JPWO2003036229A1 - 表面形状測定方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
白色光源10からの白色光を参照面15と測定対象面31とに照射することで光路差が発生する。CPU20は、その光路差によって測定対象面31の特定箇所で変化する干渉光の強度値について、バンドパスフィルタ11によって制限された特定周波数帯域の中心波長をλC、波長に関する帯域幅を2λBとするとき、Δ=(λC2−λB2)/4λCに自然数Mを乗じたM・Δをサンプリング間隔としてサンプリングする。さらに、特定周波数帯域の中心波数をkCとしたときにその中心波数kCに対して左右対称となるようなスペクトル分布の場合において、前記干渉光のピーク位置と一致するピーク位置を有する特性関数を推定する。その特性関数のピーク位置の高さを求めることで、測定対象面31の凹凸形状を測定する。
Description
技術分野
本発明は、測定対象面の凹凸形状を測定する表面形状測定方法およびその装置に係り、特に、白色光を用いて非接触で測定対象表面を測定する技術に関する。
背景技術
従来、この種の装置として、半導体ウエハや液晶表示器用ガラス基板などの精密加工品の凹凸形状を白色光の干渉を用いて測定する方法を利用した表面形状測定装置が広く知られている。従来の表面形状測定装置では、白色光源からの白色光を、ビームスプリッタによって、測定対象面に照射する白色光と参照面に照射する白色光とに分け、両面にそれぞれ反射された各白色光による干渉現象を利用して、測定対象面の凹凸形状を測定している。
すなわち、ビームスプリッタを上下に変動させることで、参照面からビームスプリッタまでの距離と、ビームスプリッタから測定対象面までの距離との差に応じた干渉現象を発生させ、その干渉現象が発生した白色光(以下、単に『干渉光』と呼ぶ)の強度を測定する。この干渉光の強度値変化の波形が最大になる位置を求めることで、測定対象面の特定箇所の高さを求めることができる。同様にして、複数の特定箇所の高さを求めることで、測定対象面の凹凸形状を測定している。
干渉光の強度に関するこれらのデータは離散的なものであるので、特定箇所の干渉光を細かくサンプリングする必要がある。その結果、多数個の強度値を取得するための時間が長くなり、表面形状の測定に長時間を要するという問題がある。さらに、サンプリングによって取得するデータ量が膨大になり、それらデータを記憶するための記憶容量が増えるので、装置の製造コストが増大するという問題やそれら膨大なデータを処理するための演算処理が長時間化し、表面形状の測定がさらに長時間化するという問題も生じる。
そこで、本発明者等、『日本国 特開2001−06612号公報』の発明(以下、「先願発明」という)を先に提案している。先願発明では、白色光の周波数帯域を特定周波数帯域に制限し、干渉光について、この特定周波数帯域の帯域幅に応じたサンプリング間隔で順次に取り込んで干渉光の強度値の集合(以下、『干渉光強度値群』と呼ぶ)を取得し、干渉光強度値群から求まる干渉光の強度値変化の理論的な波形の振幅成分に基づく特性関数を推定して、特性関数のピーク位置に基づいて、測定対象面の特定箇所の高さを求めている。
先願発明に係る装置によれば、特定周波数帯域の帯域幅に応じたサンプリング間隔で特定箇所における干渉縞の強度値をサンプリングしているので、全ての周波数帯域を考慮したサンプリング間隔よりも幅広いサンプリング間隔でのサンプリングが可能になり、一般の表面形状測定装置より少ないデータ量となる。
その一方で、上述の特性関数は、干渉光強度群から干渉光の強度値変化の理論的な波形であるとともに、その理論的な波形の振幅成分に基づく関数でもあるので、一般の表面形状測定装置と同程度の精度に保ったまま、特性関数のピーク位置に基づいて特定箇所の高さを求めることができる。
その結果、一般の表面形状測定装置より少ないデータ量で比較的高い精度の高さ情報を求めることができるので、表面形状の測定時間を短縮することができるとともに、データを記憶する記憶容量をも小さくして、装置を安価に製造することが可能になる。
しかしながら、このような装置の場合には、次のような問題がある。
第1図に示すように、ビームスプリッタ17から参照面15までの距離を距離L1、ビームスプリッタ17から距離L1だけ離れた位置にある面を面E、試料台50を基準とした位置から面Eまでの高さを高さhとそれぞれするとともに、ビームスプリッタ17の位置を上下に変動させることで高さhを変えて干渉光の強度を測定する場合を例に採って説明する。すなわち、上述の発明では、特性関数をr(h)としたとき、高さhがサンプリング点hJ(Jは1≦J≦Mの整数)でない場合は、特性関数r(h)の推定値rB(h)を求める演算式は煩雑であって、高さhがサンプリング点hJの場合でも、特性関数r(h)の推定値rB(h)を求める演算式は、rB(h)=1/(2ωa’2){(ωa’yJ)2+[Σ’’’(yJ+2m+1/(hJ−hJ+2m+1))]2}(ただし、Σ’’’:−(m=J/2以下の最大の整数)から(〔[M−J]/2以上の最小の整数〕−1)までの総和)のように煩雑となる。
従って、サンプリング間隔が広くなることによってサンプリングのデータ量が低減しても、特性関数を求めるための演算処理が長時間化し、表面形状の測定を高速化するという効果を奏することができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、測定対象面の凹凸形状を高速に測定することができる表面形状測定方法およびその装置を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る表面形状測定方法は、白色光源からの白色光を測定対象面と参照面とに照射しながら、前記両面の相対的距離を変動させることにより干渉縞の変化を生じさせ、このときの干渉光の強度値の変化を前記測定対象面上の複数の特定箇所について測定し、この測定で得られた前記各特定箇所の干渉光強度値群に基づいて前記複数個の特定箇所の高さをそれぞれ求めて、前記測定対象面の凹凸形状を測定する表面形状測定方法において、前記干渉光のスペクトル分布が左右対称となるように、前記白色光源からの白色光の周波数領域を特定周波数帯域に制限する第1の工程と、前記特定周波数帯域の白色光が照射された前記測定対象面と参照面との相対的距離を変動させる第2の工程と、前記測定対象面と参照面との相対的距離の変動によって生じる干渉縞の変化に応じた、前記測定対象面の特定箇所における干渉光の強度値について、Mを自然数とし、前記特定周波数帯域の中心波長をλC、波長に関する帯域幅を2λBとしたときに、Δ=(λC 2−λB 2)/4λCなる式で表されるΔに前記自然数Mを乗じたM・Δをサンプリング間隔として干渉光強度値群を取得する第3の工程と、前記干渉光強度値群から求まる干渉光の強度値変化の理論的な波形の振幅成分に基づく特性関数を推定する第4の工程と、前記推定された特性関数のピーク位置に基づいて、前記特定箇所の高さを求める第5の工程とを備えていることを特徴とするものである。
本発明に係る表面形状測定方法によれば、白色光源から発生した白色光の周波数帯域を特定周波数帯域に制限し、その特定周波数帯域の白色光を測定対象面と参照面とに照射する。測定対象面と参照面とでそれぞれ反射した白色光の光路差に応じて干渉した干渉縞が発生する。ここで、測定対象面と参照面との相対的距離を変動させることにより、それぞれの光路差を変化させて干渉縞を変化させる。
白色光源から発生した白色光の周波数帯域を特定周波数帯域に制限し、その特定周波数帯域の白色光を測定対象面と参照面とに照射する。測定対象面と参照面とでそれぞれ反射した白色光の光路差に応じて干渉した干渉縞が発生する。ここで、測定対象面と参照面との相対的距離を変動させることにより、それぞれの光路差を変化させて干渉縞を変化させる。
これにより、特定周波数帯域の白色光に基づく干渉光強度値群を取得する。その干渉光強度値群から特定箇所での干渉光の強度値変化の理想的な波形が求められ、その波形の振幅成分に基づく特性関数を推定する。干渉光のスペクトル分布が左右対称となるように白色光の周波数帯域を上述した特定周波数帯域に制限することで、左右対称となる上記スペクトル分布の場合において、この特性関数のピーク位置は、干渉縞の理想的な波形そのものが最大になる位置に一致することになるので、そのピーク位置に基づいて特定箇所の高さを求める。複数の特定箇所の高さをそれぞれ求めることによって、測定対象面の凹凸形状を測定する。
また、上述のΔ=(λC 2−λB 2)/4λCに自然数Mを乗じたM・Δをサンプリング間隔として干渉光の強度値が取り込まれる場合、この特性関数を求める演算式は、従来と比べて簡単になるので、特性関数を求めるための演算処理に係る時間を低減させることができる。その結果、測定対象面の凹凸形状を高速に測定することができる。
なお、Mが自然数であることから、サンプリング間隔は、Δ,2Δ,……のいずれか1つを選択することができる。従って、選択されたサンプリング間隔が広ければ広いほど、処理速度を高めることができる。例えば、上述の先願発明(『日本国 特開2001−066122号公報』の発明)において、取りうる最大サンプリング間隔は、(λC+λB)/2λB以下の最大の整数を1/4倍して、さらに(λC−λB)を乗じた値であることから、サンプリング間隔M・Δはその値よりも大きな値であって、そのサンプリング間隔M・Δで取り込むのが好ましい。これにより、特性関数を求めるための演算処理の高速化に加え、先願発明の場合と比較して、処理速度をより高めることができる。
サンプリング間隔M・Δでサンプリングを行う場合、自然数Mの取りうる範囲は、1からλC/λB以下の最大の整数までである。このことから、自然数MをλC/λB以下の最大の整数とし、Δをその自然数Mで乗じたM・Δで取り込むのがより好ましい。ここで、先願発明と本発明とにおける最大サンプリング間隔ΔMAXを比較すると、先願発明では上述した値であって、本願発明ではΔをλC/λB以下の最大の整数で乗じた値となり、本願発明のΔMAXは先願発明のΔMAXの約2倍である。すなわち、本発明によれば、先願発明よりも約2倍広いサンプリング間隔でサンプリングすることが可能になり、処理速度を2倍に高めることができる。
また、上述の特性関数を推定するには、干渉光強度値群から強度値の平均値を算出し、その平均値を各強度値から減算した各調整値をほぼ通過する波形の振幅成分を表す公式に、各調整値を代入して求められる新たな関数である推定値を用いる。干渉光強度値群から強度値の平均値を算出して、干渉光の強度値変化の波形の中心線の値を求める。その平均値を各強度値から減算した調整値を求めることで、調整値群は中心線を基準として分布する波形を示す値群になる。この値群を使って、特性関数を推定する。この特性関数のピーク位置は、干渉光の強度値変化の波形が最大になる位置に一致するので、そのピーク位置に基づいて特定箇所の高さを求めることが可能になる。
また、本発明に係る表面形状測定装置は、測定対象面と参照面とに照射する白色光を発生させる白色光源と、前記測定対象面と参照面との相対的距離を変動させる変動手段と、前記白色光が照射された測定対象面と参照面との相対的距離の変動に伴って発生する干渉縞の変化とともに前記測定対象面を撮像する撮像手段と、前記撮像された測定対象面上の複数の特定箇所における干渉光の強度値を取り込むサンプリング手段と、前記サンプリング手段によって取り込まれた各特定箇所ごとの複数個の強度値である各干渉光強度値群を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された各干渉光強度値群に基づいて前記複数個の特定箇所の高さをそれぞれ求めることによって、前記測定対象面の凹凸形状を測定する演算手段とを備えた表面形状測定装置において、前記干渉光のスペクトル分布が左右対称となるように、前記白色光源から発生した白色光の周波数帯域を特定周波数帯域に制限する周波数帯域制限手段を備え、前記サンプリング手段は、前記変動手段による前記測定対象面と参照面との相対的距離の変動によって変化する干渉縞に応じた特定箇所の干渉光の強度値について、Mを自然数とし、前記特定周波数帯域の中心波長をλC、波長に関する帯域幅を2λBとしたときに、Δ=(λC 2−λB 2)/4λCなる式で表されるΔに前記自然数Mを乗じたM・Δをサンプリング間隔として順次取込み、前記記憶手段は、前記サンプリング間隔M・Δで取り込まれた複数個の強度値である干渉光強度値群を記憶し、前記演算手段は、前記記憶手段に記憶された干渉光強度値群から求まる干渉光の強度値変化の理論的な波形の振幅成分に基づく特性関数を推定し、前記推定された特性関数のピーク位置に基づいて、前記特定箇所の高さを求めることを特徴とするものである。
本発明に係る表面形状測定装置によれば、白色光源は比較的広い周波数帯域の白色光を発生させる。周波数帯域制限手段は、干渉光のスペクトル分布が左右対称になるように、白色光の周波数帯域の白色光を特定周波数帯域に制限する。これにより、測定対象面および参照面に照射される白色光の周波数帯域を把握することができる。変動手段は、特定周波数帯域の白色光が照射された測定対象面と参照面との相対的距離を変動させる。撮像手段は、測定対象面と参照面とでそれぞれ反射する白色光の光路差に応じて変化する干渉縞を撮像するとともに測定対象面を撮像しているので、測定対象面の凹凸形状に応じて干渉縞が発生または変化している様子の把握が可能になる。サンプリング手段は、測定対象面上の特定箇所において変化する干渉光の強度値を取得するために、特定箇所の干渉光の強度値について、Mを自然数とし、周波数帯域制限手段で制限された特定周波数帯域の中心波長をλC、波長に関する帯域幅を2λBとしたときに、Δ=(λC 2−λB 2)/4λCなる式で表されるΔに自然数Mを乗じたM・Δをサンプリング間隔として干渉縞の強度値を順次取り込む。サンプリング手段によって、特定周波数帯域の白色光に基づく干渉光の複数個の強度値が得られる。記憶手段は、サンプリング手段によって取り込まれた強度値を順次記憶することにより、特定箇所における複数個の強度値である干渉光強度値群を記憶する。演算手段は、干渉光強度値群から特定箇所における干渉光の強度値変化の理論的な波形を求め、左右対称となる上記スペクトル分布の場合における、この波形の振幅成分に基づく特性関数を推定する。さらに、演算手段は、その特性関数のピーク位置に基づいて、測定対象面の特定箇所の高さを求める。測定対象面の複数個の特定箇所の高さを求めることによって、測定対象面の凹凸形状を測定する。
