JPWO2005095929A1 - マスキング部材、光測定方法、光測定用キット及び光測定用容器 - Google Patents

マスキング部材、光測定方法、光測定用キット及び光測定用容器 Download PDF

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Abstract

【課題】 被測定対象とともに容器内に収納されたバッファー中の蛍光色素や試験化合物由来の蛍光による影響が確実に除去されるとともに、該バッファーに含まれる過剰な蛍光色素や試験化合物の除去を不要にするマスキング部材等に関する。当該マスキング部材は、容器内のバッファー中に配置された被測定対象の蛍光を該容器の底部から測定する際に用いられる部材であって、遮光部と外枠部とを備える。遮光部は、液体透過性を有する一方、被測定対象を挟んで容器の底部と反対側に位置するバッファーから該容器の底部への背景光を遮光する。外枠部は、遮光部を支持した状態で、被測定対象を挟んで容器の底部と反対側に該遮光部を位置決めする。この構成により、バッファー中の過剰な蛍光色素等に由来する背景光の影響が確実に除去されるとともに、該バッファーの置換工程も不要になる。また、当該マスキング部材は、発光測定にも適用可能である。

Description

この発明は、マスキング部材、光測定方法、光測定用キット及び光測定用容器に関するものである。
従来、創薬における化合物ライブラリーのスクリーニングなど種々の目的のため、蛍光や発行の測定が用いられる。このような測定では、まずシャーレ、バイエル瓶等の透明容器の底部に、培養された細胞等の被測定対象が配置される。そして、蛍光測定を例にすると、色素を含むバッファー(緩衝液、外液)を追加注入する。このままでは、細胞等に吸収されなかった蛍光色素の蛍光が背景光となり、被測定対象からの蛍光を識別して測定することが困難となるため、このような過剰の蛍光色素を含むバッファーを吸引除去し、蛍光色素を含まないバッファーを追加することを繰り返す洗浄(バッファー置換、ウォッシュアウト)が行われる。その後、スクリーニングを行いたい試験化合物が投入され、容器の透光性部材からなる底部から被測定対象への励起光の照射ならびに被測定対象由来の蛍光の測定を行うことにより、スクリーニングが行われる。
なお、上述の蛍光測定では、スクリーニングを行いたい試験化合物には自ら蛍光を発するもの(自家蛍光化合物)が存在する。自家蛍光化合物は、これら化合物の7〜8割に達するとの予測がある。ここで、自家蛍光化合物を被測定対象に供して試験する場合、計測される蛍光値が、細胞等の蛍光色素を取り込んだ被測定対象に由来するものなのか、バッファー中の自家蛍光化合物に由来するもの(アーチファクト)なのか判断することが困難である。その結果、擬陽性が増大するという問題が生じている。このような場合には、自家蛍光を有する試験化合物を被測定対象に供した後に、この化合物を含まないバッファーで洗浄する工程が必要になるが、このような洗浄は時間がかかり、特に、高スループットな化合物のスクリーニングにおいては、検出精度低下、さらにはスループット低下の原因となる。また、洗浄工程の追加により、試験化合物による被測定対象への影響をリアルタイムに計測できないばかりでなく、被測定対象の容器の底からの剥離を招来する可能性もある。
バッファー中の過剰な蛍光物質による背景蛍光(非特異的蛍光)に関する障害を解決するため、例えば、第1の蛍光測定方法として、黒色色素あるいは様々な種類の色素をバッファー中に混ぜて、過剰な蛍光色素に起因した影響を洗浄工程を伴うことなく低減する方法が実用化されている(例えば、特許文献1の図2参照)。また、第2の蛍光測定方法として、ポリマーラテックスビーズ、無機粒子等が添加されたバッファーを、被測定対象上に積層することで、被測定対象とバッファーとの間に光学的な分離層を形成し、この分離層より上のバッファー由来の背景蛍光を遮光する方法も提案されている(例えば、特許文献1の図6参照)。
日本特許第3452068号
発明者は、蛍光又は発光を測定する従来の光測定方法について検討した結果、以下のような課題を発見した。すなわち、黒色色素等をバッファー中に混ぜる第1の蛍光測定方法では、この黒色色素等自体が、被測定対象である細胞の機能に影響を及ぼし、各種反応の阻害を引き起こすケースがあり、全ての測定系に対応できない。また、あるケースにおいては、色素への試験化合物の吸着に起因して、試験化合物が被測定対象に及ぼす影響を正確に測定できない。さらに、色素での消光の場合、波長ごとに吸収帯域が異なるため、蛍光色素の種類や測定系により最適な色素の選択が必要となる。
一方、ポリマーラテックスビーズ等が添加されたバッファーを、被測定対象上に積層することで被測定対象とバッファーとの間に光学的な分離層を形成する第2の蛍光測定方法では、ポリマーラテックスビーズ等の粒子が被測定対象である細胞に直接接触することにより、細胞への悪影響が生じる可能性がある(物理的接触による影響)。また、ポリマーラテックスビーズ等により分離層が形成された後に、さらに試薬やスクリーニングを行いたい試験化合物が分注されると、ピペットの吐出圧等によって分離層にクレーターが生じ、分離層の厚さが一様でなくなる。その場合、分離層に層の薄い箇所と厚い箇所が生じ、その結果、細胞等に由来する蛍光の高分解能な検出ができなくなるという可能性もある。
この発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、バッファー中の蛍光色素、試験化合物等に由来の蛍光又は発光に起因した影響を、被測定対象由来の蛍光又は発光の測定に与えることなく確実に除去し、さらにバッファー中の蛍光色素や試験化合物等の洗浄を不要とする、光測定用のマスキング部材、光測定方法、光測定用キット及び光測定用容器を提供することを目的としている。
この発明に係るマスキング部材は、容器内の液中に配置された被測定対象由来の蛍光又は発光を容器の底部から測定する際に用いられる測定用部材であって、遮光部と外枠部とを備える。遮光部は、液体透過性を有する一方、被測定対象を挟んで容器の底部と反対側に位置する液から該容器の底部への背景光を遮光する遮光性を有する。外枠部は、遮光部を支持した状態で、被測定対象を挟んで容器の底部と反対側に該遮光部を位置決めする。
上述の構成によれば、当該マスキング部材は、蛍光測定の場合には、容器内に収納された液のうち被測定対象より上方に位置する蛍光色素や試験化合物等を含む液に対して、容器底部を介して照射される励起光を遮蔽するため、被測定対象より上方の物質が励起されない。よって、背景光の発生を抑制できるので、被測定対象に特異的な蛍光の検出精度が向上する。励起光の一部がマスキング部材を通過して、被測定対象より上方に位置する過剰な蛍光色素や試験化合物を励起した場合であっても、これらを含む液から容器底部への背景光を遮光できるため、被測定対象由来の蛍光と背景光との分離が可能になる。また、発光測定の場合には、マスキング部材は、被測定対象より上方に位置する発光試薬等を含む液から容器底部への背景光を遮蔽するため、被測定対象由来の発光と背景光との分離が可能になる。一方、当該マスキング部材は、液体を透過させ、液中の蛍光色素、試験化合物、発光試薬等を被測定対象と反応させることができる。すなわち、外枠部により液体透過性を有する遮光部は、容器内の液に浸った状態で被測定対象の上方に配置される。
