JPWO2004065504A1 - 粉体塗料、塗膜形成方法及び積層体 - Google Patents

粉体塗料、塗膜形成方法及び積層体 Download PDF

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Abstract

本発明は、プライマーを用いたり基材の表面粗面化処理を行ったりしなくても、基材との接着性及び表面平滑性が良好である塗膜を得ることができる粉体塗料を提供する。 フッ素樹脂からなる粉体塗料であって、上記フッ素樹脂は、融点が150〜250℃、融解ピークにおける融点の半価幅が30℃以上であるものであることを特徴とする粉体塗料である。

Description

本発明は、粉体塗料、塗膜形成方法及び積層体に関する。
フッ素樹脂は、耐薬品性、耐食性等に優れるものであるので、化学薬品等の浸食から基材を保護する等の目的で、基材上にフッ素樹脂からなる膜を形成させる用途に用いられることがある。
フッ素樹脂は、このように膜を形成させる場合、基材の様々な形状に合わせて施工することができるとともに、施工時に廃棄分が少なく、取り扱いが容易である等の点から、粉体塗料として用いることが多い。
粉体塗料は、通常、静電粉体塗装、回転成形等の方法を用いて基材に塗布し、適宜加熱処理を行うことにより、塗膜を形成する。以下において、塗膜を得るために基材に粉体塗料を塗布し、適宜加熱処理を行うことを「塗装する」という。
フッ素樹脂は、一般に、基材との接着性が低いものであるので、フッ素樹脂の粉体塗料を塗装して得られる塗膜と基材との接着性を向上させるために、基材上にサンドブラスト等の表面粗面化処理を施したり、フッ素樹脂とポリフェニレンスルフィド等の樹脂とを混合して塗膜を形成したりすることが知られている(例えば、特公昭52−42174号公報参照。)。
基材との接着性が良好であるフッ素樹脂の塗膜を得るためには、また、基材上にプライマーを塗布してプライマー層を形成したのち、フッ素樹脂の粉体塗料を塗装することが行われていた。
プライマーを用いて得られるフッ素樹脂の塗膜としては、芳香族系樹脂を添加したフッ素樹脂を基材上に塗装して得られたプライマー層上に更にフッ素樹脂の粉体塗料を塗装して得られるコーティング製品が開示されている(例えば、特開平8−300560号公報参照。)。
しかしながら、プライマーを用いると、プライマー中の不純物が時間とともに溶出したり、用途によって色、模様等の基材自体の表面外観を用いることができないことがあり、また、作業が煩雑になることがあるという問題があった。そこで、プライマーを用いなくても基材との接着力が優れた塗膜を与え得るフッ素樹脂の粉体塗料が望まれていた。
フッ素樹脂の粉体塗料としては、回転成形用のエチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体、特定の粘度、粒径及び比重を有するエチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体等が開示されている(例えば、特開平5−271508号公報及び特開平11−269274号公報参照。)。これらのフッ素樹脂の粉体塗料は、実施例において、プライマーを用いずに基材上に塗装されている。
フッ素樹脂としては、また、テトラフルオロエチレン系共重合体が開示されている(例えば、国際公開第98/58973号パンフレット参照)。このテトラフルオロエチレン系共重合体は、粉末にして静電塗装等により基材に積層し得ることが記載されている。
フッ素樹脂としては、更に、押出成形時の成形加工性を向上させたエチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体をコーティングにより成形し得ることが記載されている(例えば、特開2000−204205号公報参照。)。
しかしながら、これらのフッ素樹脂の粉体塗料やフッ素樹脂の粉末は、プライマーを用いずに基材上に塗装した場合や基材上にサンドブラスト等の表面粗面化処理を行わずに塗装した場合、塗膜と基材との接着性が不充分であるという問題があった。
発明の要約
本発明の目的は、上記現状に鑑み、プライマーを用いたり基材の表面粗面化処理を行ったりしなくても、基材との接着性及び表面平滑性が良好である塗膜を得ることができる粉体塗料を提供することにある。
本発明は、フッ素樹脂からなる粉体塗料であって、上記フッ素樹脂は、融点が150〜260℃、融解ピークにおける融点の半価幅が30℃以上であるものであることを特徴とする粉体塗料である。
本発明は、フッ素樹脂からなる粉体塗料であって、上記フッ素樹脂から得られる測定用塗膜の収縮率が2%以下であることを特徴とする粉体塗料である。
本発明は、上記粉体塗料を用いて塗膜を形成するための塗膜形成方法であって、上記粉体塗料を基材に塗布してフッ素樹脂の融点以上である加熱温度で加熱処理を行う工程を有するものであることを特徴とする塗膜形成方法である。
本発明は、基材と、上記基材上に上記粉体塗料を塗布して加熱処理を行うことにより得られた塗膜とからなることを特徴とする積層体である。
発明の詳細な開示
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の粉体塗料は、フッ素樹脂からなるものである。
本発明の粉体塗料は、フッ素樹脂からなるものであるとともに、下記条件(1)及び/又は下記条件(2)を充足するものである。
条件(1)上記フッ素樹脂は、融点が150〜260℃、融解ピークにおける融点の半価幅が30℃以上であるものである。
条件(2)上記フッ素樹脂から得られる測定用塗膜の収縮率が2%以下である。
本発明の粉体塗料は、条件(1)か条件(2)の少なくとも何れかを充足するものであればよく、条件(1)と条件(2)とを両方とも充足するものであってもよい。
上記条件(1)において、上記融点が150℃未満であると、用途によっては耐熱性が不充分である。260℃を超えると、後述の加熱温度を低くすることができず上記粉体塗料を塗布し得る基材の選択範囲を狭めることになるので好ましくない。上記フッ素樹脂の融点は、155℃が好ましい下限であり、160℃がより好ましい下限であり、230℃が好ましい上限であり、220℃がより好ましい上限であり、200℃が更に好ましい上限である。
本明細書において、上記融点は、示差走査熱量計〔DSC〕(セイコー社製)を用いて以下の方法により測定して得られた値である。即ち、10℃/分の速度で昇温した時のフッ素樹脂の融解ピークを記録し、ベースラインに基づいて極大値を検出する。ベースラインと平行な線が融解ピークと明瞭な1点で接する場合、その点を極大値とし、上記極大値における温度を融点とする。上記平行線と融解ピークとの接点が明瞭でない場合、およそ極大値をとると思われる点を仮点とし、この仮点が示すピーク高さの半分の値でベースラインと平行な線を引き、この線が上記融解ピークと交差する2点間の中央点を通りベースラインと垂直な線と融解ピークとが交わる点の温度を融点とする。
上記条件(1)において、上記粉体塗料は、上記フッ素樹脂の融解ピークにおける融点の半価幅が30℃以上であるものである。上記「融解ピークにおける融点の半価幅」は、上記融点の測定方法において、上記極大値の半分の値又は極大値をとると思われる点が示すピーク高さの半分の値でベースラインと平行な線を引いたときに融解ピークと交差する2点間の温度の差である。上記粉体塗料は、上記フッ素樹脂の融解ピークにおける融点の半価幅が上記範囲内であると、得られる塗膜と基材との接着性が良好であるので好ましい。
