JPWO2005102594A1 - はんだ及びそれを使用した実装品 - Google Patents

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Abstract

Sn−Zn系合金はんだは、Zn:7乃至10質量%、Ag:0.075乃至1質量%、Al:0.07乃至0.5質量%を含有し、更にBi:0.01乃至6質量%及びCu:0.007乃至0.1質量%の1種又は2種を含有し、必要に応じて、Mg:0.007乃至0.1質量%を含有し、残部がSn及び不可避的不純物からなる組成を有する。このはんだは、従来のSn−37重量%Pb共晶系はんだと同等の作業性、使用条件、及び接続信頼性を備え、かつ人体に対して有害な鉛を含まない。

Description

本発明は、はんだ、及びそれを用いた実装品に関するものである。
従来、回路基板上に電子部品を表面実装する際、Sn−37質量%Pb共晶はんだを金属粒子としてフラックスと混練したクリームはんだを使用していた。Sn−37質量%Pb共晶はんだは共晶温度が183℃である。通常は、基板寸法が大型である場合と、熱容量の大きな部品が基板に搭載されている場合に、基板上最低温度をSn−37質量%Pb共晶はんだの共晶温度以上とするため、リフロー炉内での最高温度が220℃から240℃となるように、温度プロファイルが組まれていた。
特許第3027441号のような従来のSn−Ag共晶をベースとしたはんだ合金材料では、溶融温度が220℃以上であり通常のSn−37質量%Pb共晶はんだの融点183℃よりも約40℃高いが、Sn−37質量%Pb共晶はんだの代替材料として、プリント基板と電子部品との接合に利用されている。
特許第1664488号(特開昭59−189096号)では、Sn−Zn系はんだに対して、Biを添加することにより、強度の上昇を図っている。特開平9−94687号では、Sn−Zn系はんだに対して、Ag:0.1〜3.5質量%を加えることにより、接続強度の向上を図っている。また、特開2001−347394号では、Sn−Zn系はんだにAl,In,Ni,Cu,Ag等を添加することにより、強度(硬度)の上昇及び濡れ性の向上と、融点降下とを図っている。特開2002−195433号では、Sn−Zn系はんだにAg及びBiを添加することにより、強度(硬度)上昇及び濡れ性の向上と、融点降下とを図っている。更に、特許第3357045号でも、Sn−Zn系はんだにAlを添加することにより、濡れ性の向上を図っている。
特許第3027441号公報 特許第1664488号公報 特開平9−94687号公報 特開2001−347394号公報 特開2002−195433号公報 特許第3357045号公報
しかしながら、上述の従来技術には、以下に示す問題点がある。
第1の問題点は、従来のSn−37質量%Pb共晶はんだに含まれる鉛が人体に対して有害であるということである。
その理由は、Sn−37質量%Pb共晶はんだを利用して生産された製品の産業廃棄物が酸性雨などにより、地中に鉛が溶出し、地下水を通して人体に取り込まれることが問題になるからである。
第2の問題点は、特許第3027441号にあるような従来のSn−Ag共晶をベースとしたはんだ合金材料では、溶融温度が220℃以上であり、Sn−37質量%Pb共晶はんだの溶融温度183℃に対して約40℃高いということである。
その理由は、従来の一般的なSn−37質量%Pb共晶はんだ用リフロー炉を使用して電子部品の回路基板への表面実装を行う場合、実装面全体での炉内最小温度をSn−Ag共晶系の溶融温度220℃以上とするならば、基板表面積が大きい場合、又は熱容量の大きな部品が搭載されている場合、炉内最大温度が250℃を超えてしまう。この温度は現状のCPU等の多数の電子部品の耐熱保証温度を超えてしまい、実装後製品の信頼性が無いものとなる。
この問題を補うためには、新規に従来のリフロー炉よりも炉内最大温度と最小温度差の小さな均一加熱を可能とするリフロー炉を購入せねばならず、設備コストがかかってしまう。また、部品耐熱性を向上させる必要があるが、Siによる半導体デバイスなどは半導体特性を損なう虞があり、部品耐熱性向上にも限界がある。
第3の問題点は、特許第1664488号にあるようなSn−Zn−Bi系の無鉛半田を用いた場合、実装後の電子部品を−40℃と125℃のそれぞれの温度へ交互に10分から30分程度放置する熱サイクル試験及び高温高湿度雰囲気にて、初期と同じ接続強度を維持することが難しいということである。
その理由は、回路基板の銅電極上にSn−Zn−Bi系はんだを用いて電子部品と溶融接続した場合、−40℃と125℃の温度へ交互に10分から30分程度放置する熱サイクル試験にて、3乃至20質量%のビスマスを加えた場合に、強度劣化を示す。更には、Sn−Zn系はんだに対してBiのみを添加した場合、高温高湿度雰囲気にて亜鉛が酸化された場合、脆いBiと共に、はんだ材自体が非常にもろくなり、はんだ接続部分の強度が劣化する。
第4の問題点は、特開平9−94687号、特開2001−347394号等にあるようにSn−Zn系はんだにAl,In,Ni,Cu,Ag等を特開平9−94687号、特開2001−347394号に記載の組成で添加することでは、初期的に充分な強度が得られても、85℃、85%の恒温恒湿度試験などで強度劣化があり、信頼性を得るに不十分な合金組成であり、また、溶融温度が高く、作業面で不利であるということである。また、特許第3357045号も同様に、Sn−Zn系はんだにAl又はBiを添加するだけでは、85℃、85%の高温高湿度試験で接続信頼性を得ることができないことである。
その理由は、特開平9−94687号記載の合金組成にあるように、Sn−Zn系はんだに対して銀を加えただけでは、はんだ母材が充分な強度を得ることはできず、特開2001−347394号、第3357045号にあるようにSn−Zn系はんだにアルミニウムやBiを加えただけでも、85℃、85%の高温高湿度試験などで強度劣化が起き、さらに特開2001−347394号のように、Cu:0.1乃至1質量%を加えた場合はSn−Cuはんだの共晶温度へ融点が近づき、Ag:1乃至5質量%を加えた場合には、Sn−Agはんだの共晶温度近辺へ融点が上昇し、従来のSn−Pb共晶はんだでの実装に使用してきた電子部品の耐熱保障温度を超えてしまう。更に、Sn−Zn系はんだ、即ちSn−Zn共晶組織を母相としないはんだとなり、溶融温度範囲が広がるため、組織の粗大化と共に、濃度偏析が起こり易く、高温高湿度の環境下にて腐食され易い組織となる。
第5の問題点は、特願2002−195433号に記載されているように、Sn−Zn−Bi系はんだに特願2002−195433号に記載の組成でAgを加えるだけでは、85℃、85%の恒温恒湿度試験での信頼性を得るためには不十分であり、更にAgの添加量は、信頼性を得るための添加量として適切ではないということである。
