JPWO2003073458A1 - 電子放出素子、電子放出素子の駆動方法、ディスプレイ及びディスプレイの駆動方法 - Google Patents
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Abstract
基板(12)上に形成された電界印加部(14)と、該電界印加部(14)の一方の面に形成されたカソード電極(16)と、電界印加部(14)の同じく一方の面に形成され、カソード電極(16)と共にスリット(18)を形成するアノード電極(20)とを有する。電界印加部(14)は誘電体にて構成される。カソード電極(16)及びアノード電極(20)間に印加されるパルス信号(Sp)を、CPUなどの制御部(40)から供給された制御信号(Sc)に基づいて変調して、少なくとも放出電子の量を制御する変調回路(42)を有する。
Description
技術分野
本発明は、電界印加部に形成されたカソード電極とアノード電極にて形成された電子放出素子及び電子放出素子の駆動方法、並びに該電子放出素子を用いたディスプレイ及びディスプレイの駆動方法に関する。
背景技術
近時、電子放出素子は、カソード電極及びアノード電極を有し、フィールドエミッションディスプレイ(FED)やバックライトのような種々のアプリケーションに適用されている。FEDに適用する場合、複数の電子放出素子を2次元的に配列し、これら電子放出素子に対する複数の蛍光体を、所定の間隔をもってそれぞれ配置するようにしている。
この電子放出素子の従来例としては、例えば特開平1−311533号公報、特開平7−147131号公報、特開2000−285801号公報、特公昭46−20944号公報、特公昭44−26125号公報に記載された技術があるが、いずれも電界印加部に誘電体を用いていないため、対向電極間にフォーミング加工もしくは微細加工が必要となったり、電子放出のために高電圧を印加しなければならず、また、パネル製作工程が複雑で製造コストが高くなるという問題がある。
そこで、電界印加部を誘電体で構成することが考えられているが、誘電体からの電子放出として例えば以下の文献1〜3にて諸説が述べられているものの、電子の放出原理の確定までには至っておらず、誘電体にて構成された電界印加部を有する電子放出素子での問題を提起するまでには至っていない。
[文献]
1.安岡、石井著「強誘電体陰極を用いたパルス電子源」応用物理第68巻第5号、p546〜550(1999)
2.V.F.Puchkarev,G.A.Mesyats,On the mechanism of emission from the ferroelectric ceramic cathode,J.Appl.Phys.,vol.78,No.9,1 November,1995,p.5633−5637
3.H.Riege,Electron emission ferroelectrics−a review,Nucl.Instr.and Meth.A340,p.80−89(1994)
ところで、従来の電子放出素子の直進性、即ち、放出された電子(放出電子)が所定の対象(例えば蛍光体)に直進する程度が良好でなく、放出電子によって所望の電流密度を確保するためには、比較的高い電圧を電子放出素子に印加する必要がある。
また、従来の電子放出素子をディスプレイに適用した場合、直進性が良好でないためにクロストークが比較的に大きくなる、即ち、放出された電子が、対応する蛍光体に隣接する蛍光体に入射するおそれが高くなる。その結果、蛍光体のピッチを狭くするのが困難となる。
また、従来の電子放出素子を用いたディスプレイにおいては、電子の放出/非放出というデジタル的な制御がほとんどであり、電界印加部から放出される電子の量並びに加速度をアナログ的に制御するという考えがなく、きめ細かな階調制御ができないという問題がある。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、放出電子の直進性を良好にすることができ、複数の電子放出素子を配列した場合に、これら電子放出素子間のクロストークの抑制を図ることができる電子放出素子及び電子放出素子の駆動方法並びにディスプレイ及びディスプレイの駆動方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、放出電子の量並びに加速度をアナログ的に制御することができ、きめ細かな階調制御を実現させることができる電子放出素子及び電子放出素子の駆動方法並びにディスプレイ及びディスプレイの駆動方法を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明に係る電子放出素子は、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部の一方の面に形成されたカソード電極と、前記電界印加部の前記一方の面に形成され、前記カソード電極と共にスリットを形成するアノード電極と、前記カソード電極及びアノード電極間に印加される電圧信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御する変調回路とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る電子放出素子は、基板上に形成されたアノード電極と、前記基板上に前記アノード電極を覆うように形成され、かつ、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部上に形成されたカソード電極と、前記カソード電極及びアノード電極間に印加される電圧信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御する変調回路とを有することを特徴とする。
これにより、放出される電子の量並びに加速度をアナログ的に制御することができ、電子放出素子をディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
また、本発明に係る電子放出素子は、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部の一方の面に形成されたカソード電極と、前記電界印加部の前記一方の面に形成され、前記カソード電極と共にスリットを形成するカソード電極と、前記カソード電極及びアノード電極の上方に配された制御電極とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る電子放出素子は、基板上に形成されたアノード電極と、前記基板上に前記アノード電極を覆うように形成され、かつ、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部上に形成されたカソード電極と、前記カソード電極の上方に配された制御電極とを有することを特徴とする。
これにより、制御電極に印加される電圧を適宜調整することで、放出される電子の直進性を良好にすることができ、電子放出素子をディスプレイ等に適用した場合に、これら電子放出素子間のクロストークの抑制を有効に図ることができる。
前記構成において、少なくとも前記カソード電極及びアノード電極の表面、あるいは、少なくとも前記カソード電極の表面に保護膜が形成されていてもよい。この場合、保護膜によって電子、イオンの衝突や発熱によるカソード電極及びアノード電極の損傷のおそれが著しく軽減する。保護膜としては、導電性を有し、かつ、融点の高い材質の膜や、絶縁層を用いることができる。導電性を有し、かつ、融点の高い材質の膜としてカーボン膜が好ましい。
前記構成において、前記カソード電極及びアノード電極間に印加される第1の電圧信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御する第1の変調回路と、前記制御電極及びアノード電極間に印加される第2の電圧信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御する第2の変調回路とを有するようにしてもよい。
これにより、電子放出素子をディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
そして、前記制御電極は、前記スリットの少なくとも中央部に対向する位置に窓を有するようにしてもよい。この場合、前記窓をスリット状とし、その延在方向を前記スリットの長手方向に沿うようにしてもよいし、前記スリットの長手方向と直交させるようにしてもよい。もちろん、前記窓を円形や楕円形にしてもよい。
また、前記電界印加部の周部に形成されたスペーサ上に前記制御電極を形成するようにしてもよい。この場合、少なくとも前記カソード電極と前記アノード電極上に形成されたスペーサ上に前記制御電極が形成されていてもよいし、あるいは、少なくとも前記カソード電極上に形成されたスペーサ上に前記制御電極が形成されていてもよい。
前記スペーサは、成膜技術により形成された絶縁層としてもよいし、電界印加部の周部に配された桟であってもよい。桟は、接着技術により固着するようにしてもよい。あるいは、前記制御電極は、前記電界印加部の周部に配された立ち上がり片と、前記電界印加部のスリット形成面と平行な方向に延在する電極本体とが一体に形成されていてもよい。
そして、前記構成において、前記制御電極の上方に第2の制御電極を配するようにしてもよい。これにより、制御電極及び第2の制御電極に印加される電圧を適宜調整することで、放出される電子の直進性を良好にすることができ、放出電子の直進性が更に向上し、電子放出素子をディスプレイ等に適用した場合に、これら電子放出素子間のクロストークの抑制を有効に図ることができる。また、制御電極と第2の制御電極にて、放出電子の量並びに加速度をより細かく制御することができ、電子放出素子をディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
前記第2の制御電極は、前記スリットの少なくとも中央部に対向する位置に窓を有するようにしてもよい。この場合、前記窓をスリット状とし、その延在方向を前記スリットの長手方向に沿うようにしてもよいし、前記スリットの長手方向と直交させるようにしてもよい。もちろん、前記窓を円形や楕円形にしてもよい。
また、前記電界印加部の周部に形成された第2のスペーサ上に前記第2の制御電極を形成するようにしてもよい。この場合、前記第2のスペーサは、成膜技術により形成された絶縁層としてもよいし、電界印加部の周部に配された第2の桟であってもよい。第2の桟は、接着技術により固着するようにしてもよい。あるいは、前記第2の制御電極は、前記電界印加部の周部に配された立ち上がり片と、前記電界印加部のスリット形成面と平行な方向に延在する電極本体とが一体に形成されていてもよい。
なお、前記電界印加部は、圧電材料、又は反強誘電体材料、又は電歪材料で構成することができる。
次に、本発明に係るディスプレイは、2次元的に配列された複数の電子放出素子と、前記複数の電子放出素子に対向して設けられたコレクタ電極と、前記複数の電子放出素子に対してそれぞれ所定の間隔をもって配置された複数の蛍光体層とを備え、前記電子放出素子は、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部に接して形成されたカソード電極及びアノード電極と、前記カソード電極及びアノード電極間に印加される電圧信号を変調して、表示階調を制御する変調回路とを有することを特徴とする。
これにより、放出電子の量並びに加速度をアナログ的に制御することができ、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
そして、前記変調回路が前記電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う回路である場合に、前記変調回路の前段に、前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するために、前記階調指令値を補正するリニアライズ補正回路が接続されていてもよい。
また、本発明に係るディスプレイは、2次元的に配列された複数の電子放出素子と、前記複数の電子放出素子に対向して設けられたコレクタ電極と、前記複数の電子放出素子に対してそれぞれ所定の間隔をもって配置された複数の蛍光体層と、前記複数の蛍光体層と前記複数の電子放出素子との間に配置された制御電極とを備え、前記電子放出素子は、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部に接して形成されたカソード電極及びアノード電極とを有することを特徴とする。
これにより、放出電子の量並びに加速度をアナログ的に制御することができ、きめ細かな階調制御を実現させることができる。また、放出電子の直進性を良好にすることができ、隣接する電子放出素子間のクロストークの抑制を図ることができる。
そして、前記カソード電極及びアノード電極間に印加される第1の電圧信号を変調して、表示階調を制御する第1の変調回路と、前記制御電極及びアノード電極間に印加される第2の電圧信号を変調して、表示階調を制御する第2の変調回路とを有するようにしてもよい。この場合も、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
前記第1の変調回路が前記第1の電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う回路である場合に、前記第1の変調回路の前段に、前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するために、前記階調指令値を補正するリニアライズ補正回路を接続するようにしてもよい。
そして、前記カソード電極は、前記電界印加部の一方の面に形成され、前記アノード電極は、前記電界印加部の前記一方の面に形成され、前記カソード電極と共にスリットを形成するようにしてもよい。この場合、少なくとも前記カソード電極及びアノード電極の表面に保護膜を形成するようにしてもよい。
あるいは、前記アノード電極は、基板上に形成され、前記電界印加部は、前記基板上に前記アノード電極を覆うように形成され、前記カソード電極は、前記電界印加部上に形成されていてもよい。この場合、少なくとも前記カソード電極の表面に保護膜を形成するようにしてもよい。保護膜として、カーボン膜や絶縁層を用いることができる。
なお、前記電界印加部は、圧電材料、又は反強誘電体材料、又は電歪材料にて構成することができる。
1つの電子放出素子に対して独立した電圧信号を印加することができる複数の前記制御電極が対向していてもよい。
前記制御電極は、各行単位に分離されていてもよいし、各列単位に分離されていてもよい。あるいは、各電子放出素子単位に分離されていてもよい。また、前記制御電極は、複数の電子放出素子で構成されたグループ単位に分離されていてもよい。この場合、前記制御電極を、三原色のいずれかの色を表す複数の電子放出素子で構成されたグループ単位に分離することで、カラー表示を行うディスプレイを容易に構成させることができる。
また、前記制御電極は、各電子放出素子におけるスリットの少なくとも中央部に対向する位置に窓を有するようにしてもよい。この場合、前記窓をスリット状とし、その延在方向を前記スリットの長手方向に沿うようにしてもよいし、前記スリットの長手方向に沿って配列された複数の電子放出素子に対して共通に連続形成するようにしてもよい。あるいは、前記スリットの長手方向と直交させるようにしてもよいし、前記スリットの長手方向と直交する方向に沿って配列された複数の電子放出素子に対して共通に連続形成するようにしてもよい。もちろん、前記窓を円形や楕円形にしてもよい。
また、本発明に係るディスプレイは、前記制御電極と蛍光体層との間に第2の制御電極が配置されていてもよい。
この場合、前記第2の制御電極及びアノード電極間に印加される第3の電圧信号を変調して、少なくとも前記第1の変調回路での変調に基づく表示階調の変化を線形特性に変換する第3の変調回路を有するようにしてもよい。
また、放出電子を第2の制御電極にて捕獲し、その電子捕獲に伴う電流を検出して診断を行う自己診断機能を有するようにしてもよい。
次に、本発明に係る電子放出素子の駆動方法は、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部に接して形成されたカソード電極及びアノード電極とを有する電子放出素子の駆動方法において、前記カソード電極及び前記アノード電極間に印加されるパルス信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御することを特徴とする。
この場合、前記カソード電極は、前記電界印加部の一方の面に形成され、前記アノード電極は、前記電界印加部の前記一方の面に形成され、前記カソード電極と共にスリットを形成するようにしてもよい。
あるいは、前記アノード電極は、基板上に形成され、前記電界印加部は、前記基板上に前記アノード電極を覆うように形成され、前記カソード電極は、前記電界印加部上に形成されていてもよい。
これにより、放出電子の量並びに加速度をアナログ的に制御することができ、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
また、本発明に係る電子放出素子の駆動方法は、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部の一方の面に形成されたカソード電極と、前記電界印加部の前記一方の面に形成され、前記カソード電極と共にスリットを形成するアノード電極とを有する電子放出素子の駆動方法において、前記カソード電極及びアノード電極上に制御電極が配され、前記カソード電極及びアノード電極間に一定の第1のパルス信号を印加し、前記制御電極及びアノード電極間に印加される第2のパルス信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御することを特徴とする。
また、本発明に係る電子放出素子の駆動方法は、基板上に形成されたアノード電極と、前記基板上に前記アノード電極を覆うように形成され、かつ、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部上に形成されたカソード電極とを有する電子放出素子の駆動方法において、前記カソード電極上に制御電極が配され、前記カソード電極及び前記アノード電極間に一定の第1のパルス信号を印加し、前記制御電極及び前記アノード電極間に印加される第2のパルス信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御することを特徴とする。
本発明に係るディスプレイの駆動方法は、2次元的に配列された複数の電子放出素子と、これら電子放出素子に対してそれぞれ所定の間隔をもって配置された複数の蛍光体層とを具備し、前記電子放出素子が、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部に接して形成されたカソード電極及びアノード電極とを有するディスプレイの駆動方法において、各電子放出素子における前記カソード電極及び前記アノード電極間に印加される電圧信号を変調して表示階調の制御を行うことを特徴とする。
この場合、前記変調が前記電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う場合に、前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するために、前記階調指令値を補正するようにしてもよい。
また、本発明に係るディスプレイの駆動方法は、2次元的に配列された複数の電子放出素子と、前記複数の電子放出素子に対向して設けられたコレクタ電極と、前記複数の電子放出素子に対してそれぞれ所定の間隔をもって配置された複数の蛍光体層と、前記複数の蛍光体層と前記複数の電子放出素子との間に配置された制御電極とを備え、前記電子放出素子が、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部に接して形成されたカソード電極及びアノード電極とを有するディスプレイの駆動方法において、前記カソード電極及び前記アノード電極間に印加される第1の電圧信号を変調し、かつ、前記制御電極及び前記アノード電極間に印加される第2の電圧信号を変調して、表示階調を制御することを特徴とする。
この場合、前記第1の電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う場合に、前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するために、前記階調指令値を補正するようにしてもよい。
また、前記方法において、前記制御電極と蛍光体層との間に第2の制御電極が配置され、前記第1の電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う場合に、前記第2の制御電極及び前記アノード電極間に印加される第3の電圧信号を変調して、前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するようにしてもよい。
なお、前記電子放出素子において、前記カソード電極は、前記電界印加部の一方の面に形成され、前記アノード電極は、前記電界印加部の前記一方の面に形成され、前記カソード電極と共にスリットを形成するようにしてもよい。あるいは、前記アノード電極は、基板上に形成され、前記電界印加部は、前記基板上に前記アノード電極を覆うように形成され、前記カソード電極は、前記電界印加部上に形成され、中央にスリットを有するリング状に形成されていてもよい。
添付した図面と協同する次の好適な実施の形態例の説明から、上記の目的及び他の目的、特徴及び利点がより明らかになるであろう。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明に係る電子放出素子、電子放出素子の駆動方法、ディスプレイ及びディスプレイの駆動方法の実施の形態例を図1〜図93を参照しながら説明する。
一般に、電子放出素子は、ディスプレイとしての用途のほか、電子線照射装置、光源、LEDの代替用途、電子部品製造装置に適用することができる。
電子線照射装置における電子線は、現在普及している紫外線照射装置における紫外線に比べ、高エネルギーで吸収性能に優れる。適用例としては、半導体装置では、ウェハーを重ねる際における絶縁膜の固化する用途、印刷の乾燥では、印刷インキをむらなく硬化する用途、殺菌では、医療機器をパッケージに入れたまま殺菌する用途等がある。
光源としての用途は、高輝度、高効率仕様向けであって、例えばプロジェクタの光源用途等がある。
LEDの代替用途としては、チップ光源、信号機、携帯電話向けの小型液晶ディスプレイのバックライト等がある。
電子部品製造装置の用途としては、電子ビーム蒸着装置等の成膜装置の電子ビーム源、プラズマCVD装置におけるプラズマ生成用(ガス等の活性化用)電子源、ガス分解用途の電子源などがある。
真空マイクロデバイスとしては、テラHz級で駆動する超高速素子、使用温度範囲の広い耐環境電子部品として注目されている。
電子回路部品としては、大電流出力化、高増幅率化が可能であることから、スイッチ、リレー、ダイオード等のデジタル素子、オペアンプ等のアナログ素子への用途がある。
まず、第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aは、図1に示すように、基板12上に形成された電界印加部14と、該電界印加部14の一方の面に形成されたカソード電極16と、電界印加部14の同じく一方の面に形成され、カソード電極16と共にスリット18を形成するアノード電極20とを有する。
また、この第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aは、当然のことながら、真空空間内に配置される。この電子放出素子10Aは、図1に示すように、電界集中ポイントA及びBが存在するが、ポイントAは、カソード電極16/電界印加部14/真空が1つのポイントに存在する3重点を含むポイントとしても定義することができ、ポイントBは、アノード電極20/電界印加部14/真空が1つのポイントに存在する3重点を含むポイントとしても定義することができる。
そして、雰囲気中の真空度は、102〜10−6Paが好ましく、より好ましくは10−3〜10−5Paである。
このような範囲を選んだ理由は、低真空では、空間内に気体分子が多いため、(1)プラズマを生成し易いため、プラズマが多量に発生され過ぎると、その正イオンが多量にカソード電極16に衝突して損傷を進めるおそれや、(2)目的位置(コレクタ電極等)に到達する前に気体分子に衝突してしまうおそれがあるからである。
一方、高真空では、電界集中ポイントA及びBから電子を放出し易いものの、構造体の支持、及び真空のシール部が大きくなり、薄型化・小型化に不利になるという問題があるからである。
ここで、電界印加部14は誘電体にて構成される。誘電体は、好適には、比誘電率が比較的高い、例えば1000以上の誘電体を採用することができる。このような誘電体としては、チタン酸バリウムの他に、ジルコン酸鉛、マクネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、マグネシウムタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛等又はこれらの任意の組み合わせを含有するセラミックスや、主成分がこれらの化合物を50重量%以上含有するものや、前記セラミックスに対して更にランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の酸化物若しくはこれらのいずれかの組み合わせ又は他の化合物を適切に添加したもの等を挙げることができる。
例えば、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)とチタン酸鉛(PT)の2成分系nPMN−mPT(n,mをモル数比とする)においては、PMNのモル数比を大きくすると、キュリー点が下げられて、室温での比誘電率を大きくすることができる。
特に、n=0.85〜1.0、m=1.0−nでは比誘電率3000以上となり好ましい。例えば、n=0.91、m=0.09では室温の比誘電率15000、n=0.95、m=0.05では室温の比誘電率20000が得られる。
次に、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、チタン酸鉛(PT)、ジルコン酸鉛(PZ)の3成分系では、PMNのモル数比を大きくする他に、正方晶と擬立方晶又は正方晶と菱面体晶のモルフォトロピック相境界(MPB:Morphotropic Phase Boundary)付近の組成とすることが比誘電率を大きくするのに好ましい。例えば、PMN:PT:PZ=0.375:0.375:0.25にて比誘電率5500、PMN:PT:PZ=0.5:0.375:0.125にて比誘電率4500となり、特に好ましい。更に、絶縁性が確保できる範囲内でこれらの誘電体に白金のような金属を混入して、誘電率を向上させるのが好ましい。この場合、例えば、誘電体に白金を重量比で20%混入させるとよい。
また、電界印加部14は、上述したように、圧電/電歪層や反強誘電体層等を用いることができるが、電界印加部14として圧電/電歪層を用いる場合、該圧電/電歪層としては、例えば、ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、マグネシウムタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛等、又はこれらのいずれかの組み合わせを含有するセラミックスが挙げられる。
主成分がこれらの化合物を50重量%以上含有するものであってもよいことはいうまでもない。また、前記セラミックスのうち、ジルコン酸鉛を含有するセラミックスは、電界印加部14を構成する圧電/電歪層の構成材料として最も使用頻度が高い。
また、圧電/電歪層をセラミックスにて構成する場合、前記セラミックスに、更に、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の酸化物、もしくはこれらのいずれかの組み合わせ、又は他の化合物を、適宜、添加したセラミックスを用いてもよい。
例えば、マグネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛及びチタン酸鉛とからなる成分を主成分とし、更にランタンやストロンチウムを含有するセラミックスを用いることが好ましい。
圧電/電歪層は、緻密であっても、多孔質であってもよく、多孔質の場合、その気孔率は40%以下であることが好ましい。
電界印加部14として反強誘電体層を用いる場合、該反強誘電体層としては、ジルコン酸鉛を主成分とするもの、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛とからなる成分を主成分とするもの、更にはジルコン酸鉛に酸化ランタンを添加したもの、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛とからなる成分に対してジルコン酸鉛やニオブ酸鉛を添加したものが望ましい。
また、この反強誘電体膜は、多孔質であってもよく、多孔質の場合には気孔率30%以下であることが望ましい。
そして、基板12の上に電界印加部14を形成する方法としては、スクリーン印刷法、ディッピング法、塗布法、電気泳動法等の各種厚膜形成法や、イオンビーム法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法(CVD)、めっき等の各種薄膜形成法を用いることができる。
この実施の形態においては、基板12上に前記電界印加部14を形成するにあたっては、スクリーン印刷法やディッピング法、塗布法、電気泳動法等による厚膜形成法が好適に採用される。
これらの方法は、平均粒径0.01〜5μm、好ましくは0.05〜3μmの圧電セラミックスの粒子を主成分とするペーストやスラリー、又はサスペンション、エマルジョン、ゾル等を用いて形成することができ、良好な圧電作動特性が得られるからである。
特に、電気泳動法は、膜を高い密度で、かつ、高い形状精度で形成することができることをはじめ、「電気化学および工業物理化学 Vol.53,No.1(1985),p63〜68 安斎和夫著」あるいは「第1回電気泳動法によるセラミックスの高次成形法 研究討論会 予稿集(1998),p5〜6,p23〜24」等の技術文献に記載されるような特徴を有する。従って、要求精度や信頼性等を考慮して、適宜、方法を選択して用いるとよい。
一方、カソード電極16は、鋭角をなす角部を有してもよい。この場合、カソード電極16には、図1に示すように、パルス発生源22からパルス電圧が印加され、主に角部から電子が放出される。この場合、電子放出量の上限値を制限する目的で、パルス発生源22とカソード電極との間に抵抗25を接続し、カソード電極16とアノード電極20との間の過電流通電による破損を防止するために、アノード電極20と図示しない直流オフセット電圧源(例えば接地)との間に、抵抗26を直列配置する。また、電子の放出を良好に行うために、カソード電極16とアノード電極20との間のスリット18の幅Wを、好適には500μm以下にする。なお、カソード電極16とパルス発生源22との間に図示しないコンデンサを直列接続して、カソード電極16とアノード電極20の短絡を防止してもよい。
カソード電極16は、以下に示す材料にて構成される。即ち、スパッタ率が小さく、真空中での蒸発温度が大きい導体が好ましい。例えば、Ar+で600Vにおけるスパッタ率が2.0以下で、蒸気圧1.3×10−3Paとなる温度が1800K以上のものが好ましく、白金、モリブデン、タングステン等がこれにあたる。また、高温酸化雰囲気に対して耐性を有する導体、例えば金属単体、合金、絶縁性セラミックスと金属単体との混合物、絶縁性セラミックスと合金との混合物等によって構成され、好適には、白金、パラジウム、ロジウム、モリブデン等の高融点貴金属や、銀−パラジウム、銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主成分とするものや、白金とセラミックス材料とのサーメット材料によって構成される。更に好適には、白金のみ又は白金系の合金を主成分とする材料によって構成される。また、電極として、カーボン、グラファイト系の材料、例えば、ダイヤモンド薄膜、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブも好適に使用される。なお、電極材料中に添加させるセラミックス材料の割合は、5〜30体積%程度が好適である。
カソード電極16を形成するに当たり、上記材料を用いて、スクリーン印刷、スプレー、コーティング、ディッピング、塗布、電気泳動法等の各種の厚膜形成方法や、スパッタリング、イオンビーム、真空蒸着、イオンプレーティング、CVD、めっき等の各種の薄膜形成手法による通常の膜形成手法に従って形成することができ、好適には、前者の厚膜形成手法によって形成される。
厚膜形成手法によってカソード電極16を形成する場合、その厚さは、20μm以下がよく、好適には5μm以下である。アノード電極20には、直流のオフセット電圧が印加され、例えば図示しないスルーホールを通じて基板12の裏面から配線として引き出すようにしてもよい。
アノード電極20は、カソード電極16と同様な材料及び手法によって形成されるが、好適には上記厚膜形成手法によって形成する。アノード電極20の厚さも、20μm以下がよく、好適には5μm以下である。
カソード電極16に電気的に接続した配線と、アノード電極20に電気的に接続した配線とを電気的に分離するために、基板12を電気的な絶縁材料で構成するのが好ましい。
従って、基板12を、高耐熱性の金属や、その金属表面をガラスなどのセラミックス材料によって被覆したホーローのような材料によって構成することができるが、セラミックスで構成するのが最適である。
基板12を構成するセラミックスとしては、例えば、安定化された酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、スピネル、ムライト、窒化アルミニウム、窒化珪素、ガラス、これらの混合物等を使用することができる。その中でも、酸化アルミニウム及び安定化された酸化ジルコニウムが、強度及び剛性の観点から好ましい。安定化された酸化ジルコニウムは、機械的強度が比較的高いこと、靭性が比較的高いこと、カソード電極16及びアノード電極20との化学反応が比較的小さいことなどの観点から特に好適である。なお、安定化された酸化ジルコニウムとは、安定化酸化ジルコニウム及び部分安定化酸化ジルコニウムを包含する。安定化された酸化ジルコニウムでは、立方晶などの結晶構造をとるため、相転移が生じない。
一方、酸化ジルコニウムは、1000℃前後で単斜晶と正方晶との間を相転移し、このような相転移の際にクラックが発生するおそれがある。安定化された酸化ジルコニウムは、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテルビウム、酸化セリウム、希土類金属の酸化物等の安定剤を、1〜30モル%含有する。なお、基板12の機械的強度を向上させるために、安定化剤が酸化イットリウムを含有するのが好適である。この場合、酸化イットリウムを、好適には1.5〜6モル%、更に好適には2〜4モル%含有し、更に0.1〜5モル%の酸化アルミニウムを含有するのが好ましい。
また、結晶相を、立方晶+単斜晶の混合相、正方晶+単斜晶の混合相、立方晶+正方晶+単斜晶の混合相等とすることができるが、その中でも、主たる結晶相を、正方晶又は正方晶+立方晶の混合相としたものが、強度、靭性及び耐久性の観点から最適である。
基板12をセラミックスから構成した場合、比較的多数の結晶粒が基板12を構成するが、基板12の機械的強度を向上させるためには、結晶粒の平均粒径を、好適には0.05〜2μmとし、更に好適には0.1〜1μmとする。
