JPWO2003039560A1 - 乳酸オリゴマー混合物を含む抗腫瘍剤 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、ラクチドを特定のアミン化合物の存在下で重合させることにより製造されるポリ乳酸混合物が示す抗腫瘍作用を評価することにより、新規な抗腫瘍剤を提供することである。本発明によれば、ラクチドを下記一般式(3):(式中、Meはアルカリ金属を示す。R1及びR2は各々独立に脂肪族基又は芳香族基を示す。)で表される化合物の存在下で重合させることにより製造される下記一般式(1)又は(2):(式中、mは1〜30の整数を示し、nは1〜30の整数を示す)で表される鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物を含む抗腫瘍剤。
Description
技術分野
本発明は抗腫瘍剤、より詳細には、鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物から成るポリ乳酸混合物を含む抗腫瘍剤に関する。本発明の抗腫瘍剤は、腫瘍縮小効果および転移抑制効果を発揮し、癌の治療に有用である。
背景技術
環状ポリ乳酸を含むポリ乳酸混合物が癌細胞の嫌気的解糖系を抑制し、抗腫瘍効果を発揮することは、自然発癌マウスを使った発癌抑制効果と移植癌組織(ルイス肺癌細胞)を用いた腫瘍増殖抑制効果と転移抑制効果を中心として検討が進められてきた(長戸ら:第56回日本癌学会総会、1997年9月;及び高田ら:第57回日本癌学会総会、1998年9月)。
ポリ乳酸混合物についてはさらに、Chemoprevention効果、抗癌剤や放射線照射との併用効果投与方法や投与量についても検討が重ねられ、高用量投与実験からは顕著な抗腫瘍効果が認められなかった。このような状況に鑑み、新規なポリ乳酸混合物を合成する新たな試みがなされている。
発明の開示
本発明は、ラクチドを特定のアミン化合物の存在下で重合させることにより製造されるポリ乳酸混合物が示す抗腫瘍作用を評価することにより、新規な抗腫瘍剤を提供することを解決すべき課題とした。本発明はまた、上記抗腫瘍剤を利用した飲食品を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ラクチドを特定のアミン化合物の存在下で重合させることにより製造されるポリ乳酸混合物(以下の実施例では、X03と称する)の抗腫瘍効果を、異なる方法で製造されるポリ乳酸混合物(以下の実施例ではX01およびX02と称する)の抗腫瘍効果を比較する実験を行い、前者の有用性を確認することに成功した。特に、本発明のポリ乳酸混合物は、腫瘍重量の抑制を示し、肺転移の顕著な抑制を示した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、ラクチドを下記一般式(3):
(式中、Meはアルカリ金属を示す。R1及びR2は各々独立に脂肪族基又は芳香族基を示す。)
で表される化合物の存在下で重合させることにより製造される下記一般式(1)又は(2):
(式中、mは1〜30の整数を示し、nは1〜30の整数を示す)
で表される鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物(以下、本発明で用いる鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物とも称する)を含む抗腫瘍剤が提供される。
好ましくは、一般式(3)において、Meはリチウムである。
好ましくは、一般式(3)において、R1及びR2は各々独立に炭素数1から6のアルキル基である。
好ましくは、一般式(3)において、Meはリチウムであり、R1及びR2はイソプロピル基である。
好ましくは、一般式(1)において、mは1〜19の整数である。
好ましくは、一般式(2)において、nは1〜25の整数である。
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の抗腫瘍剤を含む、飲食品が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、抗腫瘍剤又は抗腫瘍のための飲食品の製造における、本発明で用いる鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物の使用が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明で用いる鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物の有効量をヒトなどの哺乳動物に投与することを含む、腫瘍を抑制するための方法が提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施方法及び実施態様について詳細に説明する。
本発明の抗腫瘍剤及び飲食品で有効成分として用いられる鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物を製造する際の原料は、乳酸2分子が脱水縮合したラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)である。本発明では、このラクチドを上記一般式(3)で表されるアルカリ金属化合物の存在下で反応させる。以下、一般式(3):
について説明する。
一般式(3)において、Meはアルカリ金属を示し。R1及びR2は各々独立に脂肪族基又は芳香族基を示す。
本明細書で言う脂肪族基としては、炭素数1から12、好ましくは1から6の直鎖状、分枝状、環状又はそれらの組み合わせの飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロオクチル、シクロドデシル等のシクロアルキル基が挙げられる。脂肪族基は二重結合または三重結合を有する不飽和の炭化水素基でもよい。
本明細書で言う芳香族基としては、炭素数は6〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜12、さらに好ましくは6〜10のアリール基及びアリールアルキル基が挙げられる。アリール基としては、フェニル、トリル、ナフチル等が挙げられ、アリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等が挙げられる。
