JP2005197215A - 電子放出表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 グリッド基板の電子ビーム通過孔と電子放出部の位置関係を最適化して,画面の輝度と色再現性が優秀に確保できる電子放出表示装置を提供する。
【解決手段】 所定間隔を置いて対向配置される第1基板2及び第2基板4と,第1基板上に形成される第1電極10及び第2電極14と,少なくとも一部が第2電極14と接触するとともに,第1基板2上に設定された画素領域に対応して配置される電子放出部16と,第1基板2と第2基板4の間に配置され,各電子放出部16に対応する電子ビーム通過孔を有するグリッド基板8とを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は,電子放出表示装置に関し,より詳しくは,グリッド基板の電子ビーム通過孔と電子放出部の位置関係を最適に設定した電子放出表示装置に関する。
一般に,電子放出表示装置は,第1基板側から放出された電子を,第2基板側に形成された蛍光層に衝突させ,この蛍光層を発光させることにより,所定の映像を具現する平板表示装置であって,電子源として熱陰極を用いる方式と,冷陰極を用いる方式とがある。
冷陰極を用いる方式の電子放出表示装置としては,例えば,電界放出表示装置(Field Emission Display;FED),MIM(Metal−Insulator−Metal)型電子放出表示装置,MIS(Metal−Insulator−Semiconductor)型電子放出表示装置,及び表面伝導型電子放出表示装置(Surface conduction Electron−emitting Display;SED)などがある。
MIM型電子放出表示装置とMIS型電子放出表示装置は,それぞれ金属/絶縁層/金属(MIM)と金属/絶縁層/半導体(MIS)の構造となる電子放出部を形成し,絶縁層を介在して位置する二つの金属間に,又は金属と半導体間に電圧を印加すると,高い電子電位を有する金属又は半導体から,低い電子電位を有する金属側に電子が移動及び加速しながら放出される原理を用いる。
表面伝導型電子放出表示装置(SED)は,カソード基板上に第1電極と第2電極を並べて形成し,第1電極と第2電極上にそれぞれ第1導電膜と第2導電膜を形成し,両導電膜間に,微細亀裂からなる電子放出部を形成して,電子放出部の表面と水平に電流が流れることにより,電子が放出される原理を用いる。
また,電界放出表示装置(FED)は,電界が印加されると,電子を放出する物質,一例としてモリブデン(Mo)のような金属,又は黒鉛のようなカーボン系物質からなる電子放出部をカソード電極上に形成し,電子放出部上にゲート電極を形成し,カソード電極とゲート電極間の電圧差により,電子放出部に強い電界が印加されると,電子放出部から電子が放出される原理を用いる。
このように,冷却陰極を用いる電子放出表示装置は,基本的に第1基板上に,電子放出部とともに,電子放出部の電子放出を制御する駆動電極を備えている。また,電子放出表示装置は,第1基板側から放出された電子が第2基板の蛍光層に向かって効率よく加速できるように,第2基板に加速電極(又はアノード電極)を有することができる。この場合,表示装置の駆動の際,蛍光層が位置する第2基板の一面を高電位状態に維持させる。
一方,いくつかの電子放出表示装置においては,電子放出部から放出された電子が第2基板に向かうとき,所定の発散角で広がりながら進行して,当該画素の蛍光層だけでなく,隣接画素の他,色蛍光層を発光させる。また,表示装置を構成する真空容器内でアーク放電が起こると,第1基板に形成された部材が損傷する問題が発生するおそれがある。このため,電子を集束させ,第1基板に対するアーク放電の被害を遮断するために,第1基板と第2基板間にグリッド基板を配設した構造が提案された。
