JP7018531B1 - Axl阻害剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】AXLタンパク質活性が関与する疾患(がん、ウイルス感染症、肺線維症、特発性間質性肺炎、非アルコール性脂肪肝炎、肝硬変、免疫系疾患、又は循環器系疾患)の予防又は治療のために用いられる組成物を提供する。【解決手段】下式(I)に示されるベンズアルデヒド化合物又はその薬学的に許容される塩を含むAXL阻害剤を含有する医薬組成物。TIFF0007018531000017.tif2744(式中、R1は-CHO、-CXO(ここで、Xはハロゲン基)、ジオキソラニル基、ジオキサニル基、-CH=N-R3(R3は低級アルキル基)等を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、ベンズアルデヒド化合物を含むAXL阻害剤、その阻害剤を含む医薬組成物、サプリメント組成物又は抗がん剤組成物などに関する。
ベンズアルデヒド又はその誘導体は、東風睦之博士によってその抗がん活性が見いだされた物質である(例えば、特許文献1)。その後東風らの研究によって、種々のベンズアルデヒド化合物(例えば、ベンズアルデヒド、5,6-0-ベンジリデン-L-アスコルビン酸ナトリウム塩、4,6-0-ベンジリデン-D-グルコピラノースなど)について、抗がん活性;抗HIV活性;活性酸素種の消去活性(抗酸化活性);インフルエンザの治療活性;神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症など)、てんかん、心疾患、糖尿病性疾患などの予防・治療作用などが見いだされている(特許文献2~7及び非特許文献1~3など)。
ベンズアルデヒドは最も単純な芳香族アルデヒドで安価でもあり、正常細胞に対する細胞障害性がほとんどなく化学療法による苦痛を軽減できる可能性の高い物質である。
一方、最近、AXLタンパク質の役割が新たに見いだされている。例えば、Cell Research (2021) 31:126-140(2021年1月8日オンラインで公開;非特許文献4)は、AXLタンパク質は、肺および気管支上皮細胞の感染を促進するSARS-CoV-2の候補受容体であることを記載している。
また、Nature Communications,第10巻,文献番号: 259 (2019)(非特許文献5)は、AXLは、オシメルチニブ(EGFR阻害剤)に対する固有の耐性を付与し、耐性細胞の出現を促進することを開示している。
国際公開WO2019/074116号(特許文献8)は、Axl阻害剤である「N-{5-[(6,7-ジメトキシ-4-キノリニル)オキシ]-2-ピリジニル}-2,5-ジオキソ-1-フェニル-1,2,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-3-キノリンカルボキサミド」とオシメルチニブを組み合わせて用いる抗がん剤を開示している。
特公昭54-962号 特公昭63-10685号明細書 特開平7-242632 特公平3-33127号明細書 特開平8-217675号明細書 特公昭44-12747号明細書(特許第560349号) 特開2017-43616号 国際公開WO2019/074116号
Takeuchi, S.ら, Agric Biol Chem 42: 1449-1451, 1978 Kochi, M.ら, The 13th International Cancer Congres, Seattle, 1982 Kochi, M.ら, The 14th International Cancer Congress, Budapest, 1986 Cell Research (2021) 31:126-140(2021年1月8日オンラインで公開) Nature Communications,第10巻,文献番号: 259 (2019)
上記したように、ベンズアルデヒド又はその誘導体(以下、「ベンズアルデヒド化合物」ともいう)は、種々の有用な活性を有しており有用な物質であると考えられる。しかしながら、その作用機序については、未だ完全に明らかにされていいない。
このような状況において、ベンズアルデヒド化合物の新規作用機序に基づく新たな用途の開発が望まれる。
本発明は、ベンズアルデヒド化合物がAXLタンパク質の発現を阻害することを見いだし、次のような発明を提供するものである。
すなわち、本発明は、以下の実施態様に係る、AXL阻害剤、それを含む医薬組成物、サプリメント組成物又は抗がん剤組成物、AXL阻害剤を含む組合せ剤などを提供する。
(1)ベンズアルデヒド化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、AXL阻害剤。
(2)前記ベンズアルデヒド化合物が、下記一般式(I):
Figure 0007018531000001
(式中、R1は-CHO、-CXO(ここで、Xはハロゲン基)、ジオキソラニル基、ジオキサニル基、-CN-R3(R3は低級アルキル基)、
Figure 0007018531000002
を;R2はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基又は低級アルコキシ基を;
そしてnは1~5の整数を表す)で示される、上記(1)に記載の阻害剤。(3)前記ベンズアルデヒド化合物が、一般式(I)の化合物であって、R1が-CHO、1,3-ジオキソラニル基、1,3-ジオキサニル基、又は
Figure 0007018531000003
であり;R2はそれぞれ独立して水素原子又はハロゲン基である、上記(2)に記載の阻害剤。
(4)前記ベンズアルデヒド化合物が、ベンズアルデヒド、5,6-0-ベンジリデン-L-アスコルビン酸、5,6-O-ベンジリデン-L-アスコルビン酸一ナトリウム塩(以下、SBAと略記することもある)、4,6-0-ベンジリデン-D-グルコピラノースまたはN-ベンジリデンエチルアミンである、上記(1)~(3)のいずれかに記載の阻害剤。
(5)上記(1)~(4)に記載の阻害剤を含有する組成物。
(6)医薬組成物又はサプリメント組成物である、上記(5)に記載の組成物。
(7)AXLタンパク質活性が関与する疾患の予防又は治療のために用いられる、上記(6)に記載の医薬組成物。
(8)前記AXLタンパク質活性が関与する疾患が、がん、ウイルス感染症、肺線維症、特発性間質性肺炎、非アルコール性脂肪肝炎(cirrhotic NASH )、肝硬変、免疫系疾患又は循環器系疾患である、上記(7)に記載の医薬組成物。
