JP3870210B2 - 画像表示装置及びテレビジョン装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像表示装置に関する。
従来、画像表示装置としては、電子放出素子を用いたものが知られている。
例えば、コーン型の電極とそれに近接したゲート電極とを有するいわゆるスピント型の電子放出素子を用いる構成や、電子放出素子として表面伝導型放出素子を用いる構成や、カーボンナノチューブを電子放出素子として用いる構成などが知られている。
電子放出素子を用いた画像表示装置の例としては、特許文献1、特許文献2に開示されたものを挙げることができる。
なお、電子放出素子と、該電子放出素子と間隔を空けて配置される発光体とを用い、電子放出素子から放出される電子を前記発光体に照射して前記発光体を発光せしめる画像表示装置以外に、プラズマディスプレイが知られている。該プラズマディスプレイの構成は、例えば、特許文献3に開示されている。
また特許文献4には、スペーサの帯電により冷陰極素子から放出された電子の軌道がスペーサに近づく方向に曲げられること、及び電子が蛍光体上の正規の位置とは異なる位置に衝突することにより画像の歪みが発生する場合があること、及び素子より発射された電子がスペーサに衝突することによりスペーサ近傍の画像の輝度が低下する場合があることが開示されている。また輝点間の間隔が不均一である構成において、輝点の光量の補正を行うことで視覚上の輝度むらを減少させる構成が開示されている。
特開平11−250840号公報 特開平11−250839号公報 特開平11−24629号公報 特開2003−29697号公報
画像表示装置においては、より好ましい画像表示を実現できる構成が望まれている。より好ましい画像表示とは具体的には例えばむらの少ない画像表示である。
更に具体的な例を挙げると、本発明者は、電子放出素子と、該電子放出素子と間隔を空けて配置される発光体とを用い、電子放出素子から放出される電子を前記発光体に照射して前記発光体を発光せしめる画像表示装置において特有の課題が生じることを見出した。本発明者が、複数の電子放出素子を配置した電子源と、それぞれ異なる色の発光色を有する蛍光体とを対向させて画像表示を行う実験を繰り返したところ、色再現性が所望の状態とは異なることを見出した。具体的な例を挙げると、青と赤と緑の発光色をそれぞれ有する蛍光体を用い、青の蛍光体にのみ電子を照射して青色の発光を得ようとした場合に、純粋な青ではなく、わずかに他の色すなわち、緑と赤の発光が混ざった発光状態、すなわち、彩度が良くない発光状態になることがわかった。
本発明の目的は、好ましい画像表示を実現することである。
本発明の一つは以下のように構成される。すなわち、
各画素が電子放出素子と該電子放出素子からの電子によって発光する発光領域とを有する複数の画素と、
前記電子放出素子を駆動する駆動信号を出力する駆動回路と、を有し、
前記複数の画素は、互いに異なる色で発光する発光領域をそれぞれが有する複数の画素を含んでおり、
前記駆動回路は、入力信号を補正する回路を有しており、所定の電子放出素子に対応する前記入力信号に対する前記補正は、該所定の電子放出素子に近接する電子放出素子である近接電子放出素子が放出する電子の量に対応する値を該近接電子放出素子が属する画素が有する発光領域の発光色に応じた値で調整した値に基づいて行われる画像表示装置である。
更に具体的には、所定の電子放出素子が属する画素の発光量における、近接電子放出素子が放出する電子による寄与分を補償するように補正を行う構成を好適に採用することができる。
所定の電子放出素子が属する画素の発光量における、近接電子放出素子が放出する電子による寄与分は、所定の電子放出素子が属する画素の発光量を増やすものであり、この増分を補償できるように入力信号を小さくする補正を好適に採用することができる。なお、この場合、後述するスペーサのように近接電子放出素子からの電子の放出に起因する電子が所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射するのを抑制する遮蔽部材が存在する場合、該遮蔽部材による入射抑制の効果によって、近接電子放出素子が放出する電子による所定の電子放出素子が属する画素の発光量の増加が、遮蔽部材がない場合に比べて抑制されるので、前記増分として該抑制の効果を受けない近接電子放出素子からの電子の放出に起因する発光量の増分を補償できるように入力信号を小さくする補正を好適に採用することができる。また、遮蔽部材によって反射された反射電子や、遮蔽部材に入射する電子による二次電子として、遮蔽部材から前記電子放出素子が対応する発光領域に入射する電子によって、所定の電子放出素子が属する画素の発光量が増えることを更に反映させた増分を補償できるように補正を行ってもよい。
なお、前記所定の電子放出素子に対応する前記入力信号に対する前記補正は、該所定の電子放出素子に近接する複数の電子放出素子である複数の近接電子放出素子のそれぞれが放出する電子の量に対応する値のそれぞれを、該複数の近接電子放出素子のそれぞれが属する画素が有する発光領域のそれぞれの発光色に応じた値で調整した値に基づいて行われる構成を好適に採用できる。
複数の近接電子放出素子のうち、同じ発光色に対応する複数の近接電子放出素子のそれぞれが放出する電子の量に対応する値に対する調整が同じ調整(同じ調整係数をかける場合など)でよい場合には、これら複数の近接電子放出素子のそれぞれが放出する電子の量に対応する値の和に対して同じ調整を行った値を用いることもできる。この調整を各色に対応して行い、それらの結果の和をとった値を補正のための補正値として用いる構成を好適に採用できる。
また、前記電子放出素子からの電子の放出に起因して、該電子放出素子が対応する発光領域以外の発光領域に電子が入射するのを抑制する遮蔽部材を有している構成において、前記遮蔽部材に近接する所定の電子放出素子に対応する前記入力信号に対する前記補正は、
該所定の電子放出素子に近接する電子放出素子である近接電子放出素子であって、その近接電子放出素子からの電子の放出に起因した電子が前記所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射するのが前記遮蔽部材によって抑制される近接電子放出素子、が放出する
電子の量に対応する値を、該近接電子放出素子が属する画素が有する発光領域の発光色に応じた値で調整した値に基づいて行われる構成を好適に採用することができる。
この構成においては、遮蔽部材が存在することによって、所定の電子放出素子に対応する発光領域の発光量の増加が抑制される分を補償するように、入力信号の値を大きくする補正を好適に採用することができる。
