JPWO2004007370A1 - 酸触媒として機能するゼオライト類似体の簡易な製造法 - Google Patents
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Abstract
Description
理想式NaAlSi2O6・H2Oで表される方沸石は、火山地域から普通に産出する天然型ゼオライトであり、アルミノ珪酸塩鉱物に属する。方沸石は表面処理することが可能であることから、シリコーン被膜を施し選択的にアンモニウムイオンを吸着する機能を付加したアンモニウムイオン吸着剤、酸で表面処理し特定の給油量および屈折率を有するようにした体質顔料が製造されている。この他、方沸石から疎水性結晶質ゼオライトを誘導し、空気中または水中における炭化水素含量を無害な程度まで減少させるフィルター、鉄を導入した方沸石(結晶性シリコメタレート類)をアルカン類酸化触媒として使用する方法が考案されている。
方沸石のアルカリ金属カチオンは交換することが可能である。この性質を利用したイオン交換体は、ゼオライトの一般的な用途である。方沸石のアルカリ金属カチオンはNa+であるが、同じ構造のTO4四面体骨格を有し、アルカリ金属カチオンとしてCa2+を含むゼオライト類似体はワイラケ沸石、K+を含むゼオライトは白榴石と呼ばれ天然に産する。これらは全て方沸石のアルカリ金属カチオン交換型類似体である。また、工業化学的にはこれまでに方沸石のアルカリ金属カチオンをLi+、Ag+、K+、NH4 +、Tl+、Rb+、Cs+で交換したゼオライト類似体が製造されている。
方沸石のアルカリ金属カチオンをNH4 +と交換し加熱処理すると、NH3が脱離しプロトン交換型ゼオライト類似体とすることができる。プロトン交換型ゼオライト類似体を加熱処理するとルイス酸性が発現することが知られている。
ゼオライトの一般的な用途として分子ふるい機能がある。ゼオライトの分子ふるい機能を考えると、外部から分子が細孔に進入するための関所である窓の大きさが重要となる。ゼオライトは多種の細孔構造を形成するが、窓の種類は意外に少なく、酸素3、4、5、6、8、10、12、18員環の8種類しかない。この中で無機ガスや有機分子が通過できる窓は酸素8員環以上の4種類に限られる。方沸石の細孔構造は酸素4員環と6員環から構成されるために、分子ふるいとしての機能は制限される。
しかしながら、方沸石は他のゼオライトよりも緻密な結晶構造を有しているために、化学的・物理的に安定である特徴を有する。すなわち、焼成処理を行っても結晶構造が破壊せず、450℃、100MPaの高温・高圧環境下でも合成される。プロトン交換型ゼオライトを加熱処理すると、H2Oが脱離し、非常に強い電子親和性のルイス酸性が発現するが、方沸石は加熱処理に対し耐性があり、プロトン交換型ゼオライト類似体を加熱処理によりルイス酸触媒とすることには特別の利点がある。
石油の接触分解に粘土触媒が初めて使用されたのは1936年である。酸性白土(モンモリロナイト)を酸処理して得られる活性白土が用いられた。活性白土触媒はその後合成シリカ・アルミナ(1940年)、ゼオライト(1962年)に置き換えられた。
化学工業分野において、触媒として利用されているのは主に合成ゼオライトである。天然産ゼオライトの内、エリオナイトは耐酸性に優れているために触媒としても利用できる。天然産ゼオライトは品質が悪いために、そのままで使える用途は限られている。しかしながら、方沸石のような天然型のゼオライトでも、性質をコントロールした類似体を化学合成により製造すれば有用な触媒となり得る。
人工ゼオライトは、メタケイ酸ナトリウムおよびコロイダルシリカをシリカ源、アルミン酸ナトリウムをアルミナ源として使用し、これらを加熱したNaOH溶液中で沈殿させ、得られた固形物を濾過により分離し、十分に水洗した後に110℃で乾燥することで得られる。この製造法ではゼオライトA、あるいはゼオライトYを得ることができる。
方沸石には大きく2通りの製造法がある。1つ目は、凝灰岩系の火山砕屑岩からNaOH、塩化物、アルミン酸ナトリウム溶液中での熱水処理により製造する製造法である。具体的には斜プチロル沸石を含む火山砕屑岩(凝灰岩)を、Na2CO3−NaHCO3を添加したアルカリ熱水溶液で処理することで方沸石を製造できる。この製造法では、天然系を再現した合成系で方沸石を製造する。天然の方沸石は温泉変質作用により、塩溶液と火山砕屑岩中の火山ガラスとの相互作用により形成されると考えられている。
また市販の工業製品から方沸石を製造することもできる。すなわち、特定SiO2/Al2O3モル比のアルミノ珪酸塩に石英等のシリカ供給物質を添加し、NaOHあるいはKOH溶液中で水熱処理しても方沸石あるいはゼオライト類似体は得られる。さらに、方沸石と同一組成の人造ガラスを熱水処理しても方沸石は製造できる。また、ゼオライトAあるいはゼオライトY等の合成ゼオライトと同様に、水溶性のケイ酸塩およびアルミン酸塩からも方沸石が製造できる。オルトケイ酸ナトリウムをシリカ源、アルミン酸ナトリウムをアルミナ源とし、水熱合成で方沸石を製造する場合には、触媒として臭化テトラメチルアンモニウムを添加する。
これらの方沸石の製造法では、天然の火山砕屑岩または市販の工業製品を用いるなど原料の違いはあるが、水熱合成によりアルカリ金属カチオンを添加する工程は共通する。この従来の製造法により得られた方沸石を酸触媒として使用するには、イオン交換によりアルカリ金属カチオンをプロトンに交換し、プロトン交換型方沸石を製造する必要があった(例えば、特表2002−508006号公報(第5頁)参照)。方沸石は加熱に対し耐性があることから、プロトン交換型方沸石を焼成しルイス酸触媒を得ることができる。
ゼオライト触媒の製造法として、上述のプロトン交換型ゼオライトを製造する方法の他に、金属をゼオライト表面に担持する製造法がある。この場合、ゼオライトは高分散触媒担体として機能する。触媒金属はイオン交換によりゼオライトに導入する。
最近のゼオライト科学の進歩は、アルミニウムを実質的に含まないシリカゼオライト、骨格構造を形成するT(Al、Si)原子の位置がTi、B、Fe、Ga、Ge、Pで一部、あるいは全部置換された、いわゆる骨格置換ゼオライトの合成を可能とした(例えば、特表平11−510136号公報(第4〜9頁)参照)。方沸石においても、工業化学的にSiO4四面体構造をGeO4で置換し、アルカリ金属カチオンとしてCs+を添加したゼオライト類似体が製造されている。
方沸石は加熱処理に対し耐性があることから、プロトン交換型ゼオライト類似体を製造し、焼成処理によりルイス酸触媒とすることには特別の利点がある。従来のプロトン交換型方沸石類の製造法では、方沸石中のカチオンをイオン交換によりプロトン化し固体酸触媒を製造し、その後の焼成処理によりルイス酸性を発現させてきた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、方沸石を製造する過程でプロトン交換型ゼオライト類似体を得ることができれば、製造工程を短縮できる。
合成ゼオライトは、熱水中でシリカ源とアルミナ源から沈殿した原料ゲルを100℃以上の温度で乾燥させることで結晶化する。この原料ゲルの結晶化過程と、ルイス酸触媒化のための焼成を同時に行うことができれば、さらに製造工程を減らすことができる。すなわち、酸性溶液中でゲル状プロトン交換型方沸石類を沈殿させることができれば、原料ゲルからプロトン交換型ゼオライト類似体を結晶化させる際に、H2Oが脱離しルイス酸性が発現すると期待できる。
さらに、遷移金属置換型のゼオライト類似体触媒を製造する場合、イオン交換により金属元素を導入したアルカリ金属カチオン交換型のゼオライト触媒は安定性に問題があるが、触媒として機能する遷移金属元素をゼオライトの骨格構造に導入できれば安定性が向上すると期待できる。ZrおよびTi等の遷移元素で骨格置換ゼオライト類似体を合成すれば、方沸石の細孔構造を変えることなく、細孔の口径を変えることができる。
合成ゼオライトは、上述した通り、ルイス酸性を有することから化学工業分野において、触媒として利用されてきた。本発明者らは、製造工程が非常に複雑とされている糖質高分子や配糖体の合成系への触媒の適用に着目した。特に、本発明では、糖供与体および糖受容体を、糖供与体と糖受容体との間にグリコシド結合を生成させ、これらを結合させるグリコシル化反応の系に着目した。
グリコシル化反応により生じるグリコシド結合は、例えば糖類の骨格ともいえる結合様式であり、このグリコシド結合を、例えば、単糖、オリゴ糖または多糖、すなわち糖単位のヘミアセタール水酸基またはヘミケタール水酸基と、他の単糖、オリゴ糖または多糖の水酸基、並びに糖以外の分子、例えばアルコール性水酸基、カルボン酸およびアミノ酸のカルボキシル基との間で効率的に生成させることが糖質高分子や配糖体を合成する上での課題であるといえる。
従来、糖質高分子や配糖体の製造には、例えばKeonigs−Knorr法、イミデート法、フッ素化法などが適用されてきた。
しかしながら、これらの製造方法によると、その製造工程は非常に複雑なものになってしまう。
一方、酸触媒存在下、1段階のみで分子間にグリコシド結合を生成させることができるFisher法は、その工程が非常に簡便であることから、糖質高分子や配糖体の工業的な大量生産に適した方法といえる。
このFisher法により、例えばD−グルコース同士がO−グリコシド結合により多数縮合重合した縮合重合体は、難消化性の食物繊維として食品分野で使用されている。
また、塩酸存在下にD−グルコースに大過剰のメタノールを作用させると、D−グルコースの1位の水酸基と、メタノールの水酸基とによりO−グリコシド化されたメチルグリコシドが生成する。このメチルグリコシドは、例えば界面活性剤、洗剤等に使用することができる。
また、従来、糖供与体および糖受容体の脱離基、水酸基保護基、カルボキシル保護基、アミノ保護基および/または触媒等を適宜設定して、反応を行うことで、反応位置の制御、立体配置の制御が行われてきた。例えば上述のイミデート法では、用いられるイミデートにより、α型とβ型とを選択的に高収率で合成することができる。
しかしながら、上述したいずれのグリコシル化反応においても、特に環境に対する負荷の大きなベンゼン、塩化メチレン、アセトニトリルまたはトルエン等の有機溶媒が大量に使用される。
従って、従来の合成方法で使用されている溶媒では困難な、工程が簡易であり、環境負荷の少ないグリコシル化反応、すなわち、糖質高分子または配糖体の合成方法の出現が嘱望されている。
しかしながら、従来のグリコシル化反応は、工程が非常に複雑であり、工業的な大量生産には不向きであった。また特に反応溶媒としてベンゼン、含ハロゲン有機溶媒といった環境に対する負荷の大きな有機溶媒が大量に使用されるため、工程後の廃液処理等の問題が懸念される。
まず、本発明者らは鋭意研究を進める中で、イライトおよび白雲母を含有する新第三紀珪藻土に1規定の硫酸溶液を添加し、乾燥後650℃で焼成することでルイス酸性が珪藻土に発現することを見いだした。そして、珪藻土にルイス酸性が発現する要因を追求した結果、硫酸溶液を添加し、乾燥後650℃で焼成した粘土質珪藻土からゼオライト類似体が生成していることを見いだした。従来のゼオライト製造がアルカリ溶液でアルカリ金属を添加するのに対し、本発明では酸性溶液中で製造しアルカリ金属の添加を行わないため、本発明で製造されるゼオライト類似体はアルミナケイ酸塩の形をとらない。すなわち、方沸石のアルカリ金属がプロトンで置換されたプロトン型ゼオライト類似体である。
さらに本発明は、特に環境への負荷の少ない反応溶媒である超臨界流体の存在下で、触媒として、プロトン型ゼオライト類似体を使用することで、グリコシル化反応、例えば単糖類、2糖類等の糖単位間の縮合反応、または糖単位とアルコール類、脂質およびアミノ酸等との間の縮合反応が効率的に進行することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、上記目的を達成するために、以下を提供する。
(1)無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、プロトン交換型ゼオライト類似体を生成するための原料の製造方法であって、この方法は、以下:
無機鉱物を酸性溶液で処理する工程、
を包含する、方法。
(2)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、項(1)に記載の方法。
(3)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、項(2)に記載の方法。
(4)中性またはアルカリ性溶液を用いるデカンテーションにより、有機物およびスメクタイト系鉱物を除去する工程をさらに包含する、項(1)に記載の方法。
(5)上記酸性溶液は、過酸化水素を含む、項(1)に記載の方法。
(6)上記酸性溶液は、塩酸溶液を含む、項(1)または(5)に記載の方法。
(7)上記中性またはアルカリ性溶液は、ピロリン酸ナトリウムを含む、項(4)に記載の方法。
(8)上記スメクタイト系鉱物は、モンモリオナイトを含む、項(4)に記載の方法。
(9)項(1)に記載の方法により製造された、ルイス酸活性を有するプロトン型ゼオライト類似体を製造するための原料。
(10)無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、プロトン交換型ゼオライト類似体の製造方法であって、この方法は、以下:
無機鉱物からスメクタイト系粘土鉱物を除去した原料に、無機酸を添加し、シリカ源およびアルミナ源を反応させ、反応生成物を得る工程;および
反応生成物を焼成する工程、
を包含し、ここで、
プロトン交換型ゼオライト類似体は、式WpHm−pZnO2n・SH2Oで表され、
Wは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはIIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属であり、
Zは、Al+Siであり、かつSi/Al比は、1以上の整数であり、
mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、
pは、0以上でかつmより小さい整数であり、
Sは、0以上の任意の数である、方法。
(11)上記Wは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である、項(10)に記載の方法。
(12)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、項(10)に記載の方法。
(13)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、項(12)に記載の方法。
(14)上記無機酸が、硫酸である、項(10)に記載の方法。
(15)上記焼成の温度が、540℃以上である、項(10)に記載の方法。
(16)上記シリカ源よびアルミナ源を反応させて得られる生成物を風乾した後に、焼成が行われる、項(10)に記載の方法。
(17)上記式における酸素原子Oの個数が、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満である、項(10)に記載の方法により製造されたプロトン交換型ゼオライト類似体。
(18)無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体の製造方法であって、この方法は、以下:
無機鉱物からスメクタイト系粘土鉱物を除去した原料に、遷移金属化合物を担持する工程、
を包含し、ここで、
遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体は、式WpHm−pZnO2 n・SH2Oで表され、
Wは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはIIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属であり、
Zは、IIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属、またはIIIB族およびIVB族の元素からなる群から選択される典型金属元素であり、
mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、
pは、0以上でかつmより小さい整数であり、
Sは、0以上の任意の数である、方法。
(19)上記Wは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である、項(18)に記載の方法。
(20)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、項(18)に記載の方法。
(21)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、項(18)に記載の方法。
(22)上記担持する工程が、CVD法による上記遷移金属化合物の蒸着である、項(18)に記載の方法。
(23)上記遷移金属化合物は、IIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属の、ハロゲン化物、硫酸塩、酢酸塩、カルボニル、硝酸塩またはそれらの混合物である、項(18)に記載の方法。
(24)上記遷移金属化合物は、ZrCl4、TiCl4、FeCl2またはそれらの混合物である、項(23)に記載の方法。
(25)上記担持する工程が、上記遷移金属の水酸化物ゲルの含浸である、項(18)に記載の方法。
(26)上記坦持する工程後に、加水分解する工程をさらに包含する、項(18)に記載の方法。
(27)上記式における酸素原子Oの個数が、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満である、項(18)に記載の方法により製造されたプロトン交換型ゼオライト類似体。
(28)無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体の製造方法であって、この方法は、以下:
遷移金属を坦持した無機鉱物に、無機酸を添加し、遷移金属と、シリカ源と、アルミナ源とを反応させ、反応生成物を得る工程;および
反応生成物を焼成する工程、
を包含し、ここで、
遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体は、式WpHm−pZnO2 n・SH2Oで表され、
Wは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはIIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属であり、
Zは、IIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属、またはIIIB族およびIVB族の元素からなる群から選択される典型金属元素であり、
mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、
pは、0以上でかつmより小さい整数であり、
Sは、0以上の任意の数である、方法。
(29)上記Wは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である、項(28)に記載の方法。
(30)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、項(28)に記載の方法。
(31)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、項(28)に記載の方法。
(32)上記無機酸が、硫酸である、項(28)に記載の方法。
(33)上記焼成の温度が、540℃以上である、項(28)に記載の方法。
(34)上記遷移金属とシリカ源とアルミナ源を反応させて得られる生成物を風乾した後に、焼成が行われる、項(28)に記載の方法。
(35)上記式における酸素原子Oの個数が、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満である、項(28)に記載の方法により製造されたプロトン交換型ゼオライト類似体。
(36)無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、プロトン交換型ゼオライト類似体の製造方法であって、この方法は、以下:
無機鉱物を酸性溶液で処理する工程;
酸処理後の原料に、無機酸を添加し、シリカ源およびアルミナ源を反応させ、反応生成物を得る工程;および
反応生成物を焼成する工程、
を包含し、ここで、
プロトン交換型ゼオライト類似体は、式WpHm−pZnO2n・SH2Oで表され、
Wは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはIIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属であり、
Zは、Al+Siであり、かつSi/Al比は、1以上の整数であり、
mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、
pは、0以上でかつmより小さい整数であり、
Sは、0以上の任意の数である、方法。
(37)上記無機酸の添加の前に、中性またはアルカリ性溶液を用いるデカンテーションによりスメクタイト系鉱物を除去する工程を包含する、項(36)に記載の方法。