その理由は、0.075質量%以下のAgを加えようとする場合には、合金組織が粗大化しやすく、高温保持にて強度劣化を招き、更には、高湿度雰囲気中にて強度劣化を招き易いからである。また、Sn−Zn−Bi系はんだにAgを添加するだけでは、はんだ内部に形成されるZnリッチ相の酸化による強度劣化を防ぐに不十分であるからである。
第6の問題点は、特開平9−94687号にあるように、Sn−Zn系はんだに対して、Ag0.1〜3.5質量%を加える場合、1質量%以上の銀を添加する場合、融点の急激な上昇を招くということである。
その理由は、Sn−Agの共晶温度が約220℃以上であり、Agによる相が析出するためである。そのため通常のSn−37質量%Pbの温度プロファイルでの実装が不可能となり、Sn−37質量%Pbと比較して約40℃融点が高いことにより、電子部品の耐熱保障温度を超えて、実装製品の信頼性を損ねるためである。
本発明の目的は、従来のSn−37質量%Pb共晶系はんだと同等の作業性、使用条件、及び接続信頼性を備え、かつ人体に対して有害な鉛を含まないはんだを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、本発明のはんだを使用することにより、接続信頼性が高い電子部品の実装品を提供することを目的とする。
本願第1発明に係るはんだは、Zn:7乃至10質量%、Ag:0.075乃至1質量%、Al:0.07乃至0.5質量%を含有し、更にBi:0.01乃至6質量%及びCu:0.007乃至0.1質量%の1種又は2種を含有し、残部がSn及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする。
本願第2発明に係るはんだは、Zn:7乃至10質量%、Ag:0.075乃至1質量%、Al:0.07乃至0.5質量%、Cu:0.007乃至0.1質量%、Mg:0.007乃至0.1質量%を含有し、残部がSn及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする。
本願第3発明に係るはんだは、Zn:7乃至10質量%、Ag:0.075乃至1質量%、Al:0.07乃至0.5質量%、Bi:0.01乃至6質量%、Mg:0.007乃至0.1質量%を含有し、残部がSn及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする。
本願第4発明に係るはんだは、Zn:7乃至10質量%、Ag:0.075乃至1質量%、Al:0.07乃至0.5質量%、Bi:0.01乃至6質量%、Cu:0.007乃至0.1質量%、Mg:0.007乃至0.1質量%を含有し、残部がSn及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする。
また、本発明に係る実装品は、電子部品と、前記電子部品が前述のいずれかの組成を有するはんだによりはんだ付けされた回路基板とを有することを特徴とする。
上記したように、本発明によるはんだ合金材料は、低融点と強度特性の優れている錫を用い、人体に対して有害である鉛を使用しない。
即ち、Sn−37質量%Pb共晶はんだの共晶温度の183℃に最も近いはんだ共晶合金組成で、例えば、共晶温度199℃であるSn−8.8質量%Znを母相とした無鉛半田材料を使用しているため、地中に鉛が溶出し、地下水を通して人体に取り込まれる可能性が無い。より具体的には、本発明の無鉛半田のペーストを使用して実装生産された製品が廃棄されたとしても、Sn−37質量%Pb共晶の場合のように酸性雨により地中へ溶出した鉛ほどの有害性が無い。
本発明による無鉛はんだでは、例えば、Sn−8.8質量%Zn共晶組織を母相とし、0.01質量%以上6質量%以下のBi及び/又は0.007質量%以上0.1質量%以下のCuと、必要に応じて0.007質量%以上0.1質量%以下のMgを添加することで、クリームはんだ内の金属成分全体の液相線温度を下げるため、Sn−37質量%Pb共晶との融点差が10℃乃至20℃程度となり、リフロー実装時に新規に実装面全面での均一加熱可能なリフロー炉を導入する必要なく、従来のSn−37質量%Pb共晶はんだを使用する場合と同じリフロー炉を使用できるので、新規設備導入のための費用がかからない。
また、従来のSn−37質量%Pb共晶はんだを使用していた場合と同等の電子部品それぞれの耐熱保証温度域で実装することができるため、機能面で信頼性のある実装製品を作製することが可能となる。
本発明による無鉛クリームはんだ内部の金属成分母相の一例であるSn−8.8質量%Zn共晶は共晶温度199℃と二元系合金の共晶温度の中では、上記したように、Sn−37質量%Pb共晶はんだの共晶温度の183℃に最も近い。従って他の共晶合金系をベースとしたはんだに比べて、電子部品の実装に用いる場合にSn−37質量%Pb共晶はんだの使用温度条件に最も近い条件で使用することができる。Sn−Ag共晶系をベースとしたはんだ合金材料では、溶融温度が220℃以上であり、Sn−37質量%Pb共晶はんだの溶融温度183℃に対して約40℃高いため、従来の一般的なSn−37質量%Pb共晶はんだ用リフロー炉を使用して電子部品の回路基板への表面実装を行う場合、実装面全体での炉内最小温度をSn−Ag共晶系の溶融温度220℃以上とするならば、A4サイズより基板表面積が大きい場合、また、熱容量の違う電子部品が混在する場合、炉内最大温度が250℃を超えてしまう事例が多々あった。
この温度は現状までのCPUなどの多数の電子部品の耐熱保証温度域を超えてしまい、実装体製品の信頼性が無いものとなる。本発明における一具体例によるSn−8.8質量%Zn共晶をベースとした無鉛クリームはんだは、Sn−37質量%Pb共晶クリームはんだを使用した実装で用いてきた従来のリフロー炉を使用可能で、炉内での最大温度を搭載部品耐熱温度以下に抑えることが可能で、製品機能面での信頼性を損なうことがない。
更に、本発明においては、Sn−Znの共晶組織を利用して、融点をSn−37質量%Pb共晶はんだに近づけるため、複数組成の合金のバルクを作成し、DSC(示差走査熱量計)により融点を測定した結果から、Sn−Znの共晶組織を母材として、Al:0.07乃至0.5質量%を含み、これにBi:0.01質量%以上6質量%以下及びCu:0.007質量%乃至0.1質量%の少なくとも1種類以上の元素を含み、Cu又はBiを含む場合には好ましくはMg:0.007乃至0.1質量%を含み、残部をSn及び不可避的不純物としたはんだ合金材料を開発した。そして、本発明においては、更に、上述の組成のはんだの特性を改良するために、Agを添加させたはんだ合金を開発し、このはんだ合金について、以下に示すような効果が得られることを確認した。
