WO2024070698A1 - イムノクロマトグラフカートリッジ - Google Patents

イムノクロマトグラフカートリッジ Download PDF

Info

Publication number
WO2024070698A1
WO2024070698A1 PCT/JP2023/033374 JP2023033374W WO2024070698A1 WO 2024070698 A1 WO2024070698 A1 WO 2024070698A1 JP 2023033374 W JP2023033374 W JP 2023033374W WO 2024070698 A1 WO2024070698 A1 WO 2024070698A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
test
luminescent substrate
region
substrate solution
luminescent
Prior art date
Application number
PCT/JP2023/033374
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
信一 牛倉
Original Assignee
富士フイルム株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 富士フイルム株式会社 filed Critical 富士フイルム株式会社
Publication of WO2024070698A1 publication Critical patent/WO2024070698A1/ja

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/543Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with an insoluble carrier for immobilising immunochemicals

Abstract

イムノクロマトグラフカートリッジは、検体が展開され、検体に含まれる被検物質を捕捉する検査領域を有するストリップと、被検物質と特異的に結合する結合物質であって、発光タンパク質で標識された結合物質と、検査領域に供給される発光基質であって、発光タンパク質と反応することにより光を生じる発光基質を含む発光基質溶液を収容する発光基質溶液保持部と、検査用ストリップ及び発光基質溶液保持部を収容するケースであって、検査領域からの光を外部から測光可能とする測光窓部を備えたケースとを備え、ケース内に、発光基質溶液を検査用ストリップに展開する際に、検査領域上に発光基質溶液を滞留させる滞留部をさらに備える。