本発明に係る表面形状測定装置によれば、本発明に係る表面形状測定方法を好適に実施することができる。
さらに、干渉光強度値群から強度値の平均値を算出し、その平均値を各強度値から減算した各調整値をほぼ通過する波形の振幅成分を表す公式に、各調整値を代入して求められる新たな関数である推定値を特性関数として推定するように、演算手段を構成するのが好ましい。すなわち、演算手段は、干渉光強度値群から強度値の平均値を算出して、干渉光の強度値変化の波形の中心線の値を求める。そして、中心線を基準として分布する波形を示す値群を求めるために、その平均値を各強度値から減算した調整値を求める。さらに、演算手段は、これら各調整値をほぼ通過する波形の振幅成分に基づく関数に、各調整値を代入した新たな関数である推定値を特性関数として推定する。この特性関数のピーク位置は、干渉光の強度値変化の波形が最大になる位置に一致するので、そのピーク位置に基づいて特定箇所の高さを求めることが可能になる。
また、周波数帯域制限手段の好ましい一例は、白色光源から撮像手段までの光路に取り付けられる、特定周波数帯域の白色光だけを通過させるバンドパスフィルタである。白色光源から撮像手段までの光路に取り付けられたバンドパスフィルタは、特定周波数帯域の白色光のみを通過させる。これにより、撮像手段では、特定周波数帯域の白色光による干渉縞および測定対象面が撮像される。さらに、周波数帯域制限手段の好ましい他の一例は、白色光源から発せられた白色光の周波数帯域を特定周波数帯域にまで狭める、白色光源から撮像手段までの光学系である。白色光源から撮像手段までの光学系は、白色光源から発生した白色光が撮像手段に届くまでの間に、その白色光の周波数帯域を特定周波数帯域にまで狭める。これにより、撮像手段では、特定周波数帯域の白色光による干渉縞および測定対象面が撮像される。さらに、周波数帯域制限手段の好ましい他の一例は、特定周波数帯域の白色光を感知する撮像手段の周波数感度である。撮像手段は、その周波数特性によって、特定周波数帯域の白色光による干渉縞および測定対象面を撮像する。
発明を実施するための最良の形態
まず、本発明の理解を容易にするために、本発明の原理について説明する。なお、本発明に用いる干渉計の各構成部分の説明については、後述する実施例で詳細に説明する。
第1図に示すように、ビームスプリッタ17から参照面15までの距離を距離L1として、ビームスプリッタ17から距離L1だけ離れた位置にある面を面Eとする。また、試料台50を基準として、そこから面Eまでの高さhを干渉計の位置とし、試料の測定対象面31上の点Pの高さをhPとする。さらに、真空中での波長の逆数に2πを掛けたものを波数といい、kで示す。kに対する光源の振幅成分をa(k)とする。なお、上述した先願発明(『日本国 特開2001−066122号公報』の発明)では、角周波数ωを後述するA(ω)の変数とするとともに、後述するmC(h),mS(h)などを求めるのに角周波数ωで表したが、本実施例では、波数kを変数とするとともに、波数kでそれぞれの値を表して説明する。
ここで、ビームスプリッタ17における反射による減衰率をq,ビームスプリッタ17における通過による減衰率をsとし、A(k)を下記の(1)式のように定義すれば、
A(k)=2{a(k)}2・qs …(1)
点Pでの干渉光の強度値の変化を示す関数であるg(h)は、次のように表される。
g(h)=f(h)+C …(2)
f(h)=∫A(k)cos2k(h−hP)dk …(3)
∫:kL〜kU(以下、∫は、特に示さない場合には同じ範囲を示す)
C:定数
上記(1)式のA(k)は、干渉光に関するスペクトル分布に相当するものであり、第2図に示すように、波数kを横軸にしたとき、kL〜kUの周波数帯域にのみ分布しているとみなすことができ、また、第3図に示すように、波長λを横軸にしたとき、λCを中心とする幅2λBの周波数帯域にのみ分布しているとみなすことができるので、下記の(4)式のように表すことができる(以下、λCを『中心波長』と呼ぶ)。
A(k)=0(k<kL,kU<k) …(4)
ここで、kL=2π/(λC+λB),kU=2π/(λC−λB)
また、干渉光の強度値の変化を示す関数であるg(h)は、次のような性質をもつことが分かる。g(h)は、h=hPに関して対称であり、
g(hP−h)=g(hP+h) …(5)
また、g(h)は、h=hPで最大になり、任意のh≠hPでは、次のようになる。
g(h)<g(hP) …(6)
以上のことから、点pにおける干渉光の強度値から干渉光の理論的な波形を示す関数、すなわち特性関数を推定し、その関数が最大になる位置を求めれば、それが点pにおける高さhPになる。
次に、上述した干渉光の強度値から干渉光の理論的な波形を示す関数(特性関数)を推定する場合、先願発明(『日本国 特開2001−066122号公報』の発明)の方法では、関数を求めるための演算処理が長時間化し、表面形状の測定を高速化するという効果を奏することができない。そこで、上記演算処理に係る時間をより短くするために、本発明では以下の原理を採用する。なお、本発明の原理を説明する前に、先願発明に係る原理について述べる。
第4図に示すように、干渉光の波形を示す関数g(h)は、変化の激しい関数が、変化の緩やかな関数の内側で振動しているように見える。この変化の緩やかな関数が最大になる位置を求めることの方が、干渉光の関数が最大になる位置を求めることよりも比較的容易であると考えられる。そこで、先願発明においては、干渉光の関数から緩やかな関数、すなわち包絡線関数m(h)を取り出し、それが最大になる位置を求める。以下にその理論について説明する。
包絡線関数m(h)を次式のように定義する。
m(h)=〔{mC(h)}2+{mS(h)}2〕1/2 …(7)
mC(h)=∫A(k)cos2{k(h−hP)−kCh}dk …(8)
mS(h)=∫A(k)sin2{k(h−hP)−kCh}dk …(9)
kC=(kU+kL)/2(以下、kCを『中心波数』と呼ぶ)
上記(7)式の包絡線関数m(h)は、先願発明における特性関数r(h)の平方根をとったものになる。従って、このまま包絡線関数m(h)が最大になる位置を求めても、特性関数r(h)の推定値rB(h)を求める演算式が煩雑であることから、包絡線関数m(h)の演算処理が長時間化する。そこで、本発明では、包絡線関数m(h)が最大になる位置を求めるかわりに、以下の原理に基づいて、mC(h)またはmS(h)が最大になる位置を求めることにする。また、先願発明では、r(h)を特性関数としていたのに対し、本発明では、mC(h)またはmS(h)を特性関数とする。
以下、本発明の原理について説明する。第5図に示すように、包絡線関数m(h)を実線、特性関数mC(h)を一点鎖線、特性関数mS(h)を二点鎖線でそれぞれ表す。包絡線関数m(h)が最大になる位置と、特性関数mC(h)が最大になる位置、特性関数mS(h)が最大になる位置は、第5図に示すように、一般には一致しない。しかし、スペクトル分布A(k)が中心波数kCに対して、左右対称である場合には、特性関数mC(h)(またはmS(h))は次式のような関係を満たす。
mC(h)=m(h)・cos2kChP …(10)
mS(h)=−m(h)・sin2kChP …(11)
この特性関数mC(h)(またはmS(h))の絶対値をとると、次式が成立する。
|mC(h)|=m(h)・|cos2kChP| …(12)
|mS(h)|=m(h)・|sin2kChP| …(13)
上記(12),(13)式から、hPは未知の値であるが定数であるので、|cos2kChP|,|sin2kChP|も定数になる。従って、特性関数mC(h),mS(h)が最大になる位置は、包絡線関数m(h)が最大になる位置と一致する。第6図に、その例を示す。第6図中の実線部分、一点鎖線部分、二点鎖線部分は第5図と同じである。
このことから、本発明では、スペクトル分布A(k)が中心波数kCに対して左右対称となる場合における、特性関数mC(h)(またはmS(h))を推定して、最大となる位置hPを求める。なお、後述するバンドパスフィルタ12によってスペクトル分布A(k)を左右対称にする。本実施例では、特性関数mC(h)のみを推定する場合を例に採って、以下を説明するが、特性関数mS(h)のみを推定する場合も、同様である。
なお、スペクトル分布A(k)が中心波数kCに対して、左右対称である場合には、特性関数mC(h),mS(h)が最大になる位置は、包絡線関数m(h)が最大になる位置と一致すると述べたが、光速をcとしたときに光速cが一定の場合には、周波数fや角周波数ωは波数kに関して比例関係にあるので、スペクトル分布A(f)が中心周波数fに対して、左右対称である場合、あるいはスペクトル分布A(ω)が中心角周波数ωCに対して、左右対称である場合も、特性関数mC(h),mS(h)が最大になる位置は、包絡線関数m(h)が最大になる位置と一致する。この他、波数kと比例関係にある物理量の関数としてスペクトル分布が表されるとき、その物理量の帯域の中心に対してスペクトル分布が左右対称である場合には、特性関数mC(h),mS(h)が最大になる位置は、包絡線関数m(h)が最大になる位置と一致する。
Δ=(λC 2−λB 2)/4λC …(14)
さらに、自然数Mを下記の(15)式のように定める。
1≦M≦λC/λB …(15)
上記(14),(15)式のΔとMとを用いて、サンプリング間隔をM・Δとする。
サンプリング点{hn}(n=−∞から∞)は、サンプリング間隔M・Δを用いると以下のようになる。
hn=n・M・Δ …(16)
このとき、特性関数mC(h)は、上記(3)式で表されたf(h)のサンプリング値{f(hn)}(n=−∞から∞)を用いて次式で表すことができる。
hがサンプリング点のとき、すなわちh=hJのとき:
mC(hJ)=(−1)JM・f(hJ) …(17)
hがサンプリング点でないとき:
mC(h)=(M・Δ/π)・sin{πh/(M・Δ)}・
Σ〔{(−1)n(M+1)・f(hn)}/(h−hn)〕 …(18)
Σ:(n=−∞)から(n=∞)までの総和
また、上述したように、サンプリング間隔はM・Δである。Mは、上記(15)式を満たす自然数であるので、<λC/λB>個、すなわちλC/λB以下の最大の整数個でのサンプリング間隔を用いることができる。特に、最大サンプリング間隔ΔMAXは、下記の(19)式のようになる。ここで、本明細書では、<X>を、X以下の最大の整数と定義付ける。
ΔMAX=<λC/λB>・{(λC 2−λB 2)/4λC} …(19)
例えば、λC=600nm,λB=20nmの場合、ΔMAX=4.495μmである。
式(18)を使って、干渉光の波形の関数を求めるためには、f(h)に対する無限個のサンプリング値{f(hn)}(n=−∞から∞)が必要である。しかし、干渉計から得られるデータ{g(hn)}(n=0からN−1)は、g(h)(=f(h)+C)のサンプリング値であり、しかも有限個である。そこで、{f(hn)}(n=−∞から∞)のかわりに、Cの推定値C’に対して、調整値fnを定義する。
fn=g(hn)−C’ …(20)
また、推定値C’は、次式によって求める。
C’=(1/N)・Σ’g(hn) …(21)
Σ’:(n=0)から(n=N−1)までの総和
推定値C’は、上記(21)式に示すように、特定箇所における干渉光強度値群、すなわち干渉計から得られるデータ{g(hn)}(n=0からN−1)に基づく干渉光の強度値g(h)の平均値である。
有限個のサンプリング値の場合、すなわち有限個の干渉光強度値群{g(hn)}(n=0からN−1)の場合の推定値を、mCN(h)で表すと、この推定値mCN(h)を、上記(20)式で表された調整値fnを用いて次式で表すことができる。
hがサンプリング点のとき、すなわちh=hJ(Jは0≦J≦N−1の整数)のとき:
|mCN(hJ)|=|fJ| …(22)
hがサンプリング点でないとき:
|mCN(h)|=(M・Δ/π)・|sin{πh/(M・Δ)}・
Σ’〔{(−1)n(M+1)・fn}/(h−hn)〕| …(23)
Σ’:(n=0)から(n=N−1)までの総和
ここで、本発明の原理の理解をより容易にするために、先願発明(『日本国 特開2001−066122号公報』の発明)との原理比較を行う。
先願発明では、特性関数r(h)の推定値rB(h)を求める演算式は、次式のようになる(hがサンプリング点のとき、h=hJのとき)。
rB(h)=1/( 2ωa’2){(ωa’yJ)2+
[Σ’’’(yJ+2m+1/(hJ−hJ+2m+1))]2} …(24)
Σ’’’:−(m=J/2以下の最大の整数)から(〔[M−J]/2以上の最小の整数〕−1)までの総和
上記(24)式を、本実施例と同じ記号を用いてまとめると、下記の(25)式になる。
rB(hJ)=(fJ)2+4/π2・
(Σ’’{fJ+2n+1/(2n+1)})2 …(25)
Σ’’:Jが偶数のとき奇数番目のサンプリング点におけるfJの総和、Jが奇数のとき偶数番目のサンプリング値におけるfJの総和
