明 細 書
プリオン増殖抑制剤
技術分野
[0001] 本発明は、硫酸化糖誘導体、その医薬的に許容し得る塩、またはこれらの水和物 を含有するプリオン増殖抑制剤、該プリオン増殖抑制剤を含有するプリオン病の予 防剤または治療剤に関する。
背景技術
[0002] 近年、ゥシ海綿状脳症 (BSE、狂牛病)やクロイツフェルト-ヤコブ病(CJD)などの プリオン病が問題となっている。 BSEや CJDの原因蛋白質である異常プリオン蛋白 質は、正常プリオン蛋白質が脳内でその高次構造が大きく変化することにより引き起 こされる。この反応は連鎖的で、いったん異常プリオン蛋白質が形成されると、その分 解速度は正常プリオン蛋白質に比べきわめて遅く、異常プリオン蛋白質が脳内に蓄 積される。
したがって、正常プリオン蛋白質力 異常プリオン蛋白質への移行を如何に阻害で きるかが、 BSEやクロイツフェルト ヤコブ病などのプリオン病の予防または治療の観 点から重要視されている。(非特許文献 1、 2)
[0003] 現在までに 、くつかのプリオン増殖抑制効果を示すィ匕合物が探索されて 、るが、 合成のし易さ、安定性、細胞毒性などの観点から、これまで有効な化合物は見出さ れていない。
たとえば、プリオンの阻害効果を示すィ匕合物としてキナクリンが知られているが、キ ナクリンの場合、腎臓毒性、肝臓毒性が知られており、生体にとってより穏和な化合 物の提供が必要不可欠な状況にある。特に、医薬品の開発においては、脳内に直 接、投与することが可能となっているため、副作用などの軽減したィ匕合物の探索が必 要である。
[0004] 最近、へパラン硫酸がプリオン増殖阻害機能を持つことが報告されて 、る(非特許 文献 3)。
[0005] 硫酸化糖誘導体やこれを分子内に有する高分子が、セレクチンブロッカーやウィル
ス阻害機能を示すことが報告されている (非特許文献 4一 6)。この中で、一連の硫酸 化 N—ァセチルダルコサミンまたはその高分子体力 ヒトインフルエンザウイルスの持 っシァリダーゼに対して、高い阻害機能を有することが報告されているが、プリオン増 殖の阻害効果を有することは知られて 、な 、。
非特許文献 1 : Science, vol. 278, pp. 245-251 (1997)
非特許文献 2 : Cell, vol. 93, pp. 337-348 (1998)
非特許文献 3 : EMBO Journal, 20, 377-386 (2001)
非特許文献 4 : Biomacromolecules, 1, 68-74 (2000)
非特許文献 5 : ChemBioChem, 4, 640-647 (2003)
非特許文献 6 : Bioorg. Med. Chem. Lett., 13, 2821-2823 (2003)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 本発明は、低襲性で、プリオン増殖を効果的に阻害する、プリオン増殖抑制剤、 BS E、クロイツフェルト ヤコブ病等のプリオン病の予防剤又は治療剤を提供することを 課題とする。
課題を解決するための手段
[0007] 本件発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究し、特定の糖誘導体が、低襲性 で、し力も優れたプリオン増殖抑制効果を有し、 BSE、クロイツフェルト ヤコブ病など のプリオン病の予防剤または治療剤となることを見出し、本件発明を完成するに至つ た。特に、特定の糖鎖誘導体の高分子化合物が、顕著なプリオン増殖抑制効果を有 することを見出している。すなわち、本件発明は、以下を含む。
[0008] 〔1〕
下記一般式 (I)
〔式(I)中、 R
1は、 OH、 一 NHAc (式中、 Acはァセチル基を示す。)または NHSO Hを示し;
3
R2— R4はそれぞれ独立に、水素原子または- SO Hを示し;
3
R2、 R3および R4のうちの少なくとも 1つが— SO Hである力、または、 R2
3 、 R3および R4 が全て水素原子のとき R1は NHSO Hを示し;
3
R5は、置換基を有していてもよい C アルキル基、置換基を有していてもよい C ァ ルケニル基、置換基を有して!/、てもよ!/、C アルキニル基、または置換基を有して!/ヽ てもよ!/、C ァリ
6^10 一ル基を示し;
式中、結合
は、エタアトリアル配置またはアキシャル配置のいずれかの配置であることを示す。〕 で表される化合物もしくはその医薬的に許容し得る塩またはこれらの水和物を有効 成分として含有するプリオン増殖抑制剤。
〔2〕
前記 、 R3および R4のうちの一つが— SO Hであり、残りの二つが- Hである、〔1〕に
3
記載のプリオン増殖抑制剤。
〔3〕
前記 R1が、 -NHSO Hであり、前記 、 R3および R4が- Hである、〔1〕に記載のプリ
3
オン増殖抑制剤。
〔4〕
前記 R5が、置換基を有していてもよい C ~アルキル基または置換基を有していても
1
よい C ァリール基である、〔1〕一〔3〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
6^10
〔5〕
R1と OR3とがダルコ配置、ガラタト配置またはマンノ配置の 、ずれか 1つの配置 である、〔1〕一〔4〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
〔6〕
R1がー NHAcまたは NHSO Hであり、 R1と OR3とがダルコ配置またはガラタト
配置である、 [5]に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔7〕
R1がー NHAcまたは NHSO Hであり、 R1と OR3とがダルコ配置またはガラタト
3
配置であり、 R3または R4がー SO Hである、〔2〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
3
〔8〕
R1と OR3とがダルコ配置またはガラタト配置である、〔3〕に記載のプリオン増殖抑 制剤。
〔9〕
前記一般式 (I)で表される化合物が、
(DR^-NHAc, R2=R4=H、 R3=-SO H、 R5=-C H -pNOまたは— C H— p
3 6 4 2 6 4
NHAcであり、 R1と OR3とがダルコ配置 (一 R1と— OR3とがエタアトリアル配置)であ る化合物、
(2) R1=-NHSO H、 R2=R3 = H、 R4 = SO H、 R5=— C H— pNOまたは— C H -
3 3 6 4 2 6 4 pNHAcであり、 R1と OR3とがダルコ配置 (一 R1と— OR3とがエタアトリアル配置)であ る化合物、
(3) R1=-NHSO H、 R2=R4 = H、 R3 = SO H、 R5=— C H— pNOまたは— C H -
3 3 6 4 2 6 4 pNHAcであり、 R1と OR3とがダルコ配置 (一 R1と— OR3とがエタアトリアル配置)であ る化合物、
(4) R1 =— NHAcゝ R2=R3 = H、 R4=SO H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pN
3 6 4 2 6 4
HAcであり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がアキシ ャル配置)である化合物、
(5) R1 =— NHAc、 R2=R4=H、 R3 = SO H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pN
3 6 4 2 6 4
HAcであり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がアキシ ャル配置)である化合物、
(6) R1=-NHAc, R2 = SO H、 R3=R4 = H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pN
3 6 4 2 6 4
HAcであり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がアキシ ャル配置)である化合物、
(7) R1=-NHAc, R2=R3 = H、 R4=SO H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pN
HAcであり、 R1と OR3とがマンノ配置 (一 R1がアキシャル配置、—OR3がエタアトリア ル配置)である化合物、
(8) R1 =— NHAc、 R3 = SO H
3 、 R2=R4 = H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pN
6 4 2 6 4
HAcであり、 R1と OR3とがマンノ配置 (一 R1がアキシャル配置、—OR3がエタアトリア ル配置)である化合物、
(9) R1 =— NHAc、 R2 = SO H
3 、 R3=R4 = H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pN
6 4 2 6 4
HAcであり、 R1と OR3とがマンノ配置 (一 R1がアキシャル配置、—OR3がエタアトリア ル配置)である化合物、および
(10) R1=-NHSO H、 R2=R3=R4 = H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pNHA
3 6 4 2 6 4 cであり、 R1と OR3とダルコ配置 (一 R1と OR3とがエタアトリアル配置)である化合物 、力もなる群力 選ばれるいずれか一つである、〔1〕に記載のプリオン増殖抑制剤。 〔10〕
下記一般式 (Π)
〔式(Π)中、 R1は、 OH NHAc (式中、 Acはァセチル基を示す。)または NHS O Hを示し;
3
R2— R4はそれぞれ独立に、水素原子または- SO Hを示し;
3
R2— R4はそれぞれ独立に、水素原子または- SO Hを示し;
3
R2、 R3および R4のうちの少なくとも 1つが— SO Hである力、または、 R2
3 、 R3および R4 が全て水素原子のとき R1は NHSO Hを示し;
3
A— B—において、 Aは炭素原子数 1一 6のアルキレン基、フエ-レン基またはェチ レンォキシ基((C H O) ) (mは 1一 10の整数)を示し、 Bは単結合、アミド結合、カル
2 4 m
ボン酸エステル結合またはスルホンアミド結合を示し;
式中、結合
は、エタアトリアル配置またはアキシャル配置のいずれかの配置であることを示す。〕 で表される糖鎖含有基の少なくとも 1つが、ポリマー鎖に結合した高分子化合物もしく はその医薬的に許容し得る塩またはこれらの水和物を有効成分として含有する、プリ オン増殖抑制剤。
〔11〕
前記 Aが炭素原子数 1一 6のアルキレン基、前記 Bが単結合である、〔10〕に記載の プリオン増殖抑制剤。
〔12〕
前記 Aがフエ-レン基、 Bがアミド結合、カルボン酸エステル結合またはスルホンアミ ド結合である、〔10〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔13〕
前記ポリマー鎖が、下記一般式 (III)
(式 (III)中、
γ
3、 γ
4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい C アルキル基、置換基を有していてもよい C ァルケ-ル基、置換基を有していて
1-6 2-6
もよ 、c アルキ-ル基、置換基を有して 、てもよ 、c ァリール基、アミド基、カル
2-6 6-10
ボン酸エステル基またはスルホンアミド基を示し、 nは 1一 5000の整数を示し、 Zは 構成成分が任意の割合で存在することを示す。)で表される、〔10〕一〔12〕のいずれ かに記載のプリオン増殖抑制剤。
〔14〕
置換基を有していてもよい C アルキル基、置換基を有していてもよい C アルケニ
1-6 2-6 ル基、置換基を有して!/、てもよ!/、C アルキニル基、置換基を有して!/、てもよ!/、C
2-6 6-10 ァリール基、アミド基、カルボン酸エステル基またはスルホンアミド基であり、前記 γ
Y4が水素原子である、〔10〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
[15]
R2、 R3および R4のうちの一つが—SO Hであり、残りの二つが Hである、〔10〕一〔1
3
4〕の 、ずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
[16]
R1と OR3と力 ダルコ配置、ガラタト配置またはマンノ配置のいずれ力 1つの配置 である、〔10〕一〔15〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
〔17〕
R1がー NHAcまたは NHSO Hであり、 R1と OR3とがダルコ配置である、〔10〕一
3
〔16〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤。
〔18〕
R1がー OHであり、 R1と OR3とがガラタト配置である、〔10〕一〔16〕のいずれかに 記載のプリオン増殖抑制剤。
〔19〕
前記一般式 (Π)で表される化合物が、下記式 (IV)
〔式 (IV)中、 R2、 R3および R4は、いずれか一つが SO Hであり、残りが水素原子で
3
あり、 nは 1一 5000の整数を示し、 Zは構成成分が任意の割合で存在することを示 す。〕である、〔10〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔20〕
前記一般式 (Π)で表される化合物が、下記式 (V)
〔式 (V)中、 nは 1一 5000の整数を示し、 Zは構成成分が任意の割合で存在すること を示す。〕である、〔10〕に記載のプリオン増殖抑制剤。
〔21〕
前記 A - B -ポリマー鎖が、下記式
〔式中、 nは 1一 5000の整数を示し、 Zは構成成分が任意の割合で存在することを 示す。〕で表され、
(lODR^-NHAc, R2=R3 = H、 R4=— SO Hであり、 R1と OR3とがダルコ配置
3
(一 R1と OR3とがエタアトリアル配置)、
(102) R1=-NHAc, R2=R4=H、 R3=— SO Hであり、 R1と OR3とがダルコ配置
3
(一 R1と OR3とがエタアトリアル配置)、
(103) R1=-NHAc, R2=— SO H 1と OR3とダルコ配置(一
3 、 R3=R4=Hであり、 R
R1と OR3とがエタアトリアル配置)、または
(104) 1^=— NHSO H、 R2=R3 = H
3 、 R4=— SO Hであり、 R1と OR3とがダルコ配
3
置 (一 R1と OR3とがエタアトリアル配置)、
(105) R1=-NHAc, R2=R4=H、 R3=— SO Hであり、 R1と OR3とがガラタト配置
3
(一 R1がエタアトリアル配置で、 OR3がアキシャル配置)、
(106) R1=-NHAc, R2=R3 = H、 R4=— SO Hであり、 R1と OR3とがガラタト配置
3
(一 R1がエタアトリアル配置で、 OR3がアキシャル配置)、
(107) R1=-NHSO H、 R2=R4 = H、 R3=— SO Hであり、 R1と OR3とがダルコ配
3 3
置 (一 R1と OR3とがエタアトリアル配置)、
(108) R1=-NHSO H、 R2=R4 = H、 R3=— SO Hであり、 R1と OR3とがガラタト
3 3
配置 (一 R1がエタアトリアル配置で、 OR3がアキシャル配置)、
(109) 1^= NHSO H、 R2=R3 = H、 R4=— SO Hであり、 R1と OR3とがガラタト
3 3
配置 (一 R1がエタアトリアル配置で、 OR3がアキシャル配置)、または、
(110) R1=-NHAc, R2 = H、 R3=R4=— SO Hであり、 R1と OR3とがガラタト配置
3
(一 R1がエタアトリアル配置で、 OR3がアキシャル配置)である、〔10〕に記載のプリオ ン増殖抑制剤。
[22] 〔1〕一〔21〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤からなる、プリオン病の 予防剤または治療剤。
