JPWO2004018650A1 - 脱色酵母細胞壁画分 - Google Patents

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Abstract

酵素処理した酵母から可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣からなる酵母細胞壁画分、或いは該菌体残渣を酸性水溶液で処理し、酸性水溶液可溶化成分を除去した残渣を、脱色剤により脱色処理することによって、脱色処理前の酵母細胞壁画分の優れた性質を損なうことなく、更に、その物性において優れた性質を付加した脱色酵母細胞壁画分を得る。本発明の脱色酵母細胞壁画分は、白色を呈し、なお且つ、脱色前の酵母細胞壁画分が有している、コーティング剤として利用する場合の長所をそのまま保持し、更に、酵母細胞壁画分の機械的特性の向上や酵母臭の低減などの優れた性質が付加された脱色酵母細胞壁画分となる。

Description

本発明は、脱色・脱臭され、かつ改良された物性を有する脱色酵母細胞壁画分、その製造方法、及び該脱色酵母細胞壁画分のコーティング剤としての利用に関する。
従来より、酵母細胞壁画分の利用に関しては、酵母からフィルム素材を開発しようとする試みがなされている。例えば、特公昭56−19971号公報には、脱核酸酵母から酵母細胞膜成分を除去して水に可溶性のタンパク質を主成分とする可食性タンパク質フィルムが開示され、特開昭53−45385号公報には、酵母などの微生物菌体を熱アルカリ処理後、酸を加えて等電点沈殿処理を施し、生成した沈殿のpHを6〜8に調節して得られるゲル形成性微生物菌体に可塑剤を配合してなる組成物を成膜するフィルムの製造方法が開示されている。
また、特許第3349677号公報(特開2000−44878号公報)には、酵素処理した酵母から可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣からなる酵母細胞壁画分を主成分とするコーティング剤について開示があり、該コーティング剤や、可塑剤を添加したコーティング剤を、コーティング剤として或いはコーティングフィルムとして用いることについて開示されている。このコーティング剤は、水100%の分散媒でも、コーティングが可能で、粘性の割に仕上がりにべとつきがなく、コーティング後の粒子同士の付着がないことや、更に溶出時間を制御できる機能を有することが、その優れた特性として挙げられており、また、該コーティング剤で形成したフィルムは、乾燥条件では酸素透過係数が極めて低いという特性を持つことが示されている。
しかしながら、上記のように、特許第3349677号公報記載のコーティング剤は極めて優れたフィルム特性を有しているが、該特許公報記載のフィルムコーティング剤を用いた場合、黄褐色〜褐色を呈するため、内包物に比較しコーティング物、打錠物の外観形状を悪化させ変質の誤認(例えばカビと見間違える、着色が劣化と勘違いしてしまう等)及び変質の発見の遅れにつながる可能性があった。
また、該特許公報記載のコーティング剤には、酵母細胞壁画分自身にもタンパク質(重量比で21%)や脂質(重量比で8.0%)が比較的多く含まれるため、保存中での脂質の酸化等による着色が生じる可能性があった。
更に、酵母細胞壁画分自体には幾分酵母由来の臭気(以下酵母臭)が含まれるため、香気成分を対象としてコーティングを行った場合、目的とする香気成分を保持する一方で酵母細胞壁画分自体の持つ酵母臭により必要とする香気がマスキングされる或いは損なわれる危険性があり添加量を低く抑えることが必要となる結果、十分な能力を発揮できない問題もあった。
また、フィルム自身の機械的特性として、しなやかさ(可塑性)の面で劣り、比較的脆く、コーティング内包物との組み合わせによっては、外界湿度等の環境の変化でフィルムが割れ易くなる傾向もみられた。
一方で、酵母細胞壁画分を利用するに際して、酵母細胞壁画分を脱色・脱臭して用いることも既に知られている。特開平4−248968号公報には、酵母エキス残渣をアルカリおよび酸で処理後、オゾンで脱色すると共に、該オゾン処理の前後にエタノールで処理する方法が、特表平6−504191号公報には、酵母くずをアルカリ、過酸化水素等で処理後、酸性化する酵母くずの処理方法及び処理物が、特許第3407125号公報(特開平9−103266号公報)には、酵母自己消化不溶物をエタノールで懸濁下、アルカリ処理する方法が開示されている。
しかしながら、これらの従来の方法では脱色・脱臭のための処理により、被処理物が変質しその特性が失われたり、もとの菌体の形態及び構造が破壊されることでフィルム性、フィルム崩壊性を失う問題があり、またフィルム性、フィルム崩壊性を維持したまま脱色すると、目的の色のレベルまで脱色ができない等の問題があって、その利用には種々の制約が存在していた。
すなわち、酵母エキス抽出残渣等の脱色・脱臭については、従来から試みられていたが、従来行われていた脱色の方法、例えば、特開平4−248968号公報(酵母エキス抽出残渣の脱色・脱臭方法)、特開平6−70751号公報(酵母破片生成物)、特表平6−504191号公報(酵母くずの処理及び結果として得られた生成物)などにみられる高いアルカリ性条件での加熱処理(還流煮沸等も含む)や高い酸性条件での加熱処理(還流煮沸等も含む)を行い、可溶化成分などを除いた後、過酸化水素等の薬剤で処理するあるいはオゾン等を反応させる、あるいは次亜塩素酸等漂白剤を反応させるといった方法をそのまま酵母細胞壁画分の脱色処理に適用すると、得られる脱色酵母細胞壁画分において上記のような酵母細胞壁画分の優れた性質が損なわれるという問題があった。
他方で、医薬においては、薬効成分をそのまま化合物の形で投与されることは少なく、目的に合わせて薬効成分の溶出をさせるために医薬用添加剤を配合して製剤を作成することが行われる。医薬用添加剤としては種々のものが有るが、その一例を挙げる。
例えば、医薬用の水系コーティング剤として使用されるオイドラギッドLS30−D55は、非天然物である、ガスバリア性が低い、コーティング量を増やすとフィルム崩壊性が悪い等の問題があった。このため、水系、ガスバリア性が高く、香気成分や臭い等の揮散の防止効果をもち、充分な崩壊性を持つ、天然物由来のコーティング剤が望まれていた。また、特許3349677号公報記載の酵母細胞壁画分は、水系、天然物由来であり、ガスバリア性が高く、フィルム性があり、フィルム崩壊性が良好であるが、酵母由来の色、臭いがあるため、無色、無臭のものが望まれていた。更に、結合剤に用いられるHPCやHPMCは添加量が多くなると、造粒物の崩壊が遅延する問題があった。酵母細胞壁画分は乾燥すると強固な結合力を示すが、水中では早い崩壊性を示す事から、結合性を有した崩壊剤であるが、黄褐色〜褐色を呈しているため、出来上がりの造粒物が黄褐色〜褐色になるため、無色のものが望まれていた。
また、カプセル基材として、ゼラチン、水溶性高分子(ヒドロキシメチルエチルセルロース)、プルラン、ポリビニルアルコール(PVA)等が知られているが、これらは溶出制御が行い難い、酸素バリア性が低いため薬剤が変質する、原料の安全性(BSEや合成化合物)等の問題がある。
これらの問題点を解決する手段として、酵母細胞壁画分をカプセル基材として利用することが試みられており、それらを記載したものとして、特開2002−38133号公報、特開2003−70428号公報がある。しかしながら、これらの方法では、酵母細胞壁画分は黄褐色〜褐色を呈しているため、出来上がりカプセルの色が黄掲色〜褐色になることや、酵母細胞壁画分中にタンパク質や脂質が多いことから酵母細胞壁画分自体が着色する等の問題があつた。
本発明の課題は、脱色・脱臭され、酵母細胞壁画分由来の色及び臭い等が除去され、かつ、優れたフィルム性、更に好ましくはフィルム崩壊性、及び、形成されたフィルムの優れたガスバリア性等が保持又は改良された物性を有する脱色酵母細胞壁画分、その製造方法、及び該脱色酵母細胞壁画分のコーティング剤としての利用、更には該コーティング剤で処理されたコーティング処理物等を提供することにある。
酵素処理した酵母から可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣からなる酵母細胞壁画分(Yeast Cell Wall:YCW)、或いは該菌体残渣を更に酸性水溶液で処理し、酸性水溶液可溶化成分を除去した菌体残渣からなる酸処理酵母細胞壁画分(Acid−treated Yeast Cell Wall:AYC)などのような酵母細胞壁画分(以下、特に規定の無い場合は、上記酵母細胞壁画分:YCW、酸処理酵母細胞壁画分:AYC両者総称して酵母細胞壁画分と記載する)は、フィルム性に優れ、かつ、これらの画分により形成されたフィルムは優れたガスバリア性を有する等、優れた物性を有するものである。しかし、酵母由来の褐色〜黄色の着色、及び特有の臭い等があるため、その医薬品や食品等の利用に際しては、それらの着色、臭い等が障害になる場合があった。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、酵素処理した酵母から可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣、或いは該菌体残渣を更に酸性水溶液で処理し、酸性水溶液可溶化成分を除去した菌体残渣のような、酵母細胞壁画分を脱色処理することにより、酵母細胞壁画分の持つ、フィルム性及び、形成されたフィルムのガスバリア性等における優れた物性を損なうことなく、酵母細胞壁画分由来の色及び臭いを除去して、液YI(Yellow Index)が低く(13以下)、フィルム性のある、更に好ましくはフィルム崩壊性のある脱色酵母細胞壁画分を取得し、なお且つ、該処理によって、該脱色酵母細胞壁画分をコーティング剤として用いた場合の被コーティング物の変質等を防止し得る脱色酵母細胞壁画分を取得できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明の脱色酵母細胞壁画分は、優れたコーティング剤としての利用が有り、例えば、医薬製剤の分野で、「ウィスカーの発生」として問題になっているような、揮発性又は昇華性物質を含有する製剤の揮発又は昇華の防止剤としても有用性を発揮するものであり、ここでいう、ウィスカーとは固形製剤中の揮発・昇華性物質が揮発し、固形製剤表層に針状の結晶を析出する現象を指し、この現象の発生により、固形製剤の流動性の悪化やカビとの誤認等が問題として指摘されているものである。
すなわち本発明は、脱色酵母細胞壁画分が、日本電色(株)SE−2000による反射型方法(光源C、視野2度)で測定した液のYI(Yellow Index)が13以下であることを特徴とする脱色酵母細胞壁画分(請求項1)や、脱色酵母細胞壁画分が、脱色酵母細胞壁画分の5%(重量比)スラリーをベーカーアプリケーターを用い延伸ポリプロピレンフィルム セネシPOP(ダイセル化学工業(株)、フィルム膜厚0.02mm)の上にキャストし、60℃のオーブンで45分乾燥してキャストフィルム(フィルム膜厚約0.015mm)を作製した場合、湿度60%RHでの酸素透過率が250ml/m・d・MPa以下である連続したフィルムを形成する性質を有することを特徴とする請求項1記載の脱色酵母細胞壁画分(請求項2)や、脱色酵母細胞壁画分が、脱色酵母細胞壁画分の5%(重量比)スラリーを円形容器:60mmの径で60℃、2時間乾燥してキャストフィルムを作製した場合(フィルム膜厚:約0.1mm)、該フィルムの純水での崩壊時間が60分以内であることを特徴とする請求項1又は2記載の脱色酵母細胞壁画分(請求項3)や、酵素処理した酵母から、可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣、或いは該菌体残渣を更に酸性水溶液で処理し、酸性水溶液可溶化成分を除去した菌体残渣を、脱色処理して調製されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の脱色酵母細胞壁画分(請求項4)からなる。
