JPWO2003046584A1 - 電流センサ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は電流センサに関する。特に詳細には本発明は、被測定電流が流れる導体と被測定電流により発生される磁束を検出する磁気センサとを備え、被測定電流により発生される磁束を磁気センサにより検出することで被測定電流の電流量を測定する電流センサに関する。
背景技術
一般に磁気センサとしては、ホール効果を利用したホールセンサ、磁気抵抗素子、磁気トランジスタ等が知られている。このような磁気センサを用いて、電流により発生する磁束を検出することで、電流量を測定することが可能である。従来から、図1に示すような構造をもつ電流センサが広く用いられている。
図1において、参照符号100は磁気コアを、101は電流経路となる金属導体を、102は磁気センサを、103は増幅器を、104は増幅器103の出力端子を表わしている。
しかしながら、この構造の電流センサは電流を流す金属導体101の周囲を囲む形状の磁気コア100が必須であるため小型化に適していない。さらに、この電流センサは磁気コア100と磁気センサ102を個別に製造してから組み立てる必要があるため、製造コストがかかり、大量生産に適していないという課題があった。
また、この電流センサには、磁気コア100のギャップ部における横方向からの磁気ノイズの影響を受け易いという課題もあった。
発明の開示
本発明の目的は、耐ノイズ性を向上でき、部品点数を減らして形状を小型化でき、生産・組立性を向上可能にし、安価で大量生産に適した表面実装可能な電流センサを提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明に係る電流センサは、上記被測定電流が発生する磁束に基づいて上記被測定電流を検出する電流センサであり、U字形状に形成されていて上記被測定電流が流れる導体と、上記U字形状を構成する互いに平行な2つの直線部の間に配置される磁気センサと、上記2つの直線部と上記磁気センサを覆い、上記磁気センサとの対向位置に凸部を備える筒状の磁性体と、上記導体の端部と上記磁気センサの端子が上記磁性体に対して同一の側に位置するように、上記導体と上記磁気センサと上記磁性体を保持する保持部材とを有する。導体の2つの直線部夫々の端部が磁性体に対して同一の側に配置されるために表面実装が容易となる。磁性体(磁気ヨーク)は筒状形状をなし、これは筒状に閉じており、2つの開口を有していれば良い。
保持部材の端子孔に挿通された磁気センサの端子と導体挿入部に挿通された導体の2つの略直線部分を同一の側に保持して配置することができるため、電流センサのプリント基板などへの表面実装を容易にすることができ、生産性および組立性が著しく向上する。
上記保持部材は、上記磁気センサの端子が挿通される端子孔と、上記導体が挿通される導体挿入部と、上記磁気センサを係止する第1の係止部と、上記導体を係止する第2の係止部と、上記磁性体を係止する第3の係止部とを備えることが好ましい。上記端子孔から、磁気センサを下から差し込むことができ、磁気センサの端子のフォーミング形状が変わっても組み付けが可能である。また、保持部材の形状を変える必要がない。また、磁気センサの端子の断面積の大きさや形状が変わっても組み付けが可能である。さらに、磁気センサの端子の端子間距離が変わっても組み付けが可能である。
上記導体挿入部は円筒状部材からなり、上記磁性体は上記導体挿入部を覆うように保持されていることが好ましい。
上記保持部材は弾性変形する材料で一体成型されていて、上記第1の乃至第3の係止部は鉤状に形成されていることが好ましい。
また、上記磁性体の内面に上記第1の凸部と対向する第2の凸部を備え、上記第1の凸部と上記第2の凸部の間のギャップに上記磁気センサが配置される構造が好ましい。
この場合、上記磁気センサは、上記第1の凸部の上記磁気センサに対する対向面と上記磁気センサの感磁部が略平行となるように配置され、上記感磁部の面積は上記対向面の面積よりも小さいことが望ましい。
上記磁性体は、上記第1の凸部の上記磁気センサに対する対向面と略垂直、かつ上記直線部と略平行な基準面に対して対称な面形状を有することが好ましい。これにより、検出出力が磁気センサの配置位置精度の影響を受けにくく、配置位置精度の要求を緩和することができるため、生産性および組立性が向上する。
