JPH10323183A - 細胞保護液 - Google Patents

細胞保護液

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JPH10323183A
JPH10323183A JP9114548A JP11454897A JPH10323183A JP H10323183 A JPH10323183 A JP H10323183A JP 9114548 A JP9114548 A JP 9114548A JP 11454897 A JP11454897 A JP 11454897A JP H10323183 A JPH10323183 A JP H10323183A
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acetylcysteine
cell
chamber
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JP9114548A
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English (en)
Inventor
Shinsaku Naito
真策 内藤
Masaru Kobayashi
勝 小林
Seiichiro Iguchi
誠一郎 井口
Masuhiro Nishimura
益浩 西村
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】細胞との接触により障害、損傷等を惹起させ
ず、長期生存を可能とする細胞保護液、特に複室容器に
収容された形態の細胞保護液を提供。 【解決手段】N−アセチルシステイン及び/又はN,N
−ジアセチルシスチンを含有する、組織洗浄液、人工髄
液、眼内灌流液等の細胞保護液、特に複室容器に収容さ
れた上記細胞保護液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は細胞保護液、即ち例
えば組織洗浄液、人工髄液、組織灌流液、眼内灌流液等
の細胞と直接接触させて利用される液であって且つこの
接触によっても、該細胞に障害、損傷等を殆ど惹起させ
ることなく、長期生存を可能とする新しい細胞保護のた
めの細胞保護液に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、臓器移植等において臓器の保存技
術は著しい進歩を遂げてきた。臓器保存液の分野におい
ても種々の研究、改善がなされてきており、例えば、リ
ンゲル液、コリンズ液、ユーロコリンズ液〔「移植」第
22巻第3号第185頁、1987年〕、UW液〔特開
平1−246201号公報〕、PFC乳液と改変リンゲ
ル液とヒト血清アルブミンとからなる混合液〔特開昭5
5−51016号公報〕等が開発、提案されている。
【0003】また、人工髄液や組織灌流液等の分野にお
いても、例えば「注射用人工髄液の製造法」(特開昭5
0−82224号公報)、「眼内灌流液」(特開平7−
97331号公報)、「人工房水の製造法」(特開昭5
6−86115号公報)等の各種の研究、改良が試みら
れている。
【0004】しかしながら、細胞外液と同一組成の薬液
を人工的に製造することは、現在不可能であり、上記開
発、提案されている各種の保存液等は、いずれもその利
用時に、これと接触する細胞に細胞障害を惹起させ、そ
の結果、細胞を損傷させて比較的速やかに死滅させると
いう致命的欠点を有している。
【0005】従って、之等の臓器保存液、人工髄液、組
織灌流液等の分野においては、細胞障害のより少ない細
胞保護液の開発、提供が要望されている。
【0006】更に、眼内灌流液の分野では、現在、「ビ
ーエスエスプラス」(商品名、輸入販売元:参天製薬株
式会社)が市販されており、これは内容25ml程度の
ガラス瓶にオキシグルタチオンとブドウ糖との混合溶液
20mlを収容したものと、内容600ml程度のガラ
ス瓶にHCO3 -を含む電解質液480mlを収容したも
のとを組み合わせた所謂組合せ剤の形態をとっている。
このため、該眼内灌流液は、その使用時に2液を混合溶
解する必要があり、この作業が煩雑であるに加えて、こ
の混合溶解時に薬液汚染の危険がある欠点もある。
【0007】尚、上記眼内灌流液とは技術分野を異にす
るが、輸液分野においては、上記の如き2種以上の薬液
の混合溶解時の煩雑さや汚染等の問題を解消する手段と
して、柔軟性を有するプラスチック容器本体に適宜連通