これにより、蛍光測定において、当該マスキング部材自体は細胞等の被測定対象に接触することなく、被測定対象以外の蛍光色素や試験化合物由来の蛍光を確実に遮光できるため、細胞等の被測定対象に悪影響を与えることなく、バッファー中の蛍光色素由来の蛍光や試験化合物の自家蛍光の影響が排除された高感度蛍光測定が可能となる。この場合、蛍光色素の種類(蛍光波長)や測定系を選ばず、どのような測定にも対応可能である。また、当該マスキング部材における遮光部が容器内に挿入された後に試薬が分注される場合であっても、遮光部自体は液体透過性を有するため、試薬は遮光部を透過して被測定対象に到達する。したがって、遮光部材自体の遮光性は均一に保たれ、被測定対象由来の蛍光の高分解能検出が可能になる。また、発光測定においては、蛍光測定と同様に、当該マスキング部材自体は被測定対象に接触することなく、被測定対象に関連しない余剰の発光試薬等に由来する発光を確実に遮光できるため、被測定対象に悪影響を与えることなく、バッファー中の発光試薬からの発光の影響が排除された高感度発光測定が可能になる。この場合、発光試薬の種類や測定系を選ばず、どのような測定にも対応可能である。
また、蛍光色素、試験化合物又は発光試薬などを含む液が加えられる前又は加えられた後に、被測定対象が配置された容器内にマスキング部材の遮光部が挿入されるだけで、液中の過剰な蛍光色素、試験化合物又は発光試薬からの蛍光又は発光も遮光することができるため、液に含まれる蛍光色素、試験化合物又は発光試薬の洗浄が不要となり、蛍光又は発光測定におけるスループットの向上が図れる。
この発明に係るマスキング部材は、それぞれに被測定対象を含む液が収容された複数のウェルを備えるマイクロプレートにも適用可能のである。この場合、当該マスキング部材は、ウェルそれぞれに対応して用意された複数の遮光部と、これら遮光部をそれぞれ対応するウェル内の所定位置に支持するための支持構造とを備える。遮光部のそれぞれは、液体透過性を有する一方、対応するウェル内に収納された被測定対象を挟んで該対応するウェルの底部と反対側に位置する液から該ウェルの底部への背景光を遮光する遮光性を有する。支持構造は、マイクロプレートの上面を覆うシート状部と、ウェルそれぞれに対応して用意された複数の外枠部とから構成されている。なお、支持構造における外枠部それぞれは、対応する遮光部を支持した状態で、対応するウェル内に収納された被測定対象を挟んで該対応するウェルの底部と反対側に該遮光部を位置決めする。
上述の構成によれば、マイクロプレートにおける複数のウェル内に被測定対象が入れられ、同時に多数の蛍光又は発光測定が行われる場合においても、一括して各ウェルの遮光が可能であり、蛍光又は発光測定のスループットをさらに向上させることができる。
この発明に係る光測定方法は、被測定対象を容器内に入れる第1ステップと、容器内に蛍光色素、試験化合物又は発光試薬を含む液を加える第2ステップと、上述のような構造を有するマスキング部材を容器に対して対置することで、被測定対象を挟んで容器の底部とは反対側に位置する液から該容器の底部への背景光を遮光する第3ステップと、被測定対象由来の蛍光又は発光を容器の底部から測定する第4ステップとを備える。このとき、第3ステップは、遮光性及び液体透過性を有する遮光部を備えたマスキング部材を用意し、容器の底部とともに被測定対象を該遮光部で挟むように該容器に対して該マスキング部材を配置する。一方、この発明に係る光測定方法は、被測定対象を容器内に入れる第1ステップと、上述のような構造を有するマスキング部材を容器に対して配置する第3ステップと、容器内に蛍光色素、試験化合物又は発光試薬を含む液を加える第3ステップと、被測定対象由来の蛍光又は発光を前記容器の底部から測定する第4ステップとを備えてもよい。この場合、第2ステップにおいて、容器に対してマスキング部材が配置されたとき、該容器内には遮光部が所定位置に位置決めされる。また、第4ステップにおける蛍光又は発光の測定は、被測定対象を挟んで容器の底部とは反対側に位置する液から該容器の底部への背景光をマスキング部材により遮光しつつ行われることになる。
上述の構成によれば、蛍光測定の場合には、マスキング部材は、容器内に収納された液のうち被測定対象より上方に位置する蛍光色素や試験化合物等を含む液に対して、容器底部を介して照射される励起光を遮蔽するため、被測定対象より上方の物質は励起されない。よって、背景光の発生を抑制できるので、被測定対象に特異的な蛍光の検出精度が向上する。励起光の一部がマスキング部材を通過して、被測定対象より上方に位置する過剰な蛍光色素や試験化合物を励起した場合であっても、マスキング部材により被測定対象の上方に位置する液から容器底部への背景光が遮光され、被測定対象由来の蛍光と該背景光との分離が可能になる。また、発光測定の場合には、マスキング部材は、被測定対象より上方に位置する発光試薬等を含む液から容器底部への背景光を遮光するため、被測定対象由来の発光と背景光との分離が可能になる。また、液中の蛍光色素等の成分は、マスキング部材における遮光部を透過することができるので被測定対象と反応し得る。
これにより、被測定対象に悪影響を与えることなく、容器内の液中における蛍光色素由来の蛍光や試験化合物の自家蛍光の影響が排除された高感度蛍光測定が可能になる。また、発光測定の場合においても、蛍光測定と同様に、液中の発光試薬等からの発光の影響が排除された高感度発光測定が可能になる。また、蛍光色素、試験化合物又は発光試薬の種類等にかかわらず種々の測定に対応可能である。さらに、マスキング部材配置後に試薬が分注される場合でも、遮光の均一性は保たれる。そして、蛍光色素、試験化合物又は発光試薬が加えられる前あるいは加えられた後に、マスキング部材における遮光部が容器内に挿入されるだけで液中の過剰な蛍光色素由来の蛍光、試験化合物の自家発光又は発光試薬由来の発光が遮光されるので、容器内に収納された液中に含まれる蛍光色素、試験化合物又は発光試薬の洗浄が不要となり、蛍光又は発光測定のスループットの向上が図れる。
この発明に係る光測定用キットは、容器内の液中に配置された被測定対象由来の蛍光又は発光を該容器の底部から測定するため、液とともに被測定対象を収容するための容器と、それぞれが上述のような遮光部と外枠部とを備えた構造を有する、1又はそれ以上のマスキング部材を備える。また、この発明に係る光測定用キットは、容器として、それぞれが被測定対象を収納する1又はそれ以上のウェルを有するマイクロプレートを備えてもよく、この場合、当該光測定用キットは、上述のようにそれぞれが遮光部と外枠部を備えた構造を有する、1又はそれ以上のマスキング部材を備える。さらに、この発明に係る光測定用キットにおいて、容器として、それぞれが被測定対象を収納する複数のウェルを有するマイクロプレートを備える場合、該マイクロプレートに適用されるマスキング部材は、上述のように複数の遮光部とこれら遮光部を支持する支持構造とを備えた構造を有する、マスキング部材を備えてもよい。この場合、マスキング部材における支持構造は、マイクロプレートの上面を覆うシート状部と、ウェルそれぞれに対応して用意された複数の外枠部とから構成され、シート状部とこれら外枠部は、遮光部それぞれをマイクロプレートの対応するウェル内の所定位置に配置する位置決め手段として機能する。
上述の構成によれば、マスキング部材は、容器内あるいは容器として用意されるマイクロプレートの各ウェルにおいて、蛍光測定の場合には、容器内に収納された液のうち被測定対象より上方に位置する蛍光色素や試験化合物等を含む液に対して、容器底部を介して照射される励起光を遮蔽するため、被測定対象より上方の物質が励起されない。よって、背景光の発生を抑制できるので、被測定対象に特異的な蛍光の検出精度が向上する。励起光の一部がマスキング部材を通過して、被測定対象より上方に位置する過剰な傾向色素や試験化合物を励起した場合であっても、マスキング部材により被測定対象の上方に位置する蛍光色素等を含む液から容器底部への背景光を遮光するので、被測定対象由来の蛍光と背景光との分離が可能になる。また、発光測定の場合には、マスキング部材は、被測定対象より上方に位置する発光試薬等を含む液から容器底部への背景光を遮光するため、被測定対象由来の発光と背景光との分離が可能になる。一方、マスキング部材における遮光部は、液体を透過させ、液中の蛍光色素や種々の化合物等を被測定対象と反応させることができる。
