JPWO2005035736A1 - 粘液除去方法並びにこれに用いる細胞処理液及び保存液 - Google Patents

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Abstract

システイン系化合物を5質量%以上含有する細胞処理液を、子宮頸部細胞のような粘液産生細胞を含む細胞検体と接触させることにより、免疫化学を利用した標識ができるように細胞表面の粘液を除去することができる。アルコールの含有率30〜60質量%及びシステイン系化合物の含有率5質量%以上の水溶液からなる細胞保存液は、検体採取から分析までの期間、細胞の形態に影響を及ぼすことなく、細胞分散状態を保持しつつ細胞を保存できる。

Description

本発明は、生体、特に子宮頸部から採取された細胞塊のように、粘液で細胞同士が付着している細胞塊及び細胞表面に余分に付着している粘液を除去する方法;当該方法で用いる細胞処理液;並びに粘液除去された状態で、細胞形態に影響を及ぼすことなく細胞を保存できる細胞保存液に関する。
子宮頸癌の早期発見のためのスクリーニング法として、健康診断等では、細胞診が有効に利用されている。
ここで、子宮頸癌の細胞診断は、子宮頸部表面を綿棒やスクレーパー等で擦過し、擦過した細胞を、直ちにスライドグラス上に塗抹して標本を作り、顕微鏡等で観察することにより行っている。あるいは健康診断のように大量の検体を処理する必要がある病院等では、擦過により採取した細胞群を、アルコールを含む保存液(例えば、特許文献1)中で保存して検査センターに輸送され、検査センターで、スライドグラス上に塗抹標本をつくり、検体をパパニコロウ染色して、顕微鏡で観察するという方法が一般に行われている。そして、細胞塊の形態から癌細胞の有無を判定している。
いずれの場合であっても、個々の検体について塗抹標本を作製し、顕微鏡観察しなければならないため、手間がかかって面倒であることから、近年細胞診の自動化が要望されている。細胞診の自動化方法としては、免疫細胞化学を利用したフローサイトメトリーがある。免疫細胞化学を利用したフローサイトメトリーは、細胞が発現する蛋白質(マーカー)を蛍光で標識した抗体で染色し、細胞を液体中に浮遊状態としてレーザー光を照射し、個々の細胞から発する蛍光を測定することによって、細胞集団中の個々の細胞の大きさやDNA含量、膜抗原の発現量の分布を測定する方法である。また、検出しようとする癌細胞に特異的抗体を用いて、癌細胞の有無、個数を測定することもある。このような細胞診の自動化において測定精度を上げるためには、個々の細胞が特異的に抗体染色される必要がある。
子宮頸部の擦過により採取される細胞は、扁平上皮系細胞と腺系細胞の2種類からなり、その大部分は扁平上皮系細胞である。一方、子宮頸部の奥に位置する子宮体部は主に粘液を分泌する腺細胞から構成されているため、採取された子宮頸部の細胞群は子宮体部で産生された粘液に覆われて凝集した状態にある。このように、粘液が糊のようになって細胞が凝集したような細胞塊の検体では、そのままフローサイトメトリーにかけることはできない。また、抗体染色に際しても、粘液の成分に抗体が非特異的に吸着されてノイズとなるため、正確な細胞診ができない。細胞同士を粘着させている粘液を除去して細胞を個々の細胞に分離し、細胞表面の粘液を除去して、標識抗体と特異的に反応させるようにしなければならない。
細胞診のために、粘液を除去する方法として、特許文献2に、30%エタノール・PBS液中にメチルシステインを0.1〜0.2%含有する液に、検体の喀痰をいれて反応させることにより、粘液を溶解し、細胞を分散させることが開示されている。検体としての喀痰は、粘性液体中に肺から剥がれてきた細胞が浮遊している状態にあるので、喀痰液中の粘液を溶解すれば、個々の細胞を得ることができる。しかしながら、子宮頸部から採取した細胞群のように、粘液が糊のようになって凝集している細胞塊では、当該粘液溶解液を用いても、十分に粘液を溶解することはできないため、抗体の非特異的吸着によるノイズが依然として残っている。また、フローサイトメトリーで分析できるくらいに、個々の細胞に分散することはできない。
一方、特許文献1(米国特許第5256571号)に記載された細胞保存液は、アルコール中にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤を含有させた保存液で、キレート剤は細胞が集合して塊となることを防止する効果があるといわれているが、やはり、子宮頸部のように、粘液が糊となって凝集させているような細胞検体では、上記保存液に保存しても、細胞はばらばらにならず、また粘液も溶解されないため、標識抗体の非特異的吸着を減らすことができない。
