JP4906455B2 - 内燃機関のクランクケース構造 - Google Patents
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Description
メイン軸の左端をベアリングを介して軸支する左側壁の左側軸受開口は、メイン軸の抜き取り作業用の開口でもあり、大きな内径を有している。
前記したようにメイン軸支持の左側軸受開口はメイン軸の抜き取り作業のため大きな内径を有しており、隣接して形成されるカウンタ軸支持の左側軸受開口も大型のベアリング介装するために内径が大きく形成される必要があり、よってカウンタ軸に嵌着される後輪駆動用スプロケット周辺のクランクケースの左側壁の強度を高く維持することが難しい。
本実施の形態に係る水冷式の内燃機関Eが搭載された不整地走行用車両1の車体カバー等を外した状態の側面図を図1に、同平面図を図2に示す。
なお、本実施の形態においては、車両の前進方向を向いた状態を基準にして前後左右を決めることとする。
パワーユニットPの変速機Tは、内燃機関Eの左側に配置され、同左側に寄った変速機Tから前後方向に指向した出力軸80が前後に突出しており、同出力軸80の回転動力は、出力軸80の前端から前ドライブシャフト16および前ファイナルリダクションギヤユニット17を介して左右の前輪FWに伝達され、後端から後ドライブシャフト18および前記後ファイナルリダクションギヤユニット19を介して左右の後輪RWに伝達される。
一方、下クランクケース31Lの下にはオイルパン35が取り付けられる。
なお、吸気ポート43に吸気管20が連結される。
したがって、カム軸48によりクランク軸30の回転に同期して吸気弁45と排気弁46が、それぞれ吸気ポート43と排気ポート44を所定のタイミングで開閉する。
クランク軸30に対して回転可能なタービンランナ55tに前記プライマリドライブギヤ56aは結合されており、クランク軸30からの動力は、作動油を介してプライマリドライブギヤ56aに伝達される。
プライマリドライブギヤ56aは、後記するメイン軸61に軸支されるプライマリドリブンギヤ56bに噛合して、クランク軸30の回転をメイン軸61側に伝達する。
また、クランク軸30のクランク室Cの前壁の内面に沿った部分には、バランサ軸駆動用ギヤ54が嵌着されている。
ミッション室Mに収容される変速ギヤ機構60は、常時噛合い式のギヤ機構であり、クランク軸30の左方で斜め上方位置にメイン軸61が上クランクケース31Uに軸支され、同メイン軸61の左方で斜め下方位置でクランク軸30の左方位置にカウンタ軸71が上下のクランクケース31U,31Lの割り面に挟まれて軸支されている(図3参照)。
内筒61iには、外筒61oの第2,第4変速駆動ギヤm2,m4より前方に前から順に第1変速駆動アイドルギヤm1、シフタと一体に形成され内筒61iにスプライン嵌合された第5変速駆動ギヤm5、第3変速駆動アイドルギヤm3が軸支されており、外筒61oの外側部分よりさらに後方に内筒61iの外側部分が突出している。
なお、ミッション室Mの後側壁31rの軸受開口63は、内側開口端が中心軸に向けて僅かに突出した内向きのフランジ63fが形成されているが、同フランジ63fの内径も第4変速駆動ギヤm4の径より大きい。
この入力スリーブ65のプライマリドリブンギヤ56bより後方に第1変速クラッチ66が組付けられ、プライマリドリブンギヤ56bより前方に第2変速クラッチ67が組付けられる。
第1変速クラッチ66は、後方に開口した椀状をしたクラッチアウタ66oが入力スリーブ65に一体に嵌着され、クラッチインナ66iが内筒61iに一体に嵌着されている。
他方、第2変速クラッチ67は、前方に開口した椀状をしたクラッチアウタ67oが入力スリーブ65に一体に嵌着され、クラッチインナ67iが外筒61oの外側部分に一体に嵌着されている。
対応する変速駆動ギヤと変速被動ギヤは常時噛合っている。
