JPWO2004031196A1 - 有機化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このβ−ラクタム化合物は、分子内にβ−ラクタム環を有することが特徴であるが、このβ−ラクタム環は、その置換基の種類、縮合環の種類、溶液の環境条件、例えば、熱、水の存在、酸又はアルカリ等の液性により分解する場合がある。そのため、β−ラクタム化合物を製造する場合には、製造工程における化合物の分解や副反応の進行を防止するために、極力温和な製造条件が選択される。
例えば、抗菌剤として有用なβ−ラクタム化合物(4)は、下記に示す反応によって製造することができる。
しかしながら、上記反応によってβ−ラクタム化合物を工業的規模で製造する場合には、得られる反応液から目的とするβ−ラクタム化合物(4)を単離する工程において、単離収率が著しく低下する場合があり問題となっていた。
本発明者らは、上記反応によって得られた反応液から目的とするβ−ラクタム化合物(4)を単離する工程について、詳細に検討を加えた。その結果、β−ラクタム化合物(4)の単離収率が低下するのは、β−ラクタム化合物(4)を含む反応混合物からTHFとともに水を留去する脱水工程において、留去によって液レベルが低下することで、反応槽の壁面に残留した高濃度の濃縮液が槽壁面での加熱により分解することが原因であると考えられた。
そこで、β−ラクタム化合物(4)を含む反応液からTHFとともに水を留去する脱水工程において、反応液のレベルを一定にするためにTHFを添加しながらTHF及び水を留去すると、β−ラクタム化合物(4)が分解して単離収率が低下することを防止できることを見出した。また、THFから晶析溶媒であるエタノールへの溶媒置換を行なう際にも、エタノールを添加することにより反応液レベルを一定にしてTHFを留去することで、高い単離収率で目的物を単離することができることを見出した。そして、この方法を一般化することにより、本発明を完成するに到った。
かくして本発明によれば、有機化合物及び水を含む極性有機溶媒溶液から水を留去することにより、水の濃度を所定値以下にする脱水工程を有する有機化合物の製造方法であって、該脱水工程が、極性有機溶媒を前記極性有機溶媒溶液に添加しながら、極性有機溶媒とともに水を留去する工程、又は極性有機溶媒を前記極性有機溶媒溶液に添加して、極性有機溶媒とともに水を留去する操作を複数回行なう工程であることを特徴とする有機化合物の製造方法が提供される。
本発明の製造方法は、好適には、前記脱水工程を行った後に、得られた溶液に有機化合物に対する貧溶媒を添加しながら、前記溶液から極性有機溶媒を留去することにより有機化合物を晶析させる晶析工程を有する。この場合、前記貧溶媒として、アルコール系溶媒を用いるのが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記有機化合物が、β−ラクタム化合物であるのが好ましく、式(1)
(式中、Aはβ−ラクタム環構造を有する縮合ヘテロ環基を表し、Bは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。)で表されるβ−ラクタム化合物であるのがより好ましい。
また、本発明の製造方法においては、前記極性有機溶媒溶液が、式(2)
(式中、Aはβ−ラクタム環構造を有する縮合ヘテロ環基を表し、Mは、水素原子又は金属原子を表す。)で表される化合物に、極性有機溶媒中、式(3)
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。また、R1とR2とが結合して、置換基を有していてもよい炭素数3〜8の環を形成してもよい。また、Xはハロゲン原子を表す。)で表される4−ハロゲノメチルジオキソレノン化合物とを反応させて得られる反応液、又は該反応液を後処理して得られる溶液であるのが好ましい。
本発明を実施するための形態
以下、本発明の製造方法を詳細に説明する。
1)極性有機溶媒溶液
本発明の製造方法は、有機化合物及び水を含む極性有機溶媒溶液から、極性有機溶媒とともに水を留去する脱水工程を有する。
(ア)有機化合物
本発明の方法の対象となる有機化合物は特に制限されないが、水を含む有機溶媒中の長時間の熱虐待に対してその一部が分解する有機化合物、特に、有機溶媒に含まれる水の液性、具体的には、酸性又はアルカリ性等の条件下で、分解がより促進されるような有機化合物である。このような有機化合物に本発明の方法を好適に用いることができる。
本発明において、分解とは、もとの化合物と異なる構造を有する化合物に変化することをいい、置換基が脱離する場合、別の骨格に変換される場合、完全に骨格が崩壊する場合等を含むものとする。また、分解する割合は特に制限されず、もとの化合物の一部あるいは全部が分解する場合等を含む。特に、工業的に本発明の方法を適用する場合には、収率のほんの僅かな低下が最終製品の純度、製品の歩留まりに影響する。従って、0.1〜数%の有機化合物が分解する場合に本発明の方法を用いるのが好ましい。