即ち、本発明の組成のはんだ合金を使用することにより、液相線の温度をSn−37質量%Pb合金の共晶温度に近づけることができる。そのため、新規に実装面全面での均一加熱可能なリフロー炉を導入する必要なく、従来のSn−37質量%Pb共晶はんだを使用した場合と同じリフロー炉を使用できる。このため、新規設備導入のための費用がかからない。また、電子部品の耐熱保証温度域で実装することができるため、機能面で信頼性のある実装が可能となる。
図1は、Agの含有量とビッカース硬度との関係を示すグラフ図である。 図2は、Agの含有量と液相線温度との関係を示すグラフ図である。 図3は、Zn−5質量%Alの共晶組織のSEM写真を示す。 図4は、本発明におけるAlの効果を示すビッカース硬度測定結果を示すグラフ図である。 図5は、Zn−5質量%Al−1質量%Mgの共晶組織におけるSEM写真を示す。 図6は、Mgの含有量とビッカース硬度との関係を示すグラフ図である。 図7は、Mgの含有量とチップ抵抗の剪断強度との関係を示すグラフ図である。 図8(a)及び図8(b)は、チップ抵抗の剪断強度測定方法の一例を示す模式図である。 図9は、Zn−5質量%Al―1質量%Cuの組成を有するはんだのSEM観察写真を示す。 図10は、Cu含有量とビッカース硬度との関係を示すグラフ図である。 図11は、Cu含有量と液相線温度との関係を示すグラフ図である。 図12は、Zn−5質量%Al―1質量%Mg−1質量%Cuの組成を有するはんだのSEM観察写真を示す。 図13は、Cu含有量とビッカース硬度との関係を示すグラフ図である。 図14は、Biの含有量と剪断強度との関係を示すグラフ図である。 図15は、QFPリード線の引張強度を示す。
符号の説明
81 せん断強度測定用治具
82 はんだ
83 チップ抵抗
84 回路基板電極
85 回路基板
以下、本発明に係るはんだの成分添加理由及び組成限定理由について添付の図面を参照して説明する。本発明に係るはんだは、基本的には、Snを母材とするSn(錫)−Zn(亜鉛)系合金であり、更に、Ag(銀)及びAl(アルミニウム)を含有し、更にBi(ビスマス)及びCu(銅)の少なくとも1つを含有する。更に、Mg(マグネシウム)を含有することができる。
以下、各成分の添加理由及びその組成限定理由について説明する。
Zn:7乃至10質量%
本発明に係るはんだが含まれるSn−Zn系はんだ合金は、融点がSn−Zn共晶に最も近い共晶合金系という利点を持つが、85℃、85%の高温高湿度環境下では、Znが酸化された場合、その酸化亜鉛を基点としてクラックが発生し、強度低下を招くという問題点がある。本発明は、このSn−Zn共晶はんだにおけるSn−Zn共晶内部のSnリッチ相及びZnリッチ相が酸化されることによって強度劣化が生じるという従来の問題点を改善するために、Sn−Zn系はんだ合金にAgを添加することにより、Sn−Zn共晶内部のSnリッチ相及びZnリッチ相をAgによって固溶強化する。これにより、強度劣化の問題点を解消することができる。
つまり、本発明によるはんだ材料は、合金組織の母相はSn−7乃至10質量%Zn共晶組織となる。この母相となる共晶組織は、上述の如く、二元系合金の共晶温度の中では、Sn−37質量%Pb共晶合金の共晶温度の183℃に最も近いため、他の共晶合金系をベースとしたはんだに比べて、電子部品の実装に使用した場合に、Sn−37質量%Pb共晶合金からなるはんだの使用温度条件に最も近い条件で使用することができる。
即ち、本発明による無鉛はんだ材料は、Sn−Zn共晶組織を母相とする二元系共晶合金であるが、一般的に二元系共晶合金は、共晶組成ではない組成の合金と比較して、緻密な組織により強度が高く、凝固収縮が少なく、溶融時の流動性が良好で、元素偏析が少ない。このため、本発明の亜鉛含有量は、JIS Z 2241に記載の引張試験、JIS Z 2271、JIS Z 2272に記載のクリープ試験、JIS Z 2244に記載のビッカース硬さ試験等から、共晶組成の場合と同等の強度が得られる範囲として、Zn含有量を7乃至10質量%とした。
また、Sn−Zn共晶組織は、Znを含むことにより、85℃、85%等の高温高湿度雰囲気にて、はんだ内部に脆い酸化亜鉛を形成するため、強度が劣化し易い。本発明によるはんだはSn−Zn共晶組織を母相とし、従来のSn−Zn共晶を使用したはんだにとって課題であった高温高湿雰囲気中において、はんだ中に存在し、酸化されて脆くなり易いZnリッチ相を改質することにより、Znリッチ相が酸化されてもはんだ強度が低下しにくい材料とするように、Al:0.07乃至0.5質量%、Mg:0.007乃至0.1質量%、Cu:0.007乃至0.1質量%を添加する。
Ag:0.075乃至1質量%
上述の如く、Sn−Zn共晶合金内部のSnリッチ相及びZnリッチ相をAgによって固溶強化することにより、はんだの強度の劣化を防止する。即ち、本発明におけるはんだでは、上述したように、Agを添加することで、亜鉛結晶粒の微細化を行ない、更にはAgをSnリッチ相及びZnリッチ相へ固溶させることによる固溶強化で、はんだ強度を上昇させることができる。本発明のはんだにおけるAgの含有量は0.075乃至1質量%であり、後述する実験結果より明らかなように、この量のAgの添加により、Agを添加しない場合よりも、引張伸び、引張強度、及び硬度の各特性が向上する。よって、上述の作用効果を得るために、Agの含有量は、0.075乃至1質量%とする。
一方、本発明において、Agを0.1質量%以上含有させた場合には、Sn−Zn共晶組織に対し、Biを添加することで融点を下げた効果が失われるが、Mg及びAlを添加することで、更に融点を下げることができる。一方、1質量%を超えるAgを添加すると、Agの組織中固溶による合金の靭性強化の効果は失われ、Agリッチな相が析出し、融点が急激に上昇し、固相と液相が共存する温度範囲が広くなるため濃度偏析を起こし易く、高温環境下での析出相の粗大化及び高湿度環境中でのはんだ内腐食が起こり易く、接合部分の信頼性が失われる。
Al:0.07乃至0.5質量%
しかしながら、Sn−Zn共晶合金にAgを添加するだけでは、熱サイクル試験での接続信頼性は良好であっても、85℃85%高温高湿度環境下での信頼性を保つために必要な強度を維持するには不十分である。従って、本発明では、Agに加えて、更に酸化しやすいZnリッチ相の強度上昇を図るために、Alを0.07乃至0.5質量%添加する。Alは、Sn母相には殆ど固溶せず、Znリッチ相内部又はその近傍に微細なAlリッチ相を析出し、強度を上昇させる。このように、本発明においては、Alを添加することによって、Alは、Snには殆ど固溶しないため、Znリッチ相内部又はその近傍に微細なAlリッチ相を析出させ、強度を上昇させることが可能となる。
