JP4796036B2 - トロコイド型ポンプの製造法及びそのトロコイド型ポンプ - Google Patents

トロコイド型ポンプの製造法及びそのトロコイド型ポンプ Download PDF

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Description

本発明は、トロコイド型ポンプのインナーロータを応用することで理論的にも不可能であったクレセントを備えたポンプを製造できるという画期的なトロコイド型ポンプの製造法及びそのトロコイド型ポンプに関する。
従来より、車両用のオイルポンプとして、ロータの歯形にトロコイド形状を使用したいわゆるトロコイド型ポンプや、インナーロータとアウターロータの間にクレセントと呼ばれる三日月形状の部材が配置されたいわゆるクレセントポンプが多用されている。
トロコイド型ポンプとはトロコイド曲線を有したインナーロータとアウターロータの歯数差が1枚であり、それぞれが回転することにより歯間空間(セル)が拡大したり縮小したりすることでオイルを吸入したり吐出したりするものである。このトロコイド型ポンプの特徴としては高吐出流量、低騒音、高効率などがある。
但し、トロコイド型ポンプの課題点として各セル間を区画する箇所がインナーロータとアウターロータの歯面(凸)と歯面(凸)が接する1つの線、いわゆる凸と凸との線接触であるため、圧力が隣のセルに逃げやすいという点が挙げられる。しかも吸入ポートと吐出ポートの距離が1歯分しか離れていないため圧力が逃げやすく、トロコイド型ポンプでは吐出圧をそれほど高くできないという課題が存在している。
ここで、トロコイド型ポンプの具体的な特徴を簡単に述べると、(イ)トロコイド歯形のインナーロータ(トロコイド曲線)の歯形に対して、アウターロータの歯形が、それぞれ内外の歯相互が一部で線接触しつつ滑らずに転がる状態を保持し、且つ(ロ)アウターロータの歯数が1歯のみ多く形成され、(ハ)吐出圧をそれほど高くできないポンプである。さらに、簡単に述べると、内外の歯形相互が離れず且つ滑らずに転がる構成のポンプである。
一方、クレセントポンプとはインナーロータの歯先とアウターロータの歯先の間にクレセントと呼ばれる三日月形状の部材が配置された内接歯車ポンプである。インナーロータとアウターロータの歯数差は2枚以上であり、歯形形状としてはインボリュート曲線が使われることが多い。このクレセントポンプの特徴としては歯と歯のシール性(密封性)が高い点が挙げられる。トロコイド型ポンプでは凸(歯面)と凸(歯面)の線接触なのに対して、クレセントは面(クレセント)と凸(歯面)の線接触がクレセントの長さ分(数歯分)だけ連続に存在するからである。そのため吐出圧をトロコイド型ポンプより高くすることができる。
ところで、ある決まったインナーロータ歯形に対して、歯形が滑らず、且つ円滑に回転できるアウターロータの径は歯数差により、ほぼ一義的に決まってしまうものである。さらに、前述したように、クレセントポンプには、歯と歯のシール性(密着性)が高い構成である。これを逆に考えると、歯と歯の接触箇所が多いため、ロータを回転させたときの摺動抵抗が高いことを意味する。また、クレセントポンプはインナーロータとの歯数差が2枚差以上のアウターロータとなることから、アウターロータ外径及びアウターロータ歯先径が共に大きくなる。これはクレセントであるからアウターロータの径が大きくなるという訳では無く、インナーロータに対してアウターロータの歯数差が2枚差以上多くなるため、必然的にある決まった量径が大きくなるということである。これによりアウターロータのサイド(横)面及び外周面の摺動面の面積が増加し、更に径が大きくなることにより周速も増すため、摺動抵抗は高いものとなる。
またアウターロータ歯先とクレセント部材との摺動により、通常のトロコイド型ポンプと異なり、凸(歯先)と面(クレセント)との摺動のため、摺動抵抗が大きく、更にクレセントの厚さ分アウターロータ歯先径の径も大きくなるため、周速が増加し、摺動抵抗が増加する。つまり、アウターロータの歯数がインナーロータより2枚以上多いので、インナーロータとアウターロータの歯と歯の間に隙間が出来るほどアウターロータ径は大きくなって形成されており、その隙間があるとオイルを流せないため、その隙間にクレセントが配置されている。また、通常の歯数差が1枚差のアウターロータ径よりも径が大きいアウターロータと、通常のトロコイド型ポンプには存在しないクレセントという2つの要因によって、クレセントポンプは摺動抵抗が大きいものとなっていた。以上より、摺動抵抗により回転にブレーキが掛かった状態となり、効率は低いものとなっていた。
このクレセントポンプにも、次のような課題が存在する。つまりインボリュート曲線のような非トロコイド曲線を歯形に使用せざるを得ないため、低吐出流量、高騒音、低効率になってしまうということである。このように、クレセントポンプの具体的な特徴を簡単に述べると、(イ)アウターロータの歯数がインナーロータより2枚以上多く、(ロ)インナーロータとクレセント、クレセントとアウターロータは滑り接触しており、(ハ)高吐出圧、低吐出流量、高騒音、低効率になるという構成のポンプである。