可能な仕切手段を設けたもの、例えば弱シールにより複
数室に区画してなる複室容器(所謂ダブルバッグ)が開
発されている。これによれば、使用時にいずれかの室を
手で押す等の簡単な押圧操作を行なうだけで両室を隔て
ている弱シール部が破壊されて両室が連通され、汚染等
の危険を伴うことなく各室に収容された薬液を混合でき
る。
【0008】しかしながら、上記ビーエスエスプラスの
場合、かかるダブルバッグを利用して、その一室にオキ
シグルタチオンとブドウ糖との混合液を収容し、他室に
電解質液を収容することはできない。なぜなら、このも
のでは加熱滅菌時にオキシグルタチオンとブドウ糖とが
メイラード反応によって結合して薬液を褐色とする褐変
現象が生じるからである。
【0009】このメイラード反応を防止するために、オ
キシグルタチオン溶液とブドウ糖溶液とを別々の室に収
容する、即ち、オキシグルタチオンかブドウ糖のいずれ
か一方を電解質液と同室に収容することも考えられる
が、前2者はいずれもpHが7以下で安定であり、かか
るpHを設定する必要があるのに対して、後者の電解質
液はHCO3 -及び/又はPO4 3-を含み、pHを7.4
程度として混合使用時に生理的なpHとなるようにする
必要があり、この点より上記各液を別々の室に収容する
ことは液のpH面より不可能である。
【0010】このように、ビーエスエスプラスは、現在
も組合せ剤からその剤形を変更できず、前述した混合操
作の煩雑さ、薬液汚染の問題を解消できない不利があ
り、かかる眼内灌流液の分野において上記組合せ剤の欠
点を改良する技術の開発が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の細胞保護液に認められる欠点を悉く解消した、改
良された細胞保護液を提供することにある。
【0012】本発明者らは上記目的より鋭意研究を重ね
た結果、従来のこの種細胞保護液中にN−アセチルシス
テイン及び/又はN,N−ジアセチルシスチンを添加配
合する場合には、該液との接触による細胞の障害の程度
が著しく低減されることを見出した。また、本発明者ら
は、眼内灌流液に上記N−アセチルシステイン及び/又
はN,N−ジアセチルシスチンの添加配合を応用すると
きには、得られる液はダブルバッグに収容しても公知の
眼内灌流液に見られる如き前述した欠点を認められない
ことも見出した。本発明は、之等の知見に基づいて完成
されたものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、N−ア
セチルシステイン(以下「NAC」という)及び/又は
N,N−ジアセチルシスチン(以下之等を「NAC類」
という)を含有することを特徴とする細胞保護液、特に
組織洗浄液、人工髄液、組織灌流液、眼内灌流液、組織
保存液等の細胞保護液が提供される。
【0014】また本発明によれば、(1)一室にブドウ糖
が収容され、他室にHCO3 -及び/又はPO4 3-を含む
電解質液が収容されてなる複室容器の上記一室及び他室
の少なくとも一室に更にNAC類が収容されてなること
を特徴とする細胞保護液、(2)複室容器の上記一室及び
他室にそれぞれNAC類が収容されてなる上記細胞保護
液、(3)複室容器の一室にNAC類、Mg2+及びCa2+
を含む電解質液又はNAC類、ブドウ糖、Mg2+及びC
2+を含む電解質液が収容され、他室にHCO3 -及び/
又はPO4 3-を含む電解質液が収容されてなる細胞保護
液、(4)複室容器の他室に更にNAC類が収容されてな
る上記(3)の細胞保護液、(5)複室容器の一室にブドウ
糖、Mg2+及びCa2+を含む電解質液が収容され、他室
にNAC類と共にHCO3 -及び/又はPO4 3-を含む電
解質液が収容されてなる細胞保護液、及び(6)複室容器
の一室に更にNAC類が収容されてなる上記(5)の細胞
保護液が提供される。
【0015】本発明細胞保護液は、細胞との直接接触に
よっても、該細胞に障害、損傷等を殆ど惹起させず、従
来のこの種の液に見られる重大な欠点である細胞障害作
用を見事に防止乃至抑制したものであり、細胞の長期生
存を可能とする新しい薬液として各種の分野で有効であ
る。殊に、本発明により提供される複室容器に収容され
た形態の細胞保護液は、混合操作の煩雑さや薬液汚染の
問題を解消した新しい薬液として、特に眼内灌流液の分
野で有効である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明細胞保護液には、細胞と直