上記条件(2)は、上述のように「フッ素樹脂から得られる測定用塗膜の収縮率が2%以下である」であるが、2%を超えると、得られる塗膜の接着性及び表面平滑性が低下するので好ましくない。上記収縮率は、得られる塗膜の接着性及び表面平滑性の点で、1%以下が好ましい。上記収縮率は、0%であることが好ましいが、上記範囲内であれば、得られる塗膜の接着性及び表面平滑性が良好であり、実用上特に問題がない。
本明細書において、上記収縮率は、以下の収縮率の測定方法において得られた塗膜(本明細書において、「測定用塗膜」という。)について測定することにより得られる値である。即ち、表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であるSUS製基材の表面に耐熱性を有する離型剤(例えば、ダイキン工業社製ダイフリー)を塗布し、加熱処理後の膜厚が150μmとなるように上記フッ素樹脂の粉末をタテ3cm×ヨコ3cmの区画に静電塗装する。その後、上記フッ素樹脂の融点より60℃高い温度で30分間加熱して塗膜を得る。得られた塗膜を基材ごと約98℃の熱水中に約12時間浸漬することにより、外力をかけること無く基材から塗膜を剥離し、測定用塗膜を得る。得られた測定用塗膜のタテとヨコの長さを測定し、それらを平均して収縮率を算出する。
本発明の粉体塗料が上記条件(1)を充足するものである場合、上記条件(2)を充足するものである場合、及び、上記条件(1)と上記条件(2)とを充足するものである場合に共通する事項として以下に説明する。
上記フッ素樹脂は、フッ素含有単量体に由来する単量体単位を有する重合体からなるものである。上記フッ素樹脂としては、フッ素含有単量体に由来する単量体単位とフッ素非含有単量体に由来する単量体単位とを有する重合体からなるものであってよい。上記フッ素含有単量体及びフッ素非含有単量体は、それぞれ1種又は2種以上であってよい。本明細書において、上記「単位」は、重合体の分子構造の一部分であって、単量体に由来する部分を意味する。例えば、後述のテトラフルオロエチレン単位は、−CF−CF−で表され、後述のエチレン単位は、−CH−CH−で表される。
上記フッ素樹脂は、下記一般式(I)
CX =CY−Rf−Z (I)
(式中、X、Y及びZは、同一又は異なって、水素原子若しくはフッ素原子を表し、Rfは、炭素数1〜40のアルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、エーテル結合を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基、又は、エーテル結合を有する炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基を表す。)で表される単量体(a)に由来する単量体(a)単位を有するものであってもよい。
上記単量体(a)は、下記一般式(II)
CF=CF−Rf (II)
(式中、Rfは、炭素数1〜40のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜40のパーフルオロオキシアルキル基、エーテル結合を有する炭素数1〜40のパーフルオロアルキル基、又は、エーテル結合を有する炭素数1〜40のパーフルオロオキシアルキル基を表す。)で表される単量体(a1)、上記単量体(a)のうちフッ素原子を有するものであって、上記単量体(a1)とは異なる単量体(以下、「単量体(a2)」ということがある。)、及び、下記一般式(III)
CH=CH−Rf (III)
(式中、Rfは、炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のオキシアルキル基、エーテル結合を有する炭素数1〜40のアルキル基、又は、エーテル結合を有する炭素数1〜40のオキシアルキル基を表す。)で表される単量体(a3)を含むものである。上記単量体(a3)は、上記単量体(a)のうち、フッ素原子を有しないものである。
本明細書において、上述の「フッ素含有単量体」は、炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部分をフッ素原子に置換してなる不飽和化合物である。上記フッ素含有単量体としては、例えば、テトラフルオロエチレン、上記単量体(a1)等のパーフルオロ単量体;上記単量体(a2)、フッ化ビニリデン、トリクロロフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、ヘキサフルオロイソブチレン等のその他のフルオロ単量体(上記パーフルオロ単量体を除く。)が挙げられる。
本明細書において、上記「フッ素非含有単量体」は、炭素−炭素二重結合を有し、フッ素原子を有しない単量体である。上記フッ素非含有単量体としては、例えば、上述の単量体(a3)、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。上記単量体(a3)としては、例えば、炭素数が5以下であるものが好ましく、そのようなものとしては、エチレン〔Et〕、プロピレン〔Pr〕、1−ブテン、2−ブテン等が挙げられる。
本明細書において、上述の一般式(I)におけるRf、及び、後述の一般式(IV)におけるRfとしての「含フッ素オキシアルキレン基」、上述の一般式(II)におけるRfとしての「パーフルオロオキシアルキル基」、並びに、上述の一般式(III)におけるRfとしての「オキシアルキル基」は、炭素−炭素二重結合を構成する炭素原子に結合している酸素原子を有するものである。
本明細書において、上記Rf、Rf、Rf及びRfについて「エーテル結合を有する」とは、上記Rf、Rf、Rf及びRfを構成する主鎖中に−C−O−C−で表される結合を有することを意味する。上記−C−O−C−で表される結合を構成する酸素原子は、上記Rf、Rf、Rf及びRfを構成する主鎖中に1個又は2個以上存在するものであってよい。従って、例えば、上記一般式(I)におけるRfとして「エーテル結合を有する炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基」は、上記一般式(I)における炭素−炭素二重結合を構成する炭素原子に結合している酸素原子と、Rfを構成する主鎖中に−C−O−C−で表される結合を構成する酸素原子とを有する。
上記フッ素樹脂としては、フッ素樹脂の特性を活かす点で、テトラフルオロエチレン単位を有するテトラフルオロエチレン系共重合体からなる樹脂が好ましい。上記テトラフルオロエチレン系共重合体としては、テトラフルオロエチレン単位及びエチレン単位を有するテトラフルオロエチレン/エチレン共重合体が好ましい。
上記テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体は、得られる塗膜と基材との接着性が良好である点で、上述の単量体(a)に由来する単量体(a)単位を有するものが好ましい。上記テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体は、1種又は2種以上の上記単量体(a)に由来する単量体(a)単位を有するものであってよい。上記一般式で表される単量体(a)としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)、パーフルオロブチルエチレン等が挙げられる。
上述のテトラフルオロエチレン/エチレン共重合体において、上記単量体(a)は、得られる塗膜の接着性を良好にし得る点、及び、用途によっては塗膜の透明性、柔軟性等が向上する点で、上述の単量体(a1)と上述の単量体(a2)とを併用するものが好ましい。
