JPWO2004069945A1 - 非芳香族溶剤系塗料用樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
技術背景
芳香族系溶剤はPRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法対象化学物質に登録されている。その取り扱いは、大気放出による環境汚染等により、社会的にクローズアップされている。これらは、取り扱い規制はもとより将来的に使用が大幅に制限される可能性がある。そこで、近年では非芳香族化合物のみ、すなわちPRTR法対象化合物を用いない塗料用樹脂組成物の開発ニーズが高まっている。
このような環境下、塗料用樹脂組成物において芳香族系溶剤に替わり非芳香族系溶剤のみを使用する場合、用途に応じて溶剤の選択及び樹脂の設計変更が必要となってくる。
例えば、一液性熱硬化型塗料用樹脂では、エポキシ樹脂を変性し、更にブロック化イソシアネートを混合したブロックウレタン変性エポキシ樹脂が使用されている。そして、これ等に芳香族系溶剤を含有する混合溶剤で溶液化した変性エポキシ樹脂塗料が広く用いられている。非芳香族系溶剤の使用に当たっては、樹脂の溶解性及び、塗膜化するための焼き付け温度における溶剤の蒸発速度が極めて重要である。各種溶剤がエポキシ樹脂に対して相溶性が低か、また相溶しても溶液粘度が極端に高くなると、塗料樹脂として作業性が問題点となる。
また、一液性常温乾燥型塗料用樹脂では、エポキシ樹脂を変性し、芳香族系溶剤を含有する混合溶剤で溶液化した変性エポキシ樹脂塗料用が広く用いられている。従来、この系統の樹脂に用いられる溶剤は、原料となるエポキシ樹脂を安定的に溶解し、塗料粘度が適当で被塗装体に対し塗装する時に成膜性が良好で、塗膜形成後速やかに飛散して塗膜中に残留しない芳香族系混合溶剤が使用されている。芳香族系溶剤として、例えば、トルエン、キシレンが使用されている。これらは、常温で適当な蒸発速度を持つため混合溶剤の蒸発速度を制御し、また、エポキシ樹脂を溶解した場合に混合溶剤と樹脂との相溶性を上げ、塗料の低粘度化を図ることができる。そして、非芳香族系溶剤の使用に当たっては、同様に、樹脂の溶解性及び、塗布後の溶剤の蒸発速度が極めて重要である。
[1]樹脂組成物が条件(i)によって選択される非芳香族系溶剤に固形分が60%以下で溶解することを特徴とする非芳香族溶剤系変性エポキシ塗料用樹脂組成物。
条件(i):選択される溶剤が全て非芳香族系で、以下の(式−1)を満たし、当該溶剤に対し溶解している変性エポキシ樹脂組成物の固形分が40%のときの溶液粘度が10,000mPa・S以下である混合溶剤。
(式−1)SP=ΣCiSPiが9.0≦SP≦11.0
ここで、Ci(wet%):選択される溶剤の全溶剤中での含有率
SPi:選択される溶剤のSP値
[2][1]において、A成分95〜70重量部(固形分)とB成分5〜30重量部(固形分)を合計100重量部(固形分)になるように混合され、条件(ii)によって選択される非芳香族系溶剤に固形分が60%以下で溶解していることを特徴とする一液性熱硬化型塗料用樹脂組成物。
A成分:エポキシ当量300〜3,000g/eqのエポキシ樹脂(a)及び多官能アミン(b)を含有し、(a)成分中のエポキシ当量1.0当量に対して、(b)成分中の活性水素が1.10〜1.80当量である変性エポキシ樹脂組成物。
B成分:ブロック化イソシアネート。
条件(ii):選択される溶剤が全て非芳香族で、以下の(式−2)を満たす。
(式−2) V=ΣCiViが18≦V≦100
ここで、Ci(wet%):選択される溶剤の全溶剤中での含有率
Vi:選択される溶剤の蒸発速度(酢酸ブチルを100とした相対速度)
[3][1]において、エポキシ当量200〜1,000g/eqのエポキシ樹脂(a)及び多官能アミン(b)を付加させて得られる、数平均分子量4,000〜10,000のアミン変性エポキシからなり、(a)成分中のエポキシ基1.00当量に対し、(b)成分中の活性水素が1.10〜1.60当量であることを特徴とする変性エポキシ樹脂組成物が条件(iii)を満たす常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
条件(iii):選択される溶剤が全て非芳香族で、以下の(式−3)を満たす。
(式−3) V=ΣCiViが100≦V≦300
ここで、Ci(wet%):選択される溶剤の全溶剤中での含有率
Vi:選択される溶剤の蒸発速度(酢酸ブチルを1
00とした相対速度)
[4]多官能アミン(b)が多官能アルカノールアミン(b1)である[3]に記載の常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
[5]多官能アミン(b)が多官能アルカノールアミン(b1)とそれ以外の多官能アミン(b2)との混合物であり、それらの成分の当量比が0.70〜1.00/0〜0.30(両成分の合計1.00当量)である[3]または[4]の何れかに記載の常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
