JPWO2005077382A1 - プリオン増殖抑制剤 - Google Patents
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Abstract
Description
したがって、正常プリオン蛋白質から異常プリオン蛋白質への移行を如何に阻害できるかが、BSEやクロイツフェルト−ヤコブ病などのプリオン病の予防または治療の観点から重要視されている。(非特許文献1、2)
たとえば、プリオンの阻害効果を示す化合物としてキナクリンが知られているが、キナクリンの場合、腎臓毒性、肝臓毒性が知られており、生体にとってより穏和な化合物の提供が必要不可欠な状況にある。特に、医薬品の開発においては、脳内に直接、投与することが可能となっているため、副作用などの軽減した化合物の探索が必要である。
Science, vol. 278, pp. 245-251 (1997) Cell, vol. 93, pp. 337-348 (1998) EMBO Journal, 20, 377-386 (2001) Biomacromolecules, 1, 68-74 (2000) ChemBioChem, 4, 640-647 (2003) Bioorg. Med. Chem. Lett., 13, 2821-2823 (2003)
下記一般式(I)
〔式(I)中、R1は、−OH、−NHAc(式中、Acはアセチル基を示す。)または−NHSO3Hを示し;
R2〜R4はそれぞれ独立に、水素原子または−SO3Hを示し;
R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つが−SO3Hであるか、または、R2、R3およびR4が全て水素原子のときR1は−NHSO3Hを示し;
R5は、置換基を有していてもよいC1~6アルキル基、置換基を有していてもよいC2~6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2~6アルキニル基、または置換基を有していてもよいC6~10アリール基を示し;
式中、結合
は、エクアトリアル配置またはアキシャル配置のいずれかの配置であることを示す。〕で表される化合物もしくはその医薬的に許容し得る塩またはこれらの水和物を有効成分として含有するプリオン増殖抑制剤。
〔2〕
前記R2、R3およびR4のうちの一つが−SO3Hであり、残りの二つが−Hである、〔1〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔3〕
前記R1が、−NHSO3Hであり、前記R2、R3およびR4が−Hである、〔1〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔4〕
前記R5が、置換基を有していてもよいC1~6アルキル基または置換基を有していてもよいC6~10アリール基である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
〔5〕
−R1と−OR3とがグルコ配置、ガラクト配置またはマンノ配置のいずれか1つの配置である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
〔6〕
R1が−NHAcまたは−NHSO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置またはガラクト配置である、〔5〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔7〕
R1が−NHAcまたは−NHSO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置またはガラクト配置であり、R3またはR4が−SO3Hである、〔2〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔8〕
−R1と−OR3とがグルコ配置またはガラクト配置である、〔3〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔9〕
前記一般式(I)で表される化合物が、
(1)R1=−NHAc、R2=R4=H、R3=−SO3H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)である化合物、
(2)R1=−NHSO3H、R2=R3=H、R4=SO3H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)である化合物、
(3)R1=−NHSO3H、R2=R4=H、R3=SO3H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)である化合物、
(4)R1=−NHAc、R2=R3=H、R4=SO3H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置、−OR3がアキシャル配置)である化合物、
(5)R1=−NHAc、R2=R4=H、R3=SO3H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置、−OR3がアキシャル配置)である化合物、
(6)R1=−NHAc、R2=SO3H、R3=R4=H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置、−OR3がアキシャル配置)である化合物、
(7)R1=−NHAc、R2=R3=H、R4=SO3H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがマンノ配置(−R1がアキシャル配置、−OR3がエクアトリアル配置)である化合物、
(8)R1=−NHAc、R3=SO3H、R2=R4=H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがマンノ配置(−R1がアキシャル配置、−OR3がエクアトリアル配置)である化合物、
(9)R1=−NHAc、R2=SO3H、R3=R4=H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがマンノ配置(−R1がアキシャル配置、−OR3がエクアトリアル配置)である化合物、および
(10)R1=−NHSO3H、R2=R3=R4=H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)である化合物、からなる群から選ばれるいずれか一つである、〔1〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔10〕
下記一般式(II)
〔式(II)中、R1は、−OH、−NHAc(式中、Acはアセチル基を示す。)または−NHSO3Hを示し;
R2〜R4はそれぞれ独立に、水素原子または−SO3Hを示し;
R2〜R4はそれぞれ独立に、水素原子または−SO3Hを示し;
R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つが−SO3Hであるか、または、R2、R3およびR4が全て水素原子のときR1は−NHSO3Hを示し;
−A−B−において、Aは炭素原子数1〜6のアルキレン基、フェニレン基またはエチレンオキシ基((C2H4O)m)(mは1〜10の整数)を示し、Bは単結合、アミド結合、カルボン酸エステル結合またはスルホンアミド結合を示し;
式中、結合
は、エクアトリアル配置またはアキシャル配置のいずれかの配置であることを示す。〕で表される糖鎖含有基の少なくとも1つが、ポリマー鎖に結合した高分子化合物もしくはその医薬的に許容し得る塩またはこれらの水和物を有効成分として含有する、プリオン増殖抑制剤。
〔11〕
前記Aが炭素原子数1〜6のアルキレン基、前記Bが単結合である、〔10〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔12〕
前記Aがフェニレン基、Bがアミド結合、カルボン酸エステル結合またはスルホンアミド結合である、〔10〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔13〕
前記ポリマー鎖が、下記一般式(III)
(式(III)中、Y1、Y2、Y3、Y4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、置換基を有していてもよいC2-6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2-6アルキニル基、置換基を有していてもよいC6-10アリール基、アミド基、カルボン酸エステル基またはスルホンアミド基を示し、nは1〜5000の整数を示し、/は構成成分が任意の割合で存在することを示す。)で表される、〔10〕〜〔12〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
〔14〕