Description

イムノクロマトグラフカートリッジ
 本開示は、イムノクロマトグラフカートリッジに関する。
 尿、血液等の生体試料中に存在する被検物質を定性的に、あるいは定量的に測定する方法として、免疫学的測定方法が汎用されている。その中でもイムノクロマトグラフ法は、操作が簡便であり、短時間で測定可能であることから、利便性が高い。
 イムノクロマトグラフ法では、被検物質(例えば、抗原)に特異的に結合する抗体(捕捉抗体)を検査領域に固定した検査用ストリップを用いる。イムノクロマトグラフ法で用いられているアッセイ手法としては、検査用ストリップに、抗原と特異的に結合する標識化された抗体(標識抗体)及び検体を展開し、検体内に抗原が含まれている場合には、検査領域において、捕捉抗体-抗原-標識抗体の複合体を形成させる。そして、標識抗体の標識による発色などの信号を検出することにより、被検物質である抗原を定性的あるいは定量的に測定する。
 このようなイムノクロマトグラフ法においては、被検物質が含まれているにも関わらず感度が低いために検出されず偽陰性を示すという問題を回避するために、感度を向上させる技術が提案されている。感度を向上させる技術の一つとして、国際公開第2016/114122号及び国際公開第2017/104143号には、金属コロイド標識に銀を付着させることにより、信号を増幅させる技術が開示されている。
 国際公開第2016/114122号及び国際公開第2017/104143号に開示されている銀増幅による信号増幅技術を用いれば、非常に高感度な検出が可能となる。この銀増幅のためには、銀イオン還元剤を含む溶液のような増幅を触媒する液と、銀イオンを含む溶液のような増幅を行う液との2種類の増幅液をイムノクロマトグラフ担体に供給する必要がある。際公開第2016/114122号及び国際公開第2017/104143号には、検査用ストリップ及び銀イオン還元剤を含む溶液と、銀イオンを含む溶液などの2種類の試薬を備えたカートリッジであって、検査用ストリップに対して2種類の試薬を効率的に供給できるカートリッジが提案されている。
 他方、特開2015-105858号公報には、感度を向上させる他の方法として、発光タンパク質を標識とし、発光タンパク質と発光基質とを化学反応させることによって生じる光を検出する化学発光イムノクロマトグラフ法が開示されている。化学発光イムノクロマトグラフ法では、検査領域に捕捉抗体が固定された検査用ストリップに対し、検体及び発光タンパク質で標識された標識抗体を展開させる。その後、検査用ストリップに、標識である発光タンパク質と反応して光を生じさせる発光基質を展開する。検査領域に捕捉されている標識抗体を介して捕捉されている発光タンパク質と発光基質とが反応して生じる発光を検出することにより、被検物質である抗原を定性的あるいは定量的に測定する。特開2015-105858号公報では、検査領域に発光基質を十分に浸透させるために、検査領域を取り囲むように堰体を配置した上で、発光基質を含む溶液を検査領域上に投入する方法が提案されている。
 また、特表2018-522221号公報には、化学発光イムノクロマトグラフ法であって、発光タンパク質と、蛍光物質との間で生じる生体発光共鳴エネルギー転移(BRET:Bioluminescence Resonance Energy Transfer)を利用して蛍光物質から生じる蛍光を検出する方法が開示されている。BRETを利用した化学発光イムノクロマトグラフ法によれば、発光タンパク質と蛍光物質とが近接した領域でのみ蛍光が生じるので、バックグラウンドを低減することができ、さらに感度を高めることができる。
 特開2015-105858号公報に開示されている堰体を用いることで、発光基質を検査領域上に留めることで検査用ストリップに発光基質を十分に浸透させることができる。しかし、特開2015-105858号公報の測定方法によれば、発光基質をメンブレン上に投入する際に、ユーザが堰体をメンブレンの検査領域を囲むように堰体を配置し、堰体で囲われた領域に発光基質を含む溶液を投入する必要がある。そのため、検査におけるユーザの負担が大きく、検査に時間を要する。
 特開2015-105858号公報及び特表2018-522221号公報に開示されているような化学発光イムノクロマトグラフ法を、より簡便に実施できる実用的なカートリッジは現在までのところ開発されていない。
 本開示は、化学発光イムノクロマトグラフ法による検査を確実かつ簡単に実現できるイムノクロマトグラフカートリッジを提供することを目的とする。
 本開示のイムノクロマトグラフカートリッジは、検体が展開され、検体に含まれる被検物質を捕捉する検査領域を有する検査用ストリップと、
 被検物質と特異的に結合する結合物質であって、発光タンパク質で標識された結合物質と、
 検査領域に供給される発光基質であって、発光タンパク質と反応することにより光を生じる発光基質を含む発光基質溶液を収容する発光基質溶液保持部と、
 検査用ストリップ及び発光基質溶液保持部を収容するケースであって、検査領域からの光を外部から測光可能とする測光窓部を備えたケースとを備え、
 ケース内に、発光基質溶液を検査用ストリップに展開する際に、検査領域上に発光基質溶液を滞留させる滞留部をさらに備えている。
 ケース内において、発光基質溶液保持部は、検査用ストリップの上方から検査用ストリップに発光基質溶液を供給可能に配置されており、ケースは、検査領域における検査用ストリップの表面に対向して配置される流路形成部であって、一部が測光窓部を構成する流路形成部を備えてもよく、発光基質溶液は、検査用ストリップと、流路形成部の検査用ストリップと対向する対向面との間を流路として、検査領域に供給されてもよい。
 流路において、検査領域を基準位置として、発光基質溶液が供給される供給位置側を上流側、反対側を下流側とした場合において、流路の上流側と下流側の2か所に設けられ、供給位置から流路に供給された発光基質溶液の流れを堰き止める2つの堰き止め部と、2つの堰き止め部と連接され、流路の側方に配置される2つの側壁とを有してもよく、2つの堰き止め部と2つの側壁は、対向面と連接されており、滞留部は、2つの堰き止め部、2つの側壁、及び対向面によって構成され、検査領域の周囲を取り囲む空間を画定するものであってもよい。
 流路の対向面は、検査領域と対面する対面領域を含む第1領域と、第1領域の周囲を取り囲む第2領域であり、発光基質溶液との親和性が、第1領域よりも低い第2領域とを有していてもよく、滞留部は、第1領域と第2領域とによって構成されていてもよい。
 第1領域は、親水化処理された親水化領域であり、第2領域は疎水化処理された疎水化領域であってもよい。
 発光基質溶液保持部は、少なくとも一部がフィルムにより構成されており、ケースは、さらに、発光基質溶液保持部のフィルムと対向して配置され、フィルムを穿孔する穿孔部材を備えており、ケース内において、発光基質溶液保持部と穿孔部材の相対的な移動により、フィルムが穿孔部材によって穿孔されることにより、発光基質溶液が検査用ストリップ上に供給されてもよい。
 ケースは、発光基質溶液保持部を覆う部分に、内側に変形可能な可変部であって、外力が加えられることにより、発光基質溶液保持部を穿孔部材に向かって移動させる可変部を備えていてもよい。
 ケースは、発光基質溶液保持部を覆う部分に孔部を備え、孔部に挿入される押圧部材により、発光基質溶液保持部が穿孔部材に向かって移動可能であってもよい。
 発光基質溶液保持部は、遮光部材により構成されていることが好ましい。
 ケース内に、検査領域に供給される洗浄液であって、検査領域に非特異吸着した結合物質を洗浄する洗浄液を収容する洗浄液保持部をさらに備えていることが好ましい。
 検査用ストリップは、検査領域に固定化された捕捉用結合物質であって、蛍光物質で標識された、被検物質と特異的に結合する捕捉用結合物質を備え、かつ、結合物質として、検査領域よりも検体を展開する際の上流側に配置された、検査領域に供給される標識結合物質を備え、検査領域に固定された捕捉用結合物質に、被検物質を介して標識結合物質が捕捉された状態において、発光基質が検査領域に供給された場合、発光タンパク質と発光基質とが反応して生じる光のエネルギーが蛍光物質に移動して蛍光を生じる生物発光エネルギー共鳴移動現象を生じさせるものであってもよい。
 検査用ストリップは、結合物質を、検査領域に固定化された捕捉用結合物質として備え、さらに、検査領域よりも検体を展開する際の上流側に配置された、被検物質と特異的に結合する標識結合物質であって、蛍光物質で標識され、検査領域に供給される標識結合物質を備え、検査領域に固定された捕捉用結合物質に、被検物質を介して標識結合物質が捕捉された状態において、発光基質が検査領域に供給された場合、発光タンパク質と発光基質とが反応して生じる光のエネルギーが蛍光物質に移動して蛍光を生じる生物発光エネルギー共鳴移動現象を生じさせるものであってもよい。
 ケースは、測光窓部に、発光基質溶液と発光タンパク質とが反応して生じる光を減衰させ、かつ、蛍光を透過させる、光学フィルタを備えていることが好ましい。
 本開示のカートリッジによれば、化学発光イムノクロマトグラフ法による検査を確実かつ簡単に実現できる。
カートリッジの斜視図である。 カートリッジの分解斜視図である。 カートリッジの破断側面図である。 第1押圧操作部が押し込まれた状態を示すカートリッジの破断側面図である。 第1押圧操作部に加えて第2押圧操作部が押し込まれた状態を示すカートリッジの破断側面図である。 中間ケース部材の斜視図である。 中間ケース部材の裏面側を示す斜視図である。 滞留部の説明図であり、図8Aはカートリッジの一部の破断側面図、図8Bは図8AにおけるB-B断面図、図8Cは図8AにおけるC-C断面図である イムノクロマトグラフ検査の手順を示す図である(その1)。 イムノクロマトグラフ検査の手順を示す図である(その2)。 検査領域L1からの光についての説明図である。 変形例の中間ケース部材の裏面側を示す図である。 変形例の滞留部を備えたカートリッジの一部の破断側面図である。 変形のカートリッジの一部の破断側面図と平面図である。 図14のカートリッジにおいて発光基質溶液保持部を移動させた状態を示す図である。 測光窓部に光学フィルタを備えた中間ケース部材の斜視図である。 図16に示す中間ケース部材を備えたカートリッジの一部の破断側面図である 他の一態様の検査領域L1からの光についての説明図である。 BRETを用いない化学発光イムノクロマトグラフ法における検査領域L1からの光についての説明図である。
 以下、本開示のイムノクロマトグラフカートリッジの具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。
 図1は、一実施形態のイムノクロマトグラフカートリッジ10(以下において、カートリッジ10という。)の外観を示す斜視図であり、図2はカートリッジ10の分解斜視図である。
 図1及び図2に示すように、カートリッジ10は、ケース11内に検査用ストリップ15を収容してなる。カートリッジ10は、検体毎に1つずつ用いられる1回使用型であり、免疫反応を利用して検体中の被検物質の有無を検査する検査具である。
 ケース11はケース本体12とカバー部材13と中間ケース部材14とで構成される(図2参照)。ケース本体12は、細長矩形板状の底板と、底板の4つの辺から垂直に立設された4つの側板とで囲まれた収容空間を有する箱である。このケース本体12の収容空間に、検査領域L1が設けられた検査用ストリップ15が収容される。中間ケース部材14は、ケース本体12とカバー部材13との間に配置され、外部に露出される測光窓部51Aを備える。