グリッド基板は,電子放出部が,例えば第1基板上に設定された画素領域に対応して配置されるとき,通常グリッド基板に第1基板上に設定された画素領域に対応する複数の電子ビーム通過孔を有する。このようなグリッド基板は,スペーサにより,第1基板と第2基板との間に,両基板から一定の間隔を維持して位置する。
ところで,従来の電子放出表示装置については,第1基板上にグリッド基板を整列する場合,電子ビーム軌跡と電子ビーム通過孔の位置関係を精密に考慮することなく,電子放出部上に電子ビーム通過孔が配置される。つまり,表示装置を平面で見ると,電子ビーム通過孔内に電子放出部が位置する条件を満たす範囲内でグリッド基板を任意に整列している。
したがって,電子放出表示装置が外部電圧の印加によって駆動するとき,電子放出部から放出した電子は,その一部がグリッド基板の電子ビーム通過孔を通過して当該画素の蛍光層に到達するが,他の一部の電子はグリッド基板にぶつかって遮断されるか又は散乱され,散乱した電子は当該画素の蛍光層ではない隣接画素の蛍光層に到達してこの蛍光層を発光させる。
一部の散乱した電子が,当該画素の蛍光層ではない隣接画素の蛍光層に到達して,この蛍光層を発光させることにより,従来の電子放出表示装置は,画素の発光充実度が低下し,色再現性が低下するなど,画面品質が低下する問題が発生し得る。
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,グリッド基板の電子ビーム通過孔と電子放出部の位置関係を最適化して,画面の優れた輝度と色再現性が確保できる,新規かつ改良された電子放出表示装置を提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明の観点によれば,互いに対向配置され,長軸と短軸が設定される第1及び第2基板と,前記第1基板上に形成される第1及び第2電極と,少なくとも一部が前記第2電極と接触するとともに,前記第1基板上に設定された画素領域に対応して配置される電子放出部と,前記各電子放出部に対応する複数の電子ビーム通過孔間に位置するブリッジ部を含み,前記第1基板と第2基板間に位置するグリッド基板と,前記第1基板と前記グリッド基板間に配置され,前記グリッド基板を支持する支持体とを含んでなり,前記電子放出部は,平面で見ると,前記電子ビーム通過孔の幾何学的中心から前記第1基板の短軸方向に離隔距離(δ)だけ離隔して位置し,前記離隔距離(δ)が下記の数学式1と数学式2のいずれかを満たす電子放出表示装置を提供する。
Figure 2005197215
Figure 2005197215
ここで,Pvは第1基板の短軸方向への画素ピッチ,Wsは第1基板の短軸方向への維持体の幅,gは第1基板とグリッド基板の間隔,tはグリッド基板の厚さ,bは第1基板の短軸方向への電子ビーム通過孔間のブリッジ部の長さを示し,Vgkは第1電極と第2電極間の電位差,Vmkは第2電極とグリッド基板間の電位差を示し,前記Pv,Ws,gt,bはすべてμm単位,VgkとVmkは共にボルト(V)単位で表示され,前記(+)方向は第2電極の中心部を基準に電子放出部が位置する方向,(−)方向はその反対方向を示す。
電子放出部は鋭いエッジ部を有し,前記離隔距離(δ)は前記電子ビーム通過孔の幾何学的中心に対するエッジ部の離隔距離と定義してもよい。また,グリッド基板の電子ビーム通過孔は,第1基板の短軸方向への長辺と,前記第1基板の長軸方向への短辺とを有してもよい。
電子ビーム通過孔の幾何学的中心と前記電子放出部との離隔距離δが,前記数式2の条件を満たすとき,特定の電子放出部の正方向に位置する電子ビーム通過孔は,前記電子放出部から放出された電子の軌跡に対応してもよい。また,第1電極と第2電極とは,絶縁層を介して互いに絶縁状態で配置されてもよい。
第1基板,第1電極,絶縁層,第2電極が順次形成され,第1電極と第2電極が互いに直交するストライプパターンに形成されてもよい。また,電子放出部が,第1電極と第2電極の交差領域ごとに,第2電極の一側縁部上に形成されてもよい。
