入剤タンクであり、12は電極2表面の未反応の挿入剤を洗浄する洗浄液を保持する挿入剤洗浄液タンクであり、14は電解液を保持する電解液タンクである。
そして、前記遺伝子サンプル作製部1は前記二本鎖核酸反応槽3に、前記遺伝子サンプル洗浄液タンク6は前記遺伝子サンプル洗浄槽7に、前記挿入剤タンク8は前記挿入剤反応槽9に、前記挿入剤洗浄液タンク12は前記挿入剤洗浄槽13に、前記電解液タンク14は前記検出槽15に、それぞれ接続されている。また、前記挿入剤反応槽9には、電極2に光を照射するUVランプ11が、前記検出槽15には、電極2に電圧を印加するポテンショスタット17と、前記電極2の電気化学発光を測定するフォトマル16と、前記電極2に印加する印加電圧を制御すると共に、前記フォトマル16から測定結果を取得して解析する制御部18と、が設けられている。
また、前記二本鎖核酸形成槽3、挿入剤反応槽9は、それぞれ温度コントローラ4,10により嵌合されている。
次に、当該装置100の動作を説明する。
まず検出しようとする遺伝子を含む被検査細胞を遺伝子サンプル作製部1に入れ、検査対象となる遺伝子を一本鎖に変性した遺伝子サンプルを含有する試料溶液を作成する。そして、前記遺伝子サンプルを含有する試料溶液を二本鎖核酸形成槽3に送り、該二本鎖核酸反応槽3内にセットされた、核酸プローブが固定された電極2に、前記試料溶液を滴下する。このとき二本鎖核酸形成槽3では、温度コントローラ4により、槽内温度を適温に制御しておく。
前記試料溶液が滴下された電極2表面では、該電極2に固定された核酸プローブと相補的な配列を有する遺伝子サンプルがハイブリダイズし、二本鎖核酸が形成される。
反応終了後、該電極2を電極移動部5により、遺伝子サンプル洗浄槽7に移動させる。
遺伝子サンプル洗浄槽7では、前記遺伝子サンプル洗浄液タンク6に保持された洗浄液を前記電極2に滴下し、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の遺伝子サンプルを除去する。
洗浄終了後、電極2を電極移動部5により、挿入剤反応槽9に移動させる。
挿入剤反応槽9では、前記挿入剤タンク8に保持された挿入剤を前記電極2に滴下し、該挿入剤を前記二本鎖核酸に挿入反応させる。このとき挿入剤反応槽9では、温度コントローラ10により、槽内温度を適温に制御しておく。
さらにこの後、前記挿入剤反応槽9で、前記UVランプ11により、前記挿入剤を滴下した電極2に光照射することで、前記挿入剤と二本鎖核酸を共有結合を形成させる。
反応終了後、該電極2を電極移動部5により、挿入剤洗浄槽13に移動させる。
挿入剤洗浄槽13では、前記挿入剤洗浄液タンク12に保持された洗浄液を前記電極2に滴下して、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の挿入剤を除去する。
洗浄終了後、電極2を電極移動部5により、検出槽15に移動させる。
検出槽15では、前記電極2をポテンショスタット17に接続し、前記電解液タンク14に保持された電解液を前記電極2に滴下する。
前記ポテンショスタット17は制御部18の制御の下、電極2に対して電圧を印加し、電気化学発光させる。そして、前記フォトマル16により、該電気化学発光を測定し、該測定値は制御部18に入力され、解析される。
以上のように、本実施の形態1によれば、検出対象の遺伝子と相補的な配列を有する核酸プローブとをハイブリダイズして得た二本鎖核酸に挿入する挿入剤として、電気化学的に活性で、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する物質を用いるようにしたので、光照射により、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させて、該二本鎖核酸と挿入剤とを、不可逆的に、且つ強固に結合させることができ、この結果、高精度な測定結果を得ることができ、特定の配列を有する検出すべき遺伝子を高感度に検出できる。また、本実施の形態1によれば、電極2の表面の、未反応の挿入剤を洗浄しても、前記挿入剤と二本鎖核酸とで共有結合を形成させるようにしたので、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤は解離することがないが、一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができるため、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
なお、本実施の形態1では、洗浄槽として、二本鎖核酸形成工程後の未反応の遺伝子サンプルを洗浄する遺伝子サンプル洗浄槽7と、挿入剤添加工程後の未反応の挿入剤を洗浄する挿入剤洗浄槽13とを設ける構成としたが、洗浄槽を一つにして、これらの洗浄処理を同一の洗浄槽で行う構成としてもよいし、あるいは、前記2つの洗浄処理のうち、前記未反応の挿入剤洗浄処理のみを行い、前記未反応の遺伝子サンプル洗浄処理を行わないものとしてもよい。
さらに、前述した遺伝子検出装置100では、電極2に対する処理毎に、その処理をするための槽を設ける構成としたが、全ての処理を一つの槽で実現することも可能である。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、電極2に対する複数の処理を行う処理槽を複数設け、各処理を異なる処理槽で行う場合を説明したが、本実施の形態2では、処理槽を一つとし、電極極2に対する処理を、該1つの処理槽で行うものである。
図2は、本実施の形態2にかかる遺伝子検出装置の構成を示す図である。図2において、遺伝子検出装置200は、電極2に対して処理を行う処理槽23を有している。25は前記処理槽23内部で、前記電極を水平方向に移動させる電極移動部であり、例えば、例えばステージを平行移動させる機構などが例に挙げられる。そして、27は前記処理槽23内部にたまった液を排出する廃液タンクである。
前記処理槽23には、槽内部に、核酸プローブが固定された電極2と、該電極2を水平方向に移動させる電極移動部25とが設けられ、さらに、槽上部に、前記遺伝子サンプル作製部1、遺伝子サンプル洗浄液タンク6、挿入剤タンク8、挿入剤洗浄液タンク12、電解液タンク14、及び廃液タンク27が接続されている。
また、前記処理槽23には、電極2に光を照射するUVランプ11と、該電極2の電気化学発光を測定するフォトマル16とが設けられ、温度コントローラ4に嵌合されているものである。
さらに、当該装置200には、電極2に電圧を印加するポテンショスタット17と、前記電極2に印加する印加電圧を制御すると共に、前記フォトマル16から測定結果を取得して解析する制御部18とが設けられている。
次に、当該装置200の動作を説明する。
まず検出しようとする遺伝子を含む被検査細胞を遺伝子サンプル作製部1に入れ、検査対象となる一本鎖に変性された遺伝子サンプルを含有する試料溶液を作成する。そして、前記遺伝子サンプルを含有する試料溶液を処理槽23に送り、該処理槽23内にセットされた、核酸プローブが固定された電極2に、前記試料溶液を滴下する。このとき処理槽23では、温度コントローラ4により、槽内温度を適温に制御しておく。
前記試料溶液が滴下された電極2表面では、該電極2に固定された核酸プローブと相補的な配列を有する遺伝子サンプルがハイブリダイズし、二本鎖核酸が形成される。
反応終了後、前記遺伝子サンプル洗浄液タンク6に保持された洗浄液を前記電極2に滴下し、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の遺伝子サンプルを除去する。このとき、電極移動部25は、遺伝子サンプル洗浄液タンク6から送られる洗浄液が前記電極2に対して適切に滴下されるよう、該電極2を所定位置に水平方向に移動させる。また、前記電極2に滴下された洗浄液は、廃液タンク27に回収される。
洗浄終了後、前記挿入剤タンク8に保持された挿入剤を前記電極2に滴下して、該挿入剤を前記二本鎖核酸に挿入反応させる。このとき、電極移動部25は、挿入剤タンク8から送られる挿入剤が前記電極2に対して適切に滴下されるよう、該電極2を所定位置に水平方向に移動させる。また、処理槽23では、温度コントローラ4により、槽内温度を適温に制御しておく。
反応終了後、前記挿入剤洗浄液タンク12に保持された洗浄液を前記電極2に滴下して、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の挿入剤を除去する。このとき、電極移動部25は、挿入剤洗浄液タンク12から送られる洗浄液が前記電極2に対して適切に滴下されるよう、該電極2を所定位置に水平方向に移動させる。また、前記電極2に滴下された洗浄液は、廃液タンク27に回収される。
洗浄終了後、前記電極2をポテンショスタット17に接続し、前記電解液タンク14に保持された電解液を前記電極2に滴下する。このとき、電極移動部25は、解液タンク14から送られる電解液が前記電極2に対して適切に滴下されるよう、該電極2を所定位置に水平方向に移動させる。
前記ポテンショスタット17は制御部18の制御の下、電極2に対して電圧を印加し、電気化学発光させる。そして、前記フォトマル16により、該電気化学発光を測定し、該測定値は制御部18に入力され解析される。
以上のように、本実施の形態2によれば、検出対象の遺伝子と相補的な配列を有する核酸プローブとをハイブリダイズして得た二本鎖核酸に挿入する挿入剤として、電気化学的に活性で、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する物質を用いるようにしたので、光照射により、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させて、該二本鎖核酸と挿入剤とを、不可逆的に、且つ強固に結合させることができ、この結果、高精度な測定結果を得ることができ、特定の配列を有する検出すべき遺伝子を高感度に検出できる。また、本実施の形態2によれば、電極2の表面の、未反応の挿入剤を洗浄しても、前記挿入剤と二本鎖核酸とで共有結合を形成させるようにしたので、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤は解離することがないが、一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができるため、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
なお、本実施の形態2では、二本鎖核酸形成工程後の未反応の遺伝子サンプルを洗浄する遺伝子サンプル洗浄液タンク6と、挿入剤添加工程後の未反応の挿入剤を洗浄する挿入剤洗浄液タンク12とを設ける構成としたが、処理層23に設ける洗浄液タンクを一つにして、二本鎖核酸形成工程後の未反応の遺伝子サンプルを洗浄する処理と、光照射工程後の未反応の挿入剤を洗浄する処理とを同一の洗浄液を用いて行うようにしてもよいし、前記2つの洗浄処理のうち、前記挿入剤洗浄処理のみを行い前記遺伝子サンプル洗浄処理は行わないものとしてもよい。
なお、以下の実施の形態における遺伝子サンプルとは、例えば、血液、白血球、血清、尿、糞便、精液、唾液、培養細胞、各種臓器細胞のような組織細胞、その他遺伝子を含有する任意の試料から、該試料中の細胞を破壊して二本鎖核酸を遊離させ、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖の核酸に解離させたものである。また、本実施の形態における遺伝子サンプルは、制限酵素で切断して電気泳動による分離等で精製した核酸断片でもよい。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1における遺伝子検出方法について説明する。
まず、検査対象となる遺伝子サンプルを作成する。この遺伝子サンプルは、前述したように、任意の試料中の細胞を破壊して二本鎖核酸を遊離させ、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖に変性させる。
このとき、前記試料中の細胞の破壊は、常法により行うことができ、例えば、振とう、超音波等の物理的作用を外部から加えて行うことができる。また、核酸抽出溶液(例えば、SDS、Triton−X、Tween−20等の界面活性剤、又はサポニン、EDTA、プロテアーゼ等を含む溶液等)を用いて、細胞から核酸を遊離させることもできる。
次に、検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを生成する。
この核酸プローブは、生物試料から抽出した核酸を制限酵素で切断し、電気泳動による分離等で精製した核酸あるいは化学合成で得られた一本鎖の核酸を用いることができる。生物試料から抽出した核酸の場合には、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖の核酸に解離させておくことが好ましい。
そしてこの後、前述のようにして得られた核酸プローブを電極に固定する。
本発明で用いる電極は、電極として使用可能であればどのようなものであってもよく、例えば、金、白金、白金黒、パラジウム、ロジウムのような貴金属電極や、グラファイト、グラシーカーボン、パイロリティックグラファイト、カーボンペースト、カーボンファイバーのような炭素電極や、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガン、酸化鉛のような酸化物電極や、Si、Ge、ZnO、CdS、TiO、GaAsのような半導体電極等が挙げられる。これらの電極には、導電性高分子によって被覆しても良く、このように被覆すれば、より安定なプローブ固定化電極を調製することができる。
