JP2573443B2 - 遺伝子検出法 - Google Patents

遺伝子検出法

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JP2573443B2
JP2573443B2 JP3241315A JP24131591A JP2573443B2 JP 2573443 B2 JP2573443 B2 JP 2573443B2 JP 3241315 A JP3241315 A JP 3241315A JP 24131591 A JP24131591 A JP 24131591A JP 2573443 B2 JP2573443 B2 JP 2573443B2
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幸二 橋本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料中に存在する特定
の遺伝子を特異的に検出するための遺伝子検出法および
遺伝子検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子(DNA)に刻み込まれた遺伝情
報は、メッセンジャーRNAを介して蛋白質あるいは酵
素として表現される。この蛋白質や酵素の働きにより、
生命の維持に必要な様々な化合物の生合成および代謝が
行なわれる。このように、遺伝子に支配された多様な物
質の動的平衡系として、生物が存在しているわけであ
る。
【0003】ヒトの遺伝子の総数は5〜10万といわれ
ている。これら遺伝子の中に、例えば欠損や重複のよう
な何等かの異常や変化が生じると、生成される蛋白質の
特性、種類および量などが変化し、結果として生体系の
バランスが崩れて疾病を引き起こすことになる。従っ
て、逆に病因となる既知の遺伝子を検出することによっ
て、疾患の同定や予防が可能である。このような遺伝子
そのものに基づく診断は、近年の遺伝子工学の進歩によ
って可能となったもので、遺伝子診断と呼ばれている。
従来の診断法と比較して、遺伝子診断には次のような幾
つかの特色がある。
【0004】遺伝子発現の機構を考えると、殆どの生化
学レベルでの変化に先行して、遺伝子上での変化が生じ
ていることが推定される。従って、遺伝子変化の検出に
よる遺伝子診断では、病気という表現型での変化に先だ
って、即ち、発症前や病気の潜伏期あるいは極めて初期
の段階で、診断や予測ができる。これが第一の特色であ
る。第二の特色は、生体内の細胞では遺伝子は全て同一
であるので、遺伝性の疾患に関する遺伝子診断法は、分
析する臓器や組織に依存しないことである。このこと
は、特に胎児での診断では重要である。即ち、この特色
によって、妊婦から羊水を採取し、羊水中に浮遊してい
る胎児の細胞を調べるだけで診断を行なうことが可能と
なる。一般的な遺伝子診断法において、従来用いられて
いる遺伝子検出法の手順を略記すれば次の通りである。
【0005】まず、試料から遺伝子を抽出し、必要があ
れば適当な制限酵素で切断した後、電気泳動およびサザ
ンブロットを行なう。次に、目的とする遺伝子に対して
相補的な塩基配列を有する核酸プローブ(通常は、放射
性同位元素でラベルされている)を、ブロットされた遺
伝子とハイブリダイスさせる。続いて、低温でX線フィ
ルムに感光させることによりハイブリダイズされた核酸
プローブを検出し、目的とする遺伝子の存在を確認す
る。
【0006】上記従来の検出法は、放射性同位元素を使
用するため診断場所が限定され、試薬の取扱いにも十分
注意しなければならない。この点を改善するために、放
射性同位元素に代わる安全なラベル剤の開発が進められ
ており、例えばアビジン- ビオチン結合を利用する方
法、酵素や蛍光物質を使用する方法等、幾つかのプロー
ブ検出方法が既に提案されている。しかし、これらは感
度の点で放射性同位元素を凌駕するまでには至っていな
い。また、何れの方法も遺伝子検出までに少なくとも2
〜3日間を要し、測定操作もかなり繁雑かつ複雑である
という問題がある。 一方、試料中に存在する特定の抗
原または抗体の定量分析には、一般にラジオイムノアッ
セイ(以下、RIAと略記する)が用いられている。し
かしながら、RIAでは前記の遺伝子診断方法と同様に
放射性同位体を用いるため、専用の機器を設置し、その
操作も資格を有するオペレ−タが行なわなければならな
い。これに加えて廃棄物の処理等にも注意を必要とす
る。また、その他の分析方法として、例えば免疫電気泳
動法が知られているが、この方法は測定に長時間を要す
るうえ感度が低く、被検物質がごく微量にしか含まれて
いない場合には適用することができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたもので、その課題は、安全性および簡便性
に優れると共に、短時間で目的とする遺伝子の有無を高
感度に検出することができる遺伝子検出法を提供するこ
とにある。
【0008】また、本発明は、安全性および簡便性に優
れると共に、短時間で目的とする遺伝子の有無を高感度
に検出することができる遺伝子検出装置を提供すること
をも課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による遺伝子検出
法は、検出すべき目的遺伝子に対して相補的な塩基配列
を有する一本鎖の核酸プローブと、一本鎖に変性された
遺伝子サンプルとを反応させた後、遺伝子とハイブリダ
イズされた前記核酸プローブを検出することによって前
記目的遺伝子の存在を確認する遺伝子検出法において、
前記核酸プローブを電極表面、または光ファイバー先端
に固定化して用いることと、二本鎖核酸に特異的に結合
し、且つ電気化学的または光化学的に活性な二本鎖認識
体を、前記核酸プローブと遺伝子サンプルとの反応系に
添加することと、
【0010】前記電極または前記光ファイバを介した電
気化学的または光化学的な測定により、前記核酸プロー
ブと目的遺伝子との二本鎖核酸に結合した二本鎖認識体
を検出することにより、目的遺伝子とハイブリダイズさ
れた前記核酸プローブの存在を検出することを特徴とす
るものである。以下に本発明の詳細を説明する。
【0011】本発明において「二本鎖認識体」とは、二
本鎖の核酸を認識し、特異的に結合する物質を指す。そ
のような物質としては、例えば、挿入剤、二本鎖核酸を
認識する生体高分子を挙げることができる。
【0012】挿入剤(intercalating agents)と呼ばれる
物質は、二本鎖DNA等の二本鎖核酸に特異的に結合(i
ntercalation) する特徴がある。これら挿入剤は何れも
分子中にフェニル基等の平板状挿入基を有し、該挿入基
が二本鎖核酸の塩基対と塩基対の間に介入することによ
って、二本鎖核酸と結合する。挿入剤の多くは光学活性
物質であり、核酸の定性に用いられているものもある。
また、挿入剤の中には電極応答する物質もある。従っ
て、光学的変化または電気化学的変化の測定によって、
二本鎖核酸に結合した挿入剤を検出することができる。
【0013】本発明で用いる電気化学的、光化学的に活
性な挿入剤は特に限定されるものではなく、例えばエチ
ジュウム、エチジュウムブロマイド、アクリジン、アミ
ノアクリジン、アクリジンオレンジ、プロフラビン、エ
リブチシン、アクチノマイシンD、ドーノマイシン、マ
イトマイシンC等を用いることができる。また、その他
の使用可能な挿入剤としては、特開昭62-282599 号公報
に記載されたものが挙げられる。
【0014】また、電極を用いて電気化学的変化を検出
する場合には、挿入剤として、上述の挿入剤自身が酸化
還元反応に対して可逆的である物質の他に、電気的に可
逆な酸化還元反応を起こす物質を中心金属として含有す
る金属錯体、すなわちメタロインタ−カレ−タ−を用い
ることができる。このようなメタロインタ−カレ−タ−
としては、例えばトリス(フェナントロリン)亜鉛錯
体、トリス(フェナントロリン)ルテニュウム錯体、ト
リス(フェナントロリン)コバルト錯体、ジ(フェナン
トロリン)亜鉛錯体、ジ(フェナントロリン)ルテニュ
ウム錯体、ジ(フェナントロリン)コバルト錯体、ビピ
リジンプラチナ錯体、タ−ピリジンプラチナ錯体、フェ
ナントロリンプラチナ錯体、トリス(ビピリジル)亜鉛
錯体、トリス(ビピリジル)ルテニュウム錯体、トリス
(ビピリジル)コバルト錯体、ジ(ビピリジル)亜鉛錯
体、ジ(ビピリジル)ルテニュウム錯体、ジ(ビピリジ
ル)コバルト錯体を挙げることができる。挿入剤はこれ
らに限定されるものではないが、錯体の中心金属もしく
は挿入剤自身の酸化還元電位が核酸の酸化還元電位以上
であったり、核酸の酸化還元電位に重なることのないも
のが望ましい。
【0015】このような電気化学的に可逆である酸化還
元反応を起こす挿入剤を用いることにより、酸化還元電
流を繰り返して測定することが可能となる。したがっ
て、電位走査を数回ないし数百回繰り返し、得られた信
号の値を積算することにより信号の増幅を行なうことが
でき、その結果、より高感度の検出が可能となる。
【0016】さらに、電極を用いて遺伝子の検出を行な
う場合には、電気化学発光を生じる挿入剤を利用するこ
ともできる。このような挿入剤は特に限定されるもので
はなく、例えば、ルミノ−ル、ルシゲニン、ピレン、ジ
フェニルアントラセンおよびルブレンを挙げることがで
きる。これらの挿入剤による電気化学発光は、ホタルル
シフェリン、デヒドロルシフェリンのようなルシフェリ
ン誘導体、フェニルフェノ−ル、クロロフェノ−ルのよ
うなフェノ−ル類もしくはナフト−ル類のようなエンハ
ンサ−を用いることにより増強することが可能である。
【0017】電気化学発光によって生じた光学的な信号
は、例えば、フォトンカウンタを用いて溶液から直接検
出すればよい。また、電極の代わりに、光ファイバ−の
先端に透明電極を形成することにより作成した光ファイ
バ−電極を用いて間接的に検出することもできる。
【0018】電極反応または光学的な信号の変化は担体
表面でしか起こらないことから、未反応のプロ−ブや未
反応の挿入剤を除去することなく非常に簡単に検出を行
なうこともできる。
【0019】なお、本発明において、核酸プローブと一
本鎖遺伝子サンプルとの反応は、一般的に溶液中で行な
われる。その際、上記の挿入剤の存在下で核酸プローブ
と遺伝子サンプルとの反応を行なってもよく、また該反
応の終了後に挿入剤を添加しても良い。
【0020】上述のように、多くの挿入剤はそれ自体で
光学活性を有するか、または電極応答が可能な物質であ
り、光学的または電気化学的な測定により直接測定を行
なことができる。このような挿入剤に、さらに直接もし
くは間接的に信号を検出することが可能な物質を結合さ
せ、挿入剤自信の信号と併せて測定することにより検出
の感度を高めることが可能である。
【0021】このような直接もしくは間接的に信号を検
出することが可能な物質としては、例えば、ビオチン、
トリニトロベンゼンスルホン酸、ジニトロベンゼンスル
ホン酸等のハプテン、フルオレセインイソチオシアネ−
ト(FITC)、フィコシアニン、ロ−ダミン等の蛍光
物質、ルミノ−ル、ルシゲニン、アクリジニウムエステ
ル誘導体等の発光物質、フェロセン、ビオロ−ゲン等の
電極活性物質を挙げることができる。上記ハプテンのよ
うに直接信号を検出することができない物質を用いる場
合には、酵素結合アビジンのような酵素結合抗ハプテン
抗体を利用して酵素反応による物質の吸光、蛍光、発
光、消光、円偏光二色性、蛍光偏光のような光学的情報
を測定するか、もしくは電極活性を測定することにより
間接的に遺伝子の検出を行なう。
【0022】これらの物質は、通常、挿入剤1分子当た
り1分子結合させるが、同種の物質を挿入剤1分子当た
り複数分子結合させることにより、さらに感度を高める
ことができる。
【0023】これとは別に、生体高分子の中には二本鎖
核酸を認識して特異的に結合する物質が存在する。した
がって、このような生体高分子もしくはこの生体高分子
を認識する物質に、酵素、蛍光物質、発光物質のような
標識物質を結合し、この標識物質に起因する電気化学的
もしくは光学的な変化を測定して生体高分子の存在の有
無を確認することにより二本鎖核酸を検出することが可
能となる。
【0024】このような生体高分子としては、抗DNA
抗体、クロ(Cro )タンパク質、cIリプレッサ−、大
腸菌のCRP(cAMP受容タンパク質)、ラクト−ス
オペロンリプレッサ−のようなDNA結合タンパク質、
触媒活性が失活したRNaseHのような酵素を挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。ま
た、上記生体高分子は、生体由来であっても、合成によ
り得られるものであっても良い。
【0025】上記生体高分子に結合させる標識剤として
の酵素は特に限定されるものではなく、例えばアルカリ
ホスファタ−ゼ、ペルオキシダ−ゼ、β- ガラクトシダ
−ゼ、グルコ−スオキシダ−ゼを挙げることができる。
【0026】上記生体高分子を用いて電気化学的変化を
検出する場合には、例えば、NAD+/NADHサイクルにおけ
る NADH 、カテコ−ル/キノンサイクルにおけるキノン
を利用することができる。すなわち、生体高分子に結合
した酵素により生成した NADH もしくはキノンを電極自
体で酸化もしくは還元し、その電気的変化を測定すれば
良い。なお、このような電気化学的酸化還元反応に関わ
る物質は、これらに限定されるものではない。
【0027】上記生体高分子を用いて光学的変化を検出
する場合には、生体高分子に酵素を結合し、化学発光基
質を用いて酵素反応を行なうか、もしくは生体高分子に
蛍光物質を結合してその蛍光を直接検出する。本発明で
用いることができる化学発光基質は特に限定されるもの
ではなく、使用可能な化学発光基質としては、ルミノ−
ル、イソルミノ−ル、イソルミノ−ル誘導体、アクリジ
ニュウム誘導体を挙げることができる。化学発光基質を
使用する場合には、エンハンサ−を用いて化学発光を増
強させることもできる。このエンハンサ−としては、特
に限定されるものではないが、例えばホタルルシフェリ
ン、デヒドロルシフェリンのようなルシフェリン誘導
体、フェニルフェノ−ル、クロロフェノ−ルのようなフ
ェノ−ル類もしくはナフト−ル類を挙げることができ
る。さらに、本発明で用いることができる蛍光物質は特
に限定されるものではなく、使用可能な蛍光物質として
は、フルオレセイン、ロ−ダミン、フィコシアニンを挙
げることができる。
【0028】二本鎖認識体の添加量は特に限定されるも
のではないが、効率の点からは形成された全ての二本鎖
に結合するに十分な量であることが好ましい。過剰に添
加して未反応のまま残存する二本鎖認識体は、測定の前
に洗浄除去する。
【0029】二本鎖認識体の添加量が少なく低濃度であ
る場合には、二本鎖認識体が形成された二本鎖核酸と結
合した後には、系内に残存する未反応の二本鎖認識体の