また、特許文献2(特開平10−323183号)には、組織洗浄液、人工髄液、眼内潅流等の細胞保護液として、N−アセチルシステイン及び/又はN−ジアセチルシスチンを0.1〜10mMの範囲(0.0016%〜0.16%程度)で含有する電解質溶液からなる細胞保護液が開示されている。
特許文献3(特公平7−46101号)には、粘液溶解剤としてのメチルシステインを0.1〜0.2質量%含有する細胞固定、保存液が開示されており、特許文献4(特公平7−46100号)には、エタノール、塩化ナトリウム、ショ糖又はプロピレングリコールを含有する緩衝液に、粘液溶解剤としてのメチルシステインを0.1〜0.2質量%含有する細胞固定、保存液が開示されている。
しかし、いずれの細胞保存液も、擦過により採取した子宮頸部の細胞群のように、粘液により結着した細胞塊の粘液を十分に溶解させることができず、結果として個々の細胞に分散させることができず、粘液による標識抗体の非特異的吸着をなくすことができない。
米国特許第5256571号 特開平10−323183号 特公平7−46101号 特公平7−46100号
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、子宮頸部細胞検体等の粘液産生細胞を含む細胞検体について、免疫化学を利用した標識ができるように、細胞表面の粘液を除去し、さらにフローサイトメトリーで分析できるくらいに、個々の細胞を分散させることができるように細胞粘液を除去する方法、及び検体採取から分析までの期間、細胞の形態に影響を及ぼすことなく、細胞分散状態を保持しつつ、細胞を保存できる細胞保存液を提供することにある。
本発明の細胞処理液は、粘液産生細胞を含む粘液付着細胞塊から粘液を除去するための処理液であって、システイン系化合物を5質量%以上含有する。典型的には、本発明の細胞処理液は、子宮頸部細胞を含む粘液付着細胞塊から粘液を除去するための処理液である。
本発明の細胞処理液の溶媒は、水、生理食塩水及びpH4〜7に保つ緩衝剤からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
本発明の細胞保存液は、子宮頸部細胞を含む粘液付着細胞塊を保存する保存液であって、好ましくはアルコールの含有率30〜60質量%及びシステイン系化合物の含有率5質量%以上の水溶液である。
本発明の細胞表面の粘液除去方法は、子宮頸部細胞を含む粘液付着細胞塊に、上記本発明の細胞処理液と接触する工程を含む。
本発明の粘液除去方法は、子宮頸部細胞を含む粘液付着細胞塊に、上記本発明の細胞処理液と接触させて粘液を溶解させる工程;溶解した粘液を含む液と処理後の細胞を分離する工程;及び分離した細胞を洗浄する工程を含む。
本発明の細胞処理液は、擦過された子宮頸部の細胞群のように、粘液が糊となって凝集しているような細胞群の粘液を、細胞の形態に影響を及ぼすことなく、除去することができる。
従って、本発明の細胞処理液を用いる本発明の粘液除去方法は、粘液で凝集したような細胞群を、フローサイトメトリーのように個々の細胞を検査する細胞診の前処理として利用できる。
また、本発明の細胞保存液は、細胞保存中に、余分な粘液を除去できるばかりか、3週間程度の細胞期間によっても細胞の形態に影響を与えない。従って、粘液で凝集した細胞の保存液として有効である。
AcCys含有率0%の処理液で処理した細胞診臨床検体(サンプルA)の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 AcCys含有率0.625質量%の処理液で処理した細胞診臨床検体(サンプルB)の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 AcCys含有率1.25質量%の処理液で処理した細胞診臨床検体(サンプルC)の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 AcCys含有率2.5質量%の処理液で処理した細胞診臨床検体(サンプルD)の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 AcCys含有率5質量%の処理液で処理した細胞診臨床検体(サンプルE)の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 AcCys含有率5質量%の処理液で24時間処理した細胞診臨床検体(サンプルF)の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 AcCysを含有しない処理液で処理した細胞を蛍光抗体で標識した後の検体の顕微鏡写真(倍率400倍)である。 AcCys含有率5質量%の処理液で処理した細胞を蛍光抗体で標識した後の検体の顕微鏡写真(倍率400倍)である。 