JPWO2005078364A1 - 可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置及び処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
4,4A 真空ポンプ、6 空気駆動モータ、
8,16,18,40,50,56,62,74,78,80,84,88,92,94 開閉弁、
10,20,22 冷媒回収ホース、12,14,38 連成計、
15 ゲージマニホールド、24,26 ピアシング治具、28 冷蔵庫、
30 圧縮機、32 高圧側配管、34 低圧側配管、36 内管、
42,46 逆止弁、44,48 冷媒排出管、52,86 圧縮空気供給管、
54 圧縮空気源、55,76 排気管、58 油排出用空気管、
64 油回収管、66 廃油タンク、70 電動モータ、
72,82 大気吸入管、73 圧送手段、75 吸引手段、
90 バイパス管、A,A1,A2,A3 可燃性冷媒回収装置。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1にかかる可燃性冷媒処理装置Aを示しており、例えば使用済みの冷蔵庫の冷凍サイクル内に残存する可燃性冷媒を回収し、爆発の危険性がない濃度まで低下させて大気中に放出するために使用される。可燃性冷媒としては、イソブタン、プロパン等のHC(ハイドロカーボン)系冷媒が主に使用されている。HC系冷媒がイソブタンの場合、イソブタンの空気に対する体積混合率が1.8%〜8.4%の範囲で点火源があれば爆発の危険性があることから、イソブタンを大気放出するに際し、イソブタンの空気に対する体積混合率を所定の濃度(例えば、1.0%)以下まで低下させる必要がある。また、他のHC系冷媒についても同様なことが言える。
使用済みの冷蔵庫28の冷凍サイクル内に残存する冷媒を回収するに当たり、圧縮機30の高圧側配管32と低圧側配管34にピアシング治具24,26でまず孔を開け、冷媒回収ホース20,22にそれぞれ接続するとともに、開閉弁50を開放して圧縮空気源54からの所定圧(例えば、0.5MPaあるいはそれ以上)の圧縮空気を空気駆動モータ6に供給し、真空ポンプ4を作動させる。このとき、冷媒回収ホース10に取り付けられた開閉弁8は閉止状態にあり、冷媒排出管44に取り付けられた開閉弁40は開放されている。また、冷媒回収ホース20,22に取り付けられた開閉弁16,18も開放されており、他の開閉弁56,62は閉止状態にある。
・真空ユニット(真空ポンプ、空気駆動モータ等)
排気量:20L/分
真空度:−0.095MPa
排気能力(モータ容量):700L/分
・圧縮空気
圧力:0.5MPa
・油分離タンク
容量:10L
・廃油タンク
容量:20L
・ノンフロン冷蔵庫470L機種A
イソブタン冷媒の封入量:約65g/台(370〜470L)
冷凍機油の封入量:約215cc/台(370〜470L)
・ノンフロン冷蔵庫470L機種B
イソブタン冷媒の封入量:約65g/台(370〜470L)
冷凍機油の封入量:約215cc/台(370〜470L)
・分析法:真空ポンプからの排出ガスを直接測定した。
・分析装置:全炭化水素自動計測器 柳本製作所製 EHF−7C
・分析装置:GC−FID Varian製 3800GC
・分析条件
注入口温度:200℃
オーブン温度条件:180℃
検出器温度:200℃
・分析法:冷媒回収処理後の圧縮機を0℃及び20℃の恒温槽にそれぞれ放置し、一定時間毎に冷凍機油を回収した。ガスクロマトグラフ(FID)分析法により冷凍機油に溶存するイソブタンを定量した。
・分析装置:GC−FID Hewlett Packard製 5890
・分析条件
注入口温度:110℃
オーブン温度条件:200℃
検出器温度:200℃
図10は本発明の実施の形態2にかかる可燃性冷媒処理装置A1を示しており、上述した実施の形態1において使用した真空ポンプ4に代えて、防爆形電動モータ70を有する真空ポンプ4Aを使用している。
図13は本発明の実施の形態3にかかる可燃性冷媒処理装置A2を示しており、上述した実施の形態1にかかる可燃性冷媒処理装置Aにおいて、空気駆動モータ6からの排気管55に開閉弁74を設けるとともに、開閉弁74の前後の排気管55に大気吸入管72及び排気管76を接続し、大気吸入管72及び排気管76に開閉弁78,80をそれぞれ設けたものである。
図14は本発明の実施の形態4にかかる可燃性冷媒処理装置A3を示しており、上述した実施の形態1にかかる可燃性冷媒処理装置Aにおいて、油分離タンク2の底面2bに大気吸入管82を接続するとともに大気吸入管82の開放端を油分離タンク2の上面2aまで延設し、大気吸入管82に開閉弁84を設けたものである。
【技術分野】
[0001]
本発明は、冷媒として可燃性ガスを使用した冷蔵庫、空気調和機等の冷凍機器から可燃性ガスを回収して処理するための可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置及び処理方法に関するものである。
