JPWO2003011056A1 - 疲労回復用食品組成物 - Google Patents
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Abstract
本出願には、(a)アスパラギン酸を有効成分とする疲労回復作用を有する食品組成物であって、アスパラギン酸のヒト成人一日あたり投与量が2g以上となる量で摂取されるべきことを特徴とする疲労回復用食品組成物、および(b)アスパラギン酸とグルタミン酸などの他のアミノ酸の1種以上とを有効成分として含有する疲労回復作用を有する食品組成物であって、アスパラギン酸のヒト成人一日あたり投与量が1g以上となる量で、かつ、グルタミン酸など他のアミノ酸のヒト成人一日あたり投与量の合計が1g以上となる量で摂取されるべきことを特徴とする疲労回復用食品組成物が開示されている。これらの食品組成物によれば、運動や体力を要する仕事の後の疲労からいち早く回復し、翌日のトレーニングや仕事を容易ならしめることができる。
Description
(技術分野)
本発明は、アスリートが使用するスポーツ食品・飲料、激しい仕事で疲れを感じる生活者のための栄養補助食品、あるいは疲労回復用の栄養剤等の疲労回復用食品組成物に関するものである。
(背景技術)
従来スポーツ食品としては、「プロテイン」の様に、骨格筋量を増加させ、運動機能を充実させるための栄養補助食品が多用されてきた。しかしながら、実際の運動家(アスリート)は、運動後に激しい筋肉疲労等に悩まされており、骨格筋を増やすことだけではなく、これらの諸症状を改善することが、毎日のトレーニングを効率的にこなすためには大変に意義があるものと考えられる。また、肉体労働等の体力を要する仕事後において激しい疲労感に悩まされる者にとって、これをあらかじめ予防したり、一旦生じた疲労感を改善することは、翌日の仕事を円滑に進めるうえで大変に意義があるものと考えられる。
このような目的で「プロテイン」やビタミン等を主成分とする栄養補助食品や栄養剤が使用されてきたが、これらではその効果を実感できる場合は決して多くはなく、更に効果的な栄養食品の開発が望まれてきた。
さて、激しい運動や仕事をこなすと生体は多量のエネルギーを喪失する。そのエネルギー源として糖質や脂肪が優先的に用いられることが古くから知られてきた。一方でたんぱく質は運動時のエネルギー源として利用される部分もあるが、むしろエネルギー源としてではなく、骨格筋の構成成分として利用されることが知られてきた。
(発明の開示)
前項記載の従来技術の背景下に、本発明は、運動や体力を要する仕事の後のからだの変化をいち早く回復し、すなわち、からだを疲労の状態からいち早く回復し、翌日のトレーニングや仕事を容易ならしめる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の目的を達成すべく鋭意研究の結果、アスパラギン酸、特にそのナトリウム塩、又はこれに加えて特定のアミノ酸を一定量以上摂取することにより疲労状態から速やかに回復することができることを見い出し、このような知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、アスパラギン酸を有効成分とする疲労回復作用を有する食品組成物であって、アスパラギン酸のヒト成人一日あたり投与量が2g以上となる量で摂取されるべきことを特徴とする疲労回復用食品組成物、および、アスパラギン酸、並びにグルタミン酸、グルタミン、アラニン、セリン、グリシン、スレオニン、システイン及びプロリンから選ばれるいずれか1種以上のアミノ酸を有効成分として含有する疲労回復作用を有する食品組成物であって、アスパラギン酸のヒト成人一日あたり投与量が1g以上となる量で、かつ、グルタミン酸、グルタミン、アラニン、セリン、グリシン、スレオニン、システインおよびプロリンから選ばれるいずれか1種以上のアミノ酸のヒト成人一日あたり投与量の合計が1g以上となる量で摂取されるべきことを特徴とする疲労回復用食品組成物、並びにアスパラギン酸が特にナトリウム塩の形態であることを特徴とする前記の疲労回復用食品組成物に関するものである。
因みに、本発明者の研究によれば(後出実験例参照)、いくつかのアミノ酸、特に糖原性アミノ酸は糖質よりも生体で速やかに利用されることが示され、その結果、肝臓のATP濃度を正常に維持することが示された。また、本発明者の研究によれば、実験動物に運動を長時間負荷すると、骨格筋のATPは変化しないものの、肝臓のATP濃度がいち早く変化し、これと平行して実験動物の自発的な行動量が著減することを認めた。
本発明でのアスパラギン酸などの糖原性アミノ酸は、このような場合に速やかに肝ATP濃度を回復し、かつ動物の自発運動量を正常化するのに極めて効果的であった。
