JPWO2005013418A1 - パッチアンテナ - Google Patents

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Abstract

パッチアンテナ(10)は、誘電体基板(12)と、その両面に形成されるパッチ導体(14)および地導体(18)を含む。誘電体基板の下面には段差(16)が形成され、したがって、パッチ導体の長さ方向においてパッチ導体と地導体との間隔が不均一となる。パッチ導体の長さ方向においてパッチ導体と地導体との間隔を不均一にすることによって、その方向の放射効率およびアンテナ利得が変化し、指向性が非対称となる。

Description

この発明はパッチアンテナに関し、特にたとえば、携帯電話機に利用される、誘電体基板の各主面に形成された地導体およびパッチ導体を有し、非対称な指向性を有するパッチアンテナに関する。
従来技術
携帯電話機では、人間の頭部に接近して使用するため、その頭の影響でアンテナ利得が低下する。そこで、人体との結合による影響を小さくするために、人体(頭)の方向とそれ以外の方向とで指向性を非対称にすることが考えられる。
非対称な指向性が得られるパッチアンテナの一例が特開平8−186437号公報[H01Q 21/28,G01S 7/03,H01Q 13/08,21/06](特許文献1)および特開平10−270932号公報[H01Q 13/08,19/10](特許文献2)に開示されている。
特許文献1の先行技術は、低周波用パッチアンテナの上に高周波用フェーズドアレイアンテナを構成したものである。低周波用パッチアンテナで広い指向性を得て、高周波用フェーズドアレイアンテナで所定方向への指向性を得ることで、任意の指向性を設計または設定することができる。
特許文献2の先行技術は、パッチアンテナ素子から一定の間隔離れた位置に同じ形状寸法の無給電素子を取り付けたものである。無給電素子が反射板の役目を持ちアンテナパターンを任意の方向に反射させて非対称の指向性を得る。
特許文献1の先行技術では構成が複雑になるばかりでなく、たとえば携帯電話機のような比較的低い周波数では寸法が大きくなり過ぎて利用できない。また、特許文献2の先行技術では、2つのパッチ間に約1/2波長の距離を持たせなければならないが、これをたとえば携帯電話機の周波数、たとえば2GHzで計算すると約7.5cmもの長さになってしまう。したがって、特許文献1の先行技術と同様に、内蔵場所に制約ができるので携帯電話機などの小型機器に適用するのが難しい。
発明の概要
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、パッチアンテナを提供することである。
この発明の他の目的は、非対称指向性を有し、しかも小型化可能な、パッチアンテナを提供することである。
この発明は、誘電体基板と、この誘電体基板の一方主面に形成される地導体と、誘電体基板の他方主面に形成されるパッチ導体とを含むパッチアンテナにおいて、パッチ導体の波長依存長さ方向において放射効率を変化させたことを特徴とする、パッチアンテナである。
パッチ導体の波長依存長さ方向において放射効率を変化させることによって、当該方向におけるアンテナ指向特性が変化し、非対称な指向性を得ることができる。
この発明によれば、放射効率を変化させるだけで非対称指向性が得られるので、従来技術のフェーズドアレイアンテナや反射用の無給電素子を用いる必要がなく、小型化が可能である。
或る実施例では、放射効率を変化させるために、パッチ導体と地導体との間隔をその波長依存長さ方向において不均一にする。
また、他の実施例では、パッチ導体と地導体との間隔を不均一にするために、誘電体基板の波長依存長さ方向において厚みを変化させる。
そして、さらに他の実施例では、放射効率を変化させるために、波長依存長さ方向において誘電体基板の誘電率を変化させる。
なお、パッチ導体の上に誘電体を装荷することによって、アンテナのパッチ導体の波長依存長さ方向の長さを短くし、全体としてコンパクトなパッチアンテナが得られる。