また,電子放出表示装置が,第1電極と電気的に連結されて,第2電極間に電子放出部から所定の間隔を置いて位置する対向電極をさらに含んでもよい。
電子放出部が,グラファイト,ダイアモンド,ダイアモンド状カーボン,カーボンナノチューブ,C60,及びシリコンナノワイヤーからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。また,電子放出表示装置が,第2基板上に形成されるアノード電極と,アノード電極の一面に形成される蛍光層とをさらに含んでもよい。
以上説明したように本発明によれば,グリッド基板の電子ビーム通過孔と電子放出部の位置関係を最適化して,画面の輝度特性と色再現性を高め,画面品質を向上させる,電子放出表示装置を提供できる。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は本発明の実施形態による電子放出表示装置の部分分解斜視図,図2は図1の組立状態を示す部分断面図である。
図1と図2に示すように,本実施形態の電子放出表示装置は,所定の間隔を置き対向配置され,真空容器をなす第1基板2及び第2基板4と,両基板間に配置され,複数の電子ビーム通過孔6を形成するグリッド基板8とを含む。第1基板2には,電子放出のための構成が設けられ,第2基板4には,電子により可視光を放出して所定のイメージを具現する構成が設けられる。
第1基板2上には,所定のパターン,例えばストライプ状の第1電極(以下,第1電極をゲート電極という)10が,相互間に所定の間隔で,第1基板2の短軸方向(図面のY方向)に複数設けられ,ゲート電極10を覆うように,第1基板2の内側全面に絶縁層12が形成される。絶縁層12上には,所定のパターン,例えばストライプ状の第2電極(以下,第2電極をカソード電極という)14が,相互間に所定の間隔で,第1基板2の長軸方向(図面のX軸方向)に複数設けられる。
そして,カソード電極14には,少なくとも一部がカソード電極14と接触して電気的に連結される電子放出部16が設けられる。電子放出部16は,第1基板2上に設定された画素領域に対応してそれぞれ設けられる。本実施形態において,画素領域をゲート電極10とカソード電極14間の交差領域と定義すると,電子放出部16は各画素の位置に対応してカソード電極14の一側縁部上に形成することができる。
本実施形態において,電子放出部16は,電界の印加により電子を放出する物質,例えばカーボンナノチューブ,グラファイト,ダイアモンド,ダイアモンド状カーボン,C60(fulleren),シリコンナノワイヤーのいずれか一つ,又はこれらの組合からなり,その製造法としては,スクリーン印刷,化学気相蒸着(CVD:Chemical Vaper Deposition),スパッタリングなどを適用することができる。特に,本実施形態において,電子放出部16は,カソード電極14の上面及び側面にわたって形成され,図3に示すように,カソード電極14の縁部に対応する鋭いエッジ部16aを有する。
第1基板2上には,ゲート電極10の電界を絶縁層12上に引き上げる対向電極18が位置し得る。対向電極18は,絶縁層12に形成されたビアホール12aを介してゲート電極10と接触し,これに電気的に連結され,カソード電極14間で,電子放出部16から所定の間隔を置いて位置する。
対向電極18は,表示装置の駆動に際して,カソード電極14とカソード電極10に所定の駆動電圧が印加され,電子放出部16の周囲に電界が形成されると,電子放出部16に電子を放出するための電界をさらに形成する役割をする。このような対向電極18は,電子放出部16と同様,第1基板2上に設定された画素領域に対応してそれぞれ配設することができる。
第1基板2と対向する第2基板4の一面にはアノード電極20が形成され,アノード電極20の一面には,赤色,緑色及び青色の蛍光層22と黒色膜24からなるスクリーン26が形成される。アノード電極20はインジウムティンオキシド(ITO:Indium Tin Oxide)のような透明電極からなる。一方,蛍光スクリーン26の表面には,メタルバック(metal back)効果により画面の輝度を高める金属膜(図示せず)が位置し得る。この場合,透明電極を省き,金属膜をアノード電極として使用することもできる。