このことから、hがサンプリング点のときに、本発明における推定値mCN(hJ)と、先願発明における推定値rB(hJ)とを、上記(22)式の本発明における特性関数mC(h)の推定値mCN(hJ)を求める演算式と、上記(25)式の先願発明における特性関数r(h)の推定値rB(hJ)を求める演算式とで比較すると、本発明の(22)式の方が簡単に求めることができるのは、明らかである。すなわち、先願発明では、上記(25)式の第1項で調整値fnを2乗し、第2項を計算しなければならない。この第2項を計算するためには、サンプリング点の数に比例する回数の除算を行わなければならない。これに対して、本発明では、調整値fnの絶対値をとるだけで、特性関数mC(h)の推定値mCN(hJ)を求めることができ、この推定値mCN(hJ)を特性関数mC(h)と推定することができる。従って、特性関数を求めるための演算処理に係る時間を低減させることができる。
さらには、先願発明のサンプリング間隔は、π/2ωa’である。この先願発明に係る最大サンプリング間隔ΔMAXは、本実施例と同じ記号を用いてまとめると、下記の(26)式のようになる。なお、上記(19)式でも述べたように、<X>はX以下の最大の整数であることから、下記の(26)式中の<(λC+λB)/2λB>は、(λC+λB)/2λB以下の最大の整数である。
ΔMAX=1/4・<(λC+λB)/2λB>・(λC−λB) …(26)
従って、上記(26)式中の先願発明に係る最大サンプリング間隔ΔMAXよりも大きな値のサンプリング間隔M・Δをとることで、より広いサンプリング間隔でサンプリングすることが可能になる。さらには、本発明の最大サンプリング間隔ΔMAXは、先願発明の最大サンプリング間隔ΔMAX(例えば、λC=600nm,λB=20nmの場合、ΔMAX=2.175μm)の約2倍であることから、先願発明よりも約2倍広いサンプリング間隔でサンプリングすることが可能になり、さらに処理速度を2倍に高めることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例について具体的に説明をする。
この表面形状測定装置は、第7図に示すように、半導体ウエハ、ガラス基板や金属基板などの測定対象物30の測定対象面31上に形成された微細なパターンに、特定周波数帯域の白色光を照射する光学系ユニット1と、光学系ユニット1を制御する制御系ユニット2とを備えて構成されている。
光学系ユニット1は、測定対象面31および参照面15に照射する白色光を発生させる白色光源10と、白色光源10から白色光を平行光にするコリメートレンズ11と、特定周波数帯域の白色光だけを通過させるバンドパスフィルタ12と、バンドパスフィルタ12を通過してきた白色光を測定対象物30の方向に反射する一方、測定対象物30の方向からの白色光を通過させるハーフミラー13と、ハーフミラー13で反射されてきた白色光を集光する対物レンズ14と、対物レンズ14を通過してきた白色光を、参照面15へ反射させる参照光と、測定対象面31へ通過させる測定光とに分けるとともに、参照面15で反射してきた参照光と測定対象面31で反射してきた測定光とを再びまとめて、干渉縞を発生させるビームスプリッタ17と、参照面15で参照光を反射させるために設けられたミラー16と、参照光と測定光とがまとめられた白色光を結像する結像レンズ18と、干渉縞とともに測定対象面31を撮像するCCDカメラ19とを備えて構成されている。
白色光源10は例えば白色光ランプなどであり、比較的広い周波数帯域の白色光を発生させる。この白色光源10から発生された白色光は、コリメートレンズ11によって平行光とされ、バンドパスフィルタ12に入射する。
バンドパスフィルタ12は、特定周波数帯域の白色光だけを通過させるためのフィルタであり、白色光源10からCCDカメラ19までの光路に取り付けられる。好ましくは、白色光源10から、その白色光源10からの白色光が参照面15への参照光と測定対象面31への測定光に分かれる位置までの間の光路に取り付けられる。この実施例では、例えばコリメートレンズ11と、ハーフミラー13との間の光路に取り付けられている。バンドパスフィルタ12としては、例えば、中心波長600nm,バンド幅(帯域幅)40nmの帯域通過型光学干渉フィルタなどを利用する。このバンドパスフィルタ12に入射した比較的広い周波数帯域の白色光は、その周波数帯域が狭められ、特定周波数帯域の白色光だけがバンドパスフィルタ12を通過する。
ハーフミラー13は、バンドパスフィルタ12を通過してきた特定周波数帯域の白色光を測定対象物30の方向に向けて反射する一方、測定対象物30の方向から戻ってきた白色光を通過させるものである。このハーフミラー13で反射された特定周波数帯域の白色光は、対物レンズ14に入射する。
対物レンズ14は、入射してきた白色光を焦点Pに向けて集光するレンズである。この対物レンズ14によって集光される白色光は、参照面15を通過し、ビームスプリッタ17に到達する。
ビームスプリッタ17は、対物レンズ14で集光される白色光を、参照面15で反射させるために、ビームスプリッタ17の例えば上面で反射させる参照光と、測定対象面31で反射させるために、ビームスプリッタ17を通過させる測定光とに分けるとともに、それら参照光と測定光とを再びまとめることによって、干渉縞を発生させるものである。ビームスプリッタ17に達した白色光は、ビームスプリッタ17の上面で反射された参照光と、ビームスプリッタ17を通過する測定光とに分けられ、その参照光は参照面15に達し、その測定光は測定対象面31に達する。
参照面15には、参照光をビームスプリッタ17の方向に反射させるためのミラー16が取り付けられており、このミラー16によって反射された参照光は、ビームスプリッタ17に達し、さらに、この参照光はビームスプリッタ17によって反射される。
ビームスプリッタ17を通過した測定光は、焦点Pに向けて集光され、測定対象面31上で反射する。この反射した測定光は、ビームスプリッタ17に達して、そのビームスプリッタ17を通過する。
ビームスプリッタ17は、参照光と測定光とを再びまとめる。このとき、参照面15とビームスプリッタ17との間の距離L1と、ビームスプリッタ17と測定対象面31との間の距離L2との、距離の違いによって光路差が生じる。この光路差に応じて、参照光と測定光とが干渉し合うことで、干渉縞が生じる。この干渉縞が生じた状態の白色光は、ハーフミラー13を通過し、結像レンズ18によって結像されて、CCDカメラ19に入射する。
CCDカメラ19は、干渉縞が生じた状態の白色光とともに、測定光によって映し出される測定対象面31の焦点P付近の画像を撮像する。この撮像した画像データは、制御系ユニット2によって収集される。また、後述で明らかになるが、本願発明の変動手段に相当する制御系ユニット2の駆動部24によって、例えば光学系ユニット1が上下左右に変動される。特に、光学系ユニット1が上下方向に駆動されることによって、距離L1と距離L2との距離が変動される。これにより、距離L1と距離L2との距離の差に応じて、干渉縞が徐々に変化する。CCDカメラ19によって、後述する所定のサンプリング間隔ごとに、干渉縞の変化とともに測定対象面31の画像が撮像され、その画像データが制御系ユニット2によって収集される。CCDカメラ19は、本発明における撮像手段に相当する。
制御系ユニット2は、表面形状測定装置の全体を統括的に制御したり、所定の演算処理を行うためのCPU20と、CPU20によって逐次収集された画像データやCPU20での演算結果などの各種のデータを記憶するメモリ21と、サンプリング間隔やその他の設定情報を入力するマウスやキーボードなどの入力部22と、測定対象面31の画像などを表示するモニタ23と、CPU20の指示に応じて光学系ユニット1を上下左右に駆動する例えば3軸駆動型のサーボモータなどの駆動機構で構成される駆動部24とを備えるコンピュータシステムで構成されている。なお、CPU20は、本発明におけるサンプリング手段および演算手段に、メモリ21は本発明における記憶手段に、駆動部25は本発明における変動手段にそれぞれ相当する。
CPU20は、いわゆる中央処理装置であって、CCDカメラ19、メモリ21及び駆動部24を制御するとともに、CCDカメラ19で撮像した干渉縞を含む測定対象面31の画像データに基づいて、測定対象面31の凹凸形状を測定する処理を行う。この処理については後で詳細に説明する。さらに、CPU20には、モニタ23と、キーボードやマウスなどの入力部22とが接続されており、操作者は、モニタ23に表示される操作画面を観察しながら、入力部22から各種の設定情報の入力を行う。また、モニタ23には、測定対象面31の測定終了後に、測定対象面31の凹凸形状が数値や画像として表示される。
駆動部24は、光学系ユニット1内の参照面15とビームスプリッタ17との間の固定された距離L1と、ビームスプリッタ17と測定対象面31との間の可変の距離L2との距離の差を変化させるために、光学系ユニット1を直交3軸方向に変動させる装置であり、CPU20からの指示によって光学系ユニット1をX,Y,Z軸方向に駆動する例えば3軸駆動型のサーボモータを備える駆動機構で構成されている。なお、駆動部24は、本発明における変動手段に相当し、本発明における相対的距離とは、参照面15から測定対象面31までの距離すなわち距離L1および距離L2を示す。本実施例では、光学系ユニット1を動作させるが、例えば測定対象物30が載置される図示していないテーブルを直交3軸方向に変動させるようにしてもよい。
以下、本実施例の表面形状測定装置全体で行なわれる処理を第8図のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1(サンプリング間隔を設定)
まず、スペクトル分布A(k)が、k=kCに対して左右対称になるように、バンドパスフィルタ12によって白色光源10からの白色光の周波数帯域を特定帯域周波数に制限する。このとき、λC,λBは式(4)の条件を満たす。このλC,λBに基づいて、サンプリング間隔M・Δを式(14)から導出する。具体的には、バンドパスフィルタ12によって特定周波数帯域が制限された白色光の中心波長λCが600nm、そのバンド幅2λBが40nmである場合に、Δは149.83nmとなる。最大サンプリング間隔ΔMAXでサンプリングするとすれば、自然数MはλC/λB以下の最大の整数であるので、Mは30となり、最大サンプリング間隔ΔMAXは、4.495μmとなる。そこで、ΔMAX=4.495μmを用いて表面形状を測定することにする。操作者は、ΔMAXの値を直接、またはΔMAXを設定するための設定値を入力部22から入力する。
ステップS2(サンプリング間隔で撮像)
光学系ユニット1は、白色光源10から発生される白色光をバンドパスフィルタ12によって特定周波数帯域に制限した白色光を測定対象面31および参照面15に照射する。このバンドパスフィルタ12または後述する測定光および参照光に白色光を分けるまでの光学系によって特定周波数に制限するまでが、本発明における第1の工程に相当する。
また、CPU20は、予め所定の測定場所に移動された光学系ユニット1をz軸方向に移動を開始させるための変動開始の指示を駆動部24に与える。駆動部24は、図示しないステッピングモータなどの駆動系を駆動して、光学系ユニット1をz軸方向に予め決められた距離だけ移動させる。これにより、参照面15と測定対象面31との相対的距離が変動される。この過程が本発明における第2の工程に相当する。
CPU20は、光学系ユニット1が最大サンプリング間隔ΔMAX分だけ移動するたびに、CCD19で撮像される干渉縞を含む測定対象面31の画像データを収集して、メモリ21に順次記憶する。光学系ユニット1が予め決められた距離だけ移動することで、メモリ21には光学系ユニット1の移動距離および最大サンプリング間隔ΔMAXによって決まる複数枚の画像データが記憶される。
ステップS3(特定箇所の干渉光強度値群を取得)
例えば、操作者がモニタ23に表示される測定対象面31を観察しながら、その測定対象面31の高さを測定したい複数の特定箇所を入力部22から入力する。CPU20は、入力された複数の特定箇所を把握して、測定対象面31を撮像した画像上の前記複数の特定箇所に相当する画素の濃度値すなわち特定箇所における干渉光の強度値を、複数枚の画像データからそれぞれ取込む。これにより、各特定箇所におけるN個の強度値が得られ、これらN個の強度値を干渉光強度値群と呼び{g(hn)}(n=0からN−1)と示す。この過程が、本発明における第3の工程に相当する。
ステップS4(強度値の平均値から調整値を導出)
CPU20は、特定箇所における干渉光強度値群に基づいて、干渉光の強度値の平均値である上述した推定値C’を(21)式から求める。さらに、干渉光強度値群の各強度値から平均値を減算した各調整値(調整値群)を求めるために、(20)式から調整値群である{fn}(n=0からN−1)を導出する。
ステップS5(調整値群から特性関数を推定)
CPU20は、ステップS4で導出した調整値群{fn}(n=0からN−1)を、式(22)に代入することで、つまり調整値群{fn}(n=0からN−1)の絶対値をそれぞれとることで、バンドパスフィルタ12によって制限された特定周波数帯域の中心波長kCに対して左右対称となるスペクトル分布A(k)の場合における、特性関数mC(h)の推定値mCN(h)を求める。この特性関数mC(h)は、f(h)のピーク位置と一致したピーク位置を有する関数であって、推定値mCN(h)は、f(h)のピーク位置とほぼ一致したピーク位置を有する値である。そして、この推定値mCN(h)を特性関数mC(h)として推定する。なお、ステップS4およびS5は、本発明における第4の工程に相当する。
ステップS6(特性関数のピーク位置から高さを求める)
ステップS5で特性関数が最大になるピーク位置を求めることにより、ピーク位置hPを求め、これにより試料の測定対象面31上の点Pの高さ(特定箇所の高さ)hPを求めることができる。なお、ステップS6は、本発明における第5の工程に相当する。
ステップS7(全特定箇所が終了?)