また前記所定の電子放出素子に対応する前記入力信号に対する前記補正は、
該所定の電子放出素子に近接する複数の電子放出素子である複数の近接電子放出素子であって、該各近接電子放出素子からの電子の放出に起因した電子が前記所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射するのが前記遮蔽部材によって抑制される近接電子放出素子、のそれぞれが放出する電子の量に対応する値のそれぞれを、該複数の近接電子放出素子のそれぞれが属する画素が有する発光領域のそれぞれの発光色に応じた値で調整した値に基づいて行われる構成を好適に採用できる。
特に前記遮蔽部材に近接する所定の電子放出素子に対応する前記入力信号に対する前記補正は、
更に、
該所定の電子放出素子に近接する電子放出素子である近接電子放出素子であって、その近接電子放出素子からの電子の放出に起因した電子が前記所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射するのが前記遮蔽部材によって抑制されない近接電子放出素子であって、その近接電子放出素子から放出された電子が前記遮蔽部材に入射することに起因する電子(遮蔽部材における反射電子や遮蔽部材に電子が入射することで遮蔽部材から出力される二次電子など)が前記所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射する近接電子放出素子、が放出する電子の量に対応する値を、該近接電子放出素子が属する画素が有する発光領域の発光色に応じた値で調整した値に基づいて行われる補正を含む構成を好適に採用できる。また該所定の電子放出素子に近接する電子放出素子である近接電子放出素子であって、その近接電子放出素子からの電子の放出に起因した電子が前記所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射するのが前記遮蔽部材によって抑制されない近接電子放出素子であって、その近接電子放出素子から放出された電子が前記遮蔽部材に入射することに起因する電子が前記所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射する近接電子放出素子、が放出する電子の量に対応する値を、該近接電子放出素子が属する画素が有する発光領域の発光色に応じた値で調整した値に基づいて行われる前記補正は、前記調整した値に基づいて補正された入力信号によって得られる発光量が、該補正を行わなかった場合に比べて小さくなる補正である構成を好適に採用できる。
なお、本発明はテレビジョン装置の発明を含んでおり、具体的には、テレビジョン信号を受信する受信回路と、該受信回路で受信した信号に基づく表示を行う上記及び下記の画像表示装置と、を有するテレビジョン装置を開示している。
なおここで、発光領域を有する発光体としては蛍光体を用いることが出来る。所定の電子放出素子に近接する電子放出素子が放出する電子に起因する前記所定の電子放出素子に対応する発光領域の発光量の増加としては該近接する電子放出素子が放出する電子が反射されて該所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射することで生じる発光量の増加であったり、該近接する電子放出素子が放出する電子によって発生した2次電子が該所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射することで生じる発光量の増加であったりする。
本発明によると、良好な画像表示が実現できるという効果が得られる。
本発明者は研究を重ね、電子放出素子を用いた従来の画像表示装置において見られる彩度の低下は、電子放出素子が放出する電子が、該電子放出素子が対応する発光領域のみでなく、近接(隣接も含む)する異なる色の発光領域に入射することによって生じていることを確認し、鋭意努力の末、その問題を改善できる新規な画像表示装置の構成及び駆動信号の補正方法を見出した。
以下では本発明の画像表示装置及び駆動信号の補正方法の具体的な例を説明する。
以下の実施形態では説明を簡単にするため、画像表示装置に入力する画像データと表示輝度が線形であるような画像表示装置を前提として説明するが、本発明の適用範囲はこれに限定されないことは明らかである。
以下では、所定の発光領域と、該所定の発光領域に近接する発光領域が存在する構成において、前記所定の発光領域に対応する電子放出素子からの該所定の発光領域への電子放出に伴って生じる、該所定の発光領域に近接する発光領域の発光をハレーションともいう。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態として、ハレーションによる画質低下を軽減するために用いるフィルタ及びそれによるフィルタ処理について説明する。
本実施形態の画像表示装置は、複数の画素によって画面を構成するものである。各画素は、複数の異なる色、特には、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかを発光色として有する発光領域をそれぞれ有している。これら発光領域を構成する発光体としては電子の照射により光を発する蛍光体を用いている。赤の発光領域を有する画素と、緑の発光領域を有する画素と、青の発光領域を有する画素を組み合わせて、各色の発光量を調整することで視覚上の中間色表示を実現している。各画素は各画素が有する発光領域に電子を照射する電子放出素子を有している。特にここでは好適な電子放出素子として表面伝導型放出素子を用いている。
図10は以降説明する実施形態の画像表示装置の表示部の構成を示す図である。
図11は以降説明する実施形態の画像表示装置の構成を示す図である。この画像表示装置は表示部1701と駆動回路1702を有している。表示部1701は図10に示した構成である。駆動回路1702は変調信号出力回路1704と走査信号出力回路1705と信号処理回路1703を有している。変調信号出力回路1704は表示部1701に変調信号を供給する。走査信号出力回路1705は表示部1701に走査信号を供給する。信号処理回路1703は入力線1706を介して入力される外部信号(コンピュータからの信号等)や信号処理回路1703が有するアンテナで受信した放送信号などを処理して、階調信号やタイミング信号を発生させ、それらを変調信号出力回路1704や走査信号出力回路1705に供給する。信号処理回路1703は補正回路1707を有しており、補正回路1707が以降説明する補正処理を行う。
