JPWO2004050511A1 - プラズマディスプレイユニット搬送用樹脂製プロテクタ - Google Patents

Abstract

プラズマディスプレイユニット搬送用樹脂製プロテクタであって、底壁と、この底壁に対して鈍角をなすように底壁と一体的に形成された４つの側壁からなる樹脂製プロテクタ本体を含んでいる。底壁は、概略中心部分に形成された抜け穴と、プラズマディスプレイユニット固定用の複数の穴と、抜け穴の両側の背面にそれぞれ一列に形成された複数の突起からなる第１及び第２突起列を有している。樹脂製プロテクタは更に、プロテクタ本体の底壁に対してスライド可能に取り付けられた第１及び第２金属板を含んでいる。

Description

本発明は、テレビジョン（ＴＶ）等の情報機器に使用されるプラズマディスプレイユニットの搬送に使用されるプロテクタに関する。

従来、プラズマディスプレイパネル（ＰＤＰ）の背面に必要な半導体デバイス等の電子機器を取り付けてプラズマディスプレイユニットとし、複数個のプラズマディスプレイユニットをコンテナ（箱）内に収容して発泡スチロール等のクッション材で保護して、プラズマディスプレイユニットが工場から出荷される。搬送にはトラック、飛行機、船舶等の交通機関が使用され、例えば複数個のプラズマディスプレイユニットを収容したコンテナをテレビ組立ラインへ搬送し、プラズマディスプレイユニットを超薄型テレビに組立することが行われている。プラズマディスプレイユニットの背面の電子機器に押圧力がかかったり電子機器が衝撃を受けると故障や破損の原因となるため、プラズマディスプレイユニット搬送時には細心の注意が必要である。
最近、幅が１ｍを超える大型のＰＤＰが開発され、実用に供されるようになったが、このＰＤＰに電子機器を実装したプラズマディスプレイユニットを搬送のために持ち上げると、ガラスが主体になっているプラズマディスプレイユニットに歪が生じ、電子機器や回路に故障が生じるという従来の中型又は小型のプラズマディスプレイユニットでは考えられない不都合が見られた。また、大型であるため搬送作業中に背面の電子機器に触れやすいので、不測の故障をもたらす確率も大きい。
このような従来の問題点を解決するプラズマディスプレイユニット搬送用プロテクタが特許第３２５９０８５号で提案されている。この特許で開示された搬送用プロテクタはアルミニウム合金製であり、このプロテクタにプラズマディスプレイユニットをねじ止め固定し、プラズマディスプレイパネル（ＰＤＰ）に生じる歪を有効に防止している。
しかし、上述した特許に記載されたプロテクタはアルミニウム合金製であるため、比較的コストが高く、更に重量が重いという欠点がある。
よって、本発明の目的は、軽量で安価に製造可能な、プラズマディスプレイユニット搬送用樹脂製プロテクタを提供することである。

本発明によると、プラズマディスプレイユニット搬送用樹脂製プロテクタが提供される。樹脂製プロテクタは、底壁と、この底壁に対して鈍角をなすように底壁と一体的に形成された４つの側壁とからなる樹脂製プロテクタ本体を含んでいる。プロテクタ本体の底壁は、概略中心部分に形成された抜き穴と、プラズマディスプレイユニット固定用の複数の穴と、抜き穴の両側の背面にそれぞれ１列に形成された複数の突起からなる第１及び第２突起列を有している。
樹脂製プロテクタは更に、第１突起列の各突起が挿入される複数の長穴を有し、プロテクタ本体の底壁の背面に取り付けられた第１金属板と、第２突起列の各突起が挿入される複数の長穴を有し、プロテクタ本体の底壁の背面に取り付けられた第２金属板と、第１及び第２金属板をプロテクタ本体の底壁に対しスライド可能に固定する手段を含んでいる。
好ましくは、樹脂製プロテクタ本体の底壁には、ロボットハンド等の把持手段が挿入される穴が形成されている。更に、樹脂製プロテクタ本体の底壁、第１及び第２金属板には、プラズマディスプレイユニットをプロテクタに固定するためのネジが挿入される互いに整列した複数の穴が形成されている。
本発明の他の側面によると、プラズマディスプレイユニット搬送用樹脂製プロテクタを使用したプラズマディスプレイユニットの搬送方法が提供される。この搬送方法は、プラズマディスプレイパネルに電子機器を取り付けてなるプラズマディスプレイユニットを樹脂製プロテクタに固定するステップと、プラズマディスプレイユニットが固定された樹脂製プロテクタを並列に配置して搬送するステップと、樹脂製プロテクタからプラズマディスプレイユニットを取り外した後で、底壁に対して鈍角をなすように形成された４つの側壁を利用して複数の樹脂製プロテクタを重ねて搬送するステップを含んでいる。