上記テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体において、上記単量体(a)は、ヘキサフルオロプロピレンからなるものが好ましい。上記単量体(a)は、ヘキサフルオロプロピレンであってもよいし、ヘキサフルオロプロピレンと1種又は2種以上のヘキサフルオロプロピレンとは異なる上記単量体(a)とであってもよい。
上記テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体は、得られる塗膜と基材との接着性が良好である点で、テトラフルオロエチレン単位35〜81モル%、エチレン単位6〜50モル%、及び、単量体(a)単位5〜59モル%からなるものが好ましい。上記テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体は、テトラフルオロエチレン単位35〜81モル%、エチレン単位6〜50モル%、及び、単量体(a)単位5モル%以上、15モル%未満を有する共重合体(以下、「テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(2)」ということがある。)であってもよいが、得られる塗膜の表面平滑性の点で、テトラフルオロエチレン単位35〜81モル%、エチレン単位6〜50モル%、及び、単量体(a)単位15〜59モル%を有する共重合体(以下、「テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(1)」ということがある。)が好ましい。
本明細書において、各種単量体単位についての各モル%は、共重合体中に付加された単量体のモル数に比例するものであり、共重合体の分子鎖を構成する単量体単位の合計個数のうち、後述する接着機能性官能基含有単量体に由来する単量体単位の個数を除いた個数を100モル%とし、この100モル%中に占める各単量体単位の個数の割合である。
上記フッ素樹脂としては、また、得られる塗膜と基材との接着性を良好にし得る点、並びに、用途によっては耐食性及び耐熱性に優れる点で、テトラフルオロエチレン単位及び上記単量体(a1)に由来する単量体(a1)単位を有する共重合体(以下、「パーフルオロ系共重合体」ということがある。)からなる樹脂であってもよい。
上記単量体(a1)は、フッ素樹脂の特性を活かす点で、ヘキサフルオロプロピレンからなるものが好ましい。上記単量体(a1)は、ヘキサフルオロプロピレンであってもよいし、ヘキサフルオロプロピレンと1種又は2種以上のヘキサフルオロプロピレンとは異なる上記単量体(a1)とであってもよい。
上記単量体(a1)は、また、得られる塗膜の耐熱性の点で、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなるものが好ましい。上記単量体(a1)は、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)であってもよいし、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)と1種又は2種以上のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)とは異なる上記単量体(a1)とであってもよい。上記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、上記一般式(II)におけるRfとしてのパーフルオロオキシアルキル基の炭素数が1〜10であるものが好ましく、1〜4であるものがより好ましい。
上記パーフルオロ系共重合体は、得られる塗膜と基材との接着性が良好である点で、テトラフルオロエチレン単位30〜93モル%、及び、上記単量体(a1)単位7〜70モル%からなるものが好ましい。
上記フッ素樹脂は、接着機能性官能基を有するものが好ましい。本明細書において、「接着機能性官能基」とは、上記フッ素樹脂に含まれる重合体の分子構造の一部分であって、上記フッ素樹脂と基材との接着性に関与し得るものを意味する。上記接着機能性官能基は、このような接着性に関与し得るものであれば、官能基と通常称されるもののみならず、エーテル結合等の結合と通常称される構造をも含む概念である。上記接着機能性官能基は、上記フッ素樹脂に含まれる重合体の側鎖に存在しているものであってもよいし、主鎖中に存在しているものであってもよいし、主鎖末端に存在しているものであってもよい。
上記接着機能性官能基としては、フッ素樹脂と基材との接着性に関与し得るものであれば特に限定されず、例えば、カルボニル基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。本明細書において、上記「カルボニル基」は、炭素−酸素二重結合から構成される炭素2価の基であり、−C(=O)−で表されるものに代表される。上記カルボニル基としては特に限定されず、例えば、カーボネート基、ハロゲノホルミル基、ホルミル基、カルボキシル基、エステル結合[−C(=O)O−]、酸無水物結合[−C(=O)O−C(=O)−]、イソシアネート基、アミド基、イミド基[−C(=O)−NH−C(=O)−]、ウレタン結合[−NH−C(=O)O−]、カルバモイル基[NH−C(=O)−]、カルバモイルオキシ基[NH−C(=O)O−]、ウレイド基[NH−C(=O)−NH−]、オキサモイル基[NH−C(=O)−C(=O)−]等の化学構造上の一部分であるもの等が挙げられる。
上記カーボネート基は、−OC(=O)O−R(式中、Rは、有機基を表す。)で表されるものである。上記式中のRである有機基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基、エーテル結合を有する炭素数2〜20のアルキル基等が挙げられ、炭素数1〜8のアルキル基、エーテル結合を有する炭素数2〜4のアルキル基等であることが好ましい。上記カーボネート基としては、例えば−OC(=O)OCH、−OC(=O)OC、−OC(=O)OC17、−OC(=O)OCHCHCHOCHCH等が好ましく挙げられる。
上記アミド基は、下記一般式
Figure 2004065504
(式中、Rは、水素原子又は有機基を表し、Rは、有機基を表す。)で表される基である。
上記アミド基、イミド基、ウレタン結合、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、ウレイド基、オキサモイル基等の窒素原子に結合する水素原子は、例えばアルキル基等の炭化水素基により置換されていてもよい。
上記接着機能性官能基は、導入が容易である点、及び、得られる塗膜が適度な耐熱性と比較的低温での良好な接着性とを有する点で、アミド基、カルバモイル基、水酸基、カルボキシル基、カーボネート基が好ましく、なかでも、カーボネート基がより好ましい。
上記フッ素樹脂は、接着機能性官能基を有するものである場合、上記接着機能性官能基を主鎖末端又は側鎖の何れかに有する重合体からなるものであってもよいし、主鎖末端及び側鎖の両方に有する重合体からなるものであってもよい。主鎖末端に接着機能性官能基を有する場合は、主鎖の両方の末端に有していてもよいし、何れか一方の末端にのみ有していてもよい。上記フッ素樹脂は、主鎖末端に接着機能性官能基を有する重合体からなるものが、機械特性、耐薬品性を著しく低下させない理由で、又は、生産性、コスト面で有利である理由で好ましい。