量は極少量となる。すなわち、相対的に、二本鎖認識体
は担体上に濃縮された状態となる。このような状態にお
いては、核酸プロ−ブと未反応の試料DNA、および形
成された二本鎖に結合していない遊離の二本鎖認識体と
を洗浄除去することなく遺伝子の検出を行なうことがで
き、ハイブリダイゼ−ションから目的遺伝子の検出まで
全ての反応を同一系内で連続的に行なうことが可能とな
る。
【0030】本発明においては、使用する核酸プロ−ブ
を変えることにより種々の遺伝子の検出を行なうことが
できる。使用することができる核酸プロ−ブの例として
は、食品中に含まれる微生物、植物ウイルスもしくはウ
イロイド、魚類に感染する病原性微生物もしくはウイル
ス、人体に感染し、感染症等を引き起こす病原性微生物
もしくはウイルス、遺伝病の原因遺伝子、活性化プロト
オンコジ−ン、またはミニサテライト塩基配列のそれぞ
れの全体もしくはその一部の塩基配列に相補的な配列を
有するプロ−ブを挙げることができる。
【0031】核酸プロ−ブとして、食品中に含まれる微
生物の全体もしくはその一部の塩基配列に相補的な配列
を有するプロ−ブを用いた場合には、食品中に含まれる
微生物の直接検出を行なうことができ、食品衛生検査が
可能になる。このような食品中に含まれる微生物として
は、例えば、病原性の大腸菌、ブドウ球菌、サルモネラ
菌を挙げることができる。
【0032】核酸プロ−ブとして、植物ウイルスもしく
はウイロイドの一部の塩基配列に相補的な配列を有する
プロ−ブを用いた場合には、植物に感染した植物ウイル
スもしくはウイロイドの検出を行なうことができ、農業
分野における感染症診断が可能になる。このような植物
ウイルスもしくはウイロイドとしては、例えば、タバコ
モザイクウイルス、カリフラワ−モザイクウイルスを挙
げることができる。
【0033】核酸プロ−ブとして魚類に感染する病原性
微生物もしくはウイルスの全体あるいはその一部の塩基
配列に相補的な配列を有するプロ−ブを用いた場合に
は、魚類に感染する病原性微生物もしくはウイルスの検
出を行なうことができ、水産分野における感染症診断が
可能になる。このような魚類に感染する病原性微生物と
しては、例えば、病原性ビブリオを挙げることができ
る。
【0034】核酸プロ−ブとして人体に感染し、感染症
等を引き起こす病原性微生物もしくはウイルスの全体あ
るいはその一部の塩基配列に相補的な配列を有するプロ
−ブを用いた場合には、感染症診断が可能になる。この
ような人体に感染して感染症等を引き起こす病原性微生
物としては、例えば、病原性微生物であるストレプトコ
ッカス、マイコプラズマ、クロストリジウム、クラミジ
ア、サルモネラ、単純ヘルペス、サイトメガロウイルス
を挙げることができる。
【0035】核酸プロ−ブとして遺伝病の原因遺伝子の
全体もしくはその一部の塩基配列に相補的な配列を有す
るプロ−ブを用いた場合には、遺伝病の直接検定が可能
になる。このような遺伝病の原因遺伝子としては、例え
ば、アデノシンデアミナ−ゼ欠損症、鎌形赤血球貧血の
原因遺伝子を挙げることができる。
【0036】核酸プロ−ブとして活性化プロトオンコジ
−ンの全体もしくはその一部の塩基配列に相補的な配列
を有するプロ−ブを用いた場合には、癌診断が可能にな
る。このような活性化プロトオンコジ−ンとしては、例
えば、癌遺伝子デ−タブック(渋谷正史、秀潤社)に記
載の癌遺伝子を挙げることができる。
【0037】核酸プロ−ブとしてミニサテライト塩基配
列の全体もしくはその一部の塩基配列に相補的な配列を
有するプロ−ブを用いた場合には、遺伝学的研究、個人
識別、親子鑑定等に有用なDNAフィンガ−プリント法
を行なうことが可能になる。このようなミニサテライト
塩基配列としては、例えば、Myo配列、Alu配列、
Per- 6配列、Per配列を挙げることができる。
【0038】本発明において用いられる核酸プロ−ブの
長さは特に限定されるものではなく、数mer ないし数百
mer の一本鎖核酸を用いることができるが、S/N比を
上げて検出の精度を高めるためには、十数mer ないし数
十mer 程度の長さのものが好ましい。これは、次のよう
な理由によるものである。
【0039】上述のように、二本鎖認識体は二本鎖核酸
を認識して特異的に結合する物質である。しかしなが
ら、二本鎖認識体は希に一本鎖核酸にも結合することが
ある。すなわち、担体に固定化された未反応の核酸プロ
−ブにも結合する場合がある。このような結合が起こる
とS/N比が低下し、検出の精度が悪化する。したがっ
て、核酸プロ−ブの長さは、目的とする遺伝子配列を検
出するために最小限必要な長さに止めることが好まし
い。
【0040】遺伝子の検出は、上記二本鎖認識体のみな
らず、核酸プロ−ブを標識することによっても行なうこ
とができる。この場合、核酸プロ−ブに標識される標識
剤は、二本鎖認識体と直接もしくは間接的に反応し、も
しくはその相互作用により、そのいずれかが検出可能な
信号を生じるようなものであればどのような物質でもよ
い。換言すると、核酸プロ−ブが一本鎖の状態にあると
きには信号が発生することはなく、核酸プロ−ブが目的
とする遺伝子と反応して二本鎖を形成し、さらにこの二
本鎖に二本鎖認識体が結合して初めて信号が発生するよ
うな物質が標識剤として用いられる。遺伝子の検出は、
この標識剤と二本鎖認識体との反応により生じる信号を
測定することにより行なう。このような核酸プロ−ブの
標識剤は、用いられる二本鎖認識体により異なるが、例
えば、ロ−ダミン、FITCのような蛍光物質、ルミノ
−ル、アクリジニウムエステル誘導体のような発光物
質、酵素、酵素基質を挙げることができる。二本鎖認識
体としては、特に限定されるものではなく、上記のいず
れの物質をも使用することができる。
【0041】本発明においては、核酸プロ−ブを固定化
する担体として電極もしくは光ファイバ−を用いている
が、この他に信号の検出が可能な担体として、フォトダ
イオ−ド、サ−ミスタ、ISFET、MOSFET、ピ
エゾ素子、表面弾性波素子、水晶発振器等を用いること
もできる。
【0042】本発明で用いる電極は特に限定されるもの
ではなく、使用可能な電極としては、例えばグラファイ
ト、グラシーカーボン、パイロリティックグラファイ
ト、カ−ボンペ−スト、カ−ボンファイバ−のような炭
素電極、白金、白金黒、金、パラジウム、ロジウムのよ
うな貴金属電極、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガ
ン、酸化鉛のような酸化物電極、Si、Ge、 ZnO、 CdS、
TiO2 、GaAsのような半導体電極、チタン等が挙げられ
る。これらの電極は導電性高分子によって被覆しても良
く、これによって安定なプローブ固定化電極を調製する
ことができる。また、単分子膜によって被覆することも
できる。核酸プロ−ブは、共有結合、イオン結合、物理
吸着等によって電極表面、光ファイバー等の担体上に固
定化することができる。
【0043】共有結合による固定化としては、例えば、
担体表面を活性化し、その後、直接もしくは架橋剤を介
して間接的に核酸プロ−ブを固定化する方法、担体に固
定化する核酸プロ−ブに活性型の官能基を導入して担体
に直接もしくは間接的に固定化する方法などを挙げるこ
とができる。ここで、担体表面の活性化は、例えば、酸
化剤中における電解酸化、空気酸化、試薬酸化もしくは
膜で被覆することにより行なうことができる。また、使
用し得る架橋剤としては、臭化シアン、γ- アミノプロ
ピルトリエトキシシランのようなシランカップラ−、カ
ルボジイミド、塩化チオニル等を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。さらに、核酸プ
ロ−ブに導入される官能基としては、例えばアミノ基、
カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、リン
酸基、アルデヒド基、およびメルカプト基を挙げること
ができるが、これらに限定されるものではなく、その他
の反応性が高い官能基を用いることもできる。
【0044】担体表面を活性化するため表面を酸化する
と、担体表面に酸化層が形成される。この酸化層を介し
て核酸プロ−ブと担体とが結合するのであるが、酸化層
の厚さを薄くすることにより遺伝子検出におけるS/N
比を向上させることができる。酸化層の厚さは、好まし
くは 500A(オングストロ−ム)以下、より好ましくは
100A以下である。
【0045】核酸末端への官能基の導入は、酵素反応も
しくはDNA合成機を用いて行なうことができる。酵素
反応において用いられる酵素としては、例えば、タ−ミ
ナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラ−ゼ、ポリ
Aポリメラ−ゼ、ポリヌクレオチドカイネ−ス、DNA
ポリメラ−ゼ、ポリヌクレオチドアデニルトランスフェ
ラ−ゼ、RNAリガ−ゼを挙げることができる。また、
ポリメラ−ゼチェインリアクション(PCR法)、ニッ
クトランスレ−ション、ランダムプライマ−法により官
能基を導入することもできる。官能基は、核酸のどの部
分に導入されてもよく、3'末端、5'末端もしくはランダ
ムな位置に導入することができる。
【0046】官能基を導入した核酸プロ−ブはそのまま
固定化反応により担体上に固定化することができる。し
かしながら、核酸プロ−ブは一本鎖核酸であるため、導
入した官能基ではなく核酸を構成するアミノ基が官能基
として機能する場合がある。すなわち、核酸を構成する
アミノ基によってプロ−ブが担体上に固定されてしま
う。これは感度の低下を招き、好ましいものではない。
【0047】核酸プロ−ブを構成するアミノ基による固
定化は、例えば、次のような方法により防ぐことができ
る。まず、官能基を導入した核酸プロ−ブを、このプロ
−ブと相補的な配列を有するDNA鎖とアニ−リングし
て二本鎖とする。次いで、導入した官能基によりこの二
本鎖核酸を担体に固定化し、その後熱変性により一本鎖
の核酸にして官能基を導入していないDNA鎖を除去す
る。熱変性の際の加熱温度は、通常、90〜98℃である。
【0048】核酸プロ−ブを固定化しようとする担体が
電極である場合には、物理吸着により、より簡単な操作
で効率よく核酸プロ−ブを固定化することができる。電
極表面への核酸プロ−ブの物理吸着は、例えば、次のよ
うに行なうことができる。まず、電極表面を、超音波洗
浄器を用いて蒸留水およびアルコ−ルで洗浄する。その
後、電極を核酸プロ−ブを含有するリン酸緩衝液(pH
7.0)に挿入して核酸プロ−ブを担体表面に吸着させ
る。この際、電極に 0〜+ 1.0V、好ましくは 0〜+
0.1Vの範囲で電位を印加することにより、核酸プロ−
ブの吸着を促進することができる。次に、核酸プロ−ブ
を吸着させた電極をヌクレオチド(ATP、CTP、G
TP、TTP、dATP、dCTP、dGTP、dTT
P等)溶液中に挿入し、好ましくは 0〜+ 1.0Vの範囲
で電位を印加しながら、電極表面をヌクレオチドで被覆
する。これにより、試料核酸、二本鎖認識体等の電極表
面への非特異的な吸着が抑制される。また、非特異的な
吸着は、界面活性剤、脂肪酸、脂肪等によっても抑制可
能である。
【0049】また、核酸プロ−ブは、酵素固定化の一手
法として知られる包括法において使用される包括剤を用
いて担体に固定化することもできる。本発明において使
用し得る包括剤は特に限定されるものではないが、例え
ばポリ塩化ビニル、ポリアクリルアミドを挙げることが
できる。
【0050】さらに、核酸プロ−ブは膜を介して電極表
面に固定化することもできる。この際用いられる膜とし
ては、例えば、ポリアセチレン、ポリピロ−ル、ポリチ
オフェン、ポリアニリンのような導電性高分子、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロライド、ポリ
ビニルアルコ−ル、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリフ
ッ化ビニリデン、セルロ−ス、脂質膜を挙げることがで
きる。また、LB膜のような単分子膜もしくは単分子膜
が複数積層して多層を形成した膜を用いることもでき
る。核酸プロ−ブの膜への固定化は、担体表面への固定
化と同様の方法で行なうことができる。
【0051】共有結合により核酸プロ−ブを膜に固定化
する場合には、核酸プロ−ブに官能基を導入する代わり
に膜に官能基を導入してもよい。膜に導入される官能基
としては、核酸プロ−ブに導入される官能基と同様のも
のを用いることができる。このように膜に官能基を導入
し、次いで核酸プロ−ブを反応させて固定化することに
より、核酸プロ−ブに官能基を導入して固定化する場合
よりも高い密度でプロ−ブを固定化することができ、か
つより安定な核酸プロ−ブ固定化担体を得ることができ
る。
【0052】膜を介して核酸プロ−ブを固定化する担体
が電極である場合には、上述のようにプロ−ブと検体試
料とのハイブリダイゼ−ションを行ない、その前後にお
ける膜電位の変化を測定することにより、目的とする遺
伝子の存在の有無を検出することができる。
【0053】核酸プロ−ブを固定化した担体は、そのま
までは試料核酸、二本鎖認識体等の非特異的な物理吸着
が生じやすい。これは、感度の低下を招く要因となる。
このような非特異的な吸着は、核酸プロ−ブを固定化し
た後、担体表面を物理吸着もしくは化学結合により核酸
で被覆することにより抑制することが可能である。
【0054】この際、担体表面を被覆する核酸として
は、例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチ
ジンのようなヌクレオシド、ウリジル酸、シチジル酸、
アデニル酸、グアニル酸のようなヌクレオチド、合成オ
リゴヌクレオチド、サケ精子DNAのような天然DNA
を挙げることができる。
【0055】また、担体表面を被覆する核酸の長さおよ
び配列は、担体表面に固定化されている核酸プロ−ブと
反応しない長さおよび配列であれば特に限定されるもの
ではないが、 1〜 100 bp の一本鎖、もしくは二本鎖核
酸が望ましい。
【0056】また、非特異的な吸着は、界面活性剤、脂
肪酸、脂肪等の物質で被覆することによっても抑制する
ことが可能である。そのような物質としては、具体的に
は、ステアリルアミン等を用いることができる。
【0057】本発明の遺伝子検出法においては、担体へ
の核酸プロ−ブの固定化は上記方法にのみ限定されるも
のではなく、一般にタンパク質等の生体高分子の固相へ
の固定化に用いられている方法を広く用いることができ
る。
【0058】担体に固定化される核酸プロ−ブの量は特
に限定されるものではないが、固定化された核酸プロ−
ブの密度が高いほど検出の感度が高くなり、S/N比が
向上する。固定化される核酸プロ−ブの密度は、通常、