図１は本発明の実施形態にかかるプラズマディスプレイユニット搬送用樹脂製プロテクタの斜視図；
図２は樹脂製プロテクタの平面図；
図３は図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図；
図４は図２のＩＶ−ＩＶ線断面図；
図５は金属板の平面図；
図６は樹脂製プロテクタ本体に金属板を取り付けた様子を示す一部破断概略断面図；
図７はプラズマディスプレイユニットをプロテクタにネジ止め固定した様子を示す断面図；
図８はプラズマディスプレイユニットを樹脂製プロテクタにネジ止め固定する様子を示す分解斜視図；
図９はプロテクタで保護された複数個のプラズマディスプレイユニットをコンテナに収容した様子を示す分解斜視図；
図１０はコンテナの外観斜視図；
図１１は樹脂製プロテクタを複数個スタックした様子を示す斜視図である。

図１を参照すると、本発明の実施形態にかかるプラズマディスプレイユニット搬送用樹脂製プロテクタの斜視図が示されている。図２は樹脂製プロテクタの平面図、図３は図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図、図４は図２のＩＶ−ＩＶ線断面図である。樹脂製プロテクタ２は、樹脂製プロテクタ本体３と、樹脂製プロテクタ本体３の底壁４の背面に取り付けられた一対の金属板１８（図４及び図６参照）とから構成される。
樹脂製プロテクタ本体３はＡＢＳ樹脂又はポリスチレン等のモールド樹脂から形成され、底壁４と、底壁４に対して鈍角をなすように底壁と一体的に形成された二対の側壁６，８を有している。底壁４には概略中心部分に形成された比較的面積の大きな抜け穴１０と、ロボットハンド等の把持手段が挿入される一対の係合穴１２が形成されている。この抜け穴１０は樹脂製プロテクタ本体３が膨張又は収縮する際のストレスを逃がすために形成されている。図２及び図６に示されるように、樹脂製プロテクタ本体３の底壁４の背面には、それぞれ複数の突起１４から構成される一対の突起列が形成されている。これらの突起列は抜け穴１０の両側にそれぞれ一直線上に配置されている。底壁４には更に、プラズマディスプレイユニットを固定するためのネジが挿入される複数個（本実施形態では合計８個）の穴１６が各突起列に整列して形成されている。
図５は樹脂製プロテクタ本体３の底壁背面に取り付けられる金属板１８の平面図を示している。金属板１８は例えばステンレス鋼から形成されている。金属板１８は樹脂製プロテクタ本体３の長さに概略等しい細長い長方形状をしており、プロテクタ本体３の突起１４が挿入される４個の長穴２０と、固定用のネジが挿入される４個の丸穴２２と、プロテクタ本体３の中心突起１５（図６参照）が挿入される丸穴２４を有している。
図６に示すように、金属板１８は中心突起１５を丸穴２４に挿入し、各突起１４を長穴２０に挿入することにより、樹脂製プロテクタ本体３の背面に取り付けられる。樹脂製プロテクタ本体３と金属板１８は熱膨張率が相違する。よって、プラズマディスプレイユニット搬送時の温度変動に起因する樹脂製プロテクタ本体３と金属板１８の熱膨張差を吸収するため、突起１４が挿入される穴２０は長穴に形成されている。更に、金属板１８は樹脂製プロテクタ本体３に完全固定ではなく、隙間Ｇを持たせてスナップリング２６で止めてあり、金属板１８の中心の穴２４以外は長穴２０に形成されているので、図７及び図８に示すように、プラズマディスプレイユニット２８を樹脂製プロテクタ２にネジ止めしても樹脂製プロテクタ本体３と金属板１８は互いにスライド可能である。中心突起１５は位置決めのために設けられており、この中心突起１５が挿入される穴２４は長穴にする必要はない。各金属板１８が樹脂製プロテクタ本体３の底壁の背面に取り付けられると、金属板１８の各穴２２と樹脂製プロテクタ本体３の底壁に形成された各穴１６は整列する。
よって、図７及び図８に示すように固定用のネジ３０を金属板１８の穴２２及び樹脂製プロテクタ本体３の穴１６に挿入し、プラズマディスプレイユニット２８に取り付けられたブラケット３２に形成されたネジ穴中にネジ３０を螺合することにより、プラズマディスプレイユニット２８は樹脂製プロテクタ２に固定される。金属板１８に形成した穴２２を通してネジ３０で固定しているため、プラズマディスプレイユニット２８の多数回の固定及び取り外しに耐えられるものである。図８に示すように、プラズマディスプレイユニット２８は保護シート３４中に挿入されて静電気等から保護されている。
図９を参照すると、コンテナ３６中に樹脂製プロテクタ２で保護された複数個のプラズマディスプレイユニット２８を収容する様子の分解斜視図が示されている。ディスプレイ面の保護のために、各プラズマディスプレイユニット２８は直立状態でコンテナ３６中に収容される。ポリウレタン等から形成された一対の下パッド３８で樹脂製プロテクタ２の下側両側面を押さえ、一対の上パッド４０で樹脂製プロテクタ２の上側両側面を押さえる。更に、必要に応じて上押さえパッド４２で樹脂製プロテクタ２の上端部を押さえる。その後、蓋４４を被せる。この状態が図１０に示されている。各プラズマディスプレイユニット２８は樹脂製プロテクタ２にネジ止めされ、更に各樹脂製プロテクタ２がパッド３８，４０，４２で押さえられているため、コンテナ３６搬送の際各プラズマディスプレイユニット２８ががたつくことが防止される。
コンテナ３６に収容した状態で複数個のプラズマディスプレイユニット２８を例えばテレビジョン組立ラインへ搬送し、プラズマディスプレイユニット２８を利用して超薄型テレビジョンに組み立てる。組立ラインに搬送して各プラズマディスプレイユニット２８を取り出した後、樹脂製プロテクタ２は図１１に示すように積み重ねられ、パッド３８，４０，４２と合わせてコンテナ３６中に収容し、出荷された工場等に返送する。樹脂製プロテクタ本体３の各側壁６，８が底壁４に対して鈍角を形成しているため、樹脂製プロテクタ２の積み重ねが可能となる。

