JPH05285000A - 遺伝子検出法 - Google Patents

遺伝子検出法

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JPH05285000A
JPH05285000A JP4242397A JP24239792A JPH05285000A JP H05285000 A JPH05285000 A JP H05285000A JP 4242397 A JP4242397 A JP 4242397A JP 24239792 A JP24239792 A JP 24239792A JP H05285000 A JPH05285000 A JP H05285000A
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幸二 橋本
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桂子 三輪
Yoshio Ishimori
義雄 石森
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Abstract

(57)【要約】 【構成】一本鎖に変性された試料核酸を電極表面または
光ファイバ先端に固定化し、目的遺伝子に対して相補的
な塩基配列を有する一本鎖の核酸プロ−ブと反応させ、
さらに二本鎖核酸に特異的に結合し、且つ電気化学的ま
たは光化学的に活性な二本鎖認識体と反応させる。反応
終了後、電極または光ファイバを介して二本鎖核酸に由
来する電気化学的または光化学的変化を測定する。ま
た、核酸プロ−ブを電気化学的または光化学的に活性な
物質で標識し、この標識物質に由来する電気化学的また
は光化学的な変化を測定することにより、二本鎖認識体
を用いることなく遺伝子の検出を行なうことができる。 【効果】放射性同位体を用いることなく、安全かつ簡便
に、短時間で遺伝子の検出を行なうことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料中に存在する特定
の遺伝子を特異的に検出するための遺伝子検出法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】遺伝子(DNA)に蓄えられる遺伝情報
は、メッセンジャ−RNA(mRNA)を介して蛋白質
あるいは酵素として表現される。この蛋白質や酵素の働
きにより、生命の維持に必要な様々な化合物の生合成お
よび代謝が行なわれる。このように、遺伝子に支配され
た多様な物質の動的平衡系として、生物が存在している
わけである。
【0003】ヒトの遺伝子の総数は5〜10万といわれ
ている。これら遺伝子の中に、例えば欠損や重複のよう
な何等かの異常や変化が生じると、生成される蛋白質の
特性、種類および量などが変化し、結果として生体系の
バランスが崩れて疾病を引き起こすことになる。従っ
て、逆に病因となる既知の遺伝子を検出することによっ
て、疾患の同定や予防が可能である。このような遺伝子
そのものに基づく診断は、近年の遺伝子工学の進歩によ
って可能となったもので、遺伝子診断と呼ばれている。
【0004】従来の診断法と比較して、遺伝子診断には
次のような幾つかの特色がある。
【0005】遺伝子発現の機構を考えると、殆どの生化
学レベルでの変化に先行して、遺伝子上での変化が生じ
ていることが推定される。従って、遺伝子変化の検出に
よる遺伝子診断では、病気という表現型での変化に先だ
って、即ち、発症前や病気の潜伏期あるいは極めて初期
の段階で、診断や予測ができる。これが第一の特色であ
る。第二の特色は、生体内の細胞では遺伝子は全て同一
であるので、遺伝性の疾患に関する遺伝子診断法は、分
析する臓器や組織に依存しないことである。このこと
は、特に胎児での診断では重要である。即ち、この特色
によって、妊婦から羊水を採取し、羊水中に浮遊してい
る胎児の細胞を調べるだけで診断を行なうことが可能と
なる。
【0006】一般的な遺伝子診断法において、従来用い
られている遺伝子検出法の手順を略記すれば次の通りで
ある。
【0007】まず、試料から遺伝子を抽出し、必要があ
れば適当な制限酵素で切断した後、電気泳動およびサザ
ンブロットを行なう。次に、目的とする遺伝子に対して
相補的な塩基配列を有する核酸プロ−ブ(通常は、放射
性同位元素でラベルされている)を、ブロットされた遺
伝子とハイブリダイスさせる。続いて、低温でX線フィ
ルムに感光させることによりハイブリダイズされた核酸
プロ−ブを検出し、目的とする遺伝子の存在を確認す
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の検出法は、
放射性同位元素を使用するため診断場所が限定され、試
薬の取扱いにも十分注意しなければならない。この点を
改善するために、放射性同位元素に代わる安全なラベル
剤の開発が進められており、例えばアビジン- ビオチン
結合を利用する方法、酵素や蛍光物質を使用する方法
等、幾つかのプロ−ブ検出方法が既に提案されている。
しかし、これらは感度の点で放射性同位元素を凌駕する
までには至っていない。また、何れの方法も遺伝子検出
までに少なくとも2〜3日間を要し、測定操作もかなり
繁雑かつ複雑であるという問題がある。
【0009】一方、試料中に存在する特定の抗原または
抗体の定量分析には、一般にラジオイムノアッセイ(以
下、RIAと略記する)が用いられている。しかしなが
ら、RIAでは前記の遺伝子診断方法と同様に放射性同
位体を用いるため、専用の機器を設置し、その操作も放
射性同位体取扱いの資格を有するオペレ−タが行なわな
ければならない。これに加えて廃棄物の処理等にも注意
を必要とする。また、その他の分析方法として、例えば
免疫電気泳動法が知られているが、この方法は測定に長
時間を要するうえ感度が低く、被検物質がごく微量にし
か含まれていない場合には適用することができない。
【0010】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、安全性および簡便性に優れると共に、短時間で目
的とする遺伝子の有無を高感度に検出することができる
遺伝子検出法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による遺伝子検出
法は、検出すべき目的遺伝子に対して相補的な塩基配列
を有する一本鎖の核酸プロ−ブと、一本鎖に変性された
試料核酸とを反応させた後、前記核酸プロ−ブと前記試
料核酸とのハイブリダイゼ−ションにより形成される二
本鎖核酸の有無を検出することによって前記目的遺伝子
の存在を確認する遺伝子検出法において、前記試料核酸
を電極表面、または光ファイバ−先端に固定化して用い
ることと、二本鎖核酸に特異的に結合し、且つ電気化学
的または光化学的に活性な二本鎖認識体を、前記核酸プ
ロ−ブと試料核酸との反応系に添加することと、前記電
極または前記光ファイバを介した電気化学的または光化
学的な測定により、前記電極または前記光ファイバに固
定化された二本鎖認識体の検出を行なうことを特徴とす
るものである。
【0012】この遺伝子検出法において、電極または光
ファイバに固定化された二本鎖認識体が検出されること
は、電極または光ファイバの表面上に二本鎖核酸が形成
されていることを意味し、これは、電極または光ファイ
バ上に固定化された試料核酸が目的遺伝子であることを
示している。
【0013】また、本発明は、検出すべき目的遺伝子に
対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プロ−ブ
と、一本鎖に変性された試料核酸とを反応させた後、前
記核酸プロ−ブと前記試料核酸とのハイブリダイゼ−シ
ョンにより形成される二本鎖核酸の有無を検出すること
によって前記目的遺伝子の存在を確認する遺伝子検出法
において、前記試料核酸を電極表面、または光ファイバ
−先端に固定化して用いることと、前記核酸プロ−ブが
予め標識物質で標識されたプロ−ブであることと、前記
電極または前記光ファイバを介した電気化学的または光
化学的な測定により、前記電極または前記光ファイバに
固定化された核酸プロ−ブの検出を行なうことを特徴と
する遺伝子検出法をも提供する。
【0014】以下、本発明の遺伝子検出法をより詳細に
説明する。
【0015】本発明において「二本鎖認識体」とは、二
本鎖の核酸を認識し、特異的に結合する物質を指す。し
たがって、担体上に固定化された試料核酸と核酸プロ−
ブとの反応により担体上に二本鎖核酸が形成された場合
には、形成された二本鎖核酸と結合することにより二本
鎖認識体が担体上に固定化されることになる。このよう
な物質としては、例えば、挿入剤、二本鎖核酸を認識す
る生体高分子を挙げることができる。
【0016】挿入剤と呼ばれる物質は、二本鎖DNA等
の二本鎖核酸に特異的に結合する特徴がある。これら挿
入剤は何れも分子中にフェニル基等の平板状挿入基を有
し、この挿入基が二本鎖核酸の塩基対と塩基対の間に介
入することによって、二本鎖核酸と結合する。挿入剤の
多くは光学活性物質であり、核酸の定性に用いられてい
るものもある。また、挿入剤の中には電極応答する物質
もある。従って、光学的変化または電気化学的変化の測
定によって、二本鎖核酸に結合した挿入剤を検出するこ
とができる。
【0017】本発明で用いる電気化学的、光化学的に活
性な挿入剤は特に限定されるものではなく、例えばエチ
ジウム、エチジウムブロマイド、アクリジン、アミノア
クリジン、アクリジンオレンジ、プロフラビン、エリブ
チシン、アクチノマイシンD、ドーノマイシン、マイト
マイシンC、ヘキスト33342、ヘキスト3325
8、アクラルビシン、DAPI、アドリアマイシン、エ
ピルビシン、ピラルビシン、アクラシノマイシン、ま
た、トリス(フェナントロリン)亜鉛錯体、トリス(フ
ェナントロリン)ルテニュウム錯体、トリス(フェナン
トロリン)コバルト錯体、ジ(フェナントロリン)亜鉛
錯体、ジ(フェナントロリン)ルテニュウム錯体、ジ
(フェナントロリン)コバルト錯体、ビピリジンプラチ
ナ錯体、ターピリジンプラチナ錯体、フェナントロリン
プラチナ錯体、トリス(ビピリジル)亜鉛錯体、トリス
(ビピリジル)ルテニュウム錯体、トリス(ビピリジ
ル)コバルト錯体、ジ(ビピリジル)亜鉛錯体、ジ(ビ
ピリジル)ルテニュウム錯体、ジ(ビピリジル)コバル
ト錯体等を用いることができる。また、その他の使用可
能な挿入剤としては、特開昭62-282599 号公報に記載さ
れたものが挙げられる。
【0018】また、電極を用いて電気化学的変化を検出
する場合には、挿入剤として、上述の挿入剤自身が酸化
還元反応に対して可逆的である物質の他に、電気的に可
逆な酸化還元反応を起こす物質を中心金属として含有す
る金属錯体、すなわちメタロインタ−カレ−タ−を用い
ることができる。このようなメタロインタ−カレ−タ−
としては、例えばトリス(フェナントロリン)亜鉛錯
体、トリス(フェナントロリン)ルテニュウム錯体、ト
リス(フェナントロリン)コバルト錯体、ジ(フェナン
トロリン)亜鉛錯体、ジ(フェナントロリン)ルテニュ
ウム錯体、ジ(フェナントロリン)コバルト錯体、ビピ
リジンプラチナ錯体、タ−ピリジンプラチナ錯体、フェ
ナントロリンプラチナ錯体、トリス(ビピリジル)亜鉛
錯体、トリス(ビピリジル)ルテニュウム錯体、トリス
(ビピリジル)コバルト錯体、ジ(ビピリジル)亜鉛錯
体、ジ(ビピリジル)ルテニュウム錯体、ジ(ビピリジ
ル)コバルト錯体を挙げることができる。挿入剤はこれ
らに限定されるものではないが、錯体の中心金属もしく
は挿入剤自身の酸化還元電位が核酸の酸化還元電位以上
であったり、核酸の酸化還元電位に重なることのないも
のが望ましい。
【0019】このような電気化学的に可逆である酸化還
元反応を起こす挿入剤を用いることにより、酸化還元電
流を繰り返して測定することが可能となる。したがっ
て、電位走査を数回ないし数百回繰り返し、得られた信
号の値を積算することにより信号の増幅を行なうことが
でき、その結果、より高感度の検出が可能となる。
【0020】さらに、電極を用いて遺伝子の検出を行な
う場合には、電気化学発光を生じる挿入剤を利用するこ
ともできる。このような挿入剤は特に限定されるもので
はなく、例えば、ルミノ−ル、ルシゲニン、ピレン、ジ
フェニルアントラセン、ルブレン及びアクリジニウム誘
導体を挙げることができる。これらの挿入剤による電気
化学発光は、ホタルルシフェリン、ジヒドロルシフェリ
ンのようなルシフェリン誘導体、フェニルフェノ−ル、
クロロフェノ−ルのようなフェノ−ル類もしくはナフト
