JP4378111B2 - インボリュートはすば歯車 - Google Patents

インボリュートはすば歯車 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インボリュートヘリコイドを歯面とするインボリュート歯車に関するものであり、特に、そのインボリュート歯車における各歯の強度を向上させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯車対は、一対の歯面を前後に有する歯が複数、歯底を有する歯溝を1個ずつ隔てて並んで形成された一対の歯車によって構成され、かつ、互いに対応する歯面同士においてかみ合うように構成される。さらに、それら歯面同士が互いに接触する接触点が、それら一対の歯車がかみ合って運動するにつれて各歯面上において軌跡を描く。この軌跡が接触点軌跡である。
【0003】
本発明者は、この接触点軌跡に関して研究を重ね、その結果、次のような知見を得た。
【0004】
すなわち、歯車対における各歯車が平歯車である場合には、それの接触点軌跡が各平歯車の軸直角平面に沿って延びるのに対し、はすば歯車である場合には、それの接触点軌跡が、各はすば歯車の軸直角平面に対して交差する方向に延びるという知見を得たのである。
【0005】
さらに、本発明者は、インボリュート歯車において回転騒音を低減させる技術に関しても研究を行い、その結果、次のような技術を提案した。すなわち、歯車対の各歯面のうち接触点軌跡に沿って延びる中央領域においては、基準となるインボリュートヘリコイドを歯面としてそのまま残す一方、その両側領域においては、インボリュートヘリコイドを修整し、この領域を非歯当たり領域とするという技術を提案したのである。この提案技術は、本出願人に係る特許文献1に開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−53702号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
インボリュート歯車については、回転騒音を軽減したいという要望の他に、例えば、歯の強度を向上させたいという要望もある。
【0008】
このような事情を背景とし、本発明は、インボリュート歯車において、それの回転伝達機能を損なうことなく、それの歯の強度を向上させることを課題としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明によれば、上記の課題を解決するために、インボリュートヘリコイドとして形成された一対の歯面を前後に有する歯が複数、歯底を有する歯溝を1個ずつ隔てて並んで形成されるとともに、各歯面と相手歯車の歯面とが互いに接触する接触点がそれら一対の歯車がかみ合って運動するにつれて各歯面上において軌跡を描くインボリュートはすば歯車が提供される。
このはすば歯車においては、それの各歯面の全体領域が、前記接触点の軌跡を含んでそれに沿って延びる帯状の接触領域と、その接触領域の外側に位置する非接触領域とに仕切られ、前記接触領域は、インボリュートヘリコイドとして形成されるとともに、前記相手歯車の歯面に対する歯当たり面として機能し、前記非接触領域は、前記相手歯車の歯面に接触しない形状であって、前記全体領域がインボリュートヘリコイドとして形成された場合の基本歯面形状に対し、当該インボリュートはすば歯車における歯の強度が直接にまたは間接に向上するように変更された形状を与えられ、前記各歯における一対の歯面のうち、当該インボリュートはすば歯車の正方向運動時に前記相手歯車の歯面とかみ合う歯面上に描かれる接触点の軌跡と、逆方向運動時に前記相手歯車の歯面とかみ合う歯面上に描かれる接触点の軌跡とは、互いに立体交差する状態で、共に当該インボリュートはすば歯車の軸直角平面に対して交差する方向に延びており、前記各歯の歯先は、前記非接触領域のうち、各歯の歯幅方向における中央部において、当該はすば歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯先形状に対して欠落させられており、前記各歯溝における歯底は、前記非接触領域のうち、各歯溝の歯幅方向における中央部において、当該インボリュートはすば歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯底形状に対して隆起させられている。