図10に示す表示部は電子放出素子と発光体とを有している。電子放出素子としては、例えばエミッタコーンとゲート電極とを組み合わせたスピント型の電子放出素子や、カーボンナノチューブやグラファイトナノファイバーといった炭素繊維を用いた電子放出素子や、MIM型の電子放出素子など種々の電子放出素子を用いることができる。ここで示す実施形態では特に好適な電子放出素子として表面伝導型放出素子4004を用いている。またここでは、複数の表面伝導型放出素子4004を複数の走査信号印加配線4002と
複数の変調信号印加配線4003にてマトリックス接続した構成を採用している。複数の走査信号印加配線4002には走査信号出力回路1705が出力する走査信号が順次に印加される。また複数の変調信号印加配線4003には変調信号出力回路1704が出力する変調信号がそれぞれ印加される。電子放出素子とそれがマトリックス接続される走査信号印加配線と変調信号印加配線とは基板となるガラス板4005上に設けられている。
またここで示す実施形態では、発光体として蛍光体4008を用いている。蛍光体4008は基板となるガラス板4006上に設けられている。ガラス板4006上には、電子放出素子が放出する電子を加速するための加速電極となるメタルバック4009が設けられている。メタルバック4009には高圧端子4011を介して電源4010から加速電位が供給される。ガラス板4005とガラス板4006の間に外枠となるガラス枠4007が位置し、ガラス板4005とガラス枠4007間、及びガラス板4006とガラス枠4007間はそれぞれ気密に封止され、ガラス板4005とガラス板4006とガラス枠4007によって気密容器が構成されている。該気密容器の内部は真空に保たれている。この気密容器内にはスペーサ4012が配されており、それによって気密容器の内部と外部の圧力差によって気密容器がつぶれるのが防がれている。
この構成の表示部においては、各電子放出素子それぞれに略対向する位置が各電子放出素子それぞれに対応する発光領域となっている。
図1は本実施形態に係る補正回路の構成を示す回路図である。図中の20は近傍データ積算部(積算回路)、6はRGB加算部(加算回路;補正値算出回路)、7R、7G、7Bはそれぞれ赤、緑、青に対応する調整係数を用いた演算を行う係数演算部、8、9、10は加算器(駆動信号生成回路)、11は比較器である。近傍データ積算部20は、RGB用として同構成の回路が3つある。
サンプリングされたデジタルRGBデータR1、G1、B1は、入力信号としてまず近傍データ積算部20に入力される。このRGBデータは輝度と線形であるようなデータとする。もし、RGBデータが輝度に対し非線形であれば、テーブル等で線形になるように変換すればよい。
図2は図1の近傍データ積算部20の詳細図である。図中の1は一水平同期期間(1H)遅延回路、2は一画素(1P)遅延回路、3は係数をデータにかける乗算器、4はデータを水平方向に積算する水平加算器、5は水平方向に積算されたデータを垂直方向に積算する垂直加算器である。
図2を使って近傍データ積算部20の処理を説明する。サンプリングされたデジタルRGB信号R1、G1、B1は近傍データ積算部20に入力される。近傍データ積算部20はRGBによらず全く同じ構成であるため、ここではRを例にとって説明する。
まず、1H遅延回路1について説明する。近傍データ積算部20に入力されたデータR1は1H遅延回路1により1H分遅延される。R1を1H遅延した信号をR2、さらに1H遅延した信号をR3、さらに1H遅延した信号をR4、さらに1H遅延した信号をR5、さらに1H遅延した信号をR6、さらに1H遅延した信号をR7とする。
通常画像データは画面上の行データから入力されるため、常に信号R2はR1の一行上のデータとなる。同様に、R3はR2の一行上、R4はR3の一行上、R5はR4の一行上、R6はR5の一行上、R7はR6の一行上のデータである。
次に、1P遅延回路2について説明する。1P遅延回路2はデータを水平方向に一画素
分遅延する回路である。例えば、信号R8は信号R7を一画素遅延した信号となる。通常画像データは画面左のデータから入力されるため、常に信号R8は信号R7の左の画素データである。同様に、R9はR8の左、R10はR9の左、R11はR10の左、R12はR11の左、R13はR12の左の画素データである。ここでは1P遅延回路を近傍データ積算部20の最上行21で説明したが、近傍データ積算部20内のどの行においても1P遅延回路2は同様な処理を行う。
近傍データ積算部20の上下左右の中央(以下、注目画素と呼ぶ)のデータ(以下、注目画素データと呼ぶ)をR14とする。注目画素データR14はR4のデータを三画素分水平に遅延させたデータである。つまり、注目画素データR14はデータR4の表示画素から左に3画素移動した画素に表示されるデータである。同様に、注目画素データR14はデータR10の表示画素から下に3画素移動した画素に表示されるデータである。
注目画素データR14に注目すると近傍データ積算部20内のデータは、注目画素を中心に縦横7画素の矩形内のデータである。例えば、R10はR14の3画素上のデータ、R4はR14の3画素右のデータ、R7はR14の3画素上かつ、3画素右のデータである。つまり、近傍データ積算部20は注目画素データを中心に、縦横7画素分のデータを処理することができる。これは一般的に7タップフィルタと呼ばれるものである。
前記のフィルタタップ数(本実施形態では7)はハレーションの及ぶ範囲によって決定される。本実施形態においては、ある蛍光体に電子が照射されるとその画素を中心にハレーションによる円形発光が起こる。考慮すべきハレーションの及ぶ円形領域の直径がn画素であれば、nタップのフィルタが必要になる。
本実施形態ではn=7としたが、例えば、考慮すべきハレーションの及ぶ範囲が注目画素に隣接する上下左右の画素のみであれば、n=3のフィルタを用いればよい。
前記ハレーションの及ぶ領域の直径は、蛍光体が配置されているフェースプレート(ガラス板4006)と電子源が配置されているリアプレート(ガラス板4005)との間隔に依存する。したがって、フェースプレートとリアプレートの間隔に応じて、フィルタタップ数を決めることが出来る。
次に、乗算器3について説明する。図3は乗算器3の構成を表す図である。乗算器3は2つの入力50、51を乗算した結果を出力するものである。本実施形態においては、50はデータであり、51は乗算する係数である。例えば、データ50が図2のR13である場合、係数51はa11である。本来乗算器は図3のような構成であるが、図2では簡略化して乗算器3の中に係数を示している。