ところで、これまではトロコイド型ポンプの形態としてインナーロータとアウターロータの歯数差が1枚で歯間空間(セル)を形成するものであるという既成概念があった。このため、インナーロータとアウターロータの歯数差が2枚以上あるトロコイド型ポンプという概念は存在しなかった。
その理由としては、トロコイド型ポンプを形成するトロコイド歯形のインナーロータに対しては歯数差が1枚のアウターロータが一般的であり、その歯数差が1枚のアウターロータの形成方法についても、引用文献2に示すように、確立されている。トロコイド型ポンプとして見たときトロコイド歯形のインナーロータに対して歯数差が2枚以上の円滑な噛み合いを有するアウターロータについては具体的な(公知)技術文献も無く、未知の領域であり、形成すること自体が困難なことと考えられる。その点を特許文献調査をした。
特許文献1の第2頁上段の左欄の下第2行目から同頁上段の右欄の第1行目に、「・・同様のクレセント5を使用することができれば対策をこうじたことになって好ましいが、従来の上記形状のローターでは不可能である。」と記載されている。つまり、トロコイド型ポンプにクレセントを使用することは不可能であるとの開示がある。さらに、特許文献1の図面では、インナーロータとアウターロータの間に三日月形状のクレセントを配置しているものの、トロコイド形状をしているのは、インナーロータの歯面の一部であり、残りの歯面の大部分は円弧で代用されている。
ここでトロコイド形状について考察してみる。トロコイド形状とは2つの円が接した状態で、なおかつ滑らずに転がることによって生成される曲線である。そのため、インナーロータとアウターロータも全ての歯が接した状態で、なおかつ滑らずに回転している。それに対して非トロコイド形状のインボリュート曲線などは歯面と歯面が滑りながら回転するため、同じような回転に見えてもその動作は大きく異なっている。
さらに、トロコイド形状のインナーロータとアウターロータの全ての歯が接しつつ、なおかつ滑らずに回転するとき、歯数差は1枚差のみとなる。この理由も詳述する。まず円滑に回転するためにはインナーロータとアウターロータの凸と凹の歯形形状は略同じである。インナーロータとアウターロータの歯形形状が大きく異なっていると、うまく噛み合わない。つまり歯形形状が略同じで滑らずに転がるため、インナーロータの1歯分の歯面の転がる道のりとアウターロータの1歯分の歯面の転がる道のりはだいたい同じにならざるを得ない。
1歯分の歯面の転がる道のりがインナーロータとアウターロータで、だいたい同じである以上、アウターロータの方がインナーロータより外側にあることから、歯数はアウターロータの方が多くなる。また、歯数差が2枚以上になった状態で円滑に回転するためには、アウターロータとインナーロータ間に隙間が生じるほどアウターロータを大きくする必要がある。なぜなら歯形が決まってしまうと1歯分の歯面の転がる道のりが決まってしまい、ロータの歯数は自然数であるから、ロータ歯面の円周方向長さが自ずと決まってしまうため、歯形と歯の枚数が決まるとロータ径にも殆ど自由度がない。
以上より、歯形と歯の枚数が決まるとロータ径は殆ど調整が効かないため、歯数差を2枚設けた時点でインナーロータとアウターロータの間にはどうしても大きな隙間が生ずることになる。更に枚数差が増えるほど、アウターロータとインナーロータの隙間は大きくなっていく。但し、インナーロータとアウターロータの歯面と歯面の間に隙間が生じた時点で先に述べた数学的な意味での滑らずに転がるというトロコイド形状のインナーロータとアウターロータではなくなってしまうため、トロコイド形状を有したインナーロータとアウターロータの歯数差は1枚ということになる。以上が先行技術(特許文献など)において、トロコイド形状を有したインナーロータと円滑に噛み合うアウターロータでは、歯数差が1枚で、かつインナーロータとアウターロータの歯面間に隙間が無いポンプしか存在しなかった理由である。
特開昭59−131787号 特公平2−62715号
特許文献1及び2では、トロコイド型ポンプは歯数差が1枚で、インナーロータとアウターロータの歯面間に隙間が無かったため、インナーロータとアウターロータの歯面と歯面の間に入れるクレセント(三日月状部材)を配置する思想はなかったものである。
以上の技術的背景から、トロコイド型ポンプとクレセントポンプのお互いの長所を伸ばし、短所を打ち消しあう理想のポンプを開発すること、つまり、トロコイド型ポンプによる円滑なる回転を維持すると共に、吐出圧を高めるクレセント構造を取得できるように開発することを技術的課題(目的)とする。また、アウターロータを小型化することで低摺動抵抗化すなわち高効率化を求めるものである。
