JPWO2005010100A1 - 超微粒子含有樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、金属超微粒子あるいは半導体超微粒子の表面を重合体にて修飾した後、超微粒子を樹脂中に均一分散させる事により、従来材料にない優れた特徴を示す超微粒子含有樹脂組成物を提供することであり、特定のチオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下、不飽和単量体をラジカル重合後処理剤で処理することにより、片末端にメルカプト基を有する重合体を製造し、該重合体で超微粒子の表面を修飾した重合体修飾微粒子と樹脂とを混合することにより、超微粒子が樹脂中に均一に分散した樹脂組成物により達成される。
Description
本発明は、金属あるいは半導体の超微粒子が樹脂組成物中に均一分散した樹脂組成物及びその製造方法に関する。詳しくは、従来の金属あるいは半導体の粒子分散樹脂組成物よりも小さな粒子を樹脂組成物中に分散させることにより、超微粒子であるが故に発現する光学特性、熱・機械的特性、電気的特性、磁気特性、等を示す超微粒子含有樹脂組成物及びその製造方法に関する。
粒子径が1〜100nmの超微粒子は、通常の機械的な粉砕等によって製造される粒子径がマイクロメートル以上の粒子と比較して、さまざまな機械的、光学的、磁気的性質を有していること、化学的反応性に際立った差異が見られること等から注目されている。粒子径が小さくなるに従って物質のバルク状態には見られない現象としては、例えば、閉じ込め効果によるキャリアー運動エネルギーの増加、外部誘電効果、バンドギャップの増大、電子親和エネルギーの減少、イオン化ポテンシャルの増加、キャリアー再結合効率の向上等が挙げられる。これらの特異な物性は、EL素子や光導電素子、ピエゾ素子等の機能材料に応用されうる。超微粒子の特性を生かすためには通常、超微粒子が凝集・凝結せずに、均一に媒体中に分散されていることが望まれる。しかしながら、超微粒子は表面エネルギーが著しく大きいため、粒子同士の凝集や、凝集した粒子同士の結合が生じて大きな粒子となりやすいうえ、一旦凝集・凝結が起こり粒子径が増大してしまうと、再分散させることが極めて困難になる。さらに無機超微粒子の場合、粒子表面は極性が大きいため、極性の低い有機溶媒やポリマー等の有機媒体中へ分散させて用いることも困難である。なかでもポリマー等の重合体中に超微粒子を凝集しないよう均一に分散させることは、通常ポリマーと超微粒子との極性が著しく異なる上、ポリマーの溶液や溶融状態の粘度が高いため機械的な分散力を与えるのも容易ではないこと等から、一般的には非常に困難である。
従来、重合体中に超微粒子を均一分散させるためには、重合体存在下に粒子を合成する方法(例えば、S.Ogawa et al.,Jpn.J.Appl.Phys.,33,L331(1994),Q.Song et al.,J.Nanoparticle.Res.,2,381(2000)等)や、粒子存在下で粒子表面から重合体を重合する方法(例えば、T.K.Mandal et al.,Nano Lett.,2,3(2002),S.Hirano et al.,J.Eur.Ceram.Soc.,21,1479(2001)等)等、特殊な製造方法を用いる必要があった。このため、多くの優れた特徴を有しているにもかかわらず、超微粒子含有樹脂組成物は高価であり、かつ適用範囲も制限されてしまっており、それゆえ工業的に広く普及するまでには至っていないのが現状である。
一方で、有機チオール化合物が金属表面あるいは半導体表面と容易に結合する特徴を利用し、分子内にチオール基を有する化合物を用いた超微粒子表面の有機修飾方法も種々検討されており、例えば、特開平11−60581号公報、S.Huang et al.,J.Vac.Sci.Technol.,B 19,2045(2001)に示されるように、有機溶媒中で均一分散が可能な超微粒子を得ることも可能である。このような方法を用いれば有機溶媒中で安定的に分散可能な超微粒子を得ることができるものの、同様の手法を用いてポリマー等の重合体中に超微粒子を均一分散させようとしても、表面修飾剤と重合体との極性や粘度に差があるため、容易ではなかった。
このような問題を解決するため、例えば、M.K.Corbierr et al.,J.Am.Chem.Soc.,123,10411(2001)では、アニオン重合により分子量と末端基とが制御されたポリマーをまず重合し、この末端基をプロピレンスルフィドに一旦置換した上で、末端にメルカプト基を有するポリマーを得、このポリマーで金属超微粒子の表面を修飾することにより、ポリマー中への金属超微粒子均一分散を実現している。この方法は、予め重合されたポリマーと、予め合成された超微粒子とを、単純に混合するだけで超微粒子が均一分散した組成物を得られる点で非常に興味深い。しかしながら、このような方法で重合可能な重合体の種類は限定されるうえ、超微粒子修飾用重合体を得るまでには何段階もの末端置換反応を経る必要があるため、未だ汎用的に工業化可能な規模で適用できる技術であるとは言いがたい。
従来、重合体中に超微粒子を均一分散させるためには、重合体存在下に粒子を合成する方法(例えば、S.Ogawa et al.,Jpn.J.Appl.Phys.,33,L331(1994),Q.Song et al.,J.Nanoparticle.Res.,2,381(2000)等)や、粒子存在下で粒子表面から重合体を重合する方法(例えば、T.K.Mandal et al.,Nano Lett.,2,3(2002),S.Hirano et al.,J.Eur.Ceram.Soc.,21,1479(2001)等)等、特殊な製造方法を用いる必要があった。このため、多くの優れた特徴を有しているにもかかわらず、超微粒子含有樹脂組成物は高価であり、かつ適用範囲も制限されてしまっており、それゆえ工業的に広く普及するまでには至っていないのが現状である。
一方で、有機チオール化合物が金属表面あるいは半導体表面と容易に結合する特徴を利用し、分子内にチオール基を有する化合物を用いた超微粒子表面の有機修飾方法も種々検討されており、例えば、特開平11−60581号公報、S.Huang et al.,J.Vac.Sci.Technol.,B 19,2045(2001)に示されるように、有機溶媒中で均一分散が可能な超微粒子を得ることも可能である。このような方法を用いれば有機溶媒中で安定的に分散可能な超微粒子を得ることができるものの、同様の手法を用いてポリマー等の重合体中に超微粒子を均一分散させようとしても、表面修飾剤と重合体との極性や粘度に差があるため、容易ではなかった。
このような問題を解決するため、例えば、M.K.Corbierr et al.,J.Am.Chem.Soc.,123,10411(2001)では、アニオン重合により分子量と末端基とが制御されたポリマーをまず重合し、この末端基をプロピレンスルフィドに一旦置換した上で、末端にメルカプト基を有するポリマーを得、このポリマーで金属超微粒子の表面を修飾することにより、ポリマー中への金属超微粒子均一分散を実現している。この方法は、予め重合されたポリマーと、予め合成された超微粒子とを、単純に混合するだけで超微粒子が均一分散した組成物を得られる点で非常に興味深い。しかしながら、このような方法で重合可能な重合体の種類は限定されるうえ、超微粒子修飾用重合体を得るまでには何段階もの末端置換反応を経る必要があるため、未だ汎用的に工業化可能な規模で適用できる技術であるとは言いがたい。
以上のような状況に鑑み、本発明の目的は、金属或いは半導体の超微粒子を均一に分散させた樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、可逆的付加脱離連鎖移動(RAFT)重合を利用する反応により片末端にメルカプト基を有する重合体を重合し、得られた重合体で金属あるいは半導体の超微粒子の表面を修飾し、次いで該重合体と相溶性を有する樹脂と修飾超微粒子とを混合することで超微粒子が均一に分散している樹脂組成物を得ることが出来た。このような超微粒子含有樹脂組成物は、非常に多種多様なポリマーと超微粒子との組み合わせにおいて容易に適用可能であり、さまざまな超微粒子がさまざまな樹脂中で均一に分散した樹脂組成物を、工業的にも非常に容易に製造可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明の第1は、片末端にメルカプト基を有する重合体にて超微粒子の表面を修飾して得られた重合体修飾超微粒子を、樹脂中に混合することにより得られることを特徴とする超微粒子含有樹脂組成物であって、片末端にメルカプト基を有する重合体が、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下、ラジカル重合可能な不飽和単量体をラジカル重合して得られる重合体を処理剤で処理することにより得られるものであることを特徴とする超微粒子含有樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様としては、
(1)前記チオカルボニルチオ基を有する化合物が、一般式(1)
(式中、Rは炭素数1以上の1価の有機基であり;Zは硫黄原子(p=2の場合)、酸素原子(p=2の場合)、窒素原子(p=3の場合)、または炭素数1以上のp価の有機基であり;pは1以上の整数であり;pが2以上の場合、Rは互いに同じでもよく異なっていてもよい)
で表される化合物である、
(2)未凝集状態での超微粒子の数平均一次粒子径が100nm以下である、
(3)樹脂中の全超微粒子数のうち80%以上の超微粒子が、独立して存在している、
(4)超微粒子が金属超微粒子および/または半導体超微粒子である、
(5)金属超微粒子が、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、コバルトからなる群から選ばれる1種以上を10重量%以上含んでなる超微粒子である、
(6)半導体超微粒子が、周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物からなる群から選ばれる1種以上である、
(7)樹脂が可視光を透過する樹脂である、
ことを特徴とする、上記記載の超微粒子含有樹脂組成物に関する。
本発明により得られる超微粒子含有樹脂組成物においては、ナノサイズの超微粒子を樹脂中に容易に均一に分散させることができる。本発明では、超微粒子を凝集することなく均一に樹脂中に分散させることにより、超微粒子が本来有する光学特性を保持したままの樹脂組成物を得ることが出来た。従って、本発明の方法を用いることで、超微粒子が有するであろう、熱・機械的特性、電気的特性、磁気特性等のその他のさまざまな優れた特性を維持したままの樹脂組成物を得ることが出来る。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、可逆的付加脱離連鎖移動(RAFT)重合を利用する反応により片末端にメルカプト基を有する重合体を重合し、得られた重合体で金属あるいは半導体の超微粒子の表面を修飾し、次いで該重合体と相溶性を有する樹脂と修飾超微粒子とを混合することで超微粒子が均一に分散している樹脂組成物を得ることが出来た。このような超微粒子含有樹脂組成物は、非常に多種多様なポリマーと超微粒子との組み合わせにおいて容易に適用可能であり、さまざまな超微粒子がさまざまな樹脂中で均一に分散した樹脂組成物を、工業的にも非常に容易に製造可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明の第1は、片末端にメルカプト基を有する重合体にて超微粒子の表面を修飾して得られた重合体修飾超微粒子を、樹脂中に混合することにより得られることを特徴とする超微粒子含有樹脂組成物であって、片末端にメルカプト基を有する重合体が、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下、ラジカル重合可能な不飽和単量体をラジカル重合して得られる重合体を処理剤で処理することにより得られるものであることを特徴とする超微粒子含有樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様としては、
(1)前記チオカルボニルチオ基を有する化合物が、一般式(1)
(式中、Rは炭素数1以上の1価の有機基であり;Zは硫黄原子(p=2の場合)、酸素原子(p=2の場合)、窒素原子(p=3の場合)、または炭素数1以上のp価の有機基であり;pは1以上の整数であり;pが2以上の場合、Rは互いに同じでもよく異なっていてもよい)
で表される化合物である、
(2)未凝集状態での超微粒子の数平均一次粒子径が100nm以下である、
(3)樹脂中の全超微粒子数のうち80%以上の超微粒子が、独立して存在している、
(4)超微粒子が金属超微粒子および/または半導体超微粒子である、
(5)金属超微粒子が、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、コバルトからなる群から選ばれる1種以上を10重量%以上含んでなる超微粒子である、
(6)半導体超微粒子が、周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物からなる群から選ばれる1種以上である、
(7)樹脂が可視光を透過する樹脂である、
ことを特徴とする、上記記載の超微粒子含有樹脂組成物に関する。
本発明により得られる超微粒子含有樹脂組成物においては、ナノサイズの超微粒子を樹脂中に容易に均一に分散させることができる。本発明では、超微粒子を凝集することなく均一に樹脂中に分散させることにより、超微粒子が本来有する光学特性を保持したままの樹脂組成物を得ることが出来た。従って、本発明の方法を用いることで、超微粒子が有するであろう、熱・機械的特性、電気的特性、磁気特性等のその他のさまざまな優れた特性を維持したままの樹脂組成物を得ることが出来る。
図1は、実施例1で得られた樹脂フィルムの低倍率TEM写真である。図2は、実施例1で得られた樹脂フィルムの高倍率TEM写真である。図3は、実施例2で得られた樹脂フィルムの低倍率TEM写真である。図4は、実施例2で得られた樹脂フィルムの高倍率TEM写真である。図5は、比較例1で得られた樹脂フィルムの低倍率TEM写真である。図6は、比較例1で得られた樹脂フィルムの高倍率TEM写真である。図7は、比較例2で得られた樹脂フィルムの低倍率TEM写真である。図8は、比較例2で得られた樹脂フィルムの高倍率TEM写真である。図9は、実施例4で得られた樹脂フィルムの低倍率TEM写真である。図10は、実施例4で得られた樹脂フィルムの高倍率TEM写真である。
本発明で使用する片末端にメルカプト基を有する重合体は、可逆的付加脱離連鎖移動(RAFT)重合を利用する反応により合成する。すなわち、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下にラジカル重合可能な不飽和単量体をラジカル重合することにより、チオカルボニルチオ基を有する重合体を合成し、続いて処理剤を用いてチオカルボニルチオ基の結合を切断しメルカプト基を生成させることにより、片末端にメルカプト基を有する重合体を得ることができる。以下にその合成方法について説明する。
本発明では、チオカルボニルチオ基を有している化合物であれば特に限定はないが、好ましくは、一般式(1)
(式中、Rは炭素数1以上の1価の有機基であり;Zは硫黄原子(p=2の場合)、酸素原子(p=2の場合)、窒素原子(p=3の場合)、または炭素数1以上のp価の有機基であり;pは1以上の整数であり;pが2以上の場合、Rは互いに同じでもよく異なっていてもよい)
で示される化合物である。
前記チオカルボニルチオ基を有する化合物において、炭素数1以上の1価の有機基Rとしては特に限定されず、炭素原子以外に水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくとも一つを含んでいてもよく、高分子量体であってもよい。Rの例としては、アルキル基、アラルキル基、およびこれらの置換体等を挙げることができる。入手性および重合活性の点で、以下に示す一般式(2)
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基、Acはアセチル基を示す)
、および一般式(3)
(式中、nは1以上の整数であり、rは0以上の整数である)
の構造が好ましい。
上記式中、入手性の点でnおよびrは500以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましく、100以下であることがさらに好ましい。またRとしては、入手性および重合活性の点で、炭素数2〜30の基が特に好ましい。
前記チオカルボニルチオ基を有する化合物において、Zが炭素数1以上のp価の有機基である場合、その構造は特に限定されず、炭素原子以外に水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくとも一つを含んでいてもよく、高分子量体であってもよい。p=1の場合、Zの例としてはアルキル基、アラルキル基、アリール基、アミノ基、チオアリール基、アルコキシ基、スルフィド基、およびこれらの置換体等を挙げることができる。入手性および重合活性の点で、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の置換アルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30の置換アリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数7〜30の置換アラルキル基、炭素数7〜30のN−アルキル−N−アリールアミノ基、炭素数12〜30のN,N−ジアリールアミノ基、炭素数6〜30のチオアリール基、および炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましい。さらに入手性および重合活性の点で、以下に示す一般式(4)
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す)、
および一般式(5)
で示される構造の基がより好ましい。またp=2以上の場合、入手性および重合活性の点で、一般式(6)
(式中、nは1以上の整数であり、rは0以上の整数であり、sは1以上の整数である)
で示される構造が好ましい。前記式中、nおよびrは500以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましく、100以下であることがさらに好ましい。sは1〜30の範囲であることが好ましく、1〜10の範囲であることがより好ましい。入手性および重合活性の点で、炭素数6〜20の芳香環構造が特に好ましい。
前記チオカルボニルチオ基を有する化合物において、入手性の点でpは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
前記チオカルボニル化合物の具体例としては、以下の式(7)〜(10)で示される化合物
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す)、
(式中、Meはメチル基、Phはフェニル基を示し、rは0以上の整数である)、
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す)、
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す)
が挙げられるが、これらに限定されない。
前記チオカルボニルチオ基を有する化合物は、重合する不飽和単量体の種類に応じて最適な構造を選択することが可能である。例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体の重合には、入手性および重合活性の点で、一般式(11)
(式中、Arは1価の芳香族基であり;R1は水素原子、シアノ基、または1価のアルキル基であり;Arは互いに同じでもよく異なっていてもよく;R1は互いに同じでもよく異なっていてもよい)
で示される化合物が好ましく、さらにArはフェニル基であることがより好ましく、R1は水素原子、シアノ基、または炭素数6以下のアルキル基であることがより好ましい。
また、重合する単量体が酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体の場合には、入手性および重合活性の点で、キサントゲン酸エステル化合物またはジチオカルバミン酸エステル化合物が好ましく、一般式(12)
(式中、R2はN,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、または窒素原子で結合している窒素含有複素環であり;R3は水素原子、シアノ基、炭素数10以下のアルキル基、または炭素数20以下のアリール基であり;R3は互いに同じでもよく異なっていてもよい)
で示される化合物がより好ましい。
本発明において重合に供する単量体としては特に限定されないが、例えば、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸・メタクリル酸・これらの金属塩、スチレン系単量体、シアン化ビニル系単量体、共役ジエン系単量体、ハロゲン含有ビニル系単量体、ビニルエステル系単量体、不飽和ジカルボン酸化合物およびその誘導体、マレイミド化合物等が挙げられる。
アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、3−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸アリル等が挙げられる。
メタクリル酸エステル系単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、3−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸アリル等が挙げられる。
アクリル酸・メタクリル酸・これらの金属塩としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム等が挙げられる。
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、インデン等が挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
アミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。
