JP2015105858A - 化学発光酵素免疫測定方法及び化学発光酵素免疫測定キット - Google Patents

化学発光酵素免疫測定方法及び化学発光酵素免疫測定キット Download PDF

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茂樹 松本
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Abstract

【課題】 化学発光酵素免疫測定を実現する簡便で実用的な方法及び測定キットを提供する。
【解決手段】 被測定抗原61を含む液相試料6に酵素標識抗体62を混合し、メンブレンの試料投入部3に投入する。液相試料6はメンブレン1中を試料回収4まで浸透し、その際、捕捉領域11に固定されている捕捉用抗体12によって被測定抗原61が捕捉される。その後、捕捉領域11を取り囲むようにして堰体2をメンブレン1上に配置した上で発光基質液7を投入し、堰体2内に溜める。捕捉領域11の酵素標識抗体62に十分な量の発光基質液7を供給した後、堰体2を取り去り、検出器8で発光基質液7の発光を測定する。
【選択図】 図4

Description

本願の発明は、免疫反応を利用して目的物質の有無を検出したり目的物質の量を測定したりする免疫測定(immunoassay)の技術に関するものであり、特に抗体を標識した酵素による化学発光を利用した化学発光酵素免疫測定の技術に関するものである。
免疫反応を利用して目的物質の有無を検出したり目的物質の量を測定したりする免疫測定の技術は、生体試料や各種タンパク質、生理活性物質等の物質の分析に盛んに利用されており、製薬や食品工業を始めとして、生化学、医学、臨床検査等、各種の分野に応用が広がっている。
免疫測定は、B/F分離を行わないホモジニアス法(homogeneous assay)と、B/F分離を行うヘテロジニアス法(heterogeneous assay)に分けられる。B/F分離とは、抗原と抗体が結合している結合型分画(bound,B)と、結合していない遊離型分画(free,F)を分離することである。
ヘテロジニアス法では、B/F分離を行ってBの量だけを測定するので、ホモジニアス法に比べて高感度の測定が可能である。B/F分離を行う簡便な免疫測定の方法として、イムノクロマト(immunochromatographic assay)と呼ばれる方法が古くから利用されている。イムノクロマト法は、メンブレンと呼ばれる膜における毛細管現象を利用した免疫測定法である。メンブレンの一方の端部には、金コロイド等で標識された標識抗体が固定されている部位がある。メンブレンのほぼ中央には、キャプチャー抗体(捕捉用抗体)が固定されている部位があり、メンブレンの他方の端部には試料回収用の吸収部が設けられている。
検体を含む液相試料をメンブレンの一方の端部に滴下すると、検体に抗原が含まれている場合、抗原が標識抗体と結合する。液相試料は、毛細管現象によってメンブレン中を浸透し、他方の端部にまで達する。この際、ほぼ中央の捕捉用抗体が固定されている部位を通過する際、標識抗体と結合している抗原は、捕捉用抗体に捕捉された状態となり、抗原が標識抗体と捕捉用抗体とにサンドイッチされて捕捉された状態となる。捕捉用抗体によって多くの標識抗体が抗原とともに捉えられる結果、メンブレンのほぼ中央の箇所で標識抗体の金コロイド等が視認され、抗原の存在が確認される。このようなイムノクロマト法は、妊娠検査やインフルエンザ診断等の用途に広く利用されている。
イムノクロマト法では、標識抗体に結合している抗原をメンブレンのほぼ中央の位置で捕捉用抗体で捕捉し、残りの液相試料の成分はメンブレンの他方の端部の吸収部で回収される。したがって、一応はB/F分離をする測定法であると言える。しかしながら、毛細管現象によって移動する抗原のうちの一部を捕捉するのみであるため、十分なB/F分離を行っているとは言えず、抗原検出の感度はそれほど高くはない。