【背景技術】
[0002]
従来の冷蔵庫には、HCFC系冷媒あるいはHFC系冷媒が使用されているが、オゾン層の破壊あるいは地球の温暖化現象の要因となっていることから、最近ではオゾン層の破壊や地球温暖化現象に影響を与えることのないHC系冷媒を使用した冷蔵庫が徐々に普及し始めている。
[0003]
しかしながら、HC系冷媒は可燃性冷媒で爆発や発火を未然に防止する必要があり、本願出願人は、仮にスパーク等により着火しても火炎の伝搬を未然に防止することで大爆発や火災を防止するようにした爆発防止装置を提案している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−125482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
[0004]
しかしながら、長年使用した冷蔵庫を廃棄するにあたり、冷蔵庫内には依然としてHC系冷媒が残存しており、この残存冷媒を回収する必要があるが、HC系冷媒専用の回収装置は現在存在していない。また、冷蔵庫内にはHC系冷媒のみならず冷凍機油も残存しており、HC系冷媒及び冷凍機油の取り扱いには、点火や爆発の危険性を考慮すると、電気機器については防爆仕様が要求されるとともに、温度あるいは圧力についても所定値以下(例えば、50℃以下、0.5MPa以下)に抑える必要があり、このような条件を満足する回収装置は高額なもの
1
となる。
[0005]
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、可燃性冷媒を使用した冷凍機器から可燃性冷媒を安全かつ確実に回収して処理することができる安価な可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置及び処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
[0006]
上記目的を達成するため、本発明は、冷凍機器の冷凍サイクル内に残存する可燃性冷媒を処理するための可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置であって、冷凍サイクルから回収した可燃性冷媒と冷凍機油とを分離するための密閉された油分離タンクと、該油分離タンク内のガスを吸引して油分離タンク内に真空を発生させるための真空ユニットと、冷凍サイクルを構成する配管を油分離タンクに連通させるための穿孔手段とを備え、真空ユニットを駆動して油分離タンク内に真空を発生させて冷凍サイクル内の可燃性冷媒を油分離タンク内に吸引し、油分離タンク内に貯留された可燃性冷媒を空気で希釈して放出するようにしたことを特徴とする。
[0007]
真空ユニットは、真空ポンプと該真空ポンプに並設され真空ポンプを駆動するための空気駆動モータにより構成することができる。この場合、油分離タンク内に貯留された可燃性冷媒は真空ユニットからの排出空気で希釈して放出するのが好ましい。
[0008]
あるいは、真空ユニットを、真空ポンプと該真空ポンプに並設され真空ポンプを駆動するための防爆形電動モータにより構成することもでき、エジェクタにより構成することもできる。この場合、油分離タンク内に貯留された可燃性冷媒は大気で希釈して放出することができる。
[0009]
また、一端が大気に開口した大気吸入管の他端を油分離タンクの下部に接続し
2
、真空ユニットを駆動させることで油分離タンク内を負圧にして油分離タンク内に貯留された冷凍機油内に大気吸入管より吸入した大気を泡状に噴出させることもできる。
[0010]
あるいは、圧縮空気供給管の一端を油分離タンクの下部に接続し、圧縮空気供給管より油分離タンクに圧縮空気を供給することにより油分離タンク内に貯留された冷凍機油に圧縮空気を泡状に噴出させてもよい。
[0011]
また、油分離タンクに設けられた内管を穿孔手段に連通させ、冷凍サイクルから内管を介して油分離タンクに吸引された可燃性冷媒を油分離タンク内に貯留された冷凍機油内に泡状に噴出させることもできる。
[0012]
好ましくは、油分離タンクの底面と連通自在の廃油タンクを設け、油分離タンク内に圧縮空気を導入して油分離タンク内に貯留された冷凍機油を廃油タンクに排出するのがよい。
[0013]
さらに、冷凍機器の冷凍サイクル内に残存する可燃性冷媒を処理するための可燃性冷媒及び冷凍機油処理方法は、油分離タンクに真空を発生させ、該油分離タンクを冷凍サイクルに連通させて冷凍サイクル内の可燃性冷媒と冷凍機油とを油分離タンク内に吸引し、油分離タンク内に貯留された可燃性冷媒を空気で希釈して大気放出するようにしている。
【発明の効果】
[0014]
真空ユニットを駆動して油分離タンク内に真空を発生させて冷凍サイクル内の可燃性冷媒を油分離タンク内に貯留し、貯留された可燃性冷媒を空気で希釈して放出するようにしたので、可燃性冷媒を安全かつ確実に処理することができる安価な可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置を提供することができる。また、大気放出される冷媒を圧縮空気により希釈すると、さらに希釈率を増大することができ、安全性が向上する。
