明 細 書 非芳香族溶剤系塗料用樹脂組成物 技術分野
本発明は、 素材への密着性、 耐食性、 耐溶剤性、 耐スクラッチ性、 加工性等に 優れ、 それらのバランスがとれた非芳香族溶剤系塗料用樹脂組成物に関するもの であり、 それはプレコ一トメタル、 建築材料用サイジング材、 自動車部品等に有 用である。 技術背景 - 芳香族系溶剤は P R T R (Pol lutant Release and Transfer Register)法 対象化学物質に登録されている。 その取り扱いは、 大気放出による環境汚染等に より、 社会的にクローズアツプされている。 これらは、 取り扱い規制はもとより 将来的に使用が大幅に制限される可能性がある。 そこで、 近年では非芳香族化合 物のみ、 すなわち P R T R法対象化合物を用いない塗料用樹脂組成物の開発ニー ズが高まっている。
このような環境下、 塗料用樹脂組成物において芳香族系溶剤に替わり非芳香族 系溶剤のみを使用する場合、 用途に応じて溶剤の選択及び樹脂の設計変更が必要 となってくる。
例えば、 一液性熱硬化型塗料用樹脂では、 エポキシ樹脂を変性し、 更にブロッ ク化ィソシァネ一トを混合したプロックウレタン変性エポキシ樹脂が使用されて いる。 そして、 これ等に芳香族系溶剤を含有する混合溶剤で溶液化した変性ェポ キシ樹脂塗料が広く用いられている。 非芳香族系溶剤の使用に当たっては、 樹脂 の溶解性及び、 塗膜化するための焼き付け温度における溶剤の蒸発速度が極めて 重要である。 各種溶剤がエポキシ樹脂に対して相溶性が低か、 また相溶しても溶 液粘度が極端に高くなると、 塗料樹脂として作業性が問題点となる。
また、 一液性常温乾燥型塗料用樹脂では、 エポキシ樹脂を変性し、 芳香族系溶 剤を含有する混合溶剤で溶液化した変性エポキシ樹脂塗料用が広く用いられてい
る。 従来、 この系統の樹脂に用いられる溶剤は、 原料となるエポキシ樹脂を安定 的に溶解し、 塗料粘度が適当で被塗装体に対し塗装する時に成膜性が良好で、 塗 膜形成後速やかに飛散して塗膜中に残留しない芳香族系混合溶剤が使用されてい る。 芳香族系溶剤として、 例えば、 トルエン、 キシレンが使用されている。 これ らは、 常温で適当な蒸発速度を持っため混合溶剤の蒸発速度を制御し、 また、 ェ ポキシ樹脂を溶解した場合に混合溶剤と樹脂との相溶性を上げ、 塗料の低粘度化 を図ることができる。 そして、 非芳香族系溶剤の使用に当たっては、 同様に、 樹 脂の溶解性及び、 塗布後の溶剤の蒸発速度が極めて重要である。 発明の開示
本発明者らはこれらの課題を解決するため、 鋭意検討した結果、 非芳香族系溶 剤を選択するにあたり、 混合溶剤の蒸発速度、 SP値、 及びエポキシ樹脂を固形 分 40 %で溶解-したときの溶液粘度に着目し、 本発明を完成するに至った。 すな わち、
[1] 樹脂組成物が条件 U) によって選択される非芳香族系溶剤に固形分が 6 0 %以下で溶解することを特徴とする非芳香族溶剤系変性エポキシ塗料用樹脂組 成物。
条件(i):選択される溶剤が全て非芳香族系で、 以下の (式一 1) を満たし、 当 該溶剤に対し溶 している変性エポキシ樹脂組成物の固形分が 40 % のときの溶液粘度 が 10, 00 OmP a'S以下である混合溶剤。
(式— 1) SP =∑CiSPi が 9. 0≤S P≤ 11. 0 ここで、 Ci (wet%):選択される溶剤の全溶剤中での含有率
S Pi:選択される溶剤の S P値
[2] [1]において、 A成分 95〜70重量部 (固形分) と B成分 5〜30重量部 (固形分) を合計 100重量部 (固形分) になるように混合され、 条件 (ii) に よって選択される非芳香族系溶剤に固形分が 60 %以下で溶解していることを特 徵とする一液性熱硬化型塗料用樹脂組成物。
A成分:エポキシ当量 300〜3, 000 gZe Qのエポキシ樹脂 (a) 及び多官能アミン (b) を含有し、 (a) 成分中のエポキシ当量 1. 0
当量に対して、 (b) 成分中の活性水素が 1. 10〜1. 80当量であ る変性エポキシ樹脂組成物。
B成分:プロック化ィソシァネート。
条件 (ii):選択される溶剤が全て非芳香族で、 以下の (式一 2) を満たす。
(式一 2) V =∑CiVi が 18≤V≤100 · ここで、 Ci (wet %):選択される溶剤の全溶剤中での含有率 Vi:選択される溶剤の蒸発速度 (酢酸ブチルを 100とした相対速度) [3] [1]において、 エポキシ当量 200〜1, 000 gZe qのエポキシ樹脂 (a)及び多官能アミン (b) を付加させて得られる、 数平均分子量 4, 000〜 10, 000のァミン変性エポキシからなり、 (a) 成分中のエポキシ基 1. 00 当量に対し、 (b)成分中の活性水素が 1. 10〜 1. 60当量であることを特徴 とする変性エポキシ樹脂組成物が条件 (沮) を満たす常温乾燥型塗料用樹脂組成 物。
条件 (ill):選択される溶剤が全て非芳香族で、 以下の (式一 3) を満たす。
(式— 3) V=∑CiVi が 100≤V≤300 ここで、 Ci (wet%):選 ί尺される溶剤の全溶剤中での含有率
Vi:選択される溶剤の蒸発速度(酢酸ブチルを 1 00とした相対速度)
[4]多官能アミン (b) が多官能アルカノ一ルァミン (bl) である [3]に記載の 常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
[5]多官能アミン (b) が多官能アルカノールァミン (bl) とそれ以外の多官能 ァミン (b 2) との混合物であり、 それらの成分の当量比が 0. 70〜1. 00/ 0〜0. 30 (両成分の合計 1· 00当量) である [3]または [4]の何れかに記 載の常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