微量の抗原の検出が必要な用途では、測定の高感度化が重要になる。例えば疾病の存在を知らせる物質(いわゆるマーカー)の検出を行う場合、疾病の早期発見、早期治療のためには、マーカーの検出をより高感度に行うことが必要である。より高感度の測定を行うためには、B/F分離をより十分に行うことが必要であるが、B/F分離を十分に行える装置は大がかりで、測定作業が繁雑であるものが多い。
B/F分離をより十分に行うことで高感度の測定を可能にした装置としては、例えば磁気的な方法によりB/F分離を行う装置が知られている。この装置では、結合型分画(抗原と抗体とが結合したもの)を磁気ビーズを利用して凝集させながら遊離型分画を分離、除去する。よりB/F分離を十分にするため、凝集、分離、洗浄等の作業が繰り返される。したがって、装置は大がかりなものとなり、また大量の廃液が生じる欠点もある。このため、大規模な研究所や試験機関等には向いているものの、小規模のラボや検査診断(例えばPoint-of-care Testing)等で使用する用途には向いていない。
特開2008−292382公報 WO2007/052613公報
測定装置や測定作業が大がかりにならず、ある程度簡便な方法により高感度の免疫測定を可能にする方法として、化学発光を利用する免疫測定法が検討されている。この方法は、発光基質を発光させる作用を有する酵素によって抗体を標識し、この抗体を試料に混合した上で発光基質を供給する。試料中に抗原が存在していれば、抗原と特異的に結合した酵素標識抗体の作用により発光基質が発光するので、抗原の有無を判断することができる。化学発光は、光電子増倍管や冷却CCDといった高感度の検出素子を使用することで高感度で検出でき、このため高感度の免疫測定法となる。このような方法は、一般に、化学発光酵素免疫測定法と呼ばれている。上述した磁気的方法によりB/F分離を行う装置でも、最終的には微量の結合型分画が残るのみであるので、酵素で標識して発光基質を酵素の作用により発光させる化学発光酵素免疫測定が行われている。
このような化学発光酵素免疫測定法を、イムノクロマトのような簡便な方法において実現できれば、小規模のラボや臨床検査等の現場でも高感度の免疫測定が行えるようになり、そのメリットは極めて大きいと予測される。しかしながら、化学発光酵素免疫測定を簡便に行える実用的な方法や測定キットは、現在までのところ開発されていない。
特許文献1では、試薬層11の厚さ方向に試料溶液45を浸透させ、試薬層11に保持された酵素修飾抗体42と反応させた後、その下側の反応層10において別の抗体100と反応させる方法が開示されている。この方法では、上記のように試料溶液45を投入した後、発光基質44を含む溶液46をさらに上から滴下し、各層の厚さ方向に浸透させて発光基質44を反応層10に到達させ、反応層10に局在した酵素43の作用により発光を生じさせる。
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、発光基質44が反応層10に十分に到達しない欠点がある。即ち、特許文献1では、試料溶液4を滴下、浸透させた後、その上からさらに発光基質44を含む溶液46を滴下する。試料溶液4の浸透で、各層はかなり液相材料を吸収した状態になっており、その上からさらに発光基質44を含む溶液46を浸透させようとしても、なかなか浸透していかず、横に流れ出ていってしまう。
また、特許文献1の方法では、フィルタ層13及び試薬層11の下側の反応層10で発光が生じるが、多層構造の内部での発光であるため、光電子増倍管のような高感度の光検出素子を使用しても、十分な強さで発光を捉えることができない。特許文献1は、内部の発光を検出するため、試薬層11と反応層10との間に、センサ64を組み込んだ構造を開示しており、センサ64について、「シリコンウェハ上に形成されたフォトダイオード(PD; Photo Diode)、フォトトランジスタ、フォトセル、FET(Field Effect Transistor)など光に感応する素子によって構成する」としている。しかしながら、液相材料に晒されるセンサ64において、このような電子デバイスが正常に機能し得るのかどうか、また電子デバイスの表面の材料が測定に影響(汚染を含む)を与えることがないのかどうか等、何ら検討されていない。仮に、このような問題がないとしても、これら電子デバイスは比較的高価な部品であり、通常は使い捨てとされるこの種の測定素子にコスト的に見合うとは考えられない。