3
[0015]
また、真空ユニットに圧縮空気を供給することにより油分離タンク内に真空を発生させるとともに、貯留された可燃性冷媒を真空ユニットからの排出空気で希釈して放出するようにすると、爆発の危険性を伴う可燃性冷媒の取り扱いに電気を一切使用する必要がなく、安全性をさらに向上することができる。
[0016]
さらに、真空ポンプと真空ポンプを駆動するための空気駆動モータ、防爆形電動モータ、あるいは、エジェクタにより真空ユニットを構成したので、安全性の高い安価な可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置を提供することができる。
[0017]
また、大気吸入管や圧縮空気供給管を介して油分離タンクに吸引または圧送された大気や圧縮空気、あるいは、冷凍サイクルから内管を介して油分離タンクに吸引された可燃性冷媒により油分離タンク内に貯留された冷凍機油をバブリングするようにしたので、冷凍機油に溶け込んだ可燃性冷媒を冷凍機油から分離することができ、分離した可燃性冷媒を安全かつ確実に大気放出することができる。
【図面の簡単な説明】
[0018]
[図1]図1は本発明の実施の形態1にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置の配管系統図である。
[図2]図2は図1の可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置において、真空ポンプにより吸引されたイソブタンが空気駆動モータからの排出空気により希釈された後の排出イソブタンの装置始動後5分間の濃度を示すグラフである。
[図3]図3は図1の可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置において、真空ポンプにより吸引されたイソブタンが空気駆動モータからの排出空気により希釈された後の排出イソブタンの装置始動後25分間の濃度を示すグラフである。
[図4]図4は真空ポンプ始動後、一定時間をおいてテドラーバッグに排出ガスを捕集し、イソブタンを定量したときの各時間における排出イソブタン濃度を定量した結果を示すグラフである。
[図5]図5は図2のグラフと図4のグラフを重ね合わせたグラフである。
4
[図6]図6は恒温放置における冷凍機油中のイソブタン溶存量を示すグラフである。
[図7]図7はイソブタン濃度が0.2wt%以下の領域における冷凍機油中のイソブタン溶存量を示すグラフである。
[図8]図8は図6のイソブタン溶存量を容量%で示した場合のグラフである。
[図9]図9は図7のイソブタン溶存量を容量%で示した場合のグラフである。
[図10]図10は本発明の実施の形態2にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置の配管系統図である。
[図11]図11は図10の可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置の変形例の配管系統図である。
[図12]図12は図10の可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置の別の変形例の配管系統図である。
[図13]図13は本発明の実施の形態3にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置の配管系統図である。
[図14]図14は本発明の実施の形態4にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置の配管系統図である。
[図15]図15は図14の可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置の変形例の配管系統図である。
[図16]図16は図14の可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置の別の変形例の配管系統図である。
【符号の説明】
[0019]
2 油分離タンク、 2a 油分離タンクの上面、 2b 油分離タンクの底面、
4,4A 真空ポンプ、 6 空気駆動モータ、
8,16,18,40,50,56,62,74,78,80,84,88,92,94 開閉弁、
10,20,22 冷媒回収ホース、 12,14,38 連成計、
5
15 ゲージマニホールド、 24,26 ピアシング治具、 28 冷蔵庫、
30 圧縮機、 32 高圧側配管、 34 低圧側配管、 36 内管、
42,46 逆止弁、 44,48 冷媒排出管、 52,86 圧縮空気供給管、
54 圧縮空気源、 55,76 排気管、 58 油排出用空気管、
64 油回収管、 66 廃油タンク、 70 電動モータ、
72,82 大気吸入管、 73 圧送手段、 75 吸引手段、