詳述すると、トロコイド形状のインナーロータとそれと円滑に噛み合い回転するアウターロータと、トロコイド形状のインナーロータとそれと円滑に噛み合い回転するアウターロータの間に配置された略三日月形状のクレセントを有し、トロコイド形状のインナーロータとそれと円滑に噛み合い回転するアウターロータの歯数差を最低でも2枚以上とするトロコイド型オイルポンプを実現させることを課題とするものである。つまり、本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的等)は、特許文献1及び2の組み合わせでは、製造することができなかったクレセントが挿入されたトロコイド歯形を有したポンプという新たな概念のポンプを提供することにある。それにより、クレセントとトロコイドの長所を併せ持った高吐出流量、低騒音、高効率、高吐出圧のポンプを提供する。
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、インナーロータの歯数を4枚以上の所定数Nとして、所定半径の描画円によるトロコイド歯形としてのインナーロータ歯形を有する前記インナーロータを予め成形しておき、該インナーロータは、基礎円に対して、適宜の偏心量を有する転がり円により作られるトロコイド曲線に基づき、所定半径の前記描画円から作られる前記インナーロータ歯形としてなり、アウターロータ歯数を(N+2以上の自然数)の所定数を製造するのに、前記描画円より僅かに小径の円又は円形に近い楕円の列円を前記インナーロータ歯形の歯底に接するように配置し、前記インナーロータ歯形をインナーロータ中心を中心として半歯分を回転させると共に、前記列円を含むアウターロータの適宜な仮想中心を中心として、前記(N+2以上の自然数)の所定数歯の半歯分を回転させ、このときに、前記列円が前記インナーロータ歯形の歯底又は歯先箇所に食い込んだりせず、或いは離れたりしないで、接する状態となったときの前記仮想中心から、或いは接する状態となったときの隣接する前記列円間の間隔から数式にて確定中心を決定し、該確定中心から前記列円までの半径で、合計(N+2以上の自然数)の所定数を等間隔となる前記列円を有する基準円を描いて、前記列円をアウターロータ歯先として形成し、アウターロータ歯形を製造することを特徴とするクレセントを備えたトロコイド型ポンプの製造法としたことにより、前記課題を解決した。
請求項2の発明を、前述の構成において、半歯分回転工程を逆にして、前記列円を含むアウターロータの適宜な仮想中心を中心とさせつつ前記列円が前記インナーロータ歯形の歯底又は歯先箇所に接する状態となったときから、前記インナーロータ歯形を前記インナーロータ中心を中心として半歯分を回転させると共に、前記仮想中心を中心として、前記(N+2以上の自然数)の所定数歯の半歯分を回転させ、前記列円を前記インナーロータ歯形の歯底に接するように配置して前記仮想中心を確定中心として決定することを特徴とするトロコイド型ポンプの製造法としたことにより、前記課題を解決した。また、請求項3の発明を、前述の構成において、前記合計(N+2以上の自然数)の所定数を等間隔となる前記列円を有する基準円を描いた後に、前記確定中心より前記インナーロータの歯先端に近い又は歯先先端箇所にアウターロータ歯底となる適宜な円を描いて前記アウターロータ歯底を形成し、アウターロータ歯形を製造することを特徴とするトロコイド型ポンプの製造法としたことにより、前記課題を解決した。
請求項4の発明を、前述の構成において、前記アウターロータ歯数を(N+2)又は(N+3)として製造するのに、前記インナーロータ歯形を前記インナーロータ中心を中心として半歯分を回転させると共に、前記列円を含む前記アウターロータの適宜な仮想中心を中心として、前記(N+2)又は(N+3)の歯数における半歯分を回転させて、アウターロータ歯形を製造することを特徴とするトロコイド型ポンプの製造法としたことにより、前記課題を解決した。また、請求項5の発明を、前述の構成において、そのトロコイド型ポンプの製造法から製造されてなることを特徴とするトロコイド型ポンプとしたことにより、前記課題を解決したものである。
請求項1の発明においては、トロコイド型ポンプと、クレセントを有したポンプとは設計思想が異なり、その両者間をつなげることは実現できていなかった。つまり、従来のトロコイド形状を有したロータの設計方法ではインナーロータの全ての歯先とアウターロータの全ての歯先が理論上は接しつつ、理論上滑らずに転がる必要があった。また、インナーロータとアウターロータの歯面の間に大きな隙間を設けた歯数差が2枚以上のトロコイド形状を有したロータは設計できなかった。本発明によりインナーロータとアウターロータの間に隙間の有る歯数差が2枚以上のトロコイド型ポンプができたものであり、三日月形状のクレセントを有するタイプのポンプにほぼ完全にトロコイド形状を有したインナーロータを適用して、アウターロータのアウター歯形を製造設計することができる。この発明により、クレセントとトロコイドの特徴を併せ持つ、高吐出流量、低騒音、高効率、高吐出圧なポンプでありながら、通常のクレセントポンプのようにインボリュート歯形等を使用せず、トロコイド歯形を使用するため、歯面摩耗を抑制した高耐久ポンプを提供できる。