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本明細書に記載の技術的特徴のいくつかおよびそれらの組合せのいくつかの理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴やそれらの組合せが以下の態様に限定されると解釈されるべきではない。
【0010】
(1) インボリュートヘリコイドとして形成された一対の歯面を前後に有する歯が複数、歯底を有する歯溝を1個ずつ隔てて並んで形成されるとともに、各歯面と相手歯車の歯面とが互いに接触する接触点がそれら一対の歯車がかみ合って運動するにつれて各歯面上において軌跡を描くインボリュート歯車であって、
それの各歯面の全体領域が、前記接触点の軌跡を含んでそれに沿って延びる帯状の接触領域と、その接触領域の外側に位置する非接触領域とに仕切られ、
前記接触領域は、インボリュートヘリコイドとして形成されるとともに、前記相手歯車の歯面に対する歯当たり面として機能し、
前記非接触領域は、前記相手歯車の歯面に接触しない形状であって、前記全体領域がインボリュートヘリコイドとして形成された場合の基本歯面形状に対し、当該インボリュート歯車における歯の強度が直接にまたは間接に向上するように変更された形状を与えられたインボリュート歯車。
【0011】
本発明者の研究によれば、かみ合って運動する(ここに「運動する」とは、回転運動のみならず直線運動を含む用語として使用する。)歯車間において荷重を伝達するために直接に寄与する部分は、各歯面の全体領域ではなく、それの一部である。具体的には、その全体領域のうち、接触点の軌跡を含んでそれに沿って延びる帯状の領域である。
【0012】
したがって、それ以外の領域、すなわち、その帯状の領域の外側に位置する領域は、相手歯車の歯面に接触しないことを条件に、かつ、歯の強度を向上させることを目的として、全体領域がインボリュートヘリコイドとして形成された場合の基本歯面形状に対して変更することが可能である。
【0013】
このような知見に基づき、本項に係るインボリュート歯車においては、各歯面の全体領域が、各歯面と相手歯車の各歯面とが互いに接触する接触点の軌跡を含んでそれに沿って延びる帯状の接触領域と、その接触領域の外側に位置する非接触領域とに仕切られている。
【0014】
接触領域は、インボリュートヘリコイドとして形成されるとともに、相手歯車の歯面に対する歯当たり面として機能する。これに対し、非接触領域は、相手歯車の歯面に接触しない形状であって、歯面の全体領域がインボリュートヘリコイドとして形成された場合の基本歯面形状に対し、当該インボリュート歯車における歯の強度が直接にまたは間接に向上するように変更された形状を与えられている。
【0015】
ここに、「歯の強度が直接に向上するように変更された形状」とは、例えば、歯車のうち、特定の形状が与えられた部位と、その形状の付与によって強度が向上する部位とが互いに一致するような特定の形状を意味する。このような形状の一例が、基本歯底形状から少なくとも局部的に隆起した形状である。
【0016】
これに対し、「歯の強度が間接に向上するように変更された形状」とは、例えば、歯車のうち、特定の形状が与えられた部位と、その形状の付与によって強度が向上する部位とが互いに一致しないが、特定の形状が与えられた第1部位にかみ合う別の第2部位の強度を向上させる特定の形状をその第2部位に与えることを可能にするために第1部位に与えられるような特定の形状を意味する。このような形状の一例が、基本歯先形状を局部的に欠落させ、その結果、その歯先が嵌り入る歯底の局部的な隆起を可能にする形状である。
【0017】
本項における「歯の強度が直接にまたは間接に向上するように変更された形状」は、例えば、歯先または歯底のもともとの形状を、歯面に沿った方向すなわち歯車の周方向ではなく径方向に変形させることによって取得することが可能である。
【0018】
(2) 前記変更された形状が、前記歯先と歯底との双方に与えられるとともに、それぞれに与えられた形状が互いに補完する(1)項に記載のインボリュート歯車。
【0019】
歯底の形状を改善することは、歯の強度を向上させるために重要なことである。一方、歯底の形状を変更することが必要である場合には、歯車同士の正常なかみ合い運動を確保するために、歯底に嵌り入る相手歯車の歯先の形状も一緒に変更することが必要となる。
【0020】