前記Y1、Y2のいずれか一方が水素原子またはC1-6アルキル基であり、他の一方が置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、置換基を有していてもよいC2-6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2-6アルキニル基、置換基を有していてもよいC6-10アリール基、アミド基、カルボン酸エステル基またはスルホンアミド基であり、前記Y3、Y4が水素原子である、〔10〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔15〕
R2、R3およびR4のうちの一つが−SO3Hであり、残りの二つが−Hである、〔10〕〜〔14〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
〔16〕
−R1と−OR3とが、グルコ配置、ガラクト配置またはマンノ配置のいずれか1つの配置である、〔10〕〜〔15〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
〔17〕
R1が−NHAcまたは−NHSO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置である、〔10〕〜〔16〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
〔18〕
R1が−OHであり、−R1と−OR3とがガラクト配置である、〔10〕〜〔16〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
〔19〕
前記一般式(II)で表される化合物が、下記式(IV)
〔式(IV)中、R2、R3およびR4は、いずれか一つが−SO3Hであり、残りが水素原子であり、nは1〜5000の整数を示し、/は構成成分が任意の割合で存在することを示す。〕である、〔10〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔20〕
前記一般式(II)で表される化合物が、下記式(V)
〔式(V)中、nは1〜5000の整数を示し、/は構成成分が任意の割合で存在することを示す。〕である、〔10〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔21〕
前記−A−B−ポリマー鎖が、下記式
〔式中、nは1〜5000の整数を示し、/は構成成分が任意の割合で存在することを示す。〕で表され、
前記糖鎖含有基において、R1、R2、R3、R4が、
(101)R1=−NHAc、R2=R3=H、R4=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)、
(102)R1=−NHAc、R2=R4=H、R3=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)、
(103)R1=−NHAc、R2=−SO3H、R3=R4=Hであり、−R1と−OR3とグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)、または
(104)R1=−NHSO3H、R2=R3=H、R4=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)、
(105)R1=−NHAc、R2=R4=H、R3=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置で、−OR3がアキシャル配置)、
(106)R1=−NHAc、R2=R3=H、R4=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置で、−OR3がアキシャル配置)、
(107)R1=−NHSO3H、R2=R4=H、R3=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)、
(108)R1=−NHSO3H、R2=R4=H、R3=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置で、−OR3がアキシャル配置)、
(109)R1=−NHSO3H、R2=R3=H、R4=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置で、−OR3がアキシャル配置)、または、
(110)R1=−NHAc、R2=H、R3=R4=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置で、−OR3がアキシャル配置)である、〔10〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔22〕 〔1〕〜〔21〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤からなる、プリオン病の予防剤または治療剤。
〔23〕 前記プリオン病が、ウシ海綿状脳症(BSE)、クロイツフェルト−ヤコブ病、孤発性クロイツフェルト−ヤコブ病(sCJD)、変異クロイツフェルト−ヤコブ病(vCJD)、医原性クロイツフェルト−ヤコブ病(iCJD)、家族性クロイツフェルト−ヤコブ病(fCJD)、ゲルストマン-ストライスラー−シャインカー症候群(GSS)、致死性家族性不眠症(FFI)、慢性消耗病(CWD)、ネコ海綿状脳症、スクレイピーまたはクールーである、〔22〕に記載のプリオン病の予防剤または治療剤。
〔24〕 下記一般式(I)
〔式(I)中、R1は、−OH、−NHAc(式中、Acはアセチル基を示す。)または−NHSO3Hを示し;
R2〜R4はそれぞれ独立に、水素原子または−SO3Hを示し;
R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つが−SO3Hであるか、または、R2、R3およびR4が全て水素原子のときR1は−NHSO3Hを示し;
R5は、置換基を有していてもよいC1~6アルキル基、置換基を有していてもよいC2~6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2~6アルキニル基、または置換基を有していてもよいC6~10アリール基を示し;
式中、結合
は、エクアトリアル配置またはアキシャル配置のいずれかの配置であることを示す。〕で表される化合物もしくはその医薬的に許容し得る塩またはこれらの水和物を有効成分として含有する医薬組成物を用いる、プリオン増殖抑制が有効な疾患の予防または治療方法。
〔25〕 プリオン増殖抑制が有効な疾患の予防剤または治療剤の製造のための、下記一般式(I)
〔式(I)中、R1は、−OH、−NHAc(式中、Acはアセチル基を示す。)または−NHSO3Hを示し;
R2〜R4はそれぞれ独立に、水素原子または−SO3Hを示し;
R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つが−SO3Hであるか、または、R2、R3およびR4が全て水素原子のときR1は−NHSO3Hを示し;
R5は、置換基を有していてもよいC1~6アルキル基、置換基を有していてもよいC2~6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2~6アルキニル基、または置換基を有していてもよいC6~10アリール基を示し;
式中、結合
は、エクアトリアル配置またはアキシャル配置のいずれかの配置であることを示す。〕で表される化合物もしくはその医薬的に許容し得る塩またはこれらの水和物の使用。
〔26〕 〔1〕〜〔21〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤を含有する、脳内投与薬剤、経口投与薬剤、または非経口投与薬剤。
〔27〕 〔1〕〜〔21〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤を含有する、異常プリオン蛋白質洗浄液。
〔28〕 〔1〕〜〔21〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤を含有する、脳内埋め込み型高分子材料。
具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−プロピルオキシ基、2−プロピルオキシ基、2−メチル−1−プロピルオキシ基、2−メチル−2−プロピルオキシ基、1−ブチルオキシ基、2−ブチルオキシ基、1−ペンチルオキシ基、2−ペンチルオキシ基、3−ペンチルオキシ基、2−メチル−1−ブチルオキシ基、3−メチル−1−ブチルオキシ基、2−メチル−2−ブチルオキシ基、3−メチル−2−ブチルオキシ基、2,2−ジメチル−1−プロピルオキシ基、1−へキシルオキシ基、2−へキシルオキシ基、3−へキシルオキシ基、2−メチル−1−ペンチルオキシ基、3−メチル−1−ペンチルオキシ基、4−メチル−1−ペンチルオキシ基、2−メチル−2−ペンチルオキシ基、3−メチル−2−ペンチルオキシ基、4−メチル−2−ペンチルオキシ基、2−メチル−3−ペンチルオキシ基、3−メチル−3−ペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−1−ブチルオキシ基、3,3−ジメチル−1−ブチルオキシ基、2,2−ジメチル−1−ブチルオキシ基、2−エチル−1−ブチルオキシ基、3,3−ジメチル−2−ブチルオキシ基、2,3−ジメチル−2−ブチルオキシ基等があげられる。