電界印加部14、カソード電極16及びアノード電極20をそれぞれ形成するたびに熱処理(焼成処理)して基板12と一体構造にすることができ、また、これら電界印加部14、カソード電極16及びアノード電極20を形成した後、同時に焼成処理して、これらを同時に基板12に一体に結合することもできる。なお、カソード電極16及びアノード電極20の形成手法によっては、一体化のための熱処理(焼成処理)を必要としない場合もある。
基板12と、電界印加部14、カソード電極16及びアノード電極20とを一体化させるための焼成処理に係る温度としては、500〜1400℃の範囲、好適には、1000〜1400℃の範囲とするとよい。更に、膜状の電界印加部14を熱処理する場合、高温時に電界印加部14の組成が不安定にならないように、電界印加部14の蒸発源と共に雰囲気制御を行いながら焼成処理を行うのが好ましい。
また、電界印加部14を適切な部材によって被覆し、電界印加部14の表面が焼成雰囲気に直接露出しないようにして焼成する手法を採用してもよい。この場合、被覆部材としては、基板12と同様な材料を用いることが好ましい。
ここで、カソード電極16及びアノード電極20の様々な変形例について図2〜図10Cを参照しながら説明する。
まず、第1の変形例は、図2に示すように、電界印加部14の他方の面にカソード電極16に対向して形成された取出し電極28を有する。この場合、カソード電極16と取出し電極28並びにその間の電界印加部14の一部がコンデンサの役割を果たすため、カソード電極16とパルス発生源22との間に別途コンデンサを設ける必要がない。なお、取出し電極28も、カソード電極46及びアノード電極20と同様な材料及び手法によって形成される。取出し電極28の厚さは20μm以下、好適には5μm以下にするとよい。
第2の変形例は、図3A及び図3Bに示すように、カソード電極16とアノード電極20が共に櫛歯状に形成されている。この場合、カソード電極近傍から電子が放出されやすくなる。
第3の変形例は、図4に示すように、カソード電極16及びアノード電極20が互いに並行し、かつ相互に離間された数ターンの渦巻き状とされている。
第4の変形例は、図5に示すように、カソード電極16及びアノード電極20が共に、中心に向かって延びる幹部32及び34と該幹部32及び34から多数枝分かれしてなる枝部36及び38を有する形状を具備し、かつ、カソード電極16及びアノード電極20が、相互に離間されて相補形に配列された形状とされている。
第5の変形例は、図6に示すように、カソード電極16とアノード電極20を多数の櫛歯状とし、かつ、相補的に対峙した形状とした場合を示す。
特に、電界印加部14の平面形状を例えば楕円形状とし、カソード電極16及びアノード電極20を共に櫛歯状に形成した場合は、図7A及び図7Bの第6の変形例に示すように、電界印加部14の長軸に沿ってカソード電極16及びアノード電極20の櫛歯が配列される形態としてもよいし、図8A及び図8Bの第7の変形例に示すように、電界印加部14の短軸に沿ってカソード電極16及びアノード電極20の櫛歯が配列される形態としてもよい。
これら第3〜第7の変形例においても、第2の変形例と同様に、カソード電極16近傍から電子が放出されやすくなる。
そして、この第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aは、図1に示すように、カソード電極16及びアノード電極20間に印加されるパルス信号Spを、CPUなどの制御部40から供給された制御信号Scに基づいて変調して、少なくとも放出電子の量を制御する変調回路42を有する。
次に、変調回路42の具体例について図1、図9A〜図22Bを参照しながら説明する。まず、前記変調回路42の第1の具体例は、図1に示すように、パルス発生源22とカソード電極16との間に接続されたパルス幅変調回路42Aが挙げられる。パルス発生源22を通じてカソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spは、図9Aに示すように、アノード電極20に印加される電圧レベル(オフ電圧レベル)の電圧Vf(以下、オフ電圧Vfと記す)を基準に、カソード電極16近傍から電子が放出されるレベル(オン電圧レベル)の電圧Vo(以下、オン電圧Voと記す)までの振幅を有し、かつ、一定のパルス周期Tpを有する。
つまり、パルス信号Spは、オン電圧Voの電圧が出力される期間(電子放出期間T1)とオフ電圧Vfの電圧が出力される期間(準備期間T2)を1ステップとし、該1ステップが繰り返される。つまり、パルス信号は、電子放出期間T1においてオン電圧Vo、準備期間T2においてオフ電圧Vfの矩形パルスとなっている。電子放出期間T1としては1〜1000μsecが好ましい。
ここで、図1に示す電子放出素子10Aの電子放出原理について図9A〜図20Eを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、オフ電圧Vfのレベルを正極性の電圧レベル、オン電圧Voのレベルを負極性の電圧レベルとして説明する。また、電子放出素子10Aによる電子放出を検出するために、電界印加部14の上方のうち、カソード電極16とアノード電極20間に形成されているスリット18に対向した位置に、例えば透明電極によるコレクタ電極50を配置し、更に、コレクタ電極50のうち、前記スリットと対向する面に蛍光体層106を塗布した例を示す。なお、図10A〜図10Cにおいては、カソード電極16に流れる電流をIk、アノード電極20に流れる電流をIa、コレクタ電極50に流れる電流をIcとして表示した。また、図10B及び図10Cでは、コレクタ電極50及び蛍光体層106の表示を省略した。
まず、図9Aに示す準備期間T2は、図10Aに示すように、カソード電極16にオフ電圧Vfを印加して電界印加部14を分極する期間である。このとき、カソード電極16が正に帯電し、アノード電極20が負に帯電することから、電界印加部14の表面における双極子モーメント17は、カソード側を負極、アノード側を正極として整列することになる。オフ電圧Vfとしては、図9Aのように直流電圧でもよいが、1つのパルス電圧もしくはパルス電圧を複数回連続印加するようにしてもよい。
また、オフ電圧Vf及びオン電圧Voは、各々正負の極性に分極処理を確実に行う電圧レベルであることが好ましく、例えば電界印加部14の誘電体が抗電圧を有する場合、オフ電圧Vf及びオン電圧Voの絶対値は、抗電圧以上であることが好ましい。
電子放出期間T1は、カソード電極16にオン電圧Voが印加される期間である。カソード電極16にオン電圧Voが印加されることによって、図10Bに示すように、カソード電極16が負に、アノード電極20が正に急速に変化することから、アノード電極16からカソード電極20に向かう電界が発生し、これによって、電界印加部14の双極子モーメント17の方向が変化し、電界印加部14は急速に分極反転する。
そして、図10Cに示すように、分極が反転された電界印加部14のうち、負極性の電圧Voが印加されているカソード電極16との界面に帯電する双極子モーメント17の変化が放出電子を引き出すこととなる。この引き出される電子としては、カソード電極46とその近傍の双極子モーメント17のプラス側とで局所的な集中電界が発生することにより、カソード電極16から放出される1次電子と、それが電界印加部14に衝突することで、該電界印加部14から放出される2次電子とが考えられる。
放出された2次電子のうち、一部の2次電子は、コレクタ電極50(図10A参照)に導かれて、該コレクタ電極50に塗布された蛍光体層を励起し、外部に蛍光体発光として具現されることになる。他の一部の2次電子は、アノード電極20に引かれる。
ここで、電子放出に関する1つの実験例(第1の実験例)について説明する。この第1の実験例は、図11に示すように、1つの電子放出素子をサンプル10Asとして、該サンプル10Asを真空チェンバ180(真空度=4×10−3Pa)内に収容し、更に、カソード電極16に図12Aに示すパルス信号Spを供給したときに各部分に流れる電流Ia、Ik、Icの波形と、カソード電極16とアノード電極20間に印加される電圧(印加電圧Va)の波形を測定した。測定結果を図12B〜図12Eに示す。
サンプル10Asは、図11に示すように、基板12上に誘電体による電界印加部14が形成され、該電界印加部14に形成された窓内にカソード電極16及びアノード電極20を埋め込み、更に、カソード電極16及びアノード電極20の厚みを電界印加部14の厚みよりも薄くするようにしている。カソード電極16及びアノード電極20が、電界印加部14のうち、少なくともスリット18の部分に存在する電界印加部14の側壁に接触して形成される。
なお、このサンプル10Asでは、金属の量を少なくしてカソード電極16やアノード電極20を構成することができるため、カソード電極16やアノード電極20として、高価な金属(例えば白金や金)を用いることができ、特性の向上を図ることができる。
そして、サンプル10Asの寸法は、基板12の厚みtaが140μm、電界印加部14の厚みtbが40μm、カソード電極16の幅W1が40μm、アノード電極20の幅W2が40μm、スリット18の幅dが30μm、カソード電極16の端部(スリット18側の端部とは反対側の端部)から電界印加部14の側端までの距離D1が40μm、アノード電極20の端部(スリット18側の端部とは反対側の端部)から電界印加部14の側端までの距離D2が40μmである。
また、カソード電極16及びアノード電極20は共に金(Au)にて構成し、電界印加部14はPZTにて構成した。
パルス信号Spは、図12Aに示すように、準備期間T2における正極性の電圧Vfが50Vで、時点t0から電子放出期間T1に移行し、該電子放出期間T1における負極性の電圧Voは−120Vである。なお、パルス信号Spは、時点t1で準備期間T2に移行する。
そして、測定結果である図12Bは、アノード電極20からGNDに流れる電流Iaの波形を示し、該電流IaのピークPaは、パルス信号Spの立ち下がり時点t0から約1μsecの時点t2で発生し、その値は約−80mAであった。
図12Cは、パルス発生源22からカソード電極16に流れる電流Ikの波形を示し、該電流IkのピークPkは、前記電流Iaの場合と同様に、時点t0から約1μsecの時点t2で発生し、その値は約−110mAであった。
図12Dは、コレクタ電極24からGNDに流れる電流Icの波形を示し、該電流IcのピークPcは、前記電流Iaや電流Ikの場合と同様に、時点t0から約1μsecの時点t2で発生し、その値は約−30mAであった。
図12Eは、カソード電極16とアノード電極20間への印加電圧Vaの波形を示し、該電圧VaのピークVapは、パルス信号Spの立ち下がり時点t0から約2μsecの時点t3で発生し、その値は約−120Vであった。
この第1の実験例では、電子を確実に放出させる意図から、前記印加電圧Vaを大きく見積もって約170Vとしている。しかし、上述の測定結果から、電子の放出は、印加電圧VaのピークVapが到来する時点t3よりも約1μsec前の時点t2で発生しており、そのときの電圧Vaの値Vsは約−77Vであった。この場合の電子放出効率は(Ic/Ik)=27%であった。
このことは、印加電圧Vaとして、実際の電子の放出に電圧レベルは、170Vなどの大きなレベルは必要でなく、この例の場合では127Vで電子の放出が行われており、低電圧化が可能であることを示している。
印加電圧Vaの低電圧化には、電子放出素子10A自体の最適化のほか、各種変調回路を含む駆動回路の最適化も好ましく採用される。この明細書で開示する実施の形態は、この実験例を基礎として駆動回路の最適化を図ったものである。
ところで、アノード電極20に引かれた電子は、図13に示すように、電界印加部14に衝突して電界印加部14から2次電子が放出され、この2次電子が種火となって、上述と同様に、一部の2次電子はコレクタ電極50に導かれて前記蛍光体層106を励起し、他の一部の2次電子は、アノード電極20に引かれる。アノード電極20に引かれた2次電子は、主にアノード電極20近傍に存在する気体又はアノード電極20の近傍において蒸散して浮遊する電極原子等を正イオン19と電子に電離する。この電離によって発生した電子が更に気体や電極原子等を電離するため、ねずみ算式に電子が増え、これが進行して電子と正イオン19が中性的に存在すると局所プラズマ54となる。その結果、図13に示すように、コレクタ電極50(透明電極)の表面のうち、アノード電極20側に偏った位置において過剰な発光が行われ、輝度の調整も困難になる。
また、電子放出が行われた時点でのカソード電極16とアノード電極20間の電圧は、前記電離の進行によって大幅に小さくなり、短絡に近い状態となる。このとき、前記電離によって発生した正イオン19が例えばカソード電極16に衝突することによってカソード電極16が損傷する場合がある。
そこで、図14に示す第1の変形例に係る電子放出素子10Aaのように、アノード電極20の表面に帯電膜21を形成することが好ましい。この場合、放出された2次電子の一部がアノード電極20に引かれると、帯電膜21の表面が負極性に帯電することになる。これにより、アノード電極20の正極性が弱められ、アノード電極20とカソード電極16間の電界の強さEが小さくなり、瞬時に電離が停止することになる。
つまり、電子放出が行われた時点におけるカソード電極16とアノード電極20間の電圧変化はほとんどない。そのため、正イオンの発生はほとんどなく、正イオンによるカソード電極16の損傷を防止することができ、電子放出素子10Aの長寿命化において有利となる。
その結果、図14に示すように、コレクタ電極50(透明電極)の表面のうち、カソード電極16とアノード電極20との間の中央部分において2次電子(種火)だけによる発光が行われ、輝度の調整が容易になる。
他の変形例としては、図15に示す第2の変形例に係る電子放出素子10Abのように、アノード電極20を基板12上に形成し、電界印加部14を基板12上にアノード電極20を覆うように形成し、カソード電極16を電界印加部14上に形成するようにしてもよい。
ここで、第2の変形例に係る電子放出素子10Abの電子放出原理について図9A、図16〜図20Eを参照しながら説明する。
まず、図9Aに示す準備期間T2においてカソード電極16に正極性のオフ電圧Vfが印加されることで、図16に示すように、電界印加部14が一方向に分極することになる。
そして、次の電子放出期間T1において、カソード電極16に負極性のオン電圧Voが供給されることによって、図17に示すように、例えば電界集中ポイントAから電子が放出されることになる。即ち、分極が反転された電界印加部14のうち、カソード電極16の近傍に帯電する双極子モーメント17が放出電子を引き出すこととなる。
つまり、カソード電極16のうち、電界印加部14との界面近傍において局所的なカソードが形成され、電界印加部14のうち、カソード電極16の近傍の部分に帯電している双極子モーメント17の+極が局所的なアノードとなってカソード電極16から電子が引き出され、その引き出された電子のうち、一部の電子が電界印加部14に衝突して、電界印加部14から種火としての2次電子が放出され、該2次電子がコレクタ電極50に導かれて蛍光体106を励起することになる。
ここで、電界集中ポイントAでの電界の強さEAは、カソード電極16とアノード電極20間に印加される電圧をVak、局所的なアノードと局所的なカソード間の距離をdAとしたとき、EA=Vak/dAの関係がある。この場合、局所的なアノードと局所的なカソード間の距離dAは非常に小さいことから、電子放出に必要な電界の強さEAを容易に得ることができる(電界の強さEAが大きくなっていることを図17上では実線矢印によって示す)。これは、電圧Vakの低電圧化につながる。
そして、カソード電極16からの電子放出がそのまま進行すれば、ジュール熱によって蒸散して浮遊する電界印加部14の構成原子が前記放出された2次電子によって正イオンと電子に電離され、この電離によって発生した電子が更に電界印加部14の構成原子等を電離するため、ねずみ算式に電子が増え、これが進行して電子と正イオンが中性的に存在する局所プラズマが発生することになる。前記電離によって発生した正イオンが例えばカソード電極16に衝突することによってカソード電極16が損傷することも考えられる。
しかし、この電子放出素子10Abでは、図18に示すように、カソード電極16から引き出された電子が、局所アノードとして存在する電界印加部14の双極子モーメント17の+極に引かれ、カソード電極16の近傍における電界印加部14の表面の負極性への帯電が進行することになる。その結果、電子の加速因子(局所的な電位差)が緩和され、2次電子放出に至るポテンシャルが存在しなくなり、電界印加部14の表面における負極性の帯電が更に進行することになる。
そのため、双極子モーメント17における局所的なアノードの正極性が弱められ、局所的なアノードと局所的なカソード間の電界の強さEAが小さくなり(電界の強さEAが小さくなっていることを図18上では破線矢印によって示す)、電子放出は停止することになる(自己停止)。
これにより、正イオンの発生はほとんどなく、正イオンによるカソード電極16の損傷を防止することができ、電子放出素子10Abの長寿命化において有利となる。たとえ正イオンがわずかに発生して、カソード電極16に向かったとしても、カソード電極16の表面には絶縁層112が形成されていることから、カソード電極16への正イオンの衝突が回避される。
ここで、1つに実験例(第2の実験例)を示す。この第2の実験例は、図19に示すように、1つの電子放出素子をサンプル10Atとして、該サンプル10Atを真空チェンバ180(真空度=4×10−3Pa)内に収容し、更に、カソード電極16に図20Aに示すパルス信号Spを供給したときに各部分に流れる電流Ia、Ik、Icの波形と、カソード電極16とアノード電極20間に印加される電圧(印加電圧Vak)の波形を測定した。測定結果を図20B〜図20Eに示す。
サンプル10Atは、図19に示すように、圧電材料による板材(電界印加部14)の上面(コレクタ電極50と対向する面)にカソード電極16を形成し、電界印加部14の下面にアノード電極20を形成するようにしている。
パルス信号Spは、図20Aに示すように、準備期間T2における正極性の電圧Vfが50Vで、時点t0から電子放出期間T1に移行し、該電子放出期間T1における負極性の電圧Voは−100Vである。
電子放出は、パルス信号Spの立ち下がり時点t0から約5μsecの時点t11で発生した。電子放出時のアノード電流Iaの値(ピーク)は約−10mAであり(図20B参照)、カソード電流Ikの値(ピーク)は約−10.5mAであり(図20C参照)、コレクタ電流Icの値(ピーク)は約−0.5mAであった(図20D参照)。
そして、図20Eに示すように、電子放出が行われた時点t11におけるカソード電極18とアノード電極14間の電圧変化ΔVakは微小であってほとんど変化がない。そのため、正イオンの発生はほとんどなく、正イオンによるカソード電極18の損傷を防止することができ、電子放出素子10Aの長寿命化において有利になることがわかる。
そして、前記パルス幅変調回路42Aは、図9Bに示すように、パルス信号Spのパルス幅Pw(オン電圧Voの連続時間)を、制御部40から供給された制御信号Scに基づいて変調して、少なくとも放出電子の量を制御する。
これにより、カソード電極16近傍から放出される電子の量をアナログ的に制御することができ、電子放出素子10Aをディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
次に、前記変調回路42の第2の具体例は、図1に示すように、パルス発生源22とカソード電極16との間に接続されたパルス周期変調回路42Bである。カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spは、図21Aに示すように、オフ電圧Vfを基準に、オン電圧Voまでの振幅を有し、かつ、一定のパルス周期Tp及び一定のパルス幅Pwを有する。
そして、パルス周期変調回路42Bは、図21Bに示すように、パルス信号Spのパルス周期Tpを、制御部40から供給された制御信号Scに基づいて変調して、少なくとも放出電子の量を制御する。
次に、前記変調回路42の第3の具体例は、図1に示すように、パルス発生源22とカソード電極16との間に接続されたパルス振幅変調回路42Cである。カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spは、図22Aに示すように、オフ電圧Vfを基準に、オン電圧Voまでの振幅Paを有し、かつ、一定のパルス周期Tp及び一定のパルス幅Pwを有する。
そして、パルス振幅変調回路43Cは、図22Bに示すように、パルス信号Spに含まれるパルスの振幅Paを、制御部40から供給された制御信号Scに基づいて変調して、少なくとも放出電子の量を制御する。
パルス振幅Paが小さくなると、単位時間あたりの電子の放出量が減り、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は低くなり(暗くなり)、パルス振幅Paが大きくなると、単位時間あたりの電子の放出量が多くなり、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は高くなる(明るくなる)。
これら第2及び第3の具体例に係る変調回路(パルス周期変調回路42B及びパルス振幅変調回路42C)においても、カソード電極16近傍から放出される電子の量をアナログ的に制御することができ、電子放出素子10Aをディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
次に、第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bについて図23を参照しながら説明する。
この第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bは、上述した第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aとほぼ同様の構成を有するが、電界印加部14の上方のうち、カソード電極16とアノード電極20間に形成されているスリット18に対向した位置にコレクタ電極50が配置されている点と、該コレクタ電極50とアノード電極20との間に可変電圧源52が接続されている点で異なる。
可変電圧源52は、コレクタ電極50とアノード電極20間に印加されるバイアス電圧Vcを、制御部40から供給された制御信号Sc2に基づいて可変にする。
そして、カソード電極16近傍から放出される電子の量を増やす場合は、可変電圧源52のバイアス電圧Vcを正方向に大きくする。
また、可変電圧源52は、スイッチング回路として使用することも可能である。即ち、電子を放出させる場合は、一定のバイアス電圧Vcをかけておき、電子を放出させない場合に、バイアス電圧Vcを小さい値にする。この場合、バイアス電圧Vcを正方向に小とするか、ゼロにする。又は負方向に大にすればよい。
次に、第3の実施の形態に係る電子放出素子10Cについて図24を参照しながら説明する。
この第3の実施の形態に係る電子放出素子10Cは、上述した第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aとほぼ同様の構成を有するが、電界印加部14の上方のうち、第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bにおけるコレクタ電極50(図24において二点鎖線で示す)よりも下方の位置に、制御電極60が配置されている点と、該制御電極60とアノード電極20との間に可変電圧源62が接続されている点で異なる。
制御電極60は、カソード電極16とアノード電極20間に形成されているスリット18の少なくとも中央部に対向する位置に窓64を有する。
窓64の形状としては、図25Aに示すように、延在方向が前記スリット18の長手方向に沿ったスリット状や、図25Bに示すように、延在方向が前記スリット18の長手方向と直交したスリット状や、図25Cに示すような円形、あるいは図25Dに示すような楕円形等が考えられる。
図24に示すように、可変電圧源62は、制御電極60とアノード電極20間に印加される制御電圧Vgを、制御部40から供給された制御信号Sc3に基づいて可変にする。
ここで、コレクタ電極50に流れるコレクタ電流Icと制御電圧Vgとの関係について図26を参照しながら説明する。まず、制御電圧Vgを電子放出停止電圧VOFFとしたときは、コレクタ電流Icはほとんど流れない。これは、電子が放出されていないことを示す。次に、制御電圧Vgを徐々に正方向に上昇させていくと、コレクタ電流Icは、制御電圧Vgに対してほぼ比例的に上昇する。 従って、カソード電極16近傍から放出される電子の量を増やす場合は、可変電圧源62の制御電圧Vgを正方向に大きくすればよい。
また、可変電圧源62は、スイッチング回路として使用することも可能である。即ち、電子を放出させる場合は、一定の制御電圧Vgをかけておき、電子を放出させない場合に、制御電圧Vgを小さい値にする。この場合、制御電圧Vgを正方向に小とするか、ゼロにする。又は負方向に大にすればよい。
これにより、カソード電極16近傍から放出される電子の量をアナログ的に制御することができ、電子放出素子10Cをディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
特に、制御電極60に印加される制御電圧Vgを適宜調整することで、放出される電子の直進性を良好にすることができ、電子放出素子10Cをディスプレイ等に適用した場合に、これら電子放出素子10C間のクロストークの抑制を有効に図ることができる。
次に、第4の実施の形態に係る電子放出素子10Dについて図27を参照しながら説明する。
この第4の実施の形態に係る電子放出素子10Dは、上述した第3の実施の形態に係る電子放出素子10Cとほぼ同様の構成を有するが、パルス発生源22からのパルス信号Spを変調して、少なくとも放出電子の量を制御する変調回路70を有する。
ここで、変調回路70の具体例について図27〜30Bを参照しながら説明する。まず、前記変調回路70の第1の具体例は、図27に示すように、パルス発生源22と制御電極60との間に接続されたパルス幅変調回路70Aである。
そして、パルス発生源22を通じてカソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spは、図28Aに示すように、オフ電圧Vfを基準に、オン電圧Voまでの振幅を有し、かつ、一定のパルス周期Tp及び一定のパルス幅Pwを有する。
パルス発生源22を通じて制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1は、図28Bに示すように、アノード電極20に印加される電圧レベル(オフ電圧Vf1のレベル)を基準に、カソード電極16近傍から放出された電子を通過させるレベル(オン電圧Vo1のレベル)までの振幅を有し、かつ、一定のパルス周期Tpを有する。
前記パルス幅変調回路70Aは、図28Bに示すように、パルス信号Sp1のパルス幅Pw1(オン電圧Vo1の連続時間)を、制御部40から供給された制御信号Sc4に基づいて変調して、少なくとも放出電子の量を制御する。
カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spと、制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1とが共にオン電圧Vo及びVo1になっている時間Toだけ電子が放出されることになる。
従って、カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spのパルス幅Pwを一定にして、制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1のパルス幅Pw1を短くすることで、単位時間あたりの電子の放出量が減り、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は低くなる(暗くなる)。逆に、パルス信号Sp1のパルス幅Pw1を長くすることによって、単位時間あたりの電子の放出量が多くなり、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は高くなる(明るくなる)。
これにより、カソード電極16近傍から放出される電子の量をアナログ的に制御することができ、電子放出素子10Dをディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
次に、前記変調回路70の第2の具体例は、パルス発生源22と制御電極60との間に接続されたパルス数変調回路70Bである。制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1は、図29Bに示すように、オフ電圧Vf1を基準に、オン電圧Vo1までの振幅を有し、かつ、一定のパルス周期Tp及び一定のパルス幅Pwを有する。即ち、カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spとほぼ同じ波形(図29A参照)を有する。
そして、パルス数変調回路70Bは、図29Bに示すように、パルス信号Sp1に含まれるパルス数を、制御部40から供給された制御信号Sc4に基づいて変化させて、少なくとも放出電子の量を制御する。
この場合も、カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spと、制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1とが共にオン電圧Vo及びVo1となっている時間だけ電子が放出されることになる。
従って、パルス信号Sp1のパルス数を少なくすると、単位時間あたりにおける電子の放出に係る実効パルス数が減り、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は低くなる(暗くなる)。反対に、パルス信号Sp1のパルス数を多くすると、単位時間あたりにおける電子の放出に係る実効パルス数が多くなり、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は高くなる(明るくなる)。
次に、前記変調回路70の第3の具体例は、図27に示すように、パルス発生源22と制御電極60との間に接続されたパルス振幅変調回路70Cである。カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号は、図30B(破線部分参照)に示すように、オフ電圧Vf1を基準に、オン電圧Vo1までの振幅Pa1を有し、かつ、一定のパルス周期Tp及び一定のパルス幅Pwを有する。即ち、この場合も、カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spとほぼ同じ波形(図30A参照)を有する。
そして、パルス振幅変調回路70Cは、図30Bに示すように、パルス信号Sp1に含まれるパルスの振幅Pa1を、制御部40から供給された制御信号Sc4に基づいて変調して、少なくとも放出電子の量を制御する。
この場合も、カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spと、制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1とが共にオン電圧Vo及びVo1になっている時間だけ電子が放出されることになる。
特に、パルス信号Sp1のパルス振幅Pa1が小さくなると、単位時間あたりの電子の放出量が減り、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は低くなり(暗くなり)、パルス振幅Pa1が大きくなると、単位時間あたりの電子の放出量が多くなり、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は高くなる(明るくなる)。
これら第2及び第3の具体例に係る変調回路(パルス数変調回路70B及びパルス振幅変調回路70C)においても、カソード電極16近傍から放出される電子の量をアナログ的に制御することができ、電子放出素子10Dをディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
上述の第4の実施の形態では、パルス発生源22と制御電極60との間に変調回路70を接続して、制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1を変調するようにしたが、その他、第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bにおいて示すコレクタ電極50とパルス発生源22との間に変調回路70を接続して、コレクタ電極50とアノード電極20間に印加されるパルス信号を変調するようにしてもよい。
次に、第5の実施の形態に係る電子放出素子10Eについて図31を参照しながら説明する。
この第5の実施の形態に係る電子放出素子10Eは、図31に示すように、上述した第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bとほぼ同様の構成を有するが、第3の実施の形態に係る電子放出素子10Cの制御電極60と可変電圧源62を有する点で異なる。
この場合、第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aにおいて示した3つの変調方式(パルス幅変調、パルス周期変調、パルス振幅変調)と、コレクタ電極50に対する可変電圧源52での2つの制御方法(バイアス電圧のレベル制御、スイッチング制御)と、制御電極60に対する可変電圧源62での2つの制御方法(バイアス電圧のレベル制御、スイッチング制御)とを任意に組み合わせた方法、即ち、12通りの方法を実現させることができる。
なお、コレクタ電極50に対する可変電圧源52でのスイッチング制御、並びに制御電極60に対する可変電圧源62でのスイッチング制御を採用すると、ディスプレイに適用した場合に、マトリックス駆動(ダイナミック駆動)方式による駆動制御が可能となる。
また、第1〜第5の実施の形態に係る電子放出素子10A〜10Eにおいては、電子放出素子10A〜10E内の真空度を1×10−3Pa程度にしても高い電流密度を得ることができる。第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bにおいては、コレクタ電極50とアノード電極20間の電圧を400V程度にしても高い電流密度を得ることができる。
次に、上述の各実施の形態に係る電子放出素子10A〜10Eをディスプレイに適用した実施の形態について説明する。なお、同一部材に対しては同符号を記してその重複説明を省略する。また、ディスプレイは、第1〜第5の実施の形態に係る電子放出素子10A〜10Eが適用可能であるため、以下の説明では、各実施の形態に係る電子放出素子10A〜10Eを総括して電子放出素子10と記す。
まず、第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aは、図32に示すように、表示面を構成するガラス基板102と、該ガラス基板102の背面に対向して設けられ、かつ多数の電子放出素子10が画素に対応してマトリックス状あるいは千鳥状に配列された表示部104を有する。
表示部104は、例えばセラミックスにて構成された基板12を有し、該基板12の各画素に応じた位置に電子放出素子10が配設されている。前記基板12は、一主面がガラス基板102の背面に対向するように配置されており、該一主面は連続した面(面一)とされている。ガラス基板102の背面には、コレクタ電極50が配され、更に、画素に対応した箇所に蛍光体層106を有する蛍光面108が形成されている。