また本発明は、酵素処理した酵母から、可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣、或いは当該菌体残渣を更に酸性水溶液で処理し、酸性水溶液可溶化分を除去した残渣を脱色剤を用いて脱色処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の脱色酵母細胞壁画分の製造方法(請求項5)や、脱色剤による脱色処理が、過酸化水素及びオゾンによる脱色処理であることを特徴とする請求項5記載の脱色酵母細胞壁画分の製造方法(請求項6)からなる。
さらに本発明は、請求項1〜4のいずれか記載の脱色酵母細胞壁画分を主成分とすることを特徴とするコーティング剤(請求項7)や、請求項7記載の脱色酵母細胞壁画分を主成分とするコーティング剤を用いてコーティング処理が施されたコーティング処理物や、コーティング処理物が、微粒子、顆粒、若しくは錠剤であることを特徴とする請求項8記載のコーティング処理物や、コーティング処理物が、医薬製剤又は食品であることを特徴とする請求項8又は9記載のコーティング処理物からなる。
第1図は、本発明の実施例において、脱色酵母細胞壁画分からのフィルム成形性試験の結果を表した写真である。Aは比較例品4の成形性試験の結果(フィルム成形性)を、Bは実施例品1のフィルム成形性試験の結果(フィルム成形性)を示す。
第2図は、本実施例品1、3と比較例品1,3の細胞壁保形性の相異を示す走査型電子顕微鏡:SEM、写真である。
本発明は、酵素処理した酵母から、可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣からなる酵母細胞壁画分、或いは当該菌体残渣を更に酸性水溶液で処理し、酸性水溶液可溶化分を除去した菌体残渣からなる酸処理酵母細胞壁画分を脱色剤を用いて脱色処理することにより製造される、脱色・脱臭され、液のYI(Yellow Index)が低く(13以下)、フィルム性のある、更に好ましくはフィルム崩壊性、形成されたフィルムのガスバリア性及びその他の物性において優れた性質を有する脱色酵母細胞壁画分よりなる。本発明の脱色酵母細胞壁画分は、コーティング剤として用いる場合に、特に優れた性質を有する。
[脱色酵母細胞壁画分の性質]
本発明の脱色酵母細胞壁画分は、以下のような優れた性質を有する。
(黄色度YI:Yellow Index)
本発明の脱色酵母細胞壁画分の脱色の程度は、YI値で特定される。本発明において、YI値とは、「本電色(株)SE−2000による反射型方法(光源C、視野2度)で測定した液のYI(Yellow Index)」で定義される。
すなわち、酵母細胞壁画分は、酵母由来の黄褐色〜褐色を呈しているため、脱色IはJIS K 7103に規定されているように、無色又は白色から黄方向に離れる度合いで、プラスの量として表示される。YIが低い程白色度が高い(黄色度が低い)。例えば、脱色酵母細胞壁画分の固形分5%液(5g)において、YIがマイナスの値を示す物は脱色度が高く、黄色度が低いことを意味するため、YIを0と規定する。本発明では、日本電色工業(株)分光式色差計SE−2000の反射測定法、光源C、視野2度により、固形分5%の液色の測定を行い、三回測定の平均値で示した。本発明の脱色酵母細胞壁画分の液YIとしては13以下である。好ましくは6以下、より好ましくは1以下が良い。液YIが13よりも高い脱色酵母細胞壁画分は黄色を呈しており、製剤に応用した場合に薬剤及びその他賦形剤との色むらができるため、好ましくない。
更に、既存コーティング剤との黄色度の比較は、錠剤状態(錠剤重量換算で10%コーティングした錠剤)やフィルム状態(厚さ約0.1mm)にし、それぞれ、錠剤YIやフィルムYIにより行うこともできる。
従って、これら錠剤YIやフィルムYIによっても錠剤やフィルムそのものの脱色の程度を評価、定義することができる。
(細胞壁保形性)
脱色酵母細胞壁画分につき、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することにより、酵母細胞壁画分10〜100個につき、その殆ど(7割以上)が酵母細胞の原型を留めているか否かを判断した。それにより、原型を留めているものを細胞壁保形性ありと定義した。
また粒度分布計(例:HORIBA製レーザー粒度分布計LA−920)を使用し常法に従って粒度分布を測定した。相対反射率はχの値が0.3以下となる値を採用し、粒子の凝集を防ぐため超音波照射下で測定を行い、粒度分布のモード径が微小方向へシフトの有無で細胞壁形状の破壊状況について判断した。
また、以下に示す種々の加工品(フィルム)において、所望の性質を有することが望ましい。各種物性の測定法、定義は、以下の通りである。
(フィルム性)
5%(重量比)の酵母細胞壁画分のスラリーをベーカーアプリケーター(ヨシミツ精機(株)製)を用い延伸ポリプロピレンフィルムセネシPOP(ダイセル化学工業(株)、フィルム膜厚0.02mm、カタログ酸素透過度304ml/m・d・MPa)の上にキャスト後、60℃のオーブンで45分乾燥し、フィルム(フィルム膜厚約0.015mm)を作成した。
上記キャストフィルムを、モコン(MOCON:modern Controls社製)のOX−TRAN100を用い、酸素透過度を温度20℃、湿度60%RH、試験面積5cmの、酸素濃度100%の条件下で行った。ここで酸素透過度とは、フィルム厚さを決めた場合(厚さ約0.015mm、全体のフィルム膜厚約0.035mm)の、フィルム面積あたり、時間あたり、圧力あたりの酸素の透過度を示す。延伸ポリプロピレンフィルムに脱色酵母細胞壁画分をキャストしたフィルムの酸素透過度が250ml/m・d・MPa(RH60%)未満である場合、連続したフィルムとし、フィルム性ありと定義した。
本発明品は少なくとも上記の液YIとフィルム性に係る要件を満たせばよいが、更に好ましくは以下のフィルム崩壊性始め、諸性質をも満たすことが望ましい。
(フィルム崩壊性)
本発明の脱色酵母細胞壁画分は、好ましくは優れたフィルム崩壊性をも有する。本発明の脱色酵母細胞壁画分のフィルム崩壊性は、「脱色酵母細胞壁画分の5%(重量比)スラリーを円形容器:60mmの径で60℃、2時間乾燥してキャストフィルムを作製した場合(フィルム膜厚:約0.1mm)、該フィルムの純水での崩壊時間」によって特定される。
すなわち、「フィルム崩壊性(水分散性)がある」とは、「脱色酵母細胞壁画分の5%(重量比)スラリーを、円形容器:60mmの径で60℃、2時間乾燥したキャストフィルム(フィルム膜厚:約0.1mm)の脱色酵母細胞壁画分の面積4cmを第十四改正日本薬局方に記載される崩壊試験法に用いられる装置で、純水37℃を用いた場合、60分以内にフィルムが水に分散し、ガラス管内の網目開き2.0mmにフィルムが残らないもの」を意味する。本発明の脱色酵母細胞壁画分は、60分以内で崩壊し、良好なフィルム崩壊性(水分散性)を示した。本発明の脱色酵母細胞壁画分は、良好なフィルム崩壊性を有することによって、これを薬剤等の製剤にコーティング剤として用いた場合に、薬剤の溶出を有効に行うことができる。
(フィルム成形性)
本発明のフィルム成形性とは、5±1%の脱色酵母細胞壁画分のスラリーを7〜10g円形容器:70〜100mmの径で120℃、30分乾燥した(フィルム膜厚:100μm以下)キャストフィルムが3個以下の連続したフィルム片をなす(フィルム平面上の亀裂の数が少ない結果、比較的連続面積が大きく亀裂により互いに分離された連続フィルム面が3個以下である)ことを指し、逆にフィルム非成形性とは、同条件でフィルムが閉じた4個以上の平面をなす(フィルム平面上の亀裂の数が多い結果、比較的連続面積が小さく亀裂により互いに分離された連続フィルム面が4個以上である)ことを指す。
本発明の脱色酵母細胞壁画分は、優れたフィルム成形性を有する。したがって、製剤のコーティング剤として用いた場合に、連続したフィルムを形状を成し、有効成分の溶出の抑制や臭いマスクを有効に行うことができる。
(フィルム機械特性)
可塑剤としてグリセリンを乾物換算で10%添加し脱色酵母細胞壁画分のキャストフィルム(フィルム膜厚:50〜100μm)を作成した。上記のフィルムを使用し、引張り試験を行い、引張破壊強さ(Mpa)と破壊伸び(%)、さらに突き破り強度(N)、押し込み量(mm)を測定した。引張り強さは、JIS Z1702に沿って試験片を作成し、JIS K7161、K7162に基づいて(株)インテスコ社製精密万能材料試験機2005型を使用し引張り速度500mm/分で試験を行い引張り強度、伸び率を測定し引張り強度、伸び率とした。突き破り強度は厚さ50〜100μmのフィルム形状で試験を行い、(株)インテスコ社製精密万能試験機2005型を使用し、試験速度200mm/分で先端形状が1/4インチのつき棒により試験を実施し、フィルムを突き破る時点での荷重(単位:N)及び突き棒の押し込み量(単位:mm)をそれぞれ突き破り強度(単位:N)とした。引張り試験はn=5、突き破り試験は、突き破り強度、押し込み量をn=3でそれぞれ測定した値の平均値とした。
例えば従来の酵母細胞壁画分と脱色酵母細胞壁画分にそれぞれ10%の可塑剤を加えた場合、後者での諸機械特性が前者のそれらに比較して、該荷重(N)として1〜20倍、押し込み量(mm)として、1〜20倍、さらに突き破り強度(N)として1〜20倍増強されていることが望ましい。また、引張り強さ(MPa)としても1〜20倍、伸び率として1〜20倍増強されていることが望ましい。
(ガスバリア性)
本発明の脱色酵母細胞壁画分は、優れたガスバリア性を有する。本発明の脱色酵母細胞壁画分のガスバリア性は、「脱色酵母細胞壁画分の5%(重量比)スラリーをベーカーアプリケーターを用い延伸ポリプロピレンフィルム セネシPOP(ダイセル化学工業(株)、フィルム膜厚0.02mm)の上にキャストし、60℃のオーブンで45分乾燥してキャストフィルム(フィルム膜厚約0.015mm)を作製した場合、湿度60%RHでの酸素透過度によって、特定される。
すなわち、本発明において、ガスバリア性について、脱色酵母細胞壁画分の5%(重量比)スラリーをベーカーアプリケーターを用い延伸ポリプロピレンフィルム セネシPOP(ダイセル化学工業(株)、フィルム膜厚0.02mm、カタログ酸素透過度304ml/m・d・MPa)の上にキャストし、60℃のオーブンで45分乾燥してキャストフィルム(フィルム膜厚約0.015mm)を作成した場合、湿度60%RHでの酸素透過度が250ml/m・d・MPa以下を示す連続したフィルムを形成する。ここで、連続したフィルムにならない場合、製剤等にコーティングする際においては、展延性が欠如するため錠剤の刻印部やエッジ部へのコーティングが不十分となり、場合によっては亀裂が入りコーティング剤としての内容物保護の機能をなさなくなってしまう等の問題が発生する。
(フィルムの着色性)
本発明の脱色酵母細胞壁画分はフィルムの着色性が見られないことが好ましい。5%(重量比)の脱色酵母細胞壁画分のスラリーを60℃、2時間乾燥した(フィルム膜厚:約0.10mm)フィルムのYIを初期YIとした場合、前述のフィルムを40℃、75R.H.%に1ヶ月保持した後のフィルムのYIを経時YIとした。経時YIから初期YIを差し引いた増加YIが5以上のものはフィルムが茶褐色に着色し、これを着色性ありとした。YIが5を超える場合、錠剤等にコーティングした酵母細胞壁の着色により、製剤が着色するため好ましくない。
[酵母から可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣(酵母細胞壁画分)の調製]