上記フッ素樹脂は、側鎖に接着機能性官能基を有する重合体からなるものである場合、接着機能性官能基含有単量体を、目的のフッ素樹脂に応じた種類並びに配合のフッ素含有単量体及び/又はフッ素非含有単量体と共重合させることにより得ることができる。本明細書において、上記「接着機能性官能基含有単量体」とは、接着機能性官能基を有する単量体を意味する。上記接着機能性官能基含有単量体はフッ素原子を有していてもよいし有していなくてもよいが、上述したフッ素含有単量体及びフッ素非含有単量体は、接着機能性官能基を有しないものであり、この点で、接着機能性官能基を有する接着機能性官能基含有単量体とは概念上区別される。
接着機能性官能基含有単量体としては、下記一般式(IV)
CX =CY−(Rf−Z (IV)
(式中、Zは、ヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基を有する官能基を表し、X及びYは、同一又は異なって、水素原子若しくはフッ素原子を表し、R は、炭素数1〜40のアルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、エーテル結合を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基、又は、エーテル結合を有する炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基を表し、nは、0又は1を表す。)で表される不飽和化合物が好ましい。本明細書において、上記「ヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基を有する官能基」とは、ヒドロキシル基であってもよいし、カルボニル基であってもよいし、アミノ基であってもよいし、これらの接着機能性官能基の何れかを有する官能基であってもよいことを意味する。
上記接着機能性官能基含有単量体は、また、不飽和二塩基酸のモノエステル、ビニレンカーボネート、無水マレイン、マレイン酸等であってもよい。
上記フッ素樹脂は、主鎖末端に接着機能性官能基を有する重合体であって、上記接着機能性官能基がカーボネート基である重合体からなるものである場合、パーオキシカーボネートを重合開始剤として用いて重合する方法により得ることができる。上記方法を用いると、カーボネート基の導入及び導入の制御が非常に容易であることや、経済性の面、耐熱性、耐薬品性等の品質面等から好ましい。
上記パーオキシカーボネートとしては、下記式
Figure 2004065504
(式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状の一価飽和炭化水素基、又は、末端にアルコキシル基を有する炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状の一価飽和炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状の二価飽和炭化水素基、又は、末端にアルコキシル基を有する炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状の二価飽和炭化水素基を表す。)で表される化合物が好ましい。
なかでも、上記パーオキシカーボネートとしては、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−p−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等が好ましい。
上記フッ素樹脂は、主鎖末端に接着機能性官能基を有する重合体であって、上記接着機能性官能基がカーボネート基以外である重合体からなるものである場合、上述のカーボネート基を導入する場合と同様に、パーオキシカーボネート、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシアルコール等のパーオキサイドを重合開始剤として用いて重合することにより、パーオキサイドに由来する接着機能性官能基を導入することができる。なお、「パーオキサイドに由来する」とは、パーオキサイドに含まれる官能基から直接導入されるか、又は、パーオキサイドに含まれる官能基から直接導入された官能基を変換することにより間接的に導入されることを意味する。
パーオキシカーボネート、パーオキシエステル等の上記重合開始剤の使用量は、目的とするフッ素樹脂の種類や組成、分子量、重合条件、使用する開始剤の種類等によって異なるが、得られる重合体100質量部に対して0.05〜20質量部であることが好ましく、特に好ましい下限は0.1質量部であり、特に好ましい上限は10質量部である。
上記フッ素樹脂を得るための重合方法としては特に限定されず、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合等の従来公知の重合方法が挙げられるが、工業的にはフッ素系溶媒を用い、重合開始剤としてパーオキシカーボネート等を使用した水性媒体中での懸濁重合が好ましい。懸濁重合においては、フッ素系溶媒を水に添加して使用することができる。懸濁重合に用いるフッ素系溶媒としては、例えばCHCClF、CHCClF、CFCFCClH、CFClCFCFHCl等のハイドロクロロフルオロアルカン類;CFClCFClCFCF、CFCFClCFClCF等のクロロフルオロアルカン類;パーフルオロシクロブタン、CFCFCFCF、CFCFCFCFCF、CFCFCFCFCFCF等のパーフルオロアルカン類等が挙げられ、なかでも、パーフルオロアルカン類が好ましい。フッ素系溶媒の使用量は、懸濁性及び経済性の面から、水に対して10〜100質量%が好ましい。
重合温度としては特に限定されず、0〜100℃であってよい。重合圧力は、用いる溶媒の種類、量及び蒸気圧、重合温度等の他の重合条件に応じて適宜定められるが、通常、0〜9.8MPaGであってよい。
上記フッ素樹脂を得るための重合において、分子量調整のために、通常の連鎖移動剤、例えば、イソペンタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素;メタノール、エタノール等のアルコール;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等のハロゲン化炭化水素等を用いることができる。パーオキサイド由来の末端のカーボネート基等の接着機能性官能基の含有量は、パーオキシカーボネート等の重合開始剤の使用量、連鎖移動剤の使用量、重合温度等の重合条件によって制御できる。
本発明の粉体塗料は、上記フッ素樹脂と、必要に応じ、上記フッ素樹脂以外のその他の樹脂とからなるものであってよい。上記その他の樹脂としては、通常、粉体塗料に用い得る樹脂であれば特に限定されず、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の何れであってもよい。上記その他の樹脂は、耐熱性樹脂であることが好ましく、上記フッ素樹脂を塗装する際に加熱する温度で分解しないものがより好ましい。上記耐熱性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、フルオロシリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等が上げられる。上記その他の樹脂は、1種又は2種以上を用いるものであってよい。
上記粉体塗料は、上記フッ素樹脂とともに、必要に応じ、添加剤等を添加して用いるものであってよい。上記添加剤としては一般的な粉体塗料に添加されるものであれば特に限定されず、例えば、着色を目的として、酸化チタン、酸化コバルト等の着色顔料;防錆等を目的として、防錆顔料、焼成顔料等のその他の顔料;塗膜の収縮率の低減を目的とし、また、塗膜の硬度を高めて傷付き易さを改良するために、カーボン繊維、ガラス繊維、ガラスフレーク、マイカ等のフィラー;導電性付与を目的として、導電性カーボン等の導電性付与材等が挙げられる。上記添加剤は、また、レベリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、ラジカル補足剤等であってもよい。
