JPWO2003026685A1 - 肝臓内の脂質代謝改善剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、肝臓内での脂質代謝を改善する脂質代謝改善剤を目的とし、大豆蛋白の酵素分解物を有効成分とする、肝臓中のトリグリセリド含量を低下させたり、肝臓からのトリグリセリドの分泌を抑制する肝臓内の脂質代謝改善剤を完成した。また、本発明は、肝臓でのβ酸化を亢進、つまり脂肪酸分解を亢進させることで、体脂肪に蓄積されている脂肪も消費され、体脂肪の軽減効果もあるものである。

Description

技 術 分 野
本発明は、肝臓内でのβ酸化を亢進させて肝臓中のトリグリセリド含量を低下させたり、肝臓からのトリグリセリドの分泌を抑制する肝臓内の脂質代謝改善剤に関する。
背 景 技 術
脂質代謝改善剤としてはいくつかの蛋白質やその加水分解物(ペプチド)が知られている。蛋白質の脂質代謝改善効果においては動物性蛋白質より植物性蛋白質、特に大豆蛋白が優れていることが知られている。これらたんぱく質の加水分解物(ペプチド)に関しては、以下のようにいろいろな蛋白由来の物が知られているし、その作用効果もさまざまである。
まず、大豆蛋白質の加水分解物以外の脂質改善剤として、例えば、特開昭52−83816号公報(新規ポリペプチド)、特開平04−149137号公報(ダイエツト剤)、特開平06−211690号公報(カゼイン由来の血中脂質抑制用摂食物)、特開平11−80006号公報(脂質吸収抑制剤)、特開2000−264845号公報(魚由来のコレステロール降下剤)、特開2000−228967号公報(脂質代謝加工食品)、特開2001−2577号公報(ローヤルゼリー由来の脂質代謝改善剤)、特開2001−57868号公報(畜産加工廃液由来の脂質代謝改善用素材)、特開2001−57869号公報(肥満改善及びダイエツト食用素材)、特開2001−58955号公報(生理活性ペプチド放性製剤)、特開平08−157389号公報(高トリグリセリド血症治療剤)、特開平09−157290号公報(コレステロール低減化ペプチド)、特開平09−255698号公報(血中トリグリセリド濃度上昇抑制ペプチド)、特開平07−188284号公報(血中トリグリセリド濃度上昇抑制ペプチド)などが知られている。
一方、大豆蛋白質は植物性蛋白質の中で栄養性が優れているだけでなく、近年では様々な生理活性が見出され、生理機能剤としても注目される食品素材である。大豆蛋白質に関しては体脂肪率を下げる効果に関しては既に確認されているが、そのメカニズムに関しては肝臓での脂肪酸合成酵素の活性が抑えるためであること以外に知られていない(入谷らJ.Nutr.,126,380,1996)。
一方蛋白質を加水分解したペプチドの脂質代謝を改善する効果に関してはいろいろと知られているが、肝臓の代謝そのものを改善するものは知られていない。
例えば、特開平5−87052号公報では、脂質代謝改善剤において肝臓中の脂肪含量および脂肪小滴量を低下させる効果があるとしているが、これは有効成分である低分子ペプチドがリパーゼ活性を抑えるため吸収される脂肪含量が低下し、血清中の脂肪含量が低下するために生じるためであり、肝臓内での脂質代謝活性自体を変化させる効果ではない。
また、大豆蛋白酵素分解物に関して肝臓内のトリグリセリド含量が低下することは特開平4−51872において引用データで述べられているが、効果を認めているに過ぎない。
また、蛋白加水分解した低分子ペプチドでは、例えば、特開平04−149137号公報(ダイエツト剤)が知られているが、これはジペプチド及びトリペプチドを主成分とするもので脂肪蓄積抑制作用、体重増加抑制作用に関して述べられているが肝臓の代謝改善効果については述べられていない。
また生理活性用組成物として特開平10−203994号公報の中で大豆蛋白分解物由来の分子量500〜5000のペプチドに血液中の中性脂肪ならびにHDL−コレスレロールを増加させる効果のあることを述べているが、肝臓での脂質代謝改善効果に関しては述べられていない。