共役ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
ハロゲン含有ビニル系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、けい皮酸ビニル等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸化合物およびその誘導体としては、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル等が挙げられる。
マレイミド化合物としては、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
これら単量体は単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。複数を組み合わせて共重合体とする場合には、その形態は特に限定されず、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、傾斜共重合体等を挙げることができる。使用する単量体は、最終的に超微粒子を被覆して得られる重合体修飾超微粒子及び樹脂組成物の要求特性に応じて選択すればよく、例えば、重合体修飾超微粒子を非極性樹脂に分散させる場合にはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等が好ましく、水溶性樹脂中に分散させるような目的では、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の金属塩、メタクリル酸の金属塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシル基含有アクリル酸、ヒドロキシル基含有メタクリル酸、ビニルエステル系単量体等が好ましく、入手性の点でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、酢酸ビニルがより好ましい。
本発明において適用するRAFT重合方法は、その形式に関しては特に限定されず、例えば塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、微細懸濁重合等を適用することができる。塊状重合以外の場合に使用する媒体(溶媒)としては特に限定されず、ラジカル重合において一般的に使用されているものを使用することができる。入手性および重合の容易さの点で、水、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、エタノールが好ましい。
RAFT重合の実施に関しては一般的に知られている方法を採用すればよいが、典型的には以下のように行うことが出来る。反応器に前記チオカルボニルチオ基を有する化合物、重合開始剤、ラジカル重合可能な不飽和単量体、必要に応じて媒体(溶媒)を入れ、系内の酸素を常法により除去した後、不活性ガス雰囲気で加熱撹拌する。RAFT重合の特徴として、単量体/チオカルボニルチオ基を有する化合物の仕込み比と単量体の反応率に応じて、得られる重合体の分子量が決まるため、所望の分子量の重合体を得ることができる。
使用する重合開始剤としては特に限定されず、ラジカル重合において一般的に使用されている化合物あるいは方法を採用することができる。ラジカル重合において一般的に使用されている化合物としては、過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤、無機過酸化物、熱的にラジカル生成可能なビニル系単量体、光によりラジカル生成可能な化合物、レドックス型重合開始剤等が挙げられる。具体的には過酸化物系重合開始剤としては、イソブチルパーオキサイド、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、キュミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、サクシニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルキュミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラハイドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)ジハイドレート、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)等が挙げられる。
無機過酸化物としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
熱的にラジカル生成可能なビニル系単量体の例としては、スチレン等が挙げられる。
光によりラジカル生成可能な化合物の例としては、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキシド、フォトレドックス系化合物等が挙げられる。
レドックス型重合開始剤としては、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄等を還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキサイド等を酸化剤とする例が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。ラジカル重合において一般的に使用されている方法として、電子線照射、エックス線照射、放射線照射等による重合開始系を利用することも可能である。
本発明で使用する重合開始剤の使用量については特に限定されないが、メルカプト基の末端官能化率を高くできる点で、重合中に発生するラジカル種の量が、チオカルボニルチオ基を有する化合物のチオカルボニルチオ基1モルに対して1モル以下が好ましく、0.5モル以下がより好ましく、0.3モル以下がさらに好ましい。
本発明においては、前記RAFT重合で得られるチオカルボニルチオ基を有する重合体を処理剤により処理し、片末端にメルカプト基を有する重合体を得ることが出来る。このような処理剤としては限定されないが、反応効率が高い点で、塩基、酸、または水素−窒素結合含有化合物が好ましい。
前記処理剤のうち、塩基としては特に限定されないが、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛等の金属水酸化物;ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、ナトリウムフェノキサイド、マグネシウムメトキサイド等の金属アルコキサイド;水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カルシウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の強塩基と弱酸の塩;ハイドロサルファイト、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルマグネシウムブロマイド、フェニルマグネシウムブロマイド等の有機金属試薬;トリエチルアミン、トリn−ブチルアミン等の3級アミン化合物等を挙げることが出来る。さらに金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属;金属マグネシウム、金属カルシウム等のアルカリ土類金属も使用可能である。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
前記処理剤のうち、酸としては特に限定されないが、具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸、クロロスルホン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メチルリン酸、ステアリルリン酸、ジメチルジチオリン酸、ジエチルジチオリン酸、フェニルホスホン酸等の有機酸;イオン交換樹脂等を挙げることが出来る。さらに、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸、無水フタル酸、無水コハク酸等の酸無水物;酢酸クロライド、安息香酸クロライド等のハロゲン化アシル;四塩化チタン、塩化アルミニウム、塩化ケイ素等の金属ハロゲン化物;塩化チオニル等のように、水分と反応して酸性を示す化合物も使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
前記処理剤のうち水素−窒素結合含有化合物としては特に限定されないが、例えば、アンモニア、ヒドラジン、1級アミン系化合物、2級アミン系化合物、アミド系化合物、アミン塩酸塩系化合物、水素−窒素結合含有高分子、およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)等を挙げることができる。
前記水素−窒素結合含有化合物のうち、1級アミン系化合物の具体例としては、3−アミノ−1−プロパノール、アリルアミン、イソプロピルアミン、モノエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−プロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,4−ジアミノブタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、ジアミノマレオニトリル、シクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン、n−ヘキシルアミン、モノメチルアミン、モノメチルヒドラジン、アニシジン、アニリン、p−アミノ安息香酸エチル、アミノフェノール、トルイジン、フェニルヒドラジン、フェニレンジアミン、フェネチルアミン、ベンジルアミン、メシジン、アミノピリジン、メラミン等を挙げることができる。
前記水素−窒素結合含有化合物のうち、2級アミン系化合物の具体例としては、ジアリルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ビス(ヒドロキシエチル)アミン、N−エチルエチレンジアミン、エチレンイミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジメチルアミン、N−エチルアニリン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルアニリン、イミダゾール、2,5−ジメチルピペラジン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン等を挙げることができる。
前記水素−窒素結合含有化合物のうち、アミド系化合物の具体例としては、アジピン酸ジヒドラジド、N−イソプロピルアクリルアミド、カルボヒドラジド、グアニルチオ尿素、グリシルグリシン、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、アジピン酸ジヒドラジド、ホルムアミド、メタクリルアミド、アセトアニリド、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸トルイダイド、トルエンスルホンアミド、フタルイミド、イソシアヌル酸、コハク酸イミド、ヒダントイン、フェニルピラゾリドン、ベンズアミド、アセトアミド、アクリルアミド、プロピオン酸アミド、2,2,2−トリフルオロアセトアミド等を挙げることができる。
前記水素−窒素結合含有化合物のうち、アミン塩酸塩系化合物の具体例としては、アセトアミジン塩酸塩、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、モノエチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、モノプロピルアミン塩酸塩、ジプロピルアミン塩酸塩、塩酸セミカルバジド、塩酸グアニジン、ジステアミン塩酸塩等を挙げることができる。
前記水素−窒素結合含有化合物のうち、水素−窒素結合含有高分子の具体例としては、商品名:ポリメント((株)日本触媒製)、ポリエチレンイミン、アミノポリアクリルアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、ナイロン46、ポリアミドイミド、ポリアリルアミン、ポリウレタン等を挙げることができる。
前記水素−窒素結合含有化合物のうち、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)としては、商品名:アデカスタブLA−77(旭電化工業(株)製)、商品名:Chimassorb 944LD(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、商品名:Tinuvin 144(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、商品名:アデカスタブLA−57(旭電化工業(株)製)、商品名:アデカスタブLA−67(旭電化工業(株)製)、商品名:アデカスタブLA−68(旭電化工業(株)製)、商品名:アデカスタブLA−87(旭電化工業(株)製)、および商品名:Goodrite UV−3034(Goodrich社製)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
前記処理剤のうち、反応の効率が高い点で、塩基、および水素−窒素結合含有化合物が好ましく、取り扱いが容易である点で水素−窒素結合含有化合物がより好ましく、入手性および回収除去の容易さの点でモノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミンがさらに好ましい。
また、後述のように還元剤を用いて超微粒子を作製する場合には、還元剤がチオカルボニルチオ基をメルカプト基に変換する処理剤としても作用するため、超微粒子の作製とメルカプト基を有する重合体の調整、およびメルカプト基を有する重合体による超微粒子の修飾を全て同時に実施することが可能である。
前記処理剤の使用量は特に限定されない。処理剤として塩基または酸を使用する場合、取り扱いやすさおよび反応性の点で、チオカルボニルチオ基を有する重合体100重量部に対して0.01〜100重量部が好ましく、0.05〜50重量部がより好ましく、0.1〜30重量部が特に好ましい。処理剤として水素−窒素結合含有化合物を使用する場合、前記重合体のチオカルボニルチオ基1モルに対して、水素−窒素結合含有化合物を0.5〜1000モルの割合で用いるのが好ましく、1〜500モルの割合で用いるのがより好ましい。
片末端にメルカプト基を有する重合体の分子量は、使用する超微粒子の種類、粒子径、使用する樹脂の種類、粒子の添加量等により好ましい範囲が著しく異なるため規定することはできないが、重合反応の進行の容易さ、片末端にメルカプト基を確実に残しうること等から概ね数平均分子量として100以上100万以下程度が好ましい。数平均分子量のさらに好ましい範囲は500以上40万以下、最も好ましい範囲は2000以上20万以下である。
片末端にメルカプト基を有する重合体は可逆的付加脱離連鎖移動(RAFT)重合で製造されるため、通常分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は非常に狭く、概ね2.0以下、一般的には1.3以下程度の値となる。本発明において、均一分散性および取り扱いやすさの点で、片末端にメルカプト基を有する重合体の分子量分布は2以下が好ましく、1.5以下がより好ましい。
本発明で用いられる超微粒子のうち、金属超微粒子としては、金、銀、銅、亜鉛、カドミウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、錫、パラジウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、白金、バナジウム、クロム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アンチモン、ビスマス等の金属単体、鉄−白金等これら金属の合金等が挙げられる。さらには、その他さまざまな超微粒子の表面を、金属でコートしたような、複合超微粒子であっても良い。これらのうち、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、コバルトからなる群から選ばれる1種以上を10重量%以上含んでなる超微粒子であることが、超微粒子表面が酸化されにくいため、超微粒子表面と片末端にメルカプト基を有する重合体との結合を容易に生じさせる事ができ、好ましい。上記金属を含んでなる形態としては、合金でもよいし、他の微粒子を金属でコートした形態でもよい。中でも特に好ましくは、金、白金のどちらかを10重量%以上含んでなる超微粒子であり、最も好ましくは、金、白金、鉄白金の超微粒子である。鉄白金超微粒子を用いる場合には、鉄/白金重量比率は20/80〜80/20であることが好ましく、更には30/70〜70/30であることが好ましい。上記範囲内であれば、粒子表面の酸化防止力が高くかつ磁気特性に優れた超微粒子が得られるため好ましい。
本発明で用いられる超微粒子のうち、半導体超微粒子としては、以下のようなものが挙げられる。C、Si、Ge、Sn等の周期表第14族元素の単体、P(黒リン)等の周期表第15族元素の単体、SeやTe等の周期表第16族元素の単体、SiC等の複数の周期表第14族元素からなる化合物、SnO2、Sn(II)Sn(IV)S3、SnS2、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等の周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物、Al2S3、Al2Se3、Ga2O3、Ga2S3、Ga2Se3、Ga2Te3、In2O3、In2S3、In2Se3、In2Te3等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、TlCl、TlBr、TlI等の周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物、As2O3、As2S3、As2Se3、As2Te3、Sb2O3、Sb2S3、Sb2Se3、Sb2Te3、Bi2O3、Bi2S3、Bi2Se3、Bi2Te3等の周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、Cu2O、Cu2Se等の周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、CuCl、CuBr、CuI、AgCl、AgBr等の周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、NiO等の周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物、CoO、CoS等の周期表第9族元素と周期表第16族元素との化合物、Fe3O4等の酸化鉄類、FeS等の周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物、MnO等の周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物、MoS2、WO2等の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物、VO、VO2、Ta2O5等の周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物、TiO2、Ti2O5、Ti2O3、Ti5O9等の酸化チタン類(結晶型はルチル型、ルチル/アナターゼの混晶型、アナターゼ型のいずれでも構わない)、ZrO2等の周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、CdCr2O4、CdCr2Se4、CuCr2S4、HgCr2Se4等のカルコゲンスピネル類、あるいはBaTiO3等が挙げられる。
これら半導体超微粒子のうち、周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物が好ましい。これらの中でも、SnO2、GaN、GaP、In2O3、InN、InP、Ga2O3、Ga2S3、In2O3、In2S3、ZnO、ZnS、CdO、CdS、酸化チタン類やZrO2、MgS等は高い屈折率を有ししかも毒性の高い陰性元素を含まないので耐環境汚染性や生物への安全性の点で好ましく、更にはSnO2、In2O3、ZnO、ZnS、酸化鉄類酸化チタン類やZrO2等の毒性の高い陽性元素を含まない組成は更に好ましく、中でもZnO、あるいは前記の酸化チタン類(高屈折率性のためにはルチル型結晶が特に好ましい)やZrO2等の酸化物半導体結晶は最も好ましい。また可視領域とその近傍に発光帯を有する超微粒子である、GaN、GaP、GaAs、InN、InP等の周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、HgS等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物、In2O3、In2S3等は工業的にも重要であり、中でも半導体結晶の粒径の制御性と発光能から好適なのはZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物半導体であり、特にZnSe、CdS、CdSe等がこの目的では更に好適に用いられる。ここで例示した任意の半導体結晶の組成には必要に応じて例えば微量のAl、Mn、Cu、Zn、Ag、Cl、Ce、Eu、Tb、Er等の元素を加えても構わない。
これら超微粒子の中でも、周期表第8〜13族のいずれかに該当する遷移金属元素を含有する金属超微粒子が、片末端にメルカプト基を有する重合体のメルカプト基と遷移金属元素との配位結合形成力が高く、超微粒子の表面修飾反応が速やかに進行するため好ましい。
本発明で用いられる超微粒子は、気相法、液相法等一般的に用いられる超微粒子の製造方法を用いて、金属あるいは半導体の前駆体から合成して製造されるのが一般的であるが、超微粒子の製造方法はこれらの方法に限定されるものではなく、公知の任意の方法を用いる事ができる。以下に製造方法を例示する。
