JP4345338B2 - ペプチド混合物、その製造法及びこれを用いたアポリポ蛋白質b分泌抑制剤 - Google Patents

ペプチド混合物、その製造法及びこれを用いたアポリポ蛋白質b分泌抑制剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛋白質を酵素で加水分解し、疎水性アミノ酸を低減あるいは除去して得られる親水性アミノ酸の中でグルタミン酸とアスプラギン酸の酸性アミノ酸に富むオリゴペプチド混合物、その製造法、および該オリゴペプチド混合物を有効成分とするアポリポ蛋白質B分泌抑制剤を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品中に含まれる各種成分の解明が進められ、食品蛋白質に色々な生理的役割のあることがわかってきた。例えば、特許文献1では食品蛋白質が血中コレステロール濃度抑制作用に関して、かなり有効な調整因子であることがわかっており、大豆蛋白質などの植物性蛋白質やカゼイン等の動物性蛋白質についての研究がなされている。また特許文献2で血中トリグリセライド上昇抑制作用示すペプチドも疎水性アミノ酸含量の高いものである。特許文献3や特許文献4において脂質代謝改善作用を示すペプチドが示されているが、蛋白質を酵素で加水分解しただけの酸性アミノ酸含量の低いものである。
【0003】
また、特許文献5において乳由来の塩基性ペプチド画分の脂質代謝改善剤が知られているが陽イオン交換体を用いて製造されており、またグルタミン酸+アスパラギン酸含量も30%以下と異なるものである。
本発明のように苦味を感じず、グルタミン酸およびアスパラギン酸含量が高いアポリポ蛋白質B分泌抑制剤は知られていない。
【0004】
また、特許文献6においてアポリポ蛋白質B分泌抑制を示す組成物が知られているが、成分が脂質組成物であり、蛋白質由来のものではない。
【0005】
ところで、アポリポ蛋白質は、リポ蛋白質を構成する特殊な血漿蛋白質であり、脂質を血中で可溶化して各臓器へ運搬する機能を有する。また、アポリポ蛋白質は脂質代謝に関係する酵素の活性化や抑制化などを行う役割をもち、脂質代謝を規定する重要な血漿成分である。アポリポ蛋白質の主要構成成分であるアポリポ蛋白質B(以下、アポBと略す)は、肝臓で合成され、アポリポ蛋白質E、アポリポ蛋白質C、トリグリセリド(以下、TGと略す)、リン脂質、及びコレステロールエステル(以下、CEと略す)等と会合し超低密度リポ蛋白質(以下、VLDLと略称する)を形成し、肝臓で合成されたTGとCEを末梢組織へ運搬する役割を担っている。アポB分泌の亢進は、血中のVLDL濃度の上昇、低密度リポ蛋白質(以下、LDLと略する)濃度の上昇、血中TGの上昇、及び血中CE濃度の上昇をもたらし、いわゆる高TG血症、高コレステロール血症を引き起こす原因の一つとなっている。また、アポBはマクロファージ細胞膜上のスカベンジャーレセプターのリガンドの一つである。マクロファージは酸化LDLをアポBを介して認識し、活発に貪食する事により動脈のアテローム性動脈硬化発症に係わっていると言われている。血中TG、血中CE濃度の上昇、及びアテローム性動脈硬化症は更に肥満、糖尿病、高血圧症等に代表される生活習慣病、冠動脈疾患、脳動脈疾患を誘発する重要な危険因子と見なされている。
【0006】
従って、アポBの分泌を抑制することにより、血中CE、TG濃度を低下させると共に、血中LDL濃度を低下させ、アテローム性動脈硬化症、肥満、糖尿病、高血圧症等に代表される生活習慣病、冠動脈疾患、脳動脈疾患を予防・改善出来る事が期待される。事実、血中LDL濃度を低下させる事の臨床効果については、脂質代謝異常や糖代謝異常者を対象として実施された大規模な臨床試験において、心冠動脈疾患の発生頻度を有意に低下させる事が確認されている(非特許文献1および非特許文献2)。また、アポBの分泌亢進は慢性腎炎、ネフローゼ、肝硬変、閉塞性黄疸の発症・増悪と関連があると考えられている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭60−011425号公報
【特許文献2】
特開平07−188284号公報
【特許文献3】
特公平05−087052号公報
【特許文献4】
特開平10−203994号公報
【特許文献5】
特開2002−212097号公報
【特許文献6】
特開2002−265985号公報
【非特許文献1】
Taskinen MR., Smith V.,J.Intern., Med., 244, 361, 1998.