また、特許文献2には、化学発光酵素免疫測定法を非液相状態で行う方法が開示されている。この方法では、第一第二の測定部240,250に免疫複合体(被測定物質、酵素標識抗体232及び測定部結合物質標識抗体234が結合したもの)を捕捉し、その上から、化学発光増強剤支持膜400及び化学発光基質支持膜300を重ね合わせる。化学発光基質支持膜300の発光基質に酵素標識抗体232の酵素が作用し、第一第二の測定部240,250で発光が生じるとされている。
しかしながら、この特許文献2の方法でも、二つの膜400,300の下側で発光が生じるため、これらの膜を通して発光を捉えることになる。このため、十分に高い強度で発光を捉えることができず、高感度化には限界がある。また、十分な発光を生じさせるには、二つの膜400,300を十分に密着させて測定部240,250に対して十分に密着させる必要があるが、単に膜同士を重ね合わせて押し付けるだけでは、高感度化を可能にする程度に密着させることは難しい。測定のたびに密着性に差が出てしまったり、同じように十分に密着させるのに熟練を要してしまったりする問題があり、実用的な方法とは言えない。
本願の発明は、このような従来技術の課題を解決するために為されたものであり、化学発光酵素免疫測定を実現する簡便で実用的な方法及びその方法に使用される測定キットを提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、一方の側に試料投入部を備え、他方の側に試料回収部を備え、試料投入部と試料回収部との間に設定されている捕捉領域に捕捉用抗体が固定されたメンブレンの試料投入部に、被測定抗原を含む液相試料を投入する試料投入工程と、
液相試料中において、被測定抗原に酵素識別抗体を結合させる標識結合工程と、
試料投入部に滴下され酵素標識抗体と被測定抗原とが結合している液相試料を試料投入部から試料回収部に向けてメンブレン中を浸透させる工程であって、液相試料中の被測定抗原を酵素標識抗体と捕捉用抗体とにより挟み込んで捕捉する浸透工程と、
浸透工程の後、メンブレンの捕捉領域の表面を周状の堰体で取り囲む堰体配置工程と、
堰体配置工程の後、酵素標識抗体の酵素により発光する発光基質液を堰体内に投入して堰体内に溜める基質液投入工程と、
基質液投入工程の後、メンブレンの捕捉領域からの発光基質液の発光の強度を検出する検出工程と
を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の化学発光酵素免疫測定方法に使用される化学発光酵素免疫測定キットであって、
一方の側に試料投入部を備え、他方の側に試料回収部を備え、試料投入部と試料回収部との間に設定されている捕捉領域に捕捉用抗体が固定されているメンブレンと、
メンブレン上に配置された際に内部に発光基質液を溜めることが可能であって捕捉領域を取り囲むことが可能な周状の堰体と
より成るという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項2の構成において、前記メンブレンを支持した支持プレートを備えており、
支持プレートには、前記捕捉領域を取り囲む位置に前記堰体を配置するための目印が設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項3の構成において、前記目印は、前記堰体が嵌り込む突起又は凹部であるという構成を有する。
以下に説明する通り、本願の請求項1又は2記載の発明によれば、発光基質液を使用するため、発光基質の供給が容易で確実であり、測定にばらつきが出てしまったり熟練を要してしまったりする問題はなく、実用的である。また、堰体によって発光基質液が堰き止められて留まるので、捕捉領域で捕捉されている被測定抗原に結合した酵素標識抗体に対して十分な量の発光基質が供給される。このため、被測定抗原の量を反映した十分な発光が得られ、感度の高い免疫測定が行える。