有機化合物としては、例えば、分子内にβ−ラクタム環を有するβ−ラクタム化合物;テトラヒドロフリルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、t−ブトキシ基、1−エトキシエトキシ基、アセトキシ基、トリメチルシリルオキシ基、トリフェニルメトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基等の加水分解性保護基で保護された水酸基を有する化合物;アセタール化合物;ヘミアセタール化合物;分子内にC=N結合を有する化合物;エノール性水酸基がアシル基で保護された基を有する化合物;等が挙げられる。
これらの中でも、β−ラクタム化合物の製造工程の一部として、本発明の方法を用いるのが好ましい。
β−ラクタム化合物は、β−ラクタム系抗菌剤の活性成分として知られている。β−ラクタム化合物は、分子内にβ−ラクタム環を有する化合物であれば、単環化合物、縮合環化合物など特に制限されない。また、β−ラクタム環に結合する置換基の種類や数にも制限されない。中でも、分子内にβ−ラクタム環を有する縮合ヘテロ環基をもつ化合物が好ましく、前記式(1)で表される化合物が特に好ましい。
前記式(1)中、Aはβ−ラクタム環を有する縮合ヘテロ環基を表す。β−ラクタム環構造を有する縮合ヘテロ環基としては、例えば、次のものが挙げられる。
上記式中、r1及びr4は、G1で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基又はG1で置換されていてもよいベンゾイルアミノ基を表す。
r2、r3、r5、r6、r7及びr8は、それぞれ独立して、水素原子、G1で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、G1で置換されていてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、G1で置換されていてもよい炭素数2〜6のアルキニル基、G1で置換されていてもよい芳香族炭化水素基;又はG1で置換されていてもよいヘテロ環基を表す。
前記r1〜r8のG1で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基における炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
G1で置換されていてもよい炭素数2〜6のアルケニル基における炭素数2〜6のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、n−プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
G1で置換されていてもよい炭素数2〜6のアルキニル基における炭素数2〜6のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、n−プロピニル基、イソプロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。
G1で置換されていてもよい芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素基としては,例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
また、G1で置換されていてもよいヘテロ環基のヘテロ環基としては、環内に酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を1〜4個含有する、5員又は6員の飽和若しくは不飽和のヘテロ環の基、又は縮合ヘテロ環の基が挙げられる。
その具体例としては、下記に示す(i)5員飽和ヘテロ環基、(ii)5員不飽和ヘテロ環基、(iii)6員飽和ヘテロ環基、(iv)6員不飽和ヘテロ環基、(v)縮合ヘテロ環基等が挙げられる。
(i)5員飽和ヘテロ環基
(ii)5員不飽和ヘテロ環基
(iii)6員飽和ヘテロ環基
(iv)6員不飽和ヘテロ環基
(v)縮合ヘテロ環基
キノリン−2−イル、キノリン−3−イル、キノリン−4−イル、キノリン−5−イル、キノリン−6−イル、キノリン−7−イル、キノリン−8−イル等のキノリニル基;イソキノリン−1−イル、イソキノリン−3−イル、イソキノリン−4−イル、イソキノリン−5−イル、イソキノリン−6−イル、イソキノリン−7−イル、イソキノリン−8−イル等のイソキノリニル基;等。
前記G1としては、例えば、水酸基;ニトロ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基などの炭素数1〜6のアルコキシ基;トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基などのトリアルキルシリルオキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基などの炭素数1〜6のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n−プロピルスルフィニル基などの炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基,n−ブチルスルホニル基などの炭素数1〜6のアルキルスルホニル基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基などの炭素数1〜6のアルキル基が置換したアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基などの炭素数1〜6のアルキル基が2個置換したアミノ基;アセチル基、プロピオニル基、プロピルカルボニル基などの炭素数1〜6のアルキルカルボニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基などの炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。置換基G1は、任意の位置に結合していてもよく、また、同一又は相異なる複数個が結合していてもよい。