[6]エポキシ樹脂 (a) がビスフエノ一ル A—ジグリシジルエーテル及び又はビ スフエノ一ル F—ジグリシジルエーテルである [ 2〜 5 ]のいずれかに記載の一液 性熱硬化型塗料用樹脂組成物または常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
[7] [ 3〜 6 ]に記載の常温乾燥型塗料用樹脂組成物と当該常温乾燥型塗料用組 成物に加える溶剤として条件 (iv— 1) によって選択される希釈溶剤を併用する
ことを特徴とする常温乾燥型塗料用樹脂組成物。
条件 (iv— 1 ) :溶剤中にシクロへキサノンを少なくとも 2 0 ¥1%含有す 発明を実施するための最良の形態
ぐ非芳香族系溶剤 >
本発明で取り扱う非芳香族系溶剤とは、例えば、 n—ヘプタン、 n—へキサン、 芳香族非含有ミネラルスピリット、 ジペンテン、 テレビン油、 シクロへキサン、 メチルシクロへキサン、 ェチルシクロへキサン、 イソパラフィン系溶剤等の非芳 香族炭化水素系溶剤、 メタノール、 エタノール、 n—プロパノール、 イソプロパ ノール、 n—ブタノール、 イソブ夕ノール、 s e c—ブタノール、 t e r t —ブ 夕ノール、 n—アミルアルコール、 イソアミルアルコール、 2—ェチルへキサノ ール、 メチルイソプチルカルビノール、 ベンジルアルコール等のアルコール系溶 剤、 メチルセルソルブ、 セルソルブソルベント、 ブチルセルソルブ、 イソプチル セルソルブ、 t e r t 一ブチルセルソルブ、 イソプロピルセルソルブ、 へキシル セルソルブ、 メトキシブ夕ノール、 3—メチルー 3—メトキシブタノール、 メチ ルカルビ! ル、 カルビトール、 プチルカルビトール、 プロピレングリコールモ ノメチルエーテル、 ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、 プロピレング リコール n—プチルェ一テル、 プロピレングリコール n—プロピルエーテル、 ジ プロピレングリコール n—プロピルエーテル、 ジォキサン、 プロピルセロソルブ 等のエーテルアルコールおよびェ一テル系溶剤、 酢酸メチル、 酢酸ェチル、 酢酸 n—プロピル、 酢酸イソプロピル、 酢酸 n—プチル、 酢酸イソブチル、 酢酸イソ ァミル、 酢酸メチルセ口ソルブ、 酢酸セロソルブ、 酢酸プチルセ口ソルブ、 酢酸 メトキシプロピル、 酢酸メトキシブチル、 酢酸カルビトール、 酢酸プチルカルピ トール、 酢酸 3—メチル 3—メトキシプタノール、 プロピオン酸 3 _エトキシェ 夕ノール、 2、 2、 4—卜リメチルー 1、 3—ペン夕ジオールモノイソブチレー ト、 二塩基酸エステル等のエステルおよびエーテルエステル系溶剤、 アセトン、 メチルェチルケトン、 メチルイソプチルケトン、 ジイソプチルケトン、 メチル n 一へキシルケトン、 メチルアミルケトン、 シクロへキサノン、 ダイアセトンアル コ—ル、 イソホロン等のケトン系溶剤、 テトラヒドロフラン、 ジメチルホルムァ
ミド等があげられる。 これらは、 単独もしくは複数の組み合わせによる混合溶剤 であって構わない。
本発明では、 下記 (式— 1 ) の S Pが 9 . 0≤S P≤1 1 . 0である非芳香族 系溶剤を用いることを特徴とするものである。 ここで定義する溶剤の S P値は、 「コ一ティングの基礎科学」 原崎勇次著; p . 5 1 ( 1 9 7 7 ) 檳書店の化学組 成からの計算に則って計算したものである。
(式一 1 ) S P =∑C i S P i
ここで、 C i (wet %):選択される溶剤の全溶剤中での含有率
S P i:選択される溶剤の S P値
また、 当該溶剤に対し溶解している変性エポキシ樹脂組成物の固形分が 4 0 %の 時の溶液粘度が 1 0 , 0 0 O mP a · S以下である混合溶剤である。
<一液性熱硬化型塗料用樹脂 >
一液性熱硬化型塗料用樹脂としては、 従来、 フヱノール性水酸基を有する化合 物とェピクロロヒドリンとの反応で得られるエポキシ樹脂は反応性に富むェポキ シ基を有し、 これをァミン、 ポリアミド、 二塩基酸等により架橋高分子化し、 更 にブロック化イソシァネ一トを混合したもの、 いわゆる、 ブロックウレタン変性 エポキシ樹脂が使用されている。 そして、 これを、 芳香族系溶剤を含有する混合 溶剤で溶液化した変性エポキシ樹脂塗料が広く用いられている。 性能としては耐 食性、 密着性、 加工性、 耐スクラッチ性等が要求使用されている。
しかしながら、 この系統の樹脂は原料となるエポキシ樹脂を溶解する各種溶剤 の蒸発速度が焼き付け温度において適当でないと、 塗膜化した後に溶剤の蒸発速 度が遅い場合、 塗膜中に溶剤が残存し焼き付け後の塗膜物性を低下させ、 逆に蒸 発速度が早すぎる場合、 ヮキが発生し塗膜欠陥となる。 また、 各種溶剤がェポキ シ樹脂に対して相溶性が低い、 または相溶しても溶液粘度が高いと、 塗料樹脂と して作業可能な固形分に調整しても塗布できない等の問題点が生じる。
これまで、一般的には蒸発速度が適当でかつエポキシ樹脂との相溶性が良好で、 溶解後の溶液粘度が上昇せず、 蒸発速度が適当である芳香族系溶剤、 具体的には トルエンもしくはキシレンを混合溶剤の一部として用い、 溶剤の蒸発速度を制御 したり、 樹脂と混合溶剤の相溶性を上げたり、 低粘度化を行っている。
そこで、 非芳香族系一液性熱硬化型塗料用樹脂で用いる溶剤の蒸発速度は、 下記 (式一 2) の蒸発速度が 10≤V≤100を満たすものである。 ここで定義する 溶剤の蒸発速度は、 田中丈之;「塗装と塗料」 No 339、 p45 (1981) の 「溶剤の蒸発」 で示される計算式を用い蒸発速度を算出し、 酢酸ブチルの蒸発速 度を 100とした相対蒸発速度に変換して用いた。
(式— 2) V二∑CiVi ' ここで、 Ci (wet%):選択される溶剤の全溶剤中での含有率
Vi:選択される溶剤の蒸発速度 (酢酸ブチルを 10 0とした相対速度)