[6]エポキシ樹脂(a)がビスフェノールA−ジグリシジルエーテル及び又はビスフェノールF−ジグリシジルエーテルである[2〜5]のいずれかに記載の一液性熱硬化型塗料用樹脂組成物または常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
[7][3〜6]に記載の常温乾燥型塗料用樹脂組成物と当該常温乾燥型塗料用組成物に加える溶剤として条件(iv−1)によって選択される希釈溶剤を併用することを特徴とする常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
条件(iv−1):溶剤中にシクロヘキサノンを少なくとも20wt%含有す
本発明で取り扱う非芳香族系溶剤とは、例えば、n−ヘプタン、n−ヘキサン、芳香族非含有ミネラルスピリット、ジペンテン、テレビン油、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソパラフィン系溶剤等の非芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、2−エチルヘキサノール、メチルイソブチルカルビノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルセルソルブ、セルソルブソルベント、ブチルセルソルブ、イソブチルセルソルブ、tert−ブチルセルソルブ、イソプロピルセルソルブ、ヘキシルセルソルブ、メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジオキサン、プロピルセロソルブ等のエーテルアルコールおよびエーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸セロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸メトキシプロピル、酢酸メトキシブチル、酢酸カルビトール、酢酸ブチルカルビトール、酢酸3−メチル3−メトキシブタノール、プロピオン酸3−エトキシエタノール、2、2、4−トリメチル−1、3−ペンタジオールモノイソブチレート、二塩基酸エステル等のエステルおよびエーテルエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール、イソホロン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等があげられる。これらは、単独もしくは複数の組み合わせによる混合溶剤であって構わない。
本発明では、下記(式−1)のSPが9.0≦SP≦11.0である非芳香族系溶剤を用いることを特徴とするものである。ここで定義する溶剤のSP値は、「コーティングの基礎科学」原崎勇次著;p.51(1977)槙書店の化学組成からの計算に則って計算したものである。
(式−1) SP=ΣCiSPi
ここで、Ci(wet%):選択される溶剤の全溶剤中での含有率
SPi:選択される溶剤のSP値
また、当該溶剤に対し溶解している変性エポキシ樹脂組成物の固形分が40%の時の溶液粘度が10,000mPa・S以下である混合溶剤である。
<一液性熱硬化型塗料用樹脂>
一液性熱硬化型塗料用樹脂としては、従来、フェノール性水酸基を有する化合物とエピクロロヒドリンとの反応で得られるエポキシ樹脂は反応性に富むエポキシ基を有し、これをアミン、ポリアミド、二塩基酸等により架橋高分子化し、更にブロック化イソシアネートを混合したもの、いわゆる、ブロックウレタン変性エポキシ樹脂が使用されている。そして、これを、芳香族系溶剤を含有する混合溶剤で溶液化した変性エポキシ樹脂塗料が広く用いられている。性能としては耐食性、密着性、加工性、耐スクラッチ性等が要求使用されている。
しかしながら、この系統の樹脂は原料となるエポキシ樹脂を溶解する各種溶剤の蒸発速度が焼き付け温度において適当でないと、塗膜化した後に溶剤の蒸発速度が遅い場合、塗膜中に溶剤が残存し焼き付け後の塗膜物性を低下させ、逆に蒸発速度が早すぎる場合、ワキが発生し塗膜欠陥となる。また、各種溶剤がエポキシ樹脂に対して相溶性が低い、または相溶しても溶液粘度が高いと、塗料樹脂として作業可能な固形分に調整しても塗布できない等の問題点が生じる。
これまで、一般的には蒸発速度が適当でかつエポキシ樹脂との相溶性が良好で、溶解後の溶液粘度が上昇せず、蒸発速度が適当である芳香族系溶剤、具体的にはトルエンもしくはキシレンを混合溶剤の一部として用い、溶剤の蒸発速度を制御したり、樹脂と混合溶剤の相溶性を上げたり、低粘度化を行っている。
そこで、非芳香族系一液性熱硬化型塗料用樹脂で用いる溶剤の蒸発速度は、下記(式−2)の蒸発速度が10≦V≦100を満たすものである。ここで定義する溶剤の蒸発速度は、田中丈之;「塗装と塗料」No339、p45(1981)の「溶剤の蒸発」で示される計算式を用い蒸発速度を算出し、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした相対蒸発速度に変換して用いた。
(式−2) V=ΣCiVi
ここで、Ci(wet%):選択される溶剤の全溶剤中での含有率
Vi:選択される溶剤の蒸発速度(酢酸ブチルを10
0とした相対速度)
Vがこの範囲であると、焼き付け後の塗膜中に溶剤が残存せず塗膜物性が劣悪化しない、また、焼き付け時にワキが発生せず塗膜欠陥が生じない等の点で好ましい。好ましくはVが30≦V≦70である。