これにより、当該光測定用キットが利用されるだけで、被測定対象に影響を与えることなく高感度蛍光測定又は高感度発光測定が手軽に実施可能になる。適用される蛍光色素及び測定装置等は種々の物を選択することができ、試薬の分注時にも高精度蛍光測定又は高感度発光測定が可能にある。また、容器内に収納される液の蛍光色素や種々の試薬の洗浄も不要であり、高スループットの蛍光又は発光測定が可能になる。
なお、当該光測定用キットにおいて、マイクロプレートに適用されるマスキング部材が、複数の遮光部とこれら遮光部を支持する支持構造とを備えた構造を有する、マスキング部材を備える場合、マイクロプレートの複数のウェル内には種々の被測定対象が収容可能であり、ウェルの内の一部あるいは全部にマスキング部材の対応する遮光部それぞれが挿入されることにより、一括で当該ウェル内からの背景光を遮光することができ、種々の蛍光又は発光測定が効率良く行え得る。
また、この発明に係る光測定用容器は、液とともに被測定対象が内部に収容され、その底部から被測定対象の蛍光又は発光を測定するために利用される。この光測定用容器は、被測定対象の上方に位置する液から容器の底部への背景光を遮光するための遮光性及び液体透過性を有するマスキング部材とともに使用される。特に、当該光測定用容器は、その内壁にマスキング部材の位置決めをするための位置決め手段が設けられている。
この構成によれば、マスキング部材は、位置決め手段により、被測定対象の上方の所定位置に配置される。配置されたマスキング部材は、蛍光測定の場合には、容器内に収納された液のうち被測定対象より上方に位置する蛍光色素や試験化合物等を含む液に対して、容器底部を介して照射される励起光を遮蔽するので、被測定対象より上方の物質が励起されない。よって、背景光の発生を抑制できるので、被測定対象に特異的な蛍光の検出精度が向上する。励起光の一部がマスキング部材を通過して、被測定対象より上方に位置する過剰な蛍光色素や試験化合物を励起した場合であっても、マスキング部材により被測定対象の上方に位置する蛍光色素等を含む液から容器底部への背景光を遮光し、これにより被測定対象からの蛍光と背景光との分離が可能になる。この光測定用容器にマスキング部材が取り付けられることにより、容器内の所定位置に配置されたマスキング部材が被測定対象の上方に位置する液への励起光の遮蔽、さらには上方からの背景光を遮光するので、被測定対象に影響を与えることなく高感度蛍光測定が可能になる。また、発光測定の場合には、マスキング部材は、被測定対象より上方に位置する発光試薬等を含む液から容器底部への背景光を遮光できるため、被測定対象由来の発光と背景光との分離が可能になり、被測定対象に影響を与えることなく高感度発光測定が可能になる。適用される蛍光色素及び測定装置等は種々の物を選択することができ、試薬の分注時にも高精度蛍光測定又は高感度発光測定が可能になる。また、容器内に収納される液に含まれる蛍光色素等の洗浄も不要であり、高スループットの蛍光又は発光測定が可能になる。さらに、マスキング部材自体に容器内での位置決めをする手段が特に設けられていなくても、被測定対象に接触せずに十分な遮光ができる位置に遮光部を配置することができる。
この発明に係る光測定用容器は、それぞれに被測定対象を含む液が収容された複数のウェルを備えたマイクロプレートであってもよい。この場合も、ウェル内壁それぞれに、マスキング部材の位置決めをするための位置決め手段が設けられている。
上述のようなマイクロプレート型の光測定用容器であれば、複数のウェルそれぞれに種々の被測定対象を入れて、同時に複数種類の蛍光又は発光測定が可能となる。各ウェル内壁にはそれぞれマスキング部材の位置決め手段が設けられているため、それぞれ対応するマスキング部材が挿入されることによりウェルそれぞれに収納された液からの背景光の遮光が可能になる。これにより、液中における過剰な蛍光色素からの蛍光、試験化合物の自家蛍光又は発光試薬からの発光の影響が排除された高感度蛍光測定又は高感度発光測定が可能になる。
なお、この発明に係る各実施例は、以下の詳細な説明及び添付図面によりさらに十分に理解可能となる。これら実施例は単に例示のために示されるものであって、この発明を限定するものと考えるべきではない。
また、この発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明及び特定の事例はこの発明の好適な実施例を示すものではあるが、例示のためにのみ示されているものであって、この発明の思想及び範囲における様々な変形及び改良はこの詳細な説明から当業者には自明であることは明らかである。
この発明に係るマスキング部材、光測定方法、光測定用キット及び光測定用容器によれば、細胞等の被測定対象に悪影響を与えることなく、被測定対象とともに容器内に収納されたバッファー中における過剰な蛍光色素からの蛍光、試験化合物の自家蛍光又は発光試薬からの発光の影響が排除された高感度蛍光測定又は高感度発光測定が可能になる。また、蛍光色素の種類(蛍光波長)や測定系を選ばず、どのような測定にも対応可能である。また、容器にマスキング部材が取り付けられた後に試薬が分注される場合であっても、マスキング部材における遮光部の遮光性は均一に保たれ、被測定対象由来の蛍光又は発光の高分解能検出が可能である。さらに、種々の試薬が添加された後の洗浄工程が不要となり、蛍光又は発光測定におけるスループットが向上する。
は、この発明に係るマスキング部材の第1実施例の構造を示す図である。 は、図1に示された第1実施例に係るマスキング部材における遮光部の第1具体例の構造を示す図である。 は、図1に示された第1実施例に係るマスキング部材における遮光部の第2具体例の構造を示す図である。 は、図1に示された第1実施例に係るマスキング部材における遮光部の第3具体例の構造を示す図である。 は、図1に示された第1実施例に係るマスキング部材の使用状態を説明するための縦断面図である。 は、この発明に係るマスキング部材の第2実施例の概略構造及び使用状態を説明するための図である。 は、この発明に係る光測定方法の第1実施例を説明するための図である。 は、この発明に係る光測定方法の第2実施例を説明するための図である。 は、この発明に係る光測定用キットの第1〜第3実施例の概略構造を示す縦断面図である。 は、第3実施例に係る光測定用キットとして蛍光測定用キットの使用方法を説明するための図である。 は、この発明に係る光測定用容器の第1実施例の概略構造及び使用状態を説明するための図である。 は、この発明に係る光測定用容器の第2実施例の概略構造及び使用状態を説明するための図である。
符号の説明
1a、1b、1c…遮光部、2、2’…メッシュ、3、3’…メッシュ穴、4…斜め穴、10、20…外枠部、11…リム状部、21…シート状部、100、100’、200…マスキング部材、400…容器、500…マイクロプレート、550、750…ウェル、600、700…光測定用容器、630、730…位置決め手段、800、810、820…光測定用キット、B…蛍光色素、試験化合物又は発光試薬を含む液(バッファー)、S…被測定対象、SS…サンプル溶液、l…バッファーからの背景光、L…被測定対象からの蛍光。