Vがこの範囲であると、 焼き付け後の塗膜中に溶剤が残存せず塗膜物性が劣悪化 しない、 また、 焼き付け時にヮキが発生せず塗膜欠陥が生じない等の点で好まし い。 好ましくは Vが 30≤V≤70である。
また、 (式一 1) SP値は 9. 0≤SP≤11. 0の範囲である。 この範囲であ ると変性エポキシ樹脂との相溶性が良く安定した均一系のワニスが得られる。 好 ましくは、 9. 50≤S P≤ 10. 50である。
本発明の非芳香族系一液性熱硬化型塗料用樹脂で用いる樹脂組成物は、 次の A 成分 95〜70重量部 (固形分) と B成分 5〜30重量部 (固形分) を合計 10 0重量部 (固形分) になるように混合され、 選択された非芳香族系溶剤に固形分 60%以下で溶解していることを特徴とするものである。 ここで、 A成分はェポ キシ当量 300〜3, 000 gZe qのエポキシ樹脂( a)及び多官能アミン(b) を含有し、 (a) 成分中のエポキシ当量 1. 0当量に対して、 (b) 成分中の活性 水素が 1. 10-1. 80当量である高分子ィヒした変性エポキシ樹脂であり、 B 成分はプロック化ィソシァネートである。
本発明に用いる A成分であるエポキシ樹脂(a)、 及び多官能アミン(b) につい て説明する。
本発明において、 エポキシ樹脂 (a) とは、 ピスフエノール A―ジグリシジルェ 一テル、 ビスフエノール F—ジグリシジルエーテル、 ノボラックグリシジルエー テル、 へキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、 ダイマー酸グリシジルエステ ル、テトラグリシジルァミノジフエ二ルメ夕ン、 3, 4-エポキシ- 6-メチルシクロへ
キシルメチルカルポキシレート、 トリグリシジルイソシァヌレート、 3, 4-ェポキ シシクロへキシルメチルカルポキシレート、 ポリプロピレングリコ一ルジグリシ ジルェ一テル、 ポリブタジエン又はポリスルフィドの両末端ジグリシジルエーテ ル修飾物等であり、 好ましくは、 ビスフエノール A—ジグリシジルエーテル、 ビ スフエノ一ル F—ジグリシジルェ一テルである。 これらは、 一種類又は二種類以 上用いてもよい。
また、 そのエポキシ当量は、 3 0 0〜 3 0 0 0 g/eqの範囲である。 この範囲で あると、 耐食性 ·加工性の点で好ましい。
本発明において、 多官能アミン (b ) とは、 活性水素を 1分子中に 2個以上有す るアミンである。具体的にはィソプロパノールアミン、モノプロパノールアミン、 モノブ夕ノールァミン、 モノエタノールァミン、 ジエチレントリァミン、 ェチレ ンジァミン、 プロピルァミン、 ブチルァミン、 イソホロンジァミン、 テトラヒド 口フルフリルァミン、 キシレンジァミン、 ジアミノジフエニルメタン、 ジァミノ スルホン、 ォクチルァミン、 メタフエ二レンジァミン、 アミルァミン、 へキシル ァミン、 ォクチルァミン、 ノニルァミン、 デシルァミン、 ト ύエチレンテトラミ ン、 テトラメチレンペン夕ミン、 テトラエチレンペン夕ミン、 ジメチルアミノブ 口ピルァミン、 ジェチルァミノプロピルァミン、 Ν—アミノエチルピペラジン、 メタセンジァミン、 ジアミノジフエニルスルホン等が挙げられる。
本発明において、 上記の (b ) 成分の配合割合は、 (a ) 成分のエポキシ基の 合計 1 . 0当量に対し、 (b )成分中の活性水素が 1 . 1 0〜1 . 8 0当量にする ことが必要である。
この範囲であると、 樹脂溶液のゲル化、 耐水性等の点で好ましい。
次に、 本発明における A成分の変性エポキシ樹脂を製造する方法について説明 する。 エポキシ樹脂 (a ) をエポキシ基が 1 . 0当量に対して多官能アミン (b ) を活性水素 1 . 1 0〜1 . 8 0当量の割合で、 無溶剤もしくは条件 (式- 1 ) (式
- 2 ) よって選択された混合溶剤の全て、 または、 一部の溶剤中で公知の方法に て反応させて変性ェポキし樹脂を得ることができる。
更に、 本発明に用いる B成分であるブロック化イソシァネートについて説明す る。 本発明において、 ブロック化イソシァネートとは、 公知の方法により、 イソ
シァネート化合物と活性水素化合物とを反応させ、 末端にイソシアナト基を有す るウレタンプレボリマーを得、 それをブロック剤と反応させ、 イソシアナト基を ブロック化させたものである。 これらの反応は、 活性水素を持たない溶媒中又は 無溶媒下で行なわれ、 その際、 第三級ァミン、 有機金属等の公知の触媒を使用し てもよい。 上記の溶媒も選択された溶剤である。
本発明において、 上記のイソシァネート化合物としては、 へキサメチレンジ ィソシァネート、 トリメチルへキサメチレンジィソシァネートのような脂肪族ィ ソシァネート類;キシリレンジィソシァネ一ト、 2, 4-トリレンジィソシァネート、 2, 6-トリレンジィソシァネートのような芳香族ジィソシァネート類;イソホロン ジイソシァネートのような脂環式ジイソシァネート類等、 更にはこれらのジイソ シァネート類混合物、 多量体等が挙げられる。
本発明において、 上記の活性水素化合物としては、 エチレングリコール、 プロ ピレンダリコール、 1, 2-ブチレングリコール、 1, 3-ブチレングリコール、 1, 6 -へ キサンジオール、 ジエチレングリコール、 ジプロピレングリコール、 ネオペンチ ルグリコール、 ヒドロキシビバリン酸エステル、 トリエチレングリコール、 キシ リレンダリコール、 1, 4-ブチレンダリコール等の二価アルコール;グリセリン、 トリメチロールェタン、 トリメチロールプロパン、 1, 2, 6-へキサントリオ一ル等 の三価アルコール;ペンタエリスリ 1 ^一ル等の低分子量ポリオール;このポリオ ールのプロピレンォキシド又はエチレンォキシド付加物等のポリエーテルポリォ —ル;低分子量ポリオールとジカルボン酸とを反応させて得られるポリエステル 'ポリオールを製造する際に脂肪酸変性した物等の高分子量ポリオール等が挙げら れる。 これらは単独又は混合して用いてもよい。
