JPWO2003095868A1 - 無段変速機を有する車両 - Google Patents
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Abstract
動力ロスを低減し、自動二輪車等の限られた狭いスペースを有効に利用してミッションケースを大きくすることなく、従来の遠心ウェイトローラの設置スペースにモータを置き換えて設置できる無段変速機を有する特に自動二輪車等の小型車両を提供する。駆動側回転軸6’(6,6a,6b)に発電機8及びプライマリシーブ10を装着したエンジン1の無段変速機9を有する車両であって、プライマリシーブ10は、駆動側回転軸6bに装着した一対の固定シーブ13及び可動シーブ14と、これを軸方向に駆動するモータ15とを有し、エンジン1の両側に駆動側回転軸6a,6bが突出し、エンジン1の一方の側に突出する駆動側回転軸6a上に発電機8を設け、他方の側に突出する駆動側回転軸6b上にプライマリシーブ10を設け、これより外側の駆動側回転軸6b上に、モータ15を回転軸6bと同軸でその外周に配置した。
Description
技術分野
本発明は、エンジンに設ける無段変速機を有する自動二輪車あるいは自動三輪車や自動四輪車等の騎乗型車両等の小型車両に関する。
背景技術
車両エンジン等ではエンジンからの駆動力を被駆動側の車軸に伝達するためにベルト式無段変速機(CVT)が用いられている。このCVTは、エンジンクランク軸側に設けた駆動側のプライマリシーブと車軸側に設けた被駆動側のセカンダリシーブとの間に無端Vベルトを掛け渡してクランク軸側と車軸側とを連結する。プライマリシーブは、軸方向の位置が固定された固定シーブと、軸方向にスライド可能な可動シーブとを対向してクランク軸側の回転軸(クランク軸又はこれに連結された駆動軸)に装着したものであり、これら一対の固定シーブ及び可動シーブの対向面はテーパ状(円錐状)に形成され、これらの対向面間の間隔に応じて無端Vベルトの軸芯からの半径方向の位置が変化し、これに応じて回転伝達比(変速比)が変化する。
従来、自動二輪車等のCVTの変速機構すなわち可動シーブを移動させる手段については、クランク軸等の駆動軸側のプライマリシーブに遠心ウェイトローラを用いるものが使用されている。この遠心ウェイトローラ方式は、エンジン出力軸(駆動軸)の回転力を利用して、ウェイトの遠心力により可動シーブの位置を変更する機構であるため、変速移行動作がエンジン出力軸の回転状態に依存してしまう。通常は、アクセル全開の加速を想定した遠心ウェイトローラの設計となり、想定条件以外では、運転者の意思通りの加減速が得られない場合が多い。すなわち、アクセル中間開度やアクセルの急変動あるいはアクセルの微小制御や減速時は成り行きまかせで、すべての過渡現象に対応できない。
このような問題を解決するため、特公平7−86383号公報に開示されているように、モータをハウジング外に置いてギアトレインを介して可動シーブを駆動する構造が提案されている。この構成においては、モータを用いた変速機構が、エンジン出力軸の回転状態に依存せず、任意のシーブ位置を与えられるので、加速感や省燃費等運転者の意思に合せた制御ができる。
しかしながら、従来のモータを用いたCVTでは、自動車のように比較的設置スペースが広く自由に配置できる場合はよいが、自動二輪車あるいはATV車両(騎乗型車両)等の小型車両においては、変速機構の設置スペースが限られるため、モータ設置位置が制約を受け、また他の部品配置に対しさらにスペース的な制約を与える。
また、モータの役割は、本来、エンジンの出力を電気エネルギー化したもの再度動力に変換して、シーブを動かす動力を発生するものであるにもかかわらず、モータからシーブまで動力を伝達する途中にギアトレインを設置していると、ギヤの動力ロスが大きくなり、一般的に自動車に比べ出力の小さいエンジンをもつ自動二輪車等では、その動力ロスは無視できない。そのため、大容量の発電機や蓄電池を載せることも考えられるが、軽量化の観点から好ましくない。
本発明は上記従来技術を考慮したものであって、動力ロスを低減し、自動二輪車等の限られた狭いスペースを有効に利用してミッションケースを大きくすることなく、従来の遠心ウェイトローラの設置スペースにモータを置き換えて設置できる特に自動二輪車や騎乗型車両等の小型車両における無段変速機の配置構造の提供を目的とする。
発明の開示
前記目的を達成するため、本発明においては、駆動側回転軸に発電機及びプライマリシーブを装着したエンジンの無段変速機を有する車両であって、前記プライマリシーブは、前記駆動側回転軸に装着した一対の固定シーブ及び可動シーブと、前記可動シーブを軸方向に駆動するためのモータとを有し、前記エンジンの両側に前記駆動側回転軸が突出し、エンジンの一方の側に突出する前記駆動側回転軸上に前記発電機を設け、他方の側に突出する前記駆動側回転軸上に前記プライマリシーブを設け、該プライマリシーブより外側の前記駆動側回転軸上に前記モータを配置したことを特徴とする無段変速機を有する車両を提供する。
この構成によれば、エンジンの左右両側に突出する駆動側回転軸(クランク軸又はこれに連結された駆動軸)の一方の側に発電機を設け、他方の側にプライマリシーブ及びモータを設けるため車幅方向についてエンジンを中心とする重量バランスがとれて安定した動作が得られるレイアウトが達成される。また、左右に突出する駆動軸の長さをほぼ同じにすることができ、形状的にもバランスがとれ部品配置のレイアウトがしやすくなる。
また、プライマリシーブの外側(エンジンから離れた側、すなわちエンジンから突出する回転軸の端部側)にモータを配置することにより、組立性が向上し、メンテナンスが容易にでき、モータの修理や点検時に分解や組立てが容易にできる。