〔23〕 前記プリオン病が、ゥシ海綿状脳症 (BSE)、クロイツフェルト ヤコブ病、孤発 性クロイツフェルト—ヤコブ病(sCJD)、変異クロイツフェルト ヤコブ病(vCJD)、医原 性クロイツフェルト-ヤコブ病 (iCJD)、家族性クロイツフェルト-ヤコブ病(fCJD)、ゲ ルストマン-ストライスラ一一シャインカー症候群 (GSS)、致死性家族性不眠症 (FFI) 、慢性消耗病(CWD)、ネコ海綿状脳症、スクレイピーまたはクールーである、 [22] に記載のプリオン病の予防剤または治療剤。
〔24〕 下記一般式 (I)
〔式(I)中、 R1は、 OH、 一 NHAc (式中、 Acはァセチル基を示す。)または NHSO Hを示し;
R2— R4はそれぞれ独立に、水素原子または- SO Hを示し;
3
R2、 R3および R4のうちの少なくとも 1つが— SO Hである力、または、 R2
3 、 R3および R4 が全て水素原子のとき R1は NHSO Hを示し;
3
R5は、置換基を有していてもよい C アルキル基、置換基を有していてもよい C ァ ルケニル基、置換基を有して!/、てもよ!/、C アルキニル基、または置換基を有して!/ヽ てもよ!/、C ァリ一ル基を示し;
6^10
は、エタアトリアル配置またはアキシャル配置のいずれかの配置であることを示す。〕 で表される化合物もしくはその医薬的に許容し得る塩またはこれらの水和物を有効 成分として含有する医薬組成物を用いる、プリオン増殖抑制が有効な疾患の予防ま たは治療方法。
〔25〕 プリオン増殖抑制が有効な疾患の予防剤または治療剤の製造のための、下 記一般式 (I)
〔式(I)中、 R1は、 OH、 一 NHAc (式中、 Acはァセチル基を示す。)または NHSO Hを示し;
3
R2— R4はそれぞれ独立に、水素原子または- SO Hを示し;
3
R2、 R3および R4のうちの少なくとも 1つが— SO Hである力、または、 R2
3 、 R3および R4 が全て水素原子のとき R1は NHSO Hを示し;
3
R5は、置換基を有していてもよい C アルキル基、置換基を有していてもよい C ァ ルケニル基、置換基を有して!/、てもよ!/、C アルキニル基、または置換基を有して!/ヽ てもよ!/、C ァリ 示し;
6^10 一ル基を
式中、結合
は、エタアトリアル配置またはアキシャル配置のいずれかの配置であることを示す。〕 で表される化合物もしくはその医薬的に許容し得る塩またはこれらの水和物の使用。
〔26〕 〔1〕一〔21〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤を含有する、脳内投与 薬剤、経口投与薬剤、または非経口投与薬剤。
[27] 〔1〕一〔21〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤を含有する、異常プリォ ン蛋白質洗浄液。
〔28〕 〔1〕一〔21〕のいずれかに記載のプリオン増殖抑制剤を含有する、脳内埋め 込み型高分子材料。
[0009] 以下に、本明細書において記載する用語、記号等の意義を説明し、本発明を詳細 に説明する。
[0010] 本明細書中にお!、ては、化合物の構造式が便宜上一定の異性体を表すことがある
1S 特に断りがない限り、本発明には化合物の構造上生ずる総ての幾何異性体、不 斉炭素に基づく光学異性体、立体異性体、互変異性体等の異性体および異性体混 合物を含み、便宜上の式の記載に限定されるものではなぐいずれか一方の異性体 でも混合物でもよい。従って、本発明の化合物には、分子内に不斉炭素原子を有し 光学活性体およびラセミ体が存在することがありうるが、本発明においては限定され ず、いずれもが含まれる。また、結晶多形が存在することもあるが同様に限定されず、 Vヽずれかの結晶形が単一であっても結晶形混合物であってもよ!、。本発明にかかる 化合物には無水物と水和物とが包含される。さらに、本発明に係る化合物は他のある 種の溶媒を吸収した溶媒和物を包含する。またさらに、本発明にかかる化合物が生 体内で分解されて生じる、いわゆる代謝物も本発明の請求の範囲に包含される。
[0011] 本明細書における「C ~アルキル基」とは、炭素数 1
1 6 一 6個の脂肪族炭化水素から任 意の水素原子を 1個除いて誘導される一価の基である、炭素数 1一 6個の直鎖状また は分枝鎖状のアルキル基を意味し、具体的には例えば、メチル基、ェチル基、 1ープ 口ピル基、 2—プロピル基、 2—メチルー 1 プロピル基、 2—メチルー 2—プロピル基、 1 ブチル基、 2 ブチル基、 1 ペンチル基、 2 ペンチル基、 3 ペンチル基、 2 メチル
1 ブチル基、 3 -メチルー 1 ブチル基、 2 -メチルー 2 -ブチル基、 3 -メチルー 2 -ブ チル基、 2, 2—ジメチルー 1—プロピル基、 1一へキシル基、 2—へキシル基、 3—へキシ ル基、 2—メチルー 1 ペンチル基、 3—メチルー 1 ペンチル基、 4ーメチルー 1 ペンチ ル基、 2—メチルー 2 ペンチル基、 3—メチルー 2 ペンチル基、 4ーメチルー 2 ペンチ ル基、 2—メチルー 3 ペンチル基、 3—メチルー 3 ペンチル基、 2, 3 ジメチルー 1ーブ チル基、 3, 3 ジメチルー 1 ブチル基、 2, 2 ジメチルー 1 ブチル基、 2—ェチルー 1 ブチル基、 3, 3 ジメチルー 2 ブチル基、 2, 3 ジメチルー 2 ブチル基等があげられ る。
[0012] 本明細書における「C アルケニル基」とは、炭素数 2— 6個の直鎖状または分枝鎖
2-6
状のァルケ-ル基を意味し、具体的には例えば、ビュル基、ァリル基、 1 プロべ-ル 基、 2 -プロべ-ル基、 1ーブテュル基、 2 -ブテュル基、 3 -ブテュル基、ペンテ-ル基 、へキセ -ル基等があげられる。
[0013] 本明細書における「C アルキ-ル基」とは、炭素数 2— 6個の直鎖状または分枝鎖
2-6
状のアルキ-ル基を意味し、具体的には例えば、ェチュル基、 1—プロピ-ル基、 2— プロピ-ル基、ブチュル基、ペンチニル基、へキシュル基等があげられる。
[0014] 本明細書中における「C ァリール基」とは、炭素数 6— 10の芳香族性の炭化水素
6-10
環式基をいい、具体的には例えば、フ -ル基、 1 ナフチル基、 2—ナフチル基など が挙げられる。
[0015] 本明細書における「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはョ ゥ素原子を意味する。
[0016] 本明細書における「C アルコキシ基」とは前記定義の「C アルキル基」が結合し
1-6 1-6
たォキシ基であることを意味する。
具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基、 1 プロピルォキシ基、 2—プロピルォキ シ基、 2—メチルー 1 プロピルォキシ基、 2—メチルー 2—プロピルォキシ基、 1 ブチル ォキシ基、 2 ブチルォキシ基、 1 ペンチルォキシ基、 2 ペンチルォキシ基、 3 ンチルォキシ基、 2—メチルー 1 ブチルォキシ基、 3—メチルー 1 ブチルォキシ基、 2— メチルー 2 ブチルォキシ基、 3—メチルー 2 ブチルォキシ基、 2, 2 ジメチルー 1 プロ ピルォキシ基、 1 キシルォキシ基、 2 キシルォキシ基、 3 キシルォキシ基、
2 メチルー 1 ペンチルォキシ基、 3—メチルー 1 ペンチルォキシ基、 4ーメチルー 1 ペンチルォキシ基、 2—メチルー 2 ペンチルォキシ基、 3—メチルー 2 ペンチルォキシ 基、 4ーメチルー 2 ペンチルォキシ基、 2—メチルー 3 ペンチルォキシ基、 3—メチルー
3 ペンチルォキシ基、 2, 3 ジメチルー 1 ブチルォキシ基、 3, 3 ジメチルー 1ーブチ ルォキシ基、 2, 2 ジメチルー 1 ブチルォキシ基、 2—ェチルー 1 ブチルォキシ基、 3
, 3 ジメチルー 2 ブチルォキシ基、 2, 3 ジメチルー 2 ブチルォキシ基等があげられ る。
[0017] 本明細書における「ァシル基」とは、 CORで表される基であり、 Rとしては、 C ァ ルキル基、 C ァルケ-ル基、 C アルキ-ル基、または C ァリール基が挙げられ
2~6 2~6 6~10 る。 Rで示される基は、下記 A群の置換基を有していてもよい。
[0018] 〈置換基 A群〉
ハロゲン原子、水酸基、 C アルコキシ基、メルカプト基、ニトロ基、シァノ基、ホルミ
Γ6
ル基、カルボキシル基、ァシル基、トリフルォロメチル基、トリフルォロメトキシ基、アミ ノ基、 C アルキルアミノ基、硫酸アミノ基、ァシルァミノ基、ォキソ基、およびイミノ基。
Γ6
[0019] 本明細書における「C アルキルアミノ基」とは、ァミノ基の 1または 2つの水素原子
1-6
を、前記 C アルキル基で置換した基を意味する。
1-6
[0020] 本明細書における「硫酸アミノ基」とは、ァミノ基の 1または 2つの水素原子を、硫酸 基- SO Hで置換した基を意味する。
3
[0021] 本明細書における「ァシルァミノ基」とは、ァミノ基の 1または 2つの水素原子を、前 記ァシル基で置換した基を意味する。
[0022] 本明細書における「置換基を有していてもよい」とは、置換可能な部位に、任意に 組み合わせて 1または複数個の置換基を有してもよいことを意味する。当該置換基と は具体的には例えば、以下の置換基 A群力 選ばれる基をあげることができる。
[0023] く置換基 A群〉
ハロゲン原子、水酸基、 C アルコキシ基、メルカプト基、ニトロ基、シァノ基、ホルミ
Γ6
ル基、カルボキシル基、ァシル基、トリフルォロメチル基、トリフルォロメトキシ基、アミ ノ基、 C アルキルアミノ基、硫酸アミノ基、ァシルァミノ基、ォキソ基、およびイミノ基。
Γ6
[0024] これらの置換基のうちでは、水酸基、 C アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、
アミノ基、 C アルキルアミノ基、硫酸アミノ基、およびァシルァミノ基力 選ばれる少
Γ6
なくとも 1つが好ましい。
[0025] 「置換基を有していてもよい C アルキル基」におけるより好ましい置換基としては、 水酸基、 C アルコキシ基などが挙げられる。
Γ6
[0026] 「置換基を有していてもよい C ァルケ-ル基」におけるより好ましい置換基としては 、水酸基、 c アルコキシ基などが挙げられる。
Γ6
[0027] 「置換基を有していてもよい C アルキニル基」におけるより好ましい置換基としては 、水酸基、 c アルコキシ基などが挙げられる。
Γ6
[0028] 「置換基を有していてもよい C ァリール基」におけるより好ましい置換基としては、
6~10
ニトロ基、アミノ基、 C アルキルアミノ基、硫酸アミノ基、およびァシルァミノ基が挙げ
Γ6
られる。
[0029] 本明細書における「塩」とは、本発明に係る化合物と塩を形成し、かつ薬理学的に 許容されるものであれば特に限定されず、例えば、無機酸塩、有機酸塩、無機塩基 塩、有機塩基塩、酸性または塩基性アミノ酸塩などがあげられる。
[0030] 無機酸塩の好ま 、例としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、 リン酸塩などがあげられ、有機酸塩の好ましい例としては、例えば酢酸塩、コハク酸 塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クェン酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩、安 息香酸塩、メタンスルホン酸塩、 p—トルエンスルホン酸塩などがあげられる。
[0031] 無機塩基塩の好ましい例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金 属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、ァ ンモ -ゥム塩などがあげられ、有機塩基塩の好ましい例としては、例えばジェチルァ ミン塩、トリエチルァミン塩、ジエタノールアミン塩、メグルミン塩、 N, N,—ジベンジル エチレンジァミン塩などがあげられる。
[0032] 酸性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばァスパラギン酸塩、グルタミン酸塩な どが挙げられ、塩基性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアルギニン塩、リジン 塩、オル-チン塩などがあげられる。
[0033] 本明細書において、「エタアトリアル配置」とは、 4C (椅子型配置)コンフオメーシヨン
1
を形成する糖ビラノース環に水平な軸方向に配置することを意味し、「アキシャル配
置」とは、 c (椅子型配置)コンフオメーシヨンを形成する糖ビラノース環に垂直な軸方
1
向に配置することを意味する。
本明細書における「ポリマー鎖」は、糖鎖含有基を所望の割合で結合していればよ く特に限定されないが、たとえば、下記式 (III)で表されるポリマー鎖が挙げられる。
[0035] 式 (III)中、 Y1— Y4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい C
1-6 アルキル基、置換基を有して 、てもよ 、c ァルケ-ル基、置換基を有して 、てもよ
2-6
V、c アルキ-ル基、置換基を有して 、てもよ 、c ァリール基、アミド基、カルボン
2-6 6-10
酸エステル基またはスルホンアミド基を示す。 nは 1一 5000の整数、好ましくは 50— 3000の整数を示す。
[0036] 高分子化合物の数平均分子量 Mnは、好ましくは 300— 150万、さらに好ましくは 1 万 5000— 100万程度の範囲内にあることが望まし!/、。
[0037] 「Z」は、糖鎖含有基を含む構成成分 (D)と、
Υ
2を含む構成成分 (Ε)とが任意 の割合で存在することを示すが、 Dの導入割合 (Dの構成単位数 Z (D + Eの構成単 位数) X 100 (%) )は、好ましくは、構成単位 (D)が 0. 1— 100%、構成単位 )が 0 一 99. 9%の割合で、さらに好ましくは構成単位 (D)が 0. 5— 50%、構成単位 (Ε) 力 0— 99. 5%の範囲にあることが望ましい。
[0038] 高分子化合物の確認および糖鎖含量の決定は、 1H-NMR, 13H-NMR、 IRなどにより 実施することができる。また、数平均分子量は、分子ふるい (ゲル濾過)カラムで分離 し、ポリスチレンポリマーなどの標準ポリマーとの比較により決定することができる。ま た、光散乱動的解析装置により、分子サイズや分子量をポリスチレンポリマーなどの 標準ポリマーとの比較により、決定することもできる。さらに、超円心分離による分子 量決定も可能である。
構成単位 Dと構成単位 Eとは、ランダム、ブロック、交互のいずれに配置されていて もよぐこのうちでは、ランダムに配置されていることが好ましい。
[0039] 「丫1」、「Y2」、「Υ3」、「Υ4」としては、より具体的には、たとえば、水素原子、置換基を
有していてもよい C アルキル基、置換基を有していてもよい C アルケニル基、置換
1-6 2-6
基を有していてもよい C アルキ-ル基、置換基を有していてもよい C ァリール基、
2-6 6-10
NH—CO HCO— NH NH— CO— Z HCO— NH— Z—などのアミド基;
2 2
RCO RCO Z ROC ( = 0)—などのカルボン酸エステル基 (Rは炭素原子数 1
2 2
一 6程度のアルキル基);
NH -SO―、 HSO— NH―、 NH—SO— Z―、 HSO— NH— Z—などのスルホンアミ
2 2 2 2 2 2
ド基などが挙げられる。
[0040] Zとしては、 C のアルキレン基、フエ二レン基、エチレンォキシ基((C H O) ) (nは
Γ6 2 4 η
、 1一 10の整数)などが挙げられる。
[0041] 本明細書において糖鎖含有基に含まれる、ポリマー鎖に結合基「一 Α— Β—」におい て、「A」は炭素原子数 1一 6のアルキレン基、フエ-レン基またはエチレンォキシ基(( C H O) ) (mは好ましくは 1一 10、さらに好ましくは 1
2 4 m 一 3の整数)である。炭素原子 数 1一 6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基 などが挙げられ、このうち好ましくはメチレン基が挙げられる。
[0042] 本明細書において「B」は、たとえば、 NH— CO— (ポリマー)、 CO— NH— (ポリマ 一)、—NH— CO—Z— (ポリマー)、 CO— NH—Z— (ポリマー)などのアミド結合;