このようなパッチアンテナを携帯電話機に内蔵する場合、上述のパッチ導体の波長依存長さ方向の長さが携帯電話機のハウジングの厚み方向に沿うように配置し、さらに、放射効率が大きい側を、人間の頭に接する側とは反対側に向くようにする。そうすれば、人間の頭との結合に起因するアンテナ利得低下を効果的に減少できる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1はこの発明の一実施例のパッチアンテナを示す斜視図である。
図2は図1実施例のパッチアンテナの側面図である。
図3は図1実施例で実験して計測した放射効率の変化を示すグラフである。
図4は図1実施例で計算したアンテナ利得の変化を示す図解図である。
図5は図1実施例で得られるE面の放射パターンを示す図解図である。
図6は一般的なパッチアンテナのE面の放射パターンを示す図解図である。
図7は図1実施例の変形例を示す図解図である。
図8は図1実施例の他の変形例を示す図解図である。
図9は図1実施例のさらに他の変形例を示す図解図である。
図10はこの発明の他の実施例を示す図解図である。
図11はこの発明のさらに他の実施例のパッチアンテナを示す斜視図である。
図12は図11実施例のパッチアンテナの側面図である。
図13はこの発明のその他の実施例のパッチアンテナを示す斜視図である。
図14は図13実施例のパッチアンテナの側面図である。
図15はこの発明のパッチアンテナを内蔵した携帯情報端末の一例を示す図解図である。
図1および図2に示すこの実施例のパッチアンテナ10は、誘電体からなる基板12を含む。実施例では、誘電体基板12はアルミナであり、その誘電率(εr)はたとえば9.7である。ただし、誘電体基板12としては、他のセラミック誘電体が用いられてもよく、セラミック誘電体以外の誘電体が用いられてもよい。そして、この実施例のパッチアンテナ10の寸法は、全体としては、幅50mm×長さ60mm×厚み4mm程度の大きさである。ただし、このサイズは単なる一例であり、誘電率や周波数に応じて変化する。
誘電体基板12の上面には、その幅方向の中央に、たとえば銅のような金属からなる幅10mmのパッチ導体14が形成される。また、パッチ導体14の長さはこのアンテナの使用波長(周波数)によって決まり、この実施例のパッチアンテナ10は周波数帯が2GHzの携帯電話機に用いるため、パッチ導体14の長さは25mmとされる。このように波長に依存する長さを、波長依存長さと呼ぶことがある。
そして、誘電体基板12の下面には、特に図2からよく分かるように、段差16が形成される。この段差16が形成される位置は、この実施例では、上記波長依存長さ方向の誘電体基板12の長さを60mmとすると、その長さ方向において、誘電体基板12の左端から40mmの位置である。ただし、この段差16の位置も単なる一例であり、パッチ導体14の長さの範囲内、すなわちパッチ導体14の下なら適宜変更され得る。
そして、上述の段差16を有する誘電体基板12の下面には、パッチ導体14と同様の銅などの金属からなる地導体18がその全面に形成される。
さらに、誘電体12の下面側にコネクタ20が設けられ、このコネクタ20の外導体20aは地導体18に接続され、内導体20bは、地導体18および誘電体基板12を貫通して誘電体基板12の上面側にもたらされ、パッチ導体14に接続される。
誘電体基板12に上述のように段差16を形成することによって、パッチ導体14の長さ方向左側の22.5mmの範囲と、右側の2.5mmの範囲とで、パッチ導体14と地導体18との間の間隔が不均一となる。つまり、左側では、パッチ導体14と地導体18との間隔G1は4mmであるが、右側では、パッチ導体14と地導体18との間隔G2は1mmである。つまり、この実施例では、パッチ導体14の波長依存長さ方向において誘電体基板12の厚みが不均一とされている。
基板厚みを不連続または不均一としたとき、図3に示す実験結果によれば、基板厚みに応じて放射効率が変化することがわかる。図3では実線が誘電率(εr)が1の空気中における放射効率変化を示し、点線が誘電率9.7のアルミナ基板を用いた実施例の場合の放射効率の変化を示し、一点鎖線は誘電率37の基板を用いた場合の放射効率の変化を示す。このように、波長依存長さ方向の放射効率を変化させることによって、図4に示すようにアンテナ利得が非対称となり、したがって、図5に示すような非対称指向性が実現できる。ちなみに、図6が一般的なパッチアンテナの指向性を示すが、この図6では指向性は対称になっている。