(38)上記酸性溶液は、過酸化水素を含む、項(36)に記載の方法。
(39)上記Wは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である、項(36)に記載の方法。
(40)上記中性またはアルカリ性溶液は、ピロリン酸ナトリウムを含む、項(36)に記載の方法。
(41)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、項(36)に記載の方法。
(42)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、項(41)に記載の方法。
(43)上記スメクタイト系鉱物は、有機物およびモンモリオナイトを含む、項(37)に記載の方法。
(44)上記無機酸が、硫酸である、項(36)に記載の方法。
(45)上記焼成の温度が、540℃以上である、項(36)に記載の方法。
(46)上記シリカ源よびアルミナ源を反応させて得られる生成物を風乾した後に、焼成が行われる、項(36)に記載の方法。
(47)上記式における酸素原子Oの個数が、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満である、項(36)に記載の方法により製造されたプロトン交換型ゼオライト類似体。
(48)無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体の製造方法であって、方法は、以下:
無機鉱物を酸性溶液で処理する工程;
無機鉱物からスメクタイト系粘土鉱物を除去した原料に、遷移金属化合物を担持する工程;
遷移金属化合物を坦持した無機鉱物に、無機酸を添加し、遷移金属とシリカ源とアルミナ源とを反応させ、反応生成物を得る工程;および
反応生成物を焼成する工程、
を包含し、ここで、
遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体は、式WpHm−pZnO2 n・SH2Oで表され、
Wは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはIIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属であり、
Zは、IIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属、またはIIIB族およびIVB族の元素からなる群から選択される典型金属元素であり、
mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、
pは、0以上でかつmより小さい整数であり、
Sは、0以上の任意の数である、方法。
(49)上記無機酸の添加の前に、中性またはアルカリ性溶液を用いるデカンテーションによりスメクタイト系鉱物を除去する工程を包含する、項(48)に記載の方法。
(50)上記酸性溶液は、過酸化水素を含む、項(48)に記載の方法。
(51)上記Wは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である、項(48)に記載の方法。
(52)上記中性またはアルカリ性溶液は、ピロリン酸ナトリウムを含む、項(49)に記載の方法。
(53)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、項(48)に記載の方法。
(54)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、項(53)に記載の方法。
(55)上記スメクタイト系鉱物は、有機物およびモンモリオナイトを含む、項(49)に記載の方法。
(56)上記担持する工程が、CVD法による上記遷移金属化合物の蒸着である、項(48)に記載の方法。
(57)上記遷移金属化合物は、IIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属の、ハロゲン化物、硫酸塩、酢酸塩、カルボニル、硝酸塩またはそれらの混合物である、項(48)に記載の方法。
(58)上記遷移金属化合物は、ZrCl4、TiCl4、FeCl2またはそれらの混合物である、項(57)に記載の方法。
(59)上記担持する工程が、上記遷移金属の水酸化物ゲルの含浸である、項(48)に記載の方法。
(60)上記坦持する工程後に、加水分解する工程をさらに包含する、項(48)に記載の方法。
(61)上記式における酸素原子Oの個数が、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満である、項(48)に記載の方法により製造されたプロトン交換型ゼオライト類似体。
(62)無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体の製造方法であって、この方法は、以下:
無機鉱物からスメクタイト系粘土鉱物を除去した原料に、遷移金属化合物を担持する工程;
遷移金属化合物を坦持した無機鉱物に、無機酸を添加し、遷移金属とシリカ源とアルミナ源とを反応させる工程;および
反応生成物を焼成する工程、
を包含し、ここで、
遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体は、式WpHm−pZnO2 n・SH2Oで表され、
Wは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはIIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属であり、
Zは、IIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属、またはIIIB族およびIVB族の元素からなる群から選択される典型金属元素であり、
mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、
pは、0以上でかつmより小さい整数であり、
Sは、0以上の任意の数である、方法。
(63)上記式における酸素原子Oの個数が、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満である、項(62)に記載の方法により製造されたプロトン交換型ゼオライト類似体。
(64)糖供与体と、糖受容体とを、超臨界流体の存在下で反応させて糖含有物質を生成する工程を包含する、糖含有物質の合成方法。
(65)上記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、項(64)に記載の方法。
(66)上記反応工程は酸触媒の共存下で行われる、項(64)に記載の方法。
(67)上記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、項(64)に記載の方法。
(68)上記酸性溶液は硫酸である、項(67)に記載の方法。
(69)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質は、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、項(67)に記載の方法。
(70)上記無機鉱物を含有する原料の天然物質は、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、項(69)に記載の方法。
(71)上記酸触媒は、トリフルオロメタンスルホン酸銀、トリフルオロメタン酸トリメチルシリル、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、SnCl2−AgClO4、SnCl2−AgOTf、Cp2ZrCl2−AgClO4、硫酸化ジルコニア、珪藻土、硫酸処理珪藻土および硫酸化チタニア担持珪藻土からなる群から選択される、項(66)に記載の方法。
(72)上記糖含有物質は、糖質高分子または配糖体である、項(64)に記載の方法。
(73)式(I);
(式中、R1は−OC(NH)CCl3、−Cl、−Brまたは−Fであり、R2は−OH、−OR6、−N3または−NHR7であり、R3およびR4は、互いに独立して、−OHまたは−OR6であり、R5は−H、−CH3、−CH2OH、−CH2OR6、または−COOR8であり、R6は、互いに独立して、水酸基保護基、または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R7はアミノ基保護基であり、R8はカルボキシル基保護基である。)
の糖単位を含む群から選択される1種または2種以上の糖供与体と、
式(II);
(式中、R9は−OR14であり、R10は−OR15、−N3または−NHR16であり、R11は−OR17であり、R12は−OR18であり、R13は−H、−CH3、−CH2OR19または−COOR20であり、R14およびR15は、互いに独立して、−H、水酸基保護基または水酸基を含むすべての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R16はアミノ基保護基であり、R17、R18およびR19は、それぞれ互いに独立して、−H、水酸基保護基または水酸基を含むすべての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R20はカルボキシル基保護基である。ただし、R14、R15、R17、R18およびR19のうち、少なくとも1つは−Hである。)
の糖単位を含む群から選択される1種または2種以上の糖受容体とを、
酸触媒および超臨界流体の共存下で反応させて糖質高分子を生成する工程を包含する、糖質高分子の合成方法。
(74)上記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、項(73)に記載の方法。
(75)上記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、項(73)に記載の方法。
(76)式(III);
(式中、R21は−OC(NH)CCl3、−Cl、−Brまたは−Fであり、R2 2は−OH、−OR26、−N3または−NHR27であり、R23およびR24は、互いに独立して、−OHまたは−OR26であり、R25は−H、−CH3、−CH2OH、−CH2OR26または−COOR28であり、R26は、互いに独立して、水酸基保護基、または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R27はアミノ基保護基であり、R28はカルボキシル基保護基である。ただし、R22、R23、R24またはR25のうち、少なくとも1つは水酸基(R25の場合には、−CH2OH)であるものとする。)
の糖単位を含む群から選択される1種または2種以上の糖単位を、
酸触媒および超臨界流体の共存下で反応させて糖質高分子を生成する工程を包含する、糖質高分子の合成方法。
(77)上記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、項(76)に記載の方法。
(78)上記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、項(76)に記載の方法。
(79)式(IV);
(式中、R29は−OC(NH)CCl3、−Cl、−Brまたは−Fであり、R3 0は−OR34、−N3または−NHR35であり、R31およびR32は−OR34であり、R33は−H、−CH3、−CH2OR34、または−COOR36であり、R34は、互いに独立して、水酸基保護基、または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R35はアミノ基保護基であり、R36はカルボキシル基保護基である。)の糖単位を含む群から選択される1種の糖供与体と、
ジアシルグリセロール、セラミド、ステロールおよび分子内に少なくとも一つの水酸基を有しているテルペン、並びに
式(V);
R−OH (V)
(式中、Rは直鎖状、分枝鎖状、側鎖を有しない環状または側鎖を有する環状の飽和脂肪族基であるか、或いは1または2以上の不飽和結合を含む上記飽和脂肪族基に対応する不飽和脂肪族基である。)
で示される脂質、飽和脂肪族アルコールおよび不飽和脂肪族アルコールを含む群から選択される1種の糖受容体とを、
酸触媒および超臨界流体の共存下で反応させて配糖体を生成する工程を包含する、配糖体の合成方法。
(80)上記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、項(79)に記載の方法。
(81)上記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、項(79)に記載の方法。
(82)式(IV);
(式中、R29は−OC(NH)CCl3、−Cl、−Brまたは−Fであり、R3 0は−OR34、−N3または−NHR35であり、R31およびR32は−OR34であり、R33は−H、−CH3、−CH2OR34、または−COOR36であり、R34は、互いに独立して、水酸基保護基、または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R35はアミノ基保護基であり、R36はカルボキシル基保護基である。)の糖単位を含む群から選択される1種の糖供与体と、
式(VI);
(式中、R37は−Hまたは−CH3であり、R38はアミノ基保護基、ペプチド鎖または糖鎖が結合したペプチド鎖であり、R39はカルボキシル基保護基、ペプチド鎖または糖鎖が結合したペプチド鎖である。ただし、R38および/またはR39が糖鎖が結合したペプチド鎖である場合には、その糖鎖の水酸基を含むすべての反応性官能基は保護されているものとする。)
で示されるアミノ酸、ペプチド鎖および糖鎖が結合したペプチド鎖を含む群から選択される1種の糖受容体とを、
酸触媒および超臨界流体の共存下で反応させて配糖体を生成する工程を包含する、配糖体の合成方法。
(83)上記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、項(82)に記載の方法。
(84)上記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、項(82)に記載の方法。
(85)式(IV);
(式中、R29は−OC(NH)CCl3、−Cl、−Brまたは−Fであり、R3 0は−OR34、−N3または−NHR35であり、R31およびR32は−OR34であり、R33は−H、−CH3、−CH2OR34、または−COOR36であり、R34は、互いに独立して、水酸基保護基、または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R35はアミノ基保護基であり、R36はカルボキシル基保護基である。)の糖単位を含む群から選択されるいずれか1種の糖供与体と、
式(VII);
(式中、R40は−OR45であり、R41は−OR46、−N3または−NHR47であり、R42は−OR48であり、R43は−OR49であり、R44は−H、−CH3、−CH2OR50または−COOR51であり、R45は、水酸基から水素原子がとれた、ジアシルグリセロール、セラミド、ステロール、テルペン、ペプチド鎖または糖鎖が結合したペプチド鎖であるか、或いは飽和脂肪族基または不飽和脂肪族基であり、R46は−H、水酸基保護基または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護された糖鎖であり、R47はアミノ基保護基であり、R48、R49およびR50は、それぞれ互いに独立して、−H、水酸基保護基または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護された糖鎖であり、R51はカルボキシル基保護基である。ただし、R46、R48、R49およびR50は、すべてが水酸基保護基である場合はないものとし、R46、R48、R49およびR50のうち、いずれか1つは−Hであるか、またはR46、R48、R49およびR50のいずれもが−Hではない場合には、上記糖鎖の一つは、未保護の水酸基を一つ有するものとする。)
の糖単位を含む群から選択される1種の糖受容体とを、
酸触媒および超臨界流体の共存下で反応させて配糖体を生成する工程を包含する、配糖体の合成方法。
(86)上記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、項(85)に記載の方法。
(87)上記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、項(85)に記載の方法。
(88)グリコシル化反応における超臨界流体の使用。
(89)上記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、項(88)に記載の使用。
(90)グリコシル化反応における酸触媒の使用。
(91)上記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、項(90)に記載の使用。
図2は、Na10Mg3Al16Si32O96・25H2Oで表されるMg交換型ゼオライト類似体結晶の粉末X線回折線を示す図である。
図3は、本発明に従って製造された酸・アルカリ処理後のゼオライト類似体の粉末X線回折線の一例を示す図である。
図4は、酸・アルカリによる前処理後の北海道幾千世産珪藻土のX線粉末回折線を示す図である。
図5は、酸・アルカリによる前処理後の北海道留辺蘂産珪藻土のX線粉末回折線を示す図である。
図6は、酸・アルカリによる前処理後の青森県弘前産珪藻土のX線粉末回折線を示す図である。
図7は、酸・アルカリによる前処理後の北海道東川産珪藻土のX線粉末回折線を示す図である。
図8は、、分子軌道計算のモデルとした方沸石の結晶構造を示す図である。
図9は、北海道幾千世産珪藻土を硫酸および焼成処理して得られた、ルイス酸性を発現するゼオライト類似体のX線粉末回折線を示す図である。
図10は、北海道留辺蘂産珪藻土を硫酸および焼成処理して得られた、ルイス酸性を発現するゼオライト類似体のX線粉末回折線を示す図である。
図11は、青森県弘前産珪藻土を硫酸および焼成処理して得られた、ルイス酸性を発現するゼオライト類似体のX線粉末回折線を示す図である。
図12は、北海道東川産珪藻土を硫酸および焼成処理して得られた、ルイス酸性を発現するゼオライト類似体のX線粉末回折線を示す図である。
図13は、北海道留辺蘂産珪藻土を原料としたZr骨格置換型ゼオライト類似体のX線回折線を示す図である。
図14は、Zr骨格置換型ゼオライト類似体含む粘土質珪藻土中の珪藻化石の断面についての透過型電子顕微鏡写真である。
図15は、図14に示される珪藻化石の表面上の直径100nmの粒状集合体の元素分布を示す写真である。
図16は、図14の粒状体の元素組成を分析した結果である。
図17は、図14とは別の粒状体の元素組成を分析した結果である
図18は、ベントナイトのX線粉末回折線を示す図である。
図19は、処理後の素焼き状に固結したベントナイトのX線粉末回折線を示す図である。
図20は、二酸化ケイ素(沈降製、非晶質)のX線粉末回折線を示す図である。
図21は、非晶質シリカのX線粉末回折線を示す図である。
図22は、北海道留辺蘂産珪藻土に焼成処理のみを施した粘土質珪藻土のX線粉末回折線を示す図である。
図23は、原料から、プロトン型ゼオライト類似体または遷移金属を導入したプロトン型ゼオライト類似体を製造するための合成チャートを示す図である。
図24は、本発明のグリコシル化反応に用いる反応装置の構成例を説明するための図である。
本明細書中において、「無機鉱物」とは、無機物を含み、かつほぼ均質で一定の化学的および物理的性質をもつ天然または人工の物質を意味し、有機物を含んでも含んでいなくてよい。
無機鉱物は、一般に結晶学的な分類がなされ、ケイ酸塩鉱物、元素鉱物、硫化鉱物、酸化鉱物、硝酸塩鉱物、炭酸塩鉱物、ホウ酸塩鉱物、硫酸塩鉱物、タングステン酸塩・モリブデン酸塩鉱物、リン酸塩・ヒ酸塩・バナジン酸塩鉱物等に、大別され得る。
本明細書において原料の基本となり得る好ましい無機鉱物として、珪素を含むケイ酸塩鉱物が挙げられる。このケイ酸塩鉱物は、一般に、ネソケイ酸塩グループ(例えば、カンラン石((Fe,Mg)2[SiO4])、ザクロ石など)、ソロケイ酸塩グループ(緑レン石(Ca2(Al,Fe)Al2[O|OH|SiOH|Si2O7])など)、サイクロケイ酸塩グループ(緑柱石(Al2Be3[SiO18])など)、イノケイ酸塩グループ((Ca,Mg,Fe,Al,Ti)2[(Si,Al)2O6])、フィロケイ酸塩グループ(雲母、緑泥石、粘土鉱物など)、テクトケイ酸塩グループ(石英、長石、ゼオライトグループ、アルバイト、方沸石(Na(AlSiO6)・H2O)など)に分類される。
本明細書中において、「粘土鉱物」とは、粘土を構成する主成分の無機物質を意味する。粘土鉱物の例として、カオリン鉱物、蛇紋石鉱物、パイロフィライト、滑石、モンモリロナイトを含むスメクタイトグループ、パーミキュウライト、イライトおよび白雲母を含む雲母類粘土鉱物、脆雲母、緑泥石が挙げられる。これらの粘土鉱物の内、未処理の粘土質珪藻土原岩に含まれる粘土鉱物は、モンモリロナイトを含むスメクタイトグループとイライトおよび白雲母を含む雲母類粘土鉱物であるが、本発明で用いた粘土質珪藻土は、予め酸・アルカリ処理による前処理を行うことで、モンモリロナイトを含むスメクタイト系粘土鉱物を除去した。本明細書中における「処理」とは、例えば、混合、溶解、懸濁または化学反応というような操作を意味するが、これらに限定されない。