脂肪族基および芳香族基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基の種類は特に限定されないが、例えば、直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキル基、直鎖または分岐、鎖状または環状のアルケニル基、直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキニル基、アリール基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アミノ基、アンモニオ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホ基、メルカプト基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ウレイド基、複素環基(例えば、窒素、酸素およびイオウ等を少なくとも1個以上含み、3ないし12員環の単環、縮合環)、複素環オキシ基、複素環チオ基、アシル基、スルファモイルアミノ基、シリル基、ハロゲン原子などが挙げられる。上記においてアルキル、アルケニル、アルキニル及びアルコキシの炭素数は一般的には1から12であり、好ましくは1から6であり、アリールの炭素数は一般的には6から20であり、好ましくは6から10である。
一般式(3)において、Meはアルカリ金属を示す。アルカリ金属としては、例えば、Li、Na又はKが挙げられ、好ましくはLiである。
一般式(3)で表される化合物で不斉炭素を有するものは、各々(R)体、(S)体、(R),(S)体の何れでもよい。
一般式(3)で表されるアルカリ金属化合物の入手方法は特に限定されず、当業者であれば適宜入手できる。ジイソプロピルアミン等のジアルキルアミンとn−ブチルリチウム等のアルキル化アルカリ金属を反応させることによって得ることができる。より具体的には、この反応は、例えば、窒素雰囲気下などの反応に不活性な条件下において、THF等の不活性溶媒中にジアルキルアミンを含む溶液と、ヘキサン等の不活性溶媒中にアルキル化アルカリ金属を含む溶液とを混合して攪拌することで行うことができる。反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、好ましくは−78℃から室温である。反応時間は適宜設定できる。
ラクチドを一般式(3)の化合物の存在下で重合させる場合、一般式(3)の化合物(Me−N(R1)(R2))の使用量は、ラクチド1モル当たり好ましくは1〜0.1モルであり、より好ましくは0.2〜0.3モルである。
ラクチドの重合反応を行う際の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、好ましくは−100℃〜室温であり、より好ましくは−78℃〜室温である。
ラクチドの重合反応は、好ましくは反応溶媒の存在下で実施される。反応溶媒は反応に不活性な溶媒であれば特に制限されないが、好ましくはテトラヒドロフラン等の環状エーテル、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン等を用いることができる。反応雰囲気としては、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気を使用することができる。反応圧力は特に制約されず、好ましくは常圧である。
上記方法で得られる鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物の組成は、反応助剤として用いる一般式(3)の化合物の種類や反応条件などによって変化するが、好ましくは、環状乳酸オリゴマーよりも鎖状乳酸オリゴマーの含有量が高い。
上記した方法によれば、下記一般式(1)又は(2):
(式中、mは1〜30の整数を示し、nは1〜30の整数を示す)
で表される鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物が製造される。
反応生成物は、通常、mが1〜30、例えば1〜28、1〜25、1〜21、又は1〜19等の整数を示す環状乳酸オリゴマーと、nが1〜30、例えば1〜28又は1〜25等の整数を示す鎖状乳酸オリゴマーとの混合物である。
なお、本明細書で単に「乳酸」と称する場合、この乳酸にはL−乳酸、D−乳酸またはこれらの任意の割合の混合物の全てが包含される。本発明においては好ましくは、乳酸は実質的にL−乳酸から成る。ここで言う「実質的に」とは、ポリ乳酸混合物中におけるL−乳酸単位の比率[即ち、(L−乳酸単位数/L−乳酸単位数+D−乳酸単位数)×100]が、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上であることを意味する。なお、ポリ乳酸混合物中におけるL−乳酸単位の比率は、出発物質として使用する乳酸中に存在するL−乳酸とD−乳酸の比率に依存する。
本発明の抗腫瘍剤は腫瘍の抑制のために広く使用することができる。腫瘍の抑制とはより具体的には、腫瘍発生の防止、腫瘍増大の抑制、腫瘍の退縮、並びに腫瘍の転移の抑制などが含まれ、臨床的には癌及び/又は腫瘍の予防及び/又は治療の全てを包含することを意味する。
本発明の抗腫瘍剤を用いることができる癌の種類は特には限定されず、良性腫瘍及び悪性腫瘍の全てを包含する。癌の具体例としては、悪性黒色腫、悪性リンパ腫、消化器癌、肺癌、食道癌、胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、尿管腫瘍、胆嚢癌、胆管癌、胆道癌、乳癌、肝臓癌、膵臓癌、睾丸腫瘍、上顎癌、舌癌、口唇癌、口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、甲状腺癌、脳腫瘍、カポジ肉腫、血管腫、白血病、真性多血症、神経芽腫、網膜芽腫、骨髄腫、膀胱腫、肉腫、骨肉腫、筋肉腫、皮膚癌、基底細胞癌、皮膚付属器癌、皮膚転移癌、皮膚黒色腫などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の抗腫瘍剤は、他の抗腫瘍剤および/または免疫療法剤と併用することもできる。他の抗腫瘍剤としては、マイトマイシン、アドリアマイシン、シスプラチン、ビンデシン、ビンクリスチン、サイクロフォスファミド、イフォマファミド、ブレオマイシン、ペプレオマイシンもしくはエトポシドなどが挙げられる。また他の免疫療法剤としては、微生物もしくは細菌細胞壁骨核成分;免疫活性多糖天然型もしくは遺伝子工学手法で得られるサイトカイン;またはコロニー刺戟因子のようなものが挙げられ、上記免疫活性多糖としてはレンチナンもしくはシゾフィラン等が、細菌細胞壁骨核成分としてはムラミルジペプチド誘導体等が、微生物としては乳酸菌等が、また天然型もしくは遺伝子工学手法で得られるサイトカインとしてはインターフェロン等が挙げられる。
本発明の抗腫瘍剤は、前記の成分に加えてさらに必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で、医薬品類、医薬部外品類などの製剤に使用される成分や添加剤を任意に選択・併用して製造することができる。本発明の抗腫瘍剤は、単独の医薬品類として使用できる以外に、医薬品類や医薬部外品類などに配合して用いることもできる。