90 バイパス管、A,A1,A2,A3 可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置。
【発明を実施するための最良の形態】
[0020]
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置Aを示しており、例えば使用済みの冷蔵庫の冷凍サイクル内に残存する可燃性冷媒を回収し、爆発の危険性がない濃度まで低下させて大気中に放出するために使用される。可燃性冷媒としては、イソブタン、プロパン等のHC(ハイドロカーボン)系冷媒が主に使用されている。HC系冷媒がイソブタンの場合、イソブタンの空気に対する体積混合率が1.8%〜8.4%の範囲で点火源があれば爆発の危険性があることから、イソブタンを大気放出するに際し、イソブタンの空気に対する体積混合率を所定の濃度(例えば、1.0%)以下まで低下させる必要がある。また、他のHC系冷媒についても同様なことが言える。
[0021]
図1に示されるように、本発明にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置Aは、可燃性冷媒と冷凍機油を分離するための密閉された油分離タンク2と、油分離タンク2内のガスを吸引して油分離タンク2内に真空を発生させる真空ユニットとを備えており、真空ユニットは、真空ポンプ4と、真空ポンプ4に並設され真空ポンプ4を駆動するための駆動源である空気駆動モータ6とにより構成されている。
[0022]
油分離タンク2には開閉弁8が取り付けられた冷媒回収ホース10の一端が接続されており、冷媒回収ホース10の他端には、二つの連成計12,14を有するゲージマニホールド15が接続されるとともに、開閉弁16,18が取り付けられた二本の冷媒回収ホース20,22を介して穿孔手段であるピアシング治具24,26にそれぞれ接続されている。ピアシング治具24,26は、HC系冷媒(例えば、イソブタン)を使用した冷蔵庫28の内部に設けられた圧縮機30の高圧側配管32と低圧側配管34に針で孔を開け、冷媒回収ホース20,22に連通させるために使用されるが、その構成は公知なので説明は省略する。また、開閉弁8が取り付けられた冷媒回収ホース10の一端は、油分離タンク2の内管36に接続されており、内管36は油分離タンク2の上面2aから底面2bに向かって延在している。
[0023]
さらに、油分離タンク2の上面2aには連成計38が取り付けられるとともに、開閉弁40及び逆止弁42が取り付けられた冷媒排出管44を介して真空ポンプ4に接続されている。真空ポンプ4にはまた、逆止弁46が取り付けられた冷媒排出管48の一端が接続されており、冷媒排出管48の他端は大気に開放されている。
[0024]
一方、真空ポンプ4に並設された空気駆動モータ6は、開閉弁50が取り付けられた圧縮空気供給管52を介して圧縮空気源54に接続されるとともに、排気管55を介して冷媒排出管48に接続されており、開閉弁50と圧縮空気源54との間の圧縮空気供給管52と、油分離タンク2と開閉弁40との間の冷媒排出管44とは、開閉弁56が取り付けられた油排出用空気管58により接続されている。また、油分離タンク2の底面2bは開閉弁62が取り付けられた油回収管64を介して廃油タンク66に接続されている。
[0025]
上記構成の本発明にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置Aの作用を以下説明する。
使用済みの冷蔵庫28の冷凍サイクル内に残存する冷媒を回収するに当たり、圧縮機30の高圧側配管32と低圧側配管34にピアシング治具24,26でまず孔を開け、冷媒回収ホース20,22にそれぞれ接続するとともに、開閉弁50を開放して圧縮空気54からの所定圧(例えば、0.5MPaあるいはそれ以上)の圧縮空気を空気駆動モータ6に供給し、真空ポンプ4を作動させる。このとき、冷媒回収ホース10に取り付けられた開閉弁8は閉止状態にあり、冷媒排出管44に取り付けられた開閉弁40は開放されている。また、冷媒回収ホース20,22に取り付けられた開閉弁16,18も開放されており、他の開閉弁56,62は閉止状態にある。
[0026]
圧縮空気源54からの圧縮空気が圧縮空気供給管52を介して空気駆動モータ6に
6/2
効率的に行うことができ、処理量を増大させることができる。
[0036]
また、上記実施の形態において、真空ユニットを真空ポンプ4と空気駆動モータ6により構成したが、真空ユニットとしてエジェクタを採用し、エジェクタに圧縮空気を供給することにより油分離タンク2内に真空を発生させるとともに、油分離タンク2内の可燃性冷媒をエジェクタに供給した圧縮空気により希釈して大気放出することもできる。
【実施例】
[0037]
HC系冷媒としてイソブタンを採用した冷蔵庫の冷凍サイクルからイソブタンを回収する場合における安全性の評価を行うにあたり、空気駆動モータ6からの排出イソブタンのガス濃度、回収冷凍機油中の溶存イソブタン量の経時変化を分析した。処理装置Aの仕様は以下のとおりであった。