前記式(1)中、Bは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。
前記置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、4−メトキシブチル基等の酸素原子を有する置換基で置換された炭素数1〜20のアルキル基;メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、2−メチルチオエチル基、3−メチルチオプロピル基、4−メチルチオブチル基等の硫黄原子を有する置換基で置換された炭素数1〜20のアルキル基;
ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノエチル基等の窒素原子を有する置換基で置換された炭素数1〜20のアルキル基;フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基等のハロゲン原子で置換された炭素数1〜20のアルキル基;等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の置換基、及び置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基の置換基としては、例えば、酸素原子を有する置換基、窒素原子を有する置換基、硫黄原子を有する置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。また、炭素数2〜20のアルケニル基、又はアルキニル基としては、G1で例示した同様の基を例示することができる。
前記置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−クロロ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基などが挙げられる。
前記置換基を有していてもよいヘテロ環基としては、環内に窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を1〜4個含有するヘテロ環の基であれば、単環ヘテロ環の基でも、縮合ヘテロ環の基であってもよい。中でも、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を1〜4個含有する5員ヘテロ環、6員ヘテロ環又は縮合ヘテロ環の基が好ましい。具体的には、前記r2、r3、r5、r6、r7及びr8のヘテロ環基として例示したヘテロ環基と同様の基が挙げられる。
前記Bのヘテロ環基の置換基としては、例えば、ニトロ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等の炭素数1〜6のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n−プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、n−ブチルスルフィニル基、t−ブチルスルフィニル基等の炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニル基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキル基が1個置換したアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、エチルメチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキル基が2個置換したアミノ基;アセチル基、プロピオニル基等の炭素数1〜6のアルキルカルボニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいフェニルスルフィニル基;置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基;又は置換基を有していてもよいフェニルチオ基等が挙げられる。これらの置換基は、ヘテロ環の任意の位置に同一又は相異なって2種類以上が置換していてもよい。
前記フェニルスルフィニル基、フェニルスルホニル基及びフェニルチオ基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1〜6のハロアルキル基;又は、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基等の炭素数1〜6のハロアルコキシ基;等が挙げられる。
(イ)極性有機溶媒