また、モータがエンジンから離れて配置されるため、エンジンからの熱的影響が軽減し、外部からの冷却作用が大きくなって、安定した機能が保たれる。このようにモータを無段変速機の外側に設けることにより有効なモータ冷却効果が得られる。すなわち、モータに対する熱的影響として、エンジンからの熱がクランクケースや回転軸を伝わる熱伝導によりモータが加熱されるとともに、無段変速機のVベルトとシーブとの間に摩擦熱が発生しこれが熱伝達されてモータが加熱される。しかし、本発明構造によれば、モータは、クランクシャフト上でエンジンから遠い位置に配置するので、このような熱的影響を軽減しモータを有効に冷却できる。
好ましい構成例では、前記モータは、前記回転軸と同軸でその外周に配置されたことを特徴としている。この構成によれば、モータを回転軸と同軸でその外周に設けることにより、スペース的にコンパクトなレイアウトが得られ、従来のウェイトローラに代えてその設置スペースにモータを装着することができ、無段変速機を収容するエンジンケース(クランクケース)を大きくすることなく且つギヤトレインを介することなくモータをスペース的に効率よくエンジンケース内に収容することができる。
また、このようにウェイトローラを用いない構成とすることにより、グリースによるVベルトの摩擦伝達力の低下を防止することができる。すなわち、クランクケース内のCVT室は、シーブの寿命や伝達効率の経年劣化を考慮すると、内部は清浄度が高い方がよい。このため、外部からの粉塵対策として、クランクケースとCVTケースとの突き合わせ部にパッキンを装着したり、冷却用のエア通路にフィルターを設ける等の対策が施されている。従来の自動二輪車等の小型車両では、レイアウトの制約上、遠心ウェイトローラがプライマリシーブ側に設けられていた。このプライマリシーブの遠心ウェイトローラが設けられた部屋は、ウェイトローラをカム上でスムーズに摺動させるために、グリースが充填されている。このグリースが飛散しないように部屋のシール面にOリングが配設される。万一、シールが破れてグリースがCVTケース内に飛散した場合、CVTケース内がグリースで汚染され、シーブとVベルトとの間の摩擦が小さくなり、適正な動力伝達ができなくなる。これに対し、遠心ウェイトローラを用いないでこれに代えてそのスペースにモータを配置した構成では、大量の遠心ウェイトローラ用のグリースが不必要となるため、グリース飛散の可能性がなくなり、シーブやVベルトへのグリース付着による摩擦低下及びこれに伴う伝達効率の低下を防止し、シーブの寿命を延ばすことができる。
好ましい構成例では、前記モータは可動シーブに隣接してその背面側に設けられ、この可動シーブの背面に冷却用フィンを設けたことを特徴としている。
この構成によれば、可動シーブの背面に冷却用フィンを設けるため、省スペースを確保しながら、エンジン自身の出力を利用して効率よく可動シーブに隣接するモータを冷却することができる。
さらに好ましい構成例では、前記エンジンの両側に突出した前記駆動側回転軸の端部は、ベアリングを介してエンジンケースに支持されたことを特徴としている。
この構成によれば、駆動側回転軸の端部が軸支持のために強化されたエンジンケースにベアリングを介して支持されるため、回転軸が軸振れを起こすことなく安定して堅固にエンジンケースに保持される。
好ましい適用例では、前記エンジンを自動二輪車に搭載したことを特徴としている。
この構成によれば、エンジン周りのスペースが限られた自動二輪車において、本発明の無段変速機のレイアウトを適用することにより、スペースの有効利用によるコンパクト化の効果や重量バランスの効果が顕著になる。
別の好ましい適用例では、前記エンジンを騎乗型車両に搭載したことを特徴としている。
この構成によれば、前記自動二輪車と同様にエンジン周りのスペースが限られた騎乗型車両において、本発明の無段変速機のレイアウトを適用することにより、スペースの有効利用によるコンパクト化の効果や重量バランスの効果が顕著になる。
本発明ではさらに、クランク軸と直結又はこれと平行でエンジンの一方の側に突出する駆動側回転軸にプライマリシーブを装着した無段変速機を有する自動二輪車において、前記プライマリシーブは、前記駆動側回転軸に装着した一対の固定シーブ及び可動シーブと、前記可動シーブを軸方向に駆動するためのモータとを有し、前記モータは、前記プライマリシーブより外側の前記駆動側回転軸上にこの回転軸と同軸でその外周に配置されたことを特徴とする自動二輪車を提供する。
この構成によれば、通常の四輪車両に比べ特にスペース的な制約が大きい自動二輪車において、プライマリシーブの外側(エンジンから離れた側、すなわちエンジンから突出する回転軸の端部側)にモータを配置することにより、組立性が向上し、メンテナンスが容易にでき、モータの修理や点検時に分解や組立てが容易にできるという効果が得られるとともに、モータがエンジンから離れて配置されるため、エンジンからの熱的影響が軽減し、外部からの冷却作用が大きくなって、安定した機能が保たれる。このようにモータを無段変速機の外側に設けることにより有効なモータ冷却効果が得られる。すなわち、モータに対する熱的影響として、エンジンからの熱がクランクケースや回転軸を伝わる熱伝導によりモータが加熱されるとともに、無段変速機のVベルトとシーブとの間に摩擦熱が発生しこれが熱伝達されてモータが加熱される。自動二輪車ではスペース的にこのようなモータへの熱的影響を軽減するための冷却装置を別途設けることが極めて難しいが、本発明構造によれば、自動二輪車におけるこのような熱的影響を軽減しモータを有効に冷却できる。
また、モータを回転軸と同軸でその外周に設けることにより、スペース的にコンパクトなレイアウトが得られ、従来のウェイトローラに代えてその設置スペースにモータを装着することができ、無段変速機を収容するエンジンケース(クランクケース)を大きくすることなく且つギヤトレインを介することなくモータをスペース的に効率よくエンジンケース内に収容することが限られたスペースを有効に利用したレイアウトの自動二輪車が実現できる。