また、このディスプレイ100Aにおいては、ガラス基板102と基板12との間において、電子放出素子10以外の部分に形成された桟110を有して構成され、図32の例では、桟110の上面にガラス基板102が固着された場合を示している。桟110の材質は、熱、圧力に対して変形しないものが好ましい。また、桟110は、接着剤によって基板12とガラス基板102との間に固着させるようにしてもよく、スクリーン印刷等の厚膜形成技術によって形成するようにしてもよい。
そして、この第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aにおいては、電子放出素子10における電界印加部14の側壁に沿って絶縁層112が形成され、該絶縁層112の上面のみに制御電極60が配設されて構成されている。絶縁層112は、例えばスクリーン印刷等の厚膜形成技術によって形成される。
絶縁層112の厚みは、電界印加部14の厚みよりも厚く、基板12の上面からガラス基板102(正確には蛍光面108)までの距離未満の厚みを有する。
そして、各電子放出素子10に通じる配線は、図33(第1の具体例に係る配線パターン114a)に示すように、多数の画素の行数に応じた本数の行選択線120と、多数の画素の列数に応じた本数の信号線122と、多数の画素の数に応じたコモンリード線124とを有する。
各行選択線120は、各画素(電子放出素子10:図32参照)におけるカソード電極16に電気的に接続され、各信号線122は、各画素の制御電極60に電気的に接続され、各コモンリード線124は、各画素のアノード電極20に電気的に接続されている。
また、前記各行選択線120は、前列の画素に関するカソード電極16から導出されて当該画素に関するカソード電極46に接続されて、1つの行に関し、シリーズに配線された形となっている。信号線122は、列方向に延びる本線122aと該本線122aから分岐して各電子放出素子10の制御電極60に接続される支線122bからなる。
各行選択線120への電圧信号の供給は、例えば基板12の端面に印刷形成された配線パターンを通じて行われ、各信号線122への電圧信号の供給は、本線122aにつながるスルーホール126を通じて行われ、コモンリード線124への電圧印加はスルーホール128を通じて行われる。
なお、各行選択線120と各信号線122とが交差する部分には、互いの配線120及び122間の絶縁をとるためにシリコン酸化膜、ガラス膜、樹脂膜等からなる絶縁膜130(一点鎖線で示す)が介在されている。
図33に示す配線パターン114aでは、電界印加部14の平面形状、カソード電極16、アノード電極20及び制御電極60の平面形状にて形づくられる外周形状を円形状とした場合を示したが、その他、図34に示す第2の具体例に係る配線パターン114bや、図35に示す第3の具体例に係る配線パターン114cのように長円形状(トラック形状)としてもよい。また、図36に示す第4の具体例に係る配線パターン114dのように楕円形状としてもよい。なお、図34及び図35では、信号線122の記載を省略してある。
また、図37に示す第5の具体例に係る配線パターン114eのように、電界印加部14の平面形状、カソード電極16、アノード電極20及び制御電極60の平面形状を共に矩形状とし、それぞれコーナー部が角のとれた形状や、図38に示す第6の具体例に係る配線パターン114fように、電界印加部14の平面形状、カソード電極16、アノード電極20及び制御電極60の平面形状を共に多角形状(例えば八角形状)とし、各頂角部分が丸みを帯びた形状としてもよい。
また、電界印加部14の平面形状、カソード電極16、アノード電極20及び制御電極60の平面形状にて形づくられる外周形状は、円形と楕円形の組み合わせでもよいし、矩形状と楕円形の組み合わせでもよく、特に限定されるものではない。また、電界印加部14の平面形状は、ここでは図示しないが、リング状とすることも好ましく採用される。この場合も、外周形状として、円形、楕円形、矩形状など種々のものが挙げられる。
図33、図37及び図38の例では、基板12上での各電子放出素子10(画素)の配置をマトリックス状とした例を示したが、その他、図36に示すように、各行に対して電子放出素子10(画素)を千鳥状に配置するようにしてもよい。
この図36の配線パターン114dの場合は、各行に関する電子放出素子10(画素)の配置が千鳥状となることから、各行に関し、それぞれ行選択線120を結ぶライン(一点鎖線aで示す)はジグザグ状となる。
信号線122は、基板12の裏面において、破線bに示すように、前記千鳥状に配される電子放出素子10のうち、例えば垂直方向上側に位置する画素(電子放出素子10)に対応する箇所に2本の信号線122及び122を互いに近接させて配線したパターンを有する。
そして、図36上、千鳥状に配される画素のうち、例えば垂直方向上側に位置する画素(電子放出素子10)の制御電極60が、前記互いに近接する2本の信号線122及び122のうち、右側の信号線122と中継導体132及びスルーホール126を通じて電気的に接続され、垂直方向下側に位置する画素(電子放出素子10)の制御電極60が、前記互いに近接する2本の信号線122及び122のうち、左側の信号線122と中継導体134及びスルーホール126を通じて電気的に接続される。
また、基板12の裏面にコモンリード線124(破線cで示す)を配線し、隣接する4つの電子放出素子10毎に共通にそれぞれ1つのスルーホール128を設け、各スルーホール128と前記コモンリード線124とを電気的に接続する。そして、隣接する4つの電子放出素子10からそれぞれ対応するスルーホール128に対して中継導体136をつなぐことで、各電子放出素子10におけるアノード電極20とコモンリード線124とを電気的に接続する。
上述の例では、信号線122を制御電極60に接続したが、その他、図39や図40に示すように、信号線122をカソード電極16にスイッチング素子140(例えばTFTなど)を介して接続するようにしてもよい。この場合、行選択線120がスイッチング素子140のゲート142に接続され、信号線122がスイッチング素子140の一方のソース/ドレイン144に接続され、カソード電極16が他方のソース/ドレイン146に接続される。なお、図39は、カソード電極16とアノード電極20を互い違いに配列された櫛歯形状とした例(第7の具体例に係る配線パターン114g)を示し、図40は、カソード電極16とアノード電極20を互いに並行に、かつ相互に離間された渦巻き状とした例(第8の具体例に係る配線パターン114h)を示す。
上述のようにスイッチング素子140としてTFTを用いた場合、アクティブマトリックス駆動が可能となる。
前記スイッチング素子140としては、TFTのほか、バリスタやツェナーダイオード、MIM等の非線形抵抗素子を使用することができる。この場合、アクティブマトリックス駆動が可能となると共に、電子放出素子10を過電流から保護できるという利点がある。
また、過電流抑制効果を持たせる駆動回路としては、カソードもしくはアノードと直列に、コンデンサと抵抗の並列回路を接続する。この場合、抵抗により過電流を抑制させると共に、コンデンサのバイパス効果でパルス印加時の立ち上がり電流を損ねることはないという利点を有する。
もちろん、図39及び図40の例に限らず、スイッチング素子140を使用せずに、行選択線120を直接カソード電極16に接続し、信号線122を直接制御電極60(図示せず)に接続するようにしてもよい。
次に、第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aの動作を図32及び図33を参照しながら簡単に説明する。駆動方式として、例えば図28A及び図28Bの方法を採用した場合は、ある行に関する行選択線120の電圧をオン電圧Voにすることで、その行に関する電子放出素子10が選択され、更に、各信号線122に供給されるパルス信号Sp1のパルス幅Pw1を、画像信号の属性に応じて、各画素毎に変調する。
この動作を全行に対して行うことで、1フレームの画像がガラス基板102の表面から映し出され(フレーム動作)、更に、このフレーム動作を連続して行うことで、このディスプレイ100Aに供給される画像信号に応じた静止画あるいは動画がガラス基板102の表面から映し出されることになる。もちろん、図29A〜図30B等の駆動方式を採用することもできる。
ここで、制御電極60の平面形状について図41〜図54を参照しながら説明する。なお、図41〜図54においては、説明を簡単化するために3行3列の画素(電子放出素子10)の配列を対象にしている。もちろん、n行×m列の任意の配列(マトリックス配列や千鳥配列)にも対応させることができる。
まず、第1の具体例に係る制御電極60Aは、図41に示すように、その外形が複数の電子放出素子10の配列で形作られる枠150よりも大きく、各電子放出素子10に対応した位置、特に、スリット18の中央部分と対向する位置に円形の窓64を有する。この制御電極60Aによれば、構造が簡単で、作製し易いという利点がある。
なお、枠150は、1列目に並ぶ電子放出素子10群のカソード電極16の端面を結ぶ辺(一点鎖線Aで示す)と、最終列目に並ぶ電子放出素子10群のアノード電極20の端面を結ぶ辺(一点鎖線Bで示す)と、1行目に並ぶ電子放出素子10群のカソード電極16及びアノード電極20の各端面を結ぶ辺(一点鎖線Cで示す)と、最終行目に並ぶ電子放出素子10群のカソード電極16及びアノード電極20の各端面を結ぶ辺(一点鎖線Dで示す)とで形作られる。
第2の具体例に係る制御電極60Bは、図42に示すように、その外形が前記枠150とほぼ同じである点で異なり、第3の具体例に係る制御電極60Cは、図43に示すように、その外形が前記枠150よりも小さい点で異なる。これらの場合も、構造が簡単で、作製し易いという利点がある。
第4の具体例に係る制御電極60Dは、図44に示すように、外枠152と該外枠152内において複数の縦罫154及び横罫156が形成された網目状の構造を有し、各電子放出素子10におけるスリット18の中央部分と対向する位置にそれぞれ矩形状の窓64(網目によって形作られる窓)が形成された構造を有する。この制御電極60Dによれば、貫通部分が多いことから、制御電極60Dの軽量化が実現できると共に、コストの面でも有利となる。
第5の具体例に係る制御電極60Eは、図45に示すように、第4の具体例に係る制御電極60Dとほぼ同様の構成を有するが、縦罫154の一部を閉塞させた構造を有する。この場合、第4の具体例に係る制御電極60Dよりも強度的に有利になる。
第6の具体例に係る制御電極60Fは、図46に示すように、第1の具体例に係る制御電極60Aとほぼ同様の構成を有するが、窓64がスリット状であり、その延在方向が各電子放出素子10のスリット18の長手方向に沿い、かつ、縦方向に配列された複数の電子放出素子10に対して共通に連続形成されている点で異なる。この場合、制御電極60Fの作製が容易であるという利点がある。
第7の具体例に係る制御電極60Gは、図47に示すように、第1の具体例に係る制御電極60Aとほぼ同様の構成を有するが、窓64がスリット状であり、その延在方向が各電子放出素子10のスリット18の長手方向と直交し、かつ、横方向に配列された複数の電子放出素子10に対して共通に連続形成されている点で異なる。この場合も、制御電極60Gの作製が容易であるという利点がある。
第8の具体例に係る制御電極60Hは、図48に示すように、第6の具体例に係る制御電極60Fとほぼ同様の構成を有するが、列毎に独立している点で異なる。この場合、制御電極60Hを列単位に駆動することができる。
例えば、1列目の制御電極60Haを赤、2列目の制御電極60Hbを緑、3列目の制御電極60Hcを青に対応させた並びにすると、色毎に独立して制御をかけることができ、細かい色調整が可能となる。また、1列目の制御電極60Haを画面の左側、2列目の制御電極60Hbを画面の中央、3列目の制御電極60Hcを画面の右側に対応させた並びにすると、画面の位置ごとに独立して制御をかけることができ、画面の任意の領域ごとに輝度補正や色むら補正を行うことができる。
第9の具体例に係る制御電極60Iは、図49に示すように、第8の具体例に係る制御電極60Hとほぼ同様の構成を有するが、各電子放出素子10のスリット18の長手方向が横方向とされている点で異なる。この場合、制御電極60Iを行単位に駆動することができる。
例えば、1行目の制御電極60Iaを赤、2行目の制御電極60Ibを緑、3行目の制御電極60Icを青に対応させた並びにすると、色ごとに独立して制御をかけることができ、細かい色調整が可能となる。また、1行目の制御電極60Iaを画面の上側、2行目の制御電極60Ibを画面の中央、3行目の制御電極60Icを画面の下側に対応させた並びにすると、画面の位置ごとに独立して制御をかけることができ、画面の任意の領域ごとに輝度補正や色むら補正を行うことができる。
第10の具体例に係る制御電極60Jは、図50に示すように、第7の具体例に係る制御電極60Gとほぼ同様の構成を有するが、行毎に独立している点で異なる。この場合、制御電極60J(60Ja、60Jb及び60Jc)を行単位に駆動することができる。
第11の具体例に係る制御電極60Kは、図51に示すように、第10の具体例に係る制御電極60Jとほぼ同様の構成を有するが、各電子放出素子10のスリット18の長手方向が横方向とされている点で異なる。この場合、制御電極60K(60Ka、60Kb及び60Kc)を列単位に駆動することができる。
第12の具体例に係る制御電極60Lは、図52に示すように、第1の具体例に係る制御電極60Aとほぼ同様の構成を有するが、電子放出素子10毎(画素毎)に独立している点で異なる。この場合、制御電極60Lを電子放出素子10単位(画素単位)に駆動することができる。そのため、画素毎に輝度補正、色むら補正などが可能となる。
第13の具体例に係る制御電極60Mは、図53に示すように、第8の具体例に係る制御電極60Hとほぼ同様の構成を有するが、電子放出素子10毎(画素毎)に独立している点で異なる。この場合も、制御電極60Mを電子放出素子10単位(画素単位)に駆動することができる。そのため、画素毎に輝度補正、色むら補正などが可能となる。
第14の具体例に係る制御電極60Nは、図54に示すように、第11の具体例に係る制御電極60Kとほぼ同様の構成を有するが、電子放出素子10毎(画素毎)に独立している点で異なる。この場合も、制御電極60Nを電子放出素子10単位(画素単位)に駆動することができる。そのため、画素毎に輝度補正、色むら補正などが可能となる。
このように、第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aにおいては、各電子放出素子10においてカソード電極16及びアノード電極20上に配された制御電極60を有するようにしたので、コレクタ電極50の役割を制御電極60にて補うことができる。
即ち、コレクタ電極50とアノード電極20間に印加される電圧を適宜調整することで、放出電子の量や加速度を制御することができる。これに加えて、制御電極60に印加される信号のレベルやパルス幅等を適宜調整することで、制御電極60においても、放出電子の量を制御することができる。その結果、放出電子の量と加速度を独立して制御することが可能となり、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
また、制御電極60に印加される信号のレベルやパルス幅等を適宜調整することで、放出電子の直進性も良好にすることができることから、各電子放出素子10間のクロストークの抑制を有効に図ることができる。
ところで、制御電極60がないディスプレイでカラー表示を行わせる場合は、図55に示すように、3種類の電子放出素子(赤用の電子放出素子10r、緑用の電子放出素子10g及び青用の電子放出素子10b)が必要になる。
しかし、制御電極60を具備した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aにおいては、図56に示すように、1つの電子放出素子10に対して3つの制御電極(赤用の制御電極60r、緑用の制御電極60g及び青用の制御電極60b)を形成することで、1つの電子放出素子10でカラー表示を行うことができる。例えば、電子放出素子10のカソード電極16及びアノード電極20間の信号をオン電圧レベルとし、更に、例えば青用の制御電極60bとアノード電極20間の信号をオン電圧レベルとすることで、当該電子放出素子10を通じて青色を発光させることができる。
このような構成を採用することにより、画素の配列ピッチを狭くすることができ、高精細化を実現させることができる。また、制御電極60がない場合は、電子放出素子10の大きさで画素の配列ピッチが決定されることになるが、制御電極60を具備させることで、制御電極60の線幅や蛍光体層106(図32参照)の線幅で画素の配列ピッチが決定されることになる。これは、画素の配列ピッチが電子放出素子10の大きさで制約を受けないことを示し、設計の自由度が向上すると共に、高精細化が実現できることにつながる。
なお、図56の例では、1つの電子放出素子10に対して、3つの制御電極60r、60g及び60bを形成した場合を示したが、1つの電子放出素子10に対する制御電極60の数を増やすことで、更なる高精度化を実現させることができる。
次に、第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aの変形例について図57〜図66を参照しながら説明する。
まず、第1の変形例に係るディスプレイ100Aaは、図57に示すように、上述した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60が絶縁層112の上面から側面並びに基板12の一部にかけて連続形成されている点で異なる。この場合、制御電極60の面積が広くなることから、寄生抵抗や寄生インダクタンスの低減に有利となり、高周波のパルス信号に対する変調の高忠実性が期待できる。
ところで、絶縁層112の厚みが大きくなると、絶縁層112の上面に制御電極60を形成した場合に、制御電極60の荷重や使用時の振動、絶縁層112自体の重みなどによって絶縁層112にたわみが発生しやすくなり、放出電子を精度よく制御できなくなるおそれがある。しかし、この例では、制御電極60のうち、絶縁層112の側面から基板12の一部にかけて連続形成された部分が絶縁層112の支持部材として機能することから、上述のような絶縁層112のたわみは生じなくなり、放出電子を精度よく制御することができる。
次に、第2の変形例に係るディスプレイ100Abは、図58に示すように、上述した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aとほぼ同様の構成を有するが、電界印加部14の上面のうち、その周辺部に絶縁層112が形成され、該絶縁層112の上面に制御電極60が形成されている点で異なる。
この場合、絶縁層112の厚みを薄くできることから、絶縁層112にたわみは発生しなくなり、放出電子を精度よく制御することができる。
第3の変形例に係るディスプレイ100Acは、図59に示すように、上述した第2の変形例に係るディスプレイ100Abとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60が絶縁層112の上面から側面並びに電界印加部14の一部(周部)にかけて連続形成されている点で異なる。
第4の変形例に係るディスプレイ100Adは、図60に示すように、上述した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60とガラス基板102との間に絶縁層160を介在させて、絶縁層112、制御電極60及び絶縁層160の多層構造にて桟110(図32参照)を兼用している点で異なる。
この場合、各電子放出素子10間に桟110を形成する必要がないことから、電子放出素子10の高集積化を実現させることができる。
第5の変形例に係るディスプレイ100Aeは、図61に示すように、上述した第1の変形例に係るディスプレイ100Aaとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60とガラス基板102との間に絶縁層160を介在させて、絶縁層112、制御電極60及び絶縁層160の多層構造にて桟110を兼用している点で異なる。
第6の変形例に係るディスプレイ100Afは、図62に示すように、上述した第2の変形例に係るディスプレイ100Abとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60とガラス基板102との間に絶縁層160を介在させて、絶縁層112、制御電極60及び絶縁層160の多層構造にて桟110を兼用している点で異なる。
第7の変形例に係るディスプレイ100Agは、図63に示すように、上述した第3の変形例に係るディスプレイ100Acとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60とガラス基板102との間に絶縁層160を介在させて、絶縁層112、制御電極60及び絶縁層160の多層構造にて桟110を兼用している点で異なる。
第8の変形例に係るディスプレイ100Ahは、図64に示すように、上述した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aとほぼ同様の構成を有するが、電界印加部14の上面のうち、その周辺部に第2の桟162が例えば接着剤にて固着され、該第2の桟162の上面に制御電極60が張設されている点で異なる。
第9の変形例に係るディスプレイ100Aiは、図65に示すように、上述した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aとほぼ同様の構成を有するが、基板12上のうち、電界印加部14に近接した部分に第2の桟162が例えば接着剤にて固着され、該第2の桟162の上面に制御電極60が張設されている点で異なる。
第10の変形例に係るディスプレイ100Ajは、図66に示すように、制御電極60が、複数の立ち上がり片170と、基板12と平行に配された電極本体172とが一体に形成されて構成されている点で異なる。立ち上がり片170は、立ち上がり部170aと屈曲部170bとが一体とされた断面L字状とされている。基板12上のうち、その周部に立ち上がり片170の屈曲部170bが例えば接着剤にて固着されている。
第11の変形例に係るディスプレイ100Akは、図67に示すように、電子放出素子(第6の実施の形態に係る電子放出素子10F)が、電界印加部14の上面に形成されたカソード電極16とアノード電極20上に絶縁層112が形成されている点と、前記絶縁層112上に電極膜による制御電極60が形成されている点で異なる。
上述したように、カソード電極16にオン電圧レベルの電圧が供給されることによって、電界集中ポイントAあるいはカソード電極16と電界印加部14との界面から電子が放出されることになる。
この放出された電子(1次電子)のうち、アノード電極20に引かれた電子や、該電子が電界印加部14に衝突することによって発生する2次電子は、主にアノード電極20の近傍に存在する気体又はアノード電極20の近傍において蒸散して浮遊する電極原子等を正イオンと電子に電離する。
この電離によって発生した正イオンは、例えばカソード電極16に衝突する場合があり、これによってカソード電極16が損傷するおそれがある。
しかし、この第11の変形例に係るディスプレイ100Akにおける電子放出素子10Gでは、カソード電極16及びアノード電極20の各表面に絶縁層112を形成するようにしたので、カソード電極16への正イオンの衝突を回避することができ、カソード電極16の損傷を防止することができる。
次に、第12の変形例に係るディスプレイ10Amについて図68を参照しながら説明する。
この第12の変形例に係るディスプレイAmの電子放出素子(第7の実施の形態に係る電子放出素子10G)は、以下に示す構成を有する。
即ち、図68に示すように、アノード電極20が基板12上に形成され、電界印加部14が基板12上にアノード電極20を覆うように形成され、カソード電極16が電界印加部14上に形成され、かつ、中央にスリット18を有するリング状に形成されている。そして、リング状のカソード電極16上に絶縁層112が形成され、更に、絶縁層112上に電極膜による制御電極60が形成されている。
次に、第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bについて図69を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、各実施の形態に係る電子放出素子10A〜10Hを総括して電子放出素子10と記す。
この第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bは、図69に示すように、上述した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60の上面に絶縁層160が形成され、更に、この絶縁層160の上面に第2の制御電極180が形成されている点で異なる。第2の制御電極180は、カソード電極16とアノード電極20間に形成されているスリット18の少なくとも中央部に対向する位置に窓184を有する。
ここで、電子放出素子10における階調制御について説明する。図70A及び図70Bに示すように、カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spがオン電圧Voとなっている期間のうち、最初の段階では、電子の放出量はオン電圧Voに応じた量となっているが、時間の経過に伴って次第に放出量が減少していく。
従って、パルス幅変調によって表示階調を制御する場合に、以下のような不都合が生じる場合がある。
即ち、図71に示すように、制御部40からの制御信号Scの論理値を階調指令値と定義したとき、階調指令値と輝度の関係を論理的に比例関係(破線A参照)として制御することが考えられる。この考えは、オン電圧Voが継続している期間、電子の放出量が一定であることを前提としたものである。
しかし、上述したように、オン電圧Voの継続時間が長くなるほど電子の放出量が減少するという非線形的な特性を有することから、図71の曲線Bに示すように、階調指令値の変化に対して輝度は非線形的に変化することとなり、高精度な階調制御ができなくなるおそれがある。
そこで、まず、第2の制御電極180がないディスプレイ(第1の実施の形態に係るディスプレイ100A)で前記問題を解決する場合、図72に示すように、変調回路42と制御部40との間に、階調指令値を補正するリニアライズ補正回路182を接続することが挙げられる。
リニアライズ補正回路182は、階調補正値の変化に基づく表示階調の変化が線形特性となるような補正をかける。具体的には、図73に示すように、入力される階調指令値に対応した補正値を、予め決められた計算式に基づいて演算、あるいは情報テーブルから読み出して出力する。そして、前記計算式あるいは情報テーブルに登録される補正値は、該補正値の変化に基づく表示階調の変化が線形特性となるように設定される。補正値の変化としては、例えばパルス信号Spのパルス幅が短い期間においては、ほぼリニアに変化し、パルス幅が長くなるに従って指数関数的(あるいは対数関数的)に変化する特性が選ばれる。
このリニアライズ補正回路182の存在によって、図74に示すように、階調指令値の変化に対する輝度の変化は、ほぼ線形的な特性となる。
一方、第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bにおいては、第2の制御電極180を有することから、図75A及び図75Bに示すように、第2の制御電極180とアノード電極20間に、図70Bに示す電子の放出量の変化とは逆の変化特性を有する可変電圧Vg2を印加する。この可変電圧Vg2は、時間の経過に伴う電子放出量の特性曲線(図70Bの特性曲線C参照)に従って、レベルが上がる波形を有する。
第2の制御電極180に上述の波形を有する可変電圧Vg2を印加することで、非線形特性を有していた電子放出量の変化(時間の経過に伴う変化:図70B参照)が、図75Cに示すように、ほぼ一定となるように補正され、その結果、図74に示すように、階調指令値の変化に基づく輝度の変化が線形特性となる。
また、第2の制御電極180を具備することで、放出電子の直進性が一層改善され、クロストークの問題は解消される。これは、電子放出素子10(画素)の高集積化の向上につながる。
また、第2の制御電極180を具備させた場合、図76に示すように、制御電極60と組み合わせることで、電子放出素子10のアクティブマトリックス駆動が可能となる。例えば制御電極60を行方向に配列し、第2の制御電極180を列方向に配列する。そして、例えば2行4列目の電子放出素子10(2,4)を選択する場合は、2行目の制御電極60(2)と4列目の第2の制御電極180(4)にそれぞれオン電圧レベルの信号を印加すればよい。同様に、5行3列目の電子放出素子10(5,3)を選択する場合は、5行目の制御電極60(5)と3列目の第2の制御電極180(3)にそれぞれオン電圧レベルの信号を印加すればよい。
この場合、電子放出素子10毎にドライバICを用意する必要がなくなるため、製造コストの低廉化に有効となる。
第2の制御電極180を具備した第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bにおいて、図77に示すように、1つの電子放出素子10に対して3つの第2の制御電極(赤用の第2の制御電極180r、緑用の第2の制御電極180g及び青用の第2の制御電極180b)を形成することで、1つの電子放出素子10でカラー表示を行うことができる。
例えば、電子放出素子10のカソード電極16及びアノード電極20間の信号、制御電極60とアノード電極20間の信号を共にオン電圧レベルとし、更に、例えば青用の第2の制御電極180bとアノード電極20間の信号をオン電圧レベルとすることで、当該電子放出素子10を通じて青色を発光させることができる。
このような構成を採用することにより、画素の配列ピッチを狭くすることができ、高精細化を実現させることができる。即ち、第2の制御電極180の線幅や蛍光体層106(図69参照)の線幅で画素の配列ピッチが決定されることになる。これは、画素の配列ピッチが電子放出素子10の大きさで制約を受けないことを示し、設計の自由度が向上すると共に、高精細化が実現できることにつながる。
なお、図77の例では、1つの電子放出素子10に対して、3つの第2の制御電極180r、180g及び180bを形成した場合を示したが、1つの電子放出素子10に対する第2の制御電極180の数を増やすことで、更なる高精度化を実現させることができる。
また、第2の制御電極180を具備させることで以下のような自己診断機能を持たせることができる。
即ち、放出電子を第2の制御電極180にて捕獲し、その電子捕獲に伴う電流を検出して診断を行うというものである。この自己診断処理過程を図78に基づいて説明する。
まず、カソード電極16とアノード電極20間に印加される信号、並びに制御電極60とアノード電極20間に印加される信号を共にオン電圧レベルにして、電子放出素子10から電子を放出させる(ステップS1)。このとき、蛍光体層106(及びコレクタ電極50)にて電子を捕集せずに、第2の制御電極180にて電子を捕集する(ステップS2)。
第2の制御電極180に流れた電流を測定し(ステップS3)、測定した電流値に基づいて電子放出量を求める(ステップS4)。
得られた電子放出量と予め設定されている正常値とを比較して、電子放出素子10の状態を判定する。状態とは、電子放出の経時変化の程度や故障の有無などである(ステップS5)。
そして、ステップS6において、判定に基づく処理を行う。故障であれば警報出力を行い、経時変化の程度が予め設定された状態変化と異なる場合は、程度に応じて駆動条件を変化させるなどである。
ステップS1〜S6まで一連の処理(自己診断処理)は、ディスプレイ100Bに対する電源投入直後に行ってもよく、任意のタイミングで行ってもよい。
次に、第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bの変形例について図79〜図88を参照しながら説明する。
まず、第1の変形例に係るディスプレイ100Baは、図79に示すように、上述した第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60、絶縁層160及び第2の制御電極180が絶縁層112の上面から側面並びに基板12の一部にかけて連続形成されている点で異なる。
第2の変形例に係るディスプレイ100Bbは、図80に示すように、上述した第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bとほぼ同様の構成を有するが、電界印加部14の上面のうち、その周辺部に絶縁層112が形成され、該絶縁層112の上面に制御電極60が形成され、該制御電極60の上面に絶縁層160が形成され、該絶縁層160の上面に第2の制御電極180が形成されている点で異なる。
第3の変形例に係るディスプレイ100Bcは、図81に示すように、上述した第2の変形例に係るディスプレイ100Bbとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60、絶縁層160及び第2の制御電極180が絶縁層112の上面から側面並びに電界印加部14の一部(周部)にかけて連続形成されている点で異なる。
第4の変形例に係るディスプレイ100Bdは、図82に示すように、上述した第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bとほぼ同様の構成を有するが、第2の制御電極180とガラス基板102との間に絶縁層190を介在させて、絶縁層112、制御電極60、絶縁層160、第2の制御電極180及び絶縁層190の多層構造にて桟110(図69参照)を兼用している点で異なる。
第5の変形例に係るディスプレイ100Beは、図83に示すように、上述した第1の変形例に係るディスプレイ100Baとほぼ同様の構成を有するが、第2の制御電極180とガラス基板102との間に絶縁層190を介在させて、絶縁層112、制御電極60、絶縁層160、第2の制御電極180及び絶縁層190の多層構造にて桟110を兼用している点で異なる。
第6の変形例に係るディスプレイ100Bfは、図84に示すように、上述した第2の変形例に係るディスプレイ100Bbとほぼ同様の構成を有するが、第2の制御電極180とガラス基板102との間に絶縁層190を介在させて、絶緑層112、制御電極60、絶縁層160、第2の制御電極180及び絶縁層190の多層構造にて桟110を兼用している点で異なる。
第7の変形例に係るディスプレイ100Bgは、図85に示すように、上述した第3の変形例に係るディスプレイ100Bcとほぼ同様の構成を有するが、第2の制御電極180とガラス基板102との間に絶縁層190を介在させて、絶縁層112、制御電極60、絶縁層160、第2の制御電極180及び絶縁層190の多層構造にて桟110を兼用している点で異なる。
第8の変形例に係るディスプレイ100Bhは、図86に示すように、上述した第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bとほぼ同様の構成を有するが、電界印加部14の上面のうち、カソード電極16とアノード電極20の周辺部に第2の桟162が例えば接着剤にて固着され、該第2の桟162の上面に制御電極60が張設されている点と、電界印加部14の上面のうち、その外周部分に第3の桟192が例えば接着剤にて固着され、該第3の桟192の上面に第2の制御電極180が張設されている点で異なる。
第9の変形例に係るディスプレイ100Biは、図87に示すように、上述した第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bとほぼ同様の構成を有するが、基板12上のうち、電界印加部14に近接した部分に第2の桟162が例えば接着剤にて固着され、該第2の桟162の上面に制御電極60が張設されている点と、基板12上のうち、第2の桟162に近接した部分に第3の桟192が例えば接着剤にて固着され、該第3の桟192の上面に第2の制御電極180が張設されている点で異なる。
