JPWO2003089401A1 - 3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物、光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル化合物及びそれらの製法 - Google Patents
3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物、光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル化合物及びそれらの製法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
本発明は、新規な3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物及び光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル化合物並びにそれらの製法に関する。本発明の3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物は、片方のエステル基を加水分解して光学活性3−置換グルタル酸モノエステル化合物とした後、公知の還元方法によって、医薬品の合成中間体として有用な光学活性3−ヒドロキシグルタル酸モノエステルに容易に誘導することが出来る(後の参考例1に記載)。
背景技術
本発明の3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物は、新規な化合物であり、従来までにその製法は全く知られていないものである。
一方、加水分解酵素を使用して3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物の片方のエステル基のみを選択的に加水分解させて、光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル化合物を得る方法は、以下の文献において開示されている。
▲1▼カナディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Can.J.Chem.),66,1422(1988);豚肝臓を起源とするエステラーゼの存在下、3−アルコキシグルタル酸ジエステルを、緩衝液中にて加水分解させ、光学活性3−アルコキシグルタル酸モノエステルを製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、使用する酵素量が多い上に、目的物の光学純度が低いという問題点がある。
▲2▼テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.),28,4935(1987);緩衝液中にて、3−アルコキシグルタル酸ジメチルエステル及び3−アシルオキシグルタル酸ジメチルエステルに、α−キモトリプシンを作用させて加水分解させ、光学活性3−(R)−アルコキシグルタル酸モノメチルエステル及び3−(R)−アシルオキシグルタル酸モノメチルエステルを製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、使用する酵素量が多い上に、目的物の光学純度が低いという問題点がある。
▲3▼ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),61,6024(1996);カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)を起源とするリパーゼの存在下、3−アセチルオキシモノグル酸ジエステルを、pH7のリン酸緩衝液と1,4−ジオキサンの混合溶媒中で加水分解させ、光学活性3−(S)−アセチルオキシグルタル酸モノエステルを製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、使用する酵素量が多い上に、目的物の光学純度が低く、又、発癌性の高い1,4−ジオキサンを多量に使用しなければならないという問題点がある。
上記、いずれの方法においても、種々の問題点を含んでおり、工業的な光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル化合物の製法としては有効なものではない。
本発明の目的は、新規な3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物及びその製法を提供するものである。
本発明の別の目的は、上記問題点を解決し、簡便な方法によって、3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物から、高収率及び高選択的に光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル化合物を得る、工業的に好適な光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル化合物及びその製法を提供するものである。
発明の開示
本発明の目的は、一般式(I):
式中、R1は、同一でも異なっていてもよく、置換又は非置換のアルキル基を表し、R2は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアラルキル基又は置換又は非置換のアリール基を表す、
で示される3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物によって達成される。
本発明の目的は、又、塩基の存在下、一般式(II):
式中、R1は、前記と同義である、
で示される3−ヒドロキシグルタル酸ジエステルと一般式(III):
式中、Xは、ハロゲン原子を表し、R2は、前記と同義である、
で示されるハロゲノギ酸エステルとを反応させることを特徴とする、3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物の製法によっても達成される。
本発明の目的は、又、一般式(IV):
式中、R1及びR2は、前記と同義である、
で示される光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル化合物によって達成される。
本発明の目的は、更に、加水分解酵素の存在下、前記一般式(I):
式中、R1及びR2は、前記と同義である、
で示される3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物の片方のエステル基のみを選択的に加水分解反応させることを特徴とする、光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル化合物の製法によっても達成される。
発明を実施するための最良の形態
本発明における3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物は、前記の一般式(I)で示される。その一般式(I)において、R1は、同一でも異なっていてもよい置換又は非置換のアルキル基を表す。
前記置換又は非置換のアルキル基とは、(1)「置換基を有していないアルキル基」又は(2)「置換基を有するアルキル基」である。(1)の「置換基を有していないアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基(なお、これらの基は、各種異性体を含む)が挙げられるが、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基である。(2)の「置換基を有するアルキル基」の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基等の炭素数1〜4のアルコキシル基(なお、これらの基は、各種異性体を含む。);ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基(なお、これらの基は、各種異性体を含む。);シアノ基等が挙げられるが、好ましくはフッ素原子、塩素原子、ヒドロキシル基、シアノ基である。このような置換基を有するアルキル基としては、具体的には、2−クロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブロモエチル基、2−ジメチルアミノ基、2−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基等が挙げられるが、好ましくは2−クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−シアノエチル基である。