本発明は、酵素処理した酵母から可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣からなる酵母細胞壁画分又は該菌体残渣を酸性水溶液で処理し、酸性水溶液可溶化成分を除去した菌体残渣からなる酸処理酵母細胞壁画分を、脱色処理して調製した脱色酵母細胞壁画分からなる。特に、本発明は、酵素処理した酵母から可溶性菌体内成分を酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、アセトン、エーテル、石油エーテル、各種アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールやイソプロパノール等)等の有機溶媒若しくはそれらの混合物若しくはpH2〜12の水とそれらの混合物(例えばpH2〜12の水とエタノールの混合物)で洗浄処理することによって可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣からなる酵母細胞壁画分、又は該菌体残渣を酸性水溶液で処理し、酸性水溶液可溶化成分を除去した菌体残渣からなる酸処理酵母細胞壁画分を、脱色処理することによって、脱色処理前の酵母細胞壁画分の優れた性質を損なうことなく、更に、その物性において優れた性質を付加できる脱色酵母細胞壁画分からなる。上記の有機溶媒のうち好ましくはヘキサン、アセトン、各種アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール等)、更に好ましくはエタノールを用いるのがよい。本発明で使用される酵母から可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣は、次のようにして調製される。
(原料酵母)
本発明のコーティング剤の原料となる酵母としては、分類学上酵母に属するものであればどのような酵母を用いてもよく、例えば、ビール酵母、ワイン酵母、パン酵母、トルラ酵母等を挙げることができ、より具体的には、ビール酵母、パン酵母の属するサッカロマイセス属のサッカロマイセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)或いはサッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)、その他サッカロマイセス・ルーキシ(Saccharomyces rouxii)、サッカロマイセス・カールスバーゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロマイセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)、またメタノール資化性酵母であるキャンディダ属のキャンディダ・ウティリス(Candida utilis)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・リポリティカ(Candida lipolytica)、キャンディダ・フレーベリ(Candida flaveri)、キャンディダ・ボイジニィ(Candida boidinii)等を、更に、ロドトルラ・ミニュータ(Rhodotrura minuta)等を例示することができる。
(用いる酵母の性状)
そして、これら酵母は、単独あるいは組み合わせて使用することができる。また、酵母としては生酵母を用いることが好ましいが、乾燥酵母等の生酵母以外の形態の酵母を用いる場合であっても、例えば水中等に懸濁して生酵母同様に処理することもできる。さらに、使用する酵母の形状や大きさに特に制限はないが、形状としてはなるべく球形に近い形状のものが好ましく、また、その大きさは1〜20μmの範囲のものが好ましい。
(可溶性菌体内成分の除去)
酵母には、水若しくは極性溶剤に可溶性の菌体内成分、例えば蛋白質、アミノ酸、糖質、核酸、有機酸などの成分が存在しており、これらの菌体内成分は水に容易に可溶化し、これらの可溶性菌体内成分を除去した後の酵母細胞壁画分を使用することが好ましい。可溶性菌体内成分が存在したままだとフィルム性が悪化し(フィルムが脆くなる)好ましくはない。
酵母からこれら可溶性菌体内成分を除去して酵母細胞壁画分を得るためには、酵素処理によりこれらの菌体内成分を可溶化して菌体外に除去することが必要である。酵素処理としては、酵母菌体内の酵素を使用するいわゆる自己消化法や、外部からプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、β−グルカナーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ホスファターゼ等の酵素を添加する酵素添加方法や、それらを併用する方法等、いずれも酵母菌体内成分を酵母エキスとして製造する際に用いられている方法であれば、どのような酵素処理法、アルコール等の添加物と酵素を組み合わせた処理方法をも用いることができる。このことからして、本発明における酵母細胞壁画分として、公知の酵母エキスの製造における酵母エキス抽出残さを有効に用いることができる。
なお、酵素処理を速やかに行うなどの目的で、酵素処理の前段又は酵素処理中に、高圧ホモジナイズ処理(好ましくは10〜150Mpaでの6回未満の処理)、或いは超音波処理(20KHzで最大振幅50μm出力2KWの超音波発振子を使用し50〜100%の出力で0.01〜100分間、好ましくは70%以上の出力で0.01〜45分間照射)を行ってもよく、また脱色効率を向上させる目的で、これらの両処理を組み合わせて行うことが好ましい。前処理回数は画分の特性(YI:黄色度や収率等)において悪影響を受けない限りにおいて、限定されるものではないが、好ましくは、10回未満、更に好ましくは6回未満、特に好ましくは2回未満である。10回以上行うと、フィルムの収縮が見られフィルム性が悪化するため好ましくない。
酵素処理を終えた酵母は、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、アセトン、エーテル、石油エーテル、各種アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールやイソプロパノール等)等の有機溶媒若しくはそれらの混合物若しくはpH2〜12の水とそれらの混合物(例えばpH2〜12の水とエタノールの混合物)でで洗いこむ(洗浄処理する)ことによって、例えば酵素処理液を加水希釈後遠心分離等の可溶性菌体内成分の除去処理を施すことによって、その菌体残渣として酵母細胞壁画分が得られる。また、前記記載のホモジナイザー、超音波処理等の分散処理を酵素反応後併用することにより、菌体内不必要成分(着色成分・脂質・臭い成分・タンパク等)の除去を助長することができる。
このように、化学的処理を特に施すことなく得られる酵母細胞壁画分は、グルカン、マンナン、キチン層からなる物理的、化学的に比較的丈夫な皮膜からなることから、内包物質の保護機能を損なうことなく、より多量の物質を内包することができ、優れたコーティング剤として用いることができるが、必要に応じて、酵母の洗浄処理、pH・温度・圧力の調整処理等を組み入れて、酵母細胞壁画分を調製することもできる。
(酸性水溶液処理及び該水溶液可溶化分の除去)
次に、可溶性菌体内成分を除去することによって得られた上記酵母細胞壁画分を酸性水溶液処理することが好ましい。上記酵母細胞壁画分を0.01〜2N、好ましくは0.1〜0.5Nの例えば塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等或いは酢酸、クエン酸等の有機酸類の酸で処理した後、その懸濁液を遠心分離等により上清と酵母菌体残さに分離し、この酵母菌体残さを採取することにより調製することができる。また、酸処理に際しては60℃〜80℃前後に加熱することが好ましい。一般的に酸濃度や反応温度が高すぎるとフィルム性が悪化するため好ましくない。
[酵母細胞壁画分の脱色処理]
(脱色処理)
上記酵母細胞壁画分を、脱色(或いは漂白)処理することで、処理前の酵母細胞壁画分の持つ特有の黄褐色〜褐色系統の色が抜け落ち白色化したものを生成する。脱色(或いは漂白)処理としては、次亜塩素酸系漂白剤、過酸化水素、オゾン、二酸化塩素、過炭酸、過酢酸等による酸化系の脱色処理、亜硫酸還元等の還元系の脱色処理等、公知の脱色(或いは漂白)剤を用いて行うことができる。このような脱色(或いは漂白)剤による処理は、単独で行っても良いし、適宜複数の手法を組み合わせて行っても良い。これら複数の手法のうち、使用薬剤の残留による危険性、残留物質の除去の難易度、臭いの残留の点等からオゾン処理や過酸化水素処理が好ましい。これらの手法を単独、或いは組み合わせて使用することができる。なお、これらの脱色処理の回数や順番は特に限定されないが、このような脱色処理としてオゾンと過酸化水素の両方を別々に処理する場合には、まずオゾンで処理し次に過酸化水素で処理することが、得られた産物或いは産物加工品のYI:黄色度が良好で、該脱色酵母細胞壁画分をコーティング剤として用いた場合のフィルム性、更に好ましくはフィルム崩壊性の点で特に好ましい。また両方の処理をアルカリ条件下で行ってもよいし、両方の脱色処理の間のアルカリ処理の全部又は一部を独立させて例えば(1)オゾン処理、アルカリ処理、過酸化水素処理、(2)オゾン処理、アルカリ処理、アルカリ条件下での過酸化水素処理、(3)アルカリ条件下でのオゾン処理、アルカリ処理、過酸化水素処理、(4)アルカリ条件下でのオゾン処理、アルカリ処理、アルカリ条件下での過酸化水素処理の順番で行ってもよい。また最初に過酸化水素処理を行う場合には、(5)過酸化水素処理、アルカリ処理、オゾン処理、(6)過酸化水素処理、アルカリ処理、アルカリ条件下でのオゾン処理、(7)アルカリ条件下での過酸化水素処理、アルカリ処理、オゾン処理、(8)アルカリ条件下での過酸化水素処理、アルカリ処理、アルカリ条件下でのオゾン処理の順番で行ってもよい。
オゾン処理は、例えば、0.1〜10%濃度の酵母細胞壁画分のスラリーをオゾン発生器で発生させた1000〜100000ppmの濃度のオゾン混合ガス条件で処理する、好ましくは1000〜100000ppmで微細な気泡として接触反応させる。より具体的には、0.01〜10gオゾン/(g脱色対象・hr)での吹き込み量で、反応時間は1〜24時間で行うことが好ましい。このオゾン反応条件のオゾン濃度の最高値は現状のオゾン発生装置の能力によって規定されるものであるため、オゾン純度が上がることでより反応効率は上がるため、本来的には最高濃度の規定はないが、0.1%濃度以下では、YIが高く好ましくない。オゾン処理により得られた脱色酵母細胞壁画分は、赤褐色へ再度着色する色戻り現象が発生するため、アルカリ処理(水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液によりpH7〜13に脱色反応後のスラリーを調整)し、遠心分離(4200rpm、10分)を行い、水洗いを行うことが好ましい。残留オゾンを分解するため、過酸化物チェックストラップ(例えばMerckoquant Peroxide−Test等)等で残留オゾンの確認を行いながら還元剤添加量を調節し実施することが好ましい。
過酸化水素処理は、該スラリー濃度0.1〜10%に調整し、温度を20〜120℃、アルカリ条件下(pH7.0〜13.0)で、0.1〜30時間反応を行うことが好ましく、さらに好ましくは過酸化水素濃度0.5〜5%に調整し、温度を40〜80℃、pH8.5〜11.5で、1〜20時間反応を行う。0.1%濃度以下では、YIが高く好ましくない。残存した過酸化水素除去のために、適宜カタラーゼ(例えばナガセケムテックス(株)製 レオネットFプラス)処理(処理条件:pH3.0〜8.5、温度10〜50℃)と必要に応じてpHの低下(pH2以下)、更には熱処理による該酵素の失活処理、又は亜硫酸等の還元処理を行うことが好ましい。残留過酸化水素のチェックは過酸化物チェックストラップ(例えばMerckoquant Peroxide−Test等)等で経過を確認しながら還元剤、カタラーゼ量は随時添加することが好ましい。