上記磁性体の内部形状は、曲面またはテーパーを有することが好ましく、これにより、磁性体が磁気飽和しにくくなり、電流センサのリニアリティを向上させることができる。
上記曲面またはテーパーは上記第1の凸部の周辺に形成され、上記磁性体の内部形状は鋭角な形状を有しないことが好ましい。
上記磁性体の外形寸法は、上記2つの直線部によって形成される面に平行で、上記直線部に垂直な方向の長さが、上記面に垂直で、かつ上記直線部に垂直な方向の長さの2.5倍以上であることが好ましい。
上記保持部材の、上記磁気センサの端子と上記2つの直線部が保持されている側に、少なくとも一つの凸部が形成されて、これにより実装基板との接触面積を小さくすることも好ましい。
上記保持部材の外面の上記導体が挿通している部分の周囲に、少なくとも一つの凸部または凹部が形成されて、これにより耐圧沿面距離を長くすることも好ましい。
上記磁気センサの端子が所定形状に折り曲げられていることも好ましい。
上記磁気センサに、ホール効果を利用したホールセンサを用いることも好ましい。
上記構成を採用した本発明によれば、形状を小型化し、生産・組立性の向上した、安価で大量生産に適した磁気ノイズの影響を受けにくい電流センサを提供することができ、多様なアプリケーションに対して好都合に対応することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい種々実施形態について説明する。
発明を実施するための最良の形態
(第1実施形態)
図2は、本発明に係る電流センサの第1実施形態を示す断面図である。図3は、当該電流センサの第1実施形態を示す平面図である。
図2および3において、電流センサ10は、磁束の検出手段である磁気センサ1を有している。磁気センサ1は、電流経路2に被測定電流(以下、電流と略記)が流れることによって発生する磁束を検出する。本実施形態では、ホール効果を利用したホールセンサを磁気センサ1として使用した。電流経路2は「U」字形状に配置されてい磁気センサ1を囲み、このため、磁気センサ1の近傍に磁束が集まりやすい。磁気センサ1と電流経路2は、絶縁物包囲体3(この例ではモールド樹脂製)により封止され、一体的に形成されている。
さらに、絶縁物包囲体3の周囲に、E字型形状のフェライトコア4aとI字型形状のフェライトコア4bを結合部において隙間なく結合させてなる磁気ヨーク4が配設されている。磁気ヨーク4は、電流経路2に電流が流れることによって発生する磁束を磁気センサ1の感磁部(図示せず)に収束させる。磁気ヨーク4は、そのフェライトコア4aの底面のほぼ中央の、磁気センサ1と対向する位置に凸部6を備える。磁気ヨーク4は全体にわたってほぼ均一な磁気特性を有している。磁気ヨーク4は、電流経路2の一部と磁気センサ1を覆う筒状の形状を有する。
また、図2および図3において、磁気センサ1は、非磁性体のリードフレーム5上に配置されている。
上記構造の第1実施形態の電流センサ10について、有限要素解析法を用いて行った磁場シミュレーションに関して説明する。
この磁場シミュレーションにおいて、磁気センサ1として旭化成電子(株)製のホール素子、HG−106C(商品名)を使用し、電流経路2として断面積が2mm(垂直)×0.5mm(水平)の銅線を使用し、磁気ヨーク4として比透磁率が6000のフェライトを使用した場合を想定した。また、E字型形状フェライトコア4aとI字型形状フェライトコア4b間のギャップ(このギャップに磁気センサ1が配置される。)は1.3mmを想定してシミュレーションした。
図4は、これらの条件下で電流経路2に1Aの直流電流を流したときの、磁気センサ1が配置されるギャップ部分における磁力線のシミュレート結果を示す。
図4に示されたシミュレート結果から、磁気センサ1が配置される上記ギャップ部分(図2参照)に、被測定電流から発生する磁束密度が集中していることがわかる。本出願人の計算によれば、電流経路2(図2参照)に1Aの電流が流れると、磁気センサ1が配置される部分には0.97mTの磁束密度が発生することがわかった。