このような知見に基づき、本項に係るインボリュート歯車においては、基本歯面形状に対して変更された形状が、歯先と歯底との双方に与えられるとともに、それぞれに与えられた形状が互いに補完するようにされている。
【0021】
(3) 前記変更された形状が、前記歯先と歯底とについてそれぞれ、当該インボリュート歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯先形状と基本歯底形状とに対し、当該インボリュート歯車の半径方向に変更された形状を含む(2)項に記載のインボリュート歯車。
【0022】
歯底の位置を半径方向外向きに移動すれば、一般に、歯の曲げ強度が向上する。一方、そのような移動に伴い、歯先の位置を半径方向内向きに移動させることが、歯車同士の正常なかみ合い運動のために必要である。
【0023】
このような知見に基づき、本項に係るインボリュート歯車においては、基本歯面形状に対して変更された形状が、歯先と歯底とについてそれぞれ、当該インボリュート歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯先形状と基本歯底形状とに対し、当該インボリュート歯車の半径方向に変更された形状を含むものとされている。
【0024】
(4) 当該インボリュート歯車が、平歯車であり、
前記接触点の軌跡が、その平歯車の軸直角平面に沿って延びており、
前記各歯の歯先が、前記非接触領域のうち、各歯の歯幅方向の両側において、前記平歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯先形状に対して欠落させられており、
前記各歯溝における歯底が、前記非接触領域のうち、各歯溝の歯幅方向の両側において、前記平歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯底形状に対して隆起させられている(1)ないし(3)項のいずれかに記載のインボリュート歯車。
【0025】
このインボリュート歯車によれば、平歯車の歯底がそれの歯幅方向の両側においてその平歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯底形状に対して隆起させられ、その結果、歯元部分の強度が向上する。
【0026】
このような歯底の隆起は、その歯底に嵌り入る歯先のうち、相手歯車との間における回転伝達に影響しない非接触領域すなわち歯幅方向における両側の領域において当該インボリュート歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯先形状に対して欠落させられることによって可能となっている。
【0027】
したがって、このインボリュート歯車によれば、相手歯車との間における回転伝達機能を損なうことなく、歯の強度を向上させることが容易となる。
【0028】
さらに、このインボリュート歯車によれば、各歯をそれの歯先において軽量化することが容易となるため、回転慣性が小さいインボリュート歯車を製作することが容易となる。
【0029】
(5) 当該インボリュート歯車が、はすば歯車であり、
前記接触点の軌跡が、そのはすば歯車の軸直角平面に対して交差する方向に延びており、
前記各歯の歯先が、前記非接触領域のうち、各歯の歯幅方向の両側のうち前記接触点軌跡からより離れた一側において、前記はすば歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯先形状に対して欠落させられており、
前記各歯溝における歯底が、前記非接触領域のうち、各歯溝の歯幅方向の両側のうち前記接触点軌跡により近い一側において、前記はすば歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯底形状に対して隆起させられている(1)ないし(3)項のいずれかに記載のインボリュート歯車。
【0030】
このインボリュート歯車によれば、はすば歯車の歯底がそれの歯幅方向の一側においてそのはすば歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯底形状に対して隆起させられ、その結果、歯元部分の強度が向上する。
【0031】
このような歯底の隆起は、その歯底に嵌り入る歯先のうち、相手歯車との間における回転伝達に影響しない非接触領域すなわち歯幅方向の一側の領域において当該はすば歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯先形状に対して欠落させられることによって可能となっている。