・真空ユニット(真空ポンプ、空気駆動モータ等)
排気量:20L/分
真空度:−0.095MPa
排気能力(モータ容量):700L/分
・圧縮空気
圧力:0.5MPa
・油分離タンク
容量:10L
・廃油タンク
容量:20L
[0038]
また、使用した冷蔵庫は以下のとおりであった。
・ノンフロン冷蔵庫470L機種A
イソブタン冷媒の封入量:約65g/台(370〜470L)
冷凍機油の封入量:約215cc/台(370〜470L)
・ノンフロン冷蔵庫470L機種B
イソブタン冷媒の封入量:約65g/台(370〜470L)
冷凍機油の封入量:約215cc/台(370〜470L)
[0039]
図2及び図3は、真空ポンプ4により吸引されたイソブタンが空気駆動モータ6から
9/1
オーブン温度条件:200℃
検出器温度:200℃
[0043]
図2乃至図5のグラフから、真空ポンプからの排出イソブタンガスの最大濃度は0.9vol%であり、爆発下限濃度(1.8vol%)に達しておらず、爆発の危険性はないと考えられる。また、排出イソブタン濃度の低下状態から判断すると、今回使用した冷蔵庫の場合、真空ポンプによる排出時間は15分程度で十分である。したがって、本発明にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置Aにおいて、完全防爆型の空気駆動モータを使用するとともに、冷凍サイクルから抽出したイソブタンを空気駆動モータの排出空気により希釈して大気放出することにより安全性を十分に確保することができる。
[0044]
また、図6及び図7から、冷凍機油中のイソブタン溶存量が、20℃環境では1週間放置後、0℃環境では2週間放置後に0.015wt%以下となっており、この場合、冷凍機油の引火点は70°以上となり、「特別管理産業廃棄物の廃油」として処理する必要がない。すなわち、25分間の真空引きにより冷媒回収処理後の圧縮機を2週間放置して圧縮機内の冷凍機油を除去すると、冷凍機油中のイソブタン溶存量が安全基準を満たす所定の量まで低下する。
[0045]
なお、「特別管理産業廃棄物の廃油」とは、揮発油類、灯油類、軽油類で引火点70℃未満の廃油のことである。
[0046]
また、回収した冷凍油に溶け込んでいるHC冷媒を回収した後、バブリングを行うことにより、冷媒回収時間を2週間から2時間程度にまで短縮することができた。
[0047]
実施の形態2.
図10は本発明の実施の形態2にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置A1を示しており、上述した実施の形態1において使用した真空ポンプ4に代えて、
11
防爆形電動モータ70を有する真空ポンプ4Aを使用している。
[0048]
この場合、圧縮空気源54は油排出用空気管58のみに接続され、冷媒排出管48には大気吸入管72が接続される。
[0049]
上記構成の可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置A1において、電動モータ70に給電すると、真空ポンプ4Aが作動して油分離タンク2内のガスは、冷媒排出管44,48を介して大気に放出される。
[0050]
油分離タンク2内の冷凍機油から分離した冷媒は、油分離タンク2の上部に貯留されたガス冷媒とともに真空ポンプ4Aに吸引され、冷媒排出管48を介して大気に放出されるが、放出される前に大気吸入管72を介して吸入された大気により希釈される。
[0051]
したがって、油分離タンク2内に貯留されたガス冷媒の量に応じて大気吸入管72のサイズを選定することにより大気に放出される冷媒の濃度を爆発の危険性がない所定の濃度(例えば、1.0vol%以下)に設定することができる。また、真空ポンプ4Aに防爆形電動モータ70を使用するとともに、大気に放出される冷媒は大気により希釈されるので、冷媒処理における安全性を確保することができる。さらに、電動モータは空気駆動モータより静かなので、騒音を抑制できるとともに圧縮空気の使用量を抑制することができる。
[0052]
なお、大気吸入管72を圧縮空気源54に接続して、大気放出される冷媒を圧縮空気により希釈すると、希釈率が増大してさらに安全性を向上することができる。
[0053]
また、図11に示されるように、大気吸入管72に送風ファン等の圧送手段73を接続すると、圧送手段73により吸引された周囲の大気が冷媒排出管48に圧送され、圧送された空気により大気放出される冷媒が希釈されるので、同様の
12
効果が得られる。
[0054]
あるいは、図12に示されるように、冷媒排出管48に吸込ファン等の吸引手段75を接続すると、吸引手段75により周囲の大気が大気吸入管72を介して冷媒排出管48に吸入され、この吸入された空気により大気放出される冷媒が希釈されるので、同様の効果が得られる。
[0055]
他の構成及び作用は実施の形態1と同じなので、その説明は省略する。
[0056]
実施の形態3.
