JPWO2003071164A1 - 歯車製造方法、歯車、及び歯車製造用プログラム - Google Patents

歯車製造方法、歯車、及び歯車製造用プログラム Download PDF

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武廣 大坪
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Abstract

本発明は、機械損失が少ない円弧歯車を効率良く製造する歯車製造方法、その製造方法によって製造した歯車、及び歯車製造用プログラムを提供する。本発明の歯車製造方法は、歯車の用途、歯車機構の回転比、及び歯車機構の寸法等を考慮してピッチ曲線及び歯数を決定し、CADの画面を開いてピッチ曲線等を描いて歯形輪郭曲線を描く方法である。

Description

技術分野
本発明は、円弧歯形を有する歯車の製造方法、その製造方法により製造する歯車、及びその歯車の製造用プログラムに関する。
背景技術
従来から、回動運動を伝達する手段として、歯車が使用されている。この歯車として、インボリュート歯形を有するインボリュート歯車が最も広く知られている。従来、インボリュート歯車は、歯車素材を回転させながらラック形工具によって創成歯切りして製造していた。ところが、近年、CAD/CAM技術の発達により、インボリュート歯形をコンピューター画面上で描いてNCデータを作成してインボリュート歯車を製造することが行われている。しかし、インボリュート歯形をコンピューター画面上で描くのは、困難であった。また、インボリュート歯形は創成歯切り加工を前提とする歯形であるため、インボリュート歯形をCAD/CAMによって形成することには無理があった。一方で、円形歯形はCAD/CAMによって形成するのが容易であるが、機械損失又は騒音を防止するために回転駆動力の伝達効率や噛合い率等を具体的に考慮した実用的なものはなかった。
そこで、本発明者は、歯車に関して、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったのである。
発明の開示
本発明は、CAD/CAMを用いて容易に製造できるとともに、機械損失又は騒音を防止できる具体的形態の明確な歯車を提供することを目的とする。
本発明の歯車製造方法は、ピッチ曲線の形状及び寸法並びに歯数に基づいて歯車輪郭曲線を形成する歯車製造方法であって、前記ピッチ曲線を描くステップと、前記ピッチ曲線を前記歯数の4倍の分割数に等分割して、該ピッチ曲線上の複数の分割点及び該ピッチ曲線の中心点を通る複数の分割線を形成するステップと、第一の分割線上であって前記ピッチ曲線の内側に中心点を有し、前記分割点間距離と略同一長さの半径を有する第一の円を描くステップと、前記第一の分割線から一つの分割線を隔てた第二の分割線上であって前記ピッチ曲線の外側に中心点を有し、前記分割点間距離と略同一長さの半径を有する第二の円を描くステップと、前記第一の円における前記ピッチ曲線内側付近を歯元とし、前記第二の円における前記ピッチ曲線外側付近を歯末とし、該歯元と該歯末とを連結直線によって連結して歯形を描くステップと、前記歯形を前記ピッチ曲線のまわりに歯数だけ連結して歯車輪郭曲線を描くステップと、前記歯車輪郭曲線の形状データをコンピューターのメモリに記憶するステップと、前記記憶した歯車輪郭曲線の形状データに基づいて、歯車素材又は歯車工具素材を加工するステップと、を含むことを特徴とする。
ここに、本明細書において、歯形とは、一の歯末外周曲線と一の歯元外周曲線とから構成され、外周曲線を構成する単位を言う。また、歯末とは、歯形のうち、ピッチ線よりも外側の部分を言い、歯元とは、歯形のうち、ピッチ線よりも内側の部分を言う。なお、本発明の歯車を、波形の輪郭曲線を有するカムと称しても良い。