ハロゲン原子、水酸基、C1~6アルコキシ基、メルカプト基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、アミノ基、C1~6アルキルアミノ基、硫酸アミノ基、アシルアミノ基、オキソ基、およびイミノ基。
ハロゲン原子、水酸基、C1~6アルコキシ基、メルカプト基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、アミノ基、C1~6アルキルアミノ基、硫酸アミノ基、アシルアミノ基、オキソ基、およびイミノ基。
構成単位Dと構成単位Eとは、ランダム、ブロック、交互のいずれに配置されていてもよく、このうちでは、ランダムに配置されていることが好ましい。
NH2−CO−、HCO−NH−、NH2−CO−Z−、HCO−NH−Z−などのアミド基;
RCO2−、RCO2Z−、ROC(=O)−などのカルボン酸エステル基(Rは炭素原子数1〜6程度のアルキル基);
NH2−SO2−、HSO2−NH−、NH2−SO2−Z−、HSO2−NH−Z−などのスルホンアミド基などが挙げられる。
−CO2R−(ポリマー)(Rは炭素原子数1〜6程度のアルキル基)などのカルボン酸エステル結合;
−NH−SO2−(ポリマー)、−SO2−NH−(ポリマー)、−NH−SO2−Z−(ポリマー)、−SO2−NH−Z−(ポリマー)などのスルホンアミド結合などが挙げられる。
Zとしては、炭素原子数1〜6のアルキレン基、フェニレン基、エチレンオキシ基((C2H4O)n)(nは、1〜10の整数)などが挙げられる。
なお、本明細書中「−(ポリマー)」は、結合基Bがポリマー側に結合していることを示す。
(I−5)前記R5が、置換基を有していてもよいC1~6アルキル基または置換基を有していてもよいC6~10アリール基である化合物。
(I−18)R1が−NHSO3Hで、−R1と−OR3とがグルコ配置またはガラクト配置で、前記R2、R3およびR4がHである化合物。このうちより好ましくは−R1と−OR3とがグルコ配置である。
(I−5)〜(I−10)、(I−14)の順で好適な順位が上がる。
配置に関しては(I−16)がより好ましい。
(式(III)中、Y1、Y2、Y3、Y4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、置換基を有していてもよいC2-6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2-6アルキニル基、置換基を有していてもよいC6-10アリール基、アミド基、カルボン酸エステル基またはスルホンアミド基を示し、nは1〜5000の整数を示し、好ましくは10〜5000であり、/は構成成分が任意の割合で存在することを示す。)で表される高分子化合物。
(II−9)糖鎖含有基に関しては、前記R1が−NHAcまたは−OHである化合物。
1:R1=−NHAc、R2=R4=H、R3=SO3H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)である化合物
4':R1=−NHSO3H、R2=R3=H、R4=SO3H、−A−B−=−C6H4−pNH−CO−(ポリマー)であり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)である。
式(IV)中、R2、R3およびR4は、いずれか一つが−SO3Hであり、残りが水素原子であり、nは1〜5000の整数であり、糖鎖含有基を0.1〜100%の割合で含有する。
式(V)中、nは1〜5000の整数であり、糖鎖含有基を0.1〜100%の割合で含有する。
(1)化合物(2a)の合成
N−アセチルグルコサミン塩酸塩(1a; 2位のアミノ基と4位の水酸基は、ともにエクアトリアル配置のグルコ型の場合のほか、N−アセチルガラクトサミン塩酸塩;2位のアミノ基がエクアトリアル配置、4位の水酸基はアキシャル配置のガラクト型の場合やN−アセチルマンノサミン塩酸塩;2位のアミノ基がアキシャル配置、4位の水酸基はエクアトリアル配置のガラクト型の場合でもよい)(いずれも市販品を用いることができる)を、溶媒中、1)NaOMe/MeOH、NaOH, KOH、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンなどで中和し、2)トリフルオロ酢酸エチルエステル(TFAE)またはトリフルオロ酢酸無水物(TFAA)などのTFA化試薬と反応させる。
溶媒は、メタノール、エタノール、DMF、ピリジンなどが挙げられる。反応1)、2)は、1つの容器で連続して行ってもよく、独立して実施してもよい。
反応は、通常、約10〜30℃、好ましくは約22℃(室温)にて、約10分〜約2日間かけて実施できる。
次に、1位の水酸基のハロゲン置換および他の水酸基の保護を行う。
たとえば、トリフルオロ酢酸基(TFA)でアミノ基を保護した化合物(2a)を塩化アセチルなどのハロゲン化アセチル化合物と反応させ、化合物(3a)を合成することができる。
また、化合物(2a)をピリジン中、無水酢酸と反応させ、その後、臭化水素−酢酸(HBr−AcOH)などと反応させて、化合物(3a)のブロム体を得ることができる。
反応は、約−20℃〜室温で、好ましくは、約−20〜10℃にて、約10分〜約2日間かけて実施できる。
化合物(3a)を有機溶媒および水溶液の2相系で、相関移動触媒の存在下に、R5−O−Qと反応させることにより、化合物(4a)を得ることができる。R5は式(I)中のそれと同義であり、Qは、水素原子、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどであり、好ましくは水素原子である。
有機溶媒としては、塩化メチレン、THF、ジエチルエーテルなどが挙げられる。水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液が挙げられる。相関移動触媒としては、テトラブチルアンミニウムブロミドなどが挙げられる。
反応は、通常、約0〜30℃にて、約10分〜約2日間かけて実施できる。
化合物(4a)を、NaOMe/MeOH、KOMe/MeOHなどで処理して、水酸基の保護基を脱保護した化合物(5a)を得ることができる。
反応は、好ましくは−10℃〜30℃、さらに好ましくは0℃〜4℃で、1分〜5時間で実施できる。反応温度が0℃〜4℃の温度の場合、30分〜100分程度である。
さらに、0.1M 〜0.5M NaOH 水溶液で処理し、TFAを脱保護した化合物(6a)を得ることができる。水酸化カリウムや水酸化リチウムを使用してもよい。
反応は、好ましくは−10℃〜30℃、さらに好ましくは0℃〜4℃で、1分〜5時間で実施できる。反応温度が0℃〜4℃の温度の場合、30分〜100分程度である。
化合物(6a)に、溶媒中、硫酸化試薬を反応させて化合物(7a)を得ることができる。硫酸化試薬としては、三酸化硫黄トリメチルアミン複合体、三酸化硫黄ジメチルホルムアミド複合体、三酸化硫黄ピリジン複合体などが挙げられる。溶媒としては、たとえば、ジメチルホルムアミド(DMF)、THF(テトラヒドロフラン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、ピリジンなどが挙げられ、好ましくはジメチルホルムアミド、ピリジンを用いる。必要に応じて、トリエチルアミンのような塩基を加えてよい。
反応は、通常、約10℃〜約60℃、好ましくは約30〜50℃にて、約1時間〜約10時間、好ましくは約1〜3時間にわたり実施する。
スキームBは、化合物(5a)の3位、4位または6位、および2位のN硫酸化を行う工程である。工程Bでは、化合物(5a)のうち、R5がパラニトロフェニル基である場合の例を示す。
工程B1は、化合物(5a')の糖鎖の6位を硫酸化し、さらに、2位のN硫酸化を行う工程である。
工程B2は、化合物(11a)を経由して、化合物(5a')の糖鎖の3位または4位を硫酸化し、さらに、2位のN硫酸化を行う工程である。
化合物(8a)は、適当な溶媒中、化合物(5a')に過剰の硫酸化試薬を反応させて得ることができる。過剰とは、糖原料に対して1モル当量〜20モル当量で、好ましくは、1.2モル当量〜9モル当量である。
反応は、通常、約10℃〜約60℃、好ましくは約30〜50℃にて、約1時間〜約10時間、好ましくは約1〜3時間にわたり実施できる。
前記スキームAにおける、化合物(5a)から化合物(6a)を製造する方法と同様の方法により実施することができる。
前記スキームAにおける、化合物(6a)から化合物(7a)を製造する方法と同様の方法により実施することができる。
化合物(11a)は、適当な溶媒中、塩基の存在下、化合物(5a')に保護試薬UXを反応させて得ることができる。Uは保護基、Xは脱離基である。