図13は本発明の実施の形態3にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置A2を示しており、上述した実施の形態1にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置Aにおいて、空気駆動モータ6からの排気管55に開閉弁74を設けるとともに、開閉弁74の前後の排気管55に大気吸入管72及び排気管76を接続し、大気吸入管72及び排気管76に開閉弁78,80をそれぞれ設けたものである。
[0057]
上記構成の可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置A2において、開閉弁74を開放するとともに開閉弁78,80を閉止すると、その作用は実施の形態1にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置Aの作用と全く同じである。
[0058]
一方、開閉弁74を閉止するとともに開閉弁78,80を開放すると、圧縮空気源54から圧縮空気供給管52を介して空気駆動モータ6に供給された圧縮空気は、排気管76を介して大気に放出され、冷媒排出管48を介して大気に放出される冷媒は大気吸入管72を介して吸入された大気により希釈される。
[0059]
すなわち、大気に放出される冷媒を、排気管55を介して大気に放出される空気駆動モーク6からの排出空気あるいは大気吸入管72を介して吸入される大気により希釈することができ、いずれか一方を必要に応じ適宜選択することができる。
13
[0060]
実施の形態4.
図14は本発明の実施の形態4にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置A3を示しており、上述した実施の形態1にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置Aにおいて、油分離タンク2の底面2bに大気吸入管82を接続するとともに大気吸入管82の開放端を油分離タンク2の上面2aまで延設し、大気吸入管82に開閉弁84を設けたものである。
[0061]
実施の形態1にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置Aにおいては、冷凍サイクル内の冷媒を油分離タンク2内に吸引した後、ピアシング治具24,26を圧縮機30の高圧側配管32及び低圧側配管34より取り外し、ピアシング治具24,26を介して吸入された大気により油分離タンク2内の冷凍機油をバブリングするようにしたが、本実施の形態にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置A3においては、ピアシング治具24,26の着脱に関係なく、開閉弁84を開放することにより大気吸入管82を介して油分離タンク2に吸入される大気により冷凍機油のバブリングを行うことができる。大気による冷凍機油のバブリングは冷媒による冷凍機油のバブリングより冷媒を分離しやすい。
[0062]
なお、図15に示されるように、大気吸入管82は、油分離タンク2の底面2bに接続することなく廃油タンク66につながる油回収管64に接続するようにしてもよい。この場合、油回収管64に設けられた開閉弁62を閉止した状態で開閉弁84を開放すると、油分離タンク2内の冷凍機油を大気でバブリングすることができる一方、開閉弁84を閉止した状態で、開閉弁62を開放すると油分離タンク2の下部に貯留した冷凍機油を廃油タンク66に回収することができる。
[0063]
あるいは、大気吸入管82を設けることなく、廃油タンク66を着脱自在に構成することも可能で、廃油タンク66を油回収管64と切り離すことにより油分離タンク2内の冷凍機油を大気でバブリングすることができる。この場合、油回収管64の開口端は油分離タンク2の上面2aと略同じレベルに配置する必要がある。
[0064]
あるいは、図16に示されるように、油分離タンク2の底面2bと圧縮空気源54とを圧縮空気供給管86を介して接続し、圧縮空気供給管86に開閉弁88を取り付けるとともに、二つの冷媒排出管44,48をバイパス管90を介して接続してもよい。この場合、バイパス管90に開閉弁92が取り付けられ、冷媒排出管44に開閉弁94が取り付けられる。
[0065]
この構成においては、冷凍サイクル内の冷媒と冷凍機油が油分離タンク2内に吸引された後、開閉弁8を閉止し、さらに開閉弁50を閉止して真空ポンプ4を停止させる。その後、開閉弁94を閉止して開閉弁88及び開閉弁92を開放すると、圧縮空気源54からの圧縮空気により油分離タンク2内の冷凍機油がバブリングされ、冷凍機油から分離した冷媒は圧縮空気により希釈されてバイパス管90を介して大気に放出される。
【産業上の利用可能性】