平方cm当りアトモル(amol/cm2 )のオ−ダ−以上で
あり、好ましくは平方cm当りナノモル(nmol/cm2
のオ−ダ−以上である。
【0059】担体、特に電極もしくは光ファイバ−表面
に固定化された核酸プロ−ブは、核酸の酸化還元電流も
しくは光学的な信号、あるいは一本鎖の核酸に特異的に
結合する電気化学的もしくは光学的に活性な物質の酸化
還元電流もしくは光学的な信号を測定することにより定
量することができる。すなわち、担体が電極である場合
には、例えばポテンショスタット、ファンクションジェ
ネレータ、レコ−ダ、および計算機からなる測定システ
ムを用いて、核酸もしくは挿入剤に由来する酸化還元電
流の計測を行ない、固定化核酸の定量を行なう。また、
担体が光ファイバ−である場合には、核酸もしくは核酸
に結合した挿入剤に由来する光学信号である吸光度、蛍
光強度、発光、消光、円偏光二色性、蛍光偏光もしくは
その他の光学的情報をそれぞれの信号に対応した測定装
置を用いて測定することにより、固定化核酸の定量を行
なう。核酸自体には活性がないため、従来行なわれてい
る定量法は非常に繁雑なものであったが、この方法によ
れば担体表面に固定化された核酸を短時間で、簡便かつ
高感度に定量することが可能となる。核酸由来の酸化還
元電流としては、アデニン、チミン、グアニンもしくは
シトシンに由来する酸化還元電流を利用することができ
る。
【0060】核酸プロ−ブ固定化担体に振動子もしくは
回転体としての機能を持たせることにより、担体表面近
傍における流体の流れを相対的に増大させることができ
る。これにより、ハイブリダイゼ−ション反応の促進、
非特異的反応の抑制などが達成され、遺伝子検出の効率
を高めることが可能である。振動子としての機能は、例
えば、物理的な振動、超音波、電気的もしくは磁気的作
用を利用して担体に与えることができる。
【0061】検体試料には、例えば、末梢静脈血のよう
な血液、白血球、血清、尿、糞便、精液、唾液、培養細
胞、各種臓器細胞のような組織細胞、その他核酸を含有
するものを用いる。検体試料からの核酸の抽出は従来法
に準じて行なわれるが、上記二本鎖認識体を用いて以下
の手順により抽出、精製することもできる。
【0062】まず、二本鎖認識体を適当な担体上に固定
化し、この担体を検体試料と混合する。次に検体試料中
の細胞を破壊して核酸を遊離させ、この核酸と二本鎖認
識体とを結合させる。その後、担体を検体試料から分離
し、さらに二本鎖認識体に結合した核酸を担体から分離
する。
【0063】ここで用いられる担体は特に限定されるも
のではなく、例えば、ラテックス、ポリエチレン、ポリ
スチレン、ポリプロピレン等の高分子からなる担体、活
性炭等の炭素系材料、金属粒子、セラミック、マグネタ
イト、サマリウム- コバルト、フェライト等の磁性体を
挙げることができる。担体の形態も特に限定されるもの
ではないが、粒径 0.1〜 1000 um、特には 1〜 100 um
の粒子であることが好ましい。
【0064】検体試料中の細胞の破壊は、常法により行
なえばよく、例えば、振とう、超音波等の物理的作用を
外部から加えて担体を振動させて行なう。また、核酸抽
出溶液を用いて、細胞から核酸を遊離させることもでき
る。核酸溶出溶液の例としては、SDS、Triton-X、Tw
een-20のような界面活性剤、サポニン、EDTA、プロ
テア−ゼ等を含む溶液を挙げることができる。これらの
溶液を用いて核酸を溶出する場合には、37℃以上の温度
でインキュベ−トすることにより反応を促進することが
できる。
【0065】担体に固定化された二本鎖認識体と核酸と
を結合させた後、適当な手段により検体試料から担体を
分離する。分離した担体は、まず洗浄液(低塩濃度)で
洗浄して不要成分を除去し、次いで核酸溶出液(高塩濃
度)で担体から溶液中に核酸を溶出する。二本鎖認識体
として挿入剤を用いた場合には、核酸溶出液として非極
性有機溶媒を用いる。担体として磁性粒子を用いた場合
には、担体の振動および分離操作を外部からの磁気作用
でより簡便かつ迅速に行なうことが可能となり、好都合
である。
【0066】目的とする遺伝子の含有量が微量である場
合には、公知の方法により遺伝子を増幅した後検出を行
なうこともできる。遺伝子を増幅する方法としては、ポ
リメラ−ゼチェインリアクション(PCR)等の酵素を
用いる方法が代表的なものである。ここで、遺伝子増幅
法に用いられる酵素としては、例えば、DNAポリメラ
−ゼ、Taqポリメラ−ゼのようなDNA依存型DNA
ポリメラ−ゼ、RNAポリメラ−ゼIのようなDNA依
存型RNAポリメラ−ゼ、Qβレプリカ−ゼのようなR
NA依存型RNAポリメラ−ゼを挙げることができる。
なかでも、Taqポリメラ−ゼを用いるPCR法は温度
を調節するだけで連続して増幅を繰り返すことができ、
非常に有用な方法である。
【0067】このようにして得られたサンプル(核酸の
粗抽出液あるいは精製した核酸溶液)は、まず90〜98
℃、好ましくは95℃以上の温度で熱変性し、一本鎖核酸
を調製する。次いで、この一本鎖核酸溶液中に核酸プロ
ーブ固定化電極あるいは核酸プローブ固定化光ファイバ
ーを挿入し、37〜72℃の範囲でハイブリダイゼーション
反応を行なう。ハイブリダイゼ−ション反応の最適温度
は、用いるプロ−ブの塩基配列、長さ等により異なる。
【0068】この場合のハイブリダイゼ−ション反応は
固相での反応であるため、溶液中における反応よりも反
応速度でやや劣る。しかしながら、核酸プロ−ブ固定化
電極を用いる場合には、ハイブリダイゼ−ション反応前
および/または反応時に電極表面に電位を印加しておく
ことによりハイブリダイゼ−ション反応を促進すること
ができ、この問題を解決することが可能である。印加す
る電圧はプラス電位のみであるか、あるいはプラス電位
とマイナス電位とを交互に印加することが好ましく、連
続的に、もしくはパルスのように断続的に印加する。ま
た、印加する電位は、 0〜± 2.0Vであることが好まし
い。
【0069】ハイブリダイゼ−ションの際に、核酸プロ
−ブに結合した目的遺伝子の他に、未反応の核酸が非特
異的に電極表面に吸着することがある。これは、遺伝子
検出のS/N比を劣化させる要因となる。核酸は、通常
マイナスに荷電しているので、ハイブリダイゼ−ション
終了後、電極にマイナスの電化を印加することにより非
特異的に吸着している核酸を除去することができる。こ
の際印加する電位は、0〜 2.0V、好ましくは 0〜 1.5
Vであることが好ましい。
【0070】二本鎖認識体は、ハイブリダイゼ−ション
反応前に検体試料中に添加することもできるし、反応後
に添加することもできる。また、予め二本鎖認識体の溶
液を調製しておき、ハイブリダイゼ−ション終了後、核
酸プロ−ブ固定化電極または光ファイバ−をこの溶液に
挿入してもよい。二本鎖認識体にはプラスに荷電してい
る物質が多いので、担体が電極である場合には、プラス
の電位を印加することにより担体への二本鎖認識体の非
特異的な吸着を抑制することができる。
【0071】電極反応は電極表面においてしか起こらな
いことから、ハイブリダイゼーションした場合にのみ、
二本鎖核酸に結合した挿入剤の電極応答が得られる。核
酸プローブ固定化電極を用いた場合には、ポテンショス
タット、ファンクションジェネレータ、レコ−ダからな
る測定システムを用いる。電位を挿入剤の酸化還元電位
前後に設定し電位を走査する。このとき、酸化還元電流
を測定し検出遺伝子の定量を行なう。この電気化学的測
定は、被検溶液中または他の電解液中の何れで行なって
も良い。また、親水性溶媒中または疎水性溶媒中で行な
ってもよい。
【0072】核酸プローブ固定化光ファイバーを用いた
場合には吸光度、発光、蛍光、反射光、消光、円偏光二
色性、蛍光偏光などの光学的情報を測定することで検出
遺伝子の定量を行なう。
【0073】上述の核酸プロ−ブ固定化電極もしくは核
酸プロ−ブ固定化光ファイバ−のように、信号検出機能
を有する担体に核酸プロ−ブを固定化した装置は、遺伝
子検出センサとして有用である。これらの装置を、遺伝
子検出センサとして繰り返し使用するためには、測定後
に、固定化したプロ−ブとハイブリダイズしたサンプル
を解離させなければならない。プロ−ブからのサンプル
の解離は、熱処理、アルカリ処理、酸処理、界面活性剤
処理、または超音波処理により行なうことができる。熱
処理は、98℃で 5分間処理してサンプルを変性させ、そ
の後急冷すれば良い。アルカリ処理は、pH 8.5以上の緩
衝液もしくは強アルカリ液で処理することにより、また
酸処理は、pH 4.5以下の緩衝液もしくは強酸液で処理す
ることにより行なうことができる。界面活性剤処理に使
用し得る界面活性剤は特に限定されるものではなく、例
えばSDS、トライトン -X、ツイ−ン20等のイオン性
もしくは中性界面活性剤を利用することができる。この
際の界面活性剤の濃度は、0.1%以上であることが望ま
しい。超音波処理は、10 KHzないし 100 KHzの周波数で
数秒ないし数分間処理することにより行なうことができ
る。本発明は、さらに、上述の遺伝子検出センサを用い
た、特定の遺伝子配列を検出する自動遺伝子検出装置を
提供する。本発明による自動遺伝子検出装置は、電極も
しくは光ファイバ−の表面上に核酸プロ−ブを固定化し
た遺伝子検出センサと、遺伝子検出センサを移動させる
ための移動手段と、
【0074】一本鎖に変性された遺伝子サンプルを含有
する試料溶液を貯留し、遺伝子サンプルと遺伝子センサ
の表面に固定化された核酸プロ−ブとのハイブリダイゼ
−ションにより遺伝子センサ上に二本鎖核酸を形成する
ための反応槽と、試料溶液の温度を制御する温度制御手
段と、遺伝子サンプルとのハイブリダイゼ−ションの
後、遺伝子センサを洗浄して未反応の遺伝子サンプルを
除去するための洗浄手段と、
【0075】二本鎖認識体を含有する溶液を貯留し、二
本鎖認識体と遺伝子センサ表面上に形成された二本鎖核
酸とを反応させることにより二本鎖認識体を二本鎖核酸
に結合させ、結合した二本鎖認識体が生ずる電気化学的
もしくは光学的な信号を検出するための検出槽とを具備
することを特徴とする。
【0076】本発明による自動遺伝子検出装置に用いら
れる遺伝子センサとしては、前述の核酸プロ−ブ固定化
電極もしくは光ファイバ−のいずれをも好適に用いるこ
とができる。この遺伝子センサには、例えばパドル状の
形状にして撹拌子の機能を持たせることができ、また、
温度センサの機能を持たせることも可能である。
【0077】遺伝子センサにより検出された電気化学的
もしくは光学的な信号は、直接もしくは適当な制御装置
を介して測定し、さらに計算機等を用いて解析すること
ができる。
【0078】反応槽には一本鎖に変性された遺伝子サン
プルを含有する試料溶液が貯留される。この試料溶液と
しては、被検細胞を破砕した後の核酸粗抽出液をそのま
まか、あるいはこの核酸粗抽出液を精製した精製核酸抽
出液を用いればよい。このような核酸粗抽出液もしくは
精製核酸抽出液を調製することができる試料溶液調製装
置を反応槽に連結し、被検細胞からその場で調製した試
料溶液を反応槽に送ることもでき、その結果、被検細胞
からの遺伝子の検出を全自動的に行なうことが可能とな
る。試料溶液調製装置は、例えばディスポ−ザブルなカ
−トリッジタイプとし、測定終了後に新しいカ−トリッ
ジに交換するようにしてもよい。着脱自在なカ−トリッ
ジタイプを採用することにより、洗浄の手間をかけるこ
となく、常に清浄な状態で試料溶液を調製することが可
能となる。
【0079】本発明による自動遺伝子検出装置は、さら
に、遺伝子センサ表面上に形成された二本鎖核酸を、遺
伝子センサ表面上に固定化された核酸プロ−ブと一本鎖
遺伝子サンプルとに解離し、遺伝子サンプルを除去して
遺伝子センサを再生するための解離手段を具備すること
ができる。このような解離手段を有することにより、遺
伝子センサを繰り返し使用することが可能となり、検出
装置を自動化する上で非常に望ましい。本発明による自
動遺伝子検出装置において用いることができる解離手段
としては、上述の熱処理、アルカリ処理、酸処理、界面
活性剤処理、または超音波処理のいずれをも用いること
ができる。
【0080】さらに、本発明による自動遺伝子検出装置
においては、異なる核酸プロ−ブを固定化した複数の遺
伝子センサを用いることもできる。これら複数の遺伝子
センサの全てを同時に用いて複数の項目を同時に測定す
ることも、また、いくつかの遺伝子センサを指定して検
出しようとする項目を選択して測定することもできる。
以下、本発明による自動遺伝子検出装置を用いた遺伝子
の検出方法を、図面を参照して説明する。
【0081】図1は、本発明による自動遺伝子検出装置
の一具体例を模式的に示す図である。この装置は、反応
槽 2、検出槽 9および解離処理槽 11 の3種類の槽を有
している。反応槽 2は温度コントロ−ラ 3に嵌合され、
廃液タンク 10 に接続されており、さらに移動レ−ル 4
により水平方向に移動可能となっている。反応槽 2は、
移動レ−ル 4上の所定の位置において遺伝子サンプル精
製装置 1と接続する。遺伝子センサ 5は、移動装置 12
に固定されており、この移動装置 12 により各槽上方の
所定の位置への水平移動および各槽の内部への上下移動
が行なわれる。遺伝子センサ 5としては核酸プロ−ブ固
定化電極が用いられており、これにより検出された電気
信号は、電気信号検出制御装置 6を介して計算機 7に入
力され、信号の解析が行なわれる。
【0082】次に、この装置を用いた遺伝子検出方法に
ついて説明する。まず、検出しようとする核酸を含む被
検細胞を遺伝子サンプル精製装置 1に入れ、一本鎖に変
性された遺伝子サンプルを含有する試料溶液を調製す
る。調製した試料溶液を反応槽2に送り、その後、反応
槽 2を、移動レ−ル 4上を所定の位置まで移動させる。
次に、遺伝子センサ 5を反応槽 2の上方に水平移動させ
た後、反応槽 2内に移動させる。遺伝子センサ 5が反応
槽 2内の試料溶液中に浸漬した後、温度コントロ−ラ 3
により試料溶液を適温に制御して、遺伝子センサ 5の表
面に固定されている核酸プロ−ブと試料溶液に含有され
る遺伝子サンプルとのハイブリダイゼ−ションを行な
う。反応終了後、遺伝子センサ 5を試料溶液から引き上
げ、洗浄液タンク 8から送られる洗浄液により洗浄して
未反応の核酸プロ−ブを除去した後、検出槽 9の上方に
水平移動させる。遺伝子センサ 5を引き上げた後の反応
槽 2は、再び遺伝子サンプル精製装置 1に接続する位置
に移動し、内部に貯留する試料溶液を廃液タンクに排出
する。検出槽 9上に移動した遺伝子センサ 5は、次いで
検出槽 9内部に移動する。検出槽 9の内部には二本鎖認
識体を含有する溶液が貯留されており、この二本鎖認識
体が、溶液中に浸漬した遺伝子センサ 5の表面に形成さ
れた二本鎖核酸を認識して結合する。結合した二本鎖認
