JP2683860B2 - 補整下着の製作方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は下着の製作方法、特に着
用者の注文に応じ着用者の体形に適応し、かつ理想的な
バランスの良い着用状態を与える補整下着の製作方法に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ブラジャー，ボディスーツなどの補整下
着類は通常、多くのサイズのものがあり、夫々、着用者
は自己のサイズに合致していると思われるものを利用し
ているが、補整下着のサイズは基本身体寸法のトップバ
スト周径、アンダーバスト周径、ウエスト周径、ヒップ
周径と云った限られた部位の周径でのみ表示されてお
り、各個人毎に補整効果、身体への適合性に優れたもの
を入手することは困難である。そこで、近時、下着の高
級化志向にもとづいて自己の身体に適合したものを注文
製作することが行われて来た。

【０００３】ところが、従来の注文製作では特公平４−
２３００１号公報に記載される洋服類の注文製作に見ら
れるように、着用者を採寸し、この採寸値にもとづき、
予め定めた標準等級品の数値と比較して標準等級品を規
定しているパターンポイントの一部についてパターンポ
イントを変位させ、この変位されたパターンポイントの
蓄積された相対的位置にもとづいて裁断し補整すること
が一般的である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如き注文製作による場合は着用者の体形に合致するとは
云え、着用者には種々の体形があり、そのままの体形で
は必ずしも着用者によって理想的なバランスの良い着用
体形を形成しているとは云えない。即ち、人体は加齢に
従い乳房部の下垂や、腰部，腹部への脂肪沈着が進み、
バランスのくずれた体形となる。

【０００５】本発明はかかる実状に鑑み、着用者に該着
用者からみてあるべき理想的体形の概念を組み入れるこ
とにより単に体形に合致するに止まらず、ありたいと願
う理想的バランス体形をかもし出す補整を予めコンピュ
ーターに蓄積されたデータと照合し、該着用者の肉質と
体形に制約される補整限度を超えない範囲で加え、より
下着のファッション化と高級志向傾向に即応せしめるこ
とを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】即ち、上記目的に適合す
る本発明の特徴は、予め、種々の体形に対応する理想的
な着用状態の三次元形状及び任意部位の寸法データをコ
ンピューターに記憶させて蓄積しておき、被採寸者がそ
の体形に合わせて下着を製作するにあたり、被採寸者の
体形の全身、全周を一度に同時計測可能な非接触式の三
次元体形状測定装置を用いて計測し、この三次元体形状
測定装置により得られたＸＹＺ座標値からグラフィック
機能を持つコンピューターによってその表示装置に前記
被採寸者の二次元及び三次元体形状と、任意部位の寸法
を表示し、ついで、この表示を予めコンピューターに記
憶させた前記データとの自動的に比較照合し、補整演算
により被採寸者が特定の補整下着を着用した場合の理想
的なバランスの良い二次元及び三次元体形状と任意部位
の寸法を得て、これを上記表示装置の同一画面上に比較
シミュレーション表示し、この表示された被採寸者の補
整下着の採寸データにもとづいて特定の補整下着を製作
することにある。

【０００７】また本発明は上記比較シミュレーション表
示された被採寸者の補整体形の採寸データと、更に該着
用者が好む緊迫度と体幹を覆う主体となる生地の伸長
率、伸長回復性のデータに基く修正を加えて、特定の補
整下着の型紙データを記憶するコンピューターに入力し
て自動的に被採寸者の型紙データを得て、プロッターに
より製図出力し、これから部品を裁断するか、又はその
データをコンピューター制御された自動裁断機に入力し
て部品を裁断し、のち、縫製工程を経て補整された下着
に作成することも特徴としている。

【０００８】ここで、上記本発明における被採寸者の体
形の全身、全周を一度に同時計測可能な非接触式の三次
元体形状測定装置としては特開昭６４−３４３２９号公
報、特開平１−１２１７０７号公報などに開示されたも
のがあり、通常、これら装置が使用される。しかし、更
に同様な機能をもつ、他の三次元体形状測定装置も使用
することができる。