金属超微粒子の製造方法としては、遷移金属イオン化合物またはその塩類、あるいはこれらの有機錯体を、水あるいは極性溶媒中で均一状態にて還元剤と接触させて還元させる液相法により製造する事が可能である。超微粒子の表面を金属でコートした複合超微粒子の製造方法としては、例えば、予め製造された超微粒子(金属超微粒子、半導体超微粒子、金属酸化物超微粒子等)を、水あるいは極性溶媒中に均一状態で分散させておき、前記超微粒子共存下で、遷移金属イオン化合物またはその塩類、あるいはこれらの有機錯体を、水あるいは極性溶媒中で均一状態にて還元剤と接触させて還元させる方法などにより、製造する事が可能である。
半導体超微粒子の製造方法としては、原料水溶液を非極性有機溶媒の逆ミセル中に存在させ、結晶成長させる方法(逆ミセル法)、熱分解性の原料を高温の液体有機溶媒中で結晶成長させる方法(ホットソープ法)等により製造可能であり、これらの方法を用いれば得られる超微粒子の粒子径制御が容易であること等から好ましく用いられる。
本発明で使用する超微粒子の未凝集状態での数平均一次粒子径は100nm以下が好ましい。より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは30nm以下、最も好ましくは15nm以下である。未凝集状態での数平均一次粒子径が100nmよりも大きい場合には、優れた光学特性、熱・機械的特性、電気的特性、磁気特性等の、超微粒子添加による特殊な効果が得られない事がある。より優れた分散性の観点からは、超微粒子の未凝集状態での数平均一次粒子径の好ましい下限値は0.2nmであり、より好ましくは1nmである。また超微粒子の未凝集状態での数平均一次粒子径の変動係数(粒径分布)は、50%以下が好ましく、さらには30%以下が好ましい。超微粒子の粒径分布が広すぎる、すなわち粒径の変動係数が50%を超えると、優れた光学特性、熱・機械的特性、電気的特性、磁気特性等の、超微粒子添加による特殊な効果が得られにくい事がある。
本発明における未凝集状態での数平均一次粒子径とは、透過型電子顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡にて撮影された写真を用いて、少なくとも100個以上の粒子の粒子径を定規により測定し、数平均により算出した数平均粒子径をいう。但し、電子顕微鏡で撮影された粒子の写真が円形でない場合には、粒子の占める面積を算出した後、同面積を有する円形に置き換えた時の円直径を用いることが出来る。
本発明で用いられる超微粒子は、片末端にメルカプト基を有する重合体にて表面を修飾することにより、樹脂組成物中での分散性が著しく向上するため、優れた特性を有する超微粒子含有樹脂組成物を容易に得る事ができるようになる。
片末端にメルカプト基を有する重合体にて超微粒子の表面を修飾する方法としては特に限定されず、任意の方法を用いる事ができる。例えば、超微粒子を分散可能な溶媒に対して、片末端にメルカプト基を有する重合体を溶解させる事が可能な場合には、超微粒子を溶媒に分散させた上で、片末端にメルカプト基を有する重合体を同じ溶媒に溶解し攪拌することにより、重合体末端のメルカプト基が超微粒子の表面に結合し、超微粒子表面を修飾することが可能である。
超微粒子が分散可能な溶媒に対して片末端にメルカプト基を有する重合体が溶解しない場合、あるいは溶解が困難な場合には、以下のような種々の操作により超微粒子の表面を修飾することが可能である。
例えば、アミノ基、ホスフィンオキシド基、ホスフィン基等の、比較的配位力の弱い配位子を分子内に有し、かつ超微粒子が分散する溶媒に溶解しうる修飾剤を選定した上で、予め配位力の弱い配位子を超微粒子表面に結合させる。そのうえで遠心分離等の操作により超微粒子を単離し、改めて片末端にメルカプト基を有する重合体が溶解可能な溶媒中に分散させ、片末端にメルカプト基を有する重合体を該溶媒に溶解し、超微粒子を含む液相中で接触させることにより配位子交換反応を生じさせれば、該配位力の弱い配位子をメルカプト基に置換する事が可能である。また、ピリジン等の弱配位性化合物を大過剰量(通常溶媒として用いる)に含む液相に分散する第一工程、次いで片末端にメルカプト基を有する重合体を加える第二工程、からなる2段階工程による配位子交換が好ましい場合もある。
また、超微粒子を予め分散可能な溶媒に分散させ、片末端にメルカプト基を有する重合体を別途溶解可能な溶媒に溶解しておき、両者の溶液を混合する事により、超微粒子表面を修飾する事が可能な場合もある。この時超微粒子を分散させた溶媒と重合体を溶解させた溶媒とが相溶しない場合には、超微粒子表面の修飾が進むに従い超微粒子が重合体を溶解させた溶媒側に抽出されていくので、修飾が完了したかどうかの確認が容易であり好ましい。この際、テトラアルキルアンモニウム塩やテトラアルキルホスホニウム塩等の相間移動触媒を併用する方が好ましい場合もある。
さらに、液相中で超微粒子を生成させる際に、反応液相中へ片末端にメルカプト基を有する重合体を添加する方法も有効である。この方法によれば、超微粒子の合成と同時に超微粒子表面の修飾を完了させる事が可能である上、超微粒子の合成時に超微粒子同士が凝集するのを防ぐ効果も期待できるので、修飾方法として好ましい。
超微粒子を片末端にメルカプト基を有する重合体で修飾する際には、均一に攪拌を行う事によって、より効率的に修飾反応を完了させる事ができる。攪拌を行う際には、超音波を照射する事により、凝集を防止しながら均一に表面修飾する事ができる。またマイクロ波を照射すれば、粒子に局所的にエネルギーを付与できるため、表面修飾の効率が著しく改善される場合がある。
片末端にメルカプト基を有する重合体で超微粒子の表面を修飾するその他の方法として、超微粒子を遠心分離等の方法で粉体化した後、片末端にメルカプト基を有する重合体を溶融状態にして粉体状超微粒子と混合する方法、溶融状態の片末端にメルカプト基を有する重合体中に、溶媒中に分散させた超微粒子を溶媒とともに添加し、剪断力を与えながら混合した後溶媒を減圧除去あるいは蒸発させ超微粒子を修飾する方法等を用いる事もできる。このような方法で溶融状態の片末端にメルカプト基を有する重合体と超微粒子とを混合する装置としては、一軸押出機、二軸押出機や四軸押出機等の多軸混練機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられる。中でも剪断効率の高い混練機が好ましく、二軸押出機や四軸押出機等の多軸混練機であることが、修飾反応の効率が高いうえ工業化が容易であるため特に好ましい。
片末端にメルカプト基を有する重合体と超微粒子との重量比率は、使用する目的、重合体の組成や分子量、超微粒子の比重、超微粒子の粒径及び表面積、超微粒子の表面状態、等により大きく異なってくる。即ち該重合体の分子量が比較的大きい場合には、重合体中のメルカプト基の数が少ないため、粒子表面全体を修飾するためには相対的に多量の重合体を用いる必要があるのに対し、該重合体の分子量が比較的小さい場合には重合体中のメルカプト基の数が多いため、該重合体の添加量は少なくても良い場合がある。また超微粒子の粒径が比較的小さい場合には、超微粒子の粒子数が増え表面積の割合が多くなるため、粒子表面全体を修飾するためには相対的に多量の重合体を用いる必要があるのに対し、超微粒子の粒径が比較的大きい場合には、該重合体の添加量は少なくても良い場合がある。
片末端にメルカプト基を有する重合体と超微粒子と重量比率の一般的な目安としては、超微粒子を構成する原子のうち、粒子の表面に存在する原子の数と、重合体のメルカプト基の数とが、ほぼ近い値となるように計算して使用すれば良い。すなわち、超微粒子の粒径が小さい、粒子表面に凹凸が多い、粒子が多孔性である、など、超微粒子を構成する原子のうち粒子表面に存在する原子の比率が高くなればなるほど、片末端にメルカプト基を有する重合体を多く使用するほうが分散性良好となる傾向がある。
得られた重合体修飾超微粒子を、該重合体修飾超微粒子と相溶性を有する樹脂中に混合する方法には特に制限は無く、公知の任意の混合方法を用いる事ができる。
例えば、重合体修飾超微粒子を樹脂が溶解可能な溶媒中に分散しておき、該溶媒に樹脂を溶解させ均一になるまで攪拌した上で、溶媒を蒸発させる等の方法で除去する事により、超微粒子が樹脂中に均一に分散した樹脂組成物を容易に得る事ができる。このような方法を用いる際、超微粒子の分散性を改善したり超微粒子同士の凝集を防止したりする目的で、溶液を公知の種々の装置で攪拌することも、超微粒子が均一に分散した樹脂組成物を得られるので好ましい。攪拌方法としては、攪拌子や攪拌棒等の回転機器を溶媒中で回転させる方法、ビーズ等の媒体を用いて攪拌する方法、超音波等を照射して攪拌する方法、高速回転等の高剪断力を付与する事により攪拌する方法等を例示する事ができるが、これらに限定されるものではない。
また、遠心分離等の方法で重合体修飾超微粒子を溶媒から単離したうえで、溶融した樹脂中に混合する事により、樹脂中に重合体修飾超微粒子を分散させる方法、溶融状態の樹脂中に、溶媒に分散させた重合体修飾超微粒子を溶媒とともに添加し、剪断力を与えながら混合した後溶媒を減圧除去あるいは蒸発させ、重合体修飾超微粒子を分散させる方法等を用いることもできる。このような方法で樹脂組成物を作製する装置としては、一軸押出機、二軸押出機や四軸押出機等の多軸混練機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられ、特に、剪断効率の高い混練機を用いるのが好ましい。
本発明で得られる超微粒子含有樹脂組成物は、その全含有超微粒子数のうち好ましくは80%以上の粒子が、より好ましくは85%以上の粒子が、最も好ましくは90%以上の粒子が、粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している。このように超微粒子が樹脂組成物中に均一に分散しているため、超微粒子が本来有している優れた光学特性、熱・機械的特性、電気的特性、磁気特性等を損なうことのない樹脂組成物を得ることができる。全含有超微粒子数のうち20%を超える粒子が粒子同士互いに接し合って存在している、即ち20%を超える粒子が凝集して存在している場合には、超微粒子が本来有している特性ではなく、超微粒子の凝集塊と同等の粒径の粒子が樹脂中に分散しているような特性を示してしまうため、光学特性、熱・機械的特性、電気的特性、磁気特性等が損なわれてしまう傾向がある。
本発明で使用できる超微粒子の形状は、特に限定はなく、任意の形状をとることが出来る。具体的には、球状、ラグビーボール状やサッカーボール状や20面体状等の球に近い立体形状、6面体状、ロッド状、針状、板状、鱗片状、破砕状、不定形状等の形状が挙げられる。さらには粒子の表面または内部に空洞部分や欠陥部分を有していても良く、表面や内部に多数の穴を有するような多孔質の粒子であっても良い。しかしながら、超微粒子の製造が容易であること、樹脂中へ均一分散させるのが容易であること、粒子表面の処理が容易であること等から、球状、或いは、球に近い立方体状である事が好ましい。球に近い立方体状とは(粒子の表面積)/(粒子と同じ体積の球の表面積)比率が、好ましくは、3倍以下であるものをいい、さらには2倍以下、特には1.5倍以下であることが好ましい。また本発明で使用される超微粒子は、単独で用いても良く、種類や形状の異なる2種以上の粒子を組み合わせて使用しても良い。さらには粒子径分布の異なる2種以上の複数種類を組み合わせて使用しても良い。
本発明の樹脂組成物において、樹脂100重量部に対する、超微粒子の含有量の下限値は、好ましくは0.0001重量部であり、より好ましくは0.001重量部であり、さらに好ましくは0.01重量部であり、最も好ましくは0.1重量部である。配合量の上限値は、好ましくは200重量部であり、より好ましくは150重量部であり、さらに好ましくは100重量部であり、最も好ましくは50重量部である。超微粒子の含有量が0.0001重量部より少ないと、超微粒子を添加したことによる特異な電子的、光学的、電気的、磁気的、化学的、機械的特性が充分に得られないことがあり、含有量が200重量部より多いと、超微粒子の分散が困難となる傾向がある。
本発明の樹脂組成物において、片末端にメルカプト基を有する重合体と樹脂との比率は、超微粒子と片末端にメルカプト基を有する重合体との割合、樹脂と微粒子との割合により決定されるものであるが、樹脂や粒子の種類や使用目的等により、好ましい範囲は異なってくる。特に超微粒子を樹脂中に多量に含有させたい場合で、かつ超微粒子に対して多くの片末端にメルカプト基を有する重合体で修飾させる場合等であれば、樹脂として片末端にメルカプト基を有する重合体をそのまま用いる事も可能である。このような場合には、樹脂組成物中の樹脂は全て片末端にメルカプト基を有していることとなり、修飾超微粒子と樹脂との混合が不要となるため、樹脂中に均一に超微粒子を分散させるのが非常に容易である。
本発明の樹脂組成物に用いられる樹脂には特に制限は無く、広く知られた各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の中から必要に応じて1種または2種以上を任意の組み合わせで選択して用いる事が可能である。
しかしながら、樹脂組成物に用いられる樹脂と片末端にメルカプト基を有する重合体とは、相互に混合しやすい組成であると、超微粒子を樹脂中に分散性良く分散させることが出来る。すなわち樹脂組成物に用いられる樹脂と片末端にメルカプト基を有する重合体とが互いに相溶性を有していることが好ましい。
樹脂組成物に用いられる樹脂と片末端にメルカプト基を有する重合体とが相互に混合しやすいかどうかを判断する方法としては、樹脂組成物に用いられる樹脂とメルカプト基を有する重合体とを、超微粒子を含有しない状態で混合し、均一な組成物が得られるかどうかで判断する事ができる。本発明で「相溶性を有する」とは、樹脂と重合体とを混合した状態を肉眼でみた場合、均一に混合可能であるような樹脂と重合体との組み合わせを言うものとする。中でも、更に、樹脂と重合体の混合物の超薄切片を透過型電子顕微鏡等で観察した際、両者がナノメートルオーダーのレベルで超微分散する程度に相溶性に優れている組み合わせであるか、両者の境界が確認できない程度にまでお互いに良好に相溶しているような組み合わせであれば、超微粒子を分散させたときにも超微粒子の分散性が著しく優れ、重合体中で超微粒子が均一分散した樹脂組成物を容易に得る事ができるようになるため好ましい。
両者が肉眼では均一に交じり合う組成であっても、混合物の超薄切片を透過型電子顕微鏡等で観察した際、ミクロサイズ程度に層分離しているような構造であれば、超微粒子の分散性を多少は改善する効果が期待できるものの、通常良く知られた超微粒子修飾剤と同等程度の分散性改良効果しか期待できない可能性があるため、分散方法を工夫する等の方法を行うことが好ましい。
特に好ましい組み合わせは、樹脂組成物に用いられる樹脂と片末端にメルカプト基を有する重合体とが、化学的に同一の組成を有している場合である。同一の組成である上さらに、良く似た分子量分布を有していたり、良く似た主鎖分岐構造を有していたりすると、相溶性がより優れるためさらに好ましい。
得られる樹脂組成物に対して優れた光学特性を期待する場合には、本発明に使用する樹脂は可視光を透過する樹脂である事が好ましい。ここで可視光を透過する樹脂とは具体的には、ASTM D1003に基づき厚さ2mmで測定した全光線透過率が50%以上の樹脂を示すものとする。ただし本発明で得られた組成物を光学用途として広範囲に用いるためには、全光線透過率の値は大きいほど適しており、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上である。また可視光を透過する樹脂においては、ASTM D1003に基づき厚さ2mmで測定したヘイズの値も小さい方が好ましい。具体的にはヘイズの値が10%以下、好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下、最も好ましくは3%以下である。可視光を透過する樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、オレフィン・マレイミド共重合体等のオレフィン・ビニル系単量体共重合ポリマー類、ポリスチレン等の芳香族ビニルポリマー類、スチレン・アクリロニトリル共重合体やスチレン・メタクリル酸メチル共重合体やスチレン・マレイミド共重合体等の芳香族ビニル・ビニル系単量体共重合ポリマー類、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリル酸エステル類、ポリメチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル類、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート類、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタタレート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルペンテン−1、脂環式ポリオレフィン類(例えば、ジシクロペンタジエン系ポリオレフィンやノルボルネン系ポリオレフィン等の環状オレフィンの開環重合体(共重合体)、その水素添加重合体(共重合体)、環状オレフィンと不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体等)、例えばトリシクロデカニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等の脂環式アクリレート・脂環式メタクリレートとメチルメタクリレート等のアクリル酸エステル・メタクリル酸エステルとの共重合体、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、非晶性ポリアミド、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、グルタルイミド系樹脂並びに環状オレフィン、シクロペンタジエン、芳香族ビニル化合物の重合体(共重合体)を水素添加して得られる水素添加重合体、その他を挙げることができる。これらの中でも好ましい光学特性を有するものとしては、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、マレイミド・オレフィン系樹脂、グルタルイミド系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は2種以上複数種類を混合して用いることもできる。但し2種以上の光透過性樹脂を混合して用いる際には、単純に混合しただけでは光透過性が低下する場合があるため、混合する樹脂の相溶性を高め、均一に近い組成とする必要がある。混合する樹脂の相溶性を高める方法としては、両方の樹脂を共重合した共重合ポリマーを相溶化剤として少量添加する方法等が挙げられる。
本発明で製造される樹脂組成物は、目的に応じて、顔料や染料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、及び帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。
本発明で得られる樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、熱プレス成形、真空成形、キャストフィルム化、ロールフィルム化、Tダイフィルム化、インフレーションフィルム化、等種々の成形加工方法により成形しうる。また発泡剤を併用することにより発泡成形にも使用できる。得られる成形品その特性に応じて、電気、電子部品用途、光学材料および光学部品用途、磁気材料及び磁気部品用途、その他自動車部品、家庭用電気製品部品、家庭日用品、包装資材、等の一般工業用資材等に好適に用いられる。
本発明では、チオカルボニルチオ基を有している化合物であれば特に限定はないが、好ましくは、一般式(1)
(式中、Rは炭素数1以上の1価の有機基であり;Zは硫黄原子(p=2の場合)、酸素原子(p=2の場合)、窒素原子(p=3の場合)、または炭素数1以上のp価の有機基であり;pは1以上の整数であり;pが2以上の場合、Rは互いに同じでもよく異なっていてもよい)
で示される化合物である。
前記チオカルボニルチオ基を有する化合物において、炭素数1以上の1価の有機基Rとしては特に限定されず、炭素原子以外に水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、および金属原子のうちの少なくとも一つを含んでいてもよく、高分子量体であってもよい。Rの例としては、アルキル基、アラルキル基、およびこれらの置換体等を挙げることができる。入手性および重合活性の点で、以下に示す一般式(2)
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基、Acはアセチル基を示す)
、および一般式(3)
(式中、nは1以上の整数であり、rは0以上の整数である)
の構造が好ましい。
上記式中、入手性の点でnおよびrは500以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましく、100以下であることがさらに好ましい。またRとしては、入手性および重合活性の点で、炭素数2〜30の基が特に好ましい。
前記チオカルボニルチオ基を有する化合物において、Zが炭素数1以上のp価の有機基である場合、その構造は特に限定されず、炭素原子以外に水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくとも一つを含んでいてもよく、高分子量体であってもよい。p=1の場合、Zの例としてはアルキル基、アラルキル基、アリール基、アミノ基、チオアリール基、アルコキシ基、スルフィド基、およびこれらの置換体等を挙げることができる。入手性および重合活性の点で、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の置換アルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30の置換アリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数7〜30の置換アラルキル基、炭素数7〜30のN−アルキル−N−アリールアミノ基、炭素数12〜30のN,N−ジアリールアミノ基、炭素数6〜30のチオアリール基、および炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましい。さらに入手性および重合活性の点で、以下に示す一般式(4)
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す)、