化合物(I)のR2は、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアラルキル基又は置換又は非置換のアリール基を表す。
前記R2の置換又は非置換のアルキル基とは、前記R1の置換又は非置換のアルキル基と同義である。
前記R2の置換又は非置換のアルケニル基とは、(3)「置換基を有していないアルケニル基」又は(4)「置換基を有するアルケニル基」である。(3)の「置換基を有していないアルケニル基」としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等の炭素原子数2〜10のアルケニル基が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。(4)の「置換基を有するアルケニル基」の置換基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基が挙げられる。
前記R2の置換又は非置換のアラルキル基とは、(5)「置換基を有していないアラルキル基」又は(6)「置換基を有するアラルキル基」である。(5)の「置換基を有していないアラルキル基」としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基(なお、これらの基は、各種異性体を含む。)が挙げられ、ベンジル基が特に好ましい。(6)の「置換基を有するアラルキル基」の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基、ペンチルオキシル基、ヘキシルオキシル基、ヘプチルオキシル基、オクチルオキシル基、ノニルオキシル基、デシルオキシル基等の炭素数1〜10のアルコキシル基(なお、これらの基は、各種異性体を含む。);ベンジルオキシル基、フェネチルオキシル基等の炭素原子数7〜10のアラルキルオキシル基(なお、これらの基は、各種異性体を含む。);フェニルオキシル基等の炭素原子数6〜10のアリールオキシル基(なお、これらの基は、各種異性体を含む);メトキシメトキシル基等の炭素原子数2〜10のアルコキシアルコキシル基(なお、これらの基は、各種異性体を含む。);メチルアミノ基、エチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基(なお、これらの基は、各種異性体を含む。);ジメチルアミノ基等のアルキルアミノ基(なお、これらの基は、各種異性体を含む);ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基が挙げられる。
前記R2の置換又は非置換アリール基とは、(7)「置換基を有していないアリール基」又は(8)「置換基を有するアリール基」である。(7)の「置換基を有していないアリール基」としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、チエニル基等が挙げられるが、好ましくはフェニル基、ナフチル基、更に好ましくはフェニル基である。(8)の「置換基を有するアリール基」の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨード原子等のハロゲン原子;メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基、ペンチルオキシル基、ヘキシルオキシル基、ヘプチルオキシル基、オクチルオキシル基、ノニルオキシル基、デシルオキシル基等の炭素原子数1〜10のアルコキシル基(なお、これらの基は、各種異性体を含む。);ベンジルオキシル基、フェネチルオキシル基等の炭素数7〜10のアラルキルオキシル基(なお、これらの基は、各種異性体を含む。);フェニルオキシル基等の炭素原子数6〜10のアリールオキシル基(なお、これらの基は、各種異性体を含む。);メトキシメトキシル基等の炭素原子数2〜10のアルコキシアルコキシル基(なお、これらの基は、各種異性体を含む。);メチルアミノ基、エチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基(なお、これらの基は、各種異性体を含む。);ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基(なお、これらの基は、各種異性体を含む。);ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基が挙げられる。
これらのR2の中でも、ベンジル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブロモベンジル基、2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−ニトロベンジル基、3−ニトロベンジル基、4−ニトロベンジル基、2−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、t−ブチル基、メチル基、イソプロピル基、フェニル基、ビニル基及びアリル基から成る群より選択された基であることが好ましく、ベンジル基であることが特に好ましい。
前記のR1及びR2を有する3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物の具体例としては、例えば、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジエチルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジプロピルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジブチルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジペンチルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジヘキシルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジヘプチルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジオクチルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジノニルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジデシルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジイソプロピルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジs−ブチルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジt−ブチルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジクロロメチルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジベンジルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジ4−ニトロベンジルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジ4−トリフルオロメチルベンジルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジ4−クロロベンジルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジ4−ブロモベンジルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジ4−フルオロベンジルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジ4−メトキシベンジルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジビニルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジアリルエステル、