図2に示すように、データR12には係数a21を、データR11には係数a31を、データR10には係数a41を、データR9には係数a51を、データR8には係数a61を、データR7には係数a71を乗算するような構成となっている。ここでは、乗算器3の処理を近傍データ積算部20の最上行21で説明したが、近傍データ積算部内のどの行においても乗算器3は同様な処理を行う。
水平加算器4は一行分のデータを加算するものである。本実施形態では、水平加算器4は1行当り6個ある。この水平加算器4が7行分あるため、近傍データ積算部20内では全部で6×7=42個の水平加算器4が必要である。水平加算器4に入力されるデータは、前記乗算器3の出力である。乗算器3から出力されたデータを一行分加算するのが水平加算器4である。
近傍データ積算部20の最上行21を例に上記の乗算器3、水平加算器4の処理を式で書くと以下のようになる。
Figure 0003870210
上記は近傍データ積算部20の最上行21の処理であるが、近傍データ積算部20内のどの行においても同様の処理を行っている。係数a11〜a77の詳細は後述する。
このようにして水平方向に積算された近傍データは、垂直加算器5により垂直方向に加算される。水平加算器4により出力された各行の近傍データを図2のようにR15〜R21とすると、垂直加算器5の出力値R22は以下の式により表される。
Figure 0003870210
本実施形態ではR22を近傍データ積算値と呼ぶ。近傍データ積算値R22は注目画素R14の近傍データに、係数a11〜a77の重みをかけて積算された値である。このように、近傍データ積算部20は注目画素データR14と、近傍データ積算値R22の2つの信号を出力する。
以上が、近傍データ積算部20の処理である。上記では、Rの処理例のみ説明したが、GBにおいてもまったく同様な処理がなされる。Gにおいては、G1が入力され注目画素データG14と近傍データ積算値G22が出力される。Bにおいては、B1が入力され注目画素データB14と近傍データ積算値B22が出力される。
次に、近傍データ積算部20後の処理について図1を用いて説明する。近傍データ積算部20から出力された近傍データ積算値R22、G22、B22は、それぞれ各色毎の調整係数(k、k、k)が係数演算部7R、7G、7Bによってかけられる。
なお、係数演算部7R、7G、7Bでは、入力されたデータR22、G22、B22のそれぞれに所定の係数をそれぞれ乗算する。この係数はハレーションの影響の程度を補正値に反映させるためのものであり、以下のようにして決定されるものである。
電子源からの電子照射による発光(ハレーションを含まない発光、以下輝点と呼ぶ)強度をL0、ハレーションによる発光強度をL1とする。係数演算部7(7R、7G、7B)で乗算するする係数kは以下の式より決定する。
Figure 0003870210
ここで、kの値は実験により求めることが出来る。通常L0はL1より大きいため、kは0〜1の間の数値となる。特に本実施形態では、この係数kが色毎に異なることに着目
し、係数kを対応する色毎に求め、それらを調整係数k、k、kとして用いている。
具体的には、ここでは、
=0.015、
=0.012、
=0.018
であった。これらは、ハレーション補正の対象とした近接電子放出素子の放出する電子の量に概略対応する値である入力信号(画像データ)の値に対して、その1.5パーセント、1.8パーセント、1.2パーセントが注目画素の発光量の増分となっていることを意味している。
なお、本実施形態において各係数演算部では各係数を入力信号に乗算した後、符号を反転して出力する。各係数演算部7R、7G、7Bの出力は、RGB加算部6により加算される。したがって、RGB加算部6の出力をW22とするとW22は次式により表される。
Figure 0003870210
このW22がそれぞれ注目画素データR14、G14、B14に加算される補正値である。加算器8、9、10のそれぞれの出力R24、G24、B24は以下の式で表される。
Figure 0003870210
比較器11は入力されたデータと0を比較し、大きい方の値を出力する。したがって、比較器11の出力データデータR25、G25、B25は以下のようになる。
Figure 0003870210
次に、近傍データ積算部20の係数a11〜a77について説明する。
図4(a)は、ある色に対応する画素p44を注目画素とし、注目画素p44を中心に同じ色に対応する縦横7画素の配置を示したものである。pnm(n、mは1〜7)は画素を表す。あるタイミングのとき、画素p11〜p77のデータにかける係数がa11〜a77であったとする。
本実施形態の画像表示装置は、輝点を中心に円形領域にハレーション発光が起こる構成である。図4(a)の実線60は注目画素p44を点灯した際ハレーション発光が起こる領域である。本実施形態では係数a11〜a77を簡単にするため実線60の円を、点線61で近似する。つまり、注目画素p44が点灯した際、点線61に囲まれた画素にハレーション発光が発生すると近似する。
注目画素p44を点灯した際ハレーション発光する画素が点線61で囲まれた画素であるが、これは逆に点線61で囲まれた画素を点灯するとその反射電子により注目画素p44がハレーション発光することを意味する。
本実施形態では、係数a11〜a77は0か1いずれかの値とする。注目画素にハレーション発光を起こしうる画素の係数は1、それ以外の係数は0である。注目画素にハレーション発光を起こしうる画素は、図4(a)の点線61内の画素であるため、係数a11〜a77は図4(b)に示すようになる。この図において、左上が係数a11、右下が係数a77、中央が注目画素の係数a44を示している。
本実施形態では、注目画素にハレーション発光を起こし得る画素は、7x7画素領域と仮定している。例えば、これが3x3画素領域であれば、注目画素の上下左右の係数、すなわちa43、a34、a44、a54、a45が1となり、それ以外の係数は0とすればよい。また、注目画素の反射電子が注目画素に照射されることがないのであれば、a44を0とすればよい。
係数a11〜a77を上記のように設定すると、図1の近傍データ積算値R22、G22、B22は注目画素にハレーション発光を及ぼす画素のデータの色毎の積算値になる。ハレーションは主に反射電子による発光であるため、電子放出素子を用いた画像表示装置においてはRGBの区別なく発生する。つまり、Rの反射電子はGBの注目画素をも発光させる。当然、GBの反射電子も他の色の注目画素を発光させる。したがって、ここでは彩度低下を抑制するために他色のハレーションデータも注目画素データから差し引くことができるように構成している。
係数演算部7R、7G、7Bでは、注目画素にハレーション発光を及ぼす画素のデータの色毎の積算値に対して、実際にはレーションによって生じる発光量の増分を評価するための係数を色毎にかける回路である。ここで色毎の演算を行っているので、各色に対応する蛍光体ごとに照射電子に対する反射率が異なる構成に対応できている。