図1および図2で示した実施例では、誘電体基板厚み(パッチ導体と地導体との間隔)を波長依存長さ方向で不均一とするために、段差16より右側の厚みを1mmと一定にした。しかしながら、図7に示す実施例のように、長さ方向の一部においてのみ基板厚みを薄くするようにしてもよい。つまり、この図7実施例では、段差16から段差17までの間の基板厚みG2が他の部分の基板厚みG1より小さくされる。実施例では、G1=4mmで、G2=1mmである。この図7の実施例でもパッチアンテナ10の長さ方向における放射特性は左右非対称になることが実験の結果確認されている。したがって、図7実施例においても、パッチアンテナ10は非対称指向性を有するものとなる。
さらに、先の2つの実施例ではいずれも、厚みが薄い部分の地導体18の厚みを厚くして、パッチアンテナ全体としては均一な厚み、たとえば4mmになるようにしたが、図8および図9に示すように、誘電体基板12の厚みの如何に拘わらず導体18の厚みを一定にするようにしてもよい。この場合には、当然、導体材料の節約になる。ただし、機械的強度が弱くなる。
さらに、上述の実施例では、放射特性を不均一にするために誘電体基板12の厚み、すなわちパッチ導体14と地導体18との間の間隔を不均一または不連続とした。しかしながら、図10の実施例のように、誘電率を長さ方向において不均一または不連続にするようにしてもよい。
詳しく述べると、図10に示すパッチアンテナ10において、誘電体基板12は、先の実施例の段差に相当する位置で誘電体率が不連続にされている。たとえば、左側の誘電体基板121はアルミナで形成しその誘電率はたとえば9.7とし、右側の誘電体基板122はたとえば高誘電率のセラミックスで形成しその誘電率をたとえば37とした。このようにパッチ導体14の波長依存長さ方向において誘電体基板12の誘電率を変化させても、その方向における放射特性を不均一にすることができ、したがって、非対称指向性を実現することができる。
なお、上述の実施例ではパッチアンテナのE面での非対称指向性を得た。しかしながら、この発明は、H面における非対称指向性を実現するためにも利用可能である。
先の実施例において、誘電体基板12を高比誘電率の材料で形成することによって、上述のアンテナサイズをさらに小型化することができる。具体的には、比誘電率が100以上の材料を用いるとよい。このような高比誘電率を用いて小型化したこの発明のさらに他の実施例が図11および図12に示される。
図11および図12に示す実施例では、比誘電率が100以上の誘電体材料からなる誘電体基板12を用い、誘電体基板12のサイズをたとえば7×12mmとした。
ただし、この図11および図12に示す実施例においても、パッチアンテナ10の、アンテナの長さ方向(パッチ導体14の波長依存長さ方向)において放射効率が変化されていることはもちろんである。具体的には、この実施例では、誘電体基板12に段差16が形成されている。
さらに小型化するために、図13および図14に示す実施例のパッチアンテナ10が提案される。
図13および図14に示す実施例では、誘電体基板12の材料として比誘電率が100以上の材料を用い、そのサイズを、たとえば10×5mmとした。そして、その誘電体基板12の上に、同じサイズのパッチ導体14を形成する。パッチ導体14の上に、誘電体基板12と同じかまたは同様の材料(高比誘電率)からなる誘電体シートまたはプレート22を装荷する。この装荷誘電体22のサイズも誘電体基板22と同じ、たとえば10×5mmとした。その他の部分は図13および図14に示す実施例のパッチアンテナ10と同様である。
ただし、この図13および図14に示す実施例においても、パッチアンテナ10の、アンテナの長さ方向(パッチ導体14の波長依存長さ方向)において放射効率が変化されていることはもちろんである。具体的には、この実施例でも、誘電体基板12に段差16が形成されている。
図11および図12に示す実施例または図13および図14に示す実施例のようにパッチアンテナ10の長さが10mm程度になれば、携帯電話機に内蔵することができる。