【０００９】

【作用】上記本発明方法により下着を製作することは特
に特定の補整下着（着用者に合わせて補整した着用者の
注文による下着）を着用した場合の補整されたバランス
の良い着用状態体形をその製作のデータとしてとり入れ
たことである。即ち、三次元体形状測定装置により得ら
れた被採寸者の二次元及び三次元体形状と任意部位の寸
法をコンピューターの表示装置に表示した後、予めコン
ピューターに記憶させたデータとの自動的な比較照合、
補整演算により被採寸者が特定の補整下着を着用した場
合のバランスのとれた理想の二次元及び三次元体形状と
その任意部位の寸法とを表示装置の同一画面上に比較シ
ミュレーション表示することにより当該被採寸者の理想
的着用体形の寸法データが得られ、従って、これにもと
づいて型紙データを得ることによりバランスのとれた理
想的着用体形をかもし出す補整下着の製作を可能とす
る。

【００１０】また型紙データをプロッターにより製図出
力することにより、これをフロッピーで保管し、又は移
送すれば以後、繰り返し使用し、又は遠隔地でも当該補
整下着の製作が容易となる。

【００１１】

【実施例】以下、更に添付図面にもとづき本発明の実施
例を説明する。図１は本発明に係る製作方法の工程を示
すフローチャートであり、同図より明らかなように本発
明の下着製作工程は被採寸者、即ち、注文製作により下
着を着用しようとする顧客の三次元体形状の測定より始
まる。

【００１２】三次元体形状の測定は前述の如く、各種測
定装置の使用が可能であるが、その１例として既知の計
測機を図２に示す。即ち、この計測機は所定の軸（Ｚ方
向の軸）に垂直な平面（ＸＹ平面）に配設された距離計
測リング２と、光源及び半導体位置検出器を夫々含み、
所定の軸までの距離がほぼ同一となるように距離計測リ
ング２の内側面にとりつけられた複数の検出ヘッド１
と、距離計測リング２を所定の軸方向に案内するガイド
ロッド３と、距離計測リング２をガイドロッド３に沿っ
て移動させる駆動機構（図示せず）と、複数の検出ヘッ
ド１の夫々の検出信号にもとづいて被採寸者（人体）Ｍ
までの距離を夫々算出し、当該被採寸者の三次元体形状
を計測する計測手段（図示せず）を備えて構成されてい
る。そして、距離計測リング２の内側面に設けられた複
数の検出ヘッド１は被採寸者Ｍまでの距離に対応する検
出信号を夫々出力する。このとき、検出ヘッド１はガイ
ドロッド３に沿って距離計測リングと共に移動するので
被採寸者Ｍの三次元体形状に応じた検出信号が得られる
ことになり、従ってこの検出信号にもとづいて被採寸者
Ｍの三次元体形状が計測される。

【００１３】かくして、三次元体形状計測機から被採寸
者の三次元体形状がＸＹＺ座標値によって得られると、
この座標値からグラフイック機能をもつコンピューター
によってその表示装置に前記被採寸者の二次元及び三次
元体形状とその任意部位の寸法が表示される。そこで、
この表示された被採寸者の二次元及び三次元体形状と任
意部位の寸法を予め、コンピューターに記憶させて蓄積
してある種々の体形に対応する理想の着用状態の三次元
体形状及び前記任意部位に対応する任意部位の寸法デー
タと自動的に比較照合し、補整演算により補整して、被
採寸者が着用した場合の理想体形状と、その任意部位の
寸法とをコンピューターの表示装置の同一画面上に比較
シミュレーション表示する。

【００１４】従って、この表示された被採寸者の補整下
着の採寸データにもとづいて以後の部品の裁断、縫製を
行なうことにより注文製作した顧客の注文に見合い、か
つ着用時に理想体形をかもし出す補整下着を得ることが
できる。

【００１５】なお、前記比較シミュレーション表示され
た採寸データを、特定の補整下着の型紙データを記憶す
るコンピューターに入力して自動的に被採寸者の型紙デ
ータとして作成し、プロッターにより製図出力すること
により、これから下着部品を裁断することもでき、ある
いは、そのデータを更にコンピューター制御された自動
裁断機に入力して部品を裁断することもできる。とりわ
け、コンピューター制御された自動裁断機は既知であ
り、これに入力して部品を裁断することは頗る有利であ
る。

【００１６】また上記データをフロッピーに収納するこ
とによりその使用範囲が更に拡大される。そして、上記
裁断された各部品は前記同様縫製工程に送られ、最終的
に補整された下着に製作される。なお、データを収納し
たフロッピーを送付することにより遠隔地においてもそ
のデータを読み取り同様な下着を作製することが可能で
ある。

【００１７】以上のようにして製作された補整下着は被
採寸者の単に体形そのものに合致するに止まらず、被採
寸者が、その理想的なバランス体形をもって着用するこ
とができ、補整効果が高められる。

