JPWO2004003955A1 - 冷陰極構造、電子放出装置及び電子放出型表示装置 - Google Patents
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Abstract
冷陰極構造は、絶縁基板と、絶縁基板上に設けられた導電性カソード電極と、カソード電極上に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、ゲート電極とゲート絶縁膜を貫通するように形成されたエミッタホールと、エミッタホールの底部に形成され、分布抵抗成分を有する電子放出部とを具備する。電子放出部は、その表面に分散され、電子を放出する突起を有している。電子放出部の中央部の突起は、第1抵抗値を持つように分布抵抗成分を介してカソード電極に接続され、電子放出部の周辺部の突起は、第2抵抗値を持つように分布抵抗成分を介してカソード電極に接続され、第1抵抗値は、第2抵抗値より大きい。この結果、動作時には、電子放出部の中央部の突起は、周辺部の突起より高い電位にある。
Description
本発明は、冷陰極構造、電子放出装置及び電子放出型表示装置に関し、特に安定した電子放出特性を有する冷陰極構造、電子放出装置及び電子放出型表示装置に関する。
FED(Field Emission Display)等に使用される電子放出装置として、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube、以下「CNT」とも記す)を用いる装置が提案されている。例えば、「フラットパネル・ディスプレイ2002戦略編」(日経マイクロデバイス別冊、日経BP社、Jonghun You、2002、P196〜204)に、CNT−FEDの技術が開示されている。図1及び図2を参照して、その技術を説明する。
図1は、CNT−FEDのカソードパネルの構成を示す図である。カソードパネルは、カソード電極103、ゲート絶縁膜105、及びゲート電極106を備えている。カソード電極103とその上方に配置されたゲート電極106とは、ゲート絶縁膜105を挟んで交差している。各交差領域にエミッタホール110が設けられ、各交差領域がサブピクセルと呼ばれる発光単位である。
図2は、図1に示される構造のエミッタホール110周辺部の断面構造を示す図である。ガラス製の絶縁基板101の上にカソード電極103、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106が順に配設されている。エミッタホール110は、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106を貫通して、カソード電極103にまで達している。エミッタホール110の底部、即ちカソード電極103の表面には、カソード電極103と電気的に導通であるように、カーボンナノチューブ108と導電性ペースト104とを含むカーボンナノチューブペースト109(以後、「CNTペースト」とも記す)が堆積されている。エミッタホール110が形成された後、CNTペースト109が堆積されている。このため、CNTペースト109は、図2に示されるように、中央部が隆起した凸型形状を有する。凸型形状のペースト104の表面からカーボンナノチューブ108が突き出している。ゲート絶縁膜105の膜厚dIは、15μmであり、エミッタホール110の開口径DHは、55μmである。図1と図2に示されるように、カソードパネルの上方には、アノード電極107が配置されている。
図3は、カソードパネルからアノード電極107へ電子が放出されたときの状態を示すグラフである。縦軸は、アノード電極からカソード電極へ流れるアノード電流を示し、横軸は、ゲート電圧(ゲート電極−カソード電極間電圧)を示している。また、3つの曲線は、カソード電極−アノード電極間のアノード電圧が、1kV、2kV、及び3kVの場合を示している。
図3から明らかなように、アノード電流はアノード電圧に依存して変化している。アノード電圧が3kVのとき、ゲート電圧が20Vであり、カソード電圧が0Vのときに、3μA程度の相当する電子が放出されていることが分かる。ゲート電圧が20V未満の低い領域においても、アノード電流がゼロにならない状態、すなわち、低ゲート電圧でも電子放出が行われる状態は、ダイオードアクションと呼ばれる。ダイオードアクションが発生している場合、表示装置は、ゲート電圧、正確にはゲート電極−カソード電極の間の電圧に基づいて各ピクセルの発光状態を制御できない動作不良状態にある。そのため、意図されない輝点が生じることとなる。
現在のCNT−FED技術は、エミッタホール径を縮小する方向に進んでいる。低ゲート電圧での電子放出を可能とするように穴径が縮められ、かつ、ゲート絶縁膜の厚さは薄くされている。例えば、CNTペーストの上面とゲート電極との高低差が3μm程度で、ゲート電極の高さでの穴径(開口径DH)が30μm程度(穴は上にいくほど広がっている)の浅穴を有するCNT−FEDである。そのような構造は、図2よりも浅穴であり、ダイオードアクションによる不良がより発生し易い構造と予想される。従って、このような構造を有しながら、ダイオードアクションが発生しない表示装置が望まれている。
一方、CNT型の電子源において、過大に電子が放出される状況を抑制する電子放出の安定化技術が提案されている。特開2000−294119号公報は、電子放出源の製造方法、電子放出源及び蛍光発光型表示装置を開示している。この従来例の電子放出源の製造方法では、カソード電極とゲート電極の間に電子放出素子が配設されている。絶縁基板上にカソード電極が形成され、分散されたカーボンナノチューブを含むカーボン物質がカソード電極に被着される。カソード電極に対して略垂直方向に電界が印加された状態で、カーボンナノチューブを含むカーボン物質がカソード電極に固定される。カソード電極とカーボンナノチューブを含むカーボン物質の間に抵抗層が形成される。
図4は、上記特開2000−294119号公報に開示された電子放出源を説明する断面図である。絶縁基板101の上にカソード電極103、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106が配設されている。エミッタホール110は、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106を貫通してカソード電極103に達している。エミッタホール110の底部には、抵抗層112が形成され、抵抗層112の表面にはカーボンナノチューブ108が設けられている。ゲート電極106の上方には、アノード電極107が配置されている。カーボンナノチューブ108の先端から電子120が放出される。
この電子放出源は、エミッタホール110の底部にあるカソード電極103とカーボンナノチューブ108との間に抵抗層112を有する。カーボンナノチューブ108のA、B、Cから電子120が放出されると、それぞれのカーボンナノチューブ108の直下の抵抗層112の抵抗成分112’であるRA、RB、RCにより電位降下が発生する。その電位降下により、カーボン物質とゲート電極106が短絡した場合の過電流が防止されている。図4に示されるように、抵抗成分RA、RB及びRCは、互いに並列に接続されている。
特開2001−126609号公報には、電子放出素子及び表示装置が開示されている。この従来例の電子放出素子は、絶縁基板と、第1電極と、第2電極と、エミッタと、絶縁層と、開口部と、抵抗層とを備えている。ここで、第1電極は、絶縁基板上に配設され、第2電極は、第1電極の上方に第1電極から離間して配設されている。エミッタは、第1電極と第2電極との間に配設されている。エミッタは、中央部が周辺部よりも厚く形成された金属層と金属層上に形成されカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバのうちの少なくとも一方を含む炭素材料で形成されている。絶縁層は、第1電極と第2電極との間に配設されている。開口部は、第2電極及び絶縁層を貫通するように形成されている。抵抗層は、第1電極と絶縁層との間に配設されていると共に、開口部から露出するように形成されている。金属層が、抵抗層に接するように配設されている。
図5は、上記特開2001−126609号公報に開示された電子放出素子を説明する断面図である。絶縁基板101の上にカソード電極103、抵抗層113、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106が配設されている。ゲート電極106の上方には、アノード電極107が配置している。抵抗層113は、絶縁基板101上に形成されている。エミッタホール110は、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106を貫通して抵抗層113に達している。図5から明らかなように、エミッタホール110の底部には、金属部104’とその表面のカーボンナノチューブ108とを有する金属層109’が形成されている。カーボンナノチューブ108の先端から電子120が放出される。エミッタホール110直下の抵抗層113の下には、カソード電極103が存在しない。
この電子放出素子では、金属層109’がエミッタホール110内部に島状配置されていて、その下側部分が抵抗層113の抵抗成分113’と接続されている。そうすることで、異常に多量の電子放出があった場合、この島状の金属層109’の全体の電位が、正電位に向かって上昇する。それにより、カーボンナノチューブ108へ印加される実効電界が抑制され電子放出を制御している。
また、特開2001−210221号公報には、冷陰極及びその冷陰極の製造方法が開示されている。この従来例の冷陰極は、電子源と、電子源と電気的に接続されたカソード電極と、ゲート電極と、電子源とゲート電極とを電気的に絶縁するためのゲート絶縁層とを備えている。ゲート絶縁層が第1ゲート絶縁層と第2ゲート絶縁層とを有する。ここで、第1ゲート絶縁層は電子放出領域を規定し、第2ゲート絶縁層はカソード電極とゲート電極との間の絶縁層として機能する。更に、電子源とカソード電極との間に高抵抗層が配設されている。複数の電子源は互いに電気的に絶縁されている。特開2001−210221号公報に開示される冷陰極は、図4に示される抵抗層112と同様の高抵抗層が付加されたCNT型電子源である。
特開2001−250469号公報には、電界放出電子源アレイ及びその製造方法が開示されている。この従来例の電界放出電子源アレイでは、電界放出電子源とカソード電極配線とが抵抗層を介して電気的に接続されている。電界放出電子源と抵抗層が同一の微小空間に形成されている。微小空間のそれぞれが絶縁体材料で絶縁分離されている。電子放出領域が微小空間の集積として形成されている。特開2001−250469号公報に開示される電界放出電子源アレイは、図4と同様の抵抗接続関係を有している。
特開2000−348600号公報には、円筒型電子源を用いる冷陰極及びその製造方法が開示されている。この従来例の円筒型電子源は、真空中に電子を放出する電子源と、電子を引き出すためのゲート電極と、電子源とゲート電極を電気的に絶縁するゲート絶縁層を備えている。電子源が円筒型電子源であり、円筒型電子源の片端又は両端が、電子源を構成する材料と異なる高抵抗材料で置換されている。特開2000−348600号公報に開示された円筒型電子源は、図4と同様の抵抗接続関係を有している。
上記の各従来例では、1つのエミッタホールの内部に複数のエミッションサイトを備えるCNT型の電子源は、図4に示されている抵抗接続関係、又は、図5に示される抵抗接続関係を有している。
ここで、図4において、A電子源の電位変化はB電子源からの電子放出に影響を与えない。つまり、A電子源が異常に電子放出した場合、A電子源の直下のカソード電極からA電子源に向かって垂直上方に流れる電子流と抵抗成分RAとによる電圧降下のためA電子源の電子放出が抑制されるが、その電圧降下はB電子源からの電子放出に影響を与えない。B電子源では、その直下のカソード電極との間の電子流が少ない場合、垂直方向の電圧降下は少ないので、通常通りの電子放出が行われる。また、図5に示される場合は、島状の金属層109’では全てのカーボンナノチューブ108は同電位となっている。すなわち、抵抗層113が無い場合のカソード電極103に、外部から抵抗が接続された場合と同様の状況となる。
次に、ダイオードアクションについて説明する。図6Aは、図1に示される単純マトリクス構造のCNT型FEDにおいて、ゲート電圧Vgとカソード電圧Vkの組に対するドライブ電圧を示す表である。また、図6Bは、そのCNT型電子源におけるカソード電極とゲート電極との間の電界(横軸)と、カソード電極からアノード電極へ流れる電流の密度(縦軸)との関係を示すグラフである。
ダイオードアクションがおきる状況は、以下の様になる。
本来であれば、ゲート電圧Vgとカソード電圧Vkの組に対して図6Aの表のドライブ電圧が印加される場合、表右下の40V印加(Vg=+20V、Vk=−20V)以外の状態では電子が一定値以下(しきい値電流以下)にならなければならない。図6Bを参照すれば、Vg=+20V、Vk=−20V以外の状況、例えばVg=+20V、Vk=0Vにおいては、エミッタ表面の電界が2V/μm(2×106V/m)以上となる領域は、存在しないはずである。
図7は、従来の電子放出素子と等電位線を示す断面図であり、図7で使用される符号は、既述の図4と同様である。ここで、図7に示されるように、実際にはエミッタホール110の側壁周辺の電界は2×106V/m未満になっているが、中央部分では2×106V/m以上の高電界領域が形成されている。等電位線により示されるように、この部分からは電子が放出され続け、ダイオードアクションが発生する。この領域をダイオードアクション領域と名づける。
ダイオードアクションは、特に、(アノード電極107−ゲート電極106間の電界)≧(ゲート電極106−カソード電極103間の電界)という条件、すなわち、(Va−Vg)/da≧(Vg−Vk)/dkの条件で発生し易い。ここで、アノード電極107の電位Va、ゲート電極106の電位Vg、カソード電極103の電位Vk、アノード電極107−ゲート電極106間の距離da、及び、ゲート電極106−カソード電極103(あるいはCNTペースト表面)間の距離dkである。
また、CNT型電子源において、電子放出の安定化の際、ドライブ電圧(ゲート電極−カソード電極間の電圧)の増加を抑制することが望まれている。
図8は、エミッタから放出される電流量(縦軸)とゲート電極−カソード電極間の電圧Vgk(ドライブ電圧)(横軸)との関係を示すグラフである。曲線Aは、図4及び図5のような抵抗層を用いない場合を示し、曲線Bは、抵抗層を用いる場合を示している。また、電流I1は、図6Aにおけるピーク輝度電流に相当し、I2は、しきい値電流に相当する。
図8に示されるように、図4及び図5に示されるように抵抗が付加される場合(曲線B)のドライブ電圧(V22−V21)は、抵抗が付加されない場合(曲線A)のドライブ電圧(V12−V11)と比較して、数倍以上に高くなっている。図4または図5に示される電子放出装置においては、抵抗がCNTペースト109に直列に接続されている。即ち、等価回路的には、各カーボンナノチューブ108毎に、カーボンナノチューブ108−抵抗層の抵抗−カソード電極103と直列に接続されている。このため、各エミッタホール110内のCNTペースト109の表面電位が一様に変化し、印加電圧Vgkが増加されるとその分だけ電子放出が促進されるが、その電子放出に相当する電流が直列抵抗に流れて電圧降下(正の電位方向にシフト)が促進される。この結果、図8に示されるように、抵抗が付加されている場合には、大きなドライブ振幅が必要となる。