3−(2−メチルベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(3−メチルベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(4−メチルベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(2−メトキシベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(3−メトキシベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(4−メトキシベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(2−クロロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(3−クロロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(4−クロロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(2−ブロモベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(3−ブロモベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(4−ブロモベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(2−フルオロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(3−フルオロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(4−フルオロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(2−ニトロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(3−ニトロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(4−ニトロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(2−メトキシベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(3−メトキシベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(4−メトキシベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−(t−ブトキシカルボニル)オキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−メトキシカルボニルグルタル酸ジメチルエステル、
3−イソプロポキシオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−フェノキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−ビニルオキシオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−アリルオキシオキシグルタル酸ジメチルエステル
等が挙げられるが、好ましくは、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジエチルエステル
である。
本発明の反応において使用する3−ヒドロキシグルタル酸ジエステルは、前記の一般式(II)で示される。その一般式(II)において、R1は、前記と同義である。
前記のR1を有する3−ヒドロキシグルタル酸ジエステル化合物の具体例としては、例えば、
3−ヒドロキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジエチルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジプロピルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジブチルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジペンチルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジヘキシルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジヘプチルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジオクチルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジノニルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジデシルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジイソプロピルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジs−ブチルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジt−ブチルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジクロロメチルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジベンジルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジ4−ニトロベンジルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジ4−トリフルオロメチルベンジルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジ4−クロロベンジルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジ4−ブロモベンジルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジ4−フルオロベンジルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジ4−メトキシベンジルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジビニルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジアリルエステル、
等が挙げられるが、好ましくは、
3−ヒドロキシグルタル酸ジメチルエステル、
3−ヒドロキシグルタル酸ジエチルエステル
が使用される。
本発明の反応において使用するハロゲノギ酸エステルは、前記の一般式(III)で示される。その一般式(III)において、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子であり、R2は、前記と同義である。
前記のX及びR2を有するハロゲノギ酸エステルの具体例としては、例えば、
クロロギ酸メチル、
クロロギ酸エチル、
クロロギ酸プロピル、
クロロギ酸イソブチル、
クロロギ酸(2−ブロモエチル)、
クロロギ酸(2,2,2−トリクロロエチル)、
クロロギ酸フェニル、
クロロギ酸(p−トリル)、
クロロギ酸ニトロフェニル、
クロロギ酸(p−クロロフェニル)、
クロロギ酸ビニル、
クロロギ酸アリル、
クロロギ酸ベンジル
等が挙げられるが、好ましくはクロロギ酸ベンジルが使用される。
前記ハロゲノギ酸エステルの使用量は、3−ヒドロキシグルタル酸ジエステル1モルに対して、好ましくは1.0〜3.0モル、更に好ましくは1.0〜1.5モルである。
本発明の反応において使用する塩基としては、第三級アミン等の有機塩基が好適に使用され、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、2,6−ルチジン、4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられるが、好ましくはピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、更に好ましくは4−ジメチルアミノピリジンが使用される。なお、これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記塩基の使用量は、3−ヒドロキシグルタル酸ジエステル1モルに対して、好ましくは1.0〜3.0モル、更に好ましくは1.0〜1.5モルである。