および一般式(5)
で示される構造の基がより好ましい。またp=2以上の場合、入手性および重合活性の点で、一般式(6)
(式中、nは1以上の整数であり、rは0以上の整数であり、sは1以上の整数である)
で示される構造が好ましい。前記式中、nおよびrは500以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましく、100以下であることがさらに好ましい。sは1〜30の範囲であることが好ましく、1〜10の範囲であることがより好ましい。入手性および重合活性の点で、炭素数6〜20の芳香環構造が特に好ましい。
前記チオカルボニルチオ基を有する化合物において、入手性の点でpは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
前記チオカルボニル化合物の具体例としては、以下の式(7)〜(10)で示される化合物
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す)、
(式中、Meはメチル基、Phはフェニル基を示し、rは0以上の整数である)、
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す)、
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す)
が挙げられるが、これらに限定されない。
前記チオカルボニルチオ基を有する化合物は、重合する不飽和単量体の種類に応じて最適な構造を選択することが可能である。例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体の重合には、入手性および重合活性の点で、一般式(11)
(式中、Arは1価の芳香族基であり;R1は水素原子、シアノ基、または1価のアルキル基であり;Arは互いに同じでもよく異なっていてもよく;R1は互いに同じでもよく異なっていてもよい)
で示される化合物が好ましく、さらにArはフェニル基であることがより好ましく、R1は水素原子、シアノ基、または炭素数6以下のアルキル基であることがより好ましい。
また、重合する単量体が酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体の場合には、入手性および重合活性の点で、キサントゲン酸エステル化合物またはジチオカルバミン酸エステル化合物が好ましく、一般式(12)
(式中、R2はN,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、または窒素原子で結合している窒素含有複素環であり;R3は水素原子、シアノ基、炭素数10以下のアルキル基、または炭素数20以下のアリール基であり;R3は互いに同じでもよく異なっていてもよい)
で示される化合物がより好ましい。
本発明において重合に供する単量体としては特に限定されないが、例えば、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸・メタクリル酸・これらの金属塩、スチレン系単量体、シアン化ビニル系単量体、共役ジエン系単量体、ハロゲン含有ビニル系単量体、ビニルエステル系単量体、不飽和ジカルボン酸化合物およびその誘導体、マレイミド化合物等が挙げられる。
アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、3−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸アリル等が挙げられる。
メタクリル酸エステル系単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、3−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸アリル等が挙げられる。
アクリル酸・メタクリル酸・これらの金属塩としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム等が挙げられる。
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、インデン等が挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
アミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。
共役ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
ハロゲン含有ビニル系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、けい皮酸ビニル等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸化合物およびその誘導体としては、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル等が挙げられる。
マレイミド化合物としては、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
これら単量体は単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。複数を組み合わせて共重合体とする場合には、その形態は特に限定されず、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、傾斜共重合体等を挙げることができる。使用する単量体は、最終的に超微粒子を被覆して得られる重合体修飾超微粒子及び樹脂組成物の要求特性に応じて選択すればよく、例えば、重合体修飾超微粒子を非極性樹脂に分散させる場合にはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等が好ましく、水溶性樹脂中に分散させるような目的では、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の金属塩、メタクリル酸の金属塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシル基含有アクリル酸、ヒドロキシル基含有メタクリル酸、ビニルエステル系単量体等が好ましく、入手性の点でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、酢酸ビニルがより好ましい。
本発明において適用するRAFT重合方法は、その形式に関しては特に限定されず、例えば塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、微細懸濁重合等を適用することができる。塊状重合以外の場合に使用する媒体(溶媒)としては特に限定されず、ラジカル重合において一般的に使用されているものを使用することができる。入手性および重合の容易さの点で、水、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、エタノールが好ましい。
RAFT重合の実施に関しては一般的に知られている方法を採用すればよいが、典型的には以下のように行うことが出来る。反応器に前記チオカルボニルチオ基を有する化合物、重合開始剤、ラジカル重合可能な不飽和単量体、必要に応じて媒体(溶媒)を入れ、系内の酸素を常法により除去した後、不活性ガス雰囲気で加熱撹拌する。RAFT重合の特徴として、単量体/チオカルボニルチオ基を有する化合物の仕込み比と単量体の反応率に応じて、得られる重合体の分子量が決まるため、所望の分子量の重合体を得ることができる。
使用する重合開始剤としては特に限定されず、ラジカル重合において一般的に使用されている化合物あるいは方法を採用することができる。ラジカル重合において一般的に使用されている化合物としては、過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤、無機過酸化物、熱的にラジカル生成可能なビニル系単量体、光によりラジカル生成可能な化合物、レドックス型重合開始剤等が挙げられる。具体的には過酸化物系重合開始剤としては、イソブチルパーオキサイド、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、キュミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、サクシニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルキュミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラハイドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)ジハイドレート、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)等が挙げられる。
無機過酸化物としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
熱的にラジカル生成可能なビニル系単量体の例としては、スチレン等が挙げられる。
光によりラジカル生成可能な化合物の例としては、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキシド、フォトレドックス系化合物等が挙げられる。
レドックス型重合開始剤としては、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄等を還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキサイド等を酸化剤とする例が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。ラジカル重合において一般的に使用されている方法として、電子線照射、エックス線照射、放射線照射等による重合開始系を利用することも可能である。
本発明で使用する重合開始剤の使用量については特に限定されないが、メルカプト基の末端官能化率を高くできる点で、重合中に発生するラジカル種の量が、チオカルボニルチオ基を有する化合物のチオカルボニルチオ基1モルに対して1モル以下が好ましく、0.5モル以下がより好ましく、0.3モル以下がさらに好ましい。
本発明においては、前記RAFT重合で得られるチオカルボニルチオ基を有する重合体を処理剤により処理し、片末端にメルカプト基を有する重合体を得ることが出来る。このような処理剤としては限定されないが、反応効率が高い点で、塩基、酸、または水素−窒素結合含有化合物が好ましい。
前記処理剤のうち、塩基としては特に限定されないが、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛等の金属水酸化物;ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、ナトリウムフェノキサイド、マグネシウムメトキサイド等の金属アルコキサイド;水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カルシウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の強塩基と弱酸の塩;ハイドロサルファイト、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルマグネシウムブロマイド、フェニルマグネシウムブロマイド等の有機金属試薬;トリエチルアミン、トリn−ブチルアミン等の3級アミン化合物等を挙げることが出来る。さらに金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属;金属マグネシウム、金属カルシウム等のアルカリ土類金属も使用可能である。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
前記処理剤のうち、酸としては特に限定されないが、具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸、クロロスルホン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メチルリン酸、ステアリルリン酸、ジメチルジチオリン酸、ジエチルジチオリン酸、フェニルホスホン酸等の有機酸;イオン交換樹脂等を挙げることが出来る。さらに、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸、無水フタル酸、無水コハク酸等の酸無水物;酢酸クロライド、安息香酸クロライド等のハロゲン化アシル;四塩化チタン、塩化アルミニウム、塩化ケイ素等の金属ハロゲン化物;塩化チオニル等のように、水分と反応して酸性を示す化合物も使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
前記処理剤のうち水素−窒素結合含有化合物としては特に限定されないが、例えば、アンモニア、ヒドラジン、1級アミン系化合物、2級アミン系化合物、アミド系化合物、アミン塩酸塩系化合物、水素−窒素結合含有高分子、およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)等を挙げることができる。
前記水素−窒素結合含有化合物のうち、1級アミン系化合物の具体例としては、3−アミノ−1−プロパノール、アリルアミン、イソプロピルアミン、モノエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−プロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,4−ジアミノブタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、ジアミノマレオニトリル、シクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン、n−ヘキシルアミン、モノメチルアミン、モノメチルヒドラジン、アニシジン、アニリン、p−アミノ安息香酸エチル、アミノフェノール、トルイジン、フェニルヒドラジン、フェニレンジアミン、フェネチルアミン、ベンジルアミン、メシジン、アミノピリジン、メラミン等を挙げることができる。
前記水素−窒素結合含有化合物のうち、2級アミン系化合物の具体例としては、ジアリルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ビス(ヒドロキシエチル)アミン、N−エチルエチレンジアミン、エチレンイミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジメチルアミン、N−エチルアニリン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルアニリン、イミダゾール、2,5−ジメチルピペラジン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン等を挙げることができる。
前記水素−窒素結合含有化合物のうち、アミド系化合物の具体例としては、アジピン酸ジヒドラジド、N−イソプロピルアクリルアミド、カルボヒドラジド、グアニルチオ尿素、グリシルグリシン、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、アジピン酸ジヒドラジド、ホルムアミド、メタクリルアミド、アセトアニリド、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸トルイダイド、トルエンスルホンアミド、フタルイミド、イソシアヌル酸、コハク酸イミド、ヒダントイン、フェニルピラゾリドン、ベンズアミド、アセトアミド、アクリルアミド、プロピオン酸アミド、2,2,2−トリフルオロアセトアミド等を挙げることができる。
前記水素−窒素結合含有化合物のうち、アミン塩酸塩系化合物の具体例としては、アセトアミジン塩酸塩、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、モノエチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、モノプロピルアミン塩酸塩、ジプロピルアミン塩酸塩、塩酸セミカルバジド、塩酸グアニジン、ジステアミン塩酸塩等を挙げることができる。
前記水素−窒素結合含有化合物のうち、水素−窒素結合含有高分子の具体例としては、商品名:ポリメント((株)日本触媒製)、ポリエチレンイミン、アミノポリアクリルアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、ナイロン46、ポリアミドイミド、ポリアリルアミン、ポリウレタン等を挙げることができる。
前記水素−窒素結合含有化合物のうち、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)としては、商品名:アデカスタブLA−77(旭電化工業(株)製)、商品名:Chimassorb 944LD(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、商品名:Tinuvin 144(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、商品名:アデカスタブLA−57(旭電化工業(株)製)、商品名:アデカスタブLA−67(旭電化工業(株)製)、商品名:アデカスタブLA−68(旭電化工業(株)製)、商品名:アデカスタブLA−87(旭電化工業(株)製)、および商品名:Goodrite UV−3034(Goodrich社製)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
前記処理剤のうち、反応の効率が高い点で、塩基、および水素−窒素結合含有化合物が好ましく、取り扱いが容易である点で水素−窒素結合含有化合物がより好ましく、入手性および回収除去の容易さの点でモノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミンがさらに好ましい。
また、後述のように還元剤を用いて超微粒子を作製する場合には、還元剤がチオカルボニルチオ基をメルカプト基に変換する処理剤としても作用するため、超微粒子の作製とメルカプト基を有する重合体の調整、およびメルカプト基を有する重合体による超微粒子の修飾を全て同時に実施することが可能である。
前記処理剤の使用量は特に限定されない。処理剤として塩基または酸を使用する場合、取り扱いやすさおよび反応性の点で、チオカルボニルチオ基を有する重合体100重量部に対して0.01〜100重量部が好ましく、0.05〜50重量部がより好ましく、0.1〜30重量部が特に好ましい。処理剤として水素−窒素結合含有化合物を使用する場合、前記重合体のチオカルボニルチオ基1モルに対して、水素−窒素結合含有化合物を0.5〜1000モルの割合で用いるのが好ましく、1〜500モルの割合で用いるのがより好ましい。
片末端にメルカプト基を有する重合体の分子量は、使用する超微粒子の種類、粒子径、使用する樹脂の種類、粒子の添加量等により好ましい範囲が著しく異なるため規定することはできないが、重合反応の進行の容易さ、片末端にメルカプト基を確実に残しうること等から概ね数平均分子量として100以上100万以下程度が好ましい。数平均分子量のさらに好ましい範囲は500以上40万以下、最も好ましい範囲は2000以上20万以下である。
片末端にメルカプト基を有する重合体は可逆的付加脱離連鎖移動(RAFT)重合で製造されるため、通常分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は非常に狭く、概ね2.0以下、一般的には1.3以下程度の値となる。本発明において、均一分散性および取り扱いやすさの点で、片末端にメルカプト基を有する重合体の分子量分布は2以下が好ましく、1.5以下がより好ましい。
本発明で用いられる超微粒子のうち、金属超微粒子としては、金、銀、銅、亜鉛、カドミウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、錫、パラジウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、白金、バナジウム、クロム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アンチモン、ビスマス等の金属単体、鉄−白金等これら金属の合金等が挙げられる。さらには、その他さまざまな超微粒子の表面を、金属でコートしたような、複合超微粒子であっても良い。これらのうち、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、コバルトからなる群から選ばれる1種以上を10重量%以上含んでなる超微粒子であることが、超微粒子表面が酸化されにくいため、超微粒子表面と片末端にメルカプト基を有する重合体との結合を容易に生じさせる事ができ、好ましい。上記金属を含んでなる形態としては、合金でもよいし、他の微粒子を金属でコートした形態でもよい。中でも特に好ましくは、金、白金のどちらかを10重量%以上含んでなる超微粒子であり、最も好ましくは、金、白金、鉄白金の超微粒子である。鉄白金超微粒子を用いる場合には、鉄/白金重量比率は20/80〜80/20であることが好ましく、更には30/70〜70/30であることが好ましい。上記範囲内であれば、粒子表面の酸化防止力が高くかつ磁気特性に優れた超微粒子が得られるため好ましい。