また、(式−1)SP値は9.0≦SP≦11.0の範囲である。この範囲であると変性エポキシ樹脂との相溶性が良く安定した均一系のワニスが得られる。好ましくは、9.50≦SP≦10.50である。
本発明の非芳香族系一液性熱硬化型塗料用樹脂で用いる樹脂組成物は、次のA成分95〜70重量部(固形分)とB成分5〜30重量部(固形分)を合計100重量部(固形分)になるように混合され、選択された非芳香族系溶剤に固形分60%以下で溶解していることを特徴とするものである。ここで、A成分はエポキシ当量300〜3,000g/eqのエポキシ樹脂(a)及び多官能アミン(b)を含有し、(a)成分中のエポキシ当量1.0当量に対して、(b)成分中の活性水素が1.10〜1.80当量である高分子化した変性エポキシ樹脂であり、B成分はブロック化イソシアネートである。
本発明に用いるA成分であるエポキシ樹脂(a)、及び多官能アミン(b)について説明する。
本発明において、エポキシ樹脂(a)とは、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート、トリグリシジルイソシアヌレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエン又はポリスルフィドの両末端ジグリシジルエーテル修飾物等であり、好ましくは、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテルである。これらは、一種類又は二種類以上用いてもよい。
また、そのエポキシ当量は、300〜3000g/eqの範囲である。この範囲であると、耐食性・加工性の点で好ましい。
本発明において、多官能アミン(b)とは、活性水素を1分子中に2個以上有するアミンである。具体的にはイソプロパノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、イソホロンジアミン、テトラヒドロフルフリルアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノスルホン、オクチルアミン、メタフェニレンジアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、トリエチレンテトラミン、テトラメチレンペンタミン、テトラエチレンペンタミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、メタセンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
本発明において、上記の(b)成分の配合割合は、(a)成分のエポキシ基の合計1.0当量に対し、(b)成分中の活性水素が1.10〜1.80当量にすることが必要である。
この範囲であると、樹脂溶液のゲル化、耐水性等の点で好ましい。
次に、本発明におけるA成分の変性エポキシ樹脂を製造する方法について説明する。エポキシ樹脂(a)をエポキシ基が1.0当量に対して多官能アミン(b)を活性水素1.10〜1.80当量の割合で、無溶剤もしくは条件(式−1)(式−2)よって選択された混合溶剤の全て、または、一部の溶剤中で公知の方法にて反応させて変性エポキし樹脂を得ることができる。
更に、本発明に用いるB成分であるブロック化イソシアネートについて説明する。本発明において、ブロック化イソシアネートとは、公知の方法により、イソシアネート化合物と活性水素化合物とを反応させ、末端にイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーを得、それをブロック剤と反応させ、イソシアナト基をブロック化させたものである。これらの反応は、活性水素を持たない溶媒中又は無溶媒下で行なわれ、その際、第三級アミン、有機金属等の公知の触媒を使用してもよい。上記の溶媒も選択された溶剤である。
本発明において、上記のイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族イソシアネート類;キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネートのような脂環式ジイソシアネート類等、更にはこれらのジイソシアネート類混合物、多量体等が挙げられる。
本発明において、上記の活性水素化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシビバリン酸エステル、トリエチレングリコール、キシリレングリコール、1,4−ブチレングリコール等の二価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等の三価アルコール;ペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール;このポリオールのプロピレンオキシド又はエチレンオキシド付加物等のポリエーテルポリオール;低分子量ポリオールとジカルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオールを製造する際に脂肪酸変性した物等の高分子量ポリオール等が挙げられる。これらは単独又は混合して用いてもよい。