 なお、図1及び図2中のX方向及びY方向はいずれも水平面に沿う方向であり、互いに直交している。X方向はケース11の短辺に沿う方向であり、Y方向はケース11の長辺に沿う方向である。Z方向は鉛直方向に沿う方向であり、X方向及びY方向と直交している。以降の図面において同様である。
 カバー部材13には検体滴下口17及び測光用開口18が形成されている。また、カバー部材13には第1押圧操作部19及び第2押圧操作部20が設けられている。これら検体滴下口17、測光用開口18、第1押圧操作部19、及び第2押圧操作部20は一体成形されている。
 検体滴下口17は、検体を含む試料液70(図9参照)が滴下される丸穴であり、縁が表面から突出したボス状をしている。検体滴下口17は、カバー部材13の中心部に形成されている。検体は、被検物質71を含み得るものであれば何でもよく、特に限定されるものではない。検体は、イムノクロマト検査の対象の個体、特には動物、さらに言えば人の生物学的試料、例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、便、膿、鼻汁、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、鼻腔吸引液、または喀痰等、さらには臓器、組織、粘膜、及び皮膚、またはそれらを含むスワブ、あるいは動植物それ自体もしくはそれらの乾燥体を含む。被検物質71としては、抗原、抗体、タンパク質、及び低分子化合物等が挙げられる。
 測光用開口18は、検査用ストリップ15の検査領域L1等を外部から観察するための矩形状の開口である。測光用開口18は、検体滴下口17と第2押圧操作部20との間に形成されている。
 第1押圧操作部19は、カバー部材13のY方向の一端部に設けられている。第1押圧操作部19は、洗浄液48(図4参照)を検査用ストリップ15に供給する際に、ユーザにより押圧操作される。第2押圧操作部20は、第1押圧操作部19とは反対側のカバー部材13のY方向の他端部に設けられている。第2押圧操作部20は、発光基質溶液55(図8参照)を検査用ストリップ15に供給する際に、ユーザにより押圧操作される。
 図2に示すように、検査用ストリップ15は、全体的に細長矩形板状をしており、担体30、標識保持パッド31、送液パッド32、吸収パッド33、及びバック粘着シート34を有する。
 担体30は、例えばニトロセルロースメンブレン等の多孔質の不溶性材料により形成されている。標識保持パッド31は、検体滴下口17と対向する担体30の位置に取り付けられている。検体滴下口17に滴下された試料液70は、この標識保持パッド31に点着される。つまり、標識保持パッド31は試料液70の点着領域として機能する。
 標識保持パッド31に点着された試料液70は担体30に浸透し、毛細管現象によって担体30のY方向の一端側に展開していく。この試料液70が展開していく担体30のY方向の一端側には、検査領域L1、コントロール領域L2、及び発色領域L3が設けられている。これら検査領域L1、コントロール領域L2、及び発色領域L3は、担体30のX方向の一端から他端まで延びた帯状の領域である。標識保持パッド31から検査領域L1等に向かう方向を試料液70の展開方向とした場合、検査領域L1は展開方向の最も上流側に位置し、発色領域L3は展開方向の最も下流側に位置する。コントロール領域L2は、検査領域L1と発色領域L3の間に位置する。言い換えれば、コントロール領域L2は、検査領域L1よりも下流側、かつ発色領域L3よりも上流側に位置する。なお、図2では、検査領域L1、コントロール領域L2、及び発色領域L3にハッチングを施しているが、このハッチングは説明の便宜上施したものであって、各領域L1~L3が発色していることを示したものではない。以降の図3~図5、図8、図13~15及び図17等も同様である。
 送液パッド32は、検査領域L1等が設けられた担体30の一端とは反対側の担体30の他端に取り付けられている。送液パッド32は、担体30等と同様に多孔質材料により形成されており、毛細管現象によって洗浄液48を担体30に送液する。
 吸収パッド33は、標識保持パッド31が取り付けられている担体30の一端とは反対側の他端に取り付けられている。吸収パッド33は担体30と同様に多孔質材料により形成されている。吸収パッド33は、担体30に展開された試料液70、洗浄液48、及び発光基質溶液55を吸収する。
 バック粘着シート34は表面が粘着面となった基材であり、担体30が粘着固定される。
 バック粘着シート34、ひいては検査用ストリップ15は、ケース本体12の収容空間に形成された凸状の支持台35及び36に載置される。支持台35は、ケース本体12の中心部に設けられている。支持台36は、試料液70の展開方向の下流側のケース本体12の一端部に設けられている。支持台35及び36は同じ高さである。
 試料液70の展開方向の上流側のケース本体12の他端部にも、凸状の支持台37が形成されている。支持台37は、支持台35及び36と同じ高さである。支持台37には送液パッド32が載置される。
 支持台37には、凹状の第1収容部38が形成されている。第1収容部38は、担体30に取り付けられた一端とは反対側の送液パッド32の他端と対向する位置に設けられている。第1収容部38には洗浄液保持部45が収容される。
 洗浄液保持部45は、一面に開口を有する容器46と、容器46の開口を液密に覆うフィルム47とで構成される。容器46は例えば樹脂材料により形成されている。容器46の内部には洗浄液48が貯留される。フィルム47は例えばアルミニウムシートであり、容易に破断することが可能である。洗浄液保持部45は、フィルム47が送液パッド32の他端に対面するよう、フィルム47を上向きにした姿勢で第1収容部38に収容される。
 中間ケース部材14は、支持台36の上部に配置される。中間ケース部材14は、例えばアクリル樹脂等の透明樹脂材料により形成されている。中間ケース部材14は、第2収容部50と流路形成部51とが一体的に設けられた部材である。第2収容部50は上面が開口した箱であり、内部に発光基質溶液保持部52が収容される。流路形成部51は、第2収容部50の底部からY方向に延びる平板である。流路形成部51は標識保持パッド31の手前まで延びており、担体30の検査領域L1、コントロール領域L2及び発色領域L3の上部を覆う。担体30と流路形成部51との間には間隔Dが空けられている(図3参照)。間隔Dは、例えば0.01mm~1mmの範囲である。こうして担体30と流路形成部51との間に間隔Dが空けられることにより、発光基質溶液55の流路が確保される。流路形成部51は一部が測光用開口18に露出される。この流路形成部51のうち、測光用開口18に露出される部分が測光窓部51Aを構成する。流路形成部51は透明樹脂材料から形成されているので、測光窓部51Aを介して検査領域L1からの光を外部から測光できる。測光窓部51Aは測光用開口18から露出している。
 発光基質溶液保持部52は、一面に開口を有する容器53と、容器53の開口を液密に覆うフィルム54とで構成される。容器53は例えば樹脂材料により形成されている。なお、発光基質溶液保持部52は遮光部材により構成されていることが好ましい。遮光部材に内に収容することで、発光基質55Aの品質の低下を抑制することができるからである。容器53の内部には発光基質溶液55が貯留される。フィルム54は例えばアルミニウムシート等の封止フィルムであり、容易に破断することが可能である。発光基質溶液保持部52は、フィルム54が検査用ストリップ15に対面するよう、フィルム54を下向きにした姿勢で第2収容部50に収容される。
 一例として図3に示すように、第1押圧操作部19には押込み突起部材60が設けられている。また、第2押圧操作部20の内面には発光基質溶液保持部52が取り付けられている。第2収容部50の底部には、穿孔部材61及び供給口62が設けられている。穿孔部材61は先端が尖っている。
 一例として図4に示すように、押込み突起部材60は、第1押圧操作部19が押圧操作された場合に送液パッド32の他端と当接し、送液パッド32の他端を洗浄液保持部45のフィルム47に向けて押し込む。この押込み突起部材60による送液パッド32の他端の押し込みによってフィルム47が破断され、送液パッド32の他端が容器46内に落とされて洗浄液48に浸漬される。洗浄液48は、毛細管現象によって送液パッド32の他端から担体30に向けて展開される。第1押圧操作部19は、押圧操作により押し潰された後も、押し潰された状態を維持する。このため、洗浄液48略全てが送液パッド32に吸い上げられるまで、洗浄液48の展開が続けられる。
 一例として図5に示すように、第2押圧操作部20が押圧操作された場合、第2押圧操作部20はケース11の内側に変形し、これによって、発光基質溶液保持部52は第2収容部50内を下方に移動し、穿孔部材61を有する第2収容部50の底部に至る。すなわち、ケース11は、発光基質溶液保持部52を覆う部分に、内側に変更可能な可変部としての第2押圧操作部20を備える。そして、可変部である第2押圧操作部20に外力が加えられることにより、発光基質溶液保持部52は穿孔部材61に向かって移動される。そして、発光基質溶液保持部52のフィルム54が、穿孔部材61によって破断される。発光基質溶液保持部52に貯留された発光基質溶液55は、フィルム54の破断部分から供給口62へと流れ、さらに間隔D(図3参照)により確保された流路を流れて担体30に供給される。
 図6は、中間ケース部材14の斜視図であり、図7は中間ケース部材14の検査用ストリップ15と対向する面側を示す斜視図である。中間ケース部材14の流路形成部51の検査用ストリップ15と対向する対向面64には、測光窓部51Aを囲むように立設された4つの壁部56、57、58、59が設けられている。中間ケース部材14が検査用ストリップ15上に配置された場合において、検査用ストリップ15の長手方向に直交する方向に沿って配置される2つの壁部56、57には、長手方向に直交する方向の中央部に切り欠き56A、57Aが設けられている。図6に示すように、中間ケース部材14はケース本体12とカバー部材13との間で、4つの壁部56~59により検査用ストリップ15の検査領域L1、コントロール領域L2及び発色領域L3を囲む態様で検査用ストリップ15上に配置される。
 図8は中間ケース部材14の壁部56~59の説明図である。図8Aはカートリッジ10の一部の側断面図であり、図8Bは図8A中のB-B断面図、図8Cは図8A中のC-C断面図である。検査領域L1を基準位置として、発光基質溶液55が供給される供給位置側を上流側、反対側を下流側とした場合において、壁部56は流路の上流側に、壁部57は流路の下流側に配置されている。なお、本例において、発光基質溶液55の展開方向は試料液70の展開方向とは逆向きであるので、発光基質溶液55の展開方向における上流側及び下流側は、試料液70の展開方向における下流側及び上流側に相当する。
 流路を横切る方向に延びる2つの壁部56、57は、供給位置から流路に供給された発光基質溶液55の流れを堰き止める堰き止め部(以下において、堰き止め部56、57ともいう。)である。残りの2つの壁部58、59は、堰き止め部56、57と連接されており、流路の側方に配置される側壁(以下において、側壁58、59ともいう。)である。