本発明で用いられる超微粒子のうち、半導体超微粒子としては、以下のようなものが挙げられる。C、Si、Ge、Sn等の周期表第14族元素の単体、P(黒リン)等の周期表第15族元素の単体、SeやTe等の周期表第16族元素の単体、SiC等の複数の周期表第14族元素からなる化合物、SnO2、Sn(II)Sn(IV)S3、SnS2、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等の周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物、Al2S3、Al2Se3、Ga2O3、Ga2S3、Ga2Se3、Ga2Te3、In2O3、In2S3、In2Se3、In2Te3等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、TlCl、TlBr、TlI等の周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物、As2O3、As2S3、As2Se3、As2Te3、Sb2O3、Sb2S3、Sb2Se3、Sb2Te3、Bi2O3、Bi2S3、Bi2Se3、Bi2Te3等の周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、Cu2O、Cu2Se等の周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、CuCl、CuBr、CuI、AgCl、AgBr等の周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、NiO等の周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物、CoO、CoS等の周期表第9族元素と周期表第16族元素との化合物、Fe3O4等の酸化鉄類、FeS等の周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物、MnO等の周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物、MoS2、WO2等の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物、VO、VO2、Ta2O5等の周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物、TiO2、Ti2O5、Ti2O3、Ti5O9等の酸化チタン類(結晶型はルチル型、ルチル/アナターゼの混晶型、アナターゼ型のいずれでも構わない)、ZrO2等の周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、CdCr2O4、CdCr2Se4、CuCr2S4、HgCr2Se4等のカルコゲンスピネル類、あるいはBaTiO3等が挙げられる。
これら半導体超微粒子のうち、周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物が好ましい。これらの中でも、SnO2、GaN、GaP、In2O3、InN、InP、Ga2O3、Ga2S3、In2O3、In2S3、ZnO、ZnS、CdO、CdS、酸化チタン類やZrO2、MgS等は高い屈折率を有ししかも毒性の高い陰性元素を含まないので耐環境汚染性や生物への安全性の点で好ましく、更にはSnO2、In2O3、ZnO、ZnS、酸化鉄類酸化チタン類やZrO2等の毒性の高い陽性元素を含まない組成は更に好ましく、中でもZnO、あるいは前記の酸化チタン類(高屈折率性のためにはルチル型結晶が特に好ましい)やZrO2等の酸化物半導体結晶は最も好ましい。また可視領域とその近傍に発光帯を有する超微粒子である、GaN、GaP、GaAs、InN、InP等の周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、HgS等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物、In2O3、In2S3等は工業的にも重要であり、中でも半導体結晶の粒径の制御性と発光能から好適なのはZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物半導体であり、特にZnSe、CdS、CdSe等がこの目的では更に好適に用いられる。ここで例示した任意の半導体結晶の組成には必要に応じて例えば微量のAl、Mn、Cu、Zn、Ag、Cl、Ce、Eu、Tb、Er等の元素を加えても構わない。
これら超微粒子の中でも、周期表第8〜13族のいずれかに該当する遷移金属元素を含有する金属超微粒子が、片末端にメルカプト基を有する重合体のメルカプト基と遷移金属元素との配位結合形成力が高く、超微粒子の表面修飾反応が速やかに進行するため好ましい。
本発明で用いられる超微粒子は、気相法、液相法等一般的に用いられる超微粒子の製造方法を用いて、金属あるいは半導体の前駆体から合成して製造されるのが一般的であるが、超微粒子の製造方法はこれらの方法に限定されるものではなく、公知の任意の方法を用いる事ができる。以下に製造方法を例示する。
金属超微粒子の製造方法としては、遷移金属イオン化合物またはその塩類、あるいはこれらの有機錯体を、水あるいは極性溶媒中で均一状態にて還元剤と接触させて還元させる液相法により製造する事が可能である。超微粒子の表面を金属でコートした複合超微粒子の製造方法としては、例えば、予め製造された超微粒子(金属超微粒子、半導体超微粒子、金属酸化物超微粒子等)を、水あるいは極性溶媒中に均一状態で分散させておき、前記超微粒子共存下で、遷移金属イオン化合物またはその塩類、あるいはこれらの有機錯体を、水あるいは極性溶媒中で均一状態にて還元剤と接触させて還元させる方法などにより、製造する事が可能である。
半導体超微粒子の製造方法としては、原料水溶液を非極性有機溶媒の逆ミセル中に存在させ、結晶成長させる方法(逆ミセル法)、熱分解性の原料を高温の液体有機溶媒中で結晶成長させる方法(ホットソープ法)等により製造可能であり、これらの方法を用いれば得られる超微粒子の粒子径制御が容易であること等から好ましく用いられる。
本発明で使用する超微粒子の未凝集状態での数平均一次粒子径は100nm以下が好ましい。より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは30nm以下、最も好ましくは15nm以下である。未凝集状態での数平均一次粒子径が100nmよりも大きい場合には、優れた光学特性、熱・機械的特性、電気的特性、磁気特性等の、超微粒子添加による特殊な効果が得られない事がある。より優れた分散性の観点からは、超微粒子の未凝集状態での数平均一次粒子径の好ましい下限値は0.2nmであり、より好ましくは1nmである。また超微粒子の未凝集状態での数平均一次粒子径の変動係数(粒径分布)は、50%以下が好ましく、さらには30%以下が好ましい。超微粒子の粒径分布が広すぎる、すなわち粒径の変動係数が50%を超えると、優れた光学特性、熱・機械的特性、電気的特性、磁気特性等の、超微粒子添加による特殊な効果が得られにくい事がある。
本発明における未凝集状態での数平均一次粒子径とは、透過型電子顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡にて撮影された写真を用いて、少なくとも100個以上の粒子の粒子径を定規により測定し、数平均により算出した数平均粒子径をいう。但し、電子顕微鏡で撮影された粒子の写真が円形でない場合には、粒子の占める面積を算出した後、同面積を有する円形に置き換えた時の円直径を用いることが出来る。
本発明で用いられる超微粒子は、片末端にメルカプト基を有する重合体にて表面を修飾することにより、樹脂組成物中での分散性が著しく向上するため、優れた特性を有する超微粒子含有樹脂組成物を容易に得る事ができるようになる。
片末端にメルカプト基を有する重合体にて超微粒子の表面を修飾する方法としては特に限定されず、任意の方法を用いる事ができる。例えば、超微粒子を分散可能な溶媒に対して、片末端にメルカプト基を有する重合体を溶解させる事が可能な場合には、超微粒子を溶媒に分散させた上で、片末端にメルカプト基を有する重合体を同じ溶媒に溶解し攪拌することにより、重合体末端のメルカプト基が超微粒子の表面に結合し、超微粒子表面を修飾することが可能である。
超微粒子が分散可能な溶媒に対して片末端にメルカプト基を有する重合体が溶解しない場合、あるいは溶解が困難な場合には、以下のような種々の操作により超微粒子の表面を修飾することが可能である。
例えば、アミノ基、ホスフィンオキシド基、ホスフィン基等の、比較的配位力の弱い配位子を分子内に有し、かつ超微粒子が分散する溶媒に溶解しうる修飾剤を選定した上で、予め配位力の弱い配位子を超微粒子表面に結合させる。そのうえで遠心分離等の操作により超微粒子を単離し、改めて片末端にメルカプト基を有する重合体が溶解可能な溶媒中に分散させ、片末端にメルカプト基を有する重合体を該溶媒に溶解し、超微粒子を含む液相中で接触させることにより配位子交換反応を生じさせれば、該配位力の弱い配位子をメルカプト基に置換する事が可能である。また、ピリジン等の弱配位性化合物を大過剰量(通常溶媒として用いる)に含む液相に分散する第一工程、次いで片末端にメルカプト基を有する重合体を加える第二工程、からなる2段階工程による配位子交換が好ましい場合もある。
また、超微粒子を予め分散可能な溶媒に分散させ、片末端にメルカプト基を有する重合体を別途溶解可能な溶媒に溶解しておき、両者の溶液を混合する事により、超微粒子表面を修飾する事が可能な場合もある。この時超微粒子を分散させた溶媒と重合体を溶解させた溶媒とが相溶しない場合には、超微粒子表面の修飾が進むに従い超微粒子が重合体を溶解させた溶媒側に抽出されていくので、修飾が完了したかどうかの確認が容易であり好ましい。この際、テトラアルキルアンモニウム塩やテトラアルキルホスホニウム塩等の相間移動触媒を併用する方が好ましい場合もある。
さらに、液相中で超微粒子を生成させる際に、反応液相中へ片末端にメルカプト基を有する重合体を添加する方法も有効である。この方法によれば、超微粒子の合成と同時に超微粒子表面の修飾を完了させる事が可能である上、超微粒子の合成時に超微粒子同士が凝集するのを防ぐ効果も期待できるので、修飾方法として好ましい。
超微粒子を片末端にメルカプト基を有する重合体で修飾する際には、均一に攪拌を行う事によって、より効率的に修飾反応を完了させる事ができる。攪拌を行う際には、超音波を照射する事により、凝集を防止しながら均一に表面修飾する事ができる。またマイクロ波を照射すれば、粒子に局所的にエネルギーを付与できるため、表面修飾の効率が著しく改善される場合がある。
片末端にメルカプト基を有する重合体で超微粒子の表面を修飾するその他の方法として、超微粒子を遠心分離等の方法で粉体化した後、片末端にメルカプト基を有する重合体を溶融状態にして粉体状超微粒子と混合する方法、溶融状態の片末端にメルカプト基を有する重合体中に、溶媒中に分散させた超微粒子を溶媒とともに添加し、剪断力を与えながら混合した後溶媒を減圧除去あるいは蒸発させ超微粒子を修飾する方法等を用いる事もできる。このような方法で溶融状態の片末端にメルカプト基を有する重合体と超微粒子とを混合する装置としては、一軸押出機、二軸押出機や四軸押出機等の多軸混練機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられる。中でも剪断効率の高い混練機が好ましく、二軸押出機や四軸押出機等の多軸混練機であることが、修飾反応の効率が高いうえ工業化が容易であるため特に好ましい。
片末端にメルカプト基を有する重合体と超微粒子との重量比率は、使用する目的、重合体の組成や分子量、超微粒子の比重、超微粒子の粒径及び表面積、超微粒子の表面状態、等により大きく異なってくる。即ち該重合体の分子量が比較的大きい場合には、重合体中のメルカプト基の数が少ないため、粒子表面全体を修飾するためには相対的に多量の重合体を用いる必要があるのに対し、該重合体の分子量が比較的小さい場合には重合体中のメルカプト基の数が多いため、該重合体の添加量は少なくても良い場合がある。また超微粒子の粒径が比較的小さい場合には、超微粒子の粒子数が増え表面積の割合が多くなるため、粒子表面全体を修飾するためには相対的に多量の重合体を用いる必要があるのに対し、超微粒子の粒径が比較的大きい場合には、該重合体の添加量は少なくても良い場合がある。
片末端にメルカプト基を有する重合体と超微粒子と重量比率の一般的な目安としては、超微粒子を構成する原子のうち、粒子の表面に存在する原子の数と、重合体のメルカプト基の数とが、ほぼ近い値となるように計算して使用すれば良い。すなわち、超微粒子の粒径が小さい、粒子表面に凹凸が多い、粒子が多孔性である、など、超微粒子を構成する原子のうち粒子表面に存在する原子の比率が高くなればなるほど、片末端にメルカプト基を有する重合体を多く使用するほうが分散性良好となる傾向がある。
得られた重合体修飾超微粒子を、該重合体修飾超微粒子と相溶性を有する樹脂中に混合する方法には特に制限は無く、公知の任意の混合方法を用いる事ができる。
例えば、重合体修飾超微粒子を樹脂が溶解可能な溶媒中に分散しておき、該溶媒に樹脂を溶解させ均一になるまで攪拌した上で、溶媒を蒸発させる等の方法で除去する事により、超微粒子が樹脂中に均一に分散した樹脂組成物を容易に得る事ができる。このような方法を用いる際、超微粒子の分散性を改善したり超微粒子同士の凝集を防止したりする目的で、溶液を公知の種々の装置で攪拌することも、超微粒子が均一に分散した樹脂組成物を得られるので好ましい。攪拌方法としては、攪拌子や攪拌棒等の回転機器を溶媒中で回転させる方法、ビーズ等の媒体を用いて攪拌する方法、超音波等を照射して攪拌する方法、高速回転等の高剪断力を付与する事により攪拌する方法等を例示する事ができるが、これらに限定されるものではない。
また、遠心分離等の方法で重合体修飾超微粒子を溶媒から単離したうえで、溶融した樹脂中に混合する事により、樹脂中に重合体修飾超微粒子を分散させる方法、溶融状態の樹脂中に、溶媒に分散させた重合体修飾超微粒子を溶媒とともに添加し、剪断力を与えながら混合した後溶媒を減圧除去あるいは蒸発させ、重合体修飾超微粒子を分散させる方法等を用いることもできる。このような方法で樹脂組成物を作製する装置としては、一軸押出機、二軸押出機や四軸押出機等の多軸混練機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられ、特に、剪断効率の高い混練機を用いるのが好ましい。
本発明で得られる超微粒子含有樹脂組成物は、その全含有超微粒子数のうち好ましくは80%以上の粒子が、より好ましくは85%以上の粒子が、最も好ましくは90%以上の粒子が、粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している。このように超微粒子が樹脂組成物中に均一に分散しているため、超微粒子が本来有している優れた光学特性、熱・機械的特性、電気的特性、磁気特性等を損なうことのない樹脂組成物を得ることができる。全含有超微粒子数のうち20%を超える粒子が粒子同士互いに接し合って存在している、即ち20%を超える粒子が凝集して存在している場合には、超微粒子が本来有している特性ではなく、超微粒子の凝集塊と同等の粒径の粒子が樹脂中に分散しているような特性を示してしまうため、光学特性、熱・機械的特性、電気的特性、磁気特性等が損なわれてしまう傾向がある。
本発明で使用できる超微粒子の形状は、特に限定はなく、任意の形状をとることが出来る。具体的には、球状、ラグビーボール状やサッカーボール状や20面体状等の球に近い立体形状、6面体状、ロッド状、針状、板状、鱗片状、破砕状、不定形状等の形状が挙げられる。さらには粒子の表面または内部に空洞部分や欠陥部分を有していても良く、表面や内部に多数の穴を有するような多孔質の粒子であっても良い。しかしながら、超微粒子の製造が容易であること、樹脂中へ均一分散させるのが容易であること、粒子表面の処理が容易であること等から、球状、或いは、球に近い立方体状である事が好ましい。球に近い立方体状とは(粒子の表面積)/(粒子と同じ体積の球の表面積)比率が、好ましくは、3倍以下であるものをいい、さらには2倍以下、特には1.5倍以下であることが好ましい。また本発明で使用される超微粒子は、単独で用いても良く、種類や形状の異なる2種以上の粒子を組み合わせて使用しても良い。さらには粒子径分布の異なる2種以上の複数種類を組み合わせて使用しても良い。
本発明の樹脂組成物において、樹脂100重量部に対する、超微粒子の含有量の下限値は、好ましくは0.0001重量部であり、より好ましくは0.001重量部であり、さらに好ましくは0.01重量部であり、最も好ましくは0.1重量部である。配合量の上限値は、好ましくは200重量部であり、より好ましくは150重量部であり、さらに好ましくは100重量部であり、最も好ましくは50重量部である。超微粒子の含有量が0.0001重量部より少ないと、超微粒子を添加したことによる特異な電子的、光学的、電気的、磁気的、化学的、機械的特性が充分に得られないことがあり、含有量が200重量部より多いと、超微粒子の分散が困難となる傾向がある。
本発明の樹脂組成物において、片末端にメルカプト基を有する重合体と樹脂との比率は、超微粒子と片末端にメルカプト基を有する重合体との割合、樹脂と微粒子との割合により決定されるものであるが、樹脂や粒子の種類や使用目的等により、好ましい範囲は異なってくる。特に超微粒子を樹脂中に多量に含有させたい場合で、かつ超微粒子に対して多くの片末端にメルカプト基を有する重合体で修飾させる場合等であれば、樹脂として片末端にメルカプト基を有する重合体をそのまま用いる事も可能である。このような場合には、樹脂組成物中の樹脂は全て片末端にメルカプト基を有していることとなり、修飾超微粒子と樹脂との混合が不要となるため、樹脂中に均一に超微粒子を分散させるのが非常に容易である。
本発明の樹脂組成物に用いられる樹脂には特に制限は無く、広く知られた各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の中から必要に応じて1種または2種以上を任意の組み合わせで選択して用いる事が可能である。
しかしながら、樹脂組成物に用いられる樹脂と片末端にメルカプト基を有する重合体とは、相互に混合しやすい組成であると、超微粒子を樹脂中に分散性良く分散させることが出来る。すなわち樹脂組成物に用いられる樹脂と片末端にメルカプト基を有する重合体とが互いに相溶性を有していることが好ましい。
樹脂組成物に用いられる樹脂と片末端にメルカプト基を有する重合体とが相互に混合しやすいかどうかを判断する方法としては、樹脂組成物に用いられる樹脂とメルカプト基を有する重合体とを、超微粒子を含有しない状態で混合し、均一な組成物が得られるかどうかで判断する事ができる。本発明で「相溶性を有する」とは、樹脂と重合体とを混合した状態を肉眼でみた場合、均一に混合可能であるような樹脂と重合体との組み合わせを言うものとする。中でも、更に、樹脂と重合体の混合物の超薄切片を透過型電子顕微鏡等で観察した際、両者がナノメートルオーダーのレベルで超微分散する程度に相溶性に優れている組み合わせであるか、両者の境界が確認できない程度にまでお互いに良好に相溶しているような組み合わせであれば、超微粒子を分散させたときにも超微粒子の分散性が著しく優れ、重合体中で超微粒子が均一分散した樹脂組成物を容易に得る事ができるようになるため好ましい。
両者が肉眼では均一に交じり合う組成であっても、混合物の超薄切片を透過型電子顕微鏡等で観察した際、ミクロサイズ程度に層分離しているような構造であれば、超微粒子の分散性を多少は改善する効果が期待できるものの、通常良く知られた超微粒子修飾剤と同等程度の分散性改良効果しか期待できない可能性があるため、分散方法を工夫する等の方法を行うことが好ましい。
特に好ましい組み合わせは、樹脂組成物に用いられる樹脂と片末端にメルカプト基を有する重合体とが、化学的に同一の組成を有している場合である。同一の組成である上さらに、良く似た分子量分布を有していたり、良く似た主鎖分岐構造を有していたりすると、相溶性がより優れるためさらに好ましい。
得られる樹脂組成物に対して優れた光学特性を期待する場合には、本発明に使用する樹脂は可視光を透過する樹脂である事が好ましい。ここで可視光を透過する樹脂とは具体的には、ASTM D1003に基づき厚さ2mmで測定した全光線透過率が50%以上の樹脂を示すものとする。ただし本発明で得られた組成物を光学用途として広範囲に用いるためには、全光線透過率の値は大きいほど適しており、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上である。また可視光を透過する樹脂においては、ASTM D1003に基づき厚さ2mmで測定したヘイズの値も小さい方が好ましい。具体的にはヘイズの値が10%以下、好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下、最も好ましくは3%以下である。可視光を透過する樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、オレフィン・マレイミド共重合体等のオレフィン・ビニル系単量体共重合ポリマー類、ポリスチレン等の芳香族ビニルポリマー類、スチレン・アクリロニトリル共重合体やスチレン・メタクリル酸メチル共重合体やスチレン・マレイミド共重合体等の芳香族ビニル・ビニル系単量体共重合ポリマー類、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリル酸エステル類、ポリメチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル類、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート類、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタタレート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルペンテン−1、脂環式ポリオレフィン類(例えば、ジシクロペンタジエン系ポリオレフィンやノルボルネン系ポリオレフィン等の環状オレフィンの開環重合体(共重合体)、その水素添加重合体(共重合体)、環状オレフィンと不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体等)、例えばトリシクロデカニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等の脂環式アクリレート・脂環式メタクリレートとメチルメタクリレート等のアクリル酸エステル・メタクリル酸エステルとの共重合体、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、非晶性ポリアミド、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、グルタルイミド系樹脂並びに環状オレフィン、シクロペンタジエン、芳香族ビニル化合物の重合体(共重合体)を水素添加して得られる水素添加重合体、その他を挙げることができる。これらの中でも好ましい光学特性を有するものとしては、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、マレイミド・オレフィン系樹脂、グルタルイミド系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は2種以上複数種類を混合して用いることもできる。但し2種以上の光透過性樹脂を混合して用いる際には、単純に混合しただけでは光透過性が低下する場合があるため、混合する樹脂の相溶性を高め、均一に近い組成とする必要がある。混合する樹脂の相溶性を高める方法としては、両方の樹脂を共重合した共重合ポリマーを相溶化剤として少量添加する方法等が挙げられる。
