JP4561451B2 - 多型検出方法および多型検出用キット - Google Patents
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Description
の変異や多型を検出する種々の方法が開発されている。
な塩基配列を有する捕捉オリゴヌクレオチドを担持する感知面を有するセンサーデバイス
を用いる方法が提案されている(特許文献1を参照)。
ide polymorphism(s);SNP(s))を検出する方法が数多く提案されている。一塩基多型
は、特定の疾患への罹りやすさや薬物の代謝に関する個人差の原因となりうるものであり
、感度および精度の高い検出方法が必要とされている。
た際に生じるミスマッチ(塩基配列が相補的でない部分に生じる不完全な結合)をモニタ
することによって検出する方法は、高い感度を得るのが困難であり、再現性の良い結果を
得るのは難しい。また、プローブ分子の合成はコストが高いという問題もある。
を簡便な方法によって精度良く検出することができる技術を提供することを目的とする。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る多型検出方法は、核酸における多型を検出する方法であって、一端に測定用基板に結合可能な基板結合部位を有するプライマーであって、前記核酸の前記多型を含む可能性を有する領域にアニーリング可能なプライマーを使用する方法であり、前記核酸と、前記プライマーとを用いてポリメラーゼ連鎖反応を行う第1工程と、前記ポリメラーゼ連鎖反応産物の基板結合部位と前記測定用基板とを結合させる第2工程と、前記測定用基板に結合しうる官能基を有する低分子化合物および/または極性液体を含む液体で、前記測定用基板表面を洗浄する第3工程と、前記測定用基板に結合した前記プライマーの伸長反応の有無を測定することによって、多型の有無を検出する第4工程と、を含む。
るプライマーを用いると、当該多型を有する核酸に対しては完全なアニーリングをし、P
CR法によりプライマーが伸長される。一方、多型を有しない核酸に対してはアニーリン
グが不完全となって、PCR法を行ってもプライマーが伸長されない。従って、多型を含
む可能性を有する領域にアニーリングするプライマーを用いてPCR法を行えば、伸長反
応の有無を検出することによって、多型の有無を知ることができる。また、予めプライマ
ーに所定の測定用基板に結合可能な基板結合部位を設けておくことによって、PCR後に
プライマーを当該基板表面に固定し各種測定によって、伸長の有無を検出することが可能
である。
定方法に使用可能な基板を意味し、その材料、構成は特に限定されない。例えば、表面プ
ラズモン共鳴法、水晶振動子法、電気化学検出法等、各種の測定方法に応じて、光透過性
を有するものや、電極基板、表面に金薄膜が形成された基板等が用いられる。
プライマーペアのうち基板結合部位を有しない方のプライマーも伸長される。したがって
、PCR産物には、検出の対象とならない基板結合部位を有しない一本鎖DNAも含まれ
ている。DNAのアミノ基やリン酸基は、電極表面を構成する金属と静電的な吸着を起こ
しやすく、このような非特異的なDNAの付着は、電気的測定等の感度または精度を下げ
る原因となる。しかしながら、本発明の構成によれば、第3工程における洗浄によって、
電極表面に親和性を有する低分子化合物が共有結合するか、あるいはDNAの水素結合を
切断するので、弱い静電作用によって測定基板表面に非特異的に吸着したDNAを除去す
ることができる。また、当該低分子化合物は既知の化合物であるため、電気化学検出法、
表面プラズモン共鳴法や水晶振動子法による測定に与える影響も予測または測定可能であ
り、測定結果を用いて多型の検出を精度よく行うことができる。
たはモノスルフィド基であることが好ましい。チオール基、ジスルフィド基またはモノス
ルフィド基を有するプライマーを用いれば、伸長された/またはされなかったプライマー
からなる自己組織化単分子膜(Self Assembled monolayer; SAM)を、金属からなる電
極表面に極めて短時間で形成することができる。
て、チオール基、ジスルフィド基またはモノスルフィド基を有することが好ましい。チオ
ール基、アミノ基は、金、銀、銅、白金等の金属からなる表面に共有結合し、弱い非特異
的結合により吸着されたDNA等の汚染物質を除去することが可能である。