(9)前記疾患が、SARS-CoV-2ウイルス感染症、骨髄性白血病またはEGFR阻害剤耐性肺がんである、上記(8)に記載の医薬組成物。
(10)EGFR阻害剤または免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて用いられる、上記(1)~(4)に記載のAXL阻害剤。
(11)EGFR阻害剤がオシメルチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アクアチニブ、ダコミチニブ及びそれらの薬学的に許容し得る塩から選択される1以上の阻害剤であり、免疫チェックポイント阻害剤がニボルマブ、ペムプロリズマブ及びそれらの薬学的に許容し得る塩から選択される1以上の阻害剤である、上記(10)に記載のAXL阻害剤。
(12)上記(1)~(4)に記載のAXL阻害剤、及びAXLタンパク質活性に関与しない作用機序を有する抗がん剤とを組み合わせて用いる組合せ剤。
(13)上記(1)~(4)に記載のAXL阻害剤と、EGFR阻害剤とを組合せて用いる組合せ剤。
本発明のAXL阻害剤は、AXLタンパク質の発現を阻害することによって、AXLタンパク質活性が関与する種々の疾患の予防又は治療などに用いることができる。AXLタンパク質活性が関与する疾患は、例えば、各種がん(例えば、EGFR阻害剤耐性肺がん)、ウイルス感染症(例えば、SARS-CoV-2ウイルス感染症)を含む。
また、本発明に係る阻害剤は、AXLタンパク質活性を調節することにより抗がん活性を奏するので、AXLタンパク質活性に関与しない作用機序を有する抗がん剤で治療を受けたが、治療効果が十分に得られなかった患者に対して有効な抗がん剤として用いることができる。
本発明のAXL阻害剤(又は上記ベンズアルデヒド化合物)は、上記抗がん活性及び抗ウイルス活性の他に、抗酸化作用(特開平8-99880号参照);抗HIV作用(特開平8-3038号参照);インフルエンザ予防・治療作用(特開平8-217675号参照);神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症など)、てんかん、心疾患、又は糖尿病性疾患の予防・治療作用(特開2017-43616号参照)なども有するので、栄養剤組成物、サプリメント、食品、飲料などの成分として有効に用いることができる。
図1は、膵臓がん細胞株BxPC3細胞において、ベンズアルデヒド(500μM)で処理した場合と、処理しない場合を比較したAXL蛋白発現解析結果を示す。 図2は、肺がん細胞株A549細胞において、ベンズアルデヒド(500μM)で処理した場合と、処理しない場合を比較したAXL蛋白発現解析結果を示す。 図3は、KPCマウス細胞株(KPC Mouse cell line)をC57BL/6マウスへ皮下移植し形成された腫瘍の免疫組織染色でBA投与群とコントロール群とのAxl発現抑制状況を比較した結果を示す。 図4は、ベンズアルデヒドとゲフィチニブとを組合せて用いた場合の細胞増殖抑制活性を示す。 図5A~5Bは、オシメルチニブ投与によって、耐性を獲得したBxPC3細胞に対してBAの抗腫瘍効果が増強した結果を示す。 図6A~6Bは、オシメルチニブブ投与によって、耐性を獲得したA549細胞に対してBAの抗腫瘍効果が増強した結果を示す。 図7は、オシメルチニブ投与によって耐性化したA549、BxPC3、PANC1細胞におけるBA投与によるAXL発現抑制作用の増強をウエスタンブロット解析の結果を示す。
1.本発明のAXL阻害剤
本発明は、ベンズアルデヒド化合物(ベンズアルデヒド又はその誘導体)又はその薬学的に許容される塩を含む、AXL阻害剤を提供する。AXL阻害剤は、AXLタンパク質の発現を抑制する剤である。
「AXLタンパク質」は、TAMファミリー(Axl、MerおよびTyro3)に属する受容体型チロシンキナーゼであり、発がん性があり、骨髄性白血病に関与している。Axl(UFO、ARK、Tyro7とも称される)のリガンドは、Gas6(growth-arrest-specific protein 6)である。リガンドとの結合により活性化されたAxlは、リン酸化を介してシグナルを伝達する。その伝達シグナルは、Erk1/2経路やPI3K/Akt経路を活性化する。このため、Axlの活性化は、がん、免疫系疾患、循環器系疾患等の病態に関与することが知られている(国際公開第2015/012298号、国際公開第2019/074116号など参照)。
AXLタンパク質は、肺および気管支上皮細胞の感染を促進するSARS-CoV-2の候補受容体であり、ヒト呼吸器系でのSARS-CoV-2ウイルス感染を促進する上で重要な役割を果たしている(非特許文献4)。
「AXLタンパク質活性」とは、AXLタンパク質が関与する作用のことをいい、例えば、リン酸化を介してシグナルを伝達する活性、そのシグナル伝達により、Erk1/2経路やPI3K/Akt経路を活性化する作用をいう。
本明細書中、「阻害剤」という用語は、AXLタンパク質活性を抑制すること、AXLタンパク質の発現を抑制することなどを意味する。「活性や発現を抑制する」とは、阻害剤を使用しない場合と比較して、その活性(例えば、発現活性)が、1%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上低減することを意味する。
本明細書中、「抗がん剤」とは、腫瘍縮小、腫瘍細胞増殖抑制、がん転移防止、がん再発防止または発がん予防等の目的で使用されるものをいう。
本発明で好ましく用いられるベンズアルデヒド化合物は、AXLタンパク質活性を調節する機能を有する限り特に限定されることはないが、例えば、下記一般式(I):
Figure 0007018531000004
(式中、R1は-CHO、-CXO(ここで、Xはハロゲン原子)、ジオキソラニル基、ジオキサニル基、-CH=N-R3(R3は低級アルキル基)、
Figure 0007018531000005
を;R2はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基又は低級アルコキシ基を;そしてnは1~5の整数を表す)で示される化合物を含む。
ここで、「ジオキソラニル基」とは、ヘテロ原子として2個の酸素原子を有する5員複素環式基であり、好ましくは2位の炭素原子が式(I)のフェニル基と結合している1,3-ジオキソラニル基である。残りの4位及び5位の原子は、非置換であっても、1以上のハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アキニル基、アルコキシ基、水酸基などによって置換されてもよい。