接接触する形態で用いられる各種の液が包含される。そ
の代表例としては、組織洗浄液、人工髄液、組織灌流
液、眼内灌流液、組織保存液等を例示できる。
【0017】本発明では、かかる従来から知られている
各種細胞保護液中にNAC類を添加配合することを必須
とし、これに基づいて本発明所期の効果を奏し得る。上
記本発明細胞保護液中に添加配合されるNAC類は、細
胞保護液中に0.1〜10mMの濃度となる範囲で含有
されるのがよく、好ましくは0.2〜5mM、より好ま
しくは0.3〜3mMの濃度となる範囲で含有されるの
がよい。
【0018】本発明細胞保護液は、上記NAC類の添加
配合を除いては、従来の各種細胞保護液と同様にして、
種々の成分を用いて通常の方法により調製できる。例え
ば組織洗浄液や組織灌流液の場合は、主に生理食塩水、
リンゲル液等を用い、適当な電解質、例えばHCO3 -
PO4 3-等を含む電解質を加え、之等に上記NAC類の
所定量を添加配合して調製される。上記各液組成の代表
例としては、生理食塩水溶液では、Na+154mEq
/l及びCl-154mEq/lを、乳酸リンゲル液で
は、Na+130mEq/l、K+4mEq/l、Ca+
3mEq/l、Cl-109mEq/l及びLactate-
8mEq/lを例示することができる。
【0019】人工髄液としても、公知の各種のもの、例
えば下記組成のエリオットB液(Elliott B)の処方を
利用することができ、本発明人工髄液は、之等の処方に
更に所定量のNAC類を添加配合し、また必要に応じて
ブドウ糖(グルコース)を添加して、調製される。
【0020】 Na+ (mEq/l) 149 K+ (mEq/l) 4.0 Mg2+(mEq/l) 2.4 Ca2+(mEq/l) 2.7 Cl- (mEq/l) 132 HCO3-(mEq/l) 22.6 P (mEq/l) 1.5 グルコース(mg/dl) 80 pH 7.0〜7.4 上記人工髄液や眼内灌流液の場合には、またブドウ糖と
HCO3 -やPO4 3-を別々の容器に収容し、そのいずれ
か又は両者にNAC類を収容して2液型として調製する
こともできる。この場合、更に必要に応じてブドウ糖を
収容した容器中にMg2+やCa2+を添加収容させてもよ
い。
【0021】本発明細胞保護液が眼内灌流液の場合は、
特に現在輸液容器として実用されているダブルバッグを
利用して、これに本発明保護液を充填した形態に調製す
ることもできる。この場合、ダブルバッグの一室にブド
ウ糖を収容し、他室にHCO3 -及び/又はPO4 3-を含
む電解質液を収容し、NAC類をその少なくとも一室に
収容する。
【0022】殊に、本発明に利用するNAC類は、シス
テイン又はシスチンがアセチル化されたものであるた
め、従来用いられているオキシグルタチオンとは異なっ
て、ブドウ糖と同じ室に収容して滅菌してもメイラード
反応を起こす危険はなく、またpHが7.4程度の電解
質と同室に収容しても、pHが7以下でしか安定でない
上記オキシグルタチオンとは異なって、pHが8程度ま
では安定であるため、分解等を起こす危険もない利点が
ある。更に、上記眼内灌流液には必要に応じて、常法に
従ってMg2+やCa2+を、ブドウ糖を収容した室に添加
配合することができる。
【0023】このように、本発明細胞保護液は、眼内灌
流液として調製される場合、従来この分野では達成でき
なかった複室容器への収容が可能となり、これによっ
て、2種以上の液の混合溶解の煩雑さや薬液汚染の問題
を全て解消できる利点がある。
【0024】かくして調製される本発明細胞保護液は、
従来のこの種液と同様にして、各種の細胞と接触する用
途に利用される。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例及び試験例を示すが本
発明は之等に限定されるものではない。
【0026】
【実施例1】眼内灌流液の調製 薬液1リットル中に下記各成分を含む眼内灌流液を、次
の処方(各成分の混合)により調製した。
【0027】 炭酸水素ナトリウム 2.52g リン酸一水素ナトリウム 0.42g 塩化ナトリウム 7.08g 塩化カリウム 0.38g 塩化マグネシウム・6水塩 0.20g 塩化カルシウム・2水塩 0.15g グルコース 0.92g NAC 0.049g(0.3mM)
【0028】
【実施例2】眼内灌流液の調製 ダブルバッグの下室(口部を有する室)に下記各成分を
含む下室液350mlを、また上室(口部を有さない
