JP2000281944A - 電着塗料組成物 - Google Patents

電着塗料組成物

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JP2000281944A
JP2000281944A JP11094929A JP9492999A JP2000281944A JP 2000281944 A JP2000281944 A JP 2000281944A JP 11094929 A JP11094929 A JP 11094929A JP 9492999 A JP9492999 A JP 9492999A JP 2000281944 A JP2000281944 A JP 2000281944A
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coating composition
electrodeposition coating
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diol
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JP11094929A
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English (en)
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Shinsuke Shirakawa
伸介 白川
Tatsuo Yoshida
龍生 吉田
Shinji Nakano
伸司 仲野
Mitsuo Yamada
光夫 山田
Takahiro Mukai
孝洋 迎
Yasuhiro Hayashi
泰弘 林
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハジキ防止効果を十分に発現させる量で電着
塗料組成物に含有させた場合でも、得られる電着塗膜の
外観が損なわれないハジキ防止剤、硬化塗膜の性能に悪
影響を与えない端面防食能付与剤としての機能を有する
新規な化合物、及びこれらを含有する電着塗料組成物を
提供すること。 【解決手段】 中和剤を含む水性媒体中に分散された、
バインダー成分と顔料成分とハジキ防止剤とを含有する
電着塗料組成物において、該ハジキ防止剤が、特定構造
を有し数平均分子量300〜2000のジオールとイソ
シアネート化合物とを反応させて得られる、重量平均分
子量3万〜30万のポリウレタンを含んでなる電着塗料
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐ハジキ抵抗性や
端面防食能等に優れた電着塗料組成物に関し、新規なポ
リウレタン化合物を含有する電着塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料を腐蝕から保護しその美感を使
用期間中維持するため、その表面には一般に塗装が施さ
れる。電着塗装方法は、金属材料の表面に均一な塗膜を
簡便かつ迅速に形成可能であることから、自動車ボディ
のように被塗面が広い金属材料を塗装するために工業的
に広く利用されている。
【0003】電着塗装方法に用いる塗料としては、中和
剤を含む水性媒体中に分散されたバインダー成分と顔料
成分とを含む電着塗料組成物が用いられる。バインダー
成分は、一般に、カチオン化樹脂と硬化剤とを含む熱硬
化性樹脂組成物である。
【0004】電着塗装方法では、まず、金属基材の表面
に塗料成分を電着して電着塗料組成物の被膜を形成す
る。その後、この被膜を加熱することによりバインダー
成分を硬化させ、顔料成分を樹脂で固めた電着塗膜とす
る。
【0005】この電着塗膜のように金属材料の表面に直
接塗膜を設けるのは、主として防錆のためである。従っ
て、電着塗膜は、金属材料の表面が腐蝕物質と接触する
のを防止するため被塗面にわたって完全なものである必
要がある。塗膜に欠陥があると被塗面のその部分に錆が
発生し、これを起点として被塗装金属材料全体が腐蝕す
るからである。
【0006】塗膜の欠陥には、「ハジキ」と呼ばれるも
のがある。この種の塗膜の欠陥は、例えば、塗料組成物
に含まれる低分子量の有機化合物や外部から塗料被膜に
付着した油等が、その後の加熱硬化工程で突沸して生じ
ることが知られている。すなわち、電着された塗料の被
膜は加熱硬化工程では溶融し流動状態にあるため、突沸
による局所的な衝撃で容易に孔が空く。その後、回りの
樹脂が平坦化して孔が完全に埋まる前にバインダー成分
が硬化した場合に、塗料被膜の孔が固定され、塗膜の欠
陥、つまりハジキが形成されるのである。
【0007】従って、塗料組成物中の不純物及び電着塗
装工程における油の飛散等を排除すればこのようなハジ
キは生じないのであるが、工業的規模で実施する場合は
特にそれを徹底することは困難である。
【0008】塗膜のハジキを防止するために、一般に、
ハジキ防止剤を塗料組成物に含有させる。例えば、特公
平2−55466号公報には樹脂微粒子を含む粘度調節
剤が、特開平2−4826号公報にはポリオキシアルキ
レンポリアミンを利用した添加剤が、特開平6−184
471号公報にはフッ素含有コポリマーが記載されてお
り、これらはハジキ防止剤として使用できる。
【0009】しかしながら、これらハジキ防止剤は塗料
被膜が硬化した後もバインダー成分と相分離した状態で
残存する。従って、ハジキ防止効果を十分に発現させる
量でこれらのハジキ防止剤を添加すると、得られる電着
塗膜の外観が損なわれることが多い。
【0010】また、電着塗料組成物には、被塗物の端面
においても塗膜を厚く均一に乗せて端面の防食性が低下
するのを防止する目的で樹脂を添加することも多い。こ
のような樹脂でなる添加剤は塗装工程で蒸発しないの
で、硬化後は、塗膜のバインダー成分の一部を構成す
る。それゆえ、添加剤の特性は硬化塗膜の性能に重大な
影響を与える。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題を解決するものであり、その目的とするところはハジ
キ防止効果を十分に発現させる量で電着塗料組成物に含
有させた場合でも、得られる電着塗膜の外観が損なわれ
ないハジキ防止剤、硬化塗膜の性能に悪影響を与えない
端面防食能付与剤等の機能を有する新規なポリウレタン
化合物、及びこれを含有する電着塗料組成物を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、数平均分子量