−ル類のようなエンハンサ−を用いることにより増強す
ることが可能である。
【0021】電気化学発光によって生じた光学的な信号
は、例えば、フォトンカウンタを用いて溶液から直接検
出すればよい。また、電極の代わりに、光ファイバ−の
先端に透明電極を形成することにより作成した光ファイ
バ−電極を用いて間接的に検出することもできる。
【0022】電極反応または光学的な信号の変化は担体
表面でしか起こらないことから、未反応のプロ−ブや未
反応の挿入剤を除去することなく非常に簡単に検出を行
なうこともできる。
【0023】なお、本発明において、核酸プローブと一
本鎖試料核酸との反応は、一般的に溶液中で行なわれ
る。その際、上記の挿入剤の存在下で核酸プローブと試
料核酸との反応を行なってもよく、また該反応の終了後
に挿入剤を添加しても良い。
【0024】上述のように、多くの挿入剤はそれ自体で
光学活性を有するか、または電極応答が可能な物質であ
り、光学的または電気化学的な測定により直接測定を行
なことができる。このような挿入剤に、さらに直接もし
くは間接的に信号を検出することが可能な物質を結合さ
せ、挿入剤自身の信号と併せて測定することにより検出
の感度を高めることが可能である。
【0025】このような直接もしくは間接的に信号を検
出することが可能な物質としては、例えば、ビオチン、
トリニトロベンゼンスルホン酸、ジニトロベンゼンスル
ホン酸等のハプテン、フルオレセインイソチアネ−ト
(FITC)、フィコシアニン、ロ−ダミン等の蛍光物
質、ルミノ−ル、ルシゲニン、アクリジウムエステル誘
導体等の発光物質、フェロセン、ビオロ−ゲン等の電極
活性物質を挙げることができる。上記ハプテンのように
直接信号を検出することができない物質を用いる場合に
は、酵素結合アビジンのような酵素結合抗ハプテン抗体
を利用して酵素反応による物質の吸光、蛍光、発光、消
光、円偏光二色性、蛍光偏光のような光学的情報を測定
するか、もしくは電極活性を測定することにより間接的
に遺伝子の検出を行なう。
【0026】これらの物質は、通常、挿入剤1分子当た
り1分子結合させるが、同種の物質を挿入剤1分子当た
り複数分子結合させることにより、さらに感度を高める
ことができる。
【0027】これとは別に、生体高分子の中には二本鎖
核酸を認識して特異的に結合する物質が存在する。した
がって、このような生体高分子もしくはこの生体高分子
を認識する物質に、酵素、蛍光物質、発光物質のような
標識物質を結合し、この標識物質に起因する電気化学的
もしくは光学的な変化を測定して生体高分子の存在の有
無を確認することにより二本鎖核酸を検出することが可
能となる。
【0028】このような生体高分子としては、抗DNA
抗体、クロタンパク質、cIリプレッサ−、大腸菌のC
RP(cAMP受容タンパク質)、ラクト−スオペロン
リプレッサ−のようなDNA結合タンパク質、触媒活性
が失活したRNase Hのような酵素を挙げることができ
るが、これらに限定されるものではない。また、上記生
体高分子は、生体由来であっても、合成により得られる
ものであっても良い。
【0029】上記生体高分子に結合させる標識剤として
の酵素は特に限定されるものではなく、例えばアルカリ
ホスファタ−ゼ、ペルオキシダ−ゼ、β- ガラクトシダ
−ゼ、グルコ−スオキシダ−ゼを挙げることができる。
【0030】上記生体高分子を用いて電気化学的変化を
検出する場合には、例えば、NAD+/NADHサイク
ルにおけるNADH、カテコ−ル/キノンサイクルにお
けるキノンを利用することができる。すなわち、生体高
分子に結合した酵素により生成したNADHもしくはキ
ノンを電極自体で酸化もしくは還元し、その電気的変化
を測定すれば良い。なお、このような電気化学的酸化還
元反応に関わる物質は、これらに限定されるものではな
い。
【0031】上記生体高分子を用いて光学的変化を検出
する場合には、生体高分子に酵素を結合し、化学発光基
質を用いて酵素反応を行なうか、もしくは生体高分子に
蛍光物質を結合してその蛍光を直接検出する。本発明で
用いることができる化学発光基質は特に限定されるもの
ではなく、使用可能な化学発光基質としては、ルミノ−
ル、イソルミノ−ル、イソルミノ−ル誘導体、アクリジ
ニウム誘導体を挙げることができる。化学発光基質を使
用する場合には、エンハンサ−を用いて化学発光を増強
させることもできる。このエンハンサ−としては、特に
限定されるものではないが、例えばホタルルシフェリ
ン、デヒドロルシフェリンのようなルシフェリン誘導
体、フェニルフェノ−ル、クロロフェノ−ルのようなフ
ェノ−ル類もしくはナフト−ル類を挙げることができ
る。さらに、本発明で用いることができる蛍光物質は特
に限定されるものではなく、使用可能な蛍光物質として
は、フルオレセイン、ロ−ダミン、フィコシアニンを挙
げることができる。
【0032】二本鎖認識体の添加量は特に限定されるも
のではないが、効率の点からは形成された全ての二本鎖
に結合するに十分な量であることが好ましい。過剰に添
加して未反応のまま残存する二本鎖認識体は、測定の前
に洗浄除去する。
【0033】二本鎖認識体の添加量が少なく低濃度であ
る場合には、二本鎖認識体が形成された二本鎖核酸と結
合すると、系内に残存する未反応の二本鎖認識体の量は
極少量となる。すなわち、相対的に、二本鎖認識体は担
体上に濃縮された状態となる。このような状態において
は、試料核酸と未反応の核酸プロ−ブ、および形成され
た二本鎖に結合していない遊離の二本鎖認識体とを洗浄
除去することなく遺伝子の検出を行なうことができ、ハ
イブリダイゼ−ションから目的遺伝子の検出まで全ての
反応を同一系内で連続的に行なうことが可能となる。
【0034】このように本発明は、二本鎖認識体の電気
化学的或いは光学的な信号の変化を測定することで遺伝
子の有無を検出することを特徴とするが、更に、ハイブ
リダイゼーション反応におけるこれらの信号の変化をモ
ニター等を用いて経時的に測定することにより、当該反
応の進行状態を判断することもできる。従来は、ハイブ
リダイゼーション反応を行う際には、当該反応が十分起
こっているであろう時間を経験的に設定していたため
に、必要以上に長い時間を要したり、或いは逆に反応が
十分でないまま反応を終了させたりしている可能性があ
った。しかし、このようにハイブリダイゼーション反応
中の二本鎖認識体による直接的或いは間接的な信号を経
時的にモニタリングすると、どの時点で検出十分なハイ
ブリダイゼーション反応が生じるかを決定することがで
きるため、これによりハイブリダイゼーション反応を確
実に行うことができ、また遺伝子検出に要する時間を短
縮することも可能である。
【0035】本発明においては、使用する核酸プロ−ブ
を変えることにより種々の遺伝子の検出を行なうことが
できる。使用することができる核酸プロ−ブの例として
は、食品中に含まれる微生物、植物ウイルスもしくはウ
イロイド、魚類に感染する病原性微生物もしくはウイル
ス、人体に感染し、感染症等を引き起こす病原性微生物
もしくはウイルス、遺伝病の原因遺伝子、活性化プロト
オンコジ−ン、またはミニサテライト塩基配列のそれぞ
れの全体もしくはその一部の塩基配列に相補的な配列を
有するプロ−ブを挙げることができる。
【0036】核酸プロ−ブとして、食品中に含まれる微
生物の全体もしくはその一部の塩基配列に相補的な配列
を有するプロ−ブを用いた場合には、食品中に含まれる
微生物の直接検出を行なうことができ、食品衛生検査が
可能になる。このような食品中に含まれる微生物として
は、例えば、病原性の大腸菌、ブドウ球菌、サルモネラ
菌を挙げることができる。
【0037】核酸プロ−ブとして、植物ウイルスもしく
はウイロイドの一部の塩基配列に相補的な配列を有する
プロ−ブを用いた場合には、植物に感染した植物ウイル
スもしくはウイロイドの検出を行なうことができ、農業
分野における感染症診断が可能になる。このような植物
ウイルスもしくはウイロイドとしては、例えば、タバコ
モザイクウイルス、カリフラワ−モザイクウイルスを挙
げることができる。
【0038】核酸プロ−ブとして魚類に感染する病原性
微生物もしくはウイルスの全体あるいはその一部の塩基
配列に相補的な配列を有するプロ−ブを用いた場合に
は、魚類に感染する病原性微生物もしくはウイルスの検
出を行なうことができ、水産分野における感染症診断が
可能になる。このような魚類に感染する病原性微生物と
しては、例えば、病原性ビブリオを挙げることができ
る。
【0039】核酸プロ−ブとして人体に感染し、感染症
等を引き起こす病原性微生物もしくはウイルスの全体あ
るいはその一部の塩基配列に相補的な配列を有するプロ
−ブを用いた場合には、感染症診断が可能になる。この
ような人体に感染して感染症等を引き起こす病原性微生
物としては、例えば、病原性微生物であるストレプトコ
ッカス、マイコプラズマ、クロストリジウム、クラミジ
ア、サルモネラ、単純ヘルペス、サイトメガロウイルス
を挙げることができる。
【0040】核酸プロ−ブとして遺伝病の原因遺伝子の
全体もしくはその一部の塩基配列に相補的な配列を有す
るプロ−ブを用いた場合には、遺伝病の直接検定が可能
になる。このような遺伝病の原因遺伝子としては、例え
ば、アデノシンデアミナ−ゼ欠損症、鎌状赤血球貧血の
原因遺伝子を挙げることができる。
【0041】核酸プロ−ブとして活性化プロトオンコジ
−ンの全体もしくはその一部の塩基配列に相補的な配列
を有するプロ−ブを用いた場合には、癌診断が可能にな
る。このような活性化プロトオンコジ−ンとしては、例
えば、癌遺伝子デ−タブック(渋谷正史、秀潤社)に記
載の癌遺伝子を挙げることができる。
【0042】核酸プロ−ブとしてミニサテライト塩基配
列の全体もしくはその一部の塩基配列に相補的な配列を
有するプロ−ブを用いた場合には、遺伝学的研究、個人
識別、親子鑑定等に有用なDNAフィンガ−プリント法
を行なうことが可能になる。このようなミニサテライト
塩基配列としては、例えば、Myo配列、Alu配列、
Per- 6配列、Per配列を挙げることができる。
【0043】本発明において用いられる核酸プロ−ブの
長さは特に限定されるものではなく、数mer ないし数百
mer の一本鎖核酸を用いることができるが、S/N比を
上げて検出の精度を高めるためには、十数mer ないし数
十mer 程度の長さのものが好ましい。これは、次のよう
な理由によるものである。
【0044】上述のように、二本鎖認識体は二本鎖核酸
を認識して特異的に結合する物質である。しかしなが
ら、二本鎖認識体は希に一本鎖核酸にも結合することが
ある。すなわち、未反応の核酸プロ−ブにも結合する場
合がある。このような結合が起こるとS/N比が低下
し、検出の精度が悪化する。したがって、核酸プロ−ブ
の長さは、目的とする遺伝子配列を検出するために最小
限必要な長さに止めることが好ましい。
【0045】二本鎖認識体に直接もしくは間接的に信号
を検出することが可能な物質を結合させて検出の感度を
高めることについては既述したが、二本鎖認識体ではな
く核酸プロ−ブを標識することによっても遺伝子検出の
感度を高めることができる。この場合、核酸プロ−ブに
標識される標識剤は、二本鎖認識体と直接もしくは間接
的に反応し、もしくはその相互作用により、二本鎖認識
体および標識剤のいずれかが検出可能な信号を生じるよ
うなものであればどのような物質でもよい。換言する
と、核酸プロ−ブが一本鎖の状態にあるときには信号が
発生することはなく、核酸プロ−ブが目的とする遺伝子
と反応して二本鎖を形成し、さらにこの二本鎖に二本鎖
認識体が結合して初めて信号が発生するような物質が標
識剤として用いられる。遺伝子の検出は、この標識剤と
二本鎖認識体との反応により生じる信号を測定すること
により行なう。このような核酸プロ−ブの標識剤は、用
いられる二本鎖認識体により異なるが、例えば、ロ−ダ
ミン、FITCのような蛍光物質、ルミノ−ル、アクリ
ジニウムエステル誘導体のような発光物質、酵素、酵素
基質を挙げることができる。二本鎖認識体としては、特
に限定されるものではなく、上記のいずれの物質をも使
用することができる。
【0046】ところで、核酸プロ−ブに標識する物質が
二本鎖認識体との相互作用によらずにそれ自体で信号を
生じるものである場合には、二本鎖認識体を用いること
なく遺伝子の検出を行なうことが可能となる。すなわ
ち、担体上に固定化された試料核酸とのハイブリダイゼ
−ションにより担体上に固定化された核酸プロ−ブを、
二本鎖認識体を介することなく核酸プロ−ブ自体に標識
された標識剤により検出することが可能となる。このよ