上記説明と関連して、冷陰極電界電子放出素子及び冷陰極電界電子放出型表示装置が、特開2000−156147号公報に開示されている。この従来例の冷陰極電界電子放出素子は、支持体表面に、電子放出層、絶縁層、ゲート電極層がこの順に積層され、ゲート電極層と絶縁層とを貫通する開口部が設けられ、開口部の底面に露出した電子放出層から電子が放出される。開口部の開口面積は、開口上端部側から開口底面側に向かって連続的に又は不連続的に減少している。
また、電子放出装置及びその駆動方法が、特開2002−63862号公報に開示されている。この従来例の電子放出装置は、基板と、開口部を有し、基板上に配置されたゲート電極と、開口部内の基板上にカソード材料で形成された薄膜のエミッタと、エミッタから所定の間隔をあけて配設され、所定の電位が印加されるアノード電極とを備えている。エミッタから放出される電子がアノード電極に到達する際の広がり範囲が所定の限界値以内になるようにゲート電位が印加される。ゲート・エミッタ間電界が、アノード電極とゲート電極間に形成されるゲート・アノード間電界よりも小さい値に設定されている。
図1は、CNT−FEDのカソードパネルの構成を示す図である。カソードパネルは、カソード電極103、ゲート絶縁膜105、及びゲート電極106を備えている。カソード電極103とその上方に配置されたゲート電極106とは、ゲート絶縁膜105を挟んで交差している。各交差領域にエミッタホール110が設けられ、各交差領域がサブピクセルと呼ばれる発光単位である。
図2は、図1に示される構造のエミッタホール110周辺部の断面構造を示す図である。ガラス製の絶縁基板101の上にカソード電極103、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106が順に配設されている。エミッタホール110は、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106を貫通して、カソード電極103にまで達している。エミッタホール110の底部、即ちカソード電極103の表面には、カソード電極103と電気的に導通であるように、カーボンナノチューブ108と導電性ペースト104とを含むカーボンナノチューブペースト109(以後、「CNTペースト」とも記す)が堆積されている。エミッタホール110が形成された後、CNTペースト109が堆積されている。このため、CNTペースト109は、図2に示されるように、中央部が隆起した凸型形状を有する。凸型形状のペースト104の表面からカーボンナノチューブ108が突き出している。ゲート絶縁膜105の膜厚dIは、15μmであり、エミッタホール110の開口径DHは、55μmである。図1と図2に示されるように、カソードパネルの上方には、アノード電極107が配置されている。
図3は、カソードパネルからアノード電極107へ電子が放出されたときの状態を示すグラフである。縦軸は、アノード電極からカソード電極へ流れるアノード電流を示し、横軸は、ゲート電圧(ゲート電極−カソード電極間電圧)を示している。また、3つの曲線は、カソード電極−アノード電極間のアノード電圧が、1kV、2kV、及び3kVの場合を示している。
図3から明らかなように、アノード電流はアノード電圧に依存して変化している。アノード電圧が3kVのとき、ゲート電圧が20Vであり、カソード電圧が0Vのときに、3μA程度の相当する電子が放出されていることが分かる。ゲート電圧が20V未満の低い領域においても、アノード電流がゼロにならない状態、すなわち、低ゲート電圧でも電子放出が行われる状態は、ダイオードアクションと呼ばれる。ダイオードアクションが発生している場合、表示装置は、ゲート電圧、正確にはゲート電極−カソード電極の間の電圧に基づいて各ピクセルの発光状態を制御できない動作不良状態にある。そのため、意図されない輝点が生じることとなる。
現在のCNT−FED技術は、エミッタホール径を縮小する方向に進んでいる。低ゲート電圧での電子放出を可能とするように穴径が縮められ、かつ、ゲート絶縁膜の厚さは薄くされている。例えば、CNTペーストの上面とゲート電極との高低差が3μm程度で、ゲート電極の高さでの穴径(開口径DH)が30μm程度(穴は上にいくほど広がっている)の浅穴を有するCNT−FEDである。そのような構造は、図2よりも浅穴であり、ダイオードアクションによる不良がより発生し易い構造と予想される。従って、このような構造を有しながら、ダイオードアクションが発生しない表示装置が望まれている。
一方、CNT型の電子源において、過大に電子が放出される状況を抑制する電子放出の安定化技術が提案されている。特開2000−294119号公報は、電子放出源の製造方法、電子放出源及び蛍光発光型表示装置を開示している。この従来例の電子放出源の製造方法では、カソード電極とゲート電極の間に電子放出素子が配設されている。絶縁基板上にカソード電極が形成され、分散されたカーボンナノチューブを含むカーボン物質がカソード電極に被着される。カソード電極に対して略垂直方向に電界が印加された状態で、カーボンナノチューブを含むカーボン物質がカソード電極に固定される。カソード電極とカーボンナノチューブを含むカーボン物質の間に抵抗層が形成される。
図4は、上記特開2000−294119号公報に開示された電子放出源を説明する断面図である。絶縁基板101の上にカソード電極103、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106が配設されている。エミッタホール110は、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106を貫通してカソード電極103に達している。エミッタホール110の底部には、抵抗層112が形成され、抵抗層112の表面にはカーボンナノチューブ108が設けられている。ゲート電極106の上方には、アノード電極107が配置されている。カーボンナノチューブ108の先端から電子120が放出される。
この電子放出源は、エミッタホール110の底部にあるカソード電極103とカーボンナノチューブ108との間に抵抗層112を有する。カーボンナノチューブ108のA、B、Cから電子120が放出されると、それぞれのカーボンナノチューブ108の直下の抵抗層112の抵抗成分112’であるRA、RB、RCにより電位降下が発生する。その電位降下により、カーボン物質とゲート電極106が短絡した場合の過電流が防止されている。図4に示されるように、抵抗成分RA、RB及びRCは、互いに並列に接続されている。
特開2001−126609号公報には、電子放出素子及び表示装置が開示されている。この従来例の電子放出素子は、絶縁基板と、第1電極と、第2電極と、エミッタと、絶縁層と、開口部と、抵抗層とを備えている。ここで、第1電極は、絶縁基板上に配設され、第2電極は、第1電極の上方に第1電極から離間して配設されている。エミッタは、第1電極と第2電極との間に配設されている。エミッタは、中央部が周辺部よりも厚く形成された金属層と金属層上に形成されカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバのうちの少なくとも一方を含む炭素材料で形成されている。絶縁層は、第1電極と第2電極との間に配設されている。開口部は、第2電極及び絶縁層を貫通するように形成されている。抵抗層は、第1電極と絶縁層との間に配設されていると共に、開口部から露出するように形成されている。金属層が、抵抗層に接するように配設されている。
図5は、上記特開2001−126609号公報に開示された電子放出素子を説明する断面図である。絶縁基板101の上にカソード電極103、抵抗層113、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106が配設されている。ゲート電極106の上方には、アノード電極107が配置している。抵抗層113は、絶縁基板101上に形成されている。エミッタホール110は、ゲート絶縁膜105及びゲート電極106を貫通して抵抗層113に達している。図5から明らかなように、エミッタホール110の底部には、金属部104’とその表面のカーボンナノチューブ108とを有する金属層109’が形成されている。カーボンナノチューブ108の先端から電子120が放出される。エミッタホール110直下の抵抗層113の下には、カソード電極103が存在しない。
この電子放出素子では、金属層109’がエミッタホール110内部に島状配置されていて、その下側部分が抵抗層113の抵抗成分113’と接続されている。そうすることで、異常に多量の電子放出があった場合、この島状の金属層109’の全体の電位が、正電位に向かって上昇する。それにより、カーボンナノチューブ108へ印加される実効電界が抑制され電子放出を制御している。
また、特開2001−210221号公報には、冷陰極及びその冷陰極の製造方法が開示されている。この従来例の冷陰極は、電子源と、電子源と電気的に接続されたカソード電極と、ゲート電極と、電子源とゲート電極とを電気的に絶縁するためのゲート絶縁層とを備えている。ゲート絶縁層が第1ゲート絶縁層と第2ゲート絶縁層とを有する。ここで、第1ゲート絶縁層は電子放出領域を規定し、第2ゲート絶縁層はカソード電極とゲート電極との間の絶縁層として機能する。更に、電子源とカソード電極との間に高抵抗層が配設されている。複数の電子源は互いに電気的に絶縁されている。特開2001−210221号公報に開示される冷陰極は、図4に示される抵抗層112と同様の高抵抗層が付加されたCNT型電子源である。
特開2001−250469号公報には、電界放出電子源アレイ及びその製造方法が開示されている。この従来例の電界放出電子源アレイでは、電界放出電子源とカソード電極配線とが抵抗層を介して電気的に接続されている。電界放出電子源と抵抗層が同一の微小空間に形成されている。微小空間のそれぞれが絶縁体材料で絶縁分離されている。電子放出領域が微小空間の集積として形成されている。特開2001−250469号公報に開示される電界放出電子源アレイは、図4と同様の抵抗接続関係を有している。
特開2000−348600号公報には、円筒型電子源を用いる冷陰極及びその製造方法が開示されている。この従来例の円筒型電子源は、真空中に電子を放出する電子源と、電子を引き出すためのゲート電極と、電子源とゲート電極を電気的に絶縁するゲート絶縁層を備えている。電子源が円筒型電子源であり、円筒型電子源の片端又は両端が、電子源を構成する材料と異なる高抵抗材料で置換されている。特開2000−348600号公報に開示された円筒型電子源は、図4と同様の抵抗接続関係を有している。
上記の各従来例では、1つのエミッタホールの内部に複数のエミッションサイトを備えるCNT型の電子源は、図4に示されている抵抗接続関係、又は、図5に示される抵抗接続関係を有している。
ここで、図4において、A電子源の電位変化はB電子源からの電子放出に影響を与えない。つまり、A電子源が異常に電子放出した場合、A電子源の直下のカソード電極からA電子源に向かって垂直上方に流れる電子流と抵抗成分RAとによる電圧降下のためA電子源の電子放出が抑制されるが、その電圧降下はB電子源からの電子放出に影響を与えない。B電子源では、その直下のカソード電極との間の電子流が少ない場合、垂直方向の電圧降下は少ないので、通常通りの電子放出が行われる。また、図5に示される場合は、島状の金属層109’では全てのカーボンナノチューブ108は同電位となっている。すなわち、抵抗層113が無い場合のカソード電極103に、外部から抵抗が接続された場合と同様の状況となる。
次に、ダイオードアクションについて説明する。図6Aは、図1に示される単純マトリクス構造のCNT型FEDにおいて、ゲート電圧Vgとカソード電圧Vkの組に対するドライブ電圧を示す表である。また、図6Bは、そのCNT型電子源におけるカソード電極とゲート電極との間の電界(横軸)と、カソード電極からアノード電極へ流れる電流の密度(縦軸)との関係を示すグラフである。
ダイオードアクションがおきる状況は、以下の様になる。
本来であれば、ゲート電圧Vgとカソード電圧Vkの組に対して図6Aの表のドライブ電圧が印加される場合、表右下の40V印加(Vg=+20V、Vk=−20V)以外の状態では電子が一定値以下(しきい値電流以下)にならなければならない。図6Bを参照すれば、Vg=+20V、Vk=−20V以外の状況、例えばVg=+20V、Vk=0Vにおいては、エミッタ表面の電界が2V/μm(2×106V/m)以上となる領域は、存在しないはずである。
図7は、従来の電子放出素子と等電位線を示す断面図であり、図7で使用される符号は、既述の図4と同様である。ここで、図7に示されるように、実際にはエミッタホール110の側壁周辺の電界は2×106V/m未満になっているが、中央部分では2×106V/m以上の高電界領域が形成されている。等電位線により示されるように、この部分からは電子が放出され続け、ダイオードアクションが発生する。この領域をダイオードアクション領域と名づける。
ダイオードアクションは、特に、(アノード電極107−ゲート電極106間の電界)≧(ゲート電極106−カソード電極103間の電界)という条件、すなわち、(Va−Vg)/da≧(Vg−Vk)/dkの条件で発生し易い。ここで、アノード電極107の電位Va、ゲート電極106の電位Vg、カソード電極103の電位Vk、アノード電極107−ゲート電極106間の距離da、及び、ゲート電極106−カソード電極103(あるいはCNTペースト表面)間の距離dkである。
また、CNT型電子源において、電子放出の安定化の際、ドライブ電圧(ゲート電極−カソード電極間の電圧)の増加を抑制することが望まれている。
図8は、エミッタから放出される電流量(縦軸)とゲート電極−カソード電極間の電圧Vgk(ドライブ電圧)(横軸)との関係を示すグラフである。曲線Aは、図4及び図5のような抵抗層を用いない場合を示し、曲線Bは、抵抗層を用いる場合を示している。また、電流I1は、図6Aにおけるピーク輝度電流に相当し、I2は、しきい値電流に相当する。
図8に示されるように、図4及び図5に示されるように抵抗が付加される場合(曲線B)のドライブ電圧(V22−V21)は、抵抗が付加されない場合(曲線A)のドライブ電圧(V12−V11)と比較して、数倍以上に高くなっている。図4または図5に示される電子放出装置においては、抵抗がCNTペースト109に直列に接続されている。即ち、等価回路的には、各カーボンナノチューブ108毎に、カーボンナノチューブ108−抵抗層の抵抗−カソード電極103と直列に接続されている。このため、各エミッタホール110内のCNTペースト109の表面電位が一様に変化し、印加電圧Vgkが増加されるとその分だけ電子放出が促進されるが、その電子放出に相当する電流が直列抵抗に流れて電圧降下(正の電位方向にシフト)が促進される。この結果、図8に示されるように、抵抗が付加されている場合には、大きなドライブ振幅が必要となる。
上記説明と関連して、冷陰極電界電子放出素子及び冷陰極電界電子放出型表示装置が、特開2000−156147号公報に開示されている。この従来例の冷陰極電界電子放出素子は、支持体表面に、電子放出層、絶縁層、ゲート電極層がこの順に積層され、ゲート電極層と絶縁層とを貫通する開口部が設けられ、開口部の底面に露出した電子放出層から電子が放出される。開口部の開口面積は、開口上端部側から開口底面側に向かって連続的に又は不連続的に減少している。