また,第1基板2と第2基板4間には,複数の電子ビーム通過孔6を有するグリッド基板8が位置する。それぞれの電子ビーム通過孔6は,第1基板2の短軸方向(図面のY方向)の長辺と,第1基板2の長軸方向(図面のX軸方向)の短辺とを有する長方形に形成でき,第1基板2の短軸方向に位置する電子ビーム通過孔6間にはブリッジ部28が形成される。
グリッド基板8は,第1基板2とグリッド基板8間に位置する下側支持体30と,第2基板4とグリッド基板8間に位置する上側支持体32とにより,第1基板2及び第2基板4から一定の間隔を維持して真空容器の内部に位置する。説明の便宜上,図1においては支持体の図示を省略した。
このように構成される電子放出表示装置は,ゲート電極10,カソード電極14,グリッド基板8及びアノード電極20に,外部から所定の電圧を供給することにより,駆動される。一例として,ゲート電極10には数〜数十ボルトの正(+)電圧が,カソード電極14には数〜数十ボルトの負(−)電圧が,グリッド基板8には数十〜数百ボルトの正(+)電圧が,アノード電極20には数百〜数千ボルトの正(+)電圧が印加される。
これにより,ゲート電極10とカソード電極14の間に電圧差が生じ,電子放出部16の周囲に電界が形成され,電子放出部16から電子が放出され,放出された電子はグリッド基板8の電子ビーム通過孔6を介して第2基板4に進行する。このとき,電子は,第2基板4に向かって所定の傾斜角に傾いた軌跡を描きながら進行し,電子ビーム通過孔6を通過した電子は,アノード電極20に印加された高電圧に引かれて当該画素の蛍光層22に衝突することにより,これを発光させて所定の表示をなす。
ここで,本実施形態による電子放出表示装置では,グリッド基板8の電子ビーム通過孔6と電子放出部16の位置関係を最適に設定して,電子放出部16から放出された電子がグリッド基板8の電子ビーム通過孔6を完全に通過するようにすることにより,画面の輝度特性と色再現性を高める構成を提供する。以下にグリッド基板8の電子ビーム通過孔6と電子放出部16の最適な位置関係について説明する。
図3は図2に示す電子放出表示装置の部分拡大図である。図3に示すように,電子放出部16は電子ビーム通過孔6の中心(A線で示すもので,幾何学的中心を示す)から第1基板の短軸方向(図面のY軸方向)に所定の離隔距離δに位置している。また,電子放出部16において,電気場が強く印加されて電子放出に主な役割を果たすエッジ部16aは,電子放出部6の中心から,最適な離隔距離に位置している。図3では,説明の便宜上,カソード電極14の中心部(B線で示す)を基準として,電子放出部16が位置する方向を正(+)方向に,その反対方向を負(−)方向に設定した。
また,第1基板2の短軸方向(図3のY軸方向)を画面の垂直方向と定義すると,図3において,Pvは画素の垂直ピッチ,Wsは下側維持体30の垂直幅を示す。さらに,gは第1基板2とグリッド基板8との間の間隔である。説明の便宜上,gは,グリッド基板8と絶縁層12との間の間隔,あるいは下側支持体30の高さとして測定できる。tはグリッド基板8の厚さ,bはブリッジ部28の垂直長を示す。図3では,説明の便宜上,第1基板2の短軸方向に位置する各画素の中心点が電子ビーム通過孔6の中心と一致するように示した。
上記の形状に基づき,電子ビーム通過孔6の中心に対する電子放出部16の離隔距離δは,つぎの数式1または数式2のいずれかを満たすように設定される。
Figure 2005197215
Figure 2005197215
ここで,Vgkはカソード電極14とゲート電極10との間の電位差を示し,Vmkはグリッド基板8とカソード電極14との間の電位差を示す。