【００１８】

【発明の効果】本発明製作方法は前述の如く三次元体形
状測定装置により得られた被採寸者の二次元及び三次元
体形状と任意部位の寸法を予めコンピューターに記憶さ
せたデータと自動的に比較照合し、補整演算を行って被
採寸者が着用した場合のバランスの良い理想の二次元及
び三次元体形状と任意部位の寸法で表示装置の同一画面
上に比較シミュレーションで表示し、これにもとづいて
補整下着を作製する方法であり、単に標準等級品と対比
して該標準等級品の一部のパターンポイントを変位修正
し、その蓄積により被採寸者の体形に合わせるのとは異
なり、被採寸者の二次元及び三次元体形状と任意部位の
寸法を予めコンピューターに記憶蓄積させたデータと自
動的な比較照合、補整演算をすることによって被採寸者
が当該下着を着用した場合の最もファショナブルなある
べき理想的バランス体形ならびに任意部位の寸法をシミ
ュレーション表示し、これにもとづき補整下着を作製す
るため、単に被採寸者の体形に合致するに止まらず、被
採寸者が下着を着用したとき、理想的な美体形状がかも
し出され、体形状の表現をより美しく、しかも何ら不自
然な窮屈さを生じることなく極めて快適に着用し得る補
整下着を製作することができる。

【００１９】また、上述シミュレーション表示されたデ
ータをコンピューターに入力して型紙データを得て、こ
れにより製図出力したものから部品を裁断し、あるいは
更にこれをコンピューター制御をもつ自動裁断機に入力
して部品を裁断することにより、上記着用したときある
べき体形状及び任意部位の寸法をもつ補整下着を繰り返
し作製することができ、更に上記データをフロッピーに
収納することも容易で遠隔地においても同様な着用に快
適な補整下着を作成することができる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る製作方法の工程を出すフローチャ
ートである。

【図２】本発明製作方法で用いる三次元体形状測定装置
の１例を示す斜視概要図である。

【符号の説明】

１ 検出ヘッド ２ 距離計測リング ３ ガイドロッド Ｍ 被採寸者

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−40804（ＪＰ，Ａ) 情報処理学会研究報告 ＣＧ−46 95 −102頁 堤江美子「人体形状のモデル 化・類型化とその被服設計への応用」 設計・製図 24巻 10号 16−21頁 峯村吉泰ほか 「体形状の測定値に基づ く洋服型紙の対話型作成」 第３回ヒューマンインタフェースシン ポジウム論文集 183−188頁 広田源太 郎 他「衣服ＣＡＤのための人体３次元 形状のモデリング」

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被採寸者の体形の全身、全周を一度に同
   時計測可能な非接触式の三次元体形状測定装置を用いて
   計測し、この計測値にもとづいて被採寸者の体形に適応
   する下着を註文製作する方法であって、予め種々の体形
   に対応する理想的な着用状態の三次元体形状及び任意部
   位の寸法データをコンピューターに記憶させて蓄積して
   おき、上記三次元体形状測定装置により得られたＸＹＺ
   座標値からグラフィック機能をもつコンピューターによ
   って前記被採寸者の二次元及び三次元体形状と、任意部
   位の寸法をその表示装置に表示し、ついでこの表示され
   た被採寸者の二次元及び三次元体形状と任意部位の寸法
   を、前記予めコンピューターに記憶、蓄積させておいた
   種々の体形に対応する理想着用状態の寸法データと自動
   的に比較照合し、補整演算により補整して、被採寸者が
   特定の補整下着を着用した場合のバランス良く補整され
   た二次元及び三次元体形状と任意部位の寸法を得て、こ
   れを上記表示装置の同一画面上に比較シミュレーション
   表示し、この表示された被採寸者の補整下着の採寸デー
   タにもとづいて特定の補整下着を製作することを特徴と
   する補整下着の製作方法。
2. 【請求項２】 請求項１記載の方法により比較シミュレ
   ーション表示された被採寸者の補整体形の採寸データ
   を、特定の補整下着の型紙データを記憶するコンピュー
   ターに対し入力して自動的に被採寸者の型紙データを得
   て、プロッターにより製図出力したものから部品を裁断
   するか、又はそのデータをコンピューター制御された自
   動裁断機に入力して部品を裁断し、のち、縫製工程を経
   て補整された下着に作成することを特徴とする補整下着
   の製作方法。