本発明に用いる極性有機溶媒は、双極子モーメントをもつ分子からなる有機溶媒であれば特に制限されない。例えば、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、ウレア系溶媒、エステル系溶媒、含硫黄系溶媒、ハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
その具体例としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸ホスホロアミド等のアミド系溶媒;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のウレア系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル等のエステル系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロトルエン、クロロキシレン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;等が挙げられる。前記極性有機溶媒溶液は、これら極性有機溶媒の2種以上を含有していてもよい。
これらの中でも、有機化合物及び水をともに溶解し、水とともに容易に蒸発留去できる極性有機溶媒が好ましい。このような極性有機溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒又はケトン系溶媒が挙げられる。これらの溶媒を使用した場合に、好ましく本発明の方法を適用でき、中でもエーテル系溶媒の使用がより好ましく、テトラヒドロフランの使用が特に好ましい。
(ウ)水
本発明に用いる極性有機溶媒溶液中に含まれる水の量(濃度)は特に制限されず、50重量%以上等の多量の水分を含む場合にも適用することができる。多量の水を含む場合には、分液等の他の操作を用いて水分量を減少させてから、本発明の方法を用いるのが好ましい。
(エ)ハロゲン化合物
本発明の方法は、前記極性有機溶媒溶液に、有機化合物、水及び水又はアルコール系溶媒と接触して有機化合物の分解を促進する物質を生成する化合物が存在する場合に好適に用いることができる。有機化合物の分解を促進する物質としては、ハロゲン化合物が代表的である。
上記ハロゲン化合物としては、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン単体;金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物等の金属ハロゲン化合物;有機塩素化物、有機臭素化物、有機ヨウ化物等の有機ハロゲン化合物;等を例示することができる。本発明の方法は、これらのハロゲン化合物の中で、ヨウ素またはアルカリ金属ヨウ素化合物が系内に含まれている場合に、特に有効である。アルカリ金属ヨウ素化合物の例としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化第二鉄、ヨウ化亜鉛、ヨウ化第二銅等が挙げられる。
前記極性有機溶媒溶液は、有機化合物、及び水を含む極性有機溶媒溶液であれば特に制約されないが、極性有機溶媒中、前記式(2)で表される化合物と前記式(3)で表される4−ハロゲノメチルジオキソレノン化合物とを反応させて得られる反応液、又は該反応液を後処理(該反応液を水等で洗浄し、有機層を分取する等)を行って得られた溶液であるのが好ましい。本発明においては、より収率よく目的とする有機化合物を単離する場合に好適に用いることができる観点から、後者の溶液であるのが好ましい。
前記式(2)中、Aは前記と同じ意味を表す。
Mは、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属;又は、銅(I)、銅(II)、コバルト(II)、コバルト(III)、鉄(II)、鉄(III)、亜鉛(II)、マンガン(II)等の遷移金属;等を表す。また、Mが水素以外の原子である場合、式(2)で表される化合物は、無水物であっても、水和物であってもよい。
前記式(3)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
前記炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基の置換基としては、ニトロ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等炭素数1〜6のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基等の炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニル基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキル基が1個置換したアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキル基が2個置換したアミノ基;アセチル基、プロピオニル基等の炭素数1〜6のアルキルカルボニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;G2で置換されていてもよいフェニルスルフィニル基、G2で置換されていてもよいフェニルスルホニル基、G2で置換されていてもよいフェニルチオ基等が挙げられる。