以下、この発明に係るマスキング部材、光測定方法、光測定用キット、及び光測定装置の各実施例を、蛍光測定を例として図1〜図12を用いて詳細に説明する。なお、図面の説明において同一部位、同一部材には同一符号を付して重複する説明を省略する。
(マスキング部材の第1実施例)
図1は、この発明に係るマスキング部材の第1実施例の構造を示す図であり、領域(a)は、この第1実施例に係るマスキング部材の斜視図であり、領域(b)はその縦断面図である。
図1に示されたように、第1実施例に係るマスキング部材100は、遮光部1と、遮光部1を支持した状態で遮光部1を容器内に位置決めする外枠部10を備える。外枠部10は、図1中の領域(a)に示されたように、容器内壁に嵌合するような円筒形状を有する。外枠部10は、リム状部11を有し、使用時には容器上部に係合して遮光部1を容器内の所定の深さに設置させるよう機能する。外枠部10は、蛍光測定時にタンパク質や試薬等の非特異的吸着を抑制する観点から、疎水性・非吸収性を有するのが好ましく、材質としてはポリスチレンやポリプロピレン、ポリエチレンが好ましい。また、マスキング部材100の色は透光性のものでなければ特に制限されず、遮光及び消光をするため、一般的に黒色であるのが好ましい。あるいは、遮光部1を反射部とし、非特異的な蛍光又は発光を反射する色が選択されても構わない。
図1に示されたように、外枠部10に支持される遮光部1は膜形状を有する。この遮光部1は、遮光性及び液体透過性を有する。図2〜図4は、遮光部の具体的な構造を示す図である。
図2は、図1に示された第1実施例に係るマスキング部材における遮光部の第1具体例の構造を示す図であり、領域(a)は、単層メッシュ構造の遮光部を含むマスキング部材を示す斜視図であり、領域(b)は、該マスキング部材の縦断面図、そして、領域(c)は、第1具体例に係る遮光部の拡大図である。
図2に示された第1具体例では、マスキング部材100は単層メッシュ構造の遮光部1aを備える。図2中の領域(a)及び(b)に示されたように、遮光部1aはメッシュ状の網目構造を有する。また、図2中の領域(c)に示されたように、遮光部1aを構成するメッシュ2は、複数の微小なメッシュ穴3を有し、蛍光色素や試験化合物等の分注時にはそれらはメッシュ穴3を通って被測定対象へ透過していく。一方、メッシュ穴3は微小なため、遮光部1aに入射した光の大部分は透過しない(遮光)。
図3は、図1に示された第1実施例に係るマスキング部材における遮光部の第2具体例の構造を示す図であり、領域(a)は、2層メッシュ構造の遮光部を含むマスキング部材を示す斜視図であり、領域(b)は、該マスキング部材の縦断面図であり、領域(c)は、第2具体例に係る遮光部の拡大図である。
図3に示された第2具体例では、マスキング部材100は2層メッシュ構造の遮光部1bを備える。図3中の領域(a)に示されたように、遮光部1bは単層メッシュを2枚重ねた構造を有する。図3中の領域(b)に示されたように、この2層メッシュ構造は、2層のメッシュの網目が互い違いになるように配置されている。そして、図3中の領域(c)にさらに詳細に示されたように、遮光部1bは、メッシュ2、2’のメッシュ穴3、3’がそれぞれ互い違いに重なり、遮光部1bに入射した直射光はほとんど透過できない。したがって、この第2具体例に係る遮光部1bは、図2の第1具体例のような単層メッシュ構造と比較しても、より高い遮光性を有する。一方、バッファー等の液体は2層のメッシュ2、2’におけるそれぞれのメッシュ穴3、3’を透過可能である。
図4は、図1に示された第1実施例に係るマスキング部材における遮光部の第3具体例の構造を示す図であり、領域(a)は、斜筒構造の遮光部を含むマスキング部材を示す斜視図であり、領域(b)は、該マスキング部材の縦断面図であり、領域(c)は、第3具体例に係る遮光部の拡大図である。
図4に示された第3具体例では、マスキング部材100は斜筒構造の遮光部1cを備える。図4中の領域(a)に示されたように、遮光部1cにはその表裏を貫通する穴が複数設けられている。しかしながら、図4中の領域(b)及び(c)に示されたように、この穴は遮光部1cに垂直に設けられておらず、斜めに角度を付けて設けられた斜め穴4である。このため、遮光部1cに入射した光はほとんど透過することができず、遮光される。一方、バッファー等の液体は遮光部1cの斜め穴4を透過可能である。
以上のような構造を有する遮光部は、外枠部と同様に疎水性・非吸収性を有するのが好ましい。具体的な材質としては、マスキング部材挿入後に薬剤を分注する用途においては、親水性の高いナイロン、セルロース、木綿、ウールなどを用いるか、プラズマ処理、化学処理、光触媒反応などによる親水化処理を施した樹脂、ガラス、シリコン部材などを用いることが好ましい。また、タンパク質等の非特異吸着を避ける場合には、疎水性素材として、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーカーボネイト等を用いることが好ましい。
次に、図5を参照して、第1実施例に係るマスキング部材の機能について説明する。図5は、第1実施例に係るマスキング部材の使用状態を説明するための縦断面図である。図5に示されたように、底部が透明な容器400の底部には、培養された細胞やコーティングされた抗体等の被測定対象Sが配置される。容器400には、蛍光色素を含む液(バッファー)Bが入れられ、蛍光色素を取り込んだ被測定対象S(例えば蛍光標識細胞)は所定の蛍光を発する。また、バッファーB中には、スクリーニングを行いたい試験化合物(試薬)も投入される。容器400には、この第1実施例に係るマスキング部材100が挿入されている。マスキング部材100の外枠部10のリム状部11は、容器400の上端に係合し、遮光部1を容器400内の所定の位置に位置決めする。遮光部1は、被測定対象Sに物理的な影響を与えない観点から、被測定対象Sに接触しない高さに位置決めされるのが好ましい。
この状態では、励起光は容器400の透明な底面から照射され、被測定対象Sからの蛍光Lは、容器400の底部から蛍光測定される。この場合、容器400の底面から照射された励起光は、遮光部1により遮光されるので、遮光部1より上方に位置するバッファーには到達せず、遮光部1より下方に位置する被測定対象Sに選択的に照射される。一方、励起光の一部が遮光部1を通過してバッファーB中に存在する過剰な蛍光色素や試験化合物を励起した場合であっても、それら由来の蛍光によるバッファーBからの背景光l(非特異的な蛍光)は、遮光部1により遮光される。そのため、容器400の底部からの蛍光測定において、バッファーからの背景光lに邪魔されることなく、被測定対象からの特異的な蛍光Lを測定することができ、擬陽性の少ない高精度蛍光測定が可能になる。
さらにこの場合、バッファーB中の被測定対象Sに吸収されなかった過剰な蛍光色素や試験化合物からの蛍光も遮光部1により遮光されるため、従来、必要であったバッファーの置換工程(洗浄工程)は不要となる。その結果、洗浄の手間を省き、上述のような洗浄工程により被測定対象が容器底部から剥離する問題も生じないため、蛍光測定のスループットが向上する。また、このマスキング部材100を付けたままの状態でも試薬等の分注も可能であり、分注された試薬は、液体透過性を有する遮光部1を介して、被測定対象Sに到達する。このとき、試薬と被測定対象Sとが所定の反応を起こし、その結果をリアルタイムで蛍光観察することも可能になる。
この図5に示された使用例では、被測定対象Sは容器400の底部に固定されているが、この発明に係るマスキング部材は、バッファーB中に浮遊する細胞等の蛍光測定をする際にも適用可能である。この場合、例えば、遮光部1のメッシュ穴のサイズをより微小にし、浮遊細胞を遮光部1より下に留めるようにするのが好ましい。