室)に下記各成分からなる上室液150mlを充填して
なる眼内灌流液を次の通り調製した。
【0029】 下室液(350ml) 炭酸水素ナトリウム 1.26g リン酸一水素ナトリウム 0.21g 塩化ナトリウム 3.54g 塩化カリウム 0.19g 上室液(150ml) 塩化マグネシウム・6水塩 0.10g 塩化カルシウム・2水塩 0.075g グルコース 0.46g NAC 0.025g(0.3mM) 即ち、炭酸水素ナトリウム360g、リン酸一水素ナト
リウム60g、塩化ナトリウム1011g及び塩化カリ
ウム54.3gに注射用水に加えて之等を溶解して下室
液100リットルを調製した。この液に炭酸ガスを吹き
込みpHを7.2に調整し、メンブランフィルター(日
本ポール社、孔径0.2μm)で濾過し、ポリエチレン
製ダブルバッグの下室に350ml充填し、閉塞した。
【0030】別途、注射用水を煮沸後、窒素ガス雰囲気
下で冷却した液80リットルに、塩化カルシウム・2水
塩50g、塩化マグネシウム・6水塩66.7g、グル
コース306.7g及びNAC16.3gを溶解させた
後、更に注射用水を加えて100リットルとして上室液
を調製した。この液を窒素ガス雰囲気中でメンブランフ
ィルター(日本ポール社、孔径0.2μm)で濾過し、
先に下室液を充填済みのダブルバッグの上室に150m
l充填し、空間部を窒素ガスで置換した後、閉塞した。
【0031】かくして、薬液充填済みのダブルバッグを
窒素ガス中で、熱水シャワー滅菌した後、延伸ナイロ
ン、ポリビニルアルコール及びポリエチレンのラミネー
トフィルムからなる袋に、炭酸ガスと窒素ガスとの混合
ガスと酸素吸収剤(三菱ガス化学社、「エージレス」)
と共に封入して、眼内灌流液収容ダブルバッグ製品を得
た。
【0032】
【実施例3】人工髄液の調製 薬液1リットル中に下記各成分を含む人工髄液を、次の
処方(各成分の混合)により調製した。
【0033】 炭酸水素ナトリウム 1.94g リン酸二水素カリウム 0.15g 塩化ナトリウム 7.15g 塩化カリウム 0.13g 塩化マグネシウム・6水塩 0.22g 塩化カルシウム・2水塩 0.17g グルコース 0.61g NAC 0.049g(0.3mM)
【0034】
【実施例4】人工髄液の調製 ダブルバッグの下室(口部を有する室)に下記各成分を
含む下室液700mlを、また上室(口部を有さない
室)に下記各成分からなる上室液300mlを充填して
なる人工髄液製品を、実施例2と同様にして調製した。
【0035】 下室液(700ml) 炭酸水素ナトリウム 1.94g リン酸二水素カリウム 0.15g 塩化ナトリウム 7.15g 塩化カリウム 0.13g 上室液(300ml) 塩化マグネシウム・6水塩 0.22g 塩化カルシウム・2水塩 0.17g グルコース 0.61g NAC 0.049g(0.3mM)
【0036】
【試験例1】NACの細胞保護効果試験 (1)試験方法 ヒト正常アストロサイト(CCK−2565、岩城硝子
株式会社、以下単に「アストロサイト」という)は、胎
児を起源とした神経細胞であり、入手時の生細胞比率は
75〜82%(人種及び性別不明の21〜22週胎児由
来)であった。本試験は、アストロサイト細胞種、専用
培地及び専用継代用試薬のキット(いずれも岩城硝子株
式会社製)を用い、継代培養したアストロサイトを組織
培養用マイクロプレート(岩城硝子株式会社)に移して
試験に供した。
【0037】アストロサイトは、エネルギー源としてブ
ドウ糖を盛んに取り込んでおり、この生理活性が細胞保
護効果の指標となるが、ブドウ糖は代謝分解されて細胞
外に排出されるため、該ブドウ糖と同様に細胞内に取り
込まれるものの、代謝分解を受けずに細胞内に滞留し、
細胞の生理活性を定量的に検出できるデオキシ−D−グ
ルコースのトリチウム標識体を指標として本試験に利用
し、その放射活性測定を行なった。
【0038】眼内灌流液が用時に細胞表面に直接適用さ
れることを考慮して、生理食塩液を対照として、0.1
〜10mMのNACの生理食塩溶液を、37℃の恒温培
養条件でアストロサイトに3時間暴露させた。
【0039】尚、この処置はアストロサイトを培養して
いる専用培地をNAC試験液と置換する手法を採用して
実施した。この暴露直後に、又はその後に元の培地に戻
して24時間の培養を行なった後に、終濃度が74kB
q/mlになるようにトリチウム標識デオキシ−D−グ
ルコース(259GBq/mmol)を含むアストロサ