本発明において、上記のブロック剤としては、フェノール系、ラクタム系、オキシム系、イミン系、活性メチレン系、酸アミド系、イミド系、亜硫酸塩系等のものがいずれも使用できるが、好ましくはフェノール系、ラクタム系、オキシム系、イミン系のブロック剤である。これらの具体例としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、クロロフェノール、エチルフェノール、p−ヒドロキシジフェニル、t−ブチルフェノール、o−イソプロピルフェノール、o−sec−ブチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−t−オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸エステル等のフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−パレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;ホルムアミドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系ブロック剤;エチレンイミン、プロピレンイミン等のイミン系ブロック剤が挙げられる。
本発明において、上記のA成分とB成分との配合割合は、A成分95〜70重量部(固形分)とB成分5〜30重量部(固形分)を合計100重量部(固形分)にすることが必要である。B成分の固形分量が5重量部未満では、熱硬化時、塗膜がうまく硬化せず、塗膜性能が発現されず、また、この量が30重量部を越えると、塗膜が硬くなりすぎ、その割れ等の現象がでる。
更に、本発明において、A成分とB成分から樹脂組成物を製造する実施態様は、代表的には下記のとおりである。ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂と多官能アミン(b)を選択された溶剤へ溶解し、窒素雰囲気化で70〜150℃にて4〜10時間反応させて高分子化させ、樹脂溶液(A成分)を得る。
一方、これとは別に、上記のようにブロック化イソシアネート(B成分)を調製する。A成分にB成分を混合し、溶剤で粘度3〜50ポイズ程度に希釈し、樹脂組成物を得る。なお、A成分の溶解、及び樹脂組成物の希釈に用いる溶剤は条件(式−1)(式−2)よって選択された溶剤である。
選択された溶剤を用いる調整法としては、A成分B成分とも無溶剤で合成し、混合後、選択された溶剤に溶解し樹脂溶液を得る調整法、A成分を選択された溶剤に溶解した状態で合成し、その後無溶剤で合成したのB成分を混合し、そのまま、もしくはさらに選択された溶剤を加えて樹脂溶液を得る調整法、B成分を選択される溶剤に溶解した状態で合成し、その後無溶剤で合成したA成分を溶解し、そのまま、もしくはさらに選択された溶剤を加えて樹脂溶液を得る調整法、A成分B成分とも選択された溶剤に溶解した状態で合成し、そのまま、もしくはさらに選択された溶剤を加えて樹脂溶液を得る調整法等いかなる調整方法も可能である。
さらに、本発明において選択される溶剤は、当該溶剤に対し溶解している変性エポキシ樹脂組成物の固形分が40%の時の溶液粘度が10,000mPa・S以下である混合溶剤である。たとえ溶解したとしても10,000mPa・Sを越える場合、溶剤希釈により塗料化し作業可能な粘度範囲に調整しても、乾燥塗膜で数μm〜数十μmを得るためには、多度の重ね塗りが必要であったり、焼き付け前にタレ、ハジキを生じ易くなったり、乾燥塗膜中に多量の溶剤が残存してしまうという問題点が発生する。
本発明において、塗料を製造するには公知の方法による。すなわち、上記の樹脂組成物に防錆顔料、体質顔料、レベリング剤及び各種の添加剤を加え、ディスパー、サンドミル、ボールミル等を用いて混練・分散すればよい。また、塗装方法としては、刷毛塗り、スプレー塗装、各種のコーター塗装等の一般的な方法により、上記のように得られる塗料を、素材に直接又は塗装前処理を施した後に塗装する。適用できる素材としては、各種の金属素材、例えば、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、合金化亜鉛メッキ鋼板、クロムメッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、スズメッキ鋼板、鉛メッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、アルミニウム板、チタン板、ステンレス板;プラスチックス素材;無機質素材等が挙げられる。
また、上記の塗料を素材に塗装後、加熱することによりB成分中のブロック剤が解離してイソシアナト基を再生し、この再生イソシアナト基がA成分中の水酸基と反応して硬化した塗膜が形成される。この際、加熱温度はブロック剤の種類等により異なるが、130〜350℃程度、また、その時間は20秒〜数十分である。
<一液性常温乾燥型塗料用樹脂>