一方、本出願人は継続して大豆蛋白加水分解物(ペプチド混合物)の生理作用、特に脂質代謝に関する研究を行ってきた。例えば、特公平7−025796号公報に開示するように大豆蛋白加水分解物(オリゴペプチド混合物)が血中コレステロールの上昇を抑制すること、特開平1−269456号公報や特開平3−272694号公報に開示するようにコレステロールや中性脂肪の代謝に関与することをを開示してきた。しかし、脂質代謝のなかでも中性脂肪の低下機構に関しては明らかではなかった。
本発明は、肝臓内でのβ酸化を亢進させて肝臓中のトリグリセリド含量を低下させたり、肝臓からのトリグリセリドの分泌を抑制する肝臓内の脂質代謝改善効果を見出して完成したものである。
発 明 の 目 的
本発明は、脂質代謝改善のなかでも肝臓内の脂質代謝、特に、肝臓内でのβ酸化を亢進させて肝臓中のトリグリセリド含量を低下させたり、肝臓からのトリグリセリドの分泌を抑制させることにより肝臓内の脂質代謝を改善することを目的とした。
発 明 の 開 示
本発明者等は前記課題を解決するため、肝臓から取り出した肝臓の灌流系を用いて研究を行い、鋭意研究を続けるなかで、カゼインに比べ大豆蛋白、またこの大豆蛋白より大豆蛋白の酵素分解物の方が脂肪酸の吸収量自体は変化させず、肝臓中のトリグリセリドの蓄積低下ならびに分泌を抑制することを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、大豆蛋白の酵素分解物を有効成分とする肝臓内の脂質代謝改善剤である。この剤による脂質代謝は肝臓内でのβ酸化を亢進させて肝臓中のトリグリセリド含量を低下させ、特に脂質代謝は肝臓からのトリグリセリドの分泌を抑制する。大豆蛋白の酵素分解物は平均ペプチド鎖長2〜20が好ましく、5〜10がより好ましい。
発明を実施するための最良の形態
本発明の脂質代謝改善剤の有効成分である大豆蛋白の酵素分解物について説明する。
本発明に用いる大豆蛋白の酵素分解物は大豆蛋白を酵素で分解することにより得ることが出来る。大豆蛋白の酵素分解物は平均ペプチド鎖長2〜20が好ましく、より好ましくは平均ペプチド鎖長5〜10が適当である。かかる平均鎖長の大豆蛋白の酵素分解物が肝臓内でのβ酸化を亢進させて肝臓中のトリグリセリド含量を有意的に低下させることが出来る。又、かかる平均鎖長の大豆蛋白の酵素分解物が肝臓からのトリグリセリドの分泌を抑制することが出来る。
本発明の大豆蛋白を酵素で分解した酵素分解物の製造法の一例を以下に示す。
酵素分解物は大豆蛋白を水系下(大豆蛋白スラリーもしくは溶液)に酵素(蛋白分解酵素)を用いて加水分解して得ることが出来る。本発明の大豆蛋白は安価に手に入る材料として、豆乳、濃縮大豆蛋白、あるいは分離大豆蛋白、脱脂大豆、大豆ホエー蛋白などを使用し得るが、その中で分離大豆蛋白が好ましい。酵素処理に供する大豆蛋白溶液の濃度は1重量%〜30重量%、好ましくは5〜15重量%、より好ましくは8〜12重量%が適当である。この濃度が低くても酵素分解に支障はないが、生産性が落ちて好ましくない。大豆蛋白溶液の濃度が高すぎると一旦分解された蛋白加水分解物どうしの重合が強くなるためか、十分分解するのに多量の酵素量を必要とし好ましくない。
本発明に用いる酵素は蛋白分解酵素(プロテアーゼ)を含む酵素が適当であり、エキソプロテアーゼ又はエンドプロテアーゼを単独又は併用することができ、動物起源、植物起源あるいは微生物起源は問わない。具体的には、セリンプロテアーゼ(動物由来のトリプシン、キモトリプシン、微生物由来のズブチリシン、カルボキシペプチダーゼ等)、チオールプロテアーゼ(植物由来のパパイン、フィシン、ブロメライン等)、カルボキシプロテアーゼ(動物由来のペプシン等)を用いることができる。更に、具体的にはアスペルギルス・オリゼ起源の「プロチンFN」(大和化成(株)製)、ストレプトマイセス・グリセウス起源の「アクチナーゼ」(科研製薬(株)製)、バチルス・リケホルミス由来の「アルカラーゼ」(Novozymes Japan Ltd.製)、バチルス・ズブチルス由来の「プロチンA」(大和化成(株)製)等を例示できる。また、エンドプロテアーゼを含有する酵素としては、「プロテアーゼS」(天野製薬(株)製)や「プロチンAC−10」(大和化成(株)製)が、エキソプロテアーゼおよびエンドプロテアーゼを含有する蛋白分解酵素として「プロテアーゼM」(天野製薬(株)製)が例示できる。