CPU20は、全ての特定箇所が終了するまで、ステップS3〜S6の処理を繰り返し行い、全ての特定箇所の高さを求める。
ステップS8(表示)
CPU20は、モニタ23に特定箇所の高さの情報を表示したり、それら各特定箇所の高さの情報に基づいた3次元または2次元の画像を表示する。操作者は、これらの表示を観察することで、測定対象物30の測定対象面31の凹凸形状を把握することができる。
上述した本実施例によれば、干渉光に関するスペクトル分布A(k)が中心波数kCに対して左右対称である場合には、特性関数mC(h)のピーク位置は、包絡線関数m(h)のピーク位置と一致し、これによりf(h)やg(h)のピーク位置とも一致する。従って、Δ=(λC 2−λB 2)/4λCに自然数Mを乗じたM・Δをサンプリング間隔として干渉光の強度値が取り込まれる場合、この特性関数の推定値を求める演算式は、サンプリング点において(22)式のように調整値fnの絶対値をとる式となって、先願発明(『日本国 特開2001−066122号公報』の発明)と比べて簡単になるので、特性関数を求めるための演算処理に係る時間を低減させることができる。その結果、測定対象面の凹凸形状を高速に測定することができる。
なお、上述した実施例から本発明は、干渉光の強度値の変化した値が最大になる位置をより簡単に求めるために、Δ=(λC 2−λB 2)/4λCに自然数Mを乗じたサンプリング間隔M・Δで干渉光の強度値を取り込み、スペクトル分布A(k)が中心波数kCに対して左右対称である場合における特性関数を推定することに特徴がある。この特徴を導入したことにより、上記先願発明における包絡線関数m(h)のピーク位置と、本発明における特性関数のピーク位置とが一致する。従って、先願発明において包絡線関数m(h)のピーク位置を求めるために特性関数r(h)の推定値rB(h)を求めなくても、本発明における特性関数を推定することで、特性関数を求めるための演算式を簡単にすることができる。
さらに、本実施例では、サンプリング間隔M・Δを、最大サンプリング間隔ΔMAXにしてサンプリングを行っているので、先願発明における最大サンプリング間隔の値の約2倍となる。従って、上記先願発明よりも約2倍広いサンプリング間隔でサンプリングすることが可能になり、さらに処理速度を2倍に高めることができる。
ここで、本発明の方法による測定結果と、先願発明の方法による測定結果とを比較した実験結果を以下に示す。この実験に使用された測定対象物は、高い面の部分(高部)と、低い面の部分(低部)との段差が予め分かっている標準段差と呼ばれているもので、段差が9.95μmの試料である。
本実験において、サンプリング間隔は、λC=600nm,λB=30nmの場合における本発明の最大サンプリング間隔2.993μmと、先願発明の最大サンプリング間隔1.425μmとの二通りで行った。また、ノイズを混入しない場合と、ノイズを混入する場合との二通りで行った。測定結果は次表の通りである。
上記表から分かるように、まず、ノイズを混入しないときは、段差の平均の相対誤差が、先願発明および本発明とも0.0%と変らない。さらには、ノイズを混入したときでも、段差の平均の相対誤差が、先願発明のサンプリング間隔が1.425μmの場合には0.1%,本発明のサンプリング間隔が2.993μmの場合には0.2%であって、先願発明の精度と比べてほとんど変らない。これらのことから、本発明では、サンプリング間隔が、先願発明よりも約2倍広いにも関わらず、先願発明とほぼ同精度に保つことがわかる。また、ノイズを混入したときでも、本発明のサンプリング間隔を狭くすれば、先願発明よりも精度を高くすることができると予想される。
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した本実施例では、測定対象面31の画像データを撮像した後で、特定箇所の干渉光の強度値を取得するように構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、撮像した画像データ上の特定箇所に相当する画素における強度値をリアルタイムに取得して、それら干渉光の強度値を順次メモリ21に記憶するように構成することもできる。
(2)上述した本実施例では、白色光源から発せられた白色光の周波数帯域を、バンドパスフィルタ11によって特定周波数帯域に帯域制限したが、本発明はこれに限定されるものではなく、白色光源からの白色光が撮像手段であるCCDカメラ19までの光学系(光源,レンズ,各ミラーを含む)によって、白色光源からの白色光の周波数帯域が帯域制限されることを利用して、その周波数帯域を予め把握しておき、その帯域制限された周波数帯域を本発明における特定周波数帯域とすることもできる。
(3)上述した本実施例では、白色光源から発せられた白色光の周波数帯域を、バンドパスフィルタ11によって特定周波数帯域に帯域制限したが、本発明はこれに限定されるものではなく、撮像手段であるCCDカメラ19の周波数特性によって制限される周波数帯域を特定周波数帯域として、その特定周波数帯域を予め把握しておき、その帯域制限された周波数帯域を本発明における特定周波数帯域とすることもできる。
(4)上述した本実施例では、撮像手段としてCCDカメラ19を用いたが、例えば、特定箇所の干渉光の強度値のみを撮像(検出)することに鑑みれば、一点、あるいは一列、または平面状に構成された受光素子などで撮像手段を構成することもできる。
(5)上述した本実施例では、サンプリング間隔M・Δを、最大サンプリング間隔ΔMAXにしてサンプリングを行ったが、例えば、上述の先願発明において、取りうる最大サンプリング間隔は、(λC+λB)/2λB以下の最大の整数を1/4倍して、さらに(λC−λB)を乗じた値、すなわち(26)式のΔMAXであるので、先願発明に係る最大サンプリング間隔ΔMAXよりも大きな値であれば、特性関数を求めるための演算処理の高速化に加え、先願発明と比較して、処理速度をより高めることができる。また、特性関数を求めるための演算が簡単になるので、先願発明のサンプリング間隔よりも小さくなっても先願発明と比較して処理速度がなお高い場合には、先願発明のサンプリング間隔よりも小さな値でサンプリングを行ってもよい。
(6)上述した本実施例では、平均値でもある推定値C’を上記(21)式より求めたが、平均値を求める手法であれば、上記(21)式に限定されない。例えば第9図に示すように、サンプリング点を横軸にとって、縦軸を、干渉光の波形を示す関数g(h)とした場合、関数g(h)は、N個のサンプリング点{hn}(n=0からN−1)のうち、N−2nC個のサンプリング点{hn}(n=nCからN−nC−1)の間は激しく振動しているとするとともに、両端の2nC個のサンプリング点{hn}(n=0からnC−1),サンプリング点{hn}(n=N−nCからN−1)の間は緩やかで、かつ変動がないものとする。
両端の2nC個のサンプリング点{hn}(n=0からnC−1),サンプリング点{hn}(n=N−nCからN−1)は、本来ノイズしか含まれていない部分でもあるが、関数g(h)の平均値とみなすことができる。この場合、平均値でもある推定値C’は、下記の(27)式のように求めることができる。
C’=(1/2nC)・
{Σ’’’’g(hn)+Σ’’’’’g(hn)} …(27)
Σ’’’’:(n=0)から(n=nC−1)までの総和
Σ’’’’’:(n=N−nC)から(n=N−1)までの総和
産業上の利用可能性
以上のように、本発明に係る表面形状測定方法およびその装置は、半導体ウエハや液晶表示器用ガラス基板などの精密加工品の凹凸形状を白色光の干渉を用いて測定するのに適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、干渉縞が発生するメカニズムを説明するための説明図であり、
第2図は、A(k)と波数kとの関係を示す模式図であり、
第3図は、A(k)と波長λとの関係を示す模式図であり、
第4図は、g(h)とm(h)との関係を示す模式図であり、
第5図は、A(k)が中心波数kCに対して左右対称の場合でないときのm(h)とmC(h)とmS(h)との関係を示す模式図であり、
第6図は、A(k)が中心波数kCに対して左右対称の場合におけるm(h)とmC(h)とmS(h)との関係を示す模式図であり、
第7図は、本実施例に係る表面形状測定装置の概略構成を示す図であり、
第8図は、表面形状測定装置における処理を示すフローチャートであり、
第9図は、変形例に係る推定値C’の導出を説明するための説明図である。
本発明は、測定対象面の凹凸形状を測定する表面形状測定方法およびその装置に係り、特に、白色光を用いて非接触で測定対象表面を測定する技術に関する。
背景技術
従来、この種の装置として、半導体ウエハや液晶表示器用ガラス基板などの精密加工品の凹凸形状を白色光の干渉を用いて測定する方法を利用した表面形状測定装置が広く知られている。従来の表面形状測定装置では、白色光源からの白色光を、ビームスプリッタによって、測定対象面に照射する白色光と参照面に照射する白色光とに分け、両面にそれぞれ反射された各白色光による干渉現象を利用して、測定対象面の凹凸形状を測定している。
すなわち、ビームスプリッタを上下に変動させることで、参照面からビームスプリッタまでの距離と、ビームスプリッタから測定対象面までの距離との差に応じた干渉現象を発生させ、その干渉現象が発生した白色光(以下、単に『干渉光』と呼ぶ)の強度を測定する。この干渉光の強度値変化の波形が最大になる位置を求めることで、測定対象面の特定箇所の高さを求めることができる。同様にして、複数の特定箇所の高さを求めることで、測定対象面の凹凸形状を測定している。
干渉光の強度に関するこれらのデータは離散的なものであるので、特定箇所の干渉光を細かくサンプリングする必要がある。その結果、多数個の強度値を取得するための時間が長くなり、表面形状の測定に長時間を要するという問題がある。さらに、サンプリングによって取得するデータ量が膨大になり、それらデータを記憶するための記憶容量が増えるので、装置の製造コストが増大するという問題やそれら膨大なデータを処理するための演算処理が長時間化し、表面形状の測定がさらに長時間化するという問題も生じる。
そこで、本発明者等、『日本国 特開2001−06612号公報』の発明(以下、「先願発明」という)を先に提案している。先願発明では、白色光の周波数帯域を特定周波数帯域に制限し、干渉光について、この特定周波数帯域の帯域幅に応じたサンプリング間隔で順次に取り込んで干渉光の強度値の集合(以下、『干渉光強度値群』と呼ぶ)を取得し、干渉光強度値群から求まる干渉光の強度値変化の理論的な波形の振幅成分に基づく特性関数を推定して、特性関数のピーク位置に基づいて、測定対象面の特定箇所の高さを求めている。
先願発明に係る装置によれば、特定周波数帯域の帯域幅に応じたサンプリング間隔で特定箇所における干渉縞の強度値をサンプリングしているので、全ての周波数帯域を考慮したサンプリング間隔よりも幅広いサンプリング間隔でのサンプリングが可能になり、一般の表面形状測定装置より少ないデータ量となる。
その一方で、上述の特性関数は、干渉光強度群から干渉光の強度値変化の理論的な波形であるとともに、その理論的な波形の振幅成分に基づく関数でもあるので、一般の表面形状測定装置と同程度の精度に保ったまま、特性関数のピーク位置に基づいて特定箇所の高さを求めることができる。
その結果、一般の表面形状測定装置より少ないデータ量で比較的高い精度の高さ情報を求めることができるので、表面形状の測定時間を短縮することができるとともに、データを記憶する記憶容量をも小さくして、装置を安価に製造することが可能になる。
しかしながら、このような装置の場合には、次のような問題がある。
第1図に示すように、ビームスプリッタ17から参照面15までの距離を距離L1、ビームスプリッタ17から距離L1だけ離れた位置にある面を面E、試料台50を基準とした位置から面Eまでの高さを高さhとそれぞれするとともに、ビームスプリッタ17の位置を上下に変動させることで高さhを変えて干渉光の強度を測定する場合を例に採って説明する。すなわち、上述の発明では、特性関数をr(h)としたとき、高さhがサンプリング点hJ(Jは1≦J≦Mの整数)でない場合は、特性関数r(h)の推定値rB(h)を求める演算式は煩雑であって、高さhがサンプリング点hJの場合でも、特性関数r(h)の推定値rB(h)を求める演算式は、rB(h)=1/(2ωa’2){(ωa’yJ)2+[Σ’’’(yJ+2m+1/(hJ−hJ+2m+1))]2}(ただし、Σ’’’:−(m=J/2以下の最大の整数)から(〔[M−J]/2以上の最小の整数〕−1)までの総和)のように煩雑となる。