本発明の抗腫瘍剤の形態は特に限定されず、経口投与又は非経口投与用の製剤形態の中から目的に最も適した適宜の形態のものを選択することが可能である。
経口投与に適した製剤形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、ドリンク剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、溶液剤、乳剤、懸濁剤、チュアブル剤などを挙げることができ、非経口投与に適する製剤形態としては、例えば、注射剤(皮下注射、筋肉内注射、又は静脈内注射など)、外用剤、点滴剤、吸入剤、噴霧剤などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
経口投与に適当な液体製剤、例えば、溶液剤、乳剤、又はシロップ剤などは、水、ショ糖、ソルビット、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを用いて製造することができる。また、カプセル剤、錠剤、散剤、又は顆粒剤などの固体製剤の製造には、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いることができる。
非経口投与に適当な注射用又は点滴用の製剤は、好ましくは、受容者の血液と等張な滅菌水性媒体に有効成分である上記の物質を溶解又は懸濁状態で含んでいる。例えば、注射剤の場合、塩溶液、ブドウ糖溶液、又は塩水とブドウ糖溶液との混合物からなる水性媒体などを用いて溶液を調製することができる。腸内投与のための製剤は、例えば、カカオ脂、水素化脂肪、又は水素化カルボン酸などの担体を用いて調製することができ、座剤として提供される。また、噴霧剤の製造には、有効成分である上記の物質を微細な粒子として分散させることができ、受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ有効成分の吸収を容易ならしめる担体を用いることができる。担体としては、具体的には、乳糖又はグリセリンなどが例示される。有効成分である物質及び使用する担体の性質に応じて、エアロゾル又はドライパウダーなどの形態の製剤が調製可能である。これらの非経口投与用製剤には、グリコール類、油類、フレーバー類、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種又は2種以上の飲食品を添加することもできる。
本発明の抗腫瘍剤の投与量及び投与回数は、投与の目的、投与形態、摂取者の年齢、体重又は性別などの条件などを含む種々の要因により適宜設定することができるが、一般的には、有効成分の投与量として一日当り1〜10,000mg/kg、好ましくは10〜2000mg/kg、より好ましくは10〜200mg/kgである。上記投与量の製剤を一日1〜4回程度に分けて投与することが好ましい。本発明の抗腫瘍剤の投与時期は特に限定されない。
本発明はさらに、上記した乳酸オリゴマー混合物を含む飲食品にも関する。即ち、本発明で用いる乳酸オリゴマー混合物は、上記したような単独の製剤の形態で使用するのみならず、飲食品の中に配合して用いることができる。
本発明の飲食品は、乳酸オリゴマー混合物を分解させることなく配合し得るものであれば、その配合形態には特に制限はない。
本発明の飲食品の製品の具体例としては、清涼飲料、ドリンク剤、健康食品、特定保健用食品、機能性食品、機能活性型食品、栄養補助食品、サプレメント、飼料、飼料添加物などと一般に呼称される、飲料を含む健康食品または補助食品が挙げられる。また、本発明の抗腫瘍剤は、獣医薬、餌飼料等として用いることもできる。
飲食品の具体例としては、例えば、チューインガム、チョコレート、キャンディー、錠菓、ゼリー、クッキー、ビスケット、ヨーグルト等の菓子類、アイスクリーム、氷菓等の冷菓類、茶、清涼飲料(ジュース、コーヒー、ココア等を含む)、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等の飲料、パン、ハム、スープ、ジャム、スパゲティー、冷凍食品など任意の飲食品を挙げることができる。あるいは、本発明で用いる乳酸オリゴマー混合物は調味料又は食品添加剤などに添加して用いることもできる。本発明の飲食品を摂取することにより抗腫瘍効果が発揮され、実質的に有害な副作用を示さない安全な飲食品を提供することができる。
本発明の飲食品は、乳酸オリゴマー混合物を、食品に使われる一般的な原料に直接混合、分散したのち、公知の方法により所望の形態に加工することによって得ることができる。
本発明の飲食品はあらゆる形態の飲食品を包含するものであり、その種類は特に制限されず、上記したような各種飲食物、あるいは各種栄養組成物、例えば各種の経口又は経腸栄養剤や飲料等に、本発明の抗腫瘍剤を配合して飲食品として提供することができる。このような飲食品の組成としては、乳酸オリゴマー混合物の他に、蛋白質、脂質、糖質、ビタミン及び/又はミネラル類などを含めることができる。飲食品の形態は特に限定されず、摂取しやすい形態であれば、固形、粉末、液体、ゲル状、スラリー状等のいずれであってもよい。
飲食品中における乳酸オリゴマー混合物の含有量は特には限定されないが、一般的には0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%程度である。
飲食品に含まれる乳酸オリゴマー混合物の量は、本発明の目的とする抗腫瘍作用を発揮できる程度に含まれることが好ましく、好ましくは摂取される飲食物1食中に0.1gから10g程度、より好ましくは0.5gから3g程度である。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によっていかなる点においても限定されることはない。
実施例
合成例1:ポリ乳酸混合物(以下、X01とも称する)の製造
マントルヒーターに収めたセパラブルフラスコにL−乳酸(D−乳酸も混入しているもの)500mlを入れた。窒素ガス300ml/分の流入及び撹拌を行い、溜出水は保温した下降型接続管を経て還流冷却器付フラスコに導きながら、145℃で3時間加熱した。更に150mmHgに減圧して同温度で3時間加熱した後、3mmHgの減圧下155℃で3時間、最後に3mmHgの減圧下185℃で1.5時間加熱し、反応生成物であるポリ乳酸を得た。
得られたポリ乳酸は100℃に保ち、エタノール100mlに続いてメタノール400mlをそれぞれ加えた後放冷した。これをメタノール500ml中に加え、よく撹拌して静置した後濾過して精製した。その濾液を減圧乾燥してアセトニトリルに溶解し、全量を200ml(原液)とした。
この原液を、予め平衡化した逆相ODSカラム(TSK gel ODS−80TM)にかけ、0.01M塩酸を含む30%、50%および100%アセトニトリル(pH2.0)でステップワイズに溶離し、アセトニトリル100%溶出画分であるポリ乳酸(縮合度3〜20)を得た。得られた物質の質量スペクトルを図1に示す。図1中の規則的なフラグメントイオンピークから明らかなように、得られたポリ乳酸の混合物は、環状縮合体と直鎖状縮合体とが混在した状態になっている。