本発明で製造される樹脂組成物は、目的に応じて、顔料や染料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、及び帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。
本発明で得られる樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、熱プレス成形、真空成形、キャストフィルム化、ロールフィルム化、Tダイフィルム化、インフレーションフィルム化、等種々の成形加工方法により成形しうる。また発泡剤を併用することにより発泡成形にも使用できる。得られる成形品その特性に応じて、電気、電子部品用途、光学材料および光学部品用途、磁気材料及び磁気部品用途、その他自動車部品、家庭用電気製品部品、家庭日用品、包装資材、等の一般工業用資材等に好適に用いられる。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、これらに何ら限定されるものではない。
超微粒子の未凝集状態での数平均一次粒子径測定:超微粒子の適量を分散可能な溶媒中に超音波分散させた後、シリコンウエハー上に少量を塗布した状態にて走査型電子顕微鏡(SEM)で、あるいはコロジオン膜を貼り付けたメッシュ上に固定した状態にて透過型電子顕微鏡(TEM)で、観察した。電子顕微鏡写真を用いて100個以上の超微粒子について粒径を目盛り付きの定規を用いて手計測することにより、数平均一次粒子径を測定した。
樹脂組成物中の超微粒子の分散状態測定:実施例に示す方法にて得られた樹脂組成物から、ウルトラミクロトーム(ライカ製ウルトラカットUCT)を用いてTEM観察用超薄切片を作成した後、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子JEM−1200EX)を用いて、倍率10万倍〜40万倍にて超微粒子の分散状態を複数箇所で写真撮影した。得られたTEM写真を複数用いて、視野内で確認可能な独立した粒子の数を100μm2以上の範囲でカウントし、全粒子数に対して、独立して存在している粒子数の割合を算出した。
UV−VIS吸収波長の測定:島津製作所製UV可視分光光度計UV−3150を用い、溶媒中に分散した粒子は石英セル(12.5×12.5×45mm)中で、樹脂フィルムはフィルムのままで、光透過率を測定した。
発光波長の測定:PERKIN−ELMER製蛍光光度計LS55を用い、溶媒中に分散した粒子は石英セル(12.5×12.5×45mm)中で、樹脂フィルムはフィルムのままで、励起光を照射したときの発光波長を測定した。可視光透過性の測定:日精樹脂工業(株)製80t射出成形機にて50mm×50mm×2mmのサイズの試験片を成形した。この試験片を用い、日本電色工業製濁度計300Aにて、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の条件で、ASTM D1003に基づき全光線透過率を測定した。
金属超微粒子には、以下のものを用いた。
金超微粒子有機溶媒分散液は、真空冶金(株)製パーフェクトゴールドから金属粒子部分を抽出し、ドデシルアミンで粒子表面を一部修飾した後クロロホルムに希釈し、金濃度で0.93mg/mlのクロロホルム溶液として用いた。SEM観察による金粒子の数平均一次粒子径は約4nmで、形状は真球状粒子であった。また有機溶媒分散液は赤紫色を呈しており、UV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は519nmであった。
金超微粒子水分散液は、塩化金酸をクエン酸及びタンニン酸で還元して合成した、3mmol/L濃度の水分散金ナノ粒子コロイド((株)ナノラボ製)を用いた。SEM観察による金粒子の数平均一次粒子径は約8.7nmで、形状は真球状粒子であった。また水溶液は紫色を呈しており、UV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は527nmであった。
銀超微粒子有機溶媒分散液は、真空冶金(株)製パーフェクトシルバーから金属粒子部分を抽出し、ドデシルアミンで粒子表面を一部修飾した後クロロホルムに希釈し、銀濃度で1.00mg/mlのクロロホルム溶液として用いた。SEM観察による銀粒子の数平均一次粒子径は約4nmで、形状は真球状粒子であった。また有機溶媒分散液は黄色を呈しており、UV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は420nmであった。
鉄白金超微粒子は、T.Iwaki et al.,J.Appl.Phys.,94,6807(2003)に従い合成した。TEM観察による鉄白金粒子の数平均一次粒子径は約4.0nmで、形状は真球状粒子であった。波長分散型蛍光X線分析装置により測定したFe:Pt元素比率は、52:48であった。これを、粒子濃度1g/Lのエチレングリコール分散鉄白金ナノ粒子溶液として、使用した。
CdSe超微粒子は、M.Kawa et al.,J.Nanoparticle Res.,5,81(2003)に従い合成した。TEM観察によるCdSe粒子の数平均一次粒子径は約3nmで、形状は真球状粒子であった。また蛍光光度計によりトルエン溶液に299nm波長の励起光を照射したところ、ピーク波長519nm、半値幅48nmの緑色に発光した。
ZnSシェルを有するコアシェル型CdSeナノ粒子は、上記CdSe超微粒子を用いて、以下の製造例1にて製造した。
(製造例1) 半導体超微粒子(ZnSシェルを有するコアシェル型CdSeナノ粒子)の製造
乾燥アルゴンガスを満たした褐色ガラスフラスコ中に、トリオクチルホスフィンオキシド15gを入れ、130〜150℃での溶融状態で、減圧と乾燥アルゴンガスを注入する操作とを繰り返しながら約2時間攪拌し、トリオクチルホスフィンオキシドを乾燥した。これを100℃に冷却後、CdSeナノ粒子固形粉体0.094gをトリオクチルホスフィン1.5gに溶解させた溶液を加えて、CdSeナノ粒子溶液を得た。これを100℃で減圧下60分間攪拌後、温度を180℃に設定して乾燥アルゴンガスで大気圧に戻した。別途、乾燥窒素雰囲気のグローブボックス内で、ジエチル亜鉛の1N濃度n−ヘキサン溶液1.34mLと、ビス(トリメチルシリル)スルフィド0.239gとをトリオクチルホスフィン9mL中に溶解させた原料溶液を、遮光ガラス瓶中で調製した。この原料溶液を注射器により、前記のCdSe溶液中に20分間かけて滴下し、90℃に降温後60分間攪拌を継続した。室温で約24時間静置後、再び90℃で3時間加熱攪拌した。これにn−ブタノール8mLを加えて室温まで冷却することにより、透明な赤色溶液を得た。この赤色溶液の一部(8mL)を、乾燥窒素気流下、室温で無水メタノール16mL中に滴下し20分間攪拌を継続する沈殿操作により赤色不溶物を得た。この赤色不溶物を遠心分離及びデカンテーションにより分離し、精製トルエン14mLに再溶解した。この再溶解トルエン溶液から再び上記と同様の沈殿、遠心分離、デカンテーションの一連の精製操作を、さらに2度繰り返し行うことにより、ZnSシェルを有するコアシェル型CdSeナノ粒子固体粉末を得た。TEM観察による粒子の数平均一次粒子径は約5nmで、形状は真球状粒子であった。この固体粉末をトルエンに分散させると透明赤色の均一溶液となり、ここに468nm波長の励起光を照射すると、オレンジ色の発光帯(ピーク波長597nm、半値幅41nm)を与え、この発光はCdSeナノ粒子の同濃度溶液よりも強かった。
片末端メルカプト基含有重合体は以下の製造例2〜6のように製造した。
(製造例2)片末端メルカプト基含有ポリメタクリル酸メチルの製造
還流冷却管、窒素ガス導入管、温度計、磁気撹拌子を備えた反応器に、チオカルボニルチオ基を有する化合物として式(13)
で示される化合物1.21g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.27gを秤取した。別の容器に単量体としてメタクリル酸メチル149.9g、溶媒としてトルエン149.2gを秤取し、両方の容器をキャヌラで接続し、窒素ガスを導入しながら系内を減圧する方法により脱酸素・窒素置換を行った。メタクリル酸メチル/トルエン溶液の約1/10を、キャヌラを通して反応器へ移し、撹拌しながら70℃に加熱した。1時間後に、残りのメタクリル酸メチル/トルエン溶液をゆっくり追加した。3時間かけて追加を終了した後、さらに70℃で7時間撹拌した。反応液をメタノール2Lに注いで重合体を析出させ、さらにメタノールで洗浄後乾燥させて、片末端にチオカルボニルチオ基を有するポリメタクリル酸メチル78.2gを得た(Mw=25800、Mn=21100、Mw/Mn=1.22)。
得られた重合体をトルエン220mLに溶解し、n−ブチルアミン45.5gを加えた後室温で30時間撹拌し、次いでメタノール2Lに注いで重合体を析出させた。さらにメタノールで洗浄後乾燥させ、片末端にメルカプト基を有するポリメタクリル酸メチル74.1gを得た。硫黄含有量を分析したところ、アミン添加前0.25重量%に対してアミン処理後は0.14重量%であった。
(製造例3)片末端メルカプト基含有ポリ(アクリロニトリル/スチレン)の製造
還流冷却管、窒素ガス冷却管、温度計、磁気撹拌子を備えた反応器に、チオカルボニルチオ基を有する化合物として式(13)
で示される化合物1.35g、単量体としてアクリロニトリル100.3gとスチレン100.4g、溶媒としてトルエン200.1g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.30gを入れ、窒素ガスをバブリングしながら系内を減圧する方法により脱酸素・窒素置換を行った。70℃で10時間撹拌した後室温まで冷却し、反応液をメタノール2.5Lに注いで重合体を析出させた。さらにメタノールで洗浄後、乾燥させて片末端にチオカルボニルチオ基を有するポリ(アクリロニトリル/スチレン)91.6gを得た(Mw=31300、Mn=25800、Mw/Mn=1.21;アクリロニトリル/スチレンmol比率=50/50)。
得られた重合体をアセトン220mLに溶解し、ジエチルアミン45.1gを加えた後室温で30時間撹拌し、次いでメタノール2.5Lに注いで重合体を析出させた。さらにメタノールで洗浄後乾燥させ、片末端にメルカプト基を有するポリ(アクリロニトリル/スチレン)88.3gを得た。硫黄含有量を分析したところ、アミン添加前0.28重量%に対してアミン処理後は0.14重量%であった。
(製造例4) 片末端メルカプト基含有ポリスチレンの製造
還流冷却管、窒素ガス導入管、温度計、磁気撹拌子を備えた反応器に、チオカルボニルチオ基を有する化合物として式(13)
で示される化合物3.22g、単量体としてスチレン100.3g、溶媒としてトルエン98.1g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.61gを入れ、窒素ガスをバブリングしながら系内を減圧する方法により脱酸素・窒素置換を行った。溶液を70℃で14時間撹拌した後室温まで冷却し、サンプリングにより片末端にチオカルボニルチオ基を有するポリスチレン(Mw=4300、Mn=3700、Mw/Mn=1.16)の生成を確認した。モノマー転化率は30%であった。
次に処理剤としてジエチルアミン25.0gを添加し、50℃で8時間撹拌した後、溶液をメタノール500mLに注いで重合体を析出させた。得られた重合体を乾燥し(34.5g)、1H−NMR分析により片末端がメルカプト基に変換されていることを確認した。
(製造例5) 片末端メルカプト基含有ポリビニルアルコールの製造
還流冷却管、窒素ガス導入管、温度計、磁気撹拌子を備えた反応器に、チオカルボニルチオ基を有する化合物として式(14)
で示される化合物0.399g、単量体として酢酸ビニル50.0g、溶媒として酢酸エチル40.0g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.059gを入れ、窒素ガスをバブリングしながら系内を減圧する方法により脱酸素・窒素置換を行った。70℃で5時間撹拌した後室温まで冷却し、ヘキサン800mLに注いで重合体を析出させた。さらにヘキサンで洗浄後乾燥し、末端にチオカルボニルチオ基を有するポリ酢酸ビニル25.4gを得た(Mw=26000、Mn=20200、Mw/Mn=1.29)。
得られたポリ酢酸ビニル全量をエタノール100mLに溶解し、単量体としてアクリル酸n−ブチル1.8g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.04gを入れ、窒素ガスをバブリングしながら系内を減圧する方法により脱酸素・窒素置換を行った。70℃で8時間攪拌した後サンプリングし、アクリル酸n−ブチルの連鎖を介して片末端にチオカルボニルチオ基を有するポリ酢酸ビニルの生成を確認した(Mw=28200、Mn=21100、Mw/Mn=1.34)。次にこの溶液にナトリウムメトキサイドのメタノール溶液(28重量%)44gをゆっくり添加した。添加するにつれて溶液の色が淡黄色から褐色に変化し、最終的に白色沈殿が大量に生成した。10時間後にろ過し、得られた白色沈殿をメタノールで繰り返し洗浄することにより、アクリル酸エステル(ブチルエステルとメチルエステルの混合物)の連鎖を介して片末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール11.8gを得た。1H−NMR分析により片末端がメルカプト基に変換されていることを確認した。
(製造例6)片末端メルカプト基含有ポリメタクリル酸の製造
還流冷却管、窒素ガス導入管、温度計、磁気撹拌子を備えた反応器に、チオカルボニルチオ基を有する化合物として式(13)
で示される化合物0.53g、単量体としてメタクリル酸48.3g、溶媒としてエタノール30gと蒸留水20g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.062gを入れ、窒素ガスをバブリングしながら系内を減圧する方法により脱酸素・窒素置換を行った。70℃で3時間撹拌した後室温まで冷却し、水酸化ナトリウム5.5gを添加して室温で12時間攪拌した。反応液をテトラヒドロフラン500mLに注いで重合体を析出させ、得られた重合体をさらに水/テトラヒドロフランで再沈殿精製し、末端にメルカプト基を有するポリメタクリル酸31.1gを得た(Mw=27200、Mn=20500、Mw/Mn=1.33)。硫黄含有量を分析したところ、水酸化ナトリウム添加前0.26重量%に対して水酸化ナトリウム処理後は0.14重量%であった。
[実施例1]
金超微粒子有機溶媒分散液2.59mL、クロロホルム4.61mL、製造例2で得られた重合体240mg、を混合後、水槽中で20℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続ける事により、金ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。別途市販のPMMA樹脂(Aldrich製、Mw=120,000、全光線透過率93%)960mgをクロロホルム4.8mlに溶解したPMMAのクロロホルム溶液と、金ナノ粒子のクロロホルム溶液とを均一に混合した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ乾燥する事により、金ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で赤紫色を帯びており、平均厚みは60μmであった。樹脂フィルムのTEM写真を図1(低倍率)及び図2(高倍率)に示す。
粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、100%であり凝集している粒子は全く存在していなかった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は516nmであった。
[実施例2]
金超微粒子有機溶媒分散液10.36mLと製造例2で得られた重合体12000mgとを混合後、水槽中で20℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続ける事により、金ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。この溶液を密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ乾燥する事により、金ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で赤紫色を帯びており、平均厚みは60μmであった。樹脂フィルムのTEM写真を図3(低倍率)及び図4(高倍率)に示す。
粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ99%であり、凝集している粒子はほとんど存在していなかった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は517nmであった。
(比較例1)
製造例2で得られた重合体240mgのかわりに、市販のPMMA樹脂240mgを用いた以外は実施例1と同様にして、金ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有し青色を帯びており、平均厚みは60μmであった。得られた樹脂フィルムのTEM写真を図5(低倍率)及び図6(高倍率)に示す。
粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、0%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長を測定したが、明確な吸収ピークは観察されなかった。
(比較例2)
製造例2で得られた重合体240mgのかわりにドデカンチオール24mgを用いた以外は実施例1と同様にして、金ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有し青色を帯びており、平均厚みは60μmであった。得られた樹脂フィルムのTEM写真を図7(低倍率)及び図8(高倍率)に示す。
粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、5%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は571nmであった。
また比較例2と同様の方法で、ドデカンチオールの添加量のみを240mgにまで増やしてみたが、TEMで観察される分散状態にはほとんど変化は見られなかった。
[実施例3]
金超微粒子有機溶媒分散液2.59mL、クロロホルム4.61mL、製造例3で得られた重合体240mg、を混合後、水槽中で20℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続ける事により、金ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。別途作成した、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂(Polyscience Inc.製、アクリロニトリル/スチレンmol比率=25:75、全光線透過率89%)960mgをクロロホルム4.8mlに溶解したクロロホルム溶液と、金ナノ粒子のクロロホルム溶液とを均一に混合した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ乾燥する事により、金ナノ粒子含有アクリロニトリル/スチレン樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で紫色を帯びており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、99%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は512nmであった。
(比較例3)
製造例3で得られた重合体240mgのかわりにドデカンチオール40mgを用いた以外は実施例3と同様にして、金ナノ粒子含有アクリロニトリル/スチレン樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有し青色を帯びており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、5%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は571nmであった。
[実施例4]
銀超微粒子有機溶媒分散液2.39mL、クロロホルム4.81mL、製造例2で得られた重合体240mg、を混合後、水槽中で20℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続ける事により、銀ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。別途市販のPMMA樹脂(Aldrich製、Mw=120,000、全光線透過率93%)960mgをクロロホルム4.8mlに溶解したPMMAのクロロホルム溶液と、銀ナノ粒子のクロロホルム溶液とを均一に混合した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ乾燥する事により、銀ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で黄色を帯びており、平均厚みは60μmであった。樹脂フィルムのTEM写真を図9(低倍率)及び図10(高倍率)に示す。
粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、100%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は419nmであった。
[実施例5]