従って、サンプリング間隔が広くなることによってサンプリングのデータ量が低減しても、特性関数を求めるための演算処理が長時間化し、表面形状の測定を高速化するという効果を奏することができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、測定対象面の凹凸形状を高速に測定することができる表面形状測定方法およびその装置を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る表面形状測定方法は、白色光源からの白色光を測定対象面と参照面とに照射しながら、前記両面の相対的距離を変動させることにより干渉縞の変化を生じさせ、このときの干渉光の強度値の変化を前記測定対象面上の複数の特定箇所について測定し、この測定で得られた前記各特定箇所の干渉光強度値群に基づいて前記複数個の特定箇所の高さをそれぞれ求めて、前記測定対象面の凹凸形状を測定する表面形状測定方法において、前記干渉光のスペクトル分布が左右対称となるように、前記白色光源からの白色光の周波数領域を特定周波数帯域に制限する第1の工程と、前記特定周波数帯域の白色光が照射された前記測定対象面と参照面との相対的距離を変動させる第2の工程と、前記測定対象面と参照面との相対的距離の変動によって生じる干渉縞の変化に応じた、前記測定対象面の特定箇所における干渉光の強度値について、Mを自然数とし、前記特定周波数帯域の中心波長をλC、波長に関する帯域幅を2λBとしたときに、Δ=(λC 2−λB 2)/4λCなる式で表されるΔに前記自然数Mを乗じたM・Δをサンプリング間隔として干渉光強度値群を取得する第3の工程と、前記干渉光強度値群から求まる干渉光の強度値変化の理論的な波形の振幅成分に基づく特性関数を推定する第4の工程と、前記推定された特性関数のピーク位置に基づいて、前記特定箇所の高さを求める第5の工程とを備えていることを特徴とするものである。
本発明に係る表面形状測定方法によれば、白色光源から発生した白色光の周波数帯域を特定周波数帯域に制限し、その特定周波数帯域の白色光を測定対象面と参照面とに照射する。測定対象面と参照面とでそれぞれ反射した白色光の光路差に応じて干渉した干渉縞が発生する。ここで、測定対象面と参照面との相対的距離を変動させることにより、それぞれの光路差を変化させて干渉縞を変化させる。
白色光源から発生した白色光の周波数帯域を特定周波数帯域に制限し、その特定周波数帯域の白色光を測定対象面と参照面とに照射する。測定対象面と参照面とでそれぞれ反射した白色光の光路差に応じて干渉した干渉縞が発生する。ここで、測定対象面と参照面との相対的距離を変動させることにより、それぞれの光路差を変化させて干渉縞を変化させる。
これにより、特定周波数帯域の白色光に基づく干渉光強度値群を取得する。その干渉光強度値群から特定箇所での干渉光の強度値変化の理想的な波形が求められ、その波形の振幅成分に基づく特性関数を推定する。干渉光のスペクトル分布が左右対称となるように白色光の周波数帯域を上述した特定周波数帯域に制限することで、左右対称となる上記スペクトル分布の場合において、この特性関数のピーク位置は、干渉縞の理想的な波形そのものが最大になる位置に一致することになるので、そのピーク位置に基づいて特定箇所の高さを求める。複数の特定箇所の高さをそれぞれ求めることによって、測定対象面の凹凸形状を測定する。
また、上述のΔ=(λC 2−λB 2)/4λCに自然数Mを乗じたM・Δをサンプリング間隔として干渉光の強度値が取り込まれる場合、この特性関数を求める演算式は、従来と比べて簡単になるので、特性関数を求めるための演算処理に係る時間を低減させることができる。その結果、測定対象面の凹凸形状を高速に測定することができる。
なお、Mが自然数であることから、サンプリング間隔は、Δ,2Δ,……のいずれか1つを選択することができる。従って、選択されたサンプリング間隔が広ければ広いほど、処理速度を高めることができる。例えば、上述の先願発明(『日本国 特開2001−066122号公報』の発明)において、取りうる最大サンプリング間隔は、(λC+λB)/2λB以下の最大の整数を1/4倍して、さらに(λC−λB)を乗じた値であることから、サンプリング間隔M・Δはその値よりも大きな値であって、そのサンプリング間隔M・Δで取り込むのが好ましい。これにより、特性関数を求めるための演算処理の高速化に加え、先願発明の場合と比較して、処理速度をより高めることができる。
サンプリング間隔M・Δでサンプリングを行う場合、自然数Mの取りうる範囲は、1からλC/λB以下の最大の整数までである。このことから、自然数MをλC/λB以下の最大の整数とし、Δをその自然数Mで乗じたM・Δで取り込むのがより好ましい。ここで、先願発明と本発明とにおける最大サンプリング間隔ΔMAXを比較すると、先願発明では上述した値であって、本願発明ではΔをλC/λB以下の最大の整数で乗じた値となり、本願発明のΔMAXは先願発明のΔMAXの約2倍である。すなわち、本発明によれば、先願発明よりも約2倍広いサンプリング間隔でサンプリングすることが可能になり、処理速度を2倍に高めることができる。
また、上述の特性関数を推定するには、干渉光強度値群から強度値の平均値を算出し、その平均値を各強度値から減算した各調整値をほぼ通過する波形の振幅成分を表す公式に、各調整値を代入して求められる新たな関数である推定値を用いる。干渉光強度値群から強度値の平均値を算出して、干渉光の強度値変化の波形の中心線の値を求める。その平均値を各強度値から減算した調整値を求めることで、調整値群は中心線を基準として分布する波形を示す値群になる。この値群を使って、特性関数を推定する。この特性関数のピーク位置は、干渉光の強度値変化の波形が最大になる位置に一致するので、そのピーク位置に基づいて特定箇所の高さを求めることが可能になる。
また、本発明に係る表面形状測定装置は、測定対象面と参照面とに照射する白色光を発生させる白色光源と、前記測定対象面と参照面との相対的距離を変動させる変動手段と、前記白色光が照射された測定対象面と参照面との相対的距離の変動に伴って発生する干渉縞の変化とともに前記測定対象面を撮像する撮像手段と、前記撮像された測定対象面上の複数の特定箇所における干渉光の強度値を取り込むサンプリング手段と、前記サンプリング手段によって取り込まれた各特定箇所ごとの複数個の強度値である各干渉光強度値群を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された各干渉光強度値群に基づいて前記複数個の特定箇所の高さをそれぞれ求めることによって、前記測定対象面の凹凸形状を測定する演算手段とを備えた表面形状測定装置において、前記干渉光のスペクトル分布が左右対称となるように、前記白色光源から発生した白色光の周波数帯域を特定周波数帯域に制限する周波数帯域制限手段を備え、前記サンプリング手段は、前記変動手段による前記測定対象面と参照面との相対的距離の変動によって変化する干渉縞に応じた特定箇所の干渉光の強度値について、Mを自然数とし、前記特定周波数帯域の中心波長をλC、波長に関する帯域幅を2λBとしたときに、Δ=(λC 2−λB 2)/4λCなる式で表されるΔに前記自然数Mを乗じたM・Δをサンプリング間隔として順次取込み、前記記憶手段は、前記サンプリング間隔M・Δで取り込まれた複数個の強度値である干渉光強度値群を記憶し、前記演算手段は、前記記憶手段に記憶された干渉光強度値群から求まる干渉光の強度値変化の理論的な波形の振幅成分に基づく特性関数を推定し、前記推定された特性関数のピーク位置に基づいて、前記特定箇所の高さを求めることを特徴とするものである。
本発明に係る表面形状測定装置によれば、白色光源は比較的広い周波数帯域の白色光を発生させる。周波数帯域制限手段は、干渉光のスペクトル分布が左右対称になるように、白色光の周波数帯域の白色光を特定周波数帯域に制限する。これにより、測定対象面および参照面に照射される白色光の周波数帯域を把握することができる。変動手段は、特定周波数帯域の白色光が照射された測定対象面と参照面との相対的距離を変動させる。撮像手段は、測定対象面と参照面とでそれぞれ反射する白色光の光路差に応じて変化する干渉縞を撮像するとともに測定対象面を撮像しているので、測定対象面の凹凸形状に応じて干渉縞が発生または変化している様子の把握が可能になる。サンプリング手段は、測定対象面上の特定箇所において変化する干渉光の強度値を取得するために、特定箇所の干渉光の強度値について、Mを自然数とし、周波数帯域制限手段で制限された特定周波数帯域の中心波長をλC、波長に関する帯域幅を2λBとしたときに、Δ=(λC 2−λB 2)/4λCなる式で表されるΔに自然数Mを乗じたM・Δをサンプリング間隔として干渉縞の強度値を順次取り込む。サンプリング手段によって、特定周波数帯域の白色光に基づく干渉光の複数個の強度値が得られる。記憶手段は、サンプリング手段によって取り込まれた強度値を順次記憶することにより、特定箇所における複数個の強度値である干渉光強度値群を記憶する。演算手段は、干渉光強度値群から特定箇所における干渉光の強度値変化の理論的な波形を求め、左右対称となる上記スペクトル分布の場合における、この波形の振幅成分に基づく特性関数を推定する。さらに、演算手段は、その特性関数のピーク位置に基づいて、測定対象面の特定箇所の高さを求める。測定対象面の複数個の特定箇所の高さを求めることによって、測定対象面の凹凸形状を測定する。
本発明に係る表面形状測定装置によれば、本発明に係る表面形状測定方法を好適に実施することができる。
さらに、干渉光強度値群から強度値の平均値を算出し、その平均値を各強度値から減算した各調整値をほぼ通過する波形の振幅成分を表す公式に、各調整値を代入して求められる新たな関数である推定値を特性関数として推定するように、演算手段を構成するのが好ましい。すなわち、演算手段は、干渉光強度値群から強度値の平均値を算出して、干渉光の強度値変化の波形の中心線の値を求める。そして、中心線を基準として分布する波形を示す値群を求めるために、その平均値を各強度値から減算した調整値を求める。さらに、演算手段は、これら各調整値をほぼ通過する波形の振幅成分に基づく関数に、各調整値を代入した新たな関数である推定値を特性関数として推定する。この特性関数のピーク位置は、干渉光の強度値変化の波形が最大になる位置に一致するので、そのピーク位置に基づいて特定箇所の高さを求めることが可能になる。
また、周波数帯域制限手段の好ましい一例は、白色光源から撮像手段までの光路に取り付けられる、特定周波数帯域の白色光だけを通過させるバンドパスフィルタである。白色光源から撮像手段までの光路に取り付けられたバンドパスフィルタは、特定周波数帯域の白色光のみを通過させる。これにより、撮像手段では、特定周波数帯域の白色光による干渉縞および測定対象面が撮像される。さらに、周波数帯域制限手段の好ましい他の一例は、白色光源から発せられた白色光の周波数帯域を特定周波数帯域にまで狭める、白色光源から撮像手段までの光学系である。白色光源から撮像手段までの光学系は、白色光源から発生した白色光が撮像手段に届くまでの間に、その白色光の周波数帯域を特定周波数帯域にまで狭める。これにより、撮像手段では、特定周波数帯域の白色光による干渉縞および測定対象面が撮像される。さらに、周波数帯域制限手段の好ましい他の一例は、特定周波数帯域の白色光を感知する撮像手段の周波数感度である。撮像手段は、その周波数特性によって、特定周波数帯域の白色光による干渉縞および測定対象面を撮像する。
発明を実施するための最良の形態
まず、本発明の理解を容易にするために、本発明の原理について説明する。なお、本発明に用いる干渉計の各構成部分の説明については、後述する実施例で詳細に説明する。