うな直接もしくは間接的に信号を検出することが可能な
物質としては、例えば、ビオチン、トリニトロベンゼン
スルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸等のハプテ
ン、フルオレセインイソチアネ−ト(FITC)、フィ
コシアニン、ロ−ダミン等の蛍光物質、ルミノ−ル、ア
クリジウムエステル誘導体等の発光物質、ルシゲニン等
の電気化学発光物質、フェロセン、ビオロ−ゲン等の電
極活性物質、アルカリホスファタ−ゼ、ペルオキシダ−
ゼ、グルコ−スオキシダ−ゼ等の酵素を挙げることがで
きる。上記ハプテンのように直接信号を検出することが
できない物質を用いる場合には、酵素結合アビジンのよ
うな酵素結合抗ハプテン抗体を利用して酵素反応による
物質の吸光、蛍光、発光、消光、円偏光二色性、蛍光偏
光のような光学的情報を測定するか、もしくは電極活性
を測定することにより間接的に遺伝子の検出を行なう。
【0047】これらの物質は、通常、プロ−ブ1分子当
たり1分子結合させるが、同種の物質をプロ−ブ1分子
当たり複数分子結合させることにより、さらに感度を高
めることができる。
【0048】本発明の遺伝子検出法においては、一本鎖
に変性した試料核酸を、電気化学的変化、光化学的変化
等の物理変化を信号として検出可能な担体に固定化す
る。このような担体としては、電極もしくは光ファイバ
が好適に用いられるが、この他に信号の検出が可能な担
体として、フォトダイオ−ド、サ−ミスタ、ISFE
T、MOSFET、ピエゾ素子、表面弾性波素子、水晶
発振器等を挙げることができる。
【0049】本発明で用いる電極は特に限定されるもの
ではなく、使用可能な電極としては、例えばグラファイ
ト、グラシ−カ−ボン、パイロリティックグラファイ
ト、カ−ボンペ−スト、カ−ボンファイバ−のような炭
素電極、白金、白金黒、金、パラジウム、ロジウムのよ
うな貴金属電極、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガ
ン、酸化鉛のような酸化物電極、Si、Ge、ZnO、
CdS、TiO2 、GaAsのような半導体電極、チタ
ン等が挙げられる。これらの電極は導電性高分子によっ
て被覆しても良く、これによって安定な試料核酸固定化
電極を調製することができる。また、単分子膜によって
被覆することもできる。
【0050】検体試料には、例えば、末梢静脈血のよう
な血液、白血球、血清、尿、糞便、精液、唾液、培養細
胞、各種臓器細胞のような組織細胞、その他核酸を含有
するものを用いる。
【0051】検体試料からの核酸の抽出は従来法に準じ
て行なわれるが、上記二本鎖認識体を用いて以下の手順
により抽出、精製することもできる。
【0052】まず、二本鎖認識体を適当な担体上に固定
化し、この担体を検体試料と混合する。次に検体試料中
の細胞を破壊して核酸を遊離させ、この核酸と二本鎖認
識体とを結合させる。その後、担体を検体試料から分離
し、さらに二本鎖認識体に結合した核酸を担体から分離
する。
【0053】ここで用いられる担体は特に限定されるも
のではなく、例えば、ラテックス、ポリエチレン、ポリ
スチレン、ポリプロピレン等の高分子からなる担体、活
性炭等の炭素系材料、金属粒子、セラミック、マグネタ
イト、サマリウム- コバルト、フェライト等の磁性体を
挙げることができる。担体の形態も特に限定されるもの
ではないが、粒径 0.1〜1000μm、特には 1〜 100μm
の粒子であることが好ましい。
【0054】検体試料中の細胞の破壊は、常法により行
なえばよく、例えば、振とう、超音波等の物理的作用を
外部から加えて担体を振動させて行なう。また、核酸抽
出溶液を用いて、細胞から核酸を遊離させることもでき
る。核酸溶出溶液の例としては、SDS、Triton-X、Tw
een-20のような界面活性剤、サポニン、EDTA、プロ
テア−ゼ等を含む溶液を挙げることができる。これらの
溶液を用いて核酸を溶出する場合には、37℃以上の温度
でインキュベ−トすることにより反応を促進することが
できる。
【0055】担体に固定化された二本鎖認識体と核酸と
を結合させた後、適当な手段により検体試料から担体を
分離する。分離した担体は、まず洗浄液(低塩濃度)で
洗浄して不要成分を除去し、次いで核酸溶出液(高塩濃
度)で担体から溶液中に核酸を溶出する。二本鎖認識体
として挿入剤を用いた場合には、核酸溶出液として非極
性有機溶媒を用いる。
【0056】担体として磁性粒子を用いた場合には、担
体の振動および分離操作を外部からの磁気作用でより簡
便かつ迅速に行なうことが可能となり、好都合である。
【0057】目的とする遺伝子の含有量が微量である場
合には、公知の方法により遺伝子を増幅した後検出を行
なうこともできる。遺伝子を増幅する方法としては、ポ
リメラ−ゼチェインリアクション(PCR)等の酵素を
用いる方法が代表的なものである。ここで、遺伝子増幅
法に用いられる酵素としては、例えば、DNAポリメラ
−ゼ、Taqポリメラ−ゼのようなDNA依存型DNA
ポリメラ−ゼ、RNAポリメラ−ゼIのようなDNA依
存型RNAポリメラ−ゼ、Qβレプリカ−ゼのようなR
NA依存型RNAポリメラ−ゼを挙げることができる。
なかでも、Taqポリメラ−ゼを用いるPCR法は温度
を調節するだけで連続して増幅を繰り返すことができ、
非常に有用な方法である。
【0058】このようにして得られたサンプル(核酸の
粗抽出液あるいは精製した核酸溶液)は、90〜98℃、好
ましくは95℃以上の温度で熱変性し、一本鎖の試料核酸
を調製する。一本鎖の核酸試料の調製は、アルカリ変性
で行なうこともできる。次いで、この一本鎖試料核酸
を、共有結合、イオン結合、吸着等によって電極表面、
光ファイバ−等の担体上に固定化する。
【0059】共有結合による固定化としては、例えば、
担体表面を活性化し、その後、直接もしくは架橋剤を介
して間接的に試料核酸を固定化する方法、担体に固定化
する試料核酸に活性型の官能基を導入して担体に直接も
しくは間接的に固定化する方法などを挙げることができ
る。ここで、担体表面の活性化は、例えば、酸化剤中に
おける電解酸化、空気酸化、試薬酸化もしくは膜で被覆
することにより行なうことができる。また、使用し得る
架橋剤としては、臭化シアン、γ- アミノプロピルトリ
エトキシシランのようなシランカップラ−、カルボジイ
ミド、塩化チオニル等を挙げることができるが、これら
に限定されるものではない。さらに、試料核酸に導入さ
れる官能基としては、例えばアミノ基、カルボキシル
基、ヒドロキシル基、カルボニル基、リン酸基、アルデ
ヒド基、およびメルカプト基を挙げることができるが、
これらに限定されるものではなく、その他の反応性が高
い官能基を用いることもできる。
【0060】担体表面を活性化するため表面を酸化する
と、担体表面に酸化層が形成される。この酸化層を介し
て試料核酸と担体とが結合するのであるが、酸化層の厚
さを薄くすることにより遺伝子検出におけるS/N比を
向上させることができる。酸化層の厚さは、好ましくは
500A(オングストロ−ム)以下、より好ましくは 100
A以下である。
【0061】試料核酸末端への官能基の導入は、酵素反
応もしくはDNA合成機を用いて行なうことができる。
酵素反応において用いられる酵素としては、例えば、タ
−ミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラ−ゼ、
ポリAポリメラ−ゼ、ポリヌクレオチドカイネ−ス、D
NAポリメラ−ゼ、ポリヌクレオチドアデニリルトラン
スフェラ−ゼ、RNAリガ−ゼを挙げることができる。
また、ポリメラ−ゼチェインリアクション(PCR
法)、ニックトランスレ−ション、ランダムプライマ−
法により官能基を導入することもできる。
【0062】官能基は、試料核酸のどの部分に導入され
てもよく、3'末端、5'末端もしくはランダムな位置に導
入することができる。
【0063】特に、試料核酸を固定化しようとする担体
が電極である場合には、吸着により、より簡単な操作で
効率よく試料核酸を固定化することができる。電極表面
への試料核酸の吸着は、例えば、次のように行なうこと
ができる。まず、電極表面を、超音波洗浄器を用いて蒸
留水およびアルコ−ルで洗浄する。その後、電極を試料
核酸を含有するリン酸緩衝液(pH 7.0)に挿入して試料
核酸を担体表面に吸着させる。特に炭素電極に対して
は、高温、高塩濃度下で吸着させるとよい。この際、電
極に 0〜+ 1.0V、好ましくは 0〜+ 0.1Vの範囲で電
位を印加することにより、試料核酸の吸着を促進するこ
とができる。次に、試料核酸を吸着させた電極をヌクレ
オチド(ATP、CTP、GTP、TTP、dATP、
dCTP、dGTP、dTTP等)溶液中に挿入し、好
ましくは 0〜+ 1.0Vの範囲で電位を印加しながら、電
極表面をヌクレオチドで被覆する。これにより、種々の
核酸や二本鎖認識体等の電極表面への非特異的な吸着が
抑制される。また、非特異的な吸着は、界面活性剤、脂
肪酸、脂肪等で電極表面を被覆することによっても抑制
可能である。ここで、抑制効果のある物質としては、ス
テアリルアミン、アミノノナデカン等のアミン類、ジス
テアリルジメチルアンモニウムクロライド等のアンモニ
ウム塩類を挙げることができる。
【0064】試料核酸を吸着により担体に固定化する場
合には、試料核酸を高イオン強度、例えばイオン強度
0.1以上の溶液に溶解することにより試料核酸の吸着を
促進することができる。
【0065】また、グアニジニウム塩、ヨウ化ナトリウ
ム、ヨウ化カリウム、(イソ)チオシアン酸ナトリウ
ム、尿素等のカオトロピック物質を添加することによっ
ても吸着を促進することができる。
【0066】試料核酸は、酵素固定化の一手法として知
られる包括法において使用される包括剤を用いて担体に
固定化することもできる。本発明において使用し得る包
括剤は特に限定されるものではないが、例えばポリ塩化
ビニル、ポリアクリルアミドを挙げることができる。
【0067】さらに、試料核酸は膜を介して電極表面及
びその他の担体表面に固定化することもできる。この際
用いられる膜としては、例えば、ポリアセチレン、ポリ
ピロ−ル、ポリチオフェン、ポリアニリンのような導電
性高分子、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニル
クロライド、ポリビニルアルコ−ル、ポリメチルメタク
リレ−ト、ポリフッ化ビニリデン、セルロ−ス、脂質膜
を挙げることができる。また、LB膜のような単分子膜
もしくは単分子膜が複数積層して多層を形成した膜を用
いることもできる。
【0068】試料核酸の膜への固定化は、担体表面への
固定化と同様の方法で行なうことができる。
【0069】共有結合により試料核酸を膜に固定化する
場合には、試料核酸に官能基を導入する代わりに膜に官
能基を導入してもよい。膜に導入される官能基として
は、試料核酸に導入される官能基と同様のものを用いる
ことができる。このように膜に官能基を導入し、次いで
試料核酸を反応させて固定化することにより、試料核酸
に官能基を導入して固定化する場合よりも高い密度で試
料核酸を固定化することができ、かつより安定な試料核
酸固定化担体を得ることができる。
【0070】膜を介して試料核酸を固定化する担体が電
極である場合には、上述のように核酸プロ−ブと検体試
料とのハイブリダイゼ−ションを行ない、その前後にお
ける膜電位の変化を測定することにより、目的とする遺
伝子の存在の有無を検出することができる。
【0071】試料核酸固定化担体に振動子もしくは回転
体としての機能を持たせることにより、担体表面近傍に
おける流体の流れを相対的に増大させることができる。
これにより、ハイブリダイゼ−ション反応の促進、非特
異的反応の抑制などが達成され、遺伝子検出の効率を高
めることが可能である。振動子としての機能は、例え
ば、物理的な振動、超音波、電気的もしくは磁気的作用
を利用して担体に与えることができる。
【0072】試料核酸を固定化した担体は、そのままで
は種々の核酸、二本鎖認識体等の非特異的な吸着が生じ
やすい。これは、感度の低下を招く要因となる。このよ
うな非特異的な吸着は、試料核酸を固定化した後、担体
表面を吸着もしくは化学結合により核酸で被覆すること
により抑制することが可能である。
【0073】この際、担体表面を被覆する核酸として
は、例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチ
ジンのようなヌクレオシド、ウリジル酸、シチジル酸、
