JP6062761B2 - 分電盤 - Google Patents
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Description
このような調査を行うための一つの手段として、各分岐の電流を検出し、消費電力を演算できるようにした分電盤がある。例えば、特許文献1に記載の分電盤においては、主幹回路から分岐した複数の分岐回路に流れる電流を、分岐電流を流す分岐バーの周りに電流センサを設置することによって、消費電力を検出できるようにしている。
しかしながら、太陽光発電を含めた直流給電システムの開発や、インバーター装置の増加による交流電流の歪みの存在により、近年は直流成分も含めた電力検出の需要が高まっている。電流変化のみを検出するコイルを用いた方式では、電流の直流成分を検出する事は原理的に不可能であるという問題があった。
しかしながら、特許文献3に記載の電流センサを分電盤に内蔵するためには、分岐バーを途中で分断して電流センサの導体に接続せねばならず、接続のための治具の追加により大型化する、組立工数が増加し高コスト化するという問題点があった。
近年、分電盤の各分岐に使用されるブレーカーの薄型化が進み、その厚さは16mmを下回るものも出てきている。電流センサがブレーカーより大きいと、電力演算機能を付加することで分電盤全体の大型化につながってしまう。そのため、電流センサを薄型化する必要があるが、そうすると隣接導体からの外乱磁場の影響がどうしても発生してしまう。本発明の構成は、この問題を克服するものである。
また、前記磁気センサの感磁面と前記第1の凸部が対向するように前記磁気センサが配置されてもよい。
また、前記磁性体の内面に前記第1の凸部と対向する第2の凸部を有し、前記第1の凸部と前記第2の凸部の間のギャップに前記磁気センサが配置されてもよい。
本構成をとることで、磁気センサの位置において平均的に磁束が分布するようになり、電流センサの出力は磁気センサの配置位置精度の影響を受けにくくなる。これにより電流センサの組立が容易となる。
また、前記磁気センサが、磁気検出部と、磁気検出部の出力信号を増幅する信号増幅回路と、を有し、前記磁気センサが検出する磁束密度に比例したアナログ出力を外部に出力してもよい。
本構成をとることで、電流センサからの出力が大きくなるため、分電盤内部で発生する電気的ノイズが電流センサ出力の信号線に重畳する事による誤差が相対的に小さくなり、より高精度な電流検出が可能となる。
本構成をとることで、分電盤内部で発生する電気的ノイズが電流センサ出力の信号線に重畳しても、ノイズ電圧がデジタル出力で定められた閾値を超えない限りは誤差をゼロに抑えられる。
ΔΣ変調方式を用いることにより、アナログ−デジタル変換回路が高速な信号の変化にも追従できるようになる。また、ΔΣ変調方式を用いたアナログ−デジタル変換回路の出力は単位時間当たりのパルス数で表現される。よって、仮に分電盤内部で発生する電気的ノイズが電流センサ出力の信号線に重畳し、デジタル出力が1パルス分余分に計数されたとしても、誤差は1LSB程度に抑えられる。
ホール効果を利用した磁気検出部を用いることにより、電流センサの出力が検出した磁束密度に比例することになるので、電流センサの出力を用いて電力を演算するための回路あるいはソフトウェアが簡易化できる。
また、前記ホール効果を利用した磁気検出部が、InSb、InAs、GaAsなどのIII−V族化合物半導体を有していてもよい。
III−V族化合物半導体を用いることで、磁気検出部のS/Nが向上するので、高分解能の電流センサが必要な場合に好適となる。それほど分解能が必要でない用途においては、III−V族化合物半導体を用いることは必須ではなく、SiなどIV族半導体を用いることも可能である。
本構成をとることによって、磁性体コアの寸法公差による個々の磁性体コアの発生磁束密度のばらつきがあったとしても、信号増幅回路の増幅率を変更する事によって電流センサ内で補正することが可能となる。また、各分岐の定格電流に応じて信号増幅回路の増幅率を変えることで、信号増幅回路が飽和しない範囲でなるべく大きな出力を得る事が可能となり、電気的ノイズによる誤差が相対的に小さくなる。
本構成をとることによって、磁気検出部や信号増幅回路に発生するオフセット電圧を電流センサ内で補正する事が可能となり、電流の直流分検出の精度が向上する。
本構成をとることによって、磁気検出部や信号増幅回路の温度特性によって生じる出力の変動を抑える事ができ、より高精度な電流検出が可能となる。
磁気センサが実装基板に半田実装されることで、基板上の配線で信号を伝送する事ができ、ケーブルの使用による配線の煩雑化を押さえられる。また、磁気センサが基板実装面に対して平行な方向の磁束密度を検出できることで、磁性体コアも基板実装面に接着材などにより固定できるように配置する事ができ、組立性が向上する。
