JP2014224680A - 蛍光センサーおよびアナライト成分測定方法 - Google Patents

蛍光センサーおよびアナライト成分測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】寿命を延ばすことのできる蛍光センサーを提供する。【解決手段】生体のアナライト成分を検知して、励起光が当たることによりアナライト成分の量に応じた蛍光を発する蛍光物質を含むインジケータ層5と、蛍光を受光して蛍光の強さに応じた電気信号を出力するフォトダイオード3と、インジケータ層5へ励起光を照射する光源6とを有し、インジケータ層5はフォトダイオード6上に配置され、光源6はそこから発する励起光がフォトダイオード3の受光面に平行な方向でインジケータ層5内へ照射することを特徴とする蛍光センサー。【選択図】図1

Description

本発明は、生体内のアナライト成分を測定する蛍光センサーおよびアナライト成分測定方法に関する。
従来から、液体中のアナライトの濃度を定量する装置としては、様々な分析装置が開発されている。たとえばこのような分析装置の一つは、一定容量の透明な容器にアナライトを含む数ミリリットルの溶液を注入し、容器に適当な光を照射して、アナライトの光吸収や蛍光を測定することが行われる。このような分析装置は、蛍光分光光度計と称されている。
このような蛍光センサーは、近年の半導体装置製造技術やマイクロマシニング技術により、非常に小型化したものが提案されている。たとえば、特許文献1には、薄い透明基板上にフォトダイオードを形成して、このフォトダイオード上にはアナライトと反応して蛍光を出すインジケータ層を配置し、このフォトダイオードの両脇および上部には光学路を設けることでフォトダイオード上のインジケータ層へ励起光を導く構成の蛍光センサーが開示されている。この蛍光センサーでは、励起光はフォトダイオードの裏面方向からインジケータ層全面に照射されるようにして、直接フォトダイオードの受光面に向けて励起光が照射されないようにしている。
米国特許第5039490号明細書
しかしながら、インジケータ層の蛍光化合物は、励起光にさらされると劣化して、蛍光を発しなくなることが知られている。このため蛍光センサーの寿命をより長く保つことのできる蛍光センサーが望まれている。
本発明の目的は、これまでより寿命を延ばすことのできる蛍光センサーを提供することである。
上記目的を達成するための本発明の蛍光センサーは、生体のアナライト成分を検知して、励起光が当たることにより前記アナライト成分の量に応じた蛍光を発する蛍光物質を固定したインジケータ層と、前記蛍光を受光して前記蛍光の強さに応じた電気信号を出力するフォトダイオードと、前記インジケータ層へ前記励起光を照射する光源と、を有し、前記インジケータ層は、前記フォトダイオード上に配置され、前記光源は前記励起光を前記フォトダイオードの受光面に平行な方向に前記インジケータ層内へ照射することを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明のアナライト成分測定方法は、励起光が当たることにより生体のアナライト成分の量に応じた蛍光を発する蛍光物質を固定したインジケータ層中に光源から前記励起光を入射させて、前記蛍光物質が発する蛍光を受光して前記蛍光の強さを測定するアナライト成分測定方法であって、前記蛍光物質が蛍光を発生する部位を、前記光源から遠い方向へ移動させて、当該移動させた部位から発する蛍光の強さを測定することを特徴とする。
上記のように構成した本発明の蛍光センサーによれば、フォトダイオード受光面と平行にインジケータ層に向けて励起光を照射することとした。これによりインジケータ層内に固定した蛍光物質が、光源から奥の方へ徐々に透明化してゆき、もっとも蛍光を発する位置が移動(シフト)する。このため、インジケータ層の光源からもっとも奥に励起光が当たるようになるまで測定を継続することができるようになり、インジケータ層の寿命を長くすることができる。
また、上記のように構成した本発明のアナライト成分測定方法によれば、インジケータ層内に固定した蛍光物質に対して、励起光を入射させて、もっとも蛍光を発する位置を光源から遠くなるように移動(シフト)させることとした。このためインジケータ層の光源からもっとも奥に励起光が当たるようになるまで測定を継続することができて、インジケータ層の寿命を長くすることができる。
本実施形態の蛍光センサーの概略図であって、(A)は断面図、(B)は平面図である。 ポリシリコン膜および炭化シリコン膜の透過率特性を示したグラフである。 光源にLEDを用いた場合を説明するための光源部分の部分断面図である。 基板上の励起光の光源として光ファイバーを載置した例を示す部分断面図である。 蛍光センサーの作用を説明するための説明図である。 センサシステムの外観斜視図である。 センサシステムのガイド針を生体に刺したときの模式図である。 ガイド針の拡大斜視図である。 蛍光センサーの変形例を説明するための概略断面図である。 蛍光センサーの他の変形例を説明するための概略断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
以下では、本発明を適用した蛍光センサーの実施形態について説明する。続いて、この蛍光センサーを備えた装置構成の一例としてのセンサシステムについて説明する。
図1は本実施形態の蛍光センサーの概略図であって、図1(A)は蛍光センサーの概略断面図であり、図1(B)は蛍光センサーの遮光膜を除いて図1(A)の上方からみた概略平面図である。
この蛍光センサー1は、基板2面に設けられたフォトダイオード3と、少なくともフォトダイオード3の受光面を覆う光学フィルタ4と、フォトダイオード3上に位置し、光学フィルタ4上に設けられたインジケータ層5と、フォトダイオード3の側方で受光面に対して平行方向にインジケータ層5へ励起光を発する光源6と、少なくともインジケータ層5上を覆う遮光膜7と、を有する。
基板2は、たとえばシリコン単結晶基板である。そしてこの基板2の表面にフォトダイオード3が半導体装置製造技術の一つであるプレーナ技術などにより直接形成されている。また、図1(B)を参照すれば、基板面上にフォトダイオード3からの信号を検出するための一つの配線51が光源6側の基板端へ延びている。フォトダイオード3の他方の信号線は基板2から取ることができる。また光源6への電力供給配線52、53なども基板面上に形成されている。なお、このような配線の配置は図示した場合に限らず、LEDの下にLEDから絶縁して配線するなど、どのように配置してもよい。
光学フィルタ4は、光源6からの光が直接フォトダイオードに入射しないように、光源波長のみを遮断する一方、インジケータ層5からの蛍光波長は透過させる性質を持つ。その配置位置は、少なくともフォトダイオード3を覆う位置であればよいが、装置内部での光の乱反射なども考慮して、光源直下まで配置しておくことが好ましい。これは、光源6から出た光がその直下から基板2内へ進入してフォトダイオード3に影響しないようにするためである。
このような光学フィルタ4としては、たとえば、励起光波長として350nm〜420nm、好ましくは中心波長375nmの光源6を用いる一方で、インジケータ層5として、その蛍光波長が400nm〜600nmでピーク波長480nmである場合、波長350nm〜420nmを遮断する一方、420nm以上、好ましくは450nm〜600nmを透過させるようにすればよい。