一方で、運動後に多用されている「プロテイン」は、骨格筋増量のためには効果があっても、上記に認められるような効果は報告されていない。また、疲労回復に多用されている栄養剤の主成分であるタウリンなどにもそのような効果は認められていない。
市販の滋養強壮飲料に含まれるアスパラギン酸は用量が少なく(1回投与量が200mg以下)、肝臓のATP量を回復し、疲労感を改善するには至らない。また、タウリンは生体でのエネルギーとしての利用性に乏しく、これも肝臓のATP量を回復し、疲労感を改善するには至らない。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の疲労回復用食品組成物の形態としては、清涼飲料の他、ミニドリンク、ゼリー飲料、ゼリー、錠剤、カプセル、顆粒、錠菓など日常定常食からサプリメントの形態の食品や栄養剤などをあげることができる。糖原性アミノ酸は、飲料として摂取された場合、極めて短時間に酸化されてエネルギー源として利用される。
このような疲労回復用食品組成物の有効成分として使用されるアスパラギン酸は、「プロテイン」などの天然蛋白質に含まれている蛋白体のアミノ酸とは異なり、蛋白体ではないアミノ酸である。アスパラギン酸は、L体およびDL体の何れも使用できるが、L体のほうが生理学的な利用性の見地から好ましい。
アスパラギン酸は、周知のように、合成法、発酵法、蛋白質の加水分解法などで製造されるが、本発明の食品組成物にはその由来は特に問わずに使用可能である。ただし、単品で高純度のものが生理学的な理由から好ましく、例えば、「食品添加物公定書」に規定する純度以上(98%以上)のアスパラギン酸を使用することが好ましい。
また、アスパラギン酸は、生理学的に許容される塩の形態のものでもよいことは言うまでもなく、塩の形態のうちではナトリウム塩の形態のものが特に好ましい。これは、アスパラギン酸の吸収がナトリウム依存性であり、また、アスパラギン酸は溶解性に劣るところ、ナトリウム塩とすることにより溶解性が向上することによる。
更に、本発明で使用するアスパラギン酸は、アスパラギン酸を含有するペプチドの形態でも使用可能である。そのようなペプチドとしては、ペプチドに含まれる全アミノ酸のうち、アスパラギン酸を30%以上含むものが生理学的な理由から好ましい。これらのペプチドは、合成法で製造されたペプチドまたは動物性もしくは植物性蛋白質の加水分解によって得られるペプチドのいずれであっても良い。また、これらのペプチドは、消化・吸収性の観点から、その分子量は2,000以下であることが好ましく、特に1,000以下であることが好ましい。ペプチドがいち早く吸収されることによって肝臓のATP濃度を速やかに回復することができる。
本発明の疲労回復用食品組成物の有効成分として使用されるその他のアミノ酸、すなわち、グルタミン酸、グルタミン、アラニン、セリン、グリシン、スレオニン、システイン、プロリン等の糖原性アミノ酸もそれらを含有するペプチドの形態であってもよい。
本発明の疲労回復用食品組成物におけるアスパラギン酸の含有割合としては、食品組成物が液状やゼリー状であるときは、0.1〜10%程度が好ましく、0.5〜2%程度がより好ましい。食品組成物が固形状であるときも同様である。食品組成物が粉末状であるときには、アスパラギン酸の含有割合は、1〜20%が好ましく、2〜10%がより好ましい。
また、本発明の疲労回復用食品組成物は、アスパラギン酸、及びグルタミン酸、グルタミン、アラニン、セリン、グリシン、スレオニン、システイン、プロリン等の糖原性アミノ酸もしくはそれらを含有するペプチドを、食品組成物の30〜100%を占める割合で含有することができる。
アスパラギン酸がアミノ酸源として単独であってもかまわないことはもちろんである。マウスにアスパラギン酸を投与した試験の結果では、その投与量が2g/kgを超える量の場合に活力増進作用が認められた(後掲実験例4)。
アミノ酸のヒトの用量をマウスの用量から推定する場合には、以下の考え方で行う。すなわち、マウスおよびヒトが一日に摂取するたんぱく質の量と、生理機能の調節の目的をもって投与されるアミノ酸の量との比は、それぞれ、等しいと仮定することができる。マウスやラットなどのげっ歯類はヒトに比し、体重あたりで比べると、相当に多い量の食餌を摂取する。そのためにアミノ酸の代謝量も体重あたりではヒトに比し顕著に多いため、生理機能調節を狙って投与されるアミノ酸の量は体重あたりではヒトに比べマウスやラットの量が圧倒的に多い。従って、一般的な薬剤の場合(体重あたりの有効量を実験動物からヒトにそのまま外挿)とは異なった、用量の推定が行われる。臨床栄養剤(分岐鎖アミノ酸を用いた肝機能改善剤など)などは、先に述べたように、マウスおよびヒトが一日に摂取するたんぱく質の量と、前記の目的をもって投与されるアミノ酸の量との比はそれぞれ等しいと仮定し、動物実験の結果からヒト用量の推定が行われる。