CO R (ポリマー)(Rは炭素原子数 1一 6程度のアルキル基)などのカルボン酸
2
エステル結合;
-NH-SO—(ポリマー)、 -SO― NH— (ポリマー)、― NH— SO― Z— (ポリマー)
2 2 2 、
SO— NH— Z (ポリマー)などのスルホンアミド結合などが挙げられる。
2
Zとしては、炭素原子数 1一 6のアルキレン基、フエ-レン基、エチレンォキシ基((C
2
H O) ) (nは、 1一 10の整数)などが挙げられる。
4 n
[0043] 前記 Bのうちでは、アミド結合が好ましぐアミド結合のうちでは、糖鎖含有基側にァ ミノ基を有するものがより好ましぐたとえば、 NH— CO (ポリマー)、 NH— CO— Z —(ポリマー)がさらに好ましぐ NH— CO (ポリマー)が特に好ましい。
なお、本明細書中「一 (ポリマー)」は、結合基 Bがポリマー側に結合していることを示 す。
[0044] 本明細書にお!、て、「プリオン」とは、感染性因子の総称である。
[0045] 本明細書において、「プリオン病」とは、プリオンの感染によって引き起こされる神経 疾患であり、プリオンに感染した脳内には、プリオンの主要構成要素である異常型プ リオン蛋白質 (PrPSe)が蓄積する。また、プリオン病は伝達性海綿状脳症 (TSE ; transmissible spongiform encephalopathy)と同 g である。これりには、 7こと は、ス クレイピー、クールー、ゥシ海綿状脳症(BSE)、クロイツフェルト ヤコブ病、変異クロ イツフェルト ヤコブ病 (vCJS)、孤発性クロイツフェルト ヤコブ病(sCJD, sporadic CJD)、家族性クロイツフェルト—ヤコブ病(fCJD, familial CJD)、医原性クロイツフェル トーヤコブ病 (iCJD, iatrogenic CJD)、慢'性消耗病(CWD, chronic wasting disease)、 致死性家族性不眠症(fetal famillial insomnia, FFI)、ネコ海綿状脳症(feline spongiform encephalopathy)、ゲルストマン-ストライスラ^ シャインカー症候群(GSS 、 Gerstmann— Straussler syndromeノなと; 0 げられる。
[0046] 本発明のプリオン増殖抑制剤に含まれる、前記一般式 (I)で表される化合物 (以下 「化合物 I」ということがある)において、好適な化合物としては、たとえば、下記の化合 物が挙げられる。
[0047] (1-1)前記 R1が好ましくは NHAcまたは NHSO H、さらに好ましくは NHAcであ
3
る化合物。
[0048] (I 2)前記 R2、 R3および R4のいずれ力 1つが—SO Hであり、残りの 2つが水素原子
3
である化合物で、好ましくは R3または R4カ SO Hである化合物。
3
[0049] (1-3)前記 R2が水素原子、 R3がー SO H、 R4が水素原子である化合物。
3
[0050] (1-4)前記 R1が NHSO Hであり、前記 、 R3および R4が水素原子である化合物。
3
(1-5)前記 R5が、置換基を有して!/、てもよ 、C アルキル基または置換基を有して ヽ
1 6
てもよい C ァリール基である化合物。
6~10
[0051] (I 6)前記 R5が置換基を有していてもよい C アルキル基である化合物。置換基とし
1
ては、水酸基または c アルコキシ基が好ましい。
[0052] (1-7)前記 R5力メチル基、ェチル基、プロピル基、 2 (R)—3—ジヒドロキシープロピル 基、または 2 (S)— 3—ジヒドロキシープロピル基である化合物。
[0053] (I 8)前記 R5が置換基を有していてもよい C ァリール基である化合物。好ましい置
6~10
換基としては、ニトロ基、アミノ基、 C アルキルアミノ基、硫酸アミノ基、またはァシル
ァミノ基が挙げられる。
[0054] (1-9)前記 R5が置換基を有して 、てもよ 、フエニル基または置換基を有して 、てもよ
V、ナフチル基である化合物。
[0055] (1-10)前記 R5が下記一般式 (VI)で表される基である化合物。
[0056] 式 (VI)中、 R6、 R7はそれぞれ独立に、水素原子、 -NOまたは NHR8を示し、 R°
2
は、水素原子、 C アルキル基、 -SO Hまたは C ( = 0)— R9を示し、 R9は、置換基
Γ6 3
を有していてもよい C アルキル基、置換基を有していてもよい C ァルケ-ル基、置
Γ6 2~6
換基を有していてもよい C アルキ-ル基、または置換基を有していてもよい C ァリ
2~6 6~10 一ル基を示す。このうち、 R8は、—SO Hまたは C ( = 0)— R9がさらに好ましい。 R9は
3
、置換基を有していてもよい C アルキル基がさらに好ましい。
Γ6
[0057] (1-11)前記 、 R7がそれぞれ独立に、水素原子、 -NO 、 一 NHAcである化合物。
2
[0058] (I 12)前記 R6、 R7のいずれか一方が水素原子であり、他の一方が NOまたは N
2
HAcである化合物。
[0059] (I 13)前記 R6、 R7のいずれか一方が水素原子であり、他の一方がパラ位に NOま
2 たは NHAcを有する化合物。
[0060] (1-14)前記 R5が 1 ナフチル基または 2 ナフチル基である化合物。
[0061] (I 15)— R1と— OR3とがダルコ配置、ガラタト配置またはマンノ配置のいずれ力 1つの 配置である化合物。
[0062] (I 16)— R1と OR3とが好ましくはダルコ配置またはガラタト配置であり、さらに好まし くはダルコ配置である化合物。
[0063] (I DR1がー NHAcまたは NHSO Hで、 R1と OR3とがダルコ配置またはガラク
3
ト配置で、前記 、 R3および R4のいずれか 1つが—SO Hであり残りの 2つが水素原
3
子である化合物。このうちより好ましくは R3または R4カ SO Hであり、さらに好ましく
3
は R3がー SO Hである。
(I 18)1^がー NHSO Hで、 R1と— OR3とがダルコ配置またはガラタト配置で、前記
3
R2、 R3および R4が Hである化合物。このうちより好ましくは R1と OR3とがダルコ配置 である。
[0064] 前記 R5に関しては、
(1-5)一 (1-10)、 (1-14)の順で好適な順位が上がる。
配置に関しては (1-16)がより好ましい。
[0065] 本発明のプリオン増殖抑制剤に含まれる、前記一般式 (Π)で表される糖鎖含有基 を有する高分子化合物(以下「ィ匕合物 II」ということがある)において、好適な高分子 化合物としては、たとえば下記の高分子化合物が挙げられる。
[0066] (Π— 1)前記 A力 炭素原子数が好ましくは 1一 6、さらに好ましくは 1一 3のアルキレン 基、前記 Bが単結合である高分子化合物。
[0067] (II-2)前記 Aがフエ-レン基、 Bがアミド結合、カルボン酸エステル結合またはスルホ ンアミド結合である高分子化合物。 Bは好ましくはアミド結合、より好ましくは NH— C
O (ポリマー)で表されるアミド結合である。 Bはパラ位に結合していることが好ましい
[0068] (Π— 3)前記ポリマー鎖が、下記一般式 (III)
(式 (III)中、
Υ
4はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい C アルキル基、置換基を有していてもよい C ァルケ-ル基、置換基を有していて
1-6 2-6
もよ 、c アルキ-ル基、置換基を有して 、てもよ 、c ァリール基、アミド基、カル
2-6 6-10
ボン酸エステル基またはスルホンアミド基を示し、 nは 1一 5000の整数を示し、好まし くは 10— 5000であり、 Zは構成成分が任意の割合で存在することを示す。)で表さ れる高分子化合物。
[0069] (Π— 4) Υ^ Υ2のうち、一方が水素原子または C アルキル基であり、他の一方が置
1-6
換基を有していてもよい C アルキル基、置換基を有していてもよい C ァルケ-ル
1-6 2-6
基、置換基を有していてもよい C アルキ-ル基、置換基を有していてもよい C ァリ
ール基、アミド基、カルボン酸エステル基またはスルホンアミド基である高分子化合物
[0070]
Υ
2のうち、一方が水素原子であり、他の一方が置換基を有していてもよい C アルキル基、置換基を有していてもよい C ァルケ-ル基、置換基を有していて
1-6 2-6
もよ 、c アルキ-ル基、置換基を有して 、てもよ 、 基、アミド基、カル
2-6 c ァリール
6-10
ボン酸エステル基またはスルホンアミド基である高分子化合物。
[0071]
Υ
2のうち、一方が水素原子であり、他の一方がアミド基、カルボン酸エス テル基またはスルホンアミド基である高分子化合物。
[0072]
Υ
2のうち、一方が水素原子であり、他の一方がアミド基である高分子化合 物。
[0073] 前記アミド基のうちでは、末端にアミノ基を有する基が好ましぐたとえば、 NH C
0- 、 NH CO— Z—などが挙げられ、このうちでは NH— CO—が好ましい。
2 2
[0074] (II- -8)Y3、 Υ4は、好ましくは水素原子であることが望ましい。
(II- -9)糖鎖含有基に関しては、前記 R1がー NHAcまたは ΟΗである化合物。
[0075] (II- - 10)前記 R2、 R3および R4のうちの少なくとも 1つが—SO Hである化合物。
3
[0076] (II- -11)前記 R2が水素原子、 R3が水素原子、 R4カ SO Hである化合物。
3
[0077] (II- -12)前記 R2が水素原子、 R3が- SO H、 R4が水素原子である化合物。
3
[0078] (II- -13)前記 R2カ SO H、 R3が水素原子、 R4が水素原子である化合物。
3
[0079] (II- -14) R1と—OR3とがダルコ配置、ガラクト配置またはマンノ配置のいずれ力 1つ の配置である化合物。
[0080] (Π— 15)1^がー NHAcまたは NHSO Hであり、 R1と OR3とがダルコ配置である 化合物。
[0081] (Π— 16) がー OHであり、 R1と OR3とがガラタト配置である化合物。
[0082] (Π— 17) R1がー NHAcであり、 R1と OR3とがダルコ配置の場合、より好ましくは R2、
ずれか一つが SO Hでありかつ残りが水素原子である。
3
[0083] (Π— 18) がー OHであり、 R1と OR3とがガラタト配置の場合、より好ましくは が— SO Hであり、さらに好ましくは R4がー SO Hでありかつ R2、 R3が水素原子である。
[0084] (Π— lWR1がー NHSO Hであり、 R1と— OR3とがダルコ配置の場合、より好ましくは R
いずれか一つが SO Hでありかつ残りが水素原子である。
3
[0085] (Π— 20)1^がー NHSO Hであり、 R1と— OR3とがダルコ配置の場合、より好ましくは R
3
R4が水素原子である。
[0086] (Π— 2DR1がー NHSO Hであり、 R1と— OR3とがガラタト配置の場合、好ましくは R2、
しくは R4が- SO Hでありかつ残りが水素原子である。
3
[0087] このような高分子化合物である化合物 IIは、化合物 Iと比較してプリオン増殖抑制効 果が著しく向上する。
[0088] 以下、一般式 (I)または (Π)で表される具体的な化合物について、下記に挙げるこ とができる力 本発明は、以下に列記されたィ匕合物に限定されるものではない。
[0089] 前記一般式 (I)で表される化合物が、下記 1一 10で示される化合物。
1: R1 =-NHAc, R2=R4=H、 R3 = SO H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pNH
3 6 4 2 6 4
Acであり、 R1と OR3とがダルコ配置 (一 R1と— OR3とがエタアトリアル配置)である化 合物
[0090] 2 :R1=-NHSO H、 R2=R3 = H、 R4 = SO H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— p
3 3 6 4 2 6 4
NHAcであり、 R1と OR3とがダルコ配置 (一 R1と— OR3とがエタアトリアル配置)であ る化合物
[0091] 3 :Ri=— NHSO H、 R2=R4 = H、 R3 = SO H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— p
3 3 6 4 2 6 4
NHAcであり、 R1と OR3とがダルコ配置 (一 R1と— OR3とがエタアトリアル配置)であ る化合物
[0092] 4 :R1 =-NHAc, R2=R3 = H、 R4=SO H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pNH
3 6 4 2 6 4
Acであり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がアキシャ ル配置)である化合物
[0093] 5 :1^=— NHAc、 R2=R4=H、 R3 = SO H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pNH
3 6 4 2 6 4
Acであり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がアキシャ ル配置)である化合物
[0094] 6 :Ri=— NHAc、 R2 = SO H、 R3=R4 = H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pNH
3 6 4 2 6 4
Acであり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がアキシャ ル配置)である化合物
[0095] 7 :R1 =— NHAc、 R2=R3 = H、 R4= SO H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pNH
3 6 4 2 6 4
Acであり、 R1と OR3とがマンノ配置 (一 R1がアキシャル配置、—OR3がエタアトリアル 配置)である化合物
[0096] 8 :Ri=— NHAc、 R3 = SO H、 R2=R4 = H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pNH
3 6 4 2 6 4
Acであり、 R1と OR3とがマンノ配置 (一 R1がアキシャル配置、—OR3がエタアトリアル 配置)である化合物
[0097] 9 :Ri=— NHAc、 R2 = SO H、 R3=R4 = H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pNH
3 6 4 2 6 4
Acであり、 R1と OR3とがマンノ配置 (一 R1がアキシャル配置、—OR3がエタアトリアル 配置)である化合物
[0098] lO rR^-NHSO H、 R2=R3=R4=H、 R5=— C H— pNOまたは— C H— pNHAc
3 6 4 2 6 4 であり、 R
1と— OR
3とダルコ配置 (一 R
1と— OR
3とがエタアトリアル配置)である化合物 [0099] —
R
5が下記 1'一 12'であり、 A— B —にお 、て Aが炭素原子数 1一 6のアルキレン基、フエ-レン基またはエチレンォキシ 基((C H O) ) (mは 1一 10の整数)であり、 Bが単結合、アミド結合、カルボン酸エス
2 4 m
テル結合またはスルホンアミド結合である、糖鎖含有基がポリマー鎖に結合した高分 子化合物。
[0100] 1': R1 =— NHAcゝ R2=R3 = Hゝ R4= SO H、— A— B— =— C H— pNH— CO— (ポリマ
3 6 4
一)であり、 R1と— OR3とがダルコ配置 (一 R1と OR3とがエタアトリアル配置)である。
[0101] 2': R1 =— NHAcゝ R2=R4=H、 R3 = SO H、— A— B— =— C H— pNH— CO— (ポリマ
3 6 4
一)であり、 R1と— OR3とがダルコ配置 (一 R1と OR3とがエタアトリアル配置)である。