酵母細胞壁画分の脂質および脱色反応で生成した過酸化脂質を取り除くために、脱色処理後、遠心分離により水洗いを行うことが好ましい。更に、好ましくは有機溶媒(酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、アセトン、エーテル、石油エーテル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等)による洗浄を行う。この有機溶媒洗浄により酵母細胞壁画分自身の反応性及び、コーティングされる薬物との反応性も低減されるため好ましい。
また、水分散したスラリー状の酵母細胞壁画分を有機溶媒(酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、アセトン、エーテル、石油エーテル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等)で水と置換し、有機溶媒或いは水−有機溶媒で混和した溶液をすることにより酵母細胞壁画分のスラリーを凝集させ、該画分の固形分濃度を上げるとともに、スラリーの蒸気圧を低下させ水成分を蒸発させやすくすることで、直接水分散スラリーから乾燥する場合必要とする高い温度(100℃以上)をかけることなく、また短時間で乾燥ができ、熱履歴を減らすことが出来る。
[脱色酵母細胞壁画分の利用]
(脱色酵母細胞壁画分の使用形態)
本発明の脱色酵母細胞壁画分は通常、スラリー形態であるが、乾燥したものを使用することもできる。例えば、脱色酵母細胞壁画分の水分散体を公知のスプレードライ法や凍結乾燥方法等の乾燥方法により粉末化し、脱色酵母細胞壁画分の粉末または乾燥物を得ることもできる。(脱色酵母細胞壁画分を主成分とする医薬用や食品用の添加剤)
本発明の脱色酵母細胞壁画分は色が白く、無臭であり、乾燥時には強固な結合性を示すが、水中では崩壊するため、医薬用や食品用の添加剤として広範囲に利用ができる。一例として、コーティング剤、カプセル基材、吸着剤、安定化剤、クリーム剤などの保湿剤、造粒助剤、懸濁剤、流動化剤、結合剤、結晶セルロースとの混合・乾燥によって造粒物の成形性と崩壊性を併せ持つ新しい賦形剤、その他コーティング剤との併用が挙げられる。
以下に詳しく説明する。
(脱色酵母細胞壁画分のコーティング剤としての物性)
本発明の脱色酵母細胞壁画分を主成分とするコーティング剤は、従来の可食性コーティング剤と比べて、粘性の割に仕上がりにべとつきがなく、コーティング後の粒子同士の付着がない上に、さらに溶出開始時間を制御することができる腸溶性コーティング剤や苦味マスキング剤としても使用できる優れた物性を有する。また、コーティングフィルムは酸素等のガス透過率や透湿度が極めて低く、現存する可食性フィルムのなかでも特に優れており、ウィスカー防止剤や臭いマスキング剤として好ましい。ガス透過率が高い場合、内包した薬剤の劣化などの問題が起こり好ましくない。
更に、本発明の脱色酵母細胞壁画分はコーティング量を増加させた場合も、崩壊遅延は起こらず好ましい。従来のコーティングではコーティングすると崩壊性が悪くなるため好ましくない。
本発明の脱色酵母細胞壁画分をコーティング剤として使用する場合、固形分濃度は0.1〜30%が好ましい。更に好ましくは、1〜10%である。固形分濃度が30%以上になるとコーティング液粘度が高く、スプレーミストが小さくならずに凝集が起こるなどの問題が生じるため好ましくない。
(脱色酵母細胞壁画分によるコーティングの内包物質)
本発明のコーティング剤によりコーティングされる内包物質としては、常温固体で存在する物質であればどのようなものでもよく、例えば食品、食品素材、酵素、微生物、医薬品、種子、農薬、肥料、香料、顔料等を挙げることができる。上記食品、食品素材としては、澱粉質食品、錠剤型食品、洋菓子類(キャンディ、あめ類、チョコレート、チュウインガム等)、和菓子類(せんべい等)、焼菓子類(カステラ、クッキー、クラッカー等)、グミ製剤、油菓子(ポテト等チップス類、スナック類)、各種ソース・しょうゆ・みそ・マヨネーズ・ドレッシング類を粉末・固形化したもの、各種飲料(果汁飲料、ネクター飲料、清涼飲料、スポーツ飲料、茶、コーヒー、ココア、スープ類、アルコール飲料類等)を粉末・固形化したもの、各種エキス粉末(ビーフ・ポーク・チキン等畜産、エビ・ホタテ・シジミ・昆布等水産、野菜・果樹類、植物、酵母等)、油脂類・香料類(バニラ、かんきつ類、かつお等)を粉末・固形化したもの、粉末スパイス・ハーブ類(唐辛子、コショウ、サンショ、ユズ、バジル等)、粉末飲食品(インスタントコーヒー、インスタント紅茶、インスタントミルク、インスタントスープ・味噌汁等)、各種乳製品類(チーズ等)、各種栄養・栄養補助食品素材類(ビタミンA・B群・C・D・E等ビタミン類、ビフィズス菌・乳酸菌・酪酸菌等有用菌類、クロレラ、CaやMg等のミネラル類、プロポリス等)、ふりかけ、フレーク類、トッピング類(クルトン等)、豆類加工食品(豆腐・おから等)を固形化したもの、生鮮食品・調理加工(カレー、シチュー類)食品を固形化したもの・冷凍食品(具材・ころも類)、各種加工食品を具体的に例示することができる。
また、内包物質が、微粒子、顆粒もしくは錠剤などの造粒物形状の場合や種子等内包物質自体が造粒物と類似した形状の場合、本発明のコーティング剤を有利に適用することができる。そして、本発明のコーティング剤でかかる内包物質をコーティングすることにより、本発明のコーティング処理物を得ることができる。他方、内包物質をコーティングすることなく、本発明のコーティング剤を用いて成膜すると、酸素透過係数や透湿係数が極めて低い本発明のコーティングフィルムが得られる。
(脱色酵母細胞壁画分を主成分とするコーティング剤に添加する可塑剤及び成膜性向上添加剤)
本発明の脱色酵母細胞壁画分をそのまま用いても優れた効果を有するが、可塑剤を加えるのが好ましい。これらの可塑剤としては、食品分野における場合、グリセリン、ソルビトール、アミノ酸類、有機酸類、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、MCT(中鎖トリアシルグリセロール)を中心とした油脂類などを挙げることができる。また、医薬分野における場合、トリアセチン、クエン酸トリエチル、アセチル化モノグリセリド等医薬品添加剤として許容されている可塑剤を挙げることが出来る。また、可塑剤に加え、或いは可塑剤に替えて以下の添加剤を加えることも可能である。
添加剤としては、増粘多糖類(アラビアゴム、プルラン、カラギーナン等)、多糖分解物(マンナン、カードラン、キシラン、セルロース等の分解物)、少糖類(トレハロース、白糖、パラチノース、ラフィノース、オリゴ糖類等)、糖アルコール(マンニトール、ソルビトール、マルチトール、パラチニット、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、グルシトール、ガラクチトール、リビトール等)、食物繊維類(パインファイバー等)、ステビア、サイクロデキストリン、ゲル化剤(寒天、ゼラチン、ジェランガム、カードラン等)、塩酸アルギニン、硫酸第一鉄、リン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸カリウム)、澱粉加水分解物、アジピン酸ジオクチル、ケイ酸アルミニウム、クエン酸トリエチル、グリセリン脂肪酸エステル、油脂類(ごま油、流動パラフィン、コーン油、大豆油、ヒマシ油、ピーナッツ油、綿実油大豆油混合等)、ジメチルポリシロキサン・二ケイ素混合物、ショ糖脂肪酸エステル、ジプロピレングルコール、炭酸プロピレン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、フィットステロール、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリソルベート80、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール2000、マクロゴール、ミリスチン酸イソプロピル、モノステアリン酸グリセリン、リノール酸イソプロピルなどが挙げられる。
また、これら上記に列記した可塑剤及び添加剤は、それぞれの剤のいずれかを単数もしくは複数で、或いは両方の剤を単数もしくは複数ずつ、或いは両方の剤を単数と複数ずつ組み合わせて、適宜本発明の脱色酵母細胞壁画分に加えて使用してもよい。
(脱色酵母細胞壁画分によるコーティング剤に添加する酸素バリア性改良剤)
脱色酵母細胞壁画分単独に比較し、添加剤(酸素バリア性改良剤)を加えると酸素バリア性が向上するため好ましい。添加する酸素バリア性改良剤として例えば、単糖類(例えば白糖、グルコース、マンノース等)やオリゴ糖類(例えばマルトース、トレハロース、フルクトース、アラビノース、ニゲロオリゴ糖、ラクトース、D−グルコノ−1,5−ラクトン等)のような鎖長の短い糖類、吸湿性の低いアミノ酸類(例えば塩酸アルギニン等)、多水和物を形成する無機塩類(例えば硫酸第一鉄、リン酸二水素ナトリウム等)、吸湿性が低い糖アルコール類(例えばマンニトール、パラチニット、マルチトール等)、ビタミン類(ビタミンC等)、既存コーティング剤(PVA(ポリビニルアルコール)、Eudragit(オイドラギット)L30−D55、ヒドロキシプロピルセルロース(HPMC TC−5)等)、増粘多糖類(アラビアゴム等)、ゲル化剤(ゼラチン等)を挙げることができる。かかる酸素バリア性改良剤としては、特に制限されないが、食品や医薬製剤に用いる場合は、可食性の物質からなるものが好ましい。また、無機物として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、タルク、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト等の微粒子(ナノレベルの分散品が好ましい)等も添加することも出来る。
これら酸素バリア性改良剤は1種でもよいし、適宜2種以上を併用してもよく、さらに上述の可塑剤及び成膜性向上のため、添加剤との複数の併用(酸素バリア性改良剤+可塑剤、或いは酸素バリア性改良剤+酸素バリア性改良剤以外の添加剤、或いは酸素バリア性改良剤+可塑剤+酸素バリア性改良剤以外の添加剤)も好ましい。
(揮発又は昇華の防止剤を用いた固形製剤の製造)
本発明の脱色酵母細胞壁画分を主成分とする揮発又は昇華の防止剤を用いて固形製剤を製造するに際しては、基本的に揮発性又は昇華性の物質が、本発明の揮発又は昇華の防止剤によって覆われ、外部との遮断が形成されていれば良く、特に限定はされないが、通常、混合、被覆(コーティング)等この分野で用いられている適宜の固形製剤の製剤化手段を用いることができる。例えば、本発明の揮発又は昇華の防止剤を用いて、医薬製剤のような固形製剤を調製するには、揮発性又は昇華性の有効成分と共に、種々の賦形剤、添加剤、滑沢剤等と共に、本発明の揮発又は昇華の防止剤を配合し、これを湿式或いは乾式の造粒法や直接粉末圧縮法のような造粒法等で造粒し、顆粒や、錠剤のような固形製剤として成形することができる。また、本発明の揮発又は昇華防止剤を被覆して製剤化する場合には、有効成分に賦形剤やその他の配合剤を配合して造粒した顆粒や、錠剤に、ウィスカー発生の防止剤をこの分野で通常用いられているコーティング手段によりコーティングして、製剤化することができる。
(本発明の揮発又は昇華防止剤をコーティングにより製剤化した場合の物性)
本発明の脱色酵母細胞壁画分からなる揮発又は昇華の防止剤を用いて、コーティングによる製剤化を行う方法は、ウィスカー等の発生防止に特に有効である。