本発明の場合、マウスの実験的有効量からヒト有効量を推定すると、すなわち、マウスの1日あたりの食餌たんぱく質量は約0.9gであり、アスパラギン酸が有効な最低投与量である1g/kgの場合、1個体当たりの有効アスパラギン酸摂取量は0.025gとなる。この比をヒト成人の1日あたりのたんぱく質摂取量80gに乗じると、その最低有効投与量は1日あたり2g以上となる。このようにして、アスパラギン酸のヒト有効量が推定された。従って、アスパラギン酸をヒト成人1日あたり2g以上となる量で摂取することができる量で含有する食品組成物は、この有効量を効率的に食することができ有用であるばかりか、疲労回復効果も呈する。本発明の疲労回復用食品組成物におけるアスパラギン酸およびその他の糖原性アミノ酸の含有量(配合量)は、当該食品組成物の形態により、その形態の食品組成物の通常の1日当りの喫食量から逆算して、1日当り所定量(アスパラギン酸2g以上、またはアスパラギン酸1g以上かつ他の糖原性アミノ酸1g以上)を満足する配合量として決定することもできる。
本発明の疲労回復用食品組成物には、アスパラギン酸やこれを含有するペプチド、さらにはその他の糖原性アミノ酸やそれらを含有するペプチドに加え、この分野の食品組成物に通常配合される、例えば、ビタミン、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、カフェイン、生薬などのいずれか、或いはそれらの2種以上を組み合わせて配合することもできる。その際には、賦型剤、嬌味剤、色素などと組み合わせることも可能である。
このようにして製造された本発明の疲労回復用食品組成物は、そのまま、すなわち、例えば粉体混合物の形態で、あるいはその他の適宜の形態で流通に置くことができる。
(発明を実施するための最良の形態)
以下、実験例により本発明を更に説明する。
<実験例1>
各群5頭(各群N=5)からなる6週齢雄性CDF系マウス6群にRIで標識したL−Asp・Na・H2O(Asp)、L−Ala(Ala)、L−Glu・Na・H2O(Glu)、L−Gln(Gln)、D−フルクトース(Fructose)およびD−グルコース(Glucose)を、それぞれ、各個体の尾静脈より注入し(2kBq/gBW)、直ちに動物をメタボリックケージに格納した。その後、5、15、30、60、120、180および300分目に、呼気中の14CO2を回収した20%モノエタノールアミン溶液についてその比放射能活性を測定した。その結果を後掲図1に示す。図中、*、**および***は、それぞれ、対照群となるグルコース投与群との有意差の水準を示し、それぞれ、*はp<0.05を、**はp<0.01を、そして***はp<0.001を示す。
図1から分るように、呼気への14CO2排泄量は、L−Asp、L−AlaおよびL−Gluの各投与群で、D−グルコース投与群と比べ早期に増加し、かついずれの時点においても高い水準だった。D−フルクトース投与群の呼気への排泄量はD−グルコース投与群と比べ低値であった。L−Asp、L−AlaおよびL−Gluの各投与群の投与後300分目の総排泄量は、投与された総放射能の約8割に達し、極めて生体で利用され易いことが示された。また、投与開始直後の呼気への排泄は特にL−Asp投与群で最も速やかであった。
<実験例2>
各群5頭からなる5週齢雄性ラットCDF1系マウス7群(Groups I〜VII)を4時間拘束した。ただし、拘束終了30分前に7群のマウスに、それぞれ、▲1▼ L−Asp・Na・H2O(Asp)、▲2▼ AsP、L−Glu・Na・H2O(Glu)およびD−フルクトース(Fruc)の1:1:1混合物、▲3▼ カフェイン(Caf、4mg/kg(以下の群も全て同用量))、▲4▼ Asp+Caf、▲5▼ Asp、GluおよびFrucの1:1:1混合物+Caf、▲6▼ Asp、(L−Asp)2Mgおよびタウリン(Tau)の8:8:83混合物+Caf、並びに▲7▼ Asp、TauおよびL−塩化カルニチン(Car)の10:82:8混合物+Cafを、いずれもアミノ酸や糖の混合物の総重量が2g/kgBWとなる量で経口投与した。拘束終了後に動物を屠殺し、屠殺後速やかに肝ATP/AMP比を測定した。なお、比較のために、拘束処置をせずかつアミノ酸や糖を投与しなかった群(無処置)、および拘束処置はしたがアミノ酸や糖を投与しなかった対照群(コントロール)のマウスについても肝ATP/AMP比を測定した。その結果を後掲図2に示す。
図2から分るように、L−Asp投与群の肝ATP/AMP比は、カフェイン(Caf)投与群よりも高く、タウリンを主成分とする組成物よりも高い水準だった。