一液性常温乾燥型塗料用樹脂には、フェノール性水酸基を有する化合物とエピクロロヒドリンとの反応で得られる反応性に富むエポキシ基と、これをポリアミド、二塩基酸等により架橋高分子化したエポキシ樹脂が使用されている。しかし、この系統の樹脂では、特にその塗膜の耐食性や耐溶剤性の点で二液型エポキシ樹脂なみに優れたものを得ることは困難であった。まず、上記のアミン等の変性エポキシ樹脂において、第一級水酸基を持つ多官能アルカノールアミンを用いると、素材への密着性と耐溶剤性は向上するが、耐湿性は悪くなり、耐食性も不充分である。また、エポキシ当量が大きいエポキシ樹脂を用いた場合、または変性エポキシ樹脂の平均分子量を高くすると耐食性、耐湿性及び耐溶剤性は向上するが、素材への密着性が悪くなる。
上記のような変性エポキシ樹脂やその塗膜の性能は、主にこの樹脂中の第一級水酸基の性質(共有結合力、親水性、極性等)やその量に起因すると考えられる。すなわち、樹脂中の第一級水酸基を多くする場合、この樹脂は素材面の水と共有結合するので素材への密着性は上がるが、逆に、この樹脂は親水性であるので外部の水を取り込み、その塗膜の耐湿性や耐食性は下がる。更に、この樹脂は極性を有するので有機溶剤への溶解性、いわゆる相溶性は下がるが、その塗膜の耐溶剤性は上がる。
これまで、一般的には蒸発速度が適当でかつエポキシ樹脂との相溶性が良好で、溶解後の溶液粘度が上昇せず、蒸発速度が適当である芳香族系溶剤、具体的にはトルエンもしくはキシレンを混合溶剤の一部として用い、溶剤の蒸発速度を制御したり、樹脂と混合溶剤の相溶性を上げたり、低粘度化を行っている。
そこで、非芳香族系一液常温硬化型塗料用樹脂で用いる溶剤の蒸発速度は、(式−3)の蒸発速度が100≦V≦300を満たすものである。ここで定義する溶剤の蒸発速度は、田中丈之;「塗装と塗料」No339、p45(1981)の「溶剤の蒸発」で示される計算式を用い蒸発速度を算出し、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした相対蒸発速度に変換して用いた。
(式−3) V=ΣCiVi
ここで、Ci(wet%):選択される溶剤の全溶剤中での含有率
Vi:選択される溶剤の蒸発速度(酢酸ブチルを10
0とした相対速度)
Vがこの範囲であると、乾燥後の塗膜中に溶剤が残存しないため塗膜物性が劣悪化くまた、乾燥時に溶剤が急激に飛散することがないために塗膜外観が荒れない・塗膜欠陥が生じない等の点で好ましい。好ましくはVが、150≦V≦250である。
また、(式−1)SP値は9.0≦SP≦11.0の範囲である。この範囲であると変性エポキシ樹脂との相溶性が良く安定した均一系のワニスが得られる。好ましくは、9.50≦SP≦10.50である。
本発明の非芳香族系一液性常温硬化型塗料用樹脂で用いる樹脂組成物は、特定なエポキシ当量のエポキシ樹脂に、網状化剤として主に多官能アルカノールアミンを特定な割合で配合し、また、それによって得られるアミン変性エポキシ樹脂を特定な範囲の分子量にすることが有効である。
すなわち、本発明は、エポキシ当量200〜1000g/eqのエポキシ樹脂(a)及び多官能アミン(b)を付加させて得られる、数平均分子量4,000〜10,000のアミン変性エポキシからなり、(a)成分中のエポキシ基1.00当量に対し、(b)成分中の活性水素が1.10〜1.60当量であることを特徴とする変性エポキシ樹脂が選択される非芳香族系溶剤に固形分60%以下で溶解する事を特徴とする常温乾燥型塗料用樹脂組成物である。
まず、本発明に用いるエポキシ樹脂(a)、及び多官能アミン(b)について説明する。
本発明において、エポキシ樹脂(a)とは、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート、トリグリシジルイソシアヌレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエン又はポリスルフィドの両末端ジグリシジルエーテル修飾物等であり、好ましくは、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテルである。これらは、一種類又は二種類以上用いてもよい。
また、そのエポキシ当量は、200〜1,000g/eq、好ましくは450〜1,000g/eqの範囲である。この範囲であると、得られる樹脂溶液の相溶性、塗膜の耐食性、耐溶剤性、密着性の点で好ましい。
本発明において、多官能アミン(b)とは、活性水素を一分子中に二個以上有するアミンであり、それらは多官能アルカノールアミン(b1)とそれ以外の多官能アミン(b2)とに分けられる。前者の多官能アルカノールアミン(b1)としては、イソプロパノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミン、モノエタノールアミン、2−アミノエチルエタノールアミン等が挙げられ、その中、好ましくはモノエタノールアミンである。また、後者のそれ以外の多官能アミン(b2)としては、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、ブチルアミン、プロピルアミン、イソホロンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノスルホン、オクチルアミン、メタフェニレンジアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