【0032】
したがって、このインボリュート歯車によれば、相手歯車との間における回転伝達機能を損なうことなく、歯の強度を向上させることが容易となる。
【0033】
さらに、このインボリュート歯車によれば、各歯をそれの歯先において軽量化することが容易となるため、回転慣性が小さいインボリュート歯車を製作することが容易となる。
【0034】
(6) 当該インボリュート歯車が、はすば歯車であり、
前記各歯における一対の歯面のうち、そのはすば歯車の正方向運動時に前記相手歯車の歯面とかみ合う歯面上に描かれる接触点の軌跡と、逆方向運動時に前記相手歯車の歯面とかみ合う歯面上に描かれる接触点の軌跡とが、互いに立体交差する状態で、共に前記はすば歯車の軸直角平面に対して交差する方向に延びており、
前記各歯の歯先が、前記非接触領域のうち、各歯の歯幅方向における中央部において、前記はすば歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯先形状に対して欠落させられており、
前記各歯溝における歯底が、前記非接触領域のうち、各歯溝の歯幅方向における中央部において、前記はすば歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯底形状に対して隆起させられている(1)ないし(3)項のいずれかに記載のインボリュート歯車。
【0035】
いずれの種類の歯車においても、正方向運動時には、同じ歯を共有する一対の歯面の一方に接触点軌跡が描かれ、逆方向運動時には、他方の歯面に接触点軌跡が描かれる。ここに「運動」は、回転運動と直線運動との双方を包含する。
【0036】
平歯車である場合には、それの各歯を軸直角方向から見ると、平歯車の正方向運動時に一方の歯面に描かれる接触点軌跡と、逆方向運動時に他方の歯面に描かれる接触点軌跡とが互いに立体的に重なり合う。一方、各歯の非接触領域において歯先を局部的に欠落させると、その影響は一対の歯面の双方に及ぶ。しかし、平歯車である場合には、それの各歯面を軸直角方向から見ると、正方向運動時と逆方向運動時とで、一方の歯面上の非接触領域と他方の非接触領域とが互いに立体的に重なり合う。
【0037】
したがって、平歯車である場合には、正方向運動時における接触点軌跡および非接触領域のみを考慮して歯先の欠落位置および歯底の隆起位置を決定することは、逆方向運動時における接触点軌跡および非接触領域をも考慮して歯先の欠落位置および歯底の隆起位置を決定することに等しい。
【0038】
これに対し、はすば歯車である場合には、それの各歯を軸直角方向から見ると、はすば歯車の正方向運動時に一方の歯面に描かれる接触点軌跡と、逆方向運動時に他方の歯面に描かれる接触点軌跡とが互いに立体交差する。それと同様に、はすば歯車である場合には、さらに、それの各歯面を軸直角方向から見ると、正方向運動時と逆方向運動時とで、一方の歯面上の非接触領域と他方の非接触領域とが互いに立体交差する。
【0039】
したがって、はすば歯車である場合には、正方向運動時における接触点軌跡および非接触領域と、逆方向運動時における接触点軌跡および非接触領域との双方を考慮しなければ、歯先の欠落位置および歯底の隆起位置を適正に決定することはできない。
【0040】
一方、はすば歯車である場合には、歯先のうち歯幅方向における中央部および歯底のうち歯幅方向における中央部は、いずれの方向の回転時においても、非接触領域に属する。
【0041】
以上説明した知見に基づき、本項に係るインボリュート歯車においては、歯先が、それの歯幅方向における中央部において基本歯先形状に対して欠落させられるとともに、歯底が、それの歯幅方向における中央部において基本歯底形状に対して隆起させられている。
【0042】
したがって、このインボリュート歯車によれば、回転方向の如何を問わず、相手歯車との間における回転伝達機能を損なうことなく、歯の強度を向上させることが容易となる。
【0043】
さらに、このインボリュート歯車によれば、各歯をそれの歯先において軽量化することが容易となるため、回転慣性が小さいインボリュート歯車を製作することが容易となる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0045】