第1図に示すように、ビームスプリッタ17から参照面15までの距離を距離L1として、ビームスプリッタ17から距離L1だけ離れた位置にある面を面Eとする。また、試料台50を基準として、そこから面Eまでの高さhを干渉計の位置とし、試料の測定対象面31上の点Pの高さをhPとする。さらに、真空中での波長の逆数に2πを掛けたものを波数といい、kで示す。kに対する光源の振幅成分をa(k)とする。なお、上述した先願発明(『日本国 特開2001−066122号公報』の発明)では、角周波数ωを後述するA(ω)の変数とするとともに、後述するmC(h),mS(h)などを求めるのに角周波数ωで表したが、本実施例では、波数kを変数とするとともに、波数kでそれぞれの値を表して説明する。
ここで、ビームスプリッタ17における反射による減衰率をq,ビームスプリッタ17における通過による減衰率をsとし、A(k)を下記の(1)式のように定義すれば、
A(k)=2{a(k)}2・qs …(1)
点Pでの干渉光の強度値の変化を示す関数であるg(h)は、次のように表される。
g(h)=f(h)+C …(2)
f(h)=∫A(k)cos2k(h−hP)dk …(3)
∫:kL〜kU(以下、∫は、特に示さない場合には同じ範囲を示す)
C:定数
上記(1)式のA(k)は、干渉光に関するスペクトル分布に相当するものであり、第2図に示すように、波数kを横軸にしたとき、kL〜kUの周波数帯域にのみ分布しているとみなすことができ、また、第3図に示すように、波長λを横軸にしたとき、λCを中心とする幅2λBの周波数帯域にのみ分布しているとみなすことができるので、下記の(4)式のように表すことができる(以下、λCを『中心波長』と呼ぶ)。
A(k)=0(k<kL,kU<k) …(4)
ここで、kL=2π/(λC+λB),kU=2π/(λC−λB)
また、干渉光の強度値の変化を示す関数であるg(h)は、次のような性質をもつことが分かる。g(h)は、h=hPに関して対称であり、
g(hP−h)=g(hP+h) …(5)
また、g(h)は、h=hPで最大になり、任意のh≠hPでは、次のようになる。
g(h)<g(hP) …(6)
以上のことから、点pにおける干渉光の強度値から干渉光の理論的な波形を示す関数、すなわち特性関数を推定し、その関数が最大になる位置を求めれば、それが点pにおける高さhPになる。
次に、上述した干渉光の強度値から干渉光の理論的な波形を示す関数(特性関数)を推定する場合、先願発明(『日本国 特開2001−066122号公報』の発明)の方法では、関数を求めるための演算処理が長時間化し、表面形状の測定を高速化するという効果を奏することができない。そこで、上記演算処理に係る時間をより短くするために、本発明では以下の原理を採用する。なお、本発明の原理を説明する前に、先願発明に係る原理について述べる。
第4図に示すように、干渉光の波形を示す関数g(h)は、変化の激しい関数が、変化の緩やかな関数の内側で振動しているように見える。この変化の緩やかな関数が最大になる位置を求めることの方が、干渉光の関数が最大になる位置を求めることよりも比較的容易であると考えられる。そこで、先願発明においては、干渉光の関数から緩やかな関数、すなわち包絡線関数m(h)を取り出し、それが最大になる位置を求める。以下にその理論について説明する。
包絡線関数m(h)を次式のように定義する。
m(h)=〔{mC(h)}2+{mS(h)}2〕1/2 …(7)
mC(h)=∫A(k)cos2{k(h−hP)−kCh}dk …(8)
mS(h)=∫A(k)sin2{k(h−hP)−kCh}dk …(9)
kC=(kU+kL)/2(以下、kCを『中心波数』と呼ぶ)
上記(7)式の包絡線関数m(h)は、先願発明における特性関数r(h)の平方根をとったものになる。従って、このまま包絡線関数m(h)が最大になる位置を求めても、特性関数r(h)の推定値rB(h)を求める演算式が煩雑であることから、包絡線関数m(h)の演算処理が長時間化する。そこで、本発明では、包絡線関数m(h)が最大になる位置を求めるかわりに、以下の原理に基づいて、mC(h)またはmS(h)が最大になる位置を求めることにする。また、先願発明では、r(h)を特性関数としていたのに対し、本発明では、mC(h)またはmS(h)を特性関数とする。
以下、本発明の原理について説明する。第5図に示すように、包絡線関数m(h)を実線、特性関数mC(h)を一点鎖線、特性関数mS(h)を二点鎖線でそれぞれ表す。包絡線関数m(h)が最大になる位置と、特性関数mC(h)が最大になる位置、特性関数mS(h)が最大になる位置は、第5図に示すように、一般には一致しない。しかし、スペクトル分布A(k)が中心波数kCに対して、左右対称である場合には、特性関数mC(h)(またはmS(h))は次式のような関係を満たす。
mC(h)=m(h)・cos2kChP …(10)
mS(h)=−m(h)・sin2kChP …(11)
この特性関数mC(h)(またはmS(h))の絶対値をとると、次式が成立する。
|mC(h)|=m(h)・|cos2kChP| …(12)
|mS(h)|=m(h)・|sin2kChP| …(13)
上記(12),(13)式から、hPは未知の値であるが定数であるので、|cos2kChP|,|sin2kChP|も定数になる。従って、特性関数mC(h),mS(h)が最大になる位置は、包絡線関数m(h)が最大になる位置と一致する。第6図に、その例を示す。第6図中の実線部分、一点鎖線部分、二点鎖線部分は第5図と同じである。
このことから、本発明では、スペクトル分布A(k)が中心波数kCに対して左右対称となる場合における、特性関数mC(h)(またはmS(h))を推定して、最大となる位置hPを求める。なお、後述するバンドパスフィルタ12によってスペクトル分布A(k)を左右対称にする。本実施例では、特性関数mC(h)のみを推定する場合を例に採って、以下を説明するが、特性関数mS(h)のみを推定する場合も、同様である。
なお、スペクトル分布A(k)が中心波数kCに対して、左右対称である場合には、特性関数mC(h),mS(h)が最大になる位置は、包絡線関数m(h)が最大になる位置と一致すると述べたが、光速をcとしたときに光速cが一定の場合には、周波数fや角周波数ωは波数kに関して比例関係にあるので、スペクトル分布A(f)が中心周波数fに対して、左右対称である場合、あるいはスペクトル分布A(ω)が中心角周波数ωCに対して、左右対称である場合も、特性関数mC(h),mS(h)が最大になる位置は、包絡線関数m(h)が最大になる位置と一致する。この他、波数kと比例関係にある物理量の関数としてスペクトル分布が表されるとき、その物理量の帯域の中心に対してスペクトル分布が左右対称である場合には、特性関数mC(h),mS(h)が最大になる位置は、包絡線関数m(h)が最大になる位置と一致する。
Δ=(λC 2−λB 2)/4λC …(14)
さらに、自然数Mを下記の(15)式のように定める。
1≦M≦λC/λB …(15)
上記(14),(15)式のΔとMとを用いて、サンプリング間隔をM・Δとする。
サンプリング点{hn}(n=−∞から∞)は、サンプリング間隔M・Δを用いると以下のようになる。
hn=n・M・Δ …(16)
このとき、特性関数mC(h)は、上記(3)式で表されたf(h)のサンプリング値{f(hn)}(n=−∞から∞)を用いて次式で表すことができる。
hがサンプリング点のとき、すなわちh=hJのとき:
mC(hJ)=(−1)JM・f(hJ) …(17)
hがサンプリング点でないとき:
mC(h)=(M・Δ/π)・sin{πh/(M・Δ)}・
Σ〔{(−1)n(M+1)・f(hn)}/(h−hn)〕 …(18)
Σ:(n=−∞)から(n=∞)までの総和
また、上述したように、サンプリング間隔はM・Δである。Mは、上記(15)式を満たす自然数であるので、<λC/λB>個、すなわちλC/λB以下の最大の整数個でのサンプリング間隔を用いることができる。特に、最大サンプリング間隔ΔMAXは、下記の(19)式のようになる。ここで、本明細書では、<X>を、X以下の最大の整数と定義付ける。
ΔMAX=<λC/λB>・{(λC 2−λB 2)/4λC} …(19)
例えば、λC=600nm,λB=20nmの場合、ΔMAX=4.495μmである。
式(18)を使って、干渉光の波形の関数を求めるためには、f(h)に対する無限個のサンプリング値{f(hn)}(n=−∞から∞)が必要である。しかし、干渉計から得られるデータ{g(hn)}(n=0からN−1)は、g(h)(=f(h)+C)のサンプリング値であり、しかも有限個である。そこで、{f(hn)}(n=−∞から∞)のかわりに、Cの推定値C’に対して、調整値fnを定義する。
fn=g(hn)−C’ …(20)
また、推定値C’は、次式によって求める。
C’=(1/N)・Σ’g(hn) …(21)
Σ’:(n=0)から(n=N−1)までの総和
推定値C’は、上記(21)式に示すように、特定箇所における干渉光強度値群、すなわち干渉計から得られるデータ{g(hn)}(n=0からN−1)に基づく干渉光の強度値g(h)の平均値である。
有限個のサンプリング値の場合、すなわち有限個の干渉光強度値群{g(hn)}(n=0からN−1)の場合の推定値を、mCN(h)で表すと、この推定値mCN(h)を、上記(20)式で表された調整値fnを用いて次式で表すことができる。
hがサンプリング点のとき、すなわちh=hJ(Jは0≦J≦N−1の整数)のとき:
|mCN(hJ)|=|fJ| …(22)
hがサンプリング点でないとき:
|mCN(h)|=(M・Δ/π)・|sin{πh/(M・Δ)}・
Σ’〔{(−1)n(M+1)・fn}/(h−hn)〕| …(23)
Σ’:(n=0)から(n=N−1)までの総和
ここで、本発明の原理の理解をより容易にするために、先願発明(『日本国 特開2001−066122号公報』の発明)との原理比較を行う。
先願発明では、特性関数r(h)の推定値rB(h)を求める演算式は、次式のようになる(hがサンプリング点のとき、h=hJのとき)。
rB(h)=1/( 2ωa’2){(ωa’yJ)2+
[Σ’’’(yJ+2m+1/(hJ−hJ+2m+1))]2} …(24)
Σ’’’:−(m=J/2以下の最大の整数)から(〔[M−J]/2以上の最小の整数〕−1)までの総和
上記(24)式を、本実施例と同じ記号を用いてまとめると、下記の(25)式になる。
rB(hJ)=(fJ)2+4/π2・
(Σ’’{fJ+2n+1/(2n+1)})2 …(25)
Σ’’:Jが偶数のとき奇数番目のサンプリング点におけるfJの総和、Jが奇数のとき偶数番目のサンプリング値におけるfJの総和
このことから、hがサンプリング点のときに、本発明における推定値mCN(hJ)と、先願発明における推定値rB(hJ)とを、上記(22)式の本発明における特性関数mC(h)の推定値mCN(hJ)を求める演算式と、上記(25)式の先願発明における特性関数r(h)の推定値rB(hJ)を求める演算式とで比較すると、本発明の(22)式の方が簡単に求めることができるのは、明らかである。すなわち、先願発明では、上記(25)式の第1項で調整値fnを2乗し、第2項を計算しなければならない。この第2項を計算するためには、サンプリング点の数に比例する回数の除算を行わなければならない。これに対して、本発明では、調整値fnの絶対値をとるだけで、特性関数mC(h)の推定値mCN(hJ)を求めることができ、この推定値mCN(hJ)を特性関数mC(h)と推定することができる。従って、特性関数を求めるための演算処理に係る時間を低減させることができる。
さらには、先願発明のサンプリング間隔は、π/2ωa’である。この先願発明に係る最大サンプリング間隔ΔMAXは、本実施例と同じ記号を用いてまとめると、下記の(26)式のようになる。なお、上記(19)式でも述べたように、<X>はX以下の最大の整数であることから、下記の(26)式中の<(λC+λB)/2λB>は、(λC+λB)/2λB以下の最大の整数である。
ΔMAX=1/4・<(λC+λB)/2λB>・(λC−λB) …(26)
従って、上記(26)式中の先願発明に係る最大サンプリング間隔ΔMAXよりも大きな値のサンプリング間隔M・Δをとることで、より広いサンプリング間隔でサンプリングすることが可能になる。さらには、本発明の最大サンプリング間隔ΔMAXは、先願発明の最大サンプリング間隔ΔMAX(例えば、λC=600nm,λB=20nmの場合、ΔMAX=2.175μm)の約2倍であることから、先願発明よりも約2倍広いサンプリング間隔でサンプリングすることが可能になり、さらに処理速度を2倍に高めることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例について具体的に説明をする。