【非特許文献2】
蘆立,川村,モダンフィシャン,20(10),1241,2000.
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、肝細胞からのアポリポ蛋白質B分泌を抑制するオリゴペプチド混合物を得ること及びこれを有効成分とするアポリポ蛋白質B分泌抑制剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究するなかで、大豆蛋白質を酵素で加水分解し、疎水性アミノ酸を低減あるいは除去して得られる親水アミノ酸の中でグルタミン酸とアスプラギン酸の酸性アミノ酸に富むオリゴペプチド混合物がアポB分泌を極めて抑制する知見を得て本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は蛋白質を酵素で加水分解して得られる平均分子量200〜5000、全アミノ酸組成中酸性アミノ酸が30〜70重量%(以下%)、塩基性アミノ酸が10%〜30%であることを特徴とするオリゴペプチド混合物である。
また、蛋白質を酵素で加水分解して得られる平均分子量200〜5000、遊離アミノ酸が35%以下、全アミノ酸組成中酸性アミノ酸が30〜70%、塩基性アミノ酸が10%〜30%、分岐鎖アミノ酸が14.5%以下以下、芳香族アミノ酸が8.0%以下、プロリンが5.5%以下であるオリゴペプチド混合物が好ましい。
又、本発明は蛋白質を水系下にエンドプロテアーゼまたはエンドプロテアーゼ及びエキソプロテアーゼを用い中性からアルカリ性域で酵素分解し、疎水性樹脂で処理し、乾燥することを特徴とするオリゴペプチド混合物の製造方法である。
また、本発明は蛋白質を酵素で加水分解して得られる平均分子量200〜5000、全アミノ酸組成中酸性アミノ酸が30〜70%、塩基性アミノ酸が10%〜30%であるオリゴペプチド混合物を有効成分とするアポリポ蛋白質B分泌抑制剤である。
また、蛋白質を酵素で加水分解して得られる平均分子量200〜5000、遊離アミノ酸が35%以下、全アミノ酸組成中酸性アミノ酸が30〜70%、塩基性アミノ酸が10%〜30%、分岐鎖アミノ酸が14.5%以下以下、芳香族アミノ酸が8.0%以下、プロリンが5.5%以下であるオリゴペプチド混合物を有効成分とするアポリポ蛋白質B分泌抑制剤が好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
まず、本発明のオリゴペプチド混合物の製造方法に関して説明する。
蛋白質を水系下にエンドプロテアーゼまたはエンドプロテアーゼ及びエキソプロテアーゼを用い、中性からアルカリ性域で酵素分解し、疎水性樹脂で処理し、要すれば濃縮し、乾燥すしてオリゴペプチド混合物を製造することが出来る。
本発明に用いる蛋白質は動植物由来の蛋白原料、好ましくは植物蛋白原料、とくに好ましくは大豆蛋白原料が適当である。グルタミン酸が豊富な蛋白原料として小麦蛋白、大豆蛋白が好ましいが、大豆蛋白はグルタミン酸が豊富で水溶性であるので、グルタミンが豊富で水不溶性である小麦蛋白より好適である。
以下、大豆蛋白を原料としてオリゴペプチド混合物を製造する方法について説明する。
本発明に用いる大豆蛋白は安価に手に入る材料として、豆乳、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白、脱脂大豆、大豆ホエー蛋白などを使用し得るが、その中で分離大豆蛋白が好ましい。酵素処理に供する大豆蛋白溶液の濃度は1〜30重量%、好ましくは5〜15重量%、より好ましくは8〜12重量%が適当である。この濃度が低くても酵素分解に支障はないが、生産性が落ちて好ましくない。大豆蛋白溶液の濃度が高すぎると一旦分解された蛋白加水分解物どうしの重合が強くなるためか、十分分解するのに多量の酵素量を必要とし好ましくない。
【0011】