合成例2:環状ポリ乳酸混合物(以下、X02とも称する)の製造
(s)−(+)−乳酸10.0gを内容積100mlのナス型フラスコに入れ、これをロータリーエバポレータにセットする。フラスコ内の圧力を350〜400mmHgに調節し、140℃まで加熱し、同圧力及び同温度で6時間反応を続ける(第1加熱工程)。この反応により生成した副生水はこれを留去した。また、前記反応条件下では、ラクチドは殆んど系外へ留去しなかった。
次に、反応温度を150〜160℃に上昇させ、反応圧力を約6時間かけて400mmHgから徐々に下げ、15〜20mmHgまで降下させた(降圧速度:1mmHg/分)。この降圧速度の条件では、副生水は留去されたが、ラクチドは殆んど留去されなかった。その後、圧力を15〜20mmHgに保ち、6時間反応を継続した(第2加熱工程)。
次に、圧力を30分かけて1〜3mmHgにまで下げ、160℃の反応温度で5時間反応を続けた(第3加熱工程)。
前記反応終了後、反応生成物を分析した結果、平均重合度が3〜21の環状オリゴマー6.80g(収率85%)が得られた。
合成例2で得られた反応生成物のMSスペクトルを図2に示す。また、合成例2で得られた反応生成物のNMRの全体図を図3に、図3の一部分の拡大図を図4及び図5に示す。
合成例3:乳酸オリゴマー混合物(以下、X03とも称する)の製造
合成例3の反応図を以下に示す。
窒素雰囲気下、0℃でジイソプロピルアミン0.101g(1mmol)の5mL THF溶液にn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)0.63mL(1mmol)を加え、10分間攪拌し、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)とした後、L−(−)−ラクチド0.577g(4mmol)の4mL THF溶液を加え、15分間攪拌し反応させた。この反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液20mLを加え、反応を処理し、さらに水10mLを加えた。THF(50mL)で5回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾別した後、有機溶媒を減圧濃縮し、粗生成物0.53gを得た。得られた粗生成物にエーテル6mLを加え、超音波洗浄器にて10分間浸漬し、濾過し、融点125〜129℃の白色固体生成物0.39gを得た。
得られた生成物の物性データを図6から図12に示す。図6から図12に示したFABMS及びNMRデータから、固体生成物中に3量体から21量体の環状乳酸オリゴマーと3量体から27量体の鎖状乳酸オリゴマーが存在することが確認された。
試験例1:
(A)材料と方法
(1)実験動物と腫瘍細胞の移植
9週齢のメスマウス(C57BL/6N)の右大腿部筋肉内に1×104個のルイス肺癌細胞を移植した。
(2)被検物質の投与
マウスに、コントロール群(溶媒投与群)、X01投与群、X02投与群及びX03投与群に分けた。X03の投与は経口投与あるいは腹腔投与とし、経口投与では0.1%粉末混餌飼料を与え、腹腔投与では1.0mg/匹を隔日投与した。投与は、移植後2日目から始め、17〜19日目に安楽死させるまで継続した。
(3)組織学的検討
摘出した腫瘍組織から中心部の海綿状組織を取り除いた後、組織片を細切して固定し、脱水を経て親水性メタクリル樹脂に包埋した。包埋した組織ブロックから切片を作成し、H−E染色を施し、観察した。
(B)結果およびまとめ
(1)腫瘍重量について
腫瘍重量の測定結果を図13に示す。X03を経口投与した場合、X02を腹腔投与した場合と同様に腫瘍組織の増殖抑制効果が顕著に認められる(図13)。一方、X01では経口投与および腹腔投与では腫瘍自体の重量に有意差がなく、海綿状組織が有意に増加した。
(2)肺転移コロニーと腫瘍重量について
肺転移コロニーは、直径2mm以上ある大きなコロニーから針の先で突いたような微小なものまである。コロニー数の増加に従って、巨大なコロニーが増える傾向にあったが、ここではその総数と腫瘍重量との関係を図15に示す。コロニー数が有意に減少したのは、X01の4mg腹腔投与群、X02の1mg腹腔投与群、およびX03の1mg腹腔投与群と経口投与群(0.1%)である。腫瘍重量の抑制が有意に認められたのは、X02およびX03投与群であり、X01投与群では認められなかった。
(3)まとめ
以上の結果に好中球の観察結果を加えたものを以下の表1に示す。コントロールに比べ、効果があったものは○、その中で特に顕著であったものを◎、あまり効果がなかったものを△、効果が全く認められなかったものを×とした。X03は好中球が腫瘍組織中に浸潤し、肺転移抑制効果が最も顕著であった。
産業上の利用の可能性
本発明により、新規な抗腫瘍剤、並びにそれを利用した飲食品を提供することが可能になった。また、本発明において有効成分として用いられるポリ乳酸混合物は、生体成分に由来する乳酸の低縮合体であることから、生体適合性が高く、副作用が少ない。
【図面の簡単な説明】
図1は、合成例1で得られたポリ乳酸混合物の質量スペクトルを示す。
図2は、合成例2で得られた反応生成物のMSスペクトルを示す。
図3は、合成例2で得られた反応生成物のNMRの全体図を示す。
図4は、図3の一部分の拡大図を示す。
図5は、図3の一部分の拡大図を示す。
図6は、合成例3で得た生成物のpositiveモードFABMSスペクトルの全体図を示す。Range:m/z 10.0000〜1305.5900
図7は、合成例3で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの全体図を示す。Range:m/z 10.0000〜2000.0000
図8は、合成例3で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの拡大図を示す。Range:m/z 10.0000〜501.9260
図9は、合成例3で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの拡大図を示す。Range:m/z 490.2980〜1003.7700
図10は、合成例3で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの拡大図を示す。Range:m/z 999.9500〜1504.3400
図11は、合成例3で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの拡大図を示す。Range:m/z 1484.5300〜2000.0000
図12は、合成例3で得た生成物のNMRスペクトルの全体図を示す。