ここで、Uは、シリル系の保護基または、アシル系の保護基であり、いずれも糖の6位を選択的に保護する。シリル系の保護基には、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基などがあげられる。アシル系の保護基には、ピバロイル基、ベンゾイル基などがあげられる。
化合物(11a)を、適当な溶媒中、過剰の硫酸化試薬を反応させて、3位または4位の水酸基を硫酸化し、さらに、6位の保護基を脱保護する。過剰とは、糖原料に対して1モル当量〜20モル当量で、好ましくは、1.2モル当量〜9モル当量である。
硫酸化反応は、通常、約10℃〜約60℃、好ましくは約30〜50℃にて、約1時間〜約10時間、好ましくは約1〜3時間にわたり実施できる。
保護基Uがアシル系の場合には、NaOMe/MeOH、KOMe/MeOHなどで処理し、(12a)もしくは(14a)をそれぞれ得ることができる。
(11a)の硫酸化、つづく保護基Uの脱保護を行い、(12a)および(14a)とした後に、各成文を分離精製してもよい。この場合には、逆送系の充填剤(C−18など)を用い、溶離液には、水、水―メタノールを使用することが好ましい。
スキームAにおける(5)化合物(6a)の合成、(6)化合物(7a)の合成で示した方法と同様の方法を用いて、化合物(12a)、化合物(14a)から、化合物(13a)、化合物(15a)を得ることができる。
(1)化合物(16a)の合成
スキームCは、化合物(6a)のアミノ基をアセチル化する方法を示す。
化合物(16a)は、化合物(6a)を溶媒中、アセチル化剤と反応させて得ることができる。
アセチル化剤としては、無水酢酸などを用いることができる。溶媒としては、メタノールなどを用いることができる。
また、トリエチルアミン、炭酸カリウム等の塩基の存在下に、上記反応を行ってもよい。
反応は、通常、約0〜30℃にて、約10分〜約24時間かけて実施できる。
なお、(16a)のうち、pNP N−アセチルグルコサミン、pNP N−アセチルガラクトサミン、pNP N−アセチルマンノサミンは、市販品を使用してもよい。
スキームDは、R5がフェニレン基(特に、パラニトロフェニル基)を有する場合における、誘導体上の水酸基またはアミノ基の硫酸化の方法を示すものである。
工程D1は、化合物(17a)の糖鎖の6位を硫酸化して、化合物(18a)を製造する方法を示すものである。化合物(18a)は、適当な溶媒中、化合物(17a)に過剰の硫酸化試薬を反応させて得ることができる。過剰とは、糖原料に対して1モル当量〜20モル当量で、好ましくは、1.2モル当量〜9モル当量である。
反応は、通常、約10℃〜約60℃、好ましくは約30〜50℃にて、約1時間〜約10時間、好ましくは約1〜3時間にわたり実施できる。
グルコ配置、ガラクト配置またはマンノ配置の化合物(17a)は、市販品を用いることもできる。
工程2は、化合物(19a)を経由して、化合物(17a)の糖鎖の3位または4位を硫酸化し、それぞれ、化合物(20a)または化合物(21a)を製造する方法を示すものである。
ここで、Uは、シリル系の保護基または、アシル系の保護基であり、いずれも糖の6位を選択的に保護する。シリル系の保護基には、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基などがあげられる。アシル系の保護基には、ピバロイル基、ベンゾイル基などがあげられる。
化合物(19a)を、適当な溶媒中、過剰の硫酸化試薬を反応させて、3位または4位の水酸基を硫酸化し、さらに、6位の保護基を脱保護する。
硫酸化反応は、通常、約10℃〜約60℃、好ましくは約30〜50℃にて、約1時間〜約10時間、好ましくは約1〜3時間にわたり実施できる。
保護基Uがアシル系の場合には、NaOMe/MeOH、NaOH水溶液やLiOH水溶液などで処理し、(20a)もしくは(21a)をそれぞれ得ることができる。
スキームEは、ベンゼン環に結合するニトロ基を、他の官能基に変換する方法を示すものである。
工程E1は、化合物(18a)のニトロ基をN−アシル化して、化合物(22a)を製造する方法を示すものである。
(2)さらに、適当な溶媒中、適当な塩基の存在下、ハロゲン化アシルと反応させて、化合物(22a)を製造することができる。
工程E2は、化合物(18a)のニトロ基をN−硫酸化して、化合物(23a)を製造する方法を示すものである。
(2)さらに、適当な溶媒中、硫酸化試薬と反応させて、化合物(23a)を製造することができる。
スキームFは、高分子化合物の製造方法を示す。
工程F1は、化合物(24a)のアグリコン部分の末端に不飽和二重結合を有する化合物と、重合可能モノマーHY1C=CY2Hとを共重合させて化合物(25a)を製造する工程である。共重合反応は、公知の方法で行うことができ、適当な溶媒中、必要に応じ重合開始剤の存在下、化合物(24a)と重合可能モノマーを反応させる。
スキームGは、スキームFの具体例を示すものである。
工程G1では、まず、(1)化合物(18a)のニトロ基を、末端に不飽和結合を有するN−アシル基に変換して化合物(26a)を製造する。(2)さらに、該化合物(26a)を適当な重合可能モノマーと共重合させて高分子化合物(27a)を製造する方法を示すものである。
さらに、化合物I、IIを適当な生理食塩水に溶解させた水溶性液体は、前記脳内に直接投与する点滴液の他、脳外科手術などで使用される乾燥硬膜のプリオンの洗浄液として使用されうる。すなわち、従来、脳外科手術で除去された患者の硬膜は、ヒト乾燥硬膜を移植して使用していたために、しばしば、プリオンで汚染されクロイツフェルト−ヤコブ病を発症してきた。この硬膜は、熱処理に向かないので、移植に準じた方法で使用されてきたため、プリオンで汚染した乾燥硬膜を使用すると、クロイツフェルト−ヤコブ病が発症することが知られている。本硫酸化糖含有水溶液で汚染された硬膜を洗浄すれば、安全にプリオンを除外、もしくは、プリオンの形成を抑制できる。
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
下記に化合物Iに係る化合物の合成工程(製造工程1)および化合物IIに係る高分子化合物の合成工程(製造工程2)を示す。式中、Yは−CONH2を示す。
p−ニトロフェニル 2−アセトアミド−2−デオキシ−6−スルホ−β−D−グルコピラノシド ナトリウム塩(化合物2)(6SGN))の合成
製造工程Aに示すとおり、p−ニトロフェニル 2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド(1)(1.0 g, 29.2 mmol)(アルドリッチ社製)をN,N−ジメチルホルムアミド(20 mL)に溶解し、40℃において、三酸化硫黄トリメチルアミン複合体(2.4 g, 17.5 mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10 mL)溶液を30分かけて滴下し、40℃で2時間磁気攪拌した。次いで、得られた反応混合物にメタノール(20 mL)を加え、1昼夜攪拌した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残査を、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:水)で分離・精製した。得られたシロップをイオン交換樹脂(Dowex Na+)で処理し、ろ過後凍結乾燥することで目的とする化合物(2)(657 mg, 51 %)を得た。
p−ニトロフェニル 2−アセトアミド−3−スルホ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド ナトリウム塩(6)(3SGN)、p−ニトロフェニル−2−アセトアミド−4−スルホ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド ナトリウム塩(7)(4SGN)の合成
製造工程Aに示すとおり、p−ニトロフェニル 2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド(1)(300 mg、0.87 mmol)(アルドリッチ社製)をピリジン(10 mL)に溶解し、ジメチルアミノピリジン(10 mg)、tert−ブチルジフェニルシリルクロリド(TBDS-Cl)340 μL、1.31 mmol)を窒素雰囲気下で加え、室温で24時間磁気攪拌した。反応終了後、反応溶液にメタノール(10 mL)を加え1昼夜磁気攪拌した。減圧濃縮後、酢酸エチルで希釈し有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と水で分液洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム:メタノール=7:1)で分離精製し、エタノールから再結晶させることで、黄色の結晶の目的とする化合物(5)(470 mg、92 %)を得た。