[0102] 3': R1 =— NHAcゝ R3=R4=H、 R2 = SO H、— A— B— =— C H— pNH— CO— (ポリマ
3 6 4
一)であり、 R1と— OR3とがダルコ配置 (一 R1と OR3とがエタアトリアル配置)である。 4': R1 =-NHSO H、 R2=R3 = H、 R4= SO H、— A— B—=— C H— pNH—CO—(ポ
3 3 6 4
リマー)であり、 R1と OR3とがダルコ配置 (一 R1と OR3とがエタアトリアル配置)であ る。
[0103] 5': R1 =— NHSO H、 R2=R4 = H、 R3 = SO H、— A— B— =— C H— pNH— CO— (ポ
3 3 6 4
リマー)であり、 R1と OR3とがダルコ配置 (一 R1と OR3とがエタアトリアル配置)であ る。
[0104] 6': R1 =— NHAcゝ R2=R3 = H、 R4=SO H、— A— B— =— C H— pNH— CO— (ポリマ
3 6 4
一)であり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がアキシャ ル配置)である。
[0105] 7': R1 =— NHAcゝ R2=R4=H、 R3 = SO H、— A— B— =— C H— pNH— CO— (ポリマ
3 6 4
一)であり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がアキシャ ル配置)である。
[0106] 8': R1 =— NHAcゝ R2 = SO H、 R3=R4 = H、— A— B— =— C H— pNH— CO— (ポリマ
3 6 4
一)であり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がアキシャ ル配置)である。
[0107] 9': R1 =— NHAcゝ R2=R3 = H、 R4=SO H、— A— B— =— C H— pNH— CO— (ポリマ
3 6 4
一)であり、 R1と— OR3とがマンノ配置 (一 R1がアキシャル配置、 OR3がエタアトリア ル配置)である。
[0108] 10' :!^=— NHAc、 R3 = SO H、 R2=R4 = H、— A— B— =— C H— pNH— CO— (ポリ
3 6 4
マー)であり、 R1と OR3とがマンノ配置 (一 R1がアキシャル配置、 OR3がェクァトリ アル配置)である。
[0109] 11' :!^=— NHAc、 R2 = SO H、 R3=R4 = H、— A— B— =— C H— pNH— CO— (ポリ
3 6 4
マー)であり、 R1と OR3とがマンノ配置 (一 R1がアキシャル配置、 OR3がェクァトリ アル配置)である。
[0110] 12' :R1=-OH, R2=R3 = H、 R4 = SO H、— A— B— =— C H— pNH— CO— (ポリマ
3 6 4
一)であり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がアキシャ ル配置)である化合物
[0111] 13' :!^=— NHAc、 R2=R3 = H、 R4=SO H、— A— B— =— C H— pNH— CO— (ポリ
3 6 4
マー)であり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がアキシ ャル配置)である化合物
[0112] 14' :R1=-NHAc, R2 = H、 R3=R4=SO H、— A— B— =— C H— pNH— CO— (ポリ
マー)であり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がアキシ ャル配置)である化合物
[0113] 15' :!^=— NHSO H
3 、 R2=R4=H、 R3 = SO H
3 、— A— B— =— C H— pNH— CO— (
6 4
ポリマー)であり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がァ キシャル配置)である化合物
[0114] 16' :!^=— NHSO H、 R2=R3 = Hゝ R4=SO H
3 、— A— B—=— C H— pNH— CO—(
3 6 4
ポリマー)であり、 R1と OR3とがガラタト配置 (一 R1がエタアトリアル配置、 OR3がァ キシャル配置)である化合物
[0115] これらのうち、 1 '一 4'、 12'が好ましい。
[0116] P21— P212 :—般式 (Π)において、上記 1'一 12'の化合物にそれぞれ対応する糖鎖 部分を有し、 -A-B-= -C H -pNH-CO— (ポリマー)である糖鎖含有基力 下記
6 4
式で表されるポリマー鎖 (in)に結合した高分子化合物。
[0117] 好ましくは、 Y1 Y2のうち一方が水素原子であり、他の一方がアミド基であり、 Y3, Y' が水素原子である。アミド基は、前記好ましい態様と同様である。 nは 1一 5000の整 数を示し、糖鎖含有基を 0. 1— 100%の割合で含有する。
[0118] P31 :下記式 (IV)で表される高分子化合物。
式 (IV)中、 R2、 R3および R4は、いずれか一つが SO Hであり、残りが水素原子で
3
あり、 nは 1一 5000の整数であり、糖鎖含有基を 0. 1— 100%の割合で含有する。
[0119] P32 :下記式 (V)で表される高分子化合物。
(V)
式 (V)中、 nは 1一 5000の整数であり、糖鎖含有基を 0. 1— 100%の割合で含有 する。
[0120] 上記の化合物のうちでは、好ましくは化合物 1、 Ρ'ΐ, Ρ^、 Ρ^、 1!^、 Ρ21、 Ρ22、 Ρ23、 Ρ212、 Ρ31、 Ρ32であり、さらに好ましくは化合物 1、 PJ2, P 、 P31 (うち R3がー S O H)である。
3
[0121] 本発明の化合物は、細胞に対して特に低襲性 (低細胞毒性)であり、プリオンの増 殖を効果的に阻害できる。特に、高分子化合物は、プリオン増殖抑制効果が著しく 向上する。
図面の簡単な説明
[0122] 圆 1]持続的投与による産生抑制効果を示す写真である。
発明を実施するための最良の形態
[0123] 本発明のプリオン増殖抑制剤は、以下の方法に従い容易に製造することができる。
なお、下記製造方法の例において、
Zは、前 記に記載の通りである。
2) TBAF(U^>リル系保護基) NaOMe/ MeOH (U=ァシル系保護基)
[0127] スキーム D
[0128] スキ _ーム E
(23a)
キーム G
(1)化合物(2a)の合成
N—ァセチルダルコサミン塩酸塩(la ; 2位のアミノ基と 4位の水酸基は、ともにエタ アトリアル配置のダルコ型の場合のほ力、 N—ァセチルガラタトサミン塩酸塩; 2位のァ ミノ基がエタアトリアル配置、 4位の水酸基はアキシャル配置のガラタト型の場合や N ァセチルマンノサミン塩酸塩; 2位のアミノ基がアキシャル配置、 4位の水酸基はエタ アトリアル配置のガラクト型の場合でもよ 、) (V、ずれも市販品を用レ、ることができる)を 、溶媒中、 l) NaOMe/MeOH、 NaOH, KOH、トリエチノレアミン、ジイソプロピルェチル ァミン、ピリジンなどで中和し、 2)トリフルォロ酢酸ェチルエステル (TFAE)またはトリ フルォロ酢酸無水物(TFAA)などの TF Aィ匕試薬と反応させる。
溶媒は、メタノール、エタノール、 DMF、ピリジンなどが挙げられる。反応 1)、 2)は
、 1つの容器で連続して行ってもよぐ独立して実施してもよい。
反応は、通常、約 10— 30°C、好ましくは約 22°C (室温)にて、約 10分一約 2日間か けて実施できる。
[0132] (2)化合物(3a)の合成
次に、 1位の水酸基のハロゲン置換および他の水酸基の保護を行う。
たとえば、トリフルォロ酢酸基 (TFA)でアミノ基を保護した化合物(2a)を塩化ァセ チルなどのハロゲンィ匕ァセチルイ匕合物と反応させ、化合物(3a)を合成することがで きる。
また、化合物(2a)をピリジン中、無水酢酸と反応させ、その後、臭化水素 酢酸 (H Br-AcOH)などと反応させて、化合物(3a)のブロム体を得ることができる。
反応は、約 20°C—室温で、好ましくは、約—20— 10°Cにて、約 10分一約 2日間 かけて実施できる。
[0133] (3)化合物 (4a)の合成
化合物(3a)を有機溶媒および水溶液の 2相系で、相関移動触媒の存在下に、 R5 - O— Qと反応させることにより、化合物 (4a)を得ることができる。 R5は式 (I)中のそれと 同義であり、 Qは、水素原子、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどであり、好ましくは 水素原子である。
有機溶媒としては、塩化メチレン、 THF、ジェチルエーテルなどが挙げられる。水 溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸ィ匕カリウムの水溶液が挙げられる。相関移動触 媒としては、テトラプチルアンミニゥムブロミドなどが挙げられる。
反応は、通常、約 0— 30°Cにて、約 10分一約 2日間かけて実施できる。
[0134] (4)化合物(5a)の合成
化合物(4a)を、 NaOMe/MeOH、 KOMe/MeOHなどで処理して、水酸基の保護基 を脱保護した化合物(5a)を得ることができる。
反応は、好ましくは 10°C— 30°C、さらに好ましくは 0°C— 4°Cで、 1分一 5時間で 実施できる。反応温度が 0°C— 4°Cの温度の場合、 30分一 100分程度である。
[0135] (5)化合物(6a)の合成
さらに、 0.1M— 0.5M NaOH水溶液で処理し、 TFAを脱保護した化合物(6a)を得
ることができる。水酸ィ匕カリウムや水酸化リチウムを使用してもよい。
反応は、好ましくは 10°C— 30°C、さらに好ましくは 0°C— 4°Cで、 1分一 5時間で 実施できる。反応温度が 0°C— 4°Cの温度の場合、 30分一 100分程度である。
[0136] (6)化合物(7a)の合成
化合物(6a)に、溶媒中、硫酸化試薬を反応させて化合物(7a)を得ることができる 。硫酸ィ匕試薬としては、三酸ィ匕硫黄トリメチルァミン複合体、三酸ィ匕硫黄ジメチルホル ムアミド複合体、三酸ィ匕硫黄ピリジン複合体などが挙げられる。溶媒としては、たとえ ば、ジメチルホルムアミド(DMF)、 THF (テトラヒドロフラン)、 DMSO (ジメチルスル ホキシド)、ピリジンなどが挙げられ、好ましくはジメチルホルムアミド、ピリジンを用い る。必要に応じて、トリェチルァミンのような塩基をカ卩えてよい。
反応は、通常、約 10°C—約 60°C、好ましくは約 30— 50°Cにて、約 1時間一約 10 時間、好ましくは約 1一 3時間にわたり実施する。
[0137] 〈スキーム B〉
スキーム Bは、化合物(5a)の 3位、 4位または 6位、および 2位の N硫酸化を行うェ 程である。工程 Bでは、化合物(5a)のうち、 R5がパラ-トロフエ-ル基である場合の例 を示す。
工程 B1は、化合物(5a')の糖鎖の 6位を硫酸ィ匕し、さら〖こ、 2位の N硫酸ィ匕を行うェ 程である。
工程 B2は、化合物(11a)を経由して、化合物(5a')の糖鎖の 3位または 4位を硫酸 化し、さらに、 2位の N硫酸ィ匕を行う工程である。
[0138] (1)化合物(8a)の合成(工程 B1)
化合物 (8a)は、適当な溶媒中、化合物(5a')に過剰の硫酸ィ匕試薬を反応させて得 ることができる。過剰とは、糖原料に対して 1モル当量一 20モル当量で、好ましくは、 1. 2モル当量一 9モル当量である。
[0139] 硫酸ィ匕試薬としては、たとえば、三酸ィ匕硫黄トリメチルァミン複合体、(三酸化硫黄 ジメチルホルムアミド複合体,三酸ィ匕硫黄ピリジン複合体)などが挙げられる。溶媒と しては、たとえば、ジメチルホルムアミド(DMF)、 THF (テトラヒドロフラン)、 DMSO ( ジメチルスルホキシド)などが挙げられ、好ましくはジメチルホルムアミド、(ピリジン)を
用いる。必要に応じて、トリェチルァミンのような塩基をカ卩えても良い。
反応は、通常、約 10°C—約 60°C、好ましくは約 30— 50°Cにて、約 1時間一約 10 時間、好ましくは約 1一 3時間にわたり実施できる。
[0140] (2)化合物(9a)の合成
前記スキーム Aにおける、化合物(5a)から化合物(6a)を製造する方法と同様の方 法により実施することができる。
[0141] (3)化合物(10a)の合成
前記スキーム Aにおける、化合物(6a)から化合物(7a)を製造する方法と同様の方 法により実施することができる。
[0142] (4)化合物(11a)の合成(工程 B2)
化合物(11a)は、適当な溶媒中、塩基の存在下、化合物 (5a')に保護試薬 UXを反 応させて得ることができる。 Uは保護基、 Xは脱離基である。
ここで、 Uは、シリル系の保護基または、ァシル系の保護基であり、いずれも糖の 6 位を選択的に保護する。シリル系の保護基には、 tert -プチルジメチルシリル基、 tert- ブチルジフエニルシリル基などがあげられる。ァシル系の保護基には、ビバロイル基、 ベンゾィル基などがあげられる。
[0143] tert-ブチルジメチルシリル基、 tert-ブチルジフエ-ルシリル基を糖の 6位に導入す るには、対応する tert-ブチルジメチルシリルクロリド、 tert-ブチルジメチルシリルトリメ チルスルフォネート、 tert-ブチルジフエ-ルシリルクロリド、 tert-ブチルジフエ-ルシリ ルトリメチルスルフォネートを、ピリジン、ジメチルァミノピリジン、トリエチルァミン、ジィ ソプロピルァミンなどの存在下、好ましくは 0°C— 50°Cで、 10分一 24時間反応させる
[0144] 一方、ビバロイル基、ベンゾィル基を糖の 6位に導入するには、塩ィ匕ピバロィル、塩 化ベンゾィルとピリジン、ジメチルァミノピリジン、トリエチルァミン、ジイソプロピルアミ ンなどの存在下、好ましくは 0°C— 50°Cで、 10分一 24時間反応させる。
[0145] (5)化合物(12a)、(14a)の合成
化合物(11a)を、適当な溶媒中、過剰の硫酸ィ匕試薬を反応させて、 3位または 4位 の水酸基を硫酸化し、さらに、 6位の保護基を脱保護する。過剰とは、糖原料に対し
て 1モル当量一 20モル当量で、好ましくは、 1. 2モル当量一 9モル当量である。
[0146] 硫酸ィ匕試薬としては、たとえば、三酸ィ匕硫黄トリメチルァミン複合体、(三酸化硫黄 ジメチルホルムアミド複合体,三酸ィ匕硫黄ピリジン複合体)などが挙げられる。溶媒と しては、たとえば、ジメチルホルムアミド(DMF)、 THF (テトラヒドロフラン)、 DMSO ( ジメチルスルホキシド)などが挙げられ、好ましくはジメチルホルムアミド、ピリジンを用 いる。必要に応じて、トリェチルァミンのような塩基をカ卩えても良い。
硫酸化反応は、通常、約 10°C—約 60°C、好ましくは約 30— 50°Cにて、約 1時間一 約 10時間、好ましくは約 1一 3時間にわたり実施できる。
[0147] 3位または 4位が硫酸ィ匕されたィ匕合物の選択性は、おおむね 3位: 4位 = 1: 1-3 :
1であり、両者は、順相系のカラムクロマトグラフィーで精製することができる。通常、 充填剤にシリカゲルを、溶離液にクロ口ホルム一メタノール混液を使用する力 次の 工程において、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒:水)で分離 '精製 しても良い。
[0148] つぎに、各成分を分離後、保護基 Uがシリル系の場合には、脱離試薬としてテトラ ブチルアンモ -ゥムフルオライド (TBAF)などで処理して、( 12a)もしくは(14a)を得 ることがでさる。
保護基 Uがァシル系の場合には、 NaOMe/MeOH、 KOMe/MeOHなどで処理し、 ( 12a)もしくは(14a)をそれぞれ得ることができる。
(11a)の硫酸化、つづく保護基 Uの脱保護を行い、(12a)および(14a)とした後に 、各成文を分離精製してもよい。この場合には、逆送系の充填剤 (C 18など)を用い 、溶離液には、水、水一メタノールを使用することが好ましい。
[0149] (6)化合物(13a)、(15a)の合成