なお、前記核酸プローブを前記電極に固定化する方法としては、公知の方法が用いられる。一例をあげると、例えば前記電極が金である場合、固定する核酸プローブの5’−もしくは3’−末端(好ましくは、5’−末端)にチオール基を導入し、金とイオウとの共有結合を介して、前記核酸プローブが該金電極に固定される。この核酸プローブにチオール基を導入する方法は、文献(M.Maeda et al.,Chem.Lett.,1805〜1808(1994)及びB.A.Connolly,Nucleic Acids Res.,13,4484(1985))に記載されているものが挙げられる。
即ち、前記方法によって得られたチオール基を有する核酸プローブを、金電極に滴下し、低温下で数時間放置することにより、該核酸プローブが電極に固定され、核酸プローブが作製される。
また別の例をあげると、例えば前記電極がグラシーカーボンである場合、まずグラシーカーボンを過マンガン酸カリウムで酸化することによって、電極表面にカルボン酸基を導入し、これにより、核酸プローブが、アミド結合によりグラシーカーボン電極表面に固定される。このグラシーカーボン電極に核酸プローブを固定する、実際の固定化方法については、文献(K.M.Millan et al.,Analytical Chemistry,65,2317〜2323(1993))に詳細が記載されている。
次に、前述の核酸プローブが固定された電極を、前記遺伝子サンプルを含む溶液に接触させる。これにより、前記固定された核酸プローブと相補的な配列を有する遺伝子サンプルがハイブリダイズし、電極に二本鎖核酸が形成される。この核酸プローブと遺伝子サンプルとをハイブリダイズさせる方法は周知であるため、ここでは説明を省略する。
このようにして電極に二本鎖核酸を形成した後、該二本鎖核酸が形成された電極に挿入剤を添加し、挿入剤を前記二本鎖核酸に挿入反応させる。なお、この挿入剤の添加は、二本鎖核酸を形成する前、つまりハイブリダイゼーション反応前に、前記検体試料中に添加するものであってもよい。
そしてこの後、挿入剤が添加された二本鎖核酸に対して光照射を行い、二本鎖核酸と挿入剤との間で共有結合を形成させる。
以下、本実施の形態1の挿入剤について説明する。
本発明では、挿入剤として、前記二本鎖核酸に特異的に挿入し、且つ光照射により二本鎖核酸と共有結合する特徴をもつ物質を用いる。
これにより、前記挿入剤は、二本鎖核酸と、強固且つ不可逆的に結合するため、この後の洗浄工程により、二本鎖核酸と結合した挿入剤が、該二本鎖核酸から解離することがなく、洗浄工程では未反応の挿入剤のみを除去できる。
さらに、本発明では、挿入剤として、電気化学的に活性である特徴を持つ物質を用いる。
これにより、前記二本鎖核酸に特異的に結合した挿入剤由来の電気化学的な信号により、該二本鎖核酸の存在を高感度に検出できる。
このような2つの特性を満たす挿入剤は、前記二本鎖核酸に特異的に挿入し、且つ光照射により二本鎖核酸と共有結合する二本鎖核酸結合部位(I)と、電気化学活性を有する電気化学活性部位(F)と、前記二本鎖核酸結合部位(I)と前記電気化学活性部位(F)とを連結する連結部位(L)と、を有する化合物である。
例えば、本発明の挿入剤は、下記一般式(1)で表すことができる。
一般式; F − L − I ・・・(1)
(式中Fは電気化学活性基、Lは連結基、Iは光照射により二本鎖核酸と架橋する部位を有する二本鎖核酸挿入基を表わす。)
ここで、前記一般式(1)に示す、二本鎖核酸挿入基Iとして用いることができる物質としては、二本鎖核酸に特異的に挿入し、且つ光照射により二本鎖核酸と共有結合する物質である、感光性を持つ挿入剤を挙げることができる。
そして、このような感光性を持つ挿入剤としては、例えば、フロクマリン誘導体が挙げられ、特に、ソラレン誘導体が好ましい。このソラレン誘導体は、二本鎖核酸に挿入すると、二本鎖核酸と非共有的相互作用を起こし、さらにこれに長波長紫外線(300〜400nm)を照射すると、二本鎖核酸に挿入したソラレン誘導体部分が、強固に且つ不可逆的に二本鎖核酸と共有結合するようになり、安定な共有結合を形成する。
従って、後述する洗浄工程において、二本鎖核酸を形成しなかった電極表面に固定された一本鎖の核酸プローブや、該電極表面に非特異吸着した挿入剤を洗浄等した際に、二本鎖核酸に結合させた挿入剤が抜け落ちることがなくなり、該洗浄工程において強い洗浄を行って、前記未反応の一本鎖の核酸プローブや、非特異吸着した挿入剤を確実に除去することができる。
このようなソラレン誘導体の具体的な例としては、ソラレン、メトキシソラレン、トリメチルソラレン等が挙げられる。
次に、前記一般式(1)に示す、電気化学活性基Fとして用いることができる物質は、電気化学的に検出可能な物質であればどのようなものでもよく、例えば、可逆な酸化還元反応時に生じる酸化還元電流を測定することで物質の検出が可能な、酸化還元性を有する化合物を挙げることができる。
そして、このような酸化還元性を有する化合物としては、例えば、フェロセン、カテコールアミン、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンもしくはビオローゲン等がある。
さらに、前述酸化還元性を有する化合物の例として挙げた、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンには、酸化還元反応時に電気化学発光を生じるものもあり、その発光を測定することで物質の検出を行うこともできる。
そして、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体としては、酸素や窒素等を含む複素環系化合物、例えば、ピリジン部位、ピラン部位等を配位子に有する金属錯体があり、特に、ピリジン部位を配位子に有する金属錯体が好ましく、そして該ピリジン部位を配位子に有する金属錯体としては、例えば、金属ビピリジン錯体、金属フェナントロリン錯体等がある。
さらに、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体の中心金属としては、例えば、ルテニウム、オスニウム、亜鉛、コバルト、白金、クロム、モリブデン、タングステン、テクネチウム、レニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、銅、インジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム等を挙げることができ、そして特に、該中心金属が、ルテニウム、オスニウムである錯体は、良好な電気化学発光特性を有し、該良好な電気化学発光特性を有する物質としては、例えば、ルテニウムビピリジン錯体、ルテニウムフェナントロリン錯体、オスニウムビピリジン錯体、オスニウムフェナントロリン錯体等を挙げることができる。
そして、前記一般式(1)において、連結基Lとして用いることができる基としては、前記電気化学活性基Fと前記二本鎖核酸挿入基Iとを連結するものであれば、そのリンカー配列は特に制限されるものではなく、例えば、アルキル基、−O−基、−CO−基、−NH−基、リン酸基、又はこれらの組み合わせから成る基などを挙げることができる。
このような挿入剤を、前記遺伝子サンプルと前記核酸プローブをハイブリダイズさせる前か後に添加し、光照射により、前記核酸プローブと遺伝子サンプルがハイブリダイズした二本鎖核酸と、前記挿入剤とを共有結合させたのち、電極の洗浄処理を行う。
そしてこの洗浄処理により、電極表面に固定された未反応の一本鎖の核酸プローブや、該電極表面に非特異的に吸着した挿入剤を除去する。
この結果、前記ハイブリダイズした二本鎖核酸には、特異的に共有結合した挿入剤のみが残るようになり、この挿入剤由来の電気化学的な信号を測定することにより、二本鎖核酸の存在を高感度に検出することができる。
前記挿入剤由来の電気化学的な信号は、添加する挿入剤の種類により異なるが、酸化還元電流を生じる挿入剤を用いた場合には、ポテンショスタット、ファンクションジェネレータ等からなる計測系で測定できる。一方、電気化学発光を生じる挿入剤を用いた場合には、フォトマルチプライヤー等を用いて計測が可能である。
以下、本発明にかかる遺伝子検出装置について、図1を用いて説明する。図1は本実施の形態1にかかる遺伝子検出装置の構成を示す図である。図1において、遺伝子検出装置100は、二本鎖核酸形成槽3、遺伝子サンプル洗浄槽7、挿入剤反応槽9、挿入剤洗浄槽13、検出槽15の5種類の槽を有している。1は試料中の細胞より検査対象となる遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製部であり、2は該検出対象の遺伝子サンプルと相補的配列を有する1本鎖の核酸プローブが固定された電極である。5は前記電極2を保持する電極保持アーム5aと、該電極保持アーム5aを駆動するアーム駆動部5bとからなり、前述した5つの槽3,7,9,13,15の内部に、前記電極2を順に移動させる電極移動部であり、例えば、搬送アームや、ベルトコンベアのようなローダーが例に挙げられる。
6は電極2表面の未反応の遺伝子サンプルを洗浄する洗浄液を保持する遺伝子サンプル洗浄液タンクであり、8は挿入剤を保持する挿入剤タンクであり、12は電極2表面の未反応の挿入剤を洗浄する洗浄液を保持する挿入剤洗浄液タンクであり、14は電解液を保持する電解液タンクである。
そして、前記遺伝子サンプル作製部1は前記二本鎖核酸反応槽3に、前記遺伝子サンプル洗浄液タンク6は前記遺伝子サンプル洗浄槽7に、前記挿入剤タンク8は前記挿入剤反応槽9に、前記挿入剤洗浄液タンク12は前記挿入剤洗浄槽13に、前記電解液タンク14は前記検出槽15に、それぞれ接続されている。また、前記挿入剤反応槽9には、電極2に光を照射するUVランプ11が、前記検出槽15には、電極2に電圧を印加するポテンショスタット17と、前記電極2の電気化学発光を測定するフォトマル16と、前記電極2に印加する印加電圧を制御すると共に、前記フォトマル16から測定結果を取得して解析する制御部18と、が設けられている。
また、前記二本鎖核酸形成槽3、挿入剤反応槽9は、それぞれ温度コントローラ4,10により嵌合されている。
次に、当該装置100の動作を説明する。
まず検出しようとする遺伝子を含む被検査細胞を遺伝子サンプル作製部1に入れ、検査対象となる遺伝子を一本鎖に変性した遺伝子サンプルを含有する試料溶液を作成する。そして、前記遺伝子サンプルを含有する試料溶液を二本鎖核酸形成槽3に送り、該二本鎖核酸反応槽3内にセットされた、核酸プローブが固定された電極2に、前記試料溶液を滴下する。このとき二本鎖核酸形成槽3では、温度コントローラ4により、槽内温度を適温に制御しておく。
前記試料溶液が滴下された電極2表面では、該電極2に固定された核酸プローブと相補的な配列を有する遺伝子サンプルがハイブリダイズし、二本鎖核酸が形成される。
反応終了後、該電極2を電極移動部5により、遺伝子サンプル洗浄槽7に移動させる。
遺伝子サンプル洗浄槽7では、前記遺伝子サンプル洗浄液タンク6に保持された洗浄液を前記電極2に滴下し、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の遺伝子サンプルを除去する。
洗浄終了後、電極2を電極移動部5により、挿入剤反応槽9に移動させる。
挿入剤反応槽9では、前記挿入剤タンク8に保持された挿入剤を前記電極2に滴下し、該挿入剤を前記二本鎖核酸に挿入反応させる。このとき挿入剤反応槽9では、温度コントローラ10により、槽内温度を適温に制御しておく。
さらにこの後、前記挿入剤反応槽9で、前記UVランプ11により、前記挿入剤を滴下した電極2に光照射することで、前記挿入剤と二本鎖核酸を共有結合を形成させる。
反応終了後、該電極2を電極移動部5により、挿入剤洗浄槽13に移動させる。
挿入剤洗浄槽13では、前記挿入剤洗浄液タンク12に保持された洗浄液を前記電極2に滴下して、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の挿入剤を除去する。
洗浄終了後、電極2を電極移動部5により、検出槽15に移動させる。
検出槽15では、前記電極2をポテンショスタット17に接続し、前記電解液タンク14に保持された電解液を前記電極2に滴下する。
前記ポテンショスタット17は制御部18の制御の下、電極2に対して電圧を印加し、電気化学発光させる。そして、前記フォトマル16により、該電気化学発光を測定し、該測定値は制御部18に入力され、解析される。
以上のように、本実施の形態1によれば、検出対象の遺伝子と相補的な配列を有する核酸プローブとをハイブリダイズして得た二本鎖核酸に挿入する挿入剤として、電気化学的に活性で、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する物質を用いるようにしたので、光照射により、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させて、該二本鎖核酸と挿入剤とを、不可逆的に、且つ強固に結合させることができ、この結果、高精度な測定結果を得ることができ、特定の配列を有する検出すべき遺伝子を高感度に検出できる。また、本実施の形態1によれば、電極2の表面の、未反応の挿入剤を洗浄しても、前記挿入剤と二本鎖核酸とで共有結合を形成させるようにしたので、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤は解離することがないが、一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができるため、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
なお、本実施の形態1では、洗浄槽として、二本鎖核酸形成工程後の未反応の遺伝子サンプルを洗浄する遺伝子サンプル洗浄槽7と、挿入剤添加工程後の未反応の挿入剤を洗浄する挿入剤洗浄槽13とを設ける構成としたが、洗浄槽を一つにして、これらの洗浄処理を同一の洗浄槽で行う構成としてもよいし、あるいは、前記2つの洗浄処理のうち、前記未反応の挿入剤洗浄処理のみを行い、前記未反応の遺伝子サンプル洗浄処理を行わないものとしてもよい。