本明細書中において、「無機酸」とは、塩酸、硫酸、および硝酸等をさすが、これらに限定されない。無機酸の好ましい例として、硫酸、特に希硫酸が挙げられる。無機酸の濃度は特に限定されず、適宜変更され得る。
本発明によれば、ルイス酸として機能するプロトン型ゼオライト類似体または遷移金属を導入したプロトン型ゼオライト類似体を製造する際、上述の無機鉱物を含有する原料の天然物質として、好ましくは、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物の少なくとも一種の混合物が、使用され得る。また、本願発明の原料となり得る天然物質は、上記無機鉱物に加え、オパール(SiO2・nH2O)などの含水珪酸鉱物に代表される酸化鉱物;ならびにイライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物をさらに含むことが、特に好ましい。
以上に挙げた天然物質の各々は、例えば、新版地学辞典 地学団体研究会編 平凡社 1996年10月20日 初版第1刷発行、理科年表 国立天文台編 丸善 1999年 第72刷発行、および化学大辞典 化学大辞典編集委員会編 共立出版 1960年初版第1刷発行など、に定義される物質である。
従来の珪藻土の用途では、粘土鉱物を含む新第三紀珪藻土は低品質とされてきたが、本発明は、粘土鉱物を含む新第三紀珪藻土の新たな用途を提供する。例えば、北海道樺岡(稚内付近)、遠別・金駒内(遠別付近)、能取・呼人(網走付近)、幾千世(十勝郡浦幌町)、留辺蘂(常呂郡留辺蘂町)、青森県弘前(栩内川流域)から採掘できる新第三紀珪藻土は主成分であるオパールまたはα−クリストバル石化した非晶質シリカの他、不純物としてモンモリロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、イライトや白雲母等の雲母系粘土鉱物を不純物として含む、粘土質珪藻土である。
一般的に上質とされる第四紀珪藻土のAl2O3含有量は、0.5〜2%であるが、北海道産の新第三紀珪藻土のAl2O3含有量は、3〜10%である。珪藻土において粘土鉱物がAl2O3を豊富に含む造岩鉱物であり、北海道産の新第三紀珪藻土は粘土質であることが特徴である。粘土質珪藻土として北海道産、青森産の他、石川県の能登半島一帯に分布する珪藻土が良く知られている。粘土質珪藻土中に含まれる粘土鉱物をアルミナ源として活用することで、シリカを主成分とする珪藻土に、アルミナ源として市販の工業製品であるアルミン酸ナトリウムを添加せずにゼオライト類似体を合成できる。これは天然系での方沸石の形成過程に準じた製造法であり、コスト減が計れるだけでなく、環境低負荷型の製造法である。
粘土質珪藻土に含まれるAl2O3含有量は最大でも10%であることから、珪藻土の主要成分である非晶質シリカの大部分はゼオライト類似体の合成に利用されない。それにも関わらず、ゼオライト類似体を含む粘土質珪藻土を固体酸触媒として利用した実験(参考例3)では、目的物を十分な収率で得ることができた。これは、ゼオライト類似体の合成に利用されずに残った非晶質シリカ、すなわち珪藻化石がゼオライト類似体の担持体として有効に機能したためである。一般に珪藻化石、珪藻細胞壁は多孔質であり、触媒単体として有効であることが知られている。実際に、ゼオライト類似体が珪藻殻の表面に担持されている状態は、実施例6に透過型電子顕微鏡画像(図14)として示した。
原料として、北海道産の新第三紀珪藻土を用いるのが好ましいが、青森産の新第三紀珪藻土を用いてもゼオライト類似体は得られる。さらに、上質とされる北海道産の第四紀珪藻土を原料に用いた場合にも、X線回折線のシグナルは弱いもののゼオライト類似体を得ることができるため、本発明の製造方法は珪藻土の種別に限定されない。
本発明の、ルイス酸触媒として機能するプロトン型ゼオライト類似体または遷移金属を導入したプロトン型ゼオライト類似体の製造方法は、図23(原料から最終生成物を得るための合成チャート)を参照することによって、当業者は容易に理解することができる。図23に記載された事項は、例示および簡略化の目的で記載されたものに過ぎず、本発明は、これらに限定されない。本発明の製造方法は、以下のように説明される。なお、本明細書における「ゼオライト類似体」とは、上述のテクトケイ酸塩を基本骨格として有する構造体をさす。
本発明の1実施形態において、プロトン型ゼオライト類似体を製造するための原料となる中間体を得るために、前処理として、原料である無機鉱物を酸処理し(図23の工程1)、中性またはアルカリ性溶液中でデカンテーションを行い(図23の工程2)、スメクタイト系粘土鉱物を除去した原料(図23の中間体1)を得る。デカンテーションする工程は、必要に応じて行われる。
原料から中間体1を得るための好ましい実施形態は、以下に例示される。
本発明によれば、好ましくは、新第三系の北海道産粘土質珪藻土を原料とする(例えば、図23の原料)。乾燥した珪藻土原岩をハンマー等で破砕し、処理用の容器に入れ、必要に応じて、過酸化水素水、好ましくは、1〜30%、さらに好ましくは30%過酸化水素水を加え、洗浄する。1〜2時間放置した後、要すれば、さらに1〜36%、好ましくは30〜36%の塩酸溶液を加え、洗浄する(例えば、図23の工程1)。このとき、激しく発泡し、高温になるので注意する。沸騰が始まったら、水を入れ反応温度を60〜90℃、好ましくは80℃程度に制御する。溶液の色が黄色を呈し、発泡が収まったら冷水を加え破砕された珪藻土が沈殿するのを待つ。この酸処理によって、固結の弱い珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、あるいは未固結の海成堆積物、湖沼成堆積物ならば、完全に泥状に破砕される。固結の強い珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩の場合、1mm以上の粒径の砕片が残ることがある。この場合、沈殿物を激しく攪拌した後に懸濁液のみを別の容器に移すことで泥状沈殿物を分離する。破砕されずに残った砕片は、再処理を行うことができる。
完全に沈殿したら上澄み液を廃棄するデカンテーションを数回繰り返す。溶液のpHが6〜7、好ましくはpH7付近で、分散剤を含む溶液(例えば、0.01〜0.1%のピロリン酸ナトリウム溶液)によるデカンテーションを数回行う(例えば、図23の工程2)。この場合、上澄み液は浮遊した粘土鉱物により濁っているので、沈殿物を壊さないように慎重にデカンテーションを行う。この場合、1〜4時間、好ましくは、3時間毎にデカンテーションを行うことが好ましい。この後、水によるデカンテーションを数回繰り返し、沈殿物を真空乾燥機または電気炉等で100〜150℃で乾燥すると、粉末状の乾燥した粘土質珪藻土が得られる。北海道産の珪藻土を用いた場合には、通常、原料重量の10〜40%に相当する粉末状の乾燥した粘土質珪藻土が得られる。
以上により、スメクタイト系粘土鉱物などの不純物を除去した原料(例えば、図23の中間体1)を得ることができる。不純物が除去できたかどうかの確認は、例えば、X線粉末回折による分析によって行うことができる。
本発明に従って製造された酸・アルカリ処理後のゼオライト類似体の粉末X線回折線の一例を、図3に示す。図3は、参考例2の図2のMg交換型ゼオライト類似体に同様の粉末X線回折線を示し、5.87〜5.93Åの原子間距離を示す結晶面と、3.52〜3.54Åの原子間距離を示す結晶面と、2.93〜2.95Åの原子間距離を示す結晶面を有する。
なお、図3において、IKは北海道幾千世産珪藻土を原料として用いたゼオライト類似体の粉末X線回折線であり、RBは原料として北海道留辺蘂産珪藻土を用いたゼオライト類似体の粉末X線回折線であり、HRは青森県弘前酸珪藻土を原料として用いたゼオライト類似体の粉末X線回折線であり、HGは北海道東川産珪藻土を原料として用いたゼオライト類似体の粉末X線回折線である。また、A1はゼオライト類似体の211結晶面であり、A2は400または410結晶面であり、A3は332または422結晶面であり、Qは石英の結晶面であり、Fは長石類の結晶面であり、Cはクリストバライトの結晶面である。
本発明の1実施形態において、上述のスメクタイト系粘土鉱物を除去した原料(図23の中間体1)に、無機酸を添加し、シリカ源、アルミナ源を反応させて反応生成物を得(図23の工程3)、これを乾燥し(図23の工程4)、次いで焼成する(図23の工程5)ことにより、ルイス酸として機能するプロトン型ゼオライト類似体(図23の最終生成物)を得る。乾燥は、必要に応じて行われる。
中間体1から最終生成物1を得るための好ましい実施形態は、以下のように例示される。
乾燥粉末状の粘土質珪藻土を容量50mlのマイヤーに移し、無機酸を加える(例えば、図23の工程3)。ここで、無機酸の好ましい例として、1規定の硫酸(珪藻土1gに対し3.8mlに相当)が挙げられるが、無機酸の種類および濃度は特に限定されず、適宜変更可能である。無機酸の添加後、室温で一昼夜乾燥する(例えば、図23の工程4)。乾燥は、エアーポンプでマイヤー中に乾燥空気を導入することで行う。この乾燥は、必要に応じて行われる。硫酸溶液の蒸発に伴い重量が減少するため、重量変化がなくなるまで乾燥を継続するのが好ましい。乾燥した後に、数時間焼成する(例えば、図23の工程5)ことで、ルイス酸性を発現するゼオライト類似体(例えば、図23の最終生成物1)が珪藻土中に得られる。ここで、方沸石の生成温度の上限が450℃であり(例えば、Ghobarkar,H.ら、Effect of temperature on hydrothermal synthesis of analcime and vis_ite、Material Science and Engineering 1999年 B60巻 第163〜167頁参照)、常圧条件では540℃までがゼオライトの安定領域である(例えば、Peter,T.,Luth,W.C.ら、The melting of analcite solid solutions in the system NaAlSiO4−NaAlSi3O8−H2O、The Amenrican Mineralogist 1966年 51巻、第736〜753頁参照)が知られている。従って、本発明のように、結晶構造に歪みを持たせてルイス酸活性を生じさせるには、少なくとも上述の温度以上の焼成温度が必要であると考えられる。本発明において使用される焼成温度は、500℃以上、好ましくは540℃以上であり、さらに好ましくは、650℃付近である。ゼオライト類似体の結晶が得られたことは、X線粉末回折による分析によって確認する。
これに対し、モンモリロナイトを豊富に含むベントナイトに硫酸溶液を添加し、650℃で焼成すると、パラゴナイトが生成する(比較例1参照)。本発明ではモンモリロナイトを除去した粘土質珪藻土を用いることで、実施例1〜4に示すように、ゼオライト類似体以外の鉱物の生成を抑えることができる。すなわち、これらの珪藻土から硫酸添加、650℃焼成後に生成した鉱物はゼオライト類似体のみである。また、ゼオライト類似体からH2O分子が脱離したゼオライト類似体にルイス酸性が発現するかどうかは、例えば、分子軌道計算法により確認することができる。
ここで、カチオンの全てまたは一部がH+に置換されたプロトン型ゼオライト類似体は、一般に以下の(式1):
WpHm−pZnO2n・SH2O (式1)
で表すことができる(ここで、Wは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはIIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属であり、Hは、水素原子であり、Zは、Al+Siであり、かつSi/Al比は、1以上の整数であり、mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、pは、0以上でかつmより小さい整数であり、Sは、0以上の任意の数である)。このプロトン型ゼオライト類似体が加熱されると、沸石水が脱離するため、以下の(式2)の構造をとる。
WpHm−pZnO2n (式2)
H原子とO原子が2:1の比で水分子として脱離することでゼオライト類似体にルイス酸活性が表されると計算されるため、(式1)から完全にHが失われた場合には、以下の(式3)として表すことができる。
ZnO2n−0.5(m−p) (式3)
以上により、(式1)のプロトン型ゼオライト類似体がルイス酸化される場合、酸素原子Oの個数は、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満と定義することができる。
次いで、ZrO4でTO4四面体を置き換えた骨格置換型ゼオライト類似体の製造法を以下に示す。
本発明の1実施形態において、上述のように、スメクタイト系粘土鉱物を除去した原料(中間体1)に遷移金属化合物を担持し(図23の工程6)、この生成物を加水分解し(図23の工程7)、遷移金属を担持した中間体1(図23の工程2)を得る。加水分解は、必要に応じて行われる。
中間体1から中間体2を得るための好ましい実施形態は、以下のように例示される。
乾燥粉末状の粘土質珪藻土(例えば、図23の工程6)を容器に充填し、400℃で気化させたZrCl4を容器に送り、CVD法(化学蒸着法)により、微粒子状のZrCl4を粘土質珪藻土の表面に蒸着させる。CVD法により生成した微粒子は、珪藻化石表面の粘土鉱物に均質に吸着するため、TO4四面体を置き換えた骨格置換型ゼオライト類似体を効率よく製造できる。このように、中間体1に遷移金属化合物を担持する方法として、上述のCVD法のほかに、乾燥粉末状の粘土質珪藻土を遷移金属の水酸化物ゲルに含浸する方法も有効である。この遷移金属の水酸化物の好ましい例として、Ti(OH)4またはZr(OH)4が挙げられる。
本発明の1実施形態において、上述の遷移金属を担持した中間体1(図23の中間体2)に、無機酸を添加し、遷移金属とシリカ源、アルミナ源を反応させ反応生成物を得(図23の工程8)、この生成物を乾燥し(図23の工程9)、次いで焼成する(図23の工程10)ことにより、ルイス酸として機能する遷移金属を導入したプロトン型ゼオライト類似体(図23の最終生成物2)が得られる。
中間体2から最終生成物2を得るための好ましい実施形態は、以下のように例示される。
上述のZrCl4の蒸着後、容器に空気を送り、微粒子状のZrCl4を加水分解し粘土質珪藻土表面にZrCl2O・8H2Oを生成する(例えば、図23の工程7)。ZrCl4の加水分解後、ZrCl2O・8H2Oの粘土質珪藻土への担持量が重量増加を測定することで計算され、珪藻土1gあたりの担持量を見積もる。容器から、ZrCl2O・8H2Oを担持した粘土質珪藻土(例えば、図23の中間体2)を取り出し、ビーカーに移した後にアンモニア水(好ましくは、28%アンモニア水)を加えZr(OH)4を得る。沈殿物をデカンテーション(5回)により洗浄し、電気炉等で一昼夜100〜150℃で乾燥する。乾燥後に無機酸を加える(例えば、図23の工程8)。無機酸の種類および濃度は特に限定されないが、1規定の硫酸(珪藻土1gに対し3.8mlに相当)が特に、好ましい。無機酸を加え、室温で一昼夜乾燥(例えば、図23の工程9)した後に、500℃以上、好ましくは540℃以上であり、さらに好ましくは、650℃付近で、1〜5時間、好ましくは3時間焼成し(例えば、図23の工程10)、ZrO4でゼオライト類似体のTO4四面体を置き換えたZr骨格置換型ゼオライト類似体が得られる。このZr骨格置換型ゼオライト類似体が得られることを、X線粉末回折分析により、確認する。また、Zrを導入したゼオライト類似体からH2O分子が脱離したゼオライト類似体にルイス酸性が発現するかどうかは、分子軌道計算法により確認する。
Zrを導入していないプロトン型ゼオライトと同様に、プロトンの全てまたは一部がH+に置換されたプロトン型ゼオライト類似体を、上記(式1)で表した場合(ここで、W、m、n、pおよびSは、上記(式1)と同意義であり、Zは、IIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属、またはIIIB族およびIVB族の元素からなる群から選択される典型金属元素である)、ルイス酸化されたプロトン型ゼオライト類似体における酸素原子Oの個数は、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満と定義することができる。
本発明の別の実施形態において、糖供与体と、糖受容体とを、触媒および超臨界流体の存在下で反応させることを特徴とするグリコシル化反応、すなわち糖質高分子または配糖体の合成方法が提供される。
本明細書において、「糖含有物質」とは、単糖または糖鎖とこれら以外の物質とを含む物質をいう。このような糖含有物質は、生体内に多く見出され、例えば、生体中に含有される多糖類、糖質高分子の他、分解された多糖、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、糖脂質などの複合生体分子または配糖体、およびそれらの複合生体分子から分解または誘導された糖鎖など広範囲なものが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において、「糖質高分子」とは、単位糖(単糖および/またはその誘導体)が1つ以上連なってできた化合物をいう。単位糖が2つ以上連なる場合は、各々の単位糖同士の間は、通常、グリコシド結合による脱水縮合によって結合する。このような糖鎖としては、例えば、生体中に含有される多糖類(グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸ならびにそれらの複合体および誘導体)の他、分解された多糖、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、糖脂質などの複合生体分子から分解または誘導された糖鎖など広範囲なものが挙げられるがそれらに限定されない。糖質高分子は、本明細書では、「糖鎖」、「多糖(ポリサッカリド)」、「糖質」、「炭水化物」と互換可能に使用され得る。また、特に言及しない場合、本明細書において「糖鎖」は、糖鎖および糖鎖含有物質の両方を包含することがある。
本明細書において、「配糖体」とは、糖のヘミアセタールまたはヘミケタール性水酸基の水素原子が、アルキル基またはアリール基等の官能基によって置換された化合物のことであり、糖と反応させる化合物としては、例えばアルコール、脂質、ペプチド鎖が挙げられる。
本明細書において、「単糖」とは、これより簡単な分子に加水分解されず、少なくとも1つの水酸基および少なくとも1つのアルデヒド基またはケトン基を含む、ポリヒドロキシアルデヒドまたはポリヒドロキシケトンならびにその誘導体をいう。通常単糖は、一般式CnH2nOnで表されるがそれらに限定されず、フコース(デオキシヘキソース)、N−アセチルグルコサミンなども含まれる。ここで、上の式において、n=2、3、4、5、6、7、8、9および10であるものを、それぞれジオース、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノースおよびデコースという。一般に鎖式多価アルコールのアルデヒドまたはケトンに相当するもので、前者をアルドース,後者をケトースという。本明細書において特に言及するときは、単糖の誘導体は、置換されていない単糖上の一つ以上の水酸基が別の置換基に置換され、結果生じる物質をいう。そのような単糖の誘導体としては、カルボキシル基を有する糖(例えば、C−1位が酸化されてカルボン酸となったアルドン酸(例えば、D−グルコースが酸化されたD−グルコン酸)、末端のC原子がカルボン酸となったウロン酸(D−グルコースが酸化されたD−グルクロン酸)、アミノ基またはアミノ基の誘導体(例えば、アセチル化されたアミノ基)を有する糖(例えば、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミンなど)、アミノ基およびカルボキシル基を両方とも有する糖(例えば、N−アセチルノイラミン酸(シアル酸)、N−アセチルムラミン酸など)、デオキシ化された糖(例えば、2−デオキシ−D−リボース)、硫酸基を含む硫酸化糖、リン酸基を含むリン酸化糖などがあるがそれらに限定されない。本明細書では、単糖という場合は、上記誘導体も包含する。あるいは、ヘミアセタール構造を形成した糖において、アルコールと反応してアセタール構造のグリコシドもまた、単糖の範囲内にある。
本明細書において「糖ペプチド」および「糖タンパク質」は、互換可能に使用され、少なくとも1つの糖鎖を含むペプチドおよびタンパク質をいう。通常、糖タンパク質は、高等生物において機能を発揮するために必要な糖鎖を有している。糖鎖とペプチドまたはタンパク質との間は直接結合されていてもよく、スペーサー(例えば、ポリメチレン基などの任意の二価の基)を介して間接的に結合されていてもよい。そのような糖タンパク質しては、例えば、酵素、ホルモン、サイトカイン、抗体、ワクチン、レセプター、血清タンパク質などが挙げられるがそれらに限定されない。
インスリンなどのペプチドは周知のものを使用することができる。例示としてインスリンとしては、ヒトインスリン、ブタインスリン、ウシインスリンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。インスリンにはA鎖、B鎖のN末端のアミノ基、およびリジン残基の側鎖アミノ基が存在する。種により、リジン残基の違いが存在することが知られているが、どのようなものでも使用することができる。
