JPWO2003024261A1 - 仮想型紙表示装置、仮想型紙表示方法、仮想型紙表示プログラム及び同プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
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Abstract
データ変換部は、トルソの表面形状に対応した後部ワイヤ等に沿って後身頃型紙等が配置されるように、後身頃型紙の後基準線等から後身頃型紙等上の複数の特徴点までの水平距離を基に、各特徴点を表す2次元座標データをトルソ上の3次元座標データに変換し、表示制御部は変換された3次元座標データを用いて表示部に後身頃型紙等をトルソの表面に仮想的に配置した状態で表示する。
Description
技術分野
本発明は、平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示する仮想型紙表示装置、仮想型紙表示方法、仮想型紙表示プログラム及び同プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
背景技術
従来より、アパレル業界では、CAD(Computer Aided Design)を用いたパターンメーキング等が行われており、コンピュータ上で型紙の形状を示す座標データを編集して型紙を仮想的に縫製し、トルソ(人台)の表面に仮想的に着せ付けられた衣服をモニタ上に表示することが行われている。
例えば、特許第2614691号公報には、トルソの水平断面形状を当該断面形状位置における型紙の水平方向の長さに応じて膨張させてトルソ上の型紙の3次元座標値を求め、この3次元座標値を用いて型紙を組み立てた状態を表示する型紙の組立形状視覚化方法が開示されている。
しかしながら、上記の型紙の組立形状視覚化方法では、型紙の水平方向の長さに応じてトルソの水平断面形状を単に膨張させているため、トルソの3次元的な表面形状を単に膨張させた状態がそのまま型紙の組立状態として表示され、実際に型紙から作成された衣服をトルソに着せ付けた状態とはかけ離れたものとなる。
すなわち、実際に衣服を人台に着せ付けた場合、重力の作用によって、衣服の胸部はトルソの胸部の表面形状に沿った状態となり、一方、衣服の腹部は衣服の胸部の形状から自然に広がった状態となる。しかしながら、上記の型紙の組立形状視覚化方法では、人台のすべての位置において型紙の水平方向の長さに応じて膨張した状態で型紙の組立状態が単に表示されるのみであり、人台の表面形状にフィットした自然な組立状態で型紙を3次元的に表示することができない。
また、上記の型紙の組立形状視覚化方法では、表示される型紙の組立状態と、実際に型紙から作成された衣服を人台に着せ付けた状態とが異なるため、型紙の誤差が大きくなり、デザイン画に基づいて最初の型紙(ファーストパターン)を作成するトワレチェックには使用することができない。
発明の開示
本発明の目的は、重力の作用によって立体物の表面形状にフィットした自然な組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる仮想型紙表示装置、仮想型紙表示方法、仮想型紙表示プログラム及び同プログラムを記録した記録媒体を提供することである。
本発明の一局面に従う仮想型紙表示装置は、平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示する仮想型紙表示装置であって、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データを取得する取得手段と、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データを立体物上の3次元座標データに変換する変換手段と、3次元座標データを用いて型紙を立体物の表面に仮想的に配置して表示する表示手段とを備えるものである。
上記の構成により、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データが取得され、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データが立体物上の3次元座標データに変換され、この3次元座標データを用いて型紙が立体物の表面に仮想的に配置されて表示される。したがって、型紙が立体物の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって立体物の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
型紙は、衣服を構成する複数の型紙を含み、立体物は、衣服を着せ付けるための人台を含み、形状線は、人台の胸囲位置から上部の所定領域の表面形状に対応する上部形状線を含み、変換手段は、上部形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの水平距離を基に2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換することが好ましい。
この場合、上部形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの水平距離を基に2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換されるので、型紙が人台の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって人台の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができ、型紙によって構成される衣服のトワレチャックをシミュレーションにより行うことができる。
型紙は、前身頃型紙と後身頃型紙とを含み、上部形状線は、人台の胸囲位置から上部の所定領域の前面形状に対応する前部形状線と、人台の胸囲位置から上部の所定領域の後面形状に対応する後部形状線とを含み、前部形状線は、平面に展開した場合に前身頃型紙の水平線に平行な形状を有し、後部形状線は、平面に展開した場合に後身頃型紙の水平線に平行な形状を有し、変換手段は、前部形状線に沿って前身頃型紙が配置されるように前身頃型紙上の前基準線から前身頃型紙上の特徴点までの平面距離を基に前身頃型紙の2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換するとともに、後部形状線に沿って後身頃型紙が配置されるように後身頃型紙上の後基準線から後身頃型紙上の特徴点までの平面距離を基に後身頃型紙の2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換することが好ましい。
この場合、平面に展開したときに前身頃型紙の水平線に平行な形状を有する前部形状線に沿って前身頃型紙が配置されるように前身頃型紙上の前基準線から前身頃型紙上の特徴点までの水平距離を基に前身頃型紙の2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換されるとともに、平面に展開したときに後身頃型紙の水平線に平行な形状を有する後部形状線に沿って後身頃型紙が配置されるように後身頃型紙上の後基準線から後身頃型紙上の特徴点までの平面距離を基に後身頃型紙の2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換されるので、型紙が前面及び後面ごとに人台の表面形状に高精度に沿った状態となり、重力の作用によって人台の表面形状により自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができ、型紙によって構成される衣服のトワレチャックをシミュレーションにより高精度に且つ短時間で行うことができる。
人台の胸囲位置を通る胸囲外包線を基に人台の胸囲位置から下に位置する中間形状線を作成する中間形状線作成手段をさらに備え、変換手段は、上部形状線及び中間形状線に沿って型紙が配置されるように水平距離を基に2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換することが好ましい。
この場合、人台の胸囲位置を通る胸囲外包線を基に人台の胸囲位置から下に位置する中間形状線が作成され、上部形状線及び中間形状線に沿って型紙が配置されるように平面距離を基に2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換される。したがって、型紙が人台の胸部の表面形状に沿った状態になるとともに、人台の腹部においては胸囲外包線の形状によって適度に規制された状態で且つ自然に広がった状態になり、重力の作用によって人台の胸部及び腹部の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができ、型紙によって構成される衣服上部のトワレチャックをシミュレーションにより高精度に且つ短時間で行うことができる。
人台の腰囲位置を通る腰囲外包線を基に人台の胴囲位置から下に位置する下部形状線を作成する下部形状線作成手段をさらに備え、中間形状線作成手段は、胸囲外包線を基に人台の胸囲位置と胴囲位置との間に位置する中間形状線を作成し、変換手段は、上部形状線、中間形状線及び下部形状線に沿って型紙が配置されるように水平距離を基に2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換することが好ましい。
この場合、人台の腰囲位置を通る腰囲外包線を基に人台の胴囲位置から下に位置する下部形状線が作成され、上部形状線、中間形状線及び下部形状線に沿って型紙が配置されるように水平距離を基に2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換される。したがって、型紙が人台の胸部の表面形状に沿った状態になるとともに、人台の腹部においては胸囲外包線の形状によって適度に規制された状態で且つ自然に広がった状態になり、さらに、人台の腰部においては腰囲外包線の形状によって適度に規制された状態で且つ自然に広がった状態になり、重力の作用によって人台の全表面形状により自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができ、型紙によって構成される衣服全体のトワレチャックをシミュレーションにより高精度に且つ短時間で行うことができる。
型紙は、衣服を構成する複数の型紙を含み、立体物は、衣服を着せ付けるための人台を含み、形状線は、人台の胴囲位置から下部の所定領域の表面形状に対応する胴囲下部形状線を含み、変換手段は、胴囲下部形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの水平距離を基に2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換することが好ましい。
この場合、胴囲下部形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの水平距離を基に2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換されるので、型紙が人台の胴囲の下部表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって人台の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
型紙は、衣服を構成する複数の型紙を含み、立体物は、衣服を着せ付けるための人台を含み、形状線として人台の表面形状における特徴突起点を通る外包線を基に外包形状線を作成する外包形状線作成手段をさらに備え、変換手段は、外包形状線に沿って型紙が配置されるように水平距離を基に2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換することが好ましい。
この場合、人台の表面形状における特徴突起点を通る外包線を基に作成された外包形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの水平距離を基に2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換されるので、型紙が人台の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって人台の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
外包形状線は、特徴突起点を通る円弧部及び直線部から構成され、外包形状線作成手段は、水平距離に応じて直線部の長さを変更して外包形状線の周長を変更することが好ましい。
この場合、外包形状線の円弧部の形状を変化させることなく、直線部の長さが変更されるので、人台の表面形状の特徴を損なうことなく、外包形状線の周長を変更することができ、人台の表面形状により自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
本発明の他の局面に従う仮想型紙表示方法は、コンピュータを用いて平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示する仮想型紙表示方法であって、コンピュータが型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データを取得するステップと、コンピュータが立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データを立体物上の3次元座標データに変換するステップと、コンピュータが3次元座標データを用いて型紙を立体物の表面に仮想的に配置して表示するステップとを含むものである。
上記の構成により、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データが取得され、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データが立体物上の3次元座標データに変換され、この3次元座標データを用いて型紙が立体物の表面に仮想的に配置されて表示される。したがって、型紙が立体物の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって立体物の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
本発明のさらに他の局面に従う仮想型紙表示プログラムは、平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示するための仮想型紙表示プログラムであって、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データを取得する取得手段、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データを立体物上の3次元座標データに変換する変換手段、3次元座標データを用いて型紙を立体物の表面に仮想的に配置して表示する表示手段としてコンピュータを機能させるものである。
上記の構成により、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データが取得され、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データが立体物上の3次元座標データに変換され、この3次元座標データを用いて型紙が立体物の表面に仮想的に配置されて表示される。したがって、型紙が立体物の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって立体物の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
本発明のさらに他の局面に従う記録媒体は、平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示するための仮想型紙表示プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データを取得する取得手段、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データを立体物上の3次元座標データに変換する変換手段、3次元座標データを用いて型紙を立体物の表面に仮想的に配置して表示する表示手段としてコンピュータを機能させる仮想型紙表示プログラムを記録したものである。
上記の構成により、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データが取得され、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データが立体物上の3次元座標データに変換され、この3次元座標データを用いて型紙が立体物の表面に仮想的に配置されて表示される。したがって、型紙が立体物の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって立体物の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の各実施の形態による仮想型紙表示装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による仮想型紙表示装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す仮想型紙表示装置は、パーソナルコンピュータ等から構成され、入力装置1、ROM(リードオンリメモリ)2、CPU(中央演算処理装置)3、RAM(ランダムアクセスメモリ)4、外部記憶装置5、表示装置6及び記録媒体駆動装置7を備える。各ブロックは内部のバスに接続され、このバスを介して種々のデータ等が各ブロック間で入出力され、CPU3の制御の下、種々の処理が実行される。
入力装置1は、キーボード、マウス等から構成され、オペレータが操作指令等を入力するために用いられる。ROM2には、システムプログラム等が予め記憶される。外部記憶装置5は、ハードディスクドライブ等から構成され、後述する仮想型紙表示プログラム等を記憶している。CPU3は、外部記憶装置5から仮想型紙表示プログラム等を読み出し、後述する仮想型紙表示処理等を実行して各ブロックの動作を制御する。RAM4は、CPU3の作業領域等として用いられる。表示装置6は、CRT(陰極線管)又は液晶表示装置等から構成され、CPU3の制御の下、種々の画面を表示する。
なお、仮想型紙表示プログラム等は、コンピュータ・プログラム・プロダクトである、CD−ROM、フレキシブルディスク等から構成されるコンピュータ読み出し可能な記録媒体8に記録するようにしてもよい。この場合、CD−ROMドライブ、フレキシブルディスクドライブ等から構成される記録媒体駆動装置7を用いて記録媒体8から読み出された仮想型紙表示プログラム等が外部記憶装置5にインストールされる。また、仮想型紙表示プログラム等がネットワークを介して接続されている他のコンピュータ等に記憶されている場合、当該コンピュータ等からネットワークを介して仮想型紙表示プログラム等をダウンロードするようにしてもよい。
次に、上記のように構成された仮想型紙表示装置の主要な機能について説明する。図2は、図1に示す仮想型紙表示装置の主要機能ブロック図である。
図2に示すように、仮想型紙表示装置は、機能的には、操作部10、プログラム実行部20、記憶部30及び表示部40を備える。プログラム実行部20は、メッシュ作成部21、布量算出部22、リングデータ作成部23、データ変換部24及び表示制御部25を含む。記憶部30は、型紙データ記憶部31、2次元座標データ記憶部32、縫製情報記憶部33、ワイヤデータ記憶部34、リングデータ記憶部35、3次元座標データ記憶部36及びトルソ形状データ記憶部37を含む。
操作部10は、入力部1等から構成され、仮想型紙表示装置のオペレータが種々の操作指令を入力するために使用される。
プログラム実行部20は、CPU3等から構成され、CPU3等が外部記憶装置5に記憶されている仮想型紙表示プログラム等を実行することによって、メッシュ作成部21、布量算出部22、リングデータ作成部23、データ変換部24及び表示制御部25として機能する。記憶部30は、外部記憶装置5等から構成され、型紙データ記憶部31、2次元座標データ記憶部32、縫製情報記憶部33、ワイヤデータ記憶部34、リングデータ記憶部35、3次元座標データ記憶部36及びトルソ形状データ記憶部37として機能する。