より具体的には、フォトダイオード素子の表面に、数十nm〜数百nmの厚さの酸化シリコン膜とその上に形成された数百nm〜数μmの厚さのポリシリコン膜から成るフィルタ層を設ければよい。このように構成されたフィルタ層は、励起波長375nmの励起光がフォトダイオードに入射するのを抑制できる。たとえば900nmのポリシリコン厚とすれば、約1/10にまで抑制できる。後述する光源6にLEDを用いた場合には、励起波長の他の波長でもわずかな発光があるが、たとえば、1層あたり数nm〜数十nmの厚さの酸化タンタルと酸化シリコンを交互に数十〜数百層積層して蛍光波長で選択的に透過率が高いバンドパスフィルタを作製し、フォトダイオードに前置するように配することで、フォトダイオードへの入射をより確実に遮断できる。
光学フィルタ4としては、そのほかに、たとえば、炭化シリコン(SiC)膜を用いることができる。
図2は、ポリシリコン膜および炭化シリコン膜の透過率特性を示したグラフであり、横軸は光の波長を示し縦軸は光透過率を示している。そして(A)は膜厚が0.5μmのポリシリコン膜の場合を、(B)は膜厚が360μmの炭化シリコン膜の場合を示している。
図示するように(A)ポリシリコン膜、(B)炭化シリコン膜のいずれも375nmより短い励起光Eの波長では透過率は10−7以下であるのに対して、460nmの蛍光Fの波長では透過率10−1以上すなわち10%以上と、波長による透過率の比としては6桁以上の透過率選択性を有する。
特にシリコン膜を光学フィルタ4として使用する場合、1μmの厚さで十分なため、周知の半導体製造工程において、フォトダイオード3を形成後の半導体基板上に一体的に形成できる。なお、光学フィルタ4の材料のシリコンとしては、ノンドープであってもよいが、燐などの不純物をドープした、サブμm〜数μmの厚さを有する多結晶シリコン膜またはアモルファスシリコン膜などが好ましい。
さらに光学フィルタ4としては、ガリウムリン(GaP)も、375nm付近より短い励起光の波長では透過率が小さく、460nmの蛍光の波長では透過率が大きいため、好ましく用いることができる。
インジケータ層5は、図1に示したように、フォトダイオード3上を覆うように設けられており、かつ、光源6からの励起光がフォトダイオード3の受光面に平行にインジケータ相内に入るように配置されている。インジケータ層5はフォトダイオード受光面の面積と同じかそれより大きな面積を覆うようにすることが好ましい。これは、インジケータ層5から発せられる蛍光をフォトダイオード3の検出領域全面でできるだけ多く検出できるようにするためである。なお、インジケータ層5の具体的な大きさについては後述する。
このインジケータ層5は、励起光が当たるとアナライトの量に応じて蛍光を発する蛍光物質と、これをインジケータ層内で移動しないように固定して保持するためのポリ(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーとを含むゲルからなるハイドロゲルやポリマーが用いられる。
より具体的には、前記ゲルまたは前記ポリマーは、たとえば、糖認識部位のフェニルボロン酸を有する蛍光モノマー(蛍光物質)を含むことが好ましく、以下の化学式1のフェニルボロン酸基を有する蛍光モノマーと(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーとの共重合体を備えることがさらに好ましい。
以下、本実施形態で用いられる化学式1に示す蛍光モノマーおよび(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーを説明する。
化学式1において、XおよびXは同一または異なっていてもよく、−COO−、−OCO−、−CHNR−、−NR−、−NRCO−、−CONR−、−SONR−、−NRSO−、−O−、−S−、−SS−、−NRCOO−、−OCONR−および−CO−からなる群より選択される少なくとも1種の置換基を含む炭素数1〜30のアルキレンを示し、Rは水素または置換されていてもよいアルキル基である。本明細書において少なくとも1種の置換基を含むアルキレンとは、アルキレンの端部に置換基を結合したもの、およびアルキレンの鎖中に置換基を有するものをいう。アルキレンの炭素数は1〜30が好ましく、より好ましくは3〜12である。具体的にはプロピレン、ヘキシレンおよびオクチレンなどがある。該アルキレンに含まれる置換基としては、好ましくは−NRCO−および−CONR−が好ましい。Rがアルキル基である場合、炭素数1〜10のものが好ましく、より好ましくは1〜5である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基などがある。Rとしては水素が好ましい。
上記化学式1において、ZおよびZは同一または異なっていてもよく、−O−または−NR’−を示し、R’は水素または置換されてもよいアルキル基を示す。アルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、より好ましくは1〜5である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基などがある。ZおよびZとしては、−O−が好ましい。
上記化学式1において、YおよびYは同一または異なっていてもよく、置換されていてもよい2価の有機残基である。YおよびYは、蛍光モノマーを水溶性にできる程度の親水性であることが好ましい。この蛍光モノマーを水溶性にできる程度の親水性とは有機溶媒や可溶化剤の存在無しに、蛍光モノマーを重合するのに必要な濃度領域において水に溶解することである。YおよびYとしてアミノ基、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、アミノ基、リン酸基および水酸基などの親水性基を有するものや、構造中にエーテル結合、アミド結合およびエステル結合などの親水性結合を有するものが例示できる。
また、YおよびYは該有機残基中に、下記化学式2または化学式3に示す構造を含むことが好ましく、さらに、他の置換基や2価の有機残基を有していてもよい。化学式2〜3において、nは2〜4が好ましく、より好ましくは2または3であり、jは1〜3が好ましく、より好ましくは1であり、mは20〜150が好ましく、より好ましくは40〜120である。
該Yの分子量としては500〜10,000が好ましく、より好ましくは1,000〜5,000である。化学式2または化学式3で示す2価の有機残基は、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールまたはビニルアルコールなどを重合することで、調製することができる。
本実施形態で用いられる蛍光モノマーは親水性鎖Yの導入によって、より具体的には以下のような効果が得られる。(1)蛍光モノマーが水溶性となるため、蛍光センサー物質を形成する際の固定化や重合反応を効率よく行うことができる。たとえばアクリルアミドゲルを作製する場合は、水のみを溶媒として重合が可能であり、物理的強度、安定性、均一性が高いものが得られる。疎水性のモノマー化合物では可溶化させるために有機溶媒等を使用する必要があり、良好でない性状のゲルとなる場合がある。(2)親水性鎖の導入は被検出物質と相互作用するフェニルボロン酸周辺の環境や運動性を変化させ、感度、精度、応答速度、被測定物質である糖類の選択性の向上に寄与する。(3)親水性鎖が蛍光センサー物質全体、たとえば重合された構造を安定化する。(4)水のみで反応できるため、有機溶剤に侵されやすい基材、たとえばアクリル製のプレート等の上でも重合を行うことができる。
上記化学式1において、Lは置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基などがある。アルキル基の炭素数は、より好ましくは1〜4である。Lとしてはメチル基が好ましい。アントラセン残基に−COLを導入することにより、励起波長と極大蛍光波長との間隔が拡大するといった効果が得られる。