L−システイン含有率5質量%の処理液で1分間処理後の細胞臨床検体の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 L−システイン含有率5質量%の処理液で5分間処理後の細胞臨床検体の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 L−システイン含有率10質量%の処理液で1分間処理後の細胞診臨床検体の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 L−システイン含有率10質量%の処理液で5分間処理後の細胞診臨床検体の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 L−システイン含有率20質量%の処理液で1分間処理後の細胞診臨床検体の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 L−システイン含有率20質量%の処理液で5分間処理後の細胞診臨床検体の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 1週間保存後の細胞診臨床検体の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 3週間保存後の細胞診臨床検体の顕微鏡写真(倍率100倍)である。 従来の保存液で3週間保存した後の細胞診臨床検体の顕微鏡写真(倍率100倍)である。
はじめに、本発明の細胞処理液について説明する。
本発明の細胞処理液を適用できる検体は、粘液産生細胞を含む粘液付着細胞塊で、具体的には、擦過により採取した子宮頸部細胞を含む細胞群のように、粘液が糊のようになって凝集した細胞群である。子宮頸部の場合、子宮体部を構成する腺細胞が粘液産生細胞であるため、細胞群が分泌された粘液で凝着したようになっている。
擦過方法は、従来より健康診断等で一般に使用されている方法に適用できる。具体的には、綿棒、ゴムへら、木製スクレーパーなどが挙げられる。
本発明の細胞処理液は、システイン系化合物を5質量%以上、好ましくは10質量%以上含有する溶液である。5質量%未満では、子宮頸部のように粘液で凝着した細胞群の粘液除去には不十分で、結果として、細胞表面に粘液が残存し、標識抗体の非特異的吸着を減らすには不十分だからである。上限値は特に限定しないが、取り扱いやすさ等の点から20質量%程度が適当である。
細胞処理液の溶媒としては、システイン系化合物と化学変化しないものであればよく、単なる水であってもよいし、生理食塩水であってもよいし、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)、トリス等の緩衝液であってもよい。また、30〜60質量%のアルコール水溶液であってもよい。アルコールとしては、特に限定しないが、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどを用いることができる。
本発明に用いられるシステイン系化合物としては、メチルシステイン、アセチルシステイン、L−システインなどが挙げられる。後述するように、本発明の細胞処理液の目的は、免疫細胞化学を利用したフローサイトメトリーにかけられるような細胞検体を作製するために粘液を除去することであるから、例えば特公平7ー46101号公報の第5欄で説明されているように、DNA蛍光染色液成分であるヘマトポルフィリンとの反応を考慮する必要がなく、アセチルシステインを使用することができる。
システイン系化合物は、粘液を構成しているムコタンパク質のジスルフィド結合(S−S結合)を切断して二次構造をほどき、粘度を低下させて溶解させている。
次に、本発明の粘液除去方法について説明する。
本発明の粘液除去方法は、粘液で凝着した細胞群に、上記本発明の細胞処理液を接触させる工程を含んでいる。
処理液との反応条件は、特に限定せず、細胞に影響与えない条件で行えばよい。具体的には、室温で行うことが好ましく、反応時間は、1分以上が好ましい。
反応終了後、細胞を回収、洗浄すれば、細胞診に適した検体を得ることができる。
細胞の回収は、例えば、細胞処理後の懸濁液を、遠心分離機等にかけて細胞を分離することにより行う。また、細胞の洗浄は、PBS等の緩衝液で細胞を懸濁させ、分離した後、上清を除去するという操作を繰り返すことにより行う。
粘液除去後の細胞検体に蛍光抗体染色を施すことにより、細胞表面に付着していた粘液に基づく標識抗体の非特異的吸着を減らして、目的の細胞のみを蛍光標識することができる。その結果、フローサイトメトリーに適用した場合のノイズを減らすことができる。