また、電流経路2に流れる電流量を増加させると、この電流増加に比例して磁気センサ1が配置されるギャップ部分の磁束密度も増加すること、つまり、磁気センサ1の出力電圧値は電流量に比例することがわかった。したがって、上記構成において磁気センサ1により磁束を検出して出力電圧を得、この出力電圧を、電流経路2に1Aの電流を流したときの出力電圧を参照して外部の集積回路等によって被測定電流の電流量に換算すれば、電流センサとしての機能を充分に満足することができる。
(第2実施形態)
E字型形状コアとI字型形状コアを使用した第1実施形態の構成では磁気センサ配置の位置精度が要求される。つまり図2中の水平方向に磁気センサ1がずれると、測定により得られる磁束密度の値が変化する。
第2実施形態は、この問題を解消するための第1実施形態の改良版であり、磁気ヨーク4として2つのE字型形状コアを結合部において隙間なく結合させた形態を実施したものである。
第2実施形態の磁場シミュレーションにおいて、磁気センサ1として旭化成電子(株)製のホール素子、HG−106C(商品名)を使用し、電流経路2として直径が1.0mmの銅線を使用し、磁気ヨーク4として比透磁率が6000のフェライトを使用した場合を想定した。また、上側E字型形状フェライトコアと下側E字型形状フェライトコア間のギャップ(このギャップに磁気センサ1が配置される。)は1.2mmとした。
図5は、これらの条件下で電流経路に1Aの直流電流を流したときの、磁気センサ1が配置されるギャップ部分における図2中垂直方向の磁束密度を計算した磁力線のシミュレート結果を示す。
図4と図5の比較から、第2実施形態ではコアギャップ部に第1実施形態と比べてより均等に磁束が分布していることがわかる。したがって、第2実施形態によれば磁気センサ1に対する水平位置精度の要求を緩和することができるため、組立性の向上につながる。
このように本実施形態の電流センサは、図5に示したように2つのE字型形状コアを結合させた磁気ヨークを備える。磁気ヨークの上側E字型形状フェライトコアは凸部を有している。磁気ヨークは、この凸部の磁気センサと対向する対向面6a(図2参照)と略平行な基準面(図示せず)に対して対称な面形状を有する。磁気ヨークはさらに、この凸部の磁気センサに対する対向面と略垂直で、電流経路2の略直線部と略平行な基準面(図示せず)に対して対称な面形状を有している。
本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、さらに種々変形して実施することが可能である。
第1実施形態および第2実施形態はともに、電流経路となる導体が、その2つの略直線部とこの略直線部がほぼ平行となるような曲部(具体的には2つの直角部)が連続して構成され、この曲部が磁気ヨーク4の一方の開口側(図3中、磁気ヨーク4の上側)に配置され、略直線部夫々の端部が磁気ヨーク4の他方の開口側(図3中、磁気ヨーク4の下側)に配置された構成となっている。この構成は一例であって、表面実装の際の製造容易性を考慮したための配置にすぎない。
また、表面実装における製造容易性を考慮した上記実施形態による配置においても、曲部が2つの直角部を有する構成に限定されず、2つの直線部を湾曲した曲部を介して連続させることもできる。
(第3実施形態)
図6A〜6Cは、本発明に係る電流センサの第3実施形態およびその変形例の要部を概略的に示す断面図であり、図6Aは、磁気ヨーク断面の内部形状をU字形状とした例を示す。
ここで、磁気ヨーク4は、凸部6を磁性体内面中央部で上下に対向させて破線で示す第1の基準面に対して対称とした内面形状を有する。磁気ヨーク4はさらに、図中両側のU字形状の曲面を一点鎖線で示す第2の基準面に対して対称とした内面形状を有する。すなわち磁気ヨーク4の面形状は、縦横に2つの基準面に対して対称である。
磁性体である磁気ヨーク4は、このような内面形状とすることにより磁気飽和しにくくなる。また磁気ヨーク4はほぼ直交する2つの基準面に対して対称な面形状を有するので、磁気センサの検出精度は、その配設位置の変動の影響を受けにくい。したがって、磁気センサの位置精度の要求を緩和することができる。
本実施形態では、磁性体(磁気ヨーク4)の内側形状(図6A参照)は、B方向の幅が凸部とA方向における左右両端それぞれとのほぼ中間位置において最も大きく、A方向における左右両端の位置において最も小さくなる形状としたことで、上記の効果を得ることができる。
磁気ヨーク4の縦と横の寸法比a/bは2.5以上が好ましい。このような比にすると、同一の磁気特性の磁性体を用いた場合にも電流センサを薄型化することができ、容易に小型化が可能となる。