また、この使用例では、被測定対象Sに蛍光色素を取り込ませて、蛍光標識することとしているが、被測定対象Sが蛍光タンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する細胞の場合には、必ずしも蛍光色素で細胞を標識する必要は無い。この場合であっても、自家蛍光を有する試験化合物に由来する背景光を遮光できるので、擬陽性の少ない高精度蛍光測定が可能となる。さらに、洗浄工程も不要となるので、蛍光測定のスループットが向上する。
なお、この使用例では、蛍光標識された被測定対象Sを用いているが、例えばルシフェラーゼのような発光酵素の遺伝子を発現する細胞を被測定対象として発光測定を行ってもよい。発光測定では、蛍光色素を励起する励起光の照射は不要である。発光測定の場合には、マスキング部材は、被測定対象より上方に位置する発光試薬等を含む液から容器底部への背景光を遮光できるため、被測定対象由来の発光と背景光との分離が可能になり、被測定対象に影響を与えることなく高精度かつ高スループットな発光測定が可能となる。
(マスキング部材の第2実施例)
図6は、この発明に係るマスキング部材の第2実施例の概略構造及び使用状態を説明するための図であり、領域(a)は、第2実施例に係るマスキング部材の全体斜視図であり、領域(b)は、該マスキング部材の拡大図であり、領域(c)は、遮光部周辺の拡大図であり、領域(d)は、当該マスキング部材の使用状態を示す縦断面図である。
この第2実施例に係るマスキング部材は、複数のウェルを備えるマイクロプレートに使用される点で、第1実施例に係るマスキング部材(図1)と異なる。
図6に示されたように、第2実施例に係るマスキング部材200は、被測定対象を収容する複数のウェルを備えるマイクロプレートに使用され、該マスキング部材200は、マイクロプレートの複数のウェルに対応した複数の遮光部1と、これら遮光部1それぞれを支持する支持構造とを備える。支持構造は、小円筒形状の複数の外枠部20と、マイクロプレートの上面を覆う一体構造のシート状部21を有し、マイクロプレートの上面形状と嵌合して、マイクロプレートの各ウェル内に各遮光部1をそれぞれ位置決めする。
図6中の領域(b)及び(c)に示されたように、個々の遮光部1と、それを支持する小円筒形状の外枠部20は、上述の第1実施例に係るマスキング部材と同様の構造と材質が適用され得る。なお、全ウェル同時測定する系で使用するため、全ウェルの遮光・消光条件を統一するために、各遮光部1の構造と各ウェル中での位置関係を均一にしておくのが好ましい。
この第2実施例に係るマスキング部材の使用状態において、図6中の領域(d)に示されたように、マイクロプレート500に設けられたウェル550の透明な底部には、培養された細胞等の被測定対象Sが配置される。各ウェル550内には、蛍光色素を含む液(バッファー)Bが投入され、各ウェル中の、蛍光色素を取り込んだ被測定対象Sは所定の蛍光を発する。バッファーB中には、各ウェルにスクリーニングを行いたい試験化合物(試薬)も投入される。マイクロプレート500にはこの第2実施例に係るマスキング部材200が、各遮光部1とそれを支持する小円筒状の外枠部20が各ウェル550と嵌合するように挿入される。一体構造のシート状部21がマイクロプレート500の上部を覆うようにして嵌合することにより、遮光部1はウェル550内の所定の位置に位置決めされる。
第2実施例に係るマスキング部材200において、上述の第1実施例と同様に、各ウェル中の被測定対象Sからの蛍光Lは、ウェル550の透明な底部から蛍光測定される。この場合、ウェル550の底面から照射された励起光は、遮光部1により遮光されるので、遮光部1より上方に位置するバッファーには到達せず、遮光部1より下方に位置する被測定対象Sに選択的に照射される。一方、励起光の一部が遮光部1を通過してバッファーB中に存在する過剰な蛍光色素や試験化合物を励起した場合であっても、遮光部1より上部のバッファーBからの背景光lは、遮光部1により遮光される。そのため、各ウェル550の底部からの蛍光測定において、バッファーからの背景光lに邪魔されることなく、高精度蛍光測定が可能になる。
この第2実施例においても、バッファーB中の過剰な蛍光色素からの蛍光は、遮光部1により遮光されるため、バッファーの置換工程は不要であり、蛍光測定のスループットが向上し得る。マスキング部材200を付けたままの状態で、各ウェル550中にそれぞれ所望の試薬等が分注される場合であっても、分注された試薬は、液体透過性を有する遮光部lを介して、被測定対象Sに到達する。そして、試薬と被測定対象Sが所定の反応を起こし、その結果を各ウェル550の底部から蛍光観察することができる。これにより全ウェル同時に種々の蛍光測定を行なうことが可能になる。
なお、この実施例においても、第1実施例と同様に、蛍光タンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する細胞を被測定対象として蛍光測定する場合には、蛍光色素で細胞を標識する工程を除いてもよい。また、第1実施例と同様に、例えばルシフェラーゼのような発光酵素の遺伝子を発現する細胞を被測定対象として発光測定を行えば、同様の効果が奏される。
(光測定方法の第1実施例)
次に、上述の第2実施例に係るマスキング部材200を使用した場合を例にとり、この発明に係る光測定方法の第1実施例を具体的に説明する。
図7は、第2実施例に係るマスキング部材を用いた、この発明に係る光測定方法の第1実施例を説明するための図である。この第1実施例に係る光測定方法では、まず図7中の領域(a)に示されたように、第1ステップとして、マイクロプレート500のような容器の各ウェル550の透明な底部に、培養された細胞又はコーティングされた抗体等が被測定対象Sとして入れられる。次に、図7中の領域(b)に示されたように、第2ステップとして、各ウェル550内に、蛍光色素を含んだ液(バッファー)Bを供して培養細胞に蛍光色素を取り込ませるが。そして、図7中の領域(c)に示されたように、第3ステップとして、蛍光色素を含んだバッファーBを除去することなく(洗浄を行うことなく)、上述のような遮光性及び液体透過性を有する遮光部を含むマスキング部材200がマイクロプレート500に挿入・嵌合されることにより、該遮光部が被測定対象Sの上方に配置される。これにより、ウェル550内に存在する被測定対象S以外からの蛍光が遮光される。
このようにマスキング部材200により、バッファーB中の過剰な蛍光色素からの蛍光を遮光するため、手間がかかるバッファー中の過剰な蛍光色素を除去するための洗浄工程を行う必要がない。また。洗浄によりウェル550底部から細胞等の被測定対象が剥離するような問題も生じない。そのため、高スループットの蛍光測定が可能になる。
その後、図7中の領域(d)に示されたように、第4ステップとして、バッファーBからの背景光lが遮光部1により遮光された状態で、被測定対象Sからの蛍光Lが各ウェル550の底部から観察される。なお、スクリーニングを行いたい化合物や試薬等は、マスキング部材200を挿入する前に被測定対象Sに供給され得るが、マスキング部材200が挿入された後であっても、液体透過性を有する遮光部1を介して被測定対象Sに供給され得る。この第1実施例に係る蛍光測定方法においては、バッファーBからの背景光lが効果的に遮光されるため、高精度蛍光測定が可能になる。