本発明において、 上記のブロック剤としては、 フエノール系、 ラクタム系、 ォ キシム系、 イミン系、 活性メチレン系、 酸アミド系、 イミド系、 亜硫酸塩系等の ものがいずれも使用できるが、 好ましくはフエノール系、 ラクタム系、 才キシム 系、 ィミン系のブロック剤である。 これらの具体例としては、 フエノール、 クレ ゾール、 キシレノール、 ニトロフエノール、 クロ口フエノール、 ェチルフエノー ル、 p—ヒドロキシジフエニル、 t一ブチルフエノール、 o—イソプロピルフエ ノール、 o— sec-プチルフエノール、 TD—ノニルフエノール、 p— t—ォクチル
フエノール、 ヒドロキシ安息香酸、 ヒドロキシ安息香酸エステル等のフエノール 系ブロック剤; ε -力プロラクタム、 <5 -パレロラクタム、 ァ -ブチロラクタム、 β -プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;ホルムアミドォキシム、ァセトァ ルドォキシム、 ァセトォキシム、 メチルェチルケトォキシム、 ジァセチルモノォ キシム、 ベンゾフエノンォキシム、 シクロへキサノンォキシム等のォキシム系ブ ロック剤;エチレンィミン、 プロピレンィミン等のイミン系ブロック剤が挙げら れる。
本発明において、 上記の Α成分と Β成分との配合割合は、 A成分 9 5〜7 0重 量部(固形分) と B成分 5〜3 0重量部(固形分)を合計 1 0 0重量部(固形分) にすることが必要である。 B成分の固形分量が 5重量部未満では、 熱硬化時、 塗 膜がうまく硬化せず、 塗膜性能が発現されず、 また、 この量が 3 0重量部を越え ると、 塗膜が硬くなりすぎ、 その割れ等の現象がでる。
更に、本発明において、 A成分と B成分から樹脂組成物を製造する実施態様は、 •代表的には下記のとおりである。 ビスフエノ一ル A型エポキシ樹脂又はビスフェ ノール F型エポキシ樹脂と多官能アミン (b ) を選択された溶剤へ溶解し、 窒素 雰囲気化で 7 0〜1 5 0でにて 4〜1 0時間反応させて高分子化させ、 樹脂溶液 (A成分) を得る。
一方、 これとは別に、 上記のようにブロック化イソシァネ一ト (B成分) を調 製する。 A成分に B成分を混合し、 溶剤で粘度 3〜 5 0ボイズ程度に希釈し、 樹 脂組成物を得る。 なお、 A成分の溶解、 及び樹脂組成物の希釈に用いる溶剤は条 件 (式- 1 ) (式一 2 ) よって選択された溶剤である。
選択された溶剤を用いる調整法としては、 A成分 B成分とも無溶剤で合成し、 混合後、 選択された溶剤に溶解し樹脂溶液を得る調整法、 A成分を選択された溶 剤に溶解した状態で合成し、 その後無溶剤で合成したの B成分を混合し、 そのま ま、 もしくはさらに選択された溶剤を加えて樹脂溶液を得る調整法、 B成分を選 択される溶剤に溶解した状態で合成し、その後無溶剤で合成した A成分を溶解し、 そのまま、 もしくはさらに選択された溶剤を加えて樹脂溶液を得る調整法、 A成 分 B成分とも選択された溶剤に溶解した状態で合成し、 そのまま、 もしくはさら に選択された溶剤を加えて樹脂溶液を得る調整法等いかなる調整方法も可能であ
る。
さらに、 本発明において選択される溶剤は、 当該溶剤に対し溶解している変性 エポキシ樹脂組成物の固形分が 4 0 %の時の溶液粘度が 1 0 , 0 0 0 mP a ' S以 下である混合溶剤である。 たとえ溶解したとしても 1 0, O O O mP a ' Sを越え る場合、 溶剤希釈により塗料化し作業可能な粘度範囲に調整しても、 乾燥塗膜で 数/ m〜数十 mを得るためには、 多度の重ね塗りが必要であったり、 焼き付け 前にタレ、 ハジキを生じ易くなつたり、 乾燥塗膜中に多量の溶剤が残存してしま うという問題点が発生する。
本発明において、 塗料を製造するには公知の方法による。 すなわち、 上記の樹 脂組成物に防鲭顔料、 体質顔料、 レべリング剤及び各種の添加剤を加え、 デイス パー、 サンドミル、 ポールミル等を用いて混練 ·分散すればよい。 また、 塗装方 法としては、 刷毛塗り、 スプレー塗装、 各種のコ一ター塗装等の一般的な方法に より、 上記のように得られる塗料を、 素材に直接又は塗装前処理を施した後に塗 装する。 適用できる素材としては、 各種の金属素材、 例えば、 冷延鋼板、 亜鉛メ ツキ鋼板、合金化亜鉛メツキ鋼板、クロムメツキ鋼板、アルミニウムメツキ鋼板、 スズメツキ鋼板、 鉛メツキ鋼板、 ニッケルメツキ鋼板、 アルミニウム板、 チタン 板、 ステンレス板;プラスチックス素材;無機質素材等が挙げられる。
また、 上記の塗料を素材に塗装後、 加熱することにより B成分中のブロック剤が 解離してイソシアナト基を再生し、 この再生イソシアナト基が A成分中の水酸基 と反応して硬化した塗膜が形成される。 この際、 加熱温度はブロック剤の種類等 により異なるが、 1 3 0〜3 5 0 程度、 また、その時間は 2 0秒〜数十分であ る。
<ー液性常温乾燥型塗料用樹脂 >
一液性常温乾燥型塗料用樹脂には、 フエノール性水酸基を有する化合物とェピ クロロヒドリンとの反応で得られる反応性に富むエポキシ基と、 これをポリアミ ド、二塩基酸等により架橋高分子化したェポキシ樹脂が使用されている。しかし、 この系統の樹脂では、 特にその塗膜の耐食性ゃ耐溶剤性の点で二液型エポキシ樹 脂なみに優れたものを得ることは困難であった。 まず、 上記のァミン等の変性ェ ポキシ樹脂において、第一級水酸基を持つ多官能アルカノ一ルァミンを用いると、
素材への密着性と耐溶剤性は向上するが、 耐湿性は悪くなり、 耐食性も不充分で ある。 また、 エポキシ当量が大きいエポキシ樹脂を用いた場合、 または変性ェポ キシ樹脂の平均分子量を高くすると耐食性、 耐湿性及び耐溶剤性は向上するが、 素材への密着性が悪くなる。