本発明の反応は、溶媒の存在下又は非存在下において行われる。使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類が挙げられるが、好ましくはハロゲン化脂肪族炭化水素類、更に好ましくはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンが使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、3−ヒドロキシグルタル酸ジエステル1gに対して、好ましくは2〜50ml、更に好ましくは5〜20mlである。
本発明の反応は、例えば、窒素ガス雰囲気にて、3−ヒドロキシグルタル酸ジエステル、ハロゲノギ酸エステル、塩基及び溶媒を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは−20〜100℃、更に好ましくは0〜40℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本発明の反応によって得られる3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物は、反応終了後、例えば、濾過、抽出、濃縮、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離・精製される。
次に、本発明の光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル化合物及びその製造方法について説明する。
本発明の光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル化合物を得るための加水分解反応では、例えば、下記の一般式(V):
式中、R1及びR2は前記と同義である、
で示されるように、加水分解酵素の存在下、前記の一般式(I)で示される3−置換オキシグルタル酸ジエステル(以下、化合物(I)と称することもある。)の片方のエステル基のみを選択的に加水分解させて、一般式(IV)で示される光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル(以下、化合物(IV)と称することもある。)を得ることが出来る。
本発明の加水分解反応において使用する化合物(I)は、前記したとおりである。
本発明の加水分解で使用する加水分解酵素としては、例えば、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ等が挙げられるが、好ましくは酵母又は細菌から単離可能な微生物のリパーゼ、更に好ましくはシュードモナス(Pseudo−monas)を起源とするリパーゼ(例えば、Amano PS(アマノエンザイム社製)等)、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)を起源とするリパーゼ(例えば、Chirazyme L−2(ロッシュ社製)等)、特に好ましくはカンジダ・アンタークティカを起源とするリパーゼが使用される。なお、これらの加水分解酵素は、天然の形又は固定化酵素として市販品をそのまま使用することが出来、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記加水分解酵素の使用量は、化合物(I)1gに対して、好ましくは0.1〜1000mg、更に好ましくは1〜200mgである。
本発明の加水分解反応は、好ましくは水中、緩衝液中又は無機塩基水溶液中で行われる。
前記水としては、好ましくはイオン交換水、蒸留水等の精製された水が使用される。なお、水を溶媒として使用する場合には、炭酸水素カリウムや炭酸水素ナトリウム等の弱塩基を反応系内に存在させるのが望ましい。前記弱塩基の使用量は、化合物(I)1モルに対して、好ましくは0.5〜2.0モル、更に好ましくは0.5〜1.0モルである。
前記緩衝液としては、例えば、リン酸ナトリウム水溶液、リン酸カリウム水溶液等の無機酸塩の水溶液;酢酸ナトリウム水溶液、クエン酸ナトリウム水溶液等の有機酸塩の水溶液が使用される。なお、これらの水溶液は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
該緩衝液の濃度は、好ましくは0.01〜2モル/l、更に好ましくは0.05〜0.5モル/lであり、緩衝液のpHは、好ましくは4〜9、更に好ましくは6〜8である。
前記無機塩基水溶液としては、例えば、炭酸ナトリウム水溶液、リン酸カリウム水溶液等のアルカリ金属炭酸塩の水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸水素カリウム水溶液等のアルカリ金属炭酸水素塩の水溶液が挙げられるが、好ましくはアルカリ金属炭酸水素塩の水溶液、更に好ましくは炭酸ナトリウム水溶液が使用される。なお、これらの無機塩基水溶液は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記無機塩基水溶液使用量は、無機塩基換算で、化合物(I)1モルに対して、好ましくは1〜5モル、更に好ましくは1〜2モルである。
本発明の加水分解反応における溶媒(水、緩衝液又は無機塩基水溶液)の使用量は、化合物(I)1gに対して、好ましくは2〜200ml、更に好ましくは5〜80mlである。
本発明の加水分解反応は、例えば、化合物(I)、加水分解酵素及び溶媒(水、緩衝液又は無機塩基水溶液)を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは0〜80℃、更に好ましくは10〜50℃であり、反応圧力は特に制限されない。
本発明の加水分解反応によって得られた化合物(IV)は、例えば、反応終了後、反応液から有機溶媒によって抽出した後、抽出液を濃縮することで、単離することが出来る。なお、これは、晶析、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の一般的な精製方法によって更に精製することが出来る。
本発明の加水分解反応によって得られる化合物(IV)の具体例としては、例えば、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノエチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノプロピルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノブチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノペンチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノヘキシルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノヘプチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノオクチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノノニルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノデシルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノソプロピルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノs−ブチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノt−ブチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノクロロメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノベンジルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノ4−ニトロベンジルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノ4−トリフルオロメチルベンジルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノ4−クロロベンジルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノ4−ブロモベンジルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノ4−フルオロベンジルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノ4−メトキシベンジルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノビニルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノアリルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(2−メチルベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(3−メチルベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(4−メチルベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(2−メトキシベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(3−メトキシベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(4−メトキシベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(2−クロロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(3−クロロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(4−クロロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(2−ブロモベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(3−ブロモベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(4−ブロモベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(2−フルオロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(3−フルオロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(4−フルオロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(2−ニトロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(3−ニトロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(4−ニトロベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(2−メトキシベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(3−メトキシベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(4−メトキシベンジル)オキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−(t−ブトキシカルボニル)オキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−メトキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−イソプロポキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−フェノキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ビニルオキシオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−アリルオキシオキシグルタル酸モノメチルエステル等が挙げられるが、好ましくは、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル、
光学活性3−(R又はS)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノエチルエステル
が使用される。
実施例
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
実施例1(3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステルの合成)
3−ヒドロキシグルタル酸ジメチルエステル1.01g(5.78mmol)を1,2−ジクロロメタン10mlに溶解し、室温で4,4−ジメチルアミノピリジン847mg(6.93mmol)及び塩化ベンジルオキシカルボニル990μl(6.93mmol)を加え、0℃で30分間、室温で1時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた反応混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチル20ml及び水10mlを加え有機層を抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して、濾過後、減圧下で濃縮して油状物質を得た。得られた油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Wakogel C−200(商品名)、n−ヘキサン/酢酸エチル=5/1(容量比))で精製し、3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル1.30g(3−ベンジルアミノ−2−ペンテン二酸ジメチルエステル基準の単離収率=73%)を得た。
なお、3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステルの物性値は以下の通りであった。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3):2.71−2.81(m,4H)、3.66(s,6H),5.16(s,2H)、5.43(quintet,1H)、5.75(m,1H)、7.33−7.37(m,5H)
13C−NMR(δ(ppm)、CDCl3):38.2、51.9、69.8、70.7、128.3、128.57、128.60、135.1、154.1、170.0
MS(EI)m/z:310(M+)
MS(CI、i−C4H10)m/z:311(MH+)
元素分析;Calcd:C,58.05%;H,5.86%
Found:C,57.43%;H,5.88%
実施例2(光学活性3−(S)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステルの合成)
3−ベンゾイルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル721mg(2.32mmol)に、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)を起源とするリパーゼ(CAL;ロシュ製、Chirazyme L−2(商品名))72μgが溶解している酵素水溶液2ml及び炭酸水素ナトリウム195mg(2.26mmol)を加え、攪拌しながら30℃で7時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物に酢酸エチル10mlを加え2mol/L塩酸を用いて水層のpHを1.9に調整し、塩化ナトリウム700mgを加え有機層を抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過後、減圧下で濃縮して光学活性3−(S)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル675mg(3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル基準の単離収率=98%)を得た。