ここで、「ジオキサニル基」とは、ヘテロ原子として2個の酸素原子を有する6員複素環式基であり、好ましくは2位の炭素原子が式(I)のフェニル基と結合している1,3-ジオキサニル基である。残りの4~6位の原子は、非置換であっても、1以上のハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、水酸基などによって置換されてもよい。
ここで、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子由来の基を意味するものである。
また、「低級」とは炭素数1~6個を有することをいう。
本明細書中、「アルキル基」は、一価の直鎖状炭化水素、または分枝鎖状炭化水素の基を意味するもので、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書中、「アルケニル基」は、二重結合を持つ一価の直鎖状炭化水素及び分枝鎖状炭化水素の基を表す用語として用いられており、エテニル、1-及び2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-及び2-ブテニル等を包含するが、これらに限定されるものではない。
本明細書中、「アルキニル基」は、三重結合を持つ一価の直鎖状炭化水素及び分枝鎖状炭化水素の基を表す用語として用いられており、エチニル、プロピニル、ブチニル等を包含するが、これらに限定されるものではない。
本明細書中、「アルコキシ基」は-O-アルキルを表す用語として用いられており、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ等を包含するが、これらに限定されるものではない。
一般式(I)の化合物は、物質としては公知であるか、公知の出発物質から種々の公知の反応を利用して合成することができる。
例えば、一般式(I)の化合物で、R1が-CHOであり、R2が全て水素原子である化合物はベンズアルデヒドであり、この化合物は公知である。ベンズアルデヒドの抗がん活性については、例えば、特公昭54-962号公報に記載されている。一般式(I)の化合物で、R1
Figure 0007018531000006
であり;R2が全て水素原子の化合物は5,6-0-ベンジリデン-L-アスコルビン酸であり、この化合物も公知である。5,6-O-ベンジリデン-L-アスコルビン酸の製造法は「Steroids」12巻, 309頁(1968)等に記載され、また別の製造法は、特公平3-33127号公報及び米国特許第5,036,103号明細書に示される。更に、5,6-O-ベンジリデン-L-アスコルビン酸又はこれのナトリウム塩、カリウム塩及びカルシウム塩が有する抗がん活性と、これらの塩を製造する方法とは特公平3-33127号公報及び米国特許第5,036,103号明細書に記載されている。
一般式(I)の化合物で、R1
Figure 0007018531000007
であり、R2が全て水素原子である化合物は4,6-ベンジリデンーD-グルコピラノースであり、やはり公知化合物である。この化合物の構造、抗がん活性などについては、例えば、特公昭63-10685号公報などに記載されている。
一般式(I)の化合物で、R1が-CN-R3(R3がエチル基)であり、R2が全て水素原子である化合物はN-ベンジリデンエチルアミンである。この化合物の抗がん活性などについては、例えば、特公昭54-70428号公報などに記載されている。
一般式(I)の化合物で、上記化合物以外の化合物については、上記文献に記載のベンズアルデヒド化合物の合成法に、合成化学者の一般常識などを参酌して合成可能である。
本発明において用いる好ましいベンズアルデヒド化合物は、ベンズアルデヒド、5,6-0-ベンジリデン-L-アスコルビン酸、4,6-0-ベンジリデン-D-グルコピラノース、N-ベンジリデンエチルアミン、2-フェニル-1,3-ジオキソラン、2-フェニル-4-メチル-1,3-ジオキソラン、2-フェニル-1,3-ジオキサンを含む。本発明において用いるより好ましいベンズアルデヒド化合物は、ベンズアルデヒドまたは5,6-0-ベンジリデン-L-アスコルビン酸である。なお、2-フェニル-1,3-ジオキソラン、2-フェニル-4-メチル-1,3-ジオキソラン、2-フェニル-1,3-ジオキサンの構造式は次のとおりである。
Figure 0007018531000008
本発明の医薬組成物の有効成分である化合物が少なくとも1個の不斉中心を持っている場合は、種々の光学異性体または配置のものが存在し得る。したがって、本発明の化合物は、(+)および(-)の別々の光学活性体として、およびラセミ体または(±)混合物として存在し得る。また、不斉中心を2個以上持つ化合物の場合には、さらにそれぞれの光学異性によるジアステレオマーも存在し得る。本発明はこれらすべての型をその範囲に包含するものである。たとえば、ジアステレオマーは当業者によく知られた方法、たとえば分別結晶法等によって分離することができ、また、光学活性体はこの目的のためによく知られた有機化学的手法によって得ることができる。
また、本発明の有効成分であるベンズアルデヒド化合物は必要に応じて、「薬学上許容され得る塩」にすることができる。「薬学上許容され得る塩」は、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような鉱酸塩;メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩のようなスルホン酸塩;シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、マンデル酸塩、アスコルビン酸塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウム塩、アスコルビン酸カリウム塩など)、乳酸塩、グルコン酸塩、リンゴ酸塩のような有機酸塩等の酸付加塩、好適には塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩である。本発明において、5,6-0-ベンジリデン-L-アスコルビン酸ナトリウム塩またはカリウム塩は好ましい塩形態である。
また、本発明の有効成分であるベンズアルデヒド化合物は、水溶液から凍結乾燥したり、又は、再結晶をすることにより、水分を吸収し、あるいは吸着水がついて水和物となる場合があり、そのような塩も本発明の有効成分に包含される。ベンズアルデヒド化合物は、コレイン酸やシクロデキストリンなどを用いて、ベンズアルデヒド化合物を含む包摂化合物の形態で用いることができる。したがって、ベンズアルデヒド化合物を含む包摂化合物を含むAXL阻害剤も、本発明に係るベンズアルデヒド化合物を含む、AXL阻害剤の一態様である。