上記のような変性エポキシ樹脂やその塗膜の性能は、 主にこの樹脂中の第一級 水酸基の性質(共有結合力、親水性、極性等)やその量に起因すると考えられる。 すなわち、 樹脂中の第一級水酸基を多くする場合、 この樹脂は素材面の水と共有 結合するので素材への密着性は上がるが、 逆に、 この樹脂は親水性であるので外 部の水を取り込み、 その塗膜の耐湿性や耐食性は下がる。 更に、 この樹脂は極性 を有するので有機溶剤への溶解性、 いわゆる相溶性は下がるが、 その塗膜の耐溶 剤性は上がる。
これまで、一般的には蒸発速度が適当でかつエポキシ樹脂との相溶性が良好で、 溶解後の溶液粘度が上昇せず、 蒸発速度が適当である芳香族系溶剤、 具体的には トルエンもしくはキシレンを混合溶剤の一部として用い、 溶剤の蒸発速度を制御 したり、 樹脂と混合溶剤の相溶性を上げたり、 低粘度化を行っている。
そこで、非芳香族系一液常温硬化型塗料用樹脂で用いる溶剤の蒸発速度は、 (式一 3 ) の蒸発速度が 1 0 0≤V≤3 0 0を満たすものである。 ここで定義する溶剤 'の蒸発速度は、 田中丈之;「塗装と塗料」 N o 3 3 9、 p 4 5 ( 1 9 8 1 ) の 「溶 剤の蒸発」 で示される計算式を用い蒸発速度を算出し、 酢酸ブチルの蒸発速度を 1 0 0とした相対蒸発速度に変換して用いた。
(式— 3 ) V=∑C iV i
ここで、 C i (wet%):選択される溶剤の全溶剤中での含有率
V i:選択される溶剤の蒸発速度 (酢酸ブチルを 1 0 0とした相対速度)
Vがこの範囲であると、 乾燥後の塗膜中に溶剤が残存しないため塗膜物性が劣悪 化くまた、 乾燥時に溶剤が急激に飛散することがないために塗膜外観が荒れな レぃ塗膜欠陥が生じない等の点で好ましい。 好ましくは Vが、 1 5 0≤V≤2 5 0である。
また、 (式一 1 ) S P値は 9 . 0≤S P≤l 1 . 0の範囲である。 この範囲であ
ると変性エポキシ樹脂との相溶性が良く安定した均一系のワニスが得られる。 好 ましくは、 9. 50≤S P≤ 10. 50である。
本発明の非芳香族系一液性常温硬化型塗料用樹脂で用いる樹脂組成物は、 特定' なエポキシ当量のエポキシ樹脂に、 網状化剤として主に多官能アル力ノールアミ ンを特定な割合で配合し、 また、 それによつて得られるァミン変性エポキシ樹脂 を特定な範囲の分子量にすることが有効である。
すなわち、 本発明は、 エポキシ当量 200〜1000 gZe Qのエポキシ樹脂 (a)及び多官能アミン (b) を付加させて得られる、 数平均分子量 4, 000〜 10, 000のァミン変性エポキシからなり、 (a) 成分中のエポキシ基 1. 00 当量に対し、 (b)成分中の活性水素が 1. 10〜1. 60当量であることを特徵 とする変性エポキシ樹脂が選択される非芳香族系溶剤に固形分 60 %以下で溶解 する事を特徴とする常温乾燥型塗料用樹脂組成物である。
まず、 本発明に用いるエポキシ樹脂 (a)、 及び多官能アミン (b) について説 明する。
本発明において、 エポキシ樹脂 (a) とは、 ビスフエノール A -ジグリシジルェ 一テル、 ビスフエノ一ル F—ジグリシジルエーテル、 ノポラックグリシジルエー テル、 へキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、 ダイマー酸ダリシジルエステ ル、テトラグリシジルアミノジフエニルメタン、 3, 4-エポキシ- 6-メチルシクロへ キシルメチルカルポキシレート、 1、リダリシジルイソシァヌレート、 3, 4-ェポキ シシクロへキシルメチルカルポキシレート、 ポリプロピレングリコ一ルジグリシ ジルエーテル、 ボリブタジエン又はポリスルフィドの両末端ジグリシジルエーテ ル修飾物等であり、 好ましくは、 ビスフエノール A—ジグリシジルエーテル、 ビ スフエノ一ル F—ジグリシジルェ一テルである。 これらは、 一種類又は二種類以 上用いてもよい。
また、 そのエポキシ当量は、 200〜1, 000 g/eq、 好ましくは 450〜 1, 000 g/e の範囲である。 この範囲であると、 得られる樹脂溶液の相溶性、 塗 膜の耐食性、'耐溶剤性、 密着性の点で好ましい。
本発明において、 多官能アミン (b) とは、 活性水素を一分子中に二個以上有 するァミンであり、それらは多官能アル力ノールァミン (bl) とそれ以外の多官
能ァミン (b2) とに分けられる。 前者の多官能アルカノ一ルァミン (bl) とし ては、 イソプロパノールァミン、 モノプロパノールァミン、 モノブ夕ノールアミ ン、 モノエタノールアミン、 2-アミノエチルェタノ一ルァミン等が挙げられ、 そ の中、 好ましくはモノエタノールァミンである。 また、 後者のそれ以外の多官能 ァミン (b2) としては、 ジエチレントリアミン、 エチレンジァミン、 ブチルアミ ン、 プロピルアミン、 イソホロンジァミン、 キシレンジァミン、 ジアミノジフエ ニルメタン、 ジアミノスルホン、 ォクチルァミン、 メタフエ二レンジァミン、 ブ チルァミン、 アミルァミン、 へキシルァミン、 ォクチルァミン、 ノニルァミン、 デシリレアミン、 トリエチレンテトラミン、 テ卜ラエチレンペン夕ミン、 ジェチル ァミノプロピルァミン、 N_アミノエチルピペラジン、 メンセンジァミン、 ジァ ミノジフエニルスルホン等が挙げられる。
本発明における多官能アミン (b) としては、 上記の多官能アル力ノールァミ ン (bl) だけを単独に用いるか、 又はそれとそれ以外の多官能アミン (b 2) と を併用してもよいが、好ましくは多官能アルカノ一ルァミン(bl)だけの一種類 又は二種類以上である。 また、 多官能アルカノールァミン (bl) とそれ以外の多 官能アミン (b 2) とを併用する場合、 それらの成分の当量比を 0. 70〜1. 00/0-0. 30 (両成分の合計 1. 00当量) にすることが好ましい。 この当 量比が 0〜0. 70/0. 30〜1. 00では、 得られる塗膜の耐食性が悪くな り、 また、 その耐溶剤性や素材への密着性も下がる傾向になる。