型紙データ記憶部31は、一着分の衣服を構成する複数の型紙を1セットとして各型紙の外形及び各型紙上のダーツの外形等を表す型紙データを衣服ごとに予め記憶している。例えば、平面状の型紙の外形が2次元平面において頂点及び頂点間を結んだラインによって特定され、これらの頂点情報及びライン情報が型紙データとして記憶されている。なお、本実施の形態では、衣服の型紙は人体に対して左右対称であるため、一着分の型紙データとして半身分の型紙の外形等を表す型紙データを記憶し、例えば、前身頃型紙及び後身頃型紙の各型紙データを記憶している。
縫製情報記憶部33は、型紙データ記憶部31に記憶されている各型紙データに対応付けて、各型紙から一着分の衣服を構成する場合に縫製される部分を表す縫製情報を予め記憶している。トルソ形状データ記憶部37は、前身頃型紙及び後身頃型紙等から構成される衣服を着せ付けるためのトルソの表面形状を表すポリゴンデータをトルソごとに予め記憶している。
メッシュ作成部21は、型紙データ記憶部31に記憶されている一着分の型紙データを読み出して各型紙の輪郭内部に所定のメッシュを作成し、メッシュの各頂点の2次元座標データを特徴点(一般的に衣服構成学上指示する点)として2次元座標データ記憶部32に記憶させる。この2次元座標データは、後身頃型紙の後首点を原点とした型紙上の垂直方向及び水平方向の各距離を表している。なお、この場合のメッシュ生成方法は特に限定されず、種々のメッシュ生成方法を用いることができ、型紙を分割するメッシュの形状としては、例えば、三角形又は四角形等を用いることができる。
布量算出部22は、2次元座標データ記憶部32に記憶されている各特徴点の2次元座標データ及び縫製情報記憶部33に記憶されている縫製情報等を読み出し、リングデータ作成部23によって作成される各リングの位置に対応する垂直位置において、後基準線となる後身頃型紙の後首点を原点として垂直方向に伸びる後中心線(人体の背骨に近い垂直線)から前基準線となる前身頃型紙の前中心線までの水平距離(ダーツ等の型紙の無い部分を除いて実際に型紙が存在する平面距離)を各リングの布量として算出し、算出した各布量をリングデータ作成部23へ出力する。
ワイヤデータ記憶部34は、トルソのバストライン(胸囲線)から上の所定領域の表面形状に対応した前部ワイヤデータ及び後部ワイヤデータをトルソごとに予め記憶している。
リングデータ作成部23は、その内部にトルソごとに予め記憶しているバストライン外包線(胸囲外包線)又はヒップライン外包線(腰囲外包線)を基にリングの外周長が布量算出部22によって算出された布量となるようにトルソのバストラインから下に配置される各リングを表すリングデータを順次作成し、作成した各リングデータをリングデータ記憶部35に記憶させる。
データ変換部24は、2次元座標データ記憶部32から前身頃型紙のバストラインから上の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びワイヤデータ記憶部34から前部ワイヤデータをそれぞれ読み出し、2次元の前身頃型紙上の前中心線と符合する3次元のトルソ上の前中心線を基準にして前身頃型紙が前部ワイヤに沿って配置されるように、前身頃型紙上の前中心線から前身頃型紙上の特徴点までの水平距離を基にバストラインから上の前面の2次元座標データを3次元座標データに変換する。
また、データ変換部24は、2次元座標データ記憶部32から後身頃型紙のバストラインから上の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びワイヤデータ記憶部34から後部ワイヤデータをそれぞれ読み出し、2次元の後身頃型紙上の後中心線と符合する3次元のトルソ上の後中心線を基準にして後身頃型紙が後部ワイヤに沿って配置されるように、後身頃型紙上の後中心線から後身頃型紙上の特徴点までの水平距離を基にバストラインから上の後面の2次元座標データを3次元座標データに変換する。
また、データ変換部24は、2次元座標データ記憶部32から後身頃型紙及び前身頃型紙のバストラインから下の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びリングデータ記憶部35からリングデータを読み出し、後中心線を基準にして後身頃型紙及び前身頃型紙がリングに沿って配置されるように、後身頃型紙上の後中心線から後身頃型紙及び前身頃型紙上の特徴点までの水平距離を基にバストラインから下の2次元座標データを3次元座標データに変換する。
さらに、データ変換部24は、変換された3次元座標データから後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を表すポリゴンデータを作成し、作成したポリゴンデータを型紙の3次元座標データとして3次元座標データ記憶部36に記憶させる。また、データ変換部24は、上記の各処理と逆の処理を行うことにより3次元座標データを2次元座標データに変換する。
表示制御部25は、2次元座標データ記憶部32に記憶されている型紙の2次元座標データを用いて2次元空間において型紙を仮想的に表示するための2次元表示用データを作成し、作成した2次元表示用データを表示部40に出力する。
また、表示制御部25は、トルソ形状データ記憶部37に記憶されているトルソの表面形状を表すポリゴンデータを用いて3次元空間においてトルソを仮想的に表示するための3次元表示用データを作成し、作成したトルソの3次元表示用データを表示部40に出力する。
また、表示制御部25は、ワイヤデータ記憶部34及びリングデータ記憶部35に記憶されている前部ワイヤデータ、後部ワイヤデータ及びリングデータを用いて3次元空間において各ワイヤ及びリングを仮想的に表示するための3次元表示用データを作成し、作成した各ワイヤ及びリングの3次元表示用データを表示部40に出力する。
さらに、表示制御部25は、3次元座標データ記憶部36に記憶されている後身頃型紙及び前身頃型紙を表すポリゴンデータを用いて3次元空間において後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を仮想的に表示するための3次元表示用データを作成し、作成した後身頃型紙及び前身頃型紙の3次元表示用データを表示部40に出力する。
表示部40は、表示装置6から構成され、表示制御部25から出力される2次元表示用データに応じて後身頃型紙及び前身頃型紙を2次元表示し、3次元表示用データに応じてトルソ、前部ワイヤ、後部ワイヤ、リング、後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を3次元的に表示する。
本実施の形態において、メッシュ作成部21、型紙データ記憶部31及び2次元座標データ記憶部32が取得手段に相当し、データ変換部24、縫製情報記憶部33、ワイヤデータ記憶部34及び3次元座標データ記憶部36が変換手段に相当し、表示制御部25、トルソ形状データ記憶部37及び表示部40が表示手段に相当し、布量算出部22、リングデータ作成部23及びリングデータ記憶部35が中間形状線作成手段及び下部形状線作成手段に相当する。
次に、ワイヤデータ記憶部34に予め記憶されているワイヤデータの作成方法について説明する。本実施の形態では、ワイヤデータは既に作成されたものをワイヤデータ記憶部34に記憶させているが、後述するワイヤデータ作成処理を実行するためのワイヤデータ作成プログラム等を外部記憶装置5にインストールして当該プログラム等をCPU3によって実行することによっても、ワイヤデータを作成することができる。図3は、図1に示す仮想型紙表示装置を用いてワイヤデータ作成処理を実行する場合の主要機能ブロック図である。
図3に示すように、仮想型紙表示装置は、機能的には、操作部10、プログラム実行部20a及び記憶部30aを備える。プログラム実行部20aは、メッシュ展開部26、交点算出部27及び交点マッピング部28を含む。記憶部30aは、ワイヤデータ記憶部34及びトルソ形状データ記憶部37を含む。
プログラム実行部20aは、CPU3等から構成され、CPU3等が外部記憶装置5に記憶されているワイヤデータ作成プログラム等を実行することによって、メッシュ展開部26、交点算出部27及び交点マッピング部28として機能する。記憶部30aは、外部記憶装置5等から構成され、ワイヤデータ記憶部34及びトルソ形状データ記憶部37として機能する。
メッシュ展開部26は、トルソ形状データ記憶部37からトルソの表面形状のうち少なくともバストラインからネックベースライン(頸付根線)までの表面形状を表すポリゴンデータを読み出し、読み出したポリゴンデータによって表されるポリゴンをメッシュとして平面上に展開し、各メッシュを表すメッシュデータを作成する。
交点算出部27は、平面上に展開されたメッシュに対してバストラインから所定間隔で水平線を引き、各水平線とメッシュの外形線との交点の2次元座標データを算出する。
交点マッピング部28は、算出された各交点をポリゴンによって表されるトルソの表面にマッピングさせて各交点の3次元座標データを求め、この3次元座標データを用いて各交点を滑らかな曲線で結び、上記の水平線に対応する前部ワイヤ及び後部ワイヤを作成し、この前部ワイヤ及び後部ワイヤの形状を表す前部ワイヤデータ及び後部ワイヤデータを作成してワイヤデータ記憶部34に記憶させる。
図4は図3に示す仮想型紙表示装置による前部ワイヤデータ作成処理を説明するためのフローチャートであり、図5はトルソの表面形状を表す複数のポリゴンを示す模式図である。
図5に示すように、トルソTOの表面形状は、複数のポリゴンPOの組み合わせにより表現され、各ポリゴンPOとしては、例えば三角形のポリゴンが用いられ、各ポリゴンPOを表すポリゴンデータがトルソ形状データ記憶部37に記憶されている。
このとき、オペレータが操作部10を操作して前部ワイヤデータ作成処理の実行を指示すると、図4に示すステップS1において、メッシュ展開部26は、トルソ形状データ記憶部37からトルソTOの表面形状のうち少なくともバストラインBLからネックベースラインNLまでの表面形状を表すポリゴンPOのうちの一つのポリゴンを表すポリゴンデータを読み出す。
次に、ステップS2において、メッシュ展開部26は、読み出したポリゴンデータによって表されるポリゴンをメッシュとして平面上に展開する。次に、ステップS3において、メッシュ展開部26は、前部ワイヤデータを作成するために必要な全てのメッシュを展開したか否かを判断し、全てのメッシュを展開していない場合はステップS1に戻ってメッシュ展開処理を継続し、全てのメッシュを展開した場合はステップS4へ移行する。
図6は、メッシュを平面上に順次展開していく状態を示す模式図である。上記の処理により図6の(a)〜(d)に示すように一つずつメッシュMEが平面に展開され、最終的に図6の(d)に示すように、トルソTOの表面形状のうち少なくともバストラインBLからネックベースラインNLまでの表面形状を表すポリゴンPOに対応する複数のメッシュMEが平面上に展開される。
次に、図4に示すステップS4において、交点算出部27は、平面上に展開されたメッシュ上にバストラインからネックベースラインまでの間に所定間隔で水平線を順次作成する。次に、ステップS5において、交点算出部27は、各水平線と各メッシュの外形線との交点を表す2次元座標データを算出する。
図7は、平面上に展開されたメッシュに対して設定された水平線を示す模式図である。上記の処理により、図7に示すように、平面上に展開されたメッシュME上に複数の水平線HEが所定間隔で順次作成され、各水平線HEと各メッシュMEとの交点を表す2次元座標データが算出される。
次に、図4に示すステップS6において、交点マッピング部28は、算出された交点をポリゴンによって表されるトルソの表面にマッピングさせて交点の3次元座標データを求める。次に、ステップS7において、交点マッピング部28は、全交点をマッピングしたか否かを判断し、全ての交点をマッピングしていない場合はステップS6に戻ってマッピング処理を継続し、全ての交点をマッピングした場合はステップS8へ移行する。
次に、ステップS8において、交点マッピング部28は、この3次元座標データを用いて各交点を滑らかに結んで曲線を作成した後、トルソの胸の谷間等の凹部に接することなく且つ胸の突端(バストトップ点)等の凸部に接する外包線となるように曲線を補正して各水平線に対応する前部ワイヤを作成し、このワイヤの形状を表す前部ワイヤデータをワイヤデータ記憶部34に記憶させる。
図8は、トルソ上に設定された前部ワイヤを示す模式図である。上記の処理により、図8に示すように、トルソTO上のバストラインからネックベースラインまでの間に複数の前部ワイヤFWが作成される。この前部ワイヤFWは2次元平面に展開した場合、前身頃型紙の水平線すなわち布の横糸に平行な形状を有するため、前部ワイヤFWの形状に沿って前身頃型紙を配置した場合、トルソの表面形状により自然にフィットした組立状態となる。なお、後部ワイヤについても上記の前部ワイヤと同様にして作成することができ、同様の効果を得ることができる。
次に、図2に示す仮想型紙表示装置による2次元の型紙データから3次元の型紙データを作成して型紙を組み立てた状態を3次元的に表示するための三次元変換処理について説明する。図9は図2に示す仮想型紙表示装置による三次元変換処理を説明するためのフローチャートであり、図10は後身頃型紙及び前身頃型紙の外形を表す模式図である。
例えば、図10の(a)及び(b)に示す後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKを用いて一着分の衣服を作成する場合、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの外形及び各型紙上のダーツBD,FDの外形を表す型紙データが型紙データ記憶部31に記憶されている。
このとき、オペレータが操作部10を操作して三次元変換処理の実行を指示すると、図9に示すステップS11において、メッシュ作成部21は、型紙データ記憶部31に記憶されている後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの型紙データを読み出す。
次に、ステップS12において、メッシュ作成部21は、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの輪郭内部(ダーツBD,FDを除く)にメッシュを作成する。図11は、後身頃型紙及び前身頃型紙にメッシュを生成させた状態を示す模式図である。上記のメッシュ作成処理により、図11に示すように、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの輪郭(ダーツBD,FDの輪郭を含む)に接する部分には三角形のメッシュMTが作成され、その他の部分には四角形のメッシュMRが作成される。
次に、ステップS13において、メッシュ作成部21は、作成したメッシュの各頂点の2次元座標データを特徴点として2次元座標データ記憶部32に記憶させる。
次に、ステップS14において、布量算出部22は、2次元座標データ記憶部32から後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの各特徴点の2次元座標データを読み出すとともに、縫製情報記憶部33から後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの縫製情報を読み出し、縫製情報に応じて後身頃型紙BKと前身頃型紙FKとが縫製され且つダーツBD,FDが閉じられるように、後身頃型紙BKの後中心線を基準に後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの各特徴点を水平方向に移動させて後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKを変形させる。
図12は、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの変形状態を示す模式図である。図12に示すように、後身頃型紙BKは、ダーツBDが閉じられて後身頃型紙BKの後中心線BCL側に変形されて後身頃型紙BK’となる。また、前身頃型紙FKは、後身頃型紙BK’に縫製されるとともにダーツFDが閉じられて後身頃型紙BKの後中心線BCL側に変形されて前身頃型紙FK’となり、前中心線FCLも図示のように変形される。
次に、ステップS14において、布量算出部22は、後首点を基準にしてリングデータ作成部23によって作成される各リングの垂直位置(3次元座標)に対応する後中心線上の垂直位置(2次元座標)を求め、当該垂直位置から前身頃型紙の前中心線までの水平距離を各リングの布量として算出し、算出した各布量をリングデータ作成部23へ出力する。例えば、図12に示す後首点NPから垂直距離hAにあるバストラインBL下のリング位置PAに対して、距離lAB及び距離lAFを加算した水平距離(lAB+lAF)が、後中心線BCLから前中心線FCLまでのリングの布量として算出される。
次に、ステップS15において、リングデータ作成部23は、後述するバストライン外包線又はヒップライン外包線から作成される複数の円弧と各円弧の間を連結する直線によって構成されるリングの後中心線から前中心線までの周囲長が当該リング位置に対して布量算出部22によって算出された布量と一致するようにリングを構成する直線の長さを縮小又は伸張して各リングを表すリングデータを順次作成し、作成した各リングデータをリングデータ記憶部35に記憶させる。
ここで、上記のバストライン外包線の作成方法について詳細に説明する。衣服を人体に着せ付けた場合、基本的には、人体の首下からバストラインまでの間において衣服布と人体との間の距離は0となり(下着等を無視した場合)、バストラインから下にある衣服布は重力の作用により重力方向に垂れ下がる。また、ジャケット、シャツ等の衣服では固有のシルエットを作り出すために、このバストラインから下の円筒部分について2次元型紙上のダーツ及び仕上がり線の設定及び操作が行われる。リングは、衣服の2次元型紙が指示する立体形状のうちバストラインから下の立体形状をトルソ上に反映する機能を有し、バストライン外包線又はヒップライン外包線等を基に作成される。
図13はトルソの前面斜視図であり、図14はトルソの後面斜視図である。図13及び図14に示すように、トルソTOの前面の中心には垂直断面に沿って延びる前中心線FCLが設定され、トルソTOの後面の中心には垂直断面に沿って延びる後中心線BCLが設定されるとともに、トルソTOの垂直方向の基準位置としてバストラインBL、ウエストライン(胴囲線)WL及びヒップライン(腰囲線)HLが設定される。
図15は、バストラインにおけるバストライン外包線の作成方法を説明するための模式図である。なお、本実施の形態では、ホモトピー掃引法(C.L.Tai,K.L.Loe,and Y.L.kunii,“Intergrated homotopy sweep technique for Computer aided geometric design”,Computer Vision,pp.583−595,Spriger−Verlag,1991を参照)により、バストラインBLにおける人体すなわちトルソの水平断面形状に対する外包線となるバストライン外包線を作成している。
図15に示すように、まず、図13及び図14に示すバストラインBLにおけるトルソの水平断面BPの人体の特徴突起点、例えば、バストトップ点等に接するように接線S1〜S5を作成する。ここで、特徴突起点とは、トルソ(人体)の水平断面において主に骨格の形状が顕著に表われ突起状になっている部分をいうものとする。
次に、接線S1と接線S2とがなす角度2A(=A+A)を2等分する等分線C1を作成し、以下同様に接線S2と接線S3との間、接線S3と接線S4との間、及び接線S4と接線S5との間に等分線C2〜C4をそれぞれ作成する。次に、接点P1及び接点P2に内接する円弧A1を作成し、以下同様に接点P3及び接点P4に内接する円弧A2、接点P5及び接点P6に内接する円弧A3、及び接点P7及び接点P8に内接する円弧A4をそれぞれ作成する。上記のようにして各水平断面位置における人体断面形状が有する被服構成学上必須の円弧である円弧A1〜A4が作成され、円弧A1〜A4及び各円弧A1〜A4を連結する直線L1〜L5によってバストライン外包線が作成される。このバストライン外包線を構成する各円弧A1〜A4及び各直線L1〜L5を表すデータはリングデータ作成部23に予め記憶されている。
上記のようにして作成されたバストライン外包線を垂直方向に下降させると、図13及び図14に示すアッパーヒップラインUHLにおいてトルソTOと接触する。さらに、バストライン外包線を垂直方向に下降させると、トルソTOと順次接触していき、各接点を連結した曲線が腰骨線KLとなり、バストラインBLからウエストラインWLまでの各リングが、当該リング位置に対して算出された布量に当該リングの周長が一致するようにバストライン外包線の各円弧A1〜A4の形状を固定した状態で各直線L1〜L5の長さを減じて作成される。