さらに、請求項1の発明においては、アウターロータ外径及びアウターロータ歯先径が共に従来のインナーロータを作図するのに使用した描画円cより作図したアウターロータ2(図8及び9の点線参照)より小さくなるため、摺動面積と周速を低減できて、アウターロータ2の摺動抵抗を低く抑えることが可能となる。摺動抵抗を低く抑えることが可能となったことで、フリクションが低下し、よって効率の更なる向上を図ることが可能となった。すなわち、クレセントポンプの課題だった、高摺動抵抗による低効率をアウターロータの歯形形状を小円もしくは楕円にすることで、解決することができる。
なお、クレセント&インボリュート歯形などでは複数枚差の歯車は広く使われている。但し、インボリュート歯形などでは歯面と歯面の滑りが大きいため、歯面の摩耗が促進され、耐久性は低いものとなっていた。本発明により、トロコイド歯形を使用することで、歯面と歯面の滑りを極微量に抑制することができるため、耐久性が高いものとなる。また歯間空間(セル)を区画するシール性(密封性)が高められるので、ポンプ性能を向上させることができる。請求項2の発明では、請求項1の発明と同様の効果を奏する。請求項3の発明では、アウターロータ歯底径をインナーロータ歯先端を基準として、所望のクリアランスで定めることができる。請求項4の発明では、本発明は歯数差が何枚差でも同じ方法で設計できるものであるが、特に、使用頻度の高い、歯数差が2枚差、3枚差ある場合にも良好に対応できる。請求項5の発明では、優れた製造法によって製造されたトロコイド型ポンプであるため、クレセントを有したポンプ性能を向上させることができる。
以下、本発明のクレセントを用いたトロコイド型ポンプの製造法の実施形態について図面に基づいて説明する。まず、インナーロータ1自体は通常のトロコイド歯形であり、設計方法も通常のトロコイド歯形を求める方法と同一である。この点は、従来技術であるが、そのインナーロータ1を基準にしてアウターロータ2を製造するため、簡単に、インナーロータ1の製造法、すなわち、インナーロータ1のトロコイド歯形を求める方法を説明しておく。
インナーロータ1は、図11に示すように、基礎円a(半径OA)に対して、適宜の偏心量eを有する転がり円b(半径OB)によるトロコイド曲線Tに基づき、所定半径の描画円c(半径OC)によるインナーロータ歯形10として形成されている。つまり、インナーロータ1は、トロコイド曲線Tによるインナーロータ歯形10を有している。アウターロータ2の歯先歯形にはインナーロータ1の描画円(インナーロータ歯底形状)cより僅かに小径の円又は円形に近い楕円等の列円15を使用する。これはアウターロータ2の歯形に描画円cを使用しないが、該描画円cと約1%乃至約3%の形状の相違があっても、円滑に両ロータを回転できる。つまり、アウターロータ2を製造するときの列円15は、前記インナーロータ1を製造するときの描画円cに近似しているが同一ではない。
さらに詳述すると、アウターロータ2の歯形を、インナーロータ1を設計したときに使用した描画円cを使用せずに、代わりにアウターロータの歯形形状として、
(ア)インナーロータ1を設計したときに使用した描画円cより、僅かに小径の「円」であること。
(イ)インナーロータ1を設計したときに使用した描画円cより、短軸が描画円cより小さい「楕円」で、且つ長軸が軸方向(基準円の直径方向)、短軸が周方向としたもの。つまり、楕円の短軸は描画円より小さいが、楕円の長軸については特に指定は無い。また、楕円といっても円形に近似している。この(ア)又は(イ)の2つのパターンを使用する。この(ア)又は(イ)の条件を満足した図形を「小径の円又は円形に近い楕円等の列円15」という。
ところで、アウターロータ2の歯先の歯形にインナーロータ1を設計したときの描画円cを使用しないため、厳密に見るとインナーロータ1とアウターロータ2の歯形形状は異なるものであるが、前記描画円cとは約1%から3,4%減少のために、実用上は大きく歯形形状は変わらず、ほぼ同一形状であると言える。このため、インナーロータ1の歯形の形状とアウターロータ歯形20の形状がほぼ同一形状であるため、ロータは円滑に回転することが可能である。アウターロータ設計するときに、数十μm程度であるインナーロータ1とアウターロータ2の歯面間距離(チップクリアランス)が設計上ゼロ以下にならないように小円寸法若しくは楕円寸法を設定、修正することが必要である。
このような前提を基に、トロコイド歯形のインナーロータ1から2枚差以上で円滑に噛み合う、クレセント3を備えた本発明のアウターロータ2の設計方法について述べる。歯数差が1枚差では、通常のトロコイド形ポンプそのものであり、本発明では2枚差以上で、特に、インナーロータ1のインナーロータ歯形10と、アウターロータ2のアウター歯形20との隙間(空隙)Sが多く開き、そこにクレセント3が装填できるように構成されるものである。さらに、本件発明は、アウターロータ2の外径及びアウターロータ2の歯先径をより小さくできるアウターロータ2の設計方法について述べる。