また、電子放出装置及びその駆動方法が、特開2002−63862号公報に開示されている。この従来例の電子放出装置は、基板と、開口部を有し、基板上に配置されたゲート電極と、開口部内の基板上にカソード材料で形成された薄膜のエミッタと、エミッタから所定の間隔をあけて配設され、所定の電位が印加されるアノード電極とを備えている。エミッタから放出される電子がアノード電極に到達する際の広がり範囲が所定の限界値以内になるようにゲート電位が印加される。ゲート・エミッタ間電界が、アノード電極とゲート電極間に形成されるゲート・アノード間電界よりも小さい値に設定されている。
従って、本発明の目的は、ダイオードアクションを解消することが出来る冷陰極構造、電子放出装置及び電子放出型表示装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、低ドライブ電圧(Vgの振幅とVkの振幅を低く抑制する)を実現できる冷陰極構造、電子放出装置及び電子放出型表示装置を提供することである。
本発明の更に他の目的は、電子放出を安定化することが可能な冷陰極構造、電子放出装置及び電子放出型表示装置を提供することである。
本発明の観点では、冷陰極構造は、絶縁基板と、絶縁基板上に設けられた導電性カソード電極と、カソード電極上に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、ゲート電極とゲート絶縁膜を貫通するように形成されたエミッタホールと、エミッタホールの底部に形成され、分布抵抗成分を有する電子放出部とを具備する。電子放出部は、その表面に分散され、電子を放出する突起を有している。前記エミッタホールの前記底部の中央部における前記電子放出部の電位は、前記エミッタホールの前記底部の周辺部における前記電子放出部の電位より高い。ここで、前記エミッタホールの前記底部の中央部における電子放出部の突起は、第1抵抗値を持つように分布抵抗成分を介してカソード電極に接続され、前記エミッタホールの前記底部の周辺部における電子放出部の突起は、第2抵抗値を持つように分布抵抗成分を介してカソード電極に接続され、第1抵抗値は、第2抵抗値より大きい。この結果、動作時には、電子放出部の中央部の突起は、周辺部の突起より高い電位にある。
ここで、電子放出部は、第1分布抵抗成分を有する下側抵抗層と、下側抵抗層の上に形成され、第2分布抵抗成分を有する抵抗層とを具備してもよい。抵抗層は、その表面に突起を有している。下側抵抗層のシート抵抗は、10MΩ以上で500MΩ以下であることが望ましく、抵抗層のシート抵抗は、10MΩ以上500MΩ以下であることが望ましい。第1分布抵抗成分の値と第2分布抵抗成分の値はほぼ等しいことが望ましい。
エミッタホールは、ゲート電極とゲート絶縁膜に加えて、カソード電極を貫通していてもよい。この場合、電子放出部は、絶縁基板上に形成され、エミッタホールの底部の端部においてカソード電極と電気的に接続されている。こうして、電子放出部の中央部の突起は、電子放出部の周辺部の突起より大きい抵抗値をもってカソード電極に接続されルことになる。
また、電子放出部は、カソード電極上に形成されていてもよい。この場合、絶縁基板は、エミッタホールに対応する部位に第1窪みを有し、カソード電極は、絶縁基板の表面に沿って、第2窪みを持つように形成され、電子放出部は、カソード電極の第2窪みに形成されてもよい。このとき、電子放出部は、分布抵抗成分を有する抵抗層とを具備し、抵抗層は、その表面に突起を有している。抵抗層のシート抵抗は、10MΩ以上500MΩ以下であることが望ましい。
エミッタホールは、ゲート電極とゲート絶縁膜に加えて、カソード電極を貫通していてもよい。電子放出部は、絶縁基板上に形成され、エミッタホールの底部の端部においてカソード電極と電気的に接続されている。
上記の冷陰極構造において、抵抗層は、ほぼ一様な厚さを有していてもよく、場合によっては、抵抗層の膜厚は、エミッタホールの中央部で薄く周辺部で厚いことが好ましく、他の場合には、抵抗層の膜厚は、エミッタホールの中央部で厚く周辺部で薄くともよい。また、下側抵抗層の膜厚は、エミッタホールの中央部で厚く周辺部で薄くともよい。
また、突起は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー及びカーボンナノホーンの少なくとも一種類を含んでいることが望ましい。
また、本発明の他の観点では、冷陰極構造は、絶縁基板と、絶縁基板上に設けられた導電性カソード電極と、カソード電極上に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、ゲート電極とゲート絶縁膜を貫通するように形成されたエミッタホールと、エミッタホールの底部に形成された電子放出部とを具備する。電子放出部は、その表面に分散され、電子を放出する突起を有し、エミッタホールの中央部での突起の電位は、エミッタホールの周辺部での突起の電位よりも高い。ここで、突起は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー及びカーボンナノホーンの少なくとも一種類を含んでいることが望ましい。
また、本発明の他の観点では、電子放出装置は、上記の冷陰極構造と、ゲート電極及び電子放出部に対向して離間して設けられたアノード電極と、アノード電極にアノード電圧を印加する第1電源と、ゲート電極にゲート電圧を印加する第2電源とを具備している。カソード電極にカソード電圧を印加する第3電源を更に具備していてもよい。この場合、(Va−Vg)/da≧(Vg−Vk)/dkの条件において、電放出部の中央部からの電子放出が電放出部の周辺部からの電子放出よりも少ない。ここで、Vaはアノード電極の電位、Vgはゲート電極の電位、Vkはカソード電極の電位、daはアノード電極のゲート電極側の表面とゲート電極のアノード電極側の表面との距離、及びdkゲート電極のゲート絶縁膜側の表面と電子源膜のゲート電極側の表面との距離である。また、(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件において、電子放出部から放出された電子が、ゲート電極の高さにおける電子放出部の中央部付近に対応する位置に集束される。
また、本発明の他の観点では、電子放出型表示装置は、上記の電子放出装置と、水平同期信号と、垂直同期信号と、データクロックと、データ信号とに基づいて、X駆動信号及びY駆動信号を出力する制御回路部と、X駆動信号に基づいて、電子放出装置のカソード電極を制御するXドライバ部と、Y駆動信号に基づいて、電子放出装置のゲート電極を制御するYドライバ部とを具備する。
また、本発明の他の目的は、低ドライブ電圧(Vgの振幅とVkの振幅を低く抑制する)を実現できる冷陰極構造、電子放出装置及び電子放出型表示装置を提供することである。
本発明の更に他の目的は、電子放出を安定化することが可能な冷陰極構造、電子放出装置及び電子放出型表示装置を提供することである。
本発明の観点では、冷陰極構造は、絶縁基板と、絶縁基板上に設けられた導電性カソード電極と、カソード電極上に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、ゲート電極とゲート絶縁膜を貫通するように形成されたエミッタホールと、エミッタホールの底部に形成され、分布抵抗成分を有する電子放出部とを具備する。電子放出部は、その表面に分散され、電子を放出する突起を有している。前記エミッタホールの前記底部の中央部における前記電子放出部の電位は、前記エミッタホールの前記底部の周辺部における前記電子放出部の電位より高い。ここで、前記エミッタホールの前記底部の中央部における電子放出部の突起は、第1抵抗値を持つように分布抵抗成分を介してカソード電極に接続され、前記エミッタホールの前記底部の周辺部における電子放出部の突起は、第2抵抗値を持つように分布抵抗成分を介してカソード電極に接続され、第1抵抗値は、第2抵抗値より大きい。この結果、動作時には、電子放出部の中央部の突起は、周辺部の突起より高い電位にある。
ここで、電子放出部は、第1分布抵抗成分を有する下側抵抗層と、下側抵抗層の上に形成され、第2分布抵抗成分を有する抵抗層とを具備してもよい。抵抗層は、その表面に突起を有している。下側抵抗層のシート抵抗は、10MΩ以上で500MΩ以下であることが望ましく、抵抗層のシート抵抗は、10MΩ以上500MΩ以下であることが望ましい。第1分布抵抗成分の値と第2分布抵抗成分の値はほぼ等しいことが望ましい。
エミッタホールは、ゲート電極とゲート絶縁膜に加えて、カソード電極を貫通していてもよい。この場合、電子放出部は、絶縁基板上に形成され、エミッタホールの底部の端部においてカソード電極と電気的に接続されている。こうして、電子放出部の中央部の突起は、電子放出部の周辺部の突起より大きい抵抗値をもってカソード電極に接続されルことになる。
また、電子放出部は、カソード電極上に形成されていてもよい。この場合、絶縁基板は、エミッタホールに対応する部位に第1窪みを有し、カソード電極は、絶縁基板の表面に沿って、第2窪みを持つように形成され、電子放出部は、カソード電極の第2窪みに形成されてもよい。このとき、電子放出部は、分布抵抗成分を有する抵抗層とを具備し、抵抗層は、その表面に突起を有している。抵抗層のシート抵抗は、10MΩ以上500MΩ以下であることが望ましい。
エミッタホールは、ゲート電極とゲート絶縁膜に加えて、カソード電極を貫通していてもよい。電子放出部は、絶縁基板上に形成され、エミッタホールの底部の端部においてカソード電極と電気的に接続されている。
上記の冷陰極構造において、抵抗層は、ほぼ一様な厚さを有していてもよく、場合によっては、抵抗層の膜厚は、エミッタホールの中央部で薄く周辺部で厚いことが好ましく、他の場合には、抵抗層の膜厚は、エミッタホールの中央部で厚く周辺部で薄くともよい。また、下側抵抗層の膜厚は、エミッタホールの中央部で厚く周辺部で薄くともよい。
また、突起は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー及びカーボンナノホーンの少なくとも一種類を含んでいることが望ましい。
また、本発明の他の観点では、冷陰極構造は、絶縁基板と、絶縁基板上に設けられた導電性カソード電極と、カソード電極上に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、ゲート電極とゲート絶縁膜を貫通するように形成されたエミッタホールと、エミッタホールの底部に形成された電子放出部とを具備する。電子放出部は、その表面に分散され、電子を放出する突起を有し、エミッタホールの中央部での突起の電位は、エミッタホールの周辺部での突起の電位よりも高い。ここで、突起は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー及びカーボンナノホーンの少なくとも一種類を含んでいることが望ましい。
また、本発明の他の観点では、電子放出装置は、上記の冷陰極構造と、ゲート電極及び電子放出部に対向して離間して設けられたアノード電極と、アノード電極にアノード電圧を印加する第1電源と、ゲート電極にゲート電圧を印加する第2電源とを具備している。カソード電極にカソード電圧を印加する第3電源を更に具備していてもよい。この場合、(Va−Vg)/da≧(Vg−Vk)/dkの条件において、電放出部の中央部からの電子放出が電放出部の周辺部からの電子放出よりも少ない。ここで、Vaはアノード電極の電位、Vgはゲート電極の電位、Vkはカソード電極の電位、daはアノード電極のゲート電極側の表面とゲート電極のアノード電極側の表面との距離、及びdkゲート電極のゲート絶縁膜側の表面と電子源膜のゲート電極側の表面との距離である。また、(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件において、電子放出部から放出された電子が、ゲート電極の高さにおける電子放出部の中央部付近に対応する位置に集束される。
また、本発明の他の観点では、電子放出型表示装置は、上記の電子放出装置と、水平同期信号と、垂直同期信号と、データクロックと、データ信号とに基づいて、X駆動信号及びY駆動信号を出力する制御回路部と、X駆動信号に基づいて、電子放出装置のカソード電極を制御するXドライバ部と、Y駆動信号に基づいて、電子放出装置のゲート電極を制御するYドライバ部とを具備する。
図1は、第1従来例のCNT−FEDのカソードパネルの構成を示す図であり、
図2は、第1従来例のCNT−FEDのカソードパネルにおけるエミッタホール周辺部の構造を示す断面図であり、
図3は、第1従来例のCNT−FEDにおいて、カソードパネルからアノード電極へ電子が放出された結果を示すグラフであり、
図4は、第2従来例の電子放出源を示す断面図であり、
図5は、第3従来例の電子放出素子を示す断面図であり、
図6Aは、CNT型FEDにおけるゲート電圧とカソード電圧の印加の一例を示す表であり、
図6Bは、CNT型電子源におけるカソード電極−ゲート電極間電界と、カソード電極−アノード電極間電流密度との関係の一例を示すグラフであり、
図7は、従来の電子放出素子と等電位線を示す図であり、
図8は、エミッタから放出される電流量とゲート電極−カソード電極間電圧との関係を示すグラフであり、
図9Aは、本発明の第1実施例による電子放出装置の構造を示す断面図であり、図9Bは、図9Aに示される第1実施例による電子放出装置の等価回路を示す図であり、
図10Aから10Eは、本発明の第1実施例による電子放出装置の製造方法を示す断面図であり、
図11は、本発明の電子放出装置が適用される電子放出表示装置の構成を示すブロック図であり、
図12Aは、本発明の第2実施例による電子放出装置の構造を示す断面図であり、図12Bは、図12Aに示される第2実施例による電子放出装置の等価回路を示す図であり、
図13は、エミッタホールの中心軸の片側について、電子源膜上の電位分布を示す図であり、
図14は、電子放出装置における電子源膜からの電子放出特性を示すグラフであり、
図15は、電子放出装置における所定の条件での電子源膜上の電位分布を示す図であり、
図16は、電子放出装置における所定の条件での電子源膜上の電位分布を示す図であり、
図17Aは、本発明の第3実施例による電子放出装置の構造を示す断面図であり、図17Bは、図17Aに示される第3実施例による電子放出装置の等価回路を示す図であり、
図18Aは、本発明の第4実施例による電子放出装置の構造を示す断面図であり、図18Bは、図18Aに示される第4実施例による電子放出装置の等価回路を示す図であり、
図19Aは、本発明の第5実施例による電子放出装置の構造を示す断面図であり、図19Bは、図19Aに示される第5実施例による電子放出装置の等価回路を示す図である。
図2は、第1従来例のCNT−FEDのカソードパネルにおけるエミッタホール周辺部の構造を示す断面図であり、
図3は、第1従来例のCNT−FEDにおいて、カソードパネルからアノード電極へ電子が放出された結果を示すグラフであり、
図4は、第2従来例の電子放出源を示す断面図であり、
図5は、第3従来例の電子放出素子を示す断面図であり、
図6Aは、CNT型FEDにおけるゲート電圧とカソード電圧の印加の一例を示す表であり、
図6Bは、CNT型電子源におけるカソード電極−ゲート電極間電界と、カソード電極−アノード電極間電流密度との関係の一例を示すグラフであり、
図7は、従来の電子放出素子と等電位線を示す図であり、
図8は、エミッタから放出される電流量とゲート電極−カソード電極間電圧との関係を示すグラフであり、
図9Aは、本発明の第1実施例による電子放出装置の構造を示す断面図であり、図9Bは、図9Aに示される第1実施例による電子放出装置の等価回路を示す図であり、
図10Aから10Eは、本発明の第1実施例による電子放出装置の製造方法を示す断面図であり、
図11は、本発明の電子放出装置が適用される電子放出表示装置の構成を示すブロック図であり、
図12Aは、本発明の第2実施例による電子放出装置の構造を示す断面図であり、図12Bは、図12Aに示される第2実施例による電子放出装置の等価回路を示す図であり、