得られた化合物(5)(130 mg、0.22 mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(4 mL)に溶解し、50℃において、三酸化硫黄トリメチルアミン複合体(186 mg、1.32 mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10 mL)溶液を30分かけて滴下し、50℃で12時間磁気攪拌した。次いで、得られた反応混合物にメタノール(10 mL)加え1時間攪拌した後、減圧下で溶媒を留去した。残査を、テトラヒドロフラン(5 mL)に溶解し、TBAF(147 μL、0.33 mmol)を窒素雰囲気下で加え3時間攪拌した。その残査を減圧下で溶媒を留去した後、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:水)で分離・精製した。得られたシロップをイオン交換樹脂(Dowex Na+)で処理し、ろ過後凍結乾燥することで目的とする化合物(6)(40 mg)、化合物(7)(28 mg)を収率42 %で得た。
(6): 8.03 (d, 2H, フェニル基のH), 7.02 (d, 2H, フェニル基のH), 5.28 (d, 1H, J1,2 = 8.5 Hz, H-1), 4.36 (dd, 1H, J2,3, = 10.5, J3,4 = 10.5 Hz, H-3), 3.99 (dd, 1H, J1,2 = 8.5 Hz, J2,3 = 10.5 Hz, H-2), 3.87 (dd, 1H, JH-5, H-6proS = 1.5 Hz, JH-6proS, H-6proR = 12.0 Hz, H-6proS), 3.68 (dd, 1H, JH-5, H-6proR = 5.4 Hz, JH-6proR, H-6proS 11.1 Hz, H-6proR), 3.60 (m, 1H, H-5), 3.60 (m, H-4), 1.85 (s, 3H)
(7): 8.11 (d, 2H, フェニル基のH), 7.05 (d, 2H, フェニル基のH), 5.20 (d, 1H, J1,2 = 8.5 Hz, H-1), 4.18 (dd, 1H, J2,3, = 10.5, J3,4 = 10.5 Hz, H-4), 3.98 (dd, 1H, J1,2 = 8.5 Hz, J2,3 = 10.5 Hz, H-2), 3.80 (m, 2H, H-6proS, H-6proR), 3.70 (m, 2H, H-5, H3), 1.87 (s, 3H)
p−アセトアミドフェニル 2−アセトアミド−6−スルホ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド ナトリウム塩(8)の合成
製造例1で得られたp−ニトロフェニル 2−アセトアミド−6−スルホ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド ナトリウム塩(2)(50 mg, 0.11 mmol)を脱イオン水 (2 mL) に溶解させ、触媒量の水酸化パラジウム炭素を加え、室温、水素雰囲気下で2時間磁気攪拌した。反応終了後、セライトろ過により触媒を除去し、減圧濃縮した。残査を再び脱イオン水(2 mL) に溶解させ0℃において、炭酸カリウム(46 mg, 0.33 mmol)を加えしばらく攪拌した。0℃において、無水酢酸(32 μl, 0.33 mmol)を滴下し3時間攪拌した。反応溶液を中和後、減圧濃縮し、シロップを逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:水)で分離・精製した。得られたシロップをイオン交換樹脂(Dowex Na+)で処理し、ろ過後、凍結乾燥することで白色固体の目的とする化合物(8)(41 mg 80 %)を得た。
旋光度[α]D = -78.9o (c = 0.11 水);
赤外吸収スペクトルIR (KBr) 3299 (OH), 1660 and 1548 (amide), 1226 (OSO3);
FAB+マススペクトル: 479 [M+Na]+
p−アクリロイルアミドフェニル 2−アセトアミド−6−スルホ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド ナトリウム塩(3)の重合体(4)(Poly 6SGN)の合成
1H NMR(δppm, 500 MHz, D2O, 50 ℃):7.60(brs,2H,フェニル基のH)、7.27(brs,2H,フェニル基のH)、5.32(brs, 1H,H-1)、4.57-3.78(m、6H,H-2,H-3,H-4,H-5,H-6,H-6')、2.52-2.22(brm, 主鎖のメチングループ)、2.10(brs, 3H,アセチルグループ)、2.00-1.75(brs, 主鎖のメチレングループ);
高分子化合物(4)中の糖鎖導入率=8%(1H NMRスペクトルによって決定)
p−アクリロイルアミドフェニル 2−アセトアミド−4−スルホ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド ナトリウム塩(9)の重合体(10)(Poly 4SGN)の合成
p−アクリロイルアミドフェニル 2−アセトアミド−3−スルホ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド ナトリウム塩(11)の重合体(12)(Poly 3SGN)の合成
p-(N-アクリルアミド)フェニル 6-O-スルフォ-β-D-ガラクトピラノシド ナトリウム塩(14)の重合体(15)(Poly6SGal)の合成
市販のp-ニトロフェニル(pNP) β-D-ガラクトピラノシド(Sigma社製N1252, 600 mg, 1.99 mmol)およびビストリブチルスズオキシド(0.764 mL, 1.5 mmol)をTHF-ベンゼン (1:1,全量 50 mL)にけん濁加させ、3時間加熱環流しながら共沸して生成する水を除去した。その後、溶媒を留去し、残査を乾燥DMF10mlに溶解し三酸化硫黄トリメチルアミン錯体(1.4 g, 0.01 mol) を加え、60 ℃ で3 時間反応させた。 反応液にベンジルアルコール (8 mL) を加え、溶媒を減圧濃縮した。
1H NMR (D2O, t-BuOH = 1.23 ppm) δ 8.271 and 7.278 (d, J = 9.3 Hz, pNP), 5.330 (d, J = 7.8 Hz, H-1), 4.484 (dd, J = 3.3 and 9.6 Hz, H-3), 4.429 (d, J = 3.3Hz, H-4), 4.34-3.93 (m, H-6 and H-6'), 4.013 (dd, J = 7.8 and 9.6 Hz, H-2); 13C NMR (t-BuOH = 31.3 ppm) δ 163.6, 144.5, 128.0, 118.4, 101.3, 81.3, 74.7, 70.2, 68.8, 68.3; FABMS 527 [M+ + Na - 1].
1H NMR (D2O, t-BuOH = 1.23 ppm) δ 8.195 and 7.213 (d, J = 9.2 Hz, pNP), 5.174 (d, J = 7.3 Hz, H-1), 4.29-4.17 (m, H-6 and H-6'), 4.075 (bd, J = 3.0 Hz, H-4), 3.875 (dd, J = 7.3 and 9.9 Hz, H-2), 3.823 (dd, J = 3.0 and 9.9 Hz, H-3); 13C NMR (t-BuOH = 31.3 ppm) δ 163.5, 144.1, 127.8, 118.2, 101.6, 74.9, 73.9, 71.9, 69.9, 68.7. FABMS 426 [M+ + Na]. Anal. Calcd. for C12H14NNaO11S・2H2O: C, 32.81; H, 4.13; N, 3.19; S,7.30. Found: C, 32.42; H, 3.44; N, 2.95; S, 6.88.
上記で合成した6−スルフォ−β-D-ガラクトピラノシド ナトリウム塩(13) (100 mg, 0.62 mmol) および触媒量のパラジウムをメタノール10mlに加え、水素気流下で還元した。さらに、製造例4と同様にして、アクリル酸クロリドと反応させ、p-(N-アクリルアミド)フェニル 6-O-スルフォ-β-D-ガラクトピラノシド ナトリウム塩(14)85 mgを得た。
製造例4と同様にして、上記化合物(14)を、アクリルアミド(15 mg, 213 μmol)および2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の存在下共重合させ、6-O-スルフォ-β-D-ガラクトピラノシドを側鎖に有する高分子化合物(15)を得た。
1H NMR (D2O, 60 ℃) δ(ppm) 7.55 (br, aromatic-H), 7.25 (br, aromatic-H), 5.27 (br, Gal H-1), 4.4-4.2 (br, Gal H-4 + H-6S + H-6R), 3.9 (br, Gal H-3 + H-5 + H-2), 2.6-2.3 (br, CH-CH2), 2.0-1.5 (br, CH-CH2-).