電流センサを0.5mm以上2mm以下の厚さにおさえることにより、従来の電力演算機能なしの構成の分電盤と比較しても、分電盤全体形状の大型化を抑制できる。また、磁性体コアの厚さとコアの厚さ方向に発生する外乱磁場の影響は、密接に関係しており、あまり薄すぎると電力演算精度の悪化につながるため、0.5mm以上2mm以下が最適である。
また、前記電流センサの出力値を用いて、前記各分岐電流における消費電力を演算するための演算処理回路を有していてもよい。
上述した電流センサを用いて取得した信号を、演算処理回路で処理する事により、各分岐の消費電力を高精度に計測する事が可能な分電盤を提供することができる。
図1は、本発明に係る電流センサの構造を示した図で、電流センサ5aは、磁気センサ1aと、分岐電流が流れる2本一対の導体2a,3aと、磁性体コア4aとを備えている。電流センサ5bは、磁気センサ1bと、分岐電流が流れる2本一対の導体2b,3bと、磁性体コア4bとを備えている。電流センサ5cは、磁気センサ1cと、分岐電流が流れる2本一対の導体2c,3cと、磁性体コア4cとを備えている。ここで、導体2a〜2cと、導体3a〜3cには正負逆方向の分岐電流が流れるように構成されている。また、磁気センサ1aは磁性体コア4aに完全に周囲を覆われている。
この図3に示した計算結果から、本発明により外乱磁場(本例では、隣接導体に流れる電流からの磁場を想定)に対して誤差の少ない電流センサを提供することが可能なことがわかる。
なお、図1、図2では電流センサを3組配置した構造を示しているが、電流センサの組数を増やした構成においても同様の議論が可能である。
最適な実施形態では磁性体コア4の厚みが2mmであり、磁気センサ1の厚みは2mm以下である。電流センサを2mm以下の厚さにおさえることにより、従来の電力演算機能なしの構成の分電盤と比較しても、分電盤全体形状の大型化を抑制できる。また、磁性体コアの厚さとコア厚さ方向の外乱磁場の影響は、密接に関係しており、あまり薄すぎると電力演算精度の悪化につながるため、0.5mm以上2mm以下が最適である。
なお、当然ながらさらに電流センサ5の厚みを小さくすることも可能である。その際は、磁気飽和の影響を避けるために磁性体コア4の材料としてパーマロイを選択する事が好ましい。
ホールセンサ7による検出信号は、信号増幅回路8によって信号増幅され、ΔΣ変調回路9によって量子化され、デジタル信号が外部に出力されるように構成されている。なお、ΔΣ変調回路9は外部からクロックを入力されることで動作するように構成し、磁気センサ6の回路面積を低減している。
ホールセンサ7は、ホールセンサ駆動回路12によって電圧を供給されて動作するように構成されている。ホールセンサ駆動回路12から出力される電圧は、温度特性補正回路11から発生する信号に比例して変化するように構成されている。
なお、温度特性補正回路11から発生する信号は、温度によってある比例係数で変化するように構成されている。
また、温度特性補正回路11の出力する信号の温度比例係数は、記憶回路10の前述とは異なる特定の記憶領域に記憶された値に応じて、調整できるように構成されている。なお、ホールセンサ駆動回路12に出力する信号とオフセット電圧調整回路13に出力する信号の温度比例係数は個別に調整できる。
これにより、個体差や温度特性によらず一定の出力特性を持つ磁気センサを提供でき、高精度な電流検出が可能となる。また、磁性体コアの寸法公差が大きいと磁性体コア内部の発生磁束密度に個体差が生じ、電流センサの出力特性にばらつきが生じるが、これを調整してさらに高精度な電流検出を行うことも可能である。
なお、この実施例では、磁気センサの磁気感度の絶対値を信号増幅回路で、温度特性を駆動回路で調整する構成で説明しているが、本発明の適用範囲は、このような構成に限定されるものではない。
電流センサ5a〜5cは、クロック信号発生回路14からのクロック信号を受けてΔΣ変調されたデジタル信号をそれぞれ出力する。電流センサ5a〜5cから発生したデジタル信号は、デジタルフィルタ回路15によって数値データに変換され、電力演算回路16にて電力値に演算され、演算された電力値は外部に出力される。
なお、上述の実施例はアナログ−デジタル変換回路にΔΣ変調方式を用いた構成としているが、他のアナログ−デジタル変換方式を用いても同様の構成が可能な事は言うまでもない。また、電流センサの組数も3個に限るものでは無い。
2,2a〜2c,3,3a〜3c 導体
4,4a〜4c 磁性体コア
5a〜5c 電流センサ
6 実装基板
7 ホールセンサ
8 信号増幅回路
9 ΔΣ変調回路
10 記憶回路
11 温度特性補正回路
12 ホールセンサ駆動回路
13 オフセット補正調整回路
14 クロック信号発生回路
15 デジタルフィルタ回路
16 電力演算回路
17 電力演算素子
18a〜18c,19a〜19c 基板穴
20 電力演算部
Claims (18)