本明細書において、「超臨界流体」とは、ある物質固有の気液の臨界温度を超えた非凝縮性流体として定義される。超臨界流体は、気体と液体の両方の特性、すなわち溶媒として、液体に近い高い溶解性と気体に近い高い拡散性とを具備している。具体的には、水、二酸化炭素、アルコール等による超臨界流体が知られている。
本発明のグリコシル化反応、すなわち糖質高分子または配糖体の合成方法に適用される溶媒は、好ましくは、二酸化炭素の超臨界流体とするのがよい。
二酸化炭素は、有機溶媒として一般的に使用されるヘキサンと、ほぼ同じ極性を有しているので、特に保護基を含む糖供与体および/または糖受容体を使用する場合には、これらが溶解し易く、反応効率がよい。
また、二酸化炭素の超臨界流体を使用すれば、反応工程終了後に気体として容易に除去できるので、生成物質である例えば糖質高分子または配糖体の分離および回収が極めて容易となる。従って、反応溶媒による環境に対する負荷を減少させることができる。また、二酸化炭素の超臨界流体は、安全性や操作性に優れている。
本発明のグリコシル化反応に適用される触媒は、本発明の目的を損なわない範囲で特に限定されない。使用可能な触媒としては、AgOTf(トリフルオロメタンスルホン酸銀)、TMSOTf(トリフルオロメタン酸トリメチルシリル)、BF3・OEt2(三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体)、SnCl2−AgClO4、SnCl2−AgOTf、Cp2ZrCl2−AgClO4(Cp2ZrCl2:ジルコノセンジクロリド)、硫酸化ジルコニア(ZrO2/SO4)、珪藻土、硫酸処理珪藻土、SO4 2−/TiO2/珪藻土(硫酸化チタニア担持珪藻土)等が挙げられるが、好ましくは、反応終了後に触媒の分離が容易な固体酸触媒、すなわちAgOTf、硫酸化ジルコニア(ZrO2/SO4)、珪藻土、硫酸処理珪藻土、SO4 2−/TiO2/珪藻土とするのがよい。さらに好ましくは、触媒のリサイクルが可能であって、環境に対する負荷が少なく、かつ触媒活性に優れる硫酸処理珪藻土とするのがよい。
本発明のグリコシル化反応において、糖供与体は1位に−OC(NH)CCl3、−Cl、−BrまたはFの脱離基を有すれば特に限定されるものではない。
糖質高分子を合成する場合には、好ましくは、例えば下記の式(I)の糖単位を含む群から選択される1種または2種以上とするのがよい。
(式中、R1は−OC(NH)CCl3、−Cl、−Brまたは−Fであり、R2は−OH、−OR6、−N3またはNHR7であり、R3およびR4は、互いに独立して、−OHまたはOR6であり、R5は−H、−CH3、−CH2OH、−CH2OR6、またはCOOR8であり、R6は、互いに独立して、水酸基保護基、または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R7はアミノ基保護基であり、R8はカルボキシル基保護基である)。
ここで、生成する糖質高分子に、特定の構造が求められる場合には、式中のR2からR5に、反応性の水酸基を含まないように、適宜の保護基を導入して、反応を行えばよい。また、生成する糖質高分子がランダムな構造および/または複数種類の糖単位を含んでよい場合には、1または2個以上の反応性水酸基を有する1種または2種以上の糖単位を、適宜混合して反応させることもできる。
本発明において、糖鎖を構成する単糖の数は、超臨界流体への溶解性および実用上の利用性を考慮すると、化合物全体の単糖の数が20個以下となるように調整するのがよい。
糖鎖を構成する単糖の具体的な例としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、タロース、イドース、グロース、アロース、アルトロース、キシロース、リキソース、アラビノース、リボース、フコース、ラムノース等のアルドース、フコース、ラムノース等のデオキシ糖、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、イズロン酸、グルロン酸等のウロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、ムラミン酸等のアミノ糖が挙げられる。またこれらの糖鎖の有する反応性官能基としては、水酸基、アミノ基、およびカルボキシル基が挙げられる。ここで、糖鎖は、同一種類の単糖から構成されていても、2種類以上の単糖から構成されていてもよい。
本発明の合成方法において、糖鎖の有する水酸基、アミノ基およびカルボキシル基についても、水酸基保護基、アミノ基保護基およびカルボキシル基保護基によりそれぞれ適宜保護して反応工程を実施するのがよい。
ここで、水酸基保護基、アミノ基保護基およびカルボキシル基保護基については、当業者に周知の保護基を周知の方法により所望の位置に導入すればよい。具体的には、水酸基保護基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、モノクロロアセチル基、スルホン酸エステル基等を含むアシル系保護基、ベンジル基、メトキシベンジル基、トリチル基、トリフェニルメチル基、アリル基、シリルエーテル基等を含むエーテル系保護基が挙げられる。この水酸基保護基が、同一分子中に2個以上存在する場合には、これらは同一の水酸基保護基であっても、互いに異なる水酸基保護基であってもよい。アミノ基保護基としては、例えば、アセチル基、メチル基、カルバメイト基、ナフチル基、チオカルバメイト基、トリハロゲンアセチル基等が挙げられる。このアミノ保護基が、同一分子中に2個以上存在する場合には、これらは同一のアミノ保護基であっても、互いに異なるアミノ保護基であってもよい。カルボキシル基保護基としては、例えば、アルキル基、シリル基、チオアルキル基、アリール基等が挙げられる。このカルボキシル基保護基が、同一分子中に2個以上存在する場合には、これらは同一のカルボキシル基保護基であっても、互いに異なるカルボキシル基保護基であってもよい。
また、本発明のグリコシル化反応においては、糖受容体は、分子内に少なくとも一つの水酸基を有する化合物であれば、特に限定されない。
糖質高分子を目的の生成物とする場合には、糖受容体は、好ましくは、例えば下記の式(II)の糖単位を含む群から選択される1種または2種以上の化合物とするのがよい。
(式中、R9は−OR14であり、R10は−OR15、−N3またはNHR16であり、R11は−OR17であり、R12は−OR18であり、R13は−H、−CH3、−CH2OR19またはCOOR20であり、R14およびR15は、互いに独立して、−H、水酸基保護基または水酸基を含むすべての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R16はアミノ基保護基であり、R17、R18およびR19は、それぞれ互いに独立して、−H、水酸基保護基または水酸基を含むすべての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R20はカルボキシル基保護基である。ただし、R14、R15、R17、R18およびR19のうち、少なくとも1つは−Hであるものとする。)。
分子内に2つ以上の水酸基を有すると、目的とする水酸基以外にも糖供与体が結合してしまい、反応の選択性が低下してしまうので、生成する糖質高分子に特定の構造が求められる場合には、好ましくは適宜選択された1つの水酸基を有するようにするのがよい。
また、本発明のグリコシル化反応においては、糖供与体が糖受容体を兼ねる場合にも適用可能である。具体的には、下記の式(III)の糖単位を含む群から選択される1種または2種以上の糖単位を、触媒および溶媒としての超臨界流体の存在下に、反応させる。
(式中、R21は−OC(NH)CCl3、−Cl、−BrまたはFであり、R22は−OH、−OR26、−N3またはNHR27であり、R23およびR24は、互いに独立して、−OHまたはOR26であり、R25は−H、−CH3、−CH2OH、−CH2OR26またはCOOR28であり、R26は、互いに独立して、水酸基保護基、または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R27はアミノ基保護基であり、R28はカルボキシル基保護基である。ただし、R22、R2 3、R24またはR25のうち、少なくとも1つは水酸基(R25の場合には、−CH2OH)であるものとする。)。
この場合には、式(III)の糖単位は、1つまたは2つ以上の反応性水酸基を含むので、この反応性水酸基と、他の分子の脱離基とが反応して、グリコシル化反応が起こり、糖質高分子が合成される。
また、本発明のグリコシル化反応において、特に配糖体を目的の生成物とする場合には、糖供与体として、好ましくは、下記式(IV)で定義される糖単位を含む群から選択される1種を使用するのがよい。
(式中、R29は−OC(NH)CCl3、−Cl、−BrまたはFであり、R30は−OR34、−N3またはNHR35であり、R31およびR32は−OR34であり、R33は−H、−CH3、−CH2OR34、またはCOOR36であり、R34は、互いに独立して、水酸基保護基、または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R35はアミノ基保護基であり、R36はカルボキシル基保護基である。)。
この場合には、糖受容体は、好ましくはジアシルグリセロール、セラミド、ステロールまたは分子内に少なくとも一つの水酸基を有しているテルペン等の脂質、および下記の式(V)で示される飽和脂肪族アルコールまたは不飽和脂肪族アルコールとするのがよい。
R−OH (V)
(式中、Rは直鎖状、分枝鎖状、側鎖を有しない環状または側鎖を有する環状の飽和脂肪族基であるか、或いは1または2以上の不飽和結合を含む前記飽和脂肪族基に対応する不飽和脂肪族基である)。
ここで、ステロールとしては、コレステロール、β−エルゴステロール、シトステロール、コレスタノール、スチグマステロール、エピコプロスタノール、コプロスタノール等の一価アルコールの他、エストリオール、エストラジオール等の多価アルコールが挙げられる。さらに、分子内に、水酸基以外の反応性官能基、すなわちカルボニル基、カルボキシル基、およびアルデヒド基を有する場合には、当業者に周知の保護基を周知の方法により所望の位置に導入した後に反応に供することが望ましく、カルボニル基を有するステロールとして、プレドニソン、アンドロステロン、エストロン、テストステロン、プレドニソロン等が、カルボキシル基を有するステロールとして、コール酸、コラン酸、デオキシコール酸、リトコール酸等が、また、アルデヒド基を有するステロールとして、アルドステロン、ストロファンチジン等が挙げられる。保護基としては、カルボニル基についてはジメチルアセタール基、ジエチルアセタール基、ジベンジルアセタール基、ジアセチルアセタール基、1,3−ジオキサンアセタール基、S,S’−ジメチルアセタール基等が、カルボキシル基については、ベンジルエステル基、トリクロロエステル基、シクロヘキシルエステル等が、またアルデヒド基についてはジメチルアセタール基、ジエチルアセタール基、ジベンジルアセタール基、ジアセチルアセタール基等が挙げられる。
テルペンは、イソプレン単位が2つ以上、鎖状、または環状に連なった化合物であり、そのイソプレン単位の数により、モノテルペン(イソプレン単位が2個)、セスキテルペン(3個)、ジテルペン(4個)、セスタテルペン(5個)、トリテルペン(6個)、テトラテルペン(8個)に分類される。本発明においては、いずれのテルペンも反応に供することが可能であるが、当然のことながら、分子内に少なくとも一つの水酸基を持っていることが必須である。
上記要件を満たすテルペンとしては、例えばネロール、(+)−リナロオール、(+)−イソメントール、γ−テルピネオール、(−)−メントール、(+)−ボルネオール、(−)−イソボルネオール等のモノテルペン、ファルネソール、(+)−ネロリドール、グアイオール等のセスキテルペン、フィトール、イソフィトール、ゲラニルゲラニオール等のジテルペン、アンブレイン、α−オノセリン、アグノステロール、オイホール、ラノステロール等のトリテルペンが挙げられる。さらに、テルペン分子内に水酸基以外の反応性官能基、例えばカルボキシル基、カルボニル基を有する場合には、当業者に周知の保護基を周知の方法により所望の位置に導入した後に反応に供することが望ましい。
また、アルコールとしては、式(V)で定義のとおり、直鎖状、分枝鎖状、側鎖を有しない環状または側鎖を有する環状の飽和および不飽和脂肪族アルコールを用いることができ、好ましくは、1価のアルコールとするのがよい。さらに、溶媒である超臨界流体への溶解性等を考慮して、好ましくは炭素数を1個から30個までとするのがよいが、さらに好ましくは炭素数を1個から10個までとするのがよい。
本発明のグリコシル化反応に好ましいアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール等の直鎖状飽和アルコール、アリルアルコール(2−プロペン−1−オール)、2−ペンテン−1−オール、2−プロピン−1−オール等の直鎖状不飽和アルコール、t−ブチルアルコール、3−エチル−3−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、5−メチル−2−ヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、シクロオクタンメタノール等の分枝鎖状飽和アルコール、4−n−プロピル−1−ヘプテン−4−オール、2−メチル−1−ペンテン−3−オール、3−エチル−5−ヘキセン−3−オール等の分枝鎖状不飽和アルコール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール等の側鎖を有しない環状飽和アルコール、2−シクロヘキセノール等の側鎖を有しない環状不飽和アルコール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、1−メチルシクロヘプタノール、1−エチルシクロヘキサノール等の側鎖を有する環状飽和アルコール、また3−メチル−2−シクロヘキセン−1−オール等の側鎖を有する環状の不飽和アルコールを挙げることができる。
本発明のグリコシル化反応において、さらには糖受容体を、下記の式(VI)で示されるアミノ酸およびポリペプチドを含む群から選択される1種の化合物とするのがよい。
(式中、R37は−HまたはCH3であり、R38はアミノ基保護基、ペプチド鎖または糖鎖が結合したペプチド鎖であり、R39はカルボキシル基保護基、ペプチド鎖または糖鎖が結合したペプチド鎖である。ただし、R38および/またはR39が糖鎖が結合したペプチド鎖である場合には、その糖鎖の水酸基を含むすべての反応性官能基は保護されているものとする。)。
ここでいうペプチド鎖とは、2個以上のアミノ酸残基がペプチド結合により連なった化合物の他、1個のアミノ酸残基で構成される場合も含み、このペプチド鎖のN末端のアミノ基およびC末端のカルボキシル基は保護されていることが望ましい。アミノ酸残基の数が多くなると超臨界流体への溶解性と化合物の安定性が低下するので、化合物全体としてのアミノ酸残基の数は、5以下であることが望ましい。
カルボキシル基保護基としては、メチルエステル基、エチルエステル基、ベンジルエステル基、t−ブチルエステル基等が挙げられる。またアミノ基保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基、p−トルエンスルフォニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、t−アミルオキシカルボニニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、トリフェニルメチル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、5−ベンズイソキサゾリルメチレンオキシカルボニル基等が挙げられる。
また、ペプチド鎖中の反応性官能基には、上記アミノ基、カルボキシル基の他、水酸基、チオール基、グアニジノ基、イミダゾール基が含まれ、これらはいずれも公知の方法により保護されている必要がある。例えば、水酸基の保護基としては、ベンジル基、t−ブチル基等が挙げられる。またチオール基の保護基としては、ベンジル基、メトキシベンジル基、メチルベンジル基、トリチル基、アセトアミドメチル基、カルボメトキシスルフェニル基、ベンジルオキシメチル基、フェロセニルメチル基、ジメチルホスフィノチオイル基等が挙げられる。
さらにペプチド鎖が糖鎖を有する場合は、この糖鎖はペプチド鎖中のアラニンまたはスレオニン中の水酸基とO−グリコシド結合したものを用いることが好ましい。この糖鎖には、上述のとおり、多数の種類が想定されるが、生成する配糖体に特定の構造が求められる場合には、ペプチド鎖との結合に使われていない糖鎖中の他の水酸基、アミノ基、およびカルボキシル基を保護したものを用いることが重要である。
また、例えば上述したようなステロール、アミノ酸、ポリペプチドおよび糖鎖が結合しているペプチド鎖は、いずれも同じような溶解度を有しているので、いずれも本発明のグリコシル化反応に適用して好適である。
例えば、糖受容体が溶媒としての超臨界流体に溶解しにくい場合には、糖受容体を溶解させる量の添加物質を、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに加えて反応させるのがよい。
この場合には、このましい添加物質としては、例えばクロロホルム、ジエチルエーテル、アセトニトリル、ジクロロメタン等が挙げられる。これらには従来有機溶媒として使用されている物質も含まれるが、本発明のグリコシル化反応によれば、糖受容体が超臨界溶媒に溶解する最低限の量でよいので、これらが添加物質として使用される量は、従来溶媒として使用される量よりも顕著に減少させることができる。具体的には例えば1/10程度の量にすることができる。
また、配糖体を合成する場合であって、配糖体中の糖部分にさらに糖を伸長させる場合には、下記の式(VII)の糖単位を含む群から選択される1種の糖受容体を用いればよい。
(式中、R40は−OR45であり、R41は−OR46、−N3または−NHR47であり、R42は−OR48であり、R43は−OR49であり、R44は−H、−CH3、−CH2OR50または−COOR51であり、R45は、水酸基から水素原子がとれた、ジアシルグリセロール、セラミド、ステロール、テルペン、ペプチド鎖または糖鎖が結合したペプチド鎖であるか、或いは飽和脂肪族基または不飽和脂肪族基であり、R46は−H、水酸基保護基または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護された糖鎖であり、R47はアミノ基保護基であり、R48、R49およびR50は、それぞれ互いに独立して、−H、水酸基保護基または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護された糖鎖であり、R51はカルボキシル基保護基である。ただし、R46、R48、R49およびR50は、すべてが水酸基保護基である場合はないものとし、R46、R48、R49およびR50のうち、いずれか1つは−Hであるか、またはR46、R48、R49およびR50のいずれもが−Hではない場合には、糖鎖の一つは、未保護の水酸基を一つ有するものとする。)。
ここで、飽和または不飽和脂肪族基とは、上述の式(IV)のRにおいて定義したとおりであって、直鎖状、分枝鎖状、側鎖を有しない環状または側鎖を有する環状の飽和脂肪族基であるか、或いは1または2以上の不飽和結合を含む前記飽和脂肪族基に対応する不飽和脂肪族基とするのがよい。このとき溶媒である超臨界流体への溶解性等を考慮して、好ましくは炭素数が1個から30個まで、さらに好ましくは1個から10個までとするのがよい。
また、ペプチド鎖とは、上述の式(V)で定義したとおりである。また、上述のとおり、糖受容体が溶媒としての超臨界流体に溶解しにくい場合には、糖受容体を溶解させる量の添加物質を、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに加えて反応させるのがよい。
反応生成物から除去された気体状のCO2は、例えばコンプレッサ等を用いて、ボンベに再充填して再利用することができる。また、炭酸ナトリウム(Na2CO3)を用いて、CO2を捕集することで回収し、再利用してもよい。
このように、本発明のグリコシル化反応は、反応溶媒として超臨界流体を用いるので、特に溶媒の除去工程が極めて簡易である。従って、工業的な生産にはより効果的である。また、従来使用されている含ハロゲン化合物等を使用しないかまたはその使用量を顕著に減少させることができるので、環境に対する負荷を減少させることができる。
本発明のグリコシル化反応に適用される反応装置は、従来の反応装置と同様の装置を使用することができる。
以下、図を参照して、本発明のグリコシル化反応の実施に適用してこのましい反応装置の概略的な構成につき簡単に説明する。なお、各図は発明を理解できる程度に各構成の配置関係を概略的に示してあるに過ぎず、したがって本発明を図示例に限定するものではない。
図24は、本発明のグリコシル化反応に適用してこのましい反応装置の構成要素の配置関係について概略的に説明するためのブロック図である。