また、本発明の歯車製造方法は、ピッチ曲線の形状及び寸法並びに歯数に基づいて、コンピューターを利用して歯車輪郭曲線を形成する歯車製造方法であって、前記ピッチ曲線を、コンピューター画面に描くステップと、前記ピッチ曲線を前記歯数の4倍の分割数に等分割して、該ピッチ曲線上の複数の分割点及び該ピッチ曲線の中心点を通る複数の分割線を、コンピューター画面上で形成するステップと、第一の分割線上であって前記ピッチ曲線の内側に中心点を有し、前記分割点間距離と略同一長さの半径を有する第一の円を、コンピューター画面上に描くステップと、前記第一の分割線から一の分割線を隔てた第二の分割線上であって前記ピッチ曲線の外側に中心点を有し、前記分割点間距離と略同一長さの半径を有する第二の円を、コンピューター画面上に描くステップと、前記第一の円における前記ピッチ曲線内側付近を歯元とし、前記第二の円における前記ピッチ曲線外側付近を歯末とし、該歯元と該歯末とを連結直線によって連結して歯形をコンピューター画面に描くステップと、前記歯形を前記ピッチ曲線のまわりに歯数だけ連結して歯車輪郭曲線をコンピューター画面に描くステップと、前記歯車輪郭曲線の形状データをコンピューターのメモリに記憶するステップと、前記記憶した歯車輪郭曲線の形状データに基づいて、コンピューターを利用した数値制御手段により加工工具を移動させ、歯車素材又は歯車工具素材を加工するステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明の歯車製造方法は、前記歯車製造方法において、前記第一の分割線と前記第二の分割線とを隔てる前記一の分割線である隔分割線に対して、略平行な直線を、前記連結直線として描くことを特徴とする。
また、本発明の歯車製造方法は、前記歯車製造方法において、前記連第一の円の曲率半径が前記第二の円の曲率半径よりも大きいことを特徴とする。
また、本発明の歯車は、前記歯車製造方法によって製造した歯車である。
また、本発明の歯車は、前記歯車おいて、前記歯車製造方法によって製造した歯車であり、該歯車を噛合わせて構成した歯車機構において、一の該歯車の連結直線が他の該歯車の歯形と接触することにより、該接触部の圧力角が略0度になる歯車である。
また、本発明の歯車は、前記歯車おいて、歯車製造方法によって製造した歯車であり、該歯車を噛合わせて構成した歯車機構において、一の該歯車の連結直線が他の該歯車の歯形と接触することにより、該接触部の圧力角が0度になる歯車である。
また、本発明の歯車製造用プログラムは、ピッチ曲線の形状及び寸法並びに歯数に基づいて歯車輪郭曲線を形成するためにコンピューターを、前記ピッチ曲線を描く手段、前記ピッチ曲線を前記歯数の4倍の分割数に等分割して、該ピッチ曲線上の複数の分割点及び該ピッチ曲線の中心点を通る複数の分割線を形成する手段、第一の分割線上であって前記ピッチ曲線の内側に中心点を有し、前記分割点間距離と略同一長さの半径を有する第一の円を描く手段、前記第一の分割線から一つの分割線を隔てた第二の分割線上であって前記ピッチ曲線の外側に中心点を有し、前記分割点間距離と略同一長さの半径を有する第二の円を描く手段、前記第一の円における前記ピッチ曲線内側付近を歯元とし、前記第二の円における前記ピッチ曲線外側付近を歯末とし、該歯元と該歯末とを連結直線によって連結して歯形を描く手段、前記歯形を前記ピッチ曲線のまわりに歯数だけ連結して歯車輪郭曲線を描く手段、前記歯車輪郭曲線の形状データをコンピューターのメモリに記憶する手段、として機能させる歯車製造用プログラムである。
発明を実施するための最良の形態
次に、本発明に係る歯車製造方法、歯車、及び歯車製造用プログラムの実施の形態について、図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、符号10は、本発明の歯車製造方法によって製造した歯車である。この歯車10の製造方法を以下に示す。なお、図面において、符号14は、14(1)、14(2)、14(K)を含み、符号18は、18(1)、18(2)、18(K)を含み、符号20は、20(1)、20(2)、20(K)を含む。他の符号についても、同様に、括弧付きの符号は括弧のない符号に含まれる。