すなわち、第5変速駆動ギヤm5の前後移動で1速段と3速段が構成され、第3変速被動ギヤn3の前後移動で5速段とリバースが構成され、シフタnSの前後移動で2速段と4速段が構成される。
この変速段の切換え制御と、第1変速クラッチ66と第2変速クラッチ67の制御とが相俟って各変速段の動力伝達がなされる。
カウンタ軸71の下方で斜め右方に前記出力軸80が配設されており(図3参照)、同出力軸80の前側部分にスプライン嵌合された被動ギヤ75が、カウンタ軸71の前端の出力ギヤ74と噛合してカウンタ軸71から出力軸80へ動力が伝達されるようになっている。
したがって、前側壁31fにおける同ベアリング72bを嵌合する軸受開口72の内径も大きくなるが、隣接するメイン軸61の軸受凹部62が前記したように小径に形成されているので、出力ギヤ74周辺の上クランクケース31Uの前側壁31fの強度を高く維持することができる。
特に、前側の貫通孔76fはカウンタ軸71の前側の軸受開口72に隣接する。
したがって、カウンタ軸71の前端の出力ギヤ74は、出力軸80の前端被軸受部81にスプライン嵌合された被動ギヤ75に噛合して、カウンタ軸71から出力軸80へ動力が伝達される。
そして、出力軸80が、上下のクランクケース31U,31Lのうちメイン軸61の軸支されていない下クランクケース31Lの前後側壁を貫通しおよび前ケースカバー85,スペーサ110を貫通し軸支されて前後に突出される構成なので、クランクケース31の軸支持を分散させることができ、よって内燃機関Eを大型化することなく軸支持を良好にすることができる。
図5を参照して、バランサ軸90は、その前端と後端が上下のクランクケース31U,31Lの前側壁と後側壁に形成された軸受開口91,92に、それぞれベアリング91b,92bを介装して回転自在に軸支される。
したがって、バランサ軸90のクランク軸30と同速度の回転でピストン40の往復動による1次振動を打ち消す。
水ポンプ95の前方は吸入筒97aを備えた水ポンプカバー97が被せられる。
水ポンプカバー97の吸入筒97aは、車体前方に配置されるラジエータ27と水配管で連結されて、水ポンプ95はラジエータ27から冷却水を吸入する。
後ケースカバー150の下部には、ギヤケース部が形成されており、後方からギヤケースカバー201に覆われて内部に減速ギヤ機構が設けられ、ギヤケースカバー201の右側には変速用伝動モータ202が後方から取り付けられ、左下部にシフトスピンドル206が前ケースカバー85,下クランクケース31Lの前後壁,後ケースカバー150を貫通し、さらに後端の六角柱状に形成された係合部206aをギヤケースカバー201から後方へ突出させて配設されている(図3,図6参照)。
なお、シフトスピンドル206の前端には、前ケースカバー85に固定された角度センサ207が取り付けられている。
したがって、変速用電動モータ202の駆動は、この減速ギヤ機構を介して減速されてシフトスピンドル206を回動する。
なお、シフトドラム210の回動角度は、シフトドラム210の前方に同軸に設けられたシフトポジション検出器211により検出される。
カウンタ軸71は、上下のクランクケース31U,31Lの割り面に挟まれて軸支されるので、カウンタ軸71に変速被動ギヤ群を組み、ベアリング72b,73bを嵌合した状態で下クランクケース31Lの割り面の半円弧状の軸受開口72と軸受凹部73に架設するようにして組み込むことができる。
このとき、第2ベアリング63bのアウタレースが軸受開口63に嵌入すると同時に、インナレースがメイン軸61の外筒61oに嵌入し、外筒61oが内筒61iとともに軸支される。
なお、第2ベアリング63bは軸受開口63に内向きフランジ63fに当接するまで嵌入される。
1…不整地走行用車両、30…クランク軸、31U…上クランクケース、31L…下クランクケース、31f…前側壁、31r…後側壁、