本発明の合成方法に適用して好ましい反応装置は、所望の溶媒を供給する高圧ボンベ10と、この高圧ボンベ10に、例えば耐圧ホースにより接続されていて溶媒を加圧して供給するための加圧ポンプ20と、この加圧ポンプ20に接続されている少なくとも25Mpa(メガパスカル)まで耐圧である反応容器30とを具えている。反応容器30は、反応温度を調節するための恒温槽内に設置されている。加圧ポンプ20と反応容器30との間には容器開閉バルブ42が設けられている。容器開閉バルブ42と反応容器30との間にはリークバルブ44が設けられている。加圧ポンプ20と容器開閉バルブ42の間には、反応容器30に供給される溶媒の圧力を監視するための圧力調節計52が設けられている。また、容器開閉バルブ42とリークバルブ44との間には、反応容器30内の圧力状態を監視するための容器圧力計54が設けられている。
溶媒の反応容器30内への供給工程につき説明する。容器開閉バルブ42を閉じた状態で、高圧ボンベ10から溶媒を供給する。供給された溶媒を加圧ポンプ20により所定の圧力に加圧する。この圧力を、圧力調節計52により監視して、所定の圧力になるように調節する。次いで、容器開閉バルブ42を開いて溶媒を反応容器内30内に導入する。反応容器30内の圧力が選択された溶媒が超臨界流体となる圧力となるように、容器圧力計54により監視しつつこれらの操作を繰り返す。このようにして、反応容器30内の圧力を所定の圧力となるように設定する。なお、反応温度の調節は図示されていない恒温槽により行われる。
具体的には、溶媒として二酸化炭素の超臨界流体を用いた場合には、温度31℃以上、圧力7.5Mpa(メガパスカル)以上の条件下で、超臨界流体として存在して、溶媒としての機能を発揮する。加える圧力は、装置の強度等を考慮して、25Mpa以下とするのがよい。また、反応温度は、150℃より高い温度では、反応に使用される糖類が炭化してしまうので150℃以下とするのがよい。
次いで、反応終了後の溶媒の除去工程につき説明する。反応容器30を恒温槽から取り出して、常温まで放冷する。この操作により、反応容器30内で超臨界状態であった溶媒が気相の状態に転移する。次いでリークバルブ44を開いて気相状の溶媒を反応容器30内から放出させる。このとき、容器圧力計54により反応容器30内の圧力を監視しつつ、溶媒の除去を行うのがよい。また、リークバルブ44に例えばコンプレッサ等を介して別の高圧ボンベを接続して、この高圧ボンベにリークバルブ44から放出される気体状の溶媒を捕集して回収し、再充填して再利用することもできる。
生成物は、クロマトグラフィ等の従来一般的な方法により精製されるが、この精製工程については、本発明の要旨ではないのでその詳細な説明は省略する。
以下、実施例により、本発明の構成をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)粉末X線回折分析
本発明のゼオライト類似体の生成、およびゼオライト類似体内への遷移金属(例えば、Zr)の導入を確認するために、以下のように粉末X線回折分析を行った。分析に用いた装置は、MacScience MXP3HFであり、粉末試料をガラスホルダーにマウントし、40°〜2°2θCuKαによりX線照射した。測定は40kv/20mA、DS1.00deg、SS1.00deg、RS0.15mm、specimen rotated at 360deg/sec、3800points(2.01°to40°in0.01°steps)の条件で行った。
(2)分子軌道計算
ゼオライト類似体およびにZr骨格置換型ゼオライト類似体のそれぞれから、H2O分子を脱離することによりルイス酸性が発現することを、分子軌道計算法によって確認した。分子軌道計算に用いた装置は、Compaq社製Alpha server,ES45システム、およびBestsystems社製PC並列クラスタシステム,HPC2000_APPROである。クラスターモデルに対して、周知のエネルギー勾配法(例えば、Christopher J.Cramer、Essentials of Computational Chemistry,Theories and Models、John Wiley & Sons,LTD Baffins Lane,Chichester,West Sussex,PO19 1UD,England、Copyright 2002参照)によって全ての結合距離を最適化した。
(3)微細構造観察
Hitachi FB−2100集束イオンビーム加工観察装置により、遷移金属を導入したゼオライト類似体を含む粘土質珪藻土中の珪藻化石薄膜を形成し、その断面を、Hitachi HD−2000超薄膜評価装置の透過型電子顕微鏡および走査型電子顕微鏡を用いて、観察した。
(4)元素分布分析
上記(3)微細構造観察で使用したものと同じ珪藻化石表面の粒状集合体の元素分布を、Hitachi HD−2000超薄膜評価装置のEDX(エネルギー分散法)により分析した。
(5)元素組成および定量分析
上記(3)微細構造観察で使用したものと同じ珪藻化石表面の粒状集合体の微量領域において、その元素組成および定量分析を、Hitachi FB−2100超薄膜評価装置のEDX装置を用いて行った。
(6)NMR測定
本発明において製造したルイス酸触媒およびその他種々の触媒を使用して得られた配糖体について、1H−NMR測定(装置:日本電子データム(JEOL) JNM−LA400 FT NMR SYSTEM(400MHz)を行った。
1H−NMR値は、測定温度:27℃において、重クロロホルムCDCl3溶媒中テトラメチルシランを内部標準として測定した。δ値は、ppmで、結合定数(J)はHzで表記した。データ中、sは一重線、dは二重線、mは多重線を意味する。
(参考例1)理想式NaAlSi 2 O 6 ・H 2 Oで表される方沸石結晶の粉末X線 回折
理想式NaAlSi2O6・H2Oで表される方沸石結晶について、粉末X線回折分析を行った。この粉末X線回折線を、図1に示す。図1において、数字は理想式NaAlSi2O6・H2Oの組成の方沸石結晶面を示すミラー指数を表し、括弧内は結晶構造中の原子同士の距離を示す原子間距離である。複数のピークが観測されたが、ミラー指数211、400、332の結晶面のピーク強度が特に顕著であった。これら3つの結晶面の原子間距離が方沸石の同定に特に重要である。
(参考例2)Na 10 Mg 3 Al 16 Si 32 O 96 ・25H 2 Oで表されるMg交換 型ゼオライト類似体結晶の粉末X線回折
これまで知られている天然鉱物の中で、カチオンとしてNaの他にMgを含むゼオライト類似体結晶について、粉末X線回折を行った。この粉末X線回折線を図2に示す。図2において、数字は方沸石の中のカチオンが、部分的にNaからMgに交換されたMg交換型ゼオライト類似体Na10Mg3Al16Si32O9 6・25H2Oの組成の方沸石結晶面を示すミラー指数を表し、括弧内は結晶構造中の原子同士の距離を示す原子間距離である。参考例1の理想式NaAlSi2O6・H2Oで表される方沸石結晶に比べ、ミラー指数211、400(410)の原子間距離が0.1〜0.3Å伸張した。この結果から、ゼオライト類似体ではカチオンの種類が部分的にNaからMgに変わることで、これらの結晶面の原子間距離が変化することがわかる。
(実施例1)北海道幾千世産珪藻土を原料としたゼオライト類似体の製造とX 線粉末回折線による分析
1.1 北海道幾千世産珪藻土(原料)の酸・アルカリによる前処理
原料の北海道幾千世産の粘土質珪藻土を、以下のように、酸・アルカリ溶液により前処理し、不純物を除去した。幾千世産珪藻土は北海道十勝郡浦幌町字幾千世から産出する粘土質珪藻土であり、上部中新統(530〜1120万年前)の海洋堆積物である幾千世層と直別層から採掘され、海産珪藻の細胞壁を主成分とする。具体的には、珪藻土原岩18gをハンマーで破砕し、30%過酸化水素水(100ml)および36%塩酸溶液(100ml)で水熱処理を行った後に、0.1%のピロリン酸ナトリウム溶液を加えたデカンテーションを2回行い、不純物を除去した。
1.2 酸・アルカリによる前処理後の珪藻土の鉱物組成分析
上記1.1に示した前処理後の北海道幾千世産珪藻土の鉱物組成を、X線粉末回折を用いて分析した(図4)。図4において、M1はイライト−トリオクトヘドラル(002)、白雲母−2M2(002)であり、白雲母−3T(003)、M2はイライト−2M2(110、11−1)、白雲母−3T(100)であり、Q1は石英(021)であり、R1はクリストバライト(101)、灰長石(−201)であり、R2はアルバイト(111)、灰長石(111)であり、Q2は石英(101)であり、R3はアルバイト(040、002)、灰長石(040、002)であり、M3は白雲母−2M2(−312、021、116、310)、白雲母−3T(111、112)であり、Q3は石英(110)であり、Q4は石英(102)である。図4の結果は、この粘土質珪藻土は、雲母類粘土鉱物としてイライトと白雲母を含有するが、モンモリオナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物を含まないことを示した。
このように、不純物を除去し、イライトや白雲母などの雲母類粘土鉱物を含む粘土質珪藻土を、次のゼオライト類似体を製造するための原料として使用した。
1.3 北海道幾千世産珪藻土を原料としたゼオライト類似体の製造
上記1.2のデカンテーション後の沈殿物を真空乾燥機により乾燥し、乾燥粉末状の前処理済みの粘土質珪藻土を得た。
この乾燥粉末状の粘土質珪藻土1.3gに1規定の硫酸5.0mlを加え、室温で一昼夜風乾した後に650℃で3時間焼成し、ルイス酸性を発現するゼオライト類似体を珪藻土中に得た。
1.4 北海道幾千世産珪藻土を原料としたゼオライト類似体のX線粉末回折分析
上記1.3で得た北海道幾千世産粘土質珪藻土をX線粉末回折により分析した(図9)。図9において、A1は沸石類似体(211)、Q1は石英(021)であり、R1はクリストバライト(101)、灰長石(−201)であり、R2はアルバイト(111)、灰長石(111)であり、A2は沸石類似体(410または400)であり、Q2は石英(101)であり、R3はアルバイト(040、002)、灰長石(040、002)であり、A3は沸石類似体(422または332)であり、A4は沸石類似体(431)であり、Q3は石英(110)であり、Q4は石英(102)である。以上の結果より、上記1.3で得た粘土質珪藻土をゼオライト類似体と同定した。
原料として雲母類粘土鉱物を含む粘土質珪藻土を使用したにも関わらず、硫酸溶液を添加し、650℃で焼成した後の粘土質珪藻土からは雲母類粘土鉱物が消失した。このことから、雲母類粘土鉱物がゼオライト類似体の生成に関与していると推測した。
(実施例2)北海道留辺蘂産珪藻土を原料としたゼオライト類似体の製造とX 線粉末回折線による分析
2.1 北海道留辺蘂産珪藻土(原料)の酸・アルカリによる前処理
原料の北海道留辺蘂産の粘土質珪藻土を、以下のように、酸・アルカリ溶液により前処理し、不純物を除去した。留辺蕊産珪藻土は北海道常呂郡留辺蘂町から産出する粘土質珪藻土であり、鮮新統(180〜530万年前)の湖沼堆積物である小松沢層から採掘され、淡水珪藻を主成分とする。具体的には珪藻土原岩40gをハンマーで破砕し、30%過酸化水素水(120ml)および36%塩酸溶液(80ml)で水熱処理を行った後に、0.1%のピロリン酸ナトリウム溶液を加えたデカンテーションを2回行い、不純物を除去した。
2.2 酸・アルカリによる前処理後の珪藻土の鉱物組成分析
上記2.1に示した前処理後の北海道留辺蘂産珪藻土の鉱物組成を、X線粉末回折を用いて分析した(図5)。図5において、M2はイライト−2M2(110、11−1)、白雲母−3T(100)であり、Q1は石英(021)であり、R1はクリストバライト(101)、灰長石(−201)であり、R2はアルバイト(111)、灰長石(111)であり、Q2は石英(101)であり、R3はアルバイト(040、002)、灰長石(040、002)であり、M3は白雲母−2M2(−312、021、116、310)、白雲母−3T(111、112)であり、Q3は石英(110)であり、Q4は石英(102)である。図5の結果は、この粘土質珪藻土が、雲母類粘土鉱物としてイライトと白雲母を若干含有するが、モンモリオナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物を含まないことを示した。
このように、不純物を除去し、イライトや白雲母などの雲母類粘土鉱物を含む粘土質珪藻土を、次のゼオライト類似体を製造するための原料として使用した。
2.3 北海道留辺蘂産珪藻土を原料としたゼオライト類似体の製造
上記2.2のデカンテーション後の沈殿物を真空乾燥機により乾燥し、乾燥粉末状の前処理済みの粘土質珪藻土を得た。
この乾燥粉末状の粘土質珪藻土1.3gに1規定の硫酸5.0mlを加え、室温で一昼夜風乾した後に650℃で3時間焼成し、ルイス酸性を発現するゼオライト類似体を珪藻土中に得た。
2.4 北海道留辺蘂産珪藻土を原料としたゼオライト類似体のX線粉末回折分析
上記2.3で得た北海道留辺蘂産珪藻土をX線粉末回折により分析した(図10)。図10において、A1は沸石類似体(211)、Q1は石英(021)であり、R1はクリストバライト(101)、灰長石(−201)であり、R2はアルバイト(111)、灰長石(111)であり、A2は沸石類似体(410または400)であり、Q2は石英(101)であり、R3はアルバイト(040、002)、灰長石(040、002)であり、A3は沸石類似体(422または332)であり、A4は沸石類似体(431)であり、Q3は石英(110)であり、Q4は石英(102)である。以上の結果より、上記2.3で得た粘土質珪藻土をゼオライト類似体と同定した。
(実施例3)青森県弘前産珪藻土を原料としたゼオライト類似体の製造とX線 粉末回折線による分析
3.1 青森県弘前産珪藻土(原料)の酸・アルカリによる前処理
原料の青森県弘前産の粘土質珪藻土を、以下のように、酸・アルカリ溶液により前処理し、不純物を除去した。弘前産珪藻土は青森県弘前市栩内川流域から産出する粘土質珪藻土であり、上部〜中部中新統(530〜1640万年前)の海洋堆積物である。具体的には、珪藻土原岩54gをハンマーで破砕し、30%過酸化水素水(150ml)および36%塩酸溶液(74ml)で水熱処理を行った後に、0.1%のピロりん酸ナトリウム溶液を加えたデカンテーションを2回行い、不純物を除去した。
3.2 酸・アルカリによる前処理後の珪藻土の鉱物組成分析
上記3.1に示した前処理後の青森県弘前産珪藻土の鉱物組成を、X線粉末回折を用いて分析した(図6)。図6において、M1はイライト−トリオクトヘドラル(002)、白雲母−2M2(002)、白雲母−3T(003)、M2はイライト−2M2(110、11−1)、白雲母−3T(100)であり、Q1は石英(021)であり、R1はクリストバライト(101)、灰長石(−201)であり、R2はアルバイト(111)、灰長石(111)であり、Q2は石英(101)であり、R3はアルバイト(040、002)、灰長石(040、002)であり、Q4は石英(102)である。図6の結果は、この粘土質珪藻土が、雲母類粘土鉱物としてイライトと白雲母を若干含有するが、モンモリオナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物を含まないことを示した。
このように、不純物を除去し、イライトや白雲母などの雲母類粘土鉱物を含む粘土質珪藻土を、次のゼオライト類似体を製造するための原料として使用した。
3.3 青森県弘前産珪藻土を原料としたゼオライト類似体の製造
上記3.2のデカンテーション後の沈殿物を真空乾燥機により乾燥し、乾燥粉末状の前処理済みの粘土質珪藻土を得た。
この乾燥粉末状の粘土質珪藻土1.3gに1規定の硫酸5.0mlを加え、室温で一昼夜風乾した後に650℃で3時間焼成し、ルイス酸性を発現するゼオライト類似体を珪藻土中に得た。
3.4 青森県弘前産珪藻土を原料としたゼオライト類似体のX線粉末回折分析
上記3.3で得た青森県弘前産珪藻土をX線粉末回折により分析した(図11)。図11において、A1は沸石類似体(211)、Q1は石英(021)であり、R1はクリストバライト(101)、灰長石(−201)であり、R2はアルバイト(111)、灰長石(111)であり、A2は沸石類似体(410または400)であり、Q2は石英(101)であり、R3はアルバイト(040、002)、灰長石(040、002)であり、A3は沸石類似体(422または332)であり、Q4は石英(102)である。以上の結果より、上記3.3で得た粘土質珪藻土をゼオライト類似体と同定した。しかしながら、ゼオライト類似体のピーク強度は北海道産の新第三紀珪藻土よりも弱かった。
(実施例4)北海道東川産珪藻土を原料としたゼオライト類似体の製造とX線 粉末回折線による分析
4.1 北海道東川産珪藻土(原料)の酸・アルカリによる前処理
原料の北海道東川産の珪藻土を、以下のように、酸・アルカリ溶液により前処理し、不純物を除去した。東川産珪藻土は北海道上川郡東川町の大雪山麓から産出する良質の珪藻土であり、第四紀層(0〜180万年前)の湖沼堆積物であり、淡水珪藻の細胞壁を主成分とする。北海道東川産珪藻土は、北海道幾千世産珪藻土、北海道留辺蘂産珪藻土、青森県弘前産珪藻土とは異なりアルミナ含有量が2%以下の良質な第四紀珪藻土である。具体的には珪藻土原岩15gをハンマーで破砕し、30%過酸化水素水(200ml)および36%塩酸溶液(100ml)で水熱処理を行った後に、0.1%のピロりん酸ナトリウム溶液を加えたデカンテーションを5回行い、不純物を除去した。
4.2 酸・アルカリによる前処理後の北海道東川産珪藻土の鉱物組成を、X線粉末回折を用いて分析した(図7)。図7において、M2はイライト−2M2(110、11−1)、白雲母−3T(100)であり、Q1は石英(021)であり、Q2は石英(101)であり、R3はアルバイト(040、002)、灰長石(040、002)である。図7の結果は、この珪藻土が雲母類粘土鉱物としてイライトと白雲母とを微量に含有するが、モンモリロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物は含まないことを示した。
このように、不純物を除去し、イライトや白雲母などの雲母類粘土鉱物を含む粘土質珪藻土を、次のゼオライト類似体を製造するための原料として使用した。
4.3 北海道東川産珪藻土を原料としたゼオライト類似体の製造
上記4.2のデカンテーション後の沈殿物を真空乾燥機により乾燥し、乾燥粉末状の前処理済みの粘土質珪藻土を得た。
この乾燥粉末状の粘土質珪藻土1.3gに1規定の硫酸10.0mlを加え(北海道東川産珪藻土は極めて吸湿性が高く、1規定の硫酸5.0mlでは試料全体に行き渡らず、10ml添加した)、室温で一昼夜風乾した後に650℃で3時間焼成し、ルイス酸性を発現するゼオライト類似体を珪藻土中に得た。
4.4 北海道東川産珪藻土を原料としたゼオライト類似体のX線粉末回折分析
上記4.3で得た北海道東川産珪藻土をX線粉末回折により分析した(図12)。図12において、A1は沸石類似体(211)、Q1は石英(021)であり、R1はクリストバライト(101)、灰長石(−201)であり、A2は沸石類似体(410または400)であり、Q2は石英(101)であり、R3はアルバイト(040、002)、灰長石(040、002)であり、A3は沸石類似体(422または332)であり、A4は沸石類似体(431)である。以上の結果より、上記4.3で得た粘土質珪藻土を沸石類似体と同定した。しかしながら、ゼオライト類似体のピーク強度は北海道産の新第三紀珪藻土よりも弱かった。
(実施例5)ゼオライト類似体の分子軌道計算
実施例1〜4における焼成処理により、H2O分子が脱離したゼオライト類似体にルイス酸性が発現することを、分子軌道計算法により、確認した。
図8に、分子軌道計算のモデルとした方沸石の結晶構造を示す。図8の2つの方沸石モデルのうち、左は4員環モデル(Si4O12H8)を示し、右は6員環モデル(Si6O18H12)を示す。図8のクラスターモデルに対して、全ての結合距離をエネルギー勾配法によって最適化し、さらに、H2Oが脱離したモデルとしてSi−Si間のOが2個の電子をもって欠落したモデルを構築した(左は4員環モデル(Si4O11H8 2+)を示し、右は6員環モデル(Si6O17H12 2+)を示す)。O2−はプロトン2つとともにH2Oを構成する。さらに、ルイス酸として機能しうるかをみるために、このモデルに電子対を付加した(左は、4員環モデル(Si4O11H8)を示し、右は6員環モデル(Si6O17H12)を示す)計算を行い、安定化エネルギーを予測した。4員環、6員環両モデルに対して、電子対を受け取って安定化するエネルギーは、450kcal/mol以上を示し、通常の化学反応でのエネルギースケールをはるかに超えていた。これらの要因から、H2Oが脱離したゼオライト類似体は、強力なルイス酸性を備え得ることを確認した。
(実施例6)北海道留辺蘂産珪藻土を原料としたZr骨格置換型ゼオライト類 似体の製造とX線粉末回折線による分析
6.1 北海道留辺蘂産珪藻土(原料)の酸・アルカリによる前処理
実施例2の上記2.1に記載の方法と同様の方法で、原料の北海道留辺蘂産の粘土質珪藻土を酸・アルカリ溶液により前処理し、真空乾燥機により乾燥することで、乾燥粉末状の前処理済みの粘土質珪藻土を得た。前処理後の北海道留辺蘂産珪藻土の鉱物組成を、X線粉末回折を用いて分析した結果、実施例2の上記2. 2と同様の回折線が得られ(この回折線は、省略)、この回折線は、得られた粘土質珪藻土は雲母類粘土鉱物としてイライトと白雲母を若干含有するが、モンモリオナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物を含まないことを示した。