 ケース11内に検査用ストリップ15と中間ケース部材14が配置された状態において、堰き止め部56、57、2つの側壁58、59及び対向面64によって、検査領域L1の周囲を取り囲む空間が画定されている。供給位置から供給された発光基質溶液55は、検査用ストリップ15と対向面64との間に形成された空間から構成される流路に沿って流れるが、供給位置よりも上流側への流れ堰き止め部56によって堰き止められ、下流側への流れは57によって堰き止められる。また、壁部56、57で堰き止められたことにより、発光基質溶液55が流路から流路の側方に溢れた場合には、流路の側方の壁部58、59により堰き止められる。これにより、発光基質溶液55は検査領域L1上に滞留する。すなわち、2つの堰き止め部56、57、2つの側壁58、59、及び対向面64は発光基質溶液55を検査領域L1上(ここでは、検査領域L1、コントロール領域L2及び発色領域L3を含む領域上)に、発光基質溶液55を滞留させる滞留部65を構成している。
 発光基質溶液55は流路を流れると共に一部は担体30に浸透して担体30内において毛細管現象により上流側及び下流側に送液される。なお、検査領域L1上に滞留した発光基質溶液55は徐々に担体30に吸収される。
 一例として図9に示すように、標識保持パッド31には、発光タンパク質76で標識された標識結合物質77を含む。標識結合物質77は、被検物質と特異的に結合する結合物質である。標識結合物質77は、例えば、被検物質71が抗原である場合は、その抗原に対する抗体であり、被検物質71が抗体である場合は、その抗体に結合可能な二次抗体である。被検物質71がタンパク質及び低分子化合物等の場合は、標識結合物質77は、タンパク質及び低分子化合物等に対するアプタマーである。
 発光タンパク質76は、発光基質55Aと反応して発光を生じさせるタンパク質である。
 検査領域L1には蛍光物質73で標識された捕捉用結合物質74が固定化されている。捕捉用結合物質74は、被検物質71と特異的に結合する結合物質である。これにより検査領域L1に被検物質71が捕捉される。捕捉用結合物質74は、例えば、被検物質71が抗原である場合は、その抗原に対する抗体であり、被検物質71が抗体である場合は、その抗体に対する抗原である。被検物質71がタンパク質及び低分子化合物等の場合は、捕捉用結合物質74は、タンパク質及び低分子化合物等に対するアプタマーである。
 蛍光物質73は、励起エネルギーが与えられることにより蛍光を生じる蛍光色素あるいは蛍光タンパク質などである。
 捕捉用結合物質74と標識結合物質77は同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。例えば、被検物質71がインフルエンザA型ウイルスあるいはそのバイオマーカーである場合、捕捉用結合物質74及び標識結合物質77として、抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Medix Biochemica社製、製品名:Anti-Influenza A SPT N-5 7307)を用いることができる。
 蛍光物質73と発光タンパク質76とは、発光タンパク質76の発光スペクトルの波長域と蛍光物質73の励起スペクトルの波長域とに被りがあるものが選択される。発光タンパク質76の発光スペクトルが蛍光物質73の励起スペクトルと被っている波長域があれば、エネルギー移動が生じ得る。
 発光タンパク質76は、一例として青色光を生じさせる発光タンパク質であり、蛍光物質73は、一例として緑色の蛍光を発する緑色蛍光色素または緑色蛍光タンパク質とすることができる。
 発光基質55Aは、発光タンパク質76と反応して酸化されることによりエネルギーを生じ、励起状態になり、基底状態に遷移する際に発光を生じる。一方、蛍光物質73と発光タンパク質76とが近接した状態で位置している場合、発光基質55Aと発光タンパク質76とが反応して生じたエネルギー(以下において、発光エネルギーEという。)が蛍光物質73に移動する生物発光エネルギー共鳴移動現象(BRET)が生じる。これによって、蛍光78が生じる。すなわち、発光基質55Aと発光タンパク質76とが反応して生じる発光エネルギーEにより、蛍光物質73が励起されて蛍光物質73から蛍光78が生じる。本実施形態のカートリッジ10を用いた検査においては、このBRETによる蛍光物質73から生じる蛍光78を検出することにより、検体が陽性であるか陰性であるかを判定する。検査手順についての詳細は後述する。
 発光タンパク質76、蛍光物質73及び発光基質55Aの組み合わせの具体例としては、青色発光タンパク質であるNanoLuc(登録商標、プロメガ社製)、緑色蛍光タンパク質であるmNeongreen(Allele Biotechnology社製)、及びFurimazine(プロメガ社製)の組み合わせが挙げられる。
 コントロール領域L2は、蛍光物質73で標識されたコントロール用結合物質75を含む。コントロール用結合物質75は標識結合物質77に特異的に結合する。これによりコントロール領域L2に発光タンパク質76が捕捉される。標識結合物質77の中には、被検物質71と結合しないものもある。こうした標識結合物質77は、検査領域L1で捕捉されることなくコントロール領域L2に到達し、コントロール領域L2に捕捉される。標識結合物質77を介して発光タンパク質76が捕捉された場合、コントロール領域L2において、蛍光物質73と発光タンパク質76が近接して位置することになる。この状態で、発光基質55Aが展開されると、コントロール領域L2において、BRETが生じる。BRETにより蛍光物質73から生じる蛍光により、試料液70が担体30に十分に展開され、試料液70の展開が完了したことが確認できる。
 コントロール用結合物質75は、被検物質71そのものであってもよいし、標識結合物質77が認識する部位を持つ化合物でもよい。標識結合物質77が認識する部位を持つ化合物としては、例えば、被検物質71の誘導体とタンパク質とを結合させたような化合物等が挙げられる。例えば、被検物質71がインフルエンザA型ウイルスあるいはそのバイオマーカーである場合、コントロール用結合物質75として、抗マウスIgG抗体(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品名:抗マウスIgG(H+L)、ウサギF(ab')2、製品コード:566-70621)を用いることができる。
 発色領域L3は、洗浄液48と反応して発色状態が変化する物質(図示省略)を含む。発色領域L3が洗浄液48と反応して発色した場合、もしくは色が変化した場合、洗浄液48が発色領域L3にまで展開され、発光基質溶液55の供給を開始するタイミングとなったことが分かる。例えば、酸性に調製された界面活性剤を含む緩衝液を洗浄液48として使用する場合には、富士フイルム和光純薬株式会社製のブロモクレゾールグリーンが帯状に固定化された発色試薬固定化ラインにより発色領域L3を構成することが好ましい。この場合、発色領域L3は洗浄液48と反応する前は暗緑色であり、洗浄液48が到達した場合は橙色へと変化する。
 洗浄液48は、検体を検査領域L1に供給した後、かつ、発光基質55Aを検査領域L1に供給する前に、検査領域L1に供給される。洗浄液48は、検査領域L1に非特異吸着した標識結合物質77を洗浄する。ここで、「標識結合物質77が非特異吸着している」とは、標識結合物質77が、被検物質71と捕捉用結合物質74との特異的な結合に依らず、担体上に吸着した状態をいう。洗浄液48で非特異吸着した標識結合物質77を除去することができるので、バックグラウンドを低減できS/Nを向上させることができる。
 洗浄液48は、非特異吸着した標識結合物質77及び被検物質71などを洗い流すことができ、かつ、特異的な結合を弱めたり、後工程における光検出の感度の低下を生じさせたりしない液体である。洗浄液48として、例えば、界面活性剤、及び、防腐剤入りの緩衝液などが挙げられる。
 発光基質溶液55は、上述の発光基質55Aが溶媒中に溶解されてなる溶液である。発光基質55Aは発光タンパク質76に応じて適宜選択される。溶媒としては、発光基質55Aを溶解でき、かつ、特異的な結合を弱めたり、後工程における光検出の感度の低下を生じさせたりしない液体が用いられる。さらに、溶媒は、非特異吸着した標識結合物質77及び被検物質71などを洗い流す機能を有することが好ましい。溶媒としては、例えば、有機溶剤又は有機溶剤と水の混合液等が挙げられる。
 以下、図9及び図10を参照して、イムノクロマト検査の手順を説明する。ここでは、検体が被検物質71を含んでいる場合、つまり、検体が陽性である場合を例に説明する。なお、図9及び図10においては、バック粘着シート34の図示を省略している。
 まず、ステップST1に示すように、試料液70が標識保持パッド31に点着される。標識保持パッド31に点着された試料液70中の被検物質71は、標識保持パッド31の標識結合物質77と特異的に結合する。
 ステップST2に示すように、試料液70は標識保持パッド31から担体30に浸透し、毛細管現象により検査領域L1側に展開される。検査領域L1に到達した被検物質71が捕捉用結合物質74に捕捉される。これにより、被検物質71と標識結合物質77を介して発光タンパク質76が、検査領域L1の捕捉用結合物質74に捕捉される(ステップST3参照)。なお、検査領域L1で捕捉されなかった標識結合物質77はさらに吸収パッド33まで展開される。また、標識結合物質77の一部は吸収パッド33まで展開されず、担体30上に非特異に吸着する場合がある。
 次に、ステップST3に示すように、洗浄液48が供給される。洗浄液48は送液パッド32を介して担体30に供給され、毛細管現象により検査領域L1側に展開される。この洗浄液48の展開により、担体30上に非特異吸着した標識結合物質77を洗浄する。この際、検査領域L1に非特異吸着した標識結合物質77は洗浄液48と共に、吸収パッド33へと流される。
 その後、ステップST4に示すように、洗浄液48が発色領域L3に到達し、発色領域L3の発色状態に変化が生じることにより、洗浄液48の展開が完了したことが確認される。
 洗浄液48の展開完了を確認した後、ステップST5に示すように、発光基質溶液55が供給される。発光基質溶液55は、検査領域L1を挟んで標識保持パッド31と反対側の一端から担体30に供給され、検査領域L1側に展開される。
  ステップST6に示すように、検査領域L1に到達した発光基質溶液55に含まれる発光基質55Aが、検査領域L1に捕捉されている発光タンパク質76と反応する。そして、この反応により生じた発光エネルギーEが、検査領域L1に固定されている蛍光物質73に移動するBRETが生じ、発光タンパク質76から蛍光78が生じる。検査領域L1から蛍光78を検出することにより、検体が陽性か陰性かを判定することができる。
なお、検査領域L1からの発光は、図示しない検出装置の光検出器110(図11参照)により検出される。
 検体が陽性である場合、図11に示すように、検査領域L1の捕捉用結合物質74には、被検物質71が捕捉され、被検物質71を介して発光タンパク質76が捕捉される。この状態で、発光基質55Aが検査領域L1に供給されると、発光基質55Aが発光タンパク質76と反応して発光エネルギーEを生じ、BRETにより蛍光物質73から蛍光78が生じる。このように、検体が陽性である場合、このBRETによる蛍光78が検査領域L1からの光として検出される。
 なお、検体が陰性である場合、検体に被検物質71が含まれていないので、検査領域L1の捕捉用結合物質74に被検物質71は捕捉されず、結果として検査領域L1には発光タンパク質76も捕捉されない。この状態で、発光基質55Aが検査領域L1に供給されても、検査領域L1に発光タンパク質76が存在しないので、検査領域L1から光は検出されない。