本発明に係るAXL阻害剤(又は上記ベンズアルデヒド化合物)は、用途に応じて、医薬組成物、栄養組成物、食品(例えば、栄養補助食品)、サプリメントなどの成分として用いることができる。
2.AXL阻害剤を含有する組成物
本発明のAXL阻害剤又はこれを含有する組成物は、AXLタンパク質の発現を阻害することによって、AXLタンパク質活性が関与する種々の疾患の予防又は治療などに用いることができる。AXLタンパク質活性が関与する疾患は、例えば、各種がん(例えば、EGFR阻害剤耐性肺がん)、ウイルス感染症(例えば、SARS-CoV-2ウイルス感染症)を含む。がんは、例えば、悪性黒色腫、悪性リンパ腫、咽頭がん、喉頭がん、胃がん、カポジ肉腫、肝臓がん、筋肉腫、結腸がん、血管腫、骨髄腫、甲状腺がん、睾丸腫瘍、膵臓がん、消化器がん、食道がん、大腸がん、上顎がん、舌がん、口唇がん、口腔がん、多発性骨髄腫、胆嚢がん、胆管がん、胆道がん、直腸がん、乳がん、尿管腫瘍、肉腫、骨肉腫、脳腫瘍、白血病、肺がん、神経芽腫、真性多血症、膀胱腫、卵巣がん、子宮がん、前立腺がん、筋肉腫、皮膚がん、基底細胞がん、皮膚付属器がん、皮膚転移がんおよび皮膚黒色腫などの各種良性および悪性腫瘍を含む。
ここで、Cell Research (2021) 31:126-140(2021年1月8日オンラインで公開;非特許文献4)は、AXLタンパク質は、肺および気管支上皮細胞の感染を促進するSARS-CoV-2の候補受容体であり、ヒト呼吸器系でのSARS-CoV-2ウイルス感染を促進する上で重要な役割を果たしているであろうと記載している。この文献は、AXLがSARS-CoV-2SのN末端ドメインと特異的に相互作用することを示している。より具体的には、この文献は、SARS-CoV-2ウイルス疑似型と本物のSARS-CoV-2の両方を使用し、HEK293T細胞でのAXLの過剰発現は、ACE2の過剰発現と同じくらい効率的にSARS-CoV-2の侵入を促進すること、AXLをノックアウトすると、H1299肺細胞およびヒト初代肺上皮細胞でSARS-CoV-2感染が大幅に減少することを実証している。したがって、本発明のAXL阻害剤もまた、AXLタンパク質の発現を抑制し、ひいては、肺細胞などにおけるSARS-CoV-2感染を低減させることができるので、抗ウイルス剤として有用である。
なお、本発明のAXL阻害剤又はこれを含む組成物は、上記抗がん活性及び抗ウイルス活性の他に、上記抗がん活性及び抗ウイルス活性の他に、抗酸化作用(特開平8-99880号参照);抗HIV作用(特開平8-3038号参照);インフルエンザ予防・治療作用(特開平8-217675号参照);神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、筋委縮性側索硬化症、ハンチントン病、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、進行性多巣性白質脳症、レビー小体型認知症、皮質基底核変性症、筋委縮性側索硬化症、パーキンソン病、パーキンソン症候群、脊髄小脳変性症、痙性対麻痺、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、進行性多巣性白質脳症、非ヘルペス性急性辺縁系脳炎など)、てんかん、心疾患、又は糖尿病性疾患の予防・治療作用(特開2017-43616号参照)なども有するので、栄養剤組成物、サプリメント、飲食品(食品、飲料など)の成分として有効に用いることができる。
本明細書中、「飲食品」は、健康増進を図る健康食品、機能性食品、特定保健用食品等の他、本発明のAXL阻害剤を添加・配合できる全ての食品を含む。本発明の飲食品は、例えば、錠剤、粉剤、顆粒剤、ドリンク剤、流動食、茶飲料、清涼飲料、乳飲料、バター、マヨネーズ、ショートニング、マーガリン、種々のサラダドレッシング、パン類、麺類、パスタ、菓子、例えばクッキー類、チョコレート、キャンディ、チューインガムなどを含む。本発明の飲食品は、その製造に用いられる他の食品素材、各種栄養素、各種ビタミン、ミネラル、食物繊維、種々の添加剤、例えば呈味成分、甘味料、有機酸などの酸味料、安定剤、フレーバー等を配合して、常法に従って製造することができる。
本発明のAXL阻害剤をサプリメント(「サプリメント組成物」ともいう)に用いる場合は、公知技術に基づいて、サプリメントの処方を設計し、製造することができる。サプリメントは、公知の方法により助剤や賦形剤とともに任意の形態に製剤化して経口摂取(投与)できる。製剤としては顆粒剤、錠剤、カプセル剤を例示することができる。
本発明のサプリメントは、ギャバ(GABA)、グルコサミン、ビオチン、DHA、EPA、ルテイン、ビタミン類、コエンザイムQ10、ミネラル、カルシウム、乳酸菌、ビフィズス菌、セサミン、大豆イソフラボン、コラーゲン及びプラセンタから選ばれる1種以上の成分を配合してもよい。
サプリメントの製剤化に際しては、各種成分を添加することができる。添加剤は、例えば、へミセルロース、リグニン、グアーガム、コンニャクマンナン、イサゴール、アルギン酸、寒天、カラギーナン、キチン、カルボキシルメチルセルロース、ポリデキストロースなどの野菜以外からとれる食物繊維や増粘剤、食用油、カルシウム、鉄、ナトリウム、亜鉛、銅、カリウム、リン、マグネシウム、ヨウ素、マンガン、セレンなどのミネラル;ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、葉酸、パントテン酸などの脂溶性又は水溶性のビタミン群、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、リン脂質、アラビアガム、キサンタンガム、トラガカントガム、ローカストビーンガムなどの乳化剤や分散剤、増量剤、賦形剤、保存料・酸化防止剤、風味調整剤や香料、塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、グリシン、コハク酸、乳酸ナトリウムなどの呈味料、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸、アジピン酸、フマル酸、リンゴ酸などの酸味料、マルチトール、アスパルテームなどの低カロリー甘味料、着色剤、カルシウムなどを含む。