図13は、腫瘍重量の測定結果の比較を示す。
図14は、肺転移コロニー数と腫瘍重量の測定結果の比較を示す。
本発明は抗腫瘍剤、より詳細には、鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物から成るポリ乳酸混合物を含む抗腫瘍剤に関する。本発明の抗腫瘍剤は、腫瘍縮小効果および転移抑制効果を発揮し、癌の治療に有用である。
背景技術
環状ポリ乳酸を含むポリ乳酸混合物が癌細胞の嫌気的解糖系を抑制し、抗腫瘍効果を発揮することは、自然発癌マウスを使った発癌抑制効果と移植癌組織(ルイス肺癌細胞)を用いた腫瘍増殖抑制効果と転移抑制効果を中心として検討が進められてきた(長戸ら:第56回日本癌学会総会、1997年9月;及び高田ら:第57回日本癌学会総会、1998年9月)。
ポリ乳酸混合物についてはさらに、Chemoprevention効果、抗癌剤や放射線照射との併用効果投与方法や投与量についても検討が重ねられ、高用量投与実験からは顕著な抗腫瘍効果が認められなかった。このような状況に鑑み、新規なポリ乳酸混合物を合成する新たな試みがなされている。
発明の開示
本発明は、ラクチドを特定のアミン化合物の存在下で重合させることにより製造されるポリ乳酸混合物が示す抗腫瘍作用を評価することにより、新規な抗腫瘍剤を提供することを解決すべき課題とした。本発明はまた、上記抗腫瘍剤を利用した飲食品を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ラクチドを特定のアミン化合物の存在下で重合させることにより製造されるポリ乳酸混合物(以下の実施例では、X03と称する)の抗腫瘍効果を、異なる方法で製造されるポリ乳酸混合物(以下の実施例ではX01およびX02と称する)の抗腫瘍効果を比較する実験を行い、前者の有用性を確認することに成功した。特に、本発明のポリ乳酸混合物は、腫瘍重量の抑制を示し、肺転移の顕著な抑制を示した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、ラクチドを下記一般式(3):
(式中、Meはアルカリ金属を示す。R1及びR2は各々独立に脂肪族基又は芳香族基を示す。)
で表される化合物の存在下で重合させることにより製造される下記一般式(1)又は(2):
(式中、mは1〜30の整数を示し、nは1〜30の整数を示す)
で表される鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物(以下、本発明で用いる鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物とも称する)を含む抗腫瘍剤が提供される。
好ましくは、一般式(3)において、Meはリチウムである。
好ましくは、一般式(3)において、R1及びR2は各々独立に炭素数1から6のアルキル基である。
好ましくは、一般式(3)において、Meはリチウムであり、R1及びR2はイソプロピル基である。
好ましくは、一般式(1)において、mは1〜19の整数である。
好ましくは、一般式(2)において、nは1〜25の整数である。
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の抗腫瘍剤を含む、飲食品が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、抗腫瘍剤又は抗腫瘍のための飲食品の製造における、本発明で用いる鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物の使用が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明で用いる鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物の有効量をヒトなどの哺乳動物に投与することを含む、腫瘍を抑制するための方法が提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施方法及び実施態様について詳細に説明する。
本発明の抗腫瘍剤及び飲食品で有効成分として用いられる鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物を製造する際の原料は、乳酸2分子が脱水縮合したラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)である。本発明では、このラクチドを上記一般式(3)で表されるアルカリ金属化合物の存在下で反応させる。以下、一般式(3):
について説明する。
一般式(3)において、Meはアルカリ金属を示し。R1及びR2は各々独立に脂肪族基又は芳香族基を示す。
本明細書で言う脂肪族基としては、炭素数1から12、好ましくは1から6の直鎖状、分枝状、環状又はそれらの組み合わせの飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロオクチル、シクロドデシル等のシクロアルキル基が挙げられる。脂肪族基は二重結合または三重結合を有する不飽和の炭化水素基でもよい。
本明細書で言う芳香族基としては、炭素数は6〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜12、さらに好ましくは6〜10のアリール基及びアリールアルキル基が挙げられる。アリール基としては、フェニル、トリル、ナフチル等が挙げられ、アリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等が挙げられる。
脂肪族基および芳香族基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基の種類は特に限定されないが、例えば、直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキル基、直鎖または分岐、鎖状または環状のアルケニル基、直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキニル基、アリール基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アミノ基、アンモニオ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホ基、メルカプト基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ウレイド基、複素環基(例えば、窒素、酸素およびイオウ等を少なくとも1個以上含み、3ないし12員環の単環、縮合環)、複素環オキシ基、複素環チオ基、アシル基、スルファモイルアミノ基、シリル基、ハロゲン原子などが挙げられる。上記においてアルキル、アルケニル、アルキニル及びアルコキシの炭素数は一般的には1から12であり、好ましくは1から6であり、アリールの炭素数は一般的には6から20であり、好ましくは6から10である。