第10の変形例に係るディスプレイ100Bjは、図88に示すように、第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aの第10の変形例に係るディスプレイ100Aj(図66参照)とほぼ同様の構成を有するが、第2の制御電極180が、複数の立ち上がり片200と、基板12と平行に配された電極本体202とが一体に形成されて構成されている点で異なる。立ち上がり片200は、立ち上がり部200aと屈曲部200bとが一体とされた断面L字状とされている。基板12上のうち、その周部に立ち上がり片200の屈曲部200bが例えば接着剤にて固着されている。
次に、第3の実施の形態に係るディスプレイ100Cについて図89〜図92を参照しながら説明する。
この第3の実施の形態に係るディスプレイ100Cは、図89に示すように、基台となるガラス基板210と、該ガラス基板210上に配置された複数のセラミック基板212(図89では1枚のみ示す)と、該セラミック基板212に対向して設けられ、一方の面が表示面を形成するガラス基板214とを有する。
各セラミック基板212の上面には、図示しないが、例えば横方向に16画素分の電子放出素子10が配列され、縦方向に16画素分の電子放出素子10が配列されて、合計256画素分の電子放出素子10がマトリックス状に配列されている。
1画素は、カラー表示を行う場合、赤色、緑色及び青色に対応した3つの電子放出素子10を有する。従って、電子放出素子10の数で換算すると、前記セラミック基板212の上面には、256×3=768個の電子放出素子10が配列されることとなる。なお、電子放出素子10間の配列ピッチは、縦方向が例えば0.6mm、横方向が例えば0.2mmとされている。
ガラス基板210の上面には、前記セラミック基板212が縦方向に8つ、横方向に8つ配列され、合計64枚のセラミック基板212がマトリックス状に配列される。従って、ガラス基板210上には、全体として縦方向に128画素、横方向に128画素が配列される。
これら64枚のセラミック基板212の配列によって形成された1つの面に、図90及び図91に示すように、ディスプレイ100Cの各行に対応して横方向に延びるロウ電極パターン216が形成され、ディスプレイ100Cの各列に対応して縦方向に延びるカラム電極パターン218が形成される。ロウ電極パターン216は、それぞれ所要位置において縦方向に張り出すカソード電極220が一体に形成されている。従って、カラム電極パターン218は、各カソード電極220と横方向において対向する部分が存在することになる。そこで、以下の説明では、カラム電極パターン218のうち、各カソード電極220と対向する部分を特にアノード電極222と記す。
そして、各電子放出素子10は、カソード電極220とアノード電極222とこれらカソード電極220とアノード電極222の下部に形成された電界印加部14とを有して構成される。
各電子放出素子10において、カソード電極220とアノード電極222との間は、スリット18が形成され、下部の電界印加部14が該スリット18を通して露出するようになっている。つまり、ここでのカソード電極220は、例えば第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aのカソード電極16に対応し、アノード電極222は、同じくディスプレイ100Aのアノード電極20に対応する。しかし、このアノード電極222には、アノード電極20と異なって、画像信号に応じたON信号及びOFF信号がカラム電極パターン218を通じて供給されることになる。なお、電界印加部14は、各電子放出素子10間において分離されている。電界印加部14の具体的な構成材料については上述したので、ここではその説明を省略する。
一方、表示面を形成するガラス基板214の裏面(各電子放出素子10に対向する面)には、複数のコレクタ電極50が形成されている。各コレクタ電極50は、例えばITO膜にて構成され、列方向に並ぶ各電子放出素子10のスリット18に対向して共通に形成されている。また、このコレクタ電極50の下面には、それぞれ各列に対応する色の蛍光体層106が形成されている。
図89〜図91では、図示していないが、表示面を形成するガラス基板214と、多数の電子放出素子10が形成されたセラミック基板212との間には、例えば図57に示すような、桟110を所望位置に形成するようにしてもよい。
また、図89の例では、基台となるガラス基板210の上に複数のセラミック基板212を載置し、これらセラミック基板212の上面にて形成される1つの面に、電界印加部14、各電極パターン216及び218を形成して、それぞれ電子放出素子10を形成するようにしたが、その他、前記基台となるガラス基板210上に直接電界印加部14、各電極パターン216及び218を形成して、それぞれ電子放出素子10を形成するようにしてもよい。
ここで、この第3の実施の形態に係るディスプレイ100Cの駆動回路230について図92を参照しながら説明する。
この駆動回路230は、図92に示すように、多数の電子放出素子10の行数に応じた本数の行選択線232と、多数の電子放出素子10の列数に応じた本数の信号線234とを有する。
また、この駆動回路230は、行選択線232に選択的に駆動信号Ssを供給して、1行単位に電子放出素子10を順次選択する垂直シフト回路236と、信号線234にパラレルにデータ信号Sdを出力して、前記垂直シフト回路232にて選択された行(選択行)の電子放出素子10にそれぞれデータ信号Sdを供給する水平シフト回路238と、入力される映像信号Sv及び同期信号Scに基づいて垂直シフト回路236及び水平シフト回路238を制御する信号制御回路240とを有する。なお、垂直シフト回路236、水平シフト回路238及び信号制御回路240には、電源部242から電源電圧が供給される。
ところで、例えば図93に示すように、3つの電子放出素子に対して同じ電圧レベルの駆動電圧を印加した場合においても、製造ばらつきにより、電子放出量に差が生じる場合がある。図93の例では、第1の電子放出素子10aの電子放出量が最も多く、第3の電子放出素子10cの電子放出量が規定量に近く、第2の電子放出素子10bの電子放出量が最も少ない場合を示している。
そこで、図92に示すように、信号制御回路240に輝度補正用のメモリ250を具備させる。そして、該メモリ250に、少なくとも電子放出素子10毎の輝度ばらつきを補正するための輝度補正データが展開された輝度補正テーブルを格納しておく。
信号制御回路240は、それぞれ行単位に各電子放出素子10のデータ信号Sdを作成することとなるが、このときに、前記メモリ250に格納されている輝度補正テーブルを参照しながらデータ信号Sdを補正する。
前記輝度補正テーブルの作成過程としては、例えば、ディスプレイ100Cに一様の画像を表示し、全電子放出素子10の輝度を検出する。具体的には、ディスプレイ100Cの全電子放出素子10に対して例えばグレースケールの中間レベル(フルスケールとして256の階調レベルとしたとき、例えば128の階調レベル)の信号を与えて表示させ、この状態で例えば輝度計を用いて全電子放出素子10の各輝度を測定して、このディスプレイ100Cの実測輝度分布を求める。
その後、各電子放出素子10の輝度目標値を算出し、次いで、各電子放出素子10の輝度目標値に基づいて各電子放出素子10についての輝度補正係数を算出する。具体的には、測定した各電子放出素子10の輝度実測値に基づいて、前記実測輝度分布の平滑化処理を行い、理論輝度分布(輝度目標値の分布)を求める。平滑化処理としては、例えば平均化処理、最小自乗法、高次曲線近似等が挙げられる。
なお、輝度実測値が極端に低い電子放出素子10がある場合は、その電子放出素子10の輝度実測値を無視して平滑化処理を行うことにより、滑らかな曲線を有する理論輝度分布を求めることが好ましい。
このような輝度補正を行うことで、製造上の各電子放出素子の輝度ばらつきが吸収され、画質の向上を図ることができる。
前記輝度補正の手法としては、上述の手法のほか、いわゆる移動平均化を採用するようにしてもよい。この移動平均化は、1つの電子放出素子10(中央の電子放出素子10)とその周辺に配列された複数の電子放出素子10の各輝度値を平均し、該平均値を中央の電子放出素子10の輝度目標値とし、該中央の電子放出素子10の実測輝度値と輝度目標値に基づいて、中央の電子放出素子10の輝度補正係数を求めていく方法である。
この移動平均化によれば、ディスプレイ100Cを多数配列させて大画面表示装置を作製する場合に有利であり、各ディスプレイ100Cにおける輝度分布のばらつきを抑制しつつ、継ぎ目も目立たなくでき、しかも、ディスプレイ100Cの個々の輝度を生かすことができ、明るく発光させることができるディスプレイ100Cを必要以上に輝度低下させることのないようにすることができる。
また、全ての電子放出素子10について輝度目標値を算出した後の処理としては、例えばボトムアップ法やトップダウン法がある。ボトムアップ法は、算出された全輝度目標値のうち、最小値を示す電子放出素子10を検索する。その後、前記検索された電子放出素子10について、現在の輝度目標値を一定値だけ向上させて新たな輝度目標値とする。
このボトムアップ法によれば、大画面表示装置とした場合に、各ディスプレイ100C間において画像が不連続になるという不都合が解消され(連続面の維持)、しかも、ディスプレイ100Cの表示能力を最大まで引き出すことができる。
一方、トップダウン法は、算出された全輝度目標値のうち、予め設定しておいたしきい値を超える電子放出素子10を検索する。その後、前記検索された電子放出素子10について、現在の輝度目標値をしきい値まで低減させる。
このトップダウン法においても、大画面表示装置とした場合に、各ディスプレイ100C間において画像が不連続になるという不都合を解消することができる。
なお、上述の輝度補正係数の算出に当たっては、色温度を加味して行うことが好ましい。
上述した第1〜第3の実施の形態に係るディスプレイ100A〜100C(各変形例を含む)においては、以下のような効果を奏することができる。
(1)CRTと比して超薄型(パネルの厚み=数mm)にすることができる。
(2)蛍光体106による自然発光のため、LCD(液晶表示装置)やLED(発光ダイオード)と比してほぼ180°の広視野角を得ることができる。
(3)面電子源を利用しているため、CRTと比して画像歪みがない。
(4)LCDと比して高速応答が可能であり、μsecオーダーの高速応答で残像のない動画表示が可能となる。
(5)40インチ換算で100W程度であり、CRT、PDP(プラズマディスプレイ)、LCD及びLEDと比して低消費電力である。
(6)PDPやLCDと比して動作温度範囲が広い(−40〜+85℃)。ちなみに、LCDは低温で応答速度が低下する。
(7)大電流出力による蛍光体の励起が可能であるため、従来のFED方式のディスプレイと比して高輝度化が可能である。
(8)圧電体材料の分極反転特性及び膜厚により駆動電圧を制御可能であるため、従来のFED方式のディスプレイと比して低電圧駆動が可能である。
このような種々の効果から、以下に示すように、様々なディスプレイ用途を実現させることができる。
(1)高輝度化と低消費電力化が実現できるという面から、30〜60インチディスプレイのホームユース(テレビジョン、ホームシアター)やパブリックユース(待合室、カラオケ等)に最適である。
(2)高輝度化、大画面、フルカラー、高精細度が実現できるという面から、顧客吸引力(この場合、視覚的な注目)に効果が大であり、横長、縦長等の異形状ディスプレイや、展示会での使用、情報案内板用のメッセージボードに最適である。
(3)高輝度化、蛍光体励起に伴う広視野角化、真空モジュール化に伴う広い動作温度範囲が実現できるという面から、車載用ディスプレイに最適である。車載用ディスプレイとしての仕様は、15:9等の横長8インチ(画素ピッチ0.14mm)、動作温度が−30〜+85℃、斜視方向で500〜600cd/m2が必要である。
また、上述の種々の効果から、以下に示すように、様々な光源用途を実現させることができる。
(1)高輝度化、低消費電力化が実現できるという面から、輝度仕様として2000ルーメンが必要なプロジェクタ用の光源に最適である。
(2)高輝度2次元アレー光源を容易に実現できることと、動作温度範囲が広く、屋外環境でも発光効率に変化がないことから、LEDの代替用途として有望である。例えば信号機等の2次元アレーLEDモジュールの代替として最適である。なお、LEDは、25℃以上で許容電流が低下し、低輝度となる。
なお、この発明に係る電子放出素子、電子放出素子の駆動方法、ディスプレイ及びディスプレイの駆動方法は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明に係る電子放出素子、電子放出素子の駆動方法、ディスプレイ及びディスプレイの駆動方法によれば、放出電子の直進性を良好にすることができ、複数の電子放出素子を配列した場合に、これら電子放出素子間のクロストークの抑制を図ることができる。
また、放出電子の量並びに加速度をアナログ的に制御することができ、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、第1の実施の形態に係る電子放出素子を示す構成図である。
図2は、第1の変形例に係る電極パターンを示す構成図である。
図3Aは、第2の変形例に係る電極パターンを示す平面図である。
図3Bは、図3AにおけるB−B線上の断面図である。
図4は、第3の変形例に係る電極パターンを示す構成図である。
図5は、第4の変形例に係る電極パターンを示す構成図である。
図6は、第5の変形例に係る電極パターンを示す構成図である。
図7A及び図7Bは、第8の変形例に係る電極パターンを示す平面図である。
図8A及び図8Bは、第9の変形例に係る電極パターンを示す平面図である。
図9Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図9Bは、パルス信号に対するパルス幅変調を説明するための波形図である。
図10Aは、カソード電極にオフ電圧を印加した際の作用を示す説明図である。
図10Bは、カソード電極にオン電圧を印加したときに、電界印加部が急速に分極反転する作用を示す説明図である。
図10Cは、電子が放出される状態を示す説明図である。
図11は、第1の実験例で用いたサンプルを示す構成図である。
図12Aは、パルス信号を示す波形図である。
図12Bは、アノード電極からGNDに流れる電流を示す波形図である。
図12Cは、パルス発生源からカソード電極に流れる電流を示す波形図である。
図12Dは、コレクタ電極からGNDに流れる電流を示す波形図である。
図12Eは、カソード電極とアノード電極間への印加電圧を示す波形図である。
図13は、2次電子をもとにアノード電極近傍で蒸散電極原子等の電離が発生し、電子量が増倍する状態を示す説明図である。
図14は、第1の変形例に係る電子放出素子を示す構成図である。
図15は、第2の変形例に係る電子放出素子を示す構成図である。
図16は、第2の変形例に係る電子放出素子のカソード電極にオフ電圧を印加した際の作用を示す説明図である。
図17は、第2の変形例に係る電子放出素子のカソード電極にオン電圧を印加した際の電子放出作用を示す説明図である。
図18は、電界印加部の表面での負極性帯電に伴って電子放出の自己停止の作用を示す説明図である。
図19は、第2の実験例で用いたサンプルを示す構成図である。
図20Aは、パルス信号を示す波形図である。
図20Bは、アノード電流を示す波形図である。
図20Cは、カソード電流を示す波形図である。
図20Dは、コレクタ電流を示す波形図である。
図20Eは、カソード電極とアノード電極間の印加電圧を示す波形図である。
図21Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図21Bは、パルス信号に対するパルス周期変調を説明するための波形図である。
図22Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図22Bは、パルス信号に対するパルス振幅変調を説明するための波形図である。
図23は、第2の実施の形態に係る電子放出素子を示す構成図である。
図24は、第3の実施の形態に係る電子放出素子を示す構成図である。
図25A〜図25Dは、制御電極の形状の例を示す平面図である。
図26は、コレクタ電極に流れるコレクタ電流と制御電圧との関係を示す特性図である。
図27は、第4の実施の形態に係る電子放出素子を示す構成図である。
図28Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図28Bは、パルス信号に対するパルス振幅変調を説明するための波形図である。
図29Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図29Bは、パルス信号に対するパルス数変調を説明するための波形図である。
図30Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図30Bは、パルス信号に対するパルス振幅変調を説明するための波形図である。
図31は、第5の実施の形態に係る電子放出素子を示す構成図である。
図32は、第1の実施の形態に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図33は、第1の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図34は、第2の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図35は、第3の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図36は、第4の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図37は、第5の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図38は、第6の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図39は、第7の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図40は、第8の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図41は、第1の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図42は、第2の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図43は、第3の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図44は、第4の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図45は、第5の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図46は、第6の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図47は、第7の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図48は、第8の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図49は、第9の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図50は、第10の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図51は、第11の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図52は、第12の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図53は、第13の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図54は、第14の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図55は、制御電極がないディスプレイにおいてカラー表示させる場合の画素構成を示す説明図である。
図56は、第1の実施の形態に係るディスプレイにおいてカラー表示させる場合の画素構成を示す説明図である。
図57は、第1の実施の形態の第1の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図58は、第1の実施の形態の第2の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図59は、第1の実施の形態の第3の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図60は、第1の実施の形態の第4の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図61は、第1の実施の形態の第5の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図62は、第1の実施の形態の第6の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図63は、第1の実施の形態の第7の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図64は、第1の実施の形態の第8の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図65は、第1の実施の形態の第9の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図66は、第1の実施の形態の第10の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図67は、第1の実施の形態の第11の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図68は、第1の実施の形態の第12の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図69は、第2の実施の形態に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図70Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図70Bは、時間の経過に伴う電子放出量の変化を示す特性図である。
図71は、階調指令値の変化に対する輝度の変化(非線形特性)を示す図である。
図72は、第1の実施の形態に係るディスプレイにおいて、階調指令値の変化に対する輝度の変化を線形特性にするための構成を示す図である。
図73は、リニアライズ補正回路での階調指令値に対する補正値の特性を示す図である。
図74は、補正後の階調指令値の変化に対する輝度の変化(線形特性)を示す図である。
図75Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図75Bは、第2の制御電極とアノード電極間に印加される可変電圧の波形を示す図である。
図75Cは、補正後の電子放出量の変化を示す波形図である。
図76は、制御電極及び第2の制御電極を用いて電子放出素子のアクティブマトリックス駆動を可能とさせた例を示す説明図である。
図77は、第2の実施の形態に係るディスプレイにおいてカラー表示させる場合の画素構成を示す説明図である。
図78は、第2の実施の形態に係るディスプレイでの自己診断処理過程を示すフローチャートである。
図79は、第2の実施の形態の第1の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図80は、第2の実施の形態の第2の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図81は、第2の実施の形態の第3の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図82は、第2の実施の形態の第4の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図83は、第2の実施の形態の第5の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図84は、第2の実施の形態の第6の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図85は、第2の実施の形態の第7の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図86は、第2の実施の形態の第8の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図87は、第2の実施の形態の第9の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図88は、第2の実施の形態の第10の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図89は、第3の実施の形態に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図90は、第3の実施の形態に係るディスプレイの一部を示す斜視図である。
図91は、第3の実施の形態に係るディスプレイにおけるロウ電極パターン及びカラム電極パターンを示す平面図である。
図92は、第3の実施の形態に係るディスプレイの駆動回路を示す回路図である。
図93は、製造ばらつきなどによる電子放出素子ごとの電子放出量のばらつきを示す説明図である。
本発明は、電界印加部に形成されたカソード電極とアノード電極にて形成された電子放出素子及び電子放出素子の駆動方法、並びに該電子放出素子を用いたディスプレイ及びディスプレイの駆動方法に関する。
背景技術
近時、電子放出素子は、カソード電極及びアノード電極を有し、フィールドエミッションディスプレイ(FED)やバックライトのような種々のアプリケーションに適用されている。FEDに適用する場合、複数の電子放出素子を2次元的に配列し、これら電子放出素子に対する複数の蛍光体を、所定の間隔をもってそれぞれ配置するようにしている。
この電子放出素子の従来例としては、例えば特開平1−311533号公報、特開平7−147131号公報、特開2000−285801号公報、特公昭46−20944号公報、特公昭44−26125号公報に記載された技術があるが、いずれも電界印加部に誘電体を用いていないため、対向電極間にフォーミング加工もしくは微細加工が必要となったり、電子放出のために高電圧を印加しなければならず、また、パネル製作工程が複雑で製造コストが高くなるという問題がある。
そこで、電界印加部を誘電体で構成することが考えられているが、誘電体からの電子放出として例えば以下の文献1〜3にて諸説が述べられているものの、電子の放出原理の確定までには至っておらず、誘電体にて構成された電界印加部を有する電子放出素子での問題を提起するまでには至っていない。
[文献]
1.安岡、石井著「強誘電体陰極を用いたパルス電子源」応用物理第68巻第5号、p546〜550(1999)
2.V.F.Puchkarev,G.A.Mesyats,On the mechanism of emission from the ferroelectric ceramic cathode,J.Appl.Phys.,vol.78,No.9,1 November,1995,p.5633−5637
3.H.Riege,Electron emission ferroelectrics−a review,Nucl.Instr.and Meth.A340,p.80−89(1994)
ところで、従来の電子放出素子の直進性、即ち、放出された電子(放出電子)が所定の対象(例えば蛍光体)に直進する程度が良好でなく、放出電子によって所望の電流密度を確保するためには、比較的高い電圧を電子放出素子に印加する必要がある。
また、従来の電子放出素子をディスプレイに適用した場合、直進性が良好でないためにクロストークが比較的に大きくなる、即ち、放出された電子が、対応する蛍光体に隣接する蛍光体に入射するおそれが高くなる。その結果、蛍光体のピッチを狭くするのが困難となる。
また、従来の電子放出素子を用いたディスプレイにおいては、電子の放出/非放出というデジタル的な制御がほとんどであり、電界印加部から放出される電子の量並びに加速度をアナログ的に制御するという考えがなく、きめ細かな階調制御ができないという問題がある。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、放出電子の直進性を良好にすることができ、複数の電子放出素子を配列した場合に、これら電子放出素子間のクロストークの抑制を図ることができる電子放出素子及び電子放出素子の駆動方法並びにディスプレイ及びディスプレイの駆動方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、放出電子の量並びに加速度をアナログ的に制御することができ、きめ細かな階調制御を実現させることができる電子放出素子及び電子放出素子の駆動方法並びにディスプレイ及びディスプレイの駆動方法を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明に係る電子放出素子は、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部の一方の面に形成されたカソード電極と、前記電界印加部の前記一方の面に形成され、前記カソード電極と共にスリットを形成するアノード電極と、前記カソード電極及びアノード電極間に印加される電圧信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御する変調回路とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る電子放出素子は、基板上に形成されたアノード電極と、前記基板上に前記アノード電極を覆うように形成され、かつ、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部上に形成されたカソード電極と、前記カソード電極及びアノード電極間に印加される電圧信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御する変調回路とを有することを特徴とする。
これにより、放出される電子の量並びに加速度をアナログ的に制御することができ、電子放出素子をディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
また、本発明に係る電子放出素子は、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部の一方の面に形成されたカソード電極と、前記電界印加部の前記一方の面に形成され、前記カソード電極と共にスリットを形成するカソード電極と、前記カソード電極及びアノード電極の上方に配された制御電極とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る電子放出素子は、基板上に形成されたアノード電極と、前記基板上に前記アノード電極を覆うように形成され、かつ、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部上に形成されたカソード電極と、前記カソード電極の上方に配された制御電極とを有することを特徴とする。
これにより、制御電極に印加される電圧を適宜調整することで、放出される電子の直進性を良好にすることができ、電子放出素子をディスプレイ等に適用した場合に、これら電子放出素子間のクロストークの抑制を有効に図ることができる。
前記構成において、少なくとも前記カソード電極及びアノード電極の表面、あるいは、少なくとも前記カソード電極の表面に保護膜が形成されていてもよい。この場合、保護膜によって電子、イオンの衝突や発熱によるカソード電極及びアノード電極の損傷のおそれが著しく軽減する。保護膜としては、導電性を有し、かつ、融点の高い材質の膜や、絶縁層を用いることができる。導電性を有し、かつ、融点の高い材質の膜としてカーボン膜が好ましい。
前記構成において、前記カソード電極及びアノード電極間に印加される第1の電圧信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御する第1の変調回路と、前記制御電極及びアノード電極間に印加される第2の電圧信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御する第2の変調回路とを有するようにしてもよい。
これにより、電子放出素子をディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
そして、前記制御電極は、前記スリットの少なくとも中央部に対向する位置に窓を有するようにしてもよい。この場合、前記窓をスリット状とし、その延在方向を前記スリットの長手方向に沿うようにしてもよいし、前記スリットの長手方向と直交させるようにしてもよい。もちろん、前記窓を円形や楕円形にしてもよい。
また、前記電界印加部の周部に形成されたスペーサ上に前記制御電極を形成するようにしてもよい。この場合、少なくとも前記カソード電極と前記アノード電極上に形成されたスペーサ上に前記制御電極が形成されていてもよいし、あるいは、少なくとも前記カソード電極上に形成されたスペーサ上に前記制御電極が形成されていてもよい。
前記スペーサは、成膜技術により形成された絶縁層としてもよいし、電界印加部の周部に配された桟であってもよい。桟は、接着技術により固着するようにしてもよい。あるいは、前記制御電極は、前記電界印加部の周部に配された立ち上がり片と、前記電界印加部のスリット形成面と平行な方向に延在する電極本体とが一体に形成されていてもよい。
そして、前記構成において、前記制御電極の上方に第2の制御電極を配するようにしてもよい。これにより、制御電極及び第2の制御電極に印加される電圧を適宜調整することで、放出される電子の直進性を良好にすることができ、放出電子の直進性が更に向上し、電子放出素子をディスプレイ等に適用した場合に、これら電子放出素子間のクロストークの抑制を有効に図ることができる。また、制御電極と第2の制御電極にて、放出電子の量並びに加速度をより細かく制御することができ、電子放出素子をディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
前記第2の制御電極は、前記スリットの少なくとも中央部に対向する位置に窓を有するようにしてもよい。この場合、前記窓をスリット状とし、その延在方向を前記スリットの長手方向に沿うようにしてもよいし、前記スリットの長手方向と直交させるようにしてもよい。もちろん、前記窓を円形や楕円形にしてもよい。
また、前記電界印加部の周部に形成された第2のスペーサ上に前記第2の制御電極を形成するようにしてもよい。この場合、前記第2のスペーサは、成膜技術により形成された絶縁層としてもよいし、電界印加部の周部に配された第2の桟であってもよい。第2の桟は、接着技術により固着するようにしてもよい。あるいは、前記第2の制御電極は、前記電界印加部の周部に配された立ち上がり片と、前記電界印加部のスリット形成面と平行な方向に延在する電極本体とが一体に形成されていてもよい。