3.AXL阻害剤を含有する医薬、医薬組成物、サプリメント組成物又は組合せ剤
本発明のAXL阻害剤は、AXLタンパク質の活性を調節するもので、AXLタンパク質の活性に関与しない抗がん剤と組み合わせて、合剤、併用剤などの組合せ剤として用いることができる。組合せ剤は、2種以上の成分を組み合わせて、患者に投与する医薬であり、各成分は、同時に、又は別々に投与することができる。組み合わせて用いられる公知の抗がん剤の用量、用法などは、その抗がん剤の添付文書の記載などを参照することができる。
本発明に係るAXL阻害剤は、AXLタンパク質活性を調節することにより抗がん活性を奏するので、AXLタンパク質活性に関与しない作用機序を有する抗がん剤と併用することによって、抗がん活性を増強した抗がん剤を提供することができる。
また、本発明のAXL阻害剤と併用する薬剤としては、AXLが上昇し耐性化することが知られている薬剤であることが好ましい。AXLが上昇し耐性化することが知られている薬剤としては、例えば、EGFR阻害剤(ゲフィチニブ、エルロチニブ、オシメルチニブなど;Cell Death and Disease (2019) 10:361)、抗PD-1抗体(Oncotarget, 2017, Vol. 8, (No. 52), pp: 89761-89774)、テモゾロミド(Temozolomide:(CNS Neurosci Ther. 2020;26:777))、パクリタキセル(Paclitaxel:Mol Cancer Ther; 16(12), pp 2881-2891, December 2017)キナーゼ阻害剤(ソラフェニブ(Sorafenib : (British Journal of Cancer 120, 512-521 (2019))、スニチニブ(Sunitinib : (Oncogene 35, 2687-2697 (2016))など)が知られている。
更に、AXLを含むTAMfamilyは樹状細胞やマクロファージなどの免疫細胞に発現しており、抗腫瘍免疫を抑制的に制御する事が報告され(Nature Reviews Cancer 769-785 (2014)、免疫チェックポイント阻害剤とAXL阻害剤との併用の有効性が期待されている(Oncotarget, 2017, Vol. 8, (No. 52), pp: 89761-89774)。
したがって、このような薬剤と本発明のAXL阻害剤との組合せ剤は本発明の好ましい態様である。
本発明の他の実施態様によれば、本発明の抗がん剤組成物は、(a)本発明のAXL阻害剤と、及び(b)AXLタンパク質活性に関与しない作用機序を有する抗がん剤を組み合わせて用いることができる。
本発明の好ましい態様によれば、(a)好ましいAXL阻害剤が、ベンズアルデヒド又は5,6-0-ベンジリデン-L-アスコルビン酸であり;(b)それに組み合わせて用いる抗がん剤成分、ゲフィチニブ、塩酸イリノテカン、塩酸トポテカン、ドセタキソール、パクリタキセル、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、エトポシド、テニポシド、酒石酸ビノレルビン、ブスルファン、カルボコン、チオテパ、シクロホスファミド、メルファラン、リン酸エストラムスチンナトリウム、塩酸メクロレタミンオキシド、イホスファミド、ラニムスチン、塩酸ニムスチン、塩酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、ジノスタチンスチマラート、アクチノマイシンD、塩酸アクラルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸イダルビシン、塩酸アムルビシン、塩酸ダウノルビシン、ピラルビシン、塩酸エピルビシン、マイトマイシン、バルルビシン、メトトレキサート、メルカプトプリン、リン酸フルダラビン、クラドリビン、フルオロウラシル、テガフール、シタラビン、塩酸ゲムシタビン、シタラビンオクホスファート、カペシタビン、ドキシフルリジン、カルモフール、エノシタビン、ネダプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、塩酸ファドロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン、ビカルタミド、フルタミド、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、トレチノイン、ペントスタチン、L-アスパラギナーゼ、ダカルバジン、塩酸プロカルバジン、塩酸ミトキサントロン、ソブゾキサン、トラスツズマブ、リツキシマブ、メシル酸イマチニブ、5-フルオロ-2’-デオキシウリジン、アスクレ、カルボクリン、キノレスパン、クレスチン、エルロチニブ、アクアチニブ、ダコミチニブ、オシメルチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ボルテゾミブ、オキサリプラチン及びピシバニールから選択される一種以上の化合物である。
Nature Communications,第10巻,文献番号: 259 (2019)(非特許文献5)は、AXLは、オシメルチニブに対する固有の耐性を付与し、耐性細胞の出現を促進することを開示している。さらに、この文献は、AX阻害は、EGFR阻害剤であるオシメルチニブに曝露されたAXLを過剰発現するEGFR変異肺がん細胞の生存率を低下させたこと、初期段階または耐性段階のいずれかにAXL阻害剤を追加すると、オシメルチニブ単独と比較して、腫瘍サイズが縮小し、腫瘍の再増殖が遅延することを実証している。したがって、本発明のAxl阻害剤は、EGFR阻害剤と好適に組み合わせて用いることができる。
本発明において用いられるEGFR阻害剤は、例えば、オシメルチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アクアチニブ、ダコミチニブ及びそれらの薬学的に許容し得る塩から選択される1以上の阻害剤である。
本発明において用いられる免疫チェックポイント阻害剤は、例えば、ニボルマブ、ペムプロリズマブ及びそれらの薬学的に許容し得る塩から選択される1以上の阻害剤である。
また、抗がん剤の作用機序は多様であり、このため、ある患者に対し、ある作用機序の抗がん剤は有効であるが、その作用機序と異なる作用機序を有する抗がん剤が有効でないという場合もある。使用した抗がん剤の作用機序がその患者の遺伝的背景等を考慮してがん細胞に対して有効に作用しない場合があるからである。