[0066]
本発明にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置及び処理方法は、可燃性冷媒を使用した冷凍機器から可燃性冷媒を安全かつ確実で安価に回収して処理することができるので、使用済みの冷蔵庫あるいは空気調和機をリサイクルする場合の可燃性冷媒の処理に有用である。
14/1
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置Aを示しており、例えば使用済みの冷蔵庫の冷凍サイクル内に残存する可燃性冷媒を回収し、爆発の危険性がない濃度まで低下させて大気中に放出するために使用される。可燃性冷媒としては、イソブタン、プロパン等のHC(ハイドロカーボン)系冷媒が主に使用されている。HC系冷媒がイソブタンの場合、イソブタンの空気に対する体積混合率が1.8%〜8.4%の範囲で点火源があれば爆発の危険性があることから、イソブタンを大気放出するに際し、イソブタンの空気に対する体積混合率を所定の濃度(例えば、1.0%)以下まで低下させる必要がある。また、他のHC系冷媒についても同様なことが言える。
使用済みの冷蔵庫28の冷凍サイクル内に残存する冷媒を回収するに当たり、圧縮機30の高圧側配管32と低圧側配管34にピアシング治具24,26でまず孔を開け、冷媒回収ホース20,22にそれぞれ接続するとともに、開閉弁50を開放して圧縮空気源54からの所定圧(例えば、0.5MPaあるいはそれ以上)の圧縮空気を空気駆動モータ6に供給し、真空ポンプ4を作動させる。このとき、冷媒回収ホース10に取り付けられた開閉弁8は閉止状態にあり、冷媒排出管44に取り付けられた開閉弁40は開放されている。また、冷媒回収ホース20,22に取り付けられた開閉弁16,18も開放されており、他の開閉弁56,62は閉止状態にある。
・真空ユニット(真空ポンプ、空気駆動モータ等)
排気量:20L/分
真空度:−0.095MPa
排気能力(モータ容量):700L/分
・圧縮空気
圧力:0.5MPa
・油分離タンク
容量:10L
・廃油タンク
容量:20L
・ノンフロン冷蔵庫470L機種A
イソブタン冷媒の封入量:約65g/台(370〜470L)
冷凍機油の封入量:約215cc/台(370〜470L)
・ノンフロン冷蔵庫470L機種B
イソブタン冷媒の封入量:約65g/台(370〜470L)
冷凍機油の封入量:約215cc/台(370〜470L)
・分析法:真空ポンプからの排出ガスを直接測定した。
・分析装置:全炭化水素自動計測器 柳本製作所製 EHF−7C
・分析装置:GC−FID Varian製 3800GC
・分析条件
注入口温度:200℃
オーブン温度条件:180℃
検出器温度:200℃
・分析法:冷媒回収処理後の圧縮機を0℃及び20℃の恒温槽にそれぞれ放置し、一定時間毎に冷凍機油を回収した。ガスクロマトグラフ(FID)分析法により冷凍機油に溶存するイソブタンを定量した。
・分析装置:GC−FID Hewlett Packard製 5890
・分析条件
注入口温度:110℃
オーブン温度条件:200℃
検出器温度:200℃
図10は本発明の実施の形態2にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置A1を示しており、上述した実施の形態1において使用した真空ポンプ4に代えて、防爆形電動モータ70を有する真空ポンプ4Aを使用している。
図13は本発明の実施の形態3にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置A2を示しており、上述した実施の形態1にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置Aにおいて、空気駆動モータ6からの排気管55に開閉弁74を設けるとともに、開閉弁74の前後の排気管55に大気吸入管72及び排気管76を接続し、大気吸入管72及び排気管76に開閉弁78,80をそれぞれ設けたものである。
図14は本発明の実施の形態4にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置A3を示しており、上述した実施の形態1にかかる可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置Aにおいて、油分離タンク2の底面2bに大気吸入管82を接続するとともに大気吸入管82の開放端を油分離タンク2の上面2aまで延設し、大気吸入管82に開閉弁84を設けたものである。
4,4A 真空ポンプ、 6 空気駆動モータ、
8,16,18,40,50,56,62,74,78,80,84,88,92,94 開閉弁、
10,20,22 冷媒回収ホース、 12,14,38 連成計、