本実施形態で用いられる蛍光モノマーは、糖類検出のためのモノマー化合物に上記Xを介してYを導入する点に特徴があり、これによって蛍光モノマー化合物の物理的性質や安定性、検出感度、検出精度、被測定物質である糖類の選択性などを向上させることができる。
なお、上記のように、本実施形態で用いられる蛍光モノマーはアントラセン骨格を含むフェニルボロン酸誘導体であり、アントラセン骨格は発蛍光性原子団として作用することが知られている。フェニルボロン酸部位と糖とが安定な複合体を形成すると、発蛍光性原子団の介在によって蛍光を発するが、本実施形態で用いられる蛍光モノマーは2つのフェニルボロン酸を有するため、特に糖類の検出感度に優れている。
(メタ)(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーとしては、得られた誘導体がその構造中にアクリロイル基とアミドとを有すればよく、(メタ)アクリルアミドやそれらの誘導体が含まれる。たとえば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tris−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド、N−アクリルオイルリジンやN−アクリルオイルヘキサメチレンジアミンなどの(メタ)アクリルオイルクロライドとアミノ酸または活性アミノ基を持つ化合物との縮合体、および化学式4に示す化合物等がある。
化学式4において、Aは、水素またはメチル基であり、UおよびU’は同一または異なっていてもよく、水素または置換されていてもよいアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基などがある。
(メタ)(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーからなるポリマーは親水性が高いため、蛍光モノマーと結合すると、該蛍光モノマーに存在するフェニルボロン酸を含む疎水性の強い発蛍光性原子団が親水性の高い構造体中に取り込まれる。これによって血液や体液に含まれる糖類を測定する場合であっても、水溶性の糖類が容易に該発蛍光性原子団に接近および結合することができる。
上述したように、インジゲータ層5には蛍光センサー物質を使用するものであり、以下、当該蛍光センサー物質の形態である、ゲル、ポリマーの組成やその製造方法などを説明する。
前記蛍光センサー物質を構成する、該蛍光モノマー(I)と前記(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマー(II)との共重合体組成モル比((I):(II))は1:50〜1:6,000であることが好ましく、より好ましくは1:150〜1:3,000である。モル比1:50よりも蛍光モノマーの割合が大きくなると、該蛍光モノマーの嵩高さのため自由度が失われ、糖類との相互作用が低下するおそれがある。一方、モル比1:6,000よりも蛍光モノマー化合物の割合が小さければ、蛍光強度の絶対量を確保できない場合がある。
上記二成分からなるポリマーの蛍光センサー物質の、重量平均分子量は、GPCによるポリエチレンオキサイド換算で、50,000〜750,000が好ましく、より好ましくは150,000〜450,000である。
一方、本実施形態で用いられる蛍光センサー物質は、上記蛍光モノマーと(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーとに加えて他の成分を併用してもよい。このような成分としては、架橋性モノマー、他の架橋性成分、水中で陽イオンとなり得るカチオン性モノマー、水中で陰イオンとなり得るアニオン性モノマー、およびイオンを持たないノニオン系モノマーがある。
架橋性モノマーとしては、重合性二重結合によって蛍光センサー物質中に三次元架橋構造を導入し得るものを広く含み、使用する蛍光センサー物質の置換基によっても異なるが、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)−ビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのジビニル化合物がある。本実施形態では、これらの2種以上を併用してもよい。
他の架橋性成分としては、2個以上の官能基を有する化合物を広く含み、使用する蛍光センサー物質の置換基によっても異なるが、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエ−テル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリアリル、トリメチロールプロパンジ(メタ)アリルエーテル、テトラアリロキシエタンまたはグリセロールプロポキシトリアクリレートなども挙げることができる。また、これらの2種以上を併用してもよい。
水中で陽イオンとなり得るカチオン性モノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたは4−ビニルピリジンなどを挙げることができる。また、これらの2種以上を併用してもよい。
水中で陰イオンとなり得るアニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、ビニルプロピオン酸または4−ビニルベンゼンスルホン酸などを挙げることができる。本実施形態では、これらの2種以上を併用してもよい。
イオンを持たないノニオン系モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレートまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートなどを挙げることができる。また、これらの2種以上を併用してもよい。
またこれらの架橋性モノマー、他の架橋性成分、カチオン性モノマー、アニオン性モノマーおよびノニオン系モノマーは2種以上併用してもよい。これらの他の成分の配合量は、蛍光モノマー化合物と(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーとの合計量の0.1〜10モル%が好ましく、より好ましくは2〜7モル%である。これら他の成分の併用によって、三次元架橋構造を形成させることができ、また、親水性の調節、反応起点の導入などを行うことができる。なお、三次元架橋構造については後述する。
本実施形態で用いられる蛍光センサー物質(蛍光物質)としては、化学式5に示される構造を有していることが好ましい。
化学式5において、X、X、Z、Z、Y、Y、およびLは化学式1に示した蛍光モノマーと同様である。U、U、U、U、AおよびAは化学式4に示した(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーと同様である。
また、pとqとのモル比(p:q)およびpとqとのモル比(p:q)は前記(I):(II)のモル比に対応して、1:50〜1:6,000が好ましく、より好ましくは1:150〜1:3,000である。
本実施形態で使用する蛍光センサー物質(蛍光物質)は、該共重合体の少なくとも一部が分子間架橋を形成し、三次元架橋構造を示していてもよい。ポリ(メタ)アクリルアミド鎖に三次元架橋を形成させると上記蛍光モノマーが基材に固定され、水溶液中でも蛍光モノマー化合物を溶出させることなく糖類の検出が容易にできる。なお、蛍光モノマーは上記したように糖類と結合して蛍光を発する疎水性部位を有するが、該疎水性部位はYで示す二価の有機残基を介してポリ(メタ)アクリルアミド鎖に結合されるために水溶液中で糖類と結合できる自由度が確保されている。したがって、三次元架橋構造を形成しても糖類の検出感度を低下させることがない。