 なお、検査領域L1からは、発光タンパク質76と蛍光物質73とが近接していない場合、BRETが生じず、発光タンパク質76と発光基質55Aとが反応して光79が生じる場合がある。この光79はバックグラウンドとなり、蛍光78の検出を妨げる場合がある。図11に示すように、検査領域L1と光検出器110との間に、発光タンパク質76と発光基質55Aとが反応して生じる光79を減衰させ、蛍光物質73からの蛍光78を透過する光学フィルタ112を備えることで、光検出器110の入射する光79を抑制することができる。なお、光検出器110としては、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラなどの撮像素子を用いることができる。なお、光検出器110としては、分光光検出器を用いてもよい。光検出器110が分光光検出器である場合には、波長毎に光を検出可能であるので、光学フィルタ112を備えていなくてもかまわない。
 本カートリッジ10は、発光基質溶液55を検査用ストリップ15に展開する際に、検査領域L1上に発光基質溶液55を滞留させる滞留部65を備えている。図10のステップST6に示すように、滞留部65が無い場合と比較して、検査領域L1上に長い時間、発光基質溶液55を滞留されることができる。化学発光、あるいはBRETによる光は、発光基質が発光タンパク質の近傍に存在しないと発光せず、発光基質溶液55を検査用ストリップ15に供給した後、発光のピークに達するまである程度の時間を要する。本カートリッジ10によれば、検査領域L1上に発光基質溶液55を滞留させることができるので、発光のピークを高め、精度よく光検出を行うことが可能となる。
 滞留部65がカートリッジ10内部に備えられており、発光基質溶液55を検査用ストリップ15に供給する際に、ユーザにより、発光基質溶液55を検査領域L1上に滞留させるための作業が不要である。したがって、本カートリッジ10によれば、ユーザの負担なく、化学発光イムノクロマトグラフ法による検査を確実かつ簡単に実現できる。
 本例では、2つの堰き止め部56、57と、2つの堰き止め部56、57に連接された2つの側壁58、59を備え、2つの側壁58、59は対向面64と連接されている。そして、滞留部65は、2つの堰き止め部56、57、2つの側壁58、59、及び対向面64によって構成され、検査領域L1の周囲を取り囲む空間を画定している。この空間に発光基質溶液55を効率的に滞留させることができる。
 滞留部65としては、上記構成に限らず、検査領域L1上に滞留部65がない場合よりも長く発光基質溶液55を滞留させることができれば、どのような構成であってもよい。
上記実施形態においては、壁部56~59が流路形成部51の対向面64に立設されているが、4つの壁部56~59を備えた四角筒状部材は流路形成部51(すなわち中間ケース部材14)と独立した別部材として備えられていてもかまわない。
 また、図12に示す変形例の中間ケース部材14Aのように、中間ケース部材14Aの流路形成部51の対向面64に設けられた、第1領域66と第2領域67とにより、滞留部68が構成されていてもよい。第1領域66は、検査領域L1と対面する対面領域を含む領域である。第2領域67は、第1領域66の周囲を取り囲む領域である。第2領域67は、発光基質溶液55との親和性が、第1領域66よりも低い。
 図12に示す例において、第1領域66は測光窓部51Aに相当する領域である。第1領域66は、発光基質溶液55との親和性が第2領域67よりも高いので、図13に示すように、流路に供給された発光基質溶液55を第1領域66に滞留させることができる。
 発光基質溶液55との親和性を第1領域66よりも第2領域67を低くする方法としては、第1領域66及び/又は第2領域67に親水化処理あるいは疎水化処理を施す方法が挙げられる。
 発光基質溶液55の極性が高い場合は、第1領域66を親水化処理して親水化領域とする、及び/又は、第2領域67を疎水化処理して疎水化領域とすることで、第2領域67の発光基質溶液55に対する親和性を第1領域66よりも低くすることができる。第1領域66を親水化処理するのみ、あるいは第2領域67を疎水化処理するのみでもよいが、第1領域66を親水化処理して親水化領域とし、かつ、第2領域67を疎水化処理して疎水化領域とすることで、極性が高い発光基質溶液55の第1領域66への閉じ込め効果が高い。
 発光基質溶液55の極性が低い場合は、第1領域66を疎水化処理して疎水化領域とする、及び/又は、第2領域67を親水化処理して親水化領域とすることで、第2領域67の発光基質溶液55に対する親和性を第1領域66よりも低くすることができる。この場合も、第1領域66を疎水化処理するのみ、あるいは第2領域67を親水化処理するのみでもよいが、第1領域66を疎水化処理して疎水化領域とし、かつ、第2領域67を親水化処理して親水化領域とすることで、極性が低い発光基質溶液55の第1領域66への閉じ込め効果が高い。
 疎水化処理としては、疎水基を有するシランカップリング剤を対向面の表面に塗布する方法が挙げられる。疎水基の例としては、アルキル鎖及びフェニル基などが挙げられる。
 親水化処理としては、親水基を有するシランカップリング剤を対向面の表面に塗布する方法が挙げられる。親水基の例としては、ヒドロキシル基及びPEG(polyethylene glycol)鎖などが挙げられる。また、親水化処理としては、Oアッシング処理あるいはプラズマ処理等でヒドロキシル基を形成する方法もある。
 このような、親水化処理あるいは疎水か処理によって構成された滞留部68を備えた場合にも、滞留部68が無い場合と比較して、検査領域L1上に長い時間、発光基質溶液55を滞留されることができる。したがって、化学発光あるいはBRETによる蛍光の発光ピークを高め、精度よく光検出を行うことが可能となる。
 また、カートリッジ10は、カートリッジ10内に、発光基質55Aを含む発光基質溶液55を内包する発光基質溶液保持部52を備えている。発光基質溶液55がカートリッジ10内に備えられていることにより、アンプルあるいはバイアルなどの容器から発光基質溶液55を計量し、検査領域L1に供給する等の作業が軽減される。本カートリッジ10では、第2押圧操作部20を備えており、第2押圧操作部20を押下することで、発光基質溶液55を検査用ストリップ15に供給することができるので、簡便な検査を実現できる。
 さらに、カートリッジ10は、カートリッジ10内に、洗浄液48を内包する洗浄液保持部45を備えている。洗浄液48がカートリッジ10内に備えられていることにより、アンプルあるいはバイアルなどの容器から洗浄液48を計量し、検査領域L1に供給する等の作業が軽減される。本カートリッジ10では、第1押圧操作部19を備えており、第1押圧操作部19を押下することで、洗浄液48を検査用ストリップ15に供給することができるので、簡便な検査を実現できる。
 本開示の技術においては、洗浄液保持部45は必須の構成要素ではない。しかし、洗浄液保持部45を備え、検査用ストリップ15の検査領域L1に対して、試料液70を展開した後であって、発光基質溶液55を供給する前に洗浄液48を展開させることにより、非特異吸着した標識結合物質77や被検物質71等を洗い流せるため、バックグラウンドを抑制し、光検出時のS/Nを向上させることができる。
 既述の通り、上記カートリッジ10の第1押圧操作部19及び第2押圧操作部20は、ユーザにより押圧操作が可能であるが、第1押圧操作部19及び第2押圧操作部20の押圧機構を備えた検査装置内において行うこともできる。
 上記実施形態のカートリッジ10において、ケース11は、発光基質溶液保持部52を覆う部分に、内側に変形可能な可変部としての第2押圧操作部20を備える。そして、可変部である第2押圧操作部20に外力が加えられることにより、発光基質溶液保持部52を穿孔部材61に向かって移動させるように構成されている。この形態により、ユーザが第2押圧操作部20を押圧操作することにより、発光基質溶液55を検査用ストリップ15に供給することができる。また、本例では、発光基質溶液保持部52を穿孔部材61向かって移動させるが、発光基質溶液保持部52と穿孔部材61の相対的な移動によりフィルム54が穿孔部材61により穿孔されることができればよい。したがって、外力により穿孔部材61が発光基質溶液保持部52に向かって移動するように構成されていてもよいし、発光基質溶液保持部52と穿孔部材61の両者が互いに向かって移動するように構成されていてもよい。
 また、ケース11としては、上記形態に限らない。図14に変形例のカートリッジ10Aの一部の側断面図及び平面図を示す。図14において、図1~図8で示したカートリッジ10と同一の構成要素には同一の符号を付している。図15においても同様とする。変形例のカートリッジ10Aにおいて、ケース11Aは、第2押圧操作部20のような内側に変形可能な可変部は備えていない。ケース11Aは発光基質溶液保持部52を覆う凸部120の上面に孔部120A(本例では2つの孔部120A)を備えている。発光基質溶液保持部52は、孔部120Aに挿入される押圧部材122により移動可能に配置されている。
 発光基質溶液55を検査用ストリップ15に供給する際には、図15に示すように、孔部120Aに押圧部材122を挿入し、押圧部材122の先端を発光基質溶液保持部52に当接させて、押し込むことによって、発光基質溶液保持部52を穿孔部材61に向かって移動させる。押圧部材122はユーザが手動で孔部120Aに挿入する形態であってもよいし、検査装置にカートリッジ10Aを装填し、検査装置内に備えられた押圧部材122が孔部120Aに挿入される形態であってもよい。
 上記実施形態において、検査領域L1からの光を検出する際に、化学発光の光79の光検出器110への入射を抑制するために、検査領域L1と光検出器110との間に、光学フィルタ112を備えることについて説明した。この光学フィルタ112は、カートリッジ10に備えられていてもよい。図16に示す変形例の中間ケース部材14Bは、流路形成部51の測光窓部51Aに光学フィルタ112を備えている。図17は、図16に示す中間ケース部材14Bを備えた場合のカートリッジの側断面図を示している。図17に示すように、測光用開口18に露呈する測光窓部51Aが光学フィルタ112によって覆われている。図16に示す例では、光学フィルタ112は測光窓部51Aを含む流路形成部51の幅全域に亘って設けられているが、光学フィルタ112は少なくとも測光用開口18に露呈する測光窓部51Aに形成されていればよい。また、光学フィルタ112は、本例のように、測光窓部51Aのケース11外側となる面に備えられていてもよいし、内側の面である対向面64に備えられていてもよい。光学フィルタ112は、化学発光の光79を減衰させ、かつ、蛍光78を透過する。このように、カートリッジ10に光学フィルタ112を備えた場合、光検出器110側に光学フィルタ112を備える必要がない。
 上記実施形態のカートリッジ10においては、標識結合物質77は発光タンパク質76で標識されており、捕捉用結合物質74は蛍光物質73で標識されているが、標識結合物質77が蛍光物質73で標識されており、捕捉用結合物質74が発光タンパク質76で標識されていてもよい。
 図18は、標識結合物質77が蛍光物質73で標識されており、捕捉用結合物質74が発光タンパク質76で標識されている場合の検査領域L1からの光についての説明図である。この場合、検査用ストリップ15Aの検査領域L1には発光タンパク質76が固定されている。検体滴下口17から滴下された試料液70中の被検物質71は、標識結合物質77と結合し、標識結合物質77を介して蛍光物質73が付与される。そして、検査領域L1の捕捉用結合物質74に、被検物質71が捕捉され、被検物質71を介して蛍光物質73が捕捉される。この状態で、発光基質55Aが検査領域L1に供給されると、発光基質55Aが発光タンパク質76と反応して発光エネルギーEを生じ、BRETにより蛍光物質73から蛍光78が生じる。また、検査領域L1においては、被検物質71を捕捉していない捕捉用結合物質74も存在する。蛍光物質73を捕捉していない捕捉用結合物質74の発光タンパク質76と発光基質55Aとが反応した場合、BRETが生じず、化学発光の光79が生じる。すなわち、検体が陽性である場合、検査領域L1からは蛍光78と光79とが生じる。