さらに本発明では、クランク軸と直結又はこれと平行でエンジンの一方の側に突出する駆動側回転軸にプライマリシーブを装着した無段変速機を有する騎乗型車両において、前記プライマリシーブは、前記駆動側回転軸に装着した一対の固定シーブ及び可動シーブと、前記可動シーブを軸方向に駆動するためのモータとを有し、前記モータは、前記プライマリシーブより外側の前記駆動側回転軸上にこの回転軸と同軸でその外周に配置されたことを特徴とする騎乗型車両を提供する。
この構成によれば、前述の自動二輪車と同様に、通常の四輪車両に比べ特にスペース的な制約が大きい騎乗型車両において、プライマリシーブの外側(エンジンから離れた側、すなわちエンジンから突出する回転軸の端部側)にモータを配置することにより、組立性が向上し、メンテナンスが容易にでき、モータの修理や点検時に分解や組立てが容易にできるという効果が得られるとともに、モータがエンジンから離れて配置されるため、エンジンからの熱的影響が軽減し、外部からの冷却作用が大きくなって、安定した機能が保たれる。このようにモータを無段変速機の外側に設けることにより有効なモータ冷却効果が得られる。すなわち、モータに対する熱的影響として、エンジンからの熱がクランクケースや回転軸を伝わる熱伝導によりモータが加熱されるとともに、無段変速機のVベルトとシーブとの間に摩擦熱が発生しこれが熱伝達されてモータが加熱される。騎乗型車両ではスペース的にこのようなモータへの熱的影響を軽減するための冷却装置を別途設けることが極めて難しいが、本発明構造によれば、騎乗型車両におけるこのような熱的影響を軽減しモータを有効に冷却できる。
また、モータを回転軸と同軸でその外周に設けることにより、スペース的にコンパクトなレイアウトが得られ、従来のウェイトローラに代えてその設置スペースにモータを装着することができ、無段変速機を収容するエンジンケース(クランクケース)を大きくすることなく且つギヤトレインを介することなくモータをスペース的に効率よくエンジンケース内に収容することが限られたスペースを有効に利用したレイアウトの騎乗型車両が実現できる。
発明を実施するための最良の形態
図1は本発明に係る車両用エンジンの全体構成を示す断面図である。
この例は、4サイクル2気筒エンジン1を示し、各気筒にピストン2が装着される。各気筒のシリンダヘッド3に点火プラグ4及び吸気・排気バルブ5が備わる(なお、シリンダヘッド3の断面は各気筒で別の位置を図示する)。各ピストン2に連結されて回転するクランク軸6がクランクケース7内に備わる。クランク軸6は、エンジン1の両側(図の左右)に突出し、左突出側クランク軸6a及び右突出側クランク軸6bを形成する。左突出側クランク軸6aに発電機8が装着される。右突出側クランク軸6bに無段変速機9のプライマリシーブ10が装着される。無段変速機9はこのプライマリシーブ10とこれに巻き掛けられたベルト11を介して連結されたセカンダリシーブ12とにより構成される。
プライマリシーブ10は、駆動側回転軸6’(右突出側クランク軸6b)上で位置が固定された固定シーブ13とこれに対向して配置された軸方向に移動可能な可動シーブ14とからなる。なお、駆動側回転軸6’はこの例ではクランク軸6自体(又は同軸で一体直結構造)であるが、チェーンやギヤ等の伝達系を介してクランク軸6に連結されたクランク軸6と平行な回転軸であってもよい。
可動シーブ14の背面側(エンジン1から離れる方向の側)にこの可動シーブ14を駆動するためのモータ15が備わる。このモータ15は、クランク軸6と同軸でその外周に設けられる。
セカンダリシーブ12は、被駆動側回転軸16上に装着された固定シーブ17及び可動シーブ18とからなる。被駆動側回転軸16上にクラッチ19が設けられ、この被駆動側回転軸16と中間ギヤ20とを接続/切断する。中間ギヤ20は中間伝達系21を介して車軸22に連結される。
図2は上記エンジンのクランク軸周りの拡大図である。
ピストン2はコンロッド23を介してクランク軸6に連結される。24はバランスウェイト、25はオイル通路である。左突出側クランク軸6a上にカムチェーン26及びスタータギヤ27が装着され、その外側(エンジンから離れる方向の側)に発電機8が装着される。発電機8は、クランク軸6aに固定されたフライホイール28と、このフライホイール28の内周面に固定されフライホイール28とともに回転するマグネット(ロータ)29と、このマグネット29の内面側に対向して配設されたコイル(ステータ)30とにより構成される。ステータコイル30はボルト31によりクランクケース7に固定される。この左突出側クランク軸6aの端部はベアリング33を介してクランクケース7に支持される。
右突出側クランク軸6b上に装着された可動シーブ14の背面に冷却用のフィン39が形成される。このフィン39によりモータ15に風を送り冷却する。
モータ15は、クランクケース7側に固定されたステータコイル34と、これに対向してその内周側に配置されたマグネットからなるロータ35と、このロータ35と一体のロータ筒36と、このロータ筒36の内周の内ネジに螺合する外ネジを有するスライダ筒37とからなる。スライダ筒37は、ベアリング38を介して、可動シーブ14に対し、軸廻りに回転可能で軸方向に一体的にスライドするように連結される。
このモータ15(ステータコイル34及びロータ35等からなる組体)は、不図示のボルトによりクランクケース7の外側から固定される。これにより、クランクケースの外側からモータの取付け及び取外しが可能になり、モータの分解や修理及びメンテナンスが容易にできる。
右突出側クランク軸6bの端部はベアリング40を介してクランクケース7に支持される。
図3は、本発明が適用される自動二輪車の全体構成図である。