一般式(3)において、Meはアルカリ金属を示す。アルカリ金属としては、例えば、Li、Na又はKが挙げられ、好ましくはLiである。
一般式(3)で表される化合物で不斉炭素を有するものは、各々(R)体、(S)体、(R),(S)体の何れでもよい。
一般式(3)で表されるアルカリ金属化合物の入手方法は特に限定されず、当業者であれば適宜入手できる。ジイソプロピルアミン等のジアルキルアミンとn−ブチルリチウム等のアルキル化アルカリ金属を反応させることによって得ることができる。より具体的には、この反応は、例えば、窒素雰囲気下などの反応に不活性な条件下において、THF等の不活性溶媒中にジアルキルアミンを含む溶液と、ヘキサン等の不活性溶媒中にアルキル化アルカリ金属を含む溶液とを混合して攪拌することで行うことができる。反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、好ましくは−78℃から室温である。反応時間は適宜設定できる。
ラクチドを一般式(3)の化合物の存在下で重合させる場合、一般式(3)の化合物(Me−N(R1)(R2))の使用量は、ラクチド1モル当たり好ましくは1〜0.1モルであり、より好ましくは0.2〜0.3モルである。
ラクチドの重合反応を行う際の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、好ましくは−100℃〜室温であり、より好ましくは−78℃〜室温である。
ラクチドの重合反応は、好ましくは反応溶媒の存在下で実施される。反応溶媒は反応に不活性な溶媒であれば特に制限されないが、好ましくはテトラヒドロフラン等の環状エーテル、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン等を用いることができる。反応雰囲気としては、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気を使用することができる。反応圧力は特に制約されず、好ましくは常圧である。
上記方法で得られる鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物の組成は、反応助剤として用いる一般式(3)の化合物の種類や反応条件などによって変化するが、好ましくは、環状乳酸オリゴマーよりも鎖状乳酸オリゴマーの含有量が高い。
上記した方法によれば、下記一般式(1)又は(2):
(式中、mは1〜30の整数を示し、nは1〜30の整数を示す)
で表される鎖状及び環状の乳酸オリゴマー混合物が製造される。
反応生成物は、通常、mが1〜30、例えば1〜28、1〜25、1〜21、又は1〜19等の整数を示す環状乳酸オリゴマーと、nが1〜30、例えば1〜28又は1〜25等の整数を示す鎖状乳酸オリゴマーとの混合物である。
なお、本明細書で単に「乳酸」と称する場合、この乳酸にはL−乳酸、D−乳酸またはこれらの任意の割合の混合物の全てが包含される。本発明においては好ましくは、乳酸は実質的にL−乳酸から成る。ここで言う「実質的に」とは、ポリ乳酸混合物中におけるL−乳酸単位の比率[即ち、(L−乳酸単位数/L−乳酸単位数+D−乳酸単位数)×100]が、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上であることを意味する。なお、ポリ乳酸混合物中におけるL−乳酸単位の比率は、出発物質として使用する乳酸中に存在するL−乳酸とD−乳酸の比率に依存する。
本発明の抗腫瘍剤は腫瘍の抑制のために広く使用することができる。腫瘍の抑制とはより具体的には、腫瘍発生の防止、腫瘍増大の抑制、腫瘍の退縮、並びに腫瘍の転移の抑制などが含まれ、臨床的には癌及び/又は腫瘍の予防及び/又は治療の全てを包含することを意味する。
本発明の抗腫瘍剤を用いることができる癌の種類は特には限定されず、良性腫瘍及び悪性腫瘍の全てを包含する。癌の具体例としては、悪性黒色腫、悪性リンパ腫、消化器癌、肺癌、食道癌、胃癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、尿管腫瘍、胆嚢癌、胆管癌、胆道癌、乳癌、肝臓癌、膵臓癌、睾丸腫瘍、上顎癌、舌癌、口唇癌、口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、甲状腺癌、脳腫瘍、カポジ肉腫、血管腫、白血病、真性多血症、神経芽腫、網膜芽腫、骨髄腫、膀胱腫、肉腫、骨肉腫、筋肉腫、皮膚癌、基底細胞癌、皮膚付属器癌、皮膚転移癌、皮膚黒色腫などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の抗腫瘍剤は、他の抗腫瘍剤および/または免疫療法剤と併用することもできる。他の抗腫瘍剤としては、マイトマイシン、アドリアマイシン、シスプラチン、ビンデシン、ビンクリスチン、サイクロフォスファミド、イフォマファミド、ブレオマイシン、ペプレオマイシンもしくはエトポシドなどが挙げられる。また他の免疫療法剤としては、微生物もしくは細菌細胞壁骨核成分;免疫活性多糖天然型もしくは遺伝子工学手法で得られるサイトカイン;またはコロニー刺戟因子のようなものが挙げられ、上記免疫活性多糖としてはレンチナンもしくはシゾフィラン等が、細菌細胞壁骨核成分としてはムラミルジペプチド誘導体等が、微生物としては乳酸菌等が、また天然型もしくは遺伝子工学手法で得られるサイトカインとしてはインターフェロン等が挙げられる。
本発明の抗腫瘍剤は、前記の成分に加えてさらに必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で、医薬品類、医薬部外品類などの製剤に使用される成分や添加剤を任意に選択・併用して製造することができる。本発明の抗腫瘍剤は、単独の医薬品類として使用できる以外に、医薬品類や医薬部外品類などに配合して用いることもできる。
本発明の抗腫瘍剤の形態は特に限定されず、経口投与又は非経口投与用の製剤形態の中から目的に最も適した適宜の形態のものを選択することが可能である。
経口投与に適した製剤形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、ドリンク剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、溶液剤、乳剤、懸濁剤、チュアブル剤などを挙げることができ、非経口投与に適する製剤形態としては、例えば、注射剤(皮下注射、筋肉内注射、又は静脈内注射など)、外用剤、点滴剤、吸入剤、噴霧剤などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