図13は、エミッタホールの中心軸の片側について、電子源膜上の電位分布を示す図であり、
図14は、電子放出装置における電子源膜からの電子放出特性を示すグラフであり、
図15は、電子放出装置における所定の条件での電子源膜上の電位分布を示す図であり、
図16は、電子放出装置における所定の条件での電子源膜上の電位分布を示す図であり、
図17Aは、本発明の第3実施例による電子放出装置の構造を示す断面図であり、図17Bは、図17Aに示される第3実施例による電子放出装置の等価回路を示す図であり、
図18Aは、本発明の第4実施例による電子放出装置の構造を示す断面図であり、図18Bは、図18Aに示される第4実施例による電子放出装置の等価回路を示す図であり、
図19Aは、本発明の第5実施例による電子放出装置の構造を示す断面図であり、図19Bは、図19Aに示される第5実施例による電子放出装置の等価回路を示す図である。
以下に、本発明の冷陰極構造、電子放出装置及び電子放出型表示装置を添付図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube:CNT)を用いた冷陰極構造を含む電子放出装置が適用された電子放出型表示装置としてのFED(Field Emission Display)を例として説明する。しかし、通常のFEDや他の用途においても、本願発明は適用可能である。なお、以下の説明において同一又は相当部分には同一の符号を付して説明する。
(第1実施例)
以下に、本発明の第1実施例による冷陰極構造を有する電子放出装置が適用されたCNT−FED(電子放出型表示装置)を説明する。
図9Aは、本発明の第1実施例による電子放出装置の構成を示す断面図である。電子放出装置は、絶縁基板1、下側抵抗層2、カソード電極3、電子源膜9、ゲート絶縁膜5、ゲート電極6、アノード電極7を備える。電子放出部は、下側抵抗層2と電子源膜9とを有し、電子源膜9は分布抵抗成分を有する抵抗層としてのペースト4とカーボンナノチューブ8とを含んでいる。第1電源16、第2電源17、第3電源18が、アノード電極7、ゲート電極6、カソード電極3にそれぞれ接続されている。第1電源16は、アノード電極7にアノード電圧Vaを印加し、第2電源17は、ゲート電極6にゲート電圧Vgを印加し、第3電源18は、カソード電極3にカソード電圧Vkを印加する。各電源は、制御部15により制御される。
絶縁基板1は、ガラス基板のような絶縁材料製の基板、あるいは表面に絶縁性膜が形成された基板である。この例では、絶縁基板1として1mmの厚みのガラス板が用いられる。
電子放出部の下側抵抗層2は、絶縁基板1上の電子が放出されるべき位置に、所定の形状で形成されている。この例では、下側抵抗層2は、直径60μm、厚み1μmの円盤状にアモルファスシリコンを堆積することにより形成される。下側抵抗層2は、分布抵抗成分を有する抵抗層として働く。また、下側抵抗層2は、その周辺においてカソード電極3と電気的に接続されている。下側抵抗層2は、印加されたカソード電圧Vk(但し、自身での電圧降下分を除く)を電子源膜9に印加する。カソード電圧Vkの表面上の一部には電子源膜9が配設されている。第1カソード電極2のシート抵抗は200MΩである。シート抵抗の範囲は、10〜500MΩが好ましい。抵抗が小さ過ぎると、通常の導電性カソード電極と同様になってしまい、抵抗が大き過ぎる場合には、ドライブ電圧が高くなり、最悪の場合電流が流れなくなる。
カソード電極3は、絶縁基板1上で、下側抵抗層2の周辺に、下側抵抗層2と電気的に接続するように配設されている。この例では、カソード電極3は、厚み2μm、シート抵抗5Ωの銀ペースト配線である。ただし、カソード電極3は、下側抵抗層2の端面と直接接していても良く、下側抵抗層2の端部を覆うように配設されていても良いが、下側抵抗層2の、電子源膜9を配設する領域には、配設されない。その際、第1カソード電極2の周囲全体を囲むように配設されていることが望ましい。これは、下側抵抗層2上の電子源膜9に均等に電圧を印加するためである。カソード電極3は、従来の電子放出装置におけるカソード電極に相当する。カソード電極3は、下側抵抗層2、抵抗層としてのペースト4及びカーボンナノチューブ8にカソード電圧Vkを印加する。
ゲート絶縁膜5は、カソード電極3上に、カソード電極3を覆うように配設されている。この例では、ゲート絶縁膜5は、厚み10μmのガラスの膜である。ゲート絶縁膜5は、下側抵抗層2の、電子源膜9が配設されていない部分を覆っても良い。ゲート絶縁膜5は、カソード電極3とゲート電極6との間を絶縁する。
ゲート電極6は、ゲート絶縁膜5上に、ゲート絶縁膜5の全部又は一部を覆うように配設されている。この例では、厚み1μm、シート抵抗10Ωの銀ペースト電極である。ゲート電極6は、エミッタホール10の開口部の縁に達していることが望ましい。ゲート電極6は、ゲート電圧Vgが印加される。
エミッタホール10は、カソード電極3、ゲート絶縁膜5及びゲート電極6を貫通して、下側抵抗層2に達するように形成されている。この例では、下側抵抗層2を覆うようにスクリーン印刷で堆積されたカソード電極3、ゲート絶縁膜5及びゲート電極6にサンドブラスト工法を適用することにより、円筒形の穴として形成される。穴の直径は、40μmである。
電子源膜9は、ペースト4と、電子放出突起としてのカーボンナノチューブ8とを含んでいる。電子源膜9は、エミッタホール10の底部、即ち下側抵抗層2の全表面、又は底部の周辺部を除く中央部分に堆積される。この例では、電子源膜9は、40μm直径のエミッタホール10の底部に厚み1μmに堆積される。電子源膜9は、ゲート電圧Vg、カソード電圧Vk、アノード電圧Vaに基づいて、電子を放出する。
電子源膜9は、カーボンナノチューブ8がペースト4中に電子源膜9の表面に垂直な方向に配向して分散された高抵抗膜である。カーボンナノチューブ8及びその不純物は低抵抗物質であるので、高いシート抵抗の電子源膜9を得るために、カーボンナノチューブ8は精製され、かつその長さが短くされている。カーボンナノチューブを短くするに、化学的エッチング、燃焼、機械的すりつぶしなどの方法が組み合わされる。この例では、カーボンナノチューブ8は長さが0.5μm以下に短縮され、平均存在密度が1本/平方μmになるように調整されている。ペースト4は、カーボンナノチューブ8を含み、それらを保持する。電子源膜9は、下側抵抗層2のように抵抗層として働く。電子源膜9は、カソード電圧Vkが印加され、カーボンナノチューブ8にカソード電圧Vk(ただし、自身での電圧降下分を除く)を印加する。この例では、電子源膜9は、シート抵抗が200MΩである。シート抵抗の範囲は、10〜500MΩが好ましい。抵抗が小さ過ぎると、通常の導電性カソード電極と同様になってしまい、抵抗が大き過ぎる場合には、ドライブ電圧が高くなり、最悪の場合電流が流れなくなる。また、下側抵抗層2と同程度のシート抵抗であることが好ましい。両者を共に有効に利用するためである。
なお、本発明は、カーボンナノチューブ8に限定されるものではない。例えば、カーボンナノファイバーやカーボンナノホーンのようなカーボンのナノ構造を有する材料を用いても同様に実施可能である。また、針状又は円錐状あるいは角錐状の形状を有し、他の種類の導電性材料、例えば、スピント(Spindt)型エミッタに用いられる材料で形成された物質であっても良い。
また、上記カーボンナノチューブ8のように先端が尖鋭化した構造を有する他の材料を用いることも可能である。例えば、炭化物、例えば炭素、炭化珪素、酸化物、例えば酸化亜鉛、及び金属例えば銀及びスズの針状結晶やウィスカーを用いることが出来る。更に、髭結晶の代表的な生成機構であるVLS(Vapor Liquid Solid)機構により生成されたシリコンのナノワイヤを利用することも出来る。それらは、先端の直径が0.5μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.1μmである。先端の直径が小さいほど、電子が放出し易くなるからである。
また、本発明の電子源膜9では、ペースト4部分の抵抗が高い。そのため、前述の先端が尖鋭化した構造を有する他の材料として、抵抗が高い材料を用いても、ペースト4部分から電子が放出されることが無い。
アノード電極7は、ゲート電極6からゲート絶縁膜5と反対側の方向に離れて設けられる。アノード電極7は、カソード側から放出された電子を受け取る。この例では、アノード電極7は、ゲート電極6から上方2mm離れて配設されている。
第1実施例では、制御部15の制御により、アノード電極7には第1電源16からVa=6kVのアノード電圧が、ゲート電極6には第2電源17から矩形パルス電圧が印加されている。矩形パルス電圧は、低レベルとしてVg=0Vを有し、高レベルとして15〜20Vを有する。第2カソード電極3には第3電源18から矩形パルス電圧が印加される。矩形パルス電圧は、低レベルとしてVk=−15〜−20Vを高レベルとして0Vを有する。
図10Aから10Eを参照して、電子放出装置の製造方法について説明する。図図10Aから10Eは、本発明の電子放出装置の製造方法を説明するための断面図である。
図10Aに示されるように、絶縁基板1として、ガラス基板が提供される。図10Bに示されるように、絶縁基板1上に、CVD法によりアモルファスシリコン膜が成膜される。成膜後に、フォトリソグラフィー方法により、所望の位置に所望の形状を有する下側抵抗層2が形成される。次に、図10Cに示されるように、絶縁基板1及び下側抵抗層2の一部を覆うように、カソード電極3として銀ペーストが、所望の位置に所望の形状にパターン印刷される。同様に、ゲート絶縁膜5としてガラスペースト、ゲート電極6として銀ペーストが、それぞれ所望の位置、所望の形状にパターン印刷される。その後、各膜毎、又は3種類の膜一体で焼成又は乾燥処理が行われ、3つの膜が形成される。図10Dと10Cに示されるように、上記のように作成された膜付きの基板に所定のマスク処理が行われる。サンドブラスト工法により、円筒形のエミッタホール10が形成される。エミッタホール10が形成された後、マスクは除去される。次に、図10Eに示されるように、エミッタホール10へ、カーボンナノチューブ8を含有するペースト4が堆積される。ペースト4を所定の温度で焼成又は乾燥することにより、電子源膜9が形成される。その後、アノード電極7が配設された後、電子が放出される領域が真空にされる。以上により、電子放出素子が完成する。
次に、本発明の電子放出型表示装置について説明する。図11は、本発明の第1実施例による電子放出表示装置の構成を示すブロック図である。電子放出型表示装置は、FEDパネル31、制御回路32、電源回路33、Yドライバ34及びXドライバ35を備えている。
FEDパネル31は、図9Aに示される電子放出装置がマトリックス状に形成された表示部である。制御回路32は、水平同期信号、垂直同期信号、データクロック及びデータ信号等を入力し、Yドライバ34及びXドライバ35へY駆動信号及びX駆動信号を出力する。Yドライバ34及びXドライバ35は、画像を表示するように、Y駆動信号及びX駆動信号に基づいて、それぞれFEDパネル31のゲート電圧及びカソード電圧を駆動(アノード電圧は一定)する。電源回路33は、FEDパネル31、制御回路32、Yドライバ34及びXドライバ35を含む電子放出表示装置の各部へ電力を供給する。
ただし、本発明は、図11の構成に制限されるものではなく、前述のFEDパネル31を用いていれば、他の従来技術を用いて、電子放出表示装置を構成することも可能である。
次に、本発明の第1実施例による電子放出表示装置の動作を、図9Aと9Bを参照して説明する。
図9Bは、図9Aに示される下側抵抗層2、カソード電極3及び電子源膜9に対応する等価回路を示す図である。等価回路は、抵抗成分4’、抵抗成分2’、導体3’及び導体8’を有する。ただし、抵抗成分2’、抵抗成分4’、導体3’及び導体8’は、図9Aの第1カソード電極2、ペースト4、第2カソード電極3及びカーボンナノチューブ8に対応する。
図9Bに示される導体8’のP1、P2、P3、P2’、P1’は、図9Aの領域P1、P1、P2、P3、P2’、P1’において電子源膜9の表面に垂直に配向されたカーボンナノチューブ8を代表して示している。図9Bに示されるように、電子源膜9の抵抗成分4’が、導体3’に対して直列に接続されている。同様に、下側抵抗層2の抵抗成分2’が、導体3’に対して直列に接続されている。電子源膜9の抵抗層4の抵抗成分4’及び下側抵抗層2の抵抗成分2’が、互いに並列に接続されている。このため、電子放出部の中央部の突起(カーボンナノチューブ)からカソード電極3までの抵抗は、電子放出部の周辺部の突起からカソード電極3までの抵抗より大きくなる。
図9Bにおいて、カソード電圧Vk、ゲート電圧Vg及びアノード電圧Vaの制御により、導体8’のP1、P1、P2、P3、P2’、P1’から電子が放出される。その場合、放出される電子は第2カソード電極3(導体3’)から各抵抗成分(2’又は4’)を経由して供給される。例えば、P3から放出される電子はP1とP2との間の抵抗成分2’又は抵抗成分4’、及びp2とP3との間の抵抗成分2’又は抵抗成分4’(又は、P1’とP2’との間の抵抗成分2’又は抵抗成分4’、及びP2’とp3’との間の抵抗成分2’又は抵抗成分4’)を経由して供給される。そのため、各抵抗において電圧降下(正の電位へのシフト)が生じて、P3の位置での電位が高くなる。他のカーボンナノチューブ8も同様である。その結果、電子源膜9の中央部分の電位は、正方向にシフトするので、電子源膜9全体の電位分布は、中央部が高く、周辺部が低い山形になる。このように、ダイオードアクションが生じやすい電子源膜9の中央部分の電位を正の高い電位にすることが出来る。こうして、ゲート電極と電子源膜9の中央部での電位差が小さくなる。従って、図7を参照して説明されたように、電子源膜9の中央部分に印加される電界が高くなる現象を防止することが可能となる。それにより、中央部分からの電子放出を抑制することが出来る。
このとき、電子源膜9の周辺部分はゲート電極6で印加される電界の影響を強く受けるので、ゲート電極6に正の高い電圧を印加した場合には多量の電子が放出される。一方、ゲート電極6に低い電圧もしくは負の電圧が印加された場合には電子は放出されない。
上記の説明では第2カソード電極3の電位がゼロであるとされたが、ゲート電極6電位をゼロとしてもよい。この場合、第2カソード電極3の電位が高い負電位に設定された場合には、電子源膜9の周辺部から多量の電子が放出される。第2カソード電極3の電位が正の電位に設定された場合には電子は放出されない。
本発明では電子源膜9の周辺部すなわちゲート電極6の近傍では、ドライブ電圧に応じて電子の放出が行われ、または停止される。電子源膜9の中央部は、電子放出が抑制された状態を維持することが出来きる。こうして、ダイオードアクションを解消することが出来る。
また、カーボンナノチューブ8がゲート電極6と接触する場合など、電子が過大に流れる場合、電流が流れることに伴い、電子源膜9の抵抗層4の抵抗成分又は下側抵抗層極2の抵抗成分により、過大に電流が流れている電子源膜9又は下側抵抗層2の部分の電圧が大幅に降下する、即ち、正の電位へシフトする。その結果、過大に電流が流れている電子源膜9又は下側抵抗層2の部分とゲート電極6との間の電界が低下する。これにより、電子放出を抑制することが出来る。すなわち、電子放出を安定化させることが出来る。
上記の場合、周辺部の領域(P1、P2、P2’、P1’)では、第2カソード電極3からの抵抗成分が少ない。従って、図8における曲線Bのように、大きなドライブ電圧を印加する必要がなく、曲線Aの2倍程度のドライブ電圧に抑制することが可能となる。すなわち、低ドライブ電圧で駆動することが出来る。