この自動二輪車46の前輪41はハンドル49に連結されたフロントフォーク42に支持される。後輪43は水平配置サスペンション44を介して車体フレーム47に支持される。車体中央部に水冷4サイクルのエンジン1が搭載される。45は車体中央左右に備わるエアクリーナエレメントのうち左側のエレメントである。48はラジエータである。エンジン1の車体右側に後述の図4のように本発明の無段変速機9が配設される。
図4は、図3の自動二輪車のエンジン部分の詳細図である。
エンジン1は、この例では2気筒の4バルブDOHCエンジンである。クランク軸6にコンロッド23を介してピストン2が連結される。クランク軸6の車体左側にカムチェーン26及びスタータギヤ27が装着され、端部にフライホイール28が装着され発電機8が構成される。カムチェーン26は吸気用及び排気用の2本のカムシャフト51に巻回されそれぞれ各気筒の4個の吸気・排気バルブ5をクランク軸6に同期して開閉動作させる。50はオイルクーラー、52は気化器である。
エンジン1の車体右側に前述のように無段変速機9が備わる。この無段変速機9は、クランク軸6に装着された固定シーブ13及び可動シーブ14からなるプライマリシーブ10と、被駆動側回転軸16に装着された固定シーブ17及び可動シーブ18からなるセカンダリシーブ12と、プライマリシーブ10とセカンダリシーブ12間に巻き掛けられたVベルト11とにより構成される。被駆動側回転軸16には多板クラッチ19が装着される。
図5は、本発明が適用される四輪型のATV車両の側面図である。ATVは、例えば砂地や荒地あるいは農耕地等を走行する騎乗型車両である。
この四輪型ATV65は、車体前部にハンドル66を備え、不図示のステアリング系を介して2個の前輪67(1個のみ図示)を操向操作する。ハンドル66の後方に燃料タンク68及びその後方に運転者が跨って着座するシート69が備わる。車体中央部にエンジン70が搭載される。エンジン70は無段変速機9を介して2個の後輪71(1個のみ図示)を駆動する。2個の後輪71はサスペンション73を介して車体フレーム72に揺動可能装着される。無段変速機9は、前述のように、クランク軸6に装着されたプライマリシーブ10及びこのプライマリシーブ10にVベルト11を介して連結されたセカンダリシーブ12とにより構成される。74は気化器、75は排気マフラである。
図6は、本発明が適用される三輪型のATV車両の側面図である。
この三輪型ATV76は、車体前部にハンドル77を備え、不図示のステアリング系を介してフロントフォーク78に支持された1個の前輪79を操向操作する。ハンドル77の後方に燃料タンク80及びその後方に運転者が跨って着座するシート81が備わる。車体中央部にエンジン82が搭載される。エンジン82は無段変速機9を介して2個の後輪83(1個のみ図示)を駆動する。2個の後輪83はサスペンション84を介して車体フレーム85に揺動可能装着される。無段変速機9は、前述のように、クランク軸6に装着されたプライマリシーブ10及びこのプライマリシーブ10にVベルト11を介して連結されたセカンダリシーブ12とにより構成される。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明では、エンジンの左右両側に突出する駆動側回転軸(クランク軸又はこれに連結された駆動軸)の一方の側に発電機を設け、他方の側にプライマリシーブ及びモータを設けるため車幅方向についてエンジンを中心とする重量バランスがとれて安定した動作のレイアウトが達成される。また、左右に突出する駆動軸の長さをほぼ同じにすることができ、形状的にもバランスがとれ部品配置のレイアウトがしやすくなる。
また、プライマリシーブの外側(エンジンから離れた側、すなわちエンジンから突出する回転軸の端部側)にモータを配置することにより、組立性が向上し、メンテナンスが容易にでき、保守点検時の分解や組立てが容易にできる。また、エンジンからの熱的影響が軽減し、外部からの冷却作用が大きくなって、安定した機能が保たれる。
また、モータを回転軸と同軸でその外周に設けることにより、スペース的にコンパクトなレイアウトが得られ、従来のウェイトローラに代えてその設置スペースにモータを装着することができ、無段変速機を収容するエンジンケース(クランクケース)を大きくすることなく且つギヤトレインを介することなくモータをスペース的に効率よくエンジンケース内に収容することができる。
また、可動シーブの背面に冷却用フィンを設けることにより、省スペースを確保しながら、エンジン自身の出力を利用して効率よく可動シーブに隣接するモータを冷却することができる。
また、エンジンの両側に突出した回転軸の端部をベアリングを介してエンジンケースに支持する構成によれば、回転軸の端部が軸支持のために強化されたエンジンケースに支持されるため、回転軸が軸振れを起こすことなく安定して堅固にエンジンケースに保持される。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施形態に係るエンジン構成を示す断面図である。
図2は、図1のエンジンのクランク軸周りの拡大図である。
図3は、本発明が適用される自動二輪車の全体構成図である。
図4は、図3の自動二輪車のエンジン部分の詳細図である。
図5は、本発明が適用される四輪ATVの側面図である。
図6は、本発明が適用される三輪ATVの側面図である。
本発明は、エンジンに設ける無段変速機を有する自動二輪車あるいは自動三輪車や自動四輪車等の騎乗型車両等の小型車両に関する。
背景技術
車両エンジン等ではエンジンからの駆動力を被駆動側の車軸に伝達するためにベルト式無段変速機(CVT)が用いられている。このCVTは、エンジンクランク軸側に設けた駆動側のプライマリシーブと車軸側に設けた被駆動側のセカンダリシーブとの間に無端Vベルトを掛け渡してクランク軸側と車軸側とを連結する。プライマリシーブは、軸方向の位置が固定された固定シーブと、軸方向にスライド可能な可動シーブとを対向してクランク軸側の回転軸(クランク軸又はこれに連結された駆動軸)に装着したものであり、これら一対の固定シーブ及び可動シーブの対向面はテーパ状(円錐状)に形成され、これらの対向面間の間隔に応じて無端Vベルトの軸芯からの半径方向の位置が変化し、これに応じて回転伝達比(変速比)が変化する。