また、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加え、支持プレートに、捕捉領域を取り囲む位置に堰体を配置するための目印が設けられているので、捕捉領域を外れた場所に堰体を配置してしまう恐れがなく、この点で検出感度低下の問題がない。
また、請求項4記載の発明によれば、上記効果に加え、堰体の位置が保持されるので、発光基質液の注入が容易で、より実用的な測定キットとなる。
実施形態の化学発光酵素免疫測定キットの斜視概略図である。 堰体を裏面側から見た平面図である。 堰体の裏面側から見た斜視図であり、また堰体のメンブレンに対する配置を示した斜視図である。 実施形態の化学発光酵素免疫測定方法を示した正面概略図である。 実施形態の化学発光酵素免疫測定方法の効果について確認した実験の結果を示す図である。 実施形態の化学発光酵素免疫測定方法の効果について確認した実験の結果を示す図である。
次に、本願発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。
まず、実施形態の方法に使用される化学発光酵素免疫測定キットの実施形態について説明する。図1は、実施形態の化学発光酵素免疫測定キットの斜視概略図である。図1に示すように、この測定キットは、メンブレン1と、堰体2とから成っている。
メンブレン1は、通常のイムノクロマト法で用いられるのと同様の材質とすることができる。例えば、ニトロセルロースメンブレンを使用することができる。厚さは100〜200mm程度で良い。この他、ナイロン製のメンブレンが使用されることもある。
図1に示すように、メンブレン1は細長い帯状であり、長手方向の一方の端部に試料投入部3が形成されている。試料投入部3は、メンブレン1の上面に形成されており、メンブレン1よりも吸液性の高い部材(スポンジ、不織布又は脱脂綿等)で形成されるか、メンブレン1をこの部分だけ厚く形成した構造とされる。
メンブレン1の長手方向の他方の端部には、試料回収部4が形成されている。試料回収部4も、メンブレン1よりも吸液性を高めた部位であり、スポンジ、不織布又は脱脂綿等で形成されるか、又はメンブレン1を厚く形成した部位とされる。
メンブレン1には、試料投入部3と試料回収部4の間の位置に捕捉領域11が設定されている。捕捉領域11には、捕捉用抗体が固定されている。捕捉用抗体は、被測定抗原を捕捉して検出のために捕捉領域11に保持するためのものである。捕捉用抗体は、被測定抗原に応じて選定される。例えば、前立腺がんのマーカーであるPSA(prostate specific antigen)の検出であれば、PSAマウスモノクローナル抗体が使用される。捕捉用抗体の固定は、捕捉用抗体を溶液(抗体溶液)に溶解して適宜の濃度とし、メンブレン1の捕捉領域11に含浸させた後、乾燥させることで行う。抗体溶液としては、例えばトリス緩衝液が使用される。
図1において、捕捉領域11の境界が波線で示されている。ここに示すように、この実施形態では、捕捉領域11はメンブレン1の幅方向の全長に亘っており、この領域の全域に捕捉用抗体が固定されている。尚、メンブレン1はセルロース等で形成されていて白色であるが、捕捉用抗体を固定することで特に色の変化は生じないので、メンブレン1上で捕捉用抗体の固定箇所が視認できる訳ではない。図1の波線は、仮想線である。
また、測定キットにおいて、メンブレン1は支持プレート5上に支持されている。メンブレン1が5〜10mm程度の幅の細長いものであるため、その取り扱いを容易にするために設けられている。支持プレート5は、ポリエチレンやポリプロピレンのような化学的、機械的に安定な樹脂材料より成るものである。メンブレン1は、支持プレート5に形成された幾つかの突起(符合省略)の内側に嵌め込まれるか、粘着材等により貼り付けられることで支持プレート5上に固定されている。
また、支持プレート5には、貼り付けられたメンブレン1の捕捉領域11の両側に位置するように、一対の突起(以下、捕捉領域突起)51が形成されている。捕捉領域突起51は、メンブレン1の長さ方向に平行に延びる一対の突条である。