なお、図11に示される、本発明の第1実施例による電子放出型表示装置の動作は、電子放出装置の動作が前述の通りである他は、従来技術と同様であるのでその説明を省略する。
前述の電子放出装置を用いた電子放出型表示装置についても、ダイオードアクションを解消し、電子放出を安定化し、低ドライブ電圧で駆動することが出来る。すなわち、本発明はFEDで壁掛けテレビを製造する場合に有効な技術である。
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例による電子放出装置が適用されるCNT−FEDについて説明する。
図12Aは、本発明の第2実施例による電子放出装置の構成を示す断面図である。電子放出装置は、絶縁基板1、第2カソード電極3、ペースト4とカーボンナノチューブ8とを含む電子源膜9、ゲート絶縁膜5、ゲート電極6、アノード電極7を備えている。この例では、電子放出部は、電子源膜9を有し、電子源膜9は分布抵抗成分を有する抵抗層としてのペースト4と突起としてのカーボンナノチューブ8とを含んでいる。アノード電極7にはアノード電圧Vaを印加する第1電源16、ゲート電極6にはゲート電圧Vgを印加する第2電源17、カソード電極3にはカソード電圧Vkを印加する第3電源18が、それぞれ接続されている。各電源は、制御部15により制御される。
第2実施例では、第1カソード電極2を用いていない点が第1実施例と異なる。その場合、エミッタホール10は、カソード電極3、ゲート絶縁膜5及びゲート電極6を貫通して絶縁基板1に達するように形成される。
電子源膜9は、ペースト4とカーボンナノチューブ8とを含み、エミッタホール10の底部、即ち絶縁基板1の全表面に、電子源膜9の外周部が第2カソード電極3と接するように堆積されている。厚みは、カソード電極3と同程度である。ただし、電子源膜9の外周部がカソード電極3と接していれば、厚みは前述の場合に制限されない。
その他の構成は、実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
また、本発明の第2実施例による電子放出装置の製造方法は、図10Bにおいて、下側抵抗層2を形成するプロセスが無く、図10Dにおいてエミッタホール10を形成するプロセスで、エミッタホール10が絶縁基板1まで形成される以外は、第1実施例と同様である。従って、その説明を省略する。
本発明の第2実施例による電子放出型表示装置は、図11において第2実施例の電子放出装置をFEDパネル31に用いる他は、第1実施例と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本発明の第2実施例による電子放出型表示装置の動作について、図12Aと12Bを参照して説明する。
図12Bは、図12Aにおけるカソード電極3及び電子源膜9に対応する等価回路を示す図である。等価回路は、抵抗成分2’、導体3’及び導体8’を有する。ただし、抵抗成分4’、導体3’及び導体8’は、図12Aのペースト4、カソード電極3及びカーボンナノチューブ8に対応する。
図12Bの導体8’のP1、P2、P3、P2’、P1’は、図12Aの各領域(P1、P2、P3、P2’、P1’)において垂直に配向したカーボンナノチューブ8を代表して示している。電子源膜9のペースト4の抵抗成分4’が直列に接続されている。図12Bにおいて、カソード電圧Vk、ゲート電圧Vg及びアノード電圧Vaの制御を通して、導体突起8’のP1、P2、P3、P2’、P1’から電子が放出される。この場合、放出電子は第2カソード電極3から各抵抗を経由して供給される。P3から放出される電子はP1とP2との間の抵抗成分4’、及び、P2とP3との間の抵抗成分4’(又は、P1’とP2’との間の抵抗成分4’、及び、P2’とP3’との間の抵抗成分4’)を経由して供給される。そのため、各抵抗において電圧降下(正の電位へのシフト)が生じて、P3の位置での電位が高くなる。他のカーボンナノチューブ8も同様である。その結果、電子源膜9の中央部分の電位は、正方向にシフトするので、電子源膜9全体の電位は、中央部が高く、周辺部が低い山形になる。
図13は、図12Aのエミッタホール10における中心軸の片側における電子源膜9上の電位分布を示す図である。縦軸は、電子源膜9上部表面からの距離、横軸は、中心軸と垂直な方向の中心軸からの距離である。ただし、ゲート開口部、即ちエミッタホール10の開口部の半径=20μm、ゲート絶縁膜の厚み(ゲート電極6−電子源膜9間の距離dk)=10μm、ゲート電極6−アノード電極間の距離da=2mm、アノード電極7(図12Aに図示せず)にアノード電圧Va=6kV、ゲート電極6にゲート電圧Vg=33V、カソード電極3にカソード電圧Vk=0Vが印加される。また、電子源膜9が200MΩのシート抵抗を有する高抵抗膜として、シミュレーションが行われたときの電位分布を示している。
前述のように、第2実施例では、ダイオードアクションが生じやすい電子源膜9の中央部分の電位を正の高い電位にすることが出来るので、電子源膜9の中央部分からその周囲にかけて電位分布の勾配が緩やかになる、即ち、電界が減少することが判る。こうして、電子源膜9の中央部分に印加される電界が高く成る現象を防止することが可能となる。こうして、中央部分からの電子放出を抑制することが出来る。すなわち、本発明の第2実施例では、電子源膜9の周辺部すなわちゲート電極6の近傍ではドライブ電圧に応じて電子が放出またはその放出が停止される。電子源膜9の中央部は、電子放出が抑制された状態を維持することが出来き、ダイオードアクションを解消することが出来る。
また、図14は、図12に示される電子放出装置における電子源膜9からの電子放出特性を示すグラフである。横軸は、ゲート電圧(ゲート電極−カソード電極間の電圧)、縦軸は、アノード電流(カソード電極−アノード電極間の電流)である。半径20μmのゲート開口(エミッタホール)の中心(図12Aにおける領域P3を代表)からの電子放出を示す電流I3、中心から8μm(図12Aにおける領域P2及びP2’を代表)からの電子放出を示す電流I2、中心から20μm(図12Aにおける領域P1及びP1’を代表、電子源膜の端部)からの電子放出を示す電流I1、及び、このエミッタホールか全体からの電子放出特性を示す電流ITotalをそれぞれ示している。図13の状態は、図14においてVg=33Vの場合である。Vg=33Vにおいて、周辺部(I1及びI2)よりも中央部(I3)の電子放出が少ない。Vg=33Vのとき、(Va−Vg)/da=(6000−33)/2000<(Vg−Vk)/dk=(33−0)/10である。すなわち、(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件において中央部分からの電子放出が周辺部よりも少ない状況が作り出される例である。
図15は、従来技術である図2に示される電子放出装置における(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件でのCNTペースト109(電子源膜)上の電位分布を示す図である。(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件では、ゲート電極106−第1カソード電極103間の電界が、ゲート電極106−アノード電極107間の電界よりも大きいため、エミッタホール110の内部及びゲート電極106近傍では、その中心軸付近の等電位面がアノード電極107側へ膨らむ(上に凸)状態となる。そのため、その膨らんだ電位面は、CNTペースト109から放出される電子120に対して、円孔レンズとして機能する。すなわち、電子120は、円孔レンズにより軌道を曲げられ、本来到達すべきエミッタホール110上方のアノード電極107からずれた場所のアノード電極107へ到達する可能性がある。
一方、図16は、図12Aに示される電子放出装置における、(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件での電子源膜9上の電位分布を示す断面図である。(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件においても、エミッタホール10の内部及びゲート電極6の高さ付近で、下に凸の電位分布となっている。ゲート電極6の高さ付近では、電子20が集束している。
以上のように、第2実施例の電子源膜9の高抵抗層(ペースト4)の効果により、電子源膜9の表面の中央部分での電位を周辺部分での電位よりも高く設定することが出来る。そのため、中央部分の等電位面の間隔が広がり、上に凸ではなく、下に凸に電位分布を作り出すことが可能となる。すなわち、(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件においても、ゲート電極6の高さ近傍で等電位面が上に凸の円孔レンズを形成しないので、電子は発散することなく、アノード電極7の所定の位置へ到達することが可能となる。
また、図14において、中央部分からの電子放出が周辺部よりも少ない状況は、Vg=19Vにおいても起きている。Vg=19Vにおいて、(Va−Vg)/da=(6000−19)/2000≧(Vg−Vk)/dk=(19−0)/10である。すなわち、(Va−Vg)/da≧(Vg−Vk)/dkの条件において中央部分からの電子放出が周辺部よりも少ない状況を作り出した例である。
ここで、従来技術の場合、(Va−Vg)/da≧(Vg−Vk)/dkの条件は、図7に示されるように、エミッタホール110の中央部分では周辺部に比較して高電界領域が形成されている。そのため、この部分からは電子が放出し続け、ダイオードアクションが発生する可能性がある。
しかし、図12Aのように、本発明の電子放出装置では、電子源膜9の表面の中央部分の印加電界が周辺部分の表面の印加電界よりも低くなるように、電子源膜9中央部分の電位を正方向にシフトさせることが出来る。そのため、中央部分から電子が放出し続けるようなダイオードリアクションを防止することが可能となる。
また、電子が過大に流れるような状況が発生した場合、電流が流れることに伴い、電子源膜9の抵抗成分により、電圧が大幅に降下する、即ち正の電位へシフトする。その結果、過大に電流が流れている電子源膜9の部分とゲート電極6との間の電界が低下する。これにより、電子放出を抑制することが出来る。すなわち、電子放出を安定化させることが出来る。
上記の場合、周辺部の領域(図12AにおけるP1、P2、P2’、P1’)では、第2カソード電極3からの抵抗成分が少ない。従って、図8における曲線Bのような大きなドライブ電圧を印加する必要がなく、曲線Aの2倍程度のドライブ電圧に抑制することが可能となる。すなわち、低ドライブ電圧で駆動することが出来る。
第2実施例で示された装置の寸法や印加電圧は20インチから60インチを中心とした壁掛けテレビを低コストで製造する場合に典型的に用いられる値である。すなわち、本発明はFEDで壁掛けテレビを製造する場合に有効な技術である。
なお、第2実施例は、図13〜図16の説明について、図12Aの構造の場合について説明している。しかしながら、第1実施例に示される図9Aの構造の場合においても、具体的数値が異なるほかは同様に実施することが出来、同様の効果を得ることが出来る。
なお、図11に示す、本発明の第2実施例による電子放出型表示装置の動作は、電子放出装置の動作が前述の通りである他は、第1実施例と同様であるのでその説明を省略する。
前述の電子放出装置を用いた電子放出型表示装置についても、ダイオードアクションを解消し、電子放出を安定化し、低ドライブ電圧で駆動することが出来る。すなわち、本発明はFEDで壁掛けテレビを製造する場合に有効な技術である。
(第3実施例)
次に、本発明の第3実施例による電子放出装置が適用されたCNT−FEDについて説明する。
図17Aは、本発明の第3実施例による電子放出装置の構成を示す断面図である。電子放出装置は、絶縁基板1、第2カソード電極3、電子源膜9、ゲート絶縁膜5、ゲート電極6、アノード電極7を備えている。電子放出部は、電子源膜9を有し、電子源膜9は、分布抵抗成分を有する抵抗層としてのペースト4とその表面で分散された突起としてのカーボンナノチューブ8とを含んでいる。
図17Aの電子源膜9は、ペースト4の周辺部が厚く盛り上がり、中央部が薄く凹んでいる点が、ペースト4が概ね平坦である第2実施例の電子源膜9と異なる。
図17Bは、図17Aに示される第2カソード電極3及び電子源膜9に対応する等価回路を示す図である。等価回路は、抵抗成分2’、導体3’及び導体8’を有する。ただし、抵抗成分4’−a〜4’−b、導体3’及び導体8’は、図17Aのペースト4、第2カソード電極3及びカーボンナノチューブ8に対応する。
図17Bの導体8’のP1、P2、P3、P2’、P1’は、図17Aの各領域(P1、P2、P3、P2’、P1’)において垂直に配向されたカーボンナノチューブ8を代表して示している。電子源膜9のペースト4の抵抗成分4’−a〜4’−bが直列に接続されている。
図17Bにおいて、中央部に向かうほどペースト4の厚みが薄くなるため、その抵抗値が高くなる。すなわち、抵抗成分4’−aの抵抗値<抵抗成分4’−bの抵抗値、である。すなわち、図12Aの場合に比較して、中央部P3の位置での電位がより高くなる。その結果、電子源膜9の中央部分の電位は、より大きく正方向にシフトするので、電子源膜9全体の電位は、中央部がより高く、周辺部が低い山形になる。
その他の電子放出装置の構成は、第2実施例と同様であるので、その説明を省略する。また、電子放出装置の製造方法については、周辺部を厚く盛り上がらせ、中央部を薄く凹むようにする他は、第2実施例と同様であるのでその説明を省略する。本発明である電子放出型表示装置については、図11において第3実施例の電子放出装置をFEDパネル31に用いる他は、第2実施例と同様であるので、その説明を省略する。また、図17Aの場合の電子放出装置及び電子放出型表示装置の動作は、電子源膜9の形状が異なる他は第2実施例と同様であるので、その説明を省略する。
第3実施例においても、第2実施例と同様の効果を得ることが出来る。
第3実施例では、第2実施例の図12Aにおける電子源膜9のペースト4の周辺部が厚く盛り上がり、中央部が薄く凹んでいる場合について説明している。同様に、第1実施例の図9Aにおける電子減膜9のペースト4の周辺部が厚く盛り上がり、中央部が薄く凹んでいる場合(図示されず)についても、本実施例の場合と同様の効果を得ることが出来る。
(第4実施例)
次に、本発明の第4実施例による電子放出装置が適用されたCNT−FEDのについて説明する。
図18Aは、本発明の第4実施例による電子放出装置の構成を示す断面図である。電子放出装置は、絶縁基板1、下側抵抗層21、カソード電極3、電子源膜9、ゲート絶縁膜5、ゲート電極6、アノード電極7を備えている。電子放出部は、分布抵抗成分を有する下側抵抗層2と電子源膜9とを有し、電子源膜9は、分布抵抗成分を有する抵抗層としてのペースト4とその表面に分散された突起としてのカーボンナノチューブ8とを含んでいる。図18Aに示されるように、電子放出装置は、カソード電極3が、絶縁基板1上に形成されエミッタホール10の底部にも存在する点、下側抵抗層21が、エミッタホール10の底部の全面、又は底部の周辺部を除く中央部分に堆積される点が第1実施例と異なる。
カソード電極3は、エミッタホール10の底部も含めた絶縁基板1上に、所定の厚みで形成されている。カソード電極3は、従来の電子放出装置におけるカソード電極と同様である。