本発明に用いる蛋白分解酵素(プロテアーゼ)は、エンドプロテアーゼ単独またはエンドプロテアーゼ及びエキソプロテアーゼを併用することができ、動物起源、植物起源あるいは微生物起源は問わない。具体的には、セリンプロテアーゼ(動物由来のトリプシン、キモトリプシン、微生物由来のズブチリシン、カルボキシペプチダーゼ等)、チオールプロテアーゼ(植物由来のパパイン、フィシン、ブロメライン等)、カルボキシプロテアーゼ(動物由来のペプシン等)を用いることができる。更に、具体的にはアスペルギルス・オリゼ起源の「プロチンFN」(大和化成(株)製)、ストレプトマイセス・グリセウス起源の「アクチナーゼ」(科研製薬(株)製)、バチルス・リケホルミス由来の「アルカラーゼ」(Novozymes Japan Ltd.製)、バチルス・ズブチルス由来の「プロチンA」(大和化成(株)製)等を例示できる。
また、エンドプロテアーゼを含有する酵素としては、「プロテアーゼS」(天野製薬(株)製)や「プロチンAC−10」(大和化成(株)製)が、エキソプロテアーゼおよびエンドプロテアーゼを含有する蛋白分解酵素として「プロテアーゼM」(天野製薬(株)製)が例示できる。
【0012】
本発明の加水分解の条件は用いる蛋白分解酵素の種類により多少異なるが、概してその蛋白分解酵素の作用pH域、作用温度域で、大豆蛋白を加水分解するに充分な量を用いることが好ましい。塩分制限食(例えば、経管栄養食等)の用途を考慮した場合は、pHが5〜10、好ましくはpH6〜9であれば中和による塩の生成を軽減できて好ましい。
【0013】
大豆蛋白酵素分解物から不溶性の分解物を除く方が後で行なう樹脂処理を容易に行なうことができ好ましい。
大豆蛋白酵素分解溶液から不溶性の分解物を分離除去する手段としてはフィルタープレス、膜分離などろか手段によってもよいが、最も通常には遠心分離と膜分離を併用する方法が好適である。
酸性下で酵素分解した場合、例えば大豆蛋白の酵素分解液のpHが3〜8の範囲にある場合、この分離の際の分離性を高めるには不溶性物質の凝集性を高める目的でpHを4〜6.2好ましくは4.5〜5.5とすることが適当である。これは、未分解物を含む不溶解物質は大豆蛋白の等電点付近で凝集しやすくなる傾向にあることによる。或いはまた、分解液中にカルシウムやマグネシウムの塩化物、硫酸塩などの塩類や水酸化物といったアルカリ土類金属化合物又はポリアクリル酸Na、アルギン酸、キチンキトサンなどといった蛋白凝集剤を加えても分離性を高めることができる。
【0014】
以上のように大豆蛋白酵素分解溶液から不溶性の分解物を分離除去した後、ポリスチレンビーズのような疎水性吸着樹脂材に疎水性成分を吸着させることにより、親水性成分を回収することが出来る。
適当な疎水性吸着樹脂材としては、例えばオルガノ社製のアンバーライトXAD(登録商標)やバイエル社製のレバチットOC(登録商標)、三菱化成社製のダイヤイオン(登録商標)等が挙げられる。より具体的には、芳香族系としてスチレンジビニルベンゼン系の樹脂(例えば、HP−20、HP−21、SP−825、SP−206、SP−207、SP−800(いずれも商標、三菱化成(株)製)等)、アクリル系の樹脂(HP1MG、HP2MG(いずれも商標、三菱化成株製)等)、フェノ−ル系の樹脂(S874、S861(いずれも商標、住友化学工業(株)製)等)が適当である。
【0015】
本発明の接触方法は、バッチ式の処理或いは連続カラムによる処理でも行うことが出来る。
例えば、バッチ式で処理する場合には、使用する合成吸着剤の量を大豆蛋白加水分解物乾燥物重量の0.5から100倍重量程度、より好ましくは2〜60倍重量程度である。吸着剤の量が少ないと疎水性アミノ酸を十分吸着できず多すぎると他のオリゴペプチト混合物の収率が下がる。5分〜2時間程度、1〜40℃の温度範囲内で攪拌した後、水不溶の高分子成分は通過できるが樹脂は通過出来ない程度のフィルタ−でろ過することが出来る。
【0016】