<実験例3>
各群5頭からなる6週齢雄性CDF1系マウス7群(Groups 1〜7)をトレッドミルに置き、強制歩行を3時間負荷した後、7群のマウスに、それぞれ、(1)アスパラガス組成の糖原性アミノ酸混合物(L−Ala、L−AspNa・H2O、L−Glu・Na・H2O(L−グルタミン酸ナトリウム1水和物)、Gly、L−ProおよびL−Serの10:48:24:6:6:6混合物)、(2)L−Asp・Na・H2O、(3)L−Asp・Na・H2O、L−Glu・Na・H2Oおよびフルクトースの1:1:1混合物、(4)L−Asp・Na、(L−Asp)2・Mgおよびタウリンの8:8:83混合物、(5)L−Asp・Na・H2O、タウリンおよびL−塩化カルニチンの10:82:8混合物、(6)タウリン、ならびに(7)タウリンおよびL−塩化カルニチンの91:9混合物を、各々アミノ酸の投与総量が各群2g/kgとなるよう経口投与し(各10%の水溶液)、その後赤外線センサ付自発運動測定装置を用いて60分間の自発運動量を測定し、対照群(コントロール、脱イオン蒸留水のみ投与)との比較を行った。結果を後掲図3に示す。図中、*および**は対照群との有意差の水準を示し、*はp<0.05を、そして**はp<0.01を示す。
図3から分るように、アスパラガス組成の糖原性アミノ酸混合物投与群(Group 1)、L−Asp・Na・H2Oのみの投与群(Group 2)、ならびにL−Asp・Na・H2O、L−Glu・Na・H2Oおよびフルクトースの1:1:1混合物を投与した群(Group 3)はいずれも対照群(コントロール)に比し自発運動量が有意に改善された。しかし、タウリン等を主成分としたその他のアミノ酸組成物はいずれも効果が認められなかった。
<実験例4>
各群5頭からなる6週齢雄性CDF1系マウス3群(Groups 1〜3)をトレッドミルに置き、強制歩行を3時間負荷した後、3群のマウスに、それぞれ、(1)L−Asp・Na・H2Oを1g/kg、(2)L−Asp・Na・H2Oを2g/kg、そして(3)L−Asp・Na・H2Oを4g/kgとなるよう経口投与し(各10%の水溶液)、その後赤外線センサ付自発運動測定装置を用いて60分間の自発運動量を測定し、対照群(コントロール、脱イオン蒸留水のみ投与)との比較を行った。結果を後掲図4に示す。図中、**および***は、対照群との有意差の水準を示し、**はp<0.01を、そして***はp<0.001を示す。
図4から分るように、L−Asp・Na・H2Oを1g/kgの投与群(Group 1)でも対照群(コントロール)に比し自発運動量が有意に改善された。しかしながら、これとは別に実施した試験でL−Asp・Na・H2Oの1g/kg未満の投与群ではいずれも効果が認められなかった。
<実験例5>
各群5頭からなる5週齢雄性CDF1系マウス3群(Groups 1〜3)を3時間拘束チューブを用いて拘束した。ただし、拘束終了15分前に3群のマウスに、それぞれ、2g/kgの、(1)L−Asp・Na・H2O、(2)グルコース、および(3)フルクトースを各々経口投与し、これらを(4)等液量の蒸留水のみ投与した群(コントロール)と、(5)無処置群(無処置)との比較を行った。すなわち、各動物は拘束終了直後に屠殺し、肝臓中のATP/AMP比の測定を行った。その結果を後掲図5に示す。
図5から分るように、拘束終了15分前の投与ではAsp投与群(Group 1)の肝臓中のATP/AMP比が最も高い水準である。
拘束終了15分前の投与に代えて拘束終了30分前の投与とした場合でも同様の傾向であった(後掲図6参照)。
(産業上の利用の可能性)
本発明によれば、一般の「プロテイン」やタウリン等のアミノ酸を主成分とした栄養剤に比べて、肝臓のエネルギー代謝をいちはやく改善し、より速やかに活力を増強することが可能な、疲労回復効果に優れる疲労回復用食品組成物を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、14C標識アミノ酸を投与したマウスの呼気中への14CO2排泄を経時的に測定した結果を示す(実験例1)。
図2は、マウス肝臓中のATP/AMP比の測定結果を示す(実験例2)。
図3は、強制歩行後のマウスの自発運動量の測定結果を示す(実験例3)。
図4は、強制歩行後のマウスの自発運動量の測定結果を示す(実験例4)。
図5は、拘束後のマウス肝臓中のATP/AMP比を示す(拘束終了15分前投与、実験例5)。
図6は、拘束後のマウス肝臓中のATP/AMP比を示す(拘束終了30分前投与、実験例5)。
本発明は、アスリートが使用するスポーツ食品・飲料、激しい仕事で疲れを感じる生活者のための栄養補助食品、あるいは疲労回復用の栄養剤等の疲労回復用食品組成物に関するものである。