アデニル酸、グアニル酸のようなヌクレオチド、合成オ
リゴヌクレオチド、サケ精子DNAのような天然DNA
を挙げることができる。
【0074】また、担体表面を被覆する核酸の長さおよ
び配列は、担体表面に固定化されている試料核酸と反応
しない長さおよび配列であれば特に限定されるものでは
ないが、 1〜 100 bp の一本鎖、もしくは二本鎖核酸が
望ましい。さらに、上述のように、非特異的な吸着は、
界面活性剤、脂肪酸、脂質、或いは非極性物質等の物質
で被覆することによっても抑制することが可能である。
このような物質としては、例えば、ステアリルアミン、
アミノノナデカン等のアミン類、ジステアリルアミンジ
メチルアンモニウムクロライド等のアンモニウム塩類を
挙げることができる。
【0075】本発明の遺伝子検出法においては、担体へ
の試料核酸の固定化は上記方法にのみ限定されるもので
はなく、一般にタンパク質等の生体高分子の固相への固
定化に用いられている方法を広く用いることができる。
【0076】担体に固定化される試料核酸の量は特に限
定されるものではないが、固定化された試料核酸の密度
が高いほど検出の感度が高くなり、S/N比が向上す
る。固定化される試料核酸の密度は、通常、平方cm当
りアトモル(amol/cm2 )のオ−ダ−以上であり、好ま
しくは平方cm当りナノモル(nmol/cm2 )のオ−ダ−
以上である。
【0077】このように本発明は、サンプルを変性させ
て一本鎖にし、これを試料核酸として用いて遺伝子の有
無を検出することを特徴とし、これは特にウイルスの感
染を遺伝子の有無だけで診断することができるエイズや
肝炎の診断に対して有用である。しかし、特定の塩基配
列の欠損や重複、点突然変異等により引き起こされる遺
伝病或いは癌などは、単に遺伝子の存在を確認するのみ
では足りず、ある特定の遺伝子上におこった異常を解析
しなければ診断することができない。このような疾患の
場合には、遺伝子を適当な制限酵素で切断し、特定の遺
伝子が示す切断による分子量パターン(Restric
tion Fragment Length Poly
morphisms,RFLP)を解析することで初め
て診断可能となる。従って、RFLPにおいては、試料
から核酸を抽出した後に、当該核酸を適当な制限酵素で
切断し、分子量ごとに分画する必要がある。
【0078】試料から抽出した核酸を切断する制限酵素
は特に限定されず、通常RFLPに用いられるいずれの
ものを使用することも可能である。具体的には、例え
ば、AccI、AvaI、BamHI、HincII、
HindIII、PstI、BalI、NsiI、Ha
eII、EcoRI、MspI等を用いることができ
る。
【0079】制限酵素で切断された遺伝子断片を分子量
分画する方法は、特に限定されるものではないが、例え
ばアガロース電気泳動、ポリアクリルアミド電気泳動、
パルスフィール電気泳動、キャピラリー電気泳動、液体
クロマトグラフィー(High Performanc
e Liquid Chromatographyを含
む)などを用いることができる。
【0080】上記に挙げた方法により分子量分画した各
遺伝子断片は、適当な方法により分画担体から溶出さ
せ、アルカリまたは加熱により一本鎖に変性させた後、
電気化学的或いは光学的信号を検出可能な担体に分子量
ごとに固定化する。従来は、電気泳動により分子量分画
を行い、これをフィルターに移しとって放射性同位元素
で標識されたプローブをハイブリダイズさせた後、X線
フィルムに感光させてハイブリダイゼーションの有無及
び程度を確認し、疾患に特異的な電気泳動パターンを解
析していたために、操作が繁雑で、かつ測定に長時間を
要していた。しかし、電気化学的或いは光学的信号を検
出する本発明の方法を用いると、特定の遺伝子のRFL
Pを簡単に解析することが可能となる。
【0081】当該遺伝子断片を固定化するために用いる
ことができる担体としては、一本鎖の試料核酸を固定化
する際に用いたいずれのものでも使用できる。しかし、
RFLPを行う際には特に、形状がテープ状である担体
を用いることが好ましい。テープ状の担体を用いる場合
には、上記のように分子量分画された各遺伝子断片を分
画担体から溶出させる際に、溶出下端において速やかに
一本鎖に解離させ、これと同時に、当該テープ状担体を
経時的に水平移動させて、溶出と同時に固定化し、テー
プ状担体の移動方向に分子量分画された遺伝子を固定化
することができる。従って、テープ状担体を用いると、
より簡単に特定遺伝子の制限酵素切断パターン(RFL
P)を得ることができ、かつ分子量分画後の遺伝子検出
を簡便に行うことができる。
【0082】担体、特に電極もしくは光ファイバ−表面
に固定化された試料核酸は、核酸の酸化還元電流もしく
は光学的な信号、あるいは一本鎖の核酸に特異的に結合
する電気化学的もしくは光学的に活性な物質の酸化還元
電流もしくは光学的な信号を測定することにより定量す
ることができる。すなわち、担体が電極である場合に
は、例えばポテンショスタット、ファンクションジェネ
レ−タ、レコ−ダ、および計算機からなる測定システム
を用いて、核酸もしくは挿入剤に由来する酸化還元電流
の計測を行ない、固定化核酸の定量を行なう。また、担
体が光ファイバ−である場合には、核酸もしくは核酸に
結合した挿入剤に由来する光学信号である吸光度、蛍光
強度、発光、消光、円偏光二色性、蛍光偏光もしくはそ
の他の光学的情報をそれぞれの信号に対応した測定装置
を用いて測定することにより、固定化核酸の定量を行な
う。核酸自体にはさほど顕著な活性がないため、従来行
なわれている定量法は非常に繁雑なものであったが、こ
の方法によれば担体表面に固定化された核酸を短時間
で、簡便かつ高感度に定量することが可能となる。核酸
由来の酸化還元電流としては、アデニン、チミン、グア
ニンもしくはシトシンに由来する酸化還元電流を利用す
ることができる。
【0083】本発明の遺伝子検出法においては、核酸プ
ロ−ブを溶解した溶液に試料核酸固定化電極あるいは試
料核酸固定化光ファイバ−を挿入し、37〜72℃の範囲で
ハイブリダイゼ−ション反応を行なう。ハイブリダイゼ
−ション反応の最適温度は、用いるプロ−ブの塩基配
列、長さ等により異なる。
【0084】この場合のハイブリダイゼ−ション反応は
固相での反応であるため、溶液中における反応よりも反
応速度でやや劣る。しかしながら、試料核酸固定化電極
を用いる場合には、ハイブリダイゼ−ション反応前およ
び/または反応時に電極表面に電位を印加しておくこと
によりハイブリダイゼ−ション反応を促進することがで
き、この問題を解決することが可能である。印加する電
圧はプラス電位のみであるか、あるいはプラス電位とマ
イナス電位とを交互に印加することが好ましく、連続的
に、もしくはパルスのように断続的に印加する。また、
印加する電位は、一定電位でも、サイクリックボルタン
メトリ−のような可変電位でもよく、好ましくは 0〜±
2.0V、より好ましくは 0〜 1.0V(vs. SCE)のプ
ラス電位である。
【0085】ハイブリダイゼ−ションの際に、試料核酸
に結合した核酸プロ−ブの他に、未反応の核酸が非特異
的に電極表面に吸着することがある。これは、遺伝子検
出のS/N比を劣化させる要因となる。核酸は、通常マ
イナスに荷電しているので、ハイブリダイゼ−ション終
了後、電極にマイナスの電化を印加することにより非特
異的に吸着している核酸を除去することができる。この
際印加する電位は、 0〜 2.0V、好ましくは 0〜 1.5V
であることが好ましい。
【0086】二本鎖認識体は、ハイブリダイゼ−ション
反応前に検体試料中に添加することもできるし、反応後
に添加することもできる。また、予め二本鎖認識体の溶
液を調製しておき、ハイブリダイゼ−ション終了後、核
酸プロ−ブ固定化電極または光ファイバ−をこの溶液に
挿入してもよい。二本鎖認識体にはプラスに荷電してい
る物質が多いので、担体が電極である場合には、プラス
の電位を印加することにより担体への二本鎖認識体の非
特異的な吸着を抑制することができる。
【0087】電極反応は電極表面においてしか起こらな
いことから、ハイブリダイゼ−ションした場合にのみ、
二本鎖核酸に結合した挿入剤の電極応答が得られる。試
料核酸固定化電極を用いた場合には、ポテンショスタッ
ト、ファンクションジェネレ−タ、レコ−ダからなる測
定システムを用いる。電位を挿入剤の酸化還元電位前後
に設定し電位を走査する。このとき、酸化還元電流を測
定し検出遺伝子の定量を行なう。この電気化学的測定
は、被検溶液中または他の電解液中の何れで行なっても
良い。また、親水性溶媒中または疎水性溶媒中で行なっ
てもよい。
【0088】試料核酸固定化光ファイバ−を用いた場合
には吸光度、発光、蛍光、反射光、消光、円偏光二色
性、蛍光偏光などの光学的情報を測定することで検出遺
伝子の定量を行なう。
【0089】上記検出方法においては、安全性および簡
便性に優れ、かつ短時間で目的とする遺伝子の有無を高
感度に検出することができる遺伝子検出法を提供するこ
とを目的として、挿入剤が発する電気化学的もしくは光
学的な信号を検出することができる電極、光ファイバ−
等の担体に試料核酸を固定化して用いている。この目的
は、試料核酸固定化電極もしくは試料核酸固定化光ファ
イバ−の代わりに、試料核酸を粒子表面に固定化した試
料核酸固定化粒子を用いることによっても達成される。
すなわち、粒子表面において試料核酸と核酸プロ−ブと
のハイブリダイゼ−ションにより二本鎖核酸を形成し、
これに電気化学的もしくは光化学的に活性な二本鎖認識
体を結合させて、検出器により二本鎖認識体を電気化学
的もしくは光学的に検出すればよい。
【0090】試料核酸を固定化する粒子は特に限定され
るものではなく、例えば、ラテックスビ−ズ、ポリスチ
レンビ−ズ、ガラスビ−ズ、磁性体粒子等を挙げること
ができる。また、用いる粒子の直径は、 100A(オング
ストロ−ム)ないし 1mm程度の範囲にあることが好ま
しい。
【0091】その他の条件は、上記試料核酸固定化電極
もしくは光ファイバ−を用いる場合の条件をそのまま適
用することができる。
【0092】同様に、フィルタ−表面に試料核酸を固定
化した試料核酸固定化フィルタ−を用いて遺伝子の検出
を行なうこともできる。この際用いられるフィルタ−
は、少なくとも 100℃の温度で変性しない材質のもので
あれば特に限定されるものではなく、例えば、ニトロセ
ルロ−スフィルタ−やナイロンフィルタ−のようなDN
Aのサザンブロッティングに通常用いられるフィルタ−
を使用することができる。このフィルタ−への試料核酸
の固定化には、担体への試料核酸の固定化方法として上
に説明した方法をそのまま適用することができる。
【0093】試料核酸固定化フィルタ−を用いた遺伝子
の検出は、次のようにして行なうことができる。
【0094】まず、末梢静脈血、各種臓器細胞等の検体
試料から従来法に準じて核酸を抽出し、必要であれば精
製する。得られた試料核酸はフィルタ−に固定化し、こ
の試料核酸固定化フィルタ−を含む複数のフィルタ−か
らなる多層構造のフィルタ−装置を作製する。次に、核
酸プロ−ブを含有するハイブリダイゼ−ション反応液を
調製し、この反応液をフィルタ−装置に添加し、核酸プ
ロ−ブをフィルタ−装置内部に浸透させる。このハイブ
リダイゼ−ション反応液中には、予め二本鎖認識体、特
に直接もしくは間接的な光学活性を有する二本鎖認識体
を含有させておく。反応液が十分に浸透した後、37〜72
℃で加熱して核酸プロ−ブとフィルタ−表面上に固定化
された試料核酸とのハイブリダイゼ−ションを行なう。
反応後、フィルタ−装置から核酸プロ−ブ固定化フィル
タ−を取り外し、洗浄する。核酸試料中に目的とする遺
伝子が存在する場合には、試料核酸固定化フィルタ−上
に二本鎖が形成され、この二本鎖核酸に二本鎖認識体が
結合している。この二本鎖認識体に起因する信号の変化
を測定することにより目的遺伝子の定量を行なう。すな
わち、二本鎖認識体が光学活性を有している場合には、
発光、蛍光、反射光、蛍光偏光、消光、円偏光二色性等
の光学的な信号の変化を測定すればよい。
【0095】本発明の遺伝子検出法は、その表面上に試
料核酸を固定化するための、電極および光ファイバから
なる群より選ばれる担体と、担体を移動させるための移
動手段と、一本鎖に変性された試料核酸を含有する試料
溶液を貯留し、担体表面上に試料核酸を固定化するため
の固定化槽と、核酸プロ−ブを含有するプロ−ブ溶液を
貯留し、担体表面に固定化された試料核酸と核酸プロ−
ブとのハイブリダイゼ−ションにより担体上に二本鎖核
酸を形成するための反応槽と、プロ−ブ溶液の温度を制