本発明の粉体塗料の製造方法としては特に限定されず、例えば、粉砕方法、造粒方法、スプレードライ法等の従来公知の方法等が挙げられる。上記粉砕方法としては、例えば、上記フッ素樹脂並びに必要に応じて上記その他の樹脂及び上記添加剤からなる原材料をピンミル、インペラーミル等の粉砕機を用いて粉砕する方法等が挙げられる。上記造粒方法としては、例えば、上記原材料をヘンシェルミキサー、ハイスピードミキサー等の造粒機を用いて造粒する方法等が挙げられる。上記スプレードライ法としては、例えば、上記原材料を溶媒に分散させ、上記フッ素樹脂の融点以上の温度の雰囲気中に噴霧して粉末にする方法等が挙げられる。上記粉体塗料の製造方法は、上記原材料を予め混合機で混合し、次いで、ニーダー、溶融押出し機等で溶融混練した後、粉砕し、必要に応じて分級する方法であってもよい。
上記粉体塗料の粒径としては特に限定されず、一般に、得られる塗膜と基材との接着性の点から小さいことが好ましいが、厚膜化のためには大きいことが好ましい。本発明の粉体塗料は、得られる塗膜と基材との接着性に優れるので、上記粉体塗料の粒径は、目的とする塗膜の厚みに応じて適宜決定するものであってよいが、例えば、10〜100μmが好ましい。
本発明の粉体塗料を用いて塗膜を形成するための塗膜形成方法としては、例えば、上記粉体塗料を基材に塗布して加熱処理を行う工程を有するものが挙げられる。
本明細書において、上記「粉体塗料を基材に塗布して加熱処理を行う工程」は、上記粉体塗料を基材に塗布することと、加熱処理を行うこととを同時又はほぼ同時に行う塗装方法(P)であってもよいし、上記粉体塗料を基材に塗布したのち加熱処理を行う塗装方法(Q)であってもよい。上記塗装方法(P)としては、例えば、回転成形方法等の粉体塗料を基材に塗布しながら加熱処理を行う方法;浸漬流動塗装方法等の熱した基材を粉体塗料に浸漬する方法等が挙げられる。上記塗装方法(Q)としては、例えば、静電粉体塗装方法等が挙げられる。
本明細書において、上記「粉体塗料を基材に塗布して」とは、上記粉体塗料を基材表面に直接接させて載置することと、上記粉体塗料を上記粉体塗料から得られる塗膜と基材との間にプライマー層が介在することとなるように載置することとを含み得る概念である。本明細書において、上記「プライマー層」は、プライマーを基材上に塗装して得られる塗膜である。上記プライマーは、通常、塗膜と基材との接着性を向上させるために用いられる下塗り塗料である。
上記塗膜は、基材と接するものとすることができる。本発明の粉体塗料は、上記フッ素樹脂を用いたものであるので、プライマー層を介在させることなく上記塗膜が基材と接するものであっても、基材と塗膜との接着性を実用上充分なものとすることができる。本発明の粉体塗料は、プライマー層を介在させず上記塗膜と基材とを接させる場合であっても上記塗膜と基材との接着性が充分なものであるが、塗膜と基材との接着性をより向上させるために、プライマー層を用いることを排除するものではない。
上記粉体塗料は、上記プライマー層を介在させないことにより、プライマーに含まれる化合物等が分解して溶出したり、プライマー層を有することにより得られる塗膜の表面平滑性が低下したりすることを防止することができる場合があり、また、用途によっては色、模様等の基材の表面外観を活かすことができるという長所がある。
上述の静電粉体塗装方法は、回転成形方法や流動浸漬塗装方法等の基材の表面全体に塗膜が連続的に形成されることが通常である塗装方法とは異なり、基材の形状によっては基材に塗膜が形成される面と塗膜が形成されない面とが存在し得る不連続性をもたらし得る塗装方法である。従来の粉体塗料では、この塗膜の不連続部分から塗膜が剥離するおそれがあったが、本発明の粉体塗料は、基材との接着性が優れた塗膜を形成し得るものであるので、静電粉体塗装方法であっても、塗膜が剥離することなく、好適に用いることができる。
上記塗膜形成方法における加熱処理は、上記フッ素樹脂の融点以上、分解温度以下である加熱温度で行うものが好ましい。上記フッ素樹脂の融点未満の温度であると、得られる塗膜と基材との接着性が不充分である場合があり、上記フッ素樹脂の分解温度を超える温度であると、フッ素樹脂の性能が損なわれるおそれがある。上記加熱温度は、得られる塗膜の表面平滑性、発泡及び変色の点で、300℃が好ましい上限である。本発明の粉体塗料は、上記フッ素樹脂が低融点であるので、上記加熱温度が比較的低温、例えば240℃であっても焼成することができ、更に、表面平滑性及び接着強度が良好である塗膜を得ることができる。上記粉体塗料は、上記加熱温度を比較的低温にし得るものであるので、上記粉体塗料を塗装し得る基材の種類の選択範囲を広くすることができる。
上記加熱温度は、得られる塗膜の接着性及び表面平滑性の点で、上述のフッ素樹脂が上記テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(1)からなる樹脂である場合、280℃が好ましい上限であるが、接着機能性官能基の分解を防止する観点から、220℃が好ましい上限であり、更に、200℃においても充分な性能を有する塗膜を得ることができる。
上記加熱温度は、得られる塗膜の接着性及び表面平滑性の点で、上述のフッ素樹脂が上記テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(2)からなる樹脂である場合、300℃が好ましい上限であるが、接着機能性官能基の分解を防止する観点から、240℃が好ましい上限である。
上記加熱処理を行う時間は、上記フッ素樹脂の種類、塗膜の厚み等によって異なるが、30〜150μm程度の厚みの塗膜を得る場合、15〜60分であってよく、好ましい上限は30分である。
上記加熱温度と上記加熱処理を行う時間は、得られる塗膜の表面平滑性の点で、上記フッ素樹脂が上記テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(1)からなる樹脂である場合、260〜280℃において15〜30分が好ましいが、基材の耐熱性等を考慮して220〜240℃で加熱処理を行う場合、30〜60分が好ましい。
上記加熱温度と上記加熱処理を行う時間は、得られる塗膜の表面平滑性の点で、上記フッ素樹脂が上記テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(2)からなる樹脂である場合、260〜300℃において15〜30分が好ましいが、基材の耐熱性等を考慮して220〜240℃で加熱処理を行う場合、30〜60分が好ましい。
本発明の塗膜形成方法は、上記粉体塗料を用いて塗膜を形成するためのものであって、上記粉体塗料を基材に塗布して上記フッ素樹脂の融点以上、300℃以下である加熱温度で加熱処理を行う工程を有するものであることが好ましい。
上記加熱温度は、上記粉体塗料が低融点であるので、基材の耐熱温度に合わせて比較的低温にすることができ、例えば200℃であっても、接着強度と表面平滑性とが良好である塗膜を得ることができる。
本発明の粉体塗料を塗布する基材としては、上述の加熱温度において耐熱性を有するものであれば特に限定されず、例えば、有機材料、無機材料、金属材料等からなるものが挙げられる。