本発明のプラズマディスプレイユニット搬送用プロテクタは樹脂から形成されているため、従来の金属製プロテクタに比較して軽量化が可能となり、輸送コストの削減に寄与することができる。更に、樹脂モールドにより一体成型できるため、安価に製造可能である。第１及び第２金属板１８はスライド可能に樹脂製プロテクタ本体３に取り付けられているため、輸送時の温度変化に起因して樹脂製プロテクタ本体３と金属板１８の間に熱膨張差が発生しても、金属板１８は樹脂製プロテクタ本体３に対して相対的に移動できるため、樹脂製プロテクタ本体３に無理なら応力が発生することはない。
また、各プラズマディスプレイユニット２８の固定は金属板１８に設けた丸穴２２を介して行うため、樹脂製プロテクタ本体３に磨耗が発生することなく、樹脂製プロテクタ２を半永久的に繰り返し使用可能である。返送時には、樹脂製プロテクタ２及び各パッド３８，４０，４２をコンテナ３６中に収容して返送できるため、全ての梱包材が再使用可能である。
更に、樹脂製プロテクタ本体３の底壁４の概略中心部分に大面積の抜き穴１０が設けられているため、温度変化に起因して樹脂製プロテクタ本体３に発生する応力をこの抜け穴１０で吸収することができ、プラズマディスプレイユニット２８に応力に起因する負荷がかかることを防止することができる。

Claims (5)

1. プラズマディスプレイユニット搬送用樹脂製プロテクタであって、
   概略中心部分に形成された抜き穴と、プラズマディスプレイユニット固定用の複数の穴と、該抜き穴の両側の背面にそれぞれ一列に形成された複数の突起からなる第１及び第２突起列を有する底壁と、該底壁に対して鈍角をなすように底壁と一体的に形成された４つの側壁とからなる樹脂製プロテクタ本体と、
   前記第１突起列の各突起が挿入される複数の長穴を有し、前記底壁の背面に取り付けられた第１金属板と、
   前記第２突起列の各突起が挿入される複数の長穴を有し、前記底壁の背面に取り付けられた第２金属板と、
   前記第１及び第２金属板を前記底壁に対しスライド可能に固定する手段と、
   を具備したことを特徴とするプラズマディスプレイユニット搬送用樹脂型プロテクタ。
2. 前記底壁は把持手段が係合可能な穴を有していることを特徴とする請求項１記載のプラズマディスプレイユニット搬送用樹脂製プロテクタ。
3. 前記底壁と前記第１及び第２金属板は、プラズマディスプレイユニット締結用のネジが挿入される互いに整列した複数の穴を有していることを特徴とする請求項１記載のプラズマディスプレイユニット搬送用樹脂製プロテクタ。
4. 請求項１記載のプラズマディスプレイユニット搬送用樹脂製プロテクタに、プラズマディスプレイパネルに電子機器を取り付けてなるプラズマディスプレイユニットを固定するステップと、
   プラズマディスプレイユニットが固定された樹脂製プロテクタを並列に配置して搬送するステップと、
   樹脂製プロテクタからプラズマディスプレイユニットを取り外した後で、底壁に対して鈍角をなすように形成された４つの側壁を利用して複数の樹脂製プロテクタを重ねて搬送するステップと、
   を具備したことを特徴とするプラズマディスプレイユニットの搬送方法。
5. テレビジョン装置の製造方法であって、
   請求項１記載のプラズマディスプレイユニット搬送用樹脂製プロテクタにプラズマディスプレイユニットが固定された状態で、プラズマディスプレイユニットをコンテナより取り出すステップと、
   該プラズマディスプレイユニットをテレビジョン組立ラインへ搬送するステップと、
   該テレビジョン組立ラインにて樹脂製プロテクタからプラズマディスプレイユニットを取り外すステップと、
   を具備したことを特徴とするテレビジョン装置の製造方法。

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