SO、およびDMFからなる群のいずれか少なくとも1種が好ましい。これらの物質は、
DNAの水素結合を切断する効果を有するため、電極表面に非特異的に付着したDNAを
除去しやすくする。
、水晶振動子法、または電気化学検出法等とすることが好ましい。電気化学検出法では、
具体的には、測定基板表面に形成された膜のインピーダンス、電流、または電荷量等が測
定される。これらの方法によれば、プライマーの伸長の有無を高感度かつ簡易に検出する
ことが可能である。
上記の本発明の態様は、核酸における多型を検出するためのキットであって、一端に測定用基板に結合可能な基板結合部位を有するプライマーであって、前記核酸の前記多型を含む可能性を有する領域にアニーリング可能なプライマーと、ポリメラーゼ連鎖反応に必要な試薬と、測定用基板と、前記測定用基板に結合しうる官能基を有する低分子化合物および/または極性溶液と、を含むキットをも提供する。
感度に再現性良く行うことができる。
(第1の実施形態)
説明する。また、本実施形態では、プライマーの伸長反応の有無を電気化学検出法によっ
て測定し、測定用基板として、金電極基板を用いる方法を例に挙げて説明する。
[PCR工程]
NAと、上流プライマー及び下流プライマーからなる一対のプライマーと、Taqポリメ
ラーゼと、バッファーと、dNTPs(デオキシヌクレオチド三リン酸)を含む試料溶液
を調製する(詳細は下記参照)。この試料溶液に含まれる上流プライマー及び下流プライ
マーのいずれか1種類のプライマーの末端には基板結合部位としてチオール基が付加され
ている。チオール基が付されたプライマーは、公知の方法またはそれに準ずる方法によっ
て当業者であれば容易に作製することが可能である。
する領域が含まれており、下流プライマーの末端にチオール基が付加されているものとす
る。
<試料溶液の組成>
dNTPs (終濃度0.2mM)
上流プライマー (終濃度1.0μM)
下流プライマー(20塩基) (終濃度1.0μM)
10×バッファー (終濃度1×バッファー)
Taqポリメラーゼ (終濃度2unit)
ゲノムDNA (終濃度0.1〜0.2μg)
しない場合)のPCR反応を説明するための図である。PCR反応を生じさせるためには
、以下に示す3段階の温度変化をn(例えば30〜35)サイクル繰り返し実行する必要
がある。具体的には、まず、図1(A)および(B)に示すように、第1段階(熱変性)
の温度変化(例えば94〜96℃)によってSNPが存在する可能性のある部位10を有
するゲノムDNA100を熱変性し、一本鎖DNA110、120を得る。ここで、一本
鎖DNA110、120のうち、遺伝子情報を有するものをターゲットDNA110と呼
び、遺伝子情報を有しないものを相補鎖DNA120と呼ぶ。
60℃)によって上流プライマー130をターゲットDNA110に、末端にチオール基
150が付加された下流プライマー140は相補鎖DNA120に、それぞれアニーリン
グさせる。図示されたように、ゲノムDNA100は、SNPを有しないため、いずれの
プライマーも完全なアニーリングをする。
4℃)によって上流プライマー130、下流プライマー140は共に伸長される。このよ
うなサイクルがnサイクル繰り返されることにより、プライマーに挟まれたターゲットD
NA110および相補鎖DNA120の領域は、共に2n倍に増幅される。
合(即ち、部位10にSNPが存在する場合)のPCR反応を説明するための図である。
なお、本実施形態では、ゲノムDNAと下流プライマーが非相補的な場合を説明するが、
ゲノムDNAと上流プライマーが非相補的な場合も同様である。
てSNPが存在する可能性のある部位10を有するゲノムDNA100を熱変性し、ター
ゲットDNA110、相補鎖DNA120を得る。次に、図2(C)に示すように、第2
段階の温度変化によって上流プライマー120はターゲットDNA110に、下流プライ
マー140は相補鎖DNA120にそれぞれアニーリングさせる。しかしながら、下流プ
ライマーと相補鎖DNA120では、端部においてミスマッチ(具体的には、図2(C)
に示す下流プライマー140の塩基「G」と相補鎖DNA120の塩基「T」)が生じる
ため、アニーリングが不完全となる。
0は伸長されるものの、下流プライマー140は伸長されない。このようなサイクルがn
サイクル繰り返されることにより、ターゲットDNA110は2n倍に増幅される一方、
相補鎖DNA120は増幅されない。