300〜2000の特定種類のジオールとイソシアネー
ト化合物とを反応させて得られる、重量平均分子量3万
〜30万のポリウレタンを含んでなる電着塗料組成物で
あり、電着塗料組成物用のハジキ防止剤、及び電着塗料
組成物用端面防食能付与剤を提供するものであり、その
ことにより上記目的が達成される。
【0013】更に詳しくは、本発明は、中和剤を含む水
性媒体中に分散された、バインダー成分と顔料成分と上
記ポリウレタンとを含有する電着塗料組成物において、
上記ポリウレタンが、ハジキ防止剤として又は端面防食
能付与剤として機能を発揮している電着塗料組成物を提
供する。
【0014】
【発明の実施の形態】ハジキ防止剤 本発明の電着塗料組成物ではポリウレタンをハジキ防止
剤として含有する。このポリウレタンジオールは特定種
類のジオールとイソシアネート化合物とを反応させて得
られるものである。ジオールとは実質的に水酸基を2個
含む化合物をいう。2個の水酸基は主鎖の両末端に存在
することが好ましい。
【0015】本発明で用いるのに好ましいジオールは、
ポリカーボネートジオール;ポリエーテルジオール;及
びポリエステルジオールである。これらジオールは数平
均分子量300〜3000のものであることが好まし
い。ジオールの数平均分子量が300を下回ると電着塗
膜の耐食性が低下し、3000を上回ると電着塗膜の外
観が低下する。また、ジオールは2種類以上を適量混合
して用いることもできる。
【0016】ポリカーボネートジオールとはカーボネー
ト部分(−O−CO−O−)を含む繰返し単位を有する
ジオールをいう。ポリカーボネートジオールは、ジオー
ルモノマーと炭酸エステルとのポリ縮合反応物としてと
らえることができる。その場合、本発明で用いるポリカ
ーボネートジオールを構成するジオールモノマーとして
は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシノ
ール及びハイドロキノンのような芳香族ジオールモノマ
ー、及び1,6−ヘキサンジオール、1,2−プロピレ
ングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブ
タンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,
4−シクロヘキサンジオール、ポリカプロラクトンジオ
ール、1,8−オクタンジオール、エチレングリコール
のような脂肪族ジオールモノマー等が含まれる。
【0017】本発明で用いるのに好ましいポリカーボネ
ートジオールは、式
【0018】
【化7】 [式中、nは2〜8の整数であり、wは1〜12の整数
である。]で示す構造のポリアルキレンポリカーボネー
トジオールである。特に好ましいものは、ポリヘキサメ
チレンポリカーボネートジオール、ポリペンタメチレン
ポリカーボネートジオール、ポリ2,2−ジメチルプロ
ピレンポリカーボネートジオール等である。
【0019】ポリカーボネートジオールは数平均分子量
400〜2000、好ましくは400〜1800、さら
に好ましくは400〜1500を有する。ポリカーボネ
ートジオールの数平均分子量が2000を上回ると得ら
れるポリウレタンジオール中のカーボネート基濃度が低
下してハジキ防止機能や端面防食能付与機能が低下し、
400を下回るとカーボネート基濃度が高くなり塗膜外
観が低下する。
【0020】ポリエーテルジオールとはエーテル部分
(−O−)を含む繰返し単位を有するジオールをいう。
2個の水酸基はポリエーテル鎖の両末端に存在すること
が好ましい。
【0021】ポリエーテルジオールの例には、ポリオキ
シエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコー
ル、ポリオキシテトラメチレングリコール、それらのラ
ンダムまたはブロック共重合体などのポリエーテルジオ
ール等が挙げられる。
【0022】好ましいポリエーテルジオールは、式
【0023】
【化8】 [式中、xはそれぞれ独立して1〜10の整数であ
る。]で示す構造のビスフェノールAのエチレンオキシ
ド付加物である。ビスフェノールAのエチレンオキシド
付加物は、例えば、ビスフェノールAにエチレンオキシ
ドを付加させることにより調製できる。
【0024】ポリエーテルジオールは数平均分子量30
0〜3000、好ましくは400〜2000を有する。
ポリエーテルジオールの数平均分子量が3000を上回
ると得られるポリウレタンジオールの親水性が高くなり
すぎてこれを含む塗膜の耐食性が低下する。ポリエーテ
ルジオールの数平均分子量が300を下回ると得られる
ポリウレタンジオールの粘性が高くなりすぎてこれを含
む塗膜の外観が低下する。
【0025】ポリエステルジオールとはエステル部分
(−O−CO−)を含む繰返し単位を有するジオールを
いう。2個の水酸基はポリエステル鎖の両末端に存在す
ることが好ましい。
【0026】好ましいポリエステルジオールの一例は、
【化9】 [式中、R1及びR2は独立して炭素数1〜18、好まし
くは4〜10のアルキレン基であり、yは1〜10、好
ましくは3〜7の整数である。]で示す構造のポリエス
テルジオールである。かかる構造のポリエステルジオー
ルは、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のよう
な低分子量ジカルボン酸とエチレングリコール、1,3
−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6
−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオールのよう
な低分子量ジオールとを縮合重合させることにより調製
できる。
【0027】好ましいポリエステルジオールの他の例
は、式
【化10】 [式中、R3は炭素数2〜15、好ましくは3〜10の
アルキレン基であり、m及びnは2〜10、好ましくは
4〜6の整数であり、zはそれぞれ独立して1〜25、
好ましくは1〜10の整数である。]で示す構造のアル
キレンジオールのラクトン付加物である。アルキレンジ
オールのラクトン付加物は、例えば、エチレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオ
ールのような低分子量アルキレンジオールにε−カプロ
ラクトン、γ−バレロラクトンのようなラクトンを付加
させることにより調製できる。
【0028】ポリエステルジオールは数平均分子量30