最初に、歯車の用途、歯車機構の回転比、及び歯車機構の寸法等を考慮してピッチ曲線及び歯数を決定する。例えば、円形状のピッチ曲線の半径Rを38mmとし歯数Zを12とした場合について説明する。
次に、CADの画面を開き、図2に示すように、決定したピッチ曲線12を描く。また、歯数Zの4倍値を分割数Nとして求め、円形のピッチ曲線12をN等分割してピッチ曲線12上の分割点14及び中心点16を通る複数の分割線18を描く。Z=12であるので、N=36であり、ピッチ曲線12を36等分割して分割点14及び中心点16を通る36本の分割線18を描く。
次に、図3に示すように、ピッチ線12と第一の分割線18(1)との交点である第一の分割点14(1)を中心点とし、隣接する隔分割線18(K)とピッチ線12との交点である隔分割点14(K)から分割点14(1)までを半径とする第一の円20(1)を描く。さらに、ピッチ線12と第二の分割線18(2)との交点である第二の分割点14(2)を中心点とし、隔分割点14(K)から分割点14(2)までを半径とする第二の円20(2)を描く。
第一の円20(1)と第二の円20(2)とは、図4に示すように、隔分割点14(K)及び交点22(K)の2点で交わることとなる。そこで、図5に示すように、中心点16を中心とし、中心点16から交点22(K)を半径とし、交点22(K)を通る円24を描く。また、隔分割点14(K)から交点22(K)までの距離をオフセットFとし、このオフセットFを中心点16から隔分割点14(K)までの距離Rに加えた距離R+Fを半径とする円26を中心点16を中心として描く。円26を描くことにより、図6に示すように、新たな交点28が形成される。ここに、図7に示すように、分割線18(1)と18(K)との角度をθとすれば、F=4・R・sin(θ/2)であるから、F=4・R・sin(7.5°/2)=4・R・sin(3.75°)である。
次に、図8に示すように、円24と分割線18(1)との交点32(1)をt中心点とし、交点32(1)から交点22(K)までを半径とする円21(1)を描き、円26と分割線18(2)との交点32(2)を中心点とし、交点32(2)から交点28までを半径とする円21(2)を描く。ここに、円21(1)の半径r(1)は、r(1)=2・(R−F)・sin(θ/2)であり、円21(2)の半径r(2)は、r(2)=(R+F)・sin(θ/2)である。よって、円21(2)は円21(1)よりも寸法が僅かに大きい。
次に、図9に示すように、円21(1)の中心点が、交点32(2)に一致するように、円21(1)を移動させ、円21(2)の中心点が、交点32(1)に一致するように、円21(2)を移動させる。なお、移動した円20(1)は歯末を構成することとなり、移動した円20(2)は歯元を構成することとなる。このようにして、円21(1)を歯末とし、円21(1)よりも僅かに大きい寸法の円21(2)によって歯元を形成できる。次に、このように移動させた円21(1)及び円21(2)に接する連結直線34を、図10に示すように描く。なお、円21(1)が交点32(1)から交点22(K)までを半径とし、円21(2)が交点32(2)から交点28までを半径とし、円21(1)及び円21(2)の半径がピッチ曲線12上の14(1)から14(K)まで(14(2)から14(K)まで)と略等しく、円21(2)が円21(1)よりも僅かに大きいことにより、連結直線34は隔分割線18(K)上に略位置し、連結直線34はピッチ線12に対して略直角となる。次に、図11に示すように、円21(1)の中の分割線18(2)との交点36(2)から連結直線34との接触点38(2)まで、連結直線34、及び円21(2)の中の連結直線34との接触点38(1)から分割線18(1)との交点36(1)までを連結して歯形の半分の図形40として描く。このようにして歯形の半分の図形40を描いた後、図12に示すように、この歯形の半分の図形40を分割線18(2)を対称軸として線対称位置に複写する。これにより、一の歯形42が描かれる。この一の歯形42を、ピッチ曲線12のまわりに歯数12だけ連結して、図13に示すように、歯形輪郭曲線44を描く。