 蛍光78と光79とはピーク波長が異なるので、光検出器110と検査領域L1との間に、光79を減衰させ、蛍光78を透過させる光学フィルタ112を備えることにより、蛍光78のみを検出することができる。
 なお、検体が陰性である場合、検体に被検物質71が含まれていないので、検査領域L1の捕捉用結合物質74に被検物質71は捕捉されず、結果として、検査領域L1には蛍光物質73が捕捉されない。この状態で、発光基質55Aが検査領域L1に供給された場合、発光基質55Aが発光タンパク質76と反応して発光エネルギーを生じてもBRETは生じないので蛍光は生じず、化学発光の光79が生じる。すなわち、検体が陰性である場合、検査領域L1からは光79のみが生じる。光学フィルタ112により光79が減衰されるため、光検出器110では検査領域L1からの光はほとんど検出されない。
 このように、標識結合物質77が蛍光物質73で標識されており、捕捉用結合物質74が発光タンパク質76で標識されている場合であっても、検査領域L1におけるBRETによる蛍光78を検出することで、検体が陰性であるか陽性であるかを判定することができる。また、この場合も、カートリッジ10が滞留部65を備えることにより、検査領域L1上に発光基質溶液55を滞留させることができ、検査領域L1において、発光タンパク質76と発光基質55Aとを十分反応させて光(光エネルギー)を生じさせることができる。
 なお、本開示の技術は、BRETを用いない化学発光イムノクロマトグラフ法を実施するためのカートリッジにも適用できる。
 BRETを用いない化学発光イムノクロマトグラフ法では、図19示すように、検査用ストリップ15Bの検査領域L1には標識されていない捕捉用結合物質74が固定されており、標識結合物質77の標識として発光タンパク質76が用いられる。検体が陽性の場合、被検物質71を介して、発光タンパク質76が標識された標識結合物質77を捕捉する。この状態で発光基質55Aが検査領域L1に供給されるので、発光基質55Aが発光タンパク質76と反応して発光する。この際、発光基質55Aと発光タンパク質76とが反応して化学発光による光79が生じる。そして、この光79が検査領域L1からの光として検出される。なお、検体が陰性の場合、捕捉用結合物質74に捕捉されるべき被検物質71が存在しないので、検査領域L1に発光タンパク質76は捕捉されない。そのため、発光基質55Aが検査領域L1に供給されても、化学発光による光79は生じない。すなわち、陰性の場合、検査領域L1からの光は生じない。
 BRETを用いない化学発光イムノクロマトグラフ法の場合でも、発光基質55Aと発光タンパク質76との反応によって生じる光79を精度よく検出するためには、ある程度の時間、発光基質55Aを発光タンパク質76と反応させる必要がある。そのため、滞留部65を備え、発光基質溶液55を検査領域L1上に滞留させることにより、検出精度を向上させる効果を、BRETの場合と同様に得ることができる。
 但し、BRETを用いない場合、検査領域L1に非特異吸着した標識結合物質77が残っていた場合には、非特異吸着した標識結合物質77の標識である発光タンパク質76と発光基質55Aとが反応して生じた光がバックグラウンドを上昇させる要因となる。BRETを用いた場合、蛍光を信号として検出するので、非特異吸着した標識結合物質77が検査領域L1に存在した場合であっても、非特異吸着した標識結合物質77によるバックグラウンドの上昇を抑制することができる。
 より詳細には、BRETを用いたイムノクロマトグラフ法では、発光基質55Aと蛍光物質73とが反応することにより生じる発光エネルギーEは、被検物質71を介して標識結合物質77が捕捉された状態において、発光タンパク質76へ移動して、発光タンパク質76から蛍光78を生じさせる。このエネルギーが移動するBRETという現象は、蛍光物質73と発光タンパク質76とが近接している状態(例えば、10nm程度以下の距離に位置する状態)である場合に生じる。従って、標識結合物質77が捕捉用結合物質74に捕捉していない場合には、蛍光物質73と発光タンパク質76とが近接していないために、BRETは生じない。そのため、検査領域L1の周辺領域において標識結合物質77が非特異吸着しても、この非特異吸着した標識結合物質77に標識されている発光タンパク質76は励起されず、蛍光を生じない。従って、検査領域L1の周辺領域における、非特異吸着した標識結合物質77が生じても、バックグラウンドを上昇させず、S/N比の高い測定ができる。すなわち、BRETを用いた測定により判定が可能な本実施形態のカートリッジ10は、上記のBRETを用いていない化学発光イムノクロマト法に比べて、バックグラウンドを抑制できるので、測定精度を向上させることができる。
 以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
 検体が展開され、検体に含まれる被検物質を捕捉する検査領域を有する検査用ストリップと、
 被検物質と特異的に結合する結合物質であって、発光タンパク質で標識された結合物質と、
 検査領域に供給される発光基質であって、発光タンパク質と反応することにより光を生じる発光基質を含む発光基質溶液を収容する発光基質溶液保持部と、
 検査用ストリップ及び発光基質溶液保持部を収容するケースであって、検査領域からの光を外部から測光可能とする測光窓部を備えたケースとを備え、
 ケース内に、発光基質溶液を検査用ストリップに展開する際に、検査領域上に発光基質溶液を滞留させる滞留部をさらに備えた、イムノクロマトグラフカートリッジ。
(付記2)
 ケース内において、発光基質溶液保持部は、検査用ストリップの上方から検査用ストリップに発光基質溶液を供給可能に配置されており、
 ケースは、検査領域における検査用ストリップの表面に対向して配置される流路形成部であって、一部が測光窓部を構成する流路形成部を備え、
 発光基質溶液は、検査用ストリップと、流路形成部の検査用ストリップと対向する対向面との間を流路として、検査領域に供給される、付記1に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
(付記3)
 流路において、検査領域を基準位置として、発光基質溶液が供給される供給位置側を上流側、反対側を下流側とした場合において、
 流路の上流側と下流側の2か所に設けられ、供給位置から流路に供給された発光基質溶液の流れを堰き止める2つの堰き止め部と、
 2つの堰き止め部と連接され、流路の側方に配置される2つの側壁とを有しており、
 2つの堰き止め部と2つの側壁は、対向面と連接されており、
 滞留部は、2つの堰き止め部、2つの側壁、及び対向面によって構成され、検査領域の周囲を取り囲む空間を画定する、付記2に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
(付記4)
 流路の対向面は、検査領域と対面する対面領域を含む第1領域と、第1領域の周囲を取り囲む第2領域であり、発光基質溶液との親和性が、第1領域よりも低い第2領域とを有しており、
 滞留部は、第1領域と第2領域とによって構成されている、付記2に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
(付記5)
 第1領域は、親水化処理された親水化領域であり、第2領域は疎水化処理された疎水化領域である、付記4に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
(付記6)
 発光基質溶液保持部は、少なくとも一部がフィルムにより構成されており、
 ケースは、さらに、発光基質溶液保持部のフィルムと対向して配置され、フィルムを穿孔する穿孔部材を備えており、
 ケース内において、発光基質溶液保持部と穿孔部材の相対的な移動により、フィルムが穿孔部材によって穿孔されることにより、発光基質溶液が検査用ストリップ上に供給される、付記1から付記5のいずれか一つに記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
(付記7)
 ケースは、発光基質溶液保持部を覆う部分に、内側に変形可能な可変部であって、外力が加えられることにより、発光基質溶液保持部を穿孔部材に向かって移動させる可変部を備えている、付記6に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
(付記8)
 ケースは、発光基質溶液保持部を覆う部分に孔部を備え、
 孔部に挿入される押圧部材により、発光基質溶液保持部が穿孔部材に向かって移動可能である、付記6又は付記7に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
(付記9)
 発光基質溶液保持部は、遮光部材により構成されている、付記1から付記8のいずれか一つに記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
(付記10)
 ケース内に、検査領域に供給される洗浄液であって、検査領域に非特異吸着した結合物質を洗浄する洗浄液を収容する洗浄液保持部をさらに備えている、付記1から付記9のいずれか一つに記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
(付記11)
 検査用ストリップは、検査領域に固定化された捕捉用結合物質であって、蛍光物質で標識された、被検物質と特異的に結合する捕捉用結合物質を備え、かつ、結合物質として、検査領域よりも検体を展開する際の上流側に配置された、検査領域に供給される標識結合物質を備え、
 検査領域に固定された捕捉用結合物質に、被検物質を介して標識結合物質が捕捉された状態において、発光基質が検査領域に供給された場合、発光タンパク質と発光基質とが反応して生じる光のエネルギーが蛍光物質に移動して蛍光を生じる生物発光エネルギー共鳴移動現象を生じさせる、付記1から付記10のいずれか一つに記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
(付記12)
 検査用ストリップは、結合物質を、検査領域に固定化された捕捉用結合物質として備え、さらに、検査領域よりも検体を展開する際の上流側に配置された、被検物質と特異的に結合する標識結合物質であって、蛍光物質で標識され、検査領域に供給される標識結合物質を備え、
 検査領域に固定された捕捉用結合物質に、被検物質を介して標識結合物質が捕捉された状態において、発光基質が検査領域に供給された場合、発光タンパク質と発光基質とが反応して生じる光のエネルギーが蛍光物質に移動して蛍光を生じる生物発光エネルギー共鳴移動現象を生じさせる、付記1から付記10のいずれか一つに記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
(付記13)
 ケースは、測光窓部に、発光基質溶液と発光タンパク質とが反応して生じる光を減衰させ、かつ、蛍光を透過させる、光学フィルタを備えている、付記11又は付記12に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
 なお、2022年9月26日に出願された日本国特許出願2022-153102の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (13)