経口投与に適当な液体製剤、例えば、溶液剤、乳剤、又はシロップ剤などは、水、ショ糖、ソルビット、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを用いて製造することができる。また、カプセル剤、錠剤、散剤、又は顆粒剤などの固体製剤の製造には、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いることができる。
非経口投与に適当な注射用又は点滴用の製剤は、好ましくは、受容者の血液と等張な滅菌水性媒体に有効成分である上記の物質を溶解又は懸濁状態で含んでいる。例えば、注射剤の場合、塩溶液、ブドウ糖溶液、又は塩水とブドウ糖溶液との混合物からなる水性媒体などを用いて溶液を調製することができる。腸内投与のための製剤は、例えば、カカオ脂、水素化脂肪、又は水素化カルボン酸などの担体を用いて調製することができ、座剤として提供される。また、噴霧剤の製造には、有効成分である上記の物質を微細な粒子として分散させることができ、受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ有効成分の吸収を容易ならしめる担体を用いることができる。担体としては、具体的には、乳糖又はグリセリンなどが例示される。有効成分である物質及び使用する担体の性質に応じて、エアロゾル又はドライパウダーなどの形態の製剤が調製可能である。これらの非経口投与用製剤には、グリコール類、油類、フレーバー類、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種又は2種以上の飲食品を添加することもできる。
本発明の抗腫瘍剤の投与量及び投与回数は、投与の目的、投与形態、摂取者の年齢、体重又は性別などの条件などを含む種々の要因により適宜設定することができるが、一般的には、有効成分の投与量として一日当り1〜10,000mg/kg、好ましくは10〜2000mg/kg、より好ましくは10〜200mg/kgである。上記投与量の製剤を一日1〜4回程度に分けて投与することが好ましい。本発明の抗腫瘍剤の投与時期は特に限定されない。
本発明はさらに、上記した乳酸オリゴマー混合物を含む飲食品にも関する。即ち、本発明で用いる乳酸オリゴマー混合物は、上記したような単独の製剤の形態で使用するのみならず、飲食品の中に配合して用いることができる。
本発明の飲食品は、乳酸オリゴマー混合物を分解させることなく配合し得るものであれば、その配合形態には特に制限はない。
本発明の飲食品の製品の具体例としては、清涼飲料、ドリンク剤、健康食品、特定保健用食品、機能性食品、機能活性型食品、栄養補助食品、サプレメント、飼料、飼料添加物などと一般に呼称される、飲料を含む健康食品または補助食品が挙げられる。また、本発明の抗腫瘍剤は、獣医薬、餌飼料等として用いることもできる。
飲食品の具体例としては、例えば、チューインガム、チョコレート、キャンディー、錠菓、ゼリー、クッキー、ビスケット、ヨーグルト等の菓子類、アイスクリーム、氷菓等の冷菓類、茶、清涼飲料(ジュース、コーヒー、ココア等を含む)、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等の飲料、パン、ハム、スープ、ジャム、スパゲティー、冷凍食品など任意の飲食品を挙げることができる。あるいは、本発明で用いる乳酸オリゴマー混合物は調味料又は食品添加剤などに添加して用いることもできる。本発明の飲食品を摂取することにより抗腫瘍効果が発揮され、実質的に有害な副作用を示さない安全な飲食品を提供することができる。
本発明の飲食品は、乳酸オリゴマー混合物を、食品に使われる一般的な原料に直接混合、分散したのち、公知の方法により所望の形態に加工することによって得ることができる。
本発明の飲食品はあらゆる形態の飲食品を包含するものであり、その種類は特に制限されず、上記したような各種飲食物、あるいは各種栄養組成物、例えば各種の経口又は経腸栄養剤や飲料等に、本発明の抗腫瘍剤を配合して飲食品として提供することができる。このような飲食品の組成としては、乳酸オリゴマー混合物の他に、蛋白質、脂質、糖質、ビタミン及び/又はミネラル類などを含めることができる。飲食品の形態は特に限定されず、摂取しやすい形態であれば、固形、粉末、液体、ゲル状、スラリー状等のいずれであってもよい。
飲食品中における乳酸オリゴマー混合物の含有量は特には限定されないが、一般的には0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%程度である。
飲食品に含まれる乳酸オリゴマー混合物の量は、本発明の目的とする抗腫瘍作用を発揮できる程度に含まれることが好ましく、好ましくは摂取される飲食物1食中に0.1gから10g程度、より好ましくは0.5gから3g程度である。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によっていかなる点においても限定されることはない。
実施例
合成例1:ポリ乳酸混合物(以下、X01とも称する)の製造
マントルヒーターに収めたセパラブルフラスコにL−乳酸(D−乳酸も混入しているもの)500mlを入れた。窒素ガス300ml/分の流入及び撹拌を行い、溜出水は保温した下降型接続管を経て還流冷却器付フラスコに導きながら、145℃で3時間加熱した。更に150mmHgに減圧して同温度で3時間加熱した後、3mmHgの減圧下155℃で3時間、最後に3mmHgの減圧下185℃で1.5時間加熱し、反応生成物であるポリ乳酸を得た。
得られたポリ乳酸は100℃に保ち、エタノール100mlに続いてメタノール400mlをそれぞれ加えた後放冷した。これをメタノール500ml中に加え、よく撹拌して静置した後濾過して精製した。その濾液を減圧乾燥してアセトニトリルに溶解し、全量を200ml(原液)とした。
この原液を、予め平衡化した逆相ODSカラム(TSK gel ODS−80TM)にかけ、0.01M塩酸を含む30%、50%および100%アセトニトリル(pH2.0)でステップワイズに溶離し、アセトニトリル100%溶出画分であるポリ乳酸(縮合度3〜20)を得た。得られた物質の質量スペクトルを図1に示す。図1中の規則的なフラグメントイオンピークから明らかなように、得られたポリ乳酸の混合物は、環状縮合体と直鎖状縮合体とが混在した状態になっている。
合成例2:環状ポリ乳酸混合物(以下、X02とも称する)の製造
(s)−(+)−乳酸10.0gを内容積100mlのナス型フラスコに入れ、これをロータリーエバポレータにセットする。フラスコ内の圧力を350〜400mmHgに調節し、140℃まで加熱し、同圧力及び同温度で6時間反応を続ける(第1加熱工程)。この反応により生成した副生水はこれを留去した。また、前記反応条件下では、ラクチドは殆んど系外へ留去しなかった。
次に、反応温度を150〜160℃に上昇させ、反応圧力を約6時間かけて400mmHgから徐々に下げ、15〜20mmHgまで降下させた(降圧速度:1mmHg/分)。この降圧速度の条件では、副生水は留去されたが、ラクチドは殆んど留去されなかった。その後、圧力を15〜20mmHgに保ち、6時間反応を継続した(第2加熱工程)。