従来、自動二輪車等のCVTの変速機構すなわち可動シーブを移動させる手段については、クランク軸等の駆動軸側のプライマリシーブに遠心ウェイトローラを用いるものが使用されている。この遠心ウェイトローラ方式は、エンジン出力軸(駆動軸)の回転力を利用して、ウェイトの遠心力により可動シーブの位置を変更する機構であるため、変速移行動作がエンジン出力軸の回転状態に依存してしまう。通常は、アクセル全開の加速を想定した遠心ウェイトローラの設計となり、想定条件以外では、運転者の意思通りの加減速が得られない場合が多い。すなわち、アクセル中間開度やアクセルの急変動あるいはアクセルの微小制御や減速時は成り行きまかせで、すべての過渡現象に対応できない。
このような問題を解決するため、特公平7−86383号公報に開示されているように、モータをハウジング外に置いてギアトレインを介して可動シーブを駆動する構造が提案されている。この構成においては、モータを用いた変速機構が、エンジン出力軸の回転状態に依存せず、任意のシーブ位置を与えられるので、加速感や省燃費等運転者の意思に合せた制御ができる。
しかしながら、従来のモータを用いたCVTでは、自動車のように比較的設置スペースが広く自由に配置できる場合はよいが、自動二輪車あるいはATV車両(騎乗型車両)等の小型車両においては、変速機構の設置スペースが限られるため、モータ設置位置が制約を受け、また他の部品配置に対しさらにスペース的な制約を与える。
また、モータの役割は、本来、エンジンの出力を電気エネルギー化したもの再度動力に変換して、シーブを動かす動力を発生するものであるにもかかわらず、モータからシーブまで動力を伝達する途中にギアトレインを設置していると、ギヤの動力ロスが大きくなり、一般的に自動車に比べ出力の小さいエンジンをもつ自動二輪車等では、その動力ロスは無視できない。そのため、大容量の発電機や蓄電池を載せることも考えられるが、軽量化の観点から好ましくない。
本発明は上記従来技術を考慮したものであって、動力ロスを低減し、自動二輪車等の限られた狭いスペースを有効に利用してミッションケースを大きくすることなく、従来の遠心ウェイトローラの設置スペースにモータを置き換えて設置できる特に自動二輪車や騎乗型車両等の小型車両における無段変速機の配置構造の提供を目的とする。
発明の開示
前記目的を達成するため、本発明においては、駆動側回転軸に発電機及びプライマリシーブを装着したエンジンの無段変速機を有する車両であって、前記プライマリシーブは、前記駆動側回転軸に装着した一対の固定シーブ及び可動シーブと、前記可動シーブを軸方向に駆動するためのモータとを有し、前記エンジンの両側に前記駆動側回転軸が突出し、エンジンの一方の側に突出する前記駆動側回転軸上に前記発電機を設け、他方の側に突出する前記駆動側回転軸上に前記プライマリシーブを設け、該プライマリシーブより外側の前記駆動側回転軸上に前記モータを配置したことを特徴とする無段変速機を有する車両を提供する。
この構成によれば、エンジンの左右両側に突出する駆動側回転軸(クランク軸又はこれに連結された駆動軸)の一方の側に発電機を設け、他方の側にプライマリシーブ及びモータを設けるため車幅方向についてエンジンを中心とする重量バランスがとれて安定した動作が得られるレイアウトが達成される。また、左右に突出する駆動軸の長さをほぼ同じにすることができ、形状的にもバランスがとれ部品配置のレイアウトがしやすくなる。
また、プライマリシーブの外側(エンジンから離れた側、すなわちエンジンから突出する回転軸の端部側)にモータを配置することにより、組立性が向上し、メンテナンスが容易にでき、モータの修理や点検時に分解や組立てが容易にできる。
また、モータがエンジンから離れて配置されるため、エンジンからの熱的影響が軽減し、外部からの冷却作用が大きくなって、安定した機能が保たれる。このようにモータを無段変速機の外側に設けることにより有効なモータ冷却効果が得られる。すなわち、モータに対する熱的影響として、エンジンからの熱がクランクケースや回転軸を伝わる熱伝導によりモータが加熱されるとともに、無段変速機のVベルトとシーブとの間に摩擦熱が発生しこれが熱伝達されてモータが加熱される。しかし、本発明構造によれば、モータは、クランクシャフト上でエンジンから遠い位置に配置するので、このような熱的影響を軽減しモータを有効に冷却できる。
好ましい構成例では、前記モータは、前記回転軸と同軸でその外周に配置されたことを特徴としている。この構成によれば、モータを回転軸と同軸でその外周に設けることにより、スペース的にコンパクトなレイアウトが得られ、従来のウェイトローラに代えてその設置スペースにモータを装着することができ、無段変速機を収容するエンジンケース(クランクケース)を大きくすることなく且つギヤトレインを介することなくモータをスペース的に効率よくエンジンケース内に収容することができる。
また、このようにウェイトローラを用いない構成とすることにより、グリースによるVベルトの摩擦伝達力の低下を防止することができる。すなわち、クランクケース内のCVT室は、シーブの寿命や伝達効率の経年劣化を考慮すると、内部は清浄度が高い方がよい。このため、外部からの粉塵対策として、クランクケースとCVTケースとの突き合わせ部にパッキンを装着したり、冷却用のエア通路にフィルターを設ける等の対策が施されている。従来の自動二輪車等の小型車両では、レイアウトの制約上、遠心ウェイトローラがプライマリシーブ側に設けられていた。このプライマリシーブの遠心ウェイトローラが設けられた部屋は、ウェイトローラをカム上でスムーズに摺動させるために、グリースが充填されている。このグリースが飛散しないように部屋のシール面にOリングが配設される。万一、シールが破れてグリースがCVTケース内に飛散した場合、CVTケース内がグリースで汚染され、シーブとVベルトとの間の摩擦が小さくなり、適正な動力伝達ができなくなる。これに対し、遠心ウェイトローラを用いないでこれに代えてそのスペースにモータを配置した構成では、大量の遠心ウェイトローラ用のグリースが不必要となるため、グリース飛散の可能性がなくなり、シーブやVベルトへのグリース付着による摩擦低下及びこれに伴う伝達効率の低下を防止し、シーブの寿命を延ばすことができる。