(背景技術)
従来スポーツ食品としては、「プロテイン」の様に、骨格筋量を増加させ、運動機能を充実させるための栄養補助食品が多用されてきた。しかしながら、実際の運動家(アスリート)は、運動後に激しい筋肉疲労等に悩まされており、骨格筋を増やすことだけではなく、これらの諸症状を改善することが、毎日のトレーニングを効率的にこなすためには大変に意義があるものと考えられる。また、肉体労働等の体力を要する仕事後において激しい疲労感に悩まされる者にとって、これをあらかじめ予防したり、一旦生じた疲労感を改善することは、翌日の仕事を円滑に進めるうえで大変に意義があるものと考えられる。
このような目的で「プロテイン」やビタミン等を主成分とする栄養補助食品や栄養剤が使用されてきたが、これらではその効果を実感できる場合は決して多くはなく、更に効果的な栄養食品の開発が望まれてきた。
さて、激しい運動や仕事をこなすと生体は多量のエネルギーを喪失する。そのエネルギー源として糖質や脂肪が優先的に用いられることが古くから知られてきた。一方でたんぱく質は運動時のエネルギー源として利用される部分もあるが、むしろエネルギー源としてではなく、骨格筋の構成成分として利用されることが知られてきた。
(発明の開示)
前項記載の従来技術の背景下に、本発明は、運動や体力を要する仕事の後のからだの変化をいち早く回復し、すなわち、からだを疲労の状態からいち早く回復し、翌日のトレーニングや仕事を容易ならしめる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の目的を達成すべく鋭意研究の結果、アスパラギン酸、特にそのナトリウム塩、又はこれに加えて特定のアミノ酸を一定量以上摂取することにより疲労状態から速やかに回復することができることを見い出し、このような知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、アスパラギン酸を有効成分とする疲労回復作用を有する食品組成物であって、アスパラギン酸のヒト成人一日あたり投与量が2g以上となる量で摂取されるべきことを特徴とする疲労回復用食品組成物、および、アスパラギン酸、並びにグルタミン酸、グルタミン、アラニン、セリン、グリシン、スレオニン、システイン及びプロリンから選ばれるいずれか1種以上のアミノ酸を有効成分として含有する疲労回復作用を有する食品組成物であって、アスパラギン酸のヒト成人一日あたり投与量が1g以上となる量で、かつ、グルタミン酸、グルタミン、アラニン、セリン、グリシン、スレオニン、システインおよびプロリンから選ばれるいずれか1種以上のアミノ酸のヒト成人一日あたり投与量の合計が1g以上となる量で摂取されるべきことを特徴とする疲労回復用食品組成物、並びにアスパラギン酸が特にナトリウム塩の形態であることを特徴とする前記の疲労回復用食品組成物に関するものである。
因みに、本発明者の研究によれば(後出実験例参照)、いくつかのアミノ酸、特に糖原性アミノ酸は糖質よりも生体で速やかに利用されることが示され、その結果、肝臓のATP濃度を正常に維持することが示された。また、本発明者の研究によれば、実験動物に運動を長時間負荷すると、骨格筋のATPは変化しないものの、肝臓のATP濃度がいち早く変化し、これと平行して実験動物の自発的な行動量が著減することを認めた。
本発明でのアスパラギン酸などの糖原性アミノ酸は、このような場合に速やかに肝ATP濃度を回復し、かつ動物の自発運動量を正常化するのに極めて効果的であった。
一方で、運動後に多用されている「プロテイン」は、骨格筋増量のためには効果があっても、上記に認められるような効果は報告されていない。また、疲労回復に多用されている栄養剤の主成分であるタウリンなどにもそのような効果は認められていない。
市販の滋養強壮飲料に含まれるアスパラギン酸は用量が少なく(1回投与量が200mg以下)、肝臓のATP量を回復し、疲労感を改善するには至らない。また、タウリンは生体でのエネルギーとしての利用性に乏しく、これも肝臓のATP量を回復し、疲労感を改善するには至らない。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の疲労回復用食品組成物の形態としては、清涼飲料の他、ミニドリンク、ゼリー飲料、ゼリー、錠剤、カプセル、顆粒、錠菓など日常定常食からサプリメントの形態の食品や栄養剤などをあげることができる。糖原性アミノ酸は、飲料として摂取された場合、極めて短時間に酸化されてエネルギー源として利用される。
このような疲労回復用食品組成物の有効成分として使用されるアスパラギン酸は、「プロテイン」などの天然蛋白質に含まれている蛋白体のアミノ酸とは異なり、蛋白体ではないアミノ酸である。アスパラギン酸は、L体およびDL体の何れも使用できるが、L体のほうが生理学的な利用性の見地から好ましい。