本実施形態で用いられる蛍光モノマーや蛍光センサー物質の製造方法および、三次元架橋構造の形成方法には制限がないが、以下の方法で製造することができる。
(1)蛍光モノマー化合物の製造
化学式1で示される蛍光モノマーとして、Xが−C12−NHCO−、YがPEG残基、Zが−O−、Lが−CH基である化合物、9,10−ビス(メチレン)[[N−(オルトボロノベンジル)メチレン]−N−[(アクリロイルポリオキシエチレン)カルボニルアミノ]−n−ヘキサメチレン]−2−アセチルアントラセンの製造方法の一例を以下説明する。
原料として2−アセチル−9,10−ジメチルアントラセンを使用し、四塩化炭素/クロロホルム溶媒を加熱してN−ブロモスクシンイミド(NBS)および過酸化ベンゾイル(BPO)と反応させることにより、2−アセチル−9,10−ビス(ブロモメチレン)アントラセンとする。次いで、これをジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒中で、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)等の塩基存在下で、N−(t−ブトキシカルボニル)−ヘキシルジアミンを反応させると、ブロモメチレン基が[(t−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキシルアミノ]メチレン基となる。これを、DMF等の溶媒中で、DIEA等の塩基存在下で、2−(2−ブロモメチルフェニル)−1,3−ジオキサボナリンを作用させると、9,10−ビス[[N−6’−(t−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキシル−N−[2−(5,5−ジメチルボリナン−2−イル)ベンジル]アミノ]メチル]−2−アセチルアントラセンが得られる。これに塩酸等の酸を作用させて脱保護すると、9,10−ビス(メチレン)[[N−(オルトボロノベンジル)メチレン]−N−(アミノヘキシル)]−2−アセチルアントラセンが得られる。次にアクリロイル−(ポリエチレングリコール)−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを塩基性緩衝液中で反応させると、目的物を得ることができる。
なお、原料化合物として、アントラセン骨格に化学式1で示すLで示す置換基として上記化合物と異なる原料化合物を使用すると、溶媒、添加剤、反応温度、反応時間および分離方法等を適宜選択することでLとしてメチル基以外の基を有する化合物を製造することができる。
(2)蛍光センサー物質の製造
化学式1で示す蛍光モノマーと(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーとの共重合は、溶媒の下で、重合促進剤または重合開始剤を用いることができる。溶媒としては、水を使用することができる。蛍光モノマーを水溶性にできる程度の親水性を有するYを導入することにより溶媒が水のみでも重合が可能となる。水のみで重合させることがもっとも好ましいが、水にジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのいずれか1種以上を混合したものも用いることができる。本実施形態において、有機溶媒を混合する場合には、その含有量は10質量%〜50質量%混合することが好ましく、より好ましくは20質量%〜30質量%である。
化学式1で示す蛍光モノマーと(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーとの共重合に際して、さらに他の成分を配合することもできる。他の成分を配合する場合、その配合量は、蛍光モノマー化合物と(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーとの合計量の0.1〜10モル%が好ましく、より好ましくは2〜7モル%である。他の成分を配合する場合、重合時に、重合開始剤や重合促進剤と同時に添加しておくことが好ましい。
重合開始剤としては、たとえば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩またはアゾイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシドまたは酸化ベンゾイルなどのパーオキシド等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。この際、重合促進剤として亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、モール塩、ピロ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレートまたはアスコルビン酸などの還元剤;エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシンまたはN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン化合物;などの1種または2種以上を併用することもできる。重合温度は15〜75℃が好ましく、より好ましくは20〜60℃、重合時間は1〜20時間、より好ましくは2〜8時間である。なお、重合開始剤として過硫酸塩と重合促進剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンとを併用する場合には、室温で重合を行うことができる点で、特に好ましい。
一方、上記化学式5で示す化合物は、化学式1で示す蛍光モノマーと(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーとの共重合によらず製造することもできる。化学式1で示す蛍光モノマーは複数の工程で合成されるため、化合物1で示す蛍光モノマーを原料とすることなくその中間産物に他の化合物を作用させても、最終的に化学式5で示す蛍光センサー物質を製造することができる。たとえば、9,10−ビス[[N−(6’−アミノヘキシル)−N−(オルト−ボロノベンジル)アミノ]メチル]−2−アセチルアントラセンと(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーの重合物にカルボキシル基を導入したものとをカップリング試薬の存在下で作用させても、化学式5で示す蛍光センサー物質を製造することができる。また別の例として、あらかじめ(メタ)アクリルアミド残基を有する重合性モノマーを重合した後、重合開始剤や重合促進剤の存在下で上記蛍光モノマー化合物と共重合させても化学式5で示す蛍光センサー物質を製造することができる。
(3)三次元架橋構造の形成
本実施形態で用いられる蛍光センサー物質は、三次元架橋を有していてもよいのであるが、三次元架橋の導入方法も限定されない。本実施形態で用いられる蛍光センサー物質に架橋成分を作用させて、蛍光センサー物質と蛍光センサー物質との少なくとも一部に分子間架橋を形成させる方法がある。
また、前記したように、化学式1で示す蛍光モノマー化合物と(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーとの共重合に際して、反応溶媒に架橋成分を添加しても三次元架橋を形成させることができる。
一方、蛍光センサー物質を、体内埋め込み用の糖類測定用センサーとして使用する場合には蛍光センサー物質の流出を防止するため、基材に固定されることが一般的であるが、このような基材として、(メタ)アクリルアミド残基を含む重合性モノマーまたはその重合体を使用し、化学式1で示す蛍光モノマー化合物に必要に応じて架橋成分を使用し、これらを重合させ、基材への固定と三次元架橋とを同時に行うこともできる。