好ましい構成例では、前記モータは可動シーブに隣接してその背面側に設けられ、この可動シーブの背面に冷却用フィンを設けたことを特徴としている。
この構成によれば、可動シーブの背面に冷却用フィンを設けるため、省スペースを確保しながら、エンジン自身の出力を利用して効率よく可動シーブに隣接するモータを冷却することができる。
さらに好ましい構成例では、前記エンジンの両側に突出した前記駆動側回転軸の端部は、ベアリングを介してエンジンケースに支持されたことを特徴としている。
この構成によれば、駆動側回転軸の端部が軸支持のために強化されたエンジンケースにベアリングを介して支持されるため、回転軸が軸振れを起こすことなく安定して堅固にエンジンケースに保持される。
好ましい適用例では、前記エンジンを自動二輪車に搭載したことを特徴としている。
この構成によれば、エンジン周りのスペースが限られた自動二輪車において、本発明の無段変速機のレイアウトを適用することにより、スペースの有効利用によるコンパクト化の効果や重量バランスの効果が顕著になる。
別の好ましい適用例では、前記エンジンを騎乗型車両に搭載したことを特徴としている。
この構成によれば、前記自動二輪車と同様にエンジン周りのスペースが限られた騎乗型車両において、本発明の無段変速機のレイアウトを適用することにより、スペースの有効利用によるコンパクト化の効果や重量バランスの効果が顕著になる。
本発明ではさらに、クランク軸と直結又はこれと平行でエンジンの一方の側に突出する駆動側回転軸にプライマリシーブを装着した無段変速機を有する自動二輪車において、前記プライマリシーブは、前記駆動側回転軸に装着した一対の固定シーブ及び可動シーブと、前記可動シーブを軸方向に駆動するためのモータとを有し、前記モータは、前記プライマリシーブより外側の前記駆動側回転軸上にこの回転軸と同軸でその外周に配置されたことを特徴とする自動二輪車を提供する。
この構成によれば、通常の四輪車両に比べ特にスペース的な制約が大きい自動二輪車において、プライマリシーブの外側(エンジンから離れた側、すなわちエンジンから突出する回転軸の端部側)にモータを配置することにより、組立性が向上し、メンテナンスが容易にでき、モータの修理や点検時に分解や組立てが容易にできるという効果が得られるとともに、モータがエンジンから離れて配置されるため、エンジンからの熱的影響が軽減し、外部からの冷却作用が大きくなって、安定した機能が保たれる。このようにモータを無段変速機の外側に設けることにより有効なモータ冷却効果が得られる。すなわち、モータに対する熱的影響として、エンジンからの熱がクランクケースや回転軸を伝わる熱伝導によりモータが加熱されるとともに、無段変速機のVベルトとシーブとの間に摩擦熱が発生しこれが熱伝達されてモータが加熱される。自動二輪車ではスペース的にこのようなモータへの熱的影響を軽減するための冷却装置を別途設けることが極めて難しいが、本発明構造によれば、自動二輪車におけるこのような熱的影響を軽減しモータを有効に冷却できる。
また、モータを回転軸と同軸でその外周に設けることにより、スペース的にコンパクトなレイアウトが得られ、従来のウェイトローラに代えてその設置スペースにモータを装着することができ、無段変速機を収容するエンジンケース(クランクケース)を大きくすることなく且つギヤトレインを介することなくモータをスペース的に効率よくエンジンケース内に収容することが限られたスペースを有効に利用したレイアウトの自動二輪車が実現できる。
さらに本発明では、クランク軸と直結又はこれと平行でエンジンの一方の側に突出する駆動側回転軸にプライマリシーブを装着した無段変速機を有する騎乗型車両において、前記プライマリシーブは、前記駆動側回転軸に装着した一対の固定シーブ及び可動シーブと、前記可動シーブを軸方向に駆動するためのモータとを有し、前記モータは、前記プライマリシーブより外側の前記駆動側回転軸上にこの回転軸と同軸でその外周に配置されたことを特徴とする騎乗型車両を提供する。
この構成によれば、前述の自動二輪車と同様に、通常の四輪車両に比べ特にスペース的な制約が大きい騎乗型車両において、プライマリシーブの外側(エンジンから離れた側、すなわちエンジンから突出する回転軸の端部側)にモータを配置することにより、組立性が向上し、メンテナンスが容易にでき、モータの修理や点検時に分解や組立てが容易にできるという効果が得られるとともに、モータがエンジンから離れて配置されるため、エンジンからの熱的影響が軽減し、外部からの冷却作用が大きくなって、安定した機能が保たれる。このようにモータを無段変速機の外側に設けることにより有効なモータ冷却効果が得られる。すなわち、モータに対する熱的影響として、エンジンからの熱がクランクケースや回転軸を伝わる熱伝導によりモータが加熱されるとともに、無段変速機のVベルトとシーブとの間に摩擦熱が発生しこれが熱伝達されてモータが加熱される。騎乗型車両ではスペース的にこのようなモータへの熱的影響を軽減するための冷却装置を別途設けることが極めて難しいが、本発明構造によれば、騎乗型車両におけるこのような熱的影響を軽減しモータを有効に冷却できる。
また、モータを回転軸と同軸でその外周に設けることにより、スペース的にコンパクトなレイアウトが得られ、従来のウェイトローラに代えてその設置スペースにモータを装着することができ、無段変速機を収容するエンジンケース(クランクケース)を大きくすることなく且つギヤトレインを介することなくモータをスペース的に効率よくエンジンケース内に収容することが限られたスペースを有効に利用したレイアウトの騎乗型車両が実現できる。