識体が発する電気化学的信号は、遺伝子センサ 5により
検出され、電気信号検出制御装置 6により制御された後
計算機 7に入力されて解析される。測定後、遺伝子セン
サ 5を検出槽 9から引き上げ、解離処理槽 11 内部に移
動させる。解離処理槽 11 では、遺伝子センサ 5の表面
上に形成された二本鎖の解離が行なわれ、遺伝子センサ
5が再生される。
【0083】前述の反応槽 2は必ずしも単一の槽に限ら
れるものではなく、図2に示すように、複数の小槽 13
を組み合わせたものを用いることができる。このような
反応槽と複数の遺伝子センサ 5を用いることにより、複
数のサンプルを同時に測定することが可能となる。ま
た、この際、それぞれ独立した、小槽 13 と同数の遺伝
子サンプル精製装置 1を組み合わせて複数のサンプルを
同時に調製することにより、より効率よく測定を行なう
ことができる。
【0084】また、未反応の核酸サンプルおよび二本鎖
認識体を除去することなく測定を行なうことも可能であ
る。その際には、洗浄液タンク 8および検出槽 9は必要
なく、測定までの全ての操作を反応槽 2中で行なう。
【0085】さらに、反応槽 2は、核酸プロ−ブ固定化
担体を備えたディスポ−ザブルな反応セルとすることも
できる。この反応セルは、その内部底面もしくは側面に
核酸プロ−ブ固定化担体を備えている。ここで用いられ
る固定化担体としては、上述のいずれの固定化担体をも
使用することができるが、検出装置本体との接続を考慮
すると、核酸プロ−ブ固定化電極であることが好まし
い。固定化担体は、反応セルから分離可能であるように
設置し、繰り返し用いるようにしてもよい。
【0086】この反応セルを用いた遺伝子の検出は次の
通りに行なう。まず、検出しようとする核酸を含む試料
溶液を反応セル内に入れ、セル全体を加熱して核酸を一
本鎖に変性させる。次に、用いるプロ−ブに応じた温度
でアニ−リングを行なって二本鎖を形成させた後、二本
鎖認識体を添加し、それにより直接もしくは間接的に発
生する信号を反応セルに設けられた担体を通して測定す
る。この場合には、反応セル自体が核酸プロ−ブ固定化
担体を備えているので、上述の遺伝子センサを使用する
必要はない。
【0087】この反応セルは、1回の測定を終える度に
検出装置より取り外して廃棄する。したがって、サンプ
ル同志のクロスコンタミネ−ション、キャリ−オ−バ−
等のない信頼性の高い遺伝子の検出が可能となる。ま
た、反応セルを洗浄する必要がないので、より簡便に短
時間で測定を行なうことができる。
【0088】反応槽 2の温度を制御する温度コントロ−
ラ 3は、図3に示すように、恒温槽21、この恒温槽21の
温度を制御するコントロ−ラ22および試料溶液の温度を
測定する温度センサ23を具備している。図3において、
恒温槽21内に設置された反応槽 2は、上記の複数の小槽
13を組み合わせたものである。複数の小槽13のうちの1
つには、試料溶液と同じ組成を有する緩衝液が入れら
れ、その液中に温度センサ23が挿入される。この緩衝液
の温度が試料溶液の温度として測定される。温度センサ
23はコントロ−ラ22に接続しており、反応槽 2内の緩衝
液の温度を測定してその情報をコントロ−ラ22に送る。
温度センサ23からの温度情報を受け取ったコントロ−ラ
22は、その情報を演算処理し、試料溶液が常に所定の温
度を保つように恒温槽21の温度を制御する。この温度制
御は、± 0.5℃の範囲で行なわれることが好ましい。次
に、電気化学発光を利用する自動遺伝子検出装置の例を
説明する。
【0089】図4は、電気化学発光を利用する自動遺伝
子検出装置を模式的に示す図である。この装置は、図1
に示す検出装置における反応槽および検出槽の両者の機
能を備えた反応セル 32 と、洗浄槽 42 とを有してい
る。上述のように、電気化学発光を利用する場合には、
未反応の核酸プロ−ブおよび未反応の挿入剤を除去する
ことなく測定を行なうことができるので、独立した反応
槽および検出槽を具備する必要はない。反応セル 32 の
底面には核酸プロ−ブ固定化電極 33 が設けられてい
る。また、図1に示す検出装置の反応槽と同様に、温度
コントロ−ラ 34 に嵌合されている。さらに、移動レ−
ル 35 により水平方向に移動可能であり、この移動レ−
ル 35 上の所定の位置において遺伝子サンプル精製装置
31 に接続する。参照電極 36 は光ファイバ37の端部と
共に、移動装置 12 に固定されている。この移動装置 1
2 により、参照電極 36 および光ファイバ 37 の各槽上
方への水平移動および各槽内部への上下移動が行なわれ
る。参照電極 36 は、核酸プロ−ブ固定化電極 33 と共
にファンクションジェネレ−タ/ポテンショスタット 3
8 に接続されている。これらの電極間に印加する電圧の
制御は、計算機 39 により行なう。核酸プロ−ブ固定化
電極 33 の表面で生じた電気化学発光は、光ファイバ−
37 を介してフォトマル 40 に送られて増幅され、フォ
トンカウンタ 41で計測される。測定結果は計算機 39
に入力され、解析される。
【0090】この装置を用いた遺伝子の検出は、次のよ
うに行なう。まず、上述の図1に示す装置の場合と同様
に、検出しようとする核酸を含む被検細胞を遺伝子サン
プル精製装置 31 に入れて一本鎖に変性された遺伝子サ
ンプルを含有する試料溶液を調製し、これを反応セル 3
2 に移す。次に、温度コントロ−ラ 34 により試料溶液
を適温に制御して、核酸プロ−ブ固定化電極 33 の表面
に固定されている核酸プロ−ブと試料溶液中の遺伝子サ
ンプルとのハイブリダイゼ−ションを行なう。この際、
試料溶液中に、電気化学発光を生ずる挿入剤を添加す
る。挿入剤は、予め試料溶液中に添加しておくこともで
きる。次いで、移動レ−ル 35 を用いて反応セル 32 を
所定の位置まで移動させ、さらに、反応セル 32 の内部
に参照電極36 および光ファイバ− 37 を移動させて試
料溶液中に浸漬する。その後、参照電極 36 と反応セル
32 内に設けられた核酸プロ−ブ固定化電極 33 との間
に印加し、電気化学発光を行なう。電気化学発光により
生じた光は光ファイバ− 37を介してフォトマル 40 に
導き、増幅した後フォトンカウンタ 41 において計測す
る。計測の結果は計算機 39 に入力し、解析する。測定
後、参照電極 36 および光ファイバ− 37 を反応セル 3
2 から引き上げ、洗浄槽 42 に移動して洗浄する。
【0091】上記検出方法においては、安全性および簡
便性に優れ、かつ短時間で目的とする遺伝子の有無を高
感度に検出することができる遺伝子検出法を提供するこ
とを目的として、挿入剤が発する電気化学的もしくは光
学的な信号を検出することができる電極、光ファイバ−
等の担体に核酸プロ−ブを固定化して遺伝子センサとし
て用いている。この目的は、核酸プロ−ブ固定化電極も
しくは核酸プロ−ブ固定化光ファイバ−の代わりに、核
酸プロ−ブを粒子表面に固定化した核酸プロ−ブ固定化
粒子を用いることによっても達成される。すなわち、粒
子表面において核酸プロ−ブと遺伝子サンプルとのハイ
ブリダイゼ−ションにより二本鎖核酸を形成し、これに
電気化学的もしくは光化学的に活性な二本鎖認識体を結
合させて、検出器により二本鎖認識体を電気化学的もし
くは光学的に検出すればよい。
【0092】核酸プロ−ブを固定化する粒子は特に限定
されるものではなく、例えば、ラテックスビ−ズ、ポリ
スチレンビ−ズ、ガラスビ−ズ、磁性体粒子等を挙げる
ことができる。また、用いる粒子の直径は、 100A(オ
ングストロ−ム)ないし 1mm程度の範囲にあること
が好ましい。その他の条件は、上記核酸プロ−ブ固定化
電極もしくは光ファイバ−を用いる場合の条件をそのま
ま適用することができる。
【0093】同様に、フィルタ−表面に核酸プロ−ブを
固定化した核酸プロ−ブ固定化フィルタ−を用いて遺伝
子の検出を行なうこともできる。この際用いられるフィ
ルタ−は、少なくとも 100℃の温度で変性しない材
質のものであれば特に限定されるものではなく、例え
ば、ニトロセルロ−スフィルタ−やナイロンフィルタ−
のようなDNAのサザンブロッティングに通常用いられ
るフィルタ−を使用することができる。このフィルタ−
への核酸プロ−ブの固定化には、担体への核酸プロ−ブ
の固定化方法として上に説明した方法をそのまま適用す
ることができる。核酸プロ−ブ固定化フィルタ−を用い
た遺伝子の検出は、次のようにして行なうことができ
る。
【0094】まず、末梢静脈血、各種臓器細胞等の検体
試料から従来法に準じて核酸を抽出し、必要であれば精
製する。次に、得られた核酸試料を含有するハイブリダ
イゼ−ション反応液を調製し、この反応液を核酸プロ−
ブ固定化フィルタ−を含む複数のフィルタ−からなる多
層構造のフィルタ−装置に添加し、サンプルをフィルタ
−装置内部に浸透させる。このハイブリダイゼ−ション
反応液中には、予め二本鎖認識体、特に直接もしくは間
接的な光学活性を有する二本鎖認識体を含有させてお
く。反応液が十分に浸透した後、95℃で核酸を熱変性し
て一本鎖とし、さらに37〜72℃で加熱して一本鎖核酸と
フィルタ−表面上に固定化された核酸プロ−ブとのハイ
ブリダイゼ−ションを行なう。反応後、フィルタ−装置
から核酸プロ−ブ固定化フィルタ−を取り外し、洗浄す
る。核酸試料中に目的とする遺伝子が存在する場合に
は、核酸プロ−ブ固定化フィルタ−上に二本鎖が形成さ
れ、この二本鎖核酸に二本鎖認識体が結合している。こ
の二本鎖認識体に起因する信号の変化を測定することに
より目的遺伝子の定量を行なう。すなわち、二本鎖認識
体が光学活性を有している場合には、発光、蛍光、反射
光、蛍光偏光、消光、円偏光二色性等の光学的な信号の
変化を測定すればよい。
【0095】また、上記検出方法においては、担体上に
固定化された核酸プロ−ブに結合した目的遺伝子を二本
鎖認識体を用いて検出しているが、目的遺伝子自体に標
識剤をラベルすることにより二本鎖認識体を用いずに検
出することも可能である。これは、例えば、検出の前処
理として検体試料中の目的遺伝子の増幅を行ない、その
際、増幅に使用されるプライマ−もしくは原料ヌクレオ
チドを上述の電極活性物質、光学活性物質のような標識
剤でラベルすればよい。これにより、増幅された遺伝子
には標識剤が取り込まれ、目的遺伝子それ自体が標識剤
でラベルされることになる。ここで用いられる標識剤は
特に限定されるものではなく、生体高分子および挿入剤
にさらに結合し得る標識剤として上に列挙した物質を用
いることができる。このような、それ自体標識剤でラベ
ルされた遺伝子の検出は、二本鎖認識体を用いないこと
以外は、上述の検出方法と全く同様の方法で行なうこと
ができる。
【0096】さらに、担体に固定化した第1のプロ−ブ
の他に第2のプロ−ブを用いて、いわゆるサンドイッチ
ハイブリダイゼーションを行なうことにより、二本鎖認
識体を用いることなく目的遺伝子の検出を行なうことが
できる。すなわち、担体に固定化した第1のプロ−ブと
目的遺伝子との第1のハイブリダイゼ−ションを行な
い、次いで、標識剤でラベルした第2のプロ−ブを添加
して担体上に固定化された目的遺伝子との第2のハイブ
リダイゼ−ションを行ない、第2のプロ−ブにラベルさ
れた標識剤からの信号を検出すればよい。
【0097】ここで用いられる第2のプロ−ブは、検出
しようとする目的遺伝子に相補的な塩基配列を有する核
酸であればどのようなものでもよく、目的遺伝子が第1
のプロ−ブと相補的な塩基配列を複数有するのであれ
ば、第1のプロ−ブを第2のプロ−ブとして使用するこ
ともできる。
【0098】第2のプロ−ブにラベルする標識剤は特に
限定されるものではなく、生体高分子および挿入剤にさ
らに結合し得る標識剤として上に列挙した物質を用いる
ことができる。
【0099】この遺伝子検出方法は、担体に固定化され
た第1のプロ−ブと目的遺伝子とのハイブリダイゼ−シ
ョンまでは、上述の二本鎖認識体を用いる検出法と同様
に行なうことができる。第1のプロ−ブと目的遺伝子と
が結合した後、二本鎖認識体の代わりに第2のプロ−ブ
を添加し、第1のハイブリダイゼ−ションと同様の条件
の下で第2のハイブリダイゼ−ションを行なう。第2の
プロ−ブは、第1のハイブリダイゼ−ションを行なう前
に添加することもできる。第2のハイブリダイゼ−ショ
ンが終了した後、第2のプロ−ブに導入した標識剤に応
じた方法で遺伝子の検出を行なう。具体的には、二本鎖
核酸に結合した二本鎖認識体を検出する方法をそのまま
用いることができる。
【0100】ところで、遺伝病には、遺伝子において、
特定の塩基配列が欠如したり、複数の特定の塩基配列が
存在して初めて発現するような疾患が多数存在する。す
なわち、遺伝病に関しては、核酸プロ−ブを用いて直接
検出が可能な疾患は少数である。その結果、大多数の疾
患は制限酵素切断断片鎖長多型(RFLP)解析法を用
いて検出が行われている。このRFLP法はDNA断片
のパタ−ンを解析する手法であり、DNA断片を分離す
る操作が必要である。このDNA断片の分離には、現在
電気泳動のみが用いられているが、電気泳動を用いる方
法は操作が繁雑となり、しかも測定に長時間を要すると
いう欠点が存在する。このようなDNA断片のパタ−ン
解析を、この発明の遺伝子検出法を用いて、以下の手順
により、簡便かつ短時間で行なうことが可能である。
【0101】まず、生物試料からDNAを抽出した後、
適当な制限酵素で消化する。ここで用いられる制限酵素
は特に限定されるものではなく、RFLPにおいて通常
用いられる酵素を使用することができる。使用すること
ができる制限酵素の例としては、Acc I 、Ava I 、BamH
I、EcoR I、Hinc II 、Hind III、Pst I を挙げること
ができる。
【0102】得られたDNA断片は、カラムクロマトグ
ラフィ、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、キャ
ピラリ電気泳動、ゲル電気泳動等により、分子量の差に
基づいて分離する。このような分離手段の例としては、
FPLC(ファルマシア社製)を挙げることができる。
DNA断片の分離は、DNA断片を、例えば90〜98℃に
加熱して、一本鎖に変性した後に行なってもよい。
【0103】次に、分子量の差に基づいて分離したDN
A断片と、核酸プロ−ブ固定化担体とのハイブリダイゼ
−ションを行なう。このハイブリダイゼ−ション反応
は、一定流速のフロ−系で行なうか、もしくは一定量ず
つ分取した画分において行なう。
【0104】ハイブリダイゼ−ションをフロ−系で行な
う場合には、移動相の温度、pH等をハイブリダイゼ−
ション反応に適した条件に設定する。ここで、移動相の
組成は特に限定されるものではないが、塩濃度が 0〜 1
M程度、pHが中性領域、温度が37〜72℃の範囲である
ことが好ましい。二本鎖認識体はサンプル溶液中に添加