また、上記と同様にして、ヒップラインHLにおけるトルソの水平断面形状からヒップライン外包線を作成し、このヒップライン外包線から作成される複数の円弧と各円弧の間を連結する直線によって構成されるリングの後中心線から前中心線までの周囲長が当該リング位置に対して布量算出部22によって算出された布量と一致するように、ウエストラインWLから下の各リングも、リングを構成する直線の長さを縮小又は伸張して作成される。このヒップライン外包線から作成される各円弧及び各直線を表すデータも予めリングデータ作成部23に記憶されている。
図16は、トルソに対する前部ワイヤ、後部ワイヤ及びリングの配置を示す模式図であり、(a)は側面斜視図、(b)は前面図、(c)は後面図である。図16に示すように、トルソTOのバストラインから上に前面(図16の領域A)には前部ワイヤFWが配置され、トルソTOのバストラインから上に後面(図16の領域C)には後部ワイヤRWが配置され、トルソTOのバストラインから下(図16の領域B)にはリングRGが配置される。
次に、ステップS16において、データ変換部24は、2次元座標データ記憶部32から前身頃型紙のバストラインから上の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びワイヤデータ記憶部34から前部ワイヤデータをそれぞれ読み出し、各特徴点の垂直距離及び水平距離を算出し、前中心線を基準にして前身頃型紙が前部ワイヤに沿って配置されるようにバストラインから上の前面の2次元座標データを3次元座標データに変換する。
図17は、前部ワイヤデータ及び後部ワイヤデータを用いたデータ変換処理の一例を説明するための模式図である。例えば、図12に示すように、後首点NPから垂直距離hBにあるワイヤ位置PBにおける前身頃型紙の水平距離としてlBFが算出された場合、データ変換部24は、図17に示すように、2次元の型紙上のワイヤ位置PBに対応する3次元のトルソ上の位置にある前部ワイヤFWの形状に沿って前中心線FCLから水平距離lBFだけ前身頃型紙を配置し、各特徴点の垂直距離がトルソ上の後首点からの前中心線FCL上の距離となり且つ各特徴点の水平距離が前中心線FCLからの前部ワイヤFW上の距離となるように、2次元の前身頃型紙上の各特徴点をトルソ上の3次元座標データ(図中の黒丸)に変換する。
次に、ステップS17において、データ変換部24は、2次元座標データ記憶部32から後身頃型紙のバストラインから上の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びワイヤデータ記憶部34から後部ワイヤデータをそれぞれ読み出し、各特徴点の垂直距離及び水平距離を算出し、後中心線を基準に後部ワイヤに沿って後身頃型紙が配置されるようにバストラインから上の後面の2次元座標データを3次元座標データに変換する。
例えば、図12に示すように、後首点NPから垂直距離hBにあるワイヤ位置PBにおける後身頃型紙の水平距離としてlBBが算出された場合、データ変換部24は、図17に示すように、2次元の型紙上のワイヤ位置PBに対応する3次元のトルソ上の位置にある後部ワイヤRWの形状に沿って後中心線BCLから水平距離lBBだけ後身頃型紙を配置し、各特徴点の垂直距離がトルソ上の後首点からの後中心線BCL上の距離となり且つ各特徴点の水平距離が後中心線BCLからの後部ワイヤRW上の距離となるように、2次元の後身頃型紙上の各特徴点をトルソ上の3次元座標データ(図中の黒丸)に変換する。
次に、ステップS18において、データ変換部24は、2次元座標データ記憶部32から後身頃型紙及び前身頃型紙のバストラインから下の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びリングデータ記憶部35からリングデータを読み出し、2次元の後身頃型紙上の後中心線と符合する3次元のトルソ上の後中心線を基準にして後身頃型紙及び前身頃型紙がリングに沿って配置されるようにバストラインから下の2次元座標データを3次元座標データに変換する。
図18は、リングを用いたデータ変換処理の一例を説明するための模式図である。例えば、図12に示すように、後首点NPから垂直距離hAにあるリング位置PAにおける後身頃型紙及び前身頃型紙の水平距離として(lAB+lAF)が算出された場合、データ変換部24は、図18に示すように、2次元の型紙上のワイヤ位置PAに対応する3次元のトルソ上の位置にあるリングRGの形状に沿って後身頃型紙を配置し(後中心点BCLから前中心点FCLまでのリングRGの周長はリング作成時に(lAB+lAF)に設定されている)、各特徴点の垂直距離がトルソ上の後首点からの後中心線BCL上の距離となり且つ各特徴点の水平距離が後中心線BCLからのリングRG上の距離となるように、2次元の後身頃型紙及び前身頃型紙上の各特徴点をトルソ上の3次元座標データ(図中の黒丸)に変換する。
なお、上記の変換処理において、特徴点の垂直距離に対応する位置に前部ワイヤ、後部ワイヤ及びリングがない場合は所定の補間計算によってトルソ上の3次元座標データを変換している。
次に、ステップS19において、データ変換部24は、変換された3次元座標データから後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を表すポリゴンデータを作成し、作成したポリゴンデータを型紙の3次元座標データとして3次元座標データ記憶部36に記憶させる。
次に、ステップS20において、表示制御部25は、2次元座標データ記憶部32に記憶されている型紙の2次元座標データを用いて2次元空間において型紙を仮想的に表示するための2次元表示用データを作成し、作成した2次元表示用データを表示部40に出力する。また、表示制御部25は、トルソ形状データ記憶部37に記憶されているポリゴンデータを用いて3次元空間においてトルソを仮想的に表示するための3次元表示用データを作成するとともに、ワイヤデータ記憶部34及びリングデータ記憶部35に記憶されている前部ワイヤデータ、後部ワイヤデータ及びリングデータを用いて3次元空間において各ワイヤ及びリングを仮想的に表示するための3次元表示用データを作成し、さらに、3次元座標データ記憶部36に記憶されているポリゴンデータを用いて3次元空間において後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を仮想的に表示するための3次元表示用データを作成し、各3次元表示用データを表示部40に出力する。表示部40は、表示制御部25から出力される2次元表示用データに応じて後身頃型紙及び前身頃型紙を表示し、3次元表示用データに応じてトルソ、前部ワイヤ、後部ワイヤ、リング、並びに後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を表示する。
図19は、表示部40に表示される表示画面の一例を示す図である。図19に示すように、表示ウインドウの右側に2次元の後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKが表示され、表示ウインドウの左側に3次元的にトルソTO、前部ワイヤFW、後部ワイヤRW、リングRG、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKが表示される。
図20は、表示部40に表示される表示画面の他の例を示す図である。図20では、表示ウインドウの右側に2次元の後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKが表示され、前部ワイヤFW、後部ワイヤRW及びリングRGの表示を省略し、表示ウインドウの左側に3次元的にトルソTO及び前身頃型紙FK(後身頃型紙BKも表示状態にしているが、図20では見えない)のみを表示している。
このように、2次元の後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKを表示するとともに、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKを組み立てた状態を種々の表示状態で表示することができるので、重力の作用によってトルソTOの表面形状に自然にフィットした組立状態で後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKを3次元的に且つ高精度に表示することができ、トワレチャックをシミュレーションにより容易に行うことができる。また、図19に示すように、トルソTOと後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKとの間に形成されるゆとり量も一目で把握することができる。
次に、本実施の形態において実行される他の処理について説明する。以下に説明する各処理は、各処理ごとに作成された所定のプログラム等をCPU3が実行することにより実現される。なお、以下の各処理は、後述する第2の実施の形態においても同様に適用可能である。
まず、ダーツ位置の変更処理について説明する。この処理では、3次元の型紙上でのダーツ位置の移動に応じて2次元の型紙上でのダーツ位置を自動的に移動する。具体的には、3次元の型紙のダーツの周囲方向の移動量に応じて2次元の型紙のダーツが水平方向に移動され、3次元の型紙のダーツの垂直方向の移動量に応じて2次元の型紙のダーツが垂直方向に移動され、3次元の型紙上のダーツの移動が2次元の型紙上のダーツに反映される。なお、この処理では、ダーツが2次元の型紙からはみ出さないにように、ダーツの移動量を制限することが好ましい。
次に、ゆとり量の色表示処理について説明する。この処理では、3次元空間における水平断面の長さすなわち周囲長がゆとり量となるので、元の周囲長と現在の周囲長との差分を所定の色で表示することにより、ゆとり量を2次元の型紙上で視覚的に表現する。具体的には、UVマッピングと同じ原理により水平断面を2次元の型紙上に表示し、その際にゆとり量を所定の色で表示する。この処理により、ゆとり量が多すぎる部分にダーツを挿入したり、ゆとり量が多くなるように型紙を大きくすることができ、型紙作成を補助することができる。
次に、自動視点変更処理について説明する。データ変換部24により2次元の型紙上の2次元座標データを3次元的に組み立てられた型紙上の3次元座標データに変換することができるので、この処理では、2次元の型紙上でオペレータが指定した部分に対応する3次元上の部分を3次元的に型紙を表示している画面(表示ウインドウ)の中央に表示したり、逆に、データ変換部24により3次元的に組み立てられた型紙上の3次元座標データを2次元の型紙上の2次元座標データに変換することもできるので、3次元の型紙上でオペレータが指定した部分に対応する2次元上の部分を2次元で型紙を表示している画面(表示ウインドウ)の中央に表示したりする。
具体的には、カメラ視点が極座標系(θ,φ)で定義されている場合、データ変換部24により2次元の型紙上の指定された点を3次元上の点Aに変換し、この点Aのベクトルを用いて視点を移動すべき極座標データを算出し、この極座標データが表す点にカメラ視点を移動する。この処理により、オペレータの視点変更作業が軽減され、作業効率を向上することができる。
次に、3次元上でのゆとり量の調節処理について説明する。ゆとり量は2次元の型紙上の水平方向の長さから求めることができるので、この処理では、3次元上でゆとり量を調節する位置に対応する2次元の型紙上の位置における水平方向の長さやダーツ量等を調整し、3次元上で調節されたゆとり量を2次元の型紙に反映して全体のシルエットを編集する。
次に、透過マッピングによるデザインの変更処理について説明する。3次元の型紙上にペイントされテクスチャは、一般的なUVマッピングの手法により2次元の型紙上に展開することができるので、この処理では、3次元ペイントの要領で3次元の型紙上に透明テクスチャを書き込む処理を加えることによりデザインを変更する。この処理により、容易に、ネック形状をV首からU首へ変更したり、片方の肩が露出するようなデザインに変更すること等ができ、3次元オブジェクトにペインティングする感覚で型紙の形状を変更することができる。また、この処理では、型紙の幾何形状を変化させないため、高速に処理を行うことができる。
次に、3次元の型紙上にデザイン線を追加する処理について説明する。この処理では、3次元ペイントの要領で3次元の型紙上に所定のラインを引くと、2次元の型紙上に対応するラインが描画される。
次に、2次元及び3次元の型紙上の距離測定処理について説明する。この処理では、基本的には2次元の型紙又は3次元の型紙上の所定の2点間の距離を測定するが、データ変換部24により2次元の型紙上の2次元座標データを3次元の型紙上の3次元座標データに変換することができるので、一方の測定点を2次元の型紙上に設定し且つ他方の測定点を3次元の型紙上に設定した場合でも、これらの測定点間の距離を測定する。この処理により、3次元表示状態では指定しにくい測定点を2次元の型紙を用いて容易に指定することができる。また、測定された距離を表示し、表示された距離値を変更することにより測定点間の距離を変更するとともに、測定点間以外の部分は滑らかさを保持しつつ変形する。
次に、ライン修正処理について説明する。この処理では、3次元の型紙上において指定したラインが垂直方向又は水平方向に直線的になるように当該ラインを修正する。具体的には、指定されたラインが3次元空間内で直線になるような修正量を求め、この修正量を周囲方向及び垂直方向に分解した後、型紙上に修正量を反映することにより、上記のようにラインを修正することができ、デザイン作業を補助することができる。
次に、多重テクスチャマッピングによる縫い代又はワッペン等の表示処理について説明する。この処理では、ディテール表現のために複数のテクスチャを重ねてバインドし、縫い代又はワッペン等を型紙上に表示する。この処理により、2次元及び3次元の型紙上でテクスチャの移動及び回転等の操作を行うことができる。
次に、トルソの変形による衣服の形状変更処理について説明する。この処理では、型紙から構成される衣服をトルソに着せ付けた状態で、トルソのパラメータ入力によりトルソを変形させるとともに、トルソと一緒にトルソ上の配置補助ラインを変形させ、変形前にトルソに着せ付けられた衣服のシルエットを保存しながら型紙を同時に変形させる。この処理により、衣服も同時に変形することができるので、グレーディングに相当する変形作業を行うことができる。また、ボディスキャナ等を用いて3次元の人体データを入力するようにしてもよい。この場合、3次元の人体データは着衣形状でもよく、トルソ着衣シルエットが着衣状態の3次元の人体データにフィットするようにトルソの変形パラメータを最適化手法により算出する。
なお、上記の説明では、型紙として後身頃型紙及び前身頃型紙を用いたが、他の型紙を用いる場合にも、本発明を同様に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
また、上記の説明では、バストライン外包線及びヒップライン外包線をトルソの水平断面形状から作成しているが、この例に特に限定されず、他のバストライン外包線及びヒップライン外包線を用いることもできる。
図21は、バストライン外包線及びヒップライン外包線の他の例を示す模式図である。図21のバストライン外包線はバスト断面設定線BL’を基準に作成され、ヒップライン外包線はヒップ断面設定線HL’を基準に作成される。バスト断面設定線BL’及びヒップ断面設定線HL’はトルソの垂直断面形状の特徴突起点に接するように接線SL1,SL2を作成し、バストライン上の接点B1及び接点B2を通るようにバストライン外包線が作成され、接点H1及びヒップライン上の接点H2を通るようにヒップライン外包線が作成される。
このようにして作成されたバストライン外包線及びヒップライン外包線を用いることにより、人体の立体形状をより忠実に反映したリングを作成することができるので、重力の作用によってトルソの全表面形状により自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
また、上記の説明では、ワンピース、上着等の型紙を表示する場合について説明したが、ワイヤを配置する位置を変えることにより、スカート、パンツ等の型紙にも本発明を同様に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
図22はワイヤを配置する領域の他の例を示す斜視図であり、(a)はトルソを斜め前面から見た斜視図であり、(b)はトルソを側面から見た斜視図である。図22に示すように、スカート、パンツ等のように人体の下半身に身に付ける衣服では、上記のワイヤ作成処理と同様にして胴囲下部形状線となるワイヤが作成され、ウエストラインWL以下のワイヤ領域WA(図中のハッチングで示す領域)にワイヤが配置される。ワイヤ領域WAは、スカート、パンツ等のように人体の下半身に身に付ける衣服が人体に最も密着する領域であり、このワイヤ領域WAにワイヤを配置することにより、スカート、パンツ等のように人体の下半身に身に付ける衣服の型紙を重力の作用によってトルソの表面形状により自然にフィットした組立状態で3次元的に且つ高精度に表示することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態による仮想型紙表示装置について説明する。図23は、本発明の第2の実施の形態による仮想型紙表示装置の構成を示すブロック図である。図23に示す仮想型紙表示装置と図2に示す仮想型紙表示装置とで異なる点は、ワイヤの代わりに上部リングを用いるため、記憶部30がワイヤデータ記憶部34及びリングデータ記憶部35の代わりに上部リングデータ記憶部34a及びリングデータ記憶部35aを含む記憶部30bに変更されるともに、プログラム実行部20がリングデータ作成部23、データ変換部24及び表示制御部25の代わりにリングデータ作成部23a、データ変換部24a及び表示制御部25aを含むプログラム実行部20bに変更され、その他の点は、図2に示す仮想型紙表示装置と同様であるので、同一部分には同一符号を付して以下詳細な説明を省略する。なお、図23に示す仮想型紙表示装置も、図1に示す仮想型紙表示装置を用いて以下に説明する仮想型紙表示プログラム等を実行することにより図2に示す仮想型紙表示装置と同様にして実現することができる。
上部リングデータ記憶部34aは、トルソのバストライン(胸囲線)から上の所定領域の表面形状に対応した上部リングデータをトルソごとに予め記憶している。なお、上部リングデータ記憶部34aは、上部リングデータだけでなく、他のリングデータを記憶するようにしてもよい。
リングデータ作成部23aは、バストラインから下の各リングを第1の実施の形態と同様にして作成するとともに、上部リングデータ記憶部34aに記憶されている上部リングを基にリングの外周長が布量算出部22によって算出された布量となるようにトルソのバストラインから上に配置される各リングを表すリングデータを順次作成し、作成した各リングデータをリングデータ記憶部35aに記憶させる。
データ変換部24aは、2次元座標データ記憶部32から後身頃型紙及び前身頃型紙の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びリングデータ記憶部35からリングデータを読み出し、後中心線を基準にして後身頃型紙及び前身頃型紙がリングに沿って配置されるように、後身頃型紙上の後中心線から後身頃型紙及び前身頃型紙上の特徴点までの水平距離を基に2次元座標データを3次元座標データに変換する。
また、データ変換部24aは、変換された3次元座標データから後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を表すポリゴンデータを作成し、作成したポリゴンデータを型紙の3次元座標データとして3次元座標データ記憶部36に記憶させる。また、データ変換部24aは、上記の各処理と逆の処理を行うことにより3次元座標データを2次元座標データに変換する。
表示制御部25aは、第1の実施の形態と同様に、型紙の2次元表示用データ並びにトルソ及び型紙の3次元表示用データを作成し、作成した2次元表示用データ及び3次元表示用データを表示部40に出力するとともに、リングデータ記憶部35aに記憶されているリングデータを用いて3次元空間において各リングを仮想的に表示するための3次元表示用データを作成し、作成した各リングの3次元表示用データを表示部40に出力する。