  1.  検体が展開され、前記検体に含まれる被検物質を捕捉する検査領域を有する検査用ストリップと、
     前記被検物質と特異的に結合する結合物質であって、発光タンパク質で標識された結合物質と、
     前記検査領域に供給される発光基質であって、前記発光タンパク質と反応することにより光を生じる発光基質を含む発光基質溶液を収容する発光基質溶液保持部と、
     前記検査用ストリップ及び前記発光基質溶液保持部を収容するケースであって、前記検査領域からの光を外部から測光可能とする測光窓部を備えたケースとを備え、
     前記ケース内に、前記発光基質溶液を前記検査用ストリップに展開する際に、前記検査領域上に前記発光基質溶液を滞留させる滞留部をさらに備えた、イムノクロマトグラフカートリッジ。
  2.  前記ケース内において、前記発光基質溶液保持部は、前記検査用ストリップの上方から前記検査用ストリップに前記発光基質溶液を供給可能に配置されており、
     前記ケースは、前記検査領域における前記検査用ストリップの表面に対向して配置される流路形成部であって、一部が前記測光窓部を構成する流路形成部を備え、 前記発光基質溶液は、前記検査用ストリップと、前記流路形成部の前記検査用ストリップと対向する対向面との間を流路として、前記検査領域に供給される、請求項1に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
  3.  前記流路において、前記検査領域を基準位置として、前記発光基質溶液が供給される供給位置側を上流側、反対側を下流側とした場合において、
     前記流路の前記上流側と前記下流側の2か所に設けられ、前記供給位置から前記流路に供給された前記発光基質溶液の流れを堰き止める2つの堰き止め部と、
     2つの前記堰き止め部と連接され、前記流路の側方に配置される2つの側壁とを有しており、
     2つの前記堰き止め部と2つの前記側壁は、前記対向面と連接されており、
     前記滞留部は、2つの前記堰き止め部、2つの前記側壁、及び前記対向面によって構成され、前記検査領域の周囲を取り囲む空間を画定する、請求項2に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
  4.  前記流路の前記対向面は、前記検査領域と対面する対面領域を含む第1領域と、前記第1領域の周囲を取り囲む第2領域であり、前記発光基質溶液との親和性が、前記第1領域よりも低い第2領域とを有しており、
     前記滞留部は、前記第1領域と前記第2領域とによって構成されている、請求項2に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
  5.  前記第1領域は、親水化処理された親水化領域であり、前記第2領域は疎水化処理された疎水化領域である、請求項4に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
  6.  前記発光基質溶液保持部は、少なくとも一部がフィルムにより構成されており、
     前記ケースは、さらに、前記発光基質溶液保持部の前記フィルムと対向して配置され、前記フィルムを穿孔する穿孔部材を備えており、
     前記ケース内において、前記発光基質溶液保持部と前記穿孔部材の相対的な移動により、前記フィルムが前記穿孔部材によって穿孔されることにより、前記発光基質溶液が前記検査用ストリップ上に供給される、請求項1から5のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
  7.  前記ケースは、前記発光基質溶液保持部を覆う部分に、内側に変形可能な可変部であって、外力が加えられることにより、前記発光基質溶液保持部を前記穿孔部材に向かって移動させる可変部を備えている、請求項6に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
  8.  前記ケースは、前記発光基質溶液保持部を覆う部分に孔部を備え、
     前記孔部に挿入される押圧部材により、前記発光基質溶液保持部が前記穿孔部材に向かって移動可能である、請求項6に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
  9.  前記発光基質溶液保持部は、遮光部材により構成されている、請求項1に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
  10.  前記ケース内に、前記検査領域に供給される洗浄液であって、前記検査領域に非特異吸着した結合物質を洗浄する洗浄液を収容する洗浄液保持部をさらに備えている、請求項1に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
  11.  前記検査用ストリップは、前記検査領域に固定化された捕捉用結合物質であって、蛍光物質で標識された、前記被検物質と特異的に結合する捕捉用結合物質を備え、かつ、前記結合物質として、前記検査領域よりも前記検体を展開する際の上流側に配置された、前記検査領域に供給される標識結合物質を備え、
     前記検査領域に固定された前記捕捉用結合物質に、前記被検物質を介して前記標識結合物質が捕捉された状態において、前記発光基質が前記検査領域に供給された場合、前記発光タンパク質と前記発光基質とが反応して生じる光のエネルギーが前記蛍光物質に移動して蛍光を生じる生物発光エネルギー共鳴移動現象を生じさせる、請求項1に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
  12.  前記検査用ストリップは、前記結合物質を、前記検査領域に固定化された捕捉用結合物質として備え、さらに、前記検査領域よりも前記検体を展開する際の上流側に配置された、前記被検物質と特異的に結合する標識結合物質であって、蛍光物質で標識され、前記検査領域に供給される標識結合物質を備え、
     前記検査領域に固定された前記捕捉用結合物質に、前記被検物質を介して前記標識結合物質が捕捉された状態において、前記発光基質が前記検査領域に供給された場合、前記発光タンパク質と前記発光基質とが反応して生じる光のエネルギーが前記蛍光物質に移動して蛍光を生じる生物発光エネルギー共鳴移動現象を生じさせる、請求項1に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
  13.  前記ケースは、前記測光窓部に、前記発光基質溶液と前記発光タンパク質とが反応して生じる光を減衰させ、かつ、前記蛍光を透過させる、光学フィルタを備えている、請求項11又は12に記載のイムノクロマトグラフカートリッジ。
PCT/JP2023/033374 2022-09-26 2023-09-13 イムノクロマトグラフカートリッジ WO2024070698A1 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022-153102 2022-09-26
JP2022153102 2022-09-26