スキーム Aにおける(5)化合物(6a)の合成、 (6)化合物(7a)の合成で示した方法 と同様の方法を用いて、化合物(12a)、化合物(14a)から、化合物(13a)、化合物( 15a)を得ることができる。
[0150] 〈スキーム C〉
(1)化合物(16a)の合成
スキーム Cは、化合物(6a)のァミノ基をァセチル化する方法を示す。
化合物(16a)は、化合物(6a)を溶媒中、ァセチル化剤と反応させて得ることができ る。
ァセチル化剤としては、無水酢酸などを用いることができる。溶媒としては、メタノー ルなどを用いることができる。
また、トリェチルァミン、炭酸カリウム等の塩基の存在下に、上記反応を行ってもよい 反応は、通常、約 0— 30°Cにて、約 10分一約 24時間かけて実施できる。 なお、(16a)のうち、 pNP N—ァセチルダルコサミン、 pNP N—ァセチルガラタトサ ミン、 pNP N—ァセチルマンノサミンは、市販品を使用してもよい。
[0151] くスキーム D〉
スキーム Dは、 R5がフエ-レン基 (特に、パラ-トロフエ-ル基)を有する場合におけ る、誘導体上の水酸基またはァミノ基の硫酸ィ匕の方法を示すものである。
[0152] 工程 D1
工程 D1は、化合物(17a)の糖鎖の 6位を硫酸ィ匕して、化合物(18a)を製造する方 法を示すものである。化合物(18a)は、適当な溶媒中、化合物(17a)に過剰の硫酸 化試薬を反応させて得ることができる。過剰とは、糖原料に対して 1モル当量一 20モ ル当量で、好ましくは、 1. 2モル当量一 9モル当量である。
[0153] 硫酸ィ匕試薬としては、たとえば、三酸ィ匕硫黄トリメチルァミン複合体、(三酸化硫黄 ジメチルホルムアミド複合体,三酸ィ匕硫黄ピリジン複合体)などが挙げられる。溶媒と しては、たとえば、ジメチルホルムアミド(DMF)、 THF (テトラヒドロフラン)、 DMSO ( ジメチルスルホキシド)などが挙げられ、好ましくはジメチルホルムアミド、(ピリジン)を 用いる。必要に応じて、トリェチルァミンのような塩基をカ卩えても良い。
反応は、通常、約 10°C—約 60°C、好ましくは約 30— 50°Cにて、約 1時間一約 10 時間、好ましくは約 1一 3時間にわたり実施できる。
ダルコ配置、ガラタト配置またはマンノ配置の化合物(17a)は、市販品を用いること ちでさる。
[0154] 工程 D2
工程 2は、化合物(19a)を経由して、化合物(17a)の糖鎖の 3位または 4位を硫酸
化し、それぞれ、化合物(20a)または化合物(21a)を製造する方法を示すものであ る。
[0155] (1)化合物(19a)は、化合物(17a)の糖鎖の 6位の水酸基に保護基を導入する工程 である。化合物(19a)は、適当な溶媒中、塩基の存在下、化合物(17a)に保護試薬 UXを反応させて得ることができる。 Uは保護基、 Xは脱離基である。
ここで、 Uは、シリル系の保護基または、ァシル系の保護基であり、いずれも糖の 6 位を選択的に保護する。シリル系の保護基には、 tert -プチルジメチルシリル基、 tert- ブチルジフエニルシリル基などがあげられる。ァシル系の保護基には、ビバロイル基、 ベンゾィル基などがあげられる。
[0156] tert-ブチルジメチルシリル基、 tert-ブチルジフヱ-ルシリル基を糖の 6位に導入す るには、対応する tert-ブチルジメチルシリルクロリド、 tert-ブチルジメチルシリルトリメ チルスルフォネート、 tert-ブチルジフエ-ルシリルクロリド、 tert-ブチルジフエ-ルシリ ルトリメチルスルフォネートを、ピリジン、ジメチルァミノピリジン、トリエチルァミン、ジィ ソプロピルァミンなどの存在下、好ましくは 0°C— 50°Cで、 10分一 24時間反応させる
[0157] 一方、ビバロイル基、ベンゾィル基を糖の 6位に導入するには、塩ィ匕ピバロィル、塩 化ベンゾィルとピリジン、ジメチルァミノピリジン、トリエチルァミン、ジイソプロピルアミ ンなどの存在下、好ましくは 0°C— 50°Cで、 10分一 24時間反応させる。
[0158] (2)得られたィ匕合物(19a)を、工程 D1と同様の方法により水酸基の硫酸ィ匕を行い、 3位または 4位が硫酸化されたィ匕合物を得ることができる。さらに、保護基 Uを脱離さ せるため、脱離試薬を、適当な溶媒中で反応させることにより、化合物(20a)、 (21a) を得ることができる。
化合物(19a)を、適当な溶媒中、過剰の硫酸ィ匕試薬を反応させて、 3位または 4位 の水酸基を硫酸化し、さらに、 6位の保護基を脱保護する。
[0159] 硫酸ィ匕試薬としては、たとえば、三酸ィ匕硫黄トリメチルァミン複合体、(三酸化硫黄 ジメチルホルムアミド複合体,三酸ィ匕硫黄ピリジン複合体)などが挙げられる。溶媒と しては、たとえば、ジメチルホルムアミド(DMF)、 THF (テトラヒドロフラン)、 DMSO ( ジメチルスルホキシド)などが挙げられ、好ましくはジメチルホルムアミド、(ピリジン)を
用いる。必要に応じて、トリェチルァミンのような塩基をカ卩えても良い。
硫酸化反応は、通常、約 10°C—約 60°C、好ましくは約 30— 50°Cにて、約 1時間一 約 10時間、好ましくは約 1一 3時間にわたり実施できる。
[0160] 3位または 4位が硫酸ィ匕されたィ匕合物の選択性は、おおむね 3位: 4位 = 1: 1-3 :
1であり、両者は、順相系のカラムクロマトグラフィーで精製することができる。通常、 充填剤にシリカゲルを、溶離液にクロ口ホルム一メタノール混液を使用する力 次の 工程において、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒:水)で分離 '精製 しても良い。
[0161] つぎに、各成分を分離後、保護基 Uがシリル系の場合には、脱離試薬としてテトラ ブチルアンモ -ゥムフルオライド (TBAF)などで処理して、(20a)もしくは(21a)を得 ることがでさる。
保護基 Uがァシル系の場合には、 NaOMe/MeOH、 NaOH水溶液や LiOH水溶液な どで処理し、(20a)もしくは(21a)をそれぞれ得ることができる。
[0162] (19a)の硫酸化、つづく保護基 Uの脱保護を行い、(20a)および(21a)とした後に 、各成文を分離精製してもよい。この場合には、逆送系の充填剤 (C 18など)を用い 、溶離液には、水、水一メタノールを使用することが好ましい。
[0163] くスキーム E〉
スキーム Eは、ベンゼン環に結合する-トロ基を、他の官能基に変換する方法を示 すものである。
[0164] 工程 E1
工程 E1は、化合物(18a)の-トロ基を N—ァシルイ匕して、化合物(22a)を製造する 方法を示すものである。
[0165] (1)まず、適当な溶媒中、触媒の存在下、化合物(18a)のニトロ基を水素で還元して ァミノ基に変換する。
(2)さらに、適当な溶媒中、適当な塩基の存在下、ハロゲンィ匕ァシルと反応させて、 化合物(22a)を製造することができる。
[0166] (1)の水素還元工程において、触媒としては、ノ ラジウム等の触媒が挙げられる。
ノ ラジウム触媒としては、たとえば、水酸化パラジウム、パラジウム Zカーボン、パラジ
ゥムブラックなどが挙げられる。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、エーテル、 酢酸ェチルなどが挙げられる。触媒の使用量は、化合物(18a)に対して 1一 50質量 %程度の範囲にあればよい。反応は、水素雰囲気が 1一 100気圧程度の範囲で、通 常、約 10— 30°C、好ましくは約 22°C (室温)にて、約 10分一約 2日間かけて実施で きる。
[0167] (2)のァシル化工程において、ァシル化剤 XCOR9のうち、 Xはハロゲン原子を示し 、たとえば、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。 R9は式 (IV)中の R9と同様であり、 置換基を有していてもよい C アルキル基、置換基を有していてもよい C ァルケ-
Γ6 2~6 ル基、置換基を有して 、てもよ 、C アルキニル基、または置換基を有して 、てもよ いじ ァリール基を示す。ァシル化工程においては、酸無水物を用いることもでき、
6~10
たとえば、ァセチル基を導入する場合は、無水酢酸のような酸無水物を用いることが 好ましい。
[0168] 塩基としては、たとえば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、トリェチ ルァミン、ジイソプロピルァミン、ピリジン、ジメチルァミノピリジンのような有機系塩基 などが挙げられる。これらの塩基系有機塩基を混ぜ合わせても良い。溶媒としては、 たとえば、無機系塩基を使用するときには、水、メタノール、エタノールが好ましぐま た、有機系塩基の場合には、エーテル、塩化メチレン、 THFなどが挙げられる。塩基 としてのピリジンを溶媒に使用しても良い。反応は、通常、約—50— 80°Cにて、約 10 分一約 2日間かけて実施できる。
[0169] 工程 E2
工程 E2は、化合物(18a)の-トロ基を N—硫酸ィ匕して、化合物(23a)を製造する方 法を示すものである。
[0170] (1)まず、工程 E1の(1)と同様にして、化合物(18a)の-トロ基を水素で還元して ァミノ基に変換する。
(2)さらに、適当な溶媒中、硫酸化試薬と反応させて、化合物 (23a)を製造すること ができる。
[0171] (2)の硫酸ィ匕は、ニトロ基がアミノ基に変換されたィ匕合物を、適当な溶媒中、 0. 8— 1. 5当量の硫酸ィ匕試薬と反応させて実施することができる。
[0172] 硫酸ィ匕試薬としては、たとえば、三酸ィ匕硫黄トリメチルァミン複合体、(三酸化硫黄 ジメチルホルムアミド複合体,三酸ィ匕硫黄ピリジン複合体)などが挙げられる。溶媒と しては、たとえば、ジメチルホルムアミド(DMF)、 THF (テトラヒドロフラン)、 DMSO ( ジメチルスルホキシド)などが挙げられ、好ましくはジメチルホルムアミド、ピリジンを用 いる。必要に応じて、トリェチルァミンのような塩基をカ卩えても良い。
[0173] 反応は、通常、約 10°C—約 60°C、好ましくは約 30— 50°Cにて、約 1時間一約 10 時間、好ましくは約 1一 3時間にわたり実施できる。
[0174] 前記工程 1一 5に係る反応はダルコ配置、ガラタト配置およびマンノ配置のいずれ の配置の糖鎖含有基にも適用することができる。
[0175] 〈スキーム F (工程 Fl)〉
スキーム Fは、高分子化合物の製造方法を示す。
工程 F1は、化合物(24a)のァグリコン部分の末端に不飽和二重結合を有する化合 物と、重合可能モノマー ΗΥ^ = ΟΥ とを共重合させて化合物(25a)を製造するェ 程である。共重合反応は、公知の方法で行うことができ、適当な溶媒中、必要に応じ 重合開始剤の存在下、化合物(24a)と重合可能モノマーを反応させる。
[0176] 重合可能モノマーとしては具体的には、たとえば、(メタ)アクリルアミドなどのアミド 類;(メタ)アクリル酸などのカルボン酸、(メタ)アクリル酸のメチルエステルあるいはェ チルエステル類、酢酸ビュル、酢酸ァリルなど、カルボン酸またはそのエステル類;ビ ニルスルホン酸アミドなどのスルホンアミドなどが挙げられる。
[0177] 前記溶媒としては、化合物(24a)、モノマーが溶解するものであればよぐ限定され ない。たとえば THF、メタノール、 DMF、 DMSOなどを用いることができる。
[0178] 重合開始剤としては、たとえば 2, 2'—ァゾビス (イソブチ口-トリル)(AIBN)、1, 1, —ァゾビス(シクロへキサン— 1 カルボ-トリル)、 2, 2,ーァゾビス(2—メチルブチ口-ト リル)などを用いることができる。また、このようなァゾ化合物の他に、過酸化物、有機 金属化合物などを用いることもできる。
[0179] 上記 THF等の溶媒に溶解しないモノマーを用いる場合は、たとえば、超純水を溶 媒として用い、 N, N, Ν' , Ν,ーテトラメチルエチレンジァミン、 4, 4,ーァゾビスシァノ 吉草酸などの重合開始剤を用いて重合を行うことができる。
[0180] 重合は、原料の種類により異なり限定されないが、通常、たとえば、室温一 100°C 程度の温度範囲で、 1一 72時間程度の時間で実施することができる。
[0181] 〈スキーム G (工程 Gl)〉
スキーム Gは、スキーム Fの具体例を示すものである。
工程 G1では、まず、(1)化合物(18a)の-トロ基を、末端に不飽和結合を有する N ァシル基に変換して化合物(26a)を製造する。 (2)さらに、該化合物(26a)を適当 な重合可能モノマーと共重合させて高分子化合物(27a)を製造する方法を示すもの である。
[0182] (1)の N-ァシルイ匕は、適当な溶媒中、触媒の存在下、化合物(18a)のニトロ基を 水素で還元してァミノ基に変換し、さらに、適当な溶媒中、適当な塩基の存在下、末 端に不飽和基を有するハロゲンィ匕ァシルと反応させて、化合物(26a)を製造すること ができる。
[0183] 水素還元工程にお!、て、触媒としては、パラジウム等の触媒が挙げられる。ノ ジ ゥム触媒としては、たとえば、水酸化パラジウム、ノラジウム Zカーボン、ノラジウムブ ラックなどが挙げられる。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、エーテル、酢酸 ェチルなどが挙げられる。触媒の使用量は、化合物(18a)に対して 1一 50質量%程 度の範囲にあればよい。反応は、水素雰囲気が 1一 100気圧程度の範囲で、通常、 約 10— 30°C、好ましくは約 22°C (室温)にて、約 10分一約 2日間かけて実施できる。
[0184] 末端不飽和基含有のァシル化工程において、たとえばァシル化剤 XCOZCH = C Hを用いる場合、 Xはハロゲン原子を示し、たとえば、塩素原子、臭素原子等が挙げ
2
られる。 Zとしては、炭素原子数 1一 6のアルキレン基、フエ-レン基、エチレンォキシ 基((C H O) )などが挙げられる。ァシル化剤としては、たとえば、アクリル酸クロリド
2 4 η
などが挙げられる。ァシル化剤は、不飽和炭素にさらに、メチル基等の置換基を有す る、クロトニルクロリド、メタクリロイルクロリドなどであってもよい。
[0185] 塩基としては、たとえば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、トリェチ ルァミン、ジイソプロピルァミン、ピリジン、ジメチルァミノピリジンのような有機系塩基 などが挙げられる。これらの塩基系有機塩基を混ぜ合わせても良い。溶媒としては、 たとえば、無機系塩基を使用するときには、水、メタノール、エタノールが好ましぐま
た、有機系塩基の場合には、エーテル、塩化メチレン、 THFなどが挙げられる。メタノ ール、エタノールについては、トリェチルァミンなどと用いても良ぐ通常好ましく使用 される。塩基としてのピリジンを溶媒に使用しても良い。反応は、通常、約—50— 80 °Cにて、約 10分一約 2日間かけて実施できる。
[0186] (2)の共重合反応は、前記工程 F1と同様にして行うことができ、適当な溶媒中、必 要に応じ重合開始剤の存在下、化合物(26a)と重合可能モノマーを反応させて行う 。前記溶媒、重合開始剤、重合可能モノマーは前記工程 F1と同様のものを用いるこ とがでさる。
[0187] 重合は、原料の種類により異なり限定されないが、通常、たとえば、室温一 100°C 程度の温度範囲で、 1一 72時間程度の時間で実施することができる。
[0188] また、化合物(25a)は、主鎖上に官能基を有するポリマーと、該官能基と結合可能 な基を有する一般式 (I)で表される化合物に対応する糖含有化合物とを反応させて 製造することちできる。
[0189] 化合物 I、 IIにおいて、 R1がー OHである化合物についても、たとえば、市販の p- -ト 口フエニル -D-ガラクトピラノシドなどを原料として、上記と同様の方法を適用するこ とにより、水酸基の硫酸ィ匕等を行うことができる。
[0190] 以上が化合物 I、高分子化合物 II (「高分子化合物 II」を「ィ匕合物 II」 、うことがある )の製造方法の代表例であるが、本発明化合物の製造における原料化合物'各種試 薬は、塩や水和物あるいは溶媒和物を形成していてもよぐいずれも出発原料、使用 する溶媒等により異なり、また反応を阻害しない限りにおいて特に限定されない。用 いる溶媒についても、出発原料、試薬等により異なり、また反応を阻害せず出発物質 をある程度溶解するものであれば特に限定されない。本発明に係る化合物 I、 Πがフリ 一体として得られる場合、前記の化合物 I、 IIが形成していてもよい塩またはそれらの 水和物の状態に常法に従って変換することができる。