0〜3000、好ましくは400〜2000を有する。
ポリエステルジオールの数平均分子量が2000を上回
ると塗膜の外観が低下する。ポリエステルジオールの数
平均分子量が400を下回ると塗膜の耐食性が低下す
る。
【0029】イソシアネート化合物とは、2個以上のイ
ソシアネート基を有する化合物をいう。2個のイソシア
ネート基を有するジイソシアネートをイソシアネート化
合物として用いることが好ましい。イソシアネート化合
物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使
用してもよい。
【0030】具体的には、4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネー
ト(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)
などの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソ
シアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート
(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシ
ルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート
(TMXDI)などの脂肪族ジイソシアネート(脂環式
ジイソシアネートを含む。)、ポリメリックジフェニル
メタンジイソシアネート(ポリメリックMDI)などの
ポリメリックイソシアネート;を使用し得る。好ましい
ものはHMDI、TMXDI、MDI、及びポリメリッ
クMDIである。
【0031】ジオールとイソシアネート化合物との反応
は、当業者に周知の方法で行うことができる。例えば、
ジオールを容器に入れて加熱撹拌してアルコール成分と
し、このアルコール成分に撹拌下イソシアネート化合物
を滴下する等徐々に加えればよい。また、このポリウレ
タンの合成は塗料に使用する硬化剤中で行っても良い。
必要に応じてジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキ
シド、ジオクチル錫などの有機錫化合物、N−メチルモ
ルホリンなどのアミン、酢酸鉛、酢酸ストロンチウム、
酢酸コバルト、酢酸銅などの金属塩、ジルコニウムテト
ラキスアセチルアセトネートやアルミニウムのキレート
化合物のような触媒を共に加えてもよい。
【0032】また、得られるポリウレタンジオールの反
応性を調節するために、この反応系にアルコール成分と
して低分子量モノアルコールを適量加えてもよい。
【0033】形成されるポリウレタンの分子量はアルコ
ール成分と反応させるイソシアネート化合物の量を増減
することにより調節することができる。ポリウレタンの
分子量は、通常数平均分子量1万〜5万、好ましくは1
万〜4万、更に好ましくは1万〜3万、及び重量平均分
子量3万〜30万、好ましくは3万〜25万、更に好ま
しくは3万〜20万に調節する。そのためには、一般
に、アルコール成分1モルに対してイソシアネート化合
物0.68〜1.4モル反応させる。
【0034】ポリウレタンの分子量が上記範囲を上回る
とこれを含む塗膜の外観が低下し、下回ると目的とする
ハジキ防止機能や端面防食能付与機能が低下する。
【0035】電着塗料組成物に上記ポリウレタンを粉末
状態で含有させると、これは樹脂微粒子でなる増粘剤と
同様に機能し、電着塗料組成物を増粘させる。増粘した
電着塗料組成物は電着後も流動性が抑制されており、加
熱硬化工程で油等が突沸した場合でもハジキの原因とな
る塗料被膜の孔が生じ難い。
【0036】他方、このポリウレタンは結晶性が低く、
加熱硬化工程中に容易に溶融して流動可能となり、レベ
リングすることができる。また、ポリウレタンに残存す
る水酸基が電着塗料組成物に含有される硬化剤と反応し
て架橋し、バインダー成分の一部を構成することができ
る。更に、このポリウレタンジオールはバインダー成分
との親和性が高い特定構造を有する。かかる特性のた
め、このポリウレタンジオールは塗料被膜を加熱硬化さ
せる工程においてバインダー成分と相溶し、塗膜の硬化
後はバインダー成分と同一相として存在する。
【0037】本発明のポリウレタンは電着塗料組成物用
端面防食能付与剤として用いることもできる。すなわ
ち、本発明のポリウレタンを電着塗料組成物に含有させ
ると被塗物の端面においても塗膜が厚く均一に乗り、端
面の防食性低下が防止できる。さらに、硬化塗膜の外観
は損なわれず、硬化塗膜の性能に悪影響を与えない。
【0038】バインダー成分 電着塗料組成物のバインダー成分はカチオン化樹脂と硬
化剤とを含む熱硬化性樹脂組成物である。
【0039】カチオン化樹脂は水分散性を示す水性樹脂
である必要がある。カチオン化樹脂には、例えば、アミ
ン変性エポキシ樹脂、アミン変性ポリウレタンポリオー
ル樹脂、アミン変性ポリブタジエン樹脂、アミン変性ア
クリル樹脂、またはスルホニウム基含有樹脂系およびホ
スホニウム基含有樹脂系等が含まれる。好ましいカチオ
ン化樹脂はアミン変性エポキシ樹脂である。
【0040】アミン変性エポキシ樹脂は、典型的には、
エポキシ樹脂のエポキシ基の全部をカチオン性基を導入
し得る活性水素化合物で開環するか、または一部のエポ
キシ基を他の活性水素化合物で開環し、残りのエポキシ
基をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環し
て製造される。
【0041】エポキシ樹脂は一般に180〜1200、
好ましくは375〜1000のエポキシ当量を有するも
のを用いる。典型的には、ビスフェノールA、ビスフェ
ノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、
クレゾールノボラックのようなポリフェノールポリグリ
シジルエーテル型エポキシ樹脂である。
【0042】特開平5−306327号公報第0004
段落の式、化3に記載のような、オキサゾリドン環含有
エポキシ樹脂をエポキシ樹脂として用いてもよい。耐熱
性及び耐食性に優れた塗膜が得られるからである。
【0043】特に好ましいエポキシ樹脂は、特願平10
−305294号に記載のオキサゾリドン環含有エポキ
シ樹脂である。耐熱性及び耐食性に優れ、更に耐衝撃性
にも優れた塗膜が得られるからである。
【0044】このオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂
は、式
【0045】
【化11】
【0046】[式中、R4はジエポキシドからエポキシ
基を除いた残基であり、Xはポリウレタンジイソシアネ
ートからイソシアネート基を除いた残基であり、そして
pは1〜10の整数である。]で示すオキサゾリドン環
含有エポキシ樹脂において、Xが、式
【0047】
【化12】
【0048】[式中、R5はジイソシアネートからイソ
シアネート基を除いた残基であり、R6はジオールから
水酸基を除いた残基であり、qは1〜10の整数であ
る。]で示す構造を有するものである。
【0049】このオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の
具体例及び製造方法については、前出の特願平10−3
05294号第0012〜0047段落に記載されてい
る。
【0050】所望の場合、エポキシ樹脂は、エポキシ基
とジオールまたはジカルボン酸との反応を利用して鎖延
長することができる。この目的に使用し得るジオールと
しては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリ
コール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオールなどのアルキレンジ
オール;1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シ
クロヘキサンジオールなどの脂環式ジオール;ビスフェ
ノールA、ビスフェノールF、レゾルシノール、ハイド
ロキノン等の芳香族ジオール;ポリカルボン酸またはそ
の無水物とポリオールとのエステル化反応により得られ
るポリエステルジオール、ポリオールを開始剤とするカ
プロラクトンの重合反応によって得られるポリカプロラ
クトンジオール等のポリエステルジオール(分子量30
0〜3000);およびポリオキシエチレングリコー
ル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテト
ラメチレングリコール、それらのランダムまたはブロッ
ク共重合体などのポリエーテルジオール(分子量300
〜3000)が挙げられる。
【0051】鎖延長はコハク酸、アジピン酸、アゼライ
ン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、C18〜C20の長鎖脂
肪族ジカルボン酸、末端カルボキシル基変性ブタジエン
−アクリロニトリル共重合体等の脂肪族ジカルボン酸、
またはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香
族ジカルボン酸を使用して実施してもよい。
【0052】鎖延長をすることなくエポキシ基の部分的
開環を望む場合には、p−ブタノール、ブチルセロソル
ブ、オクタノール、ステアリルアルコール等の脂肪族1
級アルコール、またはキシレノール、p−t−ブチルフ
ェノール、p−ノニルフェノール等のモノオールや、酢
酸、乳酸、酪酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン
酸、ラウリン酸、ステアリン酸、1,2−ヒドロキシス
テアリン酸等の脂肪族モノカルボン酸、または安息香
酸、1−ナフトエ酸のような芳香族モノカルボン酸を使
用することができる。
【0053】モノオールおよびモノカルボン酸によって
エポキシ樹脂(a)のエポキシ基を部分的に開環した場
合は鎖延長されないが、第1の活性水素化合物(b)と
してジオール/モノオールの組合せ、またはジカルボン
酸/モノカルボン酸の組合せを使用することにより、鎖
延長された出発樹脂の末端エポキシ基を部分的に開環す
ることができる。この場合モノオールおよびモノカルボ
ン酸は鎖延長停止剤として作用する。
【0054】次にエポキシ樹脂(a)と第1の活性水素
化合物(b)との反応生成物中に残っているエポキシ基
を利用し、イオン性基を導入し得る第2の活性水素化合
物(c)との反応によって所望極性のイオン性基を導入
することができる。
【0055】第2の活性水素化合物(c)としては、一
般に、1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩を反
応させる。その例としては、ブチルアミン、オクチルア
ミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチル
アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、
N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸
塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、アミノ
エチルエタノールアミンのケチミン、ジエチレントリア
ミンのジケチミンなどの1級アミンをブロックした2級
アミンがある。アミン類は複数のものを併用して用いて
もよい。
【0056】1級アミンを反応させるときは2当量であ
るためエポキシ樹脂の鎖延長剤として働らき、エポキシ
樹脂を高分子量化させる。エポキシ基と反応させるこれ
らのアミンは、エポキシ樹脂のエポキシ基とほぼ当量で
使用するのが好ましい。
【0057】得られたカチオン化樹脂のGPC分析によ
る数平均分子量は600〜4000が好ましい。数平均
分子量が600未満であると造膜性が不十分であり、4
000を越えると乳化、水溶化が困難である。また、ア
ミン当量としては0.3〜4.0meq/gが好まし
い。アミン当量が0.3meq/g未満であると乳化、
水溶化が困難であり、4.0meq/gを越えると造膜
後、得られる塗膜の耐水性が不十分となる。
【0058】高い平滑性、高耐食性、高つきまわり性を
達成するためには、(a)と(b)と(c)との反応生
成物であるカチオン化樹脂は、固形分として(a)成分
を35〜95重量%、さらに好ましくは45〜85重量
%含有することが好ましい。
【0059】硬化剤とは、カチオン化樹脂を架橋するこ
とによって電着塗料組成物の被膜を硬化させる成分をい
う。硬化剤は電着塗料組成物に通常用いられるもので良
い。一般には、メラミン樹脂やポリイソシアネートが含
まれる。上述のイソシアネート化合物もポリイソシアネ
ートに含まれる。
【0060】ポリイソシアネートの具体例には、上述の
イソシアネート化合物の他に、2,5−もしくは2,6
−ビス(イソシアナートメチル)ビシクロ[2.2.