前記G2としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロアルキル基;トリフルオロメトキシ基等の炭素数1〜6のハロアルコキシ基;等が挙げられる。
また、R1とR2は互いに結合して、置換基を有していてもよい炭素数3〜8の環を形成してもよい。炭素数3〜8の環としては、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環等が挙げられる。前記環の置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜6のアルキルチオ基;ジメチルアミノ基、アセチルアミノ基等の置換アミノ基;ニトロ基;シアノ基;等が挙げられる。また、これらの置換基は、任意の位置で、同一若しくは相異なって複数個が置換していてもよい。
これらのうち、R1及びR2としては、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基であるのが特に好ましい。
前記式(3)で表される4−ハロゲノメチルジオキソレノン化合物の好ましい具体例としては、次のものが挙げられる。
前記式(3)で表される4−ハロゲノメチルジオキソレノン化合物は、例えば、USP.4,448,732号公報に記載の方法等により製造し、入手することができる。
前記式(2)で表される化合物と前記式(3)で表される4−ハロゲノメチルジオキソレノン化合物との反応においては、反応を円滑に進行させ得るために相間移動触媒を添加してもよい。当該相間移動触媒の例には、4級アンモニウム塩、(例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド(TBAC)等のテトラアルキルアンモニウムクロリド;テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド等のテトラアルキルアンモニウムブロミド;ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジル−トリ−n−ブチルアンモニウムクロリド(BTBAC)、ベンジル−トリ−n−ブチルアンモニウムブロミド等のベンジルトリアルキルアンモニウムハライドなど)などが含まれる。
前記反応において、前記式(2)中、Mが水素原子である場合(すなわち、式(2)の化合物がカルボン酸である場合)には、反応系に塩基を添加するのが好ましい。用いる塩基の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;水素化ナトリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド等の金属アルコキシド;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基が含まれる。
2)脱水工程
本発明は、前記極性有機溶媒溶液から極性有機溶媒とともに水を留去することにより、水の濃度が所定値以下である有機化合物の溶液を得るに際し、(a)極性有機溶媒を前記溶液に連続的に添加しながら、極性有機溶媒とともに水を留去する、又は(b)極性有機溶媒の所定量を前記溶液に添加して、前記溶液から極性有機溶媒とともに水を留去する操作を複数回繰り返すことを特徴とする。前記(a)又は(b)の操作方法を採用することにより、槽内の液レベルの変動が抑制され、高濃度の濃縮液が槽壁面に付着することが防止されることを見出した。その結果、高濃度の濃縮液が槽壁面で加熱されて分解するのを防止することができる。
脱水工程において添加する極性溶媒は、前記溶液に含まれる極性溶媒と同一であっても相異なるものであってもよい。その具体例としては、前記溶液に含まれる極性溶媒として列記したものと同様なものが挙げられる。
本発明においては、前記(a)及び(b)のいずれの操作方法も採用できるが、脱水工程において溶液の液界面部分の位置(水平面)が変化すると、界面の下がった局部において必要以上に液残渣が加熱されて有機化合物の分解を促進する化合物が生成しやすくなり、その結果、有機化合物の分解が促進されやすくなる。従って、槽の加熱部分は、現状の液界面の位置とほぼ同一、また下位が好ましく、溶液の留去に伴う液界面部分の変化をなるべく少なくするために、極性有機溶媒の添加量は、留出する極性有機溶媒及び水の量(体積)とほぼ同体積とするのが好ましい。
脱水工程は、前記溶液を収容した槽中で行なうことができる。前記溶液が反応液の場合には、反応終了後、使用した反応槽中で連続的に脱水工程を行なうことができる。また、反応液を別の槽へ移送して脱水工程を行なうこともできる。
前記溶液から極性有機溶媒とともに水を留去するには、槽を所定温度に加熱すればよい。槽の加熱温度は、極性有機溶媒の種類にも依存する。槽の加熱温度が高いほど脱水工程の作業効率は向上するが、加熱温度があまりに高いと有機化合物の分解が促進されるおそれがある。従って、有機化合物の分解を抑制しつつ、効率よく極性有機溶媒及び水の留去を行なうには、減圧下に加熱して極力低い温度で極性有機溶媒及び水の留去を行なうのが好ましい。
脱水工程における溶液の加熱温度、槽内の減圧度は、用いる極性有機溶媒の沸点、有機化合物の熱安定性等により定めることができるが、通常、0〜80℃、好ましくは10〜70℃、より好ましくは20〜50℃である。加熱するときの槽内部の圧力は、1〜100kPa、好ましくは10〜50kPaである。