発明を実施するための最良の形態
図1は本発明に係る車両用エンジンの全体構成を示す断面図である。
この例は、4サイクル2気筒エンジン1を示し、各気筒にピストン2が装着される。各気筒のシリンダヘッド3に点火プラグ4及び吸気・排気バルブ5が備わる(なお、シリンダヘッド3の断面は各気筒で別の位置を図示する)。各ピストン2に連結されて回転するクランク軸6がクランクケース7内に備わる。クランク軸6は、エンジン1の両側(図の左右)に突出し、左突出側クランク軸6a及び右突出側クランク軸6bを形成する。左突出側クランク軸6aに発電機8が装着される。右突出側クランク軸6bに無段変速機9のプライマリシーブ10が装着される。無段変速機9はこのプライマリシーブ10とこれに巻き掛けられたベルト11を介して連結されたセカンダリシーブ12とにより構成される。
プライマリシーブ10は、駆動側回転軸6’(右突出側クランク軸6b)上で位置が固定された固定シーブ13とこれに対向して配置された軸方向に移動可能な可動シーブ14とからなる。なお、駆動側回転軸6’はこの例ではクランク軸6自体(又は同軸で一体直結構造)であるが、チェーンやギヤ等の伝達系を介してクランク軸6に連結されたクランク軸6と平行な回転軸であってもよい。
可動シーブ14の背面側(エンジン1から離れる方向の側)にこの可動シーブ14を駆動するためのモータ15が備わる。このモータ15は、クランク軸6と同軸でその外周に設けられる。
セカンダリシーブ12は、被駆動側回転軸16上に装着された固定シーブ17及び可動シーブ18とからなる。被駆動側回転軸16上にクラッチ19が設けられ、この被駆動側回転軸16と中間ギヤ20とを接続/切断する。中間ギヤ20は中間伝達系21を介して車軸22に連結される。
図2は上記エンジンのクランク軸周りの拡大図である。
ピストン2はコンロッド23を介してクランク軸6に連結される。24はバランスウェイト、25はオイル通路である。左突出側クランク軸6a上にカムチェーン26及びスタータギヤ27が装着され、その外側(エンジンから離れる方向の側)に発電機8が装着される。発電機8は、クランク軸6aに固定されたフライホイール28と、このフライホイール28の内周面に固定されフライホイール28とともに回転するマグネット(ロータ)29と、このマグネット29の内面側に対向して配設されたコイル(ステータ)30とにより構成される。ステータコイル30はボルト31によりクランクケース7に固定される。この左突出側クランク軸6aの端部はベアリング33を介してクランクケース7に支持される。
右突出側クランク軸6b上に装着された可動シーブ14の背面に冷却用のフィン39が形成される。このフィン39によりモータ15に風を送り冷却する。
モータ15は、クランクケース7側に固定されたステータコイル34と、これに対向してその内周側に配置されたマグネットからなるロータ35と、このロータ35と一体のロータ筒36と、このロータ筒36の内周の内ネジに螺合する外ネジを有するスライダ筒37とからなる。スライダ筒37は、ベアリング38を介して、可動シーブ14に対し、軸廻りに回転可能で軸方向に一体的にスライドするように連結される。
このモータ15(ステータコイル34及びロータ35等からなる組体)は、不図示のボルトによりクランクケース7の外側から固定される。これにより、クランクケースの外側からモータの取付け及び取外しが可能になり、モータの分解や修理及びメンテナンスが容易にできる。
右突出側クランク軸6bの端部はベアリング40を介してクランクケース7に支持される。
図3は、本発明が適用される自動二輪車の全体構成図である。
この自動二輪車46の前輪41はハンドル49に連結されたフロントフォーク42に支持される。後輪43は水平配置サスペンション44を介して車体フレーム47に支持される。車体中央部に水冷4サイクルのエンジン1が搭載される。45は車体中央左右に備わるエアクリーナエレメントのうち左側のエレメントである。48はラジエータである。エンジン1の車体右側に後述の図4のように本発明の無段変速機9が配設される。
図4は、図3の自動二輪車のエンジン部分の詳細図である。
エンジン1は、この例では2気筒の4バルブDOHCエンジンである。クランク軸6にコンロッド23を介してピストン2が連結される。クランク軸6の車体左側にカムチェーン26及びスタータギヤ27が装着され、端部にフライホイール28が装着され発電機8が構成される。カムチェーン26は吸気用及び排気用の2本のカムシャフト51に巻回されそれぞれ各気筒の4個の吸気・排気バルブ5をクランク軸6に同期して開閉動作させる。50はオイルクーラー、52は気化器である。
エンジン1の車体右側に前述のように無段変速機9が備わる。この無段変速機9は、クランク軸6に装着された固定シーブ13及び可動シーブ14からなるプライマリシーブ10と、被駆動側回転軸16に装着された固定シーブ17及び可動シーブ18からなるセカンダリシーブ12と、プライマリシーブ10とセカンダリシーブ12間に巻き掛けられたVベルト11とにより構成される。被駆動側回転軸16には多板クラッチ19が装着される。
図5は、本発明が適用される四輪型のATV車両の側面図である。ATVは、例えば砂地や荒地あるいは農耕地等を走行する騎乗型車両である。
この四輪型ATV65は、車体前部にハンドル66を備え、不図示のステアリング系を介して2個の前輪67(1個のみ図示)を操向操作する。ハンドル66の後方に燃料タンク68及びその後方に運転者が跨って着座するシート69が備わる。車体中央部にエンジン70が搭載される。エンジン70は無段変速機9を介して2個の後輪71(1個のみ図示)を駆動する。2個の後輪71はサスペンション73を介して車体フレーム72に揺動可能装着される。無段変速機9は、前述のように、クランク軸6に装着されたプライマリシーブ10及びこのプライマリシーブ10にVベルト11を介して連結されたセカンダリシーブ12とにより構成される。74は気化器、75は排気マフラである。