このようにして、一の歯形輪郭曲線44(a)が形成されると、この歯形輪郭曲線44(a)を複写して他の歯形輪郭曲線44(b)を描き、歯形輪郭曲線44(b)を、歯形42の半分に対応する15°だけ中心点16(b)のまわりに回転させ、ピッチ曲線12(a)及び12(b)が接触するように、歯形輪郭曲線44(a)と44(b)とを噛み合わせる。これにより、図14に示すような噛合い状態が描かれる。
次に、図15に示すように、歯形輪郭曲線44(a)を中心点16(a)のまわりに時計まわりへ7.5°回転させ、歯形輪郭曲線44(b)を中心点16(b)のまわりに反時計まわりへ7.5°回転させる。この状態で、歯形44(a)と歯形44(b)との噛合い状態を確認する。円20(1)の半径r(1)は、r(1)=2・(R−F)・sin(θ/2)であり、円20(2)の半径r(2)は、r(2)=(R+F)・sin(θ/2)であることから、歯形輪郭曲線44(a)の歯元は歯形輪郭曲線44(b)の歯末よりも曲率半径が大きく、歯形輪郭曲線44(b)の歯元は歯形輪郭曲線44(a)の歯末よりも曲率半径が大きく、僅かに隙間が生じる。そこで、連結直線34(a)と34(b)が接触するように、歯元を小さくして歯末を大きくする補正を行い、補正後の歯形輪郭曲線44(a)及び44(b)を描く。
このようにして歯形輪郭曲線44(a)及び44(b)が形成されると、CAD上の歯形輪郭曲線データに基づいてNCデータを作成し、そのNCデータに基づいてホブを製造し、そのホブによって歯車素材を加工して歯車を製造する。又は、その他の歯車工具を製造し、その歯車工具によって歯車素材を加工して歯車を製造する。又は、NCデータに基づいて直接歯車素材を加工して歯車を製造する。
このようにして製造した歯車によれば、図16に示すように、歯車同志の作用点P1、P2及びP3が、略ピッチ曲線12(a)又は12(b)上にあり、圧力角が略0°となる。このため、機械損失が少なくなる。ここに、圧力角が略0°となるのはピッチ線12に対して略直角な連結直線34によって他の歯車と接触して回転を伝達するためである。また、一の歯形42(a)又は42(b)分だけ噛合うため、噛合い率が向上して回転力伝達時の騒音を低減できる。また、騒音を低減できるため、自動車の駆動系に利用する場合であっても、はすば歯車を形成する必要がない。なお、駆動側歯車の歯元が従動側歯車に接触する場合には従動側歯車の回転速度は遅く、駆動側歯車の歯末が従動側歯車に接触する場合には従動側歯車の回転速度は早くなり、従動歯車の回転速度はパルス状に変化する。
また、本発明の歯車製造方法によれば、r(1)=2・(R−F)・sin(θ/2)、r(2)=(R+F)・sin(θ/2)なる式によって、歯形輪郭曲線44を決定できる。また、r(2)−r(1)=2F・sin(θ/2)なる式によって、円21(1)と円21(2)との寸法の差を決定できる。このため、隙間の補正をコンピューターを利用して定量的に行うこともできる。また、円21(1)と円21(2)との寸法の差を定量的に把握できる。また、円21(1)によって歯末を形成し、円21(1)よりも僅かに大きい円21(2)によって歯元を形成してから、歯末と歯元を隣接させるように隙間を補正するため、補正が容易である。
また、本発明の歯車製造方法は、円弧歯元の曲率半径が円弧歯末よりも大きく、かつ両者を連結する連結直線34がピッチ曲線12に対して略直角な歯形を常に同じ形状で形成できる。すなわち、寸法が変わっても相似形に形成できる。このため、圧力角等の解析が容易になる。また、本発明の歯車製造方法は、最も効率的かつ容易に、歯元の曲率半径が歯末よりも大きく、かつ両者を連結する連結直線34がピッチ曲線12に対して略直角な歯形を形成できる方法である。