御する温度制御手段と、核酸プロ−ブとのハイブリダイ
ゼ−ションの後、担体を洗浄して未反応の核酸プロ−ブ
を除去するための洗浄手段と、二本鎖認識体を含有する
溶液を貯留し、二本鎖認識体と担体表面上に形成された
二本鎖核酸とを反応させることにより二本鎖認識体を二
本鎖核酸に結合させ、結合した二本鎖認識体が生ずる電
気化学的もしくは光学的な信号を検出するための検出槽
とを具備する遺伝子検出装置により、バッチ処理的に、
もしくは全自動的に実施することが可能である。
【0096】上記遺伝子検出装置においては、固定化槽
には一本鎖に変性された試料核酸を含有する試料溶液が
貯留される。この試料溶液としては、被検細胞を破砕し
た後の核酸粗抽出液をそのままか、あるいはこの核酸粗
抽出液を精製した精製核酸抽出液を用いればよい。この
ような核酸粗抽出液もしくは精製核酸抽出液を調製する
ことができる試料溶液調製装置を固定化槽に連結し、被
検細胞からその場で調製した試料溶液を固定化槽に送る
こともでき、その結果、被検細胞からの遺伝子の検出を
全自動的に行なうことが可能となる。試料溶液調製装置
は、例えばディスポ−ザブルなカ−トリッジタイプと
し、測定終了後に新しいカ−トリッジに交換するように
してもよい。着脱自在なカ−トリッジタイプを採用する
ことにより、洗浄の手間をかけることなく、常に清浄な
状態で試料溶液を調製することが可能となる。
【0097】上記遺伝子検出装置は、さらに、担体表面
上に形成された二本鎖核酸を担体表面から脱着して担体
を再生するための脱着手段を具備することができる。こ
のような脱着手段を有することにより、担体を繰り返し
使用することが可能となり、検出装置を自動化する上で
非常に望ましい。上記遺伝子検出装置において用いるこ
とができる脱着手段としては、クロロホルム等の比誘電
率の低い物質、ヨウ化カリウム等のカオトロピック剤、
または界面活性剤で処理する方法が挙げられる。この
際、加熱することでより短時間に試料核酸を脱着するこ
とができる。また、DNase 、RNase のようなヌクレ
ア−ゼを用いて担体から試料核酸を除去することもでき
る。
【0098】また、上記遺伝子検出装置においては、複
数の担体を用いることもできる。
【0099】次に、本発明の遺伝子検出法を用いた自動
遺伝子検出装置を図面を参照して説明する。
【0100】図1は、本発明による遺伝子検出法を利用
した自動遺伝子検出装置の一具体例を模式的に示す図で
ある。この装置は、固定化槽 2、反応槽 4、検出槽10お
よび脱着処理槽 12 の4種類の槽を有している。固定化
槽 2は廃液タンク11に接続され、移動レ−ル 3に沿って
水平方向に移動可能となっていて移動レ−ル 3上の所定
の位置において試料核酸精製装置 1と接続する。この固
定化槽 2においては、担体 6への試料核酸の固定化が行
なわれる。反応槽 4は温度コントロ−ラ 5に嵌合されて
いる。担体 6は、移動装置13に固定されており、この移
動装置13により各槽上方の所定の位置への水平移動およ
び各槽の内部への上下移動が行なわれる。担体 6として
は電極もしくは光ファイバが用いられており、これによ
り検出された電気信号は、電気信号検出制御装置 7を介
して計算機 8に入力され、信号の解析が行なわれる。
【0101】次に、この装置を用いた遺伝子検出方法に
ついて説明する。まず、検出しようとする核酸を含む被
検細胞を試料核酸精製装置 1に入れ、一本鎖に変性され
た試料核酸を含有する試料溶液を調製する。調製した試
料溶液を固定化槽 2に送り、その後、固定化槽 2を、移
動レ−ル 3上を所定の位置まで移動させる。次に、担体
6を固定化槽 2の上方に水平移動させた後、固定化槽 2
内に移動させる。担体6を固定化槽 2内の試料溶液中に
浸漬させて担体 6の表面上に試料核酸を吸着させた後、
担体 6を固定化槽 2から引き上げ、反応槽 4の上方に水
平移動させる。担体 6を引き上げた後の固定化槽 2は、
再び試料核酸精製装置 1に接続する位置に移動させ、内
部に貯留する試料溶液を廃液タンク11に排出させる。反
応槽 4の上方に移動させた担体 6は、次に反応槽 4内に
移動させる。反応槽 4には予め核酸プロ−ブが貯留され
ており、この反応槽 4において担体 6上に固定化された
試料核酸と核酸プロ−ブとのハイブリダイゼ−ションを
行なう。この際、温度コントロ−ラ 5によりプロ−ブ溶
液を適温に制御して反応を促進させる。反応終了後、担
体 6をプロ−ブ溶液から引き上げ、洗浄液タンク 9から
送られる洗浄液によって洗浄して未反応の核酸プロ−ブ
を除去した後、検出槽10の上方に水平移動させる。検出
槽10上に移動させた遺伝子センサ 5は、次いで検出槽 9
内部に移動させる。検出槽10の内部には二本鎖認識体を
含有する溶液が貯留されており、この二本鎖認識体が、
溶液中に浸漬した担体 6の表面に形成された二本鎖核酸
を認識して結合する。結合した二本鎖認識体が発する電
気化学的信号は、担体 6により検出され、電気信号検出
制御装置 7により制御された後計算機 8に入力されて解
析される。測定後、担体 6を検出槽10から引き上げ、脱
着処理槽12内部に移動させる。脱着処理槽12では、担体
6の表面上に形成された二本鎖の脱着が行なわれ、担体
6が再生される。
【0102】前述の反応槽 4は必ずしも単一の槽に限ら
れるものではなく、図2に示すように、複数の小槽 13
を組み合わせたものを用いることができる。このような
反応槽と複数の担体 6を用いることにより、複数のサン
プルを同時に測定することが可能となる。また、この
際、それぞれ独立した、小槽 13 と同数の試料核酸精製
装置 1を組み合わせて複数のサンプルを同時に調製する
ことにより、より効率よく測定を行なうことができる。
【0103】また、未反応の核酸サンプルおよび二本鎖
認識体を除去することなく測定を行なうことも可能であ
る。その際には、洗浄液タンク 9および検出槽10は必要
なく、反応槽 4中で測定を行なうことが可能である。
【0104】さらに、反応槽 4は、試料核酸固定化担体
を備えたディスポ−ザブルな反応セルとすることもでき
る。この反応セルは、その内部底面もしくは側面に試料
核酸固定化担体を備えている。ここで用いられる固定化
担体としては、上述のいずれの固定化担体をも使用する
ことができるが、検出装置本体との接続を考慮すると、
試料核酸固定化電極であることが好ましい。固定化担体
は、反応セルから分離可能であるように設置し、繰り返
し用いるようにしてもよい。
【0105】この反応セルを用いた遺伝子の検出は次の
通りに行なう。まず、前述の方法に従い反応セル内の担
体に試料核酸を固定化する。次に、核酸プロ−ブを含有
する溶液を反応セル内に入れ、用いるプロ−ブに応じた
温度でアニ−リングを行なって二本鎖を形成させた後、
二本鎖認識体を添加し、それにより直接もしくは間接的
に発生する信号を反応セルに設けられた担体を通して測
定する。この場合には、反応セル自体が試料核酸固定化
担体を備えているので、別に担体を使用する必要はな
い。
【0106】この反応セルは、1回の測定を終える度に
検出装置より取り外して廃棄する。したがって、サンプ
ル同志のクロスコンタミネ−ション、キャリ−オ−バ−
等のない信頼性の高い遺伝子の検出が可能となる。ま
た、反応セルを洗浄する必要がないので、より簡便に短
時間で測定を行なうことができる。
【0107】反応槽 4の温度を制御する温度コントロ−
ラ 5は、図3に示すように、恒温槽21、この恒温槽21の
温度を制御するコントロ−ラ22および試料溶液の温度を
測定する温度センサ23を具備している。図3において、
恒温槽21内に設置された反応槽 4は、上記の複数の小槽
13を組み合わせたものである。複数の小槽13のうちの1
つには、プロ−ブ溶液と同じ組成を有する緩衝液が入れ
られ、その液中に温度センサ23が挿入される。この緩衝
液の温度がプロ−ブ溶液の温度として測定される。温度
センサ23はコントロ−ラ22に接続しており、反応槽 4内
の緩衝液の温度を測定してその情報をコントロ−ラ22に
送る。温度センサ23からの温度情報を受け取ったコント
ロ−ラ22は、その情報を演算処理し、プロ−ブ溶液が常
に所定の温度を保つように恒温槽21の温度を制御する。
この温度制御は、± 0.5℃の範囲で行なわれることが好
ましい。
【0108】次に、電気化学発光を利用する遺伝子検出
装置の例を説明する。
【0109】図4は、電気化学発光を利用する遺伝子検
出装置を模式的に示す図である。この装置は、図1に示
す検出装置における固定化槽、反応槽および検出槽の各
機能を兼ね備えた反応セル 33 と、洗浄槽 43 とを有し
ている。上述のように、電気化学発光を利用する場合に
は、未反応の核酸プロ−ブおよび未反応の挿入剤を除去
することなく測定を行なうことができるので、独立した
反応槽および検出槽を具備する必要はない。反応セル 3
3 の底面には試料核酸を固定化するための電極34 が設
けられている。また、反応セル 33 は、図1に示す検出
装置の反応槽と同様に温度コントロ−ラ 35 に嵌合され
ている。さらに、反応セル 33 は移動レ−ル 36 により
水平方向に移動可能であり、この移動レ−ル 36 上の所
定の位置において試料核酸精製装置 31 および核酸プロ
−ブ供給装置 32 に接続する。参照電極 37 は光ファイ
バ38の端部と共に、移動装置 44 に固定されている。こ
の移動装置 44 により、参照電極 37 および光ファイバ
38 の各槽上方への水平移動および各槽内部への上下移
動が行なわれる。参照電極 37 は、試料核酸固定化用電
極 34 と共にファンクションジェネレ−タ/ポテンショ
スタット 39 に接続されている。これらの電極間に印加
する電圧の制御は、計算機 40 により行なう。試料核酸
固定化用電極 34 の表面で生じた電気化学発光は、光フ
ァイバ− 38を介してフォトマル 41 に送られて増幅さ
れ、フォトンカウンタ 42 で計測される。測定結果は計
算機 40 に入力され、解析される。
【0110】この装置を用いた遺伝子の検出は、次のよ
うに行なう。まず、上述の図1に示す装置の場合と同様
に、検出しようとする核酸を含む被検細胞を試料核酸精
製装置 31 に入れて一本鎖に変性された試料核酸を含有
する試料溶液を調製し、これを反応セル 33 に移して固
定化用電極 34 表面上に試料核酸を固定化する。試料核
酸の固定化が終了した後、試料溶液は廃棄する。次に、
反応セル 33 を、核酸プロ−ブ供給装置に接続する位置
まで移動レ−ル 36 上を移動させ、核酸プロ−ブを含む
プロ−ブ溶液をセル 33 内に導入する。その後、温度コ
ントロ−ラ 35によりプロ−ブ溶液を適温に制御して、
試料核酸固定化電極 34 の表面に固定されている試料核
酸とプロ−ブ溶液中の核酸プロ−ブとのハイブリダイゼ
−ションを行なう。この際、プロ−ブ溶液中に、電気化
学発光を生ずる挿入剤を添加する。挿入剤は、予めプロ
−ブ溶液中に添加しておくこともできる。次いで、移動
レ−ル 36 を用いて反応セル 33 を所定の位置まで移動
させ、さらに、反応セル 33 の内部に参照電極 37 およ
び光ファイバ− 38 を移動させてプロ−ブ溶液中に浸漬
する。その後、参照電極 37 と反応セル 33 内に設けら
れた試料核酸固定化電極 34 との間に印加し、電気化学
発光を行なう。電気化学発光により生じた光は光ファイ
バ− 38 を介してフォトマル 41 に導き、増幅した後フ
ォトンカウンタ 42 において計測する。計測の結果は計
算機 40 に入力し、解析する。測定後、参照電極 37 お
よび光ファイバ− 38 を反応セル 33 から引き上げ、洗
浄槽 43 に移動して洗浄する。試料核酸固定化電極 34
は、測定終了後、上記と同様の方法により表面に固定化
されている試料核酸を脱着し、再生する。
【0111】以上詳述したように、本発明による自動遺
伝子検出装置を用いることにより、上記方法による遺伝
子検出を自動的に行なうことができる。したがって、よ
り簡便かつ短時間に遺伝子の検出を行なうことができ
る。
【0112】以上試料核酸を担体に固定化した場合の遺
伝子検出法について説明してきたが、本発明の方法にお
いて、更に、試料核酸を固定化するかわりに核酸プロー
ブを固定化することも可能である。特にプローブを固定
化する場合は、少なくとも2種類以上の核酸プローブを
同時に固定化した担体を用いることで、一度に複数の遺
伝子を検出可能となるため、更に応用範囲が広がる。以
下にその応用例を説明する。
【0113】まず第一に、少なくとも2種類以上の核酸