Bi:0.01乃至6質量%
本発明のはんだは、Biの含有量が0.01乃至6質量%であり、Biを添加しないSn−Zn系合金はんだの場合と比較して、Biの所定量の添加により、銅板に対する濡れ性及び初期接合強度が向上し、融点が降下するという効果がある。Biの下限含有量は低融点化に対し効果のある最小含有量の0.01質量%とする。Biが0.01質量%未満の場合は、強度に対しても変化が認められない。また、Biが6質量%を超える場合には、−40℃と125℃の温度へ交互に10分から30分程度放置する熱サイクル試験を行った場合、その接合強度が従来のSn−37質量%Pb合金はんだ以下となり、接続信頼性が問題となる。そのため、接合信頼性、濡れ性及び融点に関する有利性を考慮して、Biの含有量は0.01乃至6質量%とする。更には、0.01乃至6質量%のBiを添加することで、Znリッチ相以外のはんだ母材強度を上昇させることが可能で、高い接続信頼性を得ることができる。
Mg:0.007乃至0.1質量%
Mgの添加によって、Znリッチ相中に硬質なZn−Mg金属間化合物相を析出し、強度を上昇させる。従って、本発明においては、Biに加えてMgを0.007乃至0.1質量%添加することにより、85℃85%高温高湿度環境下での信頼性を保つために必要な強度を維持することができる。
Cu:0.007乃至0.1質量%
Biの代わりにCuを0.007乃至0.1質量%を添加することによっても、上述のBi添加と同様の効果を得ることができる。Mgの添加によって、Znリッチ相中に硬質なZn−Mg金属間化合物相を析出し、強度を上昇させることができるが、硬質なZn−Mg金属間化合物相が析出すると、脆化しやすくなるため、Mgを添加する場合には、Cuも同時に添加することが望ましい。このCuはZn−Mg金属間化合物相を微細分散化させる作用を有するため、Sn−Zn系はんだの脆化を防止し、強度が強く、靭性が高いはんだを得ることができる。
上述の如く、本発明に係るはんだでは、Alの微量添加によりはんだ内部のZnリッチ相内部又は近傍の強度を上昇させ、MgとCuを添加することで、更にZnリッチ相の強度とはんだの低融点化を行う。これらの元素の添加により、本発明に係るはんだは、優れた機械的強度及び物理的・化学的特性を有すると共に他の共晶合金又は共晶近傍の合金をベースとしたはんだに比べて、電子部品の実装に用いる場合には、Sn−37質量%Pbと近い融点にて実装できるため、従来の電子部品の耐熱保障温度以下での実装が可能で、更には高温高湿度雰囲気及び高温と低温の温度環境変化に対しても、高い接合信頼性を得ることができる。
本発明によるはんだ材料は、電子部品同士、又は電子部品と回路基板の接続に好適に用いられるが、それらに限定されない。形状も表面実装のための半田合金を粉末化し、粒径20μmから40μmの間になるよう分級した後、弱活性フラックス中にフラックスが12質量%となるよう混練りしたクリームはんだに限らず、挿入実装のためのインゴット、鏝付けのための糸半田として好適に使用でき、それらに限定されない。なお、本発明に係るはんだは、Sn,Zn,Al,Ag,Bi,Cu,Mgの各原材料中に混入されている不純物と、製造工程中に溶融炉等から混入される微量の不純物が含まれることを排除するものではないことはいうまでもない。
また、本発明によるクリームはんだでは、従来と同じ温度プロファイルでのリフロー条件にて電子部品を回路基板に実装可能で、実装製品は熱サイクル試験、高温高湿試験で従来の錫−鉛共晶はんだと同等以上の信頼性を得ることができる。このため、新規の高温用のリフロー設備導入のための費用を必要とせず、従来耐熱保障温度を持つ電子部品を実装可能で、製品の設計を変更させる必要が無く、従来以上の信頼性を持つ製品を作成することができる。
クリームはんだとする際の分級も通常、粒径20μmから40μmの間が好適に使用されるが、狭ピッチな電極配線やクリームはんだを印刷する面積が小さい場合には、さらに細かい粉末を使用することができる。クリームはんだのフラックス含有量も保存安定性や、印刷性等により、9質量%から13質量%程度まで使用条件により変化させることができるがフラックス含有量はそれらに限定されない。また、接続に用いる回路基板はプリント基板、セラミクス基板、ガラス基板、Si基板などが好適に用いられ、それらに限定されない。回路基板電極の表面処理も、Cu、Au、Sn、Sn−Pb合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−Zn合金、フラックスなどが好適に用いられるがそれらに限定されない。
接続される電子部品もチップ抵抗、チップコンデンサー、LSIベアチップ、SOP(Small Out−line Package)、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)、DIP(Dual In−line Package)、PGA(Pin Grid Array)などが好適に用いられるが、それらに限定されない。
次に、本発明に係るはんだを構成する各元素の組成を規定する根拠となった実験結果について、説明する。
図1は、横軸にAgの含有量をとり、縦軸にビッカース硬さをとって両者の関係を示すグラフ図である。この測定結果は、Znを8質量%、Alを0.07質量%、Biを0.05質量%含有するSn−Zn合金において、Agの含有量を0.05質量%、0.075質量%、0.15質量%、及び1質量%と変化させた組成の複数の実施例はんだ合金材を用意し、このはんだ合金材を、85℃、85%の高温高湿状態にて1000時間保持した後、ビッカース硬度を測定した結果を示す。
ビッカース試験は、JIS Z2244に準拠し、試験荷重15g、加圧時間10秒で行った。図1から、Agの含有量が、0.05質量%以下である場合は、高温保持後の硬度が低かった。これは、Znリッチ相の結晶粒の粗大化が招いた強度劣化によるものであり、高温高湿に保持する以前のビッカース硬度より硬度が低下していた。Agの含有量が0.075質量%を超える場合は、結晶粒が粗大化せずに、本発明によるZnリッチ相内部又は近傍の強度も劣化しないため、初期のはんだと同等の強度を維持することができた。このため、Agの含有量は0.075質量%以上であることが接続信頼性を保つために必要である。
また、図2は、Znを8質量%、Alを0.07質量%、Biを0.05質量%含有するSn−Zn合金において、Agの含有量を0質量%、0.1質量%、0.3質量%、1質量%、1.5質量%、及び4質量%へと変化させた複数種類の実施例はんだ合金材について、DSC測定から得られた液相線温度変化を示す。DSC測定は、室温から300℃まで毎分10℃の昇温速度にて測定し、得られる吸熱ピークから、液相線及び固相線の温度を測定したものである。液相線の温度としては、Agの添加量が0.1質量%までである場合、Agを添加しない場合と比べて、DSCの測定ピークはほぼ差が無い。Agの添加量が0.1質量%以上1.0質量%以下の場合は、DSCによる吸熱ピークは、一つのピークの高温側の肩の部分にAgの添加による別のピークが重なった形となるが、液相線の温度はほぼ210℃と一定であった。