本実施の形態において、メッシュ作成部21、型紙データ記憶部31及び2次元座標データ記憶部32が取得手段に相当し、データ変換部24a、縫製情報記憶部33及び3次元座標データ記憶部36が変換手段に相当し、表示制御部25、トルソ形状データ記憶部37及び表示部40が表示手段に相当し、布量算出部22、リングデータ作成部23a、上部リングデータ記憶部34a及びリングデータ記憶部35aが外包形状線作成手段に相当する。
次に、上部リングデータ記憶部34aに予め記憶されている上部リングデータの作成方法について説明する。本実施の形態では、上部リングデータは既に作成されたものを上部リングデータ記憶部34aに記憶させているが、後述する上部リングデータ作成処理を実行するための上部リングデータ作成プログラム等を外部記憶装置5にインストールして当該プログラム等をCPU3によって実行することによっても、上部リングデータを作成することができる。図24は、図1に示す仮想型紙表示装置を用いて上部リングデータ作成処理を実行する場合の主要機能ブロック図である。
図24に示すように、仮想型紙表示装置は、機能的には、操作部10、プログラム実行部20c及び記憶部30cを備える。プログラム実行部20cは、筒状布変形部41、特徴突起点作成部42及び上部リングデータ作成部43を含む。記憶部30cは、上部リングデータ記憶部34a及びトルソ形状データ記憶部37を含む。
プログラム実行部20cは、CPU3等から構成され、CPU3等が外部記憶装置5に記憶されている上部リングデータ作成プログラム等を実行することによって、筒状布変形部41、特徴突起点作成部42及び上部リングデータ作成部43として機能する。記憶部30cは、外部記憶装置5等から構成され、上部リングデータ記憶部34a及びトルソ形状データ記憶部37として機能する。
筒状布変形部41は、トルソ形状データ記憶部37からトルソの表面形状の特徴突起点となるバストトップ点、肩甲骨突起点及び肩点等を表すデータを読み出し、読み出したデータからバストトップ点、肩甲骨突起点及び肩点等に接する外包形状を有する筒状布を仮想的に作成する。また、筒状布変形部26は、トルソの前面ではバストラインから上に位置する筒状布をトルソ側へ傾斜させ、後面では肩甲骨突起点から上に位置する筒状布をトルソ側へ傾斜させ、筒状布を変形させる。
特徴突起点作成部42は、変形後の筒状布の形状から上部リングの形状を規定する新たな特徴突起点を作成する。
上部リングデータ作成部43は、上記した人体の特徴突起点となる、バストトップ点、肩甲骨突起点及び肩点等の特徴突起点と新たに作成された特徴突起点とを用いて、バストラインから前首点までの上部リングが該当する各特徴突起点に通るように、第1の実施の形態のリングと同様にして、バストラインから前首点までの上部リングデータを所定間隔で作成する。また、上部リングデータ作成部43は、前首点位置における上部リングと同様の形状を有するように、前首点から上の上部リングデータを所定間隔で作成する。上部リングデータ作成部43は、作成した上部リングデータを上部リングデータ記憶部34aに記憶させる。
ここで、本実施形態に用いられる上部リングの形状とトルソの形状との関係について詳細に説明する。図25は、トルソと前身頃型紙及び後身頃型紙との配置関係を説明するための斜視図であり、図26は人体の方位を説明するためのトルソの上面図である。
図25に示すように、トルソTOの3次元形状表面の上に配置される身頃型紙図形の要素として、前身頃型紙FK及び後身頃型紙BKは、肩線SLに沿って縫製されることを前提としている型紙であり、矩形原型肩線の両端に衿ぐりNL、袖ぐりAHの形状が現れていることを前提とする。また、図26に示すように、トルソ(人体)の矢状断面(奥行き断面)で検証すると明らかなように、人体の前面の特徴突起点はバストトップ点BTであり、後面の特徴突起点は肩甲骨突起点BPとヒップトップ点HTであり、これらの特徴突起点を用いて上部リングが作成される。ここで、肩甲骨突起点BPはトルソTOのバストトップから上の後面において最も突起している最突起部である。
図27は、トルソと前身頃型紙及び後身頃型紙との配置関係を説明するための側面図である。図27に示すように、衣服を構成する布すなわち前身頃型紙FK及び後身頃型紙BKが肩線SLからトルソTOの前面及び後面に振り分けられると、トルソTOの前面において、布すなわち前身頃型紙FKは、前首点FNからバストトップ点BTまではトルソTOに沿うように配置され、バストトップ点BTから垂直にウエストラインWLの周辺を経てヒップラインHLの周辺までトルソTOと距離を隔てて配置される。一方、トルソTOの後面においては、後身頃型紙BKは、肩から肩甲骨突起点BPまでトルソTOに沿うように配置され、肩甲骨突起点BPから垂直にヒップラインHLの周辺までトルソTOと距離を隔てて配置される。このため、上部リングは、前首点FN(肩線SL、横首点TN及び後首点を含む)からバストラインBLまでの間UAにおいて作成され、バストラインBLからヒップラインHLを経て下部には、第1の実施形態において既述したリングが使用される。
次に、上記した上部リングの形状とトルソの形状との関係に基づいて上部リングデータを作成する上部リングデータ作成処理について詳細に説明する。図28は、図24に示す仮想型紙表示装置による上部リングデータ作成処理を説明するためのフローチャートである。
まず、オペレータが操作部10を操作して上部リングデータ作成処理の実行を指示すると、図28に示すステップS21において、筒状布変形部41は、トルソ形状データ記憶部37からトルソの表面形状の特徴突起点となるバストトップ点、肩甲骨突起点及び肩点を表すデータを読み出し、読み出したデータからバストトップ点、肩甲骨突起点及び肩点に接する外包形状を有する筒状布をポリゴンを用いて仮想的に作成する。
図29は筒状布を用いてトルソを包んだ状態を示す模式図であり、図30は図29に示すトルソ上の特徴突起点を示す模式図である。図29に示すように、筒状布変形部41は、身幅分の布を用いてトルソTOを筒状に包み、筒状布TCを作成する。図30に示すように、筒状布TCは、肩点SP、バストトップ点BT、肩甲骨突起点BPに接する外包形状を有する。このとき、肩甲骨突起点BPとバストラインBLとは同一水平断面上にはないので、トルソTOの前面における外包線は、バストラインBLの外包線に一致するが、背面ではバストラインBLの外包線に一致せず、肩甲骨突起点BPの外包線に一致する。
次に、ステップS22において、筒状布変形部26は、トルソの前面ではバストラインから上に位置する筒状布をトルソ側へ傾斜させ、後面では肩甲骨突起点から上に位置する筒状布をトルソ側へ傾斜させ、筒状布を変形させる。
図31は筒状布の傾斜方法を説明するための模式図であり、図32はバストライン及び前首点付近の布配置断面の形状を示す模式図である。衣服は肩線SLにおいて縫製されることを前提としているので、筒状布変形部26は、図31に示すように、トルソTOの前面ではバストトップ点BTすなわちバストラインから上に位置する筒状布TCを初期位置FIからトルソTO側へ傾斜させ、後面では肩甲骨突起点BPから上に位置する筒状布TCを初期位置BIからトルソTO側へ傾斜させる。
このようにして、筒状布TCを傾斜させると、図32に示すように、バストライン上の布配置断面はC1となり、前首点付近の布配置断面はC2となる。このように、同時に最初に円弧だったものが直線に変形されていくので、このときの距離の差分は、袖ぐり部分から外側へ設定され、両布配置断面C1及びC2ともに同線長となる。
次に、ステップS23において、特徴突起点作成部42は、変形後の筒状布の形状から上部リングの形状を規定する新たな特徴突起点を作成する。図33は新たに設定される特徴突起点を説明するための模式図である。バストライン水平断面における形状を固定し、筒状布TCを傾斜させると、図33に示すように、前面の筒状布は前首点水平断面SC上の特徴突起点NPに接する。特徴突起点作成部42は、トルソTOの前面に位置する前首点FNを通る水平線をとり、この水平線から前首点水平断面SCを設定し、筒状布TCが接する前首点水平断面SC上の点を新たな特徴突起点NPとして設定する。このときの布の水平断面形状が前首点FNからバストラインBLまでの間に作成される上部リングの形状の根拠となる。特徴突起点作成部42は、バストトップ点BTから特徴突起点NP及び前首点FNまでを繋いだ特徴線L11,L12上に、上部リングの形状を規定する新たな特徴突起点NPを設定する。なお、前首点FNは、人体の姿勢によっては人体上の凹部となるため、この場合、前首点、特徴線L12上の点を特徴突起点として用いなくてもよい。
次に、ステップS24において、上部リングデータ作成部43は、バストトップ点、前首点、肩甲骨突起点、後首点及び肩点等の特徴突起点と新たに作成された特徴突起点とを用いて、バストラインから前首点までの上部リングが各特徴突起点に接するように、バストラインから前首点までの上部リングデータを所定間隔で作成する。また、上部リングデータ作成部43は、前首点から上の上部リングが肩点を通る上部リングと同じ形状になるように、前首点から上の上部リングデータを所定間隔で作成する。
図34及び図35は、新たに設定された特徴突起点を通る上部リングの正面図及び側面図である。特徴突起点作成部42は、図34及び図35に示すように、トルソの前面において、前首点水平断面上の前首点FN及び特徴突起点NP間の最短距離すなわち外包線を求め、この外包線から作成される複数の円弧と各円弧の間を連結する直線によって構成されるリングが上部リングURとなるように上部リングデータを作成する。次に、特徴突起点作成部42は、上部リングを高精度に生成するために、特徴線L11,L12上の各特徴突起点NP間を結ぶ外包線が上部リングURとなるように所定間隔で上記と同様に上部リングデータを作成する。このようにして作成された上部リングURは、バストラインとヒップラインとの間のリングと同様に均等な間隔を有し、また、トルソTOの表面と接しない部分を有する。
図36は、肩甲骨突起水平断面の上部リングを示す背面図である。特徴突起点作成部42は、図36に示すように、トルソTOの後面において、肩甲骨突起点BPを通るように肩甲骨突起点BP間の最短距離すなわち外包線を求め、この外包線から作成される複数の円弧と各円弧の間を連結する直線によって構成されるリングが上部リングURとなるように上部リングデータを作成する。次に、特徴突起点作成部42は、図35に示すように、肩甲骨突起点BPから前首点水平断面まで首傾斜に順ずる角度で上部リングURがトルソTOに沿うように上部リングデータを上記と同様にして作成する。
また、特徴突起点作成部42は、図35に示す肩甲骨突起水平断面からバスト水平断面までの後面領域BRにおいて、上記の肩甲骨突起点BPを通る上部リングを用いて上部リングデータを作成する。このとき、トルソTOの側面においては、前面側の上部リングと後面側の上部リングとが滑らかに接続されるように、モーフィング等の公知の補完処理を行う。
さらに、特徴突起点作成部42は、肩点SP乃至前首点FNから上の首等を被う布に対して用いられる上部リングが前首点FNを通る上部リングと同一の形状になるように上部リングデータを作成する。横首点TN及び後首点BN付近にはこの上部リングが用いられる。このようにして作成された上部リングの断面距離は、図30に示すトルソTOの前面及び後面の各特徴突起点及び肩点を包んだ状態を最大値とし、最小値はバスト水平断面の外包線長とする。
次に、ステップS25において、上部リングデータ作成部43は、作成した上部リングデータを上部リングデータ記憶部34aに記憶させる。
上記のように、本実施の形態では、現実の衣服製作において行われている作業と同様に、身幅分の布を筒状に配置した後、バストラインから上の部分に対して布を傾斜させてトルソの各特徴突起点を通るように外包線を設定し、人体の特徴突起点及び新たに設定した特徴突起点から各上部リングの形状を決定し、上部リングデータを生成する。
したがって、生成された上部リングをワイヤの代わりに用い、図9に示す三次元変換処理のうちステップS16及びS17を省略してステップS15及びS18において上部リングを含めてリングを処理することにより、第1の実施形態と同様に2次元の後身頃型紙及び前身頃型紙を表示することができるとともに、後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を三次元的に表示することができる。
図37は図23に示す仮想型紙表示装置の表示部に表示される表示画面の一例を示す図であり、図38は図23に示す仮想型紙表示装置の表示部に表示される表示画面において前身頃型紙及び後身頃型紙が三次元的に表示される他の例を示す図である。なお、図37及び図38では、肩線で後身頃型紙及び前身頃型紙が縫製される前の状態が示されているが、肩線で縫製された状態は、公知の3次元画像処理方法等により実現することができ、その場合は、図20と同様の表示画面が表示される。
図37に示すように、表示ウインドウの右側に2次元の後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKが表示され、表示ウインドウの左側に3次元的にトルソTO、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKが表示される。このとき、各上部リングの長さは、身幅分と同一であり、筒状の布をトルソTOに沿って傾斜させたとき、トルソ側部分、袖ぐり部分にあたる布は、トルソから大きく離れて配置され、図38の(a)及び(b)に示すようになる。このようにして、トルソ(人体)の各水平断面上の各特徴突起点を通り且つ長さを一定に補完する外包曲線から各上部リングが作成され、この上部リングに沿って前身頃型紙及び後身頃型紙が三次元的に配置されて表示される。
なお、上記の説明では、衣服の型紙について説明したが、所定の立体物を包むための2次元的な型紙であれば、靴、車のシートカバー等の他の型紙にも、本発明を同様に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
産業上の利用可能性
上記のように、本発明によれば、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データが立体物上の3次元座標データに変換されて型紙が立体物の表面に仮想的に配置されて表示されるので、型紙が立体物の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって立体物の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施の形態による仮想型紙表示装置の構成を示すブロック図である。
図2は、図1に示す仮想型紙表示装置の主要機能ブロック図である。
図3は、図1に示す仮想型紙表示装置を用いてワイヤデータ作成処理を実行する場合の主要機能ブロック図である。
図4は、図3に示す仮想型紙表示装置による前部ワイヤデータ作成処理を説明するためのフローチャートである。
図5は、トルソの表面形状を表す複数のポリゴンを示す模式図である。
図6は、メッシュを平面上に順次展開していく状態を示す模式図である。
図7は、平面上に展開されたメッシュに対して設定された水平線を示す模式図である。
図8は、トルソ上に設定された前部ワイヤを示す模式図である。
図9は、図2に示す仮想型紙表示装置による三次元変換処理を説明するためのフローチャートである。
図10は、後身頃型紙及び前身頃型紙の外形を表す模式図である。
図11は、後身頃型紙及び前身頃型紙にメッシュを生成させた状態を示す模式図である。
図12は、後身頃型紙及び前身頃型紙の変形状態を示す模式図である。
図13は、トルソの前面斜視図である。
図14は、トルソの後面斜視図である。
図15は、バストラインにおけるバストライン外包線の作成方法を説明するための模式図である。
図16は、トルソに対する前部ワイヤ、後部ワイヤ及びリングの配置を示す模式図である。
図17は、前部ワイヤデータ及び後部ワイヤデータを用いたデータ変換処理の一例を説明するための模式図である。
図18は、リングを用いたデータ変換処理の一例を説明するための模式図である。
図19は、図2に示す表示部に表示される表示画面の一例を示す図である。
図20は、図2に示す表示部に表示される表示画面の他の例を示す図である。
図21は、バストライン外包線及びヒップライン外包線の他の例を示す模式図である。
図22は、ワイヤを配置する領域の他の例を示す斜視図である。
図23は、本発明の第2の実施の形態による仮想型紙表示装置の構成を示すブロック図である。
図24は、図1に示す仮想型紙表示装置を用いて上部リングデータ作成処理を実行する場合の主要機能ブロック図である。
図25は、トルソと前身頃型紙及び後身頃型紙との配置関係を説明するための斜視図である。
図26は、人体の方位を説明するためのトルソの上面図である。
図27は、トルソと前身頃型紙及び後身頃型紙との配置関係を説明するための側面図である。
図28は、図24に示す仮想型紙表示装置による上部リングデータ作成処理を説明するためのフローチャートである。
図29は、筒状布を用いてトルソを包んだ状態を示す模式図である。
図30は、図29に示すトルソ上の特徴突起点を示す模式図である。
図31は、筒状布の傾斜方法を説明するための模式図である。
図32は、バストライン及び前首点付近の布配置断面の形状を示す模式図である。
図33は、新たに設定される特徴突起点を説明するための模式図である。
図34は、新たに設定された特徴突起点を通る上部リングの正面図である。
図35は、新たに設定された特徴突起点を通る上部リングの側面図である。
図36は、肩甲骨突起水平断面の上部リングを示す背面図である。
図37は、図23に示す仮想型紙表示装置の表示部に表示される表示画面の一例を示す図である。
図38は、図23に示す仮想型紙表示装置の表示部に表示される表示画面において前身頃型紙及び後身頃型紙が三次元的に表示される他の例を示す図である。
本発明は、平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示する仮想型紙表示装置、仮想型紙表示方法、仮想型紙表示プログラム及び同プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
背景技術
従来より、アパレル業界では、CAD(Computer Aided Design)を用いたパターンメーキング等が行われており、コンピュータ上で型紙の形状を示す座標データを編集して型紙を仮想的に縫製し、トルソ(人台)の表面に仮想的に着せ付けられた衣服をモニタ上に表示することが行われている。
例えば、特許第2614691号公報には、トルソの水平断面形状を当該断面形状位置における型紙の水平方向の長さに応じて膨張させてトルソ上の型紙の3次元座標値を求め、この3次元座標値を用いて型紙を組み立てた状態を表示する型紙の組立形状視覚化方法が開示されている。
しかしながら、上記の型紙の組立形状視覚化方法では、型紙の水平方向の長さに応じてトルソの水平断面形状を単に膨張させているため、トルソの3次元的な表面形状を単に膨張させた状態がそのまま型紙の組立状態として表示され、実際に型紙から作成された衣服をトルソに着せ付けた状態とはかけ離れたものとなる。
すなわち、実際に衣服を人台に着せ付けた場合、重力の作用によって、衣服の胸部はトルソの胸部の表面形状に沿った状態となり、一方、衣服の腹部は衣服の胸部の形状から自然に広がった状態となる。しかしながら、上記の型紙の組立形状視覚化方法では、人台のすべての位置において型紙の水平方向の長さに応じて膨張した状態で型紙の組立状態が単に表示されるのみであり、人台の表面形状にフィットした自然な組立状態で型紙を3次元的に表示することができない。
また、上記の型紙の組立形状視覚化方法では、表示される型紙の組立状態と、実際に型紙から作成された衣服を人台に着せ付けた状態とが異なるため、型紙の誤差が大きくなり、デザイン画に基づいて最初の型紙(ファーストパターン)を作成するトワレチェックには使用することができない。
発明の開示
本発明の目的は、重力の作用によって立体物の表面形状にフィットした自然な組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる仮想型紙表示装置、仮想型紙表示方法、仮想型紙表示プログラム及び同プログラムを記録した記録媒体を提供することである。
本発明の一局面に従う仮想型紙表示装置は、平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示する仮想型紙表示装置であって、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データを取得する取得手段と、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データを立体物上の3次元座標データに変換する変換手段と、3次元座標データを用いて型紙を立体物の表面に仮想的に配置して表示する表示手段とを備えるものである。