プローブをそれぞれ固定化した複数の核酸プローブ固定
化遺伝子検出用センサを用いることでより好適な核酸プ
ローブを選択することができる。
【0114】ここで核酸プローブ固定化遺伝子検出用セ
ンサは、電気化学的或いは光学的信号を検出可能な担体
に核酸プローブを固定化したものをいい、例えば、核酸
プローブ固定化電極、核酸プローブ固定化光ファイバー
等が挙げられる。
【0115】複数個の遺伝子検出用センサの各々にプロ
ーブ候補となる複数種の核酸プローブを固定化し、この
センサに固定化された核酸プローブと試料核酸とをハイ
ブリダイゼーションさせた後、センサから得られる信号
の大きさを比較して、試料核酸に対してより親和性の高
い核酸プローブを選択することができる。
【0116】また、温度が高いほど二本鎖の核酸が解離
しやすいという性質を利用して、異なる温度でハイブリ
ダイゼーションを行い、より高温で信号が多く得られる
ものを選択することによってより好適な核酸プローブを
選択することができる。特に、ハイブリダイゼーション
を行うための反応容器に温度制御装置等を用いて温度勾
配をつけ、図8に示すように温度勾配方向に同配列の核
酸プローブ、そしてこれと垂直方向に異配列の核酸プロ
ーブを配置したセンサを用いてハイブリダイゼーション
反応を行うことにより、異なる温度での反応性を同時に
測定でき、容易に核酸プローブを選択することが可能と
なる。
【0117】また第二に、少なくとも2種類以上の核酸
プローブが固定化されたマス目状の核酸プローブ固定化
基板を用いることで簡便かつ短時間の遺伝子検出が可能
になり、またこの基板を用いて遺伝子の塩基配列を決定
することもできる。
【0118】ここで核酸プローブ固定化基板は、信号検
出可能な担体を行と列に分割してマス目をつけ、各マス
目に異なる配列の核酸プローブを固定化することによっ
て作成された基板である。当該基板の具体的な一例を図
11に示す。信号検出可能な担体としては、電極、光フ
ァイバー、水晶振動子、半導体素子等、それ自体が信号
検出可能な担体の他に、ニトロセルロース膜、ナイロン
膜等、或いはマイクロタイタープレートなども用いるこ
とが可能である。但し、これらを担体として用いる場合
には、作成された基板の裏面に信号を検出することが可
能な構造を接続する。この基板につけられたマス目は規
則正しく一定間隔で区切られた単独構造であり、他から
は汚染されることがなく、行と列の数は特に制限されな
い。また、プローブを固定化する個々の担体を複数組み
合わせることで1つの素子を形成することもできる。
【0119】この基板上に固定化されている核酸プロー
ブと試料核酸とをハイブリダイゼーション反応させる
と、基板上の各マス目にはこの反応に関してポジティブ
なものとネガティブものが現れる。このように複数の遺
伝子を同時に検査することができ、特にどのマス目がど
の塩基配列に対応するかがあらかじめ分かっていれば、
ポジティブに反応した塩基配列を計算機処理するだけで
試料核酸の配列が決定できる。
【0120】この遺伝子検査法又は核酸配列決定法を実
施するためには、図1に示す本発明の遺伝子検出装置を
応用することが可能である。具体的には、図1の装置に
おいて、試料核酸調製装置1 を直接反応槽4 に接続し、
担体6 として核酸プローブ固定化基板を用い、脱着処理
槽12を、核酸プローブ固定化基板から試料核酸を解離す
るための解離処理槽とすることで実施することができ
る。
【0121】すなわち、この遺伝子検出法は、信号検出
可能な担体の表面上に核酸プローブを固定化した核酸プ
ローブ固定化基板と、核酸プローブ固定化基板を移動さ
せるための移動手段と、一本鎖に変性された試料核酸を
含有する試料溶液を貯留し、試料核酸と核酸プローブ固
定化基板の表面に固定化された核酸プローブとのハイブ
リダイゼーションにより核酸プローブ固定化基板上に二
本鎖核酸を形成するための反応槽と、試料溶液の温度を
制御する温度制御手段と、試料核酸とのハイブリダイゼ
ーションの後、核酸プローブ固定化基板を洗浄して未反
応の試料核酸を除去するための洗浄手段と、二本鎖認識
体を含有する溶液を貯留し、二本鎖認識体と核酸プロー
ブ固定化基板表面上に形成された二本鎖核酸とを反応さ
せることにより二本鎖認識体を二本鎖核酸に結合させ、
結合した二本鎖認識体が生ずる電気化学的もしくは光学
的な信号を検出するための検出槽を具備する自動遺伝子
検査装置により実施可能である。
【0122】また、図4において、試料核酸精製装置3
1、反応セル33、ファンクションジェネレータ/ポテン
ショスタット39及び計算機40以外のものを除去し、反応
セル33の底面に設置された試料核酸固定化電極34を核酸
プローブ固定化基板に変えた装置を用いることも可能で
ある。
【0123】更に核酸配列決定法は、上記自動遺伝子検
査装置における計算機に、更に検査結果を数値解析する
機能を持たせた自動遺伝子配列検査装置により実施可能
である。
【0124】
【実施例】
実施例1:試料核酸固定化電極を用いた遺伝子の検出 a.試料核酸固定化電極の調製 遺伝子検出のモデルとして、検体試料にpUC 119のP
stIサイトに発癌遺伝子v−myc断片を挿入したp
VM 623を用い、また核酸プロ−ブにv−mycに相補
的な合成オリゴヌクレオチド(20mer )を用いた。電極
にはベ−サルプレインパイロリティックグラファイト
(BPPG)を用い、次の手順により試料核酸の固定化
を行なった。
【0125】まず、pVM 623をHind IIIで消化す
ることによりリニアにし、次いで98℃で熱変性して試料
核酸溶液を作製した。次に、電極表面を研磨したBPP
G電極を上記試料核酸溶液に挿入し、 0.1Vの電位を印
加しながら核酸を吸着固定した。試料核酸の固定化は使
用直前に行ない、作製した試料核酸固定化電極は使用す
るまで 4℃で保存した。
【0126】b.試料核酸固定化電極を用いた遺伝子の
検出 以下の手順により遺伝子の検出を行なった。
【0127】まず、上で作製した試料核酸固定化電極を
核酸プロ−ブを含有する溶液中に挿入し、42℃でインキ
ュベ−トしてハイブリダイゼ−ション反応を行なった。
この際、電極に断続的に 0.1V( vs.SCE)の電位を
印加することにより反応の促進を図った。反応終了後、
二本鎖核酸に特異的に結合し、かつ電極活性の高い挿入
剤であるアクリジンオレンジを添加した。アクリジンオ
レンジが二本鎖核酸に結合した後、電極にマイナス電位
を印加して非特異的に吸着している物質を電極表面から
除去した。その後、挿入剤の酸化還元電流をBPPG電
極を介して測定し、検体試料中に含まれるv−mycの
定量を行なった。
【0128】その結果、v−mycをpgオ−ダ−で検
出することができた。また、全ての操作を 1時間以内に
自動的に行なうことが可能であった。
【0129】実施例2:試料核酸固定化光ファイバを用
いた遺伝子の検出 a.試料核酸固定化電極の調製 遺伝子検出のモデルとして、検体試料にpUC 119のP
stIサイトに発癌遺伝子v−myc断片を挿入したp
VM 623を用い、また核酸プロ−ブにv−mycに相補
的な合成オリゴヌクレオチド(20mer )を用いた。試料
核酸の光ファイバへの固定化は次の手順により行なっ
た。
【0130】まず、pVM 623をHind IIIで消化す
ることによりリニアにし、次いで98℃で熱変性して試料
核酸溶液を作製した。次に、シラン剤(γ- APTE
S)およびグルタルアルデヒドで処理した光ファイバを
上記試料核酸溶液に浸漬することにより核酸を吸着固定
した。試料核酸の固定化は使用直前に行ない、作製した
試料核酸固定化電極は使用するまで 4℃で保存した。
【0131】b.試料核酸固定化光ファイバを用いた遺
伝子の検出 以下の手順により遺伝子の検出を行なった。
【0132】まず、上で作製した試料核酸固定化光ファ
イバを核酸プロ−ブを含有する溶液中に挿入し、42℃で
インキュベ−トしてハイブリダイゼ−ション反応を行な
った。この際、二本鎖核酸に特異的に結合し、かつ光学
活性の高い挿入剤であるアクリジンオレンジを添加し
た。アクリジンオレンジが二本鎖核酸に結合した後、ア
クリジンオレンジが生じる蛍光を光ファイバを介して測
定し、検体試料中に含まれるv−mycの定量を行なっ
た。
【0133】その結果、v−mycをpgオ−ダ−で検
出することができた。また、全ての操作を 1時間以内に
自動的に行なうことが可能であった。
【0134】実施例3:試料核酸固定化電極を用いた遺
伝子の検出 a.試料核酸固定化電極の調製 遺伝子検出のモデルとして、検体試料にpUC 119のP
stIサイトに発癌遺伝子v−myc断片を挿入したp
VM 623を用いた。また、核酸プロ−ブとしては、v−
mycに相補的な配列を有する合成オリゴヌクレオチド
(20mer )の3'-末端にタ−ミナルデオキシヌクレオチ
ジルトランスフェラ−ゼを用いて(6-アミノヘキシル)
dATPを導入し、さらにこのアミノ基にグルタルアル
デヒドを介してアミノアクリジンを結合したものを用い
た。BPPG電極への試料核酸の固定化は次の手順によ
り行なった。
【0135】まず、pVM 623をHind IIIで消化す
ることによりリニアにし、次いで98℃で熱変性して試料
核酸溶液を作製した。次に、電極表面を研磨したBPP
G電極を上記試料核酸溶液に挿入し、 0.1Vの電位を印
加しながら核酸を吸着固定した。試料核酸の固定化は使
用直前に行ない、作製した試料核酸固定化電極は使用す
るまで 4℃で保存した。
【0136】b.試料核酸固定化電極を用いた遺伝子の
検出 以下の手順により遺伝子の検出を行なった。
【0137】まず、上で作製した試料核酸固定化電極を
核酸プロ−ブを含有する溶液中に挿入し、42℃でインキ
ュベ−トしてハイブリダイゼ−ション反応を行なった。
この際、電極に断続的に 0.1V( vs.SCE)の電位を
印加することにより反応の促進を図った。反応終了後、
核酸プロ−ブに標識したアミノアクリジンに由来する酸
化還元電流を測定した。
【0138】その結果、v−mycをpgオ−ダ−で検
出することができた。また、全ての操作を 1時間以内に
自動的に行なうことが可能であった。
【0139】実施例4:試料核酸固定化光ファイバを用
いた遺伝子の検出 a.試料核酸固定化電極の調製 遺伝子検出のモデルとして、検体試料にpUC 119のP
stIサイトに発癌遺伝子v−myc断片を挿入したp
VM 623を用いた。また、核酸プロ−ブとしては、v−
mycに相補的な配列を有する合成オリゴヌクレオチド
(20mer )の3'-末端にタ−ミナルデオキシヌクレオチ
ジルトランスフェラ−ゼを用いて(6-アミノヘキシル)
dATPを導入し、さらにこのアミノ基にグルタルアル
デヒドを介してアミノアクリジンを結合したものを用い
た。試料核酸の光ファイバへの固定化は次の手順により
行なった。
【0140】まず、pVM 623をHind IIIで消化す
ることによりリニアにし、次いで98℃で熱変性して試料
核酸溶液を作製した。次に、シラン剤(γ- APTE
S)およびグルタルアルデヒドで処理した光ファイバを
上記試料核酸溶液に浸漬することにより核酸を吸着固定
した。試料核酸の固定化は使用直前に行ない、作製した
試料核酸固定化電極は使用するまで 4℃で保存した。
【0141】b.試料核酸固定化光ファイバを用いた遺
伝子の検出 以下の手順により遺伝子の検出を行なった。
【0142】まず、上で作製した試料核酸固定化光ファ
イバを核酸プロ−ブを含有する溶液中に挿入し、42℃で
インキュベ−トしてハイブリダイゼ−ション反応を行な
った。反応終了後、核酸プロ−ブに標識したアミノアク
リジンに由来する蛍光を光ファイバを介して測定し、検
体試料中に含まれるv−mycの定量を行なった。
【0143】その結果、v−mycをpgオ−ダ−で検
出することができた。また、全ての操作を 1時間以内に
自動的に行なうことが可能であった。
【0144】実施例5:試料核酸固定化電極を用いたR
FLP解析 RFLP解析のモデルとして、家族性アミロイドポリニ
ューロパチー(Familial Amyloidtic Polyneuropathy;F
AP)の遺伝子診断を行った。
【0145】FAPはトランスサイレチン(TTR)遺
伝子の30番目のバリンの遺伝子コードGTGがATG
に変わり、アミノ酸がメチオニンに変化してしまうこと
が原因となる遺伝病である(図5参照)。この塩基置換
により新たに制限酵素BalI及びNsiIの切断部位
が形成されるため(図6参照)、TTR遺伝子がBal
I又はNsiIにより切断されるかどうかでFAPの遺
伝子診断が可能である。以下にその解析例を示す。a.