次に、圧力を30分かけて1〜3mmHgにまで下げ、160℃の反応温度で5時間反応を続けた(第3加熱工程)。
前記反応終了後、反応生成物を分析した結果、平均重合度が3〜21の環状オリゴマー6.80g(収率85%)が得られた。
合成例2で得られた反応生成物のMSスペクトルを図2に示す。また、合成例2で得られた反応生成物のNMRの全体図を図3に、図3の一部分の拡大図を図4及び図5に示す。
合成例3:乳酸オリゴマー混合物(以下、X03とも称する)の製造
合成例3の反応図を以下に示す。
窒素雰囲気下、0℃でジイソプロピルアミン0.101g(1mmol)の5mL THF溶液にn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)0.63mL(1mmol)を加え、10分間攪拌し、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)とした後、L−(−)−ラクチド0.577g(4mmol)の4mL THF溶液を加え、15分間攪拌し反応させた。この反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液20mLを加え、反応を処理し、さらに水10mLを加えた。THF(50mL)で5回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾別した後、有機溶媒を減圧濃縮し、粗生成物0.53gを得た。得られた粗生成物にエーテル6mLを加え、超音波洗浄器にて10分間浸漬し、濾過し、融点125〜129℃の白色固体生成物0.39gを得た。
得られた生成物の物性データを図6から図12に示す。図6から図12に示したFABMS及びNMRデータから、固体生成物中に3量体から21量体の環状乳酸オリゴマーと3量体から27量体の鎖状乳酸オリゴマーが存在することが確認された。
試験例1:
(A)材料と方法
(1)実験動物と腫瘍細胞の移植
9週齢のメスマウス(C57BL/6N)の右大腿部筋肉内に1×104個のルイス肺癌細胞を移植した。
(2)被検物質の投与
マウスに、コントロール群(溶媒投与群)、X01投与群、X02投与群及びX03投与群に分けた。X03の投与は経口投与あるいは腹腔投与とし、経口投与では0.1%粉末混餌飼料を与え、腹腔投与では1.0mg/匹を隔日投与した。投与は、移植後2日目から始め、17〜19日目に安楽死させるまで継続した。
(3)組織学的検討
摘出した腫瘍組織から中心部の海綿状組織を取り除いた後、組織片を細切して固定し、脱水を経て親水性メタクリル樹脂に包埋した。包埋した組織ブロックから切片を作成し、H−E染色を施し、観察した。
(B)結果およびまとめ
(1)腫瘍重量について
腫瘍重量の測定結果を図13に示す。X03を経口投与した場合、X02を腹腔投与した場合と同様に腫瘍組織の増殖抑制効果が顕著に認められる(図13)。一方、X01では経口投与および腹腔投与では腫瘍自体の重量に有意差がなく、海綿状組織が有意に増加した。
(2)肺転移コロニーと腫瘍重量について
肺転移コロニーは、直径2mm以上ある大きなコロニーから針の先で突いたような微小なものまである。コロニー数の増加に従って、巨大なコロニーが増える傾向にあったが、ここではその総数と腫瘍重量との関係を図15に示す。コロニー数が有意に減少したのは、X01の4mg腹腔投与群、X02の1mg腹腔投与群、およびX03の1mg腹腔投与群と経口投与群(0.1%)である。腫瘍重量の抑制が有意に認められたのは、X02およびX03投与群であり、X01投与群では認められなかった。
(3)まとめ
以上の結果に好中球の観察結果を加えたものを以下の表1に示す。コントロールに比べ、効果があったものは○、その中で特に顕著であったものを◎、あまり効果がなかったものを△、効果が全く認められなかったものを×とした。X03は好中球が腫瘍組織中に浸潤し、肺転移抑制効果が最も顕著であった。
産業上の利用の可能性
本発明により、新規な抗腫瘍剤、並びにそれを利用した飲食品を提供することが可能になった。また、本発明において有効成分として用いられるポリ乳酸混合物は、生体成分に由来する乳酸の低縮合体であることから、生体適合性が高く、副作用が少ない。
【図面の簡単な説明】
図1は、合成例1で得られたポリ乳酸混合物の質量スペクトルを示す。
図2は、合成例2で得られた反応生成物のMSスペクトルを示す。
図3は、合成例2で得られた反応生成物のNMRの全体図を示す。
図4は、図3の一部分の拡大図を示す。
図5は、図3の一部分の拡大図を示す。
図6は、合成例3で得た生成物のpositiveモードFABMSスペクトルの全体図を示す。Range:m/z 10.0000〜1305.5900
図7は、合成例3で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの全体図を示す。Range:m/z 10.0000〜2000.0000
図8は、合成例3で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの拡大図を示す。Range:m/z 10.0000〜501.9260
図9は、合成例3で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの拡大図を示す。Range:m/z 490.2980〜1003.7700
図10は、合成例3で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの拡大図を示す。Range:m/z 999.9500〜1504.3400
図11は、合成例3で得た生成物のnegativeモードFABMSスペクトルの拡大図を示す。Range:m/z 1484.5300〜2000.0000
図12は、合成例3で得た生成物のNMRスペクトルの全体図を示す。
図13は、腫瘍重量の測定結果の比較を示す。
図14は、肺転移コロニー数と腫瘍重量の測定結果の比較を示す。
Claims (7)
- 一般式(3)において、Meがリチウムである、請求項1に記載の抗腫瘍剤。
- 一般式(3)において、R1及びR2が各々独立に炭素数1から6のアルキル基である、請求項1又は2に記載の抗腫瘍剤。
- 一般式(3)において、Meがリチウムであり、R1及びR2がイソプロピル基である、請求項1から3の何れかに記載の抗腫瘍剤。
- 一般式(1)において、mが1〜19の整数である、請求項1から4の何れかに記載の抗腫瘍剤。
- 一般式(2)において、nが1〜25の整数である、請求項1から5の何れかに記載の抗腫瘍剤。
- 請求項1から6の何れかに記載の抗腫瘍剤を含む、飲食品。
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