RGB加算部6は、RGBそれぞれの係数演算部7R、7G、7Bの出力を積算する。これにより注目画素にハレーション発光を及ぼす各色の複数の近接電子放出素子に対応する画素データ積算値にたいして各色毎のハレーション発光増分を評価するための係数をかけた値の和W22に負の符号をつけた値が求められる。
データW22を注目画素データR14、G14、B14から差し引いたデータR24、G24、B24は、ハレーションによる発光分(ハレーションによる注目画素における発光量の増加分)を差し引いたデータである。
このとき、例えばR14よりW22が大きければR24は負値となる。その場合は比較器11により0として出力する。このようにして得られたデータR25、G25、B25はハレーション発光分を差し引いた画像データである。このデータに基づいて画像表示装置を構成する電子放出素子を駆動すれば、画像データ上で差し引いたハレーション発光分が実際のハレーションにより付加され、所望の輝度、色度で発光する。すなわち、所定の
色の表示データを他の色の近傍データ値を考慮した値とすることによって、好適な色度での表示が実現できるのである。
ある画素に注目した場合のRGBデータ値の一例を図5に示す。原データが図5(a)に示すようにR=10、G=15、B=255であったとする。これは、ハレーションがない画像表示装置ならばほぼ青のように見えるデータである。
本実施形態の補正をせずに表示した場合、図5(b)のように周辺画素からのハレーションが付加され表示される。
本実施形態の補正は図5(c)のように上記ハレーションによる発光分を画像データから差し引いて表示するものである。上記の例で言うと、ハレーションによる発光分が画像データで8に相当するため、この分を画像データから差し引いて、R=2、G=7、B=247のデータで電子放出素子を駆動して表示を行うことになる。これにより、表示時にはハレーション発光分が実際のハレーションにより付加され、ハレーションにより低下した彩度を原データと同じ彩度に補正し、原データと同じRGB輝度、彩度、色度で画像が表示される。
本実施形態では説明を簡単にするため、画像表示装置に入力する画像データと表示輝度が線形であるような表示装置を前提として説明した。画像データと表示輝度が非線形であるような表示装置においては、表示の際にテーブル等を用いて表示特性に合ったデータに変換した後に表示すればよい。
また、本実施形態では、自画素内でのハレーションのみならず、7x7画素領域でのハレーションを考慮したが、注目する発光領域に対して、該発光領域に対応する電子放出素子以外のどの電子放出素子からの電子による注目発光領域の発光状態への影響を考慮するかは、適宜に決めることが出来、近傍データ積算部で用いるa11〜a77をそれに合わせて設定することで、ハレーションを考慮する対象を選択することができる。
(第2の実施形態)
図10に示した表示部はスペーサ4012を有している。このスペーサ4012は気密容器内外の圧力差によって気密容器がつぶれるのを防ぐためのものである。このスペーサ4012は、所定の電子放出素子が放出する電子に起因する電子(その電子放出素子が放出する電子の一部であって、直接他の電子放出素子が対応する発光領域に向かってしまう電子や、その電子放出素子が放出する電子が発光体(蛍光体)やその近傍の部材(蛍光体が配置される基板や加速電極であるメタルバック)で反射された後、他の電子放出素子が対応する発光領域に向かってしまう電子)を遮蔽して、その電子が他の電子放出素子に対応する発光領域に照射されるのを抑制する作用を生じさせる。ガラス基板4005もしくはガラス基板4006に設けられたリブなどもこの電子遮蔽の作用を生じさせる電子遮蔽部材となりうる。このような電子遮蔽部材が全ての電子放出素子に対応して一様な位置関係で配置されていれば電子遮蔽の作用も各電子放出素子に対して生じることとなるが、図10に示すスペーサ4012のように、表示部内に電子遮蔽部材が不均一に配置されていると、電子遮蔽部材による各電子放出素子に対応する電子遮蔽の作用は不均一になる。例えば、スペーサ4012近傍にある電子放出素子が放出する電子に起因する電子は、該スペーサ4012に対してその電子放出素子と反対側にある電子放出素子が対応する発光領域にはスペーサ4012によって遮蔽されることで到達しない。このスペーサ4012による電子遮蔽の作用はスペーサ4012から充分にはなれて位置する電子放出素子に対しては生じない。従ってスペーサ4012による電子遮蔽の作用は非一様に生じることとなる。
本発明の第2の実施形態として、第1の実施形態の処理をスペーサ近傍のみ変更する例を示す。スペーサ近傍では反射電子がスペーサ(遮蔽部材)により遮られるためハレーション強度が軽減する。非スペーサ近傍と同様にスペーサ近傍にも第1の実施形態のようなフィルタをかけると、スペーサ近傍は過補正になってしまう。本実施形態では、スペーサ近傍は係数a11〜a77を変更することでこの問題を解決する。
本実施形態の回路は図1、図2と同じである。異なるのは、近傍データ積算部20の係数a11〜a77の値が変動することである。
近傍データ積算部20の7タップの画素を図6に示すように、p11〜p77とする。図2の係数a11〜a77はそれぞれ画素p11〜p77の画素データに乗算する係数である。
本実施形態ではスペーサはある画素行とその下の行の中央に配置されている板状の部材とする。
スペーサの上の画素行を上第一近接、その上の画素行を上第二近接、その上の画素行を上第三近接、…と呼ぶ。例えば、図6においてスペーサがAの位置に存在する場合、上第一近接はp17〜p77の行であり、上第二近接はp16〜p76の行であり、上第三近接はp15〜p75の行である。また、スペーサの下の画素行を下第一近接、その下の画素行を下第二近接、その下の画素行を下第三近接、…と呼ぶ。例えば、図6においてスペーサがBの位置にある場合、p17〜p77の行が下第一近接である。
また、本実施形態では表示装置の垂直解像度は768本とし、スペーサは40行おきに20本配置されているものとする。
図6においてスペーサが図中のAの位置に存在する場合、注目画素p44近傍の画素の電子放出素子が電子を放出することによって注目画素p44に照射される電子(この電子としては、注目画素近傍の画素の電子放出素子が放出した電子が反射して注目画素に照射されるものが主なものなので、単に反射電子とも言う)がスペーサにより遮られることはない。何故なら、注目画素p44に照射される反射電子が発生するのはp17〜p77の行が下限であり、その下の行の反射電子はスペーサの有り無しに関係なく注目画素p44に照射されることはないからである。従って、スペーサがAの位置に存在する場合、係数a11〜a77は第1の実施形態と同様に図4(b)に示す値である。