本発明における多官能アミン(b)としては、上記の多官能アルカノールアミン(b1)だけを単独に用いるか、又はそれとそれ以外の多官能アミン(b2)とを併用してもよいが、好ましくは多官能アルカノールアミン(b1)だけの一種類又は二種類以上である。また、多官能アルカノールアミン(b1)とそれ以外の多官能アミン(b2)とを併用する場合、それらの成分の当量比を0.70〜1.00/0〜0.30(両成分の合計1.00当量)にすることが好ましい。この当量比が0〜0.70/0.30〜1.00では、得られる塗膜の耐食性が悪くなり、また、その耐溶剤性や素材への密着性も下がる傾向になる。
本発明においては、上記のエポキシ樹脂(a)と多官能アミン(b)とを特定な当量比で配合し、また、得られるアミン変性エポキシ樹脂の分子量を特定な範囲にすることが必要である。(a)成分と(b)成分の配合量は、(a)成分中のエポキシ基1.00当量に対し、(b)成分中の活性水素が1.10〜1.60当量、好ましくは1.10〜1.40当量の範囲になるようにする。この範囲であると、樹脂溶液のゲル化、また、耐水性等の点で好ましい。また、アミン変性エポキシ樹脂の数平均分子量は、4,000〜10,000の範囲である。この分子量が4,000未満では、得られる塗膜が硬くなり、その加工性や耐衝撃性が悪くなる。これが10,000を越えると、得られる樹脂中の第一級水酸基が不足するため、塗膜の素材への密着性が悪くなる。
本発明において、このアミン変性エポキシ樹脂を製造するには、エポキシ樹脂(a)を溶剤に溶解し、その溶液中に多官能アミン(b)を加え、窒素雰囲気下、70〜150℃にて4〜10時間付加反応して高分子化させ、溶剤で粘度5〜70ポイズ程度に選択される溶剤によって希釈し、樹脂溶液を得る。これら、得られた樹脂溶液は、作業性と塗膜外観を改善するために加える溶剤として選択された希釈溶剤を併用して調整することも可能である。
さらに、本発明において選択される溶剤は、当該溶剤に対し溶解している変性エポキシ樹脂組成物の固形分が40%の時の溶液粘度が10,000mPa・S以下となる混合溶剤である。たとえ溶解したとしても変性エポキシ樹脂組成物の固形分が40%の時の溶液粘度が10,000mPa・Sを越える場合、溶剤希釈により塗料化し作業可能な粘度範囲に調整しても、乾燥塗膜で数μm〜数十μmを得るためには、多度の重ね塗りが必要であったり、焼き付け前にタレ、ハジキを生じ易くなったり、乾燥塗膜中に多量の溶剤が残存してしまうという問題が生じる。
本発明において、塗膜の使用可能な作業性と塗膜外観を改善するために加える溶剤は、条件(iv−1):溶剤中にシクロヘキサノンを少なくとも20wt%含有する非芳香族系混合溶剤、好ましくは、条件(iv−2):溶剤中にシクロヘキサノンを少なくとも40wt%含有する非芳香族系混合溶剤によって選択される非芳香族系溶剤である。混合溶剤中のシクロヘキサノンの含有量が20wt%未満であると樹脂溶液との混合後、分離が起きたり、樹脂溶液に濁りが生じたりして安定した樹脂組成物が得られない。これらの溶剤は塗料製造前調整用の希釈剤として使用しても、塗料製造中の希釈剤としても、塗料製造後調整用の希釈剤として使用しても一向に構わない。
本発明において、塗料を製造するには、公知の方法による、すなわち、上記の樹脂組成物に防錆顔料、体質顔料、レベリング剤及び各種の添加剤を加え、ディスパー、サンドミル、ボールミル等を用いて混練・分散すればよい。また、塗装方法としては、刷毛塗り、スプレー塗装、各種のコーター塗装等の一般的な方法により、上記のように得られる塗料を、素材に直接又は塗装前処理を施した後に塗装する。適用できる素材としては、各種の金属素材、例えば、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、合金化亜鉛メッキ鋼板、クロムメッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、スズメッキ鋼板、鉛メッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、アルミニウム板、チタン板、ステンレス板;プラスチックス素材;無機質素材等が挙げられる。
iPA:イソプロパノールアミン、
IPA:イソプロピルアルコール
MEA:モノエタノールアミン、
PA:プロピルアミン、
BA:ブチルアミン;
MBA:モノブタノールアミン
n−BA:n−ブチルアルコール、
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
MA:3−メトキシアセテート、
MEK:メチルエチルケトン、
MCH:メチルシクロヘキサン、
PM:プロピレングリコールモノメチルエーテル、
sec−BuOH:sec−ブチールアルコール、
n−BA:n−ブチルアルコール
PEAC:プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート
更に、(a)成分のエポキシ樹脂の種類は次の略号で示す。
BP−A:ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル系エポキシ樹脂。
BP−F:ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル系エポキシ樹脂。
<分子量測定法>