本発明の加水分解の条件は用いる蛋白分解酵素の種類により多少異なるが、概してその蛋白分解酵素の作用pH域、作用温度域で、大豆蛋白を加水分解するに充分な量を用いることが好ましい。脂質代謝改善剤とともに塩分制限食(例えば、経管栄養食等)の用途を考慮した場合は、pHが5〜10、好ましくはpH6〜9であれば中和による塩の生成を軽減できて好ましい。加水分解の程度は、平均ペプチド鎖長2〜20、好ましくは5〜10が適当である。
大豆蛋白酵素分解物から不溶解物を除く方が脂質代謝促進効果が高くなり好ましい。
大豆蛋白酵素分解溶液から不溶性の分解物を分離除去する手段としてはフィルタープレス、膜分離などろか手段によってもよいが、最も通常には遠心分離と膜分離を併用する方法が望ましい。
酸性下で酵素分解した場合、例えば大豆蛋白の酵素分解液のpHが3〜8の範囲にある場合、この分離の際の分離性を高めるには不溶性物の凝集性を高める目的でpHを4〜6.2好ましくは4.5〜5.5とすることが適当である。これは、未分解物を含む不溶解物は大豆蛋白の等電点付近で凝集しやすくなる傾向にあることによる。或いはまた、分解液中にカルシウムやマグネシウムの塩化物、硫酸塩などの塩類や水酸化物といったアルカリ土類金属化合物又はポリアクリル酸Na、アルギン酸、キチンキトサンなどといった蛋白凝集剤を加えても分離性を高めることができる。
以上のように大豆蛋白酵素分解溶液から不溶性の分解物を分離除去した大豆蛋白酵素分解物の方が単に大豆蛋白を水系下に酵素分解した分解物より肝臓内でのβ酸化を亢進させて肝臓中のトリグリセリド含量を低下させたり、肝臓からのトリグリセリドの分泌を抑制するなどの肝臓内の脂質代謝改善効果に優れ好ましい。本発明は以上のようにして製造された大豆蛋白の酵素分解物を有効成分とする肝臓内の脂質代謝改善剤である。本発明において脂質代謝改善の機構は従来の蛋白の酵素分解物とは異なるものである。
本発明においては、脂質代謝改善機構は肝臓内でのβ酸化を亢進させて肝臓中のトリグリセリド含量を低下させるものである。換言すれば本発明の肝臓内の脂質代謝改善剤は、肝臓中のトリグリセリド含量低下剤である。また、本発明においては、脂質代謝改善機構は肝臓からのトリグリセリドの分泌を抑制するものである。換言すれば本発明の肝臓内の脂質代謝改善剤は、肝臓からのトリグリセリド分泌抑制剤である。
大豆蛋白が動物性蛋白より脂質代謝改善効果に優れていることは知られていても、また従来の大豆蛋白質酵素分解物が脂質代謝改善効果に優れることが知られていても、本発明のような機構は解明されていなかった。
脂質代謝改善作用の観点から、本発明は肝臓中のトリグリセリド含量低下剤及び/又は肝臓からのトリグリセリド分泌抑制剤である。
本発明の肝臓内の脂質代謝改善剤は大豆蛋白由来の大豆蛋白酵素分解物を有効成分とするため極めて安全で副作用の心配がないトリグリセリド低減剤であり、各種食品にまぜたり、飲料の形態や錠剤の形態で服用することができる。安全な食品成分なので過剰摂取による弊害はなく、一日の摂取の目安として一人当たり0.5gから50g、好ましくは3gから15g程度が適当である。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明の実施態様を説明する。
<製造例1>(大豆蛋白酵素分解物の製造方法)
下記実施例大豆酵素分解物D−1
分離大豆蛋白(不二製油(株)製、「ニューフジプロ−R」)30kgをpH7.0の9%水溶液とし、蛋白分解酵素(天野製薬(株)製、「プロテアーゼS」)1.2kgを作用させ60℃で5時間加水分解(15%TCA可溶率85%)した後、この液に8kg/cm2圧の蒸気を吹き込んで140℃で7秒間殺菌後、スプレードライで粉末乾燥させた。尚、このD−1の平均鎖長は6であった。
<製造例2>(大豆蛋白酵素分解物の製造方法)
下記実施例大豆酵素分解物D−3