なお、前記電界印加部は、圧電材料、又は反強誘電体材料、又は電歪材料で構成することができる。
次に、本発明に係るディスプレイは、2次元的に配列された複数の電子放出素子と、前記複数の電子放出素子に対向して設けられたコレクタ電極と、前記複数の電子放出素子に対してそれぞれ所定の間隔をもって配置された複数の蛍光体層とを備え、前記電子放出素子は、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部に接して形成されたカソード電極及びアノード電極と、前記カソード電極及びアノード電極間に印加される電圧信号を変調して、表示階調を制御する変調回路とを有することを特徴とする。
これにより、放出電子の量並びに加速度をアナログ的に制御することができ、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
そして、前記変調回路が前記電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う回路である場合に、前記変調回路の前段に、前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するために、前記階調指令値を補正するリニアライズ補正回路が接続されていてもよい。
また、本発明に係るディスプレイは、2次元的に配列された複数の電子放出素子と、前記複数の電子放出素子に対向して設けられたコレクタ電極と、前記複数の電子放出素子に対してそれぞれ所定の間隔をもって配置された複数の蛍光体層と、前記複数の蛍光体層と前記複数の電子放出素子との間に配置された制御電極とを備え、前記電子放出素子は、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部に接して形成されたカソード電極及びアノード電極とを有することを特徴とする。
これにより、放出電子の量並びに加速度をアナログ的に制御することができ、きめ細かな階調制御を実現させることができる。また、放出電子の直進性を良好にすることができ、隣接する電子放出素子間のクロストークの抑制を図ることができる。
そして、前記カソード電極及びアノード電極間に印加される第1の電圧信号を変調して、表示階調を制御する第1の変調回路と、前記制御電極及びアノード電極間に印加される第2の電圧信号を変調して、表示階調を制御する第2の変調回路とを有するようにしてもよい。この場合も、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
前記第1の変調回路が前記第1の電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う回路である場合に、前記第1の変調回路の前段に、前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するために、前記階調指令値を補正するリニアライズ補正回路を接続するようにしてもよい。
そして、前記カソード電極は、前記電界印加部の一方の面に形成され、前記アノード電極は、前記電界印加部の前記一方の面に形成され、前記カソード電極と共にスリットを形成するようにしてもよい。この場合、少なくとも前記カソード電極及びアノード電極の表面に保護膜を形成するようにしてもよい。
あるいは、前記アノード電極は、基板上に形成され、前記電界印加部は、前記基板上に前記アノード電極を覆うように形成され、前記カソード電極は、前記電界印加部上に形成されていてもよい。この場合、少なくとも前記カソード電極の表面に保護膜を形成するようにしてもよい。保護膜として、カーボン膜や絶縁層を用いることができる。
なお、前記電界印加部は、圧電材料、又は反強誘電体材料、又は電歪材料にて構成することができる。
1つの電子放出素子に対して独立した電圧信号を印加することができる複数の前記制御電極が対向していてもよい。
前記制御電極は、各行単位に分離されていてもよいし、各列単位に分離されていてもよい。あるいは、各電子放出素子単位に分離されていてもよい。また、前記制御電極は、複数の電子放出素子で構成されたグループ単位に分離されていてもよい。この場合、前記制御電極を、三原色のいずれかの色を表す複数の電子放出素子で構成されたグループ単位に分離することで、カラー表示を行うディスプレイを容易に構成させることができる。
また、前記制御電極は、各電子放出素子におけるスリットの少なくとも中央部に対向する位置に窓を有するようにしてもよい。この場合、前記窓をスリット状とし、その延在方向を前記スリットの長手方向に沿うようにしてもよいし、前記スリットの長手方向に沿って配列された複数の電子放出素子に対して共通に連続形成するようにしてもよい。あるいは、前記スリットの長手方向と直交させるようにしてもよいし、前記スリットの長手方向と直交する方向に沿って配列された複数の電子放出素子に対して共通に連続形成するようにしてもよい。もちろん、前記窓を円形や楕円形にしてもよい。
また、本発明に係るディスプレイは、前記制御電極と蛍光体層との間に第2の制御電極が配置されていてもよい。
この場合、前記第2の制御電極及びアノード電極間に印加される第3の電圧信号を変調して、少なくとも前記第1の変調回路での変調に基づく表示階調の変化を線形特性に変換する第3の変調回路を有するようにしてもよい。
また、放出電子を第2の制御電極にて捕獲し、その電子捕獲に伴う電流を検出して診断を行う自己診断機能を有するようにしてもよい。
次に、本発明に係る電子放出素子の駆動方法は、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部に接して形成されたカソード電極及びアノード電極とを有する電子放出素子の駆動方法において、前記カソード電極及び前記アノード電極間に印加されるパルス信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御することを特徴とする。
この場合、前記カソード電極は、前記電界印加部の一方の面に形成され、前記アノード電極は、前記電界印加部の前記一方の面に形成され、前記カソード電極と共にスリットを形成するようにしてもよい。
あるいは、前記アノード電極は、基板上に形成され、前記電界印加部は、前記基板上に前記アノード電極を覆うように形成され、前記カソード電極は、前記電界印加部上に形成されていてもよい。
これにより、放出電子の量並びに加速度をアナログ的に制御することができ、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
また、本発明に係る電子放出素子の駆動方法は、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部の一方の面に形成されたカソード電極と、前記電界印加部の前記一方の面に形成され、前記カソード電極と共にスリットを形成するアノード電極とを有する電子放出素子の駆動方法において、前記カソード電極及びアノード電極上に制御電極が配され、前記カソード電極及びアノード電極間に一定の第1のパルス信号を印加し、前記制御電極及びアノード電極間に印加される第2のパルス信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御することを特徴とする。
また、本発明に係る電子放出素子の駆動方法は、基板上に形成されたアノード電極と、前記基板上に前記アノード電極を覆うように形成され、かつ、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部上に形成されたカソード電極とを有する電子放出素子の駆動方法において、前記カソード電極上に制御電極が配され、前記カソード電極及び前記アノード電極間に一定の第1のパルス信号を印加し、前記制御電極及び前記アノード電極間に印加される第2のパルス信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御することを特徴とする。
本発明に係るディスプレイの駆動方法は、2次元的に配列された複数の電子放出素子と、これら電子放出素子に対してそれぞれ所定の間隔をもって配置された複数の蛍光体層とを具備し、前記電子放出素子が、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部に接して形成されたカソード電極及びアノード電極とを有するディスプレイの駆動方法において、各電子放出素子における前記カソード電極及び前記アノード電極間に印加される電圧信号を変調して表示階調の制御を行うことを特徴とする。
この場合、前記変調が前記電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う場合に、前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するために、前記階調指令値を補正するようにしてもよい。
また、本発明に係るディスプレイの駆動方法は、2次元的に配列された複数の電子放出素子と、前記複数の電子放出素子に対向して設けられたコレクタ電極と、前記複数の電子放出素子に対してそれぞれ所定の間隔をもって配置された複数の蛍光体層と、前記複数の蛍光体層と前記複数の電子放出素子との間に配置された制御電極とを備え、前記電子放出素子が、誘電体にて構成された電界印加部と、前記電界印加部に接して形成されたカソード電極及びアノード電極とを有するディスプレイの駆動方法において、前記カソード電極及び前記アノード電極間に印加される第1の電圧信号を変調し、かつ、前記制御電極及び前記アノード電極間に印加される第2の電圧信号を変調して、表示階調を制御することを特徴とする。
この場合、前記第1の電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う場合に、前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するために、前記階調指令値を補正するようにしてもよい。
また、前記方法において、前記制御電極と蛍光体層との間に第2の制御電極が配置され、前記第1の電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う場合に、前記第2の制御電極及び前記アノード電極間に印加される第3の電圧信号を変調して、前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するようにしてもよい。
なお、前記電子放出素子において、前記カソード電極は、前記電界印加部の一方の面に形成され、前記アノード電極は、前記電界印加部の前記一方の面に形成され、前記カソード電極と共にスリットを形成するようにしてもよい。あるいは、前記アノード電極は、基板上に形成され、前記電界印加部は、前記基板上に前記アノード電極を覆うように形成され、前記カソード電極は、前記電界印加部上に形成され、中央にスリットを有するリング状に形成されていてもよい。
添付した図面と協同する次の好適な実施の形態例の説明から、上記の目的及び他の目的、特徴及び利点がより明らかになるであろう。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明に係る電子放出素子、電子放出素子の駆動方法、ディスプレイ及びディスプレイの駆動方法の実施の形態例を図1〜図93を参照しながら説明する。
一般に、電子放出素子は、ディスプレイとしての用途のほか、電子線照射装置、光源、LEDの代替用途、電子部品製造装置に適用することができる。
電子線照射装置における電子線は、現在普及している紫外線照射装置における紫外線に比べ、高エネルギーで吸収性能に優れる。適用例としては、半導体装置では、ウェハーを重ねる際における絶縁膜の固化する用途、印刷の乾燥では、印刷インキをむらなく硬化する用途、殺菌では、医療機器をパッケージに入れたまま殺菌する用途等がある。
光源としての用途は、高輝度、高効率仕様向けであって、例えばプロジェクタの光源用途等がある。
LEDの代替用途としては、チップ光源、信号機、携帯電話向けの小型液晶ディスプレイのバックライト等がある。
電子部品製造装置の用途としては、電子ビーム蒸着装置等の成膜装置の電子ビーム源、プラズマCVD装置におけるプラズマ生成用(ガス等の活性化用)電子源、ガス分解用途の電子源などがある。
真空マイクロデバイスとしては、テラHz級で駆動する超高速素子、使用温度範囲の広い耐環境電子部品として注目されている。
電子回路部品としては、大電流出力化、高増幅率化が可能であることから、スイッチ、リレー、ダイオード等のデジタル素子、オペアンプ等のアナログ素子への用途がある。
まず、第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aは、図1に示すように、基板12上に形成された電界印加部14と、該電界印加部14の一方の面に形成されたカソード電極16と、電界印加部14の同じく一方の面に形成され、カソード電極16と共にスリット18を形成するアノード電極20とを有する。
また、この第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aは、当然のことながら、真空空間内に配置される。この電子放出素子10Aは、図1に示すように、電界集中ポイントA及びBが存在するが、ポイントAは、カソード電極16/電界印加部14/真空が1つのポイントに存在する3重点を含むポイントとしても定義することができ、ポイントBは、アノード電極20/電界印加部14/真空が1つのポイントに存在する3重点を含むポイントとしても定義することができる。
そして、雰囲気中の真空度は、102〜10−6Paが好ましく、より好ましくは10−3〜10−5Paである。
このような範囲を選んだ理由は、低真空では、空間内に気体分子が多いため、(1)プラズマを生成し易いため、プラズマが多量に発生され過ぎると、その正イオンが多量にカソード電極16に衝突して損傷を進めるおそれや、(2)目的位置(コレクタ電極等)に到達する前に気体分子に衝突してしまうおそれがあるからである。
一方、高真空では、電界集中ポイントA及びBから電子を放出し易いものの、構造体の支持、及び真空のシール部が大きくなり、薄型化・小型化に不利になるという問題があるからである。
ここで、電界印加部14は誘電体にて構成される。誘電体は、好適には、比誘電率が比較的高い、例えば1000以上の誘電体を採用することができる。このような誘電体としては、チタン酸バリウムの他に、ジルコン酸鉛、マクネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、マグネシウムタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛等又はこれらの任意の組み合わせを含有するセラミックスや、主成分がこれらの化合物を50重量%以上含有するものや、前記セラミックスに対して更にランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の酸化物若しくはこれらのいずれかの組み合わせ又は他の化合物を適切に添加したもの等を挙げることができる。
例えば、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)とチタン酸鉛(PT)の2成分系nPMN−mPT(n,mをモル数比とする)においては、PMNのモル数比を大きくすると、キュリー点が下げられて、室温での比誘電率を大きくすることができる。
特に、n=0.85〜1.0、m=1.0−nでは比誘電率3000以上となり好ましい。例えば、n=0.91、m=0.09では室温の比誘電率15000、n=0.95、m=0.05では室温の比誘電率20000が得られる。
次に、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、チタン酸鉛(PT)、ジルコン酸鉛(PZ)の3成分系では、PMNのモル数比を大きくする他に、正方晶と擬立方晶又は正方晶と菱面体晶のモルフォトロピック相境界(MPB:Morphotropic Phase Boundary)付近の組成とすることが比誘電率を大きくするのに好ましい。例えば、PMN:PT:PZ=0.375:0.375:0.25にて比誘電率5500、PMN:PT:PZ=0.5:0.375:0.125にて比誘電率4500となり、特に好ましい。更に、絶縁性が確保できる範囲内でこれらの誘電体に白金のような金属を混入して、誘電率を向上させるのが好ましい。この場合、例えば、誘電体に白金を重量比で20%混入させるとよい。
また、電界印加部14は、上述したように、圧電/電歪層や反強誘電体層等を用いることができるが、電界印加部14として圧電/電歪層を用いる場合、該圧電/電歪層としては、例えば、ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、マグネシウムタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛等、又はこれらのいずれかの組み合わせを含有するセラミックスが挙げられる。
主成分がこれらの化合物を50重量%以上含有するものであってもよいことはいうまでもない。また、前記セラミックスのうち、ジルコン酸鉛を含有するセラミックスは、電界印加部14を構成する圧電/電歪層の構成材料として最も使用頻度が高い。
また、圧電/電歪層をセラミックスにて構成する場合、前記セラミックスに、更に、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の酸化物、もしくはこれらのいずれかの組み合わせ、又は他の化合物を、適宜、添加したセラミックスを用いてもよい。
例えば、マグネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛及びチタン酸鉛とからなる成分を主成分とし、更にランタンやストロンチウムを含有するセラミックスを用いることが好ましい。
圧電/電歪層は、緻密であっても、多孔質であってもよく、多孔質の場合、その気孔率は40%以下であることが好ましい。
電界印加部14として反強誘電体層を用いる場合、該反強誘電体層としては、ジルコン酸鉛を主成分とするもの、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛とからなる成分を主成分とするもの、更にはジルコン酸鉛に酸化ランタンを添加したもの、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛とからなる成分に対してジルコン酸鉛やニオブ酸鉛を添加したものが望ましい。
また、この反強誘電体膜は、多孔質であってもよく、多孔質の場合には気孔率30%以下であることが望ましい。
そして、基板12の上に電界印加部14を形成する方法としては、スクリーン印刷法、ディッピング法、塗布法、電気泳動法等の各種厚膜形成法や、イオンビーム法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法(CVD)、めっき等の各種薄膜形成法を用いることができる。
この実施の形態においては、基板12上に前記電界印加部14を形成するにあたっては、スクリーン印刷法やディッピング法、塗布法、電気泳動法等による厚膜形成法が好適に採用される。
これらの方法は、平均粒径0.01〜5μm、好ましくは0.05〜3μmの圧電セラミックスの粒子を主成分とするペーストやスラリー、又はサスペンション、エマルジョン、ゾル等を用いて形成することができ、良好な圧電作動特性が得られるからである。
特に、電気泳動法は、膜を高い密度で、かつ、高い形状精度で形成することができることをはじめ、「電気化学および工業物理化学 Vol.53,No.1(1985),p63〜68 安斎和夫著」あるいは「第1回電気泳動法によるセラミックスの高次成形法 研究討論会 予稿集(1998),p5〜6,p23〜24」等の技術文献に記載されるような特徴を有する。従って、要求精度や信頼性等を考慮して、適宜、方法を選択して用いるとよい。
一方、カソード電極16は、鋭角をなす角部を有してもよい。この場合、カソード電極16には、図1に示すように、パルス発生源22からパルス電圧が印加され、主に角部から電子が放出される。この場合、電子放出量の上限値を制限する目的で、パルス発生源22とカソード電極との間に抵抗25を接続し、カソード電極16とアノード電極20との間の過電流通電による破損を防止するために、アノード電極20と図示しない直流オフセット電圧源(例えば接地)との間に、抵抗26を直列配置する。また、電子の放出を良好に行うために、カソード電極16とアノード電極20との間のスリット18の幅Wを、好適には500μm以下にする。なお、カソード電極16とパルス発生源22との間に図示しないコンデンサを直列接続して、カソード電極16とアノード電極20の短絡を防止してもよい。
カソード電極16は、以下に示す材料にて構成される。即ち、スパッタ率が小さく、真空中での蒸発温度が大きい導体が好ましい。例えば、Ar+で600Vにおけるスパッタ率が2.0以下で、蒸気圧1.3×10−3Paとなる温度が1800K以上のものが好ましく、白金、モリブデン、タングステン等がこれにあたる。また、高温酸化雰囲気に対して耐性を有する導体、例えば金属単体、合金、絶縁性セラミックスと金属単体との混合物、絶縁性セラミックスと合金との混合物等によって構成され、好適には、白金、パラジウム、ロジウム、モリブデン等の高融点貴金属や、銀−パラジウム、銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主成分とするものや、白金とセラミックス材料とのサーメット材料によって構成される。更に好適には、白金のみ又は白金系の合金を主成分とする材料によって構成される。また、電極として、カーボン、グラファイト系の材料、例えば、ダイヤモンド薄膜、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブも好適に使用される。なお、電極材料中に添加させるセラミックス材料の割合は、5〜30体積%程度が好適である。
カソード電極16を形成するに当たり、上記材料を用いて、スクリーン印刷、スプレー、コーティング、ディッピング、塗布、電気泳動法等の各種の厚膜形成方法や、スパッタリング、イオンビーム、真空蒸着、イオンプレーティング、CVD、めっき等の各種の薄膜形成手法による通常の膜形成手法に従って形成することができ、好適には、前者の厚膜形成手法によって形成される。
厚膜形成手法によってカソード電極16を形成する場合、その厚さは、20μm以下がよく、好適には5μm以下である。アノード電極20には、直流のオフセット電圧が印加され、例えば図示しないスルーホールを通じて基板12の裏面から配線として引き出すようにしてもよい。
アノード電極20は、カソード電極16と同様な材料及び手法によって形成されるが、好適には上記厚膜形成手法によって形成する。アノード電極20の厚さも、20μm以下がよく、好適には5μm以下である。
カソード電極16に電気的に接続した配線と、アノード電極20に電気的に接続した配線とを電気的に分離するために、基板12を電気的な絶縁材料で構成するのが好ましい。
従って、基板12を、高耐熱性の金属や、その金属表面をガラスなどのセラミックス材料によって被覆したホーローのような材料によって構成することができるが、セラミックスで構成するのが最適である。
基板12を構成するセラミックスとしては、例えば、安定化された酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、スピネル、ムライト、窒化アルミニウム、窒化珪素、ガラス、これらの混合物等を使用することができる。その中でも、酸化アルミニウム及び安定化された酸化ジルコニウムが、強度及び剛性の観点から好ましい。安定化された酸化ジルコニウムは、機械的強度が比較的高いこと、靭性が比較的高いこと、カソード電極16及びアノード電極20との化学反応が比較的小さいことなどの観点から特に好適である。なお、安定化された酸化ジルコニウムとは、安定化酸化ジルコニウム及び部分安定化酸化ジルコニウムを包含する。安定化された酸化ジルコニウムでは、立方晶などの結晶構造をとるため、相転移が生じない。
一方、酸化ジルコニウムは、1000℃前後で単斜晶と正方晶との間を相転移し、このような相転移の際にクラックが発生するおそれがある。安定化された酸化ジルコニウムは、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテルビウム、酸化セリウム、希土類金属の酸化物等の安定剤を、1〜30モル%含有する。なお、基板12の機械的強度を向上させるために、安定化剤が酸化イットリウムを含有するのが好適である。この場合、酸化イットリウムを、好適には1.5〜6モル%、更に好適には2〜4モル%含有し、更に0.1〜5モル%の酸化アルミニウムを含有するのが好ましい。
また、結晶相を、立方晶+単斜晶の混合相、正方晶+単斜晶の混合相、立方晶+正方晶+単斜晶の混合相等とすることができるが、その中でも、主たる結晶相を、正方晶又は正方晶+立方晶の混合相としたものが、強度、靭性及び耐久性の観点から最適である。
基板12をセラミックスから構成した場合、比較的多数の結晶粒が基板12を構成するが、基板12の機械的強度を向上させるためには、結晶粒の平均粒径を、好適には0.05〜2μmとし、更に好適には0.1〜1μmとする。
電界印加部14、カソード電極16及びアノード電極20をそれぞれ形成するたびに熱処理(焼成処理)して基板12と一体構造にすることができ、また、これら電界印加部14、カソード電極16及びアノード電極20を形成した後、同時に焼成処理して、これらを同時に基板12に一体に結合することもできる。なお、カソード電極16及びアノード電極20の形成手法によっては、一体化のための熱処理(焼成処理)を必要としない場合もある。
基板12と、電界印加部14、カソード電極16及びアノード電極20とを一体化させるための焼成処理に係る温度としては、500〜1400℃の範囲、好適には、1000〜1400℃の範囲とするとよい。更に、膜状の電界印加部14を熱処理する場合、高温時に電界印加部14の組成が不安定にならないように、電界印加部14の蒸発源と共に雰囲気制御を行いながら焼成処理を行うのが好ましい。
また、電界印加部14を適切な部材によって被覆し、電界印加部14の表面が焼成雰囲気に直接露出しないようにして焼成する手法を採用してもよい。この場合、被覆部材としては、基板12と同様な材料を用いることが好ましい。
ここで、カソード電極16及びアノード電極20の様々な変形例について図2〜図10Cを参照しながら説明する。
まず、第1の変形例は、図2に示すように、電界印加部14の他方の面にカソード電極16に対向して形成された取出し電極28を有する。この場合、カソード電極16と取出し電極28並びにその間の電界印加部14の一部がコンデンサの役割を果たすため、カソード電極16とパルス発生源22との間に別途コンデンサを設ける必要がない。なお、取出し電極28も、カソード電極46及びアノード電極20と同様な材料及び手法によって形成される。取出し電極28の厚さは20μm以下、好適には5μm以下にするとよい。
第2の変形例は、図3A及び図3Bに示すように、カソード電極16とアノード電極20が共に櫛歯状に形成されている。この場合、カソード電極近傍から電子が放出されやすくなる。
第3の変形例は、図4に示すように、カソード電極16及びアノード電極20が互いに並行し、かつ相互に離間された数ターンの渦巻き状とされている。
第4の変形例は、図5に示すように、カソード電極16及びアノード電極20が共に、中心に向かって延びる幹部32及び34と該幹部32及び34から多数枝分かれしてなる枝部36及び38を有する形状を具備し、かつ、カソード電極16及びアノード電極20が、相互に離間されて相補形に配列された形状とされている。
第5の変形例は、図6に示すように、カソード電極16とアノード電極20を多数の櫛歯状とし、かつ、相補的に対峙した形状とした場合を示す。
特に、電界印加部14の平面形状を例えば楕円形状とし、カソード電極16及びアノード電極20を共に櫛歯状に形成した場合は、図7A及び図7Bの第6の変形例に示すように、電界印加部14の長軸に沿ってカソード電極16及びアノード電極20の櫛歯が配列される形態としてもよいし、図8A及び図8Bの第7の変形例に示すように、電界印加部14の短軸に沿ってカソード電極16及びアノード電極20の櫛歯が配列される形態としてもよい。
これら第3〜第7の変形例においても、第2の変形例と同様に、カソード電極16近傍から電子が放出されやすくなる。
そして、この第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aは、図1に示すように、カソード電極16及びアノード電極20間に印加されるパルス信号Spを、CPUなどの制御部40から供給された制御信号Scに基づいて変調して、少なくとも放出電子の量を制御する変調回路42を有する。
次に、変調回路42の具体例について図1、図9A〜図22Bを参照しながら説明する。まず、前記変調回路42の第1の具体例は、図1に示すように、パルス発生源22とカソード電極16との間に接続されたパルス幅変調回路42Aが挙げられる。パルス発生源22を通じてカソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spは、図9Aに示すように、アノード電極20に印加される電圧レベル(オフ電圧レベル)の電圧Vf(以下、オフ電圧Vfと記す)を基準に、カソード電極16近傍から電子が放出されるレベル(オン電圧レベル)の電圧Vo(以下、オン電圧Voと記す)までの振幅を有し、かつ、一定のパルス周期Tpを有する。
つまり、パルス信号Spは、オン電圧Voの電圧が出力される期間(電子放出期間T1)とオフ電圧Vfの電圧が出力される期間(準備期間T2)を1ステップとし、該1ステップが繰り返される。つまり、パルス信号は、電子放出期間T1においてオン電圧Vo、準備期間T2においてオフ電圧Vfの矩形パルスとなっている。電子放出期間T1としては1〜1000μsecが好ましい。
ここで、図1に示す電子放出素子10Aの電子放出原理について図9A〜図20Eを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、オフ電圧Vfのレベルを正極性の電圧レベル、オン電圧Voのレベルを負極性の電圧レベルとして説明する。また、電子放出素子10Aによる電子放出を検出するために、電界印加部14の上方のうち、カソード電極16とアノード電極20間に形成されているスリット18に対向した位置に、例えば透明電極によるコレクタ電極50を配置し、更に、コレクタ電極50のうち、前記スリットと対向する面に蛍光体層106を塗布した例を示す。なお、図10A〜図10Cにおいては、カソード電極16に流れる電流をIk、アノード電極20に流れる電流をIa、コレクタ電極50に流れる電流をIcとして表示した。また、図10B及び図10Cでは、コレクタ電極50及び蛍光体層106の表示を省略した。
まず、図9Aに示す準備期間T2は、図10Aに示すように、カソード電極16にオフ電圧Vfを印加して電界印加部14を分極する期間である。このとき、カソード電極16が正に帯電し、アノード電極20が負に帯電することから、電界印加部14の表面における双極子モーメント17は、カソード側を負極、アノード側を正極として整列することになる。オフ電圧Vfとしては、図9Aのように直流電圧でもよいが、1つのパルス電圧もしくはパルス電圧を複数回連続印加するようにしてもよい。
また、オフ電圧Vf及びオン電圧Voは、各々正負の極性に分極処理を確実に行う電圧レベルであることが好ましく、例えば電界印加部14の誘電体が抗電圧を有する場合、オフ電圧Vf及びオン電圧Voの絶対値は、抗電圧以上であることが好ましい。
電子放出期間T1は、カソード電極16にオン電圧Voが印加される期間である。カソード電極16にオン電圧Voが印加されることによって、図10Bに示すように、カソード電極16が負に、アノード電極20が正に急速に変化することから、アノード電極16からカソード電極20に向かう電界が発生し、これによって、電界印加部14の双極子モーメント17の方向が変化し、電界印加部14は急速に分極反転する。
そして、図10Cに示すように、分極が反転された電界印加部14のうち、負極性の電圧Voが印加されているカソード電極16との界面に帯電する双極子モーメント17の変化が放出電子を引き出すこととなる。この引き出される電子としては、カソード電極46とその近傍の双極子モーメント17のプラス側とで局所的な集中電界が発生することにより、カソード電極16から放出される1次電子と、それが電界印加部14に衝突することで、該電界印加部14から放出される2次電子とが考えられる。
放出された2次電子のうち、一部の2次電子は、コレクタ電極50(図10A参照)に導かれて、該コレクタ電極50に塗布された蛍光体層を励起し、外部に蛍光体発光として具現されることになる。他の一部の2次電子は、アノード電極20に引かれる。
ここで、電子放出に関する1つの実験例(第1の実験例)について説明する。この第1の実験例は、図11に示すように、1つの電子放出素子をサンプル10Asとして、該サンプル10Asを真空チェンバ180(真空度=4×10−3Pa)内に収容し、更に、カソード電極16に図12Aに示すパルス信号Spを供給したときに各部分に流れる電流Ia、Ik、Icの波形と、カソード電極16とアノード電極20間に印加される電圧(印加電圧Va)の波形を測定した。測定結果を図12B〜図12Eに示す。
サンプル10Asは、図11に示すように、基板12上に誘電体による電界印加部14が形成され、該電界印加部14に形成された窓内にカソード電極16及びアノード電極20を埋め込み、更に、カソード電極16及びアノード電極20の厚みを電界印加部14の厚みよりも薄くするようにしている。カソード電極16及びアノード電極20が、電界印加部14のうち、少なくともスリット18の部分に存在する電界印加部14の側壁に接触して形成される。
なお、このサンプル10Asでは、金属の量を少なくしてカソード電極16やアノード電極20を構成することができるため、カソード電極16やアノード電極20として、高価な金属(例えば白金や金)を用いることができ、特性の向上を図ることができる。
そして、サンプル10Asの寸法は、基板12の厚みtaが140μm、電界印加部14の厚みtbが40μm、カソード電極16の幅W1が40μm、アノード電極20の幅W2が40μm、スリット18の幅dが30μm、カソード電極16の端部(スリット18側の端部とは反対側の端部)から電界印加部14の側端までの距離D1が40μm、アノード電極20の端部(スリット18側の端部とは反対側の端部)から電界印加部14の側端までの距離D2が40μmである。
また、カソード電極16及びアノード電極20は共に金(Au)にて構成し、電界印加部14はPZTにて構成した。
パルス信号Spは、図12Aに示すように、準備期間T2における正極性の電圧Vfが50Vで、時点t0から電子放出期間T1に移行し、該電子放出期間T1における負極性の電圧Voは−120Vである。なお、パルス信号Spは、時点t1で準備期間T2に移行する。
そして、測定結果である図12Bは、アノード電極20からGNDに流れる電流Iaの波形を示し、該電流IaのピークPaは、パルス信号Spの立ち下がり時点t0から約1μsecの時点t2で発生し、その値は約−80mAであった。
図12Cは、パルス発生源22からカソード電極16に流れる電流Ikの波形を示し、該電流IkのピークPkは、前記電流Iaの場合と同様に、時点t0から約1μsecの時点t2で発生し、その値は約−110mAであった。
図12Dは、コレクタ電極24からGNDに流れる電流Icの波形を示し、該電流IcのピークPcは、前記電流Iaや電流Ikの場合と同様に、時点t0から約1μsecの時点t2で発生し、その値は約−30mAであった。
図12Eは、カソード電極16とアノード電極20間への印加電圧Vaの波形を示し、該電圧VaのピークVapは、パルス信号Spの立ち下がり時点t0から約2μsecの時点t3で発生し、その値は約−120Vであった。