一方、1.0質量%を超えるAgを添加した場合には、吸熱ピークが2つのピークへと分離し、高温側のピークは、SnとAgの共晶温度である約220℃に近づく。そのため、Agの添加量が1質量%以上の場合には、融点の急激な上昇を招き、従来の耐熱保障温度を持つ部品をリフローすることが困難となり、更に、粗大なAg系析出物を持つ合金組織となり、濃度偏析及び腐食による信頼性悪化を招く要因ともなるため、Agの含有量は1質量%以下であることが必要である。
以下に説明する図3、5、8、9,12は、酸化されることにより強度が劣化し易いZnリッチ相を強化することを目的として、Al、Mg、Cuの各元素を添加することによる効果を示すための図である。各元素添加量が微量であり、Al、Mg、CuがSnに対してほとんど固溶しないことが確認されていることから、Sn−Zn系はんだ内における微細な針状のZnリッチ相の内部組織について分かり易く説明するため、Al、Mg、CuがZn組織に対して与える効果を、ZnにAl、Mg、Cuの各添加元素を加えたインゴットを作成してその組織観察を行うことにより調べた。更に、ビッカース硬度の測定結果も図4、6、10、13に示した。また、これらの結果が、本発明でのSn−Zn共晶組織を母材としたはんだにおいても同様の効果が得られることは、図4で示したビッカース硬度測定及びSEM(走査型電子顕微鏡)による組織観察より確認された。
図3は、本発明でのZnリッチ相に対するAl添加による組織変化を観察するため、ZnとAlをZn−5質量%Alの共晶組成で溶融させ凝固させた後、バルク表面を研磨して、合金組織をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察し撮影した写真である。図3の写真からアルミニウムリッチ相は、図中黒いコントラストで表れ、図中白いコントラストはZnリッチ相に相当するが、ZnにAlを加えることでZnリッチ相が緻密な共晶組織をとることが分かった。このような微細な組織が強度的に優れていることは、結晶粒が非常に微細で、応力が加わった際に、物質中の転位密度を一定とした場合、結晶粒界に集中する転移の数が、粗大な結晶粒の場合より少なく、結晶粒界での破壊を防ぐことができるためである。
また、本発明において、Sn−Zn共晶組織を母相とするはんだに対して、Alを添加する場合、Snに対してAlは殆ど固溶せず、Znに対してAlは微量固溶するが、Znの含有重量に対してAlの含有量が約1.0質量%以上、即ちはんだ中での最小Zn含有量7質量%の場合でも、Al含有量が0.07質量%以上含まれていれば、Zn中の固溶限界を超え、Zn中からAl相が析出することをEDX(Energy dispersive X-ray spectroscope)、及びバルクを薄片化してTEM(透過型電子顕微鏡)による電子線回折と電子像から確認したため、本発明での強化機構を持つ合金組織とすることができることが分かった。
上述のZn含有量に対してAlの含有量が約5質量%程度で、融点の最も低い共晶組成となるため、Zn含有量に対して5質量%以上のAl、即ち本発明に係るはんだ中の最大Zn含有量10質量%の場合、Alを0.5質量%以上添加することは、溶融温度上昇と、酸化され易いAlの粗大相が形成されるため、強度特性にも悪い影響を与える。
本発明に係るはんだに0.07質量%以上0.5質量%以下のAlを添加した場合、これまでのSn中にZnの相が粗大に存在していた場合と比べて、後述する図4に示すJIS Z 2244によるビッカース硬度測定でのZnリッチ相内部及び近傍が強化され、Znリッチ相は微細になるため、従来のSn−Zn系はんだ中のZnリッチ相と比べて、転位が結晶粒界に集中しにくい緻密な組織であるため、高湿度雰囲気での保持中にZnが腐食され、脆くなった酸化亜鉛が形成されても、酸化亜鉛に対する応力集中が結晶粒微細化によって防げるため、強度劣化を防ぐことができる。よって本発明によるはんだを使用することで、高湿度雰囲気中でも製品の接続信頼性を確保することができる。
一方、図4は、本発明におけるAlの微量添加によるZnリッチ相への強度向上効果を明らかにするために行った硬度試験の結果を示す。この図4は、Sn−8質量%Zn−0.1質量%Ag合金、Sn−8質量%Zn−0.1質量%Ag−0.4質量%Al合金及びZn−5質量%Al合金の各インゴットに対し、ビッカース硬度を測定した結果を示すものである。ビッカース硬度の測定はJIS Z2244に準拠し、試験荷重15g、加圧時間10秒で行った。
従来のSn−Zn共晶はんだは、Snリッチ相とZnリッチ相からなり、二相共にビッカース硬度が50以下と柔らかく、85℃、85%などの高湿度雰囲気にて亜鉛が腐食された場合、Znリッチ相が脆い酸化亜鉛となることから強度劣化を招き、接続信頼性が悪かった。
しかしながら、本発明のSn−Zn系はんだは、Sn−8質量%Zn−0.1質量%Ag−0.4質量%Al合金のビッカース硬度の測定結果から、従来Sn−Zn共晶合金にAgを微量添加したはんだであるSn−8質量%Zn−0.1質量%Ag合金よりも硬度があった。また、硬度の値が大きいものは、実際の引張試験の結果からも本発明によるはんだは強度も上昇していることが分かった。
これは、本発明によるはんだがAg添加によるはんだ母材強度の上昇と共に、Alの元素添加により、はんだ中のZnリッチ相内部又は近傍に添加元素のアルミニウムによる新しい相を形成することによって、Znリッチ相の組織を改質し、強度を上昇させているためである。このことは硬度測定結果の図中線で示した、測定値のばらつきからも分かり、Sn−8質量%Zn−0.1質量%Ag−0.4質量%Alの最大値は、はんだ内のZnリッチ相上を硬度計の圧子が測定したときの値であり、またZn−5質量%Alインゴットの硬度の値とほぼ一致していることからも確かめられた。
よって、本発明のはんだは高湿度雰囲気で、亜鉛相腐食に対しても従来の酸化亜鉛を形成しても、Znリッチ相内部又は近傍に添加元素によるアルミニウムによる新しい相を形成することによって、強度を上昇しているため高強度を得ることができて、高い信頼性を得ることができる。
更に、図5は本発明のはんだにおけるZnリッチ相に対して、AlとMgを添加することによりZnリッチ相へ与える効果を調べるため、ZnとAlとMgをZn−5質量%Al−1質量%Mgの組成で溶融させ凝固させた後、バルク表面を研磨して、SEMにより合金組織を観察し撮影した写真である。Sn−Zn共晶組織を母相とするはんだに対して、AlとMgを添加する場合、Snに対してAlとMgは殆ど固溶せず、Znに対してAlとMgは微量固溶するため、AlとMgははんだ中のZnリッチ相組織へ影響を与える。