下側抵抗層21は、エミッタホール10底部のカソード電極3上の電子が放出されるべき位置に、周辺部が薄く、中央部が厚く盛り上がった凸形状に形成される。下側抵抗層21は、抵抗層として働く。また、カソード電極3からカソード電圧Vkが印加され、電子源膜9へカソード電圧Vk(ただし、自身での電圧降下分を除く)が印加される。表面には電子源膜9が配設されている。この例では、下側抵抗層21として、高抵抗ペーストが使用され、周辺部が薄く中央部が厚く盛り上がった凸形状に、40μm直径のエミッタホール10の底部に、中心部の厚み1μmに堆積される。シート抵抗は200MΩである。シート抵抗の範囲は、10〜500MΩであることが好ましい。抵抗が小さ過ぎると、通常の導電性カソード電極と同様になってしまい、抵抗が大き過ぎる場合には、ドライブ電圧が高くなり、最悪の場合電流が流れなくなる。
電子源膜9は、エミッタホール10の40μm直径の穴の底部に形成された下側抵抗層21上に、厚み1μmに堆積する。電子源膜9のその他の特性、構成等については、第1実施例と同様であるのでその説明を省略する。
図18Bは、図18Aにおける下側抵抗層21、カソード電極3及び電子源膜9に対応する等価回路を示す図である。等価回路は、抵抗成分21’−1〜3、導体3’、抵抗成分4’及び導体8’を有する。ただし、抵抗成分21’−1〜3、導体3’、抵抗成分4’及び導体8’は、図18Aの下側抵抗層21、第2カソード電極3、ペースト4及びカーボンナノチューブ8に対応する。
図18Bの導体8’のP1、P2、P3、P2’、p1’は、図18Aの各領域(P1、P2、P3、P2’、p1’)において垂直に配向されたカーボンナノチューブ8を代表して示している。
電子源膜9のペースト4の抵抗成分4’は、各導体8’を介して直列に接続し、各導体を互いに並列に接続している。また、抵抗成分21’−1〜21’−3のそれぞれは、一端側を導体8’のそれぞれと直列に接続し、他端側を導体3’と接続している。
図18Bにおいて、中央部に向かうほど第1カソード電極21の厚みが厚くなるため、その抵抗値が高くなる。すなわち、抵抗成分21’−1の抵抗値<抵抗成分21’−2の抵抗値<抵抗成分21’−3の抵抗値、である。すなわち、中央部P3の位置での電位がより高くなる。その結果、電子源膜9の中央部分の電位は、大きく正方向にシフトするので、電子源膜9全体の電位は、中央部が高く、周辺部が低い山形になる。
その他の電子放出装置の構成は、第1実施例と同様であるので、その説明を省略する。また、本発明である電子放出型表示装置については、図11において第3実施例の電子放出装置がFEDパネル31に適用される他は、第1実施例と同様であるので、その説明を省略する。
また、本発明の電子放出装置の製造方法については、図10Bに示される、第1カソード電極2を形成するプロセスが無く、図10Dに示されるエミッタホール10を形成するプロセスで、エミッタホール10の底部が第2カソード電極3とされ、図10Eに示される、電子源膜9が形成される前に第1カソード電極21が形成される以外は、第1実施例と同様である。従って、その説明は省略する。ただし、図10Eに示される、電子源膜9の形成方法として、ペースト4を下側抵抗層21に塗付後、従来知られた電気泳動法で、ペースト表面にカーボンナノチューブ8を形成することも可能である。
また、図18Aに示される電子放出装置及び電子放出型表示装置の動作は、電子源膜9の形状が異なる以外は第1実施例と同様であるので、その説明を省略する。
本実施例においても、第1実施例と同様の効果を得ることが出来る。
(第5実施例)
図19Aと図19Bは、本発明の第5実施例による電子放出装置を示す。第4実施例では、エミッタホール10の底部は、絶縁基板1表面の平坦部分を使用しているので平坦である。しかし、エミッタホール10の底部に窪み(凹部)を形成し、そこに電子源膜9を形成しても上記実施例と同様の効果を得ることが出来る。図19Aに示される電子放出装置は、エミッタホール10の底部が窪んでいる点が図18Aと異なる。すなわち、絶縁基板1上のエミッタホール10が形成される領域に、予め窪みが形成される。そこに下側抵抗層21、カソード電極3及び電子源膜9が形成され、図18Aと同様の電子放出装置を得ることが出来る。その場合、図19Bに示されるように、下側抵抗層21、カソード電極3及び電子源膜9に対応する等価回路は、図18Bと同等となる。
第5実施例は、上記の第1から第3実施例と同様の効果を得ることができる。加えて、以下の効果を有する。すなわち、電子源膜9の形成のためにエミッタホール10へカーボンナノチューブ8を含有するペースト4が堆積される際、エミッタホール10底部が窪んでいるので、ペーストを良好にその領域内に保持することが出来る。従って、電子源膜9を含めた電子放出装置の製造歩留まりを向上させることが出来る。
図19Aに示されるエミッタホール10に窪みを設ける手法は、図2に例示される従来の技術(図19Aに示される電子放出装置おいて、下側抵抗層2を用いず、電子源膜9のペースト4が導電性ペーストである場合)に対して適用しても、同様に、製造歩留まりを上げるという効果を得ることができる。
本発明により、ゲート電極とカソード電極との間のドライブ振幅を低振幅にすることができると共に、ダイオードアクションを抑制することが可能となる。
(第1実施例)
以下に、本発明の第1実施例による冷陰極構造を有する電子放出装置が適用されたCNT−FED(電子放出型表示装置)を説明する。
図9Aは、本発明の第1実施例による電子放出装置の構成を示す断面図である。電子放出装置は、絶縁基板1、下側抵抗層2、カソード電極3、電子源膜9、ゲート絶縁膜5、ゲート電極6、アノード電極7を備える。電子放出部は、下側抵抗層2と電子源膜9とを有し、電子源膜9は分布抵抗成分を有する抵抗層としてのペースト4とカーボンナノチューブ8とを含んでいる。第1電源16、第2電源17、第3電源18が、アノード電極7、ゲート電極6、カソード電極3にそれぞれ接続されている。第1電源16は、アノード電極7にアノード電圧Vaを印加し、第2電源17は、ゲート電極6にゲート電圧Vgを印加し、第3電源18は、カソード電極3にカソード電圧Vkを印加する。各電源は、制御部15により制御される。
絶縁基板1は、ガラス基板のような絶縁材料製の基板、あるいは表面に絶縁性膜が形成された基板である。この例では、絶縁基板1として1mmの厚みのガラス板が用いられる。
電子放出部の下側抵抗層2は、絶縁基板1上の電子が放出されるべき位置に、所定の形状で形成されている。この例では、下側抵抗層2は、直径60μm、厚み1μmの円盤状にアモルファスシリコンを堆積することにより形成される。下側抵抗層2は、分布抵抗成分を有する抵抗層として働く。また、下側抵抗層2は、その周辺においてカソード電極3と電気的に接続されている。下側抵抗層2は、印加されたカソード電圧Vk(但し、自身での電圧降下分を除く)を電子源膜9に印加する。カソード電圧Vkの表面上の一部には電子源膜9が配設されている。第1カソード電極2のシート抵抗は200MΩである。シート抵抗の範囲は、10〜500MΩが好ましい。抵抗が小さ過ぎると、通常の導電性カソード電極と同様になってしまい、抵抗が大き過ぎる場合には、ドライブ電圧が高くなり、最悪の場合電流が流れなくなる。
カソード電極3は、絶縁基板1上で、下側抵抗層2の周辺に、下側抵抗層2と電気的に接続するように配設されている。この例では、カソード電極3は、厚み2μm、シート抵抗5Ωの銀ペースト配線である。ただし、カソード電極3は、下側抵抗層2の端面と直接接していても良く、下側抵抗層2の端部を覆うように配設されていても良いが、下側抵抗層2の、電子源膜9を配設する領域には、配設されない。その際、第1カソード電極2の周囲全体を囲むように配設されていることが望ましい。これは、下側抵抗層2上の電子源膜9に均等に電圧を印加するためである。カソード電極3は、従来の電子放出装置におけるカソード電極に相当する。カソード電極3は、下側抵抗層2、抵抗層としてのペースト4及びカーボンナノチューブ8にカソード電圧Vkを印加する。
ゲート絶縁膜5は、カソード電極3上に、カソード電極3を覆うように配設されている。この例では、ゲート絶縁膜5は、厚み10μmのガラスの膜である。ゲート絶縁膜5は、下側抵抗層2の、電子源膜9が配設されていない部分を覆っても良い。ゲート絶縁膜5は、カソード電極3とゲート電極6との間を絶縁する。
ゲート電極6は、ゲート絶縁膜5上に、ゲート絶縁膜5の全部又は一部を覆うように配設されている。この例では、厚み1μm、シート抵抗10Ωの銀ペースト電極である。ゲート電極6は、エミッタホール10の開口部の縁に達していることが望ましい。ゲート電極6は、ゲート電圧Vgが印加される。
エミッタホール10は、カソード電極3、ゲート絶縁膜5及びゲート電極6を貫通して、下側抵抗層2に達するように形成されている。この例では、下側抵抗層2を覆うようにスクリーン印刷で堆積されたカソード電極3、ゲート絶縁膜5及びゲート電極6にサンドブラスト工法を適用することにより、円筒形の穴として形成される。穴の直径は、40μmである。
電子源膜9は、ペースト4と、電子放出突起としてのカーボンナノチューブ8とを含んでいる。電子源膜9は、エミッタホール10の底部、即ち下側抵抗層2の全表面、又は底部の周辺部を除く中央部分に堆積される。この例では、電子源膜9は、40μm直径のエミッタホール10の底部に厚み1μmに堆積される。電子源膜9は、ゲート電圧Vg、カソード電圧Vk、アノード電圧Vaに基づいて、電子を放出する。
電子源膜9は、カーボンナノチューブ8がペースト4中に電子源膜9の表面に垂直な方向に配向して分散された高抵抗膜である。カーボンナノチューブ8及びその不純物は低抵抗物質であるので、高いシート抵抗の電子源膜9を得るために、カーボンナノチューブ8は精製され、かつその長さが短くされている。カーボンナノチューブを短くするに、化学的エッチング、燃焼、機械的すりつぶしなどの方法が組み合わされる。この例では、カーボンナノチューブ8は長さが0.5μm以下に短縮され、平均存在密度が1本/平方μmになるように調整されている。ペースト4は、カーボンナノチューブ8を含み、それらを保持する。電子源膜9は、下側抵抗層2のように抵抗層として働く。電子源膜9は、カソード電圧Vkが印加され、カーボンナノチューブ8にカソード電圧Vk(ただし、自身での電圧降下分を除く)を印加する。この例では、電子源膜9は、シート抵抗が200MΩである。シート抵抗の範囲は、10〜500MΩが好ましい。抵抗が小さ過ぎると、通常の導電性カソード電極と同様になってしまい、抵抗が大き過ぎる場合には、ドライブ電圧が高くなり、最悪の場合電流が流れなくなる。また、下側抵抗層2と同程度のシート抵抗であることが好ましい。両者を共に有効に利用するためである。
なお、本発明は、カーボンナノチューブ8に限定されるものではない。例えば、カーボンナノファイバーやカーボンナノホーンのようなカーボンのナノ構造を有する材料を用いても同様に実施可能である。また、針状又は円錐状あるいは角錐状の形状を有し、他の種類の導電性材料、例えば、スピント(Spindt)型エミッタに用いられる材料で形成された物質であっても良い。
また、上記カーボンナノチューブ8のように先端が尖鋭化した構造を有する他の材料を用いることも可能である。例えば、炭化物、例えば炭素、炭化珪素、酸化物、例えば酸化亜鉛、及び金属例えば銀及びスズの針状結晶やウィスカーを用いることが出来る。更に、髭結晶の代表的な生成機構であるVLS(Vapor Liquid Solid)機構により生成されたシリコンのナノワイヤを利用することも出来る。それらは、先端の直径が0.5μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.1μmである。先端の直径が小さいほど、電子が放出し易くなるからである。
また、本発明の電子源膜9では、ペースト4部分の抵抗が高い。そのため、前述の先端が尖鋭化した構造を有する他の材料として、抵抗が高い材料を用いても、ペースト4部分から電子が放出されることが無い。
アノード電極7は、ゲート電極6からゲート絶縁膜5と反対側の方向に離れて設けられる。アノード電極7は、カソード側から放出された電子を受け取る。この例では、アノード電極7は、ゲート電極6から上方2mm離れて配設されている。
第1実施例では、制御部15の制御により、アノード電極7には第1電源16からVa=6kVのアノード電圧が、ゲート電極6には第2電源17から矩形パルス電圧が印加されている。矩形パルス電圧は、低レベルとしてVg=0Vを有し、高レベルとして15〜20Vを有する。第2カソード電極3には第3電源18から矩形パルス電圧が印加される。矩形パルス電圧は、低レベルとしてVk=−15〜−20Vを高レベルとして0Vを有する。
図10Aから10Eを参照して、電子放出装置の製造方法について説明する。図図10Aから10Eは、本発明の電子放出装置の製造方法を説明するための断面図である。
図10Aに示されるように、絶縁基板1として、ガラス基板が提供される。図10Bに示されるように、絶縁基板1上に、CVD法によりアモルファスシリコン膜が成膜される。成膜後に、フォトリソグラフィー方法により、所望の位置に所望の形状を有する下側抵抗層2が形成される。次に、図10Cに示されるように、絶縁基板1及び下側抵抗層2の一部を覆うように、カソード電極3として銀ペーストが、所望の位置に所望の形状にパターン印刷される。同様に、ゲート絶縁膜5としてガラスペースト、ゲート電極6として銀ペーストが、それぞれ所望の位置、所望の形状にパターン印刷される。その後、各膜毎、又は3種類の膜一体で焼成又は乾燥処理が行われ、3つの膜が形成される。図10Dと10Cに示されるように、上記のように作成された膜付きの基板に所定のマスク処理が行われる。サンドブラスト工法により、円筒形のエミッタホール10が形成される。エミッタホール10が形成された後、マスクは除去される。次に、図10Eに示されるように、エミッタホール10へ、カーボンナノチューブ8を含有するペースト4が堆積される。ペースト4を所定の温度で焼成又は乾燥することにより、電子源膜9が形成される。その後、アノード電極7が配設された後、電子が放出される領域が真空にされる。以上により、電子放出素子が完成する。
次に、本発明の電子放出型表示装置について説明する。図11は、本発明の第1実施例による電子放出表示装置の構成を示すブロック図である。電子放出型表示装置は、FEDパネル31、制御回路32、電源回路33、Yドライバ34及びXドライバ35を備えている。
FEDパネル31は、図9Aに示される電子放出装置がマトリックス状に形成された表示部である。制御回路32は、水平同期信号、垂直同期信号、データクロック及びデータ信号等を入力し、Yドライバ34及びXドライバ35へY駆動信号及びX駆動信号を出力する。Yドライバ34及びXドライバ35は、画像を表示するように、Y駆動信号及びX駆動信号に基づいて、それぞれFEDパネル31のゲート電圧及びカソード電圧を駆動(アノード電圧は一定)する。電源回路33は、FEDパネル31、制御回路32、Yドライバ34及びXドライバ35を含む電子放出表示装置の各部へ電力を供給する。
ただし、本発明は、図11の構成に制限されるものではなく、前述のFEDパネル31を用いていれば、他の従来技術を用いて、電子放出表示装置を構成することも可能である。
次に、本発明の第1実施例による電子放出表示装置の動作を、図9Aと9Bを参照して説明する。
図9Bは、図9Aに示される下側抵抗層2、カソード電極3及び電子源膜9に対応する等価回路を示す図である。等価回路は、抵抗成分4’、抵抗成分2’、導体3’及び導体8’を有する。ただし、抵抗成分2’、抵抗成分4’、導体3’及び導体8’は、図9Aの第1カソード電極2、ペースト4、第2カソード電極3及びカーボンナノチューブ8に対応する。