上記有機材料としては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、合成ゴム等のうち、耐熱性を有するものが挙げられる。本発明の粉体塗料は、融点が低く、加熱温度を低くすることが可能であるので、従来のフッ素樹脂の粉体塗料に比べて、基材として用い得る有機材料の種類を広く選択することができる。上記有機材料は、1種を用いたものであってもよいし、2種以上からなる複合物であってもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、上記フッ素樹脂以外のその他のフッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂[PPO]等のポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂[ABS]、塩化ビニル系樹脂、エチレン/ビニルアルコール樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂[PEEK]、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂[PES]、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、変性ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。上記変性ポリオレフィン樹脂としては、例えばエポキシ変性ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
上記合成ゴムとしては、例えば、ニトリル/ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、クロロプレン/アクリロゴム、エチレン/プロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、塩素化ポリエチレンゴム等が挙げられる。
上記無機材料としては特に限定されず、例えば、石英;結晶化ガラス、発泡ガラス、熱線反射ガラス、熱線吸収ガラス、複層ガラス等のガラス系材料;タイル、セラミック、レンガ等の窯業系基材;天然石;コンクリート系基材又はセメント系基材;単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン等が挙げられる。
上記金属材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、チタン、モリブデン、マグネシウム、マンガン、銅、銀、鉛、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルト等の金属、これら金属の化合物、これら金属のうち2種以上からなる合金類等が挙げられる。
上記金属材料からなる基材は、腐蝕防止等を目的として、金属表面への電気メッキ、溶融メッキ、クロマイジング、シリコナイジング、カロライジング、シェラダイジング、溶射等によるその他の金属による被覆、リン酸塩処理によるリン酸塩被膜の形成、陽極酸化や加熱酸化による金属酸化物の形成、電気化学的防食処理等を行ったものであってもよい。
上記基材は、塗膜との接着性を向上させることを目的として、サンドブラスト、ショットブラスト、グリッドブラスト、ホーニング、ペーパースクラッチ、ワイヤースクラッチ、ヘアーライン処理等の表面粗面化処理を行ったものであってもよい。
上記基材は、表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であっても本発明の粉体塗料を好適に用いることができる。本明細書において、上記表面粗さ(Ra)は、後述の表面粗さ(Ra)の測定方法により測定して得られる値である。表面粗さ(Ra)が上記範囲内である基材としては、例えば、上述の表面粗面化処理を行っていないもの等が挙げられる。本発明の粉体塗料は、上記フッ素樹脂を用いたものであるので、上記基材に表面粗面化処理を施すことなく、上記基材と得られる塗膜との接着性を実用上充分なものとすることができるが、塗膜と基材との接着性をより向上させるために、上記基材に表面粗面化処理を施すことを排除するものではない。
従来の粉体塗料は、上記フッ素樹脂以外のその他のフッ素樹脂に、得られる塗膜の表面硬度等を向上させるためにカーボン繊維等のフィラーを添加したものが用いられていた。上記従来の粉体塗料は、フィラーを添加することにより、基材との密着性が良好で、剥離しにくい塗膜を与え得る場合があったが、これは、上記従来の粉体塗料を上記その他のフッ素樹脂の融点以上の温度に加熱したのち室温まで冷却したときの収縮率が意図せず抑えられたためと推測される。しかしながら、上記従来の粉体塗料は、フィラーの添加により得られる塗膜が着色したり透明性に劣ることがあり、用途によっては色、模様等の基材の外観を活かすことができない等の問題があった。本発明の粉体塗料は、上記フィラーを添加しなくても基材との密着性に優れた塗膜を与え得るという長所を有するものであり、そのような粉体塗料は、従来、得られていなかった。本発明の粉体塗料は、フィラーを添加しなくても基材との密着性に優れた塗膜を与え得るという長所を有するものであるが、上述したように、塗膜の収縮率の更なる低減等のためにフィラーを添加したものを排除するものではない。
本発明の塗膜形成方法において、上記塗膜は、上述の粉体塗料から得られるものである。上記塗膜は、上述の粉体塗料から得られるものであるので、基材との接着性及び表面平滑性が良好であり、また、上述のフッ素樹脂が本来有する耐熱性、耐食性、耐薬品性、非粘着性等の特性を有するものである。
本発明の塗膜形成方法により、上記基材と、上記塗膜とからなる積層構造を得ることができる。上記積層構造は、上記基材と上記塗膜との間に上述のプライマー層を介在させたものであってもよいが、本発明の粉体塗料を用いるので、プライマー層を介在させることなく上記基材と上記塗膜とが接しているものとすることができる。
本発明の積層体は、基材と、上記基材上に上述の粉体塗料を塗布して加熱処理を行うことにより得られた塗膜とからなるものである。この積層体は、上述したプライマー層を介在させることなく上記基材と上記塗膜とが接している積層構造を有するものである。上記積層体は、上記粉体塗料から得られる塗膜を有するものであるので、上述したように、上記塗膜が基材と接するものであっても、塗膜と基材との接着性を実用上充分なものとすることができる。上記基材としては、上述の基材について説明したものと同様のものが挙げられる。
上記積層体は、上記基材と、上記塗膜と、更に、上記塗膜上に他の層を有するものであってもよい。上記他の層としては特に限定されず、例えば、有機材料、無機材料、金属材料等からなるものが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いるものであってよい。
上述の積層構造及び本発明の積層体の用途としては、基材を薬液等の浸食から保護するための被覆、基材表面に非粘着性を付与するための被覆等が挙げられる。
上記基材を薬液等の浸食から保護するための被覆としては特に限定されず、例えば、バルブ、タンク、ダイヤフラム、ウェハーキャリアー、ウェハー設置台等の半導体製造装置・半導体製造装置用部品;チューブ、ホース、継ぎ手等の配管材料;化学・医療用器具;パイプ、バルブ、継ぎ手、ポンプ、タンク等の耐食ライニング等の用途が挙げられる。上記半導体製造装置・半導体製造装置用部品は、半導体製造装置及び/又は半導体製造装置を構成する部品である。上記配管材料は、上記半導体製造装置・半導体製造装置用部品として用いるものであってもよい。上記薬液としては、フッ酸等の高腐食性薬液等が挙げられる。