図5及びEDXによる元素分析から、Alリッチ相は、図中黒いコントラストで表われ、図中白いコントラストはZnリッチ相に相当するが、Mgの含有量が多い場合、微細なZn―Al共晶の合金組織の中に、硬質なZn−Mg金属間化合物相が粗大に析出していることが分かり、図6に示したように、Mgを添加することで強度は増すが、同時に図5の粗大に析出した硬質なZn−Mg金属間化合物により、結晶粒界への転位の集中による応力集中に対して脆い材質となることが分かった。
はんだ接続後の熱応力が発生するはんだ接合箇所での信頼性を考えた場合、はんだ内のZnの含有量に対して、Mgは1質量%以下、即ち本はんだ中でのZnが最大含有量10質量%である場合、Mgは0.1質量%以下で添加することが望ましいことを、チップ抵抗及びQFP等の電子部品とはんだ接続部分の熱サイクル試験でのクラック発生状況から確認した。また、Mgと同時にCuを添加すると、図12に示すようにZnリッチ相中及び近傍の組織を微細化するため、硬質なZn−Mg金属間化合物を微細分散化させ、高湿度雰囲気中にて脆い酸化亜鉛が形成されたとしても、結晶粒界への転位の集中を避けることができて、接続信頼性が更に増す。Mgを添加する場合に、Zn含有量に対してMgが0.1質量%以下では、強度に対しての効果が見られないことをビッカース硬度測定から確認したため、本はんだ中でのZnの最小含有量が7質量%であるので、Mgは0.007質量%以下である場合には効果が無い。
更に、図6は、ビッカース硬度に対するMgの影響を示すグラフ図であって、Znが8質量%、Agが0.075質量%、Alが0.02質量%、Biが0.05質量%からなる組成に対して、Mgを0質量%、0.1質量%、1質量%、及び1.5質量%と変化させ、残部をSnとした複数種類の合金について、バルクのビッカース硬度を測定した結果を示すものである。
ビッカース硬度の測定は、JIS Z2244に準拠し、試験荷重15g、加圧時間10秒で行った。本発明では、高湿度雰囲気でのZnの酸化腐食によるはんだ接続部分の強度低下を防ぐため、Znリッチ相の改質により、Znリッチ相内部又はZnリッチ相近傍の強度を上昇させるためにAlを添加したが、更にMgを添加することが硬度を上げるために有効となる。しかしながら、硬度が強く脆い材質となっていることが図5から分かる。DSCによる融点測定により、マグネシウムを添加することで本発明のはんだの融点を下げることができて、従来の設備による従来部品耐熱保障温度での実装が可能となる優位性がある。
また、図7は、剪断強度に対するMg含有量の影響を示すグラフ図である。剪断強度を測定したはんだの組成は、Znが8質量%、Agが0.075質量%、Alが0.02質量%、Biが0.05質量%であり、Mg含有量を0質量%、0.05質量%、0.1質量%、0.2質量%と変化させ、残部をSnとしたものである。これらの合金組成の粉末を形成して、通常の弱活性によるフラックスを全体の重量に対して約10%の含有量で混練したはんだペーストにより、1.6mm×0.8mmのチップ抵抗を実装した。その後、図8に示す剪断強度測定用治具81によりチップ抵抗の剪断強度を測定した。
図8はチップ抵抗の剪断強度の測定方法を示す模式図である。ペースト状のはんだ82を、回路基板電極84上にメタルマスクを用いて印刷し、チップ抵抗83の電極を回路基板電極84の所定の位置に搭載した後、リフロー炉内ではんだを溶融させることによりチップ抵抗83を回路基板85上に実装した。その後、図8(a)と(b)に記載の矢印に示すように、実装されたチップ抵抗83の長手方向の中心部へ冶具81を押し当て、治具81からチップ抵抗83に対して剪断方向へ荷重を印加することにより、接続部分を破断するために必要な強度、即ち、剪断強度を測定した。
図7より、Mg含有量が0.1質量%を超える場合、図5に示した硬質なZn−Mg金属間化合物による脆性が顕著になり、はんだ合金の剪断強度がMgを添加しない場合よりも強度が落ちるため、Mgを添加する場合は、Mgの含有量は0.1質量%以下とする。
次に、図9は、本発明のZnリッチ相に対するAlとCuの微量添加の効果を調べるため、Zn−5質量%Al−1質量%Cuの組成で溶融凝固後、バルク表面を研磨して、SEMにより合金組織を観察した結果を示す写真である。
Sn−Zn共晶組織を母相とするはんだに対して、AlとCuを添加する場合、Snに対してAlとCuは殆ど固溶せず、Znに対してAlとCuは微量固溶するため、AlとCuははんだ中のZnリッチ相組織へ影響を与える。図9より、Cuを添加した場合にも、Znリッチ相とAlリッチ相による緻密な共晶組織が保たれており、且つ、後述する図10のビッカース硬度測定結果によるZn−5質量%Alと比較すると、Cuを添加した方が硬度が高く、しかしながら粗大な析出相が存在しないため、結晶粒界に対する応力集中を招くことがなく、靭性の高い組織となっていることが分かる。更には、Cuを添加することによるZnリッチ相の強化により、本発明のはんだ合金のバルクの引張強度が上昇していることを確認した。Znの含有重量に対して0.1質量%以下のCuの添加では、ビッカース硬度に影響が出なかったため、はんだ中でのZnが最小含有量7質量%である場合、即ちCuが0.007質量%以下である場合には、効果が表れない。更に、後述する図11に示すように、融点が上昇しない程度のCuの含有量を考慮に入れ、本はんだにおけるCuの含有量が0.007質量%以上、0.1質量%以下である場合、はんだ中のZnリッチ相が、アルミニウムと共に銅の添加により強化され、高湿度雰囲気中での強度劣化を防ぐことができることがわかる。
また、図10は、Alを5質量%、Cuを0質量%、0.1質量%、1.0質量%まで変化させ、残部がZnからなる合金組成のバルクのビッカース硬度を測定した結果を示す。ビッカース硬度測定はJIS Z 2244に準拠し、試験荷重15g、加圧時間10秒で行った。
図10のビッカース硬度測定結果で、Zn−5質量%AlとZn−5質量%Al−1質量%Cuを比較した場合、銅を添加したZn−5質量%Al−1質量%Cuでのビッカース硬度が大きくなることが分かった。Zn、Al、Cuからなるインゴットのみならず、本発明によるSn−Zn共晶組織を母材とするはんだでも、Cuの含有量を増やすと、Znリッチ相内部及び近傍の強度も増し、引張強度が上昇することが確認できた。なお、Cuの含有量がZnの含有重量に対して0.1質量%以下のCuの添加では、ビッカース硬度に影響が出なかったため、本はんだ中でのZnが最小含有量7質量%である場合、Cuは0.007質量%以下である場合には効果が表れない。