1]ヘプタン(NBDI)、1,3−ジイソシアナート
メチルシクロヘキサン(水添XDI)、4,4’−メチ
レンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MD
I)等が挙げられる。
【0061】好ましい硬化剤はブロック化ポリイソシア
ネートである。ブロック化ポリイソシアネートとはブロ
ック化剤でイソシアネート基が保護されたポリイソシア
ネートをいう。
【0062】ブロック化剤とはイソシアネートが室温で
反応するのを防止するために、イソシアネート中のイソ
シアネート基と一時的に反応させる低分子量化合物をい
う。一般に、ブロック化剤は加熱下イソシアネート基か
ら脱離する。
【0063】ブロック化剤はこの分野では良く知られて
いるものを用いることができる。例えば、フェノール、
クレゾール、キシレノール、クロロフェノールおよびエ
チルフェノールなどのフェノール系ブロック剤;ε−カ
プロラクタム、δ−パレロラクタム、γ−ブチロラクタ
ムおよびβ−プロピオラクタムなどのラクタム系ブロッ
ク剤;アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンなどの
活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアル
コール、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジ
アセトンアルコール、乳酸メチルおよび乳酸エチルなど
のアルコール系ブロック剤;ホルムアルドキシム、アセ
トアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキ
シム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシ
ムなどのオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、
ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオ
フェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノ
ールなどのメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベ
ンズアミドなどの酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミ
ドおよびマレイン酸イミドなどのイミド系ブロック剤;
イミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾ
ール系ブロック剤;ピラゾール系ブロック剤;及びトリ
アゾール系ブロック剤等を挙げることができる。このう
ち、低温硬化(160℃以下)を望む場合には、ラクタ
ム系およびオキシム系ブロック剤を使用するのが良い。
【0064】顔料成分 電着塗料組成物には一般に塗膜に色彩や隠蔽及び耐食性
を付与するため顔料を含有させる。本発明の電着塗料組
成物にも通常用いられる顔料を含有させる。かかる顔料
の例としては、チタンホワイト、カーボンブラック及び
ベンガラのような着色顔料、カオリン、タルク、ケイ酸
アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ、クレー及びシ
リカのような体質顔料、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸
アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シア
ン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モ
リブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデ
ン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニウムのよ
うな防錆顔料等が挙げられる。
【0065】顔料を電着塗料組成物の成分として用いる
場合、一般に顔料を予め高濃度で水性媒体に分散させて
ペースト状にする。顔料は粉体状であるため、電着塗料
組成物で用いる低濃度均一状態に、一工程で分散させる
のは困難だからである。一般にこのようなペーストを顔
料分散ペーストという。
【0066】顔料分散ペーストは、顔料を顔料分散用樹
脂と共に水性媒体中に分散させて調製する。顔料分散樹
脂としては、一般に、カチオン性又はノニオン性の低分
子量界面活性剤や4級アンモニウム基及び/又は3級ス
ルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂等のようなカチ
オン性重合体を用いる。水性媒体としてはイオン交換水
や少量のアルコール類を含む水等を用いる。一般に、顔
料は10〜30重量部、水性媒体は70〜90重量部の
固形分比で用いる。
【0067】これらの成分を混合した後、混合物を顔料
が所定の均一な粒径となるまで分散させる。分散には通
常分散装置を用いる。例えば、ボールミルやサンドグラ
インドミル等を用いる。顔料分散ペーストに含まれる顔
料の粒径は、通常15μ以下である。
【0068】電着塗料組成物 本発明の電着塗料組成物は、上に述べたカチオン化樹
脂、硬化剤、顔料分散ペースト、及びハジキ防止剤を中
和剤を含む水性媒体中に分散させることによって調製さ
れる。中和剤は塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸
のような無機酸または有機酸である。その量は少なくと
も20%、好ましくは30〜60%の中和率を達成する
量である。
【0069】ハジキ防止剤は、バインダー成分100重
量部に対して1〜30重量部、好ましくは2〜20重量
部、更に好ましくは3〜15重量部の量で含有させる。
ハジキ防止剤の量が30重量部を上回ると耐食性の低下
や塗膜外観が不良となり、1重量部を下回ると目的とす
るハジキ防止機能や端面防食能付与機能が低下する。
【0070】本発明のポリウレタンを電着塗料組成物用
端面防食能付与剤として用いる場合、このポリウレタン
は電着塗料組成物中に樹脂固形分基準で1〜15重量%
の量で添加する。
【0071】添加量が1重量%を下回ると十分な端面防
食能が得られず、15重量%を越えると得られる塗膜の
外観が悪くなる。
【0072】硬化剤の量は、硬化時にカチオン化樹脂中