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2024070698A1 true WO2024070698A1 (ja) 2024-04-04

Family

ID=90477644

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2023/033374 WO2024070698A1 (ja) 2022-09-26 2023-09-13 イムノクロマトグラフカートリッジ

Country Status (1)

Country Link
WO (1) WO2024070698A1 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015105858A (ja) * 2013-11-29 2015-06-08 ウシオ電機株式会社 化学発光酵素免疫測定方法及び化学発光酵素免疫測定キット
WO2016114122A1 (ja) * 2015-01-16 2016-07-21 富士フイルム株式会社 イムノクロマトグラフキット
WO2017104143A1 (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 富士フイルム株式会社 イムノクロマトグラフキット
WO2022107737A1 (ja) * 2020-11-17 2022-05-27 富士フイルム株式会社 SARS-CoV-2の検出キットおよびSARS-CoV-2の検出方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015105858A (ja) * 2013-11-29 2015-06-08 ウシオ電機株式会社 化学発光酵素免疫測定方法及び化学発光酵素免疫測定キット
WO2016114122A1 (ja) * 2015-01-16 2016-07-21 富士フイルム株式会社 イムノクロマトグラフキット
WO2017104143A1 (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 富士フイルム株式会社 イムノクロマトグラフキット
WO2022107737A1 (ja) * 2020-11-17 2022-05-27 富士フイルム株式会社 SARS-CoV-2の検出キットおよびSARS-CoV-2の検出方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2867125C (en) Interactive test device and apparatus with timing mechanism
JP6096779B2 (ja) 光フィルタを有する分析デバイスおよび分析方法
KR101702483B1 (ko) 유체 장치에서 광학 간섭의 감소
JP6289379B2 (ja) 分析を実行するための機械的な洗浄および測定装置
US20160195524A1 (en) Automated Assay
US8570518B2 (en) Methods and materials for detection of target species
JP2014521110A (ja) アッセイ実行用光学デバイス
US20210208075A1 (en) Autofluorescence quenching assay and device
AU606937B2 (en) Assay apparatus and use thereof
WO2024070698A1 (ja) イムノクロマトグラフカートリッジ
JP2007248361A (ja) 抗体チップ、抗原測定装置及び液体排出方法
KR102281805B1 (ko) 형광염료를 이용한 건식 타입 형광 정량분석 체외 진단키트 및 그 제조방법
JP2015105858A (ja) 化学発光酵素免疫測定方法及び化学発光酵素免疫測定キット
US20060128034A1 (en) Diagnostic test using gated measurement of fluorescence from quantum dots
WO2024070697A1 (ja) イムノクロマトグラフ検査装置
WO2022209396A1 (ja) 検査装置及びカートリッジ
WO2023008128A1 (ja) 検査用カートリッジ
WO2023053586A1 (ja) イムノクロマトグラフキット及び検査装置
CN118043668A (en) Immunochromatography kit and inspection device
KR102015360B1 (ko) 측방 유동 분석에서의 신호 증폭 키트 및 그의 제작 방법
JP2023032867A (ja) 検査装置、およびカートリッジ
CN117043607A (zh) 免疫层析检测装置
CN117043606A (zh) 免疫层析检测装置