このような架橋成分としては、前記蛍光センサー物質の配合し得る他の成分の項で記載した架橋性モノマー、他の架橋性成分、カチオン性モノマー、アニオン性モノマーおよびノニオン系モノマーを好ましく使用することができ、架橋性モノマーおよび他の架橋性成分をより好ましく用いることができる。また、これらの2種以上を併用してもよい。
このようなインジケータ層5の光学特性は、励起光の披長の光を吸収し、蛍光の波長の光に対しては基本的に透明である。そしてインジケータ層5中の蛍光物質は励起光をあてると劣化し、徐々に蛍光エネルギーが減少すると同時に励起光を吸収する能力も低下する。すなわち、このインジケータ層5に含まれる蛍光物質は、励起光が当たると時間経過にともない、蛍光発光能力が低下する一方で光透過性増加する特性を有しているのである。
このようなインジケータ層5中の蛍光物質の劣化が進んでくると、インジケータ層5で光源6に近い部分は励起光を透過しやすくなり(つまり励起光を吸収しにくくなる)、蛍光を発しなくなってくる。その一方で、励起光は、劣化して透過する部分が多くなることで、光源6から遠い位置にも到達するようになる。そうすると、光を吸収して蛍光をよく発する部分が移動することになる。
後に詳細に説明するが本実施形態は、このような特性を利用して蛍光センサーの寿命を長く保つことができるようしたのである。
インジケータ層5を光学フィルタ4上に載置するには、たとえば光学フィルタ4上に、図示していないシランカップリング剤などよりなる接着層を塗布し、この上にハイドロゲルを接合する。
また、その他の方法としては、光学フィルタ4の上からCVDで硝子層を積層して、水の浸入を遮断したのち、0.2%のアミノプロピルトリエトキシシラン(シランカップリング剤)のアルコール水溶液で処理して、アミノ基を形成させる。さらに0.1%アクリロイルクロライド塩化メチレン溶液に接触させて、アクリルアミド基を形成したのち、この表面でアクリルアミド末端を持つ蛍光モノマー(1%〜10%程度の濃度)とアクリルアミドモノマー(5%〜20%程度)の水溶液を、最終濃度で0.4%過硫酸ナトリウムおよび0.04%テトラエチルメチレンジアミンの添加で重合させる。過硫酸ナトリウムおよびテトラエチルメチレンジアミンの濃度は、製造工程上重合速度を変えるために適当に変更しても良い。結果として、フォトダイオード上の硝子層に結合したアクリルアミド基を含めてモノマーが重合されるため、インジケータ層5(蛍光ゲル)が共有結合で形成できる。
このインジケータ層5の形成方法については、上記例示した方法に限定されず、そのほか様々な方法を用いてもよい。
光源6は、たとえばLEDなどである。この光源6からの励起光は図1(A)に示したように、インジケータ層5へ、フォトダイオードの受光面に平行方向に入射されるようになっている(つまり図1(A)では、光源6からインジケータ層5へ横から(図示した矢印A方向)励起光が入射する構成となっている)。
図3は、光源にLEDを用いた場合を説明するための光源部分の断面図であり、(A)は第1例を示し、(B)は第2例を示す。
図3(A)を参照して、第1例は、基板2上に、基板面に対して上下方向に光が発する向きとなるようにLED61を製作しておき、そのLED61上にプリズム62を配置したものである。また、プリズム62の光射出側端面に角度フィルタ63を設けている。LED61の下(基板2との間)には、LED61の全面を覆うように、LED61の一方の電極(実際にはLEDチップの一方の導電層(P層またはN層)である)と接続される配線層64を形成している。LED61の他方の電極は図示しないボンディングワイヤにより基板2に設けた別の配線に接続している。
基板2上に設けられたLED61は、プリズム62方向と基板2方向の両方向に光が放出される。プリズム62方向へ射出された光は、このプリズム62によってインジケータ層5方向へ放出される。一方、基板2方向へ射出された光は、配線層64の金属自身によって反射されるため、結局、プリズム62方向に射出されることになる。したがって、LED61から放射される光はほとんどプリズム62を通してインジケータ層5方向(図示矢印方向)へ射出されることになる。なお、配線層64をLED61の下全面を覆うほど形成しない場合は、配線層64と光源6の間にさらに反射膜を挟んでもよい。
プリズム62は、ガラス、透明樹脂などにより作製されている。
角度フィルタ63は、定められた角度範囲で入射する光のみを選択して透過するフィルタである。たとえば、遮光性材料をルーバー構造に微細加工で加工し、それを透明樹脂でコーティングして作製される。遮光材は、金属あるいは透過率が小さい半導体材料が好ましいが、樹脂などの透過性のある材料に金属薄膜などの遮光性の膜をコーティングするものであってもよいし、カーボンブラックを含有させるなどの手段で遮光を実現してもよい。
また、別の構造として、セルフォックレンズのようなレンズアレイや、ファイバーアレイ構造であってもよい。ファイバーアレイは、クラッド−コア型の光ファイバー構造がアレイ状に配列された構造や、反射材で周囲を覆われた光透過性の細管アレイ状に配列された構造として実現できる。
図3(B)を参照して、第2例は、基板2上のLED載置部分に、あらかじめLEDの背面を支持する台座65を形成しておき、その面66側にLED61の発光方向がインジケータ層5を向くように、LED61を配置したものである。また、面66には全面を覆うようにLED61の一方の電極(実際にはLEDチップの一方の導電層(P層またはN層)である)と接続される配線層67が設けられている。なお、LED61の他方の電極は図示しないボンディングワイヤにより基板2に設けた別の電極配線に接続している。
この構造では、LED61の光射出面の一方は、インジケータ層5方向となり、他方は、インジケータ層5から逆の方向となっている。この逆の方向に射出された光は、面66に設けた配線層67(金属)自身に反射されて、結局、インジケータ層5へ射出されることになる。したがって、LED61から放射される光はほとんどインジケータ層方向(図示矢印方向)へ射出されることになる。なおこの場合も、面66には、配線層67のほかに、さらに反射膜を設けてもよい。
光源6としては、LED61以外にも、たとえば、半導体レーザチップを用いることもできる。その場合も、LED61と同様に図3に示した構造とすればよい。
また、光源6としては、基板2上に直接LEDを配置するのではなく、光ファイバーによって、別途に設けられている光源6から励起光を導くようにしてもよい。
図4は、基板2上の励起光の光源6として光ファイバーを載置した例を示す部分断面図である。
基板2上の励起光の光源6として光ファイバーを用いる場合、図示するように、光ファイバー68の射出端がインジケータ層5を向くようにして、そこから射出される光をインジケータ層5へ向くようにする(図示矢印方向)。また、光ファイバー68の射出端には、好ましくはコリメータレンズ(不図示)を配置する。これにより、光ファイバー68から射出された光の大部分を平行光としてインジケータ層5内へ射出することができる。この場合でも装置内での乱反射などが直接フォトダイオードへ入らないようにするために光学フィルタ4は設けておくこと方が好ましい。
遮光膜7は、この蛍光センサー1の外から蛍光センサー1内へ入ってくる光を遮蔽すると共に、被測定物質を透過させる。具体的には、たとえば特開2005−315871号公報に開示されている光学分離層を用いることができる。この光学分離層は、不透明物質とそれを担持する光学分離層用基材よりなる。