の1級、2級又は/及び3級アミノ基、水酸基等の活性
水素含有官能基と反応して良好な硬化塗膜を与えるのに
十分でなければならず、一般に樹脂の硬化剤に対する固
形分重量比で表して一般に90/10〜50/50、好
ましくは80/20〜65/35の範囲である。
【0073】電着塗料組成物は、ジラウリン酸ジブチル
スズ、ジブチルスズオキサイドのようなスズ化合物や、
通常のウレタン開裂触媒を含むことができる。その量は
ブロック化ポリイソシアネートの0.1〜5重量%とす
ることが好ましい。
【0074】電着塗料組成物は、水混和性有機溶剤、界
面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び顔料などの
常用の塗料用添加剤を含むことができる。
【0075】本発明の電着塗料組成物は当業者に周知の
方法で基材に電着塗装され、硬化塗膜を形成する。得ら
れる硬化塗膜は架橋密度が高く、耐候性、耐光性、耐食
性等に優れる。
【0076】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、
「部」および「%」はことわりない限り重量基準によ
る。実施例、比較例中の「エポキシ当量」「アミン当
量」は固形分当りの数値を示す。
【0077】実施例1 ポリウレタン(A)の合成 攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管および滴下ロ
ートを装備した反応器に、4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアナート358.8部、メチルイソブチルケト
ン358.8部およびジブチルチンジラウレート0.2
3部を加え、70℃まで昇温し、均一に溶解させた。こ
の中に、ダイセル社製のポリカーボネートジオール「C
D−205」(数平均分子量500)801.1部をメ
チルイソブチルケトン801.1部に溶解させた溶液を
滴下ロートから1時間かけて滴下した。この間反応温度
を90℃〜100℃になるよう調整した。滴下終了後、
メチルイソブチルケトン580部を加え、90℃で反応
させた。IRによりNCOの吸収が消失したことを確認
し、重量平均分子量32000のポリウレタンジオール
を得た(樹脂固形分40%)。ジオール及びイソシアネ
ート化合物の配合割合を表1に示す。
【0078】実施例2 ポリウレタン(B)の合成 アルコール成分として、ダイセル社製のポリカーボネー
トジオール「CD−205」(数平均分子量500)4
00.0部と三洋化成社製のポリエーテルジオール「B
PE−60」(数平均分子量500)401.1部とを
混合して用いること以外は実施例1と同様にして、重量
平均分子量35000のポリウレタンを得た(樹脂固形
分40%)。ジオール及びイソシアネート化合物の配合
割合を表1に示す。
【0079】実施例3 ポリウレタン(C)の合成 アルコール成分として、ダイセル社製ポリカプロラクト
ンジオール「プラクセル210」(数平均分子量100
0)540部、ブチルセロソルブ59部、IPDI 1
13部、住友バイエル社製IPDIヌレート「ディスモ
ジュール Z4470」24部をジブチルスズジラウレ
ート0.1gを触媒としてMIBK550g中で反応さ
せ、重量平均分子量15万のポリウレタンを得た。
【0080】実施例4 ポリウレタン(D)の合成 アルコール成分としてダイセル社製のポリカプロラクト
ンジオール「プラクセル205」(数平均分子量53
0)136.2部、4,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアナート59.7部、日本ポリウレタン社製ポリメリ
ックMDI 4.0部、KING社製ジルコニウムキレ
ート化合物「K−KAT4205」1.9部およびMI
BK 270部を混合して用いること以外は実施例1と
同様にして、重量平均分子量25万のポリウレタンを得
た。
【0081】比較例1 ポリウレタンジオール(E)の合成 ポリカーボネートジオールの量を900.2部とし、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートの量を3
82.7部とすること以外は実施例1と同様にして、重
量平均分子量20000のポリウレタンジオールを得
た。ジオール及びイソシアネート化合物の配合割合を表
1に示す。
【0082】
【表1】 a:ダイセル化学工業社製カーボネートジオール(プラ
クセルCD205) b:三洋化成社製ポリエーテルジオール(BPE60) c:ダイセル化学工業社製ポリカプロラクトンジオール
(プラクセル205) d:ダイセル化学工業社製ポリカプロラクトンジオール
(プラクセル210) e:日本ポリウレタン社製ポリメリックMDI(MR2
00S) f:住友バイエルウレタン社製IPDIヌレート(ディ
スモジュールZ4470) g:KING社製ジルコニウムキレート化合物(K−K
AT4205)
【0083】製造例1 顔料分散樹脂の調製 攪拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装備した
反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以下、IP
DIと略す)222.0部を入れ、メチルイソブチルケ
トン(以下、MIBKと略す)39.1部で希釈した
後、ジブチル錫ジラウレート0.2部を加えた。その
後、50℃に昇温した後、2−エチルヘキサノール(以
下、2EHと略す)131.5部を攪拌下、乾燥窒素雰
囲気中で2時間かけて滴下した。適宜、冷却することに
より、反応温度を50℃に維持した。その結果、2−エ
チルヘキサノールハーフブロック化IPDI(樹脂固形
分90.0%)が得られた。
【0084】他方、油化シェルエポキシ社製ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂「エピコート828」(エポキシ
当量182〜194)376.0部、ビスフェノールA
114.0部およびオクチル酸29.2部を攪拌装置、
冷却管、窒素導入管および温度計を装備した反応容器に
仕込んだ。反応混合物を窒素雰囲気中130℃に加熱
し、ジメチルベンジルアミン0.15部を添加して、発
熱反応のもと170℃で1時間反応させることにより、
エポキシ当量649を有するビスフェノールA型エポキ
シ樹脂を得た。
【0085】140℃に冷却した後、2−エチルヘキサ
ノールハーフブロック化IPDI396.8部を加え
た。混合物を140℃に1時間保持し、反応させた。S