上記基材表面に非粘着性を付与するための被覆としては特に限定されず、例えば、ガステーブル、レンジフード、換気扇ボディー、換気扇ファン、厨房用壁材、オーブン内壁、オーブンボディー、オーブントースター内壁及びボディー、電子レンジボディー及び内壁、フライパン、ホットプレート、炊飯器内釜、ケーキ型、ボール、ホームベーカリー用品、パン金型、鍋、もちつき器、ガス給湯器ボディー、浄水器ボディー、食器乾燥機の内外装、ジャー及びポットのインナー、卓上天ぷら鍋、キッチンナイフ、漬物桶等の調理・台所関連商品;アイロン、照明器の傘及び外装、洗濯機の内外装、衣料乾燥機の内外装、扇風機のファン、エアコンの室外機外装、温風ヒーターの内外装及びファン、オーディオパネル等の家電製品;プリント基板等の電子部品;オフィスオートメーション〔OA〕機器用ロール、OA機器用ベルト等の摺動材料;ブラインド、パーティション、スチール家具、装飾具、サニタリー内装、トイレタリー内装等のインテリア製品;外壁材、屋根材、フェンス、門扉、郵便ポスト、雨樋、天幕、シャッター、ガードレール、道路標識、船舶内装、屋外広告物、物干し竿、給水タンク、燃料タンク、車輌、モニュメント、オブジェ等の屋外商品等の用途が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
合成例1 フッ素樹脂(A)の合成
1000Lオートクレーブに純水380Lを投入し、充分に窒素置換を行った後、1−フルオロ−1,1−ジクロロエタン80kg、ヘキサフルオロプロピレン170kg、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)0.5kgを仕込み、系内を35℃、攪拌速度200rpmに保った。その後、テトラフルオロエチレンを0.9MPaまで圧入し、更に引き続いてエチレンを1.0MPaまで圧入し、その後にジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート8.0kgを投入して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、テトラフルオロエチレン:エチレン:ヘキサフルオロプロピレン=40:44:16モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を1.0MPaに保った。そして、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)についても合計量4.4kgを連続して仕込み、30時間、攪拌を継続した。そして、放圧して大気圧に戻した後、反応生成物を水洗、乾燥して200kgのフッ素樹脂(A)の粉末を得た。19F−NMR分析により測定したフッ素樹脂(A)の組成は、テトラフルオロエチレン:エチレン:ヘキサフルオロプロピレン:パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)=41.0:44.6:13.8:0.6モル%であった。
合成例2 フッ素樹脂(B)の合成
合成例1において、テトラフルオロエチレン:エチレン:ヘキサフルオロプロピレン=46:44:10モル%の混合ガスを用いる以外は合成例1と同様の方法でフッ素樹脂(B)を得た。19F−NMR分析により測定したフッ素樹脂(B)の組成は、テトラフルオロエチレン:エチレン:ヘキサフルオロプロピレン:パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)=45.9:44.1:9.5:0.5モル%であった。
合成例3 フッ素樹脂(C)の合成
100Lオートクレーブに純水50Lを投入し、充分に窒素置換を行った後、1−フルオロ−1,1−ジクロロエタン35kg、パーフルオロメチルビニルエーテル10kgを仕込み、系内を35℃、攪拌速度200rpmに保った。その後、テトラフルオロエチレンを0.8MPaまで圧入し、その後にジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート0.4kgを投入して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、テトラフルオロエチレン:パーフルオロメチルビニルエーテル=87.5:12.5モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を0.8MPaに保った。攪拌を30時間継続した後、放圧して大気圧に戻し、反応生成物を水洗、乾燥して30kgのフッ素樹脂(C)の粉末を得た。19F−NMR分析により測定したフッ素樹脂(C)の組成は、テトラフルオロエチレン:パーフルオロメチルビニルエーテル=87.3:12.7モル%であった。
合成例4 フッ素樹脂(D)の合成
1000Lオートクレーブに純水400Lを投入し、充分に窒素置換を行った後、パーフルオロシクロブタン270kgを仕込んだ。次いで、シクロヘキサン200gとパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)950gとを圧入し、系内を35℃、撹拌速度250rpmに保った。その後、撹拌を行いながらテトラフルオロエチレン:エチレン=96:4モル%の混合ガスを系内圧力が1.2MPaとなるまで仕込んだ。ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート600gを圧入して反応を開始した。重合の進行に従って系内圧力が低下するので、テトラフルオロエチレン:エチレン=67:33モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を1.2MPaに保った。また、190kgの上記テトラフルオロエチレン:エチレン=67:33モル%の混合ガスに対して、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)が12kgとなるようにパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)を連続的に仕込んで重合した。重合終了後、放圧して大気圧に戻し、反応生成物を水洗、乾燥して200kgのフッ素樹脂(D)の粉末を得た。19F−NMR分析により測定したフッ素樹脂(D)の組成は、テトラフルオロエチレン:エチレン:パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)=65.3:32.7:2.0モル%であった。
調製例 粉体塗料の調製
上記各合成例で得られたフッ素樹脂(A)〜(D)の粉末をローラーコンパクター(マツボー社製)を用いて圧縮したのち、粒径を調整しながら粉砕して、粉体塗料(A)〜(D)を得た。
また、フッ素樹脂(E)としてネオフロンPVDF VP835(ダイキン工業社製)を用い、粒径を調整しながら粉砕して粉体塗料(E)を得た。
得られた粉体塗料(A)〜(E)について、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製)を用いて、平均粒径を測定した。結果を表1に示す。
フッ素樹脂の評価
得られた粉体塗料(A)〜(E)を用いて、上述した方法によりフッ素樹脂(A)〜(E)の融点及び融解ピークにおける融点の半価幅を測定し、以下の方法を用いてメルトフローレートを測定した。結果を表1に示す。
(メルトフローレート)