図6においてスペーサがBの位置に存在する場合、注目画素p44に照射される反射電子のうち、スペーサに対して注目画素p44と反対側に位置する画素の反射電子は、スペーサにより遮られる。p17〜p37、p57〜p77の反射電子はスペーサの有り無しに関係なく注目画素p44に照射されることはない。しかし、p47の反射電子がスペーサにより遮られる。
第1の実施形態で述べたように、近傍データ積算部20は、注目画素にハレーション発光を及ぼす画素データの積算値を求めるものである。従って、スペーサにより反射電子が遮られハレーション発光を及ぼさない画素データは積算から除外しなければならない。これにより、スペーサが図6においてBの位置に存在する場合、係数a47は0となり、係数a11〜a77は図7(a)のようになる。
スペーサが図6でCの位置に存在する場合、やはりスペーサにより注目画素に照射されるはずの反射電子が遮られる。この場合、スペーサに対し注目画素と反対側にある画素p26〜p66、p47の反射電子がスペーサにより遮られる。p16、p76、p17〜
p37、p57〜p77の反射電子はスペーサの有り無しに関係なく注目画素p44に照射されることはない。このとき係数a11〜a77は図7(b)のようになる。
同様にスペーサが図6のDの位置に存在するとき、係数a11〜a77は図7(c)のようになる。
これまでは注目画素p44はスペーサの上側にあったが、スペーサがEの位置にくると注目画素はスペーサの下側になる。この場合注目画素p44より下側の画素はスペーサにより反射電子が遮られることがなくなるため、p44より下側の係数a14〜a77は第1の実施形態と同じとなる。一方、注目画素p44より上側の画素の反射電子はスペーサに遮られるため、係数a11〜a73はすべて0となる。スペーサが位置Eの場合、係数a11〜a77は図7(d)のようになる。
以下同様に、スペーサが図6のFの位置にある場合、スペーサに対し注目画素と反対側の画素の係数a11〜a72は0、それ以外は第1の実施形態と同じ値になる。従って、スペーサがFの位置にある場合、係数a11〜a77は図7(e)のようになる。
同様に、スペーサがGの位置にある場合、係数a11〜a77は図7(f)のようになる。
スペーサがHの位置にある場合、注目画素p44に照射される反射電子は再びスペーサに遮られることはなくなる。そのため、この場合の係数は第1の実施形態と同様に図4(b)のようになる。
上記の係数の切換えは水平同期期間内のブランク期間に行われる。例えば、スペーサが図6のAの位置に存在する場合、係数a11〜a77は図4(b)の値がセットされている。このときp17〜p77は上第一近接である。入力データR1、G1、B1はp77の画素データであるから、入力データは上第一近接のデータということになる。
次に、スペーサが図6のBの位置にある場合、p17〜p77は下第一近接であり、入力データR1、G1、B1は下第一近接のデータである。このとき係数a11〜a77は図7(a)の値がセットされている。つまり、入力データが上第一近接データから下第一近接データになる間のブランク期間に係数a11〜a77は図4(b)から図7(a)に切り替わる。
次に、スペーサが図6のCの位置にある場合、p17〜p77は下第二近接である。つまり、入力データR1、G1、B1は下第二近接のデータである。このとき係数a11〜a77には図7(b)の値がセットされている。入力データが下第一近接データから下第二近接データに変わるブランク期間に係数a11〜a77は図7(a)から(b)に切り替わる。
同様に、入力データが下第二近接データから下第三近接データに変わるブランク期間に係数a11〜a77は図7(b)から(c)に切り替わり、入力データが下第三近接から下第四近接に変わるブランク期間に係数a11〜a77は図7(c)から(d)に切り替わり、入力データが下第四近接から下第五近接に変わるブランク期間に係数a11〜a77は図7(d)から(e)に切り替わり、入力データが下第五近接から下第六近接に変わるブランク期間に係数a11〜a77は図7(e)から(f)に切り替わり、入力データが下第六近接から下第七近接に変わるブランク期間に係数a11〜a77は図7(f)から図4(b)に切り替わる。
以上のようにすることで、近傍データ積算値R22、G22、B22にはスペーサにより遮られた反射電子分のデータは含まれず、注目画素p44に照射された反射電子分のデータのみとなる。このデータに第1の実施形態と同様、係数演算部7R、7G、7Bで調整係数k、k、kをそれぞれかけ、RGB加算部6で足し合わせW22とし、注目画素データR14、G14、B14から差し引く。
これにより、スペーサにより遮られたハレーションを補正することなく、スペーサ近傍でも適切な補正をかけることができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態として、スペーサ近傍画素データにはハレーション分のデータを付与する例を示す。スペーサ近傍では反射電子がスペーサにより遮られるため、非スペーサ近傍よりハレーション強度が軽減しスペーサの存在による輝度むら、色むらが発生する。本実施形態では、非スペーサ近傍では補正せず、スペーサ近傍において、非スペーサ近傍同様のハレーションが発生しているような輝度、色度にする補正を行う。
本実施形態も第2の実施形態と同様に、スペーサはある画素行とその下の行の中央に配置されている板状の部材とする。また、第2の実施形態同様、表示装置の垂直解像度は768本とし、スペーサは40行おきに20本配置されているものとする。
本実施形態の回路は図1、図2と同じである。第1の実施形態と異なるのは、近傍データ積算部20の係数a11〜a77の値が変動することと、係数演算部7R、7G、7Bで出力時に符号を反転しないことである。第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を用いて説明を省略する。
まず、注目画素が非スペーサ近傍にある場合について説明する。図6でスペーサがAあるいはH、あるいは注目画素p44から見てA、Hより外側に存在する場合を考える。これは言い換えると、注目画素p44が上第三近接から下第三近接の間にないことと等価である。この場合、注目画素p44に照射される反射電子がスペーサに遮られることはなく、スペーサの存在による輝度、色度むらは発生しない。