6.2 北海道留辺蘂産珪藻土を原料としたZr骨格置換型ゼオライト類似体の製造
粒径が0.150〜0.850mmの酸・アルカリ処理済みの粘土質珪藻土2.6gをカルシウム管に充填し、400℃で気化させたZrCl4をカルシウム管に送り、CVD法(化学蒸着法)により、微粒子状のZrCl4を粘土質珪藻土の表面に蒸着させた。容器に空気を送り、微粒子状のZrCl4を加水分解し粘土質珪藻土表面にZrCl2O・8H2Oを生成した。ZrCl4の加水分解後、ZrCl2O・8H2Oの粘土質珪藻土への担持量を、重量増加測定から計算し、珪藻土1gあたりの担持量を0.34mMと見積もった。カルシウム管から、ZrCl2O・8H2Oを担持した粘土質珪藻土を取り出し、ビーカーに移した後に28%アンモニア水30mlを加えZr(OH)4を得た。沈殿物をデカンテーション(5回)により洗浄し、電気炉で一昼夜100〜150℃で乾燥した。乾燥後に1規定の硫酸(珪藻土1gに対し3.8ml)を加え、室温で一昼夜風乾した後に650℃で3時間焼成した。
6.3 北海道留辺蘂産珪藻土を原料としたZr骨格置換型ゼオライト類似体のX線回折分析
上記6.2で得た北海道留辺蘂産珪藻土をX線回折分析により分析した(図13)。図13において、A1は沸石類似体(211)、M1はイライト−トリオクトヘドラル(002)、白雲母−2M2(002)、白雲母−3T(003)、Q1は石英(021)であり、R1はクリストバライト(101)、灰長石(−201)であり、R2はアルバイト(111)、灰長石(111)であり、A2は沸石類似体(410または400)であり、Q2は石英(101)であり、R3はアルバイト(040、002)、灰長石(040、002)であり、A3は沸石類似体(422または332)であり、A4は沸石類似体(431)であり、Q3は石英(110)であり、Q4は石英(102)である。以上の結果より、上記6.2で得た粘土質珪藻土をゼオライト類似体と同定した。
実施例2の2.4に示した北海道留辺蘂産珪藻土から製造されたゼオライト類似体(つまり、Zrを導入していない)のX線粉末回折線(図10)のピークは5.8010〜6.047Å(幅:0.237Å)であり、(410または400)のピークは3.492〜3.568Å(幅0.076Å)であった。
これに対して、図13のZrを導入したゼオライト類似体(211)のピークは5.814〜6.215Å(幅:0.401Å)であり、(410または400)のピークは3.496〜3.613Å(幅0.117Å)であった。すなわち、Zrを導入することでゼオライト類似体の結晶面における原子間距離が、最大で0.17Å(211)伸張したことを示した。
この原子間距離の変化はゼオライト類似体の結晶格子中に四面体構造のZrが挿入されたためである。ここで、MO4H4(M=Si,Al,Zr)四面体構造のM−O距離を以下の表1に示す。ここで、MO4H4(M=Si,Al,Zr)のエネルギー勾配法による構造最適化には、制限つきハートリーフォック法を用い3−21G*基底を用いた。M=Alについては1価の負イオンとして計算した。
表1より、ZrO4の四面体構造がAlO4およびSiO4の四面体構造よりも大きく、ゼオライト類似体にZrが挿入されるとX線粉末回折線により測定される原子間距離が伸張することが明らかである。分子軌道計算法によるシミュレーションの結果では、Zrを導入することでゼオライト類似体(211)のピークが0.039Å伸張することが予測できていた。実際の分析結果と比較すると因子2の範囲でよく説明できている。Zr−Si、Zr−AlはZrが少量であることを考えると、Si−Siに比べて圧倒的に少数である。よって、計算で出てきた極端な距離の幅は観測される際にはより小さくなることは明白である。
以上の解析結果から、上記5.2の方法により、北海道留辺蘂産珪藻土(原料)からZrO4でTO4四面体を置き換えた骨格置換型ゼオライト類似体が得られることを明らかとなった。
6.4 北海道留辺蘂産珪藻土を原料としたZr骨格置換型ゼオライト類似体の超薄膜評価装置による分析
上記6.2において製造されたZr骨格置換型ゼオライト類似体含む粘土質珪藻土中をHitachi HD−2000超薄膜評価装置の透過型電子顕微鏡およびEDX(エネルギー分散法)により分析した。
粘土質珪藻土中の珪藻化石の断面を作成し、透過型電子顕微鏡分析により微細構造を観察した(図14)。図14において、珪藻化石断面は、留辺蘂産珪藻土中のAuracoseira属の珪藻細胞壁であり、Hitachi FB−2100集束イオンビーム加工観察装置により薄膜を形成した。図14により、珪藻化石の表面に直径100nmの粒状集合体が生成していることを確認した。図14はまた、粒状集合体が球形であり、不定形ゲル状物質がその粒状集合体の間を充填していることを示した。
留辺蘂産粘土質珪藻土の走査型電子顕微鏡による観察によれば、珪藻化石の表面には粒状集合体は認められなかった。したがって、珪藻化石の表面の粒状集合体が、実施例2のZrが挿入されたゼオライト類似体であると推定した。
図15の粒状集合体の元素分布をHitachi HD−2000超薄膜評価装置のEDX(エネルギー分散法)により分析した。図15において、SEMは走査型電子顕微鏡であり、図14の右側画像と同一の領域である。Si−K、Al−K、Zr−Kは各々の原子中のK殻から得られた画像であり、分析した領域は走査型電子顕微鏡画像と同一である。図15より、粒状集合体がSiの他、AlおよびZrを含むことを確認した。
超薄膜評価装置は微小領域の元素組成および定量分析ができるため、個々の粒状体の元素組成を分析した(図16)。図16において、元素組成はHitachi FB−2100超薄膜評価装置のEDX装置で分析されたものであり、図14内の粒状集合体の元素組成である。ただし、Wは試料のデポジットに用いた金属であり、Moは試料台を構成する金属である。
さらに図14と同じサンプル内の別の粒状集合体について、図16と同様に、元素組成を分析した。
これら同じサンプル中の個別の粒状集合体から、C、O、Na、Al、Zr、Si、K、Feを同定し、O以外の主要元素であるAl、Zr、Siの元素比は、図16では3:43:4であり、図17においては1:8:1であった。
図16と図17のAl、Zr、Siの元素比に違いがみられることは、粒状集合体が単一組成の結晶体ではなく、固溶体を形成していることを示す。固溶体とは複数の物質が溶け合った固相のことであり、混晶とも呼ばれる。置換型と進入型があり、鉱物の多くは置換型で一方の成分が他の成分を置換して溶け合う。粒状集合体の周辺領域は理想式SiO2・nH2Oで表されるオパールで充填されており、実施例6のX線粉末回折線(MacScience MXP3HF)により同定されているゼオライト類似体とオパールが固溶体を形成していると考えられる。SiO4四面体はゼオライト類似体とオパールとの共通の構造である。
天然方沸石のTO4四面体を構成するAlとSiの元素比は1:2である。この内、粘土質珪藻土中で、不足するAlをZrが置換した場合、粒状集合体の理想式は図16ではX7Zr4Al3Si14O42・7H2O+29(SiO2・nH2O)であり、図17ではX2ZrAlSi4O12・2H2O+4(SiO2・nH2O)で表される。式中、Xはアルカリ金属である。すなわち、理想式X2ZrAlSi4O12・2H2O、またはX7Zr4Al3Si14O42・7H2Oとして表されるZr骨格置換型ゼオライト類似体と、理想式SiO2で表される二酸化珪素が固溶体を形成する。
Xが全てプロトン化されている場合には、理想式H2ZrAlSi4O12・2H2O+4(SiO2・nH2O)またはH7Zr4Al3Si14O42・7H2O+29(SiO2・nH2O)であり、焼成による脱水で理想式ZrAlSi4O11+4(SiO2・nH2O)またはZr4Al3Si14O28+29(SiO2・nH2O)となる。しかしながら、粒状集合体からはアルカリ金属として、NaとKも検出されており、Zr骨格置換型ゼオライト類似体の全てがプロトン化されているわけではない。
図17のEDX分析から算出された粒状集合体の元素組成比を、以下の表2に示す。
表2において、図17の元素分析により見いだされた元素の内、不純物であるC、W、Moを除外した。重量%およびatom%は、原子中のK殻から得られたシグナルを元に算出した。
ゼオライト類似体において、1価の陽イオン数は、TO4四面体中のAl量と同数になるが、図17のゼオライト類似体ではZrがAlを置換している。したがって、ZrとAlを合わせた7.46atom%と同量の陽イオンが必要である。しかしながら、ゼオライト類似体から検出されたKおよびNaの総量は1.63atom%であるため、表中の元素組成では陽イオン数が不足する。この陽イオン数の不足分は、FeとEDX分析では検出できなかったプロトンの効果である。すなわち、ゼオライト類似体では陽イオンの一部がプロトンに置換されている。
(実施例7)Zr骨格置換型ゼオライト類似体の分子軌道計算
実施例6の6.2における焼成処理により、Zrを導入したゼオライト類似体からH2O分子が脱離したゼオライト類似体にルイス酸性が発現するかどうかについて、分子軌道計算法により、確認した。
実施例5で上述した2つのモデルに対して、それぞれ、Siを1つのAl−とZrに置換したモデル(左は4員環モデル(AlZrSi2O11H8 2+)を示し、右は6員環モデル(AlZrSi4O17H12 2+)を示す)を用いて、実施例5と同様に電子対を受け取って安定化するエネルギーを分子軌道法によって計算した。安定化エネルギーは約280kcal/molで通常の化学反応の領域をはるかに越えていたが、安定化の度合いはZrを含まないものより小さかった。すなわち、電子対を受け取って得られる安定化の要因によってルイス酸性が発現し、その強度はZrを導入していないゼオライト類似体に比較して弱いと考えられる。
しかしながら、参考例3に示すようにZr骨格置換型ゼオライト類似体であっても、これをルイス酸触媒として用いた実験では十分な収率で目的物を得ることができた。
ここで、最も一般的な粘土鉱物であるモンモリロナイトと、珪藻土の主成分である無定形シリカを原料とした場合の、硫酸添加・650℃焼成の結果を比較例1および2に示す。
北海道留辺蘂産珪藻土を原料とし、酸・アルカリ溶液による前処理後に、650℃焼成のみを行った場合のX線粉末回折線(MacScience MXP3HF)の結果を比較例3に示す。
さらに、留辺蘂産珪藻土から製造したゼオライト類似体およびZr骨格置換型ゼオライト類似体をルイス酸触媒として利用した例を実施例8に示す。
(比較例1)ベントナイトを原料とした硫酸添加・650℃焼成の結果
乾燥粉末状のベントナイト1.3gに1規定の硫酸5.0mlを加え、室温で一昼夜風乾した後に650℃で3時間焼成することで、パラゴナイトをベントナイト中に得た。一般式NaAl2(Si3Al)O10(OH、F)4で表されるパラゴナイトはディオクタヘドラル型雲母である。焼成後のベントナイトは素焼き状に固結し、固体触媒に適した粉末形態は得られなかった。
ベントナイトの主成分は理想式Na0.33(H2O)4(Al、Mg)2[(OH)2|Si4O10]で表されるモンモリロナイトであり、水中で膨潤することと陽イオン交換性を有することが特徴である。ボーリング用泥水調整剤、鉄鉱石パレットのバインダー、鋳物用砂型結合材、土木用、農薬キャリア、土壌改良用、塗料助剤等の用途に用いられている。実験には関東化学(04066−01)製ベントナイトを用いた。X線粉末回折線(MacScience MXP3HF)により鉱物組成を分析した結果を図18に示す。図18において、Mo1はモンモリロナイトであり、M1はイライトであり、M2は白雲母(001)およびイライト(002)であり、H1は輝沸石(020)であり、H2は輝沸石(200)であり、H3は輝沸石(20−1)であり、H4は輝沸石(31−1)であり、H5は輝沸石(111)であり、H6は輝沸石(20−1)であり、Mo2はモンモリロナイトであり、M3は白雲母およびイライトであり、Q1は石英(100)であり、R1はクリストバライト(101)であり、H7は輝沸石(131)であり、R2はアルバイト(111)、灰長石(−130)であり、Mo3はモンモリロナイト(103)であり、Q2は石英(101)であり、R3はアルバイト(040、002)、灰長石(040、002)であり、Ca1は方解石(104)であり、M4は白雲母(204)であり、R4は灰長石(1−31)であり、H8は輝沸石(151)であり、H9は輝沸石(62−1、530)であり、H10は輝沸石(061)であり、Mo4はモンモリロナイトであり、M5は白雲母およびイライトであり、Q3は石英(102)である。
モンモリロナイトの他、白雲母およびイライトを含む雲母系粘土鉱物が粘土鉱物として同定できた。また、天然型ゼオライトである輝沸石が見いだされた。粘土鉱物の他にも石英、クリストバライト、長石類などの造岩鉱物、CaCO3で表される方解石が同定された。これらはベントナイトに含まれる一般的な鉱物である。
処理後の素焼き状に固結したベントナイトをX線粉末回折線(MacScience MXP3HF)により分析した結果を、図19に示す。図19において、M2は白雲母(001)およびイライト(002)であり、P1はパラゴナイト−1M(001)、H1は輝沸石(020)であり、H2は輝沸石(200)であり、H3は輝沸石(20−1)であり、H4は輝沸石(31−1)であり、H5は輝沸石(111)であり、P2はパラゴナイト−1M(002)であり、Mo2はモンモリロナイトであり、M3は白雲母およびイライトであり、Q1は石英(100)であり、R1はクリストバライト(101)であり、P3はパラゴナイト−2M1(022)であり、H7は輝沸石(131)であり、R2はアルバイト(111)および灰長石(−130)であり、An1は硬石膏(020)であり、Q2は石英(101)であり、P4はパラゴナイト−1M(003)およびパラゴナイト−2M1(006)であり、R3はアルバイト(040、002)、灰長石(040、002)であり、H8は輝沸石(151)であり、An2は硬石膏(012)であり、P5はパラゴナイト−2M1(−131)であり、An3は硬石膏(202)であり、Q3は石英(102)である。
実施例1〜4に示した珪藻土と同様の処理を行ったにも関わらず、ゼオライト類似体は得られなかった。処理後は、イライト−モンモリロナイトの特徴的な2θCuKα7°(原子間距離12.3Å)のピークが消失し、雲母鉱物であるパラゴナイトに交換された。さらに、ベントナイト中に見いだされたCaCO3で表される方解石が、処理後にはCaSO4で表される硬石膏に交換された。
この結果は、モンモリロナイトを主成分とする粘土からは、硫酸添加・650℃焼成によりゼオライト類似体が形成しないことを示す。
(比較例2)非晶質シリカを原料とした硫酸添加・650℃焼成の結果
乾燥粉末状の非晶質シリカ1.3gに1規定の硫酸5.0mlを加え、室温で一昼夜風乾した後に650℃で3時間焼成した。実験には関東化学(37049−13)製二酸化ケイ素(沈降製、非晶質)を用い、X線粉末回折線(MacScience MXP3HF)により鉱物組成を分析した結果を、図20に示す。珪藻土と同様に2θCuKα21−22°(原子間距離4.23−4.04Å)をピークとする無定形ハローが得られた。
処理後も粉末状であり、非晶質シリカをX線粉末回折線(MacScience MXP3HF)により分析した結果(図21)、2θCuKα21−22°(原子間距離4.23−4.04Å)をピークとする無定形ハローの形状は図20に示した非晶質シリカと変わらない。
この比較例より、非晶質シリカは硫酸添加および650℃によって結晶化せず、ゼオライト類似体が非晶質シリカだけを原料としては得られないことを示した。また、純粋な珪藻化石だけから成る珪藻土からは硫酸添加・650℃焼成により、ゼオライト類似体が得られないことを示した。
(比較例3)北海道留辺蘂産珪藻土を原料とした650℃焼成の結果
原料の北海道留辺蘂産の粘土質珪藻土は、酸・アルカリ溶液による前処理によって、不純物を除去した。具体的には珪藻土原岩28gをハンマーで破砕し、30%過酸化水素水(100ml)と36%塩酸溶液(50ml)で水熱処理を行った後に、0.1%のピロりん酸ナトリウム溶液を加えたデカンテーションを5回行い、不純物を除去したイライトや白雲母などの雲母類粘土鉱物を含む粘土質珪藻土を原料とした。乾燥粉末状の前処理済みの粘土質珪藻土はデカンテーション後の沈殿物を真空乾燥機により乾燥することで得た。この前処理の後、乾燥粉末状の粘土質珪藻土を650℃で3時間焼成した。
硫酸溶液を添加し、650℃で焼成した粘土質珪藻土をX線粉末回折線(MacScience MXP3HF)により分析した結果を図22に示す。図22において、白雲母−3T(100)であり、Q1は石英(021)であり、R1はクリストバライト(101)、灰長石(−201)であり、R2はアルバイト(111)、灰長石(111)であり、Q2は石英(101)であり、R3はアルバイト(040、002)、灰長石(040、002)であり、Q3は石英(110)であり、Q4は石英(102)である。この粘土質珪藻土は雲母類粘土鉱物としてイライトと白雲母を若干含有し、この珪藻土中にゼオライト類似体が合成されなかった。この比較例は、原料として粘土質珪藻土を利用しても、650℃焼成処理のみでは、ゼオライト類似体が得られないことを示した。
(実施例8)糖−アルコール(配糖体)の合成
この例では、1規定の硫酸添加および650℃焼成処理を行った北海道留辺蘂産珪藻土をルイス酸触媒として用いて、超臨界二酸化炭素を溶媒として、糖供与体に脱離基および保護基を導入する反応を示す。本発明で製造したゼオライト類似体およびZr骨格置換型ゼオライト類似体は超臨界二酸化炭素中でのグリコシル化反応において極めて高い活性を示す。
反応容器内に、糖供与体として、1位のOH基には脱離基が付加されており、2〜5位のOH基には保護基が付加されている、以下の構造式;
の化合物(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデート)300mg(0.609mmol)を加えた。
次いで、1−オクタノールを0.48ml(3.04mmol)加えた。さらに触媒を加えた。
表3は、サンプル番号、使用した触媒および触媒の量(mg)を示す。
ゼオライト類似体/留辺蘂産珪藻土は、実施例2と同様の製造法で得た。すなわち、酸・アルカリ処理済みの北海道留辺蘂産珪藻土2.6gに1規定の硫酸水溶液10ml中に加え、室温(20℃)で一昼夜、風乾させることで得た。
Zr骨格置換型ゼオライト類似体/留辺蘂産珪藻土は実施例5と同様の製造法で得た。すなわち、酸・アルカリ処理済みの北海道留辺蘂産珪藻土にZrCl4をCVD法(化学蒸着法)で担持し、気相中の加水分解でZrOCl2とし、28%アンモニア溶液での加水分解によりZr(OH)4とする。100℃で乾燥後、Zr(OH)4が担持された珪藻土2.6gに1規定の硫酸水溶液10ml中に加え、室温(20℃)で一昼夜、風乾させることで得た。
留辺蘂産珪藻土は、酸・アルカリ溶液による前処理のみ行った。
硫酸化ジルコニア(ZrO2/SO4)については、前処理として650℃で3時間焼成した。
トリフルオロメタンスルホン酸銀は、特に前処理は行わなかった。使用した触媒の量は、ZrO2/SO4およびトリフルオロメタンスルホン酸銀については、糖供与体に対して1当量である。硫酸処理珪藻土および珪藻土の場合には、反応容器内を充填するのに十分な量を設定した。具体的には、容器の内容量10mlにつき、約1.5gとした。
次いで、反応容器内に溶媒として二酸化炭素の超臨界流体を発生させて、温度50℃、圧力12Mpaの条件下で、17時間(サンプル番号No.5については18.5時間)反応させた。
反応終了後、反応容器を放冷して常温に戻すことで、溶媒であるCO2を気相にして気体として除去した。反応生成物を、クロロホルムで希釈した後、濾紙を使用した濾過により触媒を除去した。除去されたゼオライト類似体/留辺蘂産珪藻土およびZr骨格置換型ゼオライト類似体/留辺蘂産珪藻土は、クロロホルムにて洗浄後、650℃で2時間焼成することで、再利用することができる。
濾液をシリカゲルカラムによるクロマトグラフィにより精製した後に減圧濃縮して、目的の式:
の生成物を224mg(触媒としてゼオライト類似体/留辺蘂産珪藻土を使用)回収した。
触媒の種類と収率(%)との関係を表4に示す。
収率は、シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒はn−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)を用いて、糖供与体として使用した2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデートを基準とし、重量%で算出した。
さらに、得られた配糖体についてNMR測定を行った結果は、以下の通りである。
1H−NMR data(CDCl3、400MHz):0.86−1.58(m、15H)、1.88−2.14(4S、12H)、3.44−3.50(m、1H)、3.86−3.90(m、2H)、3.91−4.21(m、2H)、4.45(d、1H、J=3.4、10.4)、5.20(dd、1H、J=8.0、10.5)、5.39(d、1H、J=3.357).