P値10.6の疎水性エポキシ樹脂を得た。エチレング
リコールモノブチルエーテル323.2部を加えて希釈
した後、反応混合物を100℃に冷却した。次に、アミ
ノエチルエタノールアミンのメチルイソブチルモノケチ
ミンの78.3%MIBK溶液188.8部を加えた。
【0086】この混合物を110℃で1時間保温した
後、90℃まで冷却し、脱イオン水360.0部を加え
て、更に30分間攪拌を継続することにより、前記エポ
キシ樹脂のケチミン化保護基を1級アミノ基に転化し
た。この混合物から過剰の水とMIBKを減圧下で除去
した後、エチレングリコールモノブチルエーテル58
8.1部で希釈して、1級アミノ基を有する顔料分散樹
脂ビヒクルとした(樹脂固形分50%)。
【0087】製造例2 顔料分散ペーストの調製 サンドグラインドミルに製造例1で得た顔料分散樹脂を
120部、カーボンブラック2.0部、カオリン10
0.0部、二酸化チタン80.0部、リンモリブデン酸
アルミニウム18.0部およびイオン交換水を入れ、粒
度10μm以下になるまで分散して、鉛フリー顔料分散
ペーストを得た(固形分45%)。
【0088】製造例3 電着塗料用カチオン性樹脂の合成 攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下ロート
を装備したフラスコに、2,4−/2,6−トリレンジ
イソシアネート(重量比=8/2)92部、MIBK9
5部およびジブチル錫ジラウレート0.5部を仕込ん
だ。反応混合物を攪拌下、メタノール21部を滴下し
た。反応は、室温から始め、発熱により60℃まで昇温
した。その後、30分間反応を継続した後、エチレング
リコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル57部を滴
下ロートより滴下した。更に、反応混合物に、ビスフェ
ノールA−プロピレンオキシド5モル付加体42部を添
加した。反応は主に、60〜65℃の範囲で行い、IR
スペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく
吸収が消失するまで継続した。
【0089】次に、ビスフェノールAとエピクロルヒド
リンから既知の方法で合成したエポキシ当量188のエ
ポキシ樹脂365部を反応混合物に加えて、125℃ま
で昇温した。その後、ベンジルジメチルアミン1.0部
を添加し、エポキシ当量410部になるまで130℃で
反応させた。
【0090】続いて、ビスフェノールA87部を加えて
120℃で反応させたところ、エポキシ当量は1190
となった。その後、反応混合物を冷却し、ジエタノール
アミン11部、N−エチルエタノールアミン24部およ
びアミノエチルエタノールアミンのケチミン化物の79
重量%MIBK溶液25部を加え、110℃で2時間反
応させた。その後、MIBKで不揮発分80%となるま
で希釈し、ガラス転移温度が22℃のカチオン性樹脂
(樹脂固形分80%)を得た。
【0091】製造例4 電着塗料用硬化剤の合成 製造例3と同様のフラスコに、2,5−および2,6−
ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘ
プタン(三井東圧社製、イソシアネート当量103)7
23部、MIBK333部およびジブチル錫ジラウレー
ト0.01部を仕込んだ。反応混合物を70℃まで昇温
した。反応混合物が均一に溶解した後、メチルエチルケ
トオキシム610部を2時間かけて滴下した。滴下終了
後、反応温度を70℃に保持したまま、IRスペクトル
の測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失
するまで反応を継続することにより、メチルエチルケト
オキシムブロック化硬化剤が得られた(樹脂固形分80
%)。
【0092】実施例5 電着塗料組成物の調製及び評価 製造例3のカチオン性樹脂と、製造例4の硬化剤および
実施例1のポリウレタン(A)を固形分配合比70:2
0:10で均一に混合した。その後、エチレングリコー
ルモノ−2−エチルヘキシルエーテルを、固形分に対し
て3%になるように添加した。これに、氷酢酸を加え
て、中和率43.0%となるように中和し、更にイオン
交換水を加えてゆっくり希釈した。固形分が36.0%
となるように、減圧下でMIBKを除去することによ
り、メインエマルションとした。
【0093】このメインエマルション1696.7部お
よび製造例2で得た顔料分散ペースト420.2部を、
イオン交換水1876.6部およびジブチル錫オキサイ
ド6.5部と混合して、固形分20.0重量%のカチオ
ン性電着塗料組成物を調製した。電着塗料中の顔料含有
量と全樹脂含有量の固形分重量比は1/4.5であっ
た。
【0094】上記で調製したカチオン電着塗料組成物の
耐突沸油はじき性および目視による塗膜外観を評価し
た。結果を表3に示す。
【0095】評価手順 (A)耐突沸油ハジキ性 得られたカチオン電着塗料組成物を、リン酸亜鉛処理し
た冷延鋼板(寸法:70×150mm)に乾燥膜厚20
μmとなるように電着させた。この電着塗装した未硬化
塗膜上にアルミニウム製の小容器を配置し、その容器内
に水と潤滑油とを入れて170℃で10分間塗装板と共
に加熱した。その後、加熱によりはじいた潤滑油による
ハジキ跡を目視で調べ、以下の基準で評価した。
【0096】評価基準: ○:ハジキ跡がほとんど観察されない。 ×:塗膜全体にハジキ後が観察される。
【0097】(B)塗膜外観 耐突沸油ハジキ性試験で得た塗装板のハジキ跡以外の塗
膜の部分の外観を、以下の基準により目視で評価した。
【0098】評価基準:塗膜の平面平滑性(うねりの程
度) ○:良好 ×:不良
【0099】実施例6 電着塗料組成物の調製及び評価 ポリウレタン(A)の代わりに実施例2のポリウレタン
(B)を用いること以外は実施例5と同様にしてカチオ
ン電着塗料組成物を調製し、評価した。結果を表3に示
す。
【0100】実施例7 電着塗料組成物の調製及び評価 ポリウレタン(A)の代わりに実施例3のポリウレタン
(C)を用いること以外は実施例5と同様にしてカチオ
ン電着塗料組成物を調製し、評価した。結果を表3に示
す。
【0101】実施例8 電着塗料組成物の調製及び評価 ポリウレタン(A)の代わりに実施例4のポリウレタン
(D)を用いること以外は実施例5と同様にしてカチオ
ン電着塗料組成物を調製し、評価した。次いで、このカ
チオン電着塗料組成物の端面防食性を評価した。結果を
表3に示す。