次に、堰体2について、図1、図2及び図3を使用して説明する。図2は、堰体2の裏面側から見た平面図である。図3は、堰体2の裏面側から見た斜視図であり、また堰体2のメンブレン1に対する配置を示した斜視図である。
堰体2は、小さな長方形の板状の部材であり、支持プレート5と同様、プラスチック製である。堰体2は、図1に示すように、表面側から見ると、中央に小さなほぼ長方形の孔20が見えるのみの形状となっている。この孔20は貫通孔であり、発光基質液等を投入するためのものである(以下、液投入孔と呼ぶ)。
図2及び図3に示すように、堰体2の裏面には、堰部21と、嵌め込み突起22とが形成されている。堰部21は、液投入孔20の縁に沿って液投入孔20の縁を取り囲んだ周状である。この例では、堰部21は、角筒状であるが、円筒状であっても良い。
また、嵌め込み突起は、図2及び図3に示すように、全体として長方形を成す堰体2の長辺の方向に延びるもの(突条)である。嵌め込み突起22は、堰部21の両側に二つずつ設けられている。
堰体2をメンブレン1に対して配置する場合、図3に示すように、裏面を下にしてメンブレン1の捕捉領域11に被せる。この際、堰体2の裏面の各々二つの嵌め込み突起22の間に、支持プレート5上の捕捉領域突起51が入り込み、これにより、堰体2が支持プレート5に嵌合した状態になり、配置位置が保持される。
次に、このような測定キットを使用した実施形態の化学発光酵素免疫測定方法について図4を使用して説明する。図4は、実施形態の化学発光酵素免疫測定方法を示した正面概略図である。
被測定抗原61を含んでいると思われる試料は、適宜の方法で液相試料6とされる。例えば血清中の特定の抗体を検出する測定の場合、採取血液から分離した血清をトリス緩衝液等の緩衝液に溶解して液相試料6とする。
化学発光酵素免疫測定では、前述したように酵素標識された抗体を用いるが、実施形態の方法では、酵素標識抗体62を液相試料6中に予め混合するようにしている。酵素標識抗体62を成す抗体も、捕捉用抗体と同様に被測定抗原61と特異的に結合する抗体であり、被測定抗原61に応じて選定される。通常は、捕捉用抗体と同じ抗体が使用され、酵素で標識される。
酵素は、発光基質液による発光の触媒(発光を促すもの)であり、発光基質液に応じて選定され、且つ抗体を標識可能なものが選定される。例えば、前述したPSAマウスモノクローナル抗体であれば、ALP(アルカリフォスファターゼ)が標識用酵素として使用できる。この他、ルシフェラーゼ、ペルオキシターゼ、西洋わさびパーオキシダーゼ(HRP)等が使用されることもある。
このような化学発光用の酵素標識抗体は、被測定抗原に合わせて種々のものが市販されており、適宜、緩衝液や希釈液が使用されている。したがって、被測定抗原61に合わせて適宜のものを選択し、液相試料6に対して適宜の量で混合する。液相試料6に被測定抗原61が存在している場合、混合により、図4(1)に模式的に示すように被測定抗原61は酵素標識抗体62と特異的に結合する。
このようにして予め酵素標識抗体62を混合した液相試料6は、マイクロピペット等を使用して所定量、試料投入部3に投入される(図4(2))。液相試料6は、試料投入部3からメンブレン1中を毛細管現象により浸透し、試料回収部4に達する。この浸透の際、試料中の酵素標識抗体62と特異的に結合している被測定抗原61はメンブレン1中を移動し、この移動の際、図4(3)に模式的に示すように、メンブレン1の捕捉領域11に固定されている捕捉用抗体12と結合して捕捉される。即ち、被測定抗原61は、一方の側で酵素標識抗体62に結合し、他方の側で捕捉用抗体12に結合してサンドイッチされ、この結果、捕捉領域11において結合型分画として捕捉される。
次に、図3及び図4(4)に示すように、堰体2をメンブレン1の捕捉領域11に配置する。そして、発光基質液7を堰体2の上から滴下し、液投入孔20からメンブレン1の捕捉領域11に供給する。発光基質液7は、堰体2の下面に形成された堰部21内に溜まり、徐々にメンブレン1中に浸透する(図4(5))。
尚、発光基質液7としては、前述したALPを標識酵素とした場合、ロッシュ・ダイアグノスティックス株式会社から販売されているCDP−StarやCSPDのようなジオキセタン系発光基質を液相としたものが使用できる。