本発明においては、 上記のエポキシ樹脂 (a) と多官能アミン (b) とを特定 な当量比で配合し、 また、 得られるァミン変性エポキシ樹脂の分子量を特定な範 囲にすることが必要である。 (a) 成分と (b) 成分の配合量は、 (a) 成分中の エポキシ基 1. 00当量に対し、 (b) 成分中の活性水素が 1. 10〜 1. 60 当量、 好ましくは 1. 10〜1. 40当量の範囲になるようにする。 この範囲で あると、 樹脂溶液のゲル化、 また、 耐水性等の点で好ましい。 また、 ァミン変性 エポキシ樹脂の数平均分子量は、 4, 000〜 10, 000の範囲である。 この分 子量が 4, 000未満では、 得られる塗膜が硬くなり、 その加工性ゃ耐衝撃性が 悪くなる。これが 10, 000 を越えると、得られる樹脂中の第一級水酸基が不 足するため、 塗膜の素材への密着性が悪くなる。
本発明において、 このアミン変性エポキシ樹脂を製造するには、 エポキシ樹脂 ( a )を溶剤に溶解し、その溶液中に多官能アミン(b ) を加え、窒素雰囲気下、 7 0〜1 5 0 °Cにて 4〜1 0時間付加反応して高分子化させ、 溶剤で粘度 5〜7 0ボイズ程度に選択される溶剤によって希釈し、樹脂溶液を得る。 これら、得ら れた樹脂溶液は、 作業性と塗膜外観を改善するために加える溶剤として選択され た希釈溶剤を併用して調整することも可能である。
さらに、 本発明において選択される溶剤は、 当該溶剤に対し溶解している変性 エポキシ樹脂組成物の固形分が 4 0 %の時の溶液粘度が 1 0, 0 0 0 mP a ' S以 下となる混合溶剤である。 たとえ溶角军したとしても変性ェポキシ樹脂組成物の固 形分が 4 0 %の時の溶液粘度が 1 0 , 0 0 O mP a -S を越える場合、 溶剤希釈に より塗料化し作業可能な粘度範囲に調整しても、 乾燥塗膜で数 i m〜数十^ mを 得るためには、 多度の重ね塗りが必要であったり、 焼き付け前にタレ、 ハジキを 生じ易くなつたり、 乾燥塗膜中に多量の溶剤が残存してしまうという問題が生じ る。
本発明において、塗膜の使用可能な作業性と塗膜外観を改善するために加える溶 剤は、 条件 (iv— 1 ) :溶剤中にシクロへキサノンを少なくとも 2 O wt%含有する 非芳香族系混合溶剤、 好ましくは、 条件(iv— 2 ) :溶剤中にシクロへキサノンを 少なくとも 4 O wt含有する非芳香族系混合溶剤によって選択される非芳香族系 溶剤である。混合溶剤中のシク口へキサノンの含有量が 2 O wt%未満であると樹脂 溶液との混合後、 分離が起きたり、 樹脂溶液に濁りが生じたりして安定した樹脂 組成物が得られない。 これらの溶剤は塗料製造前調整用の希釈剤として使用して も、 塗料製造中の希釈剤としても、 塗料製造後調整用の希釈剤として使用しても 一向に構わない。
本発明において、 塗料を製造するには、 公知の方法による、 すなわち、 上記の 樹脂組成物に防鯖顔料、 体質顔料、 レべリング剤及び各種の添加剤を加え、 ディ スパー、 サンドミル、 ポールミル等を用いて混練 ·分散すればよい。 また、 塗装 方法としては、 刷毛塗り、 スプレー塗装、 各種のコ一夕一塗装等の一般的な方法 により、 上記のように得られる塗料を、 素材に直接又は塗装前処理を施した後に 塗装する。 適用できる素材としては、 各種の金属素材、 例えば、 冷延鋼板、 亜鉛
メツキ鋼板、 合金化亜鉛メツキ鋼板、 クロムメツキ鋼板、 アルミニウムメツキ鋼 板、 スズメ、リキ鋼板、 鉛メツキ鋼板、 ニッケルメツキ鋼板、 アルミニウム板、 チ タン板、 ステンレス板;プラスチックス素材;無機質素材等が挙げられる。 発明の効果
本発明によれば、 素材への密着性、 耐食性、 加工性、 耐スクラッチ性、 耐食性 と耐溶剤性等に優れ、 それらのバランスがとれた非芳香族溶剤系塗料用樹脂組成 物を提供することができる。 実施例
以下、 製造例、 実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。 以下におい て、 「部」 と 「%」 は重量基準であり、 また、 (b) 成分の多官能アミン及び一部 の溶剤は次の略号で示す。
i PA:イソプロパノールァミン、
I P A:イソプロピルアルコール
MEA:モノエタノールァミン、
P A:プロピルァミン、
BA:プチルァミン;
MB A:モノブタノ一ルァミン
n— BA: n_ブチルアルコール、
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
MA: 3—メトキシァセテー卜、
MEK:メチルェチルケトン、
MCH:メチルシクロへキサン、
PM:プロピレングリコールモノメチルエーテル、
sec- BuOH: sec-ブチールアルコール、
n-BA: n -プチルアルコール
PEAC:プロピレングリコールモノェチルエーテルァセテ一ト
更に、 (a) 成分のエポキシ樹脂の種類は次の略号で示す。
B P— A:ビスフエノール A—ジグリシジルエーテル系エポキシ樹脂。
B P—F:ビスフエノール F—ジグリシジルエーテル系エポキシ樹脂。 , <分子量測定法 >
製造例にて製造した変性エポキシ樹脂は、 テトラヒドロフランへ溶解し昭和電工 社製 「Shodex GPC-101」 にて、 分子量が既知のポリスチレンとの比較により RI 法にて分子量を測定した。
塗膜物性を評価する方法は次のとおりである。
<塗膜物性評価 >
( 1 )樹脂外観:製造例の前半において、合成したエポキシ樹脂溶液(固形分 40%) を、 100 c cの蓋付きガラスビンに投入し 25°Cの恒温室で 24時間保存し、樹脂外 観を目視で確認した。
〇 · '透明、 X · ·濁り、 樹脂と溶剤の分離、 ゲル化等の異常あり。
( 2 )樹脂粘度:製造例の前半において、合成したエポキシ樹脂溶液(固形分 40%) を、 JIS-K-6901に従い 25°Cで B型粘度計を用いて粘度を測定した。