60…変速ギヤ機構、61…メイン軸、61i…内筒、61o…外筒、m4…第4変速駆動ギヤ、62…軸受凹部、62b…第1ベアリング、63…軸受開口、63b…第2ベアリング、65…入力スリーブ、66…第1変速クラッチ、67…第2変速クラッチ、70…リバースアイドル軸、71…カウンタ軸、72…軸受開口、72b…ベアリング、73…軸受凹部、73b…ベアリング、74…出力ギヤ、75…被動ギヤ、80…出力軸、85…前ケースカバー、86…軸受開口、86b…ベアリング、87…フロントカバー部材、110…スペーサ、111…軸受開口、111b…ベアリング。
Claims (4)
- 上下割りに構成されたクランクケースの割り面に前後方向に指向させてクランク軸(30)とカウンタ軸(71)が軸支され、
上クランクケース(31U)の対向する前後側壁に前後方向に指向したメイン軸(61)が軸支された内燃機関のクランクケース構造において、
前記カウンタ軸(71)の動力により駆動される前後方向に指向した出力軸(80)が、下クランクケース(31L)の前後側壁を貫通して前後に突出され、
前記対向する前後側壁の一方の側壁から外側に突出したカウンタ軸(71)の端部に設けられた出力部材(74)に近接して前記一方の側壁に、前記カウンタ軸(71)をベアリング(72b)を介して軸支する軸受開口(72)が形成され、
前記メイン軸(61)の一端を第1ベアリング(62b)を介して軸支する軸受凹部(62)が、前記カウンタ軸(71)を軸支する前記軸受開口(72)に隣接して前記一方の側壁に形成され、
前記メイン軸(61)の他端側を第2ベアリング(63b)を介して軸支する軸受開口(63)が、前記メイン軸(61)上の他端側最外端の変速ギヤ(m4)より大きな内径を有して前記一方の側壁に対向する他方の側壁に形成され、
上クランクケース(31U)は、複数のシリンダボア(32c)が前後方向に直列に配列して一体に成形されたシリンダブロック部(32)が前記メイン軸(61)の前記軸受開口(63)側にシリンダ軸線を傾けて上方に延出して形成され、
前記クランクケースの割り面に前後方向に指向させて軸支されるバランサ軸(90)が、前記クランク軸(30)に関して前記カウンタ軸(71)と反対側に配置され、
前記バランサ軸(90)の前後には同軸上に連動して駆動される水ポンプ(95)とオイルポンプ(100)が配置されることを特徴とする内燃機関のクランクケース構造。 - 前記メイン軸(61)が内筒(61i)と同内筒(61i)の一部に回転自在に嵌合する外筒(61o)とからなり、前記内筒(61i)の一端が前記一方の側壁の前記軸受凹部(62)に前記第1ベアリング(62b)を介して軸支され、
前記内筒(61i)の他方の側が前記外筒(61o)とともに前記他方の側壁の前記軸受開口(63)に前記第2ベアリング(63b)を介して軸支されることを特徴とする請求項1記載の内燃機関のクランクケース構造。 - 前記メイン軸(61)を前記他方の側壁の前記軸受開口(63)に挿入し内筒(61i)の一端を前記一方の側壁の前記軸受凹部(62)に前記第1ベアリング(62b)を介して軸支した後に、前記内筒(61i)の所定位置に回転自在に嵌合した前記外筒(61o)と前記他方の側壁の前記軸受開口(63)との間に前記第2ベアリング(63b)を外側から嵌入することで前記メイン軸(61)を組付けることを特徴とする請求項2記載の内燃機関のクランクケース構造。
- 前記他方の側壁の前記軸受開口(63)より外側に突出した前記外筒(61o)の外側部分と同外筒(61o)よりさらに外側に突出した前記内筒(61i)の外側部分に、前記外筒(61o)と前記内筒(61i)のそれぞれへの動力の伝達を制御する一対の変速クラッチ(66,67)がそれぞれ組付けられることを特徴とする請求項2または請求項3記載の内燃機関のクランクケース構造。
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