不透明物質は、紫外線、可視光、赤外線などの光を透過させず、かつ、反射させない。また、励起光をセンサー外に放射させない機能も有する。このような不透明物質としては、たとえば、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブなどを用いることができる。
光学分離層用基材としては、いろいろな高分子物質を用いることができるが、高分子物質は架橋されていたり修飾されていたりしてもよい。具体的には親水性高分子物質としては、たとえば、デキストラン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどやそれらのコポリマーなどを用いることができる。
また、光学分離層用基材としては、相転法により形成された高分子多孔質膜を用いることができる。光学分離層用基材のための高分子多孔質膜を得る相転法は、従来から知られた方法であり、たとえば湿式製膜法が使用できる。この材料としては、メチルセルロース、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリエチレン、ポリウレタンなどがある。
このような高分子多孔質膜の平均孔径は、好ましくは0.001μm〜0.1μmである。より好ましくは0.005μm〜0.01μmである。応答速度を促進したい場合には、上記平均孔径をたとえば0.01μm〜0.05μmにすることがより好ましい。
これにより高分子多孔質膜が、被測定物質(アナライト)を透過しインジケータ層5まで導くことができる。
そのほか外から蛍光センサー1内へ入ってくる光を遮蔽し、かつ被測定物質(アナライト)を透過させる膜であれば、特に限定されない。
次に、この蛍光センサー全体の製造方法の一例を説明する。
まず、シリコン基板の主面側にフォトダイオード3と配線層を形成する。配線層はフォトダイオード3からの信号を外部へ取り出すための配線と、LED61へ電力を供給するための電源配線である。ここでの配線はポリシリコンが用いられる。フォトダイオード3上には上述した光学フィルタ4を形成する。一方、配線層上には絶縁膜(たとえばSiO)を成膜して、絶縁膜上のLED形成部には電源配線と接続するためのコンタクトホールを空けておいて、電源配線とLED61を接続する。なお、このようなLED61との接続には、たとえば、フリップチップとしたり、半田や、金属―金属直接接合法、導電性樹脂を用いた方法など様々な方法を使用することができる。
シリコン基板を用いた場合はこの段階、または、LED配置前の段階などで、シリコン基板裏面側から研磨して薄くしておく。これは、後述する針内部に載置する際に蛍光センサー1全体の厚さを薄くするためである。
その後、インジケータ層5および遮光膜7を形成する。そして、これら全体を覆うように樹脂膜を形成して、遮光膜7の部分のみ樹脂膜を開口して遮光膜7面を露出させておく。同様に、前記パッド部分も露出させておく。これにより、チップ形状蛍光センサーが出来上がる。
また、全体として可撓性のある蛍光センサーを作ることもできる。
樹脂等の可撓性のある絶縁性基板上にシリコン層を形成する。シリコン層の形成はポリシリコンやアモルファスシリコンをCVD方などにより絶縁性基板上に直接形成してもよいし、シリコン単結晶基板を貼り付けてもよい。そしてこのシリコン層にフォトダイオード3を形成する。またはフォトダイオード3が形成されたシリコン基板を接着してもよい。その後、フォトダイオード3に接続するための配線層をアルミニウムや金の薄膜を蒸着やスパッタリングで形成し、フォトリソグラフィー工程とエッチングで配線をパターニングする。この後、配線上に絶縁性の薄膜をスパッタリング、蒸着、CVD(Chemical Vapor deposition)を被膜して、配線間を絶縁する。この被膜を厚さ均一性良く形成した場合には配線間に凹形状部ができるが、流動性のある金属アルコキシド材料をコーティングして焼成すれば、凹凸が埋まり、平滑な表面が得られる。金属アルコキシドに代わり、絶縁性の樹脂をコーティングしてもよい。その後、フォトダイオード3上に、光学フィルタ4、光源6(LED61)を順次実装、形成した後に、インジケータ層5の空間を確保された型材に入れて、樹脂を注入・硬化し、インジケータ材料を導入し、遮光膜7で封をすれば、蛍光センサー1が出来上がる。
なお、これらの製造方法は一例であり、本発明は製造方法について何ら限定されるものではない。たとえば、基板としてシリコン基板のほか、樹脂基板、ガラス基板、サファイア基板などを利用して、その上にシリコン層を設けてフォトダイオードを形成することも可能である。
上述のように構成された蛍光センサーの作用を説明する。
図5は、蛍光センサー1の作用を説明するための説明図である。
既に説明したように、インジケータ層5中の蛍光物質は、励起光が当たることで劣化し、徐々に蛍光エネルギーが減少すると同時に励起光を吸収する能力も低下する。図5(A)は、測定初期の段階を示している。黒矢印が大きいほど励起光が強く届いていることを示している(図5(B)も同様)。また白抜き矢印が大きいほど蛍光が多く発していることを示している(図5(B)も同様)。
図示するように、測定初期の段階では、光源に近い側で励起光がほとんど吸収されてしまい、光源6から遠くなるほど励起光は届いていない。光源6からもっとも遠い部分ではほとんど励起光は届いていない。そしてこの初期段階のときに、蛍光は光源6の近く部分で多くなる。
測定時間が長くなるにつれて、すなわち励起光が当たる時間が長くなるにつれて、光源6近くでは蛍光物質が劣化して透明になってくる。この状態を図5(B)に示した。図示するように、この段階では、光源6から遠くまで励起光が届いている。図ではインジケータ層5の中央付近までは強く届き、それより遠い位置では弱くしか届いていない。そして、蛍光をもっとも発する位置は光源6から遠くなり中央付近で多くなってくる。また、光源6に近い位置では励起光は強く通過するものの蛍光はほとんど発しなくなる。
このような蛍光物質の特性を利用して、光源6から直接インジケータ層へ光を入れて、徐々に蛍光物質を劣化されてゆけば、長時間にわたりアナライトの測定が可能となる。
つまり、本実施形態によるアナライト成分の測定方法は、蛍光物質を固定したインジケータ層中に光源から励起光を入射させて、蛍光物質が蛍光を発する部位を、励起光を照射(入射)させた時間経過とともに光源から遠くなるように移動(シフト)させているのである。そして、移動させた蛍光部位からの蛍光の強さをフォトダイオードを用いて電気信号に変換し、アナライト成分量を測定している。
このような測定のためのインジケータ層5の大きさは、蛍光物質濃度、蛍光物質の励起光波長での分子吸光係数、求めるべき信号強度、使用時間、蛍光センサー1の形状と大きさから設計される。
一例としては、非常に小さい棒状の蛍光センサー1を設計する場合、インジケータ層5の大きさは、蛍光物質の分子吸光係数が3000〜5000/M(モル)/cmとした場合、蛍光物質(モノマー)の濃度1〜20%、インジケータ層5の長さ(すなわち光源6から遠ざかる方向の距離であり、図1(A)における励起光のパスの長さL)が0.1mm〜3mm、インジケータ層5の幅(すなわち前記長さに直交する方向の幅であり、図1(B)における幅W)が10μm〜3mm、インジケータ層5の厚みが10μm〜500μmであることが好ましい。