さらに、前述した遺伝子検出装置100では、電極2に対する処理毎に、その処理をするための槽を設ける構成としたが、全ての処理を一つの槽で実現することも可能である。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、電極2に対する複数の処理を行う処理槽を複数設け、各処理を異なる処理槽で行う場合を説明したが、本実施の形態2では、処理槽を一つとし、電極極2に対する処理を、該1つの処理槽で行うものである。
図2は、本実施の形態2にかかる遺伝子検出装置の構成を示す図である。図2において、遺伝子検出装置200は、電極2に対して処理を行う処理槽23を有している。25は前記処理槽23内部で、前記電極を水平方向に移動させる電極移動部であり、例えば、例えばステージを平行移動させる機構などが例に挙げられる。そして、27は前記処理槽23内部にたまった液を排出する廃液タンクである。
前記処理槽23には、槽内部に、核酸プローブが固定された電極2と、該電極2を水平方向に移動させる電極移動部25とが設けられ、さらに、槽上部に、前記遺伝子サンプル作製部1、遺伝子サンプル洗浄液タンク6、挿入剤タンク8、挿入剤洗浄液タンク12、電解液タンク14、及び廃液タンク27が接続されている。
また、前記処理槽23には、電極2に光を照射するUVランプ11と、該電極2の電気化学発光を測定するフォトマル16とが設けられ、温度コントローラ4に嵌合されているものである。
さらに、当該装置200には、電極2に電圧を印加するポテンショスタット17と、前記電極2に印加する印加電圧を制御すると共に、前記フォトマル16から測定結果を取得して解析する制御部18とが設けられている。
次に、当該装置200の動作を説明する。
まず検出しようとする遺伝子を含む被検査細胞を遺伝子サンプル作製部1に入れ、検査対象となる一本鎖に変性された遺伝子サンプルを含有する試料溶液を作成する。そして、前記遺伝子サンプルを含有する試料溶液を処理槽23に送り、該処理槽23内にセットされた、核酸プローブが固定された電極2に、前記試料溶液を滴下する。このとき処理槽23では、温度コントローラ4により、槽内温度を適温に制御しておく。
前記試料溶液が滴下された電極2表面では、該電極2に固定された核酸プローブと相補的な配列を有する遺伝子サンプルがハイブリダイズし、二本鎖核酸が形成される。
反応終了後、前記遺伝子サンプル洗浄液タンク6に保持された洗浄液を前記電極2に滴下し、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の遺伝子サンプルを除去する。このとき、電極移動部25は、遺伝子サンプル洗浄液タンク6から送られる洗浄液が前記電極2に対して適切に滴下されるよう、該電極2を所定位置に水平方向に移動させる。また、前記電極2に滴下された洗浄液は、廃液タンク27に回収される。
洗浄終了後、前記挿入剤タンク8に保持された挿入剤を前記電極2に滴下して、該挿入剤を前記二本鎖核酸に挿入反応させる。このとき、電極移動部25は、挿入剤タンク8から送られる挿入剤が前記電極2に対して適切に滴下されるよう、該電極2を所定位置に水平方向に移動させる。また、処理槽23では、温度コントローラ4により、槽内温度を適温に制御しておく。
反応終了後、前記挿入剤洗浄液タンク12に保持された洗浄液を前記電極2に滴下して、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の挿入剤を除去する。このとき、電極移動部25は、挿入剤洗浄液タンク12から送られる洗浄液が前記電極2に対して適切に滴下されるよう、該電極2を所定位置に水平方向に移動させる。また、前記電極2に滴下された洗浄液は、廃液タンク27に回収される。
洗浄終了後、前記電極2をポテンショスタット17に接続し、前記電解液タンク14に保持された電解液を前記電極2に滴下する。このとき、電極移動部25は、解液タンク14から送られる電解液が前記電極2に対して適切に滴下されるよう、該電極2を所定位置に水平方向に移動させる。
前記ポテンショスタット17は制御部18の制御の下、電極2に対して電圧を印加し、電気化学発光させる。そして、前記フォトマル16により、該電気化学発光を測定し、該測定値は制御部18に入力され解析される。
以上のように、本実施の形態2によれば、検出対象の遺伝子と相補的な配列を有する核酸プローブとをハイブリダイズして得た二本鎖核酸に挿入する挿入剤として、電気化学的に活性で、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する物質を用いるようにしたので、光照射により、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させて、該二本鎖核酸と挿入剤とを、不可逆的に、且つ強固に結合させることができ、この結果、高精度な測定結果を得ることができ、特定の配列を有する検出すべき遺伝子を高感度に検出できる。また、本実施の形態2によれば、電極2の表面の、未反応の挿入剤を洗浄しても、前記挿入剤と二本鎖核酸とで共有結合を形成させるようにしたので、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤は解離することがないが、一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができるため、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
なお、本実施の形態2では、二本鎖核酸形成工程後の未反応の遺伝子サンプルを洗浄する遺伝子サンプル洗浄液タンク6と、挿入剤添加工程後の未反応の挿入剤を洗浄する挿入剤洗浄液タンク12とを設ける構成としたが、処理層23に設ける洗浄液タンクを一つにして、二本鎖核酸形成工程後の未反応の遺伝子サンプルを洗浄する処理と、光照射工程後の未反応の挿入剤を洗浄する処理とを同一の洗浄液を用いて行うようにしてもよいし、前記2つの洗浄処理のうち、前記挿入剤洗浄処理のみを行い前記遺伝子サンプル洗浄処理は行わないものとしてもよい。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)金電極表面への核酸プローブの固定化
ガラス基板上にスパッタ装置(アルバック製SH−350)によりチタン10nmを下地に金200nmを形成し、フォトリソグラフィ工程により電極パターンを形成することで、金電極を準備した。電極表面をピラニア溶液(過酸化水素:濃硫酸=1:3)で1分間洗浄し、純水ですすいだ後、窒素ブローで乾燥させた。
核酸プローブには、ヒト由来Cytochrome P−450の遺伝子配列の5’−末端より629−668番目に位置するCCCCCTGGAT CCAGATATGC AATAATTTTC CCACTATCATの配列を有する5’−末端のリン酸基を介してチオール基を修飾した40塩基のオリゴデオキシヌクレオチド(タカラバイオ製)を使用した。そして、該核酸プローブを10mMのPBS(pH7.4のリン酸ナトリウム緩衝液)に溶解させ、100μMに調整した。
この調整した核酸プローブの溶液を前記金電極上に滴下し、飽和湿潤下、室温で4時間放置することで、チオール基と金とを結合させて、核酸プローブを金電極に固定した。
(2)ハイブリダイゼーション
遺伝子サンプルには、前記核酸プローブと相補的な5’−末端からATGATAGTGG GAAAATTATT GCATATCTGG ATCCAGGGGGの配列を有するオリゴデオキシヌクレオチド(タカラバイオ製)を使用した。そして、該遺伝子サンプルを、10mMのPBS、及び2XSSCを混合したハイブリダイゼーション溶液に溶解させ、20μMに調整した。
この調整した、遺伝子サンプルが溶解したハイブリダイゼーション溶液を、前記核酸プローブを固定した金電極上に滴下し、40℃の恒温槽内で4時間反応させ、二本鎖核酸を形成させた。これにより、二本鎖核酸が形成された金電極xを得た。
さらに、本実施例においては、比較対象として、二本鎖核酸が形成されていない金電極yを作成する。この二本鎖核酸が形成されない金電極yは、前記核酸プローブと非相補的な配列を有する遺伝子サンプル(以下、「比較遺伝子サンプル」と称す。)を使用して、前記二本鎖核酸が形成された金電極xを得る時と同様の処理をする。なお、ここでは、前記比較遺伝子サンプルとして、40merのPoly−A(タカラバイオ製)、AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAAの配列を有する遺伝子サンプルを使用した。
(3)挿入剤の添加
挿入剤には、下記の化1に示すソラレン修飾ルテニウム錯体を使用した。
ソラレン修飾ルテニウム錯体の合成は、以下の手順により得ることができる。
まず、公知の方法(Biochemistry,vol.16,No6,1977)により合成した4’−クロロメチル−4,5,8−トリメチルソラレン(0.5g、1.81mmol)を、水酸化ナトリウム溶解ジメチルホルムアミド(乾燥)に溶かし、160℃で撹拌しながら1,4−ジアミノブタン(0.32g、3.63mmol)を滴下し12時間反応させた。溶媒を留去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、生成物Aを得た(収率40%)。
次に、THF60.0mLに溶解させた4,4’−ジメチル−2,2’ビピリジン2.50g(1.35×10−2mol)溶液を窒素雰囲気の容器に注入した後、リチウムジイソプロピルアミド2M溶液16.9mL(2.70×10−2mol)を滴下し、冷却しながら30分撹拌した。一方、同様に窒素気流中で乾燥させた容器に、1,2−ジブロモエタン7.61g(4.05×10−2mol)とTHF10mLとを加え、冷却しながら撹拌させた。
この1,2−ジブロモエタンとTHFとが挿入された容器に、先程の、THFに溶解させた4,4’−ジメチル−2,2’ビピリジン溶液とリチウムジイソプロピルアミド2M溶液とを反応させた反応液をゆっくり滴下させ、2.5時間反応させた。そして、この反応溶液を、2Nの塩酸で中和して、THFを留去した後、クロロホルムで抽出し、さらに、前記溶媒を留去して得た粗生成物をシリカゲルカラムで精製し、生成物Bを得た(収率47%)。
そして、前記生成物A(0.50g、1.52mmol)と前記生成物B(0.49g、1.68mmol)とを、水酸化ナトリウム溶解ジメチルホルムアミド(乾燥)に溶かし、160℃で18時間撹拌させた。そして、この攪拌した溶媒を留去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、生成物Cを得た(収率38%)。
さらに、塩化ルテニウム(III)(2.98g、0.01mol)、及び2,2’−ビピリジン(3.44g、0.022mol)をジメチルホルムアミド(80.0mL)中で6時間還流した後、溶媒を留去した。その後、アセトンを加え、一晩冷却することで得られた黒色沈殿物を採取し、エタノール水溶液170mL(エタノール:水=1:1)を加え、1時間加熱還流を行った。ろ過後、塩化リチウムを20g加え、エタノールを留去し、さらに一晩冷却した。析出した黒色物質は、吸引ろ過で採取し、生成物Dを得た(収率68.2%)。
そして、前記生成物C(0.30g、0.56mmol)と前記生成物D(0.32g、0.66mmol)とを、ジメチルホルムアミドに溶かして6時間還流し、反応後、溶媒を留去させて得た黒紫色の物質に蒸留水を加えて溶解させ、未反応錯体をろ過により除去した後、溶媒を留去した。
得られた粗生成物は、シリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、ソラレン修飾ルテニウム錯体を得た(収率68%)。表1は、前述のようにして得たソラレン修飾ルテニウム錯体のプロトンNMR(1H−NMR)の結果である。
このようにして得られたソラレン修飾ルテニウム錯体を、10mMのPBSで2μMに調整した。
この調整した溶液を、前記二本鎖核酸が形成された金電極x、及び二本鎖核酸が形成されていない金電極yにそれぞれ添加し、30分間4℃の冷蔵庫内で暗反応を行った。
(4)二本鎖核酸と挿入剤との共有結合
30分後、前記金電極x,yそれぞれに、UVクロスリンカー(フナコシ製UVPCL1000L型)を用いて波長365nm、5mW/cm2の紫外線を10分間照射し、ソラレンと二本鎖核酸とを共有結合させた。共有結合後、金電極x,yそれぞれを10mMのPBSで10分間揺動洗浄し、未反応のRu錯体を取り除いた。
(5)電気化学測定
以上の工程の後、前記金電極x、及び二本鎖核酸が形成されていない金電極yのそれぞれに、0.1MのPBS、及び0.1Mのトリエチルアミンを混合した電解液を滴下した。
その後、それぞれの金電極x,yに電圧を印加し、この時に生じた挿入剤由来の電気化学発光の測定を行った。
なお、電圧の印加は、0Vから1.3Vまで走査し、1秒間電気化学測定を行った。電気化学発光量の測定は、光電子増倍管(浜松ホトニクス製H7360−01)を用いて行い、最大発光量を測定した。
図3は、本実施例1の電気化学測定にて得られた結果を示すものである。図3から明らかなように、二本鎖核酸が形成された金電極xでの発光量は、二本鎖核酸が形成されていない金電極yでの発光量と比較して著しく高い値となっており、本実施例の挿入剤を用いれば、高感度に二本鎖核酸の検出を行うことが可能であることが分かる。
(1)金電極表面への核酸プローブの固定化
ガラス基板上にスパッタ装置(アルバック製SH−350)によりチタン10nmを下地に金200nmを形成し、フォトリソグラフィ工程により電極パターンを形成することで、金電極を準備した。電極表面をピラニア溶液(過酸化水素:濃硫酸=1:3)で1分間洗浄し、純水ですすいだ後、窒素ブローで乾燥させた。
核酸プローブには、ヒト由来Cytochrome P−450の遺伝子配列の5’−末端より629−668番目に位置するCCCCCTGGAT CCAGATATGC AATAATTTTC CCACTATCATの配列を有する5’−末端のリン酸基を介してチオール基を修飾した40塩基のオリゴデオキシヌクレオチド(タカラバイオ製)を使用した。そして、該核酸プローブを10mMのPBS(pH7.4のリン酸ナトリウム緩衝液)に溶解させ、100μMに調整した。