磁気ヨーク4をさらに磁気飽和しにくくするために、磁気ヨーク内側断面の形状をさらに、凸部の側面における上述したB方向の幅が凸部とA方向における左右両端それぞれのほぼ中間位置よりも小さい形状とすることができる。
上記の形状は、次の2つの変形例によって実現され得る。図6Bは、磁気ヨークの内部断面において凸部6の側面も併せて半径rの曲面形状とした変形例を示す。
図6Cは、磁気ヨーク4の内部断面に曲線部分がなく、短い直線L1L2,L3,L4,L5,L6,L7を連続させてテーパーを形成することで、内部断面形状を構成した変形例を示す。この変形例では、凸部6の側面(L1部とL7部)は凸部上面または下面(図中の水平方向)に対してほぼ45度の角度をなし、当該側面と対向する面(L5部とL3部)に対してほぼ平行である。
(第4実施形態)
図7は本発明に係る電流センサの第4実施形態の部分断面図、図8は本実施形態における電流センサの図7中VIII−VIII‘線に沿った断面図、図9は本実施形態における電流センサの図7中IX−IX‘線に沿った断面図である。
本実施形態における電流センサは、組立性や生産性を向上させるために、接着工程を用いることなく、嵌め込みや挿入工程によって製造可能な構造を有している。この電流センサの構造は、導体、磁性体(磁気ヨーク)、およびホールセンサ等の磁気センサ以外の部分(以下、部材と称する)を弾性変形するプラスチックなどの材料で構成して実現される。
図7に示す通り、この部材は、各要素のベースとなる板状の基台7aと、磁気センサ保持部7bと、電流経路である導体2が挿通される2つの導体挿入部7cと、導体2を保持する2つの導体保持部7dとからなる。例えば、この部材は、ABS樹脂やPBT樹脂などで一体成型されている。
基台7aのほぼ中央には磁気センサ1の端子5を貫挿するための端子孔が穿設されている。本実施形態では磁気センサ1にホールICを用いたため、3つの端子孔が穿設されている。基台7aには磁気センサ1を保持するための2つのセンサ保持部7bが、端子孔を挟んで対向して形成されている。両センサ保持部7bの先端には鉤形の爪が設けられている。この爪により、挿入された磁気センサ1の上部を係止して把持する。
図7において、基台7aの両側にはそれぞれ、被測定電流を流すための導体2が挿通される導体孔が形成されている。導体孔が設けられる導体挿入部7cは、図示の通り凸形状に形成されている。被測定電流の電流経路となる導体2の直線状の部分(図7中、垂直な部分)は、それぞれこの導体孔に挿入される。
一方、両側の導体挿入部7cの先端の磁気ヨーク(磁性体)4と対向する側(図7中、上部外側部分)には鉤形の爪が形成されている。導体挿入部7cは、この爪が磁気ヨーク4を係止することで磁気ヨーク4に対して固着されている。導体2は導体保持部7dにも嵌め込まれ、導体保持部7cと導体挿入部7dとで保持される。
基台7aにはさらに、2つの別の導体保持部7dの先端が導体挿入部7cよりも外側に突出して形成されている。この導体保持部7dには鉤形の爪が形成されている(図7および図9参照)。導体2は、この爪によって係止され、この導体保持部7dにより保持される。
磁気ヨーク4は、基台7aの上側から挿入され、前述の導体挿入部7cの爪と基台との間で保持される。磁気ヨーク4の内側には凸部6が対向して形成され(図8参照)、両凸部6によって磁気センサ1を挟み込む構造になっている。磁気センサ1と磁気ヨーク4の間の隙間はなるべく小さいほうが好ましい。
樹脂成型による部材を用いた以上のような構成を採用した本実施形態によれば、部材の端子孔に挿通された磁気センサ1の端子5と導体孔に挿通された導体2の2つの略直線部分の端子側を部材に対して同一の側(図7中、基台の下側)に保持して配置する構造が実現される。したがって、まず基台7aの上側から磁気センサ1を嵌め込み、次いで導体2を挿入し、さらに磁気ヨーク4を嵌め込むことにより、簡単に電流センサを組み立てて製造でき、組立性を向上することができる。従って、本実施形態の構成によれば、プリント基板などに表面実装することも容易である。
(第5実施形態)