図1には、本発明の第1実施形態に従うインボリュート平歯車10が部分的に斜視図で示されている。このインボリュート平歯車10においては、複数の歯12が歯溝14を1個ずつ隔てて一円周に沿って並んで形成されている。図1には、それら複数の歯12のうちの1個およびそれを前後から挟む2個の歯溝14が拡大して示されている。
【0046】
各歯12には、それの前後に、インボリュートヘリコイドとして定義された一対の歯面20,22が形成されている。さらに、各歯12には、図示しない相手歯車の歯底に嵌り入る歯先30が形成されている。一方、各歯溝14には、相手歯車の歯先が嵌り入る歯底32が形成されている。
【0047】
図2には、このインボリュート平歯車10の要部が、それの回転軸線を含む一平面であってある歯底32を通過するものによって切断した場合の断面図で示されている。このインボリュート平歯車10においては、図示しない相手歯車とのかみ合い回転(これが「かみ合い運動」の一例である。)中、その相手歯車の歯面との接触点が各歯面20,22上を、各歯面20,22の歯幅方向における中央部を通過する一軸直角平面に沿って移動する。
【0048】
各歯面20,22とその一軸直角平面との交線が接触点軌跡を表している。正確には、このインボリュート平歯車10の正方向回転時には、各歯12の一側における歯面20に接触点軌跡が描かれるのに対し、逆方向回転時には、各歯12の他側における歯面22に接触点軌跡が描かれる。それら接触点軌跡は、各歯12を軸直角方向から見ると、立体的に重なり合う。
【0049】
図2に示すように、各歯面20,22上においては、それぞれの接触点軌跡を含んでそれに沿って延びる帯状の接触領域が設定されている。この接触領域は、インボリュートヘリコイドとして定義されており、相手歯車の歯面に対する歯当たり面として機能する。したがって、この接触領域を介することにより、このインボリュート平歯車10と相手歯車との間における力の伝達が行われることになるのである。
【0050】
図2に示すように、各歯面20,22上においては、さらに、その接触領域の外側において一対の非接触領域が設定されている。
【0051】
そして、本実施形態においては、各歯12の歯先30が、それの歯幅方向の両側において、このインボリュート平歯車10と同心の円筒面上に位置する基本歯先形状に対して欠落させられている。本実施形態においては、歯先30が、このインボリュート平歯車10の回転軸線を含む平面によって切断された場合の断面形状に関し、半径方向外向きに丸く突き出る凸面形状を与えられている。
【0052】
図2に示すように、歯底32は、それの歯幅方向の両側において、このインボリュート平歯車10と同心の円筒面上に位置する基本歯底形状に対して隆起させられている。本実施形態においては、歯底32が、このインボリュート平歯車10の回転軸線を含む平面によって切断された場合の断面形状に関し、半径方向内向きに丸く陥没する凹面形状を与えられている。この凹面形状は、上記凸面形状を補完するように選定されている。
【0053】
このように、本実施形態においては、歯底32が基本歯底形状から隆起した部分を有することから、このインボリュート平歯車10における各歯の強度(例えば、曲げ強度)を向上させることが容易である。
【0054】
さらに、本実施形態においては、歯先30が基本歯先形状から欠落した部分を有することから、このインボリュート平歯車10の回転慣性を軽減することが容易である。
【0055】
次に、本発明の第2実施形態に従うインボリュートはすば歯車を説明する。
【0056】
図3に示すように、このインボリュートはすば歯車50においては、インボリュート平歯車10と同様に、前後に一対の歯面60,62と歯先64とを有する歯66が複数、歯底70を有する歯溝を1個ずつ隔てて一円周に沿って並んで配置されている。図3には、このインボリュートはすば歯車50の要部が、図2と同様な作図法により、それの回転軸線を含む一平面であってある歯底70を通過するものによって切断した場合の断面図で示されている。
【0057】
このインボリュートはすば歯車50は、一方向にのみ回転する状態で使用される。そのため、このインボリュートはすば歯車50においては、インボリュート平歯車10とは異なり、図示しない相手歯車とのかみ合い回転中、その相手歯車の歯面との接触点が一方の歯面60上を、軸直角平面に対して交差する一方向に沿って移動する。このように、このインボリュートはすば歯車50においては、各歯66における一対の歯面60,62のうち歯面60のみがかみ合い歯面であって、他方の歯面62は非かみ合い歯面であるため、歯面60のみに接触点軌跡が描かれることとなるのである。