本実施形態では、近傍データ積算部20は、スペーサがなければ反射電子が注目画素に照射されてしまうが、スペーサがあることによって反射電子がスペーサで遮られる画素のデータ積算値を計算する。上記の場合、このような画素はないため係数a11〜a77は図8(a)のように全て0をセットする。図1の近傍データ積算部20の出力データR22、G22、B22はすべて0となり、これらのデータにハレーションによる発光量を評価するための係数をかけた値を加算するRGB加算部6の出力W22も0となる。
第1及び第2の実施形態では係数演算部7R、7G、7Bは調整係数k、k、kをそれぞれ乗算し符号を反転して出力していた。しかし、本実施形態の係数演算部7R、7G、7Bは、調整係数k、k、kを入力信号に乗算し符号を反転せずに出力する。但し上記の例の場合は、近傍データ積算部20の出力が0であるため、係数演算部7R、7G、7Bの出力も0である。
加算器8、9、10の出力は、
Figure 0003870210
であり、注目画素データR14、G14、B14がそのまま出力される。比較器11は数式8、9、10の処理を行い、比較器11の出力R25、G25、B25はR14、G14、B14と等しくなる。その結果、何も補正をかけない状態のデータが表示される。
以上のように、注目画素が非スペーサ近傍にある場合、本実施形態では全く補正せず入力データをそのまま表示する。
次に、注目画素がスペーサ近傍にある場合について説明する。図6でスペーサがBの位置にある場合、注目画素p44に照射される反射電子のうち、スペーサに対して注目画素p44と反対側に位置する画素の反射電子は、スペーサにより遮られる。p17〜p37、p57〜p77の反射電子はスペーサの有り無しに関係なく注目画素p44に照射されることはない。しかし、p47の反射電子がスペーサにより遮られる。
本実施形態の場合、近傍データ積算部20は、スペーサがなければ注目画素に照射されてしまう反射電子を発生させる画素であり、スペーサがあることによって注目画素への該反射電子がスペーサで遮られる画素のデータ積算値を計算する。従って、スペーサが図6においてBの位置に存在する場合、係数a47は1、それ以外は0となり、係数a11〜a77は図8(b)のようになる。
係数a11〜a77が図8(b)の場合、近傍データ積算部20の出力R22、G22、B22はp47のRGB画素データと等しくなる。R22、G22、B22からの出力に対してそれぞれ係数演算部7R、7G、7Bで色毎の係数をかけたものをRGB加算器6で加算しW22とし、これを補正値とする。係数演算部7R、7G、7Bの和はスペーサで遮られることで注目画素p44に照射されなかったハレーション分のデータに相当する。このデータ、つまりスペーサがなければ注目画素に照射されていたハレーション分のデータW22を、加算器8、9、10で注目画素データR14、G14、B14にそれぞれ加算する。
本実施形態は、係数演算部7R、7G、7Bにおいて符号を反転しないため、加算器8、9、10の出力は常に正である。従って、比較器11はあってもなくても関係ない。つまり、常に、
Figure 0003870210
が成り立つ。
図6でスペーサがCの位置にある場合、やはりスペーサにより注目画素に照射されるはずの反射電子が遮られる。この場合、スペーサに対し注目画素と反対側にある画素p26〜p66、p47の反射電子がスペーサにより遮られる。p16、p76、p17〜p37、p57〜p77の反射電子はスペーサの有り無しに関係なく注目画素p44に照射されることはない。本実施形態では、スペーサで反射電子が遮られる画素の係数が1となるため、係数a11〜a77は図8(c)のようになる。
このとき、加算器6の出力データはスペーサで遮られることで注目画素p44に照射されなかったハレーション分のデータに相当する。このデータは加算器8、9、10で注目画素データR14、G14、B14にそれぞれ加算される。
同様に図6でスペーサがDの位置にある場合、係数a11〜a77は図8(d)のよう
になる。やはり、係数a11〜a77が1である画素は、スペーサにより反射電子が遮られる画素である。
図6でスペーサがEの位置にある場合、スペーサで反射電子が遮られる画素はスペーサの上側に移動する。この場合の係数a11〜a77は図8(e)のようになる。同様に、スペーサがFの位置にある場合、係数a11〜a77は図8(f)のようになり、スペーサがGの位置にある場合、係数a11〜a77は図8(g)のようになる。
上記の係数の切換えは水平同期期間内のブランク期間に行われる。この切換え動作は第2の実施形態と同じである。
以上の処理により、スペーサに遮られたハレーション分のデータを画像データとして注目画素に付与することにより、スペーサ近傍の補正を行っている。これにより、スペーサ近傍と非スペーサ近傍での画質の差を低減することができる。
(第4の実施形態)
第2の実施形態及び第3の実施形態においては、スペーサによる電子の遮蔽作用を考慮した補正を行った。一方、スペーサでは電子を反射したり、電子の入射による二次電子を放出したりする作用も生じうる。注目画素の電子放出素子に対応する発光領域に対して、その電子放出素子やその電子放出素子とスペーサに対して同じ側に位置する電子放出素子が放出する電子に由来する電子(電子放出素子から放出される電子が対応する発光領域で反射された電子、またはそれに加えて電子放出素子から放出されていずれにも衝突していない電子そのもの)がスペーサに入射し、スペーサによる反射もしくは二次電子の放出が生じ、注目画素の発光領域に入射することで注目画素の発光量を増やす作用が生じる。この作用は大きいものではないが、この作用を考慮した補正を更に行うことでより好適な補正を行うことができる。
具体的には、図1の構成で用いた近傍データ積算部20、係数演算部7R、7G、7B、加算器6と同じ構成の回路をスペーサによる発光量増加を評価するための回路として更に設ける。積算部では、電子を放出することで注目画素にスペーサによる反射電子(二次電子を含む)による影響を生じうる素子のデータを積算する。この積算値のそれぞれに対して図1の係数演算部と同じ回路によって、色毎の係数を演算する。ここで用いる係数は、各色毎の係数(第1乃至第3の実施形態で用いた係数k、k、kと同じ値でよい)とスペーサにおける反射の程度を示す係数(ここでは0.0166を採用)をかけたものであり、赤用には0.00025、緑用には0.0002、青用には0.0003を用いる。この係数をかけたものを加算器6で加算し、その値をスペーサによる反射によって注目画素の発光量が増加する分を補償するための補正値として用いる。具体的には注目画素のデータからこの補正値を引けばよい。なお、この補正は第2の実施形態や第3の実施形態における補正と合わせて行えばよい。
以上説明した各実施形態によれば、良好な発光状態を得られる画像表示装置及び画像表示に使用する電子放出素子の駆動信号の補正方法を実現することができる。