ここで、蛍光物質の分子吸光係数が3000〜5000/M(モル)/cmと仮定したのは、アナライトとしてグルコースを測定する場合の蛍光物質を想定したためである。また、蛍光物質の濃度1〜20%も、グルコースを測定する場合に通常用いられる蛍光物質の量である。そしてインジケータ層5の長さが0.1mm未満であると励起光を照射した初期段階で全て劣化してしまい、長寿命化を図れないおそれがあるためである。もちろんこのような長さは、励起光のエネルギー強度や照射時間、所望する寿命によってはさらに短くてもよく、たとえば、機能的には10μm以上あれば十分である。一方、3mmを超えた場合、長すぎていかに劣化して蛍光物質であっても、励起光がもっとも長いところまで十分に到達しないおそれがあるので好ましくない。また、幅や厚さの下限値に付いてはこの程度の幅や厚さがないと、インジケータ層5として機能させるために十分な蛍光物質を保持できないおそれがあるため好ましくない。ただし、幅や厚さについては、蛍光センサー1全体の大きさとして許容できるのであれば、さらに大きくてもよい。
インジケータ層5の長さを1m、蛍光物質を5mM濃度としてインジケータ層5にセットした場合、インジケータ層5内で光源6からもっとも遠い位置に届く励起光は、光源出口のおよそ1%となる。
この蛍光物質の劣化速度は、励起光の光量と照射時間に依存する。たとえば、蛍光は5mW/cmの励起光を照射し続けると、0.8%/分の速度で蛍光は少なくなる。一方、励起光の吸光度は0.4%/分で低下する。光源6が平行光線だと仮定すると、光源6のすぐそばではこの速度で劣化するが、光源から0.5mm離れた位置では速度は1/10となり、1mm離れた位置では1/100になる。劣化が進むと光源6に近い部分での励起光の吸収が低下する。したがって、インジケータ層5内のより遠い位置までに光が届くようになり、もっとも効率よく蛍光を発する部分は、光源6から遠い部分にシフトして行く。
また、他の例として、インジケータ層5に3mW/cmの励起光をあてると照射時間1分間あたり0.7%の速度で蛍光は低下し、一方で励起光の吸光度はその半分の照射時間1分あたり0.35%で低下する。
このように、励起光のエネルギーが小さければ蛍光の低下速度の割に吸光度の低下速度が小さい。このような場合は、励起光量を時間経過とともに(劣化が進むにしたがって)増加させることで、劣化で弱くなった蛍光信号をより強くすることができる。一方、励起光量を増加させると信号強度を増加させることはできるが、上記(5mW/cmの励起光の場合)のように劣化を加速させることになる。この点、インジケータ層5の長手方向に対して励起光を照射すれば、その劣化に応じて蛍光を発する部分がシフトしてゆくため、励起光を強くしても長期間使うことが可能となる。したがって、測定初期の段階では、励起光のエネルギーを弱くしておいて、蛍光物質そのものの劣化速度を低く抑えておき、信号が弱くなったら励起光のエネルギーを上げ手、その後は強いエネルギーの励起光とすることで、はじめから強いエネルギーを加えるよりも、より長く使うことが可能となる。
実際の測定にあっては、蛍光量をフォトダイオード3で検出した信号とアナライト濃度との関係をあらかじめ求めておくこと(キャリブレーションという)が望ましい。
たとえばアナライトが組織間液に含まれるグルコースの場合、以下のようにして求めることができる。
フォトダイオードの電流値とグルコース濃度は下記(1)式の関係がある。
フォトダイオードの電流値=A×f+B …(1)
ここでfはグルコースと蛍光物質の結合体の濃度である。A、Bはそれぞれ、以下に説明する係数である。
この式からグルコースと蛍光物質の結合体の濃度を目安にグルコース濃度を算出する。したがって、劣化によって蛍光を出せる蛍光物質の濃度が低下すると、同じグルコース濃度でも、グルコースと蛍光物質の結合体の濃度が低下することになる。
言い換えると、下記(2)式の関係となる。
この反応の中で、蛍光物質とグルコースの結合体が蛍光を発し、フォトダイオード3の電流信号になるが、劣化によって蛍光物質の量が減ると、同じグルコース濃度でも蛍光物質とグルコースの結合体の濃度が減って、フォトダイオード電流が減ることになる。
そこでキャリブレーションは、機知のグルコース濃度の測定対象物に蛍光センサー1を接触させたときに得られるフォトダイオード電流値を得て、前述の(1)式の係数Aを補正するのである。なお、Bはバイアス(蛍光物質とグルコースの結合体の濃度に依存しない値)であるから、グルコース濃度に依存しての補正は必要ない。ただし励起光量には依存するため、励起光のエネルギーを変化させる場合には、これもエネルギーに対応させて求めておく必要がある。
このような補正は、装置の仕様として、どれくらいの励起光照射(照射時間×照射エネルギー)をしたとき、どれくらいの劣化がおきる装置かを事前に測定設定しておくことで、より精度の高い測定を行うことができる。
なお、ここでは、アナライトがグルコースの場合を例に説明したが、他の物質を測定する場合も同様にキャリブレーションすることができる。
他のアナライト成分としては、たとえば、乳酸などの生体成分が挙げられる。また、測定対象は生体内の成分だけに限定されるものではなく、たとえば、pH値などの生理的状態を示すためのセンサーとして利用することができる。
次に上述した蛍光センサー1を使用したセンサシステムについて説明する。図6はセンサシステムの外観斜視図であり、図7はセンサシステムのガイド針を生体に刺したときの模式図である。
センサシステム100は、生体200内に挿入して埋め込まれる蛍光センサー1と、蛍光センサー1からの信号に基づき、蛍光センサー1により検出されたアナライト成分を測定、解析する電子回路部101とを有する。蛍光センサー1は、生体200に刺されるガイド針102の先端に埋め込まれている(図7参照)。
電子回路部101は、たとえば樹脂製のケース内に収容されている(図示する外観が樹脂ケースである。樹脂ケースにおさめられている電子回路部101には、蛍光センサー1からの信号を測定して解析する電子回路のほか電池が内蔵されている。なお、電池を内蔵させずに、電磁誘導など非接触で外部から電極を受けるための装置を電子回路部101(樹脂ケース内)に内蔵するようにしてもよい。
図8は、ガイド針の拡大斜視図である。
ガイド針102は、医療用に用いられる一般的なステンレス製の穿刺針にスリット103を形成したものを利用している。
ガイド針102の先端内部には、蛍光センサー1が配置される。蛍光センサー1は、その遮光膜7のある面がスリット103の方向を向くように配置する。これによりスリット103からガイド針102内に入った血液内のアナライトが遮光膜7をとおり蛍光センサー1のインジケータ層5に入りやすくなる。
蛍光センサー1と電子回路との電気的接続は、ガイド針102内部に通した配線により行う。たとえば、ガイド針102内に、1μm〜数十μmの金属配線をそれぞれ絶縁した上で配置し、蛍光センサー状の配線と接続すればよい。
また、光源6に光ファイバー68を用いる場合には、ガイド針102の内径に応じて、フォトダイオード3からの配線とともに光ファイバー68を設置することになる。たとえば、ガイド針内径が数百μm程度場合、光ファイバー68の太さは、それよりわずかに小さい程度のものを用いることになる。
このようなセンサシステム100を用いることで、ガイド針102を生体の皮下内に留置させて生体内のアナライト成分の経時的な測定を行うことが可能になる。
次に、蛍光センサーの変形例について説明する。図9は蛍光センサーの変形例を説明するための概略断面図である。
光源からの光は、平行光としてインジケータ層に平行方向に均一に照射されることが理想であるが、実際には、光源の出口で広がる拡散光としてインジケータ層方向へ射出されている。一方、インジケータ層内では、吸収によって光が弱くなる。これは、インジケータ層内の蛍光物質が劣化して光を通しやすくなっても完全な透明になるものではないため、励起光はそこを通ることで弱くなる。このため、もっとも蛍光を発する位置がシフトした場合、その部分に届く励起光は光源直前の部分よりは弱まり、その結果、蛍光信号が小さくなる。
これは製造時にどの程度劣化するかの予測式をたてて、経時的に補正することも可能であるが、劣化にともなって光源の光量を増やすことでも補正できる。