尚、検体がフローサイトメトリーに適用される場合には、蛍光抗体染色を施すが、検体から塗抹標本を作成して形態観察を行う場合には、ギムザ染色やパパニコロウ染色を施してもよい。
次に、本発明の細胞保存液について説明する。
本発明の細胞保存液は、好ましくはアルコール含有率30〜60質量%及びシステイン系化合物5質量%以上の水溶液からなる。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコールを用いることができる。
アルコール含量が30質量%未満では、細胞を長期保存することができず、60質量%超では、粘液が除去されたにもかかわらず、細胞の凝集が起こって、フローサイトメトリーの適用に支障をきたすからである。
システイン系化合物としては、上記本発明の細胞処理液で用いることができるようなシステイン系化合物を用いることができる。
システイン系化合物の含有濃度を5質量%以上とするのは、5質量%未満では、子宮頸部等の粘液で凝集した細胞群の粘液除去に不十分だからである。一方、システイン系化合物を高濃度に含有しても、検体の細胞の形態に影響を及ぼさないので、細胞保存液としての役目を果たす。
尚、細胞保存液は、アルコール、システイン系化合物の他、適宜、pH調整のための緩衝液、キレート剤等を含んでもよい。
以上のような構成を有する細胞保存液は、子宮頸部表面を擦過して採取されたような細胞群、すなわち粘液で凝集した細胞群を保存するのに好適である。
すなわち、本発明の細胞保存液は、粘液で凝集した細胞群の粘液を除去する作用を有しているので、生体から得られた検体が検査センターに輸送されて、検査に供されるまでの間に、余分な粘液を除去し、細胞の凝集を防止した状態となっている。しかも、病院等で検体を採取していから、実際に検査に供されるまで、長い場合には3週間程度保存されるが、本発明の保存液は、3週間程度保存しても、細胞形態に影響を与えない。
従って、採取した細胞群を本発明の細胞保存液で保存しておけば、特別の処理を行うことなく、免疫細胞化学を利用した抗体染色に供することができる。また、本発明の保存液は、保存中に個々の細胞形態に影響を与えないので、フローサイトメトリーのように、個々の細胞形態を観察する検査用の細胞保存液として有用である。またフローサイトメトリーに限定されず、従来の塗抹標本作製及び顕微鏡観察による検査用の細胞を提供する場合の保存液としても好適である。
〔子宮頸部細胞診用臨床検体における粘液除去効果〕
30〜60質量%メタノールベースの緩衝保存液(Cytyc社製のPreservCyt(商品名))に保存された臨床検体の子宮頸部細胞群を、1.5mlの遠心チューブに移した(約1×10cell/サンプル)。
保存液を遠心分離機(10000rpm、1分、4℃)にかけて細胞を分離し、上清を除去した。
採集した細胞に、0.1%Tween20(シグマ社)と0.01Mリン酸緩衝液(シグマ社のPBS、pH7.4)の混合液(以下、この混合液を「PBS−T」という)1mlを添加して、細胞を再懸濁した。
再度、遠心分離機(10000rpm、1分、4℃)にかけて細胞を分離し、上清を除去して細胞を回収することにより、細胞を洗浄した。洗浄した細胞を、500μlの保存液に、再懸濁した。
細胞処理液として、N−アセチル−L−システイン(以下「AcCys」と略記)含量が10質量%の水溶液を調製した。この細胞処理液を、上記で得た細胞懸濁液に添加して、AcCys濃度が、0.625質量%、1.25質量%、2.5質量%、又は5質量%となるサンプルB〜Eを作成した。比較例のため、AcCysを含有しない処理液を用いたサンプルAを作成した。
各サンプルについて、常温で1分間反応させた後、保存液PreservCytを更に500μl添加し、AcCys濃度を低減することにより反応を停止させた。
次いで、反応終了液を遠心分離機の(10000rpm、1分、4℃)にかけて細胞を分離し、上清を除去して細胞を回収した。
細胞を1mlのPBS−Tに再懸濁し、再度、遠心分離機の(10000rpm、1分、4℃)にかけて細胞を分離し、上清を除去して、細胞を洗浄した。この洗浄操作を2回繰り返した。
回収した細胞を100%メタノール300μlに懸濁し、サイトスピンを用いてスライドガラスに貼り付けた。その後、5%ギムザ染色液(シスメックス社製)を用いて15分間染色した後、PBSで十分に洗浄し、光学顕微鏡にて観察したところ、サンプルA〜E各サンプルについて図1〜5に示すような写真を得た。
また、AcCys濃度が5質量%となるように添加したサンプルFを作成し、反応時間を24時間に変えた場合についても同様の操作を行い、得られた細胞を同様に染色して、観察した。顕微鏡写真結果を図6に示す。
AcCys含有率が5質量%未満となるような細胞処理液で反応させた場合(サンプルA〜D)には、粘液部分を示す黒い塊が残存していたが、5質量%以上の処理液で処理した場合(サンプルE、F)には、粘液部分を示す黒い塊部分がなくなっており、粘液が溶解されたことがわかる。