水分散金ナノ粒子コロイド5mL、クロロホルム10mL、製造例4で得られた重合体50mg、を混合後、水槽中で25℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続けた後静置し、水層とクロロホルム層とを分液する事により、金ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。別途作成した、汎用ポリスチレン樹脂(エー・アンド・エムスチレン(株)製G9305、Mw=180,000、全光線透過率91%)20重量%クロロホルム溶液と、金ナノ粒子のクロロホルム溶液とを1:1で均一に混合した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ、乾燥する事により金ナノ粒子含有ポリスチレン樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で紫色を帯びており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、99%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は531nmであった。
(比較例4)
製造例4で得られた重合体50mgのかわりにドデカンチオール50mgを用いた以外は実施例5と同様にして、金ナノ粒子含有ポリスチレン樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有しており、平均厚みは60μmであった。得られた樹脂フィルムのTEM写真を図2に示す。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、2%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は580nmであった。
[実施例6]
エチレングリコール分散鉄白金ナノ粒子コロイド5mL、クロロホルム10mL、製造例2で得られた重合体100mg、を混合後、水槽中で20℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続けた後静置し、エチレングリコール層とクロロホルム層とを分液した。クロロホルム層側に純水10mLを加え1時間攪拌後水層を分液除去する操作を3度繰り返す事により、鉄白金ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。実施例1で用いたのと同じPMMA樹脂20重量%クロロホルム溶液と、鉄白金ナノ粒子のクロロホルム溶液とを1:1で均一に混合した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ乾燥する事により、鉄白金ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で茶色を帯びており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、98%であった。
(比較例5)
製造例2で得られた重合体100mgのかわりにドデカンチオール100mgを用いた以外は実施例6と同様にして、鉄白金ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、目視ではほぼ均一な外観を有しており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、粒子が何重にも凝集して大きな凝集塊を形成しており正確な計測は困難であったが、概算で約12%であった。
[実施例7]
CdSe固体粉末2mg、製造例2で得られた重合体100mg、をクロロホルム5.5mLに溶解し、水槽中で23℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続けた後無水メタノール20mLを注入して不溶物を生じさせた。この不溶物を遠心分離にて上澄み液から分離し、室温にて約1日間真空乾燥して表面修飾CdSeナノ粒子固形粉体を得た。得られた表面修飾超微粒子をクロロホルム5.5ml中に分散させ、さらに製造例3で得られた重合体400mgを添加後、水槽中で20℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続けた後静置する事により、CdSeナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。別途市販のPMMA樹脂(Aldrich製、Mw=120,000、全光線透過率93%)500mgをクロロホルム2.5mlに溶解させた溶液と、CdSeナノ粒子のクロロホルム溶液とを混合攪拌した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ、乾燥する事によりCdSeナノ粒子分散PMMA樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの外観は均一透明であり、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、95%であった。また得られた樹脂フィルムに蛍光光度計にて299nm波長の励起光を照射すると、ピーク波長515nm、半値幅55nmに発光した。
[実施例8]
CdSe固体粉末2mgのかわりに、製造例1で得られたZnSシェルを有するコアシェル型CdSeナノ粒子固体粉末2mgを用いた以外は実施例2と同様にして、ZnSシェルを有するコアシェル型CdSe超微粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの外観は均一透明であり、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、94%であった。また得られた樹脂フィルムに蛍光光度計にて468nm波長の励起光を照射すると、ピーク波長603nmに発光し、かつ実施例2よりも発光強度は強かった。
(比較例6)
製造例2で得られた重合体100mg+400mgのかわりに、市販のPMMA樹脂(Aldrich製、Mw=120,000、全光線透過率93%)500mgを用いた以外は実施例7と同様にして、CdSeナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は一見均一に見え、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、2%であった。得られた樹脂フィルムに蛍光光度計にて299nm波長の励起光を照射したところ、ピーク波長532nm、半値幅70nmに発光しており、ナノ粒子の凝集によって。ピークが長波長側にシフトしていることがわかる。
(比較例7)
製造例2で得られた重合体計500mgのかわりにドデカンチオール50mgを用いた以外は実施例7と同様にして、CdSeナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有しており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、2%であった。得られた樹脂フィルムに蛍光光度計にて365nm波長の励起光を照射しても、明確な発光ピークは観察されなかった。
[実施例9]
水分散金ナノ粒子コロイド5mL、製造例5で得られた重合体40mg、純水5mL、を混合後、水槽中で25℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続けた後静置し、表面修飾金ナノ粒子を作成した。別途作成した、ポリビニルアルコール樹脂(Aldrich製Poly(vinyl Alcohol)、87〜89%hydrolyzed、Mw=85,000〜146,000)20重量%水溶液と、表面修飾金ナノ粒子の水溶液とを1:1で均一に混合した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1週間程度かけて水を蒸発させ、乾燥する事により金ナノ粒子含有ポリビニルアルコール樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で紫色を帯びており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、95%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は545nmであった。
(比較例8)
水分散金ナノ粒子コロイド5mL、純水5mL、ポリビニルアルコール樹脂(Aldrich製Poly(vinyl Alcohol)、87〜89%hydrolyzed、Mw=85,000〜146,000)20重量%水溶液10mLを均一に混合し24時間攪拌した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1週間程度かけて水を自然蒸発させ、乾燥する事により金ナノ粒子含有ポリビニルアルコール樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有しており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、0%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は、フィルムの透明度が低いため測定困難であった。
[実施例10]
製造例5で得られた重合体40mgのかわりに製造例6で得られた重合体40mgを用い、かつポリビニルアルコール樹脂20重量%水溶液のかわりにポリメタクリル酸樹脂(Polyscience Inc.製、Mw=約100,000)20重量%水溶液を用いた。それ以外は実施例9と同様にして、金ナノ粒子含有ポリメタクリル酸樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で紫色を帯びており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、96%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は543nmであった。
(比較例9)
ポリビニルアルコール樹脂20重量%水溶液のかわりにポリメタクリル酸樹脂(Polyscience Inc.製、Mw=約100,000)20重量%水溶液を用いた以外は比較例8と同様にして、金ナノ粒子含有ポリメタクリル酸樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有しており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、0%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は、フィルムの透明度が低いため測定困難であった。
超微粒子の未凝集状態での数平均一次粒子径測定:超微粒子の適量を分散可能な溶媒中に超音波分散させた後、シリコンウエハー上に少量を塗布した状態にて走査型電子顕微鏡(SEM)で、あるいはコロジオン膜を貼り付けたメッシュ上に固定した状態にて透過型電子顕微鏡(TEM)で、観察した。電子顕微鏡写真を用いて100個以上の超微粒子について粒径を目盛り付きの定規を用いて手計測することにより、数平均一次粒子径を測定した。
樹脂組成物中の超微粒子の分散状態測定:実施例に示す方法にて得られた樹脂組成物から、ウルトラミクロトーム(ライカ製ウルトラカットUCT)を用いてTEM観察用超薄切片を作成した後、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子JEM−1200EX)を用いて、倍率10万倍〜40万倍にて超微粒子の分散状態を複数箇所で写真撮影した。得られたTEM写真を複数用いて、視野内で確認可能な独立した粒子の数を100μm2以上の範囲でカウントし、全粒子数に対して、独立して存在している粒子数の割合を算出した。
UV−VIS吸収波長の測定:島津製作所製UV可視分光光度計UV−3150を用い、溶媒中に分散した粒子は石英セル(12.5×12.5×45mm)中で、樹脂フィルムはフィルムのままで、光透過率を測定した。
発光波長の測定:PERKIN−ELMER製蛍光光度計LS55を用い、溶媒中に分散した粒子は石英セル(12.5×12.5×45mm)中で、樹脂フィルムはフィルムのままで、励起光を照射したときの発光波長を測定した。可視光透過性の測定:日精樹脂工業(株)製80t射出成形機にて50mm×50mm×2mmのサイズの試験片を成形した。この試験片を用い、日本電色工業製濁度計300Aにて、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の条件で、ASTM D1003に基づき全光線透過率を測定した。
金属超微粒子には、以下のものを用いた。
金超微粒子有機溶媒分散液は、真空冶金(株)製パーフェクトゴールドから金属粒子部分を抽出し、ドデシルアミンで粒子表面を一部修飾した後クロロホルムに希釈し、金濃度で0.93mg/mlのクロロホルム溶液として用いた。SEM観察による金粒子の数平均一次粒子径は約4nmで、形状は真球状粒子であった。また有機溶媒分散液は赤紫色を呈しており、UV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は519nmであった。
金超微粒子水分散液は、塩化金酸をクエン酸及びタンニン酸で還元して合成した、3mmol/L濃度の水分散金ナノ粒子コロイド((株)ナノラボ製)を用いた。SEM観察による金粒子の数平均一次粒子径は約8.7nmで、形状は真球状粒子であった。また水溶液は紫色を呈しており、UV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は527nmであった。
銀超微粒子有機溶媒分散液は、真空冶金(株)製パーフェクトシルバーから金属粒子部分を抽出し、ドデシルアミンで粒子表面を一部修飾した後クロロホルムに希釈し、銀濃度で1.00mg/mlのクロロホルム溶液として用いた。SEM観察による銀粒子の数平均一次粒子径は約4nmで、形状は真球状粒子であった。また有機溶媒分散液は黄色を呈しており、UV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は420nmであった。
鉄白金超微粒子は、T.Iwaki et al.,J.Appl.Phys.,94,6807(2003)に従い合成した。TEM観察による鉄白金粒子の数平均一次粒子径は約4.0nmで、形状は真球状粒子であった。波長分散型蛍光X線分析装置により測定したFe:Pt元素比率は、52:48であった。これを、粒子濃度1g/Lのエチレングリコール分散鉄白金ナノ粒子溶液として、使用した。
CdSe超微粒子は、M.Kawa et al.,J.Nanoparticle Res.,5,81(2003)に従い合成した。TEM観察によるCdSe粒子の数平均一次粒子径は約3nmで、形状は真球状粒子であった。また蛍光光度計によりトルエン溶液に299nm波長の励起光を照射したところ、ピーク波長519nm、半値幅48nmの緑色に発光した。
ZnSシェルを有するコアシェル型CdSeナノ粒子は、上記CdSe超微粒子を用いて、以下の製造例1にて製造した。
(製造例1) 半導体超微粒子(ZnSシェルを有するコアシェル型CdSeナノ粒子)の製造
乾燥アルゴンガスを満たした褐色ガラスフラスコ中に、トリオクチルホスフィンオキシド15gを入れ、130〜150℃での溶融状態で、減圧と乾燥アルゴンガスを注入する操作とを繰り返しながら約2時間攪拌し、トリオクチルホスフィンオキシドを乾燥した。これを100℃に冷却後、CdSeナノ粒子固形粉体0.094gをトリオクチルホスフィン1.5gに溶解させた溶液を加えて、CdSeナノ粒子溶液を得た。これを100℃で減圧下60分間攪拌後、温度を180℃に設定して乾燥アルゴンガスで大気圧に戻した。別途、乾燥窒素雰囲気のグローブボックス内で、ジエチル亜鉛の1N濃度n−ヘキサン溶液1.34mLと、ビス(トリメチルシリル)スルフィド0.239gとをトリオクチルホスフィン9mL中に溶解させた原料溶液を、遮光ガラス瓶中で調製した。この原料溶液を注射器により、前記のCdSe溶液中に20分間かけて滴下し、90℃に降温後60分間攪拌を継続した。室温で約24時間静置後、再び90℃で3時間加熱攪拌した。これにn−ブタノール8mLを加えて室温まで冷却することにより、透明な赤色溶液を得た。この赤色溶液の一部(8mL)を、乾燥窒素気流下、室温で無水メタノール16mL中に滴下し20分間攪拌を継続する沈殿操作により赤色不溶物を得た。この赤色不溶物を遠心分離及びデカンテーションにより分離し、精製トルエン14mLに再溶解した。この再溶解トルエン溶液から再び上記と同様の沈殿、遠心分離、デカンテーションの一連の精製操作を、さらに2度繰り返し行うことにより、ZnSシェルを有するコアシェル型CdSeナノ粒子固体粉末を得た。TEM観察による粒子の数平均一次粒子径は約5nmで、形状は真球状粒子であった。この固体粉末をトルエンに分散させると透明赤色の均一溶液となり、ここに468nm波長の励起光を照射すると、オレンジ色の発光帯(ピーク波長597nm、半値幅41nm)を与え、この発光はCdSeナノ粒子の同濃度溶液よりも強かった。
片末端メルカプト基含有重合体は以下の製造例2〜6のように製造した。
(製造例2)片末端メルカプト基含有ポリメタクリル酸メチルの製造
還流冷却管、窒素ガス導入管、温度計、磁気撹拌子を備えた反応器に、チオカルボニルチオ基を有する化合物として式(13)
で示される化合物1.21g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.27gを秤取した。別の容器に単量体としてメタクリル酸メチル149.9g、溶媒としてトルエン149.2gを秤取し、両方の容器をキャヌラで接続し、窒素ガスを導入しながら系内を減圧する方法により脱酸素・窒素置換を行った。メタクリル酸メチル/トルエン溶液の約1/10を、キャヌラを通して反応器へ移し、撹拌しながら70℃に加熱した。1時間後に、残りのメタクリル酸メチル/トルエン溶液をゆっくり追加した。3時間かけて追加を終了した後、さらに70℃で7時間撹拌した。反応液をメタノール2Lに注いで重合体を析出させ、さらにメタノールで洗浄後乾燥させて、片末端にチオカルボニルチオ基を有するポリメタクリル酸メチル78.2gを得た(Mw=25800、Mn=21100、Mw/Mn=1.22)。
得られた重合体をトルエン220mLに溶解し、n−ブチルアミン45.5gを加えた後室温で30時間撹拌し、次いでメタノール2Lに注いで重合体を析出させた。さらにメタノールで洗浄後乾燥させ、片末端にメルカプト基を有するポリメタクリル酸メチル74.1gを得た。硫黄含有量を分析したところ、アミン添加前0.25重量%に対してアミン処理後は0.14重量%であった。
(製造例3)片末端メルカプト基含有ポリ(アクリロニトリル/スチレン)の製造
還流冷却管、窒素ガス冷却管、温度計、磁気撹拌子を備えた反応器に、チオカルボニルチオ基を有する化合物として式(13)
で示される化合物1.35g、単量体としてアクリロニトリル100.3gとスチレン100.4g、溶媒としてトルエン200.1g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.30gを入れ、窒素ガスをバブリングしながら系内を減圧する方法により脱酸素・窒素置換を行った。70℃で10時間撹拌した後室温まで冷却し、反応液をメタノール2.5Lに注いで重合体を析出させた。さらにメタノールで洗浄後、乾燥させて片末端にチオカルボニルチオ基を有するポリ(アクリロニトリル/スチレン)91.6gを得た(Mw=31300、Mn=25800、Mw/Mn=1.21;アクリロニトリル/スチレンmol比率=50/50)。
得られた重合体をアセトン220mLに溶解し、ジエチルアミン45.1gを加えた後室温で30時間撹拌し、次いでメタノール2.5Lに注いで重合体を析出させた。さらにメタノールで洗浄後乾燥させ、片末端にメルカプト基を有するポリ(アクリロニトリル/スチレン)88.3gを得た。硫黄含有量を分析したところ、アミン添加前0.28重量%に対してアミン処理後は0.14重量%であった。
(製造例4) 片末端メルカプト基含有ポリスチレンの製造
還流冷却管、窒素ガス導入管、温度計、磁気撹拌子を備えた反応器に、チオカルボニルチオ基を有する化合物として式(13)
で示される化合物3.22g、単量体としてスチレン100.3g、溶媒としてトルエン98.1g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.61gを入れ、窒素ガスをバブリングしながら系内を減圧する方法により脱酸素・窒素置換を行った。溶液を70℃で14時間撹拌した後室温まで冷却し、サンプリングにより片末端にチオカルボニルチオ基を有するポリスチレン(Mw=4300、Mn=3700、Mw/Mn=1.16)の生成を確認した。モノマー転化率は30%であった。
次に処理剤としてジエチルアミン25.0gを添加し、50℃で8時間撹拌した後、溶液をメタノール500mLに注いで重合体を析出させた。得られた重合体を乾燥し(34.5g)、1H−NMR分析により片末端がメルカプト基に変換されていることを確認した。
(製造例5) 片末端メルカプト基含有ポリビニルアルコールの製造
還流冷却管、窒素ガス導入管、温度計、磁気撹拌子を備えた反応器に、チオカルボニルチオ基を有する化合物として式(14)
で示される化合物0.399g、単量体として酢酸ビニル50.0g、溶媒として酢酸エチル40.0g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.059gを入れ、窒素ガスをバブリングしながら系内を減圧する方法により脱酸素・窒素置換を行った。70℃で5時間撹拌した後室温まで冷却し、ヘキサン800mLに注いで重合体を析出させた。さらにヘキサンで洗浄後乾燥し、末端にチオカルボニルチオ基を有するポリ酢酸ビニル25.4gを得た(Mw=26000、Mn=20200、Mw/Mn=1.29)。