また脱水工程は、槽に公知の蒸留装置を取り付けて行うのが好ましい。蒸留装置としては、留出する極性有機溶媒及び水を捕集することができるものであれば特に制約されず、例えば、配管、冷却管及び捕集器を有する蒸留装置を用いることができる。
脱水工程後の溶液中の水は、目的とする有機化合物を高い単離収率で得ることができる程度にまで除去されていればよいが、脱水工程後の溶液の水含有量は、脱水工程後の溶液全体に対して、通常4重量%以下、好ましくは3.5重量%以下である。脱水工程後の溶液の水含有量は、公知の水分測定装置(例えば、カールフィッシャー水分計など)により測定することができる。
3)晶析工程
次に、水の含有量が所定値以下となった溶液から、有機化合物を単離する。
有機化合物を単離する方法としては、例えば、(i)脱水工程で得られた溶液から極性有機溶媒を留去して、残留物に晶析溶媒を添加して晶析する方法、(ii)前記脱水工程で得られた溶液に晶析溶媒を添加しながら、前記溶液から極性有機溶媒を留去することにより、有機化合物を晶析させる方法、(iii)該残留物に再結晶溶媒を添加して再結晶する方法、(iv)該残留物をカラムクロマトグラフィーの手法により精製する方法等が挙げられる。尚、晶析溶媒とは、有機化合物に対する溶解度が低く、好ましくは不純物に対する溶解度が大きい有機溶媒を表し、具体的には、再結晶に用いる溶媒(再結晶溶媒)、晶析させる有機化合物に対する溶解度がかなり低い溶媒(一般的に、貧溶媒と称される)等を例示することができる。また、貧溶媒、再結晶溶媒の区別は厳密なものではなく、場合によって使い分けるものとする。
これらの方法の中でも、(i)又は(ii)の方法を採用するのが好ましく、(ii)の方法が特に好ましい。また、(i)や(ii)の方法によれば、他の方法に比して晶析溶媒の使用量を削減することができる。
上記(ii)方法において、晶析溶媒を添加する方法としては、晶析溶媒の所定量を複数回に分けて添加する方法や、晶析溶媒の一定量を連続的に添加する方法が挙げられる。本発明においては、いずれの方法も採用することができるが、晶析工程において溶液量が減ると、液界面部分において溶液が局部的に濃縮されやすくなるため、溶液の液界面部分の位置を一定にすべく、晶析溶媒の添加量は、留出する極性有機溶媒量(体積)と略同体積とするのが好ましい。
用いる晶析溶媒としては、有機化合物の溶解度が低く、有機化合物が分解することなく安定に存在する溶媒であれば特に制約されないが、アルコール系溶媒の使用が好ましい。
アルコール系溶媒としては,例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の炭素数1〜6のアルコールが挙げられる。中でも、炭素数1〜3のアルコールの使用が好ましく、エタノールの使用が特に好ましい。
晶析工程は、前記脱水工程を行なった槽中で連続的に行なうこともできるが、脱水工程で得られた溶液を別の槽に移送して、別の槽中で行なうこともできる。
晶析工程は、槽を加熱することにより極性有機溶媒を蒸発除去することにより行なうことができる。槽の加熱温度は、極性有機溶媒の種類にもよるが、加熱温度が高いほど溶媒置換工程の作業効率は向上するものの、あまりに高い温度に加熱すると有機化合物の分解反応が進行しやすくなる。従って、極力低い温度で極性有機溶媒の留去を効率よく行なうためには、減圧下に加熱するのが好ましい。
晶析工程における溶液の温度は、通常、0℃〜80℃、好ましくは10℃〜70℃、より好ましくは20℃〜50℃である。加熱するときの槽内部の圧力は、1〜100kPa、好ましくは5〜50kPaである。
晶析工程後の溶液中の極性有機溶媒の濃度は、通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
極性有機溶媒の除去が終了した後、得られた溶液を10℃以下、好ましくは0〜10℃に冷却することにより、目的とする有機化合物を晶析することができる。晶析のための冷却時間は、通常、数十分から数時間である。
析出した有機化合物は濾過法により濾取する方法や、遠心分離機により晶析溶媒を除去する方法等により単離することができる。また、得られた有機化合物を、所望により再結晶又は晶析溶媒で洗浄してもよい。
以上のようにして、目的とする有機化合物を効率よく単離することができる。得られた有機化合物の構造は、IRスペクトル、マススペクトル、1H−NMRスペクトルの測定、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどにより確認することができる。
なお、以下の実施例及び比較例において、出発原料として用いた(5R,6S)−6−(1−(R)−ヒドロキシエチル)−7−オキソ−3−(2−(R)−テトラヒドロフリル)−4−チア−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸のナトリウム塩2.5水和物は、特開昭63−162694号公報記載の方法に従って製造した。
上記で得た溶液Aを17.3〜19.3kPaに減圧し、温度を20〜32℃(バス温 40℃)として、THFを留出させた。THFが約90ml留出した毎に新しいTHF90mlを溶液Aに追加した。この操作を3回繰り返した。このようにして化合物(5)のTHF溶液を得た。得られた溶液は、化合物(5)の0.9リットル/モル溶液であり、溶液Aに含まれる水含有量を測定したところ、0.47重量%であった。