なお、本発明の歯車製造用プログラムは、パーソナルコンピューター等のコンピューターが備えるプログラムであり、ピッチ曲線12の形状及び寸法並びに歯数Zに基づいて歯車輪郭曲線44を形成するためにコンピューターを、ピッチ曲線12を描く手段、ピッチ曲線12を歯数Zの4倍の分割数Nに等分割して、ピッチ曲線12上の複数の分割点及びピッチ曲線12の中心点16を通る複数の分割線18を形成する手段、第一の分割線18(1)上であってピッチ曲線12の内側に中心点を有し、分割点間距離と略同一長さの半径を有する第一の円20(1)を描く手段、第一の分割線18(1)から一つの隔分割線18(K)を隔てた第二の分割線18(2)上であってピッチ曲線12の外側に中心点を有し、分割点間距離と略同一長さの半径を有する第二の円20(2)を描く手段、第一の円20(1)におけるピッチ曲線12内側付近を歯元とし、第二の円20(2)におけるピッチ曲線12外側付近を歯末とし、これら歯元と歯末とを連結直線によって連結して歯形42を描く手段、歯形42をピッチ曲線12のまわりに歯数Zだけ連結して歯車輪郭曲線44を描く手段、歯車輪郭曲線44の形状データをコンピューターのメモリに記憶する手段、その形状データに基づいてNCデータを作成する手段、として機能させる歯車製造用プログラムである。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明に係る歯車製造方法、歯車、歯車製造用プログラムは、その他の態様でも実施し得るものである。
例えば、以下のような歯車製造方法であっても良い。
最初に、図2と同様に、ピッチ曲線12及び分割線18を描く。次に、図17に示すように、ピッチ曲線12(a)及び12(b)が接触するように、ピッチ曲線12(a)及び12(b)を描き、各ピッチ曲線12(a)及び12(b)について分割線18を描き、二つのピッチ曲線12(a)及び12(b)の共通接線50を描く。次に、図18に破線で示すように、接線50と分割線18(1)(a)又は分割線18(1)(b)との交点を中心点とする円52(1)、及び、接線50と分割線18(2)(a)又は分割線18(2)(b)との交点を中心点とする円52(2)を描く。次に、図18に実線で示すように、円52(1)の中心点をピッチ曲線12(a)の分割線18(1)(a)に沿って中心点16(a)に向かって僅かに移動させて円52(1)’とし、円52(2)の中心点をピッチ曲線12(b)の分割線18(2)(b)に沿って中心点16(b)に向かって同じ距離だけ移動させて円52(2)’とする。
次に、ピッチ曲線12(a)側について説明するならば、円52(1)’と円52(2)とを隔分割線18(K)(a)の一部19(K)(a)を連結直線として連結し、円52(1)’の中心点16(a)側一部を歯元とし,円52(2)の中心点16(b)側一部を歯末とする図19の歯形54(a)を形成する。また、ピッチ曲線12(b)側について説明するならば、円52(1)と円52(2)’とを隔分割線18(K)(b)の一部19(K)(b)を連結直線として連結し、円52(1)の中心点16(a)側一部を歯末とし,円52(2)’の中心点16(b)側一部を歯元とする図19の歯形54(b)を形成する。次に、ピッチ曲線12(a)側について説明するならば、図20に示すように、歯形54(a)をピッチ曲線12(a)のまわりに歯数12だけ連結して歯形輪郭曲線56(a)を描く。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、本発明に係る歯車製造方法、歯車、歯車製造用プログラムは、図示したものに限定されず、その他の態様でも実施し得るものである。