更に、図11は、Znが8質量%、Agが0.1質量%、Alが0.02質量%であり、Cuを0〜0.3質量%まで変化させ、残部をSnとした合金組成のバルクの液相線温度を測定した結果を記す。図11の結果から、Cuの含有量が0.01質量%以下である場合には、Cuを加えない場合と比較して液相線温度の変化が無く、0.01質量%以上のCuを添加した場合には、0.1質量%まで徐々に融点が上昇し、0.1質量%以上のCuを添加した場合には、200℃以上へ急激に液相線が上昇する。融点が上昇することは、従来の温度プロファイルでのリフローが困難となり、リフロー温度プロファイルを上昇させる必要が出てくる。そのため、従来部品の耐熱保障温度よりも高い温度プロファイルが必要となる可能性が出てくるため、Cuの含有量は0.1質量%以下であることが実装製品の信頼性を考えた場合、有効である。
一方、図12は、本発明のZnリッチ相に対するAlとMgとCuの微量添加の効果を調べるため、Zn−5質量%Al−1質量%Mg−1質量%Cuの組成で溶融凝固後、バルク表面を研磨して、SEMにより合金組織を観察した結果を示す写真である。Sn−Zn共晶組織を母相とするはんだに対して、AlとMgとCuとを添加する場合、Snに対してAlとMgとCuとは殆ど固溶せず、Znに対してAlとMgとCuとは微量固溶するため、AlとMgとCuとは、はんだ中のZnリッチ相組織へ影響を与える。
図5に示したZn−5質量%Al−1質量%Mgの場合には、融点低下のためにZn−5質量%Alに対して、Mgを添加することで、硬質なMg−Zn金属間化合物が形成され、尚且つ、粗大化していたため、応力集中に対して非常に脆い組織であった。しかしながら、図12からわかるように、Cuの添加により、硬質なMg−Zn金属間化合物相を分散させることができる。このため、後述する図13のビッカース硬度の測定結果からも明らかなように、Zn−5質量%Al−1質量%Mgよりも硬度を下げることができて、尚且つ、Zn−5質量%Al−1質量%Cuよりも強度が強い。合金組織が緻密であるため、図5に示したZn−5質量%Al−1質量%Mgのような粗大な組織の結晶粒界への応力集中による破壊を防ぐことができて、強靭な組織とすることができた。この効果は、Cuの含有量がMgの含有量とほぼ同じ場合、Znの含有量に対して0.1質量%以上1質量%以下の場合に観察された。即ち、Mgを本はんだに添加する場合、Cuも添加することが応力のかかる接続箇所に対する信頼性上、有利となる。本はんだ中でのCuの含有量はMgの含有量とほぼ等しく、0.007質量%以上0.1質量%以下で加えることが材料の強靭化で尚且つ融点を上昇させないために望ましい。
図13は、ビッカース硬度に対するCu含有量の影響を示すグラフ図である。図13は、Alを5質量%、Mgを1質量%、Cuを0質量%、0.1質量%、1.0質量%と変化させ、残部がSnからなる合金組成のバルクのビッカース硬度を測定した結果を示したものである。
図13のビッカース硬度の測定結果及び図12の組織写真からも明らかなように、Zn−5質量%Al−1質量%Mgよりも硬度を軟化することができて、靭性を高めことが可能となる。このことは、図5の組織写真から分かるようにMg添加により形成された硬質なZn−Mg金属間化合物相を、Cuの添加によって図12のように微細に分散させることができるためである。
そのため、応力がかかる場合の粗大な硬質相への転位の集中による脆性破壊を招くことがなく、靭性の高い材料となることができる。尚且つ、この合金組織の強度は、Zn−5質量%AlにCuを0〜1.0質量%加えた場合より強いことが図10のビッカース硬度測定結果からも分かった。Zn、Al、Mg、Cuからなるインゴットのみならず、本発明によるSn−Zn共晶組織を母材とし、Al及びMgを含むはんだでも、Cuの含有量を増やすと、引張強度及び伸びが上昇することが確認できた。このように、靭性を高めた本はんだにおけるZnリッチ相は高温高湿の雰囲気においても初期と同等の強度を維持することができるため、製品の信頼性を高める点で極めて有利となる。
更に、図14は剪断強度に対するNi含有量の影響を示すグラフ図である。この図14は、Znが8質量%、Agが0.075質量%、Alが0.02質量%、Mgが0.01質量%、Cuが0.01質量%であり、Biを1質量%、3質量%、6質量%、10質量%及び30質量%と変化させ、残部をSnとした合金組成の本発明はんだを使用して粒径20μmから40μmの合金粉末を形成し、弱活性のフラックスと混錬することでクリームはんだを作製し、このクリームはんだを使用して1.6mm×0.8mmの寸法のチップ抵抗を回路基板に実装したものを、−40℃と125℃にて交互に30分程度保持する熱サイクル試験にかけ、その後、実装されたチップ抵抗を図8に示すように水平方向にせん断するときに必要な力、即ち剪断強度を測定した結果を示す。
なお、実装に使用した回路基板は通常使用されるCu電極を用いた。Biは含有量が多いほど、はんだ合金の融点が下がる利点があるが、Bi含有量を6質量%以上とした場合、熱サイクルを1000サイクル以上かけた後は、Biを添加しない場合よりも強度が下がってしまうため、信頼性を考えた場合、Biの含有量は6質量%以下とすべきである。また、Bi含有量の下限は、Bi含有量を変化させたバルクによる引張強度試験及びDSC測定による融点に対しての効果を確認したところ、0.01質量%以下とすると効果が認められず、Biを添加する場合は、Biの含有量は0.01質量%以上6質量%以下とする。
また、図15は引張強度に対する合金組成の影響を示すグラフ図である。Znが8質量%、Agが0.075質量%、Biが1質量%、Alが0.07質量%、Mgが0.01質量%、Cuが0.01質量%、残部をSnとした合金組成の本発明によるはんだ粉末を用いて、弱活性フラックスと混錬することによりクリームはんだ形成し、このクリームはんだを使用して電子部品の一つであるQFPの銅リード線を回路基板の銅電極に接続した後、85℃85%の高温高湿雰囲気中にて1000時間まで保持した際において、電子部品QFPのリード線を45°上方へ引っ張り、はんだ接続部分を破壊するために必要な強度、即ち引張強度を測定した結果を示す。
図15には、従来のSn−Pb共晶はんだであるSn−37質量%Pb合金及び本発明のSn−Zn共晶はんだであるSn−8.8質量%Zn合金により、電子部品QFPの銅リード線を回路基板の銅電極に接続した後、同様の試験を行った結果を記す。図15より、本発明によるはんだは、従来のSn−Zn共晶はんだと比較して、Znリッチ相の組織改質による強化から、高温高湿雰囲気中において、優れた接続信頼性を持ち、従来のSn−Pb共晶はんだと比較しても優れた接続信頼性を維持できることを確認した。尚且つ、本発明に係るはんだは通常のリフロー炉によるSn−37質量%Pbと同じ温度プロファイルでの実装が可能であり、新規設備の導入が必要なく、部品耐熱温度以上へ温度が上昇することが無く、製品の信頼性を高めることができる。