上記の構成により、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データが取得され、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データが立体物上の3次元座標データに変換され、この3次元座標データを用いて型紙が立体物の表面に仮想的に配置されて表示される。したがって、型紙が立体物の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって立体物の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
型紙は、衣服を構成する複数の型紙を含み、立体物は、衣服を着せ付けるための人台を含み、形状線は、人台の胸囲位置から上部の所定領域の表面形状に対応する上部形状線を含み、変換手段は、上部形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの水平距離を基に2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換することが好ましい。
この場合、上部形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの水平距離を基に2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換されるので、型紙が人台の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって人台の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができ、型紙によって構成される衣服のトワレチャックをシミュレーションにより行うことができる。
型紙は、前身頃型紙と後身頃型紙とを含み、上部形状線は、人台の胸囲位置から上部の所定領域の前面形状に対応する前部形状線と、人台の胸囲位置から上部の所定領域の後面形状に対応する後部形状線とを含み、前部形状線は、平面に展開した場合に前身頃型紙の水平線に平行な形状を有し、後部形状線は、平面に展開した場合に後身頃型紙の水平線に平行な形状を有し、変換手段は、前部形状線に沿って前身頃型紙が配置されるように前身頃型紙上の前基準線から前身頃型紙上の特徴点までの平面距離を基に前身頃型紙の2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換するとともに、後部形状線に沿って後身頃型紙が配置されるように後身頃型紙上の後基準線から後身頃型紙上の特徴点までの平面距離を基に後身頃型紙の2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換することが好ましい。
この場合、平面に展開したときに前身頃型紙の水平線に平行な形状を有する前部形状線に沿って前身頃型紙が配置されるように前身頃型紙上の前基準線から前身頃型紙上の特徴点までの水平距離を基に前身頃型紙の2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換されるとともに、平面に展開したときに後身頃型紙の水平線に平行な形状を有する後部形状線に沿って後身頃型紙が配置されるように後身頃型紙上の後基準線から後身頃型紙上の特徴点までの平面距離を基に後身頃型紙の2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換されるので、型紙が前面及び後面ごとに人台の表面形状に高精度に沿った状態となり、重力の作用によって人台の表面形状により自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができ、型紙によって構成される衣服のトワレチャックをシミュレーションにより高精度に且つ短時間で行うことができる。
人台の胸囲位置を通る胸囲外包線を基に人台の胸囲位置から下に位置する中間形状線を作成する中間形状線作成手段をさらに備え、変換手段は、上部形状線及び中間形状線に沿って型紙が配置されるように水平距離を基に2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換することが好ましい。
この場合、人台の胸囲位置を通る胸囲外包線を基に人台の胸囲位置から下に位置する中間形状線が作成され、上部形状線及び中間形状線に沿って型紙が配置されるように平面距離を基に2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換される。したがって、型紙が人台の胸部の表面形状に沿った状態になるとともに、人台の腹部においては胸囲外包線の形状によって適度に規制された状態で且つ自然に広がった状態になり、重力の作用によって人台の胸部及び腹部の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができ、型紙によって構成される衣服上部のトワレチャックをシミュレーションにより高精度に且つ短時間で行うことができる。
人台の腰囲位置を通る腰囲外包線を基に人台の胴囲位置から下に位置する下部形状線を作成する下部形状線作成手段をさらに備え、中間形状線作成手段は、胸囲外包線を基に人台の胸囲位置と胴囲位置との間に位置する中間形状線を作成し、変換手段は、上部形状線、中間形状線及び下部形状線に沿って型紙が配置されるように水平距離を基に2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換することが好ましい。
この場合、人台の腰囲位置を通る腰囲外包線を基に人台の胴囲位置から下に位置する下部形状線が作成され、上部形状線、中間形状線及び下部形状線に沿って型紙が配置されるように水平距離を基に2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換される。したがって、型紙が人台の胸部の表面形状に沿った状態になるとともに、人台の腹部においては胸囲外包線の形状によって適度に規制された状態で且つ自然に広がった状態になり、さらに、人台の腰部においては腰囲外包線の形状によって適度に規制された状態で且つ自然に広がった状態になり、重力の作用によって人台の全表面形状により自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができ、型紙によって構成される衣服全体のトワレチャックをシミュレーションにより高精度に且つ短時間で行うことができる。
型紙は、衣服を構成する複数の型紙を含み、立体物は、衣服を着せ付けるための人台を含み、形状線は、人台の胴囲位置から下部の所定領域の表面形状に対応する胴囲下部形状線を含み、変換手段は、胴囲下部形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの水平距離を基に2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換することが好ましい。
この場合、胴囲下部形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの水平距離を基に2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換されるので、型紙が人台の胴囲の下部表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって人台の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
型紙は、衣服を構成する複数の型紙を含み、立体物は、衣服を着せ付けるための人台を含み、形状線として人台の表面形状における特徴突起点を通る外包線を基に外包形状線を作成する外包形状線作成手段をさらに備え、変換手段は、外包形状線に沿って型紙が配置されるように水平距離を基に2次元座標データを人台上の3次元座標データに変換することが好ましい。
この場合、人台の表面形状における特徴突起点を通る外包線を基に作成された外包形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの水平距離を基に2次元座標データが人台上の3次元座標データに変換されるので、型紙が人台の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって人台の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
外包形状線は、特徴突起点を通る円弧部及び直線部から構成され、外包形状線作成手段は、水平距離に応じて直線部の長さを変更して外包形状線の周長を変更することが好ましい。
この場合、外包形状線の円弧部の形状を変化させることなく、直線部の長さが変更されるので、人台の表面形状の特徴を損なうことなく、外包形状線の周長を変更することができ、人台の表面形状により自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
本発明の他の局面に従う仮想型紙表示方法は、コンピュータを用いて平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示する仮想型紙表示方法であって、コンピュータが型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データを取得するステップと、コンピュータが立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データを立体物上の3次元座標データに変換するステップと、コンピュータが3次元座標データを用いて型紙を立体物の表面に仮想的に配置して表示するステップとを含むものである。
上記の構成により、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データが取得され、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データが立体物上の3次元座標データに変換され、この3次元座標データを用いて型紙が立体物の表面に仮想的に配置されて表示される。したがって、型紙が立体物の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって立体物の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
本発明のさらに他の局面に従う仮想型紙表示プログラムは、平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示するための仮想型紙表示プログラムであって、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データを取得する取得手段、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データを立体物上の3次元座標データに変換する変換手段、3次元座標データを用いて型紙を立体物の表面に仮想的に配置して表示する表示手段としてコンピュータを機能させるものである。
上記の構成により、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データが取得され、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データが立体物上の3次元座標データに変換され、この3次元座標データを用いて型紙が立体物の表面に仮想的に配置されて表示される。したがって、型紙が立体物の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって立体物の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
本発明のさらに他の局面に従う記録媒体は、平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示するための仮想型紙表示プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データを取得する取得手段、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データを立体物上の3次元座標データに変換する変換手段、3次元座標データを用いて型紙を立体物の表面に仮想的に配置して表示する表示手段としてコンピュータを機能させる仮想型紙表示プログラムを記録したものである。
上記の構成により、型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データが取得され、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データが立体物上の3次元座標データに変換され、この3次元座標データを用いて型紙が立体物の表面に仮想的に配置されて表示される。したがって、型紙が立体物の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって立体物の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の各実施の形態による仮想型紙表示装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による仮想型紙表示装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す仮想型紙表示装置は、パーソナルコンピュータ等から構成され、入力装置1、ROM(リードオンリメモリ)2、CPU(中央演算処理装置)3、RAM(ランダムアクセスメモリ)4、外部記憶装置5、表示装置6及び記録媒体駆動装置7を備える。各ブロックは内部のバスに接続され、このバスを介して種々のデータ等が各ブロック間で入出力され、CPU3の制御の下、種々の処理が実行される。
入力装置1は、キーボード、マウス等から構成され、オペレータが操作指令等を入力するために用いられる。ROM2には、システムプログラム等が予め記憶される。外部記憶装置5は、ハードディスクドライブ等から構成され、後述する仮想型紙表示プログラム等を記憶している。CPU3は、外部記憶装置5から仮想型紙表示プログラム等を読み出し、後述する仮想型紙表示処理等を実行して各ブロックの動作を制御する。RAM4は、CPU3の作業領域等として用いられる。表示装置6は、CRT(陰極線管)又は液晶表示装置等から構成され、CPU3の制御の下、種々の画面を表示する。
なお、仮想型紙表示プログラム等は、コンピュータ・プログラム・プロダクトである、CD−ROM、フレキシブルディスク等から構成されるコンピュータ読み出し可能な記録媒体8に記録するようにしてもよい。この場合、CD−ROMドライブ、フレキシブルディスクドライブ等から構成される記録媒体駆動装置7を用いて記録媒体8から読み出された仮想型紙表示プログラム等が外部記憶装置5にインストールされる。また、仮想型紙表示プログラム等がネットワークを介して接続されている他のコンピュータ等に記憶されている場合、当該コンピュータ等からネットワークを介して仮想型紙表示プログラム等をダウンロードするようにしてもよい。
次に、上記のように構成された仮想型紙表示装置の主要な機能について説明する。図2は、図1に示す仮想型紙表示装置の主要機能ブロック図である。
図2に示すように、仮想型紙表示装置は、機能的には、操作部10、プログラム実行部20、記憶部30及び表示部40を備える。プログラム実行部20は、メッシュ作成部21、布量算出部22、リングデータ作成部23、データ変換部24及び表示制御部25を含む。記憶部30は、型紙データ記憶部31、2次元座標データ記憶部32、縫製情報記憶部33、ワイヤデータ記憶部34、リングデータ記憶部35、3次元座標データ記憶部36及びトルソ形状データ記憶部37を含む。
操作部10は、入力部1等から構成され、仮想型紙表示装置のオペレータが種々の操作指令を入力するために使用される。
プログラム実行部20は、CPU3等から構成され、CPU3等が外部記憶装置5に記憶されている仮想型紙表示プログラム等を実行することによって、メッシュ作成部21、布量算出部22、リングデータ作成部23、データ変換部24及び表示制御部25として機能する。記憶部30は、外部記憶装置5等から構成され、型紙データ記憶部31、2次元座標データ記憶部32、縫製情報記憶部33、ワイヤデータ記憶部34、リングデータ記憶部35、3次元座標データ記憶部36及びトルソ形状データ記憶部37として機能する。
型紙データ記憶部31は、一着分の衣服を構成する複数の型紙を1セットとして各型紙の外形及び各型紙上のダーツの外形等を表す型紙データを衣服ごとに予め記憶している。例えば、平面状の型紙の外形が2次元平面において頂点及び頂点間を結んだラインによって特定され、これらの頂点情報及びライン情報が型紙データとして記憶されている。なお、本実施の形態では、衣服の型紙は人体に対して左右対称であるため、一着分の型紙データとして半身分の型紙の外形等を表す型紙データを記憶し、例えば、前身頃型紙及び後身頃型紙の各型紙データを記憶している。
縫製情報記憶部33は、型紙データ記憶部31に記憶されている各型紙データに対応付けて、各型紙から一着分の衣服を構成する場合に縫製される部分を表す縫製情報を予め記憶している。トルソ形状データ記憶部37は、前身頃型紙及び後身頃型紙等から構成される衣服を着せ付けるためのトルソの表面形状を表すポリゴンデータをトルソごとに予め記憶している。
メッシュ作成部21は、型紙データ記憶部31に記憶されている一着分の型紙データを読み出して各型紙の輪郭内部に所定のメッシュを作成し、メッシュの各頂点の2次元座標データを特徴点(一般的に衣服構成学上指示する点)として2次元座標データ記憶部32に記憶させる。この2次元座標データは、後身頃型紙の後首点を原点とした型紙上の垂直方向及び水平方向の各距離を表している。なお、この場合のメッシュ生成方法は特に限定されず、種々のメッシュ生成方法を用いることができ、型紙を分割するメッシュの形状としては、例えば、三角形又は四角形等を用いることができる。
布量算出部22は、2次元座標データ記憶部32に記憶されている各特徴点の2次元座標データ及び縫製情報記憶部33に記憶されている縫製情報等を読み出し、リングデータ作成部23によって作成される各リングの位置に対応する垂直位置において、後基準線となる後身頃型紙の後首点を原点として垂直方向に伸びる後中心線(人体の背骨に近い垂直線)から前基準線となる前身頃型紙の前中心線までの水平距離(ダーツ等の型紙の無い部分を除いて実際に型紙が存在する平面距離)を各リングの布量として算出し、算出した各布量をリングデータ作成部23へ出力する。
ワイヤデータ記憶部34は、トルソのバストライン(胸囲線)から上の所定領域の表面形状に対応した前部ワイヤデータ及び後部ワイヤデータをトルソごとに予め記憶している。
リングデータ作成部23は、その内部にトルソごとに予め記憶しているバストライン外包線(胸囲外包線)又はヒップライン外包線(腰囲外包線)を基にリングの外周長が布量算出部22によって算出された布量となるようにトルソのバストラインから下に配置される各リングを表すリングデータを順次作成し、作成した各リングデータをリングデータ記憶部35に記憶させる。
データ変換部24は、2次元座標データ記憶部32から前身頃型紙のバストラインから上の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びワイヤデータ記憶部34から前部ワイヤデータをそれぞれ読み出し、2次元の前身頃型紙上の前中心線と符合する3次元のトルソ上の前中心線を基準にして前身頃型紙が前部ワイヤに沿って配置されるように、前身頃型紙上の前中心線から前身頃型紙上の特徴点までの水平距離を基にバストラインから上の前面の2次元座標データを3次元座標データに変換する。
また、データ変換部24は、2次元座標データ記憶部32から後身頃型紙のバストラインから上の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びワイヤデータ記憶部34から後部ワイヤデータをそれぞれ読み出し、2次元の後身頃型紙上の後中心線と符合する3次元のトルソ上の後中心線を基準にして後身頃型紙が後部ワイヤに沿って配置されるように、後身頃型紙上の後中心線から後身頃型紙上の特徴点までの水平距離を基にバストラインから上の後面の2次元座標データを3次元座標データに変換する。