(実施例9)糖質高分子の合成
この例では、糖供与体および糖受容体の両方に脱離基および保護基を導入して、反応位置の制御を行う例につき説明する。
反応容器内に、糖供与体として、1位のOH基には脱離基が付加されていて、2位〜4位および6位のOH基には保護基が付加されている下記の式(VIII)の化合物(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデート)を175mg(0.255mmol)を加えた。
次いで、反応容器内に、糖受容体として、2位、3位および6位のOH基には保護基が付加されている式(IX)の化合物(アリール2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシド)を104mg(0.195mmol)を加えた。さらに触媒を加えた。
ここで使用した触媒につき表5を参照して説明する。
表5は、実施例9のサンプル番号、使用された触媒および触媒の量(mg)を説明するための表である。
硫酸化ジルコニア(ZrO2/SO4)については、前処理として650℃で3時間焼成してある。トリフルオロメタンスルホン酸銀は、特に前処理は行っていない。
使用した触媒の量は、糖供与体に対して1当量である。
次いで、反応容器内に溶媒として二酸化炭素の超臨界流体を発生させて、温度50℃、圧力12Mpaの条件下で、12時間反応させた。
反応終了後、反応容器を放冷して常温に戻すことで、溶媒であるCO2を気相にして気体として除去した。反応生成物を、クロロホルムで希釈した後、濾紙を使用した濾過により触媒を除去した。除去された触媒は、クロロホルムにて洗浄後、650℃で2時間焼成することで、再利用することができる。
濾液をシリカゲルカラムによるクロマトグラフィ(展開溶媒はn−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製した後に減圧濃縮して、目的の下記式(X)の生成物を54mg(触媒として硫酸化ジルコニア(ZrO2/SO4)を使用);113mg(触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸銀を使用)回収した。
結果を表6に示す。表6はサンプル番号、触媒の種類および収率(%)を示す表である。
収率は、シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒はn−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)を用いて、糖供与体として使用した(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデート)を基準とし、重量%で算出した。
さらに、得られた糖質高分子についてNMR測定を行った。
測定条件および結果は以下の通りである。
(測定条件)
1H−NMR(400MHz)
装置:日本電子データム(JEOL) JNM−LA400 FT NMR SYSTEM
測定温度:27℃
溶媒:CDCl3
(結果)
1H−NMR data(CDCl3、400MHz):δ8.04−7.14(m、35H、Ph proton)、5.72(m、1H、allyl−CH=)、5.70(dd、1H、H−2)、5.67(dd、1H、H−3)、5.35(d、1H、J1、2=2.97Hz、H−1)、5.20(dd、1H、allyl CH2=)、5.09(dd、1H、allyl CH2=)、4.90(d、1H、J1’,2’=3.51Hz、H−1’)、4.87−4.70(m、8H、4×−CH2Ph)、4.47−3.97(m、10H、proton of allyl−CH=and sugar ring)。
(実施例10)糖−アルコール(配糖体)の合成
この例では、糖供与体に脱離基および保護基を導入して、反応位置の制御を行う例につき説明する。
反応容器内に、糖供与体として、1位のOH基には脱離基が付加されていて、2位〜4位および6位のOH基には保護基が付加されている下記の構造式(XI)の化合物(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデート)を300mg(0.609mmol)を加えた。
次いで、1−オクタノールを0.48ml(3.04mmol)加えた。さらに触媒を加えた。
ここで使用した触媒につき表7を参照して説明する。
表7は、実施例10のサンプル番号、使用された触媒および触媒の量(mg)を説明するための表である。
硫酸処理珪藻土は、市販されている珪藻土(乾燥品)2gを1規定の硫酸水溶液5ml中に加え、室温(20℃)で一昼夜、風乾させることで得られる。
実施例1と同様に、硫酸処理珪藻土、硫酸化ジルコニア(ZrO2/SO4)については、前処理として650℃で3時間焼成してある。トリフルオロメタンスルホン酸銀および珪藻土は、特に前処理は行っていない。
使用した触媒の量は、硫酸化ジルコニア(ZrO2/SO4)およびトリフルオロメタンスルホン酸銀については、糖供与体に対して1当量である。硫酸処理珪藻土および珪藻土の場合には、反応容器内を充填するのに十分な量を設定した。具体的には、容器の内容量10mlにつき、約1.5gとした。
次いで、反応容器内に溶媒として二酸化炭素の超臨界流体を発生させて、温度50℃、圧力12Mpaの条件下で、17時間(サンプル番号No.5については18.5時間)反応させた。
反応終了後、反応容器を放冷して常温に戻すことで、溶媒であるCO2を気相にして気体として除去した。反応生成物を、クロロホルムで希釈した後、濾紙を使用した濾過により触媒を除去した。除去された触媒(硫酸処理珪藻土およびトリフルオロメタンスルホン酸銀)は、クロロホルムにて洗浄後、650℃で2時間焼成することで、再利用することができる。
濾液をシリカゲルカラムによるクロマトグラフィにより精製した後に減圧濃縮して、目的の下記の式(XII)の生成物を224mg(触媒として硫酸処理珪藻土を使用)回収した。
結果を表8に示す。表8はサンプル番号、触媒の種類および収率(%)を示す表である。
収率は、シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒はn−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)を用いて、糖供与体として使用した2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデートを基準とし、重量%で算出した。
さらに、得られた配糖体についてNMR測定を行った。
測定条件および結果は以下の通りである。
(測定条件)
1H−NMR(400MHz)
装置:日本電子データム(JEOL) JNM−LA400 FT NMR SYSTEM
測定温度:27℃
溶媒:CDCl3
(結果)
1H−NMR data(CDCl3、400MHz):0.86−1.58(m、15H)、1.88−2.14(4S、12H)、3.44−3.50(m、1H)、3.86−3.90(m、2H)、3.91−4.21(m、2H)、4.45(d、1H、J=7.9)、5.02(dd、1H、J=3.4、10.4)、5.20(dd、1H、J=8.0、10.5)、5.39(d、1H、J=3.357)。
(実施例11)糖−コレステロールの合成
この例では、糖供与体に脱離基および保護基を導入して、反応位置の制御を行う例につき説明する。
反応容器内に、糖供与体として、1位のOH基には脱離基が付加されていて、2位〜4位および6位のOH基には保護基が付加されている下記の構造式(XIII)の化合物(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデート)を175mg(0.255mmol)を加えた。
(式中、Bnはベンジルである)
次いで、反応容器内に、糖受容体として、コレステロールを75mg(0.195mmol)を加えた。さらに触媒を加えた。
ここで使用した触媒につき表9を参照して説明する。
表9は、実施例11のサンプル番号、使用された触媒および触媒の量(mg)を説明するための表である。
硫酸化ジルコニア(ZrO2/SO4)については、前処理として650℃で3時間焼成してある。トリフルオロメタンスルホン酸銀は、特に前処理は行っていない。
使用した触媒の量は、糖供与体に対して1当量である。
糖受容体であるコレステロールは溶媒である二酸化炭素の超臨界流体に対していくらか溶解しづらいので、これを超臨界流体に溶解させるために、さらなる添加物質が反応容器内に添加される。この例では添加物質として、0.188mlのクロロホルムを添加した。
次いで、反応容器内に溶媒として二酸化炭素の超臨界流体を発生させて、温度50℃、圧力12Mpaの条件下で、12時間反応させた。
反応終了後、反応容器を放冷して常温に戻すことで、溶媒であるCO2を気相にして気体として除去した。反応生成物を、クロロホルムで希釈した後、濾紙を使用した濾過により触媒を除去した。濾液を減圧濃縮して、残渣を回収した。この残渣をシリカゲルカラムによるクロマトグラフィ(展開溶媒はn−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製した後、減圧濃縮して、目的の下記の式(XIV)の化合物を67mg(触媒として硫酸化ジルコニア(ZrO2/SO4)を使用);130mg(触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸銀を使用)得た。
結果を表10に示す。表10はサンプル番号、触媒の種類および収率(%)を示す表である。
収率は、シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒はn−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)を用いて、糖供与体として使用した2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデートを基準とし、重量%で算出した。
さらに、得られた糖−コレステロールについてNMR測定を行った。
測定条件および結果は以下の通りである。
(測定条件)
1H−NMR(400MHz)
装置:日本電子データム(JEOL) JNM−LA400 FT NMR SYSTEM
測定温度:27℃
溶媒:CDCl3
(結果)
1H−NMR data(CDCl3、400MHz):δ7.35−7.20(m、20H、Ph proton)、5.21(t、1H、cholesterol−OCH<)、5.06(d、1H、J1、2=4.24Hz、H−1)、4.78−4.46(m、8H、4×−CH2Ph)、4.29(t、1H、H−3)、4.03(dd、1H、H−2)、3.95(t、1H、H−4)、3.75(m、1H、H−5)、3.67(dd、1H、H−6)3.55(dd、1H、H−6’)3.52(m、1H、cholesterol −CH=)2.29−0.68(m、43H、other proton of cholesterol)。
(実施例12)糖−ペプチド(配糖体)の合成
この実施例では、糖供与体に脱離基および保護基を導入して、反応位置の制御を行う例につき説明する。まず、この合成系で使用する触媒の硫酸化チタニア担持珪藻土(SO4 2−/TiO2/珪藻土)を以下のように合成した。
北海道幾千世産の珪藻土原岩50gを処理用の容器に入れ、30%過酸化水素水(200ml)を加えた。1〜2時間放置した後、36%塩酸溶液(100ml)を加えた。このとき、激しく発泡し、高温になるので注意した。沸騰が始まったら、冷水を入れ反応温度を80℃程度に制御した。溶液の色が黄色を呈し、発泡が収まったら冷水を加え破砕された珪藻土を沈殿させた。完全に沈殿した後に、上澄み液を廃棄するデカンテーションを溶液が中性に近づくまで繰り返した。その後に、0.01〜0.1%のピロリン酸ナトリウム溶液によるデカンテーションを行った。この後、冷水によるデカンテーションを再び溶液が中性になるまで繰り返した。沈殿物を真空乾燥機または電気炉で100〜150℃で乾燥し、粉末状の乾燥した珪藻土を得た。
上記の処理を行った乾燥粉末状(粒径0.15mm以下)の珪藻土4gをカルシウム管に充填し、金属チタン1gを塩素雰囲気中で塩化させTiCl4を得た。TiCl4を400℃で気化させ、高圧窒素ボンベから供給した窒素の圧力によりカルシウム管に送った。このとき、CVD法(化学蒸着法)により、白煙状のTiCl4を珪藻土の表面に蒸着させた。TiCl4の蒸着後、の珪藻土への担持量を重量増加測定から計算し、珪藻土1gあたりのTiCl4担持量を4.7mMと見積もった。カルシウム管から、TiCl4担持した珪藻土を取り出し、ビーカーに移した後に28%アンモニア水50mlを加えTi(OH)4を得た。沈殿物をデカンテーション(7回)により洗浄し、電気炉で一昼夜100〜150℃で乾燥した。乾燥後に1規定の硫酸(珪藻土1gに対し3.8mlに相当)を加え、室温で一昼夜風乾した後に650℃で3時間焼成し硫酸化チタニア担持珪藻土(SO4 2−/TiO2/珪藻土)を得た。
次いで、反応容器内に、糖供与体として、1位のOH基には脱離基が付加されていて、2〜5位のOH基には保護基が付加されている構造式(*1);
(式中、Acはアセチルである)の化合物(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデート)を100mg(0.203mmol)を加えた。
次いで、糖受容体として構造式(*2);
(式中、Zはベンジルオキシカルボニルである)
の化合物(ゼット−スレオニン−O−ベンジル)を105mg(1.5当量)加えた。さらに触媒として糖供与体に対して1当量の硫酸化チタニア担持珪藻土(SO4 2−/TiO2/珪藻土)を加えた。
次いで、反応容器内に溶媒として二酸化炭素の超臨界流体を発生させて、温度35℃、圧力8Mpaの条件下で、5時間反応させた。
反応終了後、反応容器を放冷して常温に戻すことで、溶媒であるCO2を気相にして気体として除去した。反応生成物を、クロロホルムで希釈した後、濾紙を使用した濾過により触媒を除去した。除去された触媒は、クロロホルムにて洗浄後、650℃で2時間焼成することで、再利用することができる。
濾液をシリカゲルカラムによるクロマトグラフィ(展開溶媒はトルエン:酢酸エチル=4〜1:1)により精製した後に減圧濃縮して、目的の式(X3);
の生成物を9.5mg回収した。収率は6.9%である。収率は、糖供与体として使用した2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデートを基準とし、重量%で算出した。
さらに、得られた配糖体についてNMR測定を行った。
測定条件および結果は以下の通りである。
(測定条件)
1H−NMR(500MHz)
装置:ブルカー・バイオスピン株式会社(BRUKER)、Bruker DPX−250 spectrometer
測定温度:27℃
溶媒:CDCl3
(結果)
1H−NMR data(CDCl3、500MHz):7.37−7.31(m、10H、ph×2)、5.59(d、1H、JNH、αH=9.09MHz、NH)、5.30(d、1H、J4、5=2.79MHz、H−4)、5.18(d、2H、CH2ph of benzyl ester)、5.13(d、2H、CH2ph of Z)、5.08(d d、1H、J2、3=10.5MHz、H−2)、4.91(d d、1H、J3、4=3.43MHz、H−3)、4.41(d d、1H、JαH、βH=2.30MHz、αH)、4.41(d d、1H、βH)、4.36(d、1H、J1、2=7.93MHz、H−1)、4.03(m、2H、H−6a、b)、3.65(t、1H、H−5)、2.11、2.02、2.00、1.97(s、1H、Ac)、1.21(d、3H、JCH3、β、H=6.35MHz、βC−CH3)
本発明の溶媒として超臨界流体を使用した糖質高分子および配糖体の合成方法によれば、環境に与える負荷を軽減しつつ、簡易な工程で効率的に合成を行うことができる。
本発明のグリコシル化反応、すなわち糖質高分子または配糖体の合成方法によれば、特に反応溶媒に超臨界流体を使用し、触媒としてプロトン型のゼオライト類似体を使用するので、廃液等により環境に与える負荷を軽減することができ、反応工程が簡易で反応が効率的に行える。
Claims (91)
- 無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、プロトン交換型ゼオライト類似体を生成するための原料の製造方法であって、該方法は、以下:
該無機鉱物を酸性溶液で処理する工程、
を包含する、方法。 - 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、請求項2に記載の方法。 - 中性またはアルカリ性溶液を用いるデカンテーションにより、有機物およびスメクタイト系鉱物を除去する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
- 前記酸性溶液は、過酸化水素を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記酸性溶液は、塩酸溶液を含む、請求項1または5に記載の方法。
- 前記中性またはアルカリ性溶液は、ピロリン酸ナトリウムを含む、請求項4に記載の方法。
- 前記スメクタイト系鉱物は、モンモリオナイトを含む、請求項4に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法により製造された、ルイス酸活性を有するプロトン型ゼオライト類似体を製造するための原料。
- 無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、プロトン交換型ゼオライト類似体の製造方法であって、該方法は、以下:
該無機鉱物からスメクタイト系粘土鉱物を除去した原料に、無機酸を添加し、シリカ源およびアルミナ源を反応させ、反応生成物を得る工程;および
該反応生成物を焼成する工程、
を包含し、ここで、
該プロトン交換型ゼオライト類似体は、式WpHm−pZnO2n・SH2Oで表され、
Wは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはIIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属であり、
Zは、Al+Siであり、かつSi/Al比は、1以上の整数であり、
mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、
pは、0以上でかつmより小さい整数であり、
Sは、0以上の任意の数である、方法。 - 前記Wは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項10に記載の方法。
- 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項10に記載の方法。
- 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。 - 前記無機酸が、硫酸である、請求項10に記載の方法。
- 前記焼成の温度が、540℃以上である、請求項10に記載の方法。
- 前記シリカ源よびアルミナ源を反応させて得られる生成物を風乾した後に、焼成が行われる、請求項10に記載の方法。
- 前記式における酸素原子Oの個数が、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満である、請求項10に記載の方法により製造されたプロトン交換型ゼオライト類似体。
- 無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体の製造方法であって、該方法は、以下:
該無機鉱物からスメクタイト系粘土鉱物を除去した原料に、遷移金属化合物を担持する工程、
を包含し、ここで、
該遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体は、式WpHm−pZnO2 n・SH2Oで表され、
Wは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはIIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属であり、
Zは、IIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属、またはIIIB族およびIVB族の元素からなる群から選択される典型金属元素であり、
mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、
pは、0以上でかつmより小さい整数であり、
Sは、0以上の任意の数である、方法。 - 前記Wは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項18に記載の方法。
- 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項18に記載の方法。
- 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、請求項18に記載の方法。 - 前記担持する工程が、CVD法による前記遷移金属化合物の蒸着である、請求項18に記載の方法。