又、連続カラムによる方法では、大豆蛋白質加水分解物の乾燥物重量1部に対して合成吸着剤として2〜200重量部、より好ましくは25〜100重量程度となる量の大豆蛋白加水分解物液を通液し、合成吸着剤との接触時間が5分以上取れる線速度とすることが出来る。この時の大豆蛋白加水分解物の濃度は2〜50%、より好ましくは10〜30%であることが好ましい。合成吸着剤の再生は、0.5〜3Nの水酸化ナトリウム或いは10〜90%程度の有機溶剤を用いることが出来、有機溶剤として、エタノール、メタノ−ル、イソプロパノ−ル、アセトン等を、合成吸着剤量の1〜20倍容量程度用いることが出来る。
【0017】
このようにして大豆蛋白を酵素分解し、樹脂処理したオリゴペプチド混合物は平均ペプチド分子量が200〜5000が好ましく、より好ましくは平均ペプチド鎖長500〜1200が適当である。また遊離アミノ酸含量は35%以下が好ましく、より好ましくは10%以下が好ましい。
詳しくは次のオリゴペプチド混合物の項で説明する。
【0018】
この大豆蛋白ペプチド混合物液は、用途によりそのまま或いは濃縮して用いることも出来るが、通常、殺菌して粉霧乾燥、凍結乾燥等して乾燥粉末の状態で利用することができる。
【0019】
このオリゴペプチド混合物はもとの大豆蛋白質加水分解物にくらべ、親水性アミノ酸の組成が高く、疎水性アミノ酸の組成が低くなる。親水アミノ酸の中では特に酸性アミノ酸であるグルタミン酸の含量が高く、次ぎにアスパラギン酸が高くなる傾向にあるが、塩基性アミノ酸およびその他の親水性アミノ酸含量はさほど増減しない。疎水性アミノ酸含量はいづれも低下するが中でもプロリン、フェニルアラニンの低下が高く、ついでロイシン、イソロイシン、チロシンが低下する。また、このオリゴペプチド混合物は風味が良好で、長期間保存しても褐変が少ない特徴がある。
【0020】
次ぎに、上記方法で得られたオリゴペプチド混合物について説明する。
本発明のオリゴペプチド混合物は、肝臓内のアポBの分泌を抑制するに適したものとして、蛋白質を酵素で加水分解して得られる平均分子量200〜5000、全アミノ酸組成中酸性アミノ酸が30〜70重量%(以下%)、塩基性アミノ酸が10%〜30%が適当である。
好ましくは、蛋白質を酵素で加水分解して得られる平均分子量200〜5000、遊離アミノ酸が35%以下、全アミノ酸組成中酸性アミノ酸が30〜70%、塩基性アミノ酸が10%〜30%、分岐鎖アミノ酸が14.5%以下、芳香族アミノ酸が8.0%以下、プロリンが5.5%以下が適当である。
【0021】
本発明のオリゴペプチド混合物は、単に大豆蛋白を酵素分解して得られる大豆蛋白加水分解物に比べて疎水性樹脂で処理することによりオリゴペプチド混合物中の全アミノ酸組成中酸性アミノ酸が30〜70%と高い割合を示すようになり、芳香族アミノ酸が8.0%以下、プロリンが5.5%以下と低い値を示すようになり、このようなオリゴペプチド混合物が優れた肝臓内のアポBの分泌を抑制する効果を有するものである。
さらに、本発明のオリゴペプチド混合物は大豆ペプチドでありながら、苦味がなく、むしろ美味しく感じる風味に優れるものである特徴も有している。
【0022】
次に、アポB分泌抑制剤について説明する。
本発明のアポB分泌抑制剤は、前記オリゴペプチド混合物を有効成分とするものである。
本発明のアポB分泌抑制剤は、アポB分泌を顕著に抑制することより、アポB分泌亢進を基礎とするアテローム性動脈硬化症、肥満、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂肪肝、糖尿病、高血圧症の予防・改善を目的とするアポB分泌抑制剤として利用しても良い。経口栄養食、経管栄養食等の使用形態に応じ、溶液のままや濃縮液・凍結乾燥物・噴霧乾燥物の原材料としても使用することができる。摂食物としては広く各種の食品が含まれ、例えば飲料、冷菓、タブレット、菓子等を挙げることができる。また、通常の食品の形態でないカプセルとか錠剤として健康食品として用いても良い。