このため、本発明の別の実施態様は、AXLタンパク質活性に関与しない作用機序を有する抗がん剤による治療を受けた患者に投与する、本発明に係るAXL阻害剤を含有する、抗がん剤組成物をも提供する。
また、本発明に係る阻害剤は、AXLタンパク質活性を調節することにより抗がん活性を奏するので、AXLタンパク質活性に関与しない作用機序を有する抗がん剤で治療を受けたが、治療効果が十分に得られなかった患者に対して有効な抗がん剤として用いることができる。
4.本発明の阻害剤又はこれを含む組成物の処方
本発明に係るAXL阻害剤、組成物又は抗がん剤組成物の投与形態は又は摂取形態は特に制限は無く、経口的あるいは非経口的に投与又は摂取することができる。本発明に係るAXL阻害剤を含む組成物は、医薬組成物、栄養組成物、食品、サプリメントなどとして用いることができる。
本発明で用いられるベンズアルデヒド化合物は単独で配合されても良いが、これに製薬学的に許容しうる担体、製剤用添加物、食品用添加物、サプリメント用担体又は添加物などを配合して所望の製品形態で提供することができる。この場合、本発明で用いるベンズアルデヒド化合物は、例えば、製剤、食品、サプリメントなどの製品中、0.1~99.9重量%含有することができる。
本発明において、抗がん剤組成物とする場合は、さらに、上記他の抗がん剤を配合することもできる。この場合、前記ベンズアルデヒド化合物と他の抗がん剤との配合比は、がんの種類、患者の年齢や症状、投与経路、治療の目的などによって適宜選択されるが、例えば、1:99~99:1の範囲で選択することができる。本発明の医薬組成物においては、2種以上の他の抗がん剤を配合することもできる。その場合の配合比も、がんの種類、患者の年齢や症状、投与経路、治療の目的などによって適宜選択される。
製薬学的に許容しうる担体又は添加剤、食品用添加物、サプリメント用担体又は添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、溶解剤、溶解補助剤、等張化剤、pH調整剤、安定化剤等を用いることが出来る。
経口投与に適する製品の例としては、例えば散剤、錠剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、細粒剤、顆粒剤、液剤またはシロップ剤等を挙げることが出来る。経口投与の場合、微晶質セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸ジカリウム、グリシンのような種々の賦形剤を、澱粉、好適にはとうもろこし、じゃがいもまたはタピオカの澱粉、およびアルギン酸やある種のケイ酸複塩のような種々の崩壊剤、およびポリビニルピロリドン、蔗糖、ゼラチン、アラビアゴムのような顆粒形成結合剤と共に使用することができる。また、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク等の滑沢剤も錠剤形成に非常に有効であることが多い。同種の固体組成物をゼラチンカプセルに充填して使用することもできる。これに関連して好適な物質としてラクトースまたは乳糖の他、高分子量のポリエチレングリコールを挙げることができる。経口投与用として水性懸濁液および/またはエリキシルにしたい場合、活性成分を各種の甘味料または香味料、着色料または染料と併用する他、必要であれば乳化剤および/または懸濁化剤も併用し、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等、およびそれらを組み合わせた希釈剤と共に使用することができる。
ベンズアルデヒド化合物は、刺激性である場合があり、コレイン酸やシクロデキストリンなどの包摂能を利用した公知技術(例えば、特開昭55-038338号など参照)を用いて、ベンズアルデヒド化合物を含む包摂化合物の形態で用いることが好ましい。包接化合物を長時間の保存に耐える安定性及び耐酸性を附与して薬効を完全に持続させるために、医薬的に許容し得る皮膜を施して製剤化すれば、すぐれた安定性を有する制がん剤組成物とすることができる。ベンズアルデヒド化合物を含有するシクロデキストリンの包摂化合物(シクロデキストリン包摂ベンズアルデヒド化合物(以下、「CDBA」と略すこともある)は、例えば、β-シクロデキストリンの飽和水溶液1リットルに対して、上記化合物2~7gを入れて混合し、3~7時間撹拌すると包接物が沈殿する。この沈殿物を減圧乾燥すると、ベンズアルデヒド化合物の包接化合物を得ることができる 。
非経口投与に適する製剤としては、例えば注射剤、坐剤等を挙げることが出来る。非経口投与の場合、本発明の有効成分をゴマ油または落花生油のいずれかに溶解するか、あるいはプロピレングリコール水溶液に溶解した溶液を使用することができる。水溶液は必要に応じて適宜に緩衝し(好適にはpH8以上)、液体希釈剤をまず等張にする必要がある。このような水溶液は静脈内注射に適し、油性溶液は関節内注射、筋肉注射および皮下注射に適する。これらすべての溶液を無菌状態で製造するには、当業者に周知の標準的な製薬技術で容易に達成することができる。さらに、本発明の有効成分は皮膚など局所的に投与することも可能である。この場合は標準的な医薬慣行によりクリーム、ゼリー、ペースト、軟膏の形で局所投与するのが望ましい。
本発明の阻害剤又は組成物の用量は特に限定されず、投与する対象(例えば、患者)の状態、対象の年齢や症状、投与経路、処置の目的等の種々の条件に応じて適切な使用量を選択することが可能である。例えば、経口投与の場合には成人(例えば、体重60kg)1日当たり10mgから20g、100mgから10g、好ましくは150mgから5gの用量を適用することができる。これらの1日投与量は2から4回に分けて投与されても良い。
本発明の阻害剤又は組成物を栄養補助食品、サプリメントなどとして用いる場合も、上記用量を参照して適宜決定することができる。
実施例及び参考例
以下、本発明を実施例及び参考例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
1.ウエスタンブロットによる蛋白発現解析
(1)膵臓がん細胞株BxPC3細胞におけるAxl蛋白発現解析