しておくことが好ましいが、ハイブリダイゼ−ションの
後、表面上に二本鎖が形成された担体を二本鎖認識体が
含まれる溶液中に挿入してもよい。二本鎖認識体は上述
のいずれのものをも使用することができ、特に限定され
るものではない。フロ−系においては、サンプル溶液の
導入から、二本鎖認識体に由来する直接的もしくは間接
的な信号が得られるまでの時間(保持時間)を測定す
る。この結果から、RFLP等によるパタ−ン解析を行
なうことができる。
【0105】また、画分を分取した後にハイブリダイゼ
−ションを行なう場合には、各画分において核酸プロ−
ブ固定化担体とのハイブリダイゼ−ションを行なった
後、画分中に二本鎖認識体を添加して二本鎖認識体に由
来する直接的もしくは間接的な信号の測定を行なう。信
号が得られた画分のフラクションナンバ−から、RFL
P等によるパタ−ン解析を行なうことができる。
【0106】上述のように、この発明は特定の塩基配列
を有する遺伝子の存在の有無を検出するための方法であ
るが、この方法を利用すると、さらに特定の塩基配列を
有する遺伝子を分離することが可能となる。すなわち、
上記検出方法においては、目的遺伝子は核酸プロ−ブと
のハイブリダイゼ−ションにより担体上に固定化されて
いるので、単に担体を検体から取り出すだけで検体から
目的遺伝子を分離することができる。したがって、担体
を取り出した後、適当な手段を用いて目的遺伝子を担体
から解離させることにより目的遺伝子のみを分離するこ
とが可能となる。
【0107】より詳細に説明すると、この遺伝子分離法
は、まず担体表面上に固定化される核酸プロ−ブと目的
とする遺伝子とのハイブリダイゼ−ションを行なって二
本鎖核酸を形成させ、この二本鎖核酸に、予めもしくは
ハイブリダイゼ−ションの後に添加された二本鎖認識体
を結合させた後、この二本鎖核酸に結合した二本鎖認識
体に由来する信号を検出して目的遺伝子の存在の有無を
確認する。次いで、目的遺伝子の存在が確認された担体
について、担体を検体から引き上げて目的遺伝子を検体
から分離し、さらに熱もしくはアルカリによって変性し
て担体から目的遺伝子を解離させる。この遺伝子分離方
法においては、検体中の目的遺伝子の検出までは上述の
遺伝子検出方法と全く同様である。
【0108】担体から目的遺伝子を解離させるために
は、バッファ−中において95℃以上に加熱するか、もし
くは水酸化ナトリウム等でアルカリ性にすればよい。こ
の操作により、目的とする遺伝子を一本鎖の形態で分離
したことになる。
【0109】このようにして得られた遺伝子について、
酵素を用いて相補鎖合成し、二本鎖を形成することがで
きる。また、酵素を用いて増幅することにより、収量を
増大させることもできる。特に、PCR法によれば、収
量増大と同時に二本鎖を形成することが可能である。さ
らに、二本鎖を形成した後リンカ−を介してベクタ−に
組み込むことにより、効率的にかつ簡便に、目的とする
遺伝子をクロ−ニングすることができる。
【0110】
【作用】本発明に係る遺伝子検出法では、二本鎖を形成
した核酸プローブと目的遺伝子との間に結合した二本鎖
認識体を、電気化学的あるいは光化学的な測定するだけ
で目的遺伝子の定量を行なうことができる。また、放射
性同位元素を遺伝子プローブのラベル剤として用いる従
来法と同程度の感度が得られる。しかも、放射性同位元
素を使用しないので、安全、簡便かつ短時間で、正確な
遺伝子の検出が可能になる。
【0111】また、本発明に係る遺伝子検出装置は、上
記遺伝子検出法に従って遺伝子の検出を行なう装置であ
る。本装置は、放射性同位元素を遺伝子プロ−ブのラベ
ル剤として用いる従来法と同程度の感度が得られ、ま
た、放射性同位元素を使用しないので安全かつ簡便であ
って、短時間で正確に遺伝子を検出することが可能であ
る。さらに、全操作を自動的に行なうことができるの
で、大量のサンプルを処理することができる。
【0112】
【実施例】以下に、本発明による遺伝子検出方法の実施
例を説明する。 実施例1:核酸プローブ固定化電極を用いた遺伝子の検
出 (1) Pt電極表面への核酸プローブの固定化
【0113】白金電極を高温処理し、電極表面を空気酸
化した。次に、臭化シアン(CNBr)によって酸化被
膜の表面を活性化した後、熱変性した一本鎖核酸プロー
ブ(v-myc )溶液に浸すことによって固定化を行なっ
た。 (2) 核酸プローブ固定化電極を用いた遺伝子の検出
【0114】検体試料にはpUC 119 のPst I Siteに v-m
yc断片を挿入したpVM 623 を使用した。pVM 623 をHind
IIIで消化することでリニアにし、98℃で熱変性させ
た。次に、核酸プローブ固定化電極を検体試料中に挿入
し、70℃で15分間インキュベートすることよってアニー
リング反応を行なった。その際、二本鎖DNAに特異的
で且つ電気化学的に活性な挿入剤であるアクリジンオレ
ンジを添加した。
【0115】アニーリング反応後に電極反応を行ない、
このとき流れる酸化還元電流を測定することによって検
体試料中に含まれるv-myc を定量した。その結果、v-my
cをpgオーダーで検出することができた。 実施例2:核酸プローブ固定化光ファイバーを用いた遺
伝子検出 (1) 光ファイバーへの核酸プローブの固定化
【0116】光ファイバーの先端部分をシラン剤(γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン:γ-APTES)で処理
した後、グルタルアルデヒドを架橋剤として一本鎖核酸
プロープ(v-myc) を固定化した。 (2) 核酸プローブ固定化光ファイバーを用いた遺伝子検
【0117】検体材料にはpUC 119 のPst I siteにv-my
c 断片を挿入したpVM 623 を使用した。pVM 623 をHind
IIIで消化することでリニアにし、98℃で熱変性させ
た。次に、核酸プローブ固定化光ファイバーを検体試料
中に挿入し、70℃で15分間インキュベートすることによ
り、アニーリング反応を行なった。その際、二本鎖のD
NAに特異的であるアクリジンを添加した。
【0118】アニーリング反応の後、アクリジンの発す
る蛍光を測定することにより、検体試料中に含まれるv-
myc を定量した。その結果、v-myc をpgオーダーで検出
することができた。 実施例3:核酸プロ−ブ固定化電極を用い、メタロイン
タ−カレ−タ−を挿入剤とする遺伝子検出
【0119】検体試料にはpUC 119 のPst I Siteに v-m
yc断片を挿入したpVM 623 を使用した。pVM 623 をHind
IIIで消化することでリニアにし、98℃で熱変性させ
た。次に、核酸プローブ固定化電極を検体試料中に挿入
し、70℃で15分間インキュベートすることよってアニー
リング反応を行なった。その際、二本鎖核酸に特異的で
且つ電極活性を有する挿入剤であるトリス(1,10- フェ
ナントロリン)コバルト(III) を添加した。
【0120】アニーリング反応後にサイクリックボルタ
ンメトリを行ない、30回掃引することにより酸化還元電
流値を積算した。その結果、v-myc をpgオーダーで検出
することができた。 実施例4:核酸プロ−ブ固定化光ファイバ電極を用い、
電気化学発光を利用した遺伝子検出
【0121】検体試料にはpUC 119 のPst I Siteに v-m
yc断片を挿入したpVM 623 を使用した。pVM 623 をHind
IIIで消化することでリニアにし、98℃で熱変性させ
た。次に、核酸プローブ(v-myc )固定化光ファイバ電
極を検体試料中に挿入し、70℃で15分間インキュベート
することよってアニーリング反応を行なった。その際、
二本鎖核酸に特異的で且つ電気化学発光を生ずるルシゲ
ンを添加した。
【0122】アニーリング反応後に電気化学的な反応を
行ない、核酸プロ−ブ固定化光ファイバ電極を通して発
光を検出した。その結果、v-myc をpgオーダーで検出す
ることができた。 実施例5:核酸プロ−ブ固定化電極を用い、抗DNA抗
体を挿入剤とする遺伝子検出 (1) Pt電極表面への核酸プローブの固定化
【0123】白金電極を高温処理し、電極表面を空気酸
化した。次に、臭化シアン(CNBr)によって酸化被
膜の表面を活性化した後、熱変性した一本鎖核酸プロー
ブ(v-myc )溶液に浸すことによって固定化を行なっ
た。 (2) 核酸プローブ固定化電極を用いた遺伝子の検出
【0124】検体試料にはpUC 119 のPst I Siteに v-m
yc断片を挿入したpVM 623 を使用した。pVM 623 をHind
IIIで消化することでリニアにし、98℃で熱変性させ
た。次に、核酸プローブ固定化電極を検体試料中に挿入
し、70℃で15分間インキュベートすることよってアニー
リング反応を行なった。洗浄後、二本鎖核酸に特異的に
結合するアルカリホスファタ−ゼ結合抗核酸抗体を反応
させ、さらに洗浄した後 NADP+溶液を添加した。アルカ
リホスファタ−ゼは NADP+を加水分解してNAD+を生じ
る。
【0125】この NAD+ を、アルコ−ルデヒドロゲナ−
ゼおよびジアホラ−ゼを用いる系でNADHの酸化によって
流れる電流を測定することにより測定し、検体試料中に
含まれる v-mycを測定した。その結果、v-myc をpgオー
ダーで検出することができた。 実施例6:核酸プロ−ブ固定化光ファイバを用い、抗D
NA抗体を挿入剤とする遺伝子検出 (1) 光ファイバーへの核酸プローブの固定化 光ファイバーの先端部分をシラン剤(γ-APTES)で処理
した後、グルタルアルデヒドを架橋剤として一本鎖核酸
プロープ(v-myc) を固定化した。 (2) 核酸プローブ固定化光ファイバーを用いた遺伝子検
【0126】検体材料にはpUC 119 のPst I siteにv-my
c 断片を挿入したpVM 623 を使用した。pVM 623 をHind
IIIで消化することでリニアにし、98℃で熱変性させ
た。次に、核酸プローブ固定化光ファイバーを検体試料
中に挿入し、70℃で15分間インキュベートすることによ
り、アニーリング反応を行なった。
【0127】アニーリング反応の後、洗浄し、二本鎖D
NAに特異的に結合するペルオキシダ−ゼ結合抗DNA
抗体を反応させた。その後、再び洗浄し、基質としてル
ミノ−ルおよびエンハンサ−としてルシフェリンを用
い、アルカリ水溶液中でH22 と反応させた。これに
より生ずる発光を測定することにより、検体試料中に含
まれるv-myc を定量した。その結果、v-myc をpgオーダ
ーで検出することができた。 参考例1:BPPG電極上の核酸プロ−ブの定量 (1) アミノ基の核酸プロ−ブへの導入
【0128】DNAラベリングキットである Chemiprob
e を用いてラベルした発癌遺伝子v-myc(1.5 Kb)の 3
´末端に、タ−ミナルデオキシヌクレオチジルトランス
フェラ−ゼを用いて(6-アミノヘキシル)dATPを導
入した。 (2) 電極表面への核酸プロ−ブの固定化
【0129】核酸を固定化するための電極としては、ベ
−サルプレインパイロリティックグラファイト(BPP
G)を用いた。この電極を、10%硝酸、 2.5%クロム酸
カリウム溶液中において 2.2Vで電気分解することによ
り表面を酸化した。次いで、表面酸化した電極を10%γ
- アミノプロピルトリエトキシシランのトルエン溶液中
において 120℃で30分間還流することによりシラン化し
た。これをメタノ−ルで洗浄した後、 1%グルタルアル
デヒド溶液中で30分間反応させ、再び洗浄した。次に、
この電極を、アミノ基を導入した v-myc 1 ug/mlの溶
液中において室温で30分間反応することにより核酸プロ
−ブ固定化電極を作成した。 (3) 電極表面に固定された核酸プロ−ブの定量
【0130】作成した核酸プロ−ブ固定化電極を用いて
1/15Mリン酸緩衝液(pH 7.0)中においてサイクリッ
クボルタンメトリを行なった。その結果、酸化処理時間
が10秒の電極にはアデニンに由来する 1μAの酸化電流
が、また酸化処理時間が60秒の電極には 2μAの酸化電
流がそれぞれ測定された。また、電極表面上の核酸固定
化量を Chemiprobe キットで測定したところ、そのぞれ
約0.1 pmol/cm2 、0.2 pmol/cm2 の核酸が固定化され
ていた。このことから、核酸に由来する酸化電流と固定
化量との間に相関がみられ、核酸の電極反応から固定化
された核酸プロ−ブの定量が可能であることが示され
た。 参考例2:光ファイバ上の核酸プロ−ブの定量 (1) アミノ基の核酸プロ−ブへの導入
【0131】DNAラベリングキットである Chemiprob
e を用いてラベルした発癌遺伝子v-myc(1.5 Kb)の 3
´末端に、タ−ミナルデオキシヌクレオチジルトランス
フェラ−ゼを用いて(6-アミノヘキシル)dATPを導
入した。 (2) 光ファイバへの核酸プロ−ブの固定化
【0132】光ファイバの表面を、10%γ- アミノプロ
ピルトリエトキシシランのトルエン溶液中において 120
℃で30分間還流することによりシラン化した。これをメ
タノ−ルで洗浄した後、 1%グルタルアルデヒド溶液中
で30分間反応させ、再び洗浄した。次に、この光ファイ
バを、アミノ基を導入した v-myc 1 ug/mlの溶液中に
おいて室温で30分間反応することにより核酸プロ−ブ固
定化光ファイバを作成した。 (3) 光ファイバ表面に固定された核酸プロ−ブの定量
【0133】作成した核酸プロ−ブ固定化電極を用い
て、 1.0μMのアクリジンオレンジを含有する 1/15M
リン酸緩衝液(pH 7.0)中において検出した結果、アク
リジンオレンジに由来する蛍光を検出することができ
た。また、光ファイバ表面上の核酸固定化量を Chemipr
obe キットで測定したところ、約0.1 pmol/cm2 の核酸
が固定化されていた。これにより、挿入剤の蛍光強度の
測定によって核酸固定化量を容易に決定できることが示
された。 実施例7:核酸プロ−ブ固定化電極と核酸サンプルとの
ハイブリダイゼ−ションの促進
【0134】検体試料にはpUC 119 のPst I Siteに v-m
yc断片を挿入したpVM 623 を使用した。pVM 623 をHind
IIIで消化することでリニアにし、98℃で熱変性させ
た。次に、核酸プローブ固定化BPPG電極を検体試料
中に挿入し、70℃で15分間インキュベートすることよっ
てアニーリング反応を行なった。その際、電極に 0.1V
(vs. SCE)の電位を印加した。
【0135】その後、二本鎖DNAに特異的で且つ電気
化学的に活性な挿入剤であるアクリジンオレンジを添加
して電極反応を行ない、このとき流れる酸化還元電流を
測定することによって検体試料中に含まれるv-myc を定
量した。その結果、v-mycをpgオーダーで検出すること
ができた。また、従来30分程度必要であったハイブリダ