イト専用培地を添加して1時間細胞を培養し、培養細胞
を可溶化して放射能を測定した。
【0040】試験結果は、試験期間をアストロサイト専
用培地で培養した対照実験の測定値を100%とした相
対値を算出し、これを得られるブドウ糖取り込み量変化
として判定した。
【0041】(2)結果 得られた結果(%、n=3、平均±SD)を下記表1に
示す。
【0042】
【表1】
【0043】表1より、アストロサイトのブドウ糖取り
込み活性は、生理食塩液による暴露直後の測定で、正常
培養の23%に低下(24時間後では33%に低下)
し、細胞死を含む細胞障害が惹起されているものと推定
されたが、0.1mMのNACの添加によれば、上記活
性が弱いながらも上昇(暴露直後29%、24時間後3
7%)し、これはNACの用量の増加に相関して上昇し
た。このことから、NACは、生理食塩水に起因する細
胞障害に対して、細胞保護効果を奏することが確認され
た。また、NACの上記細胞保護効果は、24時間後の
結果の方が良好なことから、一時的なものではなく、永
続的なものであることも確認された。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−アセチルシステイン及び/又はN,
    N−ジアセチルシスチンを含有することを特徴とする細
    胞保護液。
  2. 【請求項2】 組織洗浄液である請求項1に記載の細胞
    保護液。
  3. 【請求項3】 人工髄液である請求項1に記載の細胞保
    護液。
  4. 【請求項4】 組織灌流液である請求項1に記載の細胞
    保護液。
  5. 【請求項5】 眼内灌流液である請求項1に記載の細胞
    保護液。
  6. 【請求項6】 組織保存液である請求項1に記載の細胞
    保護液。
  7. 【請求項7】 一室にブドウ糖が収容され、他室にHC
    3 -及び/又はPO4 3-を含む電解質液が収容されてな
    る複室容器の上記一室及び他室の少なくとも一室に更に
    N−アセチルシステイン及び/又はN,N−ジアセチル
    シスチンが収容されてなることを特徴とする請求項1〜
    6のいずれかに記載の細胞保護液。
  8. 【請求項8】 複室容器の一室及び他室にそれぞれN−
    アセチルシステイン及び/又はN,N−ジアセチルシス
    チンが収容されてなる請求項7に記載の細胞保護液。
  9. 【請求項9】 複室容器の一室にN−アセチルシステイ
    ン及び/又はN,N−ジアセチルシスチン、Mg2+及び
    Ca2+を含む電解質液又はN−アセチルシステイン及び
    /又はN,N−ジアセチルシスチン、ブドウ糖、Mg2+
    及びCa2+を含む電解質液が収容され、他室にHCO3 -
    及び/又はPO4 3-を含む電解質液が収容されてなる請
    求項2〜7のいずれかに記載の細胞保護液。
  10. 【請求項10】 複室容器の他室に更にN−アセチルシ
    ステイン及び/又はN,N−ジアセチルシスチンが収容
    されてなる請求項9に記載の細胞保護液。
  11. 【請求項11】 複室容器の一室にブドウ糖、Mg2+
    びCa2+を含む電解質液が収容され、他室にN−アセチ
    ルシステイン及び/又はN,N−ジアセチルシスチンと
    共にHCO3 -及び/又はPO4 3-を含む電解質液が収容
    されてなる請求項2〜7のいずれかに記載の細胞保護
    液。
  12. 【請求項12】 複室容器の一室に更にN−アセチルシ
    ステイン及び/又はN,N−ジアセチルシスチンが収容
    されてなる請求項11に記載の細胞保護液。
  13. 【請求項13】 N−アセチルシステイン及び/又は
    N,N−ジアセチルシスチンが細胞保護液中に0.1〜
    10mMの濃度範囲で含有される請求項1〜12のいず
    れかに記載の細胞保護液。
  14. 【請求項14】 N−アセチルシステイン及び/又は
    N,N−ジアセチルシスチンが細胞保護液中に0.2〜
    5mMの濃度範囲で含有される請求項1〜12のいずれ
    かに記載の細胞保護液。
  15. 【請求項15】 N−アセチルシステイン及び/又は
    N,N−ジアセチルシスチンが細胞保護液中に0.3〜
    3mMの濃度範囲で含有される請求項1〜12のいずれ
    かに記載の細胞保護液。
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