メルトインデクサー(東洋精機製作所社製)を用い、フッ素樹脂(A)〜(D)については、265℃、5kg荷重下で、フッ素樹脂(E)については、230℃、10kg荷重下で、直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)に流出するポリマーの質量(g)を測定した。
Figure 2004065504
実施例1〜7及び比較例1〜2
SUS製基材(100mm×50mm×1mm、表面粗さ(Ra)=約0.03μm)に、アルミナエメリー(#80/#100=1/1)を用いて表面粗さ(Ra)=1〜2μmとなるようにブラスト処理を行なった。ブラスト処理を行なった基材上に、表2に示す粉体塗料をそれぞれ塗膜の膜厚がおよそ80μmになるように静電粉体塗装方法により塗布した。その後、表2に示す条件で加熱して塗膜を得た。
塗膜の評価
得られた塗膜の表面粗さ(Ra)及び接着強度を下記の方法により測定した。結果を表2に示す。
(表面粗さ(Ra))
JIS B 0601に準拠して、表面粗さ測定器(ミツトヨ社製)を用いて表面粗さ(Ra)を測定した。
(接着強度)
得られた塗膜は、接着強度を計る際に塗膜を破断させないために、得られた塗膜上に粉体塗料(A)を加熱処理後の膜厚が1mmになるように盛りおきした後、220℃で1時間加熱して試験片を得た。得られた試験片の塗膜に2cm幅に切れ目を入れ、塗膜端を一部剥離した後、テンシロン万能引張試験機(エーアンドデー社製)を用いて、最大点より剥離強度を測定した。
上記粉体塗料(A)〜(E)について、以下の方法で収縮率を測定した。結果を表2に示す。
(収縮率)
ブラスト処理をしていないSUS製基材の表面に離型剤(ダイキン工業社製ダイフリー)を塗布し、加熱処理後の膜厚が150μmとなるように粉体塗料(A)〜(E)をタテ3cm×ヨコ3cmの区画に静電塗装した。その後、表2に示した条件で加熱処理して塗膜を得た。得られた塗膜を基材ごと約98℃の熱水中に約12時間浸漬することにより、外力をかけること無く基材から塗膜を剥離して測定用塗膜を得た。得られた測定用塗膜のタテとヨコの長さを測定し、それらを平均して収縮率を算出した。
結果を表2に示す。
実施例8〜9及び比較例3
SUS製基材にブラスト処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、表2に示す粉体塗料をそれぞれ用いて塗膜を得た。上述の各項目について、結果を表2に示す。
Figure 2004065504
実施例1〜7の塗膜は、何れも、比較例1〜2の塗膜に比べて、接着性に優れていた。粉体塗料(A)及び粉体塗料(B)を260〜280℃の加熱温度で加熱して得られた実施例2〜3並びに実施例5〜6の塗膜は、また、表面平滑性にも優れていた。実施例8〜9の塗膜は、基材にブラスト処理を施さなくても接着性が良好であった。
本発明の粉体塗料は、上述の構成よりなるので、プライマーを用いたり基材の表面粗面化処理を行ったりしなくても、得られる塗膜が基材との接着性及び表面平滑性に優れるものである。

Claims (16)

  1. フッ素樹脂からなる粉体塗料であって、
    前記フッ素樹脂は、融点が150〜260℃、融解ピークにおける融点の半価幅が30℃以上であるものである
    ことを特徴とする粉体塗料。
  2. フッ素樹脂からなる粉体塗料であって、
    前記フッ素樹脂から得られる測定用塗膜の収縮率が2%以下である
    ことを特徴とする粉体塗料。
  3. 収縮率は、1%以下である請求の範囲第2項記載の粉体塗料。
  4. フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン単位及びエチレン単位を有するテトラフルオロエチレン/エチレン共重合体からなる樹脂である請求の範囲第1、2又は3項記載の粉体塗料。
  5. テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体は、下記一般式(I)
    CX =CY−Rf−Z (I)
    (式中、X、Y及びZは、同一又は異なって、水素原子若しくはフッ素原子を表し、Rfは、炭素数1〜40のアルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、エーテル結合を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基、又は、エーテル結合を有する炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基を表す。)で表される単量体(a)に由来する単量体(a)単位を有するものである請求の範囲第4項記載の粉体塗料。
  6. テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体は、テトラフルオロエチレン単位35〜81モル%、エチレン単位6〜50モル%、及び、単量体(a)に由来する単量体(a)単位5〜59モル%からなるものである請求の範囲第5項記載の粉体塗料。
  7. 単量体(a)は、ヘキサフルオロプロピレンからなるものである請求の範囲第5又は6項記載の粉体塗料。
  8. フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン単位、及び、下記一般式(II)
    CF=CF−Rf (II)
    (式中、Rfは、炭素数1〜40のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜40のパーフルオロオキシアルキル基、エーテル結合を有する炭素数1〜40のパーフルオロアルキル基、又は、エーテル結合を有する炭素数1〜40のパーフルオロオキシアルキル基を表す。)で表される単量体(a1)に由来する単量体(a1)単位を有するものからなる樹脂である請求の範囲第1、2又は3項記載の粉体塗料。
  9. 単量体(a1)は、ヘキサフルオロプロピレンからなるものである請求の範囲第8項記載の粉体塗料。
  10. 単量体(a1)は、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなるものである請求の範囲第8項記載の粉体塗料。
  11. フッ素樹脂は、接着機能性官能基を有するものである請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10項記載の粉体塗料。
  12. 請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11項記載の粉体塗料を用いて塗膜を形成するための塗膜形成方法であって、
    前記粉体塗料を基材に塗布してフッ素樹脂の融点以上である加熱温度で加熱処理を行う工程を有するものである
    ことを特徴とする塗膜形成方法。
  13. 塗膜は、基材と接するものである請求の範囲第12項記載の塗膜形成方法。
  14. 基材は、表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であるものである請求の範囲第12又は13項記載の塗膜形成方法。
  15. 基材と、前記基材上に請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11項記載の粉体塗料を塗布して加熱処理を行うことにより得られた塗膜とからなる
    ことを特徴とする積層体。
  16. 基材は、表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であるものである請求の範囲第15項記載の積層体。
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