次に、溶液Aを75℃まで加温してTHFを留出させ、化合物(5)の濃縮THF溶液(約0.25リットル/モルTHF溶液)とした後、エタノール95mlを加えた。得られた溶液を撹拌して均一な溶液とし、16〜20kPaに減圧して、23〜40℃(バス温:23〜40℃)でTHFとエタノールを留去させた。このとき、溶液の体積が変わらないようにエタノールを一定速度で滴下し、溶液Bを得た。滴下したエタノール量は合計で105mlであった。また、溶液Bは化合物(5)の1.2リットル/モル溶液であった。
次に、溶液Bを15℃に30分間冷却して、化合物(5)を晶析させた。析出した結晶を濾取し、冷エタノール12mlで2回洗浄した。得られた結晶を乾燥して化合物(5)の粗結晶35.65gを得た。このものの純度は98.9%、収率は88.7%であった。
化合物(5)の粗結晶をエタノール180mlに懸濁させ、60℃で10分間加熱して、結晶を完全に溶解させた。この溶液を加圧濾過して得られた濾液を30℃付近で30分間保持した後、10.6〜13.3kPaの減圧下、30〜35℃でエタノール80mlを留去させた。次いで、得られた溶液を15℃で30分間冷却して化合物(5)を晶析させた。晶析した結晶を濾取し、冷エタノール13mlで2回洗浄して、化合物(5)の結晶を得た。このものの純度は99.5%、収率は85.1%であった。
(比較例1)
実施例2において、溶液AからTHFを留去する工程において、THFを連続添加することなく一度に添加した後、THFの留去を行った。THFを留去した後の溶液中の水分含有量は2重量%であった。その後、実施例1と同様の操作を行い、化合物(5)を単離した。実施例1で得た化合物(5)と同等の純度のものが得られたが、収率が80%と低下した。
(比較例2)
比較例1において、THFを留去する工程後、エタノールを連続添加することなく一度に添加した後、エタノール−THFの留去を行う以外は、比較例1と同様の操作を行ない、化合物(5)を単離した。実施例1で得た化合物(5)と同等の純度のものが得られたが、収率が70%と低下した。この場合に、母液中に収率が低下した分の化合物(5)が含まれていることがわかった。母液の溶媒組成を調べたところ、THFが多く残存しており、化合物(5)がTHFに溶解することから収率の低下につながったものと考えられた。一括して添加するエタノール量を3倍に増やし、同様の操作を行ったところ、純度、収率とも比較例1と同等の結果が得られたが、使用する溶媒量は増加した。
Claims (10)
- 有機化合物及び水を含む極性有機溶媒溶液から水を留去することにより、水の濃度を所定値以下にする脱水工程を有する有機化合物の製造方法であって、該脱水工程が、極性有機溶媒を前記極性有機溶媒溶液に添加しながら、極性有機溶媒とともに水を留去する工程、又は極性有機溶媒を前記極性有機溶媒溶液に添加して、極性有機溶媒とともに水を留去する操作を複数回行う工程であることを特徴とする有機化合物の製造方法。
- 前記極性有機溶媒溶液が、水又はアルコール系溶媒と接触して酸性物質を生成するハロゲン化合物を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物の製造方法。
- 前記ハロゲン化合物が、ヨウ素化合物であることを特徴とする請求項2に記載の有機化合物の製造方法。
- 前記ヨウ素化合物が、ヨウ素又は金属ヨウ化物であることを特徴とする請求項3に記載の有機化合物の製造方法。
- 前記極性有機溶媒溶液が、エーテル系溶媒又はケトン系溶媒の溶液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機化合物の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の脱水工程を行った後に、得られた溶液に有機化合物に対する貧溶媒を添加しながら、前記溶液から極性有機溶媒を留去することにより、有機化合物を晶析する晶析工程を有することを特徴とする有機化合物の製造方法。
- 前記貧溶媒として、アルコール系溶媒を用いることを特徴とする請求項6に記載の有機化合物の製造方法。
- 前記有機化合物が、β−ラクタム化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機化合物の製造方法。
- 前記極性有機溶媒溶液が、式(2)
(式中、Aは、β−ラクタム環構造を有する縮合ヘテロ環基を表し、Mは、水素原子又は金属原子を表す。)で表される化合物に、極性有機溶媒中、式(3)
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。また、R1とR2とが結合して、置換基を有していてもよい炭素数3〜8の環を形成してもよい。また、Xはハロゲン原子を表す。)で表される4−ハロゲノメチルジオキソレノン化合物とを反応させて得られる反応液、又は該反応液を後処理して得られる溶液であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の有機化合物の製造方法。
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