この調整した核酸プローブの溶液を前記金電極上に滴下し、飽和湿潤下、室温で4時間放置することで、チオール基と金とを結合させて、核酸プローブを金電極に固定した。
(2)ハイブリダイゼーション
遺伝子サンプルには、前記核酸プローブと相補的な5’−末端からATGATAGTGG GAAAATTATT GCATATCTGG ATCCAGGGGGの配列を有するオリゴデオキシヌクレオチド(タカラバイオ製)を使用した。そして、該遺伝子サンプルを、10mMのPBS、及び2XSSCを混合したハイブリダイゼーション溶液に溶解させ、20μMに調整した。
この調整した、遺伝子サンプルが溶解したハイブリダイゼーション溶液を、前記核酸プローブを固定した金電極上に滴下し、40℃の恒温槽内で4時間反応させ、二本鎖核酸を形成させた。これにより、二本鎖核酸が形成された金電極xを得た。
さらに、本実施例においては、比較対象として、二本鎖核酸が形成されていない金電極yを作成する。この二本鎖核酸が形成されない金電極yは、前記核酸プローブと非相補的な配列を有する遺伝子サンプル(以下、「比較遺伝子サンプル」と称す。)を使用して、前記二本鎖核酸が形成された金電極xを得る時と同様の処理をする。なお、ここでは、前記比較遺伝子サンプルとして、40merのPoly−A(タカラバイオ製)、AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAAの配列を有する遺伝子サンプルを使用した。
(3)挿入剤の添加
挿入剤には、下記の化1に示すソラレン修飾ルテニウム錯体を使用した。
まず、公知の方法(Biochemistry,vol.16,No6,1977)により合成した4’−クロロメチル−4,5,8−トリメチルソラレン(0.5g、1.81mmol)を、水酸化ナトリウム溶解ジメチルホルムアミド(乾燥)に溶かし、160℃で撹拌しながら1,4−ジアミノブタン(0.32g、3.63mmol)を滴下し12時間反応させた。溶媒を留去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、生成物Aを得た(収率40%)。
次に、THF60.0mLに溶解させた4,4’−ジメチル−2,2’ビピリジン2.50g(1.35×10−2mol)溶液を窒素雰囲気の容器に注入した後、リチウムジイソプロピルアミド2M溶液16.9mL(2.70×10−2mol)を滴下し、冷却しながら30分撹拌した。一方、同様に窒素気流中で乾燥させた容器に、1,2−ジブロモエタン7.61g(4.05×10−2mol)とTHF10mLとを加え、冷却しながら撹拌させた。
この1,2−ジブロモエタンとTHFとが挿入された容器に、先程の、THFに溶解させた4,4’−ジメチル−2,2’ビピリジン溶液とリチウムジイソプロピルアミド2M溶液とを反応させた反応液をゆっくり滴下させ、2.5時間反応させた。そして、この反応溶液を、2Nの塩酸で中和して、THFを留去した後、クロロホルムで抽出し、さらに、前記溶媒を留去して得た粗生成物をシリカゲルカラムで精製し、生成物Bを得た(収率47%)。
そして、前記生成物A(0.50g、1.52mmol)と前記生成物B(0.49g、1.68mmol)とを、水酸化ナトリウム溶解ジメチルホルムアミド(乾燥)に溶かし、160℃で18時間撹拌させた。そして、この攪拌した溶媒を留去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、生成物Cを得た(収率38%)。
さらに、塩化ルテニウム(III)(2.98g、0.01mol)、及び2,2’−ビピリジン(3.44g、0.022mol)をジメチルホルムアミド(80.0mL)中で6時間還流した後、溶媒を留去した。その後、アセトンを加え、一晩冷却することで得られた黒色沈殿物を採取し、エタノール水溶液170mL(エタノール:水=1:1)を加え、1時間加熱還流を行った。ろ過後、塩化リチウムを20g加え、エタノールを留去し、さらに一晩冷却した。析出した黒色物質は、吸引ろ過で採取し、生成物Dを得た(収率68.2%)。
そして、前記生成物C(0.30g、0.56mmol)と前記生成物D(0.32g、0.66mmol)とを、ジメチルホルムアミドに溶かして6時間還流し、反応後、溶媒を留去させて得た黒紫色の物質に蒸留水を加えて溶解させ、未反応錯体をろ過により除去した後、溶媒を留去した。
得られた粗生成物は、シリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、ソラレン修飾ルテニウム錯体を得た(収率68%)。表1は、前述のようにして得たソラレン修飾ルテニウム錯体のプロトンNMR(1H−NMR)の結果である。
この調整した溶液を、前記二本鎖核酸が形成された金電極x、及び二本鎖核酸が形成されていない金電極yにそれぞれ添加し、30分間4℃の冷蔵庫内で暗反応を行った。
(4)二本鎖核酸と挿入剤との共有結合
30分後、前記金電極x,yそれぞれに、UVクロスリンカー(フナコシ製UVPCL1000L型)を用いて波長365nm、5mW/cm2の紫外線を10分間照射し、ソラレンと二本鎖核酸とを共有結合させた。共有結合後、金電極x,yそれぞれを10mMのPBSで10分間揺動洗浄し、未反応のRu錯体を取り除いた。
(5)電気化学測定
以上の工程の後、前記金電極x、及び二本鎖核酸が形成されていない金電極yのそれぞれに、0.1MのPBS、及び0.1Mのトリエチルアミンを混合した電解液を滴下した。
その後、それぞれの金電極x,yに電圧を印加し、この時に生じた挿入剤由来の電気化学発光の測定を行った。
なお、電圧の印加は、0Vから1.3Vまで走査し、1秒間電気化学測定を行った。電気化学発光量の測定は、光電子増倍管(浜松ホトニクス製H7360−01)を用いて行い、最大発光量を測定した。
図3は、本実施例1の電気化学測定にて得られた結果を示すものである。図3から明らかなように、二本鎖核酸が形成された金電極xでの発光量は、二本鎖核酸が形成されていない金電極yでの発光量と比較して著しく高い値となっており、本実施例の挿入剤を用いれば、高感度に二本鎖核酸の検出を行うことが可能であることが分かる。
本発明にかかる遺伝子検出方法は、特定の配列を有する遺伝子を高感度に検出することができ、遺伝子診断、感染症診断、ゲノム創薬等の用途に適用できる。
本発明は、試料中に存在する特定の遺伝子配列を有する目的遺伝子を、挿入剤の電気化学的な発光を読み取ることで検出する遺伝子検出方法及びその装置に関する。
従来の、電気化学的に特定の遺伝子配列を検出する方法は、検出すべき目的遺伝子に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを電極表面に固定化し、該核酸プローブと、一本鎖に変性された目的遺伝子サンプルとをハイブリダイズさせた後、該核酸プローブと目的遺伝子サンプルとの二本鎖核酸に特異的に結合し、且つ電気化学的に活性な挿入剤を、該核酸プローブと遺伝子サンプルとの反応系に添加する。そして、前記挿入剤が添加された反応系中に電圧を印加して電気化学的な測定を行い、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤を検出することにより、前記目的遺伝子サンプルとハイブリダイズした前記核酸プローブを検出し、目的とする遺伝子の存在を確認する(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
ここで、前記挿入剤とは、前記二本鎖の核酸を認識して、該二本鎖核酸と特異的に結合する物質を指す。前記挿入剤は、何れも分子中にフェニル基等の平板状挿入基を有し、該挿入基が二本鎖核酸の塩基対と塩基対との間に介入することによって、二本鎖核酸と結合する。この挿入剤と二本鎖核酸との結合は、静電気的相互作用あるいは疎水的相互作用での結合であって、前記挿入剤の前記二本鎖核酸の塩基対間への挿入、及びその塩基対間からの離脱が一定の速度で繰り返される平衡反応による結合である。
前記挿入剤の中には、電気的に可逆な酸化還元反応を起こす物質がある。このような電気化学的に可逆である酸化還元反応を起こす挿入剤を用いることにより、電気化学的変化の測定によって、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤の存在を検出することができる。なお、この電気化学的変化は、酸化還元時に発生する電流や発光等で検出することができる。
つまり、従来の遺伝子検出方法においては、前記挿入剤が二本鎖核酸にのみ特異的に結合すること、また、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤の量を正確に検出することが重要であった。
しかし、従来の遺伝子検出に用いられる挿入剤は、一本鎖の核酸プローブや、該核酸プローブが固定される電極表面にも、非特異的に吸着してしまう。そして、この非特異的に吸着した挿入剤は、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤の量の検出時に、バックグランドノイズとなり、検出感度を低下させる原因となる。
これを解消するため、従来方法においては、前記核酸プローブと遺伝子サンプルとの反応系に前記挿入剤を添加した後に、前述したバックグラウンドノイズとなる、一本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去する洗浄処理が必要となっている(例えば、特許文献2参照)。
特許第2573443号公報
特許第3233851号公報
しかしながら、前述したように、挿入剤と二本鎖核酸とは、静電気的相互作用あるいは疎水的相互作用によって結合されているものであるため、その結合力は弱く、前述の洗浄処理の際に、二本鎖核酸に結合させた挿入剤も解離してしまい、逆に検出感度を低下させてしまう、という課題がある。
一方、前記洗浄処理において、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤が解離しないように考慮した場合は、前記一本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤の除去が不十分となるため、バックグランドノイズを十分に除去できず、検出感度が低下してしまう問題が生じる。
さらに、前記挿入剤と二本鎖核酸間の結合反応が平衡反応であることから、該挿入剤が二本鎖核酸の塩基対間へ挿入される割合が低いため、たとえ前述したバックグラウンドノイズが生じなかったとしても、検出感度が低いという問題があった。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、検体試料中の遺伝子を高感度に検出可能な遺伝子検出方法及びその装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するため、本発明の遺伝子検出方法は、検体試料中の特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出方法であって、前記検体試料中の検出すべき遺伝子を一本鎖に変性して遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製工程と、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを電極に固定化させる固定化工程と、前記一本鎖の遺伝子サンプルを、前記一本鎖の核酸プローブが固定化された電極に添加し、前記核酸プローブと前記遺伝子サンプルとがハイブリダイズした二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成工程と、前記二本鎖核酸が形成された電極に、電気化学的に活性であり、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を添加する挿入剤添加工程と、光照射を行うことにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させる光照射工程と、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程後の、前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する検出工程、とを含むものである。
これにより、前記遺伝子サンプルと核酸プローブとをハイブリダイズさせた二本鎖核酸と、前記挿入剤とを、不可逆的、且つ強固に結合させることができ、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。また、前記洗浄工程において、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤は解離することがないが、一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができるため、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記電気化学的な測定が、前記電極に対して電圧を印加し、前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤による電気化学発光量を測定するものである。
これにより、電極に固定された二本鎖核酸を高感度に検出することができ、この結果、核酸プローブとハイブリゼーション反応させた遺伝子サンプルを、高感度に検出することができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記挿入剤が、前記二本鎖核酸に特異的に挿入し、かつ光照射により該二本鎖核酸と共有結合を形成する二本鎖核酸結合部位と、電気化学活性を有する電気化学活性部位と、前記二本鎖核酸結合部位と前記電気化学活性部位とを連結する連結部位と、を有する化合物からなるものである。
これにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを、不可逆的、且つ強固に結合させることができ、この結果、前記二本鎖核酸に挿入される挿入剤の割合が増え、検出すべき遺伝子サンプルを高感度に検出することができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記二本鎖核酸結合部位が、感光性を持つ挿入剤であるものである。
これにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを、光照射することによって、不可逆的、且つ強固に結合させることができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記感光性を持つ挿入剤が、フロクマリン誘導体であるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記フロクマリン誘導体が、ソラレン誘導体であるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記酸化還元性を有する化合物が、電気化学発光を示す化合物であるものである。
これにより、前記電極に電圧を印加すると、該電極に固定化された二酸化核酸に結合した挿入剤が酸化還元反応すると共に発光し、該電気化学発光量を測定することで、検出すべき遺伝子サンプルを検出することができる。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記電気化学発光を示す化合物が、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンであるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体が、配位子にピリジン部位を有する金属錯体であるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記配位子にピリジン部位を有する金属錯体が、金属ビピリジン錯体、金属フェナントロリン錯体であるものである。
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体の中心金属が、ルテニウム、オスニウムであるものである。
これにより、前記電極に電圧を印加した際、より良好な電気化学発光量を得ることができ、前記遺伝子サンプルをより高感度に検出することができる。
また、本発明の遺伝子検出装置は、検体試料中の特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出装置であって、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを固定化してなる電極と、前記電極に固定化した核酸プローブと、前記検体試料中の前記検出すべき遺伝子を一本鎖に変性した遺伝子サンプルとをハイブリダイズさせて二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成槽と、電気化学的に活性であり、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を、前記電極に添加して光照射し、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させる挿入剤添加槽と、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を洗浄液により除去する洗浄槽と、前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する検出槽と、前記電極を、前記二本鎖核酸形成槽、前記挿入剤添加槽、前記洗浄槽、及び前記検出槽の各槽内に、順に移動させる電極移動部と、を備えるものである。
これにより、前記遺伝子サンプルと核酸プローブとをハイブリダイズさせた二本鎖核酸と、不可逆的、且つ強固に結合させた挿入剤を、電気化学的な測定により検出することで、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出できる遺伝子検出装置を提供できる。さらに、前記洗浄槽において、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤を解離させることなく、前記一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができるため、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
また、本発明の遺伝子検出装置は、検体試料中の特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出装置であって、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを固定化してなる電極と、前記検出すべき遺伝子を一本鎖に変性して遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製部と、電気化学的に活性であり、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を保持する挿入剤タンクと、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を除去する洗浄液を保持する洗浄液タンクと、前記二本鎖核酸を共有結合した挿入剤を検出するための電解液を保持する電解液タンクと、前記遺伝子サンプル作製部、挿入剤タンク、洗浄液タンク、及び電解液タンクと接続され、前記電極に固定化した核酸プローブと前記遺伝子サンプルとにより二本鎖核酸を形成させ、該二本鎖核酸と前記挿入剤を光照射により共有結合させ、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を前記洗浄液で洗浄し、前記二本鎖核酸に共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する処理槽と、を備えるものである。
これにより、前記遺伝子サンプルと核酸プローブとをハイブリダイズさせた二本鎖核酸と、不可逆的、且つ強固に結合させた挿入剤を、電気化学的な測定により検出することで、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出できる遺伝子検出装置を提供でき、また処理槽を一つとしたので、遺伝子検出装置を小型化できる。さらに、前記処理層において、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を前記洗浄液で洗浄する際、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤を解離させることなく、前記一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができ、これにより、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することのできる小型の遺伝子検出装置を提供できる。
本発明の遺伝子検出方法及び装置によれば、特定の配列を有する遺伝子を検出する際に、電気化学的に活性で、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を用いるようにしたので、光照射により、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させて、該二本鎖核酸と挿入剤とを、不可逆的に、且つ強固に結合させることができ、この結果、前記遺伝子サンプルを高感度に検出することができる。
また、本発明の遺伝子検出方法及び装置によれば、前記光照射により、前記二本鎖核酸と挿入剤とを共有結合させた後、前記一本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去するために洗浄処理を行うようにしたので、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤は洗浄液により解離することがないが、前記一本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができ、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
以下に、本発明の遺伝子検出方法について詳細に説明する。
なお、以下の実施の形態における遺伝子サンプルとは、例えば、血液、白血球、血清、尿、糞便、精液、唾液、培養細胞、各種臓器細胞のような組織細胞、その他遺伝子を含有する任意の試料から、該試料中の細胞を破壊して二本鎖核酸を遊離させ、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖の核酸に解離させたものである。また、本実施の形態における遺伝子サンプルは、制限酵素で切断して電気泳動による分離等で精製した核酸断片でもよい。
なお、以下の実施の形態における遺伝子サンプルとは、例えば、血液、白血球、血清、尿、糞便、精液、唾液、培養細胞、各種臓器細胞のような組織細胞、その他遺伝子を含有する任意の試料から、該試料中の細胞を破壊して二本鎖核酸を遊離させ、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖の核酸に解離させたものである。また、本実施の形態における遺伝子サンプルは、制限酵素で切断して電気泳動による分離等で精製した核酸断片でもよい。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1における遺伝子検出方法について説明する。
まず、検査対象となる遺伝子サンプルを作成する。この遺伝子サンプルは、前述したように、任意の試料中の細胞を破壊して二本鎖核酸を遊離させ、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖に変性させる。
以下、実施の形態1における遺伝子検出方法について説明する。
まず、検査対象となる遺伝子サンプルを作成する。この遺伝子サンプルは、前述したように、任意の試料中の細胞を破壊して二本鎖核酸を遊離させ、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖に変性させる。
このとき、前記試料中の細胞の破壊は、常法により行うことができ、例えば、振とう、超音波等の物理的作用を外部から加えて行うことができる。また、核酸抽出溶液(例えば、SDS、Triton−X、Tween−20等の界面活性剤、又はサポニン、EDTA、プロテア−ゼ等を含む溶液等)を用いて、細胞から核酸を遊離させることもできる。
次に、検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを生成する。
この核酸プローブは、生物試料から抽出した核酸を制限酵素で切断し、電気泳動による分離等で精製した核酸あるいは化学合成で得られた一本鎖の核酸を用いることができる。生物試料から抽出した核酸の場合には、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖の核酸に解離させておくことが好ましい。
この核酸プローブは、生物試料から抽出した核酸を制限酵素で切断し、電気泳動による分離等で精製した核酸あるいは化学合成で得られた一本鎖の核酸を用いることができる。生物試料から抽出した核酸の場合には、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖の核酸に解離させておくことが好ましい。
そしてこの後、前述のようにして得られた核酸プローブを電極に固定する。
本発明で用いる電極は、電極として使用可能であればどのようなものであってもよく、例えば、金、白金、白金黒、パラジウム、ロジウムのような貴金属電極や、グラファイト、グラシーカーボン、パイロリティックグラファイト、カーボンペースト、カーボンファイバーのような炭素電極や、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガン、酸化鉛のような酸化物電極や、Si、Ge、ZnO、CdS、TiO、GaAsのような半導体電極等が挙げられる。これらの電極には、導電性高分子によって被覆しても良く、このように被覆すれば、より安定なプローブ固定化電極を調製することができる。
本発明で用いる電極は、電極として使用可能であればどのようなものであってもよく、例えば、金、白金、白金黒、パラジウム、ロジウムのような貴金属電極や、グラファイト、グラシーカーボン、パイロリティックグラファイト、カーボンペースト、カーボンファイバーのような炭素電極や、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガン、酸化鉛のような酸化物電極や、Si、Ge、ZnO、CdS、TiO、GaAsのような半導体電極等が挙げられる。これらの電極には、導電性高分子によって被覆しても良く、このように被覆すれば、より安定なプローブ固定化電極を調製することができる。
なお、前記核酸プローブを前記電極に固定化する方法としては、公知の方法が用いられる。一例をあげると、例えば前記電極が金である場合、固定する核酸プローブの5’−もしくは3’−末端(好ましくは、5’−末端)にチオール基を導入し、金とイオウとの共有結合を介して、前記核酸プローブが該金電極に固定される。この核酸プローブにチオール基を導入する方法は、文献(M.Maeda et al.,Chem.Lett.,1805〜1808(1994)及びB.A.Connolly,Nucleic Acids Res.,13,4484(1985))に記載されているものが挙げられる。