[0191] 本発明に係る化合物 I、 IIが化合物 I、 IIの塩または化合物 I、 IIの水和物として得ら れる場合、前記の化合物 I、 Πのフリー体に常法に従って変換することができる。
[0192] また、本発明に係る化合物 I、 IIにつ 、て得られる種々の異性体 (例えば幾何異性 体、不斉炭素に基づく光学異性体、回転異性体、立体異性体、互変異性体、等)は
、通常の分離手段、例えば再結晶、ジァステレオマー塩法、酵素分割法、種々のクロ マトグラフィー(例えば薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマト グラフィー、等)を用いることにより精製し、単離することができる。
[0193] 本発明のプリオン増殖抑制剤を、プリオン病の治療剤又は予防剤として使用する場 合、その投与方法は、経口的、非経口的 (静脈内的、筋肉内的、皮下的)、腹腔的、 局所的(点滴、散剤、軟膏、ゲルまたはクリーム)投与および吸入(口腔内または鼻ス プレー)などが挙げられる。その投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒 剤、散剤、丸剤、水性および非水性の経口用溶液および懸濁液、および個々の投与 量に小分けするのに適応した容器に充填した非経口用溶液が挙げられる。また投与 形態は、皮下移植のような調節された放出処方物を包含する種々の投与方法に適 応させることちでさる。
[0194] 前記製剤は、賦形剤、滑沢剤 (コーティング剤)、結合剤、崩壊剤、安定剤、矯味矯 臭剤、希釈剤などの添加剤を用いて周知の方法で製造される。
[0195] 例えば、賦形剤としては、デンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン等の デンプン、乳糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム等を挙げることができる。
[0196] コーティング剤としては、例えば、ェチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース
、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラック、タルク、カルナウパロウ、パラフィン等 を挙げることができる。
[0197] 結合剤としては、例えばポリビュルピロリドン、マクロゴール及び前記賦形剤と同様 の化合物を挙げることができる。
[0198] 崩壊剤としては、例えば前記賦形剤と同様の化合物及びクロスカルメロースナトリウ ム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビュルピロリドンのような化学修飾さ れたデンプン ·セルロース類を挙げることができる。
[0199] 安定剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラォキシ安息 香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フエ-ルエチルアルコール のようなアルコール類;塩化ベンザルコニゥム;フエノール、タレゾールのようなフエェ ノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及びソルビン酸を挙げることができる。
[0200] 矯味矯臭剤としては、例えば通常使用される、甘味料、酸味料、香料等を挙げるこ
とがでさる。
[0201] また、液剤を製造するための溶媒としては、エタノール、フエノール、クロ口クレゾ一 ル、精製水、蒸留水等を使用することができる。
[0202] 界面活性剤又は乳化剤としては、例えば、ポリソルベート 80、ステアリン酸ポリオキ シル 40、ラウロマクロゴール等を挙げることができる。
[0203] 化合物 I、 IIを、プリオン増殖抑制剤、あるいはプリオン病の治療剤若しくは予防剤と して使用する場合、化合物 I、 Π又はその医薬的に許容されうる塩の使用量は、症状 、年齢、体重、相対的健康状態、他の投薬の存在、投与方法等により異なる。例えば 、患者 (温血動物、特に人間)に対して、一般に有効な量は、有効成分 (化合物 I)とし て、経口剤の場合、一日にっき体重 lkg当たり好ましくは 0. 1— 1000mg、さらに好 ましくは体重 lkg当たり 1一 300mgであり、一日当たりの使用量は、普通の体重の成 人患者に対しては、好ましくは 10— 800mgの範囲にある。非経口剤の場合、一日に つき体重 lkg当たり好ましくは 0. 1— 1000mg、さらに好ましくは体重 lkg当たり 10 一 800mgである。これを 1日 1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが望 ましい。
[0204] また、化合物 I、 IIは、生理食塩水などに溶解して得られる脳内投与点滴液としても 用いることちでさる。
さらに、化合物 I、 IIを適当な生理食塩水に溶解させた水溶性液体は、前記脳内に 直接投与する点滴液の他、脳外科手術などで使用される乾燥硬膜のプリオンの洗浄 液として使用されうる。すなわち、従来、脳外科手術で除去された患者の硬膜は、ヒト 乾燥硬膜を移植して使用していたために、しばしば、プリオンで汚染されクロイツフエ ルトーヤコブ病を発症してきた。この硬膜は、熱処理に向力ないので、移植に準じた 方法で使用されてきたため、プリオンで汚染した乾燥硬膜を使用すると、クロイツフエ ルトーヤコブ病が発症することが知られて ヽる。本硫酸化糖含有水溶液で汚染された 硬膜を洗浄すれば、安全にプリオンを除外、もしくは、プリオンの形成を抑制できる。
[0205] またさらに、化合物 I、 IIは脳内埋め込み型の材料として用いることもできる。クロイツ フェルト ヤコブ病などの将来の発症を予防するために、脳外科手術の際、化合物 I、 II、特に、脳内に滞留しやすい高分子化合物である化合物 IIを脳内に注入、または
埋め込むことも可能である。脳腫瘍、脳梗塞、脳内出血などの手術の際に、予防的 に、該化合物 I、 II、特に化合物 IIを脳に添加して、該疾病を予防する対策にも利用 できる。
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書 に組み入れられる。
実施例
[0206] 以下本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定 されるものではない。
下記に化合物 Iに係る化合物の合成工程 (製造工程 1)および化合物 IIに係る高分 子化合物の合成工程 (製造工程 2)を示す。式中、 Yは- CONHを示す。
2
[0207] 製诰工程 1
(4)
〔製造例 1〕
D—ニトロフエニル 2 ァセトアミドー 2—デォキシー 6—スルホ— β D グルコビラノシド ナトリウム (化合物 2) (6SGN) )の合成
製造工程 Aに示すとおり、 p—-トロフエ-ル 2—ァセトアミドー 2—デォキシー β D— ダルコビラノシド(1) (1.0 g, 29.2 mmol) (アルドリッチ社製)を N, N—ジメチルホルム アミド (20 mL)に溶解し、 40°Cにおいて、三酸ィ匕硫黄トリメチルァミン複合体 (2.4 g, 17.5 mmol)の N, N—ジメチルホルムアミド(10 mL)溶液を 30分かけて滴下し、 40°C で 2時間磁気攪拌した。次いで、得られた反応混合物にメタノール (20 mL)を加え、 1 昼夜攪拌した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残查を、逆相シリカゲルカラム クロマトグラフィー (展開溶媒:水)で分離 ·精製した。得られたシロップをイオン交換榭 脂 (Dowex Na+)で処理し、ろ過後凍結乾燥することで目的とする化合物(2) (657 mg, 51 %)を得た。
[0210] 1H-NMR (300MHz, D 0, tert— BuOH=1.23 ppm) δ 8.136 (bd, 8.3 Hz, aromatics),
7.119 (bd, 8.3 Hz, aromatics), 5.289(d, 8.4 Hz, H— 1), 4.409 (dd, 2.1 Hz and 11.4 Hz, H-6), 4.253 (dd, 5.7 Hz and 11.4 Hz, H- 6'), 4.057 (dd, 8.4 Hz and 10.2 Hz, H-2), 3.943 (m, H— 5), 3.725 (dd, 9.0 Hz and 10.2 Hz, H— 3), 3.624 (dd, 9.0 Hz and 9.6 Hz, H-4), 2.036 (s, Ac). 13C- NMR (75MHz, D O, tert— BuOH=31.3 ppm) δ
2
176.9(C=0), 163.5, 144.4, 127.9, 118.3, 100.4 (C— 1), 75.9, 75.0, 71.2, 68.7, 56.9, 23.8.元素分析:計算値 (C H N NaO S) C, 37.84; H, 3.86; N, 6.30,実験値 C,
14 17 2 11
37.35; H, 3.89; N, 6.28. FAB-MS 468 [M+Na+H]+.
[0211] 〔製造例 2〕
D 二トロフエ-ル 2 ァセトアミドー 3—スルホー 2—デォキシー β—D—ダルコビラノシド ナトリウム塩(6) (3SGN). D—二トロフエ二ルー 2—ァセトアミドー 4 スルホ—2—デォキシー 8 D グルコピラノシド、 ナトリウム (7) (4SGN)の合成
[0212] D—ニトロフエ-ル 2 ァセトアミドー 6 tert—ブチルジフエ-ルシリル 2—デォキシー β —D—ダルコビラノシド(5)の合成
製造工程 Αに示すとおり、 p—-トロフエ-ル 2—ァセトアミドー 2—デォキシー β D— ダルコビラノシド(1) (300 mg、 0.87 mmol) (アルドリッチ社製)をピリジン(10 mL)に溶 解し、ジメチルァミノピリジン(10 mg)、 tert—ブチルジフエ-ルシリルクロリド(TBDS- C1 ) 340 /z L、 1.31 mmol)を窒素雰囲気下で加え、室温で 24時間磁気攪拌した。反応 終了後、反応溶液にメタノール(10 mL)を加え 1昼夜磁気攪拌した。減圧濃縮後、酢 酸ェチルで希釈し有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と水で分液洗净した。有 機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、残查をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶 媒:クロ口ホルム:メタノール = 7 : 1)で分離精製し、エタノール力 再結晶させることで
、黄色の結晶の目的とする化合物(5) (470 mg、 92 %)を得た。
[0213] D ニトロフエニル 2 ァセトアミドー 3—スルホー 2—デォキシー β—D—ダルコビラノシド ナトリウム塩(6)、 D—-トロフエ-ルー 2 ァセトアミドー 4ースルホー 2—デォキシー β— D— グルコビラノシド ナトリウム塩 (7)の合成
得られた化合物(5) (130 mg、 0.22 mmol)を N, N—ジメチルホルムアミド(4 mL)に溶 解し、 50°Cにおいて、三酸化硫黄トリメチルァミン複合体(186 mg、 1.32 mmol)の N, N—ジメチルホルムアミド(10 mL)溶液を 30分かけて滴下し、 50°Cで 12時間磁気攪 拌した。次いで、得られた反応混合物にメタノール(10 mL)加え 1時間攪拌した後、 減圧下で溶媒を留去した。残查を、テトラヒドロフラン (5 mL)に溶解し、 TBAF (147 μ L、 0.33 mmol)を窒素雰囲気下で加え 3時間攪拌した。その残查を減圧下で溶媒を 留去した後、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒:水)で分離 ·精製し た。得られたシロップをイオン交換榭脂 (Dowex Na")で処理し、ろ過後凍結乾燥するこ とで目的とする化合物(6) (40 mg)、化合物(7) (28 mg)を収率 42 %で得た。
[0214] JH-NMR ( δ ppm, 500 MHz, D O, 30 °C):
2
(6): 8.03 (d, 2H,フエニル基の H), 7.02 (d, 2H,フエニル基の H), 5.28 (d, IH, J =
1,2
8.5 Hz, H-1), 4.36 (dd, IH, J = 10.5, J = 10.5 Hz, H— 3), 3.99 (dd, IH, J = 8.5
2,3, 3,4 1,2
Hz, J = 10.5 Hz, H-2), 3.87 (dd, IH, J = 1.5 Hz, J = 12.0 Hz,
2,3 H-5, H-6proS H- 6proS, H-6proR
H-6proS), 3.68 (dd, IH, J = 5.4 Hz, J 11.1 Hz, H— 6proR), 3.60
H-5, H-6proR H-6proR, H- 6proS
(m, IH, H-5), 3.60 (m, H- 4), 1.85 (s, 3H)
(7): 8.11 (d, 2H,フエニル基の H), 7.05 (d, 2H,フエニル基の H), 5.20 (d, IH, J =
1,2
8.5 Hz, H-1), 4.18 (dd, IH, J = 10.5, J = 10.5 Hz, H— 4), 3.98 (dd, IH, J = 8.5
2,3, 3,4 1,2
Hz, J = 10.5 Hz, H-2), 3.80 (m, 2H, H— 6proS, H— 6proR), 3.70 (m, 2H, H-5, H3),
2,3
1.87 (s, 3H)
[0215] 〔製造例 3〕
D ァセトアミドフエニル 2 ァセトアミド— 6 スルホ—2—デォキシー β D ダルコビラ ノシド ナトリウム塩 (8)の合成
製造例 1で得られた p—二トロフエ-ル 2 ァセトアミドー 6—スルホー 2—デォキシー β —D ダルコビラノシド ナトリウム塩(2) (50 mg, 0.11 mmol)を脱イオン水 (2 mL)に溶 解させ、触媒量の水酸化パラジウム炭素を加え、室温、水素雰囲気下で 2時間磁気 攪拌した。反応終了後、セライトろ過により触媒を除去し、減圧濃縮した。残查を再び 脱イオン水 (2 mL)に溶解させ 0°Cにおいて、炭酸カリウム (46 mg, 0.33 mmol)をカロえ しばらく攪拌した。 0°Cにおいて、無水酢酸 (32 μ ΐ, 0.33 mmol)を滴下し 3時間攪拌し た。反応溶液を中和後、減圧濃縮し、シロップを逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィ 一 (展開溶媒:水)で分離'精製した。得られたシロップをイオン交換榭脂 (Dowex Na ) で処理し、ろ過後、凍結乾燥することで白色固体の目的とする化合物(8) (41 mg 80 %)を得た。
[0216] JH NMR ( δ ppm, 500 MHz, D O, 30 °C) δ 7.33 (d, 2H, J = 9.0 Hz,フエ-ル基の
2
H), 7.06 (d, 2H, J = 9.0 Hz,フエニル基の H), 5.12 (d, 1H, J = 8.5 Hz, H- 1), 4.37 (dd, 1H, J = 2.0, 11.5 Hz, H— 6 ), 4.23 (dd, 1H, J = 5.5, 11.5 Hz, H-6 ), 3.97 proS proR
(dd, 1H, J = 8.0, 10.5 Hz, H— 2), 3.84 (m, 1H, H— 5), 3.65 (dd, 1H, J = 10.0, 10.0 Hz, H-3), 3.61 (dd, 1H, J = 9.0, 9.5 Hz, H— 4), 2.13, 2.02 (sx2, 6H, acetamido groups);
旋光度 [ a ] = - 78.9° (c = 0.11水);
D
赤外吸収スペクトル IR (KBr) 3299 (OH), 1660 and 1548 (amide), 1226 (OSO );
3
FAB+マススペクトル: 479 [M+Na]+
[0217] 〔製造例 4〕