また、この実施例では、被測定対象Sに蛍光色素を取り込ませて、蛍光標識することとしているが、被測定対象Sが蛍光タンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する細胞の場合には、蛍光色素での細胞の標識は不要である。この場合であっても、自家蛍光を有する試験化合物に由来する背景光を遮光できるので、擬陽性の少ない高精度蛍光測定が可能となる。さらに、洗浄工程も不要となるので、蛍光測定のスループットが向上する。
また、この実施例では、蛍光標識された被測定対象Sを用いているが、例えばルシフェラーゼのような発光酵素の遺伝子を発現する細胞を被測定対象とする場合には、蛍光色素での細胞の標識は不要である。この場合であっても、自家蛍光を有する試験化合物に由来する背景光を遮光できるので、高精度かつ高スループットな発光測定が可能となる。
(光測定方法の第2実施例)
図8は、第2実施例に係るマスキング部材を用いた、この発明に係る光測定方法の第2実施例を説明するための図である。この第2実施例に係る光測定方法では、図8中の領域(a)に示されたように、第1ステップとして、第1実施例と同様に被測定対象Sがマイクロプレート500の各ウェル550に入れられる。しかしながら、この第2実施例では、図8中の領域(b)に示されたように、第2ステップとして、先にマスキング部材200がマイクロプレート500に挿入・嵌合され、被測定対象Sの上方に配置される。そして、図8中の領域(c)に示されたように、第3ステップとして、各ウェル550中に蛍光色素を含む液(バッファー)Bを供して、被測定対象に蛍光色素を取り込ませる。その後、図8中の領域(d)に示されたように、第4ステップとして、蛍光色素を含んだバッファーBを除去することなく(洗浄を行うことなく)、バッファーBからの背景光lが遮光部1により遮光された状態で、被測定対象Sからの蛍光Lが各ウェル550の底部から観察される。スクリーニングを行いたい試薬等は、図7に示された第1実施例に係る蛍光測定方法と同様に適宜被測定対象Sに供給され得る。
このように、被測定対象に蛍光色素を供給する前にマスキング部材を挿入する方法(第2実施例に係る光測定方法)でも、バッファー中の過剰な蛍光色素を除去するための洗浄工程を行うことなく、バッファー中の背景蛍光を遮光して、高精度、高スループットの蛍光測定が可能になる。
なお、この実施例においても、第1実施例と同様に、蛍光タンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する細胞を被測定対象として蛍光測定する場合には、蛍光色素で細胞を標識する工程を除いてもよい。また、第1実施例と同様に、例えばルシフェラーゼのような発光酵素の遺伝子を発現する細胞を被測定対象として発光測定を行えば、同様の効果が奏される。
(光測定用キットの第1〜第3実施例)
図9は、この発明に係る光測定用キットの第1〜第3実施例の概略構造を示す縦断面図であり、領域(a)は、第1実施例に係る光測定用キットとしての蛍光測定用キットを示し、領域(b)は、第2実施例に係る光測定用キットとしての蛍光測定用キットを示し、領域(c)は、第3実施例に係る光測定用キットとしての蛍光測定用キットを示す。これら第1〜第3実施例に係る光測定用キットにおいて、被測定対象は予め容器内に収容されており、この容器と遮光を行うためのマスキング部材が1セットとなり、手軽に高精度蛍光測定が行えるようになっている。
図9中の領域(a)に示されたように、第1実施例に係る光測定用キットとしての蛍光測定用キット800は、被測定対象Sとして予め底部に抗体がコーティング済みのシャーレ又はバイエル瓶型の容器400と、容器400内に存在する被測定対象S以外の物からの光を遮光するために容器400内に挿入されるマスキング部材100を1セットとして備える。マスキング部材100は、上述の第1実施例に係るマスキング部材と同様に、遮光部1と、その遮光部1を支持して容器400内に位置決めする外枠部10を有する。遮光部1は遮光性及び液体透過性を有し、図2〜4に示すような構造を有する。外枠部10は、容器400上部に係合して容器400内に遮光部1を位置決めするリム状部11を有する。これらは、蛍光色素で標識されたリガンド(抗体や細胞からの産出物質など)を含むバッファーが、容器400にマスキング部材100を付けたままの状態で投入されることにより、簡単に蛍光測定を可能にする(図5に示されたような状態での蛍光測定を可能にする)。
図9中の領域(b)に示されたように、第2実施例に係る光測定用キットとしての蛍光測定用キット810は、容器として予め被測定対象S(抗体)がコーティング済みの複数のウェル550を有するマイクロプレート500と、1以上のマスキング部材100とを1セットとして備えた点が、第1実施例(図9中の領域(a))と異なる。マイクロプレート500の各ウェル550には、同種あるいは異種の抗体等からなる被測定対象Sが予め入れられており、種々の測定・検査が行えるようになっている。個々のマスキング部材100の外枠部10は、遮光部1をマイクロプレート500のウェル550内に位置決めするためのリム状部11を含む。これらのマスキング部材100は、ウェル550の一部又は全部にそれぞれ挿入され、蛍光色素で標識されたリガンド(抗体や細胞からの産出物質など)を含むバッファーをそのウェル550内に投入することにより、各ウェル550で簡単に種々の蛍光測定が行える。
図9中の領域(c)に示されたように、第3実施例に係る光測定用キットとしての蛍光測定用キット820は、容器として第2実施例(図9中の領域(b))のようなマイクロプレート500を備えるが、マスキング部材として、図6に示されたような一体構成された1つのマスキング部材200を備えた点で、第2実施例(中9中の領域(b))と異なる。このマスキング部材200は、マイクロプレート500の複数のウェル550に対応した複数の遮光部1を有する。このマスキング部材200のシート状部21は、図6に示されたように、マイクロプレート500の上面を覆うシート状であり、各ウェル550内に各遮光部1を位置決めするよう機能する。この第3実施例では、例えば、各ウェル550内に種々の抗体等の被測定対象Sをコーティングしておき、マスキング部材200を挿入・嵌合させたままで、蛍光色素で標識されたリガンド(抗体や細胞からの産出物質など)を含むバッファーが、適宜、各ウェル550中に投入される。これにより、短時間で簡単に種々のスクリーニングが行える。この第3実施例では、マスキング部材200の挿入・嵌合は全てのウェル550に対して一括して一度に行うことができ、作業の省力化を図ることができる。
なお、上記第1〜第3実施例では、リガンドを蛍光標識する例を示しているが、これに限定されず、例えばリガンドと特異的に結合する、蛍光標識された第2抗体を使用してもよい。この場合には、抗体Sが固定化されたウェル550内に抗原や細胞からの産出物質などを含むサンプルを加えた後に、蛍光標識された第2抗体が、洗浄工程を伴うことなく加えられる。このように、この発明に係る光測定用キット(蛍光測定用キット)によれば、種々の蛍光イムノアッセイにおいて、サンプル吸着面以外からのバックグラウンド蛍光を除去し、より検出感度を高めることが可能となる。
また、上記第1〜第3実施例では、リガンドを蛍光標識する例を示しているが、蛍光標識に替えて、ペルオキシダーゼやアルカリフォスファターゼなどの発光酵素で標識してもよい。この場合には、ルミノールや過酸化水素やルシフェラーゼなどの発光酵素の基質(発光試薬)が、洗浄工程を伴うことなく加えられる。このように、この発明に係る光測定用キット(特に、発光測定用キット)によれば、種々の化学・生物発光イムノアッセイにおいて、サンプル吸着面以外からのバックグラウンド発光を除去し、より検出感度を高めることが可能となる。
次に、上述の第3実施例に係る光測定用キットとしての蛍光測定用キットを使用した蛍光測定を例にとり、この発明に係る光測定用キットの使用方法を具体的に説明する。