チオール基を有する下流プライマーは伸長されず、SNPが存在しない場合は、下流プラ
イマーが伸長される。従って、チオール基を有するプライマーの鎖長を検出することがで
きれば、SNPの有無を知ることができる。
[結合工程]
は、図1に対応するSNPが存在しない場合、図4は図2に対応するSNPが存在する場
合を示すものとする。
)にSNPが存在する場合のPCRの反応後溶液Aの模式図を示す。溶液A中には、伸長
された上流プライマー130と下流プライマー140が略同数含まれている。
、電極面積3mm程度の金電極基板)を浸漬させると、下流プライマー140のチオール
基150が電極基板500表面に吸着結合される。一方、伸長された上流プライマーもそ
のリン酸基やアミノ基による静電作用の結果、電極基板500表面に非特異的に吸着する
。このままの状態で電気的測定を行うと、非特異的に吸着した上流プライマーが、予測不
可能な影響を与え、正確な測定結果を得られない。
[洗浄工程]
有する低分子化合物を含む溶液Bに浸漬させる。その結果、低分子化合物のチオール基が
電極基板500の表面に共有結合し、弱い静電結合で吸着していた上流プライマー130
は電極基板500表面から除去される。また、チオール基に代えて、ジスルフィド基やモ
ノスルフィド基を有する低分子化合物も用いることができる。吸着速度の大きさはチオー
ル基の方がジスルフィド基やモノスルフィド基よりも大きいことが知られている。したが
って、プライマーにチオール基を導入し、洗浄液に含まれる低分子化合物をジスルフィド
基またはモノスルフィド基をもつ化合物にすることで、プライマー分子膜を排除すること
なく、より確実に洗浄を行うことができる。
3−メルカプトプロパノール(分子量92.16)、6−メルカプトヘキサノール(分子
量134.24)等;一般式HS−CH2−CH2−(O−CH2−CH2)n−OHで表さ
れるPEGチオール等が挙げられる。
されるアミノエタンチオール(分子量77.15)等;カルボキシル基を有するチオール
化合物として一般式、HS−CnH2n−COOHで表される3−メルカプトプロピオン酸
(分子量106.14)等;ジスルフィド基を有する化合物としては、一般式、HOOC
−CnH2n−S−S−CmH2m−COOHで表される3,3'−ジチオジプロピオン酸(分
子量210.27);一般式、HO−CnH2n−S−S−CmH2m−OHで表される3,3
'−ジチオジエタノール(分子量154.25)等;モノスルフィド化合物として、一般
式、HOOC−CnH2n−S−CmH2m−COOHで表される3,3'−チオジプロピオン
酸(分子量178.21)、一般式、HO−CnH2n−S−CmH2m−OHで表される3,
3'−チオジプロパノール(分子量150.24)等が挙げられる。
物にもチオール基、ジスルフィド基またはモノスルフィド基が含まれるため、先に形成し
たプライマーの吸着膜を洗浄液の低分子化合物が除去してしまうことが心配される。しか
しながら、一般的に分子量の小さなチオール基などを含む化合物はより分子量が大きな化
合物よりもエネルギー的に不安定であることが知られている。したがって、先に形成され
たプライマーの吸着膜を第三の工程で用いた洗浄液に含まれる低分子化合物が除去してし
まうことは無い。
あり、このような物質として、アルコール、尿素、グアニジン、DMSO、DMFなどの
極性溶液が挙げられる。
[電気化学的測定]
定溶液に移し、電極基板500に、インピーダンス測定装置600を接続して測定を行う
。測定溶液の組成の一例を以下に示す。
<測定溶液の組成>
PBS(pH7.0) (50mM)
NaCl (1M)
MgCl2 (10mM)
る単分子膜が形成されることになるが、かかる低分子化合物は既知の化合物であるため、
電気的測定に与える影響も予測可能である。例えば、低分子化合物のみが電極基板表面を
覆っている場合のインピーダンスの測定値を、プライマーを固定した場合の測定結果から
差し引くなどの方法により伸長の有無を正確に判定できる。
た簡便な方法によって伸長反応が生じたか否か(本実施形態ではSNP部位に特定の塩基
配列が存在するか否か)を精度良く検出することができるため、SNPタイピングに基づ
いた薬の投与といったテーラーメイド医療に活用することができる。
液で洗浄する例を示したが、極性溶媒のみを含む溶液で洗浄してもよい。
が、抽出動物組織、菌体、培養細胞などから抽出したSNP部位を有していないDNAを