D ァクリロイルアミドフエニル 2 ァセトアミド— 6 スルホ—2—デォキシー β D—グル コピラノシド' ナトリウム (3)の重合体 (4) (Pdv 6SGN)の合成
[0218] 製造工程 Bに示すとおり、製造例 1で得られた化合物(2) (200 mg, 0.45 mmol)をメ タノール(10 mL)と水(10 mL)の混合溶媒に溶解し、 10%水酸化パラジウム炭素(10 mg)を加えた後、水素雰囲気下で 1. 5時間激しく磁気攪拌した。得られた反応混合 物をセライトろ過し、そのろ液を減圧濃縮した。残查を水 (2.0 mL)とテトラヒドロフラン (2.0 mL)に溶解し、炭酸カリウム(187 mg, 0.45 mmol)をカ卩えた後、 0°Cに冷却した。 更に、アタリノレ酸クロリド(55 μ L, 0.67 mmol)のテトラヒドロフラン(2 mL)溶液を滴下 し、室温で 2時間、磁気攪拌した。得られた反応混合物を減圧濃縮し、その残查を逆 相シリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒:水)で分離 ·精製した。得られたシロ ップをイオン交換榭脂 (Dowex Na+)で処理し、ろ過後、凍結乾燥することで目的とする 化合物(3) (130 mg, 61 %)を得た。
[0219] JH NMR ( δ ppm, 500 MHz, D O, 30 °C) δ 7.41 (d, 2H, J = 9.0 Hz,フエ-ル基の
2
H), 7.08 (d, 2H, J = 9.0 Hz,フエニル基の H), 6.40 (dd, IH, J = 10.0, 17.0 Hz,アタリ ロイル基の H), 6.28 (dd, IH, J = 1.0, 17.0 Hz,アタリロイル基の H), 5.83 (dd, IH, J = 1.0, 10.0 Hz,アタリロイル基の H), 5.12 (d, IH, J = 8.5 Hz, H— 1), 4.38 (dd, IH, J = 2.0, 11.5 Hz, H-6 ), 4.23 (dd, IH, J = 5.5, 11.5 Hz, H-6 ), 3.97 (dd, IH, J = proS proR
8.5, 10.0 Hz, H-2), 3.84 (m, IH, H— 5), 3.65 (dd, IH, J = 10.0, 10.0 Hz, H— 3), 3.61 (dd, IH, J = 10.0, 9.5 Hz, H— 4), 2.02 (s, 3H,ァセトアミド基)
[0220] 上記で得られた化合物(3) (10 mg, 21.3 mol)とアクリルアミド(15 mg, 213 mol )を脱気水(100 μ L)に溶解し、 2, 2—ァゾビス(2—アミジノプロパン)二塩酸塩(2.3 /z mol)を加えた。その混合物に対して、凍結脱気を減圧下で 3回行い、重合試験管 内に収容して、減圧下で封管し、 60°Cで 12時間、インキュベートした。その後、重合 試験管を開封し、次いで、反応混合物をイオン交換水に希釈して、透析チューブ(
MW8000 cut off)内で 2日間透析した。水を減圧下で留去した後、凍結乾燥して、白 色固体である糖鎖含有する高分子化合物 (4) (10 mg, 40 %)を得た。
[0221] 数平均分子量 Mn = 3.1 x 105、(SECにより同定、スタンダード:プルラン、展開溶媒: PBS);
1H NMR( δ ppm, 500 MHz, D O, 50 °C) : 7.60 (brs, 2H,フエ-ル基の H)、 7.27 (brs
2
, 2H,フエ-ル基の H)、 5.32 (brs, 1H, H- 1)、 4.57- 3.78 (m、 6H, H- 2, H- 3, H- 4, H- 5, H- 6, H-6') , 2.52-2.22 (brm,主鎖のメチングループ)、 2.10 (brs, 3H,ァセチ ルグループ)、 2.00-1.75 (brs,主鎖のメチレングループ);
高分子化合物 (4)中の糖鎖導入率 =8% H NMR ^ベクトルによって決定)
[0222] 〔製造例 5〕
D—ァクリロイルアミドフエニル 2 ァセトアミドー 4 スルホ—2—デォキシー β D—グル コピラノシ ナトリウム (9)の重合体 Π Ο) (Pdv 4SGN)の合成
[0223] 製造例 2で合成した、 p—二トロフエ-ル 2 ァセトアミドー 4 スルホ—2—デォキシ—j8 —D—ダルコビラノシド ナトリウム塩(7)を用い、製造例 4と同様にして、 p アタリロイル アミドフエ-ル 2 ァセトアミドー 4 スルホ—2—デォキシー j8— D ダルコビラノシド ナ トリウム塩 (9)を製造した。
[0224] JH-NMR ( δ ppm, 500 MHz, D O, 30 °C) δ 7.30 (d, 2H,フエ-ル基の H), 6.95 (d,
2
2H,フエニル基の H), 6.28 (dd, 1H, J = 10.0, 17.0 Hz,アタリロイル基の H), 6.19 (dd,
IH, J = 1.0, 17.0 Hz,アタリロイル基の H), 5.72 (dd, IH, J = 1.0, 10.0 Hz,アタリロイ ル基の H), 5.02 (d, IH, J = 8.5 Hz, H- 1), 4.17 (dd, IH, J = 10.5, J = 10.5 Hz,
1,2 3,4, 4,5
H-4), 3.93 (dd, IH, J = 8.5 Hz, J = 10.5 Hz, H— 2), 3.83 (dd, IH, J = 2.0, 12.5
1,2 2,3
Hz, H-6proS) 3.75 (dd, IH, J = 9.0, 12.5 Hz, H- 6proR), 3.64 (m, 2H, H- 5, H3), 1.89 (s, 3H, Ac)
[0225] 上記で得られた化合物(9) (10 mg, 20.6 μ mol)とアクリルアミド(19.4 mg, 206 μ mol)を脱気水(200 μ L)に溶解し、 2, 2—ァゾビス(2—アミジノプロパン)二塩酸塩( 0.6 mg, 2.3 mol)をカ卩えた。その混合物に対して、凍結脱気を減圧下で 3回行い、 重合試験管内に収容して、減圧下で封管し、 60°Cで 3時間、インキュベートした。そ の後、重合試験管を開封し、次いで、反応混合物をイオン交換水に希釈して、透析 チューブ (MW8000 cut off)内で 2日間透析した。水を減圧下で留去した後、凍結乾 燥して、白色固体である高分子化合物(10) (15 mg, 50 %)を得た。
[0226] 高分子化合物(10)中の糖鎖導入率 =7.7 mol % NMR ^ベクトルによって決定)。
JH NMR( δ ppm, 500 MHz, D O, 50 °C) : 7.39 (brs, 2H,フエ-ル基の H)、 7.08 (brs
2
, 2H,フエ-ル基の H)、 5.15 (brs, IH, H- 1)、 4.30 (brt, IH, H-4), 4.06- 3.73 (brm, 5H, H-2, H-3, H-5, H- 6, H- 6,)、 2.23- 2.17 (brm,主鎖のメチングループ)、 2.02 ( brs, 3H,ァセチルグループ)、 1.77-1.60 (brm,主鎖のメチレングループ)。
[0227] 〔製造例 6〕
D—ァクリロイルアミドフエニル 2 ァセトアミド— 3 スルホ—2—デォキシー β D—グル コピラノシド ナトリウム塩(11)の重合体 (12) (Polv 3SGN)の合成
[0228] 製造例 2で合成した、 ρ—ニトロフエ-ル 2—ァセトアミドー 3—スルホ—2—デォキシ—j8 —D—ダルコビラノシド ナトリウム塩 (6)を用い、製造例 4と同様にして、 p—アタリロイル アミドフエ-ル 2—ァセトアミドー 3—スルホ—2—デォキシー j8— D—ダルコビラノシド ナ トリウム塩(11)を製造した。
[0229] 1H-NMR ( δ ppm, 500 MHz, D O, 30 °C) δ 7.31 (d, 2H,フエ-ル基の H), 6.95 (d,
2
2H,フエニル基の H), 6.28 (dd, IH, J = 10.0, 17.0 Hz,アタリロイル基の H), 6.19 (dd, IH, J = 1.0, 17.0 Hz,アタリロイル基の H), 5.72 (dd, IH, J = 1.0, 10.0 Hz,アタリロイ ル基の H), 5.02 (d, IH, J = 8.5 Hz, H- 1), 4.33 (dd, IH, J = 10.5, J = 10.5 Hz,
1,2 2,3, 3,4
H— 3), 3.93 (dd, IH, J = 8.5 Hz, J = 10.5 Hz, H— 2), 3.83 (dd, IH, J = 2.0, 12.5
1,2 2,3
Hz, H- 6proS) 3.75 (dd, IH, J = 9.0, 12.5 Hz, H- 6proR), 3.64 (m, 2H, H- 5, H4), 1.87 (s, 3H, Ac)
[0230] 上記で得られた化合物(11) (10 mg, 20.6 mol)とアクリルアミド(19.4 mg, 206 μ mol)を脱気水(200 μ L)に溶解し、 2, 2—ァゾビス(2—アミジノプロパン)二塩酸塩( 0.6 mg, 2.3 mol)をカ卩えた。その混合物に対して、凍結脱気を減圧下で 3回行い、 重合試験管内に収容して、減圧下で封管し、 60°Cで 3時間、インキュベートした。そ の後、重合試験管を開封し、次いで、反応混合物をイオン交換水に希釈して、透析 チューブ (MW8000 cut off)内で 2日間透析した。水を減圧下で留去した後、凍結乾 燥して、白色固体である高分子化合物(12) (11 mg, 40 %)を得た。
[0231] 高分子(12)中の糖鎖導入率 =9.0 mol % NMR ^ベクトルによって決定)。 'Η
NMR( δ ppm, 500 MHz, D O, 50 °C) : 7.37 (brs, 2H,フエ-ル基の H)、 7.08 (brs, 2H
2
,フエ-ル基の H)、 5.25 (brs, IH, H— 1)、 4.05 (brt, IH, H— 3), 3.95- 3.63 (brm, 5H,
H-2, H-4, H-5, H-6, H- 6,)、 2.31- 2.19 (brm,主鎖のメチングループ)、 1.99 (brs, 3H,ァセチルグループ)、 1.76-1.54 (brm,主鎖のメチレングループ)。
〔製造例 7〕
D- (N-アクリルアミド)フエニル 6-0-スルフォ- β -D-ガラクトピラノシド ナトリウム塩(1 4)の重合体(15) (Polv6SGal)の合成
( 1 4)
( 1 5 )
D-ニトロフエニル 6ースルフォ— β _D—ガラクトピラノシドナトリウム塩(13)の合成 市販の p-二トロフエ-ル (ρΝΡ) β - D-ガラクトピラノシド (Sigma社製 N1252, 600 mg, 1.99 mmol)およびビストリブチルスズォキシド (0.764 mL, 1.5 mmol)を THF-ベンゼン (1:1,全量 50 mL)にけん濁加させ、 3時間加熱環流しながら共沸して生成する水を除 去した。その後、溶媒を留去し、残查を乾燥 DMFlOmlに溶解し三酸ィ匕硫黄トリメチ ルアミン錯体 (1.4 g, 0.01 mol)を加え、 60 °Cで 3時間反応させた。 反応液にベンジ
ルアルコール(8 mL)を加え、溶媒を減圧濃縮した。
[0234] 残查を ODS (C— 18)カラムで精製し、イオン交換榭脂(Dowex Na+)で処理して、硫 酸基が 2つ導入された pNP 3,6-di-O-スルフォ - j8 - D-ガラクトピラノシド ナトリウム塩 を得た (980 mg,97%)。
[0235] [ α ] = -35° (c = 0.7 in H O);
D 2
1H NMR (D O, t-BuOH = 1.23 ppm) δ 8.271 and 7.278 (d, J = 9.3 Hz, pNP), 5.330
2
(d, J = 7.8 Hz, H-l), 4.484 (dd, J = 3.3 and 9.6 Hz, H— 3), 4.429 (d, J = 3.3Hz, H-4), 4.34-3.93 (m, H— 6 and H- 6'), 4.013 (dd, J = 7.8 and 9.6 Hz, H— 2); 13C NMR (t-BuOH = 31.3 ppm) δ 163.6, 144.5, 128.0, 118.4, 101.3, 81.3, 74.7, 70.2, 68.8, 68.3; FABMS 527 [M+ + Na - 1].
[0236] 次に、このようにして得たジ硫酸ィ匕糖ィ匕合物 80mgを、 0.25 M酢酸緩衝液(pH 6.8, 2 mL)に溶解し、市販のスルファターゼ (Sigma社製 S9626, E.C.3.1.6.1, Helix pomatia 由来, 5 mg)を加え、 37°Cで 2 日間反応させた。反応液を Sephadex LH-20, ODSの 順で精製し,イオン交換榭脂(Dowex Na")で処理して pNP 6—スルフォー j8 - D-ガラク トピラノシドナトリウム塩(13)を得た( 60 mg、 94%) o
[0237] [ α ] = -64.4° (c = 3.1 in H O);
D 2
JH NMR (D O, t-BuOH = 1.23 ppm) δ 8.195 and 7.213 (d, J = 9.2 Hz, pNP), 5.174
2
(d, J = 7.3 Hz, H-l), 4.29-4.17 (m, H— 6 and H- 6'), 4.075 (bd, J = 3.0 Hz, H-4), 3.875 (dd, J = 7.3 and 9.9 Hz, H— 2), 3.823 (dd, J = 3.0 and 9.9 Hz, H— 3); 13C NMR (t-BuOH = 31.3 ppm) δ 163.5, 144.1, 127.8, 118.2, 101.6, 74.9, 73.9, 71.9, 69.9, 68.7. FABMS 426 [M+ + Na]. Anal. Calcd. for C H NNaO S-2H O: C, 32.81; H,
12 14 11 2
4.13; N, 3.19; S.7.30. Found: C, 32.42; H, 3.44; N, 2.95; S, 6.88.
[0238] D- (N-アクリルアミド)フエニル 6-0-スルフォ- β -D-ガラクトピラノシド ナトリウム塩.(1 4)の合成
上記で合成した 6—スルフォー |8 -D-ガラクトピラノシドナトリウム塩(13) (100 mg, 0.62 mmol)および触媒量のパラジウムをメタノール 10mlに加え、水素気流下で還元 した。さらに、製造例 4と同様にして、アクリル酸クロリドと反応させ、 p-(N-アクリルアミ ド)フエ-ル 6-0-スルフォ- 13 -D-ガラクトピラノシド ナトリウム塩(14) 85 mgを得た。
[0239] H NMR (D O, rt) δ (ppm) 7.40 (d, 2H, J = 9.0 Hz, aromatic- H), 7.15 (d, 2H, J =
2
9.2 Hz, aromatic- H), 6.35 (m, 2H, vinyl H, 5.80 (d, 1H, vinyl H), 5.00 (d, 1H, J = 7.8 Hz, H-l), 4.29-4.00 (m, 3H, H- 6S + H- 6R + H- 4), 3.80 (d, 2H, H- 3 + H- 2).
[0240] D- (N-アクリルアミド)フエニル 6-0-スルフォ- β -D-ガラクトピラノシド ナトリウム塩.(1 4)の ί本 (15)の^^
製造例 4と同様に て、上記化合物(14)を、アクリルアミド(15 mg, 213 /z mol)およ び 2, 2—ァゾビス(2 アミジノプロパン)二塩酸塩の存在下共重合させ、 6-0-スルフ ォ- β -D-ガラクトピラノシドを側鎖に有する高分子化合物(15)を得た。
[0241] (Gahacrylamide = 6:94):
JH NMR (D O, 60 °C) δ (ppm) 7.55 (br, aromatic— H), 7.25 (br, aromatic— H), 5.27
2
(br, Gal H-l), 4.4-4.2 (br, Gal H— 4 + H— 6S + H— 6R), 3.9 (br, Gal H— 3 + H— 5 + H-2), 2.6-2.3 (br, CH— CH ), 2.0—1.5 (br, CH— CH -).