図10は、上述の第3実施例に係る蛍光測定用キット(図9中の領域(c))の使用方法の一例を説明するための図である。蛍光測定用キット820では、図10中の領域(a)に示されたように、被測定対象Sとして抗体がマイクロプレート500の各ウェル550の底部にコーティングされている。これに対し、図10中の領域(b)に示されたように、抗体Sのリガンド(細胞が産出した物質や抗原等)が含まれるサンプル溶液SSが各ウェル550内に規定量入れられ、抗体Sとリガンドとの間で抗原抗体反応が起こる。そして、図10中の領域(c)に示されたように、リガンドと特異的に結合する、蛍光標識された第2の抗体を含むバッファーBが、リガンドを除去するための洗浄工程を伴うことなくウェル550に加えられ、リガンドと第2の抗体との間で抗原抗体反応が起こる。最後に、図10中の領域(d)に示されたように、マスキング部材200を全てのウェル550に落とし込んで嵌合させ、バッファーB中の過剰な蛍光標識された第2の抗体を除去するための洗浄工程を行うことなくウェル550の底面から蛍光測定が行われる。以上のように、1つの蛍光測定用キットだけで、種々の蛍光測定が簡単に行うことができる。また、この発明に係る光測定用キットは、細胞を用いた蛍光アッセイの他、蛍光イノムアッセイのツールとしても利用可能である。
なお、この発明に係る光測定用キットは、図10に示された例のようにマスキング部材を着脱することなく、マイクロプレートにマスキング部材を嵌合・装着したまま、蛍光色素を含むバッファーや試薬を各ウェルに投入し、バッファーの蛍光色素の洗浄を行わずウェル底面から蛍光測定することによっても、種々の蛍光測定を可能にする。
なお、上記使用例では、第2の抗体を蛍光標識する例を示しているが、これに限定されず、例えばリガンドを蛍光標識してもよい。この場合には、第2の抗体を加える工程は不要となる。この発明に係る光測定用キットとして蛍光測定用キットを使用した蛍光測定によれば、種々の蛍光イムノアッセイにおいて、サンプル吸着面以外からのバックグラウンド蛍光を除去し、より検出感度を高めることが可能となる。
また、上記使用例では、第2の抗体を蛍光標識する例を示しているが、蛍光標識に替えて、ペルオキシダーゼやアルカリフォスファターゼなどの発光酵素で標識してもよい。この場合には、ルミノールや過酸化水素やルシフェラーゼなどの発光酵素の基質(発光試薬)が、洗浄工程を伴うことなく加えられる。このように、この発明に係る光測定用キットとして発光測定用キットを使用した発光測定によれば、種々の化学・生物発光イムノアッセイにおいて、サンプル吸着面以外からのバックグラウンド発光を除去し、より検出感度を高めることが可能となる。
(光測定用容器の第1実施例)
図11は、この発明に係る光測定用容器の第1実施例の構造を示す図であり、領域(a)は、第1実施例に係る光測定用容器を示す斜視図であり、領域(b)は、第1実施例に係る光測定用容器の縦断面図であり、領域(c)は、第1実施例に係る光測定用容器の使用状態を示す縦断面図である。上述のマスキング部材の第1及び第2実施例、上述の光測定用キットの第1〜第3実施例では、マスキング部材を位置決めする手段がマスキング部材側に設けられていたのに対し、この発明に係る光測定用容器では、被測定対象を収容する当該容器の側に位置決め手段が設けられている。
この第1実施例に係る光測定用容器は、容器内に存在する被測定対象以外の物からの光を遮光するための遮光性及び液体透過性を有するマスキング部材を、容器内に挿入されて使用される。図11中の領域(a)及び(b)に示されたように、この光測定用容器600の内壁には、マスキング部材を位置決めするための位置決め手段630が設けられている。このように、容器内壁に段差を設けることによりマスキング部材の位置決めをするようにされているが、位置決め手段としてはこれに限定されるものではなく、他の態様より容器内壁に凹凸部を設けて位置決めをしたり、バネ、ネジ、磁力等を利用した止め具等により位置決めするようにされていても良い。
図11中の領域(c)に示されたように、蛍光測定時には、位置決め手段630に、遮光性及び液体透過性を有するマスキング部材100’が載置され、光測定用容器600内の所定の位置に位置決めされる。これにより、第1実施例に係るマスキング部材を用いた場合と同様に、光測定用容器630の底面から照射された励起光は、遮光部100’により遮光されるので、遮光部1より上方に位置するバッファーには到達せず、遮光部100’より下方に位置する被測定対象Sに選択的に照射される。一方、励起光の一部が遮光部100’を通過してバッファーB中に存在する蛍光色素や試験化合物を励起した場合であっても、バッファーBからの背景光lは遮光部100’により遮光され、被測定対象Sからの蛍光Lを測定することができる。この第1実施例に係る測定用容器では位置決め手段630が、光測定用容器側に設けられているため、図1に示されたマスキング部材のように、マスキング部材側に位置決め手段は必要ない。そのため、例えば遮光性及び液体透過性を有するメッシュ構造の膜材等をそのままマスキング部材として使用することができる。
なお、この第1実施例では、蛍光標識された被測定対象Sを用いているが、例えばルシフェラーゼのような発光酵素の遺伝子を発現する細胞を被測定対象として発光測定を行ってもよい。発光測定では、蛍光色素を励起する励起光の照射は不要である。発光測定の場合には、マスキング部材は、被測定対象より上方に位置する発光試薬等を含む液から容器底部への背景光を遮光できるため、被測定対象由来の発光と背景光との分離が可能になり、被測定対象に影響を与えることなく高精度かつ高スループットな発光測定が可能となる。
この第1実施例に係る光測定用容器は、細胞を用いた蛍光アッセイ以外に、種々の発光アッセイや、蛍光イムノアッセイ、化学・生物発光アッセイのツールとしても利用可能である。
(光測定用容器の第2実施例)
図12は、この発明に係る光測定用容器の第2実施例の構造を説明するための図であり、領域(a)は、この第2実施例に係る光測定用容器の全体斜視図であり、領域(b)は、第2実施例に係る光測定用容器の拡大図であり、領域(c)は、ウェル周辺の拡大図であり、領域(d)は、第2実施例に係る光測定用容器の使用状態を示す縦断面図である。この第2実施例に係る光測定用容器では、被測定対象を収容するための複数のウェルを備えたマイクロプレート型である点が、第1実施例に係る光測定用容器(図11)と異なる。
図12中の領域(a)に示されたように、この第2実施例に係る光測定用容器700は、通常のマイクロプレートと同様に被測定対象を収容するための複数のウェル750を備える。しかしながら、図12中の領域(b)に示された拡大図及び領域(c)に示されたウェル750周辺の拡大図からも分るように、光測定用容器700は、各ウェル750内壁にマスキング部材を位置決めする位置決め手段730がそれぞれ設けられている。
図12中の領域(d)に示されたように、蛍光測定時には、各ウェル750内壁の位置決め手段730に、遮光性及び液体透過性を有するマスキング部材100’が載置され、各ウェル750内の所定の位置に位置決めされる。これにより、第2実施例に係るマスキング部材(図6)を用いた場合と同様に、ウェル750の底面から照射された励起光は、遮光部100’により遮光されるので、遮光部100’より上方に位置するバッファーには到達せず、遮光部100’より下方に位置する被測定対象Sに選択的に照射される。一方、励起光の一部が遮光部100’を通過してバッファーB中に存在する蛍光色素や試験化合物を励起した場合であっても、バッファーBからの背景光lが遮光部100’により遮光され、被測定対象Sの蛍光Lのみの測定が可能になる。この第2実施例に係る光測定用容器においても、位置決め手段は容器側に設けられているため、マスキング部材側に図6に示されたような位置決め手段は必要なく、遮光性及び液体透過性を有するメッシュ構造の膜材等をそのままマスキング部材として各ウェルに挿入して用いることができる。