この第1の実験例では、電子を確実に放出させる意図から、前記印加電圧Vaを大きく見積もって約170Vとしている。しかし、上述の測定結果から、電子の放出は、印加電圧VaのピークVapが到来する時点t3よりも約1μsec前の時点t2で発生しており、そのときの電圧Vaの値Vsは約−77Vであった。この場合の電子放出効率は(Ic/Ik)=27%であった。
このことは、印加電圧Vaとして、実際の電子の放出に電圧レベルは、170Vなどの大きなレベルは必要でなく、この例の場合では127Vで電子の放出が行われており、低電圧化が可能であることを示している。
印加電圧Vaの低電圧化には、電子放出素子10A自体の最適化のほか、各種変調回路を含む駆動回路の最適化も好ましく採用される。この明細書で開示する実施の形態は、この実験例を基礎として駆動回路の最適化を図ったものである。
ところで、アノード電極20に引かれた電子は、図13に示すように、電界印加部14に衝突して電界印加部14から2次電子が放出され、この2次電子が種火となって、上述と同様に、一部の2次電子はコレクタ電極50に導かれて前記蛍光体層106を励起し、他の一部の2次電子は、アノード電極20に引かれる。アノード電極20に引かれた2次電子は、主にアノード電極20近傍に存在する気体又はアノード電極20の近傍において蒸散して浮遊する電極原子等を正イオン19と電子に電離する。この電離によって発生した電子が更に気体や電極原子等を電離するため、ねずみ算式に電子が増え、これが進行して電子と正イオン19が中性的に存在すると局所プラズマ54となる。その結果、図13に示すように、コレクタ電極50(透明電極)の表面のうち、アノード電極20側に偏った位置において過剰な発光が行われ、輝度の調整も困難になる。
また、電子放出が行われた時点でのカソード電極16とアノード電極20間の電圧は、前記電離の進行によって大幅に小さくなり、短絡に近い状態となる。このとき、前記電離によって発生した正イオン19が例えばカソード電極16に衝突することによってカソード電極16が損傷する場合がある。
そこで、図14に示す第1の変形例に係る電子放出素子10Aaのように、アノード電極20の表面に帯電膜21を形成することが好ましい。この場合、放出された2次電子の一部がアノード電極20に引かれると、帯電膜21の表面が負極性に帯電することになる。これにより、アノード電極20の正極性が弱められ、アノード電極20とカソード電極16間の電界の強さEが小さくなり、瞬時に電離が停止することになる。
つまり、電子放出が行われた時点におけるカソード電極16とアノード電極20間の電圧変化はほとんどない。そのため、正イオンの発生はほとんどなく、正イオンによるカソード電極16の損傷を防止することができ、電子放出素子10Aの長寿命化において有利となる。
その結果、図14に示すように、コレクタ電極50(透明電極)の表面のうち、カソード電極16とアノード電極20との間の中央部分において2次電子(種火)だけによる発光が行われ、輝度の調整が容易になる。
他の変形例としては、図15に示す第2の変形例に係る電子放出素子10Abのように、アノード電極20を基板12上に形成し、電界印加部14を基板12上にアノード電極20を覆うように形成し、カソード電極16を電界印加部14上に形成するようにしてもよい。
ここで、第2の変形例に係る電子放出素子10Abの電子放出原理について図9A、図16〜図20Eを参照しながら説明する。
まず、図9Aに示す準備期間T2においてカソード電極16に正極性のオフ電圧Vfが印加されることで、図16に示すように、電界印加部14が一方向に分極することになる。
そして、次の電子放出期間T1において、カソード電極16に負極性のオン電圧Voが供給されることによって、図17に示すように、例えば電界集中ポイントAから電子が放出されることになる。即ち、分極が反転された電界印加部14のうち、カソード電極16の近傍に帯電する双極子モーメント17が放出電子を引き出すこととなる。
つまり、カソード電極16のうち、電界印加部14との界面近傍において局所的なカソードが形成され、電界印加部14のうち、カソード電極16の近傍の部分に帯電している双極子モーメント17の+極が局所的なアノードとなってカソード電極16から電子が引き出され、その引き出された電子のうち、一部の電子が電界印加部14に衝突して、電界印加部14から種火としての2次電子が放出され、該2次電子がコレクタ電極50に導かれて蛍光体106を励起することになる。
ここで、電界集中ポイントAでの電界の強さEAは、カソード電極16とアノード電極20間に印加される電圧をVak、局所的なアノードと局所的なカソード間の距離をdAとしたとき、EA=Vak/dAの関係がある。この場合、局所的なアノードと局所的なカソード間の距離dAは非常に小さいことから、電子放出に必要な電界の強さEAを容易に得ることができる(電界の強さEAが大きくなっていることを図17上では実線矢印によって示す)。これは、電圧Vakの低電圧化につながる。
そして、カソード電極16からの電子放出がそのまま進行すれば、ジュール熱によって蒸散して浮遊する電界印加部14の構成原子が前記放出された2次電子によって正イオンと電子に電離され、この電離によって発生した電子が更に電界印加部14の構成原子等を電離するため、ねずみ算式に電子が増え、これが進行して電子と正イオンが中性的に存在する局所プラズマが発生することになる。前記電離によって発生した正イオンが例えばカソード電極16に衝突することによってカソード電極16が損傷することも考えられる。
しかし、この電子放出素子10Abでは、図18に示すように、カソード電極16から引き出された電子が、局所アノードとして存在する電界印加部14の双極子モーメント17の+極に引かれ、カソード電極16の近傍における電界印加部14の表面の負極性への帯電が進行することになる。その結果、電子の加速因子(局所的な電位差)が緩和され、2次電子放出に至るポテンシャルが存在しなくなり、電界印加部14の表面における負極性の帯電が更に進行することになる。
そのため、双極子モーメント17における局所的なアノードの正極性が弱められ、局所的なアノードと局所的なカソード間の電界の強さEAが小さくなり(電界の強さEAが小さくなっていることを図18上では破線矢印によって示す)、電子放出は停止することになる(自己停止)。
これにより、正イオンの発生はほとんどなく、正イオンによるカソード電極16の損傷を防止することができ、電子放出素子10Abの長寿命化において有利となる。たとえ正イオンがわずかに発生して、カソード電極16に向かったとしても、カソード電極16の表面には絶縁層112が形成されていることから、カソード電極16への正イオンの衝突が回避される。
ここで、1つに実験例(第2の実験例)を示す。この第2の実験例は、図19に示すように、1つの電子放出素子をサンプル10Atとして、該サンプル10Atを真空チェンバ180(真空度=4×10−3Pa)内に収容し、更に、カソード電極16に図20Aに示すパルス信号Spを供給したときに各部分に流れる電流Ia、Ik、Icの波形と、カソード電極16とアノード電極20間に印加される電圧(印加電圧Vak)の波形を測定した。測定結果を図20B〜図20Eに示す。
サンプル10Atは、図19に示すように、圧電材料による板材(電界印加部14)の上面(コレクタ電極50と対向する面)にカソード電極16を形成し、電界印加部14の下面にアノード電極20を形成するようにしている。
パルス信号Spは、図20Aに示すように、準備期間T2における正極性の電圧Vfが50Vで、時点t0から電子放出期間T1に移行し、該電子放出期間T1における負極性の電圧Voは−100Vである。
電子放出は、パルス信号Spの立ち下がり時点t0から約5μsecの時点t11で発生した。電子放出時のアノード電流Iaの値(ピーク)は約−10mAであり(図20B参照)、カソード電流Ikの値(ピーク)は約−10.5mAであり(図20C参照)、コレクタ電流Icの値(ピーク)は約−0.5mAであった(図20D参照)。
そして、図20Eに示すように、電子放出が行われた時点t11におけるカソード電極18とアノード電極14間の電圧変化ΔVakは微小であってほとんど変化がない。そのため、正イオンの発生はほとんどなく、正イオンによるカソード電極18の損傷を防止することができ、電子放出素子10Aの長寿命化において有利になることがわかる。
そして、前記パルス幅変調回路42Aは、図9Bに示すように、パルス信号Spのパルス幅Pw(オン電圧Voの連続時間)を、制御部40から供給された制御信号Scに基づいて変調して、少なくとも放出電子の量を制御する。
これにより、カソード電極16近傍から放出される電子の量をアナログ的に制御することができ、電子放出素子10Aをディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
次に、前記変調回路42の第2の具体例は、図1に示すように、パルス発生源22とカソード電極16との間に接続されたパルス周期変調回路42Bである。カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spは、図21Aに示すように、オフ電圧Vfを基準に、オン電圧Voまでの振幅を有し、かつ、一定のパルス周期Tp及び一定のパルス幅Pwを有する。
そして、パルス周期変調回路42Bは、図21Bに示すように、パルス信号Spのパルス周期Tpを、制御部40から供給された制御信号Scに基づいて変調して、少なくとも放出電子の量を制御する。
次に、前記変調回路42の第3の具体例は、図1に示すように、パルス発生源22とカソード電極16との間に接続されたパルス振幅変調回路42Cである。カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spは、図22Aに示すように、オフ電圧Vfを基準に、オン電圧Voまでの振幅Paを有し、かつ、一定のパルス周期Tp及び一定のパルス幅Pwを有する。
そして、パルス振幅変調回路43Cは、図22Bに示すように、パルス信号Spに含まれるパルスの振幅Paを、制御部40から供給された制御信号Scに基づいて変調して、少なくとも放出電子の量を制御する。
パルス振幅Paが小さくなると、単位時間あたりの電子の放出量が減り、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は低くなり(暗くなり)、パルス振幅Paが大きくなると、単位時間あたりの電子の放出量が多くなり、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は高くなる(明るくなる)。
これら第2及び第3の具体例に係る変調回路(パルス周期変調回路42B及びパルス振幅変調回路42C)においても、カソード電極16近傍から放出される電子の量をアナログ的に制御することができ、電子放出素子10Aをディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
次に、第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bについて図23を参照しながら説明する。
この第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bは、上述した第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aとほぼ同様の構成を有するが、電界印加部14の上方のうち、カソード電極16とアノード電極20間に形成されているスリット18に対向した位置にコレクタ電極50が配置されている点と、該コレクタ電極50とアノード電極20との間に可変電圧源52が接続されている点で異なる。
可変電圧源52は、コレクタ電極50とアノード電極20間に印加されるバイアス電圧Vcを、制御部40から供給された制御信号Sc2に基づいて可変にする。
そして、カソード電極16近傍から放出される電子の量を増やす場合は、可変電圧源52のバイアス電圧Vcを正方向に大きくする。
また、可変電圧源52は、スイッチング回路として使用することも可能である。即ち、電子を放出させる場合は、一定のバイアス電圧Vcをかけておき、電子を放出させない場合に、バイアス電圧Vcを小さい値にする。この場合、バイアス電圧Vcを正方向に小とするか、ゼロにする。又は負方向に大にすればよい。
次に、第3の実施の形態に係る電子放出素子10Cについて図24を参照しながら説明する。
この第3の実施の形態に係る電子放出素子10Cは、上述した第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aとほぼ同様の構成を有するが、電界印加部14の上方のうち、第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bにおけるコレクタ電極50(図24において二点鎖線で示す)よりも下方の位置に、制御電極60が配置されている点と、該制御電極60とアノード電極20との間に可変電圧源62が接続されている点で異なる。
制御電極60は、カソード電極16とアノード電極20間に形成されているスリット18の少なくとも中央部に対向する位置に窓64を有する。
窓64の形状としては、図25Aに示すように、延在方向が前記スリット18の長手方向に沿ったスリット状や、図25Bに示すように、延在方向が前記スリット18の長手方向と直交したスリット状や、図25Cに示すような円形、あるいは図25Dに示すような楕円形等が考えられる。
図24に示すように、可変電圧源62は、制御電極60とアノード電極20間に印加される制御電圧Vgを、制御部40から供給された制御信号Sc3に基づいて可変にする。
ここで、コレクタ電極50に流れるコレクタ電流Icと制御電圧Vgとの関係について図26を参照しながら説明する。まず、制御電圧Vgを電子放出停止電圧VOFFとしたときは、コレクタ電流Icはほとんど流れない。これは、電子が放出されていないことを示す。次に、制御電圧Vgを徐々に正方向に上昇させていくと、コレクタ電流Icは、制御電圧Vgに対してほぼ比例的に上昇する。 従って、カソード電極16近傍から放出される電子の量を増やす場合は、可変電圧源62の制御電圧Vgを正方向に大きくすればよい。
また、可変電圧源62は、スイッチング回路として使用することも可能である。即ち、電子を放出させる場合は、一定の制御電圧Vgをかけておき、電子を放出させない場合に、制御電圧Vgを小さい値にする。この場合、制御電圧Vgを正方向に小とするか、ゼロにする。又は負方向に大にすればよい。
これにより、カソード電極16近傍から放出される電子の量をアナログ的に制御することができ、電子放出素子10Cをディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
特に、制御電極60に印加される制御電圧Vgを適宜調整することで、放出される電子の直進性を良好にすることができ、電子放出素子10Cをディスプレイ等に適用した場合に、これら電子放出素子10C間のクロストークの抑制を有効に図ることができる。
次に、第4の実施の形態に係る電子放出素子10Dについて図27を参照しながら説明する。
この第4の実施の形態に係る電子放出素子10Dは、上述した第3の実施の形態に係る電子放出素子10Cとほぼ同様の構成を有するが、パルス発生源22からのパルス信号Spを変調して、少なくとも放出電子の量を制御する変調回路70を有する。
ここで、変調回路70の具体例について図27〜30Bを参照しながら説明する。まず、前記変調回路70の第1の具体例は、図27に示すように、パルス発生源22と制御電極60との間に接続されたパルス幅変調回路70Aである。
そして、パルス発生源22を通じてカソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spは、図28Aに示すように、オフ電圧Vfを基準に、オン電圧Voまでの振幅を有し、かつ、一定のパルス周期Tp及び一定のパルス幅Pwを有する。
パルス発生源22を通じて制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1は、図28Bに示すように、アノード電極20に印加される電圧レベル(オフ電圧Vf1のレベル)を基準に、カソード電極16近傍から放出された電子を通過させるレベル(オン電圧Vo1のレベル)までの振幅を有し、かつ、一定のパルス周期Tpを有する。
前記パルス幅変調回路70Aは、図28Bに示すように、パルス信号Sp1のパルス幅Pw1(オン電圧Vo1の連続時間)を、制御部40から供給された制御信号Sc4に基づいて変調して、少なくとも放出電子の量を制御する。
カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spと、制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1とが共にオン電圧Vo及びVo1になっている時間Toだけ電子が放出されることになる。
従って、カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spのパルス幅Pwを一定にして、制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1のパルス幅Pw1を短くすることで、単位時間あたりの電子の放出量が減り、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は低くなる(暗くなる)。逆に、パルス信号Sp1のパルス幅Pw1を長くすることによって、単位時間あたりの電子の放出量が多くなり、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は高くなる(明るくなる)。
これにより、カソード電極16近傍から放出される電子の量をアナログ的に制御することができ、電子放出素子10Dをディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
次に、前記変調回路70の第2の具体例は、パルス発生源22と制御電極60との間に接続されたパルス数変調回路70Bである。制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1は、図29Bに示すように、オフ電圧Vf1を基準に、オン電圧Vo1までの振幅を有し、かつ、一定のパルス周期Tp及び一定のパルス幅Pwを有する。即ち、カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spとほぼ同じ波形(図29A参照)を有する。
そして、パルス数変調回路70Bは、図29Bに示すように、パルス信号Sp1に含まれるパルス数を、制御部40から供給された制御信号Sc4に基づいて変化させて、少なくとも放出電子の量を制御する。
この場合も、カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spと、制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1とが共にオン電圧Vo及びVo1となっている時間だけ電子が放出されることになる。
従って、パルス信号Sp1のパルス数を少なくすると、単位時間あたりにおける電子の放出に係る実効パルス数が減り、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は低くなる(暗くなる)。反対に、パルス信号Sp1のパルス数を多くすると、単位時間あたりにおける電子の放出に係る実効パルス数が多くなり、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は高くなる(明るくなる)。
次に、前記変調回路70の第3の具体例は、図27に示すように、パルス発生源22と制御電極60との間に接続されたパルス振幅変調回路70Cである。カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号は、図30B(破線部分参照)に示すように、オフ電圧Vf1を基準に、オン電圧Vo1までの振幅Pa1を有し、かつ、一定のパルス周期Tp及び一定のパルス幅Pwを有する。即ち、この場合も、カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spとほぼ同じ波形(図30A参照)を有する。
そして、パルス振幅変調回路70Cは、図30Bに示すように、パルス信号Sp1に含まれるパルスの振幅Pa1を、制御部40から供給された制御信号Sc4に基づいて変調して、少なくとも放出電子の量を制御する。
この場合も、カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spと、制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1とが共にオン電圧Vo及びVo1になっている時間だけ電子が放出されることになる。
特に、パルス信号Sp1のパルス振幅Pa1が小さくなると、単位時間あたりの電子の放出量が減り、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は低くなり(暗くなり)、パルス振幅Pa1が大きくなると、単位時間あたりの電子の放出量が多くなり、ディスプレイに適用した場合に発光輝度は高くなる(明るくなる)。
これら第2及び第3の具体例に係る変調回路(パルス数変調回路70B及びパルス振幅変調回路70C)においても、カソード電極16近傍から放出される電子の量をアナログ的に制御することができ、電子放出素子10Dをディスプレイ等に適用した場合に、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
上述の第4の実施の形態では、パルス発生源22と制御電極60との間に変調回路70を接続して、制御電極60とアノード電極20間に印加されるパルス信号Sp1を変調するようにしたが、その他、第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bにおいて示すコレクタ電極50とパルス発生源22との間に変調回路70を接続して、コレクタ電極50とアノード電極20間に印加されるパルス信号を変調するようにしてもよい。
次に、第5の実施の形態に係る電子放出素子10Eについて図31を参照しながら説明する。
この第5の実施の形態に係る電子放出素子10Eは、図31に示すように、上述した第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bとほぼ同様の構成を有するが、第3の実施の形態に係る電子放出素子10Cの制御電極60と可変電圧源62を有する点で異なる。
この場合、第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aにおいて示した3つの変調方式(パルス幅変調、パルス周期変調、パルス振幅変調)と、コレクタ電極50に対する可変電圧源52での2つの制御方法(バイアス電圧のレベル制御、スイッチング制御)と、制御電極60に対する可変電圧源62での2つの制御方法(バイアス電圧のレベル制御、スイッチング制御)とを任意に組み合わせた方法、即ち、12通りの方法を実現させることができる。
なお、コレクタ電極50に対する可変電圧源52でのスイッチング制御、並びに制御電極60に対する可変電圧源62でのスイッチング制御を採用すると、ディスプレイに適用した場合に、マトリックス駆動(ダイナミック駆動)方式による駆動制御が可能となる。
また、第1〜第5の実施の形態に係る電子放出素子10A〜10Eにおいては、電子放出素子10A〜10E内の真空度を1×10−3Pa程度にしても高い電流密度を得ることができる。第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bにおいては、コレクタ電極50とアノード電極20間の電圧を400V程度にしても高い電流密度を得ることができる。
次に、上述の各実施の形態に係る電子放出素子10A〜10Eをディスプレイに適用した実施の形態について説明する。なお、同一部材に対しては同符号を記してその重複説明を省略する。また、ディスプレイは、第1〜第5の実施の形態に係る電子放出素子10A〜10Eが適用可能であるため、以下の説明では、各実施の形態に係る電子放出素子10A〜10Eを総括して電子放出素子10と記す。
まず、第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aは、図32に示すように、表示面を構成するガラス基板102と、該ガラス基板102の背面に対向して設けられ、かつ多数の電子放出素子10が画素に対応してマトリックス状あるいは千鳥状に配列された表示部104を有する。
表示部104は、例えばセラミックスにて構成された基板12を有し、該基板12の各画素に応じた位置に電子放出素子10が配設されている。前記基板12は、一主面がガラス基板102の背面に対向するように配置されており、該一主面は連続した面(面一)とされている。ガラス基板102の背面には、コレクタ電極50が配され、更に、画素に対応した箇所に蛍光体層106を有する蛍光面108が形成されている。
また、このディスプレイ100Aにおいては、ガラス基板102と基板12との間において、電子放出素子10以外の部分に形成された桟110を有して構成され、図32の例では、桟110の上面にガラス基板102が固着された場合を示している。桟110の材質は、熱、圧力に対して変形しないものが好ましい。また、桟110は、接着剤によって基板12とガラス基板102との間に固着させるようにしてもよく、スクリーン印刷等の厚膜形成技術によって形成するようにしてもよい。
そして、この第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aにおいては、電子放出素子10における電界印加部14の側壁に沿って絶縁層112が形成され、該絶縁層112の上面のみに制御電極60が配設されて構成されている。絶縁層112は、例えばスクリーン印刷等の厚膜形成技術によって形成される。
絶縁層112の厚みは、電界印加部14の厚みよりも厚く、基板12の上面からガラス基板102(正確には蛍光面108)までの距離未満の厚みを有する。
そして、各電子放出素子10に通じる配線は、図33(第1の具体例に係る配線パターン114a)に示すように、多数の画素の行数に応じた本数の行選択線120と、多数の画素の列数に応じた本数の信号線122と、多数の画素の数に応じたコモンリード線124とを有する。
各行選択線120は、各画素(電子放出素子10:図32参照)におけるカソード電極16に電気的に接続され、各信号線122は、各画素の制御電極60に電気的に接続され、各コモンリード線124は、各画素のアノード電極20に電気的に接続されている。
また、前記各行選択線120は、前列の画素に関するカソード電極16から導出されて当該画素に関するカソード電極46に接続されて、1つの行に関し、シリーズに配線された形となっている。信号線122は、列方向に延びる本線122aと該本線122aから分岐して各電子放出素子10の制御電極60に接続される支線122bからなる。
各行選択線120への電圧信号の供給は、例えば基板12の端面に印刷形成された配線パターンを通じて行われ、各信号線122への電圧信号の供給は、本線122aにつながるスルーホール126を通じて行われ、コモンリード線124への電圧印加はスルーホール128を通じて行われる。
なお、各行選択線120と各信号線122とが交差する部分には、互いの配線120及び122間の絶縁をとるためにシリコン酸化膜、ガラス膜、樹脂膜等からなる絶縁膜130(一点鎖線で示す)が介在されている。
図33に示す配線パターン114aでは、電界印加部14の平面形状、カソード電極16、アノード電極20及び制御電極60の平面形状にて形づくられる外周形状を円形状とした場合を示したが、その他、図34に示す第2の具体例に係る配線パターン114bや、図35に示す第3の具体例に係る配線パターン114cのように長円形状(トラック形状)としてもよい。また、図36に示す第4の具体例に係る配線パターン114dのように楕円形状としてもよい。なお、図34及び図35では、信号線122の記載を省略してある。
また、図37に示す第5の具体例に係る配線パターン114eのように、電界印加部14の平面形状、カソード電極16、アノード電極20及び制御電極60の平面形状を共に矩形状とし、それぞれコーナー部が角のとれた形状や、図38に示す第6の具体例に係る配線パターン114fように、電界印加部14の平面形状、カソード電極16、アノード電極20及び制御電極60の平面形状を共に多角形状(例えば八角形状)とし、各頂角部分が丸みを帯びた形状としてもよい。
また、電界印加部14の平面形状、カソード電極16、アノード電極20及び制御電極60の平面形状にて形づくられる外周形状は、円形と楕円形の組み合わせでもよいし、矩形状と楕円形の組み合わせでもよく、特に限定されるものではない。また、電界印加部14の平面形状は、ここでは図示しないが、リング状とすることも好ましく採用される。この場合も、外周形状として、円形、楕円形、矩形状など種々のものが挙げられる。
図33、図37及び図38の例では、基板12上での各電子放出素子10(画素)の配置をマトリックス状とした例を示したが、その他、図36に示すように、各行に対して電子放出素子10(画素)を千鳥状に配置するようにしてもよい。
この図36の配線パターン114dの場合は、各行に関する電子放出素子10(画素)の配置が千鳥状となることから、各行に関し、それぞれ行選択線120を結ぶライン(一点鎖線aで示す)はジグザグ状となる。
信号線122は、基板12の裏面において、破線bに示すように、前記千鳥状に配される電子放出素子10のうち、例えば垂直方向上側に位置する画素(電子放出素子10)に対応する箇所に2本の信号線122及び122を互いに近接させて配線したパターンを有する。
そして、図36上、千鳥状に配される画素のうち、例えば垂直方向上側に位置する画素(電子放出素子10)の制御電極60が、前記互いに近接する2本の信号線122及び122のうち、右側の信号線122と中継導体132及びスルーホール126を通じて電気的に接続され、垂直方向下側に位置する画素(電子放出素子10)の制御電極60が、前記互いに近接する2本の信号線122及び122のうち、左側の信号線122と中継導体134及びスルーホール126を通じて電気的に接続される。
また、基板12の裏面にコモンリード線124(破線cで示す)を配線し、隣接する4つの電子放出素子10毎に共通にそれぞれ1つのスルーホール128を設け、各スルーホール128と前記コモンリード線124とを電気的に接続する。そして、隣接する4つの電子放出素子10からそれぞれ対応するスルーホール128に対して中継導体136をつなぐことで、各電子放出素子10におけるアノード電極20とコモンリード線124とを電気的に接続する。
上述の例では、信号線122を制御電極60に接続したが、その他、図39や図40に示すように、信号線122をカソード電極16にスイッチング素子140(例えばTFTなど)を介して接続するようにしてもよい。この場合、行選択線120がスイッチング素子140のゲート142に接続され、信号線122がスイッチング素子140の一方のソース/ドレイン144に接続され、カソード電極16が他方のソース/ドレイン146に接続される。なお、図39は、カソード電極16とアノード電極20を互い違いに配列された櫛歯形状とした例(第7の具体例に係る配線パターン114g)を示し、図40は、カソード電極16とアノード電極20を互いに並行に、かつ相互に離間された渦巻き状とした例(第8の具体例に係る配線パターン114h)を示す。
上述のようにスイッチング素子140としてTFTを用いた場合、アクティブマトリックス駆動が可能となる。
前記スイッチング素子140としては、TFTのほか、バリスタやツェナーダイオード、MIM等の非線形抵抗素子を使用することができる。この場合、アクティブマトリックス駆動が可能となると共に、電子放出素子10を過電流から保護できるという利点がある。
また、過電流抑制効果を持たせる駆動回路としては、カソードもしくはアノードと直列に、コンデンサと抵抗の並列回路を接続する。この場合、抵抗により過電流を抑制させると共に、コンデンサのバイパス効果でパルス印加時の立ち上がり電流を損ねることはないという利点を有する。
もちろん、図39及び図40の例に限らず、スイッチング素子140を使用せずに、行選択線120を直接カソード電極16に接続し、信号線122を直接制御電極60(図示せず)に接続するようにしてもよい。
次に、第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aの動作を図32及び図33を参照しながら簡単に説明する。駆動方式として、例えば図28A及び図28Bの方法を採用した場合は、ある行に関する行選択線120の電圧をオン電圧Voにすることで、その行に関する電子放出素子10が選択され、更に、各信号線122に供給されるパルス信号Sp1のパルス幅Pw1を、画像信号の属性に応じて、各画素毎に変調する。
この動作を全行に対して行うことで、1フレームの画像がガラス基板102の表面から映し出され(フレーム動作)、更に、このフレーム動作を連続して行うことで、このディスプレイ100Aに供給される画像信号に応じた静止画あるいは動画がガラス基板102の表面から映し出されることになる。もちろん、図29A〜図30B等の駆動方式を採用することもできる。
ここで、制御電極60の平面形状について図41〜図54を参照しながら説明する。なお、図41〜図54においては、説明を簡単化するために3行3列の画素(電子放出素子10)の配列を対象にしている。もちろん、n行×m列の任意の配列(マトリックス配列や千鳥配列)にも対応させることができる。
まず、第1の具体例に係る制御電極60Aは、図41に示すように、その外形が複数の電子放出素子10の配列で形作られる枠150よりも大きく、各電子放出素子10に対応した位置、特に、スリット18の中央部分と対向する位置に円形の窓64を有する。この制御電極60Aによれば、構造が簡単で、作製し易いという利点がある。
なお、枠150は、1列目に並ぶ電子放出素子10群のカソード電極16の端面を結ぶ辺(一点鎖線Aで示す)と、最終列目に並ぶ電子放出素子10群のアノード電極20の端面を結ぶ辺(一点鎖線Bで示す)と、1行目に並ぶ電子放出素子10群のカソード電極16及びアノード電極20の各端面を結ぶ辺(一点鎖線Cで示す)と、最終行目に並ぶ電子放出素子10群のカソード電極16及びアノード電極20の各端面を結ぶ辺(一点鎖線Dで示す)とで形作られる。
第2の具体例に係る制御電極60Bは、図42に示すように、その外形が前記枠150とほぼ同じである点で異なり、第3の具体例に係る制御電極60Cは、図43に示すように、その外形が前記枠150よりも小さい点で異なる。これらの場合も、構造が簡単で、作製し易いという利点がある。
第4の具体例に係る制御電極60Dは、図44に示すように、外枠152と該外枠152内において複数の縦罫154及び横罫156が形成された網目状の構造を有し、各電子放出素子10におけるスリット18の中央部分と対向する位置にそれぞれ矩形状の窓64(網目によって形作られる窓)が形成された構造を有する。この制御電極60Dによれば、貫通部分が多いことから、制御電極60Dの軽量化が実現できると共に、コストの面でも有利となる。
第5の具体例に係る制御電極60Eは、図45に示すように、第4の具体例に係る制御電極60Dとほぼ同様の構成を有するが、縦罫154の一部を閉塞させた構造を有する。この場合、第4の具体例に係る制御電極60Dよりも強度的に有利になる。
第6の具体例に係る制御電極60Fは、図46に示すように、第1の具体例に係る制御電極60Aとほぼ同様の構成を有するが、窓64がスリット状であり、その延在方向が各電子放出素子10のスリット18の長手方向に沿い、かつ、縦方向に配列された複数の電子放出素子10に対して共通に連続形成されている点で異なる。この場合、制御電極60Fの作製が容易であるという利点がある。