( 3 )耐食性: 力ッ夕一ナイフにて試験板面に、十字形切り口を素材まで達する ように入れる。 JIS- Z- 2371 の塩水噴霧試験法に準じて、 この試験板を 1000峙 間試験する。 その後、 切り ΰを粘着テープ (ニチバン社製) で剥離し、 そのとき の塗膜剥離幅を測り、 耐食性を 5段階で評価する。
◎ · · 0〜 1匪未満、 〇 · · :!〜 2匪未満、 △ · · 2〜 3讓未満 X · · 3〜5腿未満、 X X · · 5腿以上。
( 4 ) 耐湿性: 湿潤試験機 (49 x 98% R H) 中に試験板を入れ、 1000時間放 置する。 その後、 塗膜面のブリス夕一発生状態を目視観察し、 耐湿性を 5段階で 評価する。
◎ · ·異常なし、 〇 · 。 -1〜5個、 △ ' ' 5〜10個、 X · ' 10〜20個 X X , ·全面プリスター。
( 5 )加工性: 塗膜面を外側にして試験板を折り曲げ、 このときに生じる塗膜の 上面と下面との伸び率の差による割れの抵抗性を調べる。 折り曲げ部分を粘着テ —プ (ニチバン社製) で剥離し、 そのときの剥がれ状態を目視観察し、 加工性を 5段階で評価する。
◎ · ·全く剥がれない、 〇· ·僅かに剥がれる、 △· · 1/3程度录 IJ がれる X · ·半分以上剥がれる、 XX · ·ほとんど剥がれる。
(6) スクラッチ性: 未使用の硬貨を塗膜面に対して 45° の角度で押しあて、 力を入れ手前に引く。 そのときの塗膜面に残った傷の状態を目視観察し、 スクラ ッチ性を 5段階で評価する。
.◎· '傷なし、 〇· '僅かに傷がつく、 △· '下塗りまで傷が達する X · · 素材の一部まで傷が達する、 χχ · '塗膜剥離、 素材に傷がつく。
(7) 耐衝撃性: HS-K- 5400.6.13.3B法の衝撃変形試験機にて、 衝撃性を試験 する。 撃ち型は半径 6.35±0.03腿を使用し、 試験板の塗膜面を下向きにして、 その間にはさむ。 重り (質量 1000±1 g) を 50cmの高さから撃ち型の上に落 し、 塗膜の破壊状態を目視観察し、 耐衝撃性を 5段階で評価する。
◎ ' ·異常なし、 〇· ·僅かにクラックあり、 ·全体にクラック ' あり X · ·—部剥離、 XX · ·全面剥離。
(8)鉛筆硬度: JIS-K- 5400.6.14の鉛筆引つかき試験に準じて、 試験板の塗膜 の硬度を評価する。
(9)密着性: HS- K- 5400.6.15の碁盤目試験に準じて、 試験板の塗膜の密着性 を 5段階で評価する。
◎ · · 100/100、 〇 · · 99/100〜80/100、 △ · · 79/100〜50/100 X · · 49/10D〜30/100、 X X · · 29/100以下 製造例 1〜7 (混合溶剤の製造)
表 1に示す比率 (重量%) に従って溶剤を混合して混合溶剤を得た。 製造例 8 (ブロック化イソシァネ一卜の製造)
2、 4- 1、リレンジィソシァネートにポリプロピレングリコ一ル (数平均分子量 2 000)を反応させウレタン化し、 ε-力プロラクタムでイソシアナト基をブロッ ク化し、 これを表 1に示す混合溶剤に溶解し、 ブロック化イソシァネ一卜 (固形 分 70%) を調製した。
製造例 9 (変性エポキシ樹脂組成物の製造)
ガラス製四つ口フラスコ (撹拌機、 温度計、 外部ヒーター、 冷却管、 凝縮器及 び窒素導入管付き) に、'表 1に示す混合溶剤 1200部、 表一 2に従ってビスフ エノ一ル A型エポキシ樹脂 (エポキシ当量 1000 g/eQ) を 1000部仕込み、 溶解する。 - この溶液に i PA (活性水素当量 37. 5 g/ea) 67部を加え、 100°Cで 5 時間反応させる。 反応後、 60 以下に冷却し、 表 1に示す混合溶剤を 400部 加え希釈し、 固形分 40 %の樹脂溶液を得た。 さらに表 1に示す混合溶剤を 21 7部加え固形分 37%にし、 上記の製造例で得たブロック化イソシァネート (固 形分 70 %) 337部を混合し、 固形分 40 %の樹脂組成物を得た。
次に、 それぞれの樹脂組成物 200部に、顔料として酸化チタン (R- 920:商 品名、 デュポン社製) 72部及びクロム酸ストロンチウム (菊池色素工業社製) 24部を配合し、 サンドミルを用いて混練 ·分散し、 表— 1に示す混合溶剤 60 部を加え希釈し塗料を得た。 この際、 顔嵙の合計と樹脂組成物中の固形分との割 合は 1. 2/1. 0重量比、酸化チタンとクロム酸ストロンチウムとの割合は 7 5/25重量比であり、 また、 溶剤の量は、 得られる塗料の粘度が 90〜110 秒 (フォート、、 カツフ。 #4) になるように調整される。
製造例 10〜15も表に従って、 以下、 同様である。
実施例 1
この塗料をリン酸亜鉛処理鋼板 (150讓 X70腿 X0.8腿厚さ) にバーコ一夕一 にて塗装し、 その膜厚さを 5 m に調整する。 また、 市販品のコイルコーティン グ用塗料をバーコ一夕一にてその膜厚さ 15 tmに上塗りする。塗装後、 この鋼板 を、 下塗り 210°CX45秒、 及び上塗り 210^X60秒の条件で焼付し乾燥し、 試 験板に供する。 この試験板の塗膜物性を後記の方法により評価し、 それらの結果 を表 3に示す。 実施例 2〜 9、 比較例 1〜9
表 1に示す混合溶剤を用い、 表 2に示すように各成分の種類 ·量を変える以外 は製造例 9と全く同様に操作して、 それぞれ樹脂組成物を得た (製造例 10〜 1 5)。次に、 これらの樹脂組成物を用いる以外は実施例 1と全く同様に操作して塗
料を、 更に試験板を得、 それらを評価した。 その結果を表 3および表 4に示す。 製造例 1 6 - 2 3 (混合溶剤の製造)
表 5に示す比率 (重量。/。)に従って溶剤を混合して混合溶剤を得た。
製造例 2 4、 2 5 (希釈溶剤の製造)
表 6に示す比率 (重量%)に従って溶剤を混合して混合溶剤を得た。
製造例 2 6 (変性エポキシ樹脂の製造)