アスパラギン酸は、周知のように、合成法、発酵法、蛋白質の加水分解法などで製造されるが、本発明の食品組成物にはその由来は特に問わずに使用可能である。ただし、単品で高純度のものが生理学的な理由から好ましく、例えば、「食品添加物公定書」に規定する純度以上(98%以上)のアスパラギン酸を使用することが好ましい。
また、アスパラギン酸は、生理学的に許容される塩の形態のものでもよいことは言うまでもなく、塩の形態のうちではナトリウム塩の形態のものが特に好ましい。これは、アスパラギン酸の吸収がナトリウム依存性であり、また、アスパラギン酸は溶解性に劣るところ、ナトリウム塩とすることにより溶解性が向上することによる。
更に、本発明で使用するアスパラギン酸は、アスパラギン酸を含有するペプチドの形態でも使用可能である。そのようなペプチドとしては、ペプチドに含まれる全アミノ酸のうち、アスパラギン酸を30%以上含むものが生理学的な理由から好ましい。これらのペプチドは、合成法で製造されたペプチドまたは動物性もしくは植物性蛋白質の加水分解によって得られるペプチドのいずれであっても良い。また、これらのペプチドは、消化・吸収性の観点から、その分子量は2,000以下であることが好ましく、特に1,000以下であることが好ましい。ペプチドがいち早く吸収されることによって肝臓のATP濃度を速やかに回復することができる。
本発明の疲労回復用食品組成物の有効成分として使用されるその他のアミノ酸、すなわち、グルタミン酸、グルタミン、アラニン、セリン、グリシン、スレオニン、システイン、プロリン等の糖原性アミノ酸もそれらを含有するペプチドの形態であってもよい。
本発明の疲労回復用食品組成物におけるアスパラギン酸の含有割合としては、食品組成物が液状やゼリー状であるときは、0.1〜10%程度が好ましく、0.5〜2%程度がより好ましい。食品組成物が固形状であるときも同様である。食品組成物が粉末状であるときには、アスパラギン酸の含有割合は、1〜20%が好ましく、2〜10%がより好ましい。
また、本発明の疲労回復用食品組成物は、アスパラギン酸、及びグルタミン酸、グルタミン、アラニン、セリン、グリシン、スレオニン、システイン、プロリン等の糖原性アミノ酸もしくはそれらを含有するペプチドを、食品組成物の30〜100%を占める割合で含有することができる。
アスパラギン酸がアミノ酸源として単独であってもかまわないことはもちろんである。マウスにアスパラギン酸を投与した試験の結果では、その投与量が2g/kgを超える量の場合に活力増進作用が認められた(後掲実験例4)。
アミノ酸のヒトの用量をマウスの用量から推定する場合には、以下の考え方で行う。すなわち、マウスおよびヒトが一日に摂取するたんぱく質の量と、生理機能の調節の目的をもって投与されるアミノ酸の量との比は、それぞれ、等しいと仮定することができる。マウスやラットなどのげっ歯類はヒトに比し、体重あたりで比べると、相当に多い量の食餌を摂取する。そのためにアミノ酸の代謝量も体重あたりではヒトに比し顕著に多いため、生理機能調節を狙って投与されるアミノ酸の量は体重あたりではヒトに比べマウスやラットの量が圧倒的に多い。従って、一般的な薬剤の場合(体重あたりの有効量を実験動物からヒトにそのまま外挿)とは異なった、用量の推定が行われる。臨床栄養剤(分岐鎖アミノ酸を用いた肝機能改善剤など)などは、先に述べたように、マウスおよびヒトが一日に摂取するたんぱく質の量と、前記の目的をもって投与されるアミノ酸の量との比はそれぞれ等しいと仮定し、動物実験の結果からヒト用量の推定が行われる。
本発明の場合、マウスの実験的有効量からヒト有効量を推定すると、すなわち、マウスの1日あたりの食餌たんぱく質量は約0.9gであり、アスパラギン酸が有効な最低投与量である1g/kgの場合、1個体当たりの有効アスパラギン酸摂取量は0.025gとなる。この比をヒト成人の1日あたりのたんぱく質摂取量80gに乗じると、その最低有効投与量は1日あたり2g以上となる。このようにして、アスパラギン酸のヒト有効量が推定された。従って、アスパラギン酸をヒト成人1日あたり2g以上となる量で摂取することができる量で含有する食品組成物は、この有効量を効率的に食することができ有用であるばかりか、疲労回復効果も呈する。本発明の疲労回復用食品組成物におけるアスパラギン酸およびその他の糖原性アミノ酸の含有量(配合量)は、当該食品組成物の形態により、その形態の食品組成物の通常の1日当りの喫食量から逆算して、1日当り所定量(アスパラギン酸2g以上、またはアスパラギン酸1g以上かつ他の糖原性アミノ酸1g以上)を満足する配合量として決定することもできる。