試料核酸固定化電極の調製 FAP患者及び健常者からヘパリン採血した1mlの血
液に等量の3%デキストラン、0.9%塩化ナトリウム
を加え、白血球を分離し、TritonX−100溶液
を用いて細胞膜を破壊した。これに高濃度NaI溶液及
びDNA吸着ビーズを加えてゲノムDNAをビーズに吸
着させた。遠心分離でビーズを回収して50%エタノー
ルを含む洗浄液(0.8M NaCl、40mM Tr
is−HCl、4mM EDTA(pH7.5))で洗
浄した後、少量の水を加え50℃でビーズからDNAを
溶出した。得られたゲノムDNAを定法に従い制限酵素
BalIで切断した。切断処理後のDNAを0.7%ア
ガロース電気泳動で分離し、ゲルの末端から溶出される
DNAを1分ごとに緩衝液中に採取した。採取したDN
Aを100℃で5分加熱し、一本鎖に解離させた後、1
00℃のままそれぞれにBPPG電極を浸漬し、試料D
NAを吸着固定した。
【0146】b.試料核酸固定化電極を用いたRFLP
解析 プローブとして、TTR遺伝子のcDNAのHaeII
断片(0.3Kb)を用いて以下の手順により解析を行
った。
【0147】プローブを2×SSC緩衝液(0.3M
塩化ナトリウム、0.03M クエン酸ナトリウム)に
溶解し、分子量分画した試料DNA固定化電極と40℃
で1時間ハイブリダイゼーションを行った。反応終了
後、二本鎖核酸に特異的に結合し、かつ電極活性の高い
挿入剤であるドーノマイシンを最終濃度10μMとなる
ように加え、5分間インターカレーションを行った。イ
ンターカレーションの後、銀塩化銀電極を参照極、白金
板を対極、1/15Mリン酸緩衝液(pH7.0)を電
解質として、ドーノマイシンの電気化学的反応をリニア
スイープボルタンメトリー(25℃、25mV/se
c)を用いて測定した。本条件において、ドーノマイシ
ンは、一本鎖のままなら490mV付近に、二本鎖を形
成すると520mV付近に酸化電流のピークが得られ
る。酸化電流のピークが500mVを越えるものについ
て、FAP患者及び健常者の試料を解析すると、溶出時
間35分前後、及び58分前後には共通にシグナルが得
られるものの、FAP患者には更に特徴的に28分前後
及び44分前後にシグナルが得られた。35分、58分
に得られたシグナルはそれぞれ2.3Kb、5.2Kb
に対応し、これは今回用いたプローブに対する正常なT
TR遺伝子のBalI断片である。またFAP患者に特
徴的に得られた28分、44分のシグナルはそれぞれ
3.65Kb、1.55Kbに対応し、これは5.2K
b断片が一塩基置換されたためにBalIより新たに形
成されたものである。本FAP患者の試料からは正常、
異常の2つのシグナルが得られたことから、正常なTT
R遺伝子と変異を起こしたTTR遺伝子を両方持ってい
ることが分かる(FAPは常染色体優性遺伝による疾患
であるので、一方の遺伝子異常があると発病する)。な
お、採血から最終結果を得るまでにおおよそ4時間を要
した。このことから従来法(2〜3日)に比べ、著しく
時間を短縮することができたことがわかる。
【0148】以上示したように、試料核酸を分子量ごと
に固定化した電極を用いることでFAPの遺伝子診断が
容易に行えるようになった。
【0149】実施例6:試料核酸固定化テープ状電極を
用いたRFLP解析 a.試料核酸固定化電極の調製 FAP患者及び健常者からヘパリン採血した1mlの血
液に等量の3%デキストラン、0.9%塩化ナトリウム
を加え、白血球を分離し、TritonX−100溶液
を用いて細胞膜を破壊した。これに高濃度NaI溶液及
びDNA吸着ビーズを加えてゲノムDNAをビーズに吸
着させた。遠心分離でビーズを回収して50%エタノー
ルを含む洗浄液(0.8M NaCl、40mM Tr
is−HCl、4mM EDTA(pH7.5))で洗
浄し、少量の水を加え50℃でビーズからDNAを溶出
した。得られたゲノムDNAを定法に従い制限酵素Ba
lIで切断した。切断処理後のDNAをキャピラリー電
気泳動で分離し、カラムの末端から溶出されるDNAを
含む緩衝液を、100℃に加熱して一本鎖に解離させな
がら、テープ状BPPG電極(5mm幅で断線されてい
る)に吸着固定した。この際テープ状BPPG電極は、
5mm/minの速さで水平方向に移動させた。電気泳
動は30分行い、電極の長さは全体で15cmとなっ
た。これによりゲル電気泳動後一本鎖にした遺伝子をト
ランスファーしたフィルターに相当するものが作成でき
たことになり、テープの移動距離は分子量に対応する。
先端からの移動距離の短いものは低分子量、長いものは
高分子量に対応する。
【0150】b.試料核酸固定化電極を用いたRFLP
解析 プローブとして、TTR遺伝子のcDNAのHaeII
断片(0.3Kb)を用いて以下の手順により解析を行
った。プローブを2×SSC緩衝液(0.3M塩化ナト
リウム、0.03M クエン酸ナトリウム)に溶解し、
分子量分画した試料核酸固定化テープ状電極と40℃で
1時間ハイブリダイゼーションを行った。反応終了後、
二本鎖核酸に特異的に結合し、かつ電極活性の高い挿入
剤であるドーノマイシンを最終濃度10μMとなるよう
に加え、5分間インターカレーションを行った。インタ
ーカレーション後、銀塩化銀電極を参照極、白金板を対
極、1/15Mリン酸緩衝液(pH7.0)を電解質と
して、ドーノマイシンの電気化学的反応をリニアスイー
プボルタンメトリー(25℃、25mV/sec)を用
いて測定した。本条件においてドーノマイシンは、一本
鎖のままなら490mV付近に、二本鎖を形成すると5
20mV付近に酸化電流のピークが得られる。酸化電流
のピークが500mVを越えるものについて、FAP患
者及び健常者の試料を解析すると、テープの移動距離8
cm前後及び14cm前後は共通にシグナルが得られる
ものの、FAP患者には更に特徴的に6.5cm前後及
び11cm前後にシグナルが得られた。8cm,14c
mはそれぞれ2.3Kb、5.2Kbに対応し、これら
は今回用いたプローブに対する正常なTTR遺伝子のB
alI断片である。またFAP患者に特徴的に得られた
6.5cm、11cmのシグナルはそれぞれ3.65K
b、1.55Kbに対応し、これらは5.2Kb断片が
一塩基置換のためBalIにより新たに形成されたもの
である。本FAP患者の試料からは正常、異常の2つの
シグナルが得られたことから、正常なTTR遺伝子と変
異を起こしたTTR遺伝子を両方持っていることが分か
る(FAPは常染色体優性遺伝による疾患であるので、
一方の遺伝子に異常があると発病する)。なお、採血か
ら最終結果を得るまでにおよそ4時間を要した。このこ
とから従来法(2〜3日)に比べ、著しく時間を短縮す
ることができたことがわかる。
【0151】以上示したように、試料核酸を分子量ごと
に固定化したテープ状電極を用いることでFAPの遺伝
子診断が容易に行えるようになった。
【0152】実施例7:ハイブリダイゼーション反応の
経時的測定 a.核酸プローブ固定化電極の調製 ハイブリダイゼーション反応の経時的測定のモデルとし
て、検体試料にpVM623(pUC119にv−my
cを組み込んだもの)を用い、また核酸プローブにv−
mycの一部に相補的な合成オリゴヌクレオチドを用い
た。電極にはBPPG(Basal Plane Py
roritic Graphite)電極を用いて、次
の手順により核酸プローブの固定化を行った。
【0153】まず、DNAシンセサイザー(アプライド
・バイオシステム社製)で配列表の配列番号3に示す5
´TGCAGTTCCGGTGGCTGATC3´配列
の核酸プローブを合成した。これをNAPカラム(ファ
ルマシア社製)で精製した後、1mM Tris−HC
l(pH8.0)(1M NaCl含む)中に10μg
/mlになるように溶解し核酸プローブ溶液を作製し
た。この溶液にBPPG電極を浸漬して、100℃で3
0分間核酸プローブを吸着させた。リニア・スイープ・
ボルタンメトリー(参照電極:Ag/AgCl、対極:
Pt、電解質:1/15Mリン酸緩衝液(pH7.
0))で1V付近で得られるグアニン残基由来の酸化電
流により、核酸プローブが固定化されているか否かを確
認をした。
【0154】b.ハイブリダイゼーション反応の経時的
測定 以下の手順により経時的にハイブリダイゼーション反応
の進行状態を測定した。
【0155】まず、制限酵素HindIIIで消化する
ことによりリニアにした1μg/mlのpVM623
と、プローブ固定化電極とを2×SSC緩衝液(0.3
M NaCl、30mMクエン酸三ナトリウム)中でハ
イブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション開始後、
15分、30分、1時間、2時間、4時間、18時間
(オーバーナイト)後に、挿入剤であるアクリジンオレ
ンジを作用させ、リニア・スイープ・ボルタンメトリー
でアクリジンオレンジの酸化電流、及びその電位値を測
定した。なお、対照として大腸菌HB101の染色体D
NA(1μg/ml)を用いて同様の実験を行った。結
果として得られた電流値の経時変化を図7に示す。
【0156】図7から、本モデル実験においては、ハイ
ブリダイゼーションは反応開始後15分でも十分検出可
能であり、通常行われているオーバーナイトの反応は全
く必要ないことが分かった。
【0157】このように核酸プローブ固定化遺伝子検出
用センサ(この場合は電極)を用いることでハイブリダ
イゼーション反応をモニタリングすることができ、反応
時間を大幅に短縮することが可能となった。
【0158】実施例8:核酸プローブ固定化電極を用い
た核酸プローブの選択 成人T細胞白血病(ATL)はレトロウイルスであるH
uman T−Cell Lymphotropic
Virus(HTLV)の感染により引き起こされる感
染症である。従って、HTLV遺伝子の有無を検出する
ことで遺伝子診断が可能となる。この遺伝子診断にふさ
わしいと思われる核酸プローブ候補を、HTLV−I遺
伝子のデータベースから、分子内二次構造をとりにく
く、比較的GC含量が多いということを指標として検索
し、配列表の配列番号4〜13に示す10種類のプロー
ブを選択した。
【0159】a.核酸プローブ固定化電極の調製 前記10種類のプローブを1mMTris−HCl(p
H8.5)1M NaCl溶液に溶解し、各核酸プロー
ブ溶液にBPG電極を浸漬して100℃で30分間吸着
処理を行った。サイクリックボルタンメトリーで1V付
近に得られるDNA中のグアニン残基由来の酸化電流を
測定することで吸着固定の確認を行った。
【0160】b.核酸プローブ固定化電極を用いた核酸
プローブの選択 HTLVの感染が確認されている培養細胞から定法によ
りDNAを取り出し、これを制限酵素SalIで切断し
た。一方a.で核酸プローブを固定化した電極を反応容
器内に設置し、反応容器の両端に温度制御機を取り付け
て25〜75℃の範囲の温度勾配をつけた。なお、電極
を反応容器に設置する際、温度勾配方向には互いに絶縁
された同種プローブ固定化電極を20個、それと垂直方
向には異種プローブを固定化した電極を連結した(図8
参照)。この反応容器に制限酵素SalIで切断した試
料核酸を添加し、2×SSC中で1時間、ハイブリダイ
ゼーションを行った。
【0161】ハイブリダイゼーション後、DNA挿入剤
であるアクリジンオレンジを添加し、それぞれの電極に
ついて、微分パルスボルタンメトリーを行い、アクリジ
ンオレンジの酸化電流及びピーク電位値を測定した。測
定条件は、パルス幅200mV、パルス電解時間100
msec、サンプリング時間2000msec、掃引速
度25mV/secとした。
【0162】測定の結果、他のプローブが60℃以上で
急激に信号が得られなくなったのに対し、5´TACT
GGCCACCTGTCCAGAGCATCAG3´の
配列を有する配列表の配列番号6の核酸プローブは65
℃でもアクリジンオレンジのピーク電位値は13mVに
シフトし、安定にハイブリダイズしていることがわかっ
た。
【0163】以上のように本発明の方法を応用すること
により最適な核酸プローブを選択することができる。
【0164】実施例9:核酸プローブ固定化電極を用い
た遺伝子の検出 癌遺伝子c−Ha−ras、c−Ki−ras、N−r
asの12番目、61番目のアミノ酸コドンに点突然変
異を持つ遺伝子を確認するために下記表1に示すような
核酸プローブを合成し、5´末端にアミノ基を導入し
た。
【0165】
【表1】 a.核酸プローブ固定化電極の調製 核酸プローブ固定化用電極として、図9に示すような5
×5cmの表面を電子線で活性化したグラファイトの基
板の裏に薄い絶縁膜被覆した素子を用いた。この素子を
縦6、横8の48分割し、他のマス目からの汚染がない
ように区切りを作成した。分割したマス目にそれぞれ異
なった核酸プローブをシランカップリング剤とグルタル
アルデヒドを用いて固定化した。それぞれのプローブを
固定化した裏面の絶縁層にグラファイト基板から銀ペー
ストでリードを作成した。
【0166】b.核酸プローブ固定化電極を用いた遺伝
子の検出 人の血球から抽出した染色体遺伝子1μgを2×SSC
に溶解した後、48分割したマス目に添加して95℃に
加熱した。各マス目に人のβ−グロビン遺伝子に特異的
な20merの標識核酸プローブを添加し、42℃でハ
イブリダイゼーションを行った。なお標識は、核酸プロ
ーブの末端にアミノ基を介してグルタルアルデヒドを用
いてアクリジンオレンジを共有結合させることにより行
った。ハイブリダイゼーション反応後、洗浄した後、電
気化学的な検出を行った。その結果を図10に示す。こ
こで斜線の部分はポジティブに反応したマス目を示す。
図10よりc−Ki−rasの12及び61番目に点突
然変異があることが分かった。以上のように、微量の検
体であっても1度の操作で非常に簡単に、複数の検査項
目を調べることができることが示された。
【0167】実施例10:核酸プローブ固定化基板を用
いた試料核酸の塩基配列決定 a.核酸プローブ固定化基板の調製 核酸プローブ固定化担体として5×5cmのガラス基板
を用い、この基板を縦15、横15の225分割して各
マス目にそれぞれ配列がランダムな異なった7merの
核酸プローブを固定化した。また核酸プローブを固定化
したそれぞれのマス目の裏面は、光ファイバーを接続で
きる構造とした。
【0168】b.核酸プローブ固定化基板を用いた試料
核酸の塩基配列決定 試料核酸として、酵母のアラニンのt−RNAに対する
cDNAを用い、これを225分割された各マス目に添
加して95℃に加熱した。加熱後、各マス目にt−RN
Aに相補的な20merの標識核酸プローブを添加して
42℃でハイブリダイゼーションを行った。なお、前記
標識核酸プローブは、その末端にアクリジンオレンジを
共有結合させることによって標識した。ハイブリダイゼ
ーション反応の後、標識核酸プローブ洗浄後、各マス目
の蛍光強度を測定した。結果を図11に示す。図11よ
り、CCCGCAC、CGCACAC、CACCGC
G、GCGCATC、TCAGCCA、CCATCC
G、CGCGCGA、GAGGGAA、AAACGA
A、AACCCTC、TCTCAGA、GAGGCC
A、CAAGCTA、TAAGGCC、CCTGAG
C、GCAGGTG、AGGTGGT、GCACCG
C、CACACCA、CGGCGCA、GGCGCA
T、CATCTCA、ACCATCCの各塩基配列を有
する核酸プローブと反応することがわかった。
【0169】これらの配列を計算機を用いて整理した結
果、酵母のアラニンのt−RNAに対するcDNAの塩
基配列は、配列表の配列番号59に示すように3´−C
CCGCACACCGCGCATCAGCCATCGC
GCGAGGGAAACGAACCCTCTCAGAG
GCCAAGCTAAGGCCTGAGCAGGTGG
T−5´であることが推察できた。このように、微量の
検体であっても、1度の操作で非常に簡単に遺伝子塩基
配列を決定できた。
【0170】実施例11: 試料核酸固定化電極を用い
たHLAタイピング a.試料核酸固定化基板の調製 まず、人の末梢静脈血から染色体遺伝子を分離した。こ
の遺伝子を3つに分けて、それぞれ別々の制限酵素Ec
oRI、PstI、MspIで切断し、カラムクロマト
グラフィーで分子量別にフラクションa〜jとして分取
した。
【0171】一方、10×3cmのグラファイト基板の
表面を電子線で活性化し、裏面には薄い絶縁膜を被覆し
て素子を形成した。この素子を縦10、横3に30分割
し、他のマス目からの汚染がないように区切りを作成し
た。
【0172】この分割した各マス目にフラクションa〜
jの遺伝子を注入し、100mMの塩化ナトリウムを添
加して100℃で吸着により固定化した。各遺伝子を固
定化した後、基板の裏面にグラファイト基板から銀ペー
ストでリードを作成した。
【0173】b.試料核酸固定化基板を用いた遺伝子の
検出 HLA抗原遺伝子に相補的なプローブDQ β2(AG
GGATCCCCGCAGAGGATTTCGTGTA
CC)(配列表の配列番号60参照)の末端にアミノ基
を介してグルタルアルデヒドを用いてアミノアクリジン
を共有結合して標識した。基板の各マス目に標識したプ
ローブを添加し、2×SSC中で42℃でハイブリダイ
ゼーションを行った。ハイブリダイゼーション反応後、
界面活性剤を含む緩衝液で洗浄した後、電気化学的な測
定を行った。すなわち、目的とする遺伝子が存在するマ
ス目ではアミノアクリジンが電気化学的に酸化されて電
流が流れるので、この電流値を測定した。その結果、図
12に示すような結果が得られた。これにより本遺伝子
検出法を用いることで人の遺伝子のHLAタイピングが
可能であることが示された。
【0174】実施例12: 核酸プローブ固定化基板を
用いた食品腐敗検査 a.核酸プローブ固定化基板の調製 5×5cmのガラスの基板表面にカーボンを蒸着、或い
はスパッタすることでカーボン被膜を作成した。このカ
ーボン被膜表面にプラズマを照射することでカーボン表
面の活性化を行った。この基板を5×3分割し、基板の
裏面には絶縁膜を被覆した。また他のマス目からの汚染
がないように区切りを作成した。それぞれのマス目の裏
面の絶縁層にグラファイト基板から銀ペーストでリード
を作成した。この基板上のそれぞれのマス目に、サルモ
ネラ菌、病原性大腸菌、及びブドウ球菌に対する核酸プ
ローブを固定化した。固定化は、合成した核酸プローブ
の末端にアミノ基を導入し、グルタルアルデヒド、及び
シランカップリング剤を架橋剤として用いて、このアミ
ノ基を介して行った。
【0175】b.核酸プローブ固定化基板を用いた食品
腐敗検査 食品サンプル1〜5を加熱フェノール処理してサンプル
中の蛋白質を変性、沈殿させ、核酸成分を抽出した。こ
の精製試料各酸を熱変性して一本鎖にして各マス目に添
加し、42℃で核酸プローブとハイブリダイゼーション
させた。なおこのハイブリダイゼーション反応の際、サ
ルモネラ菌、病原性大腸菌、及びブドウ球菌に対する遺
伝子検出用の標識した第2核酸プローブをそれぞれ添加
した。これら第2プローブの標識は、プローブ末端にア
ミノ基を導入し、このアミノ基を介して化学発光物質で
あるルシゲニンをグルタルアルデヒドを用いて共有結合
させることによって行った。
【0176】前記ハイブリダイゼーション反応後、界面
活性剤を含む緩衝溶液で洗浄した後、マス目中に1/1
5M燐酸緩衝溶液を添加して基板上に2.0V(vs.