- 主幹電流から分岐された分岐電流が流れる互いに略平行に配置された2本一対の導体と、
前記略平行に配置された2本一対の導体に流れる電流を検出する電流センサと、
を複数有する分電盤であって、
前記電流センサが、
前記2本一対の導体間に配置される磁気センサと、
前記2本一対の導体と前記磁気センサを覆い、前記磁気センサとの対向位置に第1の凸部を備える筒状の磁性体と、を有し、
前記電流センサが所定の間隔をもって配置されていることを特徴とする分電盤。 - 隣接する前記筒状の磁性体同士の間隔が16mm以内となるように、前記電流センサが所定の間隔をもって配置されていることを特徴とする請求項1に記載の分電盤。
- 前記2本一対の導体に対して略垂直な同一の面に、隣接する前記筒状の磁性体が16mm以内となるように前記電流センサが所定の間隔をもって配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の分電盤。
- 前記磁気センサの感磁面と前記第1の凸部が対向するように前記磁気センサが配置されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の分電盤。
- 前記磁性体の内面に前記第1の凸部と対向する第2の凸部を有し、
前記第1の凸部と前記第2の凸部の間のギャップに前記磁気センサが配置される請求項1から4の何れか1項に記載の分電盤。 - 前記磁気センサの感磁面と前記第2の凸部が対向するように前記磁気センサが配置されることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の分電盤。
- 前記略平行に配置された2本一対の導体は、互いに逆方向の電流が流れる導体であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の分電盤。
- 前記磁気センサが、
磁気検出部と、
磁気検出部の出力信号を増幅する信号増幅回路と、を有し、
前記磁気センサが検出する磁束密度に比例したアナログ出力を外部に出すことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の分電盤。 - 前記磁気センサが、
磁気検出部と、
磁気検出部の出力信号を増幅する信号増幅回路と、
信号増幅回路の出力をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換回路と、を有し、
前記磁気センサが検出する磁束密度に対応したデジタル出力を外部に出すことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の分電盤。 - 前記アナログ−デジタル変換回路が、ΔΣ変調方式を用いたアナログ−デジタル変換回路であることを特徴とする請求項9に記載の分電盤。
- 前記磁気検出部が、ホール効果を利用した磁気検出部であることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の分電盤。
- 前記ホール効果を利用した磁気検出部が、InSb、InAs、GaAsなどのIII−V族化合物半導体を有していることを特徴とする請求項11に記載の分電盤。
- 前記磁気センサが、
記憶回路を有し、
前記記憶回路の記憶した値に応じて前記磁気センサの磁気感度を変更できることを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の分電盤。 - 前記磁気センサが、
記憶回路と、
前記信号増幅回路のオフセット電圧を補正するためのオフセット補正回路と、を有し、
前記記憶回路の記憶した値に応じて前記オフセット補正回路のオフセット電圧補正値を変更できることを特徴とする請求項8から12の何れか1項に記載の分電盤。 - 前記磁気センサが、
記憶回路と、
前記磁気センサの磁気感度あるいはオフセット電圧の温度特性を補正するための電圧を生成する温度特性補正回路と、を有し、
前記記憶回路の記憶した値に応じて前記温度特性補正回路の生成電圧を変更できることを特徴とする請求項8から13の何れか1項に記載の分電盤。 - 前記磁気センサが、
実装基板に半田実装され、
前記実装基板面に対して平行な方向の磁束密度を検出することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の分電盤。 - 前記電流センサにおける前記2本一対の導体の向きに略平行な方向の厚さが、0.5mm以上2mm以下であることを特徴とする請求項1から16の何れか1項に記載の分電盤。
- 前記電流センサの出力値を用いて、前記各分岐電流における消費電力を演算するための演算処理回路を有していることを特徴とする請求項1から17の何れか1項に記載の分電盤。
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