また、データ変換部24は、2次元座標データ記憶部32から後身頃型紙及び前身頃型紙のバストラインから下の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びリングデータ記憶部35からリングデータを読み出し、後中心線を基準にして後身頃型紙及び前身頃型紙がリングに沿って配置されるように、後身頃型紙上の後中心線から後身頃型紙及び前身頃型紙上の特徴点までの水平距離を基にバストラインから下の2次元座標データを3次元座標データに変換する。
さらに、データ変換部24は、変換された3次元座標データから後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を表すポリゴンデータを作成し、作成したポリゴンデータを型紙の3次元座標データとして3次元座標データ記憶部36に記憶させる。また、データ変換部24は、上記の各処理と逆の処理を行うことにより3次元座標データを2次元座標データに変換する。
表示制御部25は、2次元座標データ記憶部32に記憶されている型紙の2次元座標データを用いて2次元空間において型紙を仮想的に表示するための2次元表示用データを作成し、作成した2次元表示用データを表示部40に出力する。
また、表示制御部25は、トルソ形状データ記憶部37に記憶されているトルソの表面形状を表すポリゴンデータを用いて3次元空間においてトルソを仮想的に表示するための3次元表示用データを作成し、作成したトルソの3次元表示用データを表示部40に出力する。
また、表示制御部25は、ワイヤデータ記憶部34及びリングデータ記憶部35に記憶されている前部ワイヤデータ、後部ワイヤデータ及びリングデータを用いて3次元空間において各ワイヤ及びリングを仮想的に表示するための3次元表示用データを作成し、作成した各ワイヤ及びリングの3次元表示用データを表示部40に出力する。
さらに、表示制御部25は、3次元座標データ記憶部36に記憶されている後身頃型紙及び前身頃型紙を表すポリゴンデータを用いて3次元空間において後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を仮想的に表示するための3次元表示用データを作成し、作成した後身頃型紙及び前身頃型紙の3次元表示用データを表示部40に出力する。
表示部40は、表示装置6から構成され、表示制御部25から出力される2次元表示用データに応じて後身頃型紙及び前身頃型紙を2次元表示し、3次元表示用データに応じてトルソ、前部ワイヤ、後部ワイヤ、リング、後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を3次元的に表示する。
本実施の形態において、メッシュ作成部21、型紙データ記憶部31及び2次元座標データ記憶部32が取得手段に相当し、データ変換部24、縫製情報記憶部33、ワイヤデータ記憶部34及び3次元座標データ記憶部36が変換手段に相当し、表示制御部25、トルソ形状データ記憶部37及び表示部40が表示手段に相当し、布量算出部22、リングデータ作成部23及びリングデータ記憶部35が中間形状線作成手段及び下部形状線作成手段に相当する。
次に、ワイヤデータ記憶部34に予め記憶されているワイヤデータの作成方法について説明する。本実施の形態では、ワイヤデータは既に作成されたものをワイヤデータ記憶部34に記憶させているが、後述するワイヤデータ作成処理を実行するためのワイヤデータ作成プログラム等を外部記憶装置5にインストールして当該プログラム等をCPU3によって実行することによっても、ワイヤデータを作成することができる。図3は、図1に示す仮想型紙表示装置を用いてワイヤデータ作成処理を実行する場合の主要機能ブロック図である。
図3に示すように、仮想型紙表示装置は、機能的には、操作部10、プログラム実行部20a及び記憶部30aを備える。プログラム実行部20aは、メッシュ展開部26、交点算出部27及び交点マッピング部28を含む。記憶部30aは、ワイヤデータ記憶部34及びトルソ形状データ記憶部37を含む。
プログラム実行部20aは、CPU3等から構成され、CPU3等が外部記憶装置5に記憶されているワイヤデータ作成プログラム等を実行することによって、メッシュ展開部26、交点算出部27及び交点マッピング部28として機能する。記憶部30aは、外部記憶装置5等から構成され、ワイヤデータ記憶部34及びトルソ形状データ記憶部37として機能する。
メッシュ展開部26は、トルソ形状データ記憶部37からトルソの表面形状のうち少なくともバストラインからネックベースライン(頸付根線)までの表面形状を表すポリゴンデータを読み出し、読み出したポリゴンデータによって表されるポリゴンをメッシュとして平面上に展開し、各メッシュを表すメッシュデータを作成する。
交点算出部27は、平面上に展開されたメッシュに対してバストラインから所定間隔で水平線を引き、各水平線とメッシュの外形線との交点の2次元座標データを算出する。
交点マッピング部28は、算出された各交点をポリゴンによって表されるトルソの表面にマッピングさせて各交点の3次元座標データを求め、この3次元座標データを用いて各交点を滑らかな曲線で結び、上記の水平線に対応する前部ワイヤ及び後部ワイヤを作成し、この前部ワイヤ及び後部ワイヤの形状を表す前部ワイヤデータ及び後部ワイヤデータを作成してワイヤデータ記憶部34に記憶させる。
図4は図3に示す仮想型紙表示装置による前部ワイヤデータ作成処理を説明するためのフローチャートであり、図5はトルソの表面形状を表す複数のポリゴンを示す模式図である。
図5に示すように、トルソTOの表面形状は、複数のポリゴンPOの組み合わせにより表現され、各ポリゴンPOとしては、例えば三角形のポリゴンが用いられ、各ポリゴンPOを表すポリゴンデータがトルソ形状データ記憶部37に記憶されている。
このとき、オペレータが操作部10を操作して前部ワイヤデータ作成処理の実行を指示すると、図4に示すステップS1において、メッシュ展開部26は、トルソ形状データ記憶部37からトルソTOの表面形状のうち少なくともバストラインBLからネックベースラインNLまでの表面形状を表すポリゴンPOのうちの一つのポリゴンを表すポリゴンデータを読み出す。
次に、ステップS2において、メッシュ展開部26は、読み出したポリゴンデータによって表されるポリゴンをメッシュとして平面上に展開する。次に、ステップS3において、メッシュ展開部26は、前部ワイヤデータを作成するために必要な全てのメッシュを展開したか否かを判断し、全てのメッシュを展開していない場合はステップS1に戻ってメッシュ展開処理を継続し、全てのメッシュを展開した場合はステップS4へ移行する。
図6は、メッシュを平面上に順次展開していく状態を示す模式図である。上記の処理により図6の(a)〜(d)に示すように一つずつメッシュMEが平面に展開され、最終的に図6の(d)に示すように、トルソTOの表面形状のうち少なくともバストラインBLからネックベースラインNLまでの表面形状を表すポリゴンPOに対応する複数のメッシュMEが平面上に展開される。
次に、図4に示すステップS4において、交点算出部27は、平面上に展開されたメッシュ上にバストラインからネックベースラインまでの間に所定間隔で水平線を順次作成する。次に、ステップS5において、交点算出部27は、各水平線と各メッシュの外形線との交点を表す2次元座標データを算出する。
図7は、平面上に展開されたメッシュに対して設定された水平線を示す模式図である。上記の処理により、図7に示すように、平面上に展開されたメッシュME上に複数の水平線HEが所定間隔で順次作成され、各水平線HEと各メッシュMEとの交点を表す2次元座標データが算出される。
次に、図4に示すステップS6において、交点マッピング部28は、算出された交点をポリゴンによって表されるトルソの表面にマッピングさせて交点の3次元座標データを求める。次に、ステップS7において、交点マッピング部28は、全交点をマッピングしたか否かを判断し、全ての交点をマッピングしていない場合はステップS6に戻ってマッピング処理を継続し、全ての交点をマッピングした場合はステップS8へ移行する。
次に、ステップS8において、交点マッピング部28は、この3次元座標データを用いて各交点を滑らかに結んで曲線を作成した後、トルソの胸の谷間等の凹部に接することなく且つ胸の突端(バストトップ点)等の凸部に接する外包線となるように曲線を補正して各水平線に対応する前部ワイヤを作成し、このワイヤの形状を表す前部ワイヤデータをワイヤデータ記憶部34に記憶させる。
図8は、トルソ上に設定された前部ワイヤを示す模式図である。上記の処理により、図8に示すように、トルソTO上のバストラインからネックベースラインまでの間に複数の前部ワイヤFWが作成される。この前部ワイヤFWは2次元平面に展開した場合、前身頃型紙の水平線すなわち布の横糸に平行な形状を有するため、前部ワイヤFWの形状に沿って前身頃型紙を配置した場合、トルソの表面形状により自然にフィットした組立状態となる。なお、後部ワイヤについても上記の前部ワイヤと同様にして作成することができ、同様の効果を得ることができる。
次に、図2に示す仮想型紙表示装置による2次元の型紙データから3次元の型紙データを作成して型紙を組み立てた状態を3次元的に表示するための三次元変換処理について説明する。図9は図2に示す仮想型紙表示装置による三次元変換処理を説明するためのフローチャートであり、図10は後身頃型紙及び前身頃型紙の外形を表す模式図である。
例えば、図10の(a)及び(b)に示す後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKを用いて一着分の衣服を作成する場合、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの外形及び各型紙上のダーツBD,FDの外形を表す型紙データが型紙データ記憶部31に記憶されている。
このとき、オペレータが操作部10を操作して三次元変換処理の実行を指示すると、図9に示すステップS11において、メッシュ作成部21は、型紙データ記憶部31に記憶されている後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの型紙データを読み出す。
次に、ステップS12において、メッシュ作成部21は、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの輪郭内部(ダーツBD,FDを除く)にメッシュを作成する。図11は、後身頃型紙及び前身頃型紙にメッシュを生成させた状態を示す模式図である。上記のメッシュ作成処理により、図11に示すように、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの輪郭(ダーツBD,FDの輪郭を含む)に接する部分には三角形のメッシュMTが作成され、その他の部分には四角形のメッシュMRが作成される。
次に、ステップS13において、メッシュ作成部21は、作成したメッシュの各頂点の2次元座標データを特徴点として2次元座標データ記憶部32に記憶させる。
次に、ステップS14において、布量算出部22は、2次元座標データ記憶部32から後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの各特徴点の2次元座標データを読み出すとともに、縫製情報記憶部33から後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの縫製情報を読み出し、縫製情報に応じて後身頃型紙BKと前身頃型紙FKとが縫製され且つダーツBD,FDが閉じられるように、後身頃型紙BKの後中心線を基準に後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの各特徴点を水平方向に移動させて後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKを変形させる。
図12は、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKの変形状態を示す模式図である。図12に示すように、後身頃型紙BKは、ダーツBDが閉じられて後身頃型紙BKの後中心線BCL側に変形されて後身頃型紙BK’となる。また、前身頃型紙FKは、後身頃型紙BK’に縫製されるとともにダーツFDが閉じられて後身頃型紙BKの後中心線BCL側に変形されて前身頃型紙FK’となり、前中心線FCLも図示のように変形される。
次に、ステップS14において、布量算出部22は、後首点を基準にしてリングデータ作成部23によって作成される各リングの垂直位置(3次元座標)に対応する後中心線上の垂直位置(2次元座標)を求め、当該垂直位置から前身頃型紙の前中心線までの水平距離を各リングの布量として算出し、算出した各布量をリングデータ作成部23へ出力する。例えば、図12に示す後首点NPから垂直距離hAにあるバストラインBL下のリング位置PAに対して、距離lAB及び距離lAFを加算した水平距離(lAB+lAF)が、後中心線BCLから前中心線FCLまでのリングの布量として算出される。
次に、ステップS15において、リングデータ作成部23は、後述するバストライン外包線又はヒップライン外包線から作成される複数の円弧と各円弧の間を連結する直線によって構成されるリングの後中心線から前中心線までの周囲長が当該リング位置に対して布量算出部22によって算出された布量と一致するようにリングを構成する直線の長さを縮小又は伸張して各リングを表すリングデータを順次作成し、作成した各リングデータをリングデータ記憶部35に記憶させる。
ここで、上記のバストライン外包線の作成方法について詳細に説明する。衣服を人体に着せ付けた場合、基本的には、人体の首下からバストラインまでの間において衣服布と人体との間の距離は0となり(下着等を無視した場合)、バストラインから下にある衣服布は重力の作用により重力方向に垂れ下がる。また、ジャケット、シャツ等の衣服では固有のシルエットを作り出すために、このバストラインから下の円筒部分について2次元型紙上のダーツ及び仕上がり線の設定及び操作が行われる。リングは、衣服の2次元型紙が指示する立体形状のうちバストラインから下の立体形状をトルソ上に反映する機能を有し、バストライン外包線又はヒップライン外包線等を基に作成される。
図13はトルソの前面斜視図であり、図14はトルソの後面斜視図である。図13及び図14に示すように、トルソTOの前面の中心には垂直断面に沿って延びる前中心線FCLが設定され、トルソTOの後面の中心には垂直断面に沿って延びる後中心線BCLが設定されるとともに、トルソTOの垂直方向の基準位置としてバストラインBL、ウエストライン(胴囲線)WL及びヒップライン(腰囲線)HLが設定される。
図15は、バストラインにおけるバストライン外包線の作成方法を説明するための模式図である。なお、本実施の形態では、ホモトピー掃引法(C.L.Tai,K.L.Loe,and Y.L.kunii,“Intergrated homotopy sweep technique for Computer aided geometric design”,Computer Vision,pp.583−595,Spriger−Verlag,1991を参照)により、バストラインBLにおける人体すなわちトルソの水平断面形状に対する外包線となるバストライン外包線を作成している。
図15に示すように、まず、図13及び図14に示すバストラインBLにおけるトルソの水平断面BPの人体の特徴突起点、例えば、バストトップ点等に接するように接線S1〜S5を作成する。ここで、特徴突起点とは、トルソ(人体)の水平断面において主に骨格の形状が顕著に表われ突起状になっている部分をいうものとする。
次に、接線S1と接線S2とがなす角度2A(=A+A)を2等分する等分線C1を作成し、以下同様に接線S2と接線S3との間、接線S3と接線S4との間、及び接線S4と接線S5との間に等分線C2〜C4をそれぞれ作成する。次に、接点P1及び接点P2に内接する円弧A1を作成し、以下同様に接点P3及び接点P4に内接する円弧A2、接点P5及び接点P6に内接する円弧A3、及び接点P7及び接点P8に内接する円弧A4をそれぞれ作成する。上記のようにして各水平断面位置における人体断面形状が有する被服構成学上必須の円弧である円弧A1〜A4が作成され、円弧A1〜A4及び各円弧A1〜A4を連結する直線L1〜L5によってバストライン外包線が作成される。このバストライン外包線を構成する各円弧A1〜A4及び各直線L1〜L5を表すデータはリングデータ作成部23に予め記憶されている。
上記のようにして作成されたバストライン外包線を垂直方向に下降させると、図13及び図14に示すアッパーヒップラインUHLにおいてトルソTOと接触する。さらに、バストライン外包線を垂直方向に下降させると、トルソTOと順次接触していき、各接点を連結した曲線が腰骨線KLとなり、バストラインBLからウエストラインWLまでの各リングが、当該リング位置に対して算出された布量に当該リングの周長が一致するようにバストライン外包線の各円弧A1〜A4の形状を固定した状態で各直線L1〜L5の長さを減じて作成される。
また、上記と同様にして、ヒップラインHLにおけるトルソの水平断面形状からヒップライン外包線を作成し、このヒップライン外包線から作成される複数の円弧と各円弧の間を連結する直線によって構成されるリングの後中心線から前中心線までの周囲長が当該リング位置に対して布量算出部22によって算出された布量と一致するように、ウエストラインWLから下の各リングも、リングを構成する直線の長さを縮小又は伸張して作成される。このヒップライン外包線から作成される各円弧及び各直線を表すデータも予めリングデータ作成部23に記憶されている。
図16は、トルソに対する前部ワイヤ、後部ワイヤ及びリングの配置を示す模式図であり、(a)は側面斜視図、(b)は前面図、(c)は後面図である。図16に示すように、トルソTOのバストラインから上に前面(図16の領域A)には前部ワイヤFWが配置され、トルソTOのバストラインから上に後面(図16の領域C)には後部ワイヤRWが配置され、トルソTOのバストラインから下(図16の領域B)にはリングRGが配置される。
次に、ステップS16において、データ変換部24は、2次元座標データ記憶部32から前身頃型紙のバストラインから上の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びワイヤデータ記憶部34から前部ワイヤデータをそれぞれ読み出し、各特徴点の垂直距離及び水平距離を算出し、前中心線を基準にして前身頃型紙が前部ワイヤに沿って配置されるようにバストラインから上の前面の2次元座標データを3次元座標データに変換する。
図17は、前部ワイヤデータ及び後部ワイヤデータを用いたデータ変換処理の一例を説明するための模式図である。例えば、図12に示すように、後首点NPから垂直距離hBにあるワイヤ位置PBにおける前身頃型紙の水平距離としてlBFが算出された場合、データ変換部24は、図17に示すように、2次元の型紙上のワイヤ位置PBに対応する3次元のトルソ上の位置にある前部ワイヤFWの形状に沿って前中心線FCLから水平距離lBFだけ前身頃型紙を配置し、各特徴点の垂直距離がトルソ上の後首点からの前中心線FCL上の距離となり且つ各特徴点の水平距離が前中心線FCLからの前部ワイヤFW上の距離となるように、2次元の前身頃型紙上の各特徴点をトルソ上の3次元座標データ(図中の黒丸)に変換する。
次に、ステップS17において、データ変換部24は、2次元座標データ記憶部32から後身頃型紙のバストラインから上の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びワイヤデータ記憶部34から後部ワイヤデータをそれぞれ読み出し、各特徴点の垂直距離及び水平距離を算出し、後中心線を基準に後部ワイヤに沿って後身頃型紙が配置されるようにバストラインから上の後面の2次元座標データを3次元座標データに変換する。
例えば、図12に示すように、後首点NPから垂直距離hBにあるワイヤ位置PBにおける後身頃型紙の水平距離としてlBBが算出された場合、データ変換部24は、図17に示すように、2次元の型紙上のワイヤ位置PBに対応する3次元のトルソ上の位置にある後部ワイヤRWの形状に沿って後中心線BCLから水平距離lBBだけ後身頃型紙を配置し、各特徴点の垂直距離がトルソ上の後首点からの後中心線BCL上の距離となり且つ各特徴点の水平距離が後中心線BCLからの後部ワイヤRW上の距離となるように、2次元の後身頃型紙上の各特徴点をトルソ上の3次元座標データ(図中の黒丸)に変換する。