図10および図11は本発明に係る電流センサの第5実施形態を示す平面図および正面図である。両図において左側は電流センサ全体の外観を示し、右側は磁気ヨーク4(二点鎖線で示す)を取り除いたときの電流センサの形状を示す。したがって、図10および図11の右側には、樹脂等で一体成型された保持部材と、一次電流の電流経路である導体2と、磁気センサ(ホールセンサ)1が配置されている。本実施形態および他の変形例における「保持部材」は、上記各実施形態における「部材」に相当する。
図10および図11において、保持部材の基台7aの中央には端子孔が形成され、端子孔に磁気センサ1が基台7aの下面側から挿入される。保持部材の磁気センサ保持部7bには、挿入された磁気センサ1を保持するための鉤形の爪7eが下向きに形成されている。爪7eは磁気センサ1の端子側エッジを係止し、磁気センサ1を支持する。このように、本実施形態は、保持部材の基台7aの下面側から磁気センサ1を端子孔に挿入できる構成を提供している。このため、磁気センサ1の端子5を折り曲げ(フォーミング)した後からでも、磁気センサ1を保持部材の端子孔に挿入して組み立てることができる。したがって、生産・組立性の向上が実現される。
図12A〜12Gは磁気センサ1の端子形状の各種変形例を示している。図12Aはストレートタイプの端子形状、図12B〜12Gは折り曲げ(フォーミング)タイプの変形例を示している。折り曲げの向きは図示した例と逆向きでも良い。
本実施形態の保持部材を有する電流センサは、磁気センサ1の端子5を図12A〜12Gに示すいずれかの形状に予め折り曲げた後に、この磁気センサ1を保持部材に組み付けすることができる。すなわち、磁気センサ1の端子5のフォーミング形状が変わっても、保持部材の形状を変えることなく組み付けが可能である。また、磁気センサ1の端子5の断面積や断面形状が変わっても保持部材に組み付けが可能である。さらに、磁気センサ1の端子5の端子間隔(ピッチ)が変わっても保持部材に組み付けが可能である。
図10および図11に示した電流センサが備える保持部材の基台7aの下面には、実装基板と保持部材の接触面積を小さくするための凸部7fが形成されている。図13Aに示すように凸部がなく、基台7aの下面がフラットな電流センサでは、保持部材とプリント配線基板30の熱膨張率の違いに起因して、導体2を半田付け実装する箇所(基板30の一点鎖線内の箇所)で半田クラックが発生する可能性がある。
しかし、この凸部7fを有する電流センサを半田付け実装するときに、図13Bに示すように、プリント配線基板30の表面と基台7aの下面の間に隙間gが生じる。この隙間gによって、プリント配線基板30と保持部材の間に作用する熱応力を大幅に低減できるため、半田クラックを防ぐことができる。この隙間gの大きさは、半田クラック防止のためには少なくとも1mm程度以上であることが好ましい。
一次電流が流れる導体2と導電体(磁気ヨーク4または端子1b)間の沿面距離は電圧規格に応じて一定値以上に決められている。電流センサにおいては、一次電流導体線−磁気センサ端子間の沿面距離、および一次電流導体線−磁気ヨーク間の沿面距離を、電圧規格が満たされる距離にする要求がある。この要求は電流センサの小型化を阻害する。
小型化するために図11においてさらに、導体2が保持部材の基台7aに挿通されている部分の周囲には、凸部7hが形成されている。凸部7hは円筒状の形状を有し、内側には空隙がある。この凸部7hの形状によって、耐圧沿面距離を長くすることができる。
図14は、凸部7hの作用を説明するための、上記電流センサの部分拡大断面図である。この形態の電流センサは、基台7aの下面に凸部7hを設けることで、一次電流導体線−磁気ヨーク間の沿面距離d1と一次電流導体線−磁気センサ端子間のd2を長くすることができる。凸部7hを有する電流センサは、凸部7hがないものと比べて図中水平方向に約4mm、小型化されている。
図11および図14は基台7aの下面に凸部7hを設けて沿面距離の要求を満たす構成を採用した電流センサの例を示した。一方で、下面に凹部を設けることでも同様の作用を生じさせて沿面距離の要求を満たすことができる。さらに、凸部と凹部を併せて設けると、小型化のためにより有利である。
さらに、磁性体(磁気ヨーク4)のギャップ部、すなわち磁気センサ1が保持部材によって保持される部分は樹脂でポッティングしても良い。充填された樹脂は、磁気ヨーク4、保持部材、および磁気センサ1を固定する。磁気ヨーク4を保持する保持部材の爪と磁気ヨーク4の間に隙間があっても、このように樹脂固定することで、電流センサが振動しても、磁気ヨーク4と保持部材の衝突による振動音は発生しない。