- 前記遷移金属化合物は、IIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属の、ハロゲン化物、硫酸塩、酢酸塩、カルボニル、硝酸塩またはそれらの混合物である、請求項18に記載の方法。
- 前記遷移金属化合物は、ZrCl4、TiCl4、FeCl2またはそれらの混合物である、請求項23に記載の方法。
- 前記担持する工程が、前記遷移金属の水酸化物ゲルの含浸である、請求項18に記載の方法。
- 前記坦持する工程後に、加水分解する工程をさらに包含する、請求項18に記載の方法。
- 前記式における酸素原子Oの個数が、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満である、請求項18に記載の方法により製造されたプロトン交換型ゼオライト類似体。
- 無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体の製造方法であって、該方法は、以下:
遷移金属を坦持した無機鉱物に、無機酸を添加し、該遷移金属と、シリカ源と、アルミナ源とを反応させ、反応生成物を得る工程;および
該反応生成物を焼成する工程、
を包含し、ここで、
該遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体は、式WpHm−pZnO2 n・SH2Oで表され、
Wは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはIIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属であり、
Zは、IIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属、またはIIIB族およびIVB族の元素からなる群から選択される典型金属元素であり、
mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、
pは、0以上でかつmより小さい整数であり、
Sは、0以上の任意の数である、方法。 - 前記Wは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項28に記載の方法。
- 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項28に記載の方法。
- 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、請求項28に記載の方法。 - 前記無機酸が、硫酸である、請求項28に記載の方法。
- 前記焼成の温度が、540℃以上である、請求項28に記載の方法。
- 前記遷移金属とシリカ源とアルミナ源を反応させて得られる生成物を風乾した後に、焼成が行われる、請求項28に記載の方法。
- 前記式における酸素原子Oの個数が、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満である、請求項28に記載の方法により製造されたプロトン交換型ゼオライト類似体。
- 無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、プロトン交換型ゼオライト類似体の製造方法であって、該方法は、以下:
該無機鉱物を酸性溶液で処理する工程;
該酸処理後の原料に、無機酸を添加し、シリカ源およびアルミナ源を反応させ、反応生成物を得る工程;および
該反応生成物を焼成する工程、
を包含し、ここで、
該プロトン交換型ゼオライト類似体は、式WpHm−pZnO2・SH2Oで表され、
Wは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはIIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属であり、
Zは、Al+Siであり、かつSi/Al比は、1以上の整数であり、
mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、
pは、0以上でかつmより小さい整数であり、
Sは、0以上の任意の数である、方法。 - 前記無機酸の添加の前に、中性またはアルカリ性溶液を用いるデカンテーションによりスメクタイト系鉱物を除去する工程を包含する、請求項36に記載の方法。
- 前記酸性溶液は、過酸化水素を含む、請求項36に記載の方法。
- 前記Wは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項36に記載の方法。
- 前記中性またはアルカリ性溶液は、ピロリン酸ナトリウムを含む、請求項36に記載の方法。
- 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項36に記載の方法。
- 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、請求項41に記載の方法。 - 前記スメクタイト系鉱物は、有機物およびモンモリオナイトを含む、請求項37に記載の方法。
- 前記無機酸が、硫酸である、請求項36に記載の方法。
- 前記焼成の温度が、540℃以上である、請求項36に記載の方法。
- 前記シリカ源よびアルミナ源を反応させて得られる生成物を風乾した後に、焼成が行われる、請求項36に記載の方法。
- 前記式における酸素原子Oの個数が、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満である、請求項36に記載の方法により製造されたプロトン交換型ゼオライト類似体。
- 無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体の製造方法であって、該方法は、以下:
該無機鉱物を酸性溶液で処理する工程;
該無機鉱物からスメクタイト系粘土鉱物を除去した原料に、遷移金属化合物を担持する工程;
遷移金属化合物を坦持した無機鉱物に、無機酸を添加し、該遷移金属とシリカ源とアルミナ源とを反応させ、反応生成物を得る工程;および
該反応生成物を焼成する工程、
を包含し、ここで、
該遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体は、式WpHm−pZnO2 n・SH2Oで表され、
Wは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはIIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属であり、
Zは、IIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属、またはIIIB族およびIVB族の元素からなる群から選択される典型金属元素であり、
mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、
pは、0以上でかつmより小さい整数であり、
Sは、0以上の任意の数である、方法。 - 前記無機酸の添加の前に、中性またはアルカリ性溶液を用いるデカンテーションによりスメクタイト系鉱物を除去する工程を包含する、請求項48に記載の方法。
- 前記酸性溶液は、過酸化水素を含む、請求項48に記載の方法。
- 前記Wは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項48に記載の方法。
- 前記中性またはアルカリ性溶液は、ピロリン酸ナトリウムを含む、請求項49に記載の方法。
- 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項48に記載の方法。
- 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質が、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、請求項53に記載の方法。 - 前記スメクタイト系鉱物は、有機物およびモンモリオナイトを含む、請求項49に記載の方法。
- 前記担持する工程が、CVD法による前記遷移金属化合物の蒸着である、請求項48に記載の方法。
- 前記遷移金属化合物は、IIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属の、ハロゲン化物、硫酸塩、酢酸塩、カルボニル、硝酸塩またはそれらの混合物である、請求項48に記載の方法。
- 前記遷移金属化合物は、ZrCl4、TiCl4、FeCl2またはそれらの混合物である、請求項57に記載の方法。
- 前記担持する工程が、前記遷移金属の水酸化物ゲルの含浸である、請求項48に記載の方法。
- 前記坦持する工程後に、加水分解する工程をさらに包含する、請求項48に記載の方法。
- 前記式における酸素原子Oの個数が、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満である、請求項48に記載の方法により製造されたプロトン交換型ゼオライト類似体。
- 無機鉱物のカチオンの全てまたは一部がH+に置換され、テクトケイ酸塩骨格を有するゼオライトを含む、遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体の製造方法であって、該方法は、以下:
該無機鉱物からスメクタイト系粘土鉱物を除去した原料に、遷移金属化合物を担持する工程;
遷移金属化合物を坦持した無機鉱物に、無機酸を添加し、該遷移金属とシリカ源とアルミナ源とを反応させる工程;および
該反応生成物を焼成する工程、
を包含し、ここで、
該遷移金属を導入したプロトン交換型ゼオライト類似体は、式WpHm−pZnO2 n・SH2Oで表され、
Wは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはIIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属であり、
Zは、IIIA族〜VIIA族、VIII族およびIBの元素からなる群から選択される遷移金属、またはIIIB族およびIVB族の元素からなる群から選択される典型金属元素であり、
mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、
pは、0以上でかつmより小さい整数であり、
Sは、0以上の任意の数である、方法。 - 前記式における酸素原子Oの個数が、(2n−0.5(m−p))以上でかつ2n未満である、請求項62に記載の方法により製造されたプロトン交換型ゼオライト類似体。
- 糖供与体と、糖受容体とを、超臨界流体の存在下で反応させて糖含有物質を生成する工程を包含する、糖含有物質の合成方法。
- 前記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、請求項64に記載の方法。
- 前記反応工程は酸触媒の共存下で行われる、請求項64に記載の方法。
- 前記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、請求項64に記載の方法。
- 前記酸性溶液は硫酸である、請求項67に記載の方法。
- 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質は、珪藻土、粘土質珪藻土、珪質堆積岩、珪質頁岩、泥岩、粘土岩、シルト岩、海成堆積物および湖沼成堆積物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項67に記載の方法。
- 前記無機鉱物を含有する原料の天然物質は、以下:
オパール;および
イライト、パラゴナイト、チンワルド雲母、リシア雲母、黒雲母、金雲母、海緑石、および白雲母の少なくとも一種を含む、雲母鉱物または雲母系粘土鉱物、
をさらに含む、請求項69に記載の方法。 - 前記酸触媒は、トリフルオロメタンスルホン酸銀、トリフルオロメタン酸トリメチルシリル、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、SnCl2−AgClO4、SnCl2−AgOTf、Cp2ZrCl2−AgClO4、硫酸化ジルコニア、珪藻土、硫酸処理珪藻土および硫酸化チタニア担持珪藻土からなる群から選択される、請求項66に記載の方法。
- 前記糖含有物質は、糖質高分子または配糖体である、請求項64に記載の方法。
- 式(I);
(式中、R1は−OC(NH)CCl3、−Cl、−Brまたは−Fであり、R2は−OH、−OR6、−N3または−NHR7であり、R3およびR4は、互いに独立して、−OHまたは−OR6であり、R5は−H、−CH3、−CH2OH、−CH2OR6、または−COOR8であり、R6は、互いに独立して、水酸基保護基、または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R7はアミノ基保護基であり、R8はカルボキシル基保護基である。)
の糖単位を含む群から選択される1種または2種以上の糖供与体と、
式(II);
(式中、R9は−OR14であり、R10は−OR15、−N3または−NHR16であり、R11は−OR17であり、R12は−OR18であり、R13は−H、−CH3、−CH2OR19または−COOR20であり、R14およびR15は、互いに独立して、−H、水酸基保護基または水酸基を含むすべての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R16はアミノ基保護基であり、R17、R18およびR19は、それぞれ互いに独立して、−H、水酸基保護基または水酸基を含むすべての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R20はカルボキシル基保護基である。ただし、R14、R15、R17、R18およびR19のうち、少なくとも1つは−Hである。)
の糖単位を含む群から選択される1種または2種以上の糖受容体とを、
酸触媒および超臨界流体の共存下で反応させて糖質高分子を生成する工程を包含する、糖質高分子の合成方法。 - 前記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、請求項73に記載の方法。
- 前記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、請求項73に記載の方法。
- 式(III);
(式中、R21は−OC(NH)CCl3、−Cl、−Brまたは−Fであり、R2 2は−OH、−OR26、−N3または−NHR27であり、R23およびR24は、互いに独立して、−OHまたは−OR26であり、R25は−H、−CH3、−CH2OH、−CH2OR26または−COOR28であり、R26は、互いに独立して、水酸基保護基、または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R27はアミノ基保護基であり、R28はカルボキシル基保護基である。ただし、R22、R23、R24またはR25のうち、少なくとも1つは水酸基(R25の場合には、−CH2OH)であるものとする。)
の糖単位を含む群から選択される1種または2種以上の糖単位を、
酸触媒および超臨界流体の共存下で反応させて糖質高分子を生成する工程を包含する、糖質高分子の合成方法。 - 前記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、請求項76に記載の方法。
- 前記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、請求項76に記載の方法。
- 式(IV);
(式中、R29は−OC(NH)CCl3、−Cl、−Brまたは−Fであり、R3 0は−OR34、−N3または−NHR35であり、R31およびR32は−OR34であり、R33は−H、−CH3、−CH2OR34、または−COOR36であり、R34は、互いに独立して、水酸基保護基、または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R35はアミノ基保護基であり、R36はカルボキシル基保護基である。)の糖単位を含む群から選択される1種の糖供与体と、
ジアシルグリセロール、セラミド、ステロールおよび分子内に少なくとも一つの水酸基を有しているテルペン、並びに
式(V);
R−OH (V)
(式中、Rは直鎖状、分枝鎖状、側鎖を有しない環状または側鎖を有する環状の飽和脂肪族基であるか、或いは1または2以上の不飽和結合を含む前記飽和脂肪族基に対応する不飽和脂肪族基である。)
で示される脂質、飽和脂肪族アルコールおよび不飽和脂肪族アルコールを含む群から選択される1種の糖受容体とを、
酸触媒および超臨界流体の共存下で反応させて配糖体を生成する工程を包含する、配糖体の合成方法。 - 前記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、請求項79に記載の方法。
- 前記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、請求項79に記載の方法。
- 式(IV);
(式中、R29は−OC(NH)CCl3、−Cl、−Brまたは−Fであり、R3 0は−OR34、−N3または−NHR35であり、R31およびR32は−OR34であり、R33は−H、−CH3、−CH2OR34、または−COOR36であり、R34は、互いに独立して、水酸基保護基、または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R35はアミノ基保護基であり、R36はカルボキシル基保護基である。)の糖単位を含む群から選択される1種の糖供与体と、
式(VI);
(式中、R37は−Hまたは−CH3であり、R38はアミノ基保護基、ペプチド鎖または糖鎖が結合したペプチド鎖であり、R39はカルボキシル基保護基、ペプチド鎖または糖鎖が結合したペプチド鎖である。ただし、R38および/またはR39が糖鎖が結合したペプチド鎖である場合には、その糖鎖の水酸基を含むすべての反応性官能基は保護されているものとする。)
で示されるアミノ酸、ペプチド鎖および糖鎖が結合したペプチド鎖を含む群から選択される1種の糖受容体とを、
酸触媒および超臨界流体の共存下で反応させて配糖体を生成する工程を包含する、配糖体の合成方法。 - 前記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、請求項82に記載の方法。
- 前記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、請求項82に記載の方法。
- 式(IV);
(式中、R29は−OC(NH)CCl3、−Cl、−Brまたは−Fであり、R3 0は−OR34、−N3または−NHR35であり、R31およびR32は−OR34であり、R33は−H、−CH3、−CH2OR34、または−COOR36であり、R34は、互いに独立して、水酸基保護基、または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護されている糖鎖であり、R35はアミノ基保護基であり、R36はカルボキシル基保護基である。)の糖単位を含む群から選択されるいずれか1種の糖供与体と、
式(VII);
(式中、R40は−OR45であり、R41は−OR46、−N3または−NHR47であり、R42は−OR48であり、R43は−OR49であり、R44は−H、−CH3、−CH2OR50または−COOR51であり、R45は、水酸基から水素原子がとれた、ジアシルグリセロール、セラミド、ステロール、テルペン、ペプチド鎖または糖鎖が結合したペプチド鎖であるか、或いは飽和脂肪族基または不飽和脂肪族基であり、R46は−H、水酸基保護基または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護された糖鎖であり、R47はアミノ基保護基であり、R48、R49およびR50は、それぞれ互いに独立して、−H、水酸基保護基または水酸基を含む全ての反応性官能基が保護された糖鎖であり、R51はカルボキシル基保護基である。ただし、R46、R48、R49およびR50は、すべてが水酸基保護基である場合はないものとし、R46、R48、R49およびR50のうち、いずれか1つは−Hであるか、またはR46、R48、R49およびR50のいずれもが−Hではない場合には、前記糖鎖の一つは、未保護の水酸基を一つ有するものとする。)
の糖単位を含む群から選択される1種の糖受容体とを、
酸触媒および超臨界流体の共存下で反応させて配糖体を生成する工程を包含する、配糖体の合成方法。 - 前記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、請求項85に記載の方法。
- 前記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、請求項85に記載の方法。
- グリコシル化反応における超臨界流体の使用。
- 前記超臨界流体は、二酸化炭素の流体である、請求項88に記載の使用。
- グリコシル化反応における酸触媒の使用。
- 前記酸触媒は、酸性溶液で処理した無機鉱物である、請求項90に記載の使用。
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