イゼ−ションの時間が10分程度に短縮できた。 実施例8:核酸プロ−ブ固定化電極の再利用 (1) Pt電極表面への核酸プローブの固定化
【0136】白金電極を高温処理し、電極表面を空気酸
化した。次に、臭化シアン(CNBr)によって酸化被
膜の表面を活性化した後、熱変性した一本鎖核酸プロー
ブ(v-myc )溶液に浸すことによって固定化を行なっ
た。 (2) 核酸プローブ固定化電極を用いた遺伝子の検出
【0137】検体試料にはpUC 119 のPst I Siteに v-m
yc断片を挿入したpVM 623 を使用した。pVM 623 をHind
IIIで消化することでリニアにし、98℃で熱変性させ
た。次に、核酸プローブ固定化電極を検体試料中に挿入
し、70℃で15分間インキュベートすることよってアニー
リング反応を行なった。その際、二本鎖DNAに特異的
で且つ電気化学的に活性な挿入剤であるアクリジンオレ
ンジを添加した。
【0138】アニーリング反応後に電極反応を行ない、
このとき流れる酸化還元電流を測定することによって検
体試料中に含まれるv-myc を定量した。その結果、v-my
cをpgオーダーで検出することができた。 (3) 核酸プロ−ブ固定化電極の再生
【0139】測定後の核酸プロ−ブ固定化電極を98℃で
5分間加熱したところ、サンプルである pVM623 が核酸
プロ−ブ固定化電極表面から解離した。この再生電極
は、その後少なくとも5回、繰り返して遺伝子の検出に
利用できた。 実施例9:核酸プロ−ブ固定化光ファイバの再生 (1) 光ファイバーへの核酸プローブの固定化 光ファイバーの先端部分をシラン剤(γ-APTES)で処理
した後、グルタルアルデヒドを架橋剤として一本鎖核酸
プロープ(v-myc) を固定化した。 (2) 核酸プローブ固定化光ファイバーを用いた遺伝子検
【0140】検体試料にはpUC 119 のPst I siteにv-my
c 断片を挿入したpVM 623 を使用した。pVM 623 をHind
IIIで消化することでリニアにし、98℃で熱変性させ
た。次に、核酸プローブ固定化光ファイバーを検体試料
中に挿入し、70℃で15分間インキュベートすることによ
り、アニーリング反応を行なった。その際、二本鎖のD
NAに特異的であるアクリジンを添加した。
【0141】アニーリング反応の後、アクリジンの発す
る蛍光を測定することにより、検体試料中に含まれるv-
myc を定量した。その結果、v-myc をpgオーダーで検出
することができた。 (3) 核酸プロ−ブ固定化光ファイバの再生
【0142】測定後の核酸プロ−ブ固定化光ファイバを
98℃で 5分間加熱して熱変性させたところ、サンプルで
ある pVM623 が核酸プロ−ブ固定化電極表面から解離し
た。この再生光ファイバは、その後少なくとも5回、繰
り返して遺伝子の検出に利用できた。 実施例10:核酸プロ−ブ固定化電極を具備する遺伝子検
出装置を用いた遺伝子の検出
【0143】図1に示す自動遺伝子検出装置を用いて遺
伝子の検出を行なった。検体試料にはpUC 119 のPst I
Siteに v-myc断片を挿入したpVM 623 を使用した。pVM
623 をHind IIIで消化することでリニアにし、98℃で熱
変性させた。次に、核酸プローブ固定化電極を検体試料
中に挿入し、70℃で15分間インキュベートすることよっ
てアニーリング反応を行なった。その際、二本鎖DNA
に特異的で且つ電気化学的に活性な挿入剤であるアクリ
ジンオレンジを添加した。
【0144】アニーリング反応後に電極反応を行ない、
このとき流れる酸化還元電流を測定することによって検
体試料中に含まれるv-myc を定量した。その結果、v-my
cをpgオーダーで検出することができた。また、全ての
操作を1時間以内で自動的に行なうことができた。 実施例11:核酸プロ−ブ固定化光ファイバを具備する遺
伝子検出装置を用いた遺伝子の検出
【0145】図1に示す自動遺伝子検出装置において、
遺伝子センサ 5を光ファイバとし、電気信号検出制御装
置 6を蛍光検出器に変更して遺伝子の検出を行なった。
検体試料にはpUC 119 のPst I Siteに v-myc断片を挿入
したpVM 623 を使用した。pVM 623 をHind IIIで消化す
ることでリニアにし、98℃で熱変性させた。次に、核酸
プローブ固定化光ファイバを検体試料中に挿入し、70℃
で15分間インキュベートすることよってアニーリング反
応を行なった。その際、二本鎖DNAに特異的で且つ電
気化学的に活性な挿入剤であるアクリジンオレンジを添
加した。
【0146】アニーリング反応後に電極反応を行ない、
このとき流れる酸化還元電流を測定することによって検
体試料中に含まれるv-myc を定量した。その結果、v-my
cをpgオーダーで検出することができた。また、全ての
操作を1時間以内で自動的に行なうことができた。 参考例3:電気化学発光を利用する、核酸プロ−ブ固定
化電極を具備する遺伝子検出装置を用いた遺伝子の検出
【0147】図4に示す自動遺伝子検出装置を用いて遺
伝子の検出を行なった。検体試料には、ヒト末梢血から
抽出したDNAに、pUC 119 のPst I Siteに v-myc断片
を挿入したpVM 623 を混合したものを使用した。pVM 62
3 はHind IIIで消化することでリニアにした。核酸プロ
−ブ固定化BPPG電極を底面に有する反応セルを作成
し、この反応セルにサンプルを添加した後、98℃で 5分
間熱変性させた。次に、70℃で15分間インキュベートす
ることよってアニーリング反応を行なった。その際、二
本鎖DNAに特異的で且つ電気化学発光を生ずるルシゲ
ニンを添加した。
【0148】アニーリング反応後に電気化学的な反応を
行ない、生じた発光をフォトカウンタで検出した。その
結果、 v-mycを pg のオ−ダ−で検出できることが示さ
れた。また、全ての操作を1時間以内で自動的に行なう
ことができた。 参考例4:核酸プロ−ブ固定化ラテックスビ−ズを用い
た遺伝子の検出 (1) アミノ基の核酸プロ−ブへの導入 発癌遺伝子 v-mycの 3´末端に、タ−ミナルデオキシヌ
クレオチジルトランスフェラ−ゼを用いて(6-アミノヘ
キシル)dATPを導入した。 (2) ラテックスビ−ズへの核酸プロ−ブの固定化
【0149】粒径 1μmのラテックスビ−ズに、ジシク
ロヘキシルカルボジイミドを架橋剤として一本鎖核酸プ
ロ−ブを固定化した。この核酸プロ−ブ固定化ラテック
スビ−ズをサンプル( v-mycを含む)溶液中で98℃に加
熱して熱変性させた後、72℃で15分間ハイブリダイゼ−
ションを行なった。この溶液中にアクリジンオレンジ溶
液を添加して 1分間放置した後、72℃の洗浄液( 2×S
SC、 0.1%SDS)で洗浄し、リン酸緩衝液中で蛍光
強度の測定を行なった。その結果、 pg オ−ダ−の遺伝
子の検出が可能であった。 参考例5:核酸プロ−ブ固定化ラテックスビ−ズを用い
た遺伝子の検出 (1) アミノ基の核酸プロ−ブへの導入 発癌遺伝子 v-mycの 3´末端に、タ−ミナルデオキシヌ
クレオチジルトランスフェラ−ゼを用いて(6-アミノヘ
キシル)dATPを導入した。 (2) ラテックスビ−ズへの核酸プロ−ブの固定化
【0150】粒径 1μmのラテックスビ−ズに、ジシク
ロヘキシルカルボジイミドを架橋剤として一本鎖核酸プ
ロ−ブを固定化した。この核酸プロ−ブ固定化ラテック
スビ−ズをサンプル( v-mycを含む)溶液中で98℃に加
熱して熱変性させた後、72℃で15分間ハイブリダイゼ−
ションを行なった。この溶液中にアクリジンオレンジ溶
液を添加して(終濃度 1μM) 1分間放置した後、溶液
中の挿入剤の酸化換言電流を測定した。その結果、 pg
オ−ダ−の遺伝子の検出が可能であった。 実施例12:直接もしくは間接的に信号を検出することが
可能な物質を結合させた挿入剤を用いた遺伝子の検出 (1) 核酸プロ−ブ固定化電極の作製
【0151】まず、発癌遺伝子v-myc に対する合成オリ
ゴヌクレオチドプロ−ブ(20mer)の3'末端に、タ−ミ
ナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラ−ゼを用い
て(6-アミノヘキシル)dATPを導入した。
【0152】これとは別に、ベ−サルプレインパイロリ
ティックグラファイト(BPPG)を10%硝酸および
2.5%クロム酸カリウムを含有する溶液中において 2.2
Vで電気分解することによりBPPG電極表面を酸化し
た。この電極を、さらに10%γ- アミノプロピルトリエ
トキシシランのアニリン溶液中において 120℃で30分間
還流することによりシラン化した。次いで、メタノ−ル
で洗浄し、 1%グルタルアルデヒド溶液中で30分間反応
させた後洗浄した。
【0153】このBPPG電極を、アミノ基を導入し
た、v-myc に対する合成オリゴヌクレオチドプロ−ブ1
ug/mlの溶液中において、室温で30分間反応させること
により核酸プロ−ブ固定化電極を作製した。 (2) 核酸プロ−ブ固定化電極を用いた遺伝子の検出
【0154】検体試料には、pUC 119 の Pst Iサイトに
v-myc 断片を挿入した pVM623 を使用した。まず、この
pVM623 を Hind III で消化してリニアにし、98℃で熱
変性させた。次いで、核酸プロ−ブを固定化したBPP
G電極を検体試料中に挿入し、70℃でインキュベ−トし
てアニ−リング反応を行なった。その後、フェロセンを
結合したアクリジンオレンジを最終的に 1μMの濃度と
なるように添加した。電極を洗浄した後、直接電極反応
を行ない、この際に流れる酸化還元電流を測定して検体
試料中に含まれるv-myc を定量した。
【0155】検体試料中に目的とする遺伝子が存在しな
い場合にはフェロセンに由来する酸化還元電流は検出さ
れなかったが、試料中に pVM623 が含まれる場合には酸
化還元電流を検出することができ、最終的には v-mycを
pgオ−ダ−で検出することができた。また、B/F分
離を行なう必要がないため、30分以内に検出を終了する
ことができた。 実施例13:直接もしくは間接的に信号を検出することが
可能な物質を結合させた挿入剤を用いた遺伝子の検出
【0156】まず、実施例12と同様の方法で核酸プロ−
ブ固定化電極を作製した後、試料DNAの非特異的な吸
着を抑制するために、ヌクレオチド(dATP、dCT
P、dGTPおよびdTTP)の溶液に浸した。
【0157】検体試料には pUC 119の Pst Iサイトに v
-myc断片を挿入した pVM 623を用いた。まず、この pVM
623を Hind III で消化してリニアとし、98℃で熱変性
させた。次いで、核酸プロ−ブを固定化したBPPG電
極を検体試料中に挿入し、70℃でインキュベ−トしてア
ニ−リング反応を行なった。この際、電極に 0.1V(v
s.SCE)の電位を印加した。
【0158】反応後、二本鎖核酸に特異的に結合し、か
つ電極活性を有する挿入剤トリス(フェナントロリン)
コバルト錯体を添加した。トリス(フェナントロリン)
コバルト錯体が二本鎖核酸に結合した後、電極にマイナ
ス電荷を印加して非特異的に結合している物質を除去し
た。その後、挿入剤の酸化還元電流を測定して検体試料
中に含まれる v-mycを定量した。その結果、v-myc をp
gオ−ダ−で検出することができた。 実施例14:ルミノ−ル結合核酸プロ−ブ固定化光ファイ
バ−を用いた遺伝子の検出 (1) ルミノ−ル結合核酸プロ−ブ固定化光ファイバ−の
作製
【0159】発癌遺伝子v-myc に対する合成オリゴヌク
レオチドプロ−ブ(20mer )の3'末端に、タ−ミナルデ
オキシヌクレオチジルトランスフェラ−ゼを用いて(6-
アミノヘキシル)dATPを導入した。この核酸プロ−
ブをルミノ−ルで標識した後、物理吸着により光ファイ
バ−上に固定化した。 (2) 核酸プロ−ブ固定化光ファイバ−を用いた遺伝子の
検出
【0160】検体試料には pUC 119の Pst Iサイトに v
-myc断片を挿入した pVM 623を使用した。この pVM 623
を Hind III で消化してリニアにし、98℃で熱変性させ
た。次いで、ルミノ−ル結合核酸プロ−ブ固定化光ファ
イバ−を検体試料中に挿入し、55℃でインキュベ−トし
てアニ−リング反応を行なった。この際、二本鎖核酸に
特異的に結合するエチジウムブロマイドを添加した。こ
れにより、エチジウムブロマイドが光ファイバ−表面に
濃縮される。その後、ルミノ−ルをルシフェリンおよび
2 2 で発光させ、それによりエチジウムブロマイド
を励起させた。励起したエチジウムブロマイドから発生
する蛍光を測定することにより、検体試料中に含まれる
v-myc を定量した。その結果、v-myc をpgのオ−ダ−
で検出することができた。 実施例15:O-フェニレンジアミン結合核酸プロ−ブ固定
化光ファイバ−を用いた遺伝子の検出 (1) O-フェニレンジアミン結合核酸プロ−ブ固定化光フ
ァイバ−の作製
【0161】発癌遺伝子v-myc に対する合成オリゴヌク
レオチドプロ−ブ(20mer )の3'末端に、タ−ミナルデ
オキシヌクレオチジルトランスフェラ−ゼを用いて(6-
アミノヘキシル)dATPを導入した。この核酸プロ−
ブをO-フェニレンジアミンで標識した後、物理吸着によ
り光ファイバ−上に固定化した。 (2) 核酸プロ−ブ固定化光ファイバ−を用いた遺伝子の
検出
【0162】検体試料には pUC 119の Pst Iサイトに v
-myc断片を挿入した pVM 623を使用した。この pVM 623
を Hind III で消化してリニアにし、98℃で熱変性させ
た。次いで、O-フェニレンジアミン結合核酸プロ−ブ固
定化光ファイバ−を検体試料中に挿入し、55℃でインキ
ュベ−トしてアニ−リング反応を行なった。反応後、ア
ルカリホスファタ−ゼ結合抗二本鎖DNA抗体を添加し
た。これにより、検体試料中に目的の遺伝子が存在する
場合には抗体が光ファイバ−表面に濃縮され、酵素反応
が生じて 405nmにおける吸収が生じる。この 405nmにお
ける吸収を測定することにより検体試料中に含まれるv-
myc を定量した。その結果、v-myc をpgのオ−ダ−で
検出することができた。 参考例6:核酸プロ−ブに導入したアミノ基を介しての
電極表面への固定化 (1) アミノ基を導入した核酸プロ−ブの調製
【0163】発癌遺伝子v-myc 約 1.0 Kb の断片の増幅
に使用される2つのプライマ−(20mer )を、DNA合
成機(アプライドバイオシステム社製、PCR-MATE EP )
を用いて合成した。さらに、その一方のプライマ−の5'
末端に、アミノリンク2(アプライドバイオシステム社
製)を用いてアミノ基を導入した。
【0164】この2つの合成プライマ−を、それぞれ 1
00ug/mlの濃度で混合し、95℃で5分間処理した後37℃
で30分間処理することによりアニ−リングを行ない、核