分離大豆蛋白(不二製油(株)製、「ニューフジプロ−R」)30重量部をpH7.0の9%水溶液とし、蛋白分解酵素(天野製薬(株)製、「プロテアーゼS」)1.2重量部を作用させ60℃で5時間加水分解(15%TCA可溶率85%)した後、連続処理可能な高速遠心分離機(SB−7,WESTFALIA SEPARATOR製)に100リットル/時の送液速度に調整し生じる沈降成分を分離除去した。得られた上清液8重量部/cm2圧の蒸気を吹き込んで140℃で7秒間殺菌後、さらにこの液を0.22ミクロン(キュノー(株)製)のフィルターでろ過しスプレードライで粉末乾燥させた。尚、このD−3の平均鎖長は5.2であった。
<実施例1>(肝臓の灌流試験)
1)実験動物および単離肝臓灌流法
ラットは、Sprague−Dawley(SD)系雄ラット(4週令、体重70〜80g)を九動(株)(熊本)から購入した。6〜10日の予備飼育の後、カゼイン群、大豆蛋白群、大豆蛋白酵素分解群D−1、大豆蛋白酵素分解群D−3の4群に分け下記に示すような飼料を4週間摂食させた。飼育室の温度は22〜24℃に維持し、7:00〜19:00までを明期とした。なお、飼料および脱イオン水は自由に与えた。4週間摂食終了後、ラット単離肝臓灌流した。初体重130〜140gのSprague−Dawley(SD)系雄ラットにAIN76に準じて調製した飼料を4週間自由に摂取させた後、肝臓を単離し、灌流実験に供した。
なお、タンパク質量は窒素換算で、カゼイン20%、大豆蛋白(「フジプロ−R」不二製油(株)製)19.63%、大豆蛋白分解物D−1を20.18%及び大豆蛋白分解物D−3を19.29%添加した。その他、β−コーンスターチ15%、DL−メチオニン0.3%、セルロース5%、コーン油5%、ミネラル混合3.5%、ビタミン混合1%、重酒石酸コリン0.2%を添加し、シュクロースを添加して100%になるように調製した。
単離肝臓灌流法は、再循環方式で37℃の恒温下において4時間灌流した。ラットはネンブタール麻酔下で門脈および肝上部大静脈にガラスカテーテルを入れ、糸で結んだ後、肝臓を単離した。単離した肝臓は、1.5%アルブミン、25%牛赤血球および25mMグルコースを含むkrebs−Henseleit緩衝液で灌流した。
灌流中はHamiltonらの考案したガス交換装置を用いて灌流液に95%酸素および5%二酸化炭素を連続的に送り込み酸素濃度を一定にした。外因性脂肪酸として20mMのオレイン酸を灌流開始時に50ml(100μmol)添加し、それ以後経時的に1時間当たり4.5ml(90μmol)を連続的に添加した。灌流の流速は20ml前後になるように調節した。灌流液は1時間ごとに分取し、遠心により赤血球を除いた後、灌流液について脂質分泌量およびケトン体生成を測定した。
なお、分取した灌流液と同量の新鮮な灌流液を灌流系に再添加し、灌流液総量が120mlになるようにした。灌流は、通常9:00〜9:30の間に開始した。なお、血液は門脈にカテーテルを入れる前に採血し、遠心後その上清について脂質濃度を測定した。
2)脂質成分およびケトン体の分析
遠心により赤血球を除いた灌流液および灌流後肝臓の脂質成分はFolchらの方法(J.Folch et al.,J.Biol.Chem.,266,497,1957)で抽出・純化した後、一定量のn−ヘキサンに溶解させた。この脂質抽出液についてトリグリセリド(TG)はFletcher法(Fletcher,M.J.,Clin.Chem.Acta,22,393,1968)、総コレステロール(TC)及び遊離コレステロール(FC)はSperry&Webb法(Sperry et al.,J.Biol.Chem.,187,97−106,1950)、リン脂質(PL)はRouser法(Rouser et al.,Lipid Chromatographic Analysis,1011,99,1967)によりそれぞれ定量した。また、ケトン体は、灌流液を過塩素酸で除蛋白した後、酵素法により測定した。
3)統計処理
結果は、一元分散分析を行い、Duncan’s multiple rangetestにより有意差を検定した。
Figure 2003026685