次に、ステップS18において、データ変換部24は、2次元座標データ記憶部32から後身頃型紙及び前身頃型紙のバストラインから下の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びリングデータ記憶部35からリングデータを読み出し、2次元の後身頃型紙上の後中心線と符合する3次元のトルソ上の後中心線を基準にして後身頃型紙及び前身頃型紙がリングに沿って配置されるようにバストラインから下の2次元座標データを3次元座標データに変換する。
図18は、リングを用いたデータ変換処理の一例を説明するための模式図である。例えば、図12に示すように、後首点NPから垂直距離hAにあるリング位置PAにおける後身頃型紙及び前身頃型紙の水平距離として(lAB+lAF)が算出された場合、データ変換部24は、図18に示すように、2次元の型紙上のワイヤ位置PAに対応する3次元のトルソ上の位置にあるリングRGの形状に沿って後身頃型紙を配置し(後中心点BCLから前中心点FCLまでのリングRGの周長はリング作成時に(lAB+lAF)に設定されている)、各特徴点の垂直距離がトルソ上の後首点からの後中心線BCL上の距離となり且つ各特徴点の水平距離が後中心線BCLからのリングRG上の距離となるように、2次元の後身頃型紙及び前身頃型紙上の各特徴点をトルソ上の3次元座標データ(図中の黒丸)に変換する。
なお、上記の変換処理において、特徴点の垂直距離に対応する位置に前部ワイヤ、後部ワイヤ及びリングがない場合は所定の補間計算によってトルソ上の3次元座標データを変換している。
次に、ステップS19において、データ変換部24は、変換された3次元座標データから後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を表すポリゴンデータを作成し、作成したポリゴンデータを型紙の3次元座標データとして3次元座標データ記憶部36に記憶させる。
次に、ステップS20において、表示制御部25は、2次元座標データ記憶部32に記憶されている型紙の2次元座標データを用いて2次元空間において型紙を仮想的に表示するための2次元表示用データを作成し、作成した2次元表示用データを表示部40に出力する。また、表示制御部25は、トルソ形状データ記憶部37に記憶されているポリゴンデータを用いて3次元空間においてトルソを仮想的に表示するための3次元表示用データを作成するとともに、ワイヤデータ記憶部34及びリングデータ記憶部35に記憶されている前部ワイヤデータ、後部ワイヤデータ及びリングデータを用いて3次元空間において各ワイヤ及びリングを仮想的に表示するための3次元表示用データを作成し、さらに、3次元座標データ記憶部36に記憶されているポリゴンデータを用いて3次元空間において後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を仮想的に表示するための3次元表示用データを作成し、各3次元表示用データを表示部40に出力する。表示部40は、表示制御部25から出力される2次元表示用データに応じて後身頃型紙及び前身頃型紙を表示し、3次元表示用データに応じてトルソ、前部ワイヤ、後部ワイヤ、リング、並びに後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を表示する。
図19は、表示部40に表示される表示画面の一例を示す図である。図19に示すように、表示ウインドウの右側に2次元の後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKが表示され、表示ウインドウの左側に3次元的にトルソTO、前部ワイヤFW、後部ワイヤRW、リングRG、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKが表示される。
図20は、表示部40に表示される表示画面の他の例を示す図である。図20では、表示ウインドウの右側に2次元の後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKが表示され、前部ワイヤFW、後部ワイヤRW及びリングRGの表示を省略し、表示ウインドウの左側に3次元的にトルソTO及び前身頃型紙FK(後身頃型紙BKも表示状態にしているが、図20では見えない)のみを表示している。
このように、2次元の後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKを表示するとともに、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKを組み立てた状態を種々の表示状態で表示することができるので、重力の作用によってトルソTOの表面形状に自然にフィットした組立状態で後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKを3次元的に且つ高精度に表示することができ、トワレチャックをシミュレーションにより容易に行うことができる。また、図19に示すように、トルソTOと後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKとの間に形成されるゆとり量も一目で把握することができる。
次に、本実施の形態において実行される他の処理について説明する。以下に説明する各処理は、各処理ごとに作成された所定のプログラム等をCPU3が実行することにより実現される。なお、以下の各処理は、後述する第2の実施の形態においても同様に適用可能である。
まず、ダーツ位置の変更処理について説明する。この処理では、3次元の型紙上でのダーツ位置の移動に応じて2次元の型紙上でのダーツ位置を自動的に移動する。具体的には、3次元の型紙のダーツの周囲方向の移動量に応じて2次元の型紙のダーツが水平方向に移動され、3次元の型紙のダーツの垂直方向の移動量に応じて2次元の型紙のダーツが垂直方向に移動され、3次元の型紙上のダーツの移動が2次元の型紙上のダーツに反映される。なお、この処理では、ダーツが2次元の型紙からはみ出さないにように、ダーツの移動量を制限することが好ましい。
次に、ゆとり量の色表示処理について説明する。この処理では、3次元空間における水平断面の長さすなわち周囲長がゆとり量となるので、元の周囲長と現在の周囲長との差分を所定の色で表示することにより、ゆとり量を2次元の型紙上で視覚的に表現する。具体的には、UVマッピングと同じ原理により水平断面を2次元の型紙上に表示し、その際にゆとり量を所定の色で表示する。この処理により、ゆとり量が多すぎる部分にダーツを挿入したり、ゆとり量が多くなるように型紙を大きくすることができ、型紙作成を補助することができる。
次に、自動視点変更処理について説明する。データ変換部24により2次元の型紙上の2次元座標データを3次元的に組み立てられた型紙上の3次元座標データに変換することができるので、この処理では、2次元の型紙上でオペレータが指定した部分に対応する3次元上の部分を3次元的に型紙を表示している画面(表示ウインドウ)の中央に表示したり、逆に、データ変換部24により3次元的に組み立てられた型紙上の3次元座標データを2次元の型紙上の2次元座標データに変換することもできるので、3次元の型紙上でオペレータが指定した部分に対応する2次元上の部分を2次元で型紙を表示している画面(表示ウインドウ)の中央に表示したりする。
具体的には、カメラ視点が極座標系(θ,φ)で定義されている場合、データ変換部24により2次元の型紙上の指定された点を3次元上の点Aに変換し、この点Aのベクトルを用いて視点を移動すべき極座標データを算出し、この極座標データが表す点にカメラ視点を移動する。この処理により、オペレータの視点変更作業が軽減され、作業効率を向上することができる。
次に、3次元上でのゆとり量の調節処理について説明する。ゆとり量は2次元の型紙上の水平方向の長さから求めることができるので、この処理では、3次元上でゆとり量を調節する位置に対応する2次元の型紙上の位置における水平方向の長さやダーツ量等を調整し、3次元上で調節されたゆとり量を2次元の型紙に反映して全体のシルエットを編集する。
次に、透過マッピングによるデザインの変更処理について説明する。3次元の型紙上にペイントされテクスチャは、一般的なUVマッピングの手法により2次元の型紙上に展開することができるので、この処理では、3次元ペイントの要領で3次元の型紙上に透明テクスチャを書き込む処理を加えることによりデザインを変更する。この処理により、容易に、ネック形状をV首からU首へ変更したり、片方の肩が露出するようなデザインに変更すること等ができ、3次元オブジェクトにペインティングする感覚で型紙の形状を変更することができる。また、この処理では、型紙の幾何形状を変化させないため、高速に処理を行うことができる。
次に、3次元の型紙上にデザイン線を追加する処理について説明する。この処理では、3次元ペイントの要領で3次元の型紙上に所定のラインを引くと、2次元の型紙上に対応するラインが描画される。
次に、2次元及び3次元の型紙上の距離測定処理について説明する。この処理では、基本的には2次元の型紙又は3次元の型紙上の所定の2点間の距離を測定するが、データ変換部24により2次元の型紙上の2次元座標データを3次元の型紙上の3次元座標データに変換することができるので、一方の測定点を2次元の型紙上に設定し且つ他方の測定点を3次元の型紙上に設定した場合でも、これらの測定点間の距離を測定する。この処理により、3次元表示状態では指定しにくい測定点を2次元の型紙を用いて容易に指定することができる。また、測定された距離を表示し、表示された距離値を変更することにより測定点間の距離を変更するとともに、測定点間以外の部分は滑らかさを保持しつつ変形する。
次に、ライン修正処理について説明する。この処理では、3次元の型紙上において指定したラインが垂直方向又は水平方向に直線的になるように当該ラインを修正する。具体的には、指定されたラインが3次元空間内で直線になるような修正量を求め、この修正量を周囲方向及び垂直方向に分解した後、型紙上に修正量を反映することにより、上記のようにラインを修正することができ、デザイン作業を補助することができる。
次に、多重テクスチャマッピングによる縫い代又はワッペン等の表示処理について説明する。この処理では、ディテール表現のために複数のテクスチャを重ねてバインドし、縫い代又はワッペン等を型紙上に表示する。この処理により、2次元及び3次元の型紙上でテクスチャの移動及び回転等の操作を行うことができる。
次に、トルソの変形による衣服の形状変更処理について説明する。この処理では、型紙から構成される衣服をトルソに着せ付けた状態で、トルソのパラメータ入力によりトルソを変形させるとともに、トルソと一緒にトルソ上の配置補助ラインを変形させ、変形前にトルソに着せ付けられた衣服のシルエットを保存しながら型紙を同時に変形させる。この処理により、衣服も同時に変形することができるので、グレーディングに相当する変形作業を行うことができる。また、ボディスキャナ等を用いて3次元の人体データを入力するようにしてもよい。この場合、3次元の人体データは着衣形状でもよく、トルソ着衣シルエットが着衣状態の3次元の人体データにフィットするようにトルソの変形パラメータを最適化手法により算出する。
なお、上記の説明では、型紙として後身頃型紙及び前身頃型紙を用いたが、他の型紙を用いる場合にも、本発明を同様に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
また、上記の説明では、バストライン外包線及びヒップライン外包線をトルソの水平断面形状から作成しているが、この例に特に限定されず、他のバストライン外包線及びヒップライン外包線を用いることもできる。
図21は、バストライン外包線及びヒップライン外包線の他の例を示す模式図である。図21のバストライン外包線はバスト断面設定線BL’を基準に作成され、ヒップライン外包線はヒップ断面設定線HL’を基準に作成される。バスト断面設定線BL’及びヒップ断面設定線HL’はトルソの垂直断面形状の特徴突起点に接するように接線SL1,SL2を作成し、バストライン上の接点B1及び接点B2を通るようにバストライン外包線が作成され、接点H1及びヒップライン上の接点H2を通るようにヒップライン外包線が作成される。
このようにして作成されたバストライン外包線及びヒップライン外包線を用いることにより、人体の立体形状をより忠実に反映したリングを作成することができるので、重力の作用によってトルソの全表面形状により自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
また、上記の説明では、ワンピース、上着等の型紙を表示する場合について説明したが、ワイヤを配置する位置を変えることにより、スカート、パンツ等の型紙にも本発明を同様に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
図22はワイヤを配置する領域の他の例を示す斜視図であり、(a)はトルソを斜め前面から見た斜視図であり、(b)はトルソを側面から見た斜視図である。図22に示すように、スカート、パンツ等のように人体の下半身に身に付ける衣服では、上記のワイヤ作成処理と同様にして胴囲下部形状線となるワイヤが作成され、ウエストラインWL以下のワイヤ領域WA(図中のハッチングで示す領域)にワイヤが配置される。ワイヤ領域WAは、スカート、パンツ等のように人体の下半身に身に付ける衣服が人体に最も密着する領域であり、このワイヤ領域WAにワイヤを配置することにより、スカート、パンツ等のように人体の下半身に身に付ける衣服の型紙を重力の作用によってトルソの表面形状により自然にフィットした組立状態で3次元的に且つ高精度に表示することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態による仮想型紙表示装置について説明する。図23は、本発明の第2の実施の形態による仮想型紙表示装置の構成を示すブロック図である。図23に示す仮想型紙表示装置と図2に示す仮想型紙表示装置とで異なる点は、ワイヤの代わりに上部リングを用いるため、記憶部30がワイヤデータ記憶部34及びリングデータ記憶部35の代わりに上部リングデータ記憶部34a及びリングデータ記憶部35aを含む記憶部30bに変更されるともに、プログラム実行部20がリングデータ作成部23、データ変換部24及び表示制御部25の代わりにリングデータ作成部23a、データ変換部24a及び表示制御部25aを含むプログラム実行部20bに変更され、その他の点は、図2に示す仮想型紙表示装置と同様であるので、同一部分には同一符号を付して以下詳細な説明を省略する。なお、図23に示す仮想型紙表示装置も、図1に示す仮想型紙表示装置を用いて以下に説明する仮想型紙表示プログラム等を実行することにより図2に示す仮想型紙表示装置と同様にして実現することができる。
上部リングデータ記憶部34aは、トルソのバストライン(胸囲線)から上の所定領域の表面形状に対応した上部リングデータをトルソごとに予め記憶している。なお、上部リングデータ記憶部34aは、上部リングデータだけでなく、他のリングデータを記憶するようにしてもよい。
リングデータ作成部23aは、バストラインから下の各リングを第1の実施の形態と同様にして作成するとともに、上部リングデータ記憶部34aに記憶されている上部リングを基にリングの外周長が布量算出部22によって算出された布量となるようにトルソのバストラインから上に配置される各リングを表すリングデータを順次作成し、作成した各リングデータをリングデータ記憶部35aに記憶させる。
データ変換部24aは、2次元座標データ記憶部32から後身頃型紙及び前身頃型紙の各特徴点の2次元座標データ、縫製情報記憶部33から縫製情報及びリングデータ記憶部35からリングデータを読み出し、後中心線を基準にして後身頃型紙及び前身頃型紙がリングに沿って配置されるように、後身頃型紙上の後中心線から後身頃型紙及び前身頃型紙上の特徴点までの水平距離を基に2次元座標データを3次元座標データに変換する。
また、データ変換部24aは、変換された3次元座標データから後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を表すポリゴンデータを作成し、作成したポリゴンデータを型紙の3次元座標データとして3次元座標データ記憶部36に記憶させる。また、データ変換部24aは、上記の各処理と逆の処理を行うことにより3次元座標データを2次元座標データに変換する。
表示制御部25aは、第1の実施の形態と同様に、型紙の2次元表示用データ並びにトルソ及び型紙の3次元表示用データを作成し、作成した2次元表示用データ及び3次元表示用データを表示部40に出力するとともに、リングデータ記憶部35aに記憶されているリングデータを用いて3次元空間において各リングを仮想的に表示するための3次元表示用データを作成し、作成した各リングの3次元表示用データを表示部40に出力する。
本実施の形態において、メッシュ作成部21、型紙データ記憶部31及び2次元座標データ記憶部32が取得手段に相当し、データ変換部24a、縫製情報記憶部33及び3次元座標データ記憶部36が変換手段に相当し、表示制御部25、トルソ形状データ記憶部37及び表示部40が表示手段に相当し、布量算出部22、リングデータ作成部23a、上部リングデータ記憶部34a及びリングデータ記憶部35aが外包形状線作成手段に相当する。
次に、上部リングデータ記憶部34aに予め記憶されている上部リングデータの作成方法について説明する。本実施の形態では、上部リングデータは既に作成されたものを上部リングデータ記憶部34aに記憶させているが、後述する上部リングデータ作成処理を実行するための上部リングデータ作成プログラム等を外部記憶装置5にインストールして当該プログラム等をCPU3によって実行することによっても、上部リングデータを作成することができる。図24は、図1に示す仮想型紙表示装置を用いて上部リングデータ作成処理を実行する場合の主要機能ブロック図である。
図24に示すように、仮想型紙表示装置は、機能的には、操作部10、プログラム実行部20c及び記憶部30cを備える。プログラム実行部20cは、筒状布変形部41、特徴突起点作成部42及び上部リングデータ作成部43を含む。記憶部30cは、上部リングデータ記憶部34a及びトルソ形状データ記憶部37を含む。
プログラム実行部20cは、CPU3等から構成され、CPU3等が外部記憶装置5に記憶されている上部リングデータ作成プログラム等を実行することによって、筒状布変形部41、特徴突起点作成部42及び上部リングデータ作成部43として機能する。記憶部30cは、外部記憶装置5等から構成され、上部リングデータ記憶部34a及びトルソ形状データ記憶部37として機能する。
筒状布変形部41は、トルソ形状データ記憶部37からトルソの表面形状の特徴突起点となるバストトップ点、肩甲骨突起点及び肩点等を表すデータを読み出し、読み出したデータからバストトップ点、肩甲骨突起点及び肩点等に接する外包形状を有する筒状布を仮想的に作成する。また、筒状布変形部26は、トルソの前面ではバストラインから上に位置する筒状布をトルソ側へ傾斜させ、後面では肩甲骨突起点から上に位置する筒状布をトルソ側へ傾斜させ、筒状布を変形させる。
特徴突起点作成部42は、変形後の筒状布の形状から上部リングの形状を規定する新たな特徴突起点を作成する。
上部リングデータ作成部43は、上記した人体の特徴突起点となる、バストトップ点、肩甲骨突起点及び肩点等の特徴突起点と新たに作成された特徴突起点とを用いて、バストラインから前首点までの上部リングが該当する各特徴突起点に通るように、第1の実施の形態のリングと同様にして、バストラインから前首点までの上部リングデータを所定間隔で作成する。また、上部リングデータ作成部43は、前首点位置における上部リングと同様の形状を有するように、前首点から上の上部リングデータを所定間隔で作成する。上部リングデータ作成部43は、作成した上部リングデータを上部リングデータ記憶部34aに記憶させる。
ここで、本実施形態に用いられる上部リングの形状とトルソの形状との関係について詳細に説明する。図25は、トルソと前身頃型紙及び後身頃型紙との配置関係を説明するための斜視図であり、図26は人体の方位を説明するためのトルソの上面図である。
図25に示すように、トルソTOの3次元形状表面の上に配置される身頃型紙図形の要素として、前身頃型紙FK及び後身頃型紙BKは、肩線SLに沿って縫製されることを前提としている型紙であり、矩形原型肩線の両端に衿ぐりNL、袖ぐりAHの形状が現れていることを前提とする。また、図26に示すように、トルソ(人体)の矢状断面(奥行き断面)で検証すると明らかなように、人体の前面の特徴突起点はバストトップ点BTであり、後面の特徴突起点は肩甲骨突起点BPとヒップトップ点HTであり、これらの特徴突起点を用いて上部リングが作成される。ここで、肩甲骨突起点BPはトルソTOのバストトップから上の後面において最も突起している最突起部である。