酸プロ−ブを二本鎖とした。 (2) 核酸プロ−ブの電極への固定化
【0165】固定化用の電極としては、ベ−サルプレイ
ンパイロリティックグラファイト(BPPG)を用い
た。このBPPG電極を、10%硝酸および 2.5%クロム
酸カリウムを含有する溶液中において 2.2Vで10秒間電
気分解することにより電極表面を酸化した。表面酸化し
た電極を、10%γ- アミノプロピルトリエトキシシラン
のアニリン溶液中において 120℃で30分間還流すること
によりシラン化した。シラン化した電極は、メタノ−ル
で洗浄した後、 1%グルタルアルデヒド溶液中において
30分間反応させ、さらに洗浄した。
【0166】このBPPG電極を、(1) で調製した二本
鎖の核酸プロ−ブの 100ug/ml溶液中において室温で30
分間反応させて、電極表面に二本鎖核酸を固定化した。
その後、再び95℃で 5分間処理して熱変性させ、官能基
が導入されていないDNA鎖を除去して核酸プロ−ブ固
定化電極を作成した。 実施例16:脂質膜を介して核酸プロ−ブを固定化した電
極を用いた遺伝子の検出 (1) 核酸プロ−ブ固定化電極の作製
【0167】まず、ベ−サルプレインパイロリティック
グラファイト(BPPG)電極表面上にホスファチジル
エタノ−ルアミンを用いて脂質膜を調製した。これとは
別に、発癌遺伝子v-myc 1.5 Kbの3'末端に、タ−ミナル
デオキシヌクレオチジルトランスフェラ−ゼを用いて
(6-アミノヘキシル)dATPを導入した。
【0168】脂質膜で修飾したBPPG電極をグルタル
アルデヒドで処理した後、アミノ基を導入したv-myc の
1 ug/ml溶液中において室温で30分間反応させてること
により核酸プロ−ブ固定化電極を作製した。 (2) 核酸プロ−ブ固定化電極を用いた遺伝子の検出 検体試料には、 pUC 119の Pst Iサイトに発癌遺伝子v-
myc (1.5 Kb)を挿入したプラスミド pVM 623を用い
た。
【0169】この検体試料を95℃で熱変性し、次いで上
記(1) で作製した核酸プロ−ブ固定化電極を挿入して55
℃でハイブリダイゼ−ション反応を行なった。ハイブリ
ダイゼ−ション反応を開始する前から核酸プロ−ブ固定
化電極における膜電位を連続して測定したところ、ハイ
ブリダイゼ−ション反応の進行に従い膜電位に変化が見
られ、反応開始から約 2時間後に定常状態となった。こ
のように、膜を介して核酸プロ−ブを固定化した電極を
用いた場合には、ハイブリダイゼ−ション反応のモニタ
リングを行ないながら遺伝子の検出を行なうことが可能
となる。測定の結果、目的とする遺伝子をpgオ−ダ−
で検出することが可能であった。 実施例17:合成オリゴヌクレオチドでブロッキングした
核酸プロ−ブ固定化電極を用いた遺伝子の検出 (1) 核酸プロ−ブ固定化電極の作製
【0170】まず、発癌遺伝子v-myc に対する合成オリ
ゴヌクレオチドプロ−ブ(20mer)の3'末端に、タ−ミ
ナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラ−ゼを用い
て(6-アミノヘキシル)dATPを導入した。
【0171】これとは別に、BPPG電極を10%硝酸お
よび 2.5%クロム酸カリウムを含有する溶液中において
2.2Vで電気分解することにより表面を酸化した。次
に、表面酸化した電極を、10%γ- アミノプロピルトリ
エトキシシランのアニリン溶液中において 120℃で30分
間還流することによりシラン化した。シラン化した電極
は、メタノ−ルで洗浄した後、 1%グルタルアルデヒド
溶液中において30分間反応させ、さらに洗浄した。次
に、この電極を、アミノ基を導入したプロ−ブの 1ug/
ml溶液中において室温で30分間反応させることにより核
酸プロ−ブ固定化電極を作製した。この核酸プロ−ブ固
定化電極を、合成ヌクレオチド(20mer )溶液に浸し、
電極表面に合成ヌクレオチドを吸着させた。 (2) 核酸プロ−ブ固定化電極を用いた遺伝子の検出
【0172】検体試料には pUC 119の Pst Iサイトに v
-myc断片を挿入した pVM 623を使用した。まず、この p
VM 623を、Hind IIIで消化してリニアにし、次いで98℃
で熱変性させた。次に、上記(1) で作製した核酸プロ−
ブ固定化BPPG電極を、熱変性した検体試料中に挿入
し、70℃でインキュベ−トすることによりアニ−リング
反応を行なった。その後、二本鎖核酸に特異的に結合
し、かつ電極活性を有する挿入剤アクリジンオレンジを
添加して電極反応を行ない、この際に流れる酸化還元電
流を測定して検体試料中に含まれるv-myc を定量した。
その結果、v-myc をpgオ−ダ−で検出することができ
た。また、電極表面をブロッキングしていない電極と比
較してS/N比が向上していた。 実施例18:目的遺伝子の増幅とその検出 (1) 目的遺伝子の増幅
【0173】検体試料には pUC119 の Pst Iサイトに v
-myc断片を挿入した pVM 623(4.6 Kb)を用いた。この
pVM 623を HindIIIで消化することによりリニアとし、
その後、濃度を1 フェムトモル(10-15 モル)に調整し
た。この試料に対し、下記条件を1サイクルとするPC
Rを30回繰り返し、v-myc の 1 Kb 断片を増幅した。 変性 :94℃、 1分 プライマ−のアニ−リング:55℃、 1分 DNA鎖の伸長 :72℃、 1分 (2) 核酸プロ−ブ固定化電極を用いた遺伝子の検出
【0174】PCRにより増幅した試料を98℃で熱変性
し、核酸プロ−ブ固定化BPPG電極を検体試料中に挿
入した後、70℃で15分間インキュベ−トすることにより
アニ−リングを行なった。この際、検体試料中に、二本
鎖核酸に特異的であり、かつ電極活性を有する挿入剤で
あるアクリジンオレンジを添加した。この後、電極反応
を行ない、この際流れる酸化還元電流を測定することに
より、検体試料中に含まれる v-mycを定量した。その結
果、v-myc 遺伝子の存在を確認することができた。 参考例7:目的遺伝子の増幅とその検出 (1) 目的遺伝子の増幅
【0175】検体試料には pUC119 の Pst Iサイトに v
-myc断片を挿入した pVM 623(4.6 Kb)を用いた。この
pVM 623を HindIIIで消化することによりリニアとし、
その後、濃度を1 フェムトモル(10-15 モル)に調整し
た。この試料に対し、下記条件を1サイクルとするPC
Rを30回繰り返し、v-myc の 1 Kb 断片を増幅した。 変性 :94℃、 1分 プライマ−のアニ−リング:55℃、 1分 DNA鎖の伸長 :72℃、 1分 なお、プライマ−には、予めビオチンで標識したものを
用いた。 (2) 核酸プロ−ブ固定化光ファイバ−を用いた遺伝子の
検出
【0176】PCRにより得られた試料を98℃で熱変性
し、核酸プロ−ブ固定化光ファイバ−を検体試料中に挿
入した後、70℃で15分間インキュベ−トすることにより
アニ−リングを行なった。次いで、アビジン結合西洋わ
さびペルオキシダ−ゼを反応させた後洗浄し、発光基質
であるルミノ−ル、H2 2 およびエンハンサ−をさら
に添加して、その発光を光ファイバ−を介して検出し
た。その結果、v-myc遺伝子の存在を確認することがで
きた。 実施例19:核酸プロ−ブ固定化電極への核酸の非特異的
吸着を抑制した遺伝子検出
【0177】検体試料には pUC 119の Pst Iサイトに v
-myc断片を挿入した pVM 623を使用した。まず、この検
体試料中の pVM 623を HindIIIで消化してリニアにし、
98℃で熱変性させた。次いで、核酸プロ−ブ固定化BP
PG電極を検体試料に挿入し、70℃でインキュベ−トす
ることによりアニ−リングを行なった。アニ−リングの
後、電極に -1.5 V(vs.SCE)の電位を印加することに
より電極表面に非特異的に物理吸着したDNAを脱着し
た。
【0178】次に、二本鎖核酸に特異的であり、かつ電
極活性を有する挿入剤アクリジンオレンジを添加し、電
極反応を行なった。このとき流れる酸化還元電流を測定
し、検体試料中に含まれる v-mycを定量した。その結
果、v-myc をpgオ−ダ−で検出することができ、検出
の際のS/N比も従来の結果よりも向上していた。 実施例20:核酸プロ−ブ固定化電極への核酸の非特異的
吸着を抑制した遺伝子検出
【0179】検体試料には pUC 119の Pst Iサイトに v
-myc断片を挿入した pVM 623を使用した。まず、この検
体試料中の pVM 623を HindIIIで消化してリニアにし、
98℃で熱変性させた。次に、v-myc に対して50%のホモ
ロジ−を有する核酸プロ−ブ(20 mer)を固定化したB
PPG電極と、v-myc に対する核酸プロ−ブを固定化し
たBPPG電極とを検体試料中に挿入し、70℃でインキ
ュベ−トすることによりアニ−リングを行なった。
【0180】次に、二本鎖核酸に特異的であり、かつ電
極活性を有する挿入剤アクリジンオレンジ添加し、電極
反応を行なった。このとき流れる酸化還元電流を測定
し、検体試料中に含まれる v-mycを定量した。
【0181】この電極反応の後、電極に -1.0 V(vs.S
CE)の電位を印加し、ホモロジ−の低い試料核酸を解離
させた。次いで、上と同様にアクリジンオレンジを添加
して電極反応を行ない、その際流れる酸化還元電流を測
定した。その結果、挿入剤から検出される酸化還元電流
値は、ホモロジ−が50%であるプロ−ブを用いた場合に
はホモロジ−が 100%であるプロ−ブを用いた場合の約
50%程度であった。したがって、この方法により、変異
した遺伝子の検出が可能であることが示された。 実施例21:核酸プロ−ブ固定化電極を備えた、ディスポ
−ザブルな反応セルを用いた遺伝子の検出 (1) 核酸プロ−ブ固定化電極を備えた反応セルの作製
【0182】まず、発癌遺伝子 v-myc(1.5 Kb)の3'末
端に、タ−ミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェ
ラ−ゼを用いて、予め(6-アミノヘキシル)dATPを
導入した。
【0183】核酸プロ−ブ固定化用の電極としては白金
電極を用いた。まず、この白金電極を、 180℃で12時間
加熱することにより電極表面を酸化した。次に、この電
極を10%γ- アミノプロピルトリエトキシシランのアニ
リン溶液中において 120℃で30分間還流することにより
シラン化して洗浄し、 1%グルタルアルデヒド溶液中で
さらに30分間反応させて洗浄した。その後、この電極
を、アミノ基を導入した v-mycの1 ug/ml溶液中におい
て室温で30分間反応させることにより核酸プロ−ブ固定
化電極を作製した。さらに、この核酸プロ−ブ固定化電
極を底面に備えた反応セル( 5× 5×10mm)を作製し
た。 (2) 核酸プロ−ブ固定化電極を備えた反応セルを用いた
遺伝子の検出
【0184】検体試料には、pUC 119 の Pst Iサイトに
v-myc断片を挿入した pVM 623(4.6 Kb)を Hind III
で消化した断片を使用した。この断片を含む溶液を (1)
で作製した反応セルに入れ、95℃で 5分間加熱して熱変
性させた後、72℃で30分間アニ−リングを行なった。反
応終了後、トリス(1,10- フェナントロリン)オスミウ
ムを反応セルに添加し、電極に電位を印加することによ
り生じる電気化学発光を測定した。その結果、 v-mycの
検出がpgオ−ダ−で可能であった。 実施例22:核酸プロ−ブ固定化電極を備えた、ディスポ
−ザブルな反応セルを用いた遺伝子の検出 (1) 核酸プロ−ブ固定化電極を備えた反応セルの作製
【0185】まず、発癌遺伝子 v-myc(1.5 Kb)の3'末
端に、タ−ミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェ
ラ−ゼを用いて、予め(6-アミノヘキシル)dATPを
導入した。
【0186】核酸プロ−ブ固定化用の電極としてはベ−
サルプレインパイロリティックグラファイト(BPP
G)電極を用いた。まず、このBPPG電極を、10%硝
酸および 2.5%クロム酸カリウム溶液中で 2.2Vで電気
分解することにより電極表面を酸化した。次に、この電
極を10%γ- アミノプロピルトリエトキシシランのアニ
リン溶液中において 120℃で30分間還流することにより
シラン化してメタノ−ルで洗浄し、 1%グルタルアルデ
ヒド溶液中でさらに30分間反応させて洗浄した。その
後、この電極を、アミノ基を導入した v-mycの1 ug/ml
溶液中において室温で30分間反応させることにより核酸
プロ−ブ固定化電極を作製した。さらに、この核酸プロ
−ブ固定化電極を底面に備えた反応セル( 5× 5×10m
m)を作製した。 (2) 核酸プロ−ブ固定化電極を備えた反応セルを用いた
遺伝子の検出
【0187】検体試料には、pUC 119 の Pst Iサイトに
v-myc断片を挿入した pVM 623(4.6 Kb)を Hind III
で消化した断片を使用した。この断片を含む溶液を (1)
で作製した反応セルに入れ、95℃で 5分間加熱して熱変
性させた後、72℃で30分間アニ−リングを行なった。反
応終了後、トリス(1,10- フェナントロリン)コバルト
を反応セルに添加し、サイクリックボルタンメトリ−に
より酸化還元電流を測定した。その結果、 v-mycの検出
がpgオ−ダ−で可能であった。 参考例8:サンドイッチハイブリダイゼ−ションを利用
した遺伝子の検出 (1) 第1の核酸プロ−ブを固定化した電極の作成
【0188】まず、発癌遺伝子v-myc に対する合成オリ
ゴヌクレオチドプロ−ブ(20mer)を第1のプロ−ブと
し、その3'末端に、タ−ミナルデオキシヌクレオチジル
トランスフェラ−ゼを用いて(6-アミノヘキシル)dA
TPを導入した。
【0189】これとは別に、BPPG電極を10%硝酸お
よび 2.5%クロム酸カリウムを含有する溶液中において
2.2Vで電気分解することにより表面を酸化した。次
に、表面酸化した電極を、10%γ- アミノプロピルトリ
エトキシシランのアニリン溶液中において 120℃で30分
間還流することによりシラン化した。シラン化した電極
をメタノ−ルで洗浄した後、 1%グルタルアルデヒド溶
液中において30分間反応させ、さらに洗浄した。
【0190】次に、この電極を、アミノ基を導入した第
1のプロ−ブの 1ug/ml溶液中において室温で30分間反
応させることにより、第1核酸プロ−ブ固定化電極を作
製した。
【0191】この第1核酸プロ−ブ固定化電極を、ヌク
レオチド(dATP、dCTP、dGTPおよびdTT
P)溶液に浸し、電極表面にヌクレオチドを吸着させて
サンプルDNAの非特異的な吸着を抑制した。 (2) 第2の核酸プロ−ブを用いた遺伝検出