即ち、前記方法によって得られたチオール基を有する核酸プローブを、金電極に滴下し、低温下で数時間放置することにより、該核酸プローブが電極に固定され、核酸プローブが作製される。
また別の例をあげると、例えば前記電極がグラシーカーボンである場合、まずグラシーカーボンを過マンガン酸カリウムで酸化することによって、電極表面にカルボン酸基を導入し、これにより、核酸プローブが、アミド結合によりグラシーカーボン電極表面に固定される。このグラシーカーボン電極に核酸プローブを固定する、実際の固定化方法については、文献(K.M.Millan et al.,Analytical Chemistry,65,2317〜2323(1993))に詳細が記載されている。
次に、前述の核酸プローブが固定された電極を、前記遺伝子サンプルを含む溶液に接触させる。これにより、前記固定された核酸プローブと相補的な配列を有する遺伝子サンプルがハイブリダイズし、電極に二本鎖核酸が形成される。この核酸プローブと遺伝子サンプルとをハイブリダイズさせる方法は周知であるため、ここでは説明を省略する。
このようにして電極に二本鎖核酸を形成した後、該二本鎖核酸が形成された電極に挿入剤を添加し、挿入剤を前記二本鎖核酸に挿入反応させる。なお、この挿入剤の添加は、二本鎖核酸を形成する前、つまりハイブリダイゼーション反応前に、前記検体試料中に添加するものであってもよい。
そしてこの後、挿入剤が添加された二本鎖核酸に対して光照射を行い、二本鎖核酸と挿入剤との間で共有結合を形成させる。
以下、本実施の形態1の挿入剤について説明する。
本発明では、挿入剤として、前記二本鎖核酸に特異的に挿入し、且つ光照射により二本鎖核酸と共有結合する特徴をもつ物質を用いる。
本発明では、挿入剤として、前記二本鎖核酸に特異的に挿入し、且つ光照射により二本鎖核酸と共有結合する特徴をもつ物質を用いる。
これにより、前記挿入剤は、二本鎖核酸と、強固且つ不可逆的に結合するため、この後の洗浄工程により、二本鎖核酸と結合した挿入剤が、該二本鎖核酸から解離することがなく、洗浄工程では未反応の挿入剤のみを除去できる。
さらに、本発明では、挿入剤として、電気化学的に活性である特徴を持つ物質を用いる。
これにより、前記二本鎖核酸に特異的に結合した挿入剤由来の電気化学的な信号により、該二本鎖核酸の存在を高感度に検出できる。
これにより、前記二本鎖核酸に特異的に結合した挿入剤由来の電気化学的な信号により、該二本鎖核酸の存在を高感度に検出できる。
このような2つの特性を満たす挿入剤は、前記二本鎖核酸に特異的に挿入し、且つ光照射により二本鎖核酸と共有結合する二本鎖核酸結合部位(I)と、電気化学活性を有する電気化学活性部位(F)と、前記二本鎖核酸結合部位(I)と前記電気化学活性部位(F)とを連結する連結部位(L)と、を有する化合物である。
例えば、本発明の挿入剤は、下記一般式(1)で表すことができる。
一般式; F − L − I ・・・(1)
(式中Fは電気化学活性基、Lは連結基、Iは光照射により二本鎖核酸と架橋する部位を有する二本鎖核酸挿入基を表わす。)
ここで、前記一般式(1)に示す、二本鎖核酸挿入基Iとして用いることができる物質としては、二本鎖核酸に特異的に挿入し、且つ光照射により二本鎖核酸と共有結合する物質である、感光性を持つ挿入剤を挙げることができる。
そして、このような感光性を持つ挿入剤としては、例えば、フロクマリン誘導体が挙げられ、特に、ソラレン誘導体が好ましい。このソラレン誘導体は、二本鎖核酸に挿入すると、二本鎖核酸と非共有的相互作用を起こし、さらにこれに長波長紫外線(300〜400nm)を照射すると、二本鎖核酸に挿入したソラレン誘導体部分が、強固に且つ不可逆的に二本鎖核酸と共有結合するようになり、安定な共有結合を形成する。
従って、後述する洗浄工程において、二本鎖核酸を形成しなかった電極表面に固定された一本鎖の核酸プローブや、該電極表面に非特異吸着した挿入剤を洗浄等した際に、二本鎖核酸に結合させた挿入剤が抜け落ちることがなくなり、該洗浄工程において強い洗浄を行って、前記未反応の一本鎖の核酸プローブや、非特異吸着した挿入剤を確実に除去することができる。
このようなソラレン誘導体の具体的な例としては、ソラレン、メトキシソラレン、トリメチルソラレン等が挙げられる。
次に、前記一般式(1)に示す、電気化学活性基Fとして用いることができる物質は、電気化学的に検出可能な物質であればどのようなものでもよく、例えば、可逆な酸化還元反応時に生じる酸化還元電流を測定することで物質の検出が可能な、酸化還元性を有する化合物を挙げることができる。
そして、このような酸化還元性を有する化合物としては、例えば、フェロセン、カテコールアミン、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンもしくはビオローゲン等がある。
さらに、前述酸化還元性を有する化合物の例として挙げた、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンには、酸化還元反応時に電気化学発光を生じるものもあり、その発光を測定することで物質の検出を行うこともできる。
そして、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体としては、酸素や窒素等を含む複素環系化合物、例えば、ピリジン部位、ピラン部位等を配位子に有する金属錯体があり、特に、ピリジン部位を配位子に有する金属錯体が好ましく、そして該ピリジン部位を配位子に有する金属錯体としては、例えば、金属ビピリジン錯体、金属フェナントロリン錯体等がある。
さらに、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体の中心金属としては、例えば、ルテニウム、オスニウム、亜鉛、コバルト、白金、クロム、モリブデン、タングステン、テクネチウム、レニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、銅、インジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム等を挙げることができ、そして特に、該中心金属が、ルテニウム、オスニウムである錯体は、良好な電気化学発光特性を有し、該良好な電気化学発光特性を有する物質としては、例えば、ルテニウムビピリジン錯体、ルテニウムフェナントロリン錯体、オスニウムビピリジン錯体、オスニウムフェナントロリン錯体等を挙げることができる。
そして、前記一般式(1)において、連結基Lとして用いることができる基としては、前記電気化学活性基Fと前記二本鎖核酸挿入基Iとを連結するものであれば、そのリンカー配列は特に制限されるものではなく、例えば、アルキル基、−O−基、−CO−基、−NH−基、リン酸基、又はこれらの組み合わせから成る基などを挙げることができる。
このような挿入剤を、前記遺伝子サンプルと前記核酸プローブをハイブリダイズさせる前か後に添加し、光照射により、前記核酸プローブと遺伝子サンプルがハイブリダイズした二本鎖核酸と、前記挿入剤とを共有結合させたのち、電極の洗浄処理を行う。
そしてこの洗浄処理により、電極表面に固定された未反応の一本鎖の核酸プローブや、該電極表面に非特異的に吸着した挿入剤を除去する。
この結果、前記ハイブリダイズした二本鎖核酸には、特異的に共有結合した挿入剤のみが残るようになり、この挿入剤由来の電気化学的な信号を測定することにより、二本鎖核酸の存在を高感度に検出することができる。
前記挿入剤由来の電気化学的な信号は、添加する挿入剤の種類により異なるが、酸化還元電流を生じる挿入剤を用いた場合には、ポテンショスタット、ファンクションジェネレータ等からなる計測系で測定できる。一方、電気化学発光を生じる挿入剤を用いた場合には、フォトマルチプライヤー等を用いて計測が可能である。
以下、本発明にかかる遺伝子検出装置について、図1を用いて説明する。図1は本実施の形態1にかかる遺伝子検出装置の構成を示す図である。図1において、遺伝子検出装置100は、二本鎖核酸形成槽3、遺伝子サンプル洗浄槽7、挿入剤反応槽9、挿入剤洗浄槽13、検出槽15の5種類の槽を有している。1は試料中の細胞より検査対象となる遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製部であり、2は該検出対象の遺伝子サンプルと相補的配列を有する1本鎖の核酸プローブが固定された電極である。5は前記電極2を保持する電極保持アーム5aと、該電極保持アーム5aを駆動するアーム駆動部5bとからなり、前述した5つの槽3,7,9,13,15の内部に、前記電極2を順に移動させる電極移動部であり、例えば、搬送アームや、ベルトコンベアのようなローダーが例に挙げられる。
6は電極2表面の未反応の遺伝子サンプルを洗浄する洗浄液を保持する遺伝子サンプル洗浄液タンクであり、8は挿入剤を保持する挿入剤タンクであり、12は電極2表面の未反応の挿入剤を洗浄する洗浄液を保持する挿入剤洗浄液タンクであり、14は電解液を保持する電解液タンクである。
そして、前記遺伝子サンプル作製部1は前記二本鎖核酸反応槽3に、前記遺伝子サンプル洗浄液タンク6は前記遺伝子サンプル洗浄槽7に、前記挿入剤タンク8は前記挿入剤反応槽9に、前記挿入剤洗浄液タンク12は前記挿入剤洗浄槽13に、前記電解液タンク14は前記検出槽15に、それぞれ接続されている。また、前記挿入剤反応槽9には、電極2に光を照射するUVランプ11が、前記検出槽15には、電極2に電圧を印加するポテンショスタット17と、前記電極2の電気化学発光を測定するフォトマル16と、前記電極2に印加する印加電圧を制御すると共に、前記フォトマル16から測定結果を取得して解析する制御部18と、が設けられている。
また、前記二本鎖核酸形成槽3、挿入剤反応槽9は、それぞれ温度コントローラ4,10により嵌合されている。
次に、当該装置100の動作を説明する。
まず検出しようとする遺伝子を含む被検査細胞を遺伝子サンプル作製部1に入れ、検査対象となる遺伝子を一本鎖に変性した遺伝子サンプルを含有する試料溶液を作成する。そして、前記遺伝子サンプルを含有する試料溶液を二本鎖核酸形成槽3に送り、該二本鎖核酸反応槽3内にセットされた、核酸プローブが固定された電極2に、前記試料溶液を滴下する。このとき二本鎖核酸形成槽3では、温度コントローラ4により、槽内温度を適温に制御しておく。
まず検出しようとする遺伝子を含む被検査細胞を遺伝子サンプル作製部1に入れ、検査対象となる遺伝子を一本鎖に変性した遺伝子サンプルを含有する試料溶液を作成する。そして、前記遺伝子サンプルを含有する試料溶液を二本鎖核酸形成槽3に送り、該二本鎖核酸反応槽3内にセットされた、核酸プローブが固定された電極2に、前記試料溶液を滴下する。このとき二本鎖核酸形成槽3では、温度コントローラ4により、槽内温度を適温に制御しておく。
前記試料溶液が滴下された電極2表面では、該電極2に固定された核酸プローブと相補的な配列を有する遺伝子サンプルがハイブリダイズし、二本鎖核酸が形成される。
反応終了後、該電極2を電極移動部5により、遺伝子サンプル洗浄槽7に移動させる。
遺伝子サンプル洗浄槽7では、前記遺伝子サンプル洗浄液タンク6に保持された洗浄液を前記電極2に滴下し、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の遺伝子サンプルを除去する。
遺伝子サンプル洗浄槽7では、前記遺伝子サンプル洗浄液タンク6に保持された洗浄液を前記電極2に滴下し、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の遺伝子サンプルを除去する。
洗浄終了後、電極2を電極移動部5により、挿入剤反応槽9に移動させる。
挿入剤反応槽9では、前記挿入剤タンク8に保持された挿入剤を前記電極2に滴下し、該挿入剤を前記二本鎖核酸に挿入反応させる。このとき挿入剤反応槽9では、温度コントローラ10により、槽内温度を適温に制御しておく。
挿入剤反応槽9では、前記挿入剤タンク8に保持された挿入剤を前記電極2に滴下し、該挿入剤を前記二本鎖核酸に挿入反応させる。このとき挿入剤反応槽9では、温度コントローラ10により、槽内温度を適温に制御しておく。
さらにこの後、前記挿入剤反応槽9で、前記UVランプ11により、前記挿入剤を滴下した電極2に光照射することで、前記挿入剤と二本鎖核酸を共有結合を形成させる。
反応終了後、該電極2を電極移動部5により、挿入剤洗浄槽13に移動させる。
挿入剤洗浄槽13では、前記挿入剤洗浄液タンク12に保持された洗浄液を前記電極2に滴下して、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の挿入剤を除去する。
挿入剤洗浄槽13では、前記挿入剤洗浄液タンク12に保持された洗浄液を前記電極2に滴下して、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の挿入剤を除去する。
洗浄終了後、電極2を電極移動部5により、検出槽15に移動させる。
検出槽15では、前記電極2をポテンショスタット17に接続し、前記電解液タンク14に保持された電解液を前記電極2に滴下する。
検出槽15では、前記電極2をポテンショスタット17に接続し、前記電解液タンク14に保持された電解液を前記電極2に滴下する。
前記ポテンショスタット17は制御部18の制御の下、電極2に対して電圧を印加し、電気化学発光させる。そして、前記フォトマル16により、該電気化学発光を測定し、該測定値は制御部18に入力され、解析される。