【0102】評価手順 (C)端面防食性 得られたカチオン電着塗料組成物を、リン酸亜鉛処理し
たカッターナイフ刃に乾燥塗膜が20μになるように電
着した後、170℃で10分間焼きつけて、硬化塗膜を
形成した。その後、この塗装されたカッターナイフ刃に
対しJIS Z−2371に基づく塩水噴霧テストを1
68時間実施し、刃先に生じた錆の個数を数え、以下の
基準で評価した。
【0103】評価基準:
【表2】
【0104】比較例2 電着塗料組成物の調製及び評価 ポリウレタン(A)の代わりに比較例1のポリウレタン
(E)を用いること以外は実施例5と同様にしてカチオ
ン電着塗料組成物を調製した。次いで、実施例8と同様
にしてこのカチオン電着塗料組成物を評価した。結果を
表3に示す。
【0105】
【表3】
【0106】
【発明の効果】ハジキ防止効果を十分に発現させる量で
電着塗料組成物に含有させた場合でも、得られる電着塗
膜の外観が損なわれないハジキ防止剤、硬化塗膜の性能
に悪影響を与えない端面防食能付与剤、及びこれらを含
有する電着塗料組成物が提供された。
フロントページの続き (72)発明者 仲野 伸司 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 山田 光夫 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 迎 孝洋 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 林 泰弘 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4J034 DA01 DB04 DC02 DF01 DF02 DF11 DF12 DF16 DF19 DF20 DF21 DF22 DG02 DG03 DG08 DG10 DG12 DG14 DG15 DG16 HA01 HA06 HA07 HC01 HC02 HC03 HC11 HC12 HC17 HC22 HC46 HC52 HC61 HC63 HC64 HC67 HC71 HC73 HD01 HD07 MA24 QA05 QB17 QB19 RA07 4J038 DB151 DB381 DG052 DG122 DG132 DG262 DG302 EA011 KA03 KA08 MA08 MA10 MA14 NA03 PA04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中和剤を含む水性媒体中に分散された、
    バインダー成分と顔料成分とを含有する電着塗料組成物
    において、 下記の式で示される(1)〜(4)からなる群から選択
    されるいずれか一つの構造を有し数平均分子量300〜
    3000のジオールとイソシアネート化合物とを反応さ
    せて得られる、重量平均分子量3万〜30万のポリウレ
    タンを1種又は2種以上含んでいることを特徴とする電
    着塗料組成物: (1)式 【化1】 [式中、nは2〜8の整数であり、wは1〜12の整数
    である。]で示す構造のポリアルキレンポリカーボネー
    トジオール; (2)式 【化2】 [式中、xはそれぞれ独立して1〜10の整数であ
    る。]で示す構造のビスフェノールAのエチレンオキシ
    ド付加物; (3)式 【化3】 [式中、R1及びR2は独立して炭素数1〜18のアルキ
    レン基であり、yは1〜10の整数である。]で示す構
    造のポリエステルジオール;及び (4)式 【化4】 [式中、R3は炭素数2〜15のアルキレン基であり、
    m及びnは2〜10の整数であり、zはそれぞれ独立し
    て1〜25の整数である。]で示す構造のアルキレンジ
    オールのラクトン付加物。
  2. 【請求項2】 前記ポリウレタンが、バインダー成分1
    00重量部に対して1〜20重量部の量で含有される、
    請求項1記載の電着塗料組成物。
  3. 【請求項3】 前記バインダー成分がカチオン化樹脂と
    硬化剤とを含む硬化性樹脂組成物であって、該カチオン
    化樹脂が、(a)式 【化5】 [式中、R4はジエポキシドからエポキシ基を除いた残
    基であり、Xはポリウレタンジイソシアネートからイソ
    シアネート基を除いた残基であり、そしてpは1〜10
    0の整数である。]で示すオキサゾリドン環含有エポキ
    シ樹脂において、Xが、式 【化6】 [式中、R5はジイソシアネートからイソシアネート基
    を除いた残基であり、R6はジオールから水酸基を除い
    た残基であり、qは1〜10の整数である。]で示す構
    造を有するオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂と(b)
    モノオール、ジオール、モノカルボン酸およびジカルボ
    ン酸からなる群から選択されるる少なくとも1種の第1
    の活性水素化合物とを反応せしめてエポキシ基の一部を
    開環し、次いで、得られた反応生成物と(c)イオン性
    基を導入し得る第2の活性水素化合物とを反応せしめる
    ことにより、残りのエポキシ基を開環することによって
    得られるオキサゾリドン環含有水性樹脂である、請求項
    1記載の電着塗料組成物。
  4. 【請求項4】 前記硬化剤がブロック化ポリイソシアネ
    ートである請求項3記載の電着塗料組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4記載のポリウレタ
    ン又は2種以上の前記ポリウレタンからなる電着塗料組
    成物用ハジキ防止剤。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項4記載のポリウレタ
    ンを1種又は2種以上電着塗料組成物に含有させる工程
    を包含する、電着塗料組成物にハジキ防止性を付与する
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項4記載のポリウレタ
    ン又は2種以上の前記ポリウレタンからなる電着塗料組
    成物用端面防食能付与剤。
  8. 【請求項8】 請求項1から請求項4記載のポリウレタ
    ンを1種又は2種以上電着塗料組成物に含有させる工程
    を包含する、電着塗料組成物に端面防食能を付与する方
    法。
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