なお、光学活性3−(S)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステルは以下の物性値で示される新規な化合物である。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3):2.74−2.83(m,4H)、3.66(s,3H),5.16(s,2H)、5.41(quintet,1H,J=6.35Hz)、7.32−7.37(m,5H),9.55(br s,1H)
13C−NMR(δ(ppm)、CDCl3):37.94、37.99、52.0、69.9、70.4、128.3、128.59、128.62、135.0、154.1、170.0、171.4、175.4
MS(EI)m/z:296(M+)
MS(CI、i−C4H10)m/z:297(MH+)
元素分析;Calcd:C,56.75%;H,5.45%
Found:C,55.91%;H,5.59%
比旋光度:[α]25 D−1.77°(c2.53,CHCl3)
参考例1(光学活性3−(S)−ヒドロキシグルタル酸モノメチルエステルの合成)
3−ベンゾイルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル700mg(1.07mmol)に、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)を起源とするリパーゼ(CAL;ロシュ製、Chirazyme L−2(商品名))0.7mgが溶解している酵素水溶液7ml及び炭酸水素ナトリウム189mg(2.26mmol)を加え、攪拌しながら30℃で2時間反応させた。反応終了後得られた反応混合物に酢酸エチル7mlを加え、2mol/L塩酸を用いて水層のpHを1.7に調整し、塩化ナトリウム300mgを加え有機層を抽出した。得られた有機層を乾燥し、濾過後、減圧下で濃縮して油状物質を得た。得られた油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Wakogel C−200(商品名)、n−ヘキサン/酢酸エチル=1/9(容量比))で精製し、光学活性3−(S)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル655mg(3−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸ジメチルエステル基準の単離収率=98%)を得た。
次いで、得られた光学活性3−(S)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル655mgをメタノール6mlに溶解させた。その混合物に10%パラジウム/炭素粉末24mgを加え、常圧下、水素雰囲気にて、室温で2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮して光学活性3−(S)−ヒドロキシグルタル酸モノメチルエステル351mg(光学活性3−(S)−ベンジルオキシカルボニルオキシグルタル酸モノメチルエステル基準の収率=98%)を得た。
なお、光学活性3−(S)−ヒドロキシグルタル酸モノメチルエステルの物性値は以下の通りであった。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3):2.59(d,2H,J=5.86Hz)、2.60(d,2H,J=6.34Hz)、3.49(s,1H)、3.73(s,3H)、4.48(quintet,1H,6.35)、5.49(brs,1H)
13C−NMR(δ(ppm)、CDCl3):40.3、40.4、52.0、64.6、172.3、176.4
MS(CI、i−C4H10)m/z:163(MH+)
比旋光度:[α]22 D+0.84°(c4.19,CHCl3)
なお、得られた光学活性3−(S)−ヒドロキシグルタル酸モノメチルエステルの比旋光度とカナディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Can.J.Chem.),66,1422(1988)に記載されている光学活性3−(R)−ヒドロキシグルタル酸モノメチルエステルの比旋光度の符号(文献値[α]25 D−0.43°(c7.5,CHCl3))とを比較し絶対配置を決定した。
産業上の利用可能性
本発明により、新規な3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物及びその製法を提供することが出来る。
また、本発明により、簡便な方法によって、3−置換オキシグルタル酸ジエステル化合物(ラセミ体混合物)から、高収率及び高選択的に光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル化合物を得る、工業的に好適な光学活性3−置換オキシグルタル酸モノエステル化合物及びその製法を提供することが出来る。
Claims (20)
- R1が炭素原子数1〜10の置換又は非置換のアルキル基である請求の範囲第1項記載の化合物。
- R1がメチル基又はエチル基である請求の範囲第1項記載の化合物。
- R2が炭素原子数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、置換又は非置換のベンジル基、フェネチル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基及びチエニル基から成る群より選択された基である請求の範囲第1項記載の化合物。
- R2がベンジル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブロモベンジル基、2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−ニトロベンジル基、3−ニトロベンジル基、4−ニトロベンジル基、2−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、t−ブチル基、メチル基、イソプロピル基、フェニル基、ビニル基及びアリル基から成る群より選択された基である請求の範囲第1項記載の化合物。
- ハロゲノギ酸エステルがクロロギ酸ベンジルである請求の範囲第6項記載の製法。
- ハロゲノギ酸エステルが、3−ヒドロキシグルタル酸ジエステル1モルに対し、0.1〜3.0モルの量で使用される請求の範囲第6項記載の製法。
- 塩基が、有機塩基である請求の範囲第6項記載の製法。
- 有機塩基が、第三級アミンである請求の範囲第9項記載の製法。
- 塩基が、3−ヒドロキシグルタル酸ジエステル1モルに対し、1.0〜3.0モルの量で使用される請求の範囲第6項記載の製法。
- R1が炭素原子数1〜10の置換又は非置換のアルキル基である請求の範囲第12項記載の化合物。
- R1がメチル基又はエチル基である請求の範囲第12項記載の化合物。
- R2が炭素原子数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、置換又は非置換のベンジル基、フェネチル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基及びチエニル基から成る群より選択された基である請求の範囲第12項記載の化合物。
- R2がベンジル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブロモベンジル基、2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−ニトロベンジル基、3−ニトロベンジル基、4−ニトロベンジル基、2−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、t−ブチル基、メチル基、イソプロピル基、フェニル基、ビニル基及びアリル基から成る群より選択された基である請求の範囲第12項記載の化合物。
- 加水分解酵素が、プロテアーゼ、エステラーゼ又はリパーゼである請求の範囲第17項記載の製造方法。
- 加水分解酵素が、カンジダ・アンタークティカを起源とするリパーゼである請求の範囲第17項記載の製法。
- 加水分解反応を、水中、緩衝液中又は無機塩基水溶液中で行う請求の範囲第17項記載の製法。
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