摂食量は有意ではないが、わずかにD−3群でカゼイン群に比べ増加する傾向を示したが、大豆蛋白群およびD−1群とカゼイン群との間の差異は明確ではなかった。終体重増加は、カゼイン群に比べ大豆蛋白群で低下する傾向を示したが、D−1群およびD−3群で逆に増加する傾向を示した。一方、肝重量は、大豆蛋白群、D−1群、およびD−3群でカゼイン群に比べいずれも有意に減少した。
Figure 2003026685
灌流液に添加したオレイン酸量から灌流液中に残存するオレイン酸の量を差し引いて算出した。いずれの群においても外因性脂肪酸は灌流後経時的に4時間目までオレイン酸を一定量取り込んでいた。また、4群間における外因性脂肪酸の取りこみに差異は認められなかった。従って灌流により生じる脂質パラメーターの変化は、脂肪酸の取りこみ後の食餌蛋白質の質の違いにより引き起こされていることを示唆している。
Figure 2003026685
ケトン体の生成はいずれの群においても経時的に4時間目まで一定量増加した。一方、大豆蛋白群およびそのペプチド摂取群(D−1,D−2)のラット肝臓は、いずれの時点においてもカゼイン群に比べケトン体生成を増加させる傾向を示した。特に精製したD−3群でその増加は4時間目の時点でカゼイン群に比べ有意であった。このようにD−3群は肝臓ミトコンドリア画分におけるβ酸化を亢進させることが明らかになった。
Figure 2003026685
ヒドロキシ酢酸/アセト酢酸の比は、肝臓ミトコンドリア画分の酸化・還元状態を示すことがしられているが、ヒドロキシ酢酸/アセト酢酸の比は大豆蛋白群、D−1群、およびD−3群でカゼイン食群に比べいずれも高い傾向を示した。これらの結果はミトコンドリア画分における酸化・還元状態が酸化状態にシフトしていることを示している。
Figure 2003026685
肝臓のトリグリセリド(TG)濃度は大豆蛋白群、D−1群およびD−3群でカゼイン群に比べ有意に低下した。総コレステロール(TC)濃度は、カゼイン群比べ大豆蛋白群で有意に低下した。D−3群とカゼイン群のでは同じ程度となった。エステル含有率%はカゼイン群に比べ大豆蛋白群で有意に低下した。リン脂質(PL)濃度は各群間で明確な差異は観察されなかった。
Figure 2003026685
肝臓によるTG分泌は灌流開始いずれの時点においれもD−1群およびD−3群で減少する傾向を示し、特に4時間後でD−3群において最大であり有意に減少した。
Figure 2003026685
総コレステロールの分泌は各群で特に差は認められなかった。
<製造例3>(大豆蛋白酵素分解物の製造方法)
下記実施例大豆酵素分解物D−1
分離大豆蛋白(不二製油(株)製、「ニューフジプロ−R」)30重量部をpH7.0の9%水溶液とし、蛋白分解酵素(大和化成(株)製、「プロチンAC−10」)0.6重量部を作用させ50℃で5時間加水分解(15%TCA可溶率85%)した後、この液に8kg/cm圧の蒸気を吹き込んで140℃で7秒間殺菌後、スプレードライで粉末乾燥させた。尚、このHD−1の平均鎖長は8.0であった。
<製造例4>(大豆蛋白酵素分解物の製造方法)
下記実施例大豆酵素分解物D−3
分離大豆蛋白(不二製油(株)製、「ニューフジプロ−R」)30重量部をpH7.0の9%水溶液とし、蛋白分解酵素(大和化成(株)製、「プロチンAC−10」)を作用させ50℃で5時間加水分解(15%TCA可溶率85%)した後、連続処理可能な高速遠心分離機(SB−7,WESTFALIA SEPARATOR製)に100リットル/時の送液速度に調整し生じる沈降成分を分離除去した。得られた上清液8kg/cm2圧の蒸気を吹き込んで140℃で7秒間殺菌後、さらにこの液を0.22ミクロン(キュノー(株)製)のフィルターでろ過しスプレードライで粉末乾燥させた。尚、このLD−3の平均鎖長は7.0であった。
同様にして加水分解した5時間目酵素分解液を塩酸でpH4.5に調整後、連続処理可能な高速遠心分離機(SB−7,WESTFALIA SEPARATOR製)に100リットル/時の送液速度に調整し生じる沈降成分を分離除去した。さらにこの液をNaOHでpH7.0に調整後、8kg/cm2圧の蒸気を吹き込んで140℃で7秒間殺菌後、さらにこの液を0.22ミクロン(キュノー(株)製)のフィルターでろ過しスプレードライで粉末乾燥させた。尚、このLD−5の平均鎖長は6.0であった。