p−アクリロイルアミドフェニル 2−デオキシ−2−アセトアミド−β−D−グルコピラノシド(16)およびその重合体(17)(PolyGlcNAc)の合成
2-デオキシ-2-トリフルオロアセトアミド-D-グルコピラノシド(19)の合成
D-グルコサミン 塩酸塩(18)20.1 g (93.1 mmol)と、NaOMe7.5g(13mmol)とをメタノール250 mlに溶かし、1時間攪拌した。次に2 モル当量のCF3COOEtを加え撹拌した。5時間後にさらに2.5g(46mmol)のCF3COOEtを加え攪拌した。18時間後、重曹水で中和をし、ろ過により沈殿物を除去した。ろ液を室温に放置したところ、結晶(塩)が析出したのでろ過して除いた。これを3回繰り返し、塩をできる除去して化合物(19)を得た。収量:35.0 g 収率 > 99 %
1−クロロ−2−デオキシ−2−トリフルオロアセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシド(20)の合成
化合物(19) 20.0 gに75mlのアセチルクロライドを0℃で注意深く滴下した。18時間後、CHCl3を500ml加え、重曹水、水の順に洗浄した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;CHCl3)で精製し、目的とする化合物(20)を得た。収量:9.03 g 収率:29.6 %
δ 6.74 (d, 1H, J = 9Hz, NHTFA) 6.24 (d, 1H, JH1-H2 = 4 Hz, H1) 5.39 (dd, 1H, JH2-H3 = 10.5 Hz, JH3-H4 = 10 Hz, H3) 5.25 (t, 1H, JH3-H4 H4-H5 = 10 Hz, H4) 4.50 (ddd, 1H, JH1-H2 = 4 Hz, JH2-NHTFA = 8.5 Hz, JH2-H3 = 11 Hz, H2) 4.22 (m, 2H, H5, H6) 4.14 (m, 1H, H6) 2.12 (s, 3H, 6-Ac) 2.08, 2.07 (s, each 3H, 3 or 4 Ac)
p-ニトロフェニル 2-デオキシ-2-トリフルオロアセトアミド-3,4,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド(21)の合成
化合物(20)5.50 g (13.1 mmol)、CH2Cl2 55ml、1N NaOH 水溶液55mlの溶液に、パラ−ニトロフェノール3.64g(26.2 mmol)とBu4NBr 4.2g (13.1 mmol)を加え、激しく攪拌した。2時間後、CHCl3を少量加え、1N NaOHで2回、食塩水で1回洗浄後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン: 酢酸エチル = 4 :1)で精製し、化合物(21)を得た。収量:2.64g 収率:23.5 %
δ 8.22 (d, 2H, J = 2 Hz, H-ortho of pNP) 7.06 (d, 2H, J = 2.5 Hz, H-meta of pNP) 6.60 (d, 1H, JH1-H2 = 9 Hz, H1) 5.38 (dd, 1H, JH2-H3 = 10.5 Hz, JH3-H4 = 9.5 Hz, H3) 5.35 (d, 1H, J = 8 Hz, NHTFA) 5.20 (t, 1H, JH3-H4, H4-H5 = 9.5 Hz, H4) 4.31 (dd and dd, 2H, JH1-H2 = 9 Hz, JH2+NHTFA-H3 = 18.5 Hz, and JH5-H6 = 5.5 Hz, JH6-H6 = 12.5 Hz, H2 and H6ProR) 4.20 (dd, 1H, JH5-H6 = 2.5 Hz, JH6-H6 = 12.5 Hz, H6ProS) 3.96 (ddd, 1H, JH5-H6ProR = 5.5 Hz, JH5-H6ProS = 2.5 Hz, JH4-H5 = 9.5 Hz, H5) 2.10 (s, 3H, 6-Ac) 2.09, 2.08 (each s, each 3H, 3 or 4-Ac)
p-ニトロフェニル 2-デオキシ-2-トリフルオロアセトアミド-β-D-グルコピラノシド(22)の合成
化合物(21)1.51 g (2.9 mmol)を100 mlのメタノールに溶かし、NaOMe 15.6 mg (0.29 mmol)を加え、室温で3時間30分攪拌した。
シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム: メタノール = 10 : 1)で精製し、化合物(22)を得た。 収量:1.10 g 収率:95.7 %
δ 8.22 (d, 2H, J = 9.5 Hz, H-ortho of pNP) 7.17 (d, 2H, J = 9.5 Hz, H-meta of pNP) 5.26 (d, 1H, JH1-H2 = 8.5 Hz, H1), 4.02 (dd, 1H, JH1-H2 = 8.5 Hz, JH2-H3 = 10.5 Hz, H2), 3.94 (dd, 1H, JH5-H6 = 2.5 Hz, JH6-H6 = 12.5 Hz, H6ProS), 3.73 (dd, 1H, JH5-H6 = 5.5 Hz, JH6-H6 = 12.5 Hz, H6ProR), 3.40 (dd, 1H, JH2-H3, JH3-H4 = 10.5 Hz, H3), 3.51 (m, 1H, H5), 3.36 (dd, 1H, JH3-H4, JH4-H5 = 9.5 Hz, H4)
p-ニトロフェニル 2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシド(23)の合成
化合物(22)149mg (0.38 mmol)を 0.1M 水酸化ナトリウム水溶液2mlに0℃で溶解し、30分撹拌した。その後、0.1N HCl水溶液で注意深くpH7とし、ろ過後濃縮した。逆相カラム(ODS C−18)で精製して、化合物(23)を100mg (89%)得た。
δ 8.22 (d, 2H, J = 9.5 Hz, H-ortho of pNP) 7.26 (d, 2H, J = 9.0 Hz, H-meta of pNP) 5.02 (d, 1H, JH1-H2 = 8.0 Hz, H1), 3.90 (dd, 1H, JH5-H6 = 2.5 Hz, JH6-H6 = 12.0 Hz, H6ProS), 3.71 (dd, 1H, JH5-H6 = 5.5 Hz, JH6-H6 = 12.0 Hz, H6ProR), 3.51 (m, 1H, H5), 3.40 (dd, 1H, JH2-H3, JH3-H4 = 8.5 Hz, H3), 3.36 (dd, 1H, JH3-H4, JH4-H5 = 9.0 Hz, H4), 2.89 (dd, 1H, JH1-H2 = 8.0 Hz, JH2-H3 = 9.5 Hz, H2)
p-ニトロフェニル 2-スルファミド-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシド ナトリウム塩(24)の合成
化合物(23)207 mg (0.69 mmol)をDMF 50 mlに溶解し、Me3NSO3を144 mg(1.03 mmol)加えた。室温で攪拌し、反応の進行を逆相TLC (10 % CH3COOH : メタノール = 2 : 1)で確認した。反応終了後、メタノール10 mlを加え、濃縮して残査を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;水)で精製、続いて、イオン交換樹脂(Dowex Na+)で処理し化合物(24)を得た。収量:158 mg 収率:60.3 %
δ 8.19 (d, 2H, J = 9.5 Hz, H-ortho of pNP), 7.18 (d, 2H, J = 9.5 Hz, H-meta of pNP) 5.31 (d, 1H, JH1-H2 = 8.0 Hz, H1), 3.69 (dd, 1H, JH5-H6 = 2.5 Hz, JH6-H6 = 12.5 Hz, H6ProS), 3.67 (dd, 1H, JH5-H6 = 5.5 Hz, JH6-H6 = 12.5 Hz, H6ProR), 3.67 (dd, 1H, J = 9.0 Hz, J = 10.5 Hz, H3), 3.61 (m, 1H, H5), 3.49 (dd, 1H, JH3-H4, JH4-H5 = 9.5 Hz, H4), 3.27 (dd, 1H, JH1-H2 = 8.0 Hz, JH2-H3 = 10.0 Hz, H2)
p-ニトロフェニル 2-スルファミド-2−デオキシー6−O−スルフォ-β-D-グルコピラノシド 2ナトリウム塩(25)の合成
製造工程3で製造した化合物(22)を出発原料として、明細書中のスキームBで示される化合物5aから10aを合成するのと同様の方法を用いて、化合物(25)を合成した。
〔製造例16〕
p-nitrophenyl 2-acetamide-4-O-sulfo-2-deoxy-β-D-galactopyranoside, sodium salt (4SGalNAc)(26)の合成