図27は、トルソと前身頃型紙及び後身頃型紙との配置関係を説明するための側面図である。図27に示すように、衣服を構成する布すなわち前身頃型紙FK及び後身頃型紙BKが肩線SLからトルソTOの前面及び後面に振り分けられると、トルソTOの前面において、布すなわち前身頃型紙FKは、前首点FNからバストトップ点BTまではトルソTOに沿うように配置され、バストトップ点BTから垂直にウエストラインWLの周辺を経てヒップラインHLの周辺までトルソTOと距離を隔てて配置される。一方、トルソTOの後面においては、後身頃型紙BKは、肩から肩甲骨突起点BPまでトルソTOに沿うように配置され、肩甲骨突起点BPから垂直にヒップラインHLの周辺までトルソTOと距離を隔てて配置される。このため、上部リングは、前首点FN(肩線SL、横首点TN及び後首点を含む)からバストラインBLまでの間UAにおいて作成され、バストラインBLからヒップラインHLを経て下部には、第1の実施形態において既述したリングが使用される。
次に、上記した上部リングの形状とトルソの形状との関係に基づいて上部リングデータを作成する上部リングデータ作成処理について詳細に説明する。図28は、図24に示す仮想型紙表示装置による上部リングデータ作成処理を説明するためのフローチャートである。
まず、オペレータが操作部10を操作して上部リングデータ作成処理の実行を指示すると、図28に示すステップS21において、筒状布変形部41は、トルソ形状データ記憶部37からトルソの表面形状の特徴突起点となるバストトップ点、肩甲骨突起点及び肩点を表すデータを読み出し、読み出したデータからバストトップ点、肩甲骨突起点及び肩点に接する外包形状を有する筒状布をポリゴンを用いて仮想的に作成する。
図29は筒状布を用いてトルソを包んだ状態を示す模式図であり、図30は図29に示すトルソ上の特徴突起点を示す模式図である。図29に示すように、筒状布変形部41は、身幅分の布を用いてトルソTOを筒状に包み、筒状布TCを作成する。図30に示すように、筒状布TCは、肩点SP、バストトップ点BT、肩甲骨突起点BPに接する外包形状を有する。このとき、肩甲骨突起点BPとバストラインBLとは同一水平断面上にはないので、トルソTOの前面における外包線は、バストラインBLの外包線に一致するが、背面ではバストラインBLの外包線に一致せず、肩甲骨突起点BPの外包線に一致する。
次に、ステップS22において、筒状布変形部26は、トルソの前面ではバストラインから上に位置する筒状布をトルソ側へ傾斜させ、後面では肩甲骨突起点から上に位置する筒状布をトルソ側へ傾斜させ、筒状布を変形させる。
図31は筒状布の傾斜方法を説明するための模式図であり、図32はバストライン及び前首点付近の布配置断面の形状を示す模式図である。衣服は肩線SLにおいて縫製されることを前提としているので、筒状布変形部26は、図31に示すように、トルソTOの前面ではバストトップ点BTすなわちバストラインから上に位置する筒状布TCを初期位置FIからトルソTO側へ傾斜させ、後面では肩甲骨突起点BPから上に位置する筒状布TCを初期位置BIからトルソTO側へ傾斜させる。
このようにして、筒状布TCを傾斜させると、図32に示すように、バストライン上の布配置断面はC1となり、前首点付近の布配置断面はC2となる。このように、同時に最初に円弧だったものが直線に変形されていくので、このときの距離の差分は、袖ぐり部分から外側へ設定され、両布配置断面C1及びC2ともに同線長となる。
次に、ステップS23において、特徴突起点作成部42は、変形後の筒状布の形状から上部リングの形状を規定する新たな特徴突起点を作成する。図33は新たに設定される特徴突起点を説明するための模式図である。バストライン水平断面における形状を固定し、筒状布TCを傾斜させると、図33に示すように、前面の筒状布は前首点水平断面SC上の特徴突起点NPに接する。特徴突起点作成部42は、トルソTOの前面に位置する前首点FNを通る水平線をとり、この水平線から前首点水平断面SCを設定し、筒状布TCが接する前首点水平断面SC上の点を新たな特徴突起点NPとして設定する。このときの布の水平断面形状が前首点FNからバストラインBLまでの間に作成される上部リングの形状の根拠となる。特徴突起点作成部42は、バストトップ点BTから特徴突起点NP及び前首点FNまでを繋いだ特徴線L11,L12上に、上部リングの形状を規定する新たな特徴突起点NPを設定する。なお、前首点FNは、人体の姿勢によっては人体上の凹部となるため、この場合、前首点、特徴線L12上の点を特徴突起点として用いなくてもよい。
次に、ステップS24において、上部リングデータ作成部43は、バストトップ点、前首点、肩甲骨突起点、後首点及び肩点等の特徴突起点と新たに作成された特徴突起点とを用いて、バストラインから前首点までの上部リングが各特徴突起点に接するように、バストラインから前首点までの上部リングデータを所定間隔で作成する。また、上部リングデータ作成部43は、前首点から上の上部リングが肩点を通る上部リングと同じ形状になるように、前首点から上の上部リングデータを所定間隔で作成する。
図34及び図35は、新たに設定された特徴突起点を通る上部リングの正面図及び側面図である。特徴突起点作成部42は、図34及び図35に示すように、トルソの前面において、前首点水平断面上の前首点FN及び特徴突起点NP間の最短距離すなわち外包線を求め、この外包線から作成される複数の円弧と各円弧の間を連結する直線によって構成されるリングが上部リングURとなるように上部リングデータを作成する。次に、特徴突起点作成部42は、上部リングを高精度に生成するために、特徴線L11,L12上の各特徴突起点NP間を結ぶ外包線が上部リングURとなるように所定間隔で上記と同様に上部リングデータを作成する。このようにして作成された上部リングURは、バストラインとヒップラインとの間のリングと同様に均等な間隔を有し、また、トルソTOの表面と接しない部分を有する。
図36は、肩甲骨突起水平断面の上部リングを示す背面図である。特徴突起点作成部42は、図36に示すように、トルソTOの後面において、肩甲骨突起点BPを通るように肩甲骨突起点BP間の最短距離すなわち外包線を求め、この外包線から作成される複数の円弧と各円弧の間を連結する直線によって構成されるリングが上部リングURとなるように上部リングデータを作成する。次に、特徴突起点作成部42は、図35に示すように、肩甲骨突起点BPから前首点水平断面まで首傾斜に順ずる角度で上部リングURがトルソTOに沿うように上部リングデータを上記と同様にして作成する。
また、特徴突起点作成部42は、図35に示す肩甲骨突起水平断面からバスト水平断面までの後面領域BRにおいて、上記の肩甲骨突起点BPを通る上部リングを用いて上部リングデータを作成する。このとき、トルソTOの側面においては、前面側の上部リングと後面側の上部リングとが滑らかに接続されるように、モーフィング等の公知の補完処理を行う。
さらに、特徴突起点作成部42は、肩点SP乃至前首点FNから上の首等を被う布に対して用いられる上部リングが前首点FNを通る上部リングと同一の形状になるように上部リングデータを作成する。横首点TN及び後首点BN付近にはこの上部リングが用いられる。このようにして作成された上部リングの断面距離は、図30に示すトルソTOの前面及び後面の各特徴突起点及び肩点を包んだ状態を最大値とし、最小値はバスト水平断面の外包線長とする。
次に、ステップS25において、上部リングデータ作成部43は、作成した上部リングデータを上部リングデータ記憶部34aに記憶させる。
上記のように、本実施の形態では、現実の衣服製作において行われている作業と同様に、身幅分の布を筒状に配置した後、バストラインから上の部分に対して布を傾斜させてトルソの各特徴突起点を通るように外包線を設定し、人体の特徴突起点及び新たに設定した特徴突起点から各上部リングの形状を決定し、上部リングデータを生成する。
したがって、生成された上部リングをワイヤの代わりに用い、図9に示す三次元変換処理のうちステップS16及びS17を省略してステップS15及びS18において上部リングを含めてリングを処理することにより、第1の実施形態と同様に2次元の後身頃型紙及び前身頃型紙を表示することができるとともに、後身頃型紙及び前身頃型紙を組み立てた状態を三次元的に表示することができる。
図37は図23に示す仮想型紙表示装置の表示部に表示される表示画面の一例を示す図であり、図38は図23に示す仮想型紙表示装置の表示部に表示される表示画面において前身頃型紙及び後身頃型紙が三次元的に表示される他の例を示す図である。なお、図37及び図38では、肩線で後身頃型紙及び前身頃型紙が縫製される前の状態が示されているが、肩線で縫製された状態は、公知の3次元画像処理方法等により実現することができ、その場合は、図20と同様の表示画面が表示される。
図37に示すように、表示ウインドウの右側に2次元の後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKが表示され、表示ウインドウの左側に3次元的にトルソTO、後身頃型紙BK及び前身頃型紙FKが表示される。このとき、各上部リングの長さは、身幅分と同一であり、筒状の布をトルソTOに沿って傾斜させたとき、トルソ側部分、袖ぐり部分にあたる布は、トルソから大きく離れて配置され、図38の(a)及び(b)に示すようになる。このようにして、トルソ(人体)の各水平断面上の各特徴突起点を通り且つ長さを一定に補完する外包曲線から各上部リングが作成され、この上部リングに沿って前身頃型紙及び後身頃型紙が三次元的に配置されて表示される。
なお、上記の説明では、衣服の型紙について説明したが、所定の立体物を包むための2次元的な型紙であれば、靴、車のシートカバー等の他の型紙にも、本発明を同様に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
産業上の利用可能性
上記のように、本発明によれば、立体物の表面形状に対応した形状線に沿って型紙が配置されるように型紙上の基準線から特徴点までの平面距離を基に2次元座標データが立体物上の3次元座標データに変換されて型紙が立体物の表面に仮想的に配置されて表示されるので、型紙が立体物の表面形状に沿った状態となり、重力の作用によって立体物の表面形状に自然にフィットした組立状態で型紙を3次元的に且つ高精度に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施の形態による仮想型紙表示装置の構成を示すブロック図である。
図2は、図1に示す仮想型紙表示装置の主要機能ブロック図である。
図3は、図1に示す仮想型紙表示装置を用いてワイヤデータ作成処理を実行する場合の主要機能ブロック図である。
図4は、図3に示す仮想型紙表示装置による前部ワイヤデータ作成処理を説明するためのフローチャートである。
図5は、トルソの表面形状を表す複数のポリゴンを示す模式図である。
図6は、メッシュを平面上に順次展開していく状態を示す模式図である。
図7は、平面上に展開されたメッシュに対して設定された水平線を示す模式図である。
図8は、トルソ上に設定された前部ワイヤを示す模式図である。
図9は、図2に示す仮想型紙表示装置による三次元変換処理を説明するためのフローチャートである。
図10は、後身頃型紙及び前身頃型紙の外形を表す模式図である。
図11は、後身頃型紙及び前身頃型紙にメッシュを生成させた状態を示す模式図である。
図12は、後身頃型紙及び前身頃型紙の変形状態を示す模式図である。
図13は、トルソの前面斜視図である。
図14は、トルソの後面斜視図である。
図15は、バストラインにおけるバストライン外包線の作成方法を説明するための模式図である。
図16は、トルソに対する前部ワイヤ、後部ワイヤ及びリングの配置を示す模式図である。
図17は、前部ワイヤデータ及び後部ワイヤデータを用いたデータ変換処理の一例を説明するための模式図である。
図18は、リングを用いたデータ変換処理の一例を説明するための模式図である。
図19は、図2に示す表示部に表示される表示画面の一例を示す図である。
図20は、図2に示す表示部に表示される表示画面の他の例を示す図である。
図21は、バストライン外包線及びヒップライン外包線の他の例を示す模式図である。
図22は、ワイヤを配置する領域の他の例を示す斜視図である。
図23は、本発明の第2の実施の形態による仮想型紙表示装置の構成を示すブロック図である。
図24は、図1に示す仮想型紙表示装置を用いて上部リングデータ作成処理を実行する場合の主要機能ブロック図である。
図25は、トルソと前身頃型紙及び後身頃型紙との配置関係を説明するための斜視図である。
図26は、人体の方位を説明するためのトルソの上面図である。
図27は、トルソと前身頃型紙及び後身頃型紙との配置関係を説明するための側面図である。
図28は、図24に示す仮想型紙表示装置による上部リングデータ作成処理を説明するためのフローチャートである。
図29は、筒状布を用いてトルソを包んだ状態を示す模式図である。
図30は、図29に示すトルソ上の特徴突起点を示す模式図である。
図31は、筒状布の傾斜方法を説明するための模式図である。
図32は、バストライン及び前首点付近の布配置断面の形状を示す模式図である。
図33は、新たに設定される特徴突起点を説明するための模式図である。
図34は、新たに設定された特徴突起点を通る上部リングの正面図である。
図35は、新たに設定された特徴突起点を通る上部リングの側面図である。
図36は、肩甲骨突起水平断面の上部リングを示す背面図である。
図37は、図23に示す仮想型紙表示装置の表示部に表示される表示画面の一例を示す図である。
図38は、図23に示す仮想型紙表示装置の表示部に表示される表示画面において前身頃型紙及び後身頃型紙が三次元的に表示される他の例を示す図である。
Claims (11)
- 平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示する仮想型紙表示装置であって、
前記型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データを取得する取得手段と、
前記立体物の表面形状に対応した形状線に沿って前記型紙が配置されるように前記型紙上の基準線から前記特徴点までの平面距離を基に前記2次元座標データを前記立体物上の3次元座標データに変換する変換手段と、
前記3次元座標データを用いて前記型紙を前記立体物の表面に仮想的に配置して表示する表示手段とを備えることを特徴とする仮想型紙表示装置。 - 前記型紙は、衣服を構成する複数の型紙を含み、
前記立体物は、前記衣服を着せ付けるための人台を含み、
前記形状線は、前記人台の胸囲位置から上部の所定領域の表面形状に対応する上部形状線を含み、
前記変換手段は、前記上部形状線に沿って前記型紙が配置されるように前記型紙上の基準線から前記特徴点までの水平距離を基に前記2次元座標データを前記人台上の3次元座標データに変換することを特徴とする請求項1記載の仮想型紙表示装置。 - 前記型紙は、前身頃型紙と後身頃型紙とを含み、
前記上部形状線は、前記人台の胸囲位置から上部の所定領域の前面形状に対応する前部形状線と、前記人台の胸囲位置から上部の所定領域の後面形状に対応する後部形状線とを含み、
前記前部形状線は、平面に展開した場合に前記前身頃型紙の水平線に平行な形状を有し、
前記後部形状線は、平面に展開した場合に前記後身頃型紙の水平線に平行な形状を有し、
前記変換手段は、前記前部形状線に沿って前記前身頃型紙が配置されるように前記前身頃型紙上の前基準線から前記前身頃型紙上の特徴点までの水平距離を基に前記前身頃型紙の2次元座標データを前記人台上の3次元座標データに変換するとともに、前記後部形状線に沿って前記後身頃型紙が配置されるように前記後身頃型紙上の後基準線から前記後身頃型紙上の特徴点までの水平距離を基に前記後身頃型紙の2次元座標データを前記人台上の3次元座標データに変換することを特徴とする請求項2記載の仮想型紙表示装置。 - 前記人台の胸囲位置を通る胸囲外包線を基に前記人台の胸囲位置から下に位置する中間形状線を作成する中間形状線作成手段をさらに備え、
前記変換手段は、前記上部形状線及び前記中間形状線に沿って前記型紙が配置されるように前記水平距離を基に前記2次元座標データを前記人台上の3次元座標データに変換することを特徴とする請求項2又は3記載の仮想型紙表示装置。 - 前記人台の腰囲位置を通る腰囲外包線を基に前記人台の胴囲位置から下に位置する下部形状線を作成する下部形状線作成手段をさらに備え、
前記中間形状線作成手段は、前記胸囲外包線を基に前記人台の胸囲位置と胴囲位置との間に位置する中間形状線を作成し、
前記変換手段は、前記上部形状線、前記中間形状線及び前記下部形状線に沿って前記型紙が配置されるように前記水平距離を基に前記2次元座標データを前記人台上の3次元座標データに変換することを特徴とする請求項4記載の仮想型紙表示装置。 - 前記型紙は、衣服を構成する複数の型紙を含み、
前記立体物は、前記衣服を着せ付けるための人台を含み、
前記形状線は、前記人台の胴囲位置から下部の所定領域の表面形状に対応する胴囲下部形状線を含み、
前記変換手段は、前記胴囲下部形状線に沿って前記型紙が配置されるように前記型紙上の基準線から前記特徴点までの水平距離を基に前記2次元座標データを前記人台上の3次元座標データに変換することを特徴とする請求項1記載の仮想型紙表示装置。 - 前記型紙は、衣服を構成する複数の型紙を含み、
前記立体物は、前記衣服を着せ付けるための人台を含み、
前記形状線として前記人台の表面形状における特徴突起点を通る外包線を基に外包形状線を作成する外包形状線作成手段をさらに備え、
前記変換手段は、前記外包形状線に沿って前記型紙が配置されるように前記水平距離を基に前記2次元座標データを前記人台上の3次元座標データに変換することを特徴とする請求項1記載の仮想型紙表示装置。 - 前記外包形状線は、前記特徴突起点を通る円弧部及び直線部から構成され、
前記外包形状線作成手段は、前記水平距離に応じて前記直線部の長さを変更して前記外包形状線の周長を変更することを特徴とする請求項7記載の仮想型紙表示装置。 - コンピュータを用いて平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示する仮想型紙表示方法であって、
前記コンピュータが前記型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データを取得するステップと、
前記コンピュータが前記立体物の表面形状に対応した形状線に沿って前記型紙が配置されるように前記型紙上の基準線から前記特徴点までの平面距離を基に前記2次元座標データを前記立体物上の3次元座標データに変換するステップと、
前記コンピュータが前記3次元座標データを用いて前記型紙を前記立体物の表面に仮想的に配置して表示するステップとを含むことを特徴とする仮想型紙表示方法。 - 平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示するための仮想型紙表示プログラムであって、
前記型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データを取得する取得手段、
前記立体物の表面形状に対応した形状線に沿って前記型紙が配置されるように前記型紙上の基準線から前記特徴点までの平面距離を基に前記2次元座標データを前記立体物上の3次元座標データに変換する変換手段、
前記3次元座標データを用いて前記型紙を前記立体物の表面に仮想的に配置して表示する表示手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする仮想型紙表示プログラム。 - 平面状の型紙を立体物の表面形状に適合するように仮想的に配置して表示するための仮想型紙表示プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記型紙上の複数の特徴点を表す2次元座標データを取得する取得手段、
前記立体物の表面形状に対応した形状線に沿って前記型紙が配置されるように前記型紙上の基準線から前記特徴点までの平面距離を基に前記2次元座標データを前記立体物上の3次元座標データに変換する変換手段、
前記3次元座標データを用いて前記型紙を前記立体物の表面に仮想的に配置して表示する表示手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする仮想型紙表示プログラムを記録した記録媒体。
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