数式1の条件を満たす電子放出部16は,図4に示すように,電子ビーム通過孔6の中心から負(−)方向に離隔して位置し,この電子放出部16から放出された電子は,電子放出部16の上側の電子ビーム通過孔6を完全に通過して第2基板(図示せず)に向かって移動する。
そして,数式2の条件を満たす電子放出部16は,図5に示すように,電子ビーム通過孔6の中心から正(+)方向に離隔して位置し,この電子放出部16から放出された電子は,電子放出部16の上側に位置する電子ビーム通過孔6から正(+)方向にそのつぎに位置する電子ビーム通過孔6′を完全に通過して第2基板(図示せず)に向かって移動する。
まず,数式1の内容を具体的に説明すると,それぞれの画素領域に一つの電子放出部16と一つの電子ビーム通過孔6が位置すると仮定すると,電子放出部16の最大離隔距離は,画素垂直ピッチPvの1/2を超えないように設定する。また,下側支持体30が位置する画素の場合には,下側支持体30の幅Wsを考慮しなければならない。したがって,電子放出部16の最大離隔距離は,数式1の左辺と定義することができる。同様に,図5に示すように,電子放出部16が電子ビーム通過孔6の中心から正(+)方向に離隔して位置する場合,電子放出部16の最大離隔距離は数式2の右辺と定義することができる。
数式1と数式2により定義される電子放出部16の最小離隔距離は,電子放出部16の位置を変化させながら,画面の輝度特性とP22蛍光体対比色再現性を実験した結果に基づいたものである。
図6及び図7はそれぞれ電子放出部の離隔距離別画面の輝度特性とP22蛍光体対比色再現性を示すグラフである。実験に使用された電子放出表示装置は,Pv=632μm,g=200μm,t=100μm,b=63.2μmであり,カソード電極に−80V,ゲート電極に70V,グリッド基板に70V,アノード電極に4kVを印加する条件で実験を行った。
まず,図6を参照すると,画面の輝度は,電子ビーム通過孔の中心に対する電子放出部の離隔距離δがおよそ−126μm〜34μmの範囲にあるとき,最低値を表し,この区間で輝度特性が低下することが分かる。つぎに,図7を参照すると,画面の色再現性は,電子ビーム通過孔の中心に対する電子放出部の離隔距離δがおよそ−126μm〜74μmの範囲にあるとき,47%未満の低い値を表し,この区間で色再現性が低下することが確認できる。このような結果は,電子放出部16の離隔距離δが,上記の範囲にあるとき,電子放出部16から放出される電子の相当数がグリッド基板8のブリッジ部28にぶつかって遮断されるかあるいは散乱されるからであると予想される。
上述した実験結果を考慮すると,数式1において,電子放出部16の最小離隔距離を示す右辺は下記の数式3を簡略化したもので,実験結果値に第1基板とグリッド基板との間隔gとグリッド基板の厚さtの変化,グリッド基板8の垂直方向への開口率変化,カソード電極14とゲート電極10及びグリッド基板8に印加される電圧変化など包括するように,これに対する補正係数を適用したものである。
Figure 2005197215
まず,数式3において,
Figure 2005197215
は第1基板とグリッド基板との間隔gとグリッド基板の厚さtが変化する構造を包括するための補正係数であって,gとtが小さくなると,電子放出部16の好ましい位置範囲は電子ビーム通過孔6の中心側に拡張される。
そして,本実施形態において,グリッド基板8の垂直方向への開口率
Figure 2005197215
は90%であり,数式3において,
Figure 2005197215
はグリッド基板8の垂直方向への開口率が変化する構造を包括するための補正係数である。したがって,ブリッジ部28の長さbが拡張して垂直方向への開口率が小さくなると,電子放出部16の好ましい位置範囲は,電子ビーム通過孔6の中心から遠くなってさらに狭くなる。
最終に,
Figure 2005197215