第7の具体例に係る制御電極60Gは、図47に示すように、第1の具体例に係る制御電極60Aとほぼ同様の構成を有するが、窓64がスリット状であり、その延在方向が各電子放出素子10のスリット18の長手方向と直交し、かつ、横方向に配列された複数の電子放出素子10に対して共通に連続形成されている点で異なる。この場合も、制御電極60Gの作製が容易であるという利点がある。
第8の具体例に係る制御電極60Hは、図48に示すように、第6の具体例に係る制御電極60Fとほぼ同様の構成を有するが、列毎に独立している点で異なる。この場合、制御電極60Hを列単位に駆動することができる。
例えば、1列目の制御電極60Haを赤、2列目の制御電極60Hbを緑、3列目の制御電極60Hcを青に対応させた並びにすると、色毎に独立して制御をかけることができ、細かい色調整が可能となる。また、1列目の制御電極60Haを画面の左側、2列目の制御電極60Hbを画面の中央、3列目の制御電極60Hcを画面の右側に対応させた並びにすると、画面の位置ごとに独立して制御をかけることができ、画面の任意の領域ごとに輝度補正や色むら補正を行うことができる。
第9の具体例に係る制御電極60Iは、図49に示すように、第8の具体例に係る制御電極60Hとほぼ同様の構成を有するが、各電子放出素子10のスリット18の長手方向が横方向とされている点で異なる。この場合、制御電極60Iを行単位に駆動することができる。
例えば、1行目の制御電極60Iaを赤、2行目の制御電極60Ibを緑、3行目の制御電極60Icを青に対応させた並びにすると、色ごとに独立して制御をかけることができ、細かい色調整が可能となる。また、1行目の制御電極60Iaを画面の上側、2行目の制御電極60Ibを画面の中央、3行目の制御電極60Icを画面の下側に対応させた並びにすると、画面の位置ごとに独立して制御をかけることができ、画面の任意の領域ごとに輝度補正や色むら補正を行うことができる。
第10の具体例に係る制御電極60Jは、図50に示すように、第7の具体例に係る制御電極60Gとほぼ同様の構成を有するが、行毎に独立している点で異なる。この場合、制御電極60J(60Ja、60Jb及び60Jc)を行単位に駆動することができる。
第11の具体例に係る制御電極60Kは、図51に示すように、第10の具体例に係る制御電極60Jとほぼ同様の構成を有するが、各電子放出素子10のスリット18の長手方向が横方向とされている点で異なる。この場合、制御電極60K(60Ka、60Kb及び60Kc)を列単位に駆動することができる。
第12の具体例に係る制御電極60Lは、図52に示すように、第1の具体例に係る制御電極60Aとほぼ同様の構成を有するが、電子放出素子10毎(画素毎)に独立している点で異なる。この場合、制御電極60Lを電子放出素子10単位(画素単位)に駆動することができる。そのため、画素毎に輝度補正、色むら補正などが可能となる。
第13の具体例に係る制御電極60Mは、図53に示すように、第8の具体例に係る制御電極60Hとほぼ同様の構成を有するが、電子放出素子10毎(画素毎)に独立している点で異なる。この場合も、制御電極60Mを電子放出素子10単位(画素単位)に駆動することができる。そのため、画素毎に輝度補正、色むら補正などが可能となる。
第14の具体例に係る制御電極60Nは、図54に示すように、第11の具体例に係る制御電極60Kとほぼ同様の構成を有するが、電子放出素子10毎(画素毎)に独立している点で異なる。この場合も、制御電極60Nを電子放出素子10単位(画素単位)に駆動することができる。そのため、画素毎に輝度補正、色むら補正などが可能となる。
このように、第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aにおいては、各電子放出素子10においてカソード電極16及びアノード電極20上に配された制御電極60を有するようにしたので、コレクタ電極50の役割を制御電極60にて補うことができる。
即ち、コレクタ電極50とアノード電極20間に印加される電圧を適宜調整することで、放出電子の量や加速度を制御することができる。これに加えて、制御電極60に印加される信号のレベルやパルス幅等を適宜調整することで、制御電極60においても、放出電子の量を制御することができる。その結果、放出電子の量と加速度を独立して制御することが可能となり、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
また、制御電極60に印加される信号のレベルやパルス幅等を適宜調整することで、放出電子の直進性も良好にすることができることから、各電子放出素子10間のクロストークの抑制を有効に図ることができる。
ところで、制御電極60がないディスプレイでカラー表示を行わせる場合は、図55に示すように、3種類の電子放出素子(赤用の電子放出素子10r、緑用の電子放出素子10g及び青用の電子放出素子10b)が必要になる。
しかし、制御電極60を具備した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aにおいては、図56に示すように、1つの電子放出素子10に対して3つの制御電極(赤用の制御電極60r、緑用の制御電極60g及び青用の制御電極60b)を形成することで、1つの電子放出素子10でカラー表示を行うことができる。例えば、電子放出素子10のカソード電極16及びアノード電極20間の信号をオン電圧レベルとし、更に、例えば青用の制御電極60bとアノード電極20間の信号をオン電圧レベルとすることで、当該電子放出素子10を通じて青色を発光させることができる。
このような構成を採用することにより、画素の配列ピッチを狭くすることができ、高精細化を実現させることができる。また、制御電極60がない場合は、電子放出素子10の大きさで画素の配列ピッチが決定されることになるが、制御電極60を具備させることで、制御電極60の線幅や蛍光体層106(図32参照)の線幅で画素の配列ピッチが決定されることになる。これは、画素の配列ピッチが電子放出素子10の大きさで制約を受けないことを示し、設計の自由度が向上すると共に、高精細化が実現できることにつながる。
なお、図56の例では、1つの電子放出素子10に対して、3つの制御電極60r、60g及び60bを形成した場合を示したが、1つの電子放出素子10に対する制御電極60の数を増やすことで、更なる高精度化を実現させることができる。
次に、第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aの変形例について図57〜図66を参照しながら説明する。
まず、第1の変形例に係るディスプレイ100Aaは、図57に示すように、上述した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60が絶縁層112の上面から側面並びに基板12の一部にかけて連続形成されている点で異なる。この場合、制御電極60の面積が広くなることから、寄生抵抗や寄生インダクタンスの低減に有利となり、高周波のパルス信号に対する変調の高忠実性が期待できる。
ところで、絶縁層112の厚みが大きくなると、絶縁層112の上面に制御電極60を形成した場合に、制御電極60の荷重や使用時の振動、絶縁層112自体の重みなどによって絶縁層112にたわみが発生しやすくなり、放出電子を精度よく制御できなくなるおそれがある。しかし、この例では、制御電極60のうち、絶縁層112の側面から基板12の一部にかけて連続形成された部分が絶縁層112の支持部材として機能することから、上述のような絶縁層112のたわみは生じなくなり、放出電子を精度よく制御することができる。
次に、第2の変形例に係るディスプレイ100Abは、図58に示すように、上述した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aとほぼ同様の構成を有するが、電界印加部14の上面のうち、その周辺部に絶縁層112が形成され、該絶縁層112の上面に制御電極60が形成されている点で異なる。
この場合、絶縁層112の厚みを薄くできることから、絶縁層112にたわみは発生しなくなり、放出電子を精度よく制御することができる。
第3の変形例に係るディスプレイ100Acは、図59に示すように、上述した第2の変形例に係るディスプレイ100Abとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60が絶縁層112の上面から側面並びに電界印加部14の一部(周部)にかけて連続形成されている点で異なる。
第4の変形例に係るディスプレイ100Adは、図60に示すように、上述した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60とガラス基板102との間に絶縁層160を介在させて、絶縁層112、制御電極60及び絶縁層160の多層構造にて桟110(図32参照)を兼用している点で異なる。
この場合、各電子放出素子10間に桟110を形成する必要がないことから、電子放出素子10の高集積化を実現させることができる。
第5の変形例に係るディスプレイ100Aeは、図61に示すように、上述した第1の変形例に係るディスプレイ100Aaとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60とガラス基板102との間に絶縁層160を介在させて、絶縁層112、制御電極60及び絶縁層160の多層構造にて桟110を兼用している点で異なる。
第6の変形例に係るディスプレイ100Afは、図62に示すように、上述した第2の変形例に係るディスプレイ100Abとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60とガラス基板102との間に絶縁層160を介在させて、絶縁層112、制御電極60及び絶縁層160の多層構造にて桟110を兼用している点で異なる。
第7の変形例に係るディスプレイ100Agは、図63に示すように、上述した第3の変形例に係るディスプレイ100Acとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60とガラス基板102との間に絶縁層160を介在させて、絶縁層112、制御電極60及び絶縁層160の多層構造にて桟110を兼用している点で異なる。
第8の変形例に係るディスプレイ100Ahは、図64に示すように、上述した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aとほぼ同様の構成を有するが、電界印加部14の上面のうち、その周辺部に第2の桟162が例えば接着剤にて固着され、該第2の桟162の上面に制御電極60が張設されている点で異なる。
第9の変形例に係るディスプレイ100Aiは、図65に示すように、上述した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aとほぼ同様の構成を有するが、基板12上のうち、電界印加部14に近接した部分に第2の桟162が例えば接着剤にて固着され、該第2の桟162の上面に制御電極60が張設されている点で異なる。
第10の変形例に係るディスプレイ100Ajは、図66に示すように、制御電極60が、複数の立ち上がり片170と、基板12と平行に配された電極本体172とが一体に形成されて構成されている点で異なる。立ち上がり片170は、立ち上がり部170aと屈曲部170bとが一体とされた断面L字状とされている。基板12上のうち、その周部に立ち上がり片170の屈曲部170bが例えば接着剤にて固着されている。
第11の変形例に係るディスプレイ100Akは、図67に示すように、電子放出素子(第6の実施の形態に係る電子放出素子10F)が、電界印加部14の上面に形成されたカソード電極16とアノード電極20上に絶縁層112が形成されている点と、前記絶縁層112上に電極膜による制御電極60が形成されている点で異なる。
上述したように、カソード電極16にオン電圧レベルの電圧が供給されることによって、電界集中ポイントAあるいはカソード電極16と電界印加部14との界面から電子が放出されることになる。
この放出された電子(1次電子)のうち、アノード電極20に引かれた電子や、該電子が電界印加部14に衝突することによって発生する2次電子は、主にアノード電極20の近傍に存在する気体又はアノード電極20の近傍において蒸散して浮遊する電極原子等を正イオンと電子に電離する。
この電離によって発生した正イオンは、例えばカソード電極16に衝突する場合があり、これによってカソード電極16が損傷するおそれがある。
しかし、この第11の変形例に係るディスプレイ100Akにおける電子放出素子10Gでは、カソード電極16及びアノード電極20の各表面に絶縁層112を形成するようにしたので、カソード電極16への正イオンの衝突を回避することができ、カソード電極16の損傷を防止することができる。
次に、第12の変形例に係るディスプレイ10Amについて図68を参照しながら説明する。
この第12の変形例に係るディスプレイAmの電子放出素子(第7の実施の形態に係る電子放出素子10G)は、以下に示す構成を有する。
即ち、図68に示すように、アノード電極20が基板12上に形成され、電界印加部14が基板12上にアノード電極20を覆うように形成され、カソード電極16が電界印加部14上に形成され、かつ、中央にスリット18を有するリング状に形成されている。そして、リング状のカソード電極16上に絶縁層112が形成され、更に、絶縁層112上に電極膜による制御電極60が形成されている。
次に、第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bについて図69を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、各実施の形態に係る電子放出素子10A〜10Hを総括して電子放出素子10と記す。
この第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bは、図69に示すように、上述した第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60の上面に絶縁層160が形成され、更に、この絶縁層160の上面に第2の制御電極180が形成されている点で異なる。第2の制御電極180は、カソード電極16とアノード電極20間に形成されているスリット18の少なくとも中央部に対向する位置に窓184を有する。
ここで、電子放出素子10における階調制御について説明する。図70A及び図70Bに示すように、カソード電極16とアノード電極20間に印加されるパルス信号Spがオン電圧Voとなっている期間のうち、最初の段階では、電子の放出量はオン電圧Voに応じた量となっているが、時間の経過に伴って次第に放出量が減少していく。
従って、パルス幅変調によって表示階調を制御する場合に、以下のような不都合が生じる場合がある。
即ち、図71に示すように、制御部40からの制御信号Scの論理値を階調指令値と定義したとき、階調指令値と輝度の関係を論理的に比例関係(破線A参照)として制御することが考えられる。この考えは、オン電圧Voが継続している期間、電子の放出量が一定であることを前提としたものである。
しかし、上述したように、オン電圧Voの継続時間が長くなるほど電子の放出量が減少するという非線形的な特性を有することから、図71の曲線Bに示すように、階調指令値の変化に対して輝度は非線形的に変化することとなり、高精度な階調制御ができなくなるおそれがある。
そこで、まず、第2の制御電極180がないディスプレイ(第1の実施の形態に係るディスプレイ100A)で前記問題を解決する場合、図72に示すように、変調回路42と制御部40との間に、階調指令値を補正するリニアライズ補正回路182を接続することが挙げられる。
リニアライズ補正回路182は、階調補正値の変化に基づく表示階調の変化が線形特性となるような補正をかける。具体的には、図73に示すように、入力される階調指令値に対応した補正値を、予め決められた計算式に基づいて演算、あるいは情報テーブルから読み出して出力する。そして、前記計算式あるいは情報テーブルに登録される補正値は、該補正値の変化に基づく表示階調の変化が線形特性となるように設定される。補正値の変化としては、例えばパルス信号Spのパルス幅が短い期間においては、ほぼリニアに変化し、パルス幅が長くなるに従って指数関数的(あるいは対数関数的)に変化する特性が選ばれる。
このリニアライズ補正回路182の存在によって、図74に示すように、階調指令値の変化に対する輝度の変化は、ほぼ線形的な特性となる。
一方、第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bにおいては、第2の制御電極180を有することから、図75A及び図75Bに示すように、第2の制御電極180とアノード電極20間に、図70Bに示す電子の放出量の変化とは逆の変化特性を有する可変電圧Vg2を印加する。この可変電圧Vg2は、時間の経過に伴う電子放出量の特性曲線(図70Bの特性曲線C参照)に従って、レベルが上がる波形を有する。
第2の制御電極180に上述の波形を有する可変電圧Vg2を印加することで、非線形特性を有していた電子放出量の変化(時間の経過に伴う変化:図70B参照)が、図75Cに示すように、ほぼ一定となるように補正され、その結果、図74に示すように、階調指令値の変化に基づく輝度の変化が線形特性となる。
また、第2の制御電極180を具備することで、放出電子の直進性が一層改善され、クロストークの問題は解消される。これは、電子放出素子10(画素)の高集積化の向上につながる。
また、第2の制御電極180を具備させた場合、図76に示すように、制御電極60と組み合わせることで、電子放出素子10のアクティブマトリックス駆動が可能となる。例えば制御電極60を行方向に配列し、第2の制御電極180を列方向に配列する。そして、例えば2行4列目の電子放出素子10(2,4)を選択する場合は、2行目の制御電極60(2)と4列目の第2の制御電極180(4)にそれぞれオン電圧レベルの信号を印加すればよい。同様に、5行3列目の電子放出素子10(5,3)を選択する場合は、5行目の制御電極60(5)と3列目の第2の制御電極180(3)にそれぞれオン電圧レベルの信号を印加すればよい。
この場合、電子放出素子10毎にドライバICを用意する必要がなくなるため、製造コストの低廉化に有効となる。
第2の制御電極180を具備した第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bにおいて、図77に示すように、1つの電子放出素子10に対して3つの第2の制御電極(赤用の第2の制御電極180r、緑用の第2の制御電極180g及び青用の第2の制御電極180b)を形成することで、1つの電子放出素子10でカラー表示を行うことができる。
例えば、電子放出素子10のカソード電極16及びアノード電極20間の信号、制御電極60とアノード電極20間の信号を共にオン電圧レベルとし、更に、例えば青用の第2の制御電極180bとアノード電極20間の信号をオン電圧レベルとすることで、当該電子放出素子10を通じて青色を発光させることができる。
このような構成を採用することにより、画素の配列ピッチを狭くすることができ、高精細化を実現させることができる。即ち、第2の制御電極180の線幅や蛍光体層106(図69参照)の線幅で画素の配列ピッチが決定されることになる。これは、画素の配列ピッチが電子放出素子10の大きさで制約を受けないことを示し、設計の自由度が向上すると共に、高精細化が実現できることにつながる。
なお、図77の例では、1つの電子放出素子10に対して、3つの第2の制御電極180r、180g及び180bを形成した場合を示したが、1つの電子放出素子10に対する第2の制御電極180の数を増やすことで、更なる高精度化を実現させることができる。
また、第2の制御電極180を具備させることで以下のような自己診断機能を持たせることができる。
即ち、放出電子を第2の制御電極180にて捕獲し、その電子捕獲に伴う電流を検出して診断を行うというものである。この自己診断処理過程を図78に基づいて説明する。
まず、カソード電極16とアノード電極20間に印加される信号、並びに制御電極60とアノード電極20間に印加される信号を共にオン電圧レベルにして、電子放出素子10から電子を放出させる(ステップS1)。このとき、蛍光体層106(及びコレクタ電極50)にて電子を捕集せずに、第2の制御電極180にて電子を捕集する(ステップS2)。
第2の制御電極180に流れた電流を測定し(ステップS3)、測定した電流値に基づいて電子放出量を求める(ステップS4)。
得られた電子放出量と予め設定されている正常値とを比較して、電子放出素子10の状態を判定する。状態とは、電子放出の経時変化の程度や故障の有無などである(ステップS5)。
そして、ステップS6において、判定に基づく処理を行う。故障であれば警報出力を行い、経時変化の程度が予め設定された状態変化と異なる場合は、程度に応じて駆動条件を変化させるなどである。
ステップS1〜S6まで一連の処理(自己診断処理)は、ディスプレイ100Bに対する電源投入直後に行ってもよく、任意のタイミングで行ってもよい。
次に、第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bの変形例について図79〜図88を参照しながら説明する。
まず、第1の変形例に係るディスプレイ100Baは、図79に示すように、上述した第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60、絶縁層160及び第2の制御電極180が絶縁層112の上面から側面並びに基板12の一部にかけて連続形成されている点で異なる。
第2の変形例に係るディスプレイ100Bbは、図80に示すように、上述した第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bとほぼ同様の構成を有するが、電界印加部14の上面のうち、その周辺部に絶縁層112が形成され、該絶縁層112の上面に制御電極60が形成され、該制御電極60の上面に絶縁層160が形成され、該絶縁層160の上面に第2の制御電極180が形成されている点で異なる。
第3の変形例に係るディスプレイ100Bcは、図81に示すように、上述した第2の変形例に係るディスプレイ100Bbとほぼ同様の構成を有するが、制御電極60、絶縁層160及び第2の制御電極180が絶縁層112の上面から側面並びに電界印加部14の一部(周部)にかけて連続形成されている点で異なる。
第4の変形例に係るディスプレイ100Bdは、図82に示すように、上述した第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bとほぼ同様の構成を有するが、第2の制御電極180とガラス基板102との間に絶縁層190を介在させて、絶縁層112、制御電極60、絶縁層160、第2の制御電極180及び絶縁層190の多層構造にて桟110(図69参照)を兼用している点で異なる。
第5の変形例に係るディスプレイ100Beは、図83に示すように、上述した第1の変形例に係るディスプレイ100Baとほぼ同様の構成を有するが、第2の制御電極180とガラス基板102との間に絶縁層190を介在させて、絶縁層112、制御電極60、絶縁層160、第2の制御電極180及び絶縁層190の多層構造にて桟110を兼用している点で異なる。
第6の変形例に係るディスプレイ100Bfは、図84に示すように、上述した第2の変形例に係るディスプレイ100Bbとほぼ同様の構成を有するが、第2の制御電極180とガラス基板102との間に絶縁層190を介在させて、絶緑層112、制御電極60、絶縁層160、第2の制御電極180及び絶縁層190の多層構造にて桟110を兼用している点で異なる。
第7の変形例に係るディスプレイ100Bgは、図85に示すように、上述した第3の変形例に係るディスプレイ100Bcとほぼ同様の構成を有するが、第2の制御電極180とガラス基板102との間に絶縁層190を介在させて、絶縁層112、制御電極60、絶縁層160、第2の制御電極180及び絶縁層190の多層構造にて桟110を兼用している点で異なる。
第8の変形例に係るディスプレイ100Bhは、図86に示すように、上述した第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bとほぼ同様の構成を有するが、電界印加部14の上面のうち、カソード電極16とアノード電極20の周辺部に第2の桟162が例えば接着剤にて固着され、該第2の桟162の上面に制御電極60が張設されている点と、電界印加部14の上面のうち、その外周部分に第3の桟192が例えば接着剤にて固着され、該第3の桟192の上面に第2の制御電極180が張設されている点で異なる。
第9の変形例に係るディスプレイ100Biは、図87に示すように、上述した第2の実施の形態に係るディスプレイ100Bとほぼ同様の構成を有するが、基板12上のうち、電界印加部14に近接した部分に第2の桟162が例えば接着剤にて固着され、該第2の桟162の上面に制御電極60が張設されている点と、基板12上のうち、第2の桟162に近接した部分に第3の桟192が例えば接着剤にて固着され、該第3の桟192の上面に第2の制御電極180が張設されている点で異なる。
第10の変形例に係るディスプレイ100Bjは、図88に示すように、第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aの第10の変形例に係るディスプレイ100Aj(図66参照)とほぼ同様の構成を有するが、第2の制御電極180が、複数の立ち上がり片200と、基板12と平行に配された電極本体202とが一体に形成されて構成されている点で異なる。立ち上がり片200は、立ち上がり部200aと屈曲部200bとが一体とされた断面L字状とされている。基板12上のうち、その周部に立ち上がり片200の屈曲部200bが例えば接着剤にて固着されている。
次に、第3の実施の形態に係るディスプレイ100Cについて図89〜図92を参照しながら説明する。
この第3の実施の形態に係るディスプレイ100Cは、図89に示すように、基台となるガラス基板210と、該ガラス基板210上に配置された複数のセラミック基板212(図89では1枚のみ示す)と、該セラミック基板212に対向して設けられ、一方の面が表示面を形成するガラス基板214とを有する。
各セラミック基板212の上面には、図示しないが、例えば横方向に16画素分の電子放出素子10が配列され、縦方向に16画素分の電子放出素子10が配列されて、合計256画素分の電子放出素子10がマトリックス状に配列されている。
1画素は、カラー表示を行う場合、赤色、緑色及び青色に対応した3つの電子放出素子10を有する。従って、電子放出素子10の数で換算すると、前記セラミック基板212の上面には、256×3=768個の電子放出素子10が配列されることとなる。なお、電子放出素子10間の配列ピッチは、縦方向が例えば0.6mm、横方向が例えば0.2mmとされている。
ガラス基板210の上面には、前記セラミック基板212が縦方向に8つ、横方向に8つ配列され、合計64枚のセラミック基板212がマトリックス状に配列される。従って、ガラス基板210上には、全体として縦方向に128画素、横方向に128画素が配列される。
これら64枚のセラミック基板212の配列によって形成された1つの面に、図90及び図91に示すように、ディスプレイ100Cの各行に対応して横方向に延びるロウ電極パターン216が形成され、ディスプレイ100Cの各列に対応して縦方向に延びるカラム電極パターン218が形成される。ロウ電極パターン216は、それぞれ所要位置において縦方向に張り出すカソード電極220が一体に形成されている。従って、カラム電極パターン218は、各カソード電極220と横方向において対向する部分が存在することになる。そこで、以下の説明では、カラム電極パターン218のうち、各カソード電極220と対向する部分を特にアノード電極222と記す。
そして、各電子放出素子10は、カソード電極220とアノード電極222とこれらカソード電極220とアノード電極222の下部に形成された電界印加部14とを有して構成される。
各電子放出素子10において、カソード電極220とアノード電極222との間は、スリット18が形成され、下部の電界印加部14が該スリット18を通して露出するようになっている。つまり、ここでのカソード電極220は、例えば第1の実施の形態に係るディスプレイ100Aのカソード電極16に対応し、アノード電極222は、同じくディスプレイ100Aのアノード電極20に対応する。しかし、このアノード電極222には、アノード電極20と異なって、画像信号に応じたON信号及びOFF信号がカラム電極パターン218を通じて供給されることになる。なお、電界印加部14は、各電子放出素子10間において分離されている。電界印加部14の具体的な構成材料については上述したので、ここではその説明を省略する。
一方、表示面を形成するガラス基板214の裏面(各電子放出素子10に対向する面)には、複数のコレクタ電極50が形成されている。各コレクタ電極50は、例えばITO膜にて構成され、列方向に並ぶ各電子放出素子10のスリット18に対向して共通に形成されている。また、このコレクタ電極50の下面には、それぞれ各列に対応する色の蛍光体層106が形成されている。
図89〜図91では、図示していないが、表示面を形成するガラス基板214と、多数の電子放出素子10が形成されたセラミック基板212との間には、例えば図57に示すような、桟110を所望位置に形成するようにしてもよい。
また、図89の例では、基台となるガラス基板210の上に複数のセラミック基板212を載置し、これらセラミック基板212の上面にて形成される1つの面に、電界印加部14、各電極パターン216及び218を形成して、それぞれ電子放出素子10を形成するようにしたが、その他、前記基台となるガラス基板210上に直接電界印加部14、各電極パターン216及び218を形成して、それぞれ電子放出素子10を形成するようにしてもよい。
ここで、この第3の実施の形態に係るディスプレイ100Cの駆動回路230について図92を参照しながら説明する。
この駆動回路230は、図92に示すように、多数の電子放出素子10の行数に応じた本数の行選択線232と、多数の電子放出素子10の列数に応じた本数の信号線234とを有する。
また、この駆動回路230は、行選択線232に選択的に駆動信号Ssを供給して、1行単位に電子放出素子10を順次選択する垂直シフト回路236と、信号線234にパラレルにデータ信号Sdを出力して、前記垂直シフト回路232にて選択された行(選択行)の電子放出素子10にそれぞれデータ信号Sdを供給する水平シフト回路238と、入力される映像信号Sv及び同期信号Scに基づいて垂直シフト回路236及び水平シフト回路238を制御する信号制御回路240とを有する。なお、垂直シフト回路236、水平シフト回路238及び信号制御回路240には、電源部242から電源電圧が供給される。
ところで、例えば図93に示すように、3つの電子放出素子に対して同じ電圧レベルの駆動電圧を印加した場合においても、製造ばらつきにより、電子放出量に差が生じる場合がある。図93の例では、第1の電子放出素子10aの電子放出量が最も多く、第3の電子放出素子10cの電子放出量が規定量に近く、第2の電子放出素子10bの電子放出量が最も少ない場合を示している。
そこで、図92に示すように、信号制御回路240に輝度補正用のメモリ250を具備させる。そして、該メモリ250に、少なくとも電子放出素子10毎の輝度ばらつきを補正するための輝度補正データが展開された輝度補正テーブルを格納しておく。
信号制御回路240は、それぞれ行単位に各電子放出素子10のデータ信号Sdを作成することとなるが、このときに、前記メモリ250に格納されている輝度補正テーブルを参照しながらデータ信号Sdを補正する。
前記輝度補正テーブルの作成過程としては、例えば、ディスプレイ100Cに一様の画像を表示し、全電子放出素子10の輝度を検出する。具体的には、ディスプレイ100Cの全電子放出素子10に対して例えばグレースケールの中間レベル(フルスケールとして256の階調レベルとしたとき、例えば128の階調レベル)の信号を与えて表示させ、この状態で例えば輝度計を用いて全電子放出素子10の各輝度を測定して、このディスプレイ100Cの実測輝度分布を求める。
その後、各電子放出素子10の輝度目標値を算出し、次いで、各電子放出素子10の輝度目標値に基づいて各電子放出素子10についての輝度補正係数を算出する。具体的には、測定した各電子放出素子10の輝度実測値に基づいて、前記実測輝度分布の平滑化処理を行い、理論輝度分布(輝度目標値の分布)を求める。平滑化処理としては、例えば平均化処理、最小自乗法、高次曲線近似等が挙げられる。
なお、輝度実測値が極端に低い電子放出素子10がある場合は、その電子放出素子10の輝度実測値を無視して平滑化処理を行うことにより、滑らかな曲線を有する理論輝度分布を求めることが好ましい。
このような輝度補正を行うことで、製造上の各電子放出素子の輝度ばらつきが吸収され、画質の向上を図ることができる。
前記輝度補正の手法としては、上述の手法のほか、いわゆる移動平均化を採用するようにしてもよい。この移動平均化は、1つの電子放出素子10(中央の電子放出素子10)とその周辺に配列された複数の電子放出素子10の各輝度値を平均し、該平均値を中央の電子放出素子10の輝度目標値とし、該中央の電子放出素子10の実測輝度値と輝度目標値に基づいて、中央の電子放出素子10の輝度補正係数を求めていく方法である。
この移動平均化によれば、ディスプレイ100Cを多数配列させて大画面表示装置を作製する場合に有利であり、各ディスプレイ100Cにおける輝度分布のばらつきを抑制しつつ、継ぎ目も目立たなくでき、しかも、ディスプレイ100Cの個々の輝度を生かすことができ、明るく発光させることができるディスプレイ100Cを必要以上に輝度低下させることのないようにすることができる。
また、全ての電子放出素子10について輝度目標値を算出した後の処理としては、例えばボトムアップ法やトップダウン法がある。ボトムアップ法は、算出された全輝度目標値のうち、最小値を示す電子放出素子10を検索する。その後、前記検索された電子放出素子10について、現在の輝度目標値を一定値だけ向上させて新たな輝度目標値とする。
このボトムアップ法によれば、大画面表示装置とした場合に、各ディスプレイ100C間において画像が不連続になるという不都合が解消され(連続面の維持)、しかも、ディスプレイ100Cの表示能力を最大まで引き出すことができる。
一方、トップダウン法は、算出された全輝度目標値のうち、予め設定しておいたしきい値を超える電子放出素子10を検索する。その後、前記検索された電子放出素子10について、現在の輝度目標値をしきい値まで低減させる。
このトップダウン法においても、大画面表示装置とした場合に、各ディスプレイ100C間において画像が不連続になるという不都合を解消することができる。
なお、上述の輝度補正係数の算出に当たっては、色温度を加味して行うことが好ましい。
上述した第1〜第3の実施の形態に係るディスプレイ100A〜100C(各変形例を含む)においては、以下のような効果を奏することができる。
(1)CRTと比して超薄型(パネルの厚み=数mm)にすることができる。
(2)蛍光体106による自然発光のため、LCD(液晶表示装置)やLED(発光ダイオード)と比してほぼ180°の広視野角を得ることができる。
(3)面電子源を利用しているため、CRTと比して画像歪みがない。
(4)LCDと比して高速応答が可能であり、μsecオーダーの高速応答で残像のない動画表示が可能となる。
(5)40インチ換算で100W程度であり、CRT、PDP(プラズマディスプレイ)、LCD及びLEDと比して低消費電力である。
(6)PDPやLCDと比して動作温度範囲が広い(−40〜+85℃)。ちなみに、LCDは低温で応答速度が低下する。