更に、図15より、本発明によるはんだは、従来のSn−Zn共晶はんだと比較して、Znリッチ相の組織改質による強化から、高温高湿の雰囲気中において、優れた接続信頼性を持ち、従来のSn−Pb共晶はんだと比較しても優れた接続信頼性を維持できることを確認した。
上述の本発明に係るはんだの第1の効果は、本発明によるはんだ合金材料は、低融点と強度特性の優れている錫を用い、人体に対して有害である鉛を使用しないということである。
即ち、本発明におけるはんだにあっては、Sn−37質量%Pb共晶はんだの共晶温度の183℃に最も近いはんだ共晶合金組成で、共晶温度199℃であるSn−8.8質量%Znを母相としたはんだ材料を使用しているため、地中に鉛が溶出し、地下水を通して人体に取り込まれる可能性が無いためである。
次に、本発明に係るはんだの第2の効果は、本発明ではSn−37質量%Pb共晶はんだの溶融温度183℃に最も近いはんだ共晶合金系で、共晶温度199℃であるSn−8.8質量%Znを母相とした無鉛半田材料を使用するということである。
即ち、本発明におけるはんだにあっては、Sn−8.8質量%Zn共晶組織を母相とし、0.01質量%以上6質量%以下のビスマスと、0.07質量%以上0.5質量%以下のアルミニウム、0.007質量%以上0.01質量%以下の銅、0.007質量%以上0.01質量%以下のマグネシウムを添加するか、更に好ましくは銀を上記した範囲で添加することでクリームはんだ内の金属成分全体の液相線温度を下げるため、Sn−37質量%Pb共晶との融点差が10℃乃至20℃程度となり、新規に実装面全面での均一加熱可能なリフロー炉を導入する必要がなく、従来のSn−37質量%Pb共晶はんだを使用する場合と同じリフロー炉を使用できる。新規設備導入のための費用がかからない。また、従来のSn−37質量%Pb共晶はんだを使用していた場合と同等の電子部品それぞれの耐熱保証温度域で実装することができるため、機能面で信頼性のある実装製品を作製することが可能となる。
また、本発明に係るはんだの第3の効果は、本発明による無鉛半田のクリームはんだでは、Sn−Zn共晶組織を母材組織とする半田材料を用いて電子部品を銅板電極上に実装する場合より、Sn−Zn系の半田材料に銀、アルミニウム、マグネシウム、銅、さらにはビスマスを加えることで、実装後の高温、高湿度環境下において高い接続信頼性を得るということである。
即ち、本発明においては、Sn−Zn系はんだに対し、6質量%以下のビスマスを加えることで、高い初期接続強度を得ることができるが、同時に脆くなり、さらに0.075質量%乃至1質量%の銀を加えることで初期接続強度を上昇させ、−40℃と125℃の温度へ交互に10分から30分程度放置する熱サイクル試験にて接続信頼性を得る。
本発明においては、銅との接合部信頼性向上のために、銅電極上にAuメッキ処理を施す必要もなくなるため、回路基板の製造コストを従来のSn−Pb品と同じとすることが可能となる。しかしながら、これだけでは85℃85%の高温高湿環境下で、はんだ中のZnリッチ相が酸化し、強度の劣化を避けられない。
そこで、本発明では、Znリッチ相の強度上昇を図るため、Al:0.07乃至0.5質量%、Mg:0.007乃至0.1質量%、Cu:0.007乃至0.1質量%を添加した。Alは、Snには殆ど固溶せず、Znリッチ相内部又はその近傍に微細なAlリッチ相を析出し、強度を上昇させる。更には、Mgの添加によっても、Znリッチ相中に硬質なZn−Mg金属間化合物相を析出し、強度をさせる。なお、マグネシウムを添加する際には、銅も添加することが望ましく、Zn−Mg金属間化合物相を微細分散化させる働きがあるため、はんだは強度が強く、強靭なものとすることができる。1質量%以上のAgを加えると銀の組織中固溶による合金の靭性強化の硬化は失われ、Agリッチな相が析出し、融点か急激に上昇し、固相と液相が共存する溶融温度範囲が広くなるため、はんだ内部の濃度偏析を起こし易く、高温環境下での析出相の粗大化及びそれに伴うはんだ内腐食が起こり易く、接合部分の信頼性が失われる。
これに対し、本発明によるはんだでは、Sn−Zn共晶組織を母相として、酸化により脆くなり易いZnリッチ相の強度を上昇させるため、Alの微量添加によりZnリッチ相内部又は近傍の強度をAl析出相により上昇させ、更にMgとCuを加えることで、Znリッチ相の強度上昇と低融点化を行った。また、BiとAgを添加することにより、Znリッチ相以外の組織も高強度化した。これにより、高温高湿環境下での信頼性が優れ、Sn−37重量%Pb共晶系はんだの代替材料となる。
本発明は、無鉛はんだであり、従来のSn−37質量%Pb共晶系はんだと同等の融点を有し、同等の作業性、使用条件、及び接続信頼性を有するものであり、無公害のはんだとして、極めて有益である。

Claims (5)

  1. Zn:7乃至10質量%、Ag:0.075乃至1質量%、Al:0.07乃至0.5質量%を含有し、更にBi:0.01乃至6質量%及びCu:0.007乃至0.1質量%の1種又は2種を含有し、残部がSn及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするはんだ。
  2. Zn:7乃至10質量%、Ag:0.075乃至1質量%、Al:0.07乃至0.5質量%、Cu:0.007乃至0.1質量%、Mg:0.007乃至0.1質量%を含有し、残部がSn及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするはんだ。
  3. Zn:7乃至10質量%、Ag:0.075乃至1質量%、Al:0.07乃至0.5質量%、Bi:0.01乃至6質量%、Mg:0.007乃至0.1質量%を含有し、残部がSn及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするはんだ。
  4. Zn:7乃至10質量%、Ag:0.075乃至1質量%、Al:0.07乃至0.5質量%、Bi:0.01乃至6質量%、Cu:0.007乃至0.1質量%、Mg:0.007乃至0.1質量%を含有し、残部がSn及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするはんだ。
  5. 電子部品と、前記電子部品が前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載のはんだによりはんだ付けされた回路基板とを有することを特徴とする実装品。
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