SCE)の電位をかけた。結果を図13に示す。ここで
斜線部分は発光信号が得られたマス目を示している。発
光信号の強度は食品中に存在する遺伝子の量と直線関係
にあり、また遺伝子を定量することも可能であった。こ
のように食品中に存在するバクテリアを検出、定量する
ことで、食品の腐敗度を調べることができた。
【0177】実施例13: 核酸プローブ固定化基板を
用いた薬品汚染度検査 a.核酸プローブ固定化基板の調製 5×5cmのガラスの基板表面にカーボンを蒸着、或い
はスパッタすることで、カーボン被膜を作成した。この
カーボン被膜表面にプラズマを照射することでカーボン
表面の活性化を行った。この基板を5分割し、基板の裏
面には絶縁膜を被覆した。また他のマス目からの汚染が
ないように区切りを作成した。それぞれのマス目の裏面
の絶縁層にグラファイト基板から銀ペーストでリードを
作成した(図面)。この基板上のそれぞれのマス目に、
サルモネラ菌、病原性大腸菌、ブドウ球菌、シウドモナ
ス、及びバチラスに対する核酸プローブを固定化した。
固定化は、合成した核酸プローブの末端にアミノ基を導
入し、グルタルアルデヒド、及びシランカップリング剤
を架橋剤として用いて、このアミノ基を介して行った。
b.核酸プローブ固定化基板を用いた薬品汚染度検査 薬品サンプルを加熱フェノール処理してサンプル中の蛋
白質を変性、沈殿させ、核酸成分を抽出した。この精製
試料核酸を熱変性して一本鎖にし、各マス目に添加して
42℃で核酸プローブとハイブリダイゼーションさせ
た。なおハイブリダイゼーション反応の際、サルモネラ
菌、病原性大腸菌、ブドウ球菌、シウドモナス、及びバ
チラスに対する遺伝子検出用の標識した第2核酸プロー
ブをそれぞれ添加した。これら第2プローブの標識は、
プローブ末端にアミノ基を導入し、このアミノ基を介し
て化学発光物質であるアクリジニュウムエステルをグル
タルアルデヒドを用いて共有結合させることにより行っ
た。
【0178】前記ハイブリダイーゼション反応後、界面
活性剤を含む緩衝溶液で洗浄した後、マス目中に1/1
5M燐酸緩衝溶液を添加して基板上に2.0V(vs.
SCE)の電位をかけた。この電気化学発光反応の結
果、図14に示すような発光信号が得られた。この発光
信号の強度は薬品中に存在する遺伝子の量と直線関係に
あり、また遺伝子を定量することも可能であった。この
ように薬品中に存在するバクテリアを検出、定量するこ
とで薬品の汚染度を調べることができた。
【0179】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば核
酸プローブを用いた遺伝子検出を、放射性同位体を用い
ることなく簡便かつ短時間で行なうことができる。従っ
て、本発明は遺伝子診断法や遺伝子工学の分野等、特定
の遺伝子を検出する際の方法として極めて有用である。
【0180】[配列表] 配列番号:1 配列の長さ:15 配列の型:核酸 配列番号:2 配列の長さ:15 配列の型:核酸 配列番号:3 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 TGCAGTTCCG GTGGCTGATC 20 配列番号:4 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTACTTTACT GACAAACCCG ACCTAC 26 配列番号:5 配列の長さ:32 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 CCGCAGCTGC ACTAATGATT GAACTTGAGA AG 32 配列番号:6 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 TACTGGCCAC CTGTCCAGAG CATCAG 26 配列番号:7 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTGGTGGATT TGCCATCGGG TTTT 24 配列番号:8 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 CTTCACAGTC TCTACTGTGC 20 配列番号:9 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 CGGATACCCA GTCTACGTGT 20 配列番号:10 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 CCCTACAATC CCACCAGCTC AG 22 配列番号:11 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 CGGCAGTTCT GTGACAGGG 19 配列番号:12 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GAGCCGATAA CGCGTCCATC G 21 配列番号:13 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 CACGCGCCCG CCCTACCTGA GGCCGCC 26 配列番号:14 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTGGGCGCCG GCGGTGTGGG 20 配列番号:15 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTGGGCGCCC GCGGTGTGGG 20 配列番号:16 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTGGGCGCCA GCGGTGTGGG 20 配列番号:17 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTGGGCGCCT GCGGTGTGGG 20 配列番号:18 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTGGGCGCCG ACGGTGTGGG 20 配列番号:19 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTGGGCGCCG CCGGTGTGGG 20 配列番号:20 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTGGGCGCCG TCGGTGTGGG 20 配列番号:21 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACCGCCGGCC AGGAGGAGTA 20 配列番号:22 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACCGCCGGCC ATGAGGAGTA 20 配列番号:23 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACCGCCGGCC ACGAGGAGTA 20 配列番号:24 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACCGCCGGCA AGGAGGAGTA 20 配列番号:25 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACCGCCGGCG AGGAGGAGTA 20 配列番号:26 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACCGCCGGCC TGGAGGAGTA 20 配列番号:27 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACCGCCGGCC CGGAGGAGTA 20 配列番号:28 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACCGCCGGCC GGGAGGAGTA 20 配列番号:29 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCTG GTGGCGTAGG 20 配列番号:30 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCTC GTGGCGTAGG 20 配列番号:31 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCTT GTGGCGTAGG 20 配列番号:32 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCTA GTGGCGTAGG 20 配列番号:33 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCTG CTGGCGTAGG 20 配列番号:34 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCTG ATGGCGTAGG 20 配列番号:35 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCTG TTGGCGTAGG 20 配列番号:36 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCAGGTC AAGAGGAGTA 20 配列番号:37 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCAGGTA AAGAGGAGTA 20 配列番号:38 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCAGGTG AAGAGGAGTA 20 配列番号:39 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCAGGTC GAGAGGAGTA 20 配列番号:40 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCAGGTC CAGAGGAGTA 20 配列番号:41 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCAGGTC TAGAGGAGTA 20 配列番号:42 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCAGGTC ATGAGGAGTA 20 配列番号:43 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCAGGTC ACGAGGAGTA 20 配列番号:44 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCAG GTGGTGTTGG 20 配列番号:45 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCAA GTGGTGTTGG 20 配列番号:46 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCAC GTGGTGTTGG 20配列番号:47 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCAT GTGGTGTTGG 20 配列番号:48 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCAG CTGGTGTTGG 20 配列番号:49 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCAG ATGGTGTTGG 20 配列番号:50 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 GTTGGAGCAG TTGGTGTTGG 20 配列番号:51 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCTGGAC AAGAAGAGTA 20 配列番号:52 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCTGGAG AAGAAGAGTA 20 配列番号:53 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCTGGAA AAGAAGAGTA 20 配列番号:54 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCTGGAC CAGAAGAGTA 20 配列番号:55 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCTGGAC TAGAAGAGTA 20 配列番号:56 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCTGGAC GAGAAGAGTA 20 配列番号:57 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCTGGAC ATGAAGAGTA 20 配列番号:58 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 ACAGCTGGAC ACGAAGAGTA 20 配列番号:59 配列の長さ:77 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 TGGTGGACGA GTCCGGAATC GAACCGGAGA CTCTCCCAAG CAAAGGGACG GCGCTACCGA CTACGCGCCA CACGCCC 77 配列番号:60 配列の長さ:29 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列 AGGGATCCCC GCAGAGGATT TCGTGTACC 29
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動遺伝子検出装置の一具体例を
模式的に示す図。
【図2】図1に示す自動遺伝子検出装置における反応槽
および試料核酸精製装置の他の態様を示す斜視図。
【図3】図1に示す自動遺伝子検出装置に用いられる温
度コントロ−ラの一具体例を示す斜視図。
【図4】電気化学発光を利用する自動遺伝子検出装置の
具体例を模式的に示す図。
【図5】FAPの病因となる塩基置換及びこれによる制
限酵素認識部位の形成を示す図。
【図6】TTR遺伝子のBalI切断部位を示す図。
【図7】核酸プローブ固定化電極を用いたハイブリダイ
ゼーション反応の経時的変化の測定結果を示す図。
【図8】核酸プローブの選択に用いた温度勾配反応槽を
示す図。
【図9】核酸プローブ固定化基板を示す図。
【図10】核酸プローブ固定化基板を用いた遺伝子検出
の結果を示す図。
【図11】核酸プローブ固定化基板を用いた遺伝子検出
の結果を示す図。
【図12】核酸プローブ固定化基板を用いたHLAタイ
ピングの結果を示す図。
【図13】核酸プローブ固定化基板を用いた食品腐敗検
査の結果を示す図。
【図14】核酸プローブ固定化基板を用いた薬品汚染度
検査の結果を示す図。
【符号の説明】
1、31…遺伝子サンプル精製装置、 2…固定化槽、 4…
反応槽、5、35…温度コントロ−ラ、 6…担体、 7…電
気信号検出制御装置、8、40…計算機、10…検出槽、12
…解離処理層、13、44…移動装置、21…恒温槽、22…コ
ントロ−ラ、23…温度センサ、32…核酸プロ−ブ供給装
置、33…反応セル、34…固定化用電極、37…参照電極、
38…光ファイバ、39…ファンクションジェネレ−タ/ポ
テンショスタット、41…フォトマル、42…フォトンカウ
ンタ、43…洗浄槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 雅式 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検出すべき目的遺伝子に対して相補的な
    塩基配列を有する一本鎖の核酸プロ−ブと、一本鎖に変
    性された試料核酸とを反応させた後、該核酸プロ−ブと
    該試料核酸とのハイブリダイゼ−ションにより形成され
    る二本鎖核酸の有無を検出することによって目的遺伝子
    の存在を確認する遺伝子検出法において、 該試料核酸を電極表面、または光ファイバ−先端に固定
    化して用いることと、 二本鎖核酸に特異的に結合し、且つ電気化学的または光
    化学的に活性な二本鎖認識体を、核酸プロ−ブと試料核
    酸との反応系に添加することと、 該電極または該光ファイバを介した電気化学的または光
    化学的な測定により、該電極または該光ファイバに固定
    化された二本鎖認識体の検出を行なうことを特徴とする
    遺伝子検出法。
  2. 【請求項2】 検出すべき目的遺伝子に対して相補的な
    塩基配列を有する一本鎖の核酸プロ−ブと、一本鎖に変
    性された試料核酸とを反応させた後、該核酸プロ−ブと
    該試料核酸とのハイブリダイゼ−ションにより形成され
    る二本鎖核酸の有無を検出することによって目的遺伝子
    の存在を確認する遺伝子検出法において、 該試料核酸を電極表面、または光ファイバ−先端に固定
    化して用いることと、 該核酸プロ−ブが予め標識物質で標識されたプロ−ブで
    あることと、 該電極または該光ファイバを介した電気化学的または光
    化学的な測定により、該電極または該光ファイバに固定
    化された核酸プロ−ブの検出を行なうことを特徴とする
    遺伝子検出法。
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