2 2
[0242] 〔製造例 8〕
D—ァクリロイルアミドフエニル 2—デォキシー 2—ァセトアミド— β D グルコビラノシド( 16)およびその重合体(17) (PolvGlcNAc)の合成
p—二トロフエ-ル 2—デォキシ— 2—ァセトアミド— —D—グルコビラノシド(ρΝΡ GlcNAc) (1) (200 mg, 0.53 mmol) (アルドリッチ社製)をメタノール(10 mL)と水(10 mL)の混合溶媒に溶解し、 10%水酸化パラジウム炭素(10 mg)を加えた後、水素雰
囲気下で 3時間激しく磁気攪拌した。得られた反応混合物をセライトろ過し、そのろ液 を減圧濃縮した。残查を水 (4 mL)とテトラヒドロフラン (2 mL)に溶解し、炭酸カリウム( 242 mg, 1.75 mmol)を加えた後、 0°Cに冷却した。更に、アクリル酸クロリド(71 μ L, 0.88 mmol)のテトラヒドロフラン(1 mL)溶液を滴下し、室温で 1時間、磁気攪拌した。 得られた反応混合物を減圧濃縮し、その残查を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィ (展開溶媒:水)で分離'精製した。凍結乾燥することで目的とする化合物(16) ( 166 mg, 78 %)を得た。
[0244] 上記で得られた化合物(16) (10 mg, 27.3 mol)とアクリルアミド(19.4 mg, 274 μ mol)をジメチルスルホキシド(200 /z L)に溶解し、 2,2'-ァゾビスイソブチ口-トリル(0.4 mg, 2.6 mol)を加えた。その混合物に対して、凍結脱気を減圧下で 3回行い、重 合試験管内に収容して、減圧下で封管し、 60°Cで 12時間、インキュベートした。その 後、重合試験管を開封し、次いで、反応混合物をイオン交換水に希釈して、透析チ ブ (MW8000 cut off)内で 2日間透析した。水を減圧下で留去した後、凍結乾燥 して、白色固体である高分子化合物(17) (15 mg, 50 %)を得た。
[0245] 高分子化合物(17)中の糖鎖導入率 =7.7 mol % NMR ^ベクトルによって決定)。
JH NMR( δ ppm, 500 MHz, D O, 50 °C) : 7.35 (brs, 2H,フエ-ル基の H) 7.05 (brs
2
, 2H,フエ-ル基の H)、 5.10 (brs, 1H, H- 1) 3.90- 3.32 (m 6H, H- 2, H- 3, H- 4, H- 5, H- 6, H-6') , 2.30-2.17 (brm,主鎖のメチングループ)、 2.00 (brs, 3H,ァセチ ルグループ)、 2.01-1.60 (brm,主鎖のメチレングループ)。
[0246] 製造工程 3
OH
OH
HO ^^QpNP HO し P
NH2
NHS C¾Na
[0247] 〔製造例 9〕
2-デォキシ- 2-トリフルォロアセトアミド- D -ダルコビラノシド(19)の合成
D -ダルコサミン 塩酸塩(18) 20.1 g (93.1 mmol)と、 NaOMe7. 5g(13mmol)とをメタ ノール 250 mlに溶かし、 1時間攪拌した。次に 2モル当量の CF COOEtを加え撹拌し
3
た。 5時間後にさらに 2. 5g (46mmol)の CF COOEtを加え攪拌した。 18時間後、重
3
曹水で中和をし、ろ過により沈殿物を除去した。ろ液を室温に放置したところ、結晶( 塩)が析出したのでろ過して除いた。これを 3回繰り返し、塩をできる除去して化合物( 19)を得た。収量: 35.0 g収率〉 99 %
[0248] 〔製造例 10〕
1—クロ口— 2—デォキシー 2—トリフルォロアセトアミド— 3. 4. 6—トリ— 0—ァセチルー α— D—グルコビラノシド(20)の合成
化合物(19) 20.0 gに 75mlのァセチルクロライドを 0°Cで注意深く滴下した。 18時間 後、 CHC1を 500mlカ卩え、重曹水、水の順に洗浄した。シリカゲルカラムクロマトダラ
3
フィー (溶離液; CHC1 )で精製し、 目的とする化合物(20)を得た。収量 : 9.03 g収率:
3
29.6 %
[0249] JH-NMR (500MHz, r.t. CDC1 )
3
δ 6.74 (d, 1H, J = 9Hz, NHTFA) 6.24 (d, 1H, J = 4 Hz, HI) 5.39 (dd, 1H, J
H1-H2
= 10.5 Hz, J = 10 Hz, H3) 5.25 (t, 1H, J = 10 Hz, H4) 4.50 (ddd,
H2-H3 H3-H4 H3-H4 H4-H5
1H, J = 4 Hz, J = 8.5 Hz, J = 11 Hz, H2) 4.22 (m, 2H, H5, H6) 4.14
H1-H2 H2-NHTFA H2-H3
(m, 1H, H6) 2.12 (s, 3H, 6- Ac) 2.08, 2.07 (s, each 3H, 3 or 4 Ac)
[0250] 〔製造例 11〕
D-ニトロフエニル 2-デォキシ- 2-トリフルォロアセトアミド- 3,4,6-トリ- 0-ァセチル- β -D -ダルコビラノシド(21)の合成
化合物(20) 5.50 g (13.1 mmol), CH CI 55ml, IN NaOH水溶液 55mlの溶液に、
2 2
ノ ラ一ニトロフエノール 3.64g(26.2 mmol)と Bu NBr 4.2g (13.1 mmol)をカ卩え、激しく攪
4
拌した。 2時間後、 CHC1を少量カ卩え、 IN NaOHで 2回、食塩水で 1回洗浄後、シリカ
3
ゲルクロマトグラフィー (へキサン:酢酸ェチル = 4 :1)で精製し、化合物(21)を得た。 収量: 2.64g収率: 23.5 %
[0251] 1H-NMR (500MHz, r.t. CDC1 )
3
δ 8.22 (d, 2H, J = 2 Hz, H- ortho of pNP) 7.06 (d, 2H, J = 2.5 Hz, H- meta of pNP) 6.60 (d, 1H, J = 9 Hz, HI) 5.38 (dd, 1H, J = 10.5 Hz, J = 9.5 Hz, H3)
H1-H2 H2-H3 H3-H4
5.35 (d, 1H, J = 8 Hz, NHTFA) 5.20 (t, 1H, J = 9.5 Hz, H4) 4.31 (dd and
一 H3-H4, H4-H5
dd, 2H, J = 9 Hz, J = 18.5 Hz, and J = 5.5 Hz, J = 12.5 Hz, H2
H1-H2 H2+NHTFA-H3 H5-H6 H6-H6
and H6 ) 4.20 (dd, 1H, J = 2.5 Hz, J = 12.5 Hz, H6 ) 3.96 (ddd, 1H, J
ProR H5-H6 H6-H6 ProS
= 5.5 Hz, J = 2.5 Hz, J = 9.5 Hz, H5) 2.10 (s, 3H, 6— Ac) 2.09,
H5-H6ProR H5-H6ProS H4-H5
2.08 (each s, each 3H, 3 or 4— Ac)
[0252] 〔製造例 12〕
D-二トロフエ-ル 2-デォキシ- 2-トリフルォロアセトアミド- β -D-グルコビラノシド(22) の合成
ィ匕合物(21) 1.51 g (2.9 mmol)を 100 mlのメタノールに溶かし、 NaOMe 15.6 mg (0.29 mmol)をカ卩え、室温で 3時間 30分攪拌した。
シリカゲルクロマトグラフィー (クロ口ホルム:メタノール = 10: 1)で精製し、化合物(2 2)を得た。 収量: 1.10 g収率: 95.7 %
[0253] JH-NMR (500MHz, r.t. CD OD)
3
δ 8.22 (d, 2H, J = 9.5 Hz, H— ortho of pNP) 7.17 (d, 2H, J = 9.5 Hz, H— meta of pNP) 5.26 (d, 1H, J = 8.5 Hz, HI), 4.02 (dd, 1H, J = 8.5 Hz, J = 10.5
H1-H2 H1-H2 H2-H3
Hz, H2), 3.94 (dd, 1H, J = 2.5 Hz, J = 12.5 Hz, H6 ), 3.73 (dd, 1H, J
H5-H6 H6-H6 ProS H5-H6
= 5.5 Hz, J = 12.5 Hz, H6 ), 3.40 (dd, 1H, J J = 10.5 Hz, H3), 3.51
H6-H6 ProR H2-H3, H3-H4
(m, 1H, H5), 3.36 (dd, 1H, J J = 9.5 Hz, H4)
H3-H4, H4-H5
[0254] 〔製造例 13〕
D-ニトロフエニル 2-ァミノ- 2-デォキシ- β -D -ダルコビラノシド(23)の合成
化合物(22) 149mg (0.38 mmol)を 0. 1M 水酸化ナトリウム水溶液 2mlに 0°Cで 溶解し、 30分撹拌した。その後、 0. IN HC1水溶液で注意深く pH7とし、ろ過後濃 縮した。逆相カラム (ODS C— 18)で精製して、化合物(23)を lOOmg (89%)得た。
[0255] JH-NMR (500MHz, r.t. CD OD)
3
δ 8.22 (d, 2H, J = 9.5 Hz, H— ortho of pNP) 7.26 (d, 2H, J = 9.0 Hz, H— meta of
pNP) 5.02 (d, 1H, J = 8.0 Hz, HI), 3.90 (dd, 1H, J = 2.5 Hz, J = 12.0
H1-H2 H5-H6 H6-H6
Hz, H6 ), 3.71 (dd, 1H, J = 5.5 Hz, J = 12.0 Hz, H6 ), 3.51 (m, 1H,
ProS H5-H6 H6-H6 ProR
H5), 3.40 (dd, 1H, J J = 8.5 Hz, H3), 3.36 (dd, 1H, J J = 9.0 Hz,
H2-H3, H3-H4 H3-H4, H4-H5
H4), 2.89 (dd, 1H, J = 8.0 Hz, J = 9.5 Hz, H2)
H1-H2 H2-H3
[0256] 〔製造例 14〕
D-二トロフエ-ル 2-スルフアミド- 2-デォキシ- β -D -ダルコビラノシド ナトリウム塩(2 4)の合成
化合物(23) 207 mg (0.69 mmol)を DMF 50 mlに溶解し、 Me NSOを 144 mg(1.03
3 3
mmol)加えた。室温で攪拌し、反応の進行を逆相 TLC (10 % CH COOH:メタノール
3
= 2: 1)で確認した。反応終了後、メタノール 10 mlを加え、濃縮して残查を逆相シリカ ゲルカラムクロマトグラフィー (溶離液;水)で精製、続いて、イオン交換榭脂 (Dowex Na +)で処理し化合物(24)を得た。収量: 158 mg収率: 60.3 %
[0257] JH-NMR (300MHz, 30.0°C D O)
2
δ 8.19 (d, 2H, J = 9.5 Hz, H- ortho of pNP), 7.18 (d, 2H, J = 9.5 Hz, H- meta of pNP) 5.31 (d, 1H, J = 8.0 Hz, HI), 3.69 (dd, 1H, J = 2.5 Hz, J = 12.5
H1-H2 H5-H6 H6-H6
Hz, H6 ), 3.67 (dd, 1H, J = 5.5 Hz, J = 12.5 Hz, H6 ), 3.67 (dd, 1H, J =
ProS H5-H6 H6-H6 ProR
9.0 Hz, J = 10.5 Hz, H3), 3.61 (m, 1H, H5), 3.49 (dd, 1H, J J = 9.5 Hz,
H3-H4, H4-H5
H4), 3.27 (dd, 1H, J = 8.0 Hz, J = 10.0 Hz, H2)
H1-H2 H2-H3
[0258] 〔製造例 15〕
D-二トロフエ-ル 2-スルフアミド- 2—デォキシー 6— O—スルフォ- β -D -ダルコピラノシ 2ナトリウム塩 (25)の合成
製造工程 3で製造した化合物(22)を出発原料として、明細書中のスキーム Bで示さ れる化合物 5aから 10aを合成するのと同様の方法を用いて、化合物(25)を合成した
〔製造例 16〕
p-nitropnenvl 2— acetamiae— 4— O— sulfo— 2— deoxy— β -P-galactopyranoside , sodium salt (4SGalNAc) (26)の合成
(26)
[0259] 市販の 4- nitrophenyl N-acetyl- β - D- galactosaminide (Sigma, N9003)の lOOmgを乾 燥 DMF 2mLに溶解し、これに三酸化硫黄- DMF コンプレックスの 179mgを加え、 4 0°Cで 6時間反応させた。反応液にメタノール lmLを加え、 1時間撹拌後、減圧濃縮し て粗生成物を得、逆送カラムクロマトグラフィーで精製して、 目的の 4SGalNAc (ィ匕合 物(26) )を 40mg (31%)得た。
[0260] JH-NMR (600MHz, D Ο) δ 8.18 (d, J=9.2 Hz, aromatic), 7.16 (d, J=9.2 Hz,
2
aromatic), 5.30 (d, J=8.4 Hz, H— 1), 4.79 (brd, J=2.4 Hz, H— 4), 4.23 (dd, J=8.4 and 11.2 Hz, H-2), 4.07-4.03 (m, H— 3 and H— 5), 3.87 (dd, J=4.2 and 12.0 Hz, H— 6),
3.83 (dd, J=2.4 and 12.0 Hz, H— 6,), 2.80 (s,— NHCH ).
3
[0261] 〔製造例 17〕
ί本 (27)の )^
上記製造例 15で製造したィ匕合物 25を用い、前記製造例 7と同様の方法により、重 合体 (27)を製造した。
〔実施例 1〕
〈薬理データ〉
生物試験と抑制試験の概要:マウス馴化スクレイピー Chandler株が持続感染したマ ウス神経芽細胞 (Race et al, 1988)の培養液に一定量の試験試料 (糖モノマーと糖ポ リマー)の希釈液を加えて 72時間培養を行った。プリオン感染価と PrPSeの存在は相 関することから (Caughey et al, 1993)、 PrPSeを指標に被験物質の抗プリオン効果を判 定した。細胞が産生する PrPSeを SDS-PAGE電気泳動とウェスタンブロット (WB)法によ つて確認を行った。その結果、ダルコサミン力も合成される特定の硫酸ィ匕糖とその高 分子化合物が顕著な異常プリオン産生抑制効果を示す事が判明した。
[0263] 1.牛 ¾活件試,験の方法 (PrP¾^出)
1) マウス馴化スクレイピー Chandler株が持続感染して ヽるマウス神経芽細胞を限界 希釈法によりクローユングしたプリオン持続感染細胞 13/15の培養液に一定量の試験 試料 (糖モノマーと糖ポリマー)の希釈液を加えて 72時間培養を行った。
2) 細胞の溶解を界面活性剤 (0.5% Triton X- 100、 0.5% sodium deoxycholate)と金 属キレート剤(5 mM EDTA)を含む緩衝液(150mM NaCl in 10 mM Tris- HC1, pH 7.5 )で行った。
3) 遠心処理(200 x g, 2 min)して除核した後、プロテアーゼ K (PK、 20 μ g/mL PK, 37 °C, 45分)で処理した。
4) PKによるタンパク質分解を 2mM Pefablocで止めた後、遠心処理(100,000 x g, 2 h)により PrPSeを回収して、 SDS-Page電気泳動と WBを行った。 PrPSeの検出には、一次 抗体として抗 PrPモノクローナル抗体 31C6を、二次抗体として西洋ヮサビペルォキシ ダーゼ標識抗マウス免疫グロブリン (Amersham Bioscience社)を使用した。表 1におけ る PrPsc産生量は LAS-1000 chemiluminescence analyzer (富士フィルム社)を使用して 化学発光を取り込み、フオトンカウントの定量解析により求めた。阻害剤が無い場合 の産生量を 100として、 PrP "産生量を測定した。 A±Bで表される数値において、 Aの 数値が小さ!/ヽほど抑制効果が大き!ヽことを示す。 Bは偏差を示す。
[0264] 図 1の持続的投与による産生抑制効果は、 ECLウェスタンブロッテイング検出試薬 (Amersham Bioscience社)を使用して、 X線フィルム上に可視化して示した。
[0265] 表 1、表 2の結果は、下記の本発明に係る化合物 (4) (10) (12) (15) (27) (7) (24 ) (25) (26) (ナトリウム塩)と、比較例として化合物(17) (poly-GlcNAc)およびィ匕合 物(1) (GlcNAc)との PrPse産生抑制効果を比較したものである。
[0266] 化合物(4): Poly-6SGN
化合物(10): Poly-4SGN
化合物(12): Poly-3SGN
化合物(15): Poly-6SGal
化合物(27): Poly-2,6SGN
化合物(7) :4SGN
化合物(24) :2SGN
化合物(25) :2,6SGN
化合物(26) :4SGalNAc
[0267] 2. ¾
上記化合物それぞれを 100/zg/mL, lO^g/mL, 1 g/mLの濃度に希釈して試料液 を加えて細胞培養を行な!/、、上述の方法によって PrPSeの産生抑制効果を調べた。 結果を表 1、表 2に示す。
[0268] [表 1]
[0269] [表 2]
Polymer
4 10 12 15 17 27 化合物 poly - poly- poly- poly- poly- Poly- 6SGN 4SGN 3SGN 6SGal GlcNAc 2.6SGN
1 u g/irl 112±68 94±60 96 ±42 94±47 109±51 0.25 g/mL 100±17
10〃 g/mL 36 ±34 12±2 109±80 75±43 103±63 2.5 g/mL 66±10
100 μ /mL 15±19 8±6 15±7 12±4 86±74 25 g/mL 23±3
OjUg/mL 100 100 100 100 100 C^g/mし 100
表 1、表 2から、本発明の化合物(7)、(24)、 (25)、 (26)、 (4)、(10)、(12)、 (15 ) , (27)については、 10-100 §/½しの濃度で高ぃ1¾^産生抑制効果が認められた また、阻害剤が無い場合の産生量を 100として、 PrP"産生量を半分 (約 50)に減少さ せる抑制剤の濃度 (IC )として比較を行うと、抑制効果の強さは Poly-4SGN (IC =
50 50
2-4 μ g/mL) > Poly- 6SGN (5-8 μ g/mL) >4SGN (8-10 μ g/mL)の順となり、活性に 対して高分子効果が認められた。
[0270] 3.硫酸化糖ポリマーの長期間処理による PrP ^産牛.抑制効果
図 1は、化合物(4): Poly-6SGN、化合物(10): Poly-4SGNを、それぞれ g/mL ずつ 3、 6および 9日間細胞培養液に加えて、持続的な抑制効果を調べたものである 。化合物 (4) (Poly-6SGN)は、添カ卩日数とともに PrPSeの産生が減少し、 9日目に、ほ ぼ完全に PrPSe産生が終息した。化合物(10) (Poly-4SGN)では抑制効果がより顕著 であり、 6日目には、ほぼ産生が終息した。
[0271] 以上の細胞実験から、本発明で用いる化合物が、プリオン持続感染細胞に於て、 顕著な PrPSe産生抑制効果を示すことが判った。これら抑制剤の持続的投与によって 、細胞レベルでの PrPSe産生を完全に制止できることが判明した。
プリオン感染価と PrPSeの存在は相関することから、これらの化合物がプリオンの増 殖阻害活性を有すると判断できる。以上の結果は、安価な糖資源であるダルコサミン などから、プリオン増殖抑制効果を有するプリオン病治療薬の開発が可能であること を示している。
産業上の利用可能性
[0272] 本発明に係る化合物 I、 IIまたはその医薬的に許容し得る塩は、優れたプリオン増 殖抑制作用を有し、細胞に対して低襲性 (低細胞毒性)で、異常プリオン蛋白質の増 殖を効果的に阻害することができるので、プリオン病の予防剤または治療剤として有 用である。このため、本発明に係る化合物 I、 IIまたはその医薬的に許容し得る塩は、 スクラピー、ゥシ海綿状脳症(BSE)、クロイツフェルト ヤコブ病のようなプリオン病の 予防剤または治療剤として有用である。
[0273] さらに、本発明はプリオン病を予防又は治療する方法に関するものである。これらの
方法は、開示した化合物 I、 IIまたはその医薬的に許容し得る塩を含む医薬組成物の 医薬的に有効な量を、このような治療を必要とする力またはこのような疾患または状 態にかかった患者、動物に投与する工程を含む。