本発明の揮発又は昇華の防止剤を用いたコーティングは、従来の可食性コーティングと比べて、粘性の割に仕上がりにべとつきがなく、コーティング後の粒子同士の付着がない上に、さらに溶出開始時間を制御することができる腸溶性コーティング剤や苦味マスキング剤としても使用できる優れた物性を有する。また、本発明のコーティング剤によるコーティング層(フィルム)は酸素等のガス透過率や透湿度が極めて低く、現存する可食性フィルムのなかでも特に優れており、食品、医薬品、飼料、農業など幅広い分野に適用することができる。
また、本発明のウィスカー発生防止剤、即ちコーティング剤自体は、特別の薬効を持たないので、制酸剤等の薬効成分を配合する場合とは異なり、希望する薬効に影響を与えることが無く、汎用性を損なうことがない。さらに、従来のコーティングではコーティングすると崩壊性が悪くなることが知られているが、本発明品は崩壊性への影響はなく、内包物質との相互反応による製剤上の変性も認められない。
(揮発又は昇華の防止固形製剤内包物質)
本発明で、揮発又は昇華の防止を目的とする固形製剤中の揮発性又は昇華性の物質としては、医薬製剤、食品、食品素材、食品添加剤、農薬、又は香料の固形製剤に含有される常温で揮発又は昇華性の種々の物質が想定されるが、特にウィスカー等の発生防止において対象となる物質としては、以下のような物質が挙げられる。
すなわち、常温で昇華が起こる物質として、例えばカフェイン(1水和物)、無水カフェイン、カフェインサイトレート、安息香酸ナトリウムカフェイン等のカフェイン類、サリチル酸、アスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、マレイン酸クロルフェニラミン、ヒベンズ酸チペピジン、ノスカピン、クエン酸カルベタペンタン、グアヤコールスルホン酸カリウム、生薬エキスとしてマオウ、ケイヒ、地竜、ニンジン、カンゾウ、ゴオウなどのそれぞれのエキス、漢方エキスでは葛根湯、小紫胡湯、小青竜湯、紫胡桂枝湯等のそれぞれのエキス、1−メントール、d−メントール、dl劫メントールなどのメントール類、例えば安息香酸エチル、安息香酸フェニル、安息香酸プロピル、安息香酸ベンジル、安息香酸メチル、安息香酸ナトリウム等の安息香酸類等が挙げられる。
(脱色酵母細胞壁画分を用いた揮発又は昇華防止剤による固形製剤のコーティング)
特に、ウィスカーの発生防止を目的とした、本発明の揮発又は昇華の防止剤を用いたコーティングは、上記内包物質を単独で、あるいは組み合わせて、微粒子、顆粒もしくは錠剤などの適宜粒径の造粒物としたものに対し、前記本発明の揮発又は昇華の防止剤を水もしくは水と溶媒の混合液に懸濁したものをコーティングすることにより行うことができる。
(脱色酵母細胞壁画分を用いたコーティング工程)
本発明のコーティング剤によるコーティングは、水もしくは水と溶媒の混合液に懸濁したものをコーティングすることができる。具体的には、例えばドリアコーター(株)パウレック製)などのコーティング機を用いて、内包すべき物質に本発明のコーティング剤の懸濁液をスプレーコーティングすることにより行われるが、公知のコーティング方法や公知のコーティング装置であればどのような方法や装置も用いることができる。
(脱色酵母細胞壁画分を用いたコーティング工程の乾燥温度及び量)
コーティング工程における乾燥温度、すなわち本発明のコーティング剤の懸濁液により内包物質をコーティングした後の乾燥温度は特に限定されるものでないが、通常60〜90℃の温度で乾燥することが好ましく、また内包物質の温度安定性に応じて乾燥温度を設定することもできる。90℃以上で乾燥するとフィルム性が悪化し好ましくない。更に、コーティング終了後の追加乾燥することでフィルムの安定性向上、コーティング処理物の安定した溶出制御の効果が得られる。そして、コーティング量についても、用いられる内包物質の量、求められる用途などに応じて適宜設定することが好ましい。
(脱色酵母細胞壁画分との組み合わせ物質)
また、本発明の脱色酵母細胞壁画分を上記に例を挙げたような医薬や食の用途に用いる場合、以下記載の物質と組み合わせて使用することが好ましい。具体的には、安定化剤(例、トレハロース、マンニトール、フマル酸、等)、賦形剤(例、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、米デンプン、乳糖、粉糖、等)、結合剤(例、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、等)、フィルムコーティング剤(例、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、エチルセルロース、エチルセルロース水分散液、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーS、メタアクリル酸コポリマーLD、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS,等)、界面活性剤(例、ショ糖脂肪酸エステル、ポロオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、糖、等)、崩壊剤(例、低地感度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、部分アルファー化デンプン、等)、無機物(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、等)、可塑剤(例、アラビアゴム、プルラン、カラギーナン、等)、多糖分解物(例、マンナン、カードラン、キシラン、セルロース等の分解物)、少糖類(例、白糖、パラチノース、ラフィノース、オリゴ糖類、等)、糖アルコール(例、ソルビトール、マルチトール、パラチニット、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、グルシトール、ガラクチトール、リビトール、等)、食物繊維類(例、パインファイバー、等)、ステビア、サイクロデキストリン、ゲル化剤(例、寒天、ゼラチン、ジェランガム、カードラン、等)、アミノ酸類(例、塩酸アルギニン等)、多水和物を形成する無機塩類(例、硫酸第一鉄等)、リン酸塩(例、リン酸ナトリウム、塩酸カリウム、リン酸2水素ナトリウム等)、デンプン加水分解物、アジピン酸ジオクチル、ケイ酸アルミニウム、クエン酸トリエチル、グリセリン脂肪酸エステル、油脂類(例、ごま油、流動パラフィン、コーン油、大豆油、ひまし油、ピーナッツ油、綿実油・大豆油混合物等)、ジメチルポリシロキサン・二ケイ素混合物、ジプロピレングリコール、炭酸プロピレン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、フィットステロール、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、プロピレングリコール、ポリオキシエチエレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリソルベート80、ポリプロピレングリコール2000、マクロゴール、ミリスチン酸イソプロピル、モノステアリン酸グリセリン、リノール酸イソプロピル等)が挙げられる。以上は代表例であり、第14改正日本薬局方および1996年発行の医薬品添加物規格に記載の全ての物質を組み合わせて使用できる。
また、本発明品の食品・健康食品としての用途では上記の用途で使用した場合、食品添加物リスト記載のものとの組み合わせで使用することできる。
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
[実施例に示した物性の測定方法]
この実施例、比較例における上述した以外の各物性の測定方法は以下の通りである。なお、実施例中に示された脱色酵母細胞壁画分重量は、全て実状態での重量(ドライウエイト)である。
本発明品を用いて錠剤を作成した際の諸性質につき、以下のように測定した。
(錠剤の崩壊性)
第十四改正日本薬局方に記載される錠剤の崩壊試験法に従い、崩壊試験機NT−40HS(富山産業(株)製)を用いて実施した。試験液は37℃の純水を使用し、錠剤6個の平均崩壊時間で示した。
(錠剤硬度)
シュロインゲル硬度計6D型(フロイント産業(株)製)を用い、錠剤10個の平均硬度を求めた。
(臭いの官能試験)
錠剤重量換算で10%コーティングした錠剤20錠をガラス瓶に入れて密封した。一晩室温に放置した後、開封した時の薬物臭の有無を三人のパネラーにより評価した。三人のパネラーが、薬物臭が無いと答えたものを臭いマスクは良好、薬物臭が有ると答えたものは臭いマスクは出来ていないとした。
(遠心による水洗浄法)
以下、反応液を遠心分離機(日立製作所:himac CR7)を使用し、4200rpm・10分の条件で遠心分離し、得られた沈殿画分を得る。この沈殿画分に対し3倍程度の重量の水を加え再分散した後、遠心分離を行い、沈殿画分を得ることを遠心水洗浄1回と定義する。上記の加水段階から遠心を行う操作をN回繰り返す場合は遠心水洗浄N回と表記し、以下この表現で統一する。また、この表現は上記のバッチ式処理となる遠心分離機だけでなく、連続排出式の遠心分離機を用いた場合についても同様である。
特許第3349677記載の方法に従い、プロテアーゼ(NOVO製、ニュートラーゼ、アルカラーゼを使用し、45〜60℃、pH7.5において15時間反応)により菌体内成分を溶解し、遠心分離(4200rpm 10分)で可溶性菌体内成分を除去した酵母細胞壁画分(液YI:45)を、5%濃度の酵母細胞壁画分濃度で0.5Nの塩酸酸性下で80℃、10分間処理を行い酸可溶性菌体内成分を遠心分離により除去後水洗いし、酸処理酵母細胞壁画分を作成した。この酸処理酵母細胞壁画分(液YI:49)を5%濃度の細胞壁画分濃度とし、過酸化水素濃度1.5%、pH10、温度60℃で5%濃度の酸処理酵母細胞壁の脱色処理をpH一定で3時間反応を行い、反応終了後遠心分離(4200rpm、10min)により十分に水洗いを行った。水洗い品を再度上記反応条件で15時間反応し、遠心分離(4200rpm、10min)により水洗いを行った。
該水洗い品(実施例品1)の液YIは12、フィルム性あり(11ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性あり(28分)であった。
実施例1の延伸分離スラッジを3倍量の99.5%エタノールに分散し、30分攪拌後遠心分離により上清部分のエタノールを除去し、さらに遠心分離で充分水洗浄を行った。該水洗い品(実施例品2)の液YIは12、フィルム性あり(13ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性あり(29分)であった。
実施例1記載の酸処理酵母細胞壁画分5%濃度のスラリー600gに対し、10000ppmのオゾンガスを3g/hrの割合で15hr吹き込み脱色を行った。オゾン処理後水洗いのみで放置した場合、処理により白色化した脱色品が赤褐色へ再度着色する色戻り現象が発生するため、水酸化ナトリウムによりpH11に調整し色戻り物質を溶解させ遠心分離(4200rpm、10分)を行い水洗いしたものに対しさらに2hr上記と同様のオゾンの吹き込み処理を行った。このオゾン処理品の残留オゾンを亜硫酸ソーダにより還元分解した後、水酸化ナトリウムによりpH11に調整し遠心分離し(4200rpm、10min)、さらに十分な水洗いを行い、色戻りを発生させる物質の洗浄除去を行った。該水洗い品(実施例品3)の液YIは0、フィルム性あり(10ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性なし(60分を超える)であった。