また、AcCysで処理しなかった扁平上皮細胞と、5質量%AcCysで処理した扁平上皮細胞を、蛍光標識した抗NMP179抗体(正常子宮頸部扁平上皮以外の子宮頸部由来の細胞に反応)で染色し、顕微鏡で観察した各結果(蛍光像)を図7及び図8に示す。
未処理の場合(図7)には、蛍光が全体に広がっており(白っぽい部分が蛍光部分)、抗NMP179抗体が非特異的に結合していたことがわかる。一方、図8では、蛍光部分は中央の白点の一カ所だけになっており、特異的に染色されたことがわかる。
〔細胞処理液の細胞形態への影響〕
L−システイン濃度が5質量%。10質量%、20質量%となる細胞処理液を用いて、反応時間が1分及び5分の各場合について、臨床検体の細胞群を上記と同様にして処理し、細胞を観察した。5質量%。10質量%、20質量%の各サンプルの1分及び5分の結果を図9〜図14に示す。いずれの濃度の細胞処理液で5分間処理しても、1分間処理の場合と比べて細胞形態に影響を及ぼしていないことがわかる。
〔細胞保存液における細胞形態への影響〕
保存液(Cytyc社製のPreservCyt(商品名))に固定・保存された臨床検体の子宮頸部細胞群を、1.5mlの遠心チューブに採取した(約1×10cell/サンプル)。
50質量%アルコールを溶媒として、AcCys含有率10質量%の細胞保存液500μlを、上記細胞群に添加し、3週間、室温で保存した。
細胞保存液を遠心分離機(3500rpm、1分、4℃)にかけて細胞を分離し、上清を除去して採集した細胞に、PBS−Tを1ml添加して、細胞を再懸濁した。再度、遠心分離機(10000rpm、1分、4℃)にかけて細胞を分離し、上清を除去することにより、細胞を洗浄した。洗浄した細胞を、500μlの保存液に、再懸濁し、保存液をさらに500μl添加して、遠心分離機(10000rpm、1分、4℃)にかけて細胞を回収し、上清を除去した。回収した細胞に1mlのPBS−Tを添加して再懸濁し、遠心分離(10000rpm、1分、4℃)、上清除去による洗浄を2回繰り返した。
洗浄した細胞を100%メタノール300μlに懸濁し、サイトスピンを用いてスライドガラスに貼り付ける。その後、5%ギムザ染色液(シスメックス社製)を用いて15分間染色した後、PBSで十分に洗浄し、光学顕微鏡にて観察した。
保存開始から1週間後、3週間後の細胞の状態を観察した結果を図15、16に示す。また、参照例として、Cytyc社の保存液(AcCys含有せず)に3週間保存した後の細胞の観察結果を図17に示す。
従来の保存液に保存した場合(図17)には、粘液の塊が観察され、細胞が固まっていることがわかる。一方、本発明の保存液に保存された検体(図15、16)では、いずれも粘液が除去された細胞が分散しており、しかも細胞形態に影響を与えていないことがわかった。
本発明の除去方法及び除去液は、擦過により採集した子宮頸部のような粘液で凝集した細胞をフローサイトメトリーのように個々の細胞診に供する前の前処理として利用できる。
また、本発明の細胞保存液は、粘液除去といった前処理をしなくても検査センターでフローサイトメトリーに供したり、塗抹標本を作製するのに好適な細胞を提供できる細胞保存液として利用できる。

Claims (7)

  1. 粘液産生細胞を含む粘液付着細胞塊から粘液を除去するための処理液であって、
    システイン系化合物を5質量%以上含有する細胞処理液。
  2. 子宮頸部細胞を含む粘液付着細胞塊から粘液を除去するための処理液であって、
    システイン系化合物を5質量%以上含有する細胞処理液。
  3. 前記処理液の溶媒は、水、生理食塩水及びpH4〜7に保つ緩衝剤からなる群より選択される1種以上である請求項1に記載の処理液。
  4. 前記処理液の溶媒は、水、生理食塩水及びpH4〜7に保つ緩衝剤からなる群より選択される1種以上である請求項2に記載の処理液。
  5. 子宮頸部細胞を含む粘液付着細胞塊を保存する保存液であって、
    アルコールの含有率30〜60質量%及びシステイン系化合物の含有率5質量%以上の水溶液である細胞保存液。
  6. 子宮頸部細胞を含む粘液付着細胞塊を、システイン系化合物5質量%以上含有する細胞処理液と接触させる工程を含む細胞表面の粘液除去方法。
  7. 子宮頸部細胞を含む粘液付着細胞塊を、システイン系化合物5質量%以上含有する細胞処理液と接触させて粘液を溶解させる工程;
    溶解した粘液を含む液と処理後の細胞を分離する工程;及び
    分離した細胞を洗浄する工程
    を含む粘液除去方法。
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