ガラス製四つ口フラスコ (撹拌機、 温度計、 外部加熱器、 冷却管、 凝縮器及び窒素 導入管付き)に、 BP-A (エポキシ当量 4 5 0 g/eq ) l 0 0 0部を仕込み、 選ばれた 混合溶剤 (表 5、 製造例 1 6 ) 1 0 0 0部を加え溶解し、 還流脱水後、 i-PA 9 5部 を加え、 1 0 0 °Cで 5時間反応させる。 反応後、 6 0 °C以下に冷却し、 選ばれた 混合溶剤 (表 5、 製造例 1 6 ) 5 0 0部を加え希釈し、 数平均分子量 7 , 0 0 0固形 分 4 0。/。及び粘度 3 0ボイズの樹脂溶液を得た。 次に、 .この樹脂溶液 2 0 0部 に、 酸化チタン (R 920滴品名、 デュポン社製) 6 0部、 リンモリブデン酸アルミ ニゥム (菊池色素工業社製) 2 0部及び選ばれた混合溶剤 (表 6、製造例 2 4)を配合 し、 サンドミルを用いて混練 ·分散し、 得られる塗料の粘度が 9 0〜1 1 0秒 (フ オードカツプ #4)塗料を得た。
製造例 27〜 3 2も表に従って、 以下、 同様である。
実施例 1 0
この塗料をリン酸亜鉛処理鋼板 (150mm x70mmx0.8mm厚さ)にエア一スプレ 一にて塗装し、 その膜厚さを 20μιη に調整する。 塗装後、 この鋼板を 2(TCx7 日間放置 ·乾燥させ、 試験板に供する。 この試験板の塗膜物性を下記の方法によ り評価し、 それらの結果を表 8に示す。
実施例 1 1〜: 1 9、 比較例 1 0〜: 1 9
製造例 2 6において表 5に示す混合溶剤を用い、 表 6に示す混合溶剤で希釈し、 表 7に各成分の種類 ·量を変える以外は全く同様に操作して、 それぞれ樹脂組成 物を得た。 次に、 製造例 2 6の後半において、 これらの樹脂組成物を用いる以外 全く同様に操作して塗料を、 更に試験板を得、 それらを評価した。 その結果を表 8および表 9に示す。
表一 1 (混合溶剤製造処方)
表一 2 (エポキシ樹脂製造処方)
製造例 9 1 0 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 1
(a)エポキシ澍脂 BP-A BP-F BP-A BP-F BP-A BP-F エポキシ当量 (g/eq) 1000 1000 2500 2500 400 1000 1000
: 量 (部) 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000
(b)多官能アミン IPA PA MEA BA iPA iPA PA 活性水素当量 (g/eq) 37.5 29.5 30.5 36.5 37.5 37.5 29.5
67 53 21.4 18.3 140 72 30.7
(b)成分中の活性水素/
1.79 1.80 1.75
(a)成分中のエポキシ基 1.25 1.49 1.92 1.04
表一 3 (実施例)
比較例
1 2 3 4 5 6 7 8 9 混合溶剤 4 5 6 7 1 1 1 1 1 製造例
エポキシ
樹脂 9 9 9 9 1 4 1 5 9 9 ' 9 製造例
A成分/
! B成分 85/15 85/15 85/15 85/15 85/15 85/15 65/35 96/4 100/0 (固形分重量比)
樹脂外観 良好 良好 分離 分離 ゲ'ル状 ケ"ル化 良好 良好 良好 澍脂粘度 測定 測定
涂 500 600 600 1000 600 (mPa-S) 不可 不可
耐食性 X X X X 〇 Δ 1 評 耐湿性 〇 X 評価 評価 評価 評価 X X 〇 X 価 加工性 X 〇 不可 不可 不可 不可 〇 X X X X 結 スクラッチ性 X X 能 能 能 能 X X Δ X 果 耐衝撃性 〇 〇 △ X Δ 鉛筆硬度 B B B 2H 2H 密着性 △ Δ Δ . 〇 〇
表 5 (混合溶剤製造処方)
5
表 6 (希釈溶剤製造処方)
表 7 (エポキシ樹脂製造処方)
製造例 製造例 製造例 製造例 製造例 製造例 製造例 26 27 28 29 30 31 32 a BP— A 1000 1000 1000 1000 エポキシ BP— F 1000 1000 1000 樹脂 エポキシ当量 (g/eQ) 450 450 650 650 650 550 550 b bl i -PA 95 79 130 多 MEA 43 58 40 50 官 活性水素当量 (g/ed) 37.5 37.5 30.5 30.5 30.5 30.5 37.5 能 b2 PA 12 5 ァ BA 43 26
活性水素当量 (g/eti) 29.5 30.5 36.5 29.5 ン ヒ1成分/132成分 0.84/ 0.80/ 0.65/ 0.91/
1.0 1.0 1.0 (当量比) 0.16 0.20 0.35 0.09 b成分中の活性水素ノ
1.14 1.13 1.15 1.23 1.29 1.00 a成分中のエポキシ基 (当量比) 1.70 ァミン変性エポキシ樹脂の
7000 7000 9000 6000 9000 ゲル化 8500 数平均分子量
表 9 (比較例)
比較例
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 混合溶剤
5 5 6 7 8 1 2 1 1 1 製造例
希釈溶剤
1 0 1 0 1 0
製造例
エポキシ
樹脂 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 5 1 6 1 7 製造例
樹脂外観; 濁り 濁り 濁り
良好 良好 分離 分離 良好 良好 分離 分離 分離
樹脂粘度
10000 2700 2300 3000 膜 (mP-a)
ゲル 耐食性 X X X X X X Δ 評 化
耐湿性 X X X X X X 価 測定 測定 測定 測定 測定 測定
加工性 Δ X Δ 結 不可 ◎ 不可 不可 不可 不可 不可
スクラッチ性 X 〇 X Δ 果 耐衝撃性 Δ ◎ X Δ 鉛筆硬度 H 2H H H 密着性 X X 〇 X ◎