さらに、その前提を説明しておく。一般に、描画円cと同一の円を列円として製造(設計)したのが、図3(A)及び(B)のそれぞれ点線位置の図であり、その描画円cの基準円50が描かれ、所定の大きさの描画円cが等間隔に8等分されている。これは、原則として変更不能であることから、少しでも、小型化することで、摺動抵抗化を求めるものである。このために、前述したように、描画円cを使用せずに、「小径の円又は円形に近い楕円等の列円15」を使用するという発想に基づくものである。そこで、描画円cを使用しつつ、列円15による製造(設計)手順を説明する。
<本発明の第1実施形態:インナーロータ歯数6枚、アウターロータ歯数8枚の製造(設計)手順>
第1実施形態は、インナーロータの歯数を6枚(前述で説明した通り)とし、2枚差で円滑に噛み合う歯数8枚のアウターロータの設計方法について、図1及び2、図5から図10で述べる。
初めに列円個数(アウターロータ歯数)を8枚と設定する(S11:図5フローチャート参照)。まず、インナーロータ1は6枚歯の3枚ずつが左右対称となり、且つ歯底が真下向き(図6において真下位置)になるように配置し、且つその真下の歯底に描画円cに近い列円15を接するように配置する(S12)[図6(A)及び(B)]。この状態は、インナーロータ1の歯底とアウターロータ2の歯先が最も深く噛み合った状態である。次いで、8枚歯となる基準円60〔仮想円:図1(A)参照〕、すなわち、列円15(描画円cと異なる)が配置される円(仮想円)の仮想中心(アウターロータ中心)を求める作業を行なう。この作業は、数回又はそれ以上となることがある。
最初に、その第1仮想中心Oとしてみる(S13)。上記インナーロータ1とアウターロータ2の位置関係から、インナーロータ1はインナーロータ中心から半歯分を回転させる。すなわち、6歯のインナーロータ1は、インナーロータ中心から半歯分(60度÷2)回転させると共に、8歯となるアウターロータも前記第1仮想中心Oを中心として半歯分(45度÷2)回転させる(S14)[図3(C)及び(D)]。このときに、列円15(描画円cと異なる)がインナーロータ1のインナーロータ歯形10の歯底又は歯先箇所に食い込んだり、或いは離れたりするかの判断をなす(S15:図5フローチャート参照)。
本例では、前記インナーロータ1の歯底と列円15(描画円cと異なるが、アウターロータ2の歯先に略相当)が食い込む状態となる[図6(C)及び(D)参照]。これでは、円滑に回転しないことが明らかであるため前記第1仮想中心Oは止め、図5のS15の判断はYESとなり、S13の手前に戻る。そして、図7に示すように、第2仮想中心Oとしてみる(S13)。同様にして真下の歯底に列円15を接するように配置し(S12)[図7(A)及び(B)]、図7(C)及び(D)に示すように、6歯のインナーロータ1のロータ中心から半歯分(60度÷2)回転させると共に、8歯となるアウターロータも前記第2仮想中心Oを中心として半歯分(45度÷2)回転させる(S14)。このときに、前記インナーロータ1の歯底と列円15(描画円cと異なる)が離れる状態となる[図7(C)及び(D)参照]。これでも、円滑に回転しないため前記第2仮想中心Oは止め、S15の判断はYESとなり、S13の手前に戻る。
次いで、第3仮想中心Oとしてみる(S13)。図8(A)及び(B)に示すように、同様に接触させて、図8(C)及び(D)に示すように、6歯のインナーロータの中心から半歯分(60度÷2)回転させると共に、8歯となるアウターロータも前記第3仮想中心Oを中心として半歯分(45度÷2)回転させる(S14)。このときに、前記インナーロータ1の歯底と列円15(描画円c:アウターロータ2の歯先に相当)が接する程度の状態となる[図8(C)及び(D)参照]。これで、円滑に回転することが予想され、S15の判断はNOとなり、前記第3仮想中心Oを、アウターロータ2の確定中心Oxとして決定する(S16)。これは、図学的な製造法である。インナーロータ1といろいろな仮想のアウターロータ2をそれぞれ半歯分回転させた時に、丁度インナーロータ1の歯底と列円15(描画円cと異なる)が接する仮想円中心と仮想円半径がただ一つだけ存在するものである。
計算による確定中心Oxから半径を求める方法もある。これは、図8(C)に示すように、前記インナーロータ1の歯先と列円15(描画円cと異なる)が接する程度の状態となったときの距離と、回転角θとで求めることができる。判り易く説明すると、図2(A)のように、インナーロータ1の歯先箇所を両側から保持するように、左右側に列円15を設けたとすると、その左右側の列円15,15間の距離Lと、回転角θは、22.5度である。求める基準円60の半径r=(L/2)/sinθ(2π/16)で求まる。その確定中心Oxも自ずと求めることができる。