製造例にて製造した変性エポキシ樹脂は、テトラヒドロフランへ溶解し昭和電工社製「Shodex GPC−101」にて、分子量が既知のポリスチレンとの比較によりRI法にて分子量を測定した。
塗膜物性を評価する方法は次のとおりである。
<塗膜物性評価>
(1)樹脂外観:製造例の前半において、合成したエポキシ樹脂溶液(固形分40%)を、100ccの蓋付きガラスビンに投入し25℃の恒温室で24時間保存し、樹脂外観を目視で確認した。
○・・透明、×・・濁り、樹脂と溶剤の分離、ゲル化等の異常あり。
(2)樹脂粘度:製造例の前半において、合成したエポキシ樹脂溶液(固形分40%)を、JIS−K−6901に従い25℃でB型粘度計を用いて粘度を測定した。
(3)耐食性:カッターナイフにて試験板面に、十字形切り口を素材まで達するように入れる。JIS−Z−2371の塩水噴霧試験法に準じて、この試験板を1000時間試験する。その後、切り口を粘着テープ(ニチバン社製)で剥離し、そのときの塗膜剥離幅を測り、耐食性を5段階で評価する。
◎・・0〜1mm未満、○・・1〜2mm未満、△・・2〜3mm未満×・・3〜5mm未満、××・・5mm以上。
(4)耐湿性:湿潤試験機(49℃×98%RH)中に試験板を入れ、1000時間放置する。その後、塗膜面のブリスター発生状態を目視観察し、耐湿性を5段階で評価する。
◎・・異常なし、○・・1〜5個、△・・5〜10個、×・・10〜20個
××・・全面ブリスター。
(5)加工性:塗膜面を外側にして試験板を折り曲げ、このときに生じる塗膜の上面と下面との伸び率の差による割れの抵抗性を調べる。折り曲げ部分を粘着テープ(ニチバン社製)で剥離し、そのときの剥がれ状態を目視観察し、加工性を5段階で評価する。
◎・・全く剥がれない、○・・僅かに剥がれる、△・・1/3程度剥がれる×・・半分以上剥がれる、××・・ほとんど剥がれる。
(6)スクラッチ性:未使用の硬貨を塗膜面に対して45°の角度で押しあて、力を入れ手前に引く。そのときの塗膜面に残った傷の状態を目視観察し、スクラッチ性を5段階で評価する。
◎・・傷なし、○・・僅かに傷がつく、△・・下塗りまで傷が達する×・・素材の一部まで傷が達する、××・・塗膜剥離、素材に傷がつく。
(7)耐衝撃性:JIS−K−5400.6.13.3B法の衝撃変形試験機にて、衝撃性を試験する。撃ち型は半径6.35±0.03mmを使用し、試験板の塗膜面を下向きにして、その間にはさむ。重り(質量1000±1g)を50cmの高さから撃ち型の上に落し、塗膜の破壊状態を目視観察し、耐衝撃性を5段階で評価する。
◎・・異常なし、○・・僅かにクラックあり、△・・全体にクラックあり×・・一部剥離、××・・全面剥離。
(8)鉛筆硬度:JIS−K−5400.6.14の鉛筆引っかき試験に準じて、試験板の塗膜の硬度を評価する。
(9)密着性:JIS−K−5400.6.15の碁盤目試験に準じて、試験板の塗膜の密着性を5段階で評価する。
◎・・100/100、○・・99/100〜80/100、△・・79/100〜50/100
×・・49/100〜30/100、××・・29/100以下
製造例1〜7(混合溶剤の製造)
表1に示す比率(重量%)に従って溶剤を混合して混合溶剤を得た。
製造例8(ブロック化イソシアネートの製造)
2、4−トリレンジイソシアネートにポリプロピレングリコール(数平均分子量2000)を反応させウレタン化し、ε−カプロラクタムでイソシアナト基をブロック化し、これを表1に示す混合溶剤に溶解し、ブロック化イソシアネート(固形分70%)を調製した。
製造例9(変性エポキシ樹脂組成物の製造)
ガラス製四つ口フラスコ(撹拌機、温度計、外部ヒーター、冷却管、凝縮器及び窒素導入管付き)に、表1に示す混合溶剤1200部、表−2に従ってビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量1000g/eq)を1000部仕込み、溶解する。
この溶液にiPA(活性水素当量37.5g/eq)67部を加え、100℃で5時間反応させる。反応後、60℃以下に冷却し、表1に示す混合溶剤を400部加え希釈し、固形分40%の樹脂溶液を得た。さらに表1に示す混合溶剤を217部加え固形分37%にし、上記の製造例で得たブロック化イソシアネート(固形分70%)337部を混合し、固形分40%の樹脂組成物を得た。
次に、それぞれの樹脂組成物200部に、顔料として酸化チタン(R−920:商品名、デュポン社製)72部及びクロム酸ストロンチウム(菊池色素工業社製)24部を配合し、サンドミルを用いて混練・分散し、表−1に示す混合溶剤60部を加え希釈し塗料を得た。この際、顔料の合計と樹脂組成物中の固形分との割合は1.2/1.0重量比、酸化チタンとクロム酸ストロンチウムとの割合は75/25重量比であり、また、溶剤の量は、得られる塗料の粘度が90〜110秒(フォードカップ#4)になるように調整される。
製造例10〜15も表に従って、以下、同様である。
実施例2〜9、比較例1〜9
表1に示す混合溶剤を用い、表2に示すように各成分の種類・量を変える以外は製造例9と全く同様に操作して、それぞれ樹脂組成物を得た(製造例10〜15)。次に、これらの樹脂組成物を用いる以外は実施例1と全く同様に操作して塗料を、更に試験板を得、それらを評価した。その結果を表3および表4に示す。
製造例16〜23(混合溶剤の製造)