6ウェルプレートの各ウェルに、ヒト膵臓がん細胞株BxPC3細胞を2×105ずつ播種した。RPMI培地(5%ウシ胎児血清加、1%ペニシリン、ストレプトマイシン加)を使用。20時間経過後、1)未治療群;2)DMSOを投与後、シールで密閉して1% O2低酸素インキュベーターで2時間培養した群;3)ベンズアルデヒド(500μM)を投与後、シールで密閉して1% O2低酸素インキュベーターで2時間培養した群;4) DMSOを投与後、シールで密閉して1% O2低酸素インキュベーターで18時間培養した群;及び5)ベンズアルデヒド(500μM)を投与後、シールで密閉して1% O2低酸素インキュベーターで18時間培養した群において、ウエスタンブロットによるAxl蛋白発現解析を行った。ベンズアルデヒド(東京化成)はDMSOに溶解してからRPMI培地で500μMに希釈し、ボルテックスにて混和した。揮発性であるため、各ウェル8mlの培養液を充填し、シールで密閉した後に培養器に入れた。DMSO投与群も同様の培養液量とシール処理を行った。細胞はPBSで洗浄後、SDSサンプルバッファーにて溶解し、29Gのツベルクリン注射針を用いてホモジネート後、95℃で5分加熱処理を行った。比色法にて蛋白濃度を測定し、パジェルゲル各ウェルに15μgの蛋白を注入し、SDS-PAGE溶液中で電気泳動を行った。ニトロセルロース膜に蛋白を移行させて、ミルクでブロッキング後一次抗体を反応させた。一次抗体はAxl(CST)を1000倍希釈で、β-actin (Santa Cruz) も1000倍希釈で使用した。洗浄後二次抗体を反応させ、検出はLAS3000 (富士フィルム) を用いた。
それぞれの群におけるウエスタンブロットによるAxl蛋白発現解析結果を、図1に示す。図1に示すように、2時間群、18時間群においてベンズアルデヒド投与によってAxlの発現抑制が確認された。
(2)肺がん細胞株A549細胞におけるAxl蛋白発現解析
6ウェルプレートの各ウェルに、肺がん細胞株A549細胞を2×105ずつ播種した。RPMI培地(5%ウシ胎児血清加、1%ペニシリン、ストレプトマイシン加)を使用した。20時間経過後、1)未治療群;2)DMSOを投与後、シールで密閉して1% O2低酸素インキュベーターで2時間培養した群;3)ベンズアルデヒド(500μM)を投与後、シールで密閉して1% O2低酸素インキュベーターで2時間培養した群;4) DMSOを投与後、シールで密閉して1% O2低酸素インキュベーターで18時間培養した群;及び5)ベンズアルデヒド(500μM)を投与後、シールで密閉して1% O2低酸素インキュベーターで18時間培養した群において、ウエスタンブロットによるAxl蛋白発現解析を行った。ベンズアルデヒド(東京化成)はDMSOに溶解してからRPMI培地で500μMに希釈し、ボルテックスにて混和した。揮発性であるため、各ウェル8mlの培養液を充填し、シールで密閉した後に培養器に入れた。DMSO投与群も同様の培養液量とシール処理を行った。細胞はPBSで洗浄後、SDSサンプルバッファーにて溶解し、29Gのツベルクリン注射針を用いてホモジネート後、95℃で5分加熱処理を行った。比色法にて蛋白濃度を測定し、パジェルゲル各ウェルに15μgの蛋白を注入し、SDS-PAGE溶液中で電気泳動を行った。ニトロセルロース膜に蛋白を移行させて、ミルクでブロッキング後一次抗体を反応させた。一次抗体はAxl(CST)を1000倍希釈で、β-actin (Santa Cruz) も1000倍希釈で使用した。洗浄後二次抗体を反応させ、検出はLAS3000 (富士フィルム) を用いた。
それぞれの群におけるウエスタンブロットによるAxl蛋白発現解析結果を、図2に示す。図2に示すように、2時間群、18時間群においてベンズアルデヒド投与によってAxlの発現抑制が確認された。
2.KPCマウス細胞株を持いた動物実験
C57BL/6マウスの左右側腹部皮下にKPC細胞株(cell line)の細胞2×105個を皮下移植した。C57BL/6マウス12匹に対してこの移植処置をし、これら12匹のマウスを、3匹ずつ4群に分けた。処置3日後、第3者に無作為に4群の中から2群を治療群として選び、CDBAを40mg/Kg/dayの投与量で、1週間のうち6日間(6day/week)、腹腔内投与した。投与を開始後、29日目に各マウス(治療群6匹及びコントロール群6匹)を解剖し、腫瘍組織を摘出し、その体積を測定した。この結果、治療群のマウスから摘出した腫瘍組織の平均体積は、平均で約170 mm2で、コントロール群のマウスから摘出した腫瘍組織の平均体積は、平均で、約265 mm2であった。したがって、治療群のマウスの腫瘍組織の平均体積は、コントロール群に対して、約35%も小さいことが示された。
さらに、治療群のマウスから摘出した腫瘍組織とコントロール群のマウスから摘出した腫瘍組織について、抗Axl抗体(Mouse Axl Antibody AF854; R&D systems社製)を用い、製品プロトコールに基づいて免疫組織染色した。結果を図3に示す。
図3に示すように、免疫組織染色にてBA投与群ではコントロール群と比較してAxl(Mouse Axl Antibody:AF854 R&D systems)の顕著な発現抑制を確認した。
(実施例1:ゲフィチニブとの組合せ剤)
ベンズアルデヒドとゲフィチニブとの組合せ剤の腫瘍細胞増殖抑制効果を調べた。
96ウェルプレートの各ウェルに、乳がん由来BT474細胞を3×103ずつ播種した。24時間後、ベンズアルデヒド(BA:500μM)、EGFR阻害剤であるゲフィチニブ(Gefitinib: 30nM)、BA(500μM)とゲフィチニブ(30nM)の両剤を、それぞれ、0日目、1日目、2日目に添加した。添加後、ABI製PCR用圧着シールで密閉した。3日目に、AlamarBlue試薬を用いてに細胞生存率を測定した。結果を図4に示す。
図4に示されるように、ベンズアルデヒドとゲフィチニブを組み合わせて用いた場合は、それぞれを単独で用いた場合と比較して、優れたがん細胞増殖抑制効果が認められた。
(実施例2:オシメルチニブ耐性細胞に対するBA感受性の増加)
オシメルチニブ(Osimertinib: 耐性細胞の作成はNature Communications,第10巻,文献番号: 259 (2019)(非特許文献5)を参考にした。RPMI培地(5%ウシ胎児血清加、1%ペニシリン、ストレプトマイシン加)10ml添加した10cm dishにBxPC3細胞、A549細胞
それぞれ0.8×106.個ずつ播種し、細胞生着後に3μM溶液となるようオシメルチニブ10mMストック(DMSOで溶解)を希釈・添加した。数日おきに8割コンフルエント以上にならないように継代を行いながら3μM濃度のオシメルチニブ溶液で10日間培養を継続し、得られた細胞をオシメルチニブ耐性細胞とした。セルタイターグローアッセイを用いて、親株BxPC3細胞、A549細胞とオシメルチニブ耐性のBxPC3細胞、A549細胞への細胞増殖抑制能がベンズアルデヒド、オシメルチニブでどのように変化するかを比較した。96ウェルプレートにBxPC3細胞は3×103個、A549細胞は2×103個含まれる100μl細胞浮遊液を添加し、細胞生着後に目的濃度の2倍濃縮した薬剤を100μl添加し、揮発防止のシールを行い培養を開始した。48時間後各ウェルから100μlずつ培養液を除去し、CellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)試薬を各ウェル30μlずつ添加し、室温にて10分反応後プレートリーダーにて生細胞数をカウントし生存率のグラフを作成した。