実施例1記載の酸処理酵母細胞壁画分5%濃度のスラリー600gに対し12%有効塩素濃度の次亜塩素酸ソーダ200gをpH1.2で反応を行った。2hr反応後、遠心分離し(4200rpm、10min)、水洗いした。該水洗い品(実施例品4)の液YIは11、フィルム性あり(11ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性あり(30分)であった。
酵母細胞壁画分を10%スラリーに調整し、高圧ホモジナイザーにより50MPaで12回処理することで、酵母細胞壁画分を破砕したものを0.1Nの塩酸で80℃・10分処理し、遠心分離(4200rpm、10min)により水洗いを行った。この水洗いをして出来た酸処理酵母細胞壁画分を5%スラリーにしたものに対し、次亜塩素酸ソーダ溶液(有効塩素濃度12%)を1%添加し塩酸酸性下(pH1〜2)の条件下で脱色を行った。この脱色品(実施例品5)は高度に白色化した。該実施例品5の液YIは1、フィルム性あり(13ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性なし(60分を超える)であった。
実施例1記載の酸処理酵母細胞壁画分5%濃度のスラリー1000gに対し、過酸化水素濃度3%、pH10、温度60℃、pH一定で3時間反応を行い、反応終了後遠心分離(4200rpm、10min)により充分水洗いを行い、このスラリーを4N塩酸によりpH7〜7.5に調整し、カタラーゼ(ナガセケムテックス:レオネットFプラス)を0.05〜0.1%添加し攪拌を30分間行い残存過酸化水素を分解除去した後、遠心水洗浄を2回実施し沈殿画分を得た。この沈殿画分を4N塩酸を用いpH4に調整し、1.5Lとした3%スラリーに対し圧力0.1MPa・液温10℃の条件でオゾンを吹き込み、1時間オゾン処理を行った。オゾンガスは、酸素ボンベから酸素を供給し市販の放電式オゾナイザーで発生させた酸素・オゾン混合ガスを用い、0.11MPaの圧力で流量2L/min、オゾン濃度4.5%(w/w)の条件で吹き込みを行い、オゾンガスは微細な気泡化し気液反応を行った。オゾン処理品の残留オゾンを亜硫酸ソーダ−により還元分解した後、水酸化ナトリウムによりpH11に調整し遠心分離し(4200rpm、10min)、さらに十分な水洗いを行い沈澱画分を得たった。この沈澱画分を等量の99.5%エタノールに分散し、30分攪拌後、遠心分離により上清部分のエタノールを除去し、さらに遠心分離で十分水洗浄を行い該実施例品6を得た。該実施例品6の液YIは0、フィルム性あり(16ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性なし(60分を超える)であった。
過酸化水素濃度3.0%、pH10、温度60℃で実施例1同様に作成した5%濃度の酸処理酵母細胞壁画分の脱色処理を、pH一定で3時間反応を行い、反応終了後遠心分離(4200rpm、10min)により十分に水洗いを行った。水洗品を再度上記反応条件で15時間反応し、遠心分離(4200rpm、10min)により水洗いして得られたものを実施例品7とした。
該実施例品の液YIは1、フィルム性あり(10ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性あり(28分)であった。
4N塩酸を用いpH4に調整した1Lの実施例1記載の酸処理酵母細胞壁画分5%スラリーに対し圧力0.1MPa・液温10℃の条件でオゾンを吹き込み、1時間オゾン処理を行った。オゾンガスは、酸素ボンベから酸素を供給し市販の放電式オゾナイザーで発生させた酸素・オゾン混合ガスを用い、0.11MPaの圧力で流量2L/min、オゾン濃度4.5%(w/w)の条件で吹き込みを行い、オゾンガスは微細な気泡化し気液反応を行った。オゾン処理終了後、25%水酸化ナトリウム溶液によりpH11に調整後、4200rpm・10分の条件で遠心水洗浄を2回実施し得られた沈殿画分をpH3.8に調整した画分を実施例品8とした。該実施例品8の液YIは9、フィルム性あり(10ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性なし(60分を超える)であった。
実施例8と同様の調製処理(オゾン処理後アルカリ処理)を行ったものを、乾物濃度2.5%、過酸化水素濃度2%、25%水酸化ナトリウムでpH10のスラリーに調整し、60℃で5hr反応を行った。反応終了後、4200rpmで遠心分離を10分行った後、遠心沈殿物を水で希釈し乾燥重量濃度を約3%のスラリーにした。このスラリーを4N塩酸によりpH7〜7.5に調整し、カタラーゼ(ナガセケムテックス:レオネットFプラス)を0.05〜0.1%添加し攪拌を30分間行い、残存過酸化水素を分解除去した後、遠心水洗浄を2回実施し沈殿画分を得た。この得られた沈殿画分と等重量のエタノールを沈殿画分に加え攪拌により分散しスラリー状態にした後30分攪拌後遠心を行いこのエタノール洗浄処理を3回実施した後、遠心水洗浄を2回実施し得られた沈殿画分をpH3.8に調整した画分を実施例品9とした。該実施例品9の液YIは0、フィルム性あり(10ml/m2・d・MPa)、フィルム崩壊性あり(7分)であった。
実施例8と同様の調製処理(オゾン処理後アルカリ処理)を行ったものを、乾物濃度2.5%、過酸化水素濃度2%、25%水酸化ナトリウムでpH10のスラリーに調整し、60℃で2hr反応を行った。反応終了後、4200rpmで遠心分離を10分行った後、遠心沈殿物を水で希釈し乾燥重量濃度を約3%のスラリーにした。このスラリーを4N塩酸によりpH7〜7.5に調整し、カタラーゼ(ナガセケムテックス:レオネットFプラス)を0.05〜0.1%添加し攪拌を30分間行い残存過酸化水素を分解除去した後、遠心水洗浄を2回実施し沈殿画分を得た。この得られた沈殿画分と等重量のエタノールを沈殿画分に加え攪拌により分散しスラリー状態にした後30分攪拌後遠心水洗浄を2回実施し得られた沈殿画分をpH3.8に調整した画分を実施例品10とした。該実施例品10の液YIは0、フィルム性あり(10ml/m2・d・MPa)、フィルム崩壊性あり(14分)であった。
特許第3349677記載の方法に従い、ビール工場より副生物として得られた生菌状態のビール生酵母スラリーを遠心分離(4200rpm 10分)で得られた酵母を固形分が10重量%になるように懸濁した。この酵母を100MPaのホモジナイザーで処理後、プロテアーゼ(NOVO製、ニュートラーゼ、アルカラーゼを使用し、45〜60℃、pH7.5において15時間反応)により菌体内成分を溶解した。このスラリーを遠心分離(4200rpm 10分)で可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣を水洗いし、酵母細胞壁画分(YCW)を作成した。このYCWの乾燥重量濃度5%、過酸化水素濃度1%、25%濃度の水酸化ナトリウムでpH10に調整したスラリーを60℃で2.5時間反応後、過酸化水素を1%に相当する量を再添加し、pHを10に25%水酸化ナトリウムにより再調整後60℃で2.5hr反応を行った。反応終了後、4200rpmで遠心分離を10分行った後、遠心沈殿物を水で希釈し乾燥重量濃度を約3%のスラリーにした。このスラリーを4N塩酸によりpH7〜7.5に調整しカタラーゼ(ナガセケムテックス:レオネットFプラス)を0.5%添加し、攪拌を30分間行い残存過酸化水素を分解除去した後、遠心水洗を2回行った。得られた沈殿画分をpH3.8に調整した画分を実施例品11とした。該実施例品11の液YIは13、フィルム性あり(10ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性あり(14分)であった。
4N塩酸を用いpH4に調整した1LのYCW5%スラリーに対し圧力0.1MPa・液温10℃の条件でオゾンを吹き込み、1時間オゾン処理を行った。オゾンガスは、酸素ボンベから酸素を供給し市販の放電式オゾナイザーで発生させた酸素・オゾン混合ガスを用い、0.11MPaの圧力で流量2L/min、オゾン濃度4.5%(w/w)の条件でYCWスラリーに対し吹き込みを行い、オゾンガスを微細な気泡化し気液反応を行った。オゾン処理終了後、25%水酸化ナトリウム溶液によりYCWスラリーをpH11に調整後、4200rpm・10分の条件で遠心水洗浄を2回実施し得られた沈殿画分をpH3.8に調整した画分を実施例品12とした。該実施例品12の液YIは6、フィルム性あり(10ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性なし(60分を超える)であった。
実施例品12の2.5%スラリー1Lに対し、圧力0.1MPa・液温10℃の下でオゾンを吹き込み0.5時間オゾン処理を行った。オゾンガスは、酸素ボンベから酸素を供給し市販の放電式オゾナイザーで発生させた酸素・オゾン混合ガスを用い、0.11MPaの圧力で流量2L/min、オゾン濃度7.2%(w/w)の条件でYCWスラリーに対し吹き込みを行い、オゾンガスを微細な気泡化し気液反応を行った。オゾン反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液によりpH11に調整後、4200rpm・10分の条件で遠心水洗浄を2回実施し得られた沈殿画分をpH3.8に調整した画分を実施例品13とした。該実施例品13の液YIは0、フィルム性あり(10ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性なし(60分を超える)であった。
実施例13の最終pH3.8に調整する前段の沈殿画分と等量のエタノールを沈殿画分に加え攪拌により分散しスラリー状態にした後30分攪拌後遠心水洗浄を2回実施し得られた沈殿画分をpH3.8に調整した画分を実施例品14とした。該実施例品14の液YIは0、フィルム性あり(10ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性なし(60分を超える)であった。
実施例品12を、乾物濃度2.5%、過酸化水素濃度1%、25%水酸化ナトリウムでpH10のスラリーに調整し、60℃で2hr反応を行った。反応終了後、4200rpmで遠心分離を10分行った後、遠心沈殿物を水で希釈し乾燥重量濃度を約3%のスラリーにした。このスラリーを4N塩酸によりpH7〜7.5に調整し、カタラーゼ(ナガセケムテックス:レオネットFプラス)を0.05〜0.1%添加し攪拌を30分間行い残存過酸化水素を分解除去した後、遠心水洗浄を2回実施し得られた沈殿画分をpH3.8に調整した画分を実施例品15とした。該実施例品15の液YIは0、フィルム性あり(10ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性あり(19分)であった。
実施例品15の最終pH3.8に調整する前段の沈殿画分と等量のエタノールを沈殿画分に加え攪拌により分散しスラリー状態にした後30分攪拌後遠心水洗浄を2回実施し得られた沈殿画分をpH3.8に調整した画分を実施例品16とした。該実施例品16の液YIは0、フィルム性あり(10ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性あり(9分)であった。
比較例1
乾燥した酵母エキス残渣10gを500gの0.5N濃度NaOH溶液に懸濁させた。2%の過酸化水素100gを混合し、120分還流煮沸後、遠心分離により水洗した沈殿画分を比較例品1とした。該比較例品1の液YIは7、フィルム性なし(250ml/m・d・MPaを超える)、また連続フィルムを形成しないため、フィルム崩壊性の測定は不可能であった。
比較例2
乾燥した酵母エキス残渣20gを1000gの0.5N濃度NaOH溶液に懸濁させて、120分還流煮沸した。遠心分離により水洗し、沈澱画分を1000gの0.5N塩酸溶液に懸濁し、120分還流煮沸した。その後、再度遠心分離(3000rpm、20min)で水洗した沈殿画分を比較例品2とした。該比較例品2の液YIは30、フィルム性なし(250ml/m・d・MPaを超える)、また連続フィルムを形成しないため、フィルム崩壊性の測定は不可能であった。