重合体(27)の合成
〔実施例1〕
<薬理データ>
生物試験と抑制試験の概要:マウス馴化スクレイピーChandler株が持続感染したマウス神経芽細胞(Race et al., 1988)の培養液に一定量の試験試料(糖モノマーと糖ポリマー)の希釈液を加えて72時間培養を行った。プリオン感染価とPrPScの存在は相関することから(Caughey et al., 1993)、PrPScを指標に被験物質の抗プリオン効果を判定した。細胞が産生するPrPScをSDS-PAGE電気泳動とウエスタンブロット(WB)法によって確認を行った。その結果、グルコサミンから合成される特定の硫酸化糖とその高分子化合物が顕著な異常プリオン産生抑制効果を示す事が判明した。
1) マウス馴化スクレイピーChandler株が持続感染しているマウス神経芽細胞を限界希釈法によりクローニングしたプリオン持続感染細胞I3/I5の培養液に一定量の試験試料(糖モノマーと糖ポリマー)の希釈液を加えて72時間培養を行った。
2) 細胞の溶解を界面活性剤(0.5% Triton X-100、0.5% sodium deoxycholate)と金属キレート剤(5 mM EDTA)を含む緩衝液(150mM NaCl in 10 mM Tris-HCl, pH 7.5)で行った。
3) 遠心処理(200 x g, 2 min)して除核した後、プロテアーゼK(PK、20 μg/mL PK, 37 ℃, 45分)で処理した。
4) PKによるタンパク質分解を2mM Pefablocで止めた後、遠心処理(100,000 x g, 2 h)によりPrPScを回収して、SDS-Page電気泳動とWBを行った。PrPScの検出には、一次抗体として抗PrPモノクローナル抗体31C6を、二次抗体として西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウス免疫グロブリン(Amersham Bioscience社)を使用した。表1におけるPrPsc産生量はLAS-1000 chemiluminescence analyzer(富士フィルム社)を使用して化学発光を取り込み、フォトンカウントの定量解析により求めた。阻害剤が無い場合の産生量を100として、PrPsc産生量を測定した。A±Bで表される数値において、Aの数値が小さいほど抑制効果が大きいことを示す。Bは偏差を示す。
化合物(10):Poly-4SGN
化合物(12):Poly-3SGN
化合物(15):Poly-6SGal
化合物(27):Poly-2,6SGN
化合物(7):4SGN
化合物(24):2SGN
化合物(25):2,6SGN
化合物(26):4SGalNAc
上記化合物それぞれを100μg/mL, 10μg/mL, 1μg/mLの濃度に希釈して試料液を加えて細胞培養を行ない、上述の方法によってPrPSCの産生抑制効果を調べた。結果を表1、表2に示す。
また、阻害剤が無い場合の産生量を100として、PrPsc産生量を半分(約50)に減少させる抑制剤の濃度(IC50 )として比較を行うと、抑制効果の強さはPoly-4SGN (IC50 = 2-4 μg/mL) > Poly-6SGN (5-8 μg/mL) >4SGN (8-10 μg/mL)の順となり、活性に対して高分子効果が認められた。
図1は、化合物(4):Poly-6SGN、化合物(10):Poly-4SGNを、それぞれ20μg/mLずつ3、6および9日間細胞培養液に加えて、持続的な抑制効果を調べたものである。化合物(4)(Poly-6SGN)は、添加日数とともにPrPScの産生が減少し、9日目に、ほぼ完全にPrPSc産生が終息した。化合物(10)(Poly-4SGN)では抑制効果がより顕著であり、6日目には、ほぼ産生が終息した。
プリオン感染価とPrPScの存在は相関することから、これらの化合物がプリオンの増殖阻害活性を有すると判断できる。以上の結果は、安価な糖資源であるグルコサミンなどから、プリオン増殖抑制効果を有するプリオン病治療薬の開発が可能であることを示している。
Claims (25)
- 下記一般式(I)
〔式(I)中、R1は、−OH、−NHAc(式中、Acはアセチル基を示す。)または−NHSO3Hを示し;
R2〜R4はそれぞれ独立に、水素原子または−SO3Hを示し;
R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つが−SO3Hであるか、または、R2、R3およびR4が全て水素原子のときR1は−NHSO3Hを示し;
R5は、置換基を有していてもよいC1~6アルキル基、置換基を有していてもよいC2~6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2~6アルキニル基、または置換基を有していてもよいC6~10アリール基を示し;
式中、結合
は、エクアトリアル配置またはアキシャル配置のいずれかの配置であることを示す。〕で表される化合物もしくはその医薬的に許容し得る塩またはこれらの水和物を有効成分として含有するプリオン増殖抑制剤。 - 前記R2、R3およびR4のうちの一つが−SO3Hであり、残りの二つが−Hである、請求項1に記載のプリオン増殖抑制剤。
- 前記R1が、−NHSO3Hであり、前記R2、R3およびR4が−Hである、請求項1に記載のプリオン増殖抑制剤。
- 前記R5が、置換基を有していてもよいC1~6アルキル基または置換基を有していてもよいC6~10アリール基である、請求項1〜3のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
- −R1と−OR3とがグルコ配置、ガラクト配置またはマンノ配置のいずれか1つの配置である、請求項1〜4のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
- R1が−NHAcまたは−NHSO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置またはガラクト配置である、請求項5に記載のプリオン増殖抑制剤。
- R1が−NHAcまたは−NHSO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置またはガラクト配置であり、R3またはR4が−SO3Hである、請求項2に記載のプリオン増殖抑制剤。
- −R1と−OR3とがグルコ配置またはガラクト配置である、請求項3に記載のプリオン増殖抑制剤。
- 前記一般式(I)で表される化合物が、
(1)R1=−NHAc、R2=R4=H、R3=−SO3H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)である化合物、
(2)R1=−NHSO3H、R2=R3=H、R4=SO3H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)である化合物、
(3)R1=−NHSO3H、R2=R4=H、R3=SO3H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)である化合物、
(4)R1=−NHAc、R2=R3=H、R4=SO3H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置、−OR3がアキシャル配置)である化合物、
(5)R1=−NHAc、R2=R4=H、R3=SO3H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置、−OR3がアキシャル配置)である化合物、
(6)R1=−NHAc、R2=SO3H、R3=R4=H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置、−OR3がアキシャル配置)である化合物、
(7)R1=−NHAc、R2=R3=H、R4=SO3H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがマンノ配置(−R1がアキシャル配置、−OR3がエクアトリアル配置)である化合物、
(8)R1=−NHAc、R3=SO3H、R2=R4=H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがマンノ配置(−R1がアキシャル配置、−OR3がエクアトリアル配置)である化合物、
(9)R1=−NHAc、R2=SO3H、R3=R4=H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とがマンノ配置(−R1がアキシャル配置、−OR3がエクアトリアル配置)である化合物、および
(10)R1=−NHSO3H、R2=R3=R4=H、R5=−C6H4−pNO2または−C6H4−pNHAcであり、−R1と−OR3とグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)である化合物、からなる群から選ばれるいずれか一つである、請求項1に記載のプリオン増殖抑制剤。 - 下記一般式(II)
〔式(II)中、R1は、−OH、−NHAc(式中、Acはアセチル基を示す。)または−NHSO3Hを示し;
R2〜R4はそれぞれ独立に、水素原子または−SO3Hを示し;