配置する列円15(描画円cと異なる)において隣接する2つの列円15,15の位置(間隔L)が確定できれば、配置する列円15を同じ間隔に仮想円上に配置していくと、列円が仮想円周上に配置できる。つまり、事前にアウターロータ2の歯数N(インナーロータの歯数+2枚差以上)を決めておけば、後にアウターロータの歯先歯形となる列円15のうち、隣接する2つの列円15,15の位置を求めればアウターロータ2そのものの大きさ(仮想基準円の大きさ)が求めることができる。
何れにしても、アウターロータ2の確定中心Oxから、基準円60を描き、描いた列円15に対して、それぞれ45度ずつ位相差があるように、合計8つの円を描く〔S17:図1(A)参照〕。そして、アウターロータ2の確定中心Oxとして前記インナーロータ1の先端に近い又は歯先先端箇所(先端箇所に僅かに離れた位置)で、図1(A)及び(B)に示すように、歯底基準円61を描いて、アウターロータの1つの歯底を決定する(S18)。そして、他の7つの歯先に対してもそれぞれ描いて、アウターロータ2の歯底の全てを決定する(S19)。このようにして、アウターロータ2の歯数8枚の製造(設計)をするものである。
図2(A)に示すように、描画円cがインナーロータ1の歯面と接する位置として歯先寄りの接点P1とすると、前記描画円cより僅かに小径の列円15の接点P2はより先寄りとなる。これにより基準円60(仮想円)の半径も、中心も異なってくる。簡単に説明すると、列円15(アウターロータ2の歯先)がインナーロータ1の歯面と接する位置として歯先寄りの接点P2か、或いは歯底寄りかの接点P1により基準円(仮想円)の半径も、確定中心Oxも異なってくる。簡単に説明すると、歯先寄りで列円15が接点P2にて接すると基準円60(仮想円)の半径は小さく、歯底寄りで列円が接点P1にて接すると基準円60(仮想円)の半径は大きくなるものである。また、図2(B)に示すように、列円15を楕円にしたときも、、隣接する楕円なる両列円15,15の場合も同様に基準円60(仮想円)の半径を小さくできる。なお、間隔L1,L2は描画円cによる〔図2(A)及び(B)参照〕。
この点を詳述すると、同じインナーロータ1の歯先の歯形に同じように両側から接触するアウターロータ2の歯形であっても、アウターロータ2の歯形の周方向の寸法が短い方が、アウターロータ2の歯形の歯と歯の中心間距離は短くなる。歯と歯の中心間距離が短くなると、アウターロータ2の歯は同一間隔で基準円60(仮想円)に配置されているため、歯と歯の中心間距離×歯数(≒円周長)が短くなるため、基準円60(仮想円)の外径が小さくなる。そして基準円60(仮想円)の大きさによって定まるアウターロータ2の外径及びアウターロータ2の歯先径の大きさも共に従来の描画円cより作図したアウターロータ2(図9及び図10の点線参照)より小さくなる。
<インナーロータ歯数N(4)枚以上、アウターロータ歯数(N+2以上の自然数)枚の製造(設計)手順>
その製造(設計)手順は、図4に示す。初めに、インナーロータ歯数を4枚以上のNとする。列円個数(アウターロータ歯数)を(N+2以上の自然数)枚と設定する(S1)。まず、インナーロータ1が左右対称となり、且つ歯底が真下向きになるように配置し、且つその真下の歯底に列円15を接するように配置する(S2)。この状態は、インナーロータ1の歯底とアウターロータ2の歯先が最も深く噛み合った状態である。次いで、(N+2以上の自然数)枚歯となる基準円60(仮想円)、すなわち、列円15が配置される円(仮想円)の仮想中心を求める作業を行なう。この作業は、数回又はそれ以上となることが多い。
最初に、その第1仮想中心としてみる(S3)。上記インナーロータ1とアウターロータ2の位置関係から、インナーロータ1はロータ中心から半歯分回転させる。すなわち、N歯のインナーロータ1は、ロータ中心から半歯分(360÷N以上の自然数÷2)回転させると共に、(N+2以上の自然数)歯となるアウターロータ2も前記第1仮想中心を中心として半歯分〔360÷(N+2以上の自然数)÷2〕回転させる(S4)。このときに、列円15がインナーロータ1の歯底又は歯先箇所に食い込んだり、或いは離れたりするかの判断をなす(S5)。
例えば、インナーロータ1の歯底とアウターロータ2の歯先(描画円:列円)が食い込む状態となる。これでは、円滑に回転しないことが明らかであるため第1仮想中心は止め、S5の判断はYESとなり、S3の手前に戻る。そして、第2仮想中心としてみる(S3)。同様にして回転させる(S4)。このときに、インナーロータ1の歯底とアウターロータ2の歯先(描画円:列円)が離れる状態となる。これでも、円滑に回転しないため前記第2仮想中心は止め、S5の判断はYESとなり、S3の手前に戻る。そして、第3仮想中心としてみる(S3)。同様にして回転させる(S3)。
このときに、インナーロータ1の歯底とアウターロータ2の歯先(描画円:列円)が接する程度の状態となる。これで、円滑に回転することが予想され、S5の判断はNOとなり、前記第3仮想中心を、アウターロータの確定中心として決定する(S6)。計算による確定中心から半径を求める方法もある。これは、計算式による場合は、