【0023】
本発明のアポB分泌抑制剤中のオリゴペプチド混合物の割合は、目的により適宜選択されるが、アポB分泌抑制剤中に0.01%以上、好ましくは0.1%以上(乾燥固形分換算)含有されるように添加すれば良い。0.01%未満では、実質的なアポB分泌抑制効果を認めるのが困難である。
また、オリゴペプチド混合物をそのままアポB分泌抑制剤とすることも出来るが、アポB分泌抑制剤中に99%以下、好ましくは95%以下含有(乾燥固形分換算)させることも出来る。
また、サプリメントの形態で使用する場合硬度の調整を行うため乳化剤等を添加することもあり、アポB分泌抑制剤中のオリゴペプチド混合物の割合は上記より少ない場合がある。健康食品とする場合も同様である。
1日摂取又は投与量は、オリゴペプチド混合物として、0.1mg/kg/日以上、好ましくは1mg/kg/日以上、更に好ましくは10mg/kg/日以上であることが好適である。0.1mg/kg/日未満ではアポB分泌抑制効果が認められない場合がある。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により発明の実施態様を説明する。
〔実施例1〕(オリゴペプチド混合物の製造法)
分離大豆蛋白(不二製油(株)製、「ニューフジプロ−R」)3kgに水を添加して10%水溶液とし、蛋白分解酵素(大和化成(株)製、「プロチンAC−10」)120gを作用させ50℃で5時間加水分解(15%TCA可溶率85%)した後、生じた沈殿成分を高速遠心分離機で分離除去した。
得られた上清液8kg/cm2圧の蒸気を吹き込んで140℃で7秒間殺菌後、さらにこの液を0.22ミクロン(キュノー(株)製)のフィルターでろ過しスプレードライで粉末乾燥させた。
【0025】
上記で得られた大豆蛋白加水分解物粉末を10%の水溶液に調製し、7℃の雰囲気下で約1時間、バッチ式で合成吸着剤HP−20(三菱化成(株)製)で処理を行ない、1ミクロンのろ紙を通過させて樹脂の除き、処理液を凍結乾燥してオリゴペプチド混合物の粉末を得た。尚、大豆蛋白加水分解乾燥物重量の1,2,4,8,16,32倍重量にふらして樹脂で処理を行った。
【0026】
上記のようにして得られたオリゴペプチド混合物の凍結乾燥品について、6N塩酸で110℃、24時間加水分解した後、アミノ酸分析装置(L-8500型、日立製作所製)でそのアミノ酸組成を分析した。その結果を表1に示す。
【0027】
Figure 0004345338
【0028】
Figure 0004345338
【0029】
また、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、分岐鎖アミノ酸、芳香族アミノ酸およびプロリンの割合は表2の通りであった。
【0030】
(表2)
Figure 0004345338
【0031】
〔実施例2〕(オリゴペプチド分画物が脂質代謝に及ぼす影響)
実施例1と同様にして8倍量で得られたサンプルの平均分子量は約800で、遊離アミノ酸組成は1%であった。全アミノ酸組成中、酸性アミノ酸の合計で46.8%で塩基性アミノ酸の合計は15.9%であった。疎水性アミノ酸のうち、分岐鎖アミノ酸の合計は10.9%で、芳香族アミノ酸の合計は4.21%であった。また、プロリン含量は2.4%であった。
この8倍量で得られたサンプルを「未吸着画分」とした。また、樹脂を70%エタノールで浸漬し、樹脂をろ過して除いたエタノール抽出液をエバポレータで蒸発乾燥固させてから水で溶解後凍結乾燥して「吸着画分」サンプルとした。
即ち、未吸着画分は実施例1の水溶性のオリゴペプチド混合物であり、吸着画分サンプルは実施例1の大豆蛋白加水分解物からオリゴペプチド混合物を除いた樹脂に吸着された画分である。
これら未吸着画分と吸着画分それぞれについて、ヒト肝臓由来HepG2細胞を用いて脂質代謝に与える影響を検討した。