また、発光基質については、発光を増強するエンハンサを併せて使用すると好適である。エンハンサが予め配合されている発光基質液も市販されており、好適に用いることができる。例えば、CDP−Starのような発光基質は、疎水性の環境下でないと発光が不十分になる場合があり、疎水化するための成分がエンハンサとして配合されると好適である。CDP−Starの場合、エンハンサとしてはNitroBlock▲II▼が好適に使用され、配合比は例えば体積比で5%程度される。
このような発光基質液7がメンブレン1中に十分に浸透する時間が経過した後、図4(6)に示すように、堰体2を配置したままの状態で、捕捉領域11からの発光を検出器8で検出する。検出器8には、光電子増倍管又は冷却CCDが使用される。尚、捕捉領域11からの発光(化学発光)は微弱であるので、検出は、外光が入らない暗箱の中、又は暗室において行われる。
実施形態の化学発光酵素免疫測定法によれば、特許文献2のように膜を重ね合わせることで発光基質の供給を行うのではなく、液相の発光基質(発光基質液7)を使用するため、発光基質の供給が容易で確実であり、測定にばらつきが出てしまったり熟練を要してしまったりする問題はなく、実用的である。また、堰体2によって発光基質液7が堰き止められて留まるので、捕捉領域11で捕捉されている被測定抗原61に結合した酵素標識抗体62に対して十分に発光基質が供給される。このため、被測定抗原61の量に反映した十分な発光が得られ、感度の高い免疫測定が行える。さらに、特許文献1のように高価な電子デバイスより成るセンサをメンブレン1内に埋め込む必要はなく、使い捨ての測定キットとされてもコスト上の問題は生じない。
尚、堰体2において、メンブレン1の幅における堰部21の大きさは、メンブレン1の幅以下とすることが好ましい。堰部21(特にその内面)がメンブレン1より大きいと、メンブレン1の端部から発光基質液7が漏れ出してしまい、十分に堰部21内に溜まらなくなるからである。
また、上記測定方法において、堰部21の端面はメンブレン1に対して接触していることが望ましく、堰部21の端面がメンブレン1に対して押し付けられている(圧力を加える)ことがより望ましい。このようにした方が、発光基質液7の漏出が少なくなり、より多くの発光基質液7を溜めることができるからである。
尚、上記測定キットの発明の実施形態において、支持プレート5上に設けられた捕捉領域突起51は、堰体2を配置する際の目印として機能している。捕捉領域11に固定された捕捉用抗体12や、捕捉されている結合型分画(抗原61とこれをサンドイッチした酵素標識抗体62及び捕捉用抗体12)は、通常は目では見えない。したがって、目印がないと、捕捉領域11を外れた場所に発光基質液7を投入してしまい易い。捕捉領域11を外れてしまうと、捕捉されている酵素に対して発光基質液7が十分に供給されず、検出感度が低下する恐れがある。支持プレート5上の目印は、この問題を防止する意義がある。
目印としては、支持プレート5上で堰体2の位置を保持する目的で併用されることは必要ではなく、単なるマークであっても良い。但し、堰体2の位置の保持が行える実施形態の測定キットは、発光基質液7の投入が容易で、より実用的であることは言うまでもない。
尚、捕捉領域11からの化学発光を検出する際、堰体2を配置したままとすることは、捕捉領域11以外の場所に存在する酵素標識抗体62による発光が検出されないようにすることで測定の感度を高める意義がある。即ち、捕捉領域11の外側において、被測定抗原61と特異的に結合していない(フリーの)酵素標識抗体62が存在する場合、供給された発光性基質により発光し得るが、この発光は、堰体2によって遮蔽され易く、検出器8で検出されにくい。このため、測定の感度が高くなっている。この観点、及び不必要に光を反射しないようにする観点から、堰体2は黒色であることが望ましい。尚、検出器8の視野を捕捉領域11程度の狭いものにし、堰体2を取り去った状態で化学発光の検出を行う場合もある。