図9Bに示される導体8’のP1、P2、P3、P2’、P1’は、図9Aの領域P1、P1、P2、P3、P2’、P1’において電子源膜9の表面に垂直に配向されたカーボンナノチューブ8を代表して示している。図9Bに示されるように、電子源膜9の抵抗成分4’が、導体3’に対して直列に接続されている。同様に、下側抵抗層2の抵抗成分2’が、導体3’に対して直列に接続されている。電子源膜9の抵抗層4の抵抗成分4’及び下側抵抗層2の抵抗成分2’が、互いに並列に接続されている。このため、電子放出部の中央部の突起(カーボンナノチューブ)からカソード電極3までの抵抗は、電子放出部の周辺部の突起からカソード電極3までの抵抗より大きくなる。
図9Bにおいて、カソード電圧Vk、ゲート電圧Vg及びアノード電圧Vaの制御により、導体8’のP1、P1、P2、P3、P2’、P1’から電子が放出される。その場合、放出される電子は第2カソード電極3(導体3’)から各抵抗成分(2’又は4’)を経由して供給される。例えば、P3から放出される電子はP1とP2との間の抵抗成分2’又は抵抗成分4’、及びp2とP3との間の抵抗成分2’又は抵抗成分4’(又は、P1’とP2’との間の抵抗成分2’又は抵抗成分4’、及びP2’とp3’との間の抵抗成分2’又は抵抗成分4’)を経由して供給される。そのため、各抵抗において電圧降下(正の電位へのシフト)が生じて、P3の位置での電位が高くなる。他のカーボンナノチューブ8も同様である。その結果、電子源膜9の中央部分の電位は、正方向にシフトするので、電子源膜9全体の電位分布は、中央部が高く、周辺部が低い山形になる。このように、ダイオードアクションが生じやすい電子源膜9の中央部分の電位を正の高い電位にすることが出来る。こうして、ゲート電極と電子源膜9の中央部での電位差が小さくなる。従って、図7を参照して説明されたように、電子源膜9の中央部分に印加される電界が高くなる現象を防止することが可能となる。それにより、中央部分からの電子放出を抑制することが出来る。
このとき、電子源膜9の周辺部分はゲート電極6で印加される電界の影響を強く受けるので、ゲート電極6に正の高い電圧を印加した場合には多量の電子が放出される。一方、ゲート電極6に低い電圧もしくは負の電圧が印加された場合には電子は放出されない。
上記の説明では第2カソード電極3の電位がゼロであるとされたが、ゲート電極6電位をゼロとしてもよい。この場合、第2カソード電極3の電位が高い負電位に設定された場合には、電子源膜9の周辺部から多量の電子が放出される。第2カソード電極3の電位が正の電位に設定された場合には電子は放出されない。
本発明では電子源膜9の周辺部すなわちゲート電極6の近傍では、ドライブ電圧に応じて電子の放出が行われ、または停止される。電子源膜9の中央部は、電子放出が抑制された状態を維持することが出来きる。こうして、ダイオードアクションを解消することが出来る。
また、カーボンナノチューブ8がゲート電極6と接触する場合など、電子が過大に流れる場合、電流が流れることに伴い、電子源膜9の抵抗層4の抵抗成分又は下側抵抗層極2の抵抗成分により、過大に電流が流れている電子源膜9又は下側抵抗層2の部分の電圧が大幅に降下する、即ち、正の電位へシフトする。その結果、過大に電流が流れている電子源膜9又は下側抵抗層2の部分とゲート電極6との間の電界が低下する。これにより、電子放出を抑制することが出来る。すなわち、電子放出を安定化させることが出来る。
上記の場合、周辺部の領域(P1、P2、P2’、P1’)では、第2カソード電極3からの抵抗成分が少ない。従って、図8における曲線Bのように、大きなドライブ電圧を印加する必要がなく、曲線Aの2倍程度のドライブ電圧に抑制することが可能となる。すなわち、低ドライブ電圧で駆動することが出来る。
なお、図11に示される、本発明の第1実施例による電子放出型表示装置の動作は、電子放出装置の動作が前述の通りである他は、従来技術と同様であるのでその説明を省略する。
前述の電子放出装置を用いた電子放出型表示装置についても、ダイオードアクションを解消し、電子放出を安定化し、低ドライブ電圧で駆動することが出来る。すなわち、本発明はFEDで壁掛けテレビを製造する場合に有効な技術である。
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例による電子放出装置が適用されるCNT−FEDについて説明する。
図12Aは、本発明の第2実施例による電子放出装置の構成を示す断面図である。電子放出装置は、絶縁基板1、第2カソード電極3、ペースト4とカーボンナノチューブ8とを含む電子源膜9、ゲート絶縁膜5、ゲート電極6、アノード電極7を備えている。この例では、電子放出部は、電子源膜9を有し、電子源膜9は分布抵抗成分を有する抵抗層としてのペースト4と突起としてのカーボンナノチューブ8とを含んでいる。アノード電極7にはアノード電圧Vaを印加する第1電源16、ゲート電極6にはゲート電圧Vgを印加する第2電源17、カソード電極3にはカソード電圧Vkを印加する第3電源18が、それぞれ接続されている。各電源は、制御部15により制御される。
第2実施例では、第1カソード電極2を用いていない点が第1実施例と異なる。その場合、エミッタホール10は、カソード電極3、ゲート絶縁膜5及びゲート電極6を貫通して絶縁基板1に達するように形成される。
電子源膜9は、ペースト4とカーボンナノチューブ8とを含み、エミッタホール10の底部、即ち絶縁基板1の全表面に、電子源膜9の外周部が第2カソード電極3と接するように堆積されている。厚みは、カソード電極3と同程度である。ただし、電子源膜9の外周部がカソード電極3と接していれば、厚みは前述の場合に制限されない。
その他の構成は、実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
また、本発明の第2実施例による電子放出装置の製造方法は、図10Bにおいて、下側抵抗層2を形成するプロセスが無く、図10Dにおいてエミッタホール10を形成するプロセスで、エミッタホール10が絶縁基板1まで形成される以外は、第1実施例と同様である。従って、その説明を省略する。
本発明の第2実施例による電子放出型表示装置は、図11において第2実施例の電子放出装置をFEDパネル31に用いる他は、第1実施例と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本発明の第2実施例による電子放出型表示装置の動作について、図12Aと12Bを参照して説明する。
図12Bは、図12Aにおけるカソード電極3及び電子源膜9に対応する等価回路を示す図である。等価回路は、抵抗成分2’、導体3’及び導体8’を有する。ただし、抵抗成分4’、導体3’及び導体8’は、図12Aのペースト4、カソード電極3及びカーボンナノチューブ8に対応する。
図12Bの導体8’のP1、P2、P3、P2’、P1’は、図12Aの各領域(P1、P2、P3、P2’、P1’)において垂直に配向したカーボンナノチューブ8を代表して示している。電子源膜9のペースト4の抵抗成分4’が直列に接続されている。図12Bにおいて、カソード電圧Vk、ゲート電圧Vg及びアノード電圧Vaの制御を通して、導体突起8’のP1、P2、P3、P2’、P1’から電子が放出される。この場合、放出電子は第2カソード電極3から各抵抗を経由して供給される。P3から放出される電子はP1とP2との間の抵抗成分4’、及び、P2とP3との間の抵抗成分4’(又は、P1’とP2’との間の抵抗成分4’、及び、P2’とP3’との間の抵抗成分4’)を経由して供給される。そのため、各抵抗において電圧降下(正の電位へのシフト)が生じて、P3の位置での電位が高くなる。他のカーボンナノチューブ8も同様である。その結果、電子源膜9の中央部分の電位は、正方向にシフトするので、電子源膜9全体の電位は、中央部が高く、周辺部が低い山形になる。
図13は、図12Aのエミッタホール10における中心軸の片側における電子源膜9上の電位分布を示す図である。縦軸は、電子源膜9上部表面からの距離、横軸は、中心軸と垂直な方向の中心軸からの距離である。ただし、ゲート開口部、即ちエミッタホール10の開口部の半径=20μm、ゲート絶縁膜の厚み(ゲート電極6−電子源膜9間の距離dk)=10μm、ゲート電極6−アノード電極間の距離da=2mm、アノード電極7(図12Aに図示せず)にアノード電圧Va=6kV、ゲート電極6にゲート電圧Vg=33V、カソード電極3にカソード電圧Vk=0Vが印加される。また、電子源膜9が200MΩのシート抵抗を有する高抵抗膜として、シミュレーションが行われたときの電位分布を示している。
前述のように、第2実施例では、ダイオードアクションが生じやすい電子源膜9の中央部分の電位を正の高い電位にすることが出来るので、電子源膜9の中央部分からその周囲にかけて電位分布の勾配が緩やかになる、即ち、電界が減少することが判る。こうして、電子源膜9の中央部分に印加される電界が高く成る現象を防止することが可能となる。こうして、中央部分からの電子放出を抑制することが出来る。すなわち、本発明の第2実施例では、電子源膜9の周辺部すなわちゲート電極6の近傍ではドライブ電圧に応じて電子が放出またはその放出が停止される。電子源膜9の中央部は、電子放出が抑制された状態を維持することが出来き、ダイオードアクションを解消することが出来る。
また、図14は、図12に示される電子放出装置における電子源膜9からの電子放出特性を示すグラフである。横軸は、ゲート電圧(ゲート電極−カソード電極間の電圧)、縦軸は、アノード電流(カソード電極−アノード電極間の電流)である。半径20μmのゲート開口(エミッタホール)の中心(図12Aにおける領域P3を代表)からの電子放出を示す電流I3、中心から8μm(図12Aにおける領域P2及びP2’を代表)からの電子放出を示す電流I2、中心から20μm(図12Aにおける領域P1及びP1’を代表、電子源膜の端部)からの電子放出を示す電流I1、及び、このエミッタホールか全体からの電子放出特性を示す電流ITotalをそれぞれ示している。図13の状態は、図14においてVg=33Vの場合である。Vg=33Vにおいて、周辺部(I1及びI2)よりも中央部(I3)の電子放出が少ない。Vg=33Vのとき、(Va−Vg)/da=(6000−33)/2000<(Vg−Vk)/dk=(33−0)/10である。すなわち、(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件において中央部分からの電子放出が周辺部よりも少ない状況が作り出される例である。
図15は、従来技術である図2に示される電子放出装置における(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件でのCNTペースト109(電子源膜)上の電位分布を示す図である。(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件では、ゲート電極106−第1カソード電極103間の電界が、ゲート電極106−アノード電極107間の電界よりも大きいため、エミッタホール110の内部及びゲート電極106近傍では、その中心軸付近の等電位面がアノード電極107側へ膨らむ(上に凸)状態となる。そのため、その膨らんだ電位面は、CNTペースト109から放出される電子120に対して、円孔レンズとして機能する。すなわち、電子120は、円孔レンズにより軌道を曲げられ、本来到達すべきエミッタホール110上方のアノード電極107からずれた場所のアノード電極107へ到達する可能性がある。
一方、図16は、図12Aに示される電子放出装置における、(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件での電子源膜9上の電位分布を示す断面図である。(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件においても、エミッタホール10の内部及びゲート電極6の高さ付近で、下に凸の電位分布となっている。ゲート電極6の高さ付近では、電子20が集束している。
以上のように、第2実施例の電子源膜9の高抵抗層(ペースト4)の効果により、電子源膜9の表面の中央部分での電位を周辺部分での電位よりも高く設定することが出来る。そのため、中央部分の等電位面の間隔が広がり、上に凸ではなく、下に凸に電位分布を作り出すことが可能となる。すなわち、(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件においても、ゲート電極6の高さ近傍で等電位面が上に凸の円孔レンズを形成しないので、電子は発散することなく、アノード電極7の所定の位置へ到達することが可能となる。
また、図14において、中央部分からの電子放出が周辺部よりも少ない状況は、Vg=19Vにおいても起きている。Vg=19Vにおいて、(Va−Vg)/da=(6000−19)/2000≧(Vg−Vk)/dk=(19−0)/10である。すなわち、(Va−Vg)/da≧(Vg−Vk)/dkの条件において中央部分からの電子放出が周辺部よりも少ない状況を作り出した例である。
ここで、従来技術の場合、(Va−Vg)/da≧(Vg−Vk)/dkの条件は、図7に示されるように、エミッタホール110の中央部分では周辺部に比較して高電界領域が形成されている。そのため、この部分からは電子が放出し続け、ダイオードアクションが発生する可能性がある。
しかし、図12Aのように、本発明の電子放出装置では、電子源膜9の表面の中央部分の印加電界が周辺部分の表面の印加電界よりも低くなるように、電子源膜9中央部分の電位を正方向にシフトさせることが出来る。そのため、中央部分から電子が放出し続けるようなダイオードリアクションを防止することが可能となる。
また、電子が過大に流れるような状況が発生した場合、電流が流れることに伴い、電子源膜9の抵抗成分により、電圧が大幅に降下する、即ち正の電位へシフトする。その結果、過大に電流が流れている電子源膜9の部分とゲート電極6との間の電界が低下する。これにより、電子放出を抑制することが出来る。すなわち、電子放出を安定化させることが出来る。
上記の場合、周辺部の領域(図12AにおけるP1、P2、P2’、P1’)では、第2カソード電極3からの抵抗成分が少ない。従って、図8における曲線Bのような大きなドライブ電圧を印加する必要がなく、曲線Aの2倍程度のドライブ電圧に抑制することが可能となる。すなわち、低ドライブ電圧で駆動することが出来る。
第2実施例で示された装置の寸法や印加電圧は20インチから60インチを中心とした壁掛けテレビを低コストで製造する場合に典型的に用いられる値である。すなわち、本発明はFEDで壁掛けテレビを製造する場合に有効な技術である。
なお、第2実施例は、図13〜図16の説明について、図12Aの構造の場合について説明している。しかしながら、第1実施例に示される図9Aの構造の場合においても、具体的数値が異なるほかは同様に実施することが出来、同様の効果を得ることが出来る。
なお、図11に示す、本発明の第2実施例による電子放出型表示装置の動作は、電子放出装置の動作が前述の通りである他は、第1実施例と同様であるのでその説明を省略する。
前述の電子放出装置を用いた電子放出型表示装置についても、ダイオードアクションを解消し、電子放出を安定化し、低ドライブ電圧で駆動することが出来る。すなわち、本発明はFEDで壁掛けテレビを製造する場合に有効な技術である。
(第3実施例)
次に、本発明の第3実施例による電子放出装置が適用されたCNT−FEDについて説明する。
図17Aは、本発明の第3実施例による電子放出装置の構成を示す断面図である。電子放出装置は、絶縁基板1、第2カソード電極3、電子源膜9、ゲート絶縁膜5、ゲート電極6、アノード電極7を備えている。電子放出部は、電子源膜9を有し、電子源膜9は、分布抵抗成分を有する抵抗層としてのペースト4とその表面で分散された突起としてのカーボンナノチューブ8とを含んでいる。