(7)大電流出力による蛍光体の励起が可能であるため、従来のFED方式のディスプレイと比して高輝度化が可能である。
(8)圧電体材料の分極反転特性及び膜厚により駆動電圧を制御可能であるため、従来のFED方式のディスプレイと比して低電圧駆動が可能である。
このような種々の効果から、以下に示すように、様々なディスプレイ用途を実現させることができる。
(1)高輝度化と低消費電力化が実現できるという面から、30〜60インチディスプレイのホームユース(テレビジョン、ホームシアター)やパブリックユース(待合室、カラオケ等)に最適である。
(2)高輝度化、大画面、フルカラー、高精細度が実現できるという面から、顧客吸引力(この場合、視覚的な注目)に効果が大であり、横長、縦長等の異形状ディスプレイや、展示会での使用、情報案内板用のメッセージボードに最適である。
(3)高輝度化、蛍光体励起に伴う広視野角化、真空モジュール化に伴う広い動作温度範囲が実現できるという面から、車載用ディスプレイに最適である。車載用ディスプレイとしての仕様は、15:9等の横長8インチ(画素ピッチ0.14mm)、動作温度が−30〜+85℃、斜視方向で500〜600cd/m2が必要である。
また、上述の種々の効果から、以下に示すように、様々な光源用途を実現させることができる。
(1)高輝度化、低消費電力化が実現できるという面から、輝度仕様として2000ルーメンが必要なプロジェクタ用の光源に最適である。
(2)高輝度2次元アレー光源を容易に実現できることと、動作温度範囲が広く、屋外環境でも発光効率に変化がないことから、LEDの代替用途として有望である。例えば信号機等の2次元アレーLEDモジュールの代替として最適である。なお、LEDは、25℃以上で許容電流が低下し、低輝度となる。
なお、この発明に係る電子放出素子、電子放出素子の駆動方法、ディスプレイ及びディスプレイの駆動方法は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明に係る電子放出素子、電子放出素子の駆動方法、ディスプレイ及びディスプレイの駆動方法によれば、放出電子の直進性を良好にすることができ、複数の電子放出素子を配列した場合に、これら電子放出素子間のクロストークの抑制を図ることができる。
また、放出電子の量並びに加速度をアナログ的に制御することができ、きめ細かな階調制御を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、第1の実施の形態に係る電子放出素子を示す構成図である。
図2は、第1の変形例に係る電極パターンを示す構成図である。
図3Aは、第2の変形例に係る電極パターンを示す平面図である。
図3Bは、図3AにおけるB−B線上の断面図である。
図4は、第3の変形例に係る電極パターンを示す構成図である。
図5は、第4の変形例に係る電極パターンを示す構成図である。
図6は、第5の変形例に係る電極パターンを示す構成図である。
図7A及び図7Bは、第8の変形例に係る電極パターンを示す平面図である。
図8A及び図8Bは、第9の変形例に係る電極パターンを示す平面図である。
図9Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図9Bは、パルス信号に対するパルス幅変調を説明するための波形図である。
図10Aは、カソード電極にオフ電圧を印加した際の作用を示す説明図である。
図10Bは、カソード電極にオン電圧を印加したときに、電界印加部が急速に分極反転する作用を示す説明図である。
図10Cは、電子が放出される状態を示す説明図である。
図11は、第1の実験例で用いたサンプルを示す構成図である。
図12Aは、パルス信号を示す波形図である。
図12Bは、アノード電極からGNDに流れる電流を示す波形図である。
図12Cは、パルス発生源からカソード電極に流れる電流を示す波形図である。
図12Dは、コレクタ電極からGNDに流れる電流を示す波形図である。
図12Eは、カソード電極とアノード電極間への印加電圧を示す波形図である。
図13は、2次電子をもとにアノード電極近傍で蒸散電極原子等の電離が発生し、電子量が増倍する状態を示す説明図である。
図14は、第1の変形例に係る電子放出素子を示す構成図である。
図15は、第2の変形例に係る電子放出素子を示す構成図である。
図16は、第2の変形例に係る電子放出素子のカソード電極にオフ電圧を印加した際の作用を示す説明図である。
図17は、第2の変形例に係る電子放出素子のカソード電極にオン電圧を印加した際の電子放出作用を示す説明図である。
図18は、電界印加部の表面での負極性帯電に伴って電子放出の自己停止の作用を示す説明図である。
図19は、第2の実験例で用いたサンプルを示す構成図である。
図20Aは、パルス信号を示す波形図である。
図20Bは、アノード電流を示す波形図である。
図20Cは、カソード電流を示す波形図である。
図20Dは、コレクタ電流を示す波形図である。
図20Eは、カソード電極とアノード電極間の印加電圧を示す波形図である。
図21Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図21Bは、パルス信号に対するパルス周期変調を説明するための波形図である。
図22Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図22Bは、パルス信号に対するパルス振幅変調を説明するための波形図である。
図23は、第2の実施の形態に係る電子放出素子を示す構成図である。
図24は、第3の実施の形態に係る電子放出素子を示す構成図である。
図25A〜図25Dは、制御電極の形状の例を示す平面図である。
図26は、コレクタ電極に流れるコレクタ電流と制御電圧との関係を示す特性図である。
図27は、第4の実施の形態に係る電子放出素子を示す構成図である。
図28Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図28Bは、パルス信号に対するパルス振幅変調を説明するための波形図である。
図29Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図29Bは、パルス信号に対するパルス数変調を説明するための波形図である。
図30Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図30Bは、パルス信号に対するパルス振幅変調を説明するための波形図である。
図31は、第5の実施の形態に係る電子放出素子を示す構成図である。
図32は、第1の実施の形態に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図33は、第1の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図34は、第2の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図35は、第3の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図36は、第4の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図37は、第5の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図38は、第6の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図39は、第7の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図40は、第8の具体例に係る配線パターンを示す説明図である。
図41は、第1の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図42は、第2の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図43は、第3の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図44は、第4の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図45は、第5の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図46は、第6の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図47は、第7の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図48は、第8の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図49は、第9の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図50は、第10の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図51は、第11の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図52は、第12の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図53は、第13の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図54は、第14の具体例に係る制御電極の一部を示す平面図である。
図55は、制御電極がないディスプレイにおいてカラー表示させる場合の画素構成を示す説明図である。
図56は、第1の実施の形態に係るディスプレイにおいてカラー表示させる場合の画素構成を示す説明図である。
図57は、第1の実施の形態の第1の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図58は、第1の実施の形態の第2の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図59は、第1の実施の形態の第3の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図60は、第1の実施の形態の第4の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図61は、第1の実施の形態の第5の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図62は、第1の実施の形態の第6の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図63は、第1の実施の形態の第7の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図64は、第1の実施の形態の第8の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図65は、第1の実施の形態の第9の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図66は、第1の実施の形態の第10の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図67は、第1の実施の形態の第11の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図68は、第1の実施の形態の第12の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図69は、第2の実施の形態に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図70Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図70Bは、時間の経過に伴う電子放出量の変化を示す特性図である。
図71は、階調指令値の変化に対する輝度の変化(非線形特性)を示す図である。
図72は、第1の実施の形態に係るディスプレイにおいて、階調指令値の変化に対する輝度の変化を線形特性にするための構成を示す図である。
図73は、リニアライズ補正回路での階調指令値に対する補正値の特性を示す図である。
図74は、補正後の階調指令値の変化に対する輝度の変化(線形特性)を示す図である。
図75Aは、カソード電極とアノード電極間に印加されるパルス信号を示す波形図である。
図75Bは、第2の制御電極とアノード電極間に印加される可変電圧の波形を示す図である。
図75Cは、補正後の電子放出量の変化を示す波形図である。
図76は、制御電極及び第2の制御電極を用いて電子放出素子のアクティブマトリックス駆動を可能とさせた例を示す説明図である。
図77は、第2の実施の形態に係るディスプレイにおいてカラー表示させる場合の画素構成を示す説明図である。
図78は、第2の実施の形態に係るディスプレイでの自己診断処理過程を示すフローチャートである。
図79は、第2の実施の形態の第1の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図80は、第2の実施の形態の第2の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図81は、第2の実施の形態の第3の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図82は、第2の実施の形態の第4の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図83は、第2の実施の形態の第5の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図84は、第2の実施の形態の第6の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図85は、第2の実施の形態の第7の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図86は、第2の実施の形態の第8の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図87は、第2の実施の形態の第9の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図88は、第2の実施の形態の第10の変形例に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図89は、第3の実施の形態に係るディスプレイの一部を示す構成図である。
図90は、第3の実施の形態に係るディスプレイの一部を示す斜視図である。
図91は、第3の実施の形態に係るディスプレイにおけるロウ電極パターン及びカラム電極パターンを示す平面図である。
図92は、第3の実施の形態に係るディスプレイの駆動回路を示す回路図である。
図93は、製造ばらつきなどによる電子放出素子ごとの電子放出量のばらつきを示す説明図である。
Claims (53)
- 誘電体にて構成された電界印加部(14)と、
前記電界印加部(14)の一方の面に形成されたカソード電極(16)と、
前記電界印加部(14)の前記一方の面に形成され、前記カソード電極(16)と共にスリット(18)を形成するアノード電極(20)と、
前記カソード電極(16)及びアノード電極(20)間に印加される電圧信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御する変調回路(42)とを有することを特徴とする電子放出素子。 - 基板(12)上に形成されたアノード電極(20)と、
前記基板(12)上に前記アノード電極(20)を覆うように形成され、かつ、誘電体にて構成された電界印加部(14)と、
前記電界印加部(14)上に形成されたカソード電極(16)と、
前記カソード電極(16)及びアノード電極(20)間に印加される電圧信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御する変調回路(42)とを有することを特徴とする電子放出素子。 - 誘電体にて構成された電界印加部(14)と、
前記電界印加部(14)の一方の面に形成されたカソード電極(16)と、
前記電界印加部(14)の前記一方の面に形成され、前記カソード電極(16)と共にスリット(18)を形成するアノード電極(20)と、
前記カソード電極(16)及びアノード電極(20)の上方に配された制御電極(60)とを有することを特徴とする電子放出素子。 - 基板(12)上に形成されたアノード電極(20)と、
前記基板(12)上に前記アノード電極(20)を覆うように形成され、かつ、誘電体にて構成された電界印加部(14)と、
前記電界印加部(14)上に形成されたカソード電極(16)と、
前記カソード電極(16)の上方に配された制御電極(60)とを有することを特徴とする電子放出素子。 - 請求項3又は4記載の電子放出素子において、
前記カソード電極(16)及びアノード電極(20)間に印加される第1の電圧信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御する第1の変調回路(42)と、
前記制御電極(60)及びアノード電極(20)間に印加される第2の電圧信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御する第2の変調回路(70)とを有することを特徴とする電子放出素子。 - 請求項3〜5のいずれか1項に記載の電子放出素子において、
前記電界印加部(14)の周部に形成されたスペーサ上に前記制御電極(60)が形成されていることを特徴とする電子放出素子。 - 請求項3又は5記載の電子放出素子において、
少なくとも前記カソード電極(16)と前記アノード電極(20)上に形成されたスペーサ上に前記制御電極(60)が形成されていることを特徴とする電子放出素子。 - 請求項4又は5記載の電子放出素子において、
少なくとも前記カソード電極(16)上に形成されたスペーサ上に前記制御電極(60)が形成されていることを特徴とする電子放出素子。 - 請求項3〜8のいずれか1項に記載の電子放出素子において、
前記電界印加部(14)の周部に形成された第2のスペーサ上に第2の制御電極(180)が形成されていることを特徴とする電子放出素子。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子放出素子において、
前記放出電子を捕獲するコレクタ電極(50)と、前記アノード電極(20)を基準として前記コレクタ電極(50)に正極性のバイアス電圧を印加して、前記放出電子を加速することを特徴とする電子放出素子。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載の電子放出素子において、 前記電界印加部(14)が、圧電材料、又は反強誘電体材料、又は電歪材料で構成されていることを特徴とする電子放出素子。
- 2次元的に配列された複数の電子放出素子(10)と、
前記複数の電子放出素子(10)に対向して設けられたコレクタ電極(50)と、
前記複数の電子放出素子(10)に対してそれぞれ所定の間隔をもって配置された複数の蛍光体層(106)とを備え、
前記電子放出素子(10)は、
誘電体にて構成された電界印加部(14)と、
前記電界印加部(14)に接して形成されたカソード電極(16)及びアノード電極(20)と、
前記カソード電極(16)及びアノード電極(20)間に印加される電圧信号を変調して、表示階調を制御する変調回路(42)とを有することを特徴とするディスプレイ。 - 請求項12記載のディスプレイにおいて、
前記変調回路(42)が前記電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う回路である場合に、
前記変調回路(42)の前段に、前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するために、前記階調指令値を補正するリニアライズ補正回路(182)が接続されていることを特徴とするディスプレイ。 - 2次元的に配列された複数の電子放出素子(10)と、
前記複数の電子放出素子(10)に対向して設けられたコレクタ電極(50)と、
前記複数の電子放出素子(10)に対してそれぞれ所定の間隔をもって配置された複数の蛍光体層(106)と、
前記複数の蛍光体層(106)と前記複数の電子放出素子(10)との間に配置された制御電極(60)とを備え、
前記電子放出素子(10)は、
誘電体にて構成された電界印加部(14)と、
前記電界印加部(14)に接して形成されたカソード電極(16)及びアノード電極(20)とを有することを特徴とするディスプレイ。 - 請求項14記載のディスプレイにおいて、
前記カソード電極(16)及びアノード電極(20)間に印加される第1の電圧信号を変調して、表示階調を制御する第1の変調回路(42)と、
前記制御電極(60)及びアノード電極(20)間に印加される第2の電圧信号を変調して、表示階調を制御する第2の変調回路(70)とを有することを特徴とするディスプレイ。 - 請求項15記載のディスプレイにおいて、
前記第1の変調回路(42)が前記第1の電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う回路である場合に、
前記第1の変調回路(42)の前段に、前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するために、前記階調指令値を補正するリニアライズ補正回路(182)が接続されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項12〜16のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
前記カソード電極(16)は、前記電界印加部(14)の一方の面に形成され、
前記アノード電極(20)は、前記電界印加部(14)の前記一方の面に形成され、前記カソード電極(16)と共にスリット(18)を形成することを特徴とするディスプレイ。 - 請求項12〜16のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
前記アノード電極(18)は、基板(12)上に形成され、
前記電界印加部(14)は、前記基板(12)上に前記アノード電極(20)を覆うように形成され、
前記カソード電極(16)は、前記電界印加部(14)上に形成されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項14〜18のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
1つの電子放出素子(10)に対して独立した電圧信号を印加することができる複数の制御電極(60)が対向していることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項14〜19のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
前記制御電極(60)は、各行単位に分離されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項14〜20のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
前記制御電極(60)は、各列単位に分離されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項14〜20のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
前記制御電極(60)は、各電子放出素子(10)単位に分離されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項14〜20のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
前記制御電極(60)は、複数の電子放出素子(10)で構成されたグループ単位に分離されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項23記載のディスプレイにおいて、
前記制御電極(60)は、三原色のいずれかの色を表す複数の電子放出素子(10)で構成されたグループ単位に分離されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項14〜24のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
前記電界印加部(14)の周部に形成されたスペーサ上に前記制御電極(60)が形成されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項17、19〜24のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
少なくとも前記カソード電極(16)と前記アノード電極(20)上に形成されたスペーサ上に前記制御電極(60)が形成されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項18、19〜24のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
少なくとも前記カソード電極(16)上に形成されたスペーサ上に前記制御電極(60)が形成されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項14〜27のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
前記制御電極(60)と蛍光体層(106)との間に第2の制御電極(180)が配置されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項28記載のディスプレイにおいて、
前記第2の制御電極(180)及び前記アノード電極(20)間に印加される第3の電圧信号を変調して、少なくとも前記第1の変調回路(42)での変調に基づく表示階調の変化を線形特性に変換する第3の変調回路を有することを特徴とするディスプレイ。 - 請求項28又は29記載のディスプレイにおいて、
放出電子を第2の制御電極(180)にて捕獲し、その電子捕獲に伴う電流を検出して診断を行う自己診断機能を有することを特徴とするディスプレイ。 - 請求項28〜30のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
1つの電子放出素子(10)に対して独立した電圧信号を印加することができる複数の第2の制御電極(180)が対向していることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項28〜31のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
前記第2の制御電極(180)は、各行単位に分離されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項32記載のディスプレイにおいて、
前記制御電極(60)は、各列単位に分離されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項32又は33記載のディスプレイにおいて、
前記第2の制御電極(180)は、各行に対して更に複数に分離されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項28〜31のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
前記第2の制御電極(180)は、各列単位に分離されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項35記載のディスプレイにおいて、
前記制御電極(60)は、各行単位に分離されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項35又は36記載のディスプレイにおいて、
前記第2の制御電極(180)は、各列に対して更に複数に分離されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項28〜31のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
前記第2の制御電極(180)は、各電子放出素子(10)単位に分離していることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項28〜31のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
前記第2の制御電極(180)は、複数の電子放出素子(10)で構成されたグループ単位に分離されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項39記載のディスプレイにおいて、
前記第2の制御電極(180)は、三原色のいずれかの色を表す複数の電子放出素子(10)で構成されたグループ単位に分離されていることを特徴とするディスプレイ。 - 請求項28〜40のいずれか1項に記載のディスプレイにおいて、
前記電界印加部(14)の周部に形成された第2のスペーサ上に前記第2の制御電極(180)が形成されていることを特徴とするディスプレイ。 - 誘電体にて構成された電界印加部と、
前記電界印加部(14)に接して形成されたカソード電極(16)及びアノード電極(20)とを有する電子放出素子の駆動方法において、
前記カソード電極(16)及び前記アノード電極(20)間に印加されるパルス信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御することを特徴とする電子放出素子の駆動方法。 - 請求項42記載の電子放出素子の駆動方法において、
前記カソード電極(16)は、前記電界印加部(14)の一方の面に形成され、
前記アノード電極(20)は、前記電界印加部(14)の前記一方の面に形成され、前記カソード電極(16)と共にスリット(18)を形成することを特徴とする電子放出素子の駆動方法。 - 請求項42記載の電子放出素子の駆動方法において、
前記アノード電極(20)は、基板(12)上に形成され、
前記電界印加部(14)は、前記基板(12)上に前記アノード電極(20)を覆うように形成され、
前記カソード電極(16)は、前記電界印加部(14)上に形成されていることを特徴とする電子放出素子の駆動方法。 - 誘電体にて構成された電界印加部と、
前記電界印加部(14)の一方の面に形成されたカソード電極(16)と、
前記電界印加部(14)の前記一方の面に形成され、前記カソード電極(16)と共にスリット(18)を形成するアノード電極(20)とを有する電子放出素子の駆動方法において、
前記カソード電極(16)及び前記アノード電極(20)上に制御電極(60)が配され、
前記カソード電極(16)及び前記アノード電極(20)間に一定の第1のパルス信号を印加し、
前記制御電極(60)及び前記アノード電極(20)間に印加される第2のパルス信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御することを特徴とする電子放出素子の駆動方法。 - 基板(12)上に形成されたアノード電極(20)と、
前記基板(12)上に前記アノード電極(20)を覆うように形成され、かつ、誘電体にて構成された電界印加部(14)と、
前記電界印加部(14)上に形成されたカソード電極(16)とを有する電子放出素子の駆動方法において、
前記カソード電極(16)上に制御電極(60)が配され、
前記カソード電極(16)及び前記アノード電極(20)間に一定の第1のパルス信号を印加し、
前記制御電極(60)及び前記アノード電極(20)間に印加される第2のパルス信号を変調して、少なくとも放出電子の量を制御することを特徴とする電子放出素子の駆動方法。 - 2次元的に配列された複数の電子放出素子(10)と、これら電子放出素子(10)に対してそれぞれ所定の間隔をもって配置された複数の蛍光体層(106)とを具備し、
前記電子放出素子(10)が、誘電体にて構成された電界印加部(14)と、前記電界印加部(14)に接して形成されたカソード電極(16)及びアノード電極(20)とを有するディスプレイの駆動方法において、
各電子放出素子(10)における前記カソード電極(16)及び前記アノード電極(20)間に印加される電圧信号を変調して表示階調の制御を行うことを特徴とするディスプレイの駆動方法。 - 請求項47記載のディスプレイの駆動方法において、
前記変調が前記電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う場合に、
前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するために、前記階調指令値を補正することを特徴とするディスプレイの駆動方法。 - 2次元的に配列された複数の電子放出素子(10)と、前記複数の電子放出素子(10)に対向して設けられたコレクタ電極(50)と、前記複数の電子放出素子(10)に対してそれぞれ所定の間隔をもって配置された複数の蛍光体層(106)と、前記複数の蛍光体層(106)と前記複数の電子放出素子(10)との間に配置された制御電極(60)とを備え、
前記電子放出素子(10)が、誘電体にて構成された電界印加部(14)と、前記電界印加部(14)に接して形成されたカソード電極(16)及びアノード電極(20)とを有するディスプレイの駆動方法において、
前記カソード電極(16)及び前記アノード電極(20)間に印加される第1の電圧信号を変調し、かつ、前記制御電極(60)及び前記アノード電極(20)間に印加される第2の電圧信号を変調して、表示階調を制御することを特徴とするディスプレイの駆動方法。 - 請求項49記載のディスプレイの駆動方法において、
前記第1の電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う場合に、
前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換するために、前記階調指令値を補正することを特徴とするディスプレイの駆動方法。 - 請求項49記載のディスプレイの駆動方法において、
前記制御電極(60)と蛍光体層(106)との間に第2の制御電極(180)が配置され、
前記第1の電圧信号を階調指令値に基づいてパルス幅変調を行う場合に、
前記第2の制御電極(182)及び前記アノード電極(20)間に印加される第3の電圧信号を変調して、前記階調指令値の変化に基づく表示階調の変化を線形特性に変換することを特徴とするディスプレイの駆動方法。 - 請求項47〜51のいずれか1項に記載のディスプレイの駆動方法において、
前記カソード電極(16)は、前記電界印加部(14)の一方の面に形成され、
前記アノード電極(20)は、前記電界印加部(14)の前記一方の面に形成され、前記カソード電極(16)と共にスリット(18)を形成することを特徴とするディスプレイの駆動方法。 - 請求項47〜51のいずれか1項に記載のディスプレイの駆動方法において、
前記アノード電極(20)は、基板(12)上に形成され、
前記電界印加部(14)は、前記基板(12)上に前記アノード電極(20)を覆うように形成され、
前記カソード電極(16)は、前記電界印加部(14)上に形成されていることを特徴とするディスプレイの駆動方法。
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