結果を、図5~6に示す。
図5~6に示す結果から、BxPC3細胞においてもA549細胞においてもオシメルチニブを10日間投与した細胞に対するオシメルチニブの感受性は低下し、ベンズアルデヒドの感受性は顕著に増加したことが分かった。
次に、オシメルチニブ3μMを10日間投与した後のA549、BxPC3 、PANC1細胞と未処理の親株 A549, BxPC3 ,PANC1細胞におけるAXLの発現の変化とBA投与による影響をウエスタンブロット解析によって確認した。具体的には、次のように実験した。
RPMI培地(5%ウシ胎児血清加、1%ペニシリン、ストレプトマイシン加)10ml添加した10cm dishにBxPC3細胞、A549細胞、PANC1細胞それぞれ0.8×106.個ずつ播種し、細胞生着後に3μM溶液となるようオシメルチニブ10mMストック(DMSOで溶解)を希釈し、添加した。数日おきに8割コンフルエント以上にならないように継代を行いながら3μM濃度のオシメルチニブ溶液で10日間培養を継続し、得られた細胞をオシメルチニブ耐性細胞とした。親株、オシメルチニブ耐性細胞それぞれ2×105ずつ6ウェルプレートに播種し、20時間後にBA500μM、DMSO群はそれぞれ培養液8ml添加して揮発防止のシール処理をDMSO添加群にも行った。24時間培養後、未治療群も一緒にPBSで洗浄したのち、SDSサンプルバッファーにて溶解し、29Gのツベルクリン注射針を用いてホモジネート後、95℃で5分加熱処理を行った。比色法にて蛋白濃度を測定し、パジェルゲル各ウェルに15μgの蛋白を注入し、SDS-PAGE溶液中で電気泳動を行った。ニトロセルロース膜に蛋白を移行させて、ミルクでブロッキング後一次抗体を反応させた。一次抗体はAxl(CST)を1000倍希釈で、β-actin (Santa Cruz) も1000倍希釈で使用した。洗浄後二次抗体を反応させ、検出はLAS3000 (富士フィルム) を用いた。
結果を図7に示す。
図7に示されるように、いずれの細胞においてもオシメルチニブ投与によってAXLの発現が増加し、ベンズアルデヒドのAXL抑制は親株よりもオシメルチニブ耐性細胞において顕著であることが示されている。
本発明のAXL阻害剤又はそれを含む組成物は、AXLタンパク質の発現を阻害することによって、AXLタンパク質活性が関与する種々の疾患(例えば、各種がん、SARS-CoV-2ウイルス感染症などのウイルス感染症の予防又は治療などに用いることができる。また、本発明のAXL阻害剤は、抗がん活性及び抗ウイルス活性の他に、抗酸化剤作用、抗HIV作用、インフルエンザ予防・治療作用なども有するので、栄養剤組成物、サプリメント、食品、飲料などの成分としても有効に用いることができる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I):
    Figure 0007018531000009
    (式中、R1が-CHO、1,3-ジオキソラニル基、1,3-ジオキサニル基、又は
    Figure 0007018531000010
    であり;R2はそれぞれ独立して水素原子又はハロゲン基であり;そして、nは1~5の整数を表す)で示されるベンズアルデヒド化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、AXL阻害剤を含有する、AXLタンパク質活性が関与する症状の予防または治療に用いるための組成物であって、
    前記AXLタンパク質活性が関与する症状が、肺線維症、特発性間質性肺炎、非アルコール性脂肪肝炎(cirrhotic NASH )または肝硬変である、組成物。
  2. 前記ベンズアルデヒド化合物又はその薬学的に許容される塩が、ベンズアルデヒド、5,6-0-ベンジリデン-L-アスコルビン酸、5,6-O-ベンジリデン-L-アスコルビン酸ナトリウム塩、4,6-0-ベンジリデン-D-グルコピラノースまたはN-ベンジリデンエチルアミンである、請求項1に記載の組成物。
  3. 医薬組成物又はサプリメント組成物である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. EGFR阻害剤としてのオシメルチニブと組み合わせて用いられる、下記一般式(I):
    Figure 0007018531000011
    (式中、R1が-CHO、1,3-ジオキソラニル基、1,3-ジオキサニル基、又は
    Figure 0007018531000012
    であり;R2はそれぞれ独立して水素原子又はハロゲン基であり;そして、nは1~5の整数を表す)で示されるベンズアルデヒド化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、抗がん剤
  5. 下記一般式(I):
    Figure 0007018531000013
    (式中、R1が-CHO、1,3-ジオキソラニル基、1,3-ジオキサニル基、又は
    Figure 0007018531000014
    であり;R2はそれぞれ独立して水素原子又はハロゲン基であり;そして、nは1~5の整数を表す)で示されるベンズアルデヒド化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、AXL阻害剤と、オシメルチニブとを組合せて用いるがん治療用組合せ剤。
  6. 下記一般式(I):
    Figure 0007018531000015
    (式中、R1が-CHO、1,3-ジオキソラニル基、1,3-ジオキサニル基、又は
    Figure 0007018531000016
    であり;R2はそれぞれ独立して水素原子又はハロゲン基であり;そして、nは1~5の整数を表す)で示されるベンズアルデヒド化合物又はその薬学的に許容される塩を含むAXL阻害剤(但し、抗がん剤及びインフルエンザ治療剤を除く)
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