求める基準円60の半径r=(L/2)/sinθ〔π/(N+2以上の自然数)〕で求まる。その確定中心も自ずと求めることができる。
そして、アウターロータ2の確定中心として、基準円を描き、描いた列円に対して、それぞれ〔360÷(N+2以上の自然数)〕度ずつ位相差があるように、合計(N+2)個を描く(S7)。そして、アウターロータ2の確定中心として前記インナーロータ1の図の歯先端に近い又は歯先先端箇所で、円を描いて、アウターロータの1つの歯底を決定する(S8)。そして、他の残りの歯先に対しても円を描いて、アウターロータ2の歯底の全てを決定する(S9)。
このようにして、アウターロータ歯数(N+2以上の自然数)枚の製造(設計)するものである。また、アウターロータ歯数が(N+3以上の自然数)の場合にも、同様にできる。本発明の製造方法により、インナーロータ1とアウターロータ2の歯数差が2枚以上の何枚差であっても本発明による同一方法にてアウターロータを設計することができる。
また、半歯分回転工程を逆にして、前記列円15の適宜な仮想中心を中心とさせつつ前記列円が前記インナーロータ歯形の歯底又は歯先箇所に接する状態となったときから、前記インナーロータ歯形を前記インナーロータ中心を中心として半歯分を回転させると共に、前記仮想中心を中心として、前記(N+2以上の自然数)の所定数歯の半歯分を回転させ、前記列円を前記インナーロータ歯形の歯底に接するように配置して前記仮想中心を確定中心として決定する製造法も存在する。さらに、インナーロータ歯数6枚で、アウターロータ歯数8枚の製造法、或いはインナーロータ歯数6枚で、アウターロータ歯数9枚の製造法につても、半歯分回転工程を逆にする工程が存在している。簡単に述べると、図8(C)及び(D)の状態から、図5(A)及び(B)に示すような工程である。その方法でも、効果は同一である。
ところで、従来の「トロコイド形状を有した」ロータの設計方法ではインナーロータ1の全ての歯先とアウターロータ2の全ての歯先が理論上は接しつつ、理論上滑らずに転がる必要があった(実際にはクリアランス等を考慮に入れた歯形修正を行っており、完全には接しないし、全く滑らないことは無い。但し、その量は数十μmであり、その程度の歯形修正までは本発明に含む。)。そのためインナーロータ1とアウターロータ2の歯面の間に大きな隙間を設けた歯数差が2枚以上のトロコイド形状を有したロータは設計できなかった。
しかるに、本願発明では、ほぼ完全なトロコイド形状をしたインナーロータ1とそのインナーロータ1の歯面形状を基に設計した円滑に回転する2枚以上歯数が多いアウターロータ2と、ほぼ完全なトロコイド形状をしたインナーロータ1とアウターロータ2の間に配置された三日月形状をしたクレセント3を有するトロコイド型オイルポンプを提供できる。また、本発明により設計されたアウターロータ2の歯形は、最低でもアウターロータ2のインナーロータ1とアウターロータ2の歯形噛み合わせ部に使用される。(インナーロータ1はトロコイド形状そのものであり、一般的な物である。)インナーロータ1とアウターロータ2が噛み合わない部分である歯先や歯底は、適宜設計により歯形形状の変更は可能である。また、半歯分回転させる本発明方法以外では、円滑に噛み合う2枚差以上のトロコイド歯形のアウターロータ2を製作することは困難と考える。
以上より、アウターロータ2の歯形にインナーロータ1の設計に使用した描画円cよりも周方向に短い形状(小円もしくは楕円)を使用することで、アウターロータ外径及びアウターロータ歯先径の大きさを共に従来の描画円より作図したアウターロータ2(図9及び10の点線参照)より小さくすることができる(図9及び10の実線参照)。さらに、円や楕円とほぼ同様の形状を有する曲線である高次曲線などを数式化し、アウターロータ2の歯形とした場合でも、上記曲線の周方向の幅が、インナーロータ1の設計に使用した描画円より小さければ、アウターロータ外径及びアウターロータ歯先径の大きさを共に従来の描画円cより作図したアウターロータ2より小さくすることができる(図9及び10参照)。詳述すると、アウターロータ2の歯先曲線の周方向長さをインナーロータ1の設計に使用した描画円より短くすることで、アウターロータの歯と歯の中心間距離が短くなってアウターロータ外径及びアウターロータ歯先径の大きさを共に従来の描画円cより作図したアウターロータ2(図9及び10の点線参照)より小さくすることができる。小型化により、さらに低摺動抵抗化することができる。
また、インナーロータ1とアウターロータ2の歯形噛み合わせ部の形状は、歯と歯のクリアランス分(おおよそ40μm内外)の歯形形状修正は含むものの、数十μm程度の狭い範囲で、本発明によりアウターロータ2の噛み合い部の歯形形状は一義的に定まるものである。また、図12のエンジン回転数と流量との関係グラフにおいては、本願発明では、回転数が約5000回転以上の場合に流量とが増加し、ポンプ効率を増加させることができる。なお、サイクロイド形状はトロコイド形状の中で転がり円径=偏心量の特別な値であり、本発明にはサイクロイドも含まれる。