は電圧の変化を包括するための補正係数である。一般に,絶縁層12を介してゲート電極10がカソード電極14の下側に位置する構造においては,カソード電極とゲート電極間の電位差Vgkが大きくなると,電子がさらに斜めに飛行し,その結果,電子放出部16の好ましい位置範囲は,電子ビーム通過孔6の中心から遠くなってさらに狭くなる。反面,カソード電極とグリッド基板間の電位差Vmkが大きくなると,電子は第2基板4に向かってより垂直に飛行し,その結果,電子放出部16の好ましい位置範囲は電子ビーム通過孔6の中心側に拡張される。このとき,電子放出部16の離隔距離δとgは電気場の値に比例するため,電圧とはその平方根に比例し,この電圧可変関係を補正するため,上述した補正係数を用いた。
同様に,数式2において,電子放出部16の最小離隔距離を示す左辺は下記の数式4を簡略化したものであって,実験結果値に,gとtの変化,グリッド基板8の垂直方向への開口率変化,カソード電極14とゲート電極10及びグリッド基板8に印加される電圧変化などを包括するように,これに対する補正係数を適用したものである。
Figure 2005197215
数式1〜4において,δ,g,Pv,b,t,Wsはすべてμm単位であり,VgkとVmkは共にボルト(V)単位である。
図8は,電子放出部の離隔距離が数式1の条件を満たすとき(本実施形態では,δ=−286μm),蛍光層の発光パターンを撮影した写真であり,図9と図10は,それぞれ電子放出部の離隔距離が数式1及び数式2の条件を満たしていないとき(本実施形態では,δ=−6μm),蛍光層の発光パターンを撮影した写真と,予想の電子ビーム軌跡を示す概略図である。実験に使用された電子放出表示装置の寸法と電圧特性は,上述した輝度特性と色再現性の実験に用いられたものと同一である。
図8を参照すると,電子放出部の離隔距離δが数式1の条件を満たす場合は,電子放出部から放出された電子が当該画素の蛍光層に完全に衝突して,優れた発光充実度を表す。
反面,図9を参照すると,電子放出部の離隔距離δが数式1と数式2の条件を外れる場合は,電子放出部から放出された電子が当該画素に完全に衝突することができず,低い充実度を表す。このような結果は,図10に示すように,電子放出部16から放出された電子の相当数が,グリッド基板8にぶつかって遮断されるか又は散乱するため,グリッド基板8にぶつかって散乱した電子の一部は,当該画素の蛍光層22ではない隣接画素の他色蛍光層22′にぶつかって,他色蛍光層22′を発光させることが分かる。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は,グリッド基板の電子ビーム通過孔と電子放出部の位置関係を最適に設定した電子放出表示装置に適用可能である。
本発明の実施形態による電子放出表示装置の部分分解斜視図である。 図1の組立状態を示す部分断面図である。 図2の部分拡大図である。 同実施の形態における電子放出表示装置の構造と電子ビーム軌跡を示す概略図である。 同実施の形態における電子放出表示装置の構造と電子ビーム軌跡を示す概略図である。 電子放出部の離隔距離による輝度特性を示すグラフである。 電子放出部の離隔距離による色再現性を示すグラフである。 電子放出部の離隔距離が本発明の条件を満たす場合の蛍光層の発光パターンを示す写真である。 電子放出部の離隔距離が本発明の条件を満たしていない場合の蛍光層の発光パターンを示す写真である。 電子放出部の離隔距離が本発明の条件を満たしていない場合の予想電子ビーム軌跡を示す概略図である。
符号の説明
2 第1基板
4 第2基板
6 電子ビーム通過孔
8 グリッド基板
10 第1電極
12 絶縁層
12a ビアホール
14 カソード電極
16 電子放出部
16a エッジ部
18 対向電極
20 アノード電極
22 蛍光層
24 黒色膜
26 蛍光スクリーン
28 ブリッジ部

Claims (10)

  1. 互いに対向配置され,長軸と短軸が設定される第1基板及び第2基板と,
    前記第1基板上に形成される第1電極及び第2電極と,
    少なくとも一部が前記第2電極と接触して,前記第1基板上に設定された画素領域に対応して配置される電子放出部と,