このような実施形態の化学発光酵素免疫測定方法の効果について確認した実験の結果について、図5及び図6を使用して説明する。図5及び図6は、実施形態の化学発光酵素免疫測定方法の効果について確認した実験の結果を示す図である。
この実験では、実験用に調製されたPSAを被測定抗原とし、PSAマウスモノクローナル抗体を使用した。この抗体を予めメンブレン1の捕捉領域11に固定して捕捉用抗体とした。酵素標識抗体には、ALP標識PSAモノクローナル抗体が使用された。既知量のPSAを緩衝液に溶解して液相試料とし、この液相試料にALP標識PSAモノクローナル抗体を混合した。緩衝液としてはトリス緩衝液が使用され、PSAの濃度は0ng/mL(ナノグラム/ミリリットル)、2ng/mL、20ng/mLとした。
発光基質液には、NitroBlock▲II▼5%含有のCDP−Starを使用し、メンブレン1にはニトロセルロースメンブレンを使用した。尚、液相試料の投入量は100μL程度であり、発光基質液の投入量は15μL程度とした。
実験では、発光基質液の投入の際に堰体を使用しない場合(参考例)と堰体を使用した場合(実施例)とで、検出器で検出される光の強度がどのようになるか測定した。このうち、図5には、発光基質液投入後の発光強度の変化が時系列的に示されている。図5(1)が堰体を使用しない参考例で、(2)が堰体を使用した実施例である。各々、横軸は時間、縦軸は発光強度である。この例では、検出器の出力電圧値を発光強度としている。当然ながら、参考例と実施例とで同じ検出器が使用され、同じ条件で光検出がされた。
図5には、参考例と実施例とで、液相試料中の抗原濃度を変えた際の結果が示されている。そして、図6には、発光基質液投入後300秒経過の時点での測定結果が示されており、横軸は抗原濃度、縦軸は発光強度である。同様に、図6(1)は参考例(堰体不使用)、(2)は実施例(堰体使用)である。
図5(1)(2)において、抗原濃度0ng/mLの場合にも、ある程度の光強度がある。これは、液相試料に混合されている酵素標識抗体がメンブレン中を移動した際、捕捉用抗体によって捕捉はされないが、捕捉領域で停止する分があるためである。この分の酵素標識抗体による発光は、バックグラウンドの値(ノイズ)であるということもできる。
図5(1)に示すように、抗原濃度を2ng/mLとした場合と、抗原濃度を20ng/mLとした場合とでは、あまり光強度の違いは現れていない。即ち、10倍の濃度の違いの割には光強度に大きな違いは出ていない。一方、図5(2)に示すように、実施例の方法では、2ng/mLと20ng/mLとで顕著な違いが出ている。即ち、抗原濃度の違いをより反映した光強度となっている。
この点は、図6においてより明らかとなる。図6(1)に示すように、参考例では、0〜20ng/mLの抗原濃度の変化に対し、光強度は直線的に変化しておらず、2〜20ng/mLでの光強度の増加は緩慢である。一方、実施例では、0〜20ng/mLの抗原濃度の変換において光強度は直線性良く増加している。即ち、抗原濃度の変化が検出結果に十分に反映されている。
このような違いは、捕捉された結合型分画(被測定抗原とそれをサンドイッチした酵素標識抗体及び捕捉用抗体)の量に対して発光基質が十分に供給されているかどうかによると考えられる。参考例の方法では、同じ量の結合型分画が捕捉されていても、発光基質の供給が十分でないため、酵素の量に応じた発光とはならない。つまり、酵素は触媒のようなもので、発光を生じさせても消費されることはない。一方、発光基質は、酵素の作用によって分解、発光すると、発光しない分子構造に変化してしまう(即ち、消費される)。したがって、酵素の量に見合う量以上の発光基質を供給しなければ、感度の高い測定は行えない。実施例では、酵素の量に見合う量以上の発光基質が供給されているため、高感度の測定になっている。上記の結果は、このような事実を示しているものと考えられる。