なお、この使用例では、蛍光標識された被測定対象Sを用いているが、例えばルシフェラーゼのような発光酵素の遺伝子を発現する細胞を被測定対象として発光測定を行ってもよい。発光測定では、蛍光色素を励起する励起光の照射は不要である。発光測定の場合には、マスキング部材は、被測定対象より上方に位置する発光試薬等を含む液から容器底部への背景光を遮光できるため、被測定対象由来の発光と背景光との分離が可能になり、被測定対象に影響を与えることなく高精度かつ高スループットな発光測定が可能となる。
この第2実施例に係る光測定用容器は、細胞を用いた蛍光アッセイ以外に、種々の発光アッセイや、蛍光イムノアッセイ、化学・生物発光アッセイのツールとしても利用可能である。
発明者は、この発明に係るマスキング部材の効果について検証するため、図6に示されたマスキング部材を用いて以下のような蛍光測定を行った。
各ウェルの底面にCHO細胞を接着したマイクロプレートが2枚用意された。これらマイクロプレートのCHO細胞には、蛍光色素(Fluo3)を含むバッファーが供給され、蛍光色素をCHO細胞に取り込ませた。この際、蛍光色素を含むバッファーの除去は行われず、蛍光色素の洗浄は行われなかった。さらに、両マイクロプレートの各ウェル内に、試験化合物の代替物として1μMのFITCが加えられた。
次に、これらマイクロプレートに対応した図6に示されたようなマスキング部材が用意された。それぞれの遮光部の構造は図2に示されたような単層メッシュ構造である(ナイロン繊維製)。そして、このマスキング部材が挿入されたマイクロプレートと、マスキング部材が挿入されないマイクロプレートについて、ウェルの底面から蛍光測定が行われた。
その結果、マスキング部材が挿入されたマイクロプレートでは、細胞由来の蛍光の検出が可能であった。一方、マスキング部材が挿入されていないマイクロプレートでは、1μMのFITCは非常に高い蛍光量のため、蛍光測定に用いたカメラレンジがすぐに飽和してしまい、細胞由来の蛍光の検出ができなかった。
なお、この発明に係るマスキング部材、光測定方法、光測定用キット及び光測定用容器は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明を様々に変形しうることは明らかである。そのような変形は、本発明の思想及び範囲から逸脱するものとは認めることはできず、すべての当業者にとって自明である改良は、以下の請求の範囲に含まれるものである。
この発明に係るマスキング部材、光測定方法、光測定用キット及び光測定用容器は、創薬における化合物ライブラリーのスクリーニングなどで実施される蛍光測定に適用可能である。

Claims (9)

  1. 容器内の液中に配置された被測定対象由来の蛍光及び発光のいずれかを該容器の底部から測定する際に用いられるマスキング部材であって、
    液体透過性を有する一方、前記被測定対象を挟んで前記容器の底部と反対側に位置する液から該容器の底部への背景光を遮光する遮光性を有する遮光部と、そして、
    前記遮光部を支持した状態で、前記被測定対象を挟んで前記容器の底部と反対側に該遮光部を位置決めする外枠部とを備えたマスキング部材。
  2. それぞれに被測定対象を含む液が収容された複数のウェルを備えるマイクロプレートに適用され、該ウェルそれぞれに収納された被測定対象由来の蛍光及び発光のいずれかを該ウェルの底部からそれぞれ測定する際に用いられるマスキング部材であって、
    前記ウェルそれぞれに対応して用意され、それぞれが液体透過性を有する一方、前記対応するウェル内に収納された被測定対象を挟んで該対応するウェルの底部と反対側に位置する液から該ウェルの底部への背景光を遮光する遮光性を有する複数の遮光部と、そして、
    前記マイクロプレートの上面を覆うシート状部と、前記ウェルそれぞれに対応して用意され、それぞれが対応する遮光部を支持した状態で、前記対応するウェル内に収納された被測定対象を挟んで該対応するウェルの底部と反対側に該遮光部を位置決めする複数の外枠部とで構成された支持構造とを備えたマスキング部材。
  3. 被測定対象を容器内に入れる第1ステップと、
    前記容器内に蛍光色素、試験化合物及び発光試薬の少なくともいずれかを含む液を加える第2ステップと、
    前記被測定対象を挟んで前記容器の底部とは反対側に位置する液から該容器の底部への背景光を遮光するステップであって、遮光性及び液体透過性を有する遮光部を備えたマスキング部材を用意し、容器の底部とともに前記被測定対象を該遮光部で挟むように該容器に対して該マスキング部材を配置する第3ステップと、そして、
    前記被測定対象由来の蛍光及び発光のいずれかを前記容器の底部から測定する第4ステップとを備えたことを特徴とする光測定方法。
  4. 被測定対象を容器内に入れる第1ステップと、
    遮光性及び液体透過性を有する遮光部を備えたマスキング部材を用意し、容器の底部とともに前記被測定対象を該遮光部で挟むように該容器に対して該マスキング部材を配置する第2ステップと、
    前記容器内に蛍光色素、試験化合物及び発光試薬の少なくともいずれかを含む液を加える第3ステップと、そして、
    前記被測定対象を挟んで前記容器の底部とは反対側に位置する液から該容器の底部への背景光を前記マスキング部材により遮光しつつ、前記被測定対象由来の蛍光及び発光のいずれかを前記容器の底部から測定する第4ステップとを備えた光測定方法。
  5. 容器内の液中に配置された被測定対象由来の蛍光及び発光のいずれかを該容器の底部から測定するための光測定用キットであって、
    前記液とともに前記被測定対象を収容するための容器と、そして、
    それぞれが請求項1記載のマスキング部材と同様の構造を有する、1又はそれ以上のマスキング部材を備えた光測定用キット。
  6. それぞれが被測定対象を収納する1又はそれ以上のウェルを有するマイクロプレートと、そして、
    それぞれが請求項1記載のマスキング部材と同様の構造を有する、1又はそれ以上のマスキング部材を備えた光測定用キット。
  7. それぞれが被測定対象を収納する複数のウェルを有するマイクロプレートと、そして、
    請求項2記載のマスキング部材とを備えた光測定用キット。
  8. 液とともに被測定対象を内部に収容し、底部から被測定対象由来の蛍光及び発光のいずれかを測定するための光測定用容器であって、
    前記容器内壁に、液体透過性を有する一方、前記被測定対象を挟んで前記容器の底部と反対側に位置する液から該容器の底部への背景光を遮光する遮光性を有するマスキング部材の位置決めをするための位置決め手段が設けられた光測定用容器。
  9. それぞれに被測定対象を含む液が収容された複数のウェルを備え、該ウェルそれぞれに収納された被測定対象由来の蛍光及び発光のいずれかを該ウェルの底部からそれぞれ測定する際に用いられる光測定用容器であって、
    前記ウェル内壁それぞれに、液体透過性を有する一方、前記対応するウェル内に収納された被測定対象を挟んで該対応するウェルの底部と反対側に位置する液から該ウェルの底部への背景光を遮光するマスキング部材の位置決めをするための位置決め手段が設けられた光測定用容器。
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