図6は、本発明が適用される三輪型のATV車両の側面図である。
この三輪型ATV76は、車体前部にハンドル77を備え、不図示のステアリング系を介してフロントフォーク78に支持された1個の前輪79を操向操作する。ハンドル77の後方に燃料タンク80及びその後方に運転者が跨って着座するシート81が備わる。車体中央部にエンジン82が搭載される。エンジン82は無段変速機9を介して2個の後輪83(1個のみ図示)を駆動する。2個の後輪83はサスペンション84を介して車体フレーム85に揺動可能装着される。無段変速機9は、前述のように、クランク軸6に装着されたプライマリシーブ10及びこのプライマリシーブ10にVベルト11を介して連結されたセカンダリシーブ12とにより構成される。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明では、エンジンの左右両側に突出する駆動側回転軸(クランク軸又はこれに連結された駆動軸)の一方の側に発電機を設け、他方の側にプライマリシーブ及びモータを設けるため車幅方向についてエンジンを中心とする重量バランスがとれて安定した動作のレイアウトが達成される。また、左右に突出する駆動軸の長さをほぼ同じにすることができ、形状的にもバランスがとれ部品配置のレイアウトがしやすくなる。
また、プライマリシーブの外側(エンジンから離れた側、すなわちエンジンから突出する回転軸の端部側)にモータを配置することにより、組立性が向上し、メンテナンスが容易にでき、保守点検時の分解や組立てが容易にできる。また、エンジンからの熱的影響が軽減し、外部からの冷却作用が大きくなって、安定した機能が保たれる。
また、モータを回転軸と同軸でその外周に設けることにより、スペース的にコンパクトなレイアウトが得られ、従来のウェイトローラに代えてその設置スペースにモータを装着することができ、無段変速機を収容するエンジンケース(クランクケース)を大きくすることなく且つギヤトレインを介することなくモータをスペース的に効率よくエンジンケース内に収容することができる。
また、可動シーブの背面に冷却用フィンを設けることにより、省スペースを確保しながら、エンジン自身の出力を利用して効率よく可動シーブに隣接するモータを冷却することができる。
また、エンジンの両側に突出した回転軸の端部をベアリングを介してエンジンケースに支持する構成によれば、回転軸の端部が軸支持のために強化されたエンジンケースに支持されるため、回転軸が軸振れを起こすことなく安定して堅固にエンジンケースに保持される。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施形態に係るエンジン構成を示す断面図である。
図2は、図1のエンジンのクランク軸周りの拡大図である。
図3は、本発明が適用される自動二輪車の全体構成図である。
図4は、図3の自動二輪車のエンジン部分の詳細図である。
図5は、本発明が適用される四輪ATVの側面図である。
図6は、本発明が適用される三輪ATVの側面図である。
Claims (8)
- 駆動側回転軸に発電機及びプライマリシーブを装着したエンジンの無段変速機を有する車両であって、前記プライマリシーブは、前記駆動側回転軸に装着した一対の固定シーブ及び可動シーブと、前記可動シーブを軸方向に駆動するためのモータとを有し、前記エンジンの両側に前記駆動側回転軸が突出し、エンジンの一方の側に突出する前記駆動側回転軸上に前記発電機を設け、他方の側に突出する前記駆動側回転軸上に前記プライマリシーブを設け、該プライマリシーブより外側の前記駆動側回転軸上に前記モータを配置したことを特徴とする無段変速機を有する車両。
- 前記モータは、前記回転軸と同軸でその外周に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の無段変速機を有する車両。
- 前記モータは可動シーブに隣接してその背面側に設けられ、この可動シーブの背面に冷却用フィンを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の無段変速機を有する車両。
- 前記エンジンの両側に突出した前記駆動側回転軸の端部は、ベアリングを介してエンジンケースに支持されたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の無段変速機を有する車両。
- 請求項1から4のいずれかに記載の無段変速機を有する自動二輪車。
- 請求項1から4のいずれかに記載の無段変速機を有する騎乗型車両。
- クランク軸と直結又はこれと平行でエンジンの一方の側に突出する駆動側回転軸にプライマリシーブを装着した無段変速機を有する自動二輪車において、前記プライマリシーブは、前記駆動側回転軸に装着した一対の固定シーブ及び可動シーブと、前記可動シーブを軸方向に駆動するためのモータとを有し、前記モータは、前記プライマリシーブより外側の前記駆動側回転軸上にこの回転軸と同軸でその外周に配置されたことを特徴とする自動二輪車。
- クランク軸と直結又はこれと平行でエンジンの一方の側に突出する駆動側回転軸にプライマリシーブを装着した無段変速機を有する騎乗型車両において、前記プライマリシーブは、前記駆動側回転軸に装着した一対の固定シーブ及び可動シーブと、前記可動シーブを軸方向に駆動するためのモータとを有し、前記モータは、前記プライマリシーブより外側の前記駆動側回転軸上にこの回転軸と同軸でその外周に配置されたことを特徴とする騎乗型車両。
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