本発明の疲労回復用食品組成物には、アスパラギン酸やこれを含有するペプチド、さらにはその他の糖原性アミノ酸やそれらを含有するペプチドに加え、この分野の食品組成物に通常配合される、例えば、ビタミン、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、カフェイン、生薬などのいずれか、或いはそれらの2種以上を組み合わせて配合することもできる。その際には、賦型剤、嬌味剤、色素などと組み合わせることも可能である。
このようにして製造された本発明の疲労回復用食品組成物は、そのまま、すなわち、例えば粉体混合物の形態で、あるいはその他の適宜の形態で流通に置くことができる。
(発明を実施するための最良の形態)
以下、実験例により本発明を更に説明する。
<実験例1>
各群5頭(各群N=5)からなる6週齢雄性CDF系マウス6群にRIで標識したL−Asp・Na・H2O(Asp)、L−Ala(Ala)、L−Glu・Na・H2O(Glu)、L−Gln(Gln)、D−フルクトース(Fructose)およびD−グルコース(Glucose)を、それぞれ、各個体の尾静脈より注入し(2kBq/gBW)、直ちに動物をメタボリックケージに格納した。その後、5、15、30、60、120、180および300分目に、呼気中の14CO2を回収した20%モノエタノールアミン溶液についてその比放射能活性を測定した。その結果を後掲図1に示す。図中、*、**および***は、それぞれ、対照群となるグルコース投与群との有意差の水準を示し、それぞれ、*はp<0.05を、**はp<0.01を、そして***はp<0.001を示す。
図1から分るように、呼気への14CO2排泄量は、L−Asp、L−AlaおよびL−Gluの各投与群で、D−グルコース投与群と比べ早期に増加し、かついずれの時点においても高い水準だった。D−フルクトース投与群の呼気への排泄量はD−グルコース投与群と比べ低値であった。L−Asp、L−AlaおよびL−Gluの各投与群の投与後300分目の総排泄量は、投与された総放射能の約8割に達し、極めて生体で利用され易いことが示された。また、投与開始直後の呼気への排泄は特にL−Asp投与群で最も速やかであった。
<実験例2>
各群5頭からなる5週齢雄性ラットCDF1系マウス7群(Groups I〜VII)を4時間拘束した。ただし、拘束終了30分前に7群のマウスに、それぞれ、▲1▼ L−Asp・Na・H2O(Asp)、▲2▼ AsP、L−Glu・Na・H2O(Glu)およびD−フルクトース(Fruc)の1:1:1混合物、▲3▼ カフェイン(Caf、4mg/kg(以下の群も全て同用量))、▲4▼ Asp+Caf、▲5▼ Asp、GluおよびFrucの1:1:1混合物+Caf、▲6▼ Asp、(L−Asp)2Mgおよびタウリン(Tau)の8:8:83混合物+Caf、並びに▲7▼ Asp、TauおよびL−塩化カルニチン(Car)の10:82:8混合物+Cafを、いずれもアミノ酸や糖の混合物の総重量が2g/kgBWとなる量で経口投与した。拘束終了後に動物を屠殺し、屠殺後速やかに肝ATP/AMP比を測定した。なお、比較のために、拘束処置をせずかつアミノ酸や糖を投与しなかった群(無処置)、および拘束処置はしたがアミノ酸や糖を投与しなかった対照群(コントロール)のマウスについても肝ATP/AMP比を測定した。その結果を後掲図2に示す。
図2から分るように、L−Asp投与群の肝ATP/AMP比は、カフェイン(Caf)投与群よりも高く、タウリンを主成分とする組成物よりも高い水準だった。
<実験例3>
各群5頭からなる6週齢雄性CDF1系マウス7群(Groups 1〜7)をトレッドミルに置き、強制歩行を3時間負荷した後、7群のマウスに、それぞれ、(1)アスパラガス組成の糖原性アミノ酸混合物(L−Ala、L−AspNa・H2O、L−Glu・Na・H2O(L−グルタミン酸ナトリウム1水和物)、Gly、L−ProおよびL−Serの10:48:24:6:6:6混合物)、(2)L−Asp・Na・H2O、(3)L−Asp・Na・H2O、L−Glu・Na・H2Oおよびフルクトースの1:1:1混合物、(4)L−Asp・Na、(L−Asp)2・Mgおよびタウリンの8:8:83混合物、(5)L−Asp・Na・H2O、タウリンおよびL−塩化カルニチンの10:82:8混合物、(6)タウリン、ならびに(7)タウリンおよびL−塩化カルニチンの91:9混合物を、各々アミノ酸の投与総量が各群2g/kgとなるよう経口投与し(各10%の水溶液)、その後赤外線センサ付自発運動測定装置を用いて60分間の自発運動量を測定し、対照群(コントロール、脱イオン蒸留水のみ投与)との比較を行った。結果を後掲図3に示す。図中、*および**は対照群との有意差の水準を示し、*はp<0.05を、そして**はp<0.01を示す。