15 ゲージマニホールド、 24,26 ピアシング治具、 28 冷蔵庫、
30 圧縮機、 32 高圧側配管、 34 低圧側配管、 36 内管、
42,46 逆止弁、 44,48 冷媒排出管、 52,86 圧縮空気供給管、
54 圧縮空気源、 55,76 排気管、 58 油排出用空気管、
64 油回収管、 66 廃油タンク、 70 電動モータ、
72,82 大気吸入管、 73 圧送手段、 75 吸引手段、
90 バイパス管、A,A1,A2,A3 可燃性冷媒及び冷凍機油処理装置。
Claims (13)
- 冷凍機器の冷凍サイクル内に残存する可燃性冷媒を回収して処理するための可燃性冷媒処理装置であって、
前記冷凍サイクルから回収した可燃性冷媒と冷凍機油とを分離するための密閉された油分離タンクと、該油分離タンク内のガスを吸引して油分離タンク内に真空を発生させるための真空ユニットと、前記冷凍サイクルを構成する配管を前記油分離タンクに連通させるための穿孔手段とを備え、前記真空ユニットを駆動して前記油分離タンク内に真空を発生させて冷凍サイクル内の可燃性冷媒を前記油分離タンク内に吸引し、前記油分離タンク内に貯留された可燃性冷媒を空気で希釈して放出するようにしたことを特徴とする可燃性冷媒処理装置。 - 前記真空ユニットは、真空ポンプと該真空ポンプに並設され真空ポンプを駆動するための空気駆動モータにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の可燃性冷媒処理装置。
- 前記油分離タンク内に貯留された可燃性冷媒を前記真空ユニットからの排出空気で希釈して放出するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の可燃性冷媒処理装置。
- 前記真空ユニットは、真空ポンプと該真空ポンプに並設され真空ポンプを駆動するための防爆形電動モータにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の可燃性冷媒処理装置。
- 前記真空ユニットは、エジェクタにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の可燃性冷媒処理装置。
- 前記油分離タンク内に貯留された可燃性冷媒を大気で希釈して放出するようにしたことを特徴とする請求項2,4,5のいずれか1項に記載の可燃性冷媒処理装置。
- 一端が大気に開口した大気吸入管の他端を前記油分離タンクの下部に接続し、前記真空ユニットを駆動させることで前記油分離タンク内を負圧にして前記油分離タンク内に貯留された冷凍機油内に前記大気吸入管より吸入した大気を泡状に噴出させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の可燃性冷媒処理装置。
- 圧縮空気供給管の一端を前記油分離タンクの下部に接続し、前記圧縮空気供給管より前記油分離タンクに圧縮空気を供給することにより前記油分離タンク内に貯留された冷凍機油に圧縮空気を泡状に噴出させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の可燃性冷媒処理装置。
- 前記油分離タンクに設けられた内管を前記穿孔手段に連通させ、冷凍サイクルから前記内管を介して前記油分離タンクに吸引された可燃性冷媒を前記油分離タンク内に貯留された冷凍機油内に泡状に噴出させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の可燃性冷媒処理装置。
- 前記油分離タンクの底面と連通自在の廃油タンクを設け、前記油分離タンク内に圧縮空気を導入して前記油分離タンク内に貯留された冷凍機油を前記廃油タンクに排出するようにしたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の可燃性冷媒処理装置。
- 冷凍機器の冷凍サイクル内に残存する可燃性冷媒を回収して処理するための可燃性冷媒処理方法であって、
油分離タンクに真空を発生させ、該油分離タンクを冷凍サイクルに連通させて冷凍サイクル内の可燃性冷媒と冷凍機油とを前記油分離タンク内に吸引し、前記油分離タンク内に貯留された可燃性冷媒を空気で希釈して大気放出するようにしたことを特徴とする可燃性冷媒処理方法。 - 前記油分離タンク内を減圧して周囲の大気を吸入し、該大気を前記油分離タンク内に貯留された冷凍機油内に泡状に噴出させるようにしたことを特徴とする請求項11に記載の可燃性冷媒処理方法。
- 前記油分離タンクに圧縮空気を供給することにより前記油分離タンク内に貯留された冷凍機油内に圧縮空気を泡状に噴出させるようにしたことを特徴とする請求項11に記載の可燃性冷媒処理方法。
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