図15Aおよび15Bは、ギャップ部のギャップ長Gを変えた磁気ヨーク4の変形例を示す。図15Aの例ではG=1.3mm,図15Bの例ではG=3.2mmである。
これらの磁気ヨーク4を用いた電流センサの検出特性を図16Aおよび16Bに示す。両図において、横軸は導体2に流す一次電流の値を、縦軸は磁気センサ1の出力電圧値を示す。両図に示された特性の比較から、ギャップ長Gが小さいほうが、検出感度が高感度であることがわかる。また、測定電流レンジを比較すると、G=1.3mmの電流センサは±30Aまでリニアな特性を示しており、±30Aまで測定可能である(図16A)。一方、G=3.2mmの電流センサは40A以上の測定が可能である(図16B)。このことから、ギャップ長Gが大きいほうが、測定電流レンジが広いことがわかる。
このように、ギャップ長Gを変更することにより、検出感度および測定電流レンジを変えることができる。
(他の変形例)
以上、種々の変形例について説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲でさらに修正・変形して本発明を実施することができる。例えば磁気センサとしては、上記ホールセンサの他に、磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果素子など様々な磁気センサの適用が可能であり、アナログ出力型の磁気センサが望ましい。磁気センサの検出出力を被測定電流の電流量に換算する換算手段を備えることもできる。
また、アンプ内蔵型のリニアホールICを磁気センサとして用いることで検出感度を高くし、被測定電流の測定精度を向上させることができる。
導体としては、抵抗が小さく被測定電流による電圧降下が生じないもので、かつ被測定電流が流れていないとき導体に残留磁界が生じない材質のもの(例えば銅など)が望ましい。
また、磁性体(磁気ヨーク)についても、フェライトやパーマロイなど様々な磁性材料の適用が可能であるが、フェライトのように小型成形が可能で安価なものが望ましい。
保持部材をABS樹脂やPBT樹脂などの弾性変形する材料で構成し、この部材に磁気センサや導体、磁性体を嵌め込むようにして複数の爪で係止すれば、接着工程を省略することができて組立が簡単であり、生産性が向上する。特に、樹脂としてはPBT(ポリブチレンテレフタレート)でCTI(comparative tracking index)値250以上、難燃性UL94−V0のものが好ましい。
筒状の磁気ヨークは一体成形されることが望ましいが、組立性等を考慮して、複数個の磁性体を組み合わせて筒状形状を成形する(第1および第2実施形態)こともできる。
以上説明したように本発明に係る電流センサによれば、被測定電流が流れる導体と、上記被測定電流により発生される磁束を検出する磁気センサと、上記導体が挿通され、上記導体の一部と上記磁気センサを覆う筒状の磁性体を備え、該磁性体は、その内面の上記磁気センサとの対向位置に凸部を備えるとともに、ほぼ均一な磁気特性を有する構成としたことにより、従来の電流センサに必要であったコイルやプリント基板等の部品を削減でき、組立性も著しく向上することができる。
したがって、多様なアプリケーションに対して好都合に対応することが可能な、小型で、生産・組立性が向上し、安価で大量生産に適した表面実装可能な電流センサを提供することができる。また、磁性体が直交する2つの基準面に対して対称な面形状を有する構成とすることで、外部磁場に対する耐ノイズ性を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、従来の電流センサの一例を示す斜視図である。
図2は、本発明に係る電流センサの第1実施形態を示す断面図である。
図3は、本発明に係る電流センサの第1実施形態を示す平面図である。
図4は、本発明に係る電流センサの第1実施形態の磁気シミュレーション結果を示す磁力線図である。
図5は、本発明に係る電流センサの第2実施形態の磁気シミュレーション結果を示す磁力線図である。
図6A〜6Cは、本発明に係る電流センサの第3実施形態およびその変形例の要部を概略的に示す断面構成図である。