以上のように、本実施の形態1によれば、検出対象の遺伝子と相補的な配列を有する核酸プローブとをハイブリダイズして得た二本鎖核酸に挿入する挿入剤として、電気化学的に活性で、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する物質を用いるようにしたので、光照射により、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させて、該二本鎖核酸と挿入剤とを、不可逆的に、且つ強固に結合させることができ、この結果、高精度な測定結果を得ることができ、特定の配列を有する検出すべき遺伝子を高感度に検出できる。また、本実施の形態1によれば、電極2の表面の、未反応の挿入剤を洗浄しても、前記挿入剤と二本鎖核酸とで共有結合を形成させるようにしたので、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤は解離することがないが、一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができるため、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
なお、本実施の形態1では、洗浄槽として、二本鎖核酸形成工程後の未反応の遺伝子サンプルを洗浄する遺伝子サンプル洗浄槽7と、挿入剤添加工程後の未反応の挿入剤を洗浄する挿入剤洗浄槽13とを設ける構成としたが、洗浄槽を一つにして、これらの洗浄処理を同一の洗浄槽で行う構成としてもよいし、あるいは、前記2つの洗浄処理のうち、前記未反応の挿入剤洗浄処理のみを行い、前記未反応の遺伝子サンプル洗浄処理を行わないものとしてもよい。
さらに、前述した遺伝子検出装置100では、電極2に対する処理毎に、その処理をするための槽を設ける構成としたが、全ての処理を一つの槽で実現することも可能である。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、電極2に対する複数の処理を行う処理槽を複数設け、各処理を異なる処理槽で行う場合を説明したが、本実施の形態2では、処理槽を一つとし、電極極2に対する処理を、該1つの処理槽で行うものである。
前記実施の形態1では、電極2に対する複数の処理を行う処理槽を複数設け、各処理を異なる処理槽で行う場合を説明したが、本実施の形態2では、処理槽を一つとし、電極極2に対する処理を、該1つの処理槽で行うものである。
図2は、本実施の形態2にかかる遺伝子検出装置の構成を示す図である。図2において、遺伝子検出装置200は、電極2に対して処理を行う処理槽23を有している。25は前記処理槽23内部で、前記電極を水平方向に移動させる電極移動部であり、例えば、例えばステージを平行移動させる機構などが例に挙げられる。そして、27は前記処理槽23内部にたまった液を排出する廃液タンクである。
前記処理槽23には、槽内部に、核酸プローブが固定された電極2と、該電極2を水平方向に移動させる電極移動部25とが設けられ、さらに、槽上部に、前記遺伝子サンプル作製部1、遺伝子サンプル洗浄液タンク6、挿入剤タンク8、挿入剤洗浄液タンク12、電解液タンク14、及び廃液タンク27が接続されている。
また、前記処理槽23には、電極2に光を照射するUVランプ11と、該電極2の電気化学発光を測定するフォトマル16とが設けられ、温度コントローラ4に嵌合されているものである。
さらに、当該装置200には、電極2に電圧を印加するポテンショスタット17と、前記電極2に印加する印加電圧を制御すると共に、前記フォトマル16から測定結果を取得して解析する制御部18とが設けられている。
次に、当該装置200の動作を説明する。
まず検出しようとする遺伝子を含む被検査細胞を遺伝子サンプル作製部1に入れ、検査対象となる一本鎖に変性された遺伝子サンプルを含有する試料溶液を作成する。そして、前記遺伝子サンプルを含有する試料溶液を処理槽23に送り、該処理槽23内にセットされた、核酸プローブが固定された電極2に、前記試料溶液を滴下する。このとき処理槽23では、温度コントローラ4により、槽内温度を適温に制御しておく。
まず検出しようとする遺伝子を含む被検査細胞を遺伝子サンプル作製部1に入れ、検査対象となる一本鎖に変性された遺伝子サンプルを含有する試料溶液を作成する。そして、前記遺伝子サンプルを含有する試料溶液を処理槽23に送り、該処理槽23内にセットされた、核酸プローブが固定された電極2に、前記試料溶液を滴下する。このとき処理槽23では、温度コントローラ4により、槽内温度を適温に制御しておく。
前記試料溶液が滴下された電極2表面では、該電極2に固定された核酸プローブと相補的な配列を有する遺伝子サンプルがハイブリダイズし、二本鎖核酸が形成される。
反応終了後、前記遺伝子サンプル洗浄液タンク6に保持された洗浄液を前記電極2に滴下し、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の遺伝子サンプルを除去する。このとき、電極移動部25は、遺伝子サンプル洗浄液タンク6から送られる洗浄液が前記電極2に対して適切に滴下されるよう、該電極2を所定位置に水平方向に移動させる。また、前記電極2に滴下された洗浄液は、廃液タンク27に回収される。
洗浄終了後、前記挿入剤タンク8に保持された挿入剤を前記電極2に滴下して、該挿入剤を前記二本鎖核酸に挿入反応させる。このとき、電極移動部25は、挿入剤タンク8から送られる挿入剤が前記電極2に対して適切に滴下されるよう、該電極2を所定位置に水平方向に移動させる。また、処理槽23では、温度コントローラ4により、槽内温度を適温に制御しておく。
反応終了後、前記挿入剤洗浄液タンク12に保持された洗浄液を前記電極2に滴下して、該洗浄液で前記電極2表面の未反応の挿入剤を除去する。このとき、電極移動部25は、挿入剤洗浄液タンク12から送られる洗浄液が前記電極2に対して適切に滴下されるよう、該電極2を所定位置に水平方向に移動させる。また、前記電極2に滴下された洗浄液は、廃液タンク27に回収される。
洗浄終了後、前記電極2をポテンショスタット17に接続し、前記電解液タンク14に保持された電解液を前記電極2に滴下する。このとき、電極移動部25は、解液タンク14から送られる電解液が前記電極2に対して適切に滴下されるよう、該電極2を所定位置に水平方向に移動させる。
前記ポテンショスタット17は制御部18の制御の下、電極2に対して電圧を印加し、電気化学発光させる。そして、前記フォトマル16により、該電気化学発光を測定し、該測定値は制御部18に入力され解析される。
以上のように、本実施の形態2によれば、検出対象の遺伝子と相補的な配列を有する核酸プローブとをハイブリダイズして得た二本鎖核酸に挿入する挿入剤として、電気化学的に活性で、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する物質を用いるようにしたので、光照射により、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させて、該二本鎖核酸と挿入剤とを、不可逆的に、且つ強固に結合させることができ、この結果、高精度な測定結果を得ることができ、特定の配列を有する検出すべき遺伝子を高感度に検出できる。また、本実施の形態2によれば、電極2の表面の、未反応の挿入剤を洗浄しても、前記挿入剤と二本鎖核酸とで共有結合を形成させるようにしたので、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤は解離することがないが、一本鎖の核酸プローブあるいは電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去することができるため、前記検体試料中の遺伝子を高感度に検出することができる。
なお、本実施の形態2では、二本鎖核酸形成工程後の未反応の遺伝子サンプルを洗浄する遺伝子サンプル洗浄液タンク6と、挿入剤添加工程後の未反応の挿入剤を洗浄する挿入剤洗浄液タンク12とを設ける構成としたが、処理層23に設ける洗浄液タンクを一つにして、二本鎖核酸形成工程後の未反応の遺伝子サンプルを洗浄する処理と、光照射工程後の未反応の挿入剤を洗浄する処理とを同一の洗浄液を用いて行うようにしてもよいし、前記2つの洗浄処理のうち、前記挿入剤洗浄処理のみを行い前記遺伝子サンプル洗浄処理は行わないものとしてもよい。
(実施例1)
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)金電極表面への核酸プローブの固定化
ガラス基板上にスパッタ装置(アルバック製SH−350)によりチタン10nmを下地に金200nmを形成し、フォトリソグラフィ工程により電極パターンを形成することで、金電極を準備した。電極表面をピラニア溶液(過酸化水素:濃硫酸=1:3)で1分間洗浄し、純水ですすいだ後、窒素ブローで乾燥させた。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)金電極表面への核酸プローブの固定化
ガラス基板上にスパッタ装置(アルバック製SH−350)によりチタン10nmを下地に金200nmを形成し、フォトリソグラフィ工程により電極パターンを形成することで、金電極を準備した。電極表面をピラニア溶液(過酸化水素:濃硫酸=1:3)で1分間洗浄し、純水ですすいだ後、窒素ブローで乾燥させた。
核酸プローブには、ヒト由来Cytochrome P−450の遺伝子配列の5’−末端より629−668番目に位置するCCCCCTGGAT CCAGATATGC AATAATTTTC CCACTATCATの配列を有する5’−末端のリン酸基を介してチオール基を修飾した40塩基のオリゴデオキシヌクレオチド(タカラバイオ製)を使用した。そして、該核酸プローブを10mMのPBS(pH7.4のリン酸ナトリウム緩衝液)に溶解させ、100μMに調整した。
この調整した核酸プローブの溶液を前記金電極上に滴下し、飽和湿潤下、室温で4時間放置することで、チオール基と金とを結合させて、核酸プローブを金電極に固定した。
(2)ハイブリダイゼーション
遺伝子サンプルには、前記核酸プローブと相補的な5’−末端からATGATAGTGG GAAAATTATT GCATATCTGG ATCCAGGGGGの配列を有するオリゴデオキシヌクレオチド(タカラバイオ製)を使用した。そして、該遺伝子サンプルを、10mMのPBS、及び2XSSCを混合したハイブリダイゼーション溶液に溶解させ、20μMに調整した。
遺伝子サンプルには、前記核酸プローブと相補的な5’−末端からATGATAGTGG GAAAATTATT GCATATCTGG ATCCAGGGGGの配列を有するオリゴデオキシヌクレオチド(タカラバイオ製)を使用した。そして、該遺伝子サンプルを、10mMのPBS、及び2XSSCを混合したハイブリダイゼーション溶液に溶解させ、20μMに調整した。
この調整した、遺伝子サンプルが溶解したハイブリダイゼーション溶液を、前記核酸プローブを固定した金電極上に滴下し、40℃の恒温槽内で4時間反応させ、二本鎖核酸を形成させた。これにより、二本鎖核酸が形成された金電極xを得た。
さらに、本実施例においては、比較対象として、二本鎖核酸が形成されていない金電極yを作成する。この二本鎖核酸が形成されない金電極yは、前記核酸プローブと非相補的な配列を有する遺伝子サンプル(以下、「比較遺伝子サンプル」と称す。)を使用して、前記二本鎖核酸が形成された金電極xを得る時と同様の処理をする。なお、ここでは、前記比較遺伝子サンプルとして、40merのPoly−A(タカラバイオ製)、AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAAの配列を有する遺伝子サンプルを使用した。
(3)挿入剤の添加
挿入剤には、下記の化1に示すソラレン修飾ルテニウム錯体を使用した。
挿入剤には、下記の化1に示すソラレン修飾ルテニウム錯体を使用した。
ソラレン修飾ルテニウム錯体の合成は、以下の手順により得ることができる。
まず、公知の方法(Biochemistry,vol.16,No6,1977)により合成した4’−クロロメチル−4,5,8−トリメチルソラレン(0.5g、1.81mmol)を、水酸化ナトリウム溶解ジメチルホルムアミド(乾燥)に溶かし、160℃で撹拌しながら1,4−ジアミノブタン(0.32g、3.63mmol)を滴下し12時間反応させた。溶媒を留去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、生成物Aを得た(収率40%)。
まず、公知の方法(Biochemistry,vol.16,No6,1977)により合成した4’−クロロメチル−4,5,8−トリメチルソラレン(0.5g、1.81mmol)を、水酸化ナトリウム溶解ジメチルホルムアミド(乾燥)に溶かし、160℃で撹拌しながら1,4−ジアミノブタン(0.32g、3.63mmol)を滴下し12時間反応させた。溶媒を留去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、生成物Aを得た(収率40%)。
次に、THF60.0mLに溶解させた4,4’−ジメチル−2,2’ビピリジン2.50g(1.35×10-2mol)溶液を窒素雰囲気の容器に注入した後、リチウムジイソプロピルアミド2M溶液16.9mL(2.70×10-2mol)を滴下し、冷却しながら30分撹拌した。一方、同様に窒素気流中で乾燥させた容器に、1,2−ジブロモエタン7.61g(4.05×10-2mol)とTHF10mLとを加え、冷却しながら撹拌させた。
この1,2−ジブロモエタンとTHFとが挿入された容器に、先程の、THFに溶解させた4,4’−ジメチル−2,2’ビピリジン溶液とリチウムジイソプロピルアミド2M溶液とを反応させた反応液をゆっくり滴下させ、2.5時間反応させた。そして、この反応溶液を、2Nの塩酸で中和して、THFを留去した後、クロロホルムで抽出し、さらに、前記溶媒を留去して得た粗生成物をシリカゲルカラムで精製し、生成物Bを得た(収率47%)。
そして、前記生成物A(0.50g、1.52mmol)と前記生成物B(0.49g、1.68mmol)とを、水酸化ナトリウム溶解ジメチルホルムアミド(乾燥)に溶かし、160℃で18時間撹拌させた。そして、この攪拌した溶媒を留去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、生成物Cを得た(収率38%)。