得られたポリ酢酸ビニル全量をエタノール100mLに溶解し、単量体としてアクリル酸n−ブチル1.8g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.04gを入れ、窒素ガスをバブリングしながら系内を減圧する方法により脱酸素・窒素置換を行った。70℃で8時間攪拌した後サンプリングし、アクリル酸n−ブチルの連鎖を介して片末端にチオカルボニルチオ基を有するポリ酢酸ビニルの生成を確認した(Mw=28200、Mn=21100、Mw/Mn=1.34)。次にこの溶液にナトリウムメトキサイドのメタノール溶液(28重量%)44gをゆっくり添加した。添加するにつれて溶液の色が淡黄色から褐色に変化し、最終的に白色沈殿が大量に生成した。10時間後にろ過し、得られた白色沈殿をメタノールで繰り返し洗浄することにより、アクリル酸エステル(ブチルエステルとメチルエステルの混合物)の連鎖を介して片末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール11.8gを得た。1H−NMR分析により片末端がメルカプト基に変換されていることを確認した。
(製造例6)片末端メルカプト基含有ポリメタクリル酸の製造
還流冷却管、窒素ガス導入管、温度計、磁気撹拌子を備えた反応器に、チオカルボニルチオ基を有する化合物として式(13)
で示される化合物0.53g、単量体としてメタクリル酸48.3g、溶媒としてエタノール30gと蒸留水20g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.062gを入れ、窒素ガスをバブリングしながら系内を減圧する方法により脱酸素・窒素置換を行った。70℃で3時間撹拌した後室温まで冷却し、水酸化ナトリウム5.5gを添加して室温で12時間攪拌した。反応液をテトラヒドロフラン500mLに注いで重合体を析出させ、得られた重合体をさらに水/テトラヒドロフランで再沈殿精製し、末端にメルカプト基を有するポリメタクリル酸31.1gを得た(Mw=27200、Mn=20500、Mw/Mn=1.33)。硫黄含有量を分析したところ、水酸化ナトリウム添加前0.26重量%に対して水酸化ナトリウム処理後は0.14重量%であった。
[実施例1]
金超微粒子有機溶媒分散液2.59mL、クロロホルム4.61mL、製造例2で得られた重合体240mg、を混合後、水槽中で20℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続ける事により、金ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。別途市販のPMMA樹脂(Aldrich製、Mw=120,000、全光線透過率93%)960mgをクロロホルム4.8mlに溶解したPMMAのクロロホルム溶液と、金ナノ粒子のクロロホルム溶液とを均一に混合した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ乾燥する事により、金ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で赤紫色を帯びており、平均厚みは60μmであった。樹脂フィルムのTEM写真を図1(低倍率)及び図2(高倍率)に示す。
粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、100%であり凝集している粒子は全く存在していなかった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は516nmであった。
[実施例2]
金超微粒子有機溶媒分散液10.36mLと製造例2で得られた重合体12000mgとを混合後、水槽中で20℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続ける事により、金ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。この溶液を密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ乾燥する事により、金ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で赤紫色を帯びており、平均厚みは60μmであった。樹脂フィルムのTEM写真を図3(低倍率)及び図4(高倍率)に示す。
粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ99%であり、凝集している粒子はほとんど存在していなかった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は517nmであった。
(比較例1)
製造例2で得られた重合体240mgのかわりに、市販のPMMA樹脂240mgを用いた以外は実施例1と同様にして、金ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有し青色を帯びており、平均厚みは60μmであった。得られた樹脂フィルムのTEM写真を図5(低倍率)及び図6(高倍率)に示す。
粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、0%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長を測定したが、明確な吸収ピークは観察されなかった。
(比較例2)
製造例2で得られた重合体240mgのかわりにドデカンチオール24mgを用いた以外は実施例1と同様にして、金ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有し青色を帯びており、平均厚みは60μmであった。得られた樹脂フィルムのTEM写真を図7(低倍率)及び図8(高倍率)に示す。
粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、5%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は571nmであった。
また比較例2と同様の方法で、ドデカンチオールの添加量のみを240mgにまで増やしてみたが、TEMで観察される分散状態にはほとんど変化は見られなかった。
[実施例3]
金超微粒子有機溶媒分散液2.59mL、クロロホルム4.61mL、製造例3で得られた重合体240mg、を混合後、水槽中で20℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続ける事により、金ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。別途作成した、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂(Polyscience Inc.製、アクリロニトリル/スチレンmol比率=25:75、全光線透過率89%)960mgをクロロホルム4.8mlに溶解したクロロホルム溶液と、金ナノ粒子のクロロホルム溶液とを均一に混合した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ乾燥する事により、金ナノ粒子含有アクリロニトリル/スチレン樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で紫色を帯びており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、99%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は512nmであった。
(比較例3)
製造例3で得られた重合体240mgのかわりにドデカンチオール40mgを用いた以外は実施例3と同様にして、金ナノ粒子含有アクリロニトリル/スチレン樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有し青色を帯びており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、5%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は571nmであった。
[実施例4]
銀超微粒子有機溶媒分散液2.39mL、クロロホルム4.81mL、製造例2で得られた重合体240mg、を混合後、水槽中で20℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続ける事により、銀ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。別途市販のPMMA樹脂(Aldrich製、Mw=120,000、全光線透過率93%)960mgをクロロホルム4.8mlに溶解したPMMAのクロロホルム溶液と、銀ナノ粒子のクロロホルム溶液とを均一に混合した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ乾燥する事により、銀ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で黄色を帯びており、平均厚みは60μmであった。樹脂フィルムのTEM写真を図9(低倍率)及び図10(高倍率)に示す。
粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、100%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は419nmであった。
[実施例5]
水分散金ナノ粒子コロイド5mL、クロロホルム10mL、製造例4で得られた重合体50mg、を混合後、水槽中で25℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続けた後静置し、水層とクロロホルム層とを分液する事により、金ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。別途作成した、汎用ポリスチレン樹脂(エー・アンド・エムスチレン(株)製G9305、Mw=180,000、全光線透過率91%)20重量%クロロホルム溶液と、金ナノ粒子のクロロホルム溶液とを1:1で均一に混合した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ、乾燥する事により金ナノ粒子含有ポリスチレン樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で紫色を帯びており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、99%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は531nmであった。
(比較例4)
製造例4で得られた重合体50mgのかわりにドデカンチオール50mgを用いた以外は実施例5と同様にして、金ナノ粒子含有ポリスチレン樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有しており、平均厚みは60μmであった。得られた樹脂フィルムのTEM写真を図2に示す。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、2%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は580nmであった。
[実施例6]
エチレングリコール分散鉄白金ナノ粒子コロイド5mL、クロロホルム10mL、製造例2で得られた重合体100mg、を混合後、水槽中で20℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続けた後静置し、エチレングリコール層とクロロホルム層とを分液した。クロロホルム層側に純水10mLを加え1時間攪拌後水層を分液除去する操作を3度繰り返す事により、鉄白金ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。実施例1で用いたのと同じPMMA樹脂20重量%クロロホルム溶液と、鉄白金ナノ粒子のクロロホルム溶液とを1:1で均一に混合した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ乾燥する事により、鉄白金ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で茶色を帯びており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、98%であった。
(比較例5)
製造例2で得られた重合体100mgのかわりにドデカンチオール100mgを用いた以外は実施例6と同様にして、鉄白金ナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、目視ではほぼ均一な外観を有しており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、粒子が何重にも凝集して大きな凝集塊を形成しており正確な計測は困難であったが、概算で約12%であった。
[実施例7]
CdSe固体粉末2mg、製造例2で得られた重合体100mg、をクロロホルム5.5mLに溶解し、水槽中で23℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続けた後無水メタノール20mLを注入して不溶物を生じさせた。この不溶物を遠心分離にて上澄み液から分離し、室温にて約1日間真空乾燥して表面修飾CdSeナノ粒子固形粉体を得た。得られた表面修飾超微粒子をクロロホルム5.5ml中に分散させ、さらに製造例3で得られた重合体400mgを添加後、水槽中で20℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続けた後静置する事により、CdSeナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。別途市販のPMMA樹脂(Aldrich製、Mw=120,000、全光線透過率93%)500mgをクロロホルム2.5mlに溶解させた溶液と、CdSeナノ粒子のクロロホルム溶液とを混合攪拌した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1日程度かけて溶媒を自然蒸発させ、乾燥する事によりCdSeナノ粒子分散PMMA樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの外観は均一透明であり、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、95%であった。また得られた樹脂フィルムに蛍光光度計にて299nm波長の励起光を照射すると、ピーク波長515nm、半値幅55nmに発光した。
[実施例8]
CdSe固体粉末2mgのかわりに、製造例1で得られたZnSシェルを有するコアシェル型CdSeナノ粒子固体粉末2mgを用いた以外は実施例2と同様にして、ZnSシェルを有するコアシェル型CdSe超微粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの外観は均一透明であり、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、94%であった。また得られた樹脂フィルムに蛍光光度計にて468nm波長の励起光を照射すると、ピーク波長603nmに発光し、かつ実施例2よりも発光強度は強かった。
(比較例6)
製造例2で得られた重合体100mg+400mgのかわりに、市販のPMMA樹脂(Aldrich製、Mw=120,000、全光線透過率93%)500mgを用いた以外は実施例7と同様にして、CdSeナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は一見均一に見え、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、2%であった。得られた樹脂フィルムに蛍光光度計にて299nm波長の励起光を照射したところ、ピーク波長532nm、半値幅70nmに発光しており、ナノ粒子の凝集によって。ピークが長波長側にシフトしていることがわかる。
(比較例7)
製造例2で得られた重合体計500mgのかわりにドデカンチオール50mgを用いた以外は実施例7と同様にして、CdSeナノ粒子含有PMMA樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有しており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、2%であった。得られた樹脂フィルムに蛍光光度計にて365nm波長の励起光を照射しても、明確な発光ピークは観察されなかった。
[実施例9]
水分散金ナノ粒子コロイド5mL、製造例5で得られた重合体40mg、純水5mL、を混合後、水槽中で25℃に温調しながら攪拌しつつ、80W38kHzの超音波を水槽の温調水を介して照射した。24時間攪拌及び超音波照射を続けた後静置し、表面修飾金ナノ粒子を作成した。別途作成した、ポリビニルアルコール樹脂(Aldrich製Poly(vinyl Alcohol)、87〜89%hydrolyzed、Mw=85,000〜146,000)20重量%水溶液と、表面修飾金ナノ粒子の水溶液とを1:1で均一に混合した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1週間程度かけて水を蒸発させ、乾燥する事により金ナノ粒子含有ポリビニルアルコール樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で紫色を帯びており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、95%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は545nmであった。
(比較例8)
水分散金ナノ粒子コロイド5mL、純水5mL、ポリビニルアルコール樹脂(Aldrich製Poly(vinyl Alcohol)、87〜89%hydrolyzed、Mw=85,000〜146,000)20重量%水溶液10mLを均一に混合し24時間攪拌した後、密封容器中に混合液を均一塗布し1週間程度かけて水を自然蒸発させ、乾燥する事により金ナノ粒子含有ポリビニルアルコール樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有しており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、0%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は、フィルムの透明度が低いため測定困難であった。
[実施例10]
製造例5で得られた重合体40mgのかわりに製造例6で得られた重合体40mgを用い、かつポリビニルアルコール樹脂20重量%水溶液のかわりにポリメタクリル酸樹脂(Polyscience Inc.製、Mw=約100,000)20重量%水溶液を用いた。それ以外は実施例9と同様にして、金ナノ粒子含有ポリメタクリル酸樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は均一透明で紫色を帯びており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、96%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は543nmであった。
(比較例9)
ポリビニルアルコール樹脂20重量%水溶液のかわりにポリメタクリル酸樹脂(Polyscience Inc.製、Mw=約100,000)20重量%水溶液を用いた以外は比較例8と同様にして、金ナノ粒子含有ポリメタクリル酸樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの外観は、粒子の凝集部分が目視で確認できるほどに粒子が凝集して不均一な外観を有しており、平均厚みは60μmであった。粒子同士互いに接し合うことなく独立して存在している粒子の割合をTEM写真から算出したところ、0%であった。またこのフィルムのUV−VIS吸収波長の測定による吸収ピーク波長は、フィルムの透明度が低いため測定困難であった。
更に本発明では、超微粒子を凝集することなく均一に樹脂中に分散させることにより、超微粒子が本来有するさまざまな優れた特性を維持したまま、樹脂組成物中に保持させる事ができるため、超微粒子の保護目的にも有用であるほか、本樹脂組成物から成形体やフィルム等を成形することにより、超微粒子の分散性をそのまま維持した樹脂成形品が自由に大量生産可能である。このためこれまで取り扱いが困難であった超微粒子がさまざまな分野で一気に活用可能となる。これによりナノテクノロジー分野における製品の実用化に大いに貢献する事が期待でき、工業的にも非常に有用である。
Claims (8)
- 片末端にメルカプト基を有する重合体にて超微粒子の表面を修飾して得られた重合体修飾超微粒子を、樹脂中に混合することにより得られることを特徴とする超微粒子含有樹脂組成物であって、片末端にメルカプト基を有する重合体が、チオカルボニルチオ基を有する化合物の存在下、ラジカル重合可能な不飽和単量体をラジカル重合して得られる重合体を処理剤で処理することにより得られるものであることを特徴とする超微粒子含有樹脂組成物。
- 未凝集状態での超微粒子の数平均一次粒子径が100nm以下であることを特徴とする、請求項1または2記載の超微粒子含有樹脂組成物。
- 樹脂中の全超微粒子数のうち80%以上の超微粒子が、独立して存在していることを特徴とする、請求項1〜3何れか一項に記載の超微粒子含有樹脂組成物。
- 超微粒子が金属超微粒子および/または半導体超微粒子であることを特徴とする請求項1〜4何れか一項に記載の超微粒子含有樹脂組成物。
- 金属超微粒子が、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、コバルトからなる群から選ばれる1種以上を10重量%以上含んでなる超微粒子であることを特徴とする、請求項5に記載の超微粒子含有樹脂組成物。
- 半導体超微粒子が、周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物、周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項5に記載の超微粒子含有樹脂組成物。
- 樹脂が可視光を透過する樹脂であることを特徴とする、請求項1〜7何れか一項に記載の超微粒子含有樹脂組成物。
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