表5に示す比率(重量%)に従って溶剤を混合して混合溶剤を得た。
製造例24、25(希釈溶剤の製造)
表6に示す比率(重量%)に従って溶剤を混合して混合溶剤を得た。
製造例26(変性エポキシ樹脂の製造)
ガラス製四つ口フラスコ(撹拌機、温度計、外部加熱器、冷却管、凝縮器及び窒素導入管付き)に、BP−A(エポキシ当量450g/eq)1000部を仕込み、選ばれた混合溶剤(表5、製造例16)1000部を加え溶解し、還流脱水後、i−PA 95部を加え、100℃で5時間反応させる。反応後、60℃以下に冷却し、選ばれた混合溶剤(表5、製造例16)500部を加え希釈し、数平均分子量7,000固形分40%及び粘度30ポイズの樹脂溶液を得た。次に、この樹脂溶液200部に、酸化チタン(R 920:商品名、デュポン社製)60部、リンモリブデン酸アルミニウム(菊池色素工業社製)20部及び選ばれた混合溶剤(表6、製造例24)を配合し、サンドミルを用いて混練・分散し、得られる塗料の粘度が90〜110秒(フォードカップ#4)塗料を得た。
製造例27〜32も表に従って、以下、同様である。
実施例11〜19、比較例10〜19
製造例26において表5に示す混合溶剤を用い、表6に示す混合溶剤で希釈し、表7に各成分の種類・量を変える以外は全く同様に操作して、それぞれ樹脂組成物を得た。次に、製造例26の後半において、これらの樹脂組成物を用いる以外全く同様に操作して塗料を、更に試験板を得、それらを評価した。その結果を表8および表9に示す。
Claims (7)
- 樹脂組成物が条件(i)によって選択される非芳香族系溶剤に固形分が60%以下で溶解することを特徴とする非芳香族溶剤系変性エポキシ塗料用樹脂組成物。
条件(i):選択される溶剤が全て非芳香族系で、以下の(式−1)を満たし、当該溶剤に対し溶解している変性エポキシ樹脂組成物の固形分が40%のときの溶液粘度が10,000mPa・S以下である混合溶剤。
(式−1)SP=ΣCiSPiが9.0≦SP≦11.0
ここで、Ci(wet%):選択される溶剤の全溶剤中での含有率
SPi:選択される溶剤のSP値 - 請求の範囲第1項において、A成分95〜70重量部(固形分)とB成分5〜30重量部(固形分)を合計100重量部(固形分)になるように混合され、条件(ii)によって選択される非芳香族系溶剤に固形分が60%以下で溶解していることを特徴とする一液性熱硬化型塗料用樹脂組成物。
A成分:エポキシ当量300〜3,000g/eqのエポキシ樹脂(a)及び多官能アミン(b)を含有し、(a)成分中のエポキシ当量1.0当量に対して、(b)成分中の活性水素が1.10〜1.80当量である変性エポキシ樹脂組成物。
B成分:ブロック化イソシアネート。
条件(ii):選択される溶剤が全て非芳香族で、以下の(式−2)を満たす。
(式−2) V=ΣCiViが18≦V≦100
ここで、Ci(wet%):選択される溶剤の全溶剤中での含有率
Vi:選択される溶剤の蒸発速度(酢酸ブチルを1
00とした相対速度) - 請求の範囲第1項において、エポキシ当量200〜1,000g/eqのエポキシ樹脂(a)及び多官能アミン(b)を付加させて得られる、数平均分子量4,000〜10,000のアミン変性エポキシからなり、(a)成分中のエポキシ基1.00当量に対し、(b)成分中の活性水素が1.10〜1.60当量であることを特徴とする変性エポキシ樹脂組成物が条件(iii)を満たす常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
条件(iii):選択される溶剤が全て非芳香族で、以下の(式−3)を満たす。
(式−3) V=ΣCiViが100≦V≦300
ここで、Ci(wet%):選択される溶剤の全溶剤中での含有率
Vi:選択される溶剤の蒸発速度(酢酸ブチルを1
00とした相対速度) - 多官能アミン(b)が多官能アルカノールアミン(b1)である請求の範囲第3項記載の常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
- 多官能アミン(b)が多官能アルカノールアミン(b1)とそれ以外の多官能アミン(b2)との混合物であり、それらの成分の当量比が0.70〜1.00/0〜0.30(両成分の合計1.00当量)である請求の範囲第3項または4項のいずれかに記載の常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(a)がビスフェノールA−ジグリシジルエーテル及び又はビスフェノールF−ジグリシジルエーテルである請求の範囲第2〜5項のいずれかに記載の一液性熱硬化型塗料用樹脂組成物または常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
- 請求の範囲第3〜6項に記載の常温乾燥型塗料用樹脂組成物と当該常温乾燥型塗料用組成物に加える溶剤として条件(iv−1)によって選択される希釈溶剤を併用することを特徴とする常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
条件(iv−1):溶剤中にシクロヘキサノを少なくとも20wt%含有する非芳香族系混合溶剤。
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