(A)は本発明の製造法にて確定中心から基準円を設けて列円を等間隔に設けた状態図、(B)はアウターロータの歯先位置を求める工程図、(C)は完成したアウターロータの一部正面図である。 (A)及び(B)は、描画円と列円とで確定中心を求める状態図である。 (A)及び(B)は、基準円に描画円と列円とを描いた状態図である。 本発明の上位概念の製造法のフローチャートである。 本発明の第1実施例の製造法のフローチャートである。 (A)はインナーロータに列円を接するようにした状態図、(B)は(A)の要部拡大図、(C)はインナーロータを30度、列円を含むアウターロータを22.5度それぞれ半歯分だけ回転させた状態図、(D)は(C)の要部拡大図である。 (A)はインナーロータに列円を接するようにした状態図、(B)は(A)の要部拡大図、(C)はインナーロータを30度、列円を含むアウターロータを22.5度それぞれ半歯分だけ回転させた状態図、(D)は(C)の要部拡大図である。 (A)はインナーロータに列円を接するようにした状態図、(B)は(A)の要部拡大図、(C)はインナーロータを30度、列円を含むアウターロータを22.5度それぞれ半歯分だけ回転させた状態図、(D)は(C)の要部拡大図である。 (A)はインナーロータの6歯数で、本発明のアウターロータの8歯数のトロコイド型ポンプ、(B)の要部正面図である。 (A)はインナーロータの6歯数で、本発明のアウターロータの9歯数のトロコイド型ポンプ、(B)の要部正面図である。 インナーロータのインナーロータ歯形の製造過程の状態図である。 エンジン回転数と流量との関係のグラフである。
符号の説明
1…インナーロータ、2…アウターロータ、10…インナーロータ歯形、15…列円、20…アウターロータ歯形、60…基準円、Ox…確定中心、a…基礎円、e…偏心量、b…転がり円、T…トロコイド曲線、c…描画円。

Claims (5)

  1. インナーロータの歯数を4枚以上の所定数Nとして、所定半径の描画円によるトロコイド歯形としてのインナーロータ歯形を有する前記インナーロータを予め成形しておき、該インナーロータは、基礎円に対して、適宜の偏心量を有する転がり円により作られるトロコイド曲線に基づき、所定半径の前記描画円から作られる前記インナーロータ歯形としてなり、アウターロータ歯数を(N+2以上の自然数)の所定数を製造するのに、前記描画円より僅かに小径の円又は円形に近い楕円の列円を前記インナーロータ歯形の歯底に接するように配置し、前記インナーロータ歯形をインナーロータ中心を中心として半歯分を回転させると共に、前記列円を含むアウターロータの適宜な仮想中心を中心として、前記(N+2以上の自然数)の所定数歯の半歯分を回転させ、このときに、前記列円が前記インナーロータ歯形の歯底又は歯先箇所に食い込んだりせず、或いは離れたりしないで、接する状態となったときの前記仮想中心から、或いは接する状態となったときの隣接する前記列円間の間隔から数式にて確定中心を決定し、該確定中心から前記列円までの半径で、合計(N+2以上の自然数)の所定数を等間隔となる前記列円を有する基準円を描いて、前記列円をアウターロータ歯先として形成し、アウターロータ歯形を製造することを特徴とするクレセントを備えたトロコイド型ポンプの製造法。
  2. 請求項1において、半歯分回転工程を逆にして、前記列円を含むアウターロータの適宜な仮想中心を中心とさせつつ前記列円が前記インナーロータ歯形の歯底又は歯先箇所に接する状態となったときから、前記インナーロータ歯形を前記インナーロータ中心を中心として半歯分を回転させると共に、前記仮想中心を中心として、前記(N+2以上の自然数)の所定数歯の半歯分を回転させ、前記列円を前記インナーロータ歯形の歯底に接するように配置して前記仮想中心を確定中心として決定することを特徴とするトロコイド型ポンプの製造法。
  3. 請求項1又は2において、前記合計(N+2以上の自然数)の所定数を等間隔となる前記列円を有する基準円を描いた後に、前記確定中心より前記インナーロータの歯先端に近い又は歯先先端箇所にアウターロータ歯底となる適宜な円を描いて前記アウターロータ歯底を形成し、アウターロータ歯形を製造することを特徴とするトロコイド型ポンプの製造法。
  4. 請求項1又は2において、前記アウターロータ歯数を(N+2)又は(N+3)として製造するのに、前記インナーロータ歯形を前記インナーロータ中心を中心として半歯分を回転させると共に、前記列円を含む前記アウターロータの適宜な仮想中心を中心として、前記(N+2)又は(N+3)の歯数における半歯分を回転させて、アウターロータ歯形を製造することを特徴とするトロコイド型ポンプの製造法。
  5. 請求項1,2,3又は4のいずれか1項において、そのトロコイド型ポンプの製造法から製造されてなることを特徴とするトロコイド型ポンプ。
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