図17Aの電子源膜9は、ペースト4の周辺部が厚く盛り上がり、中央部が薄く凹んでいる点が、ペースト4が概ね平坦である第2実施例の電子源膜9と異なる。
図17Bは、図17Aに示される第2カソード電極3及び電子源膜9に対応する等価回路を示す図である。等価回路は、抵抗成分2’、導体3’及び導体8’を有する。ただし、抵抗成分4’−a〜4’−b、導体3’及び導体8’は、図17Aのペースト4、第2カソード電極3及びカーボンナノチューブ8に対応する。
図17Bの導体8’のP1、P2、P3、P2’、P1’は、図17Aの各領域(P1、P2、P3、P2’、P1’)において垂直に配向されたカーボンナノチューブ8を代表して示している。電子源膜9のペースト4の抵抗成分4’−a〜4’−bが直列に接続されている。
図17Bにおいて、中央部に向かうほどペースト4の厚みが薄くなるため、その抵抗値が高くなる。すなわち、抵抗成分4’−aの抵抗値<抵抗成分4’−bの抵抗値、である。すなわち、図12Aの場合に比較して、中央部P3の位置での電位がより高くなる。その結果、電子源膜9の中央部分の電位は、より大きく正方向にシフトするので、電子源膜9全体の電位は、中央部がより高く、周辺部が低い山形になる。
その他の電子放出装置の構成は、第2実施例と同様であるので、その説明を省略する。また、電子放出装置の製造方法については、周辺部を厚く盛り上がらせ、中央部を薄く凹むようにする他は、第2実施例と同様であるのでその説明を省略する。本発明である電子放出型表示装置については、図11において第3実施例の電子放出装置をFEDパネル31に用いる他は、第2実施例と同様であるので、その説明を省略する。また、図17Aの場合の電子放出装置及び電子放出型表示装置の動作は、電子源膜9の形状が異なる他は第2実施例と同様であるので、その説明を省略する。
第3実施例においても、第2実施例と同様の効果を得ることが出来る。
第3実施例では、第2実施例の図12Aにおける電子源膜9のペースト4の周辺部が厚く盛り上がり、中央部が薄く凹んでいる場合について説明している。同様に、第1実施例の図9Aにおける電子減膜9のペースト4の周辺部が厚く盛り上がり、中央部が薄く凹んでいる場合(図示されず)についても、本実施例の場合と同様の効果を得ることが出来る。
(第4実施例)
次に、本発明の第4実施例による電子放出装置が適用されたCNT−FEDのについて説明する。
図18Aは、本発明の第4実施例による電子放出装置の構成を示す断面図である。電子放出装置は、絶縁基板1、下側抵抗層21、カソード電極3、電子源膜9、ゲート絶縁膜5、ゲート電極6、アノード電極7を備えている。電子放出部は、分布抵抗成分を有する下側抵抗層2と電子源膜9とを有し、電子源膜9は、分布抵抗成分を有する抵抗層としてのペースト4とその表面に分散された突起としてのカーボンナノチューブ8とを含んでいる。図18Aに示されるように、電子放出装置は、カソード電極3が、絶縁基板1上に形成されエミッタホール10の底部にも存在する点、下側抵抗層21が、エミッタホール10の底部の全面、又は底部の周辺部を除く中央部分に堆積される点が第1実施例と異なる。
カソード電極3は、エミッタホール10の底部も含めた絶縁基板1上に、所定の厚みで形成されている。カソード電極3は、従来の電子放出装置におけるカソード電極と同様である。
下側抵抗層21は、エミッタホール10底部のカソード電極3上の電子が放出されるべき位置に、周辺部が薄く、中央部が厚く盛り上がった凸形状に形成される。下側抵抗層21は、抵抗層として働く。また、カソード電極3からカソード電圧Vkが印加され、電子源膜9へカソード電圧Vk(ただし、自身での電圧降下分を除く)が印加される。表面には電子源膜9が配設されている。この例では、下側抵抗層21として、高抵抗ペーストが使用され、周辺部が薄く中央部が厚く盛り上がった凸形状に、40μm直径のエミッタホール10の底部に、中心部の厚み1μmに堆積される。シート抵抗は200MΩである。シート抵抗の範囲は、10〜500MΩであることが好ましい。抵抗が小さ過ぎると、通常の導電性カソード電極と同様になってしまい、抵抗が大き過ぎる場合には、ドライブ電圧が高くなり、最悪の場合電流が流れなくなる。
電子源膜9は、エミッタホール10の40μm直径の穴の底部に形成された下側抵抗層21上に、厚み1μmに堆積する。電子源膜9のその他の特性、構成等については、第1実施例と同様であるのでその説明を省略する。
図18Bは、図18Aにおける下側抵抗層21、カソード電極3及び電子源膜9に対応する等価回路を示す図である。等価回路は、抵抗成分21’−1〜3、導体3’、抵抗成分4’及び導体8’を有する。ただし、抵抗成分21’−1〜3、導体3’、抵抗成分4’及び導体8’は、図18Aの下側抵抗層21、第2カソード電極3、ペースト4及びカーボンナノチューブ8に対応する。
図18Bの導体8’のP1、P2、P3、P2’、p1’は、図18Aの各領域(P1、P2、P3、P2’、p1’)において垂直に配向されたカーボンナノチューブ8を代表して示している。
電子源膜9のペースト4の抵抗成分4’は、各導体8’を介して直列に接続し、各導体を互いに並列に接続している。また、抵抗成分21’−1〜21’−3のそれぞれは、一端側を導体8’のそれぞれと直列に接続し、他端側を導体3’と接続している。
図18Bにおいて、中央部に向かうほど第1カソード電極21の厚みが厚くなるため、その抵抗値が高くなる。すなわち、抵抗成分21’−1の抵抗値<抵抗成分21’−2の抵抗値<抵抗成分21’−3の抵抗値、である。すなわち、中央部P3の位置での電位がより高くなる。その結果、電子源膜9の中央部分の電位は、大きく正方向にシフトするので、電子源膜9全体の電位は、中央部が高く、周辺部が低い山形になる。
その他の電子放出装置の構成は、第1実施例と同様であるので、その説明を省略する。また、本発明である電子放出型表示装置については、図11において第3実施例の電子放出装置がFEDパネル31に適用される他は、第1実施例と同様であるので、その説明を省略する。
また、本発明の電子放出装置の製造方法については、図10Bに示される、第1カソード電極2を形成するプロセスが無く、図10Dに示されるエミッタホール10を形成するプロセスで、エミッタホール10の底部が第2カソード電極3とされ、図10Eに示される、電子源膜9が形成される前に第1カソード電極21が形成される以外は、第1実施例と同様である。従って、その説明は省略する。ただし、図10Eに示される、電子源膜9の形成方法として、ペースト4を下側抵抗層21に塗付後、従来知られた電気泳動法で、ペースト表面にカーボンナノチューブ8を形成することも可能である。
また、図18Aに示される電子放出装置及び電子放出型表示装置の動作は、電子源膜9の形状が異なる以外は第1実施例と同様であるので、その説明を省略する。
本実施例においても、第1実施例と同様の効果を得ることが出来る。
(第5実施例)
図19Aと図19Bは、本発明の第5実施例による電子放出装置を示す。第4実施例では、エミッタホール10の底部は、絶縁基板1表面の平坦部分を使用しているので平坦である。しかし、エミッタホール10の底部に窪み(凹部)を形成し、そこに電子源膜9を形成しても上記実施例と同様の効果を得ることが出来る。図19Aに示される電子放出装置は、エミッタホール10の底部が窪んでいる点が図18Aと異なる。すなわち、絶縁基板1上のエミッタホール10が形成される領域に、予め窪みが形成される。そこに下側抵抗層21、カソード電極3及び電子源膜9が形成され、図18Aと同様の電子放出装置を得ることが出来る。その場合、図19Bに示されるように、下側抵抗層21、カソード電極3及び電子源膜9に対応する等価回路は、図18Bと同等となる。
第5実施例は、上記の第1から第3実施例と同様の効果を得ることができる。加えて、以下の効果を有する。すなわち、電子源膜9の形成のためにエミッタホール10へカーボンナノチューブ8を含有するペースト4が堆積される際、エミッタホール10底部が窪んでいるので、ペーストを良好にその領域内に保持することが出来る。従って、電子源膜9を含めた電子放出装置の製造歩留まりを向上させることが出来る。
図19Aに示されるエミッタホール10に窪みを設ける手法は、図2に例示される従来の技術(図19Aに示される電子放出装置おいて、下側抵抗層2を用いず、電子源膜9のペースト4が導電性ペーストである場合)に対して適用しても、同様に、製造歩留まりを上げるという効果を得ることができる。
本発明により、ゲート電極とカソード電極との間のドライブ振幅を低振幅にすることができると共に、ダイオードアクションを抑制することが可能となる。
Claims (24)
- 絶縁基板と、
前記絶縁基板上に設けられた導電性カソード電極と、
前記カソード電極上に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極と前記ゲート絶縁膜を貫通するように形成されたエミッタホールと、
前記エミッタホールの底部に形成され、分布抵抗成分を有する電子放出部と
を具備し、
前記電子放出部は、その表面に分散され、電子を放出する突起を有し、
前記エミッタホールの前記底部の中央部における前記電子放出部の電位は、前記エミッタホールの前記底部の周辺部における前記電子放出部の電位より高い
冷陰極構造。 - 請求項1の冷陰極構造において、
前記エミッタホールの前記底部の前記中央部における前記電子放出部の前記突起は、第1抵抗値を持つように前記分布抵抗成分を介して前記カソード電極に接続され、前記エミッタホールの前記低部の前記周辺部における前記電子放出部の前記突起は、第2抵抗値を持つように前記分布抵抗成分を介して前記カソード電極に接続され、前記第1抵抗値は、前記第2抵抗値より大きい
冷陰極構造。 - 請求項1又は2に記載の冷陰極構造において、
前記電子放出部は、
第1分布抵抗成分を有する下側抵抗層と、
前記下側抵抗層の上に形成され、第2分布抵抗成分を有する抵抗層とを具備し、
前記抵抗層は、その表面に前記突起を有する冷陰極構造。 - 請求項3に記載の冷陰極構造において、
前記下側抵抗層のシート抵抗は、10MΩ以上で500MΩ以下である
冷陰極構造。 - 請求項3又は4に記載の冷陰極構造において、
前記抵抗層のシート抵抗は、10MΩ以上500MΩ以下である
冷陰極構造。 - 請求項3に記載の冷陰極構造において、
前記第1分布抵抗成分の値と前記第2分布抵抗成分の値はほぼ等しい
冷陰極構造。 - 請求項3乃至6のいずれかに記載の冷陰極構造において、
前記エミッタホールは、前記ゲート電極と前記ゲート絶縁膜に加えて、前記カソード電極を貫通し、
前記電子放出部は、前記絶縁基板上に形成され、前記エミッタホールの前記底部の端部において前記カソード電極と電気的に接続されている
冷陰極構造。 - 請求項3乃至6のいずれかに記載の冷陰極構造において、
前記電子放出部は、前記カソード電極上に形成されている
冷陰極構造。 - 請求項8に記載の冷陰極構造において、
前記絶縁基板は、前記エミッタホールに対応する部位に第1窪みを有し、
前記カソード電極は、前記絶縁基板の表面に沿って、第2窪みを持つように形成され、
前記電子放出部は、前記カソード電極の前記第2窪みに形成される
冷陰極構造。 - 請求項1又は2に記載の冷陰極構造において、
前記電子放出部は、
分布抵抗成分を有する抵抗層とを具備し、
前記抵抗層は、その表面に前記突起を有する冷陰極構造。 - 請求項10に記載の冷陰極構造において、
前記抵抗層のシート抵抗は、10MΩ以上500MΩ以下である
冷陰極構造。 - 請求項10又は11に記載の冷陰極構造において、
前記エミッタホールは、前記ゲート電極と前記ゲート絶縁膜に加えて、前記カソード電極を貫通し、
前記電子放出部は、前記絶縁基板上に形成され、前記エミッタホールの前記底部の端部において前記カソード電極と電気的に接続されている
冷陰極構造。 - 請求項3乃至12のいずれかに記載の冷陰極構造において、
前記抵抗層は、ほぼ一様な厚さを有する
冷陰極構造。 - 請求項7又は12に記載の冷陰極構造において、
前記抵抗層の膜厚は、前記エミッタホールの中央部で薄く周辺部で厚い
冷陰極構造。 - 請求項7乃至9のいずれかに記載の冷陰極構造において、
前記抵抗層の膜厚は、前記エミッタホールの中央部で厚く周辺部で薄い
冷陰極構造。 - 請求項15に記載の冷陰極構造において、
前記下側抵抗層の膜厚は、前記エミッタホールの中央部で厚く周辺部で薄い
冷陰極構造。 - 請求項1乃至16のいずれかに記載の冷陰極構造において、
前記突起は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー及びカーボンナノホーンの少なくとも一種類を含む冷陰極構造。 - 絶縁基板と、
前記絶縁基板上に設けられた導電性カソード電極と、
前記カソード電極上に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極と前記ゲート絶縁膜を貫通するように形成されたエミッタホールと、
前記エミッタホールの底部に形成された電子放出部とを具備し、
前記電子放出部は、その表面に分散され、電子を放出する突起を有し、
前記エミッタホールの中央部での前記突起の電位は、前記エミッタホールの周辺部での前記突起の電位よりも高い
冷陰極構造。 - 請求項18に記載の冷陰極構造において、
前記突起は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー及びカーボンナノホーンの少なくとも一種類を含む冷陰極構造。 - 請求項1乃至19のいずれかに記載の冷陰極構造と、
前記ゲート電極及び前記電子放出部に対向して離間して設けられたアノード電極と、
前記アノード電極にアノード電圧を印加する第1電源と、
前記ゲート電極にゲート電圧を印加する第2電源と
を具備する電子放出装置。 - 請求項20に記載の電子放出装置において、
前記カソード電極にカソード電圧を印加する第3電源を更に具備する電子放出装置。 - 請求項21に記載の電子放出装置において、
(Va−Vg)/da≧(Vg−Vk)/dkの条件において、前記電放出部の前記中央部からの電子放出が前記電放出部の前記周辺部からの電子放出よりも少ない、ここで、Vaは前記アノード電極の電位、Vgは前記ゲート電極の電位、Vkは前記カソード電極の電位、daは前記アノード電極の前記ゲート電極側の表面と前記ゲート電極の前記アノード電極側の表面との距離、及びdk前記ゲート電極の前記ゲート絶縁膜側の表面と前記電子源膜の前記ゲート電極側の表面との距離である
電子放出装置。 - 請求項21に記載の電子放出装置において、
(Va−Vg)/da<(Vg−Vk)/dkの条件において、前記電子放出部から放出された前記電子が、前記ゲート電極の高さにおける前記電子放出部の前記中央部付近に対応する位置に集束される、
ここで、Vaは前記アノード電極の電位、Vgは前記ゲート電極の電位、Vkは前記カソード電極の電位、daは前記アノード電極の前記ゲート電極側の表面と前記ゲート電極の前記アノード電極側の表面との距離、及びdk前記ゲート電極の前記ゲート絶縁膜側の表面と前記電子源膜の前記ゲート電極側の表面との距離である
電子放出装置。 - 請求項20乃至23のいずれかに記載の電子放出装置と、
水平同期信号と、垂直同期信号と、データクロックと、データ信号とに基づいて、X駆動信号及びY駆動信号を出力する制御回路部と、
前記X駆動信号に基づいて、前記電子放出装置のカソード電極を制御するXドライバ部と、
前記Y駆動信号に基づいて、前記電子放出装置のゲート電極を制御するYドライバ部と
を具備する電子放出型表示装置。
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
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