この表面形状測定装置は、第7図に示すように、半導体ウエハ、ガラス基板や金属基板などの測定対象物30の測定対象面31上に形成された微細なパターンに、特定周波数帯域の白色光を照射する光学系ユニット1と、光学系ユニット1を制御する制御系ユニット2とを備えて構成されている。
光学系ユニット1は、測定対象面31および参照面15に照射する白色光を発生させる白色光源10と、白色光源10から白色光を平行光にするコリメートレンズ11と、特定周波数帯域の白色光だけを通過させるバンドパスフィルタ12と、バンドパスフィルタ12を通過してきた白色光を測定対象物30の方向に反射する一方、測定対象物30の方向からの白色光を通過させるハーフミラー13と、ハーフミラー13で反射されてきた白色光を集光する対物レンズ14と、対物レンズ14を通過してきた白色光を、参照面15へ反射させる参照光と、測定対象面31へ通過させる測定光とに分けるとともに、参照面15で反射してきた参照光と測定対象面31で反射してきた測定光とを再びまとめて、干渉縞を発生させるビームスプリッタ17と、参照面15で参照光を反射させるために設けられたミラー16と、参照光と測定光とがまとめられた白色光を結像する結像レンズ18と、干渉縞とともに測定対象面31を撮像するCCDカメラ19とを備えて構成されている。
白色光源10は例えば白色光ランプなどであり、比較的広い周波数帯域の白色光を発生させる。この白色光源10から発生された白色光は、コリメートレンズ11によって平行光とされ、バンドパスフィルタ12に入射する。
バンドパスフィルタ12は、特定周波数帯域の白色光だけを通過させるためのフィルタであり、白色光源10からCCDカメラ19までの光路に取り付けられる。好ましくは、白色光源10から、その白色光源10からの白色光が参照面15への参照光と測定対象面31への測定光に分かれる位置までの間の光路に取り付けられる。この実施例では、例えばコリメートレンズ11と、ハーフミラー13との間の光路に取り付けられている。バンドパスフィルタ12としては、例えば、中心波長600nm,バンド幅(帯域幅)40nmの帯域通過型光学干渉フィルタなどを利用する。このバンドパスフィルタ12に入射した比較的広い周波数帯域の白色光は、その周波数帯域が狭められ、特定周波数帯域の白色光だけがバンドパスフィルタ12を通過する。
ハーフミラー13は、バンドパスフィルタ12を通過してきた特定周波数帯域の白色光を測定対象物30の方向に向けて反射する一方、測定対象物30の方向から戻ってきた白色光を通過させるものである。このハーフミラー13で反射された特定周波数帯域の白色光は、対物レンズ14に入射する。
対物レンズ14は、入射してきた白色光を焦点Pに向けて集光するレンズである。この対物レンズ14によって集光される白色光は、参照面15を通過し、ビームスプリッタ17に到達する。
ビームスプリッタ17は、対物レンズ14で集光される白色光を、参照面15で反射させるために、ビームスプリッタ17の例えば上面で反射させる参照光と、測定対象面31で反射させるために、ビームスプリッタ17を通過させる測定光とに分けるとともに、それら参照光と測定光とを再びまとめることによって、干渉縞を発生させるものである。ビームスプリッタ17に達した白色光は、ビームスプリッタ17の上面で反射された参照光と、ビームスプリッタ17を通過する測定光とに分けられ、その参照光は参照面15に達し、その測定光は測定対象面31に達する。
参照面15には、参照光をビームスプリッタ17の方向に反射させるためのミラー16が取り付けられており、このミラー16によって反射された参照光は、ビームスプリッタ17に達し、さらに、この参照光はビームスプリッタ17によって反射される。
ビームスプリッタ17を通過した測定光は、焦点Pに向けて集光され、測定対象面31上で反射する。この反射した測定光は、ビームスプリッタ17に達して、そのビームスプリッタ17を通過する。
ビームスプリッタ17は、参照光と測定光とを再びまとめる。このとき、参照面15とビームスプリッタ17との間の距離L1と、ビームスプリッタ17と測定対象面31との間の距離L2との、距離の違いによって光路差が生じる。この光路差に応じて、参照光と測定光とが干渉し合うことで、干渉縞が生じる。この干渉縞が生じた状態の白色光は、ハーフミラー13を通過し、結像レンズ18によって結像されて、CCDカメラ19に入射する。
CCDカメラ19は、干渉縞が生じた状態の白色光とともに、測定光によって映し出される測定対象面31の焦点P付近の画像を撮像する。この撮像した画像データは、制御系ユニット2によって収集される。また、後述で明らかになるが、本願発明の変動手段に相当する制御系ユニット2の駆動部24によって、例えば光学系ユニット1が上下左右に変動される。特に、光学系ユニット1が上下方向に駆動されることによって、距離L1と距離L2との距離が変動される。これにより、距離L1と距離L2との距離の差に応じて、干渉縞が徐々に変化する。CCDカメラ19によって、後述する所定のサンプリング間隔ごとに、干渉縞の変化とともに測定対象面31の画像が撮像され、その画像データが制御系ユニット2によって収集される。CCDカメラ19は、本発明における撮像手段に相当する。
制御系ユニット2は、表面形状測定装置の全体を統括的に制御したり、所定の演算処理を行うためのCPU20と、CPU20によって逐次収集された画像データやCPU20での演算結果などの各種のデータを記憶するメモリ21と、サンプリング間隔やその他の設定情報を入力するマウスやキーボードなどの入力部22と、測定対象面31の画像などを表示するモニタ23と、CPU20の指示に応じて光学系ユニット1を上下左右に駆動する例えば3軸駆動型のサーボモータなどの駆動機構で構成される駆動部24とを備えるコンピュータシステムで構成されている。なお、CPU20は、本発明におけるサンプリング手段および演算手段に、メモリ21は本発明における記憶手段に、駆動部25は本発明における変動手段にそれぞれ相当する。
CPU20は、いわゆる中央処理装置であって、CCDカメラ19、メモリ21及び駆動部24を制御するとともに、CCDカメラ19で撮像した干渉縞を含む測定対象面31の画像データに基づいて、測定対象面31の凹凸形状を測定する処理を行う。この処理については後で詳細に説明する。さらに、CPU20には、モニタ23と、キーボードやマウスなどの入力部22とが接続されており、操作者は、モニタ23に表示される操作画面を観察しながら、入力部22から各種の設定情報の入力を行う。また、モニタ23には、測定対象面31の測定終了後に、測定対象面31の凹凸形状が数値や画像として表示される。
駆動部24は、光学系ユニット1内の参照面15とビームスプリッタ17との間の固定された距離L1と、ビームスプリッタ17と測定対象面31との間の可変の距離L2との距離の差を変化させるために、光学系ユニット1を直交3軸方向に変動させる装置であり、CPU20からの指示によって光学系ユニット1をX,Y,Z軸方向に駆動する例えば3軸駆動型のサーボモータを備える駆動機構で構成されている。なお、駆動部24は、本発明における変動手段に相当し、本発明における相対的距離とは、参照面15から測定対象面31までの距離すなわち距離L1および距離L2を示す。本実施例では、光学系ユニット1を動作させるが、例えば測定対象物30が載置される図示していないテーブルを直交3軸方向に変動させるようにしてもよい。
以下、本実施例の表面形状測定装置全体で行なわれる処理を第8図のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1(サンプリング間隔を設定)
まず、スペクトル分布A(k)が、k=kCに対して左右対称になるように、バンドパスフィルタ12によって白色光源10からの白色光の周波数帯域を特定帯域周波数に制限する。このとき、λC,λBは式(4)の条件を満たす。このλC,λBに基づいて、サンプリング間隔M・Δを式(14)から導出する。具体的には、バンドパスフィルタ12によって特定周波数帯域が制限された白色光の中心波長λCが600nm、そのバンド幅2λBが40nmである場合に、Δは149.83nmとなる。最大サンプリング間隔ΔMAXでサンプリングするとすれば、自然数MはλC/λB以下の最大の整数であるので、Mは30となり、最大サンプリング間隔ΔMAXは、4.495μmとなる。そこで、ΔMAX=4.495μmを用いて表面形状を測定することにする。操作者は、ΔMAXの値を直接、またはΔMAXを設定するための設定値を入力部22から入力する。
ステップS2(サンプリング間隔で撮像)
光学系ユニット1は、白色光源10から発生される白色光をバンドパスフィルタ12によって特定周波数帯域に制限した白色光を測定対象面31および参照面15に照射する。このバンドパスフィルタ12または後述する測定光および参照光に白色光を分けるまでの光学系によって特定周波数に制限するまでが、本発明における第1の工程に相当する。
また、CPU20は、予め所定の測定場所に移動された光学系ユニット1をz軸方向に移動を開始させるための変動開始の指示を駆動部24に与える。駆動部24は、図示しないステッピングモータなどの駆動系を駆動して、光学系ユニット1をz軸方向に予め決められた距離だけ移動させる。これにより、参照面15と測定対象面31との相対的距離が変動される。この過程が本発明における第2の工程に相当する。
CPU20は、光学系ユニット1が最大サンプリング間隔ΔMAX分だけ移動するたびに、CCD19で撮像される干渉縞を含む測定対象面31の画像データを収集して、メモリ21に順次記憶する。光学系ユニット1が予め決められた距離だけ移動することで、メモリ21には光学系ユニット1の移動距離および最大サンプリング間隔ΔMAXによって決まる複数枚の画像データが記憶される。
ステップS3(特定箇所の干渉光強度値群を取得)
例えば、操作者がモニタ23に表示される測定対象面31を観察しながら、その測定対象面31の高さを測定したい複数の特定箇所を入力部22から入力する。CPU20は、入力された複数の特定箇所を把握して、測定対象面31を撮像した画像上の前記複数の特定箇所に相当する画素の濃度値すなわち特定箇所における干渉光の強度値を、複数枚の画像データからそれぞれ取込む。これにより、各特定箇所におけるN個の強度値が得られ、これらN個の強度値を干渉光強度値群と呼び{g(hn)}(n=0からN−1)と示す。この過程が、本発明における第3の工程に相当する。
ステップS4(強度値の平均値から調整値を導出)
CPU20は、特定箇所における干渉光強度値群に基づいて、干渉光の強度値の平均値である上述した推定値C’を(21)式から求める。さらに、干渉光強度値群の各強度値から平均値を減算した各調整値(調整値群)を求めるために、(20)式から調整値群である{fn}(n=0からN−1)を導出する。
ステップS5(調整値群から特性関数を推定)
CPU20は、ステップS4で導出した調整値群{fn}(n=0からN−1)を、式(22)に代入することで、つまり調整値群{fn}(n=0からN−1)の絶対値をそれぞれとることで、バンドパスフィルタ12によって制限された特定周波数帯域の中心波長kCに対して左右対称となるスペクトル分布A(k)の場合における、特性関数mC(h)の推定値mCN(h)を求める。この特性関数mC(h)は、f(h)のピーク位置と一致したピーク位置を有する関数であって、推定値mCN(h)は、f(h)のピーク位置とほぼ一致したピーク位置を有する値である。そして、この推定値mCN(h)を特性関数mC(h)として推定する。なお、ステップS4およびS5は、本発明における第4の工程に相当する。
ステップS6(特性関数のピーク位置から高さを求める)
ステップS5で特性関数が最大になるピーク位置を求めることにより、ピーク位置hPを求め、これにより試料の測定対象面31上の点Pの高さ(特定箇所の高さ)hPを求めることができる。なお、ステップS6は、本発明における第5の工程に相当する。
ステップS7(全特定箇所が終了?)