【0058】
図3に示すように、歯面60上においては、それの接触点軌跡を含んでそれに沿って延びる帯状の接触領域が設定されている。この接触領域は、インボリュートヘリコイドとして定義されており、相手歯車の歯面に対する歯当たり面として機能する。したがって、この接触領域を介することにより、このインボリュートはすば歯車50と相手歯車との間における力の伝達が行われることになるのである。
【0059】
図3に示すように、歯面60上においては、さらに、その接触領域の外側において一対の非接触領域が設定されている。
【0060】
そして、本実施形態においては、各歯66の歯先64が、各歯66の歯幅方向の両側のうち接触点軌跡からより離れた一側において、このインボリュートはすば歯車50と同心の円筒面上に位置する基本歯先形状に対して欠落させられている。本実施形態においては、歯先64が、それの歯幅方向における両端部のうち、歯先64と接触領域との交点から遠い端部において、接触点軌跡に対して概して平行な面によって切除されている。
【0061】
図3に示すように、歯底70は、接触点軌跡に沿って延びるように、このインボリュートはすば歯車50と同心の円筒面上に位置する基本歯底形状に対して隆起させられている。本実施形態においては、歯底70が、接触領域と内周側の非接触領域とを互いに仕切る境界線の近傍まで隆起させられている。
【0062】
このように、本実施形態においては、歯底70が基本歯底形状から隆起した部分を有することから、このインボリュートはすば歯車50における各歯の強度を向上させることが容易である。
【0063】
さらに、本実施形態においては、歯先64が基本歯先形状から欠落した部分を有することから、このインボリュートはすば歯車50の回転慣性を軽減することが容易である。
【0064】
次に、本発明の第3実施形態に従うインボリュートはすば歯車を説明する。
【0065】
図4に示すように、このインボリュートはすば歯車100においては、インボリュートはすば歯車50と同様に、前後に一対の歯面110,112と歯先114とを有する歯116が複数、歯底120を有する歯溝を1個ずつ隔てて一円周に沿って並んで配置されている。図4には、このインボリュートはすば歯車100の要部が、図3と同様な作図法により、それの回転軸線を含む一平面であってある歯底120を通過するものによって切断した場合の断面図で示されている。
【0066】
このインボリュートはすば歯車100は、相手歯車とのかみ合い回転が正逆両方向に行われる状態で使用される。そのため、第2実施形態とは異なり、歯先114および歯底120の形状が、回転方向の如何を問わず、このインボリュートはすば歯車100の回転伝達機能を損なうことなく歯116の強度を向上させるのに適した形状とされている。
【0067】
具体的には、正方向回転時には、インボリュートはすば歯車100と相手歯車との歯面同士の接触点が図4において見える歯面110上を、軸直角平面に対して交差する一方向に沿って移動する。
【0068】
これに対し、逆方向回転時には、接触点が図4において見えない歯面112上を、上記方向と交差する方向に沿って移動する。
【0069】
図4に示すように、各歯面110,112上においては、それぞれの接触点軌跡を含んでそれに沿って延びる帯状の接触領域が設定されている。この接触領域は、インボリュートヘリコイドとして定義されており、相手歯車の歯面に対する歯当たり面として機能する。したがって、この接触領域を介することにより、このインボリュートはすば歯車100と相手歯車との間における力の伝達が、回転方向の如何を問わず、行われることになるのである。
【0070】
図4に示すように、各歯面110,112上においては、さらに、それぞれの接触領域の外側において一対の非接触領域が設定されている。
【0071】
そして、本実施形態においては、各歯116の歯先114が、各歯116の歯幅方向における中央部において、このインボリュートはすば歯車100と同心の円筒面上に位置する基本歯先形状に対して欠落させられている。この欠落位置は、いずれの方向の回転時にも、接触領域に該当しない位置に設定されている。すなわち、歯面110の非接触領域および歯面112の非接触領域のうち、正方向回転時と逆方向回転時とで共通の領域(互いに立体的に重なり合う領域)に設定されているのである。