【0032】
(実験材料及び方法)
ヒト肝臓由来HepG2細胞を0.5mM オレイン酸と1%BSAを含むDME-培地で24時間前培養し、その後オリゴペプチドの吸着画分または未吸着画分(1もしくは10mg/ml)を含む1%BSA DME-培地と培地交換して24時間培養した。培地中に大豆由来蛋白分解物を含まないものをコントロール群とした。細胞及び培地を回収し分析を行った。
細胞増殖への影響はProtein assayおよびMTT法により検討した。また、アポB分泌量をELISA法を用いて定量した。細胞内脂質の合成・分泌への大豆由来蛋白分解物の影響は、放射性脂質前駆体[14C]酢酸から取り込み量を指標として検討した。脂質抽出はBligh&Dyer法で行った。
【0033】
大豆由来蛋白分解物による細胞増殖への影響は、Protein assayおよびMTT法の結果から1〜10mg/mlの濃度では毒性はないということが示された(表3)。24時間培養後の培地中アポB量を測定した結果、コントロール群に比べ未吸着画分および吸着画分の両画分共に分泌抑制作用がある事が示され、その作用は未吸着画分でより強かった(表4)。[14C]酢酸を用いて細胞内脂質の合成・分泌への影響を検討したところ、コントロール群に比べ両画分共に抑制作用が認められ、その作用は未吸着画分でより強かった(表5)。
【0034】
Figure 0004345338
【0035】
Figure 0004345338
【0036】
Figure 0004345338
【0037】
実施例1により得られた8倍量処理凍結乾燥品は、樹脂処理を行う前のオリゴペプチド混合物と比べ、苦味が極めて少なく、常温で1年間保存しても褐変が極めて少ないものであった。
【0038】
〔実施例3〕
表6に示す組成の脂質代謝改善飲料を製造した。製造した飲料の風味は良好で、常温1年間保存によっても風味が劣化することはなく、沈殿等の問題もなかった。
【0039】
Figure 0004345338
【0040】
【発明の効果】
本発明のアポB分泌を抑制するオリゴペプチド混合物はアポBの分泌を強く抑制することから、アポB分泌の亢進が原因されるアテローム性動脈硬化症、肥満、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂肪肝、糖尿病または高血圧症に代表される生活習慣病、冠動脈疾患、脳動脈疾患、慢性腎炎、ネフローゼ、肝硬変、閉塞性黄疸等を予防・改善することが期待され、食品、健康食品、および医薬品への応用が出来るものである。
また、本発明のアポB分泌を抑制するオリゴペプチド混合物は大豆臭、苦味などがなく風味に優れ、長期保存しても褐変などしない優れたものである。

Claims (2)

  1. 大豆蛋白質を水系下にエンドプロテアーゼまたはエンドプロテアーゼ及びエキソプロテアーゼを用い、中性からアルカリ性域で酵素分解し、疎水性樹脂で処理し疎水性成分を吸着させることにより得られる親水性成分である平均分子量200〜5000、全アミノ酸組成中酸性アミノ酸が30〜70重量%(以下%)、塩基性アミノ酸が10%〜30%であることを特徴とするオリゴペプチド混合物を有効成分とするアポリポ蛋白質B分泌抑制剤。
  2. 大豆蛋白質を水系下にエンドプロテアーゼまたはエンドプロテアーゼ及びエキソプロテアーゼを用い、中性からアルカリ性域で酵素分解し、疎水性樹脂で処理し疎水性成分を吸着させることにより得られる親水性成分である平均分子量200〜5000、遊離アミノ酸が35% 以下、全アミノ酸組成中酸性アミノ酸が30〜70%、塩基性アミノ酸が10%〜30% 、分岐鎖アミノ酸が14.5%以下、芳香族アミノ酸が8.0%以下、プロリンが5.5 %以下であるオリゴペプチド混合物を有効成分とするアポリポ蛋白質B分泌抑制剤。
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