そこで、本変形例では、光源の光量を増やすような補正を可能にする構造である。
図9に示すように、インジケータ層5の長手方向(光源から照射される励起光の方向)に向けて複数のフォトダイオード301〜306を設け、そのうち光源6にもっとも近い位置のフォトダイオード301には光学フィルタを設けない構造とするのである。
そして、光源6にもっとも近い位置のフォトダイオード301の出力信号と、光学フィルタ下に位置するそれぞれのフォトダイオード302〜306の出力信号を経時的に比較する。これによりフォトダイオード301の出力信号に対して、その位置のフォトダイオード302〜306の出力信号が時間とともにどのように変化してゆくかがわかる。その変化は、まさしく蛍光物質が劣化してもっとも蛍光を発する位置がシフトして行く位置に対応していることになる。なお、フォトダイオード301と302の間が、フォトダイオード302〜306それぞれの間隔より開いて設けているのはフォトダイオード301の上に光学フィルタ4がなく、直接光源6からの光が入るため、その影響がフォトダイオード302に悪影響を及ぼさないようにするためである。
具体的な使用形態としては、図9に示した蛍光センサーを用いて、キャリブレーションと同様に、経時変化させつつ既知濃度のアナライトを使用して、各フォトダイオード302〜306の出力信号の総和が同じになるように光源6の強さを変化させたときのフォトダイオード301の出力信号を経過時間とともに測定して記録しておく。
その後、同じ大きさ、同じ組成で同じ濃度の蛍光物質のインジケータ層を設けた蛍光センサーでは、測定時間(励起光照射時間)に対応させて、記録したフォトダイオード301の出力信号となるように光源からの励起光のエネルギーを変えてやれば、測定のたびにキャリブレーションを行わなくとも、正確な測定を行うことができるようになる。
なお、このような方法は、一度図9に示した蛍光センサーを用いて、各フォトダイオード302〜306の出力信号が同じになるように光源6の強さを変化させたときのフォトダイオード301の出力信号の経時変化を記録しておけば、後は、同じ大きさ、同じ組成で同じ濃度の蛍光物質のインジケータ層を設けた蛍光センサーであれば、同様に適用して補正することができる。このため、たとえば、図10に示すように光学フィルタ4の下のフォトダイオードは分割されていなくても適用可能である。なお、図10では、光源6にもっとも近い位置のフォトダイオード301と、光学フィルタ4下に位置する一つのフォトダイオード307を設けた形態としたものである。すなわち、図9および図10は、個別に受光量を測定するための少なくとも2つのフォトダイオードを有し、光源6にもっとも近い位置のフォトダイオード301には光学フィルタ4がない形態ということになる。
以上説明した本実施形態によれば下記の効果を奏する。
本実施形態は、インジケータ層内の蛍光物質の光学特性、すなわち、励起光の披長の光を吸収し、蛍光の波長の光に対しては透明であり、励起光をあてると劣化して蛍光エネルギーが減少すると同時に励起光を吸収する能力も低下する特性に着目して、フォトダイオード受光面と平行にインジケータ層に向けて励起光を照射することとした。これによりインジケータ層内の蛍光物質が、光源から奥の方へ徐々に劣化して透明化してゆくことになり、もっとも蛍光を発する位置がシフトし行く。このためインジケータ層の光源からもっとも奥に励起光が当たるようになるまで測定を継続することができるようになり、従来のようにインジケータ層の面に対して励起光をあてる場合よりも寿命を長くすることができる。
以上本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
上述した実施形態では針内に蛍光センサーをする例を示した。しかし本発明の蛍光センサーはこのような使用形態に限らず様々な形態で使用することができる。たとえば、蛍光センサーと電子回路を同一基板上に形成または同一パッケージ内に配置して、グルコース濃度などの測定に用いることができる。使用形態としては、たとえばインジケータ層に、被測定液体を滴下することで測定するなどである。この場合、蛍光センサーのインジケータ層を遮光するケースに入れることで、遮光膜は設けなくてもよくなる。
その他、本発明は、特許請求の範囲において記載された事項に基づいて様々な変形が可能であることはいうまでもなく、それらもまた本発明の範疇となるものである。
1 蛍光センサー、
2 基板、
3 フォトダイオード、
4 光学フィルタ、
5 インジケータ層、
6 光源、
7 遮光膜、
61 LED、
62 プリズム、
63 角度フィルタ、
64 配線層、
65 台座、
66 面、
68 光ファイバー、
100 センサシステム、
101 電子回路部、
102 ガイド針、
103 スリット。

Claims (8)

  1. 生体のアナライト成分を検知して、励起光が当たることにより前記アナライト成分の量に応じた蛍光を発する蛍光物質を固定したインジケータ層と、
    前記蛍光を受光して前記蛍光の強さに応じた電気信号を出力するフォトダイオードと、
    前記インジケータ層へ前記励起光を照射する光源と、を有し、
    前記インジケータ層は、前記フォトダイオード上に配置され、前記光源は前記励起光を前記フォトダイオードの受光面に平行な方向に前記インジケータ層内へ照射することを特徴とする蛍光センサー。
  2. 前記蛍光物質を固定した前記インジケータ層は、前記励起光が当たっていた時間により蛍光強度が変化することを特徴とする請求項1に記載の蛍光センサー。
  3. 前記フォトダイオードの受光面上と前記インジケータ層との間に設けられ、前記蛍光の波長は透過させるが、前記励起光の波長は遮断する光学フィルタを有することを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光センサー。
  4. 前記フォトダイオードは、前記光源から遠くなる方向に個別に受光量を測定するために少なくとも2つ以上が設けられており、そのうち前記光源にもっとも近い一つの前記フォトダイオードの受光面上には光学フィルタを有さないことを特徴とする請求項3に記載の蛍光センサー。
  5. 前記インジケータ層の大きさは、前記インジケータ層に含まれる前記蛍光物質の励起光波長での分子吸光係数が3000〜5000/M/cmとした場合、蛍光物質(モノマー)の濃度1〜20%、前記光源から遠ざかる方向の前記インジケータ層の長さ0.1〜3mm、前記インジケータ層の前記長さと直交する方向の幅10μm〜3mm、前記インジケータ層の厚み10〜500μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の蛍光センサー。
  6. 前記インジケータ層の表面に前記アナライト成分は通過させるが、光は遮断する遮光膜を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の蛍光センサー。
  7. 励起光が当たることにより生体のアナライト成分の量に応じた蛍光を発する蛍光物質を固定したインジケータ層中に光源から前記励起光を入射させて、前記蛍光物質が発する蛍光を受光して前記蛍光の強さを測定するアナライト成分測定方法であって、
    前記蛍光物質が蛍光を発生する部位を、前記光源から遠い方向へ移動させて、当該移動させた部位から発する蛍光の強さを測定することを特徴とするアナライト成分測定方法。
  8. 前記蛍光物質が蛍光を発生する部位は、前記励起光を入射させた時間の経過に応じて前記光源から遠い方向へ移動することを特徴とする請求項7に記載のアナライト成分測定方法。
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