図7は、本発明に係る電流センサの第4実施形態の平面の部分断面図である。
図8は、本発明に係る電流センサの第4実施形態の図7中VIII−VIII‘線に沿った断面図である。
図9は、本発明に係る電流センサの第4実施形態の図7中IX−IX‘線に沿った断面図である。
図10は、本発明に係る電流センサの第5実施形態において、磁気ヨークの一部を取り除いたものの平面図である。
図11は、本発明に係る電流センサの第5実施形態において、磁気ヨークの一部を取り除いたものの正面図である。
図12A〜12Gは、ホールセンサ(磁気センサ)の端子のフォーミングの例を示す斜視図である。
図13Aおよび13Bは、基台の下に形成された凸部の効果を比較して説明するための電流センサの正面図である。
図14は、沿面距離の改善効果を説明するための部分拡大断面図である。
図15Aおよび15Bは、磁性体の変形例を示す平面図である。
図16Aおよび16Bは、図15Aおよび15Bの磁性体を用いた電流センサの一次電流−出力電圧の関係を示す特性図である。
Claims (15)
- 被測定電流が発生する磁束に基づいて前記被測定電流を検出する電流センサにおいて、
U字形状に形成されていて前記被測定電流が流れる導体と、
前記U字形状を構成する互いに平行な2つの直線部の間に配置される磁気センサと、
前記2つの直線部と前記磁気センサを覆い、前記磁気センサとの対向位置に第1の凸部を備える筒状の磁性体と、
前記導体の端部と前記磁気センサの端子が前記磁性体に対して同一の側に位置するように、前記導体と前記磁気センサと前記磁性体を保持する保持部材とを有する電流センサ。 - 前記保持部材は、前記磁気センサの端子が挿通される端子孔と、前記導体が挿通される導体挿入部と、前記磁気センサを係止する第1の係止部と、前記導体を係止する第2の係止部と、前記磁性体を係止する第3の係止部とを備えた請求項1に記載の電流センサ。
- 前記導体挿入部は円筒状部材からなり、前記磁性体は前記導体挿入部を覆うように保持されている請求項2に記載の電流センサ。
- 前記保持部材は弾性変形する材料で一体成型されていて、前記第1の乃至第3の係止部は鉤状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電流センサ。
- 前記磁性体の内面に前記第1の凸部と対向する第2の凸部を備え、
前記第1の凸部と前記第2の凸部の間のギャップに前記磁気センサが配置される請求項1に記載の電流センサ。 - 前記磁気センサは、前記第1の凸部の前記磁気センサに対する対向面と前記磁気センサの感磁部が略平行となるように配置され、
前記感磁部の面積は前記対向面の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1または5に記載の電流センサ。 - 前記磁気センサは、ホール効果を利用した磁気センサであることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
- 前記磁気センサの検出出力を前記被測定電流の電流量に換算する換算手段をさらに有する請求項1に記載の電流センサ。
- 前記磁性体の内部形状は、曲面またはテーパーを有する請求項1に記載の電流センサ。
- 前記曲面またはテーパーは前記第1の凸部の周辺に形成され、前記磁性体の内部形状は鋭角な形状を有しない請求項9に記載の電流センサ。
- 前記磁性体の外形寸法は、前記2つの直線部によって形成される面に平行で、前記直線部に垂直な方向の長さが、前記面に垂直で、かつ前記直線部に垂直な方向の長さの2.5倍以上である請求項1に記載の電流センサ。
- 前記保持部材の、前記磁気センサの端子と前記2つの直線部が保持されている側に、少なくとも一つの凸部が形成されている請求項1に記載の電流センサ。
- 前記保持部材の外面の前記導体が挿通している部分の周囲に、少なくとも一つの凸部または凹部が形成されている請求項1に記載の電流センサ。
- 前記磁気センサの端子は所定形状に折り曲げられている請求項1に記載の電流センサ。
- 前記磁性体は、前記第1の凸部の前記磁気センサに対する対向面と略垂直、かつ前記直線部と略平行な基準面に対して対称な面形状を有する請求項1または5に記載の電流センサ。
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