R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つが−SO3Hであるか、または、R2、R3およびR4が全て水素原子のときR1は−NHSO3Hを示し;
−A−B−において、Aは炭素原子数1〜6のアルキレン基、フェニレン基またはエチレンオキシ基((C2H4O)m)(mは1〜10の整数)を示し、Bは単結合、アミド結合、カルボン酸エステル結合またはスルホンアミド結合を示し;
式中、結合
は、エクアトリアル配置またはアキシャル配置のいずれかの配置であることを示す。〕で表される糖鎖含有基の少なくとも1つが、ポリマー鎖に結合した高分子化合物もしくはその医薬的に許容し得る塩またはこれらの水和物を有効成分として含有する、プリオン増殖抑制剤。 - 前記Aが炭素原子数1〜6のアルキレン基、前記Bが単結合である、請求項10に記載のプリオン増殖抑制剤。
- 前記Aがフェニレン基、Bがアミド結合、カルボン酸エステル結合またはスルホンアミド結合である、請求項10に記載のプリオン増殖抑制剤。
- 前記ポリマー鎖が、下記一般式(III)
(式(III)中、Y1、Y2、Y3、Y4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、置換基を有していてもよいC2-6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2-6アルキニル基、置換基を有していてもよいC6-10アリール基、アミド基、カルボン酸エステル基またはスルホンアミド基を示し、nは1〜5000の整数を示し、/は構成成分が任意の割合で存在することを示す。)で表される、請求項10〜12のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。 - 前記Y1、Y2のいずれか一方が水素原子またはC1-6アルキル基であり、他の一方が置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、置換基を有していてもよいC2-6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2-6アルキニル基、置換基を有していてもよいC6-10アリール基、アミド基、カルボン酸エステル基またはスルホンアミド基であり、前記Y3、Y4が水素原子である、請求項10に記載のプリオン増殖抑制剤。
- R2、R3およびR4のうちの一つが−SO3Hであり、残りの二つが−Hである、請求項10〜14のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
- −R1と−OR3とが、グルコ配置、ガラクト配置またはマンノ配置のいずれか1つの配置である、請求項10〜15のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
- R1が−NHAcまたは−NHSO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置である、請求項10〜16のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
- R1が−OHであり、−R1と−OR3とがガラクト配置である、請求項10〜16のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
- 前記一般式(II)で表される化合物が、下記式(IV)
〔式(IV)中、R2、R3およびR4は、いずれか一つが−SO3Hであり、残りが水素原子であり、nは1〜5000の整数を示し、/は構成成分が任意の割合で存在することを示す。〕である、請求項10に記載のプリオン増殖抑制剤。 - 前記一般式(II)で表される化合物が、下記式(V)
〔式(V)中、nは1〜5000の整数を示し、/は構成成分が任意の割合で存在することを示す。〕である、請求項10に記載のプリオン増殖抑制剤。 - 前記−A−B−ポリマー鎖が、下記式
〔式中、nは1〜5000の整数を示し、/は構成成分が任意の割合で存在することを示す。〕で表され、
前記糖鎖含有基において、R1、R2、R3、R4が、
(101)R1=−NHAc、R2=R3=H、R4=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)、
(102)R1=−NHAc、R2=R4=H、R3=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)、
(103)R1=−NHAc、R2=−SO3H、R3=R4=Hであり、−R1と−OR3とグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)、
(104)R1=−NHSO3H、R2=R3=H、R4=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)、
(105)R1=−NHAc、R2=R4=H、R3=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置で、−OR3がアキシャル配置)、
(106)R1=−NHAc、R2=R3=H、R4=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置で、−OR3がアキシャル配置)、
(107)R1=−NHSO3H、R2=R4=H、R3=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがグルコ配置(−R1と−OR3とがエクアトリアル配置)、
(108)R1=−NHSO3H、R2=R4=H、R3=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置で、−OR3がアキシャル配置)、
(109)R1=−NHSO3H、R2=R3=H、R4=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置で、−OR3がアキシャル配置)、または、
(110)R1=−NHAc、R2=H、R3=R4=−SO3Hであり、−R1と−OR3とがガラクト配置(−R1がエクアトリアル配置で、−OR3がアキシャル配置)である、請求項10に記載のプリオン増殖抑制剤。 - 請求項1〜21のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤からなる、プリオン病の予防剤または治療剤。
- 前記プリオン病が、ウシ海綿状脳症(BSE)、クロイツフェルト−ヤコブ病、孤発性クロイツフェルト−ヤコブ病(sCJD)、変異クロイツフェルト−ヤコブ病(vCJD)、医原性クロイツフェルト−ヤコブ病(iCJD)、家族性クロイツフェルト−ヤコブ病(fCJD)、ゲルストマン-ストライスラー−シャインカー症候群(GSS)、致死性家族性不眠症(FFI)、慢性消耗病(CWD)、ネコ海綿状脳症、スクレイピーまたはクールーである、請求項22に記載のプリオン病の予防剤または治療剤。
- 下記一般式(I)
〔式(I)中、R1は、−OH、−NHAc(式中、Acはアセチル基を示す。)または−NHSO3Hを示し;
R2〜R4はそれぞれ独立に、水素原子または−SO3Hを示し;
R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つが−SO3Hであるか、または、R2、R3およびR4が全て水素原子のときR1は−NHSO3Hを示し;
R5は、置換基を有していてもよいC1~6アルキル基、置換基を有していてもよいC2~6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2~6アルキニル基、または置換基を有していてもよいC6~10アリール基を示し;
式中、結合
は、エクアトリアル配置またはアキシャル配置のいずれかの配置であることを示す。〕で表される化合物もしくはその医薬的に許容し得る塩またはこれらの水和物を有効成分として含有する医薬組成物を用いる、プリオン増殖抑制が有効な疾患の予防または治療方法。 - プリオン増殖抑制が有効な疾患の予防剤または治療剤の製造のための、下記一般式(I)
〔式(I)中、R1は、−OH、−NHAc(式中、Acはアセチル基を示す。)または−NHSO3Hを示し;
R2〜R4はそれぞれ独立に、水素原子または−SO3Hを示し;
R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つが−SO3Hであるか、または、R2、R3およびR4が全て水素原子のときR1は−NHSO3Hを示し;
R5は、置換基を有していてもよいC1~6アルキル基、置換基を有していてもよいC2~6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2~6アルキニル基、または置換基を有していてもよいC6~10アリール基を示し;
式中、結合
は、エクアトリアル配置またはアキシャル配置のいずれかの配置であることを示す。〕で表される化合物もしくはその医薬的に許容し得る塩またはこれらの水和物の使用。
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