尚、図6(2)に示すデータは、このまま検量線データとして使用することも可能である。この場合、「PSAマーカーあり」とする閾値(前立腺がんの疑いありとする閾値)は、年齢や性別によって異なるが、数ng/mL(2〜4ng/mL)程度である。この場合、図6(1)に示す参考例の方法では、閾値の前後で光強度が大きく変化しないので、検査の信頼性は高くはならない。一方、図6(2)に示す実施例の方法では、数ng/mL程度のいずれかの値を閾値とした場合、前後で光強度が大きく変化するので(即ち、検出感度が高いので)、検査の信頼性がより高くなる。
上記実施形態及び実施例では、主にPSAマーカーを被測定抗原の例として採り上げたが、他のがんマーカーや心疾患マーカー、腫瘍マーカー等を被測定抗原とすることも可能であり、各種ウイルスや病原菌の検出、ホルモン検査等、各種疾病の診断や検査に応用することも可能である。
また、上記実施形態及び実施例において、酵素標識抗体62は、液相試料6中に混合されたが、測定キットの試料投入部3において供給される場合もある。即ち、酵素標識抗体を、試料投入部3に予め固定しておき、液相試料6が試料投入部3に供給された際、液相試料6中の被測定抗原61に酵素標識抗体が特異的に結合する構成が採用されることもある。酵素標識抗体の試料投入部3への固定は、捕捉用抗体12と同様、抗体溶液に酵素標識抗体を溶解した後、試料投入部3に含浸させ、抗体溶液を蒸発させることで行える。
1 メンブレン
11 捕捉領域
12 捕捉用抗体
2 堰体
21 堰部
22 嵌め込み突起
3 試料投入部
4 試料回収部
5 支持プレート
6 液相試料
61 被測定抗原
62 酵素標識抗体
7 発光基質液
8 検出器

Claims (4)

  1. 一方の側に試料投入部を備え、他方の側に試料回収部を備え、試料投入部と試料回収部との間に設定されている捕捉領域に捕捉用抗体が固定されたメンブレンの試料投入部に、被測定抗原を含む液相試料を投入する試料投入工程と、
    液相試料中において、被測定抗原に酵素識別抗体を結合させる標識結合工程と、
    試料投入部に滴下され酵素標識抗体と被測定抗原とが結合している液相試料を試料投入部から試料回収部に向けてメンブレン中を浸透させる工程であって、液相試料中の被測定抗原を酵素標識抗体と捕捉用抗体とにより挟み込んで捕捉する浸透工程と、
    浸透工程の後、メンブレンの捕捉領域の表面を周状の堰体で取り囲む堰体配置工程と、
    堰体配置工程の後、酵素標識抗体の酵素により発光する発光基質液を堰体内に投入して堰体内に溜める基質液投入工程と、
    基質液投入工程の後、メンブレンの捕捉領域からの発光基質液の発光の強度を検出する検出工程と
    を有することを特徴とする化学発光酵素免疫測定方法。
  2. 請求項1記載の化学発光酵素免疫測定方法に使用される化学発光酵素免疫測定キットであって、
    一方の側に試料投入部を備え、他方の側に試料回収部を備え、試料投入部と試料回収部との間に設定されている捕捉領域に捕捉用抗体が固定されているメンブレンと、
    メンブレン上に配置された際に内部に発光基質液を溜めることが可能であって捕捉領域を取り囲むことが可能な周状の堰体と
    より成ることを特徴とする化学発光酵素免疫測定キット。
  3. 前記メンブレンを支持した支持プレートを備えており、
    支持プレートには、前記捕捉領域を取り囲む位置に前記堰体を配置するための目印が設けられていることを特徴とする請求項2記載の化学発光酵素免疫測定キット。
  4. 前記目印は、前記堰体が嵌り込む突起又は凹部であることを特徴とする請求項3記載の化学発光酵素免疫測定キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109100512A (zh) * 2018-08-02 2018-12-28 宁波奥丞生物科技有限公司 一种检测egfr的化学发光试剂盒
WO2023053586A1 (ja) 2021-09-29 2023-04-06 富士フイルム株式会社 イムノクロマトグラフキット及び検査装置
WO2024070698A1 (ja) * 2022-09-26 2024-04-04 富士フイルム株式会社 イムノクロマトグラフカートリッジ

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