なお、図9は以上述べた画像表示装置を用いたテレビジョン装置の構成を示す図である。
受信回路901ではアンテナから入力されたテレビジョン信号を受信し、テレビジョン放送を再生するための信号を生成して画像表示装置902に出力する。
第1乃至第3の実施形態に係る回路ブロック図である。 近傍データ積算部の詳細図である。 加算器の詳細図である。 図4(a)は注目画素周辺の画素配置図であり、図4(b)は係数a11〜a77の値を示す図である。 第1の実施形態の補正を説明する図である。 注目画素周辺の画素、スペーサ配置図である。 係数a11〜a77の値を示す図である。 係数a11〜a77の値を示す図である。 画像表示装置を用いたテレビジョン装置の構成を示す図である。 実施形態で用いる表示部の構成を示す図である。 画像表示装置の実施形態を示す図である。
符号の説明
1 1H遅延回路
2 1P遅延回路
3 乗算器
4 水平加算器
5 垂直加算器
6 RGB加算器
7R、7G、7B 係数演算部
8、9、10 加算器
11 比較器
20 近傍データ積算部
50 データ
51 係数
60 ハレーション領域
61 近似したハレーション領域

Claims (9)

  1. 各画素が電子放出素子と該電子放出素子からの電子によって発光する発光領域とを有する複数の画素と、
    前記電子放出素子を駆動する駆動信号を出力する駆動回路と、を有し、
    前記複数の画素は、互いに異なる色で発光する発光領域をそれぞれが有する複数の画素を含んでおり、
    前記駆動回路は、入力信号を補正する回路を有しており、所定の電子放出素子に対応する前記入力信号に対する前記補正は、該所定の電子放出素子に近接する電子放出素子である近接電子放出素子が放出する電子の量に対応する値を該近接電子放出素子が属する画素が有する発光領域の発光色に応じた値で調整した値に基づいて行われる画像表示装置。
  2. 前記所定の電子放出素子に対応する前記入力信号に対する前記補正は、該所定の電子放出素子に近接する複数の電子放出素子である複数の近接電子放出素子のそれぞれが放出する電子の量に対応する値のそれぞれを、該複数の近接電子放出素子のそれぞれが属する画素が有する発光領域のそれぞれの発光色に応じた値で調整した値に基づいて行われる請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記所定の電子放出素子に対応する前記入力信号に対する前記補正は、前記調整した値に基づいて補正された入力信号によって得られる発光量が、該補正を行わなかった場合に比べて小さくなる補正である請求項1又は2に記載の画像表示装置。
  4. 前記電子放出素子からの電子の放出に起因して、該電子放出素子が対応する発光領域以外の発光領域に電子が入射するのを抑制する遮蔽部材を有しており、
    前記遮蔽部材に近接する所定の電子放出素子に対応する前記入力信号に対する前記補正は、
    該所定の電子放出素子に近接する電子放出素子である近接電子放出素子であって、その近接電子放出素子からの電子の放出に起因した電子が前記所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射するのが前記遮蔽部材によって抑制される近接電子放出素子、が放出する電子の量に対応する値を、該近接電子放出素子が属する画素が有する発光領域の発光色に応じた値で調整した値に基づいて行われる請求項1に記載の画像表示装置。
  5. 前記所定の電子放出素子に対応する前記入力信号に対する前記補正は、
    該所定の電子放出素子に近接する複数の電子放出素子である複数の近接電子放出素子であって、該各近接電子放出素子からの電子の放出に起因した電子が前記所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射するのが前記遮蔽部材によって抑制される近接電子放出素子、のそれぞれが放出する電子の量に対応する値のそれぞれを、該複数の近接電子放出素子のそれぞれが属する画素が有する発光領域のそれぞれの発光色に応じた値で調整した値に基づいて行われる請求項4に記載の画像表示装置。
  6. 前記所定の電子放出素子に対応する前記入力信号に対する前記補正は、前記調整した値に基づいて補正された入力信号によって得られる発光量が、該補正を行わなかった場合に比べて大きくなる補正である請求項4又は5に記載の画像表示装置。
  7. 前記遮蔽部材に近接する所定の電子放出素子に対応する前記入力信号に対する前記補正は、
    更に、
    該所定の電子放出素子に近接する電子放出素子である近接電子放出素子であって、その近接電子放出素子からの電子の放出に起因した電子が前記所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射するのが前記遮蔽部材によって抑制されない近接電子放出素子であって、
    その近接電子放出素子から放出された電子が前記遮蔽部材に入射することに起因する電子が前記所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射する近接電子放出素子、が放出する電子の量に対応する値を、該近接電子放出素子が属する画素が有する発光領域の発光色に応じた値で調整した値に基づいて行われる補正を含む請求項4乃至6のいずれかに記載の画像表示装置。
  8. 該所定の電子放出素子に近接する電子放出素子である近接電子放出素子であって、その近接電子放出素子からの電子の放出に起因した電子が前記所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射するのが前記遮蔽部材によって抑制されない近接電子放出素子であって、その近接電子放出素子から放出された電子が前記遮蔽部材に入射することに起因する電子が前記所定の電子放出素子に対応する発光領域に入射する近接電子放出素子、が放出する電子の量に対応する値を、該近接電子放出素子が属する画素が有する発光領域の発光色に応じた値で調整した値に基づいて行われる前記補正は、前記調整した値に基づいて補正された入力信号によって得られる発光量が、該補正を行わなかった場合に比べて小さくなる補正である請求項7に記載の画像表示装置。
  9. テレビジョン装置であって、
    テレビジョン信号を受信する受信回路と、
    該受信回路で受信した信号に基づく表示を行う請求項1乃至8のいずれかに記載の画像表示装置と、
    を有するテレビジョン装置。
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