CPU20は、全ての特定箇所が終了するまで、ステップS3〜S6の処理を繰り返し行い、全ての特定箇所の高さを求める。
ステップS8(表示)
CPU20は、モニタ23に特定箇所の高さの情報を表示したり、それら各特定箇所の高さの情報に基づいた3次元または2次元の画像を表示する。操作者は、これらの表示を観察することで、測定対象物30の測定対象面31の凹凸形状を把握することができる。
上述した本実施例によれば、干渉光に関するスペクトル分布A(k)が中心波数kCに対して左右対称である場合には、特性関数mC(h)のピーク位置は、包絡線関数m(h)のピーク位置と一致し、これによりf(h)やg(h)のピーク位置とも一致する。従って、Δ=(λC 2−λB 2)/4λCに自然数Mを乗じたM・Δをサンプリング間隔として干渉光の強度値が取り込まれる場合、この特性関数の推定値を求める演算式は、サンプリング点において(22)式のように調整値fnの絶対値をとる式となって、先願発明(『日本国 特開2001−066122号公報』の発明)と比べて簡単になるので、特性関数を求めるための演算処理に係る時間を低減させることができる。その結果、測定対象面の凹凸形状を高速に測定することができる。
なお、上述した実施例から本発明は、干渉光の強度値の変化した値が最大になる位置をより簡単に求めるために、Δ=(λC 2−λB 2)/4λCに自然数Mを乗じたサンプリング間隔M・Δで干渉光の強度値を取り込み、スペクトル分布A(k)が中心波数kCに対して左右対称である場合における特性関数を推定することに特徴がある。この特徴を導入したことにより、上記先願発明における包絡線関数m(h)のピーク位置と、本発明における特性関数のピーク位置とが一致する。従って、先願発明において包絡線関数m(h)のピーク位置を求めるために特性関数r(h)の推定値rB(h)を求めなくても、本発明における特性関数を推定することで、特性関数を求めるための演算式を簡単にすることができる。
さらに、本実施例では、サンプリング間隔M・Δを、最大サンプリング間隔ΔMAXにしてサンプリングを行っているので、先願発明における最大サンプリング間隔の値の約2倍となる。従って、上記先願発明よりも約2倍広いサンプリング間隔でサンプリングすることが可能になり、さらに処理速度を2倍に高めることができる。
ここで、本発明の方法による測定結果と、先願発明の方法による測定結果とを比較した実験結果を以下に示す。この実験に使用された測定対象物は、高い面の部分(高部)と、低い面の部分(低部)との段差が予め分かっている標準段差と呼ばれているもので、段差が9.95μmの試料である。
本実験において、サンプリング間隔は、λC=600nm,λB=30nmの場合における本発明の最大サンプリング間隔2.993μmと、先願発明の最大サンプリング間隔1.425μmとの二通りで行った。また、ノイズを混入しない場合と、ノイズを混入する場合との二通りで行った。測定結果は次表の通りである。
上記表から分かるように、まず、ノイズを混入しないときは、段差の平均の相対誤差が、先願発明および本発明とも0.0%と変らない。さらには、ノイズを混入したときでも、段差の平均の相対誤差が、先願発明のサンプリング間隔が1.425μmの場合には0.1%,本発明のサンプリング間隔が2.993μmの場合には0.2%であって、先願発明の精度と比べてほとんど変らない。これらのことから、本発明では、サンプリング間隔が、先願発明よりも約2倍広いにも関わらず、先願発明とほぼ同精度に保つことがわかる。また、ノイズを混入したときでも、本発明のサンプリング間隔を狭くすれば、先願発明よりも精度を高くすることができると予想される。
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した本実施例では、測定対象面31の画像データを撮像した後で、特定箇所の干渉光の強度値を取得するように構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、撮像した画像データ上の特定箇所に相当する画素における強度値をリアルタイムに取得して、それら干渉光の強度値を順次メモリ21に記憶するように構成することもできる。
(2)上述した本実施例では、白色光源から発せられた白色光の周波数帯域を、バンドパスフィルタ11によって特定周波数帯域に帯域制限したが、本発明はこれに限定されるものではなく、白色光源からの白色光が撮像手段であるCCDカメラ19までの光学系(光源,レンズ,各ミラーを含む)によって、白色光源からの白色光の周波数帯域が帯域制限されることを利用して、その周波数帯域を予め把握しておき、その帯域制限された周波数帯域を本発明における特定周波数帯域とすることもできる。
(3)上述した本実施例では、白色光源から発せられた白色光の周波数帯域を、バンドパスフィルタ11によって特定周波数帯域に帯域制限したが、本発明はこれに限定されるものではなく、撮像手段であるCCDカメラ19の周波数特性によって制限される周波数帯域を特定周波数帯域として、その特定周波数帯域を予め把握しておき、その帯域制限された周波数帯域を本発明における特定周波数帯域とすることもできる。
(4)上述した本実施例では、撮像手段としてCCDカメラ19を用いたが、例えば、特定箇所の干渉光の強度値のみを撮像(検出)することに鑑みれば、一点、あるいは一列、または平面状に構成された受光素子などで撮像手段を構成することもできる。
(5)上述した本実施例では、サンプリング間隔M・Δを、最大サンプリング間隔ΔMAXにしてサンプリングを行ったが、例えば、上述の先願発明において、取りうる最大サンプリング間隔は、(λC+λB)/2λB以下の最大の整数を1/4倍して、さらに(λC−λB)を乗じた値、すなわち(26)式のΔMAXであるので、先願発明に係る最大サンプリング間隔ΔMAXよりも大きな値であれば、特性関数を求めるための演算処理の高速化に加え、先願発明と比較して、処理速度をより高めることができる。また、特性関数を求めるための演算が簡単になるので、先願発明のサンプリング間隔よりも小さくなっても先願発明と比較して処理速度がなお高い場合には、先願発明のサンプリング間隔よりも小さな値でサンプリングを行ってもよい。
(6)上述した本実施例では、平均値でもある推定値C’を上記(21)式より求めたが、平均値を求める手法であれば、上記(21)式に限定されない。例えば第9図に示すように、サンプリング点を横軸にとって、縦軸を、干渉光の波形を示す関数g(h)とした場合、関数g(h)は、N個のサンプリング点{hn}(n=0からN−1)のうち、N−2nC個のサンプリング点{hn}(n=nCからN−nC−1)の間は激しく振動しているとするとともに、両端の2nC個のサンプリング点{hn}(n=0からnC−1),サンプリング点{hn}(n=N−nCからN−1)の間は緩やかで、かつ変動がないものとする。
両端の2nC個のサンプリング点{hn}(n=0からnC−1),サンプリング点{hn}(n=N−nCからN−1)は、本来ノイズしか含まれていない部分でもあるが、関数g(h)の平均値とみなすことができる。この場合、平均値でもある推定値C’は、下記の(27)式のように求めることができる。
C’=(1/2nC)・
{Σ’’’’g(hn)+Σ’’’’’g(hn)} …(27)
Σ’’’’:(n=0)から(n=nC−1)までの総和
Σ’’’’’:(n=N−nC)から(n=N−1)までの総和
産業上の利用可能性
以上のように、本発明に係る表面形状測定方法およびその装置は、半導体ウエハや液晶表示器用ガラス基板などの精密加工品の凹凸形状を白色光の干渉を用いて測定するのに適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、干渉縞が発生するメカニズムを説明するための説明図であり、
第2図は、A(k)と波数kとの関係を示す模式図であり、
第3図は、A(k)と波長λとの関係を示す模式図であり、
第4図は、g(h)とm(h)との関係を示す模式図であり、
第5図は、A(k)が中心波数kCに対して左右対称の場合でないときのm(h)とmC(h)とmS(h)との関係を示す模式図であり、
第6図は、A(k)が中心波数kCに対して左右対称の場合におけるm(h)とmC(h)とmS(h)との関係を示す模式図であり、
第7図は、本実施例に係る表面形状測定装置の概略構成を示す図であり、
第8図は、表面形状測定装置における処理を示すフローチャートであり、
第9図は、変形例に係る推定値C’の導出を説明するための説明図である。
Claims (11)
- 白色光源からの白色光を測定対象面と参照面とに照射しながら、前記両面の相対的距離を変動させることにより干渉縞の変化を生じさせ、このときの干渉光の強度値の変化を前記測定対象面上の複数の特定箇所について測定し、この測定で得られた前記各特定箇所の干渉光強度値群に基づいて前記複数個の特定箇所の高さをそれぞれ求めて、前記測定対象面の凹凸形状を測定する表面形状測定方法において、
前記干渉光のスペクトル分布が左右対称となるように、前記白色光源からの白色光の周波数領域を特定周波数帯域に制限する第1の工程と、
前記特定周波数帯域の白色光が照射された前記測定対象面と参照面との相対的距離を変動させる第2の工程と、
前記測定対象面と参照面との相対的距離の変動によって生じる干渉縞の変化に応じた、前記測定対象面の特定箇所における干渉光の強度値について、Mを自然数とし、前記特定周波数帯域の中心波長をλC、波長に関する帯域幅を2λBとしたときに、Δ=(λC 2−λB 2)/4λCなる式で表されるΔに前記自然数Mを乗じたM・Δをサンプリング間隔として干渉光強度値群を取得する第3の工程と、
前記干渉光強度値群から求まる干渉光の強度値変化の理論的な波形の振幅成分に基づく特性関数を推定する第4の工程と、
前記推定された特性関数のピーク位置に基づいて、前記特定箇所の高さを求める第5の工程と
を備えていることを特徴とする表面形状測定方法。 - 請求項1に記載の表面形状測定方法において、
前記サンプリング間隔M・Δは、(λC+λB)/2λB以下の最大の整数を1/4倍して、さらに(λC−λB)を乗じた値よりも大きな値であって、前記第3の工程は、そのサンプリング間隔M・Δで順次取り込んだ干渉光強度値群を取得する表面形状測定方法。 - 請求項2に記載の表面形状測定方法において、
前記自然数MをλC/λB以下の最大の整数とし、前記第3の工程は、Δをその自然数Mで乗じたM・Δで順次取り込んだ干渉光強度値群を取得する表面形状測定方法。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の表面形状測定方法において、
前記第4の工程は、前記干渉光強度値群から強度値の平均値を算出し、その平均値を各強度値から減算した各調整値をほぼ通過する波形の振幅成分を表す公式に、前記各調整値を代入して求められる新たな関数である推定値を特性関数として推定する表面形状測定方法。 - 測定対象面と参照面とに照射する白色光を発生させる白色光源と、前記測定対象面と参照面との相対的距離を変動させる変動手段と、前記白色光が照射された測定対象面と参照面との相対的距離の変動に伴って発生する干渉縞の変化とともに前記測定対象面を撮像する撮像手段と、前記撮像された測定対象面上の複数の特定箇所における干渉光の強度値を取り込むサンプリング手段と、前記サンプリング手段によって取り込まれた各特定箇所ごとの複数個の強度値である各干渉光強度値群を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された各干渉光強度値群に基づいて前記複数個の特定箇所の高さをそれぞれ求めることによって、前記測定対象面の凹凸形状を測定する演算手段とを備えた表面形状測定装置において、
前記干渉光のスペクトル分布が左右対称となるように、前記白色光源から発生した白色光の周波数帯域を特定周波数帯域に制限する周波数帯域制限手段を備え、
前記サンプリング手段は、前記変動手段による前記測定対象面と参照面との相対的距離の変動によって変化する干渉縞に応じた特定箇所の干渉光の強度値について、Mを自然数とし、前記特定周波数帯域の中心波長をλC、波長に関する帯域幅を2λBとしたときに、Δ=(λC 2−λB 2)/4λCなる式で表されるΔに前記自然数Mを乗じたM・Δをサンプリング間隔として順次取込み、
前記記憶手段は、前記サンプリング間隔M・Δで取り込まれた複数個の強度値である干渉光強度値群を記憶し、
前記演算手段は、前記記憶手段に記憶された干渉光強度値群から求まる干渉光の強度値変化の理論的な波形の振幅成分に基づく特性関数を推定し、前記推定された特性関数のピーク位置に基づいて、前記特定箇所の高さを求めることを特徴とする表面形状測定装置。 - 請求項5に記載の表面形状測定装置において、
前記サンプリング間隔M・Δは、(λC+λB)/2λB以下の最大の整数を1/4倍して、さらに(λC−λB)を乗じた値よりも大きな値であって、前記サンプリング手段は、そのサンプリング間隔M・Δで順次取り込む表面形状測定装置。 - 請求項6に記載の表面形状測定装置において、
前記自然数MはλC/λB以下の最大の整数であって、前記サンプリング手段は、サンプリング間隔M・Δで順次取り込む表面形状測定装置。 - 請求項5から請求項7のいずれかに記載の表面形状測定装置において、
前記演算手段は、前記干渉光強度値群から強度値の平均値を算出し、その平均値を各強度値から減算した各調整値をほぼ通過する波形の振幅成分を表す公式に、前記各調整値を代入して求められる新たな関数である推定値を特性関数として推定する表面形状測定装置。 - 請求項5から請求項8のいずれかに記載の表面形状測定装置において、
前記周波数帯域制限手段は、前記白色光源から前記撮像手段までの光路に取り付けられる、特定周波数帯域の白色光だけを通過させるバンドパスフィルタである表面形状測定装置。 - 請求項5から請求項9のいずれかに記載の表面形状測定装置において、
前記周波数帯域制限手段は、前記白色光源から発せられた白色光の周波数帯域を特定周波数帯域にまで狭める、前記白色光源から前記撮像手段までの光学系である表面形状測定装置。 - 請求項5から請求項10のいずれかに記載の表面形状測定装置において、
前記周波数帯域制限手段は、特定周波数帯域の白色光を感知する前記撮像手段の周波数感度である表面形状測定装置。
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