比較例3
比較例品2を2%過酸化水素溶液1000gで還流煮沸し、遠心分離(3000rpm、20min)で水洗した沈殿画分を比較例品3とした。該比較例品3の液YIは7、フィルム性なし(250ml/m・d・MPaを超える)、また連続フィルムを形成しないため、フィルム崩壊性の測定は不可能であった。
比較例4
乾燥した酵母エキス残渣20gを1000gの0.5N濃度NaOH溶液に懸濁させて、120分還流煮沸した。遠心分離により水洗し、沈澱画分を1000gの0.5N塩酸溶液に懸濁し、120分還流煮沸した。その後、再度遠心分離(3000rpm、20min)で水洗した沈降画分に対し10000ppmのオゾンを一時間吹き込み、遠心分離で水洗した。99.5%エタノールを1000mL添加し、遠心分離によりエタノールを除去し、水を添加して遠心分離により水洗を行い得られた沈殿画分を比較例品4とした。該比較例品4の液YIは1、フィルム性なし(250ml/m・d・MPaを超える)、また連続フィルムを形成しないため、フィルム崩壊性測定は不可能であった。
比較例5
ビール酵母を自己消化させ、エキス分を水洗いにより除去した酵母細胞壁画分を固形分濃度を5%(重量比)に調製し、1Lの水分散液を作成しpH8.5に重炭酸ナトリウムで調整し常温で1時間攪拌を行った。この分散溶液を4200rpm・10分で遠心分離を行い。沈澱画分を2.5%水酸化ナトリウムに懸濁しpH12.5に調整後湯浴で65℃に保持し、30%濃度の過酸化水素を添加し、全体として1.5%濃度(過酸化水素濃度)となるように調整し15hr反応を行った。反応後、12N濃塩酸によりpH7.0に調整し遠心分離(4200rpm・10分)で沈澱画分を分取後5%固形分濃度とし、4N塩酸によりpH5に調整した画分を比較例品5とした。該比較例品5の液YIは36、フィルム性なし(250ml/m・d・MPaを超える)、また連続フィルムを形成しないため、フィルム崩壊性測定は不可能であった。
比較例6
ビール酵母を自己消化させ、エキス分抽出除去後、実施例1記載の方法に従った酸処理を行った酸処理酵母細胞壁画分を比較例5の脱色方法と同様に処理を行って得られた画分を比較例品6とした。該比較例品6の液YIは31、フィルム性なし(250ml/m・d・MPaを超える)、また連続フィルムを形成しないため、フィルム崩壊性測定は不可能であった。
比較例7
特許3349677号公報記載の製法に基づきYCW乾物濃度を5%、塩酸濃度を0.3NのYCWスラリーを80℃・10分間保持した後、遠心水洗を2回行った。この沈澱画分を乾物濃度5%のスラリーに希釈しpH7.5に合わせた後再び遠心水洗浄を2回実施した。得られた沈澱画分をpH3.8に調整した画分を比較例品7とした。該比較例品7の液YIは49、フィルム性あり(5ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性あり(25分)であった。
比較例8
YCWの乾燥物濃度約2%で水酸化ナトリウム濃度0.5Nのスラリーを調製し、120分間還流煮沸を行った。反応終了後のスラリーを採取し、遠心水洗浄を2回実施して得られた画分を比較例品8とした。該比較例品8の液YIは49、フィルム性なし(250ml/m・d・MPaを超える)、また連続フィルムを形成しないため、フィルム崩壊性測定は不可能であった。
比較例9
YCWの乾燥物濃度約2.5%で水酸化ナトリウム濃度0.5N、過酸化水素濃度2%のスラリーを調製し、120分間還流煮沸を行った。反応終了後のスラリーを採取し、遠心水洗浄を2回実施して得られた画分を比較例品9とした。
比較例10
比較例品8の乾燥物濃度約2.5%としたスラリー1000gを常温・常圧下でオゾン処理を行った。オゾンの吹き込み条件は、酸素ボンベから酸素を供給し市販の放電式オゾナイザーで発生させた酸素・オゾン混合ガスを用い、0.11MPaの圧力で流量1L/min、オゾン濃度10000ppmの条件でYCWスラリーに対し吹き込みを行い、オゾンガスを微細な気泡化し気液反応を行った。反応終了後のスラリーを採取し、遠心水洗浄を2回実施して得られた画分を比較例品10とした。該比較例品10の液YIは25、フィルム性なし(250ml/m・d・MPaを超える)、また連続フィルムを形成しないため、フィルム崩壊性測定は不可能であった。
比較例11
比較例品10と等重量のエタノールを加え、攪拌により分散しスラリー状態にした後30分攪拌後遠心水洗浄を2回実施した。得られた沈殿画分を比較例品11とした。該比較例品11の液YIは23、フィルム性なし(250ml/m・d・MPaを超える)、また連続フィルムを形成しないため、フィルム崩壊性測定は不可能であった。
比較例12
比較例品8を希釈し塩酸濃度0.5Nとなるスラリー1000g調製し120分間還流煮沸を行った。反応終了後のスラリーを採取し、遠心水洗浄を2回実施した。得られた沈殿画分を1000gスラリーとし,常温・常圧下でオゾン処理を行なった。オゾンの吹き込み条件は、酸素ボンベから酸素を供給し市販の放電式オゾナイザーで発生させた酸素・オゾン混合ガスを用い、0.11MPaの圧力で流量1L/min、オゾン濃度10000ppmの条件でYCWスラリーに対し吹き込みを行い、オゾンガスを微細な気泡化し気液反応を行った。反応終了後のスラリーを採取し、遠心水洗浄を2回実施した。得られた沈殿画分と等重量のエタノールを沈殿画分に加え攪拌により分散しスラリー状態にした後、30分攪拌後遠心水洗浄を2回実施し得られた画分を比較例品12とした。該比較例品12の液YIは26、フィルム性なし(250ml/m・d・MPaを超える)、また連続フィルムを形成しないため、フィルム崩壊性測定は不可能であった。
実施例品1の固形分に対し、可塑剤としてのトレハロースが上記脱色酸処理酵母細胞壁画分の固形分の40重量%となるように、水に分散させコーティング液を調製した。それぞれのコーティング液の固形分は実施例品1は5.8重量%である。次に内包物質として、結晶セルロース「アビセル」PH−301(旭化成(株)製)/マンニトール(東和化成工業(株)製)/L−システイン(武田薬品(株)製)を20/50/30の質量比で混合した後、L−HPC(日本曹達(株)製)を結合液としてマルチプレックスMP−01((株)パウレック社製)を用いて顆粒を作成し、乾燥後の顆粒/ステアリン酸マグネシウム(太平産業(株)製)を100/0.5の比率で混合した後、ロータリー他上記(菊水製作所(株)製)を用いて、直径8mm、質量200mg、錠剤硬度1Nの錠剤(素錠)を形成した。コーティングにはフロイント産業製ハイコーターFREUND MODEL HCT−MINIを使用し、予め作成した素錠400gを仕込み、容器回転速度20rpm、エア温度80℃、排気温度35℃、エア圧力0.1MPaの条件で、上記コーティング溶液を2.5g/minで噴霧しながら、皮膜量が錠剤重量換算で10%になるようにコーティングを実施した。続いて、60℃の乾燥機で一晩乾燥処理して、コーティング錠剤を得た。実施例品1のコーティング錠剤を錠剤(ア)とする。コーティング操作については錠剤同士の凝集は見られず、錠剤表面は表層に一葉、且つ均一にコーティングされていた。錠剤のYIは25、崩壊時間は460秒、臭いマスクは良好、錠剤硬度は2.1Nであった。
実施例品7を用いて、実施例17と同様にトレハロースを実施例品7の固形分40重量%となるように調製したコーティング液(固形分濃度7.3重量%)を用い、実施例17と同様の操作を行い、コーティング錠剤(イ)を得た。コーティングは良好に行えた。錠剤のYIは11、崩壊時間は442秒、臭いマスクは良好、錠剤硬度は2.1Nであった。
実施例品5を用いて、実施例17と同様にトレハロースを実施例品5の固形分40重量%となるように調製したコーティング液(固形分濃度4.9%)を用い、実施例17と同様の操作を行い、コーティング錠剤(ウ)を得た。コーティングは良好に行えた。錠剤のYIは18、崩壊時間は1800秒以上、臭いマスクは良好、錠剤硬度は2.1Nであった。
実施例品9を用いて、実施例17と同様にマンニトールを実施例品9の固形分の40重量%となるように調製したコーティング液(固形分濃度7.0重量%)を用い、実施例17と同様の操作を行い、コーティング錠剤(A)を得た。コーティングは良好に行えた。錠剤のYIは7、崩壊時間は347秒、臭いマスクは良好、錠剤硬度は3.3Nであった。
実施例品16を用いて、実施例17と同様にマンニトールを実施例品16の固形分の40重量%となるように調製したコーティング液(固形分濃度8.0重量%)を用い、実施例9と同様の操作を行い、コーティング錠剤(B)を得た。コーティングは良好に行えた。錠剤のYIは7、崩壊時間は348秒、臭いマスクは良好、錠剤硬度は3.3Nであった。
比較例13
比較例品7を用いて、実施例16と同様にトレハロースを酸処理酵母細胞壁画分固形分の40重量%となるように調製したコーティング液(固形分濃度11.1重量%)を用い、上記と同様の操作を行い、コーティング錠剤(エ)を得た。コーティングは良好に行えた。錠剤のYIは50、崩壊時間は434秒、臭いマスクは良好、錠剤硬度は2.3Nであった。
比較例14
HPMC(TC−5、信越化学(株)製)5重量%のコーティング液を実施例16と同様の操作を行い、コーティング錠剤(オ)を作成した。上記同様コーティングは良好に行えた。錠剤のYIは12、崩壊時間は450秒、臭いはマスクできていない、錠剤硬度は2.1Nであった。
比較例15
比較例品7を用いて、実施例16と同様にマンニトールを酸処理酵母細胞壁画分固形分の40重量%となるように調製したコーティング液(固形分濃度11.0重量%)を用い、実施例16同様の操作を行い、コーティング錠剤(C)を得た。コーティングは良好に行えた。錠剤のYIは55、崩壊時間は429秒、臭いマスクは良好、錠剤硬度は2.1Nであった。
(比較例コーティングフィルムの単独ガスバリア性)
比較例16
比較例品7の酸素透過度は湿度60%RHでは5ml/m・d・MPaであった。
比較例17
HPMC:TC−5(信越化学(株)製)の酸素透過度は、湿度60%RHでは172ml/m・d・MPa以上であった。
比較例18
オイドラギッドL30−D55((株)樋口商会販売)(オイドラギット/PEG2000/ツイン80=100/10/3.9重量比混合)の酸素透過度は湿度60%RHでは49ml/m・d・MPaであった。
(酸素バリア性改良剤)
実施例品7の固形分が5重量%溶液に、また酸素バリア性改良剤が脱色酸処理酵母細胞壁画分の固形分の10〜80重量%となるように攪拌子で溶液全体を攪拌させ、分散し均一な溶液を得た。
このコーティング液をアプリケーターを用い延伸ポリプロピレンフィルム セネシPOP(ダイセル化学工業(株)の上にキャストし、60℃のオーブンで45分乾燥後、フィルム膜厚約0.015mm(全体のフィルム膜厚0.035mm)のキャストフィルムを得た。試験装置はモコン(MOCON:Modern Controls社製)のOX−TRAN100を用い、測定条件は温度20℃、湿度60%又は85%、試験面積5cm、酸素濃度100%で行った結果を酸素透過度(mL/m・d/MPa)として算出し、表1及び表2に示す。表1及び表2から本発明の脱色酸処理酵母細胞壁画分に酸素バリア性改良剤を添加すると高湿度下においても良好な酸素バリア性を示すことが分かる。
Figure 2004018650
Figure 2004018650
(実施例品及び既存類似品(比較例)の酵母細胞壁形状)
実施例品1、3及び比較例品1、3の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影した(第2図)。実施例品(1、3)は細胞壁形状が実質上完全に残って(保形されて)いるが(第2図A、B)、比較例品(1、3)はなくなっていることがわかる(第2図C、D)。