標的としても良い。これらの検体に適用することで、遺伝病の診断、細菌及びウイルスな
どによる食品の汚染検査、細菌及びウイルスなどの人体への感染検査に活用することがで
きる。
定(電気的測定)することで伸長反応が生じたか否か(SNP部位に特定の塩基配列が存
在するか否か)を検出する方法を示したが、電気化学検出法は、電流測定や電荷量測定に
よって伸長反応が生じたか否かを検出する方法も含む。また、伸長反応の有無の検出は、
電気化学検出法のほか、表面プラズモン共鳴法や水晶振動子法によっても行うことができ
る。表面プラズモン共鳴法を用いる場合は、測定用基板として、例えば表面に金薄膜が形
成されたガラス基板等を用いることができる。また、水晶振動子法を用いる場合は、両面
に電極が貼り付けられた水晶振動子を測定用基板とすることができる。
されているプライマーを例示したが、例えば東洋紡績(株)によって開発されたASP(A
llele Specific Primer)のように、一部に非相補的配列を含むプライマーについても適用
可能である。このASPは、プライマーの3'末端から2番目の塩基がSNP部位に対応
しており、さらに3'末端から3番目の塩基が標的となる塩基に対して必ず非相補的にな
るように設計されたプライマーである。かかるASPの末端に電極結合部位を付加してお
くことで、煩雑な処理作業等を行うことなく、伸長反応が生じたか等を検出することがで
きる。
(第2の実施形態)
ある。かかるキットには、少なくとも、検出しようとする多型を含む領域にアニーリング
し、その一旦に基板結合部位を有するプライマーと、PCR用試薬と、測定用基板と、洗
浄工程で用いられる基板結合部位を有する低分子化合物および/または極性溶液を含む。
たので、ここでは説明を省略する。
記キットは、測定に用いられる溶液を構成する試薬等を含んでいてもよい。
れていることが好ましく、必要に応じて取扱説明書等が添付される。
鎖DNA、130,140…プライマー、150…電極結合部位、200…低分子化合物
、500…電極基板、600…インピーダンス測定装置
Claims (2)
- 核酸における多型を検出する方法であって、
一端に測定用基板に結合可能な基板結合部位が付加されたプライマーであって、前記核酸の前記多型を含む可能性を有する領域にアニーリング可能な前記プライマーを使用する方法であり、
前記核酸と、前記プライマーとを用いてポリメラーゼ連鎖反応を行う第1工程と、
前記ポリメラーゼ連鎖反応の産物の前記基板結合部位と前記測定用基板とを結合させる第2工程と、
前記測定用基板に結合しうる官能基を含む低分子化合物および/または極性液体を含む液体で、前記測定用基板表面を洗浄する第3工程と、
表面プラズモン共鳴法、水晶振動子法、または電気化学検出法により前記測定用基板に結合した前記プライマーの伸長反応の有無を測定することによって、多型の有無を検出する第4工程と、を含み、
前記基板結合部位は、チオール基、ジスルフィド基またはモノスルフィド基であり、
前記官能基は、チオール基、ジスルフィド基またはモノスルフィド基であり、
前記極性液体は、アルコール、尿素、グアニジン、DMSO、およびDMFからなる群の少なくとも1種であることを特徴とする多型検出方法。 - 核酸における多型を検出するためのキットであって、
一端に測定用基板に結合可能な基板結合部位が付加されたプライマーであって、前記核酸の前記多型を含む可能性を有する領域にアニーリング可能なプライマーと、
ポリメラーゼ連鎖反応に必要な試薬と、
表面プラズモン共鳴法、水晶振動子法、または電気化学検出法による測定に使用可能な前記測定用基板と、
前記測定用基板に結合しうる官能基を含む低分子化合物および/または極性液体と、を含み、
前記基板結合部位は、チオール基、ジスルフィド基またはモノスルフィド基であり、
前記官能基は、チオール基、ジスルフィド基またはモノスルフィド基であり、
前記極性液体は、アルコール、尿素、グアニジン、DMSO、およびDMFからなる群の少なくとも1種であることを特徴とするキット。
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- 2005-04-15 JP JP2005117864A patent/JP4561451B2/ja not_active Expired - Fee Related
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