    前記各電子放出部に対応する複数の電子ビーム通過孔の間に位置するブリッジ部と,
    前記第1基板と第2基板との間に位置するグリッド基板と,
    前記第1基板と前記グリッド基板間に配置され,前記グリッド基板を支持する支持体とを含んでなり,
    前記電子放出部は,前記電子ビーム通過孔の幾何学的中心から,前記第1基板の短軸方向に離隔距離δだけ離隔して位置し,前記離隔距離δが下記の数式1と数式2のいずれかを満たすことを特徴とする,電子放出表示装置。
    Figure 2005197215
    Figure 2005197215
    ここで,Pvは前記第1基板の短軸方向への画素ピッチ,Wsは前記第1基板の短軸方向への維持体の幅,gは前記第1基板と前記グリッド基板の間隔,tは前記グリッド基板の厚さ,bは前記第1基板の短軸方向への前記電子ビーム通過孔間の前記ブリッジ部の長さを示し,Vgkは前記第1電極と前記第2電極間の電位差,Vmkは前記第2電極と前記グリッド基板間の電位差を示し,前記第1基板の短軸方向への画素ピッチPv,前記第1基板の短軸方向への維持対の幅Ws,前記第1基板とグリッド基板の間隔g,前記グリッド基板の厚さt,前記第1基板の短軸方向への前記電子ビーム通過孔間の前記ブリッジ部の長さbはすべてμm単位であり,前記第1電極と前記第2電極間の電位差Vgkと前記第2電極と前記グリッド基板間の電位差Vmkは共にボルト単位で表示され,正方向は第2電極の中心部を基準に前記電子放出部が位置する方向,負方向はその反対方向を示す。
  2. 前記電子放出部は鋭いエッジ部を有し,前記離隔距離δは,前記電子ビーム通過孔の幾何学的中心と前記エッジ部との離隔距離と定義されることを特徴とする,請求項1に記載の電子放出表示装置。
  3. 前記グリッド基板の前記電子ビーム通過孔は,前記第1基板の短軸方向への長辺と,前記第1基板の長軸方向への短辺とを有することを特徴とする,請求項1または2のいずれかに記載の電子放出表示装置。
  4. 前記電子ビーム通過孔の幾何学的中心と前記電子放出部との離隔距離δが,前記数式2の条件を満たすとき,特定の電子放出部の正方向に位置する電子ビーム通過孔は,前記電子放出部から放出された電子の軌跡に対応することを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の電子放出表示装置。
  5. 前記第1電極と前記第2電極とは,絶縁層を介して互いに絶縁状態で配置されることを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の電子放出表示装置。
  6. 前記第1基板,前記第1電極,前記絶縁層,前記第2電極が順次形成され,前記第1電極と前記第2電極が互いに直交するストライプパターンに形成されることを特徴とする,請求項5に記載の電子放出表示装置。
  7. 前記電子放出部が,前記第1電極と前記第2電極の交差領域ごとに,前記第2電極の一側縁部上に形成されることを特徴とする,請求項6に記載の電子放出表示装置。
  8. 前記電子放出表示装置が,前記第1電極と電気的に連結されて,前記第2電極間に電子放出部から所定の間隔を置いて位置する対向電極をさらに含むことを特徴とする,請求項6または7のいずれかに記載の電子放出表示装置。
  9. 前記電子放出部が,グラファイト,ダイアモンド,ダイアモンド状カーボン,カーボンナノチューブ,C60,及びシリコンナノワイヤーからなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする,請求項1〜8のいずれかに記載の電子放出表示装置。
  10. 前記電子放出表示装置が,前記第2基板上に形成されるアノード電極と,前記アノード電極の一面に形成される蛍光層とをさらに含むことを特徴とする,請求項1〜9のいずれかに記載の電子放出表示装置。
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