【0192】検体試料には pUC119 の Pst Iサイトに v
-myc断片を挿入した pVM623 の HindIII断片を用い、ま
た第2の核酸プロ−ブとしては pUC119 の Pst I断片を
用いた。第2プロ−ブは、ビオロゲンで標識した。
【0193】検体試料および第2プロ−ブを98℃で熱変
性した後、(1) で作製した第1プロ−ブを固定化したB
PPG電極を検体試料および第2プロ−ブを含有する溶
液中に挿入し、次いで70℃でインキュベ−トすることに
よりアニ−リングを行なった。この際、電極に 0.1V
(vs.SCE)の電位を印加した。アニ−リング終了後、電
極にマイナス電位を印加して、電極に非特異的に吸着し
ている物質を脱着した。その後、第2プロ−ブに標識し
たビオロゲンの酸化還元電流を測定し、検体試料中に含
まれる v-mycを定量した。その結果、v-myc をpgオ−
ダ−で検出することが可能であった。 実施例23:核酸プロ−ブ固定化電極を用いたRFLP解
析による間接遺伝子検出法 核酸プロ−ブ固定化電極を用いて、DNAフィンガ−プ
リント法による個人識別を以下の通りに行なった。ま
ず、ヒト末梢静脈血つから密度勾配遠心を用いて白血球
を分離し、定法に従いDNAを分離した。次いで、この
DNAを制限酵素 Hae IIIで消化した。
【0194】これとは別に、BPPG電極に Myoプロ−
ブを固定化して核酸プロ−ブ固定化電極を作製し、さら
にこの電極を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)の
カラム出口に配置した。このHPLCにサンプルを導入
することにより、電極表面に固定化されたプロ−ブとホ
モロジ−がある配列を有するDNAが電極表面に一時的
に保持されて二本鎖を形成し、さらにこの二本鎖に挿入
剤等の二本鎖認識体が結合することにより二本鎖認識体
に由来する電気化学的な信号を測定をすることができ
る。得られた信号は特定のパタ−ンを形成する。このパ
タ−ンを解析することによりサンプルのパタ−ニングを
行なうことができる。
【0195】上述の断片化したDNAを95℃で熱変性す
ることにより一本鎖にし、その後総乳剤であるアクリジ
ンオレンジと一緒に上記HPLCにかけ、DNAのパタ
−ニングを行なった。この際、カラムは75℃に保温し
た。
【0196】その結果、各々の被検者について、それぞ
れ異なったパタ−ンが示された。すなわち、この発明の
遺伝子検出法により、個人識別が可能であることが明確
に示された。 参考例9:核酸プロ−ブ固定化電極を用いた遺伝子の分
【0197】モデル実験系として、大腸菌 JM 109 から
抽出した染色体DNA溶液(10ug/ml)中に HindIIIで
リニアにした 1ug/mlの pVM 623(pUC 119 に v-mycを
組み込んだもの)を混在させたものを使用し、v-myc 中
の配列(5' TGCAGTTCCGGTGGCTGATC 3')をプロ−ブとし
て検出および分離を行なった。 (1) 核酸プロ−ブ固定化BPPG電極の作製
【0198】まず、BPPG電極を、 2.5%クロム酸カ
リウム・10%硝酸溶液中において2.2Vで10秒間電気分
解することにより、電極表面を酸化した。次に、この電
極を10%γ- アミノプロピルトリエトキシシランのトル
エン溶液中において 120℃で30分間還流することにより
シラン処理を行なった。この処理により、電極表面にア
ミノ基が導入されたことになる。その後、さらに、 1%
グルアルアルデヒドを含む 1/15Mリン酸緩衝液(pH
7.0)中に室温で 1時間放置することによりアルデヒド
基を導入した。前述の合成プライマ−を10mMリン酸緩
衝液中で10ug/mlとなるように調製し、アルデヒド処理
した電極を浸して室温で 1時間放置した。これにより電
極表面にプライマ−が固定化された。 (2) 目的遺伝子の検出
【0199】大腸菌 JM 109 から抽出した染色体DNA
溶液(10ug/ml)中に HindIIIでリニアにした 1ug/ml
の pVM 623を混在させた試料溶液に、上記(1) で作製し
た核酸プロ−ブ固定化BPPG電極を挿入し、55℃でハ
イブリダイズさせた。その後、インタ−カレ−タ−であ
るアクリジンオレンジを 1μMとなるように添加し、電
極応答を測定した。その結果、アクリジンオレンジに特
有のピ−クが得られ、電極表面において二本鎖が形成さ
れていることが示された。 (3) 目的遺伝子の分離
【0200】電極を試料溶液から引き上げ、バッファ−
中で95℃に加熱することにより二本鎖を形成していた目
的遺伝子を解離させた。次いで、v-myc 中の配列5' TGC
AGTTCCGGTGGCTGATC 3'および5' CGACTCGGAAGAAGAACAAG
3'をプライマ−としてPCRを行なった。pVM 623 にお
ける、上記2種のプライマ−と相補的な塩基配列の間の
長さは約 900bpである。PCRにより増幅された遺伝
子を電気泳動にかけたところ、 900bpのバンドが得ら
れ、目的とする pVM 623が分離されたことが確認され
た。
【0201】対照として、pUC 118 を目的遺伝子および
pUC 118中の配列をPCRプライマ−として用いて同様
の操作を行なったが、相当箇所にバンドは検出されなか
った。 参考例10:核酸プロ−ブ固定化フィルタ−を用いた遺伝
子の検出
【0202】核酸プロ−ブとしては発癌遺伝子 v-mycを
選択した。この v-mycにグルタルアルデヒドを介してア
ミノアクリジンを結合し、さらに紫外線照射によりPV
DFナイロンフィルタ−に固定化した。核酸プロ−ブの
固定化後、1 mg/mlのATP溶液で処理することにより
フィルタ−表面への非特異的な吸着を抑制した。
【0203】v-myc を含む試料溶液を98℃に加熱して試
料を熱変性させ、次いで、上記フィルタ−の表面に固定
化された核酸プロ−ブとのハイブリダイゼ−ションを72
℃で15分間行なった。反応終了後、72℃の洗浄液( 2×
SSC、 0.1%SDS)で洗浄し、フィルタ−表面にお
ける吸光度の変化を測定した。目的とする遺伝子が試料
中に存在する場合には、吸光度の低下が観測された。測
定の結果、数十 pg オ−ダ−の遺伝子の検出が可能であ
った。
【0204】また、同様の処理の後、フィルタ−表面に
おける蛍光強度の変化を測定した。その結果、目的とす
る遺伝子が試料中に存在する場合には、蛍光強度の上昇
が観測された。測定の結果、数十 pg オ−ダ−の遺伝子
の検出が可能であった。 参考例11:二本鎖認識体固定化担体を用いた核酸の抽出 この例においては、担体として粒径10 um のマグネタイ
ト粒子、二本鎖認識体としてアミノアクリジンを用い
た。
【0205】まず、マグネタイト粒子をPBSでよく洗
浄し、10% 3-アミノプロピルトリエトキシシランのト
ルエン溶液中において 120℃で 2時間還流した後、メタ
ノ−ルで洗浄した。次に、 1%グルタルアルデヒド溶液
と反応させ、その後アミノアクリジンを固定化した。
【0206】サンプルにはヒト白血球を用いた。プラス
チック容器内で白血球とアミノアクリジン固定化磁性粒
子とを混合し、ボルテックスミキサ−で激しく振動させ
ることにより細胞の破砕と担体への核酸の結合を同時に
行なった。その後、磁石を用いて外部から磁場をかける
ことによりマグネタイト粒子を分離し、 200mMのNaC
lを含む 10 mMトリス緩衝液(pH 7.0)で3回洗浄し
た。洗浄した粒子は、70%エタノ−ルに添加し、核酸の
溶出を行なった。
【0207】得られた核酸を 1%アガロ−スゲルを用い
て電気泳動した結果、20 Kb 以上の核酸断片が得られた
ことが明らかとなり、これらは制限酵素により切断可能
であった。また、全ての操作が 1時間以内に終了した。 実施例24:ステアリルアミンでブロッキングした核酸プ
ロ−ブ固定化電極を用いた遺伝子の検出 (1) 核酸プロ−ブ固定化電極の作製
【0208】まず、発癌遺伝子v-myc に対する合成オリ
ゴヌクレオチドプロ−ブ(20mer)の3'末端に、タ−ミ
ナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラ−ゼを用い
て(6-アミノヘキシル)dATPを導入した。
【0209】これとは別に、BPPG電極を10%硝酸お
よび 2.5%クロム酸カリウムを含有する溶液中において
2.2Vで電気分解することにより表面を酸化した。次
に、表面酸化した電極を、10%γ- アミノプロピルトリ
エトキシシランのアニリン溶液中において 120℃で30分
間還流することによりシラン化した。シラン化した電極
は、メタノ−ルで洗浄した後、 1%グルタルアルデヒド
溶液中において30分間反応させ、さらに洗浄した。次
に、この電極を、アミノ基を導入したプロ−ブの 1ug/
ml溶液中において室温で30分間反応させることにより核
酸プロ−ブ固定化電極を作製した。
【0210】この核酸プロ−ブ固定化電極は、電極表面
への試料DNAの非特異的な吸着を抑制するために、ス
テアリルアミン溶液に浸して表面にステアリルアミンを
吸着させた。 (2) 核酸プロ−ブ固定化電極を用いた遺伝子の検出
【0211】検体試料には pUC 119の Pst Iサイトに v
-myc断片を挿入した pVM 623を使用した。まず、この p
VM 623を、Hind IIIで消化してリニアにし、次いで98℃
で熱変性させた。次に、上記(1) で作製した核酸プロ−
ブ固定化BPPG電極を、熱変性した検体試料中に挿入
し、70℃でインキュベ−トすることによりアニ−リング
反応を行なった。その後、二本鎖核酸に特異的に結合
し、かつ電極活性を有する挿入剤アクリジンオレンジを
添加して電極反応を行ない、この際に流れる酸化還元電
流を測定して検体試料中に含まれるv-myc を定量した。
その結果、v-myc をpgオ−ダ−で検出することができ
た。また、電極表面をブロッキングしていない電極と比
較してS/N比が向上していた。
【0212】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば核
酸プローブを用いた遺伝子検出を簡便かつ短時間で行な
うことができる。従って、本発明は遺伝子診断法や遺伝
子工学の分野等、特定の遺伝子を検出する際の方法とし
て極めて有用である。
【0213】また、本発明による自動遺伝子検出装置を
用いることにより、上記方法による遺伝子検出を自動的
に行なうことができる。したがって、より簡便かつ短時
間に遺伝子の検出を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動遺伝子検出装置の一具体例を
模式的に示す図。
【図2】図1に示す自動遺伝子検出装置における反応槽
および遺伝子サンプル精製装置の他の態様を示す斜視
図。
【図3】図1に示す自動遺伝子検出装置における温度コ
ントロ−ラの一具体例を示す斜視図。
【図4】電気化学発光を利用する自動遺伝子検出装置の
具体例を模式的に示す図。
【符号の説明】
1、31…遺伝子サンプル精製装置、 2…反応槽、 3、34
…温度コントロ−ラ、5…遺伝子センサ、 6…電気信号
検出制御装置、 7、39…計算機、9…検出槽、11…解離
処理層、12、43…移動装置、32…反応セル、33…核酸プ
ロ−ブ固定化電極、36…参照電極、37…光ファイバ、38
…ファンクションジェネレ−タ/ポテンショスタット、
40…フォトマル、41…フォトンカウンタ、42…洗浄槽

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検出すべき目的遺伝子に対して相補的な
    塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブと、一本鎖に変
    性された遺伝子サンプルとを反応させた後、遺伝子とハ
    イブリダイズした前記核酸プローブを検出することによ
    って前記目的遺伝子の存在を確認する遺伝子検出法にお
    いて、 前記核酸プローブを電極表面に固定化して用いること
    と、 二本鎖核酸に特異的に結合し、かつ電気化学的に活性な
    二本鎖認識体を、前記核酸プローブと遺伝子サンプルと
    の反応系に添加することと、 前記電極を介した電気化学的な測定により、前記核酸プ
    ローブと目的遺伝子との二本鎖核酸に結合した二本鎖認
    識体を検出し、これにより目的遺伝子とハイブリダイズ
    した前記核酸プローブの存在を検出することを特徴とす
    る遺伝子検出法。
  2. 【請求項2】 電極表面に固定化された核酸プロ−ブ
    と、一本鎖に変性された遺伝子サンプルとのハイブリダ
    イゼ−ションの際に、電極に電位を印加する請求項1記
    載の遺伝子検出法。
  3. 【請求項3】 前記二本鎖認識体が挿入剤である請求項
    1記載の遺伝子検出法。
  4. 【請求項4】 前記挿入剤が、電気的に可逆な酸化還元
    反応を起こす金属を中心金属とする金属錯体であって、
    該金属の酸化還元電位が核酸の酸化還元電位未満である
    か、もしくは核酸の酸化還元電位に重なることのない金
    属錯体である請求項3記載の遺伝子検出方法。
  5. 【請求項5】 前記二本鎖認識体が、二本鎖核酸に特異
    的に結合する生体高分子である請求項1記載の遺伝子検
    出法。
  6. 【請求項6】 特定の塩基配列を有する遺伝子を検出す
    るための自動遺伝子検出装置であって、 電極の表面上に核酸プロ−ブを固定化した遺伝子検出セ
    ンサと、 遺伝子検出センサを移動させるための移動手段と、 一本鎖に変性された遺伝子サンプルを含有する試料溶液
    を貯留し、遺伝子サンプルと遺伝子センサの表面に固定
    化された核酸プロ−ブとのハイブリダイゼ−ションによ
    り遺伝子センサ上に二本鎖核酸を形成するための反応槽
    と、 試料溶液の温度を制御する温度制御手段と、 遺伝子サンプルとのハイブリダイゼ−ションの後、遺伝
    子センサを洗浄して未反応の遺伝子サンプルを除去する
    ための洗浄手段と、 二本鎖認識体を含有する溶液を貯留し、二本鎖認識体と
    遺伝子センサ表面上に形成された二本鎖核酸とを反応さ
    せることにより二本鎖認識体を二本鎖核酸に結合させ、
    結合した二本鎖認識体が生ずる電気化学的な信号を検出
    するための検出槽と、 を具備する自動遺伝子検出装置。
  7. 【請求項7】 遺伝子センサ表面上に形成された二本鎖
    核酸を、遺伝子センサ表面上に固定化された核酸プロ−
    ブと一本鎖遺伝子サンプルとに解離し、遺伝子サンプル
    を除去して遺伝子センサを再生するための解離手段をさ
    らに具備する請求項6記載の自動遺伝子検出装置。
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