(本発明品及び既存類似品(比較品)の酵母細胞壁形状(粒度分布の変化での評価))
実施例品1及び3に加え、比較例品1、比較例品3、比較例品4をそれぞれ堀場製作所製レーザー式粒度分布計LA−920により相対屈折率を200A000Iとし、粒度分布測定を行った。
実施例品1及び3は何れもモード径は5.5〜5.7μm付近である一方、比較例品1、3、4では粒子径は3.2〜3.7μm付近まで低下している。また、比較例品,3,4、では3.9μm以下の粒子径の割合はそれぞれ、39%、52%、54%といずれも高い割合であることに対し、実施例品1及び3では16.7%、5.8%と比較例品の半分以下の低い割合であることからもわかる通り、細胞壁形状が比較例品では破壊されており、実施例品では維持されていることがわかる。
実施例25 (フィルム成形性)
実施例品と比較例品につきフィルム成形性を測定した。データは各サンプルにつき2回測定した結果とした。
実施例品1〜16、比較例品7、YCWは良好なフィルム成形性を示しいずれも完全なフィルム若しくは一部に亀裂が入る程度のフィルムであったが、比較例品1〜6や8〜12は全て細かなフィルム片となっており、フィルム成形性が見られず、以下のフィルムとしての物性値の測定が不可能であった。
実施例26 (フィルム機械特性)
フィルム成形性が良好であったサンプルに付き、フィルム機械特性の測定を行った。
評価フィルムは、乾燥物換算で10%のグリセリンを添加した乾燥物濃度2%程度のスラリーを調製し100mm×100mmのポリスチレン製角型シャーレに乾燥物換算で1.0g相当を流し込む。このシャーレを約1日かけ乾燥させキャストフィルムを作成したサンプルを以下のフィルム物性の測定に関するテストに供した。
結果は、各値は平均値とし表3に示した。
以下の表3に示されるとおり、実施例11記載のYCW、比較例品7に比較し、脱色処理を進めるにつれフィルム強度が向上した。特に、実施例品9及び実施例品14においては顕著にフィルム強度は向上しており、引張り強さではYCWフィルムの5倍近く向上し、比較例品7のフィルムに対しても倍以上の強度の向上が見られた。また、フィルムの膜厚方向への強さを表わす突き破り強度もYCWに対し4.5倍、比較例品7に対し3倍の強度の向上効果が見られた。さらに、フィルムのしなやかさを表わす伸び率や突き破りの押し込み量の上昇についても効果が見られた。
Figure 2004018650
(乾燥酵母からの酵母細胞壁画分(YCW−2)の調製)
特許第3349677記載の方法に従い、ビール工場より副生物として得られた死菌状態の乾燥ビール酵母を固形分が10重量%になるように懸濁した。この酵母を100MPaのホモジナイザーで処理後、プロテアーゼ(NOVO製、ニュートラーゼ、アルカラーゼを使用し、45〜60℃、pH7.5において15時間反応)により菌体内成分を溶解した。このスラリーを遠心分離(4200rpm 10分)で可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣を水洗いし、酵母細胞壁画分を作成した。このときのpHは約7.0であった。
以下当該画分、Yeast Cell Wall(酵母細胞壁)を略しYCW−2(液YI:75)と称する。
(YCW−2のオゾン処理)
4N塩酸を用いpH4に調整した1LのYCW−2の5%スラリーに対し圧力0.1MPa・液温10℃の条件でオゾンを吹き込み、1時間オゾン処理を行った。オゾンガスは、酸素ボンベから酸素を供給し市販の放電式オゾナイザーで発生させた酸素・オゾン混合ガスを用い、0.11MPaの圧力で流量2L/min、オゾン濃度4.5%(w/w)の条件でYCWスラリーに対し吹き込みを行い、オゾンガスを微細な気泡化し気液反応を行った。オゾン処理終了後、25%水酸化ナトリウム溶液によりYCWスラリーをpH11に調整後、4200rpm・10分の条件で遠心水洗浄を2回実施し沈殿画分が得られた。
(YCW−2のオゾン処理後の過酸化水素処理)
この沈澱画分を、乾物濃度2.5%、過酸化水素濃度1%、25%水酸化ナトリウムでpH10のスラリーに調整し、60℃で2hr反応を行った。反応終了後、4200rpmで遠心分離を10分行った後、遠心沈殿物を水で希釈し乾燥重量濃度を約3%のスラリーにした。このスラリーを4N塩酸によりpH7〜7.5に調整し、カタラーゼ(ナガセケムテックス:レオネットFプラス)を0.05〜0.1%添加し攪拌を30分間行い残存過酸化水素を分解除去した後、遠心水洗浄を2回実施し得られた沈殿画分をpH3.8に調整した画分を実施例品27とした。
該実施例品27の液YIは0、フィルム性あり(10ml/m・d・MPa)フィルム崩壊性あり(30分以内)であった。
実施例28 (エタノール処理)
実施例27の最終pH3.8に調整する前段の沈殿画分とエタノールを重量比で1:1の割合で混合し、攪拌により分散しスラリー状態にした後30分攪拌後遠心水洗浄を2回実施し得られた沈殿画分をpH3.8に調整した画分を実施例品28とした。該実施例品28の液YIは0、フィルム性あり(10ml/m・d・MPa)フィルム崩壊性あり(30分以内)であった。
(乾燥酵母からのAYC−2の調製)
特許3349677号公報記載の製法に基づきYCW−2の乾物濃度を5%、塩酸濃度を0.3NとしたYCWスラリーを80℃・10分間保持した後、遠心水洗を2回行った。この沈殿画分を乾物濃度約5%のスラリーに希釈しpHを7.5にあわせた後再び遠心水洗浄を2回実施した。得られた沈殿画分をpH3.8に調整した。
以下当該画分をAYC−2と称する。液YIは82であった。
(AYC−2のオゾン処理)
上記、AYC−2に対し、実施例26と同様の調製処理(オゾン処理後アルカリ処理)を行い、4200rpm・10分の条件で遠心水洗浄を2回実施し沈殿画分が得られた。
(AYC−2のオゾン処理後の過酸化水素処理)
この沈澱画分を、乾物濃度2.5%、過酸化水素濃度1%、25%水酸化ナトリウムでpH10のスラリーに調整し、60℃で2hr反応を行った。反応終了後、4200rpmで遠心分離を10分行った後、遠心沈殿物を水で希釈し乾燥重量濃度を約3%のスラリーにした。このスラリーを4N塩酸によりpH7〜7.5に調整し、カタラーゼ(ナガセケムテックス:レオネットFプラス)を0.05〜0.1%添加し攪拌を30分間行い残存過酸化水素を分解除去した後、遠心水洗浄を2回実施し得られた沈殿画分をpH3.8に調整した画分を実施例品29とした。該実施例品29の液YIは0、フィルム性あり(10ml/m・d・MPa)フィルム崩壊性あり(30分以内)であった。
実施例30(エタノール処理)
実施例29の最終pH3.8に調整する前段の沈殿画分とエタノールを重量比で1:1の割合で混合し、攪拌により分散しスラリー状態にした後30分攪拌後遠心水洗浄を2回実施し得られた沈殿画分をpH3.8に調整した画分を実施例品30とした。該実施例品30の液YIは0、フィルム性あり(10ml/m・d・MPa)、フィルム崩壊性あり(30分以内)であった。
実施例31 成分組成(一般3成分)の測定
各種の本実施例品や本比較品との成分の比較例を示す(表4)。表4の通り、本実施例品は本比較品に比べてタンパク質・脂質含量がやや低下する傾向があった。
Figure 2004018650
実施例32 糖組成の測定
酵母細胞壁(サッカロマイセスセレビジエ由来)に含有される糖質は、大部分がグルカン、マンナンであり、微量のキチンが出芽根付近に含まれている。酵母細胞壁の糖組成を測定するため、各種の本実施例品や本比較例品につき、グルカン・マンナン含量を構成単糖のグルコース・マンノースに加水分解し含有量を測定した。
測定は構成単糖が還元糖であることから、ポストカラム法により以下の表5、表6の手順に基づき、高速液体クロマトグラフ(以下、HPLC)を用い各サンプルにつき、n=1で測定した。
Figure 2004018650
Figure 2004018650
表7に示されるとおり、糖組成分析の結果、白色度が向上するにつれてグルカン比率が向上し、マンナン含量が低下するが、フィルム成形性を有するサンプルにおいてはマンナンが残存していることが確認された。一方、フィルム成形性を有しない比較例品8〜12ではマンナンに相当するマンノースは検出されなかった。
Figure 2004018650
本発明の脱色酵母細胞壁画分は、従来の酵母細胞壁画分が有していた黄褐色〜褐色の色が脱色されて、白色を呈し(例えば液YIが13以下)、なお且つ、脱色前の酵母細胞壁画分が有している、コーティング剤等として使用する場合に、粘性の割に仕上がりにべとつきがなく、コーティング後の粒子同士の付着がない、酸素透過係数が極めて低い、溶出時間を制御できる、有機溶媒(メタノール等)の処理によってもフィルム性に変化の無いなどの酵母細胞壁画分の短所が改善された脱色酵母細胞壁画分である。
更に、本発明は、本発明によって製造された上記のような性質を有する脱色酵母細胞壁画分を主成分とし、更に可塑剤、酸素バリア性改良剤等を添加して用いることにより、食品、食品素材、医薬製剤、酵素、微生物、種子、農薬、肥料、香料または顔料等における優れたコーティング剤として利用することができるものである。本発明のコーティング剤は、内包成分の揮発又は昇華の防止作用にすぐれ、例えば、医薬製剤の分野で、「ウィスカーの発生」として問題になっているような、揮発性又は昇華性物質を含有する製剤の揮発又は昇華の防止剤として特に有用性を有するものである。

Claims (7)

  1. 脱色酵母細胞壁画分が、日本電色(株)SE−2000による反射型方法(光源C、視野2度)で測定した液のYI(Yellow Index)が13以下であることを特徴とする脱色酵母細胞壁画分。
  2. 脱色酵母細胞壁画分が、脱色酵母細胞壁画分の5%(重量比)スラリーをベーカーアプリケーターを用い延伸ポリプロピレンフィルム セネシPOP(ダイセル化学工業(株)、フィルム膜厚0.02mm)の上にキャストし、60℃のオーブンで45分乾燥してキャストフィルム(フィルム膜厚約0.015mm)を作製した場合、湿度60%RHでの酸素透過率が250ml/m・d・MPa以下である連続したフィルムを形成する性質を有することを特徴とする請求項1記載の脱色酵母細胞壁画分。
  3. 脱色酵母細胞壁画分が、脱色酵母細胞壁画分の5%(重量比)スラリーを円形容器:60mmの径で60℃、2時間乾燥してキャストフィルムを作製した場合(フィルム膜厚:約0.1mm)、該フィルムの純水での崩壊時間が60分以内であることを特徴とする請求項1又は2記載の脱色酵母細胞壁画分。
  4. 酵素処理した酵母から、可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣、或いは該菌体残渣を更に酸性水溶液で処理し、酸性水溶液可溶化成分を除去した菌体残渣を、脱色処理して調製されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の脱色酵母細胞壁画分。
  5. 酵素処理した酵母から、可溶性菌体内成分を除去した菌体残渣、或いは当該菌体残渣を更に酸性水溶液で処理し、酸性水溶液可溶化分を除去した残渣を脱色剤を用いて脱色処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の脱色酵母細胞壁画分の製造方法。
  6. 脱色剤による脱色処理が、過酸化水素及びオゾンによる脱色処理であることを特徴とする請求項5記載の脱色酵母細胞壁画分の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか記載の脱色酵母細胞壁画分を主成分とすることを特徴とするコーティング剤。
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