例えば、本発明の歯車製造方法によって製造した歯車の用途は、特に限定されず、自動車の駆動系の他、釣り用のリール、攪拌機、自動車用ワイパー、又は攪拌機等に使用しても良い。また、本発明の歯車を大量生産するための加工方法は特に限定されないが、ホブカットが好ましい。なお、歯車の歯の数に対応して異なるホブが必要となる。
その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良,修正,変形を加えた態様で実施できるものである。
産業上の利用可能性
本発明の歯車製造方法によれば、第一の分割線上に描いた第一の円と第二の分割線上に描いた第二の円とを連結直線によって連結することにより、円弧歯形を有する歯車を容易に製造できる。また、第一の円及び第二の円の半径長さが分割点間距離と略同一であるため、両者に連結する連結直線が、結果的に隔分割線と略平行になり、ピッチ曲線に対して略直角となる。このため、本発明の歯車を噛み合わせた場合の圧力角を略0°にすることができる。
また、歯車を噛み合わせた場合の圧力角が略0°である本発明の歯車によれば、機械損失を低減でき、騒音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、 本発明の歯車を示す正面図である。
図2は、 図1の歯車の製造方法を説明するための正面図である。
図3は、 図1の歯車の製造方法を説明するための正面図である。
図4は、 図1の歯車の製造方法を説明するための拡大正面図である。
図5は、 図1の歯車の製造方法を説明するための正面図である。
図6は、 図1の歯車の製造方法を説明するための拡大正面図である。
図7は、 図1の歯車の製造方法を説明するための幾何学的正面図である。
図8は、 図1の歯車の製造方法を説明するための正面図である。
図9は、 図1の歯車の製造方法を説明するための正面図である。
図10は、 図1の歯車の製造方法を説明するための拡大正面図である。
図11は、 図1の歯車の製造方法を説明するための正面図である。
図12は、 図1の歯車の製造方法を説明するための正面図である。
図13は、 図1の歯車の製造方法を説明するための正面図である。
図14は、 図1の歯車の製造方法を説明するための正面図である。
図15は、 図1の歯車の製造方法を説明するための正面図である。
図16は、 図1の歯車の作用を説明するための正面図である。
図17は、 本発明に係る他の歯車製造方法を説明するための正面図である。
図18は、 図17と同様に、本発明に係る他の歯車製造方法を説明するための正面図である。
図19は、 図17と同様に、本発明に係る他の歯車製造方法を説明するための拡大正面図である。
図20は、 図17と同様に、本発明に係る他の歯車製造方法を説明するための正面図である。
図21は、本発明の歯車についての試験結果を示すグラフである。

Claims (8)

  1. ピッチ曲線の形状及び寸法並びに歯数に基づいて歯車輪郭曲線を形成する歯車製造方法であって、
    前記ピッチ曲線を描くステップと、
    前記ピッチ曲線を前記歯数の4倍の分割数に等分割して、該ピッチ曲線上の複数の分割点及び該ピッチ曲線の中心点を通る複数の分割線を形成するステップと、
    第一の分割線上であって前記ピッチ曲線の内側に中心点を有し、前記分割点間距離と略同一長さの半径を有する第一の円を描くステップと、
    前記第一の分割線から一つの分割線を隔てた第二の分割線上であって前記ピッチ曲線の外側に中心点を有し、前記分割点間距離と略同一長さの半径を有する第二の円を描くステップと、
    前記第一の円における前記ピッチ曲線内側付近を歯元とし、前記第二の円における前記ピッチ曲線外側付近を歯末とし、該歯元と該歯末とを連結直線によって連結して歯形を描くステップと、
    前記歯形を前記ピッチ曲線のまわりに歯数だけ連結して歯車輪郭曲線を描くステップと、
    前記歯車輪郭曲線の形状データをコンピューターのメモリに記憶するステップと、