【0072】
具体的には、本実施形態においては、歯先114が、このインボリュートはすば歯車100の回転軸線を含む平面によって切断された場合の断面形状に関し、それの歯幅方向における中央部において半径方向内向きに凹む凹面形状を与えられている。
【0073】
さらに、歯底120が、それの歯幅方向における中央部において、このインボリュートはすば歯車100と同心の円筒面上に位置する基本歯底形状に対して隆起させられている。この隆起部は、このインボリュートはすば歯車100の回転軸線を含む平面によって切断された場合の断面形状に関し、それの歯幅方向における中央部において半径方向外向きに突出する凸面形状を与えられている。この凸面形状は、上記凹面形状を補完するように選定されている。
【0074】
このように、本実施形態においては、歯底120が基本歯底形状から隆起した部分を有することから、このインボリュートはすば歯車100における各歯の強度を向上させることが容易である。
【0075】
さらに、本実施形態においては、歯先120が基本歯先形状から欠落した部分を有することから、このインボリュートはすば歯車100の回転慣性を軽減することが容易である。
【0076】
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[課題を解決するための手段および発明の効果]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に従うインボリュート平歯車10の要部を示す斜視図である。
【図2】図1におけるインボリュート平歯車10における1個の歯12を軸直角方向から見た部分断面正面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に従うインボリュートはすば歯車50における1個の歯66を軸直角方向から見た部分断面正面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に従うインボリュートはすば歯車100における1個の歯116を軸直角方向から見た部分断面正面図である。
【符号の説明】
10 インボリュート平歯車
12,66,116 歯
20,22,60,62,110,112 歯面
30,64,114 歯先
32,70,120 歯底
50,100 インボリュートはすば歯車

Claims (1)

  1. インボリュートヘリコイドとして形成された一対の歯面を前後に有する歯が複数、歯底を有する歯溝を1個ずつ隔てて並んで形成されるとともに、各歯面と相手歯車の歯面とが互いに接触する接触点がそれら一対の歯車がかみ合って運動するにつれて各歯面上において軌跡を描くインボリュートはすば歯車であって、
    それの各歯面の全体領域、前記接触点の軌跡を含んでそれに沿って延びる帯状の接触領域と、その接触領域の外側に位置する非接触領域とに仕切られ、
    前記接触領域は、インボリュートヘリコイドとして形成されるとともに、前記相手歯車の歯面に対する歯当たり面として機能し、
    前記非接触領域は、前記相手歯車の歯面に接触しない形状であって、前記全体領域がインボリュートヘリコイドとして形成された場合の基本歯面形状に対し、当該インボリュートはすば歯車における歯の強度が直接にまたは間接に向上するように変更された形状を与えられ
    前記各歯における一対の歯面のうち、当該インボリュートはすば歯車の正方向運動時に前記相手歯車の歯面とかみ合う歯面上に描かれる接触点の軌跡と、逆方向運動時に前記相手歯車の歯面とかみ合う歯面上に描かれる接触点の軌跡とは、互いに立体交差する状態で、共に当該インボリュートはすば歯車の軸直角平面に対して交差する方向に延びており、
    前記各歯の歯先は、前記非接触領域のうち、各歯の歯幅方向における中央部において、当該インボリュートはすば歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯先形状に対して欠落させられており、
    前記各歯溝における歯底は、前記非接触領域のうち、各歯溝の歯幅方向における中央部において、当該インボリュートはすば歯車と同心の円筒面上に位置する基本歯底形状に対して隆起させられているインボリュートはすば歯車。
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