<実施例2>(肝臓の脂質濃度および体脂肪の試験)
1)実験動物および単離肝臓灌流法
ラットは、Sprague−Dawley(SD)系雄ラット(4週令、体重70〜80g)を九動(株)(熊本)から購入した。6〜10日の予備飼育の後、カゼイン群、大豆蛋白群、大豆蛋白酵素分解群HD−1、大豆蛋白酵素分解LD−3および大豆蛋白酵素分解LD−5の5群に分け下記に示すような飼料を4週間摂食させた。飼育室の温度は22〜24℃に維持し、7:00〜19:00までを明期とした。なお、飼料および脱イオン水は自由に与えた。2週間摂食終了後、ラットは断頭屠殺し、肝臓および脂肪組織を摂取した。尚、脂肪組織は腎臓周辺および副睾丸周辺脂肪を摂取した。
ラットは初体重130〜140gのSprague−Dawley(SD)系雄ラットにAIN76に準じて調製した飼料を2週間自由に摂取させた。試料組成は、タンパク質量は窒素換算で、カゼイン20%、大豆蛋白(「フジプロ−R」不二製油(株)製)19.63%、大豆蛋白分解物HD−1を20.18%及び大豆蛋白分解物LD−3を19.29%、LD−5を21.71%添加した。その他、β−コーンスターチ15%、DL−メチオニン0.3%、セルロース5%、コーン油5%、ミネラル混合3.5%、ビタミン混合1%、重酒石酸コリン0.2%を添加し、シュクロースを添加して100%になるように調製した。2)脂質成分および3)統計処理は実施例1の通り。表8に体重、摂食量および肝重量を示す。
Figure 2003026685
摂食量、体重増加量は全ての群間で差異はみられなかった。肝臓重量はCasein群に比べて他の群で有意に低い値を示した。腎臓周辺および副睾丸周辺脂肪組織重量はややLD−5群で低くなる傾向があるようであった。
表9に肝臓脂質濃度について示す。
Figure 2003026685
TG濃度はCasein群に比べいずれの群でも有意に低下したが、LD−5群で最も低下していた。TC濃度は、Casein群比べ他の群で有意に低下したが、大豆蛋白群とHD−1群の低下が顕著であった。遊離コレステロール濃度も同様に、Casein群に比べ他の群で低下した。エステル比は、Casein群に比べ他の群で有意に低下し、特に大豆蛋白群で顕著な低下を示した。PL濃度に関してはいずれの群でもあまり差がなかった。
以上より、大豆蛋白から製造した大豆ペプチドは肝臓での脂肪酸のβ酸化を亢進させて脂肪酸の分解を促進するとともに肝臓内で合成されたTGの分泌を抑制する効果が強いことがわかった。
産業上の利用可能性
本発明により、肝臓から取り出した肝臓の灌流系の実験により脂肪酸の吸収量自体は変化させず、肝臓内の脂質代謝を促進させることで肝臓中のトリグリセリドの蓄積低下ならびに分泌を抑制することが出来るようになったものである。
換言すれば、本発明により肝臓での脂質代謝異常に伴い発生する疾患(例えば、トリグリセリドが体内に過剰に蓄積されることで生じる疾患:脂肪肝、肝臓硬変のリスクなど)の症状の軽減や予防が可能になったものである。
本発明の大豆蛋白酵素分解物は脂質代謝改善剤の有効成分として安全性の極めて高い機能性(医薬用としてだけでなく、食品用も含めた)素材としても有効なものである。

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  1. 大豆蛋白の酵素分解物を有効成分とする肝臓内の脂質代謝改善剤。
  2. 脂質代謝が肝臓内でのβ酸化を亢進させて肝臓中のトリグリセリド含量を低下させる請求項1の肝臓内の脂質代謝改善剤。
  3. 脂質代謝が肝臓からのトリグリセリドの分泌を抑制する請求項1または請求項2の肝臓内の脂質代謝改善剤。
  4. 大豆蛋白の酵素分解物が平均ペプチド鎖長2〜20である請求項1〜3のいずれかの肝臓内の脂質代謝改善剤。
  5. 大豆蛋白の酵素分解物が平均ペプチド鎖長5〜10である請求項1〜4のいずれかの肝臓内の脂質代謝改善剤。
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