上で説明した実施例のパッチアンテナ10を携帯電話機に内蔵した状態が図15に示される。この携帯電話機100は、ハウジング102を含む。ハウジング102の一方側面、すなわち人間の頭(図示せず)と接近しまたは接する側の面には、たとえばLCDパネルからなるディスプレイ104が設けられ、その同じ面のディスプレイ104の下方に、キーボード106が配置される。したがって、ユーザは、ディスプレイ104を見ながらキーボード106を操作して、メールの送信や受信が可能である。
一方、ハウジング102内には必要な電子回路110(たとえばコンピュータチップやメモリ素子などを含む)をマウントした基板108が内蔵される。パッチアンテナ10は、好ましくは、この基板108上に取り付けられ、図示しないが、導線によって、電子回路110に接続される。ただし、携帯電話機においてアンテナがどのように接続されるかについては、よく知られたところであり、ここでは、それ以上の詳細な説明は省略する。パッチアンテナ10は、その長さ方向(パッチ導体14の波長依存長さ方向)がハウジング102の厚み方向と一致する方向に配置される。したがって、この実施例の携帯電話機100のハウジング102の厚みは、少なくとも10mm以上である。ただし、パッチアンテナ10の小型化がさらに進めば、それに応じて携帯電話機100のハウジング102の厚みも薄くすることができる。
この実施例の携帯電話機100で電話をかけるあるいは電話を受けるときには、一般的によく知られているように、ディスプレイ104の近傍に設けられたスピーカ(図示せず)を耳に当てて会話する。したがって、ディスプレイ104が設けられている側、すなわち人間の頭に接する側ではパッチアンテナ10は人体と結合することになる。
そこで、図15の実施例では、パッチアンテナ10の放射効率が大きくなる側、すなわち放射パターンが大きい側が、人間の頭に接する側とは反対側になるように、パッチアンテナ10が配置される。それによって、携帯電話機100のアンテナ特性が人体との結合の影響を受けにくくなる。
なお、図15の実施例では、携帯電話機100のハウジング102内上部にパッチアンテナ10を配置した。しかしながら、パッチアンテナ10の配置場所は、任意の位置でよく、たとえばハウジング102内の下端などが容易に考えられる。
さらに、図15の実施例では、携帯電話機100のハウジング102はストレート型のものであったが、折り畳み式(foldableまたはcollapsible)ハウジング、回転式(relatable)ハウジング、あるいはスライド式(slidable)ハウジングであってもよい。この場合にも、アンテナの収納場所は任意の可能な位置でよい。
この発明が詳細に説明され図示されたが、それは単なる図解および一例として用いたものであり、限定であると解されるべきではないことは明らかであり、この発明の精神および範囲は添付されたクレームの文言によってのみ限定される。

Claims (6)

  1. 誘電体基板と、この誘電体基板の一方主面に形成される地導体と、前記誘電体基板の他方主面に形成されるパッチ導体とを含むパッチアンテナにおいて、
    前記パッチ導体の波長依存長さ方向において放射効率を変化させたことを特徴とする、パッチアンテナ。
  2. 前記パッチ導体と前記地導体との間隔を前記波長依存長さ方向において不均一にした、請求項1記載のパッチアンテナ。
  3. 前記波長依存長さ方向において前記誘電体基板の厚みを変化させた、請求項2記載のパッチアンテナ。
  4. 前記波長依存長さ方向において前記誘電体基板の誘電率を変化させた、請求項1記載のパッチアンテナ。
  5. 前記パッチ導体の上に誘電体を装荷した、請求項1ないし4のいずれかに記載のパッチアンテナ。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載のパッチアンテナを内蔵した携帯電話機であって、
    前記携帯電話機はハウジングを含み、前記パッチアンテナは、前記波長依存長さ方向が前記ハウジングの厚み方向と一致し、かつ放射効率が大きくなる側を前記ハウジングの人間の頭と接する側とは反対側に向けるように配置した、携帯電話機。
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