さらに、塩化ルテニウム(III)(2.98g、0.01mol)、及び2,2’−ビピリジン(3.44g、0.022mol)をジメチルホルムアミド(80.0mL)中で6時間還流した後、溶媒を留去した。その後、アセトンを加え、一晩冷却することで得られた黒色沈殿物を採取し、エタノール水溶液170mL(エタノール:水=1:1)を加え、1時間加熱還流を行った。ろ過後、塩化リチウムを20g加え、エタノールを留去し、さらに一晩冷却した。析出した黒色物質は、吸引ろ過で採取し、生成物Dを得た(収率68.2%)。
そして、前記生成物C(0.30g、0.56mmol)と前記生成物D(0.32g、0.66mmol)とを、ジメチルホルムアミドに溶かして6時間還流し、反応後、溶媒を留去させて得た黒紫色の物質に蒸留水を加えて溶解させ、未反応錯体をろ過により除去した後、溶媒を留去した。
得られた粗生成物は、シリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、ソラレン修飾ルテニウム錯体を得た(収率68%)。表1は、前述のようにして得たソラレン修飾ルテニウム錯体のプロトンNMR(1H-NMR)の結果である。
(表1)
1H-NMR(300MHz、DMSOd−6)
σ:
1.4〜1.8 (6H,m)
2.4〜2.6 (12H,m)
2.74 (2H,t)
3.8〜3.1 (6H,m)
4.31 (2H,s)
6.32 (1H,s)
7.38 (2H,d)
7.54 (7H,m)
7.77 (4H,m)
8.16 (4H,t)
8.70 (2H,d)
8.88 (4H,d)
1H-NMR(300MHz、DMSOd−6)
σ:
1.4〜1.8 (6H,m)
2.4〜2.6 (12H,m)
2.74 (2H,t)
3.8〜3.1 (6H,m)
4.31 (2H,s)
6.32 (1H,s)
7.38 (2H,d)
7.54 (7H,m)
7.77 (4H,m)
8.16 (4H,t)
8.70 (2H,d)
8.88 (4H,d)
このようにして得られたソラレン修飾ルテニウム錯体を、10mMのPBSで2μMに調整した。
この調整した溶液を、前記二本鎖核酸が形成された金電極x、及び二本鎖核酸が形成されていない金電極yにそれぞれ添加し、30分間4℃の冷蔵庫内で暗反応を行った。
この調整した溶液を、前記二本鎖核酸が形成された金電極x、及び二本鎖核酸が形成されていない金電極yにそれぞれ添加し、30分間4℃の冷蔵庫内で暗反応を行った。
(4)二本鎖核酸と挿入剤との共有結合
30分後、前記金電極x,yそれぞれに、UVクロスリンカー(フナコシ製UVPCL1000L型)を用いて波長365nm、5mW/cm2の紫外線を10分間照射し、ソラレンと二本鎖核酸とを共有結合させた。共有結合後、金電極x,yそれぞれを10mMのPBSで10分間揺動洗浄し、未反応のRu錯体を取り除いた。
30分後、前記金電極x,yそれぞれに、UVクロスリンカー(フナコシ製UVPCL1000L型)を用いて波長365nm、5mW/cm2の紫外線を10分間照射し、ソラレンと二本鎖核酸とを共有結合させた。共有結合後、金電極x,yそれぞれを10mMのPBSで10分間揺動洗浄し、未反応のRu錯体を取り除いた。
(5)電気化学測定
以上の工程の後、前記金電極x、及び二本鎖核酸が形成されていない金電極yのそれぞれに、0.1MのPBS、及び0.1Mのトリエチルアミンを混合した電解液を滴下した。
以上の工程の後、前記金電極x、及び二本鎖核酸が形成されていない金電極yのそれぞれに、0.1MのPBS、及び0.1Mのトリエチルアミンを混合した電解液を滴下した。
その後、それぞれの金電極x,yに電圧を印加し、この時に生じた挿入剤由来の電気化学発光の測定を行った。
なお、電圧の印加は、0Vから1.3Vまで走査し、1秒間電気化学測定を行った。電気化学発光量の測定は、光電子増倍管(浜松ホトニクス製H7360−01)を用いて行い、最大発光量を測定した。
図3は、本実施例1の電気化学測定にて得られた結果を示すものである。図3から明らかなように、二本鎖核酸が形成された金電極xでの発光量は、二本鎖核酸が形成されていない金電極yでの発光量と比較して著しく高い値となっており、本実施例の挿入剤を用いれば、高感度に二本鎖核酸の検出を行うことが可能であることが分かる。
本発明にかかる遺伝子検出方法は、特定の配列を有する遺伝子を高感度に検出することができ、遺伝子診断、感染症診断、ゲノム創薬等の用途に適用できる。
図1は本発明の実施の形態1にかかる遺伝子検出装置の構成を示す図である。
図2は本発明の実施の形態2にかかる遺伝子検出装置の別の構成を示す図である。
図3は本発明の実施例1の工程により得られた、二本鎖核酸が形成された金電極x、及び二本鎖核酸が形成されていない電極yそれぞれにおいて検出された最大電気化学発光量を示すものである。
図2は本発明の実施の形態2にかかる遺伝子検出装置の別の構成を示す図である。
図3は本発明の実施例1の工程により得られた、二本鎖核酸が形成された金電極x、及び二本鎖核酸が形成されていない電極yそれぞれにおいて検出された最大電気化学発光量を示すものである。
1 遺伝子サンプル作製部
2 電極
3 二本鎖核酸形成槽
4,10 温度コントローラ
5,25 電極移動部
5a 電極保持アーム
5b アーム駆動部
6 遺伝子サンプル洗浄液タンク
7 遺伝子サンプル洗浄槽
8 挿入剤タンク
9 挿入剤反応槽
11 UVランプ
12 挿入剤洗浄液タンク
13 挿入剤洗浄槽
14 電解液タンク
15 検出槽
16 フォトマル
17 ポテンショスタット
18 制御部
23 処理槽
27 廃液タンク
100,200 遺伝子検出装置
2 電極
3 二本鎖核酸形成槽
4,10 温度コントローラ
5,25 電極移動部
5a 電極保持アーム
5b アーム駆動部
6 遺伝子サンプル洗浄液タンク
7 遺伝子サンプル洗浄槽
8 挿入剤タンク
9 挿入剤反応槽
11 UVランプ
12 挿入剤洗浄液タンク
13 挿入剤洗浄槽
14 電解液タンク
15 検出槽
16 フォトマル
17 ポテンショスタット
18 制御部
23 処理槽
27 廃液タンク
100,200 遺伝子検出装置
Claims (14)
- 検体試料中の特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出方法であって、
前記検体試料中の検出すべき遺伝子を一本鎖に変性して遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製工程と、
前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを電極に固定化させる固定化工程と、
前記一本鎖の遺伝子サンプルを、前記一本鎖の核酸プローブが固定化された電極に添加し、前記核酸プローブと前記遺伝子サンプルとがハイブリダイズした二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成工程と、
前記二本鎖核酸が形成された電極に、電気化学的に活性であり、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を添加する挿入剤添加工程と、
光照射を行うことにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させる光照射工程と、
前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程後の、前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する検出工程、とを含む、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項1に記載の遺伝子検出方法において、
前記電気化学的な測定は、前記電極に対して電圧を印加し、前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤による電気化学発光量を測定するものである、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項1に記載の遺伝子検出方法において、
前記挿入剤は、
前記二本鎖核酸に特異的に挿入し、かつ光照射により該二本鎖核酸と共有結合を形成する二本鎖核酸結合部位と、
電気化学活性を有する電気化学活性部位と、
前記二本鎖核酸結合部位と前記電気化学活性部位とを連結する連結部位と、を有する化合物からなる、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項3に記載の遺伝子検出方法において、
前記二本鎖核酸結合部位が、感光性を持つ挿入剤である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項4に記載の遺伝子検出方法において、
前記感光性を持つ挿入剤が、フロクマリン誘導体である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項5に記載の遺伝子検出方法において、
前記フロクマリン誘導体が、ソラレン誘導体である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項3に記載の遺伝子検出方法において、
前記電気化学活性部位が、酸化還元性を有する化合物である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項7に記載の遺伝子検出方法において、
前記酸化還元性を有する化合物が、電気化学発光を示す化合物である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項8に記載の遺伝子検出方法において、
前記電気化学発光を示す化合物が、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンである、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項9に記載の遺伝子検出方法において、
前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体が、配位子にピリジン部位を有する金属錯体である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項10に記載の遺伝子検出方法において、
前記配位子にピリジン部位を有する金属錯体が、金属ビピリジン錯体、金属フェナントロリン錯体である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 請求項9に記載の遺伝子検出方法において、
前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体の中心金属が、ルテニウム、オスニウムである、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。 - 検体試料中の特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出装置であって、
前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを固定化してなる電極と、
前記電極に固定化した核酸プローブと、前記検体試料中の前記検出すべき遺伝子を一本鎖に変性した遺伝子サンプルとをハイブリダイズさせて二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成槽と、
電気化学的に活性であり、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を、前記電極に添加して光照射し、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させる挿入剤添加槽と、
前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を洗浄液により除去する洗浄槽と、
前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する検出槽と、
前記電極を、前記二本鎖核酸形成槽、前記挿入剤添加槽、前記洗浄槽、及び前記検出槽の各槽内に、順に移動させる電極移動部と、を備える、
ことを特徴とする遺伝子検出装置。 - 検体試料中の特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出装置であって、
前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを固定化してなる電極と、
前記検出すべき遺伝子を一本鎖に変性して遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製部と、
電気化学的に活性であり、且つ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を保持する挿入剤タンクと、
前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を除去する洗浄液を保持する洗浄液タンクと、
前記二本鎖核酸を共有結合した挿入剤を検出するための電解液を保持する電解液タンクと、
前記遺伝子サンプル作製部、前記挿入剤タンク、前記洗浄液タンク、及び前記電解液タンクと接続され、前記電極に固定化した核酸プローブと前記遺伝子サンプルとにより二本鎖核酸を形成させ、該二本鎖核酸と前記挿入剤を光照射により共有結合させ、前記二本鎖核酸と未反応の挿入剤を前記洗浄液で洗浄し、前記二本鎖核酸に共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する処理槽と、を備える、
ことを特徴とする遺伝子検出装置。
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