    前記記憶した歯車輪郭曲線の形状データに基づいて、歯車素材又は歯車工具素材を加工するステップと、
    を含む歯車製造方法。
  2. ピッチ曲線の形状及び寸法並びに歯数に基づいて、コンピューターを利用して歯車輪郭曲線を形成する歯車製造方法であって、
    前記ピッチ曲線を、コンピューター画面に描くステップと、
    前記ピッチ曲線を前記歯数の4倍の分割数に等分割して、該ピッチ曲線上の複数の分割点及び該ピッチ曲線の中心点を通る複数の分割線を、コンピューター画面上で形成するステップと、
    第一の分割線上であって前記ピッチ曲線の内側に中心点を有し、前記分割点間距離と略同一長さの半径を有する第一の円を、コンピューター画面上に描くステップと、
    前記第一の分割線から一の分割線を隔てた第二の分割線上であって前記ピッチ曲線の外側に中心点を有し、前記分割点間距離と略同一長さの半径を有する第二の円を、コンピューター画面上に描くステップと、
    前記第一の円における前記ピッチ曲線内側付近を歯元とし、前記第二の円における前記ピッチ曲線外側付近を歯末とし、該歯元と該歯末とを連結直線によって連結して歯形をコンピューター画面に描くステップと、
    前記歯形を前記ピッチ曲線のまわりに歯数だけ連結して歯車輪郭曲線をコンピューター画面に描くステップと、
    前記歯車輪郭曲線の形状データをコンピューターのメモリに記憶するステップと、
    前記記憶した歯車輪郭曲線の形状データに基づいて、コンピューターを利用した数値制御手段により加工工具を移動させ、歯車素材又は歯車工具素材を加工するステップと、
    を含む歯車製造方法。
  3. 前記第一の分割線と前記第二の分割線とを隔てる前記一の分割線である隔分割線に対して、略平行な直線を、前記連結直線として描く請求項1又は請求項2に記載する歯車製造方法。
  4. 前記連第一の円の曲率半径が前記第二の円の曲率半径よりも大きい請求項1乃至請求項3のいずれかに記載する歯車製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載する歯車製造方法によって製造した歯車。
  6. 請求項3に記載する歯車製造方法によって製造した歯車であり、該歯車を噛合わせて構成した歯車機構において、一の該歯車の連結直線が他の該歯車の歯形と接触することにより、該接触部の圧力角が略0度になる歯車。
  7. 請求項4に記載する歯車製造方法によって製造した歯車であり、該歯車を噛合わせて構成した歯車機構において、一の該歯車の連結直線が他の該歯車の歯形と接触することにより、該接触部の圧力角が0度になる歯車。
  8. ピッチ曲線の形状及び寸法並びに歯数に基づいて歯車輪郭曲線を形成するためにコンピューターを、
    前記ピッチ曲線を描く手段、
    前記ピッチ曲線を前記歯数の4倍の分割数に等分割して、該ピッチ曲線上の複数の分割点及び該ピッチ曲線の中心点を通る複数の分割線を形成する手段、
    第一の分割線上であって前記ピッチ曲線の内側に中心点を有し、前記分割点間距離と略同一長さの半径を有する第一の円を描く手段、
    前記第一の分割線から一つの分割線を隔てた第二の分割線上であって前記ピッチ曲線の外側に中心点を有し、前記分割点間距離と略同一長さの半径を有する第二の円を描く手段、
    前記第一の円における前記ピッチ曲線内側付近を歯元とし、前記第二の円における前記ピッチ曲線外側付近を歯末とし、該歯元と該歯末とを連結直線によって連結して歯形を描く手段、
    前記歯形を前記ピッチ曲線のまわりに歯数だけ連結して歯車輪郭曲線を描く手段、
    前記歯車輪郭曲線の形状データをコンピューターのメモリに記憶する手段、
    として機能させる歯車製造用プログラム。
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