図3から分るように、アスパラガス組成の糖原性アミノ酸混合物投与群(Group 1)、L−Asp・Na・H2Oのみの投与群(Group 2)、ならびにL−Asp・Na・H2O、L−Glu・Na・H2Oおよびフルクトースの1:1:1混合物を投与した群(Group 3)はいずれも対照群(コントロール)に比し自発運動量が有意に改善された。しかし、タウリン等を主成分としたその他のアミノ酸組成物はいずれも効果が認められなかった。
<実験例4>
各群5頭からなる6週齢雄性CDF1系マウス3群(Groups 1〜3)をトレッドミルに置き、強制歩行を3時間負荷した後、3群のマウスに、それぞれ、(1)L−Asp・Na・H2Oを1g/kg、(2)L−Asp・Na・H2Oを2g/kg、そして(3)L−Asp・Na・H2Oを4g/kgとなるよう経口投与し(各10%の水溶液)、その後赤外線センサ付自発運動測定装置を用いて60分間の自発運動量を測定し、対照群(コントロール、脱イオン蒸留水のみ投与)との比較を行った。結果を後掲図4に示す。図中、**および***は、対照群との有意差の水準を示し、**はp<0.01を、そして***はp<0.001を示す。
図4から分るように、L−Asp・Na・H2Oを1g/kgの投与群(Group 1)でも対照群(コントロール)に比し自発運動量が有意に改善された。しかしながら、これとは別に実施した試験でL−Asp・Na・H2Oの1g/kg未満の投与群ではいずれも効果が認められなかった。
<実験例5>
各群5頭からなる5週齢雄性CDF1系マウス3群(Groups 1〜3)を3時間拘束チューブを用いて拘束した。ただし、拘束終了15分前に3群のマウスに、それぞれ、2g/kgの、(1)L−Asp・Na・H2O、(2)グルコース、および(3)フルクトースを各々経口投与し、これらを(4)等液量の蒸留水のみ投与した群(コントロール)と、(5)無処置群(無処置)との比較を行った。すなわち、各動物は拘束終了直後に屠殺し、肝臓中のATP/AMP比の測定を行った。その結果を後掲図5に示す。
図5から分るように、拘束終了15分前の投与ではAsp投与群(Group 1)の肝臓中のATP/AMP比が最も高い水準である。
拘束終了15分前の投与に代えて拘束終了30分前の投与とした場合でも同様の傾向であった(後掲図6参照)。
(産業上の利用の可能性)
本発明によれば、一般の「プロテイン」やタウリン等のアミノ酸を主成分とした栄養剤に比べて、肝臓のエネルギー代謝をいちはやく改善し、より速やかに活力を増強することが可能な、疲労回復効果に優れる疲労回復用食品組成物を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、14C標識アミノ酸を投与したマウスの呼気中への14CO2排泄を経時的に測定した結果を示す(実験例1)。
図2は、マウス肝臓中のATP/AMP比の測定結果を示す(実験例2)。
図3は、強制歩行後のマウスの自発運動量の測定結果を示す(実験例3)。
図4は、強制歩行後のマウスの自発運動量の測定結果を示す(実験例4)。
図5は、拘束後のマウス肝臓中のATP/AMP比を示す(拘束終了15分前投与、実験例5)。
図6は、拘束後のマウス肝臓中のATP/AMP比を示す(拘束終了30分前投与、実験例5)。
Claims (4)
- アスパラギン酸を有効成分とする疲労回復作用を有する食品組成物であって、アスパラギン酸のヒト成人一日あたり投与量が2g以上となる量で摂取されるべきことを特徴とする疲労回復用食品組成物。
- アスパラギン酸に加えて、グルタミン酸、グルタミン、アラニン、セリン、グリシン、スレオニン、システインおよびプロリンから選ばれるいずれか1種以上のアミノ酸を含有することを特徴とする請求項1記載の疲労回復用食品組成物。
- アスパラギン酸、並びにグルタミン酸、グルタミン、アラニン、セリン、グリシン、スレオニン、システイン及びプロリンから選ばれるいずれか1種以上のアミノ酸を有効成分として含有する疲労回復作用を有する食品組成物であって、アスパラギン酸のヒト成人一日あたり投与量が1g以上となる量で、かつ、グルタミン酸、グルタミン、アラニン、セリン、グリシン、スレオニン、システインおよびプロリンから選ばれるいずれか1種以上のアミノ酸のヒト成人一日あたり投与量の合計が1g以上となる量で摂取されるべきことを特徴とする疲労回復用食品組成物。
- 該